JP2014140423A - 肌状態測定装置 - Google Patents

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章平 福本
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星司 高見
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幸生 山崎
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Abstract

【課題】被験者または測定部位の相違によらず、一定の強度を有する励起光を被験者の真皮に照射する。
【解決手段】判定装置(20)は、影響物質由来励起光低下度を算出する影響物質由来低下度算出部(51)と、表皮厚み由来励起光低下度を算出する表皮厚み由来低下度算出部(52)と、影響物質由来励起光低下度と表皮厚み由来励起光低下度とを用いて、励起光の強度の設定値を補正する励起光強度補正部(41)と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度に基づいて肌状態を測定する肌状態測定装置に関する。
従来、抗糖化(抗加齢)化粧品として、肌に蓄積したAGEs(Advanced Glycation Endproducts;後期糖化反応生成物)の低減を目的としたものが商品化されている。このAGEsは、タンパク質と、糖質や脂質との非酵素的糖付加反応(メイラード反応)により形成される最終生成物であり、黄褐色を呈し、その一部は蛍光を発する物質である。また、AGEsは、近くに存在する構造蛋白質と結合して架橋を形成する性質を有している。特にAGEsと真皮を構成しているコラーゲンとの架橋は、皮膚の弾力性を低下させるとともに、くすみの原因となることで問題となっている。
このようなAGEsをモニタリングすることで、肌の健康状態、老化を評価することができる。生体を侵襲することなく手軽にAGEsのデータを取得する方法として、皮膚コラーゲンに結合したAGEsからの蛍光スペクトルを測定し、測定した蛍光強度から肌に蓄積したAGEsの量を求める方法が知られている。
この方法では、メラニンなど皮膚中に存在する吸光物質が検出結果に影響を及ぼすことが知られている。つまり、メラニンなどの吸光物質が、入射する励起光の一部を吸収する、あるいは発生する蛍光の一部を吸収することで、AGEsを正確に測定することを阻害するという問題点がある。
上記課題の対策として、皮膚中の、特に表皮中の吸光物質などの阻害要因の影響を除く方法として特許文献1に記載の方法が報告されている。
特許文献1に記載の方法では、肌に励起光を照射することで発生する蛍光を測定するとともに、上記蛍光の波長を含む検査光を肌に照射し、その反射光を測定した結果を示す反射光データにより蛍光データを補正している。
なお、非特許文献1には、生体組織(人の皮膚など)による光の吸収スペクトルが例示されている。
特開2004−290234号公報(2004年10月21日公開)
石川顕一、「量子ビーム基礎」、[online]、[2012年11月27日検索]、インターネット〈URL:http://ishiken.free.fr/lectures/note.pdf〉
ところが、上記特許文献1の方法では、被験者間における肌(表皮)の色味の相違および表皮の厚みの相違については考慮されていない。
そのため、例えば被験者の肌の色が黒い場合には、測定対象物質(例えばAGEs)が含まれる真皮へ十分な強度を有する励起光を照射できず、その結果、上記蛍光の検出を精度よく行うことができない虞があった。
また、上記表皮の厚みの相違による、少なくとも上記真皮に到達する励起光の減衰率の相違を考慮できていないため、上記測定対象物質の含有量を正確に推定することはできない虞があった。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、被験者または測定部位の相違によらず、一定の強度を有する励起光を被験者の真皮に照射することが可能な肌状態測定装置等を提供することにある。
本発明の一態様に係る肌状態測定装置は、上記の課題を解決するために、
280nm以上、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度に基づいて肌状態を測定する肌状態測定装置であって、
280nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来励起光低下度を算出する影響物質由来励起光低下度算出部と、
上記測定部位における表皮の厚みを示す厚みデータを用いて、上記測定部位における表皮により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来励起光低下度を算出する表皮厚み由来励起光低下度算出部と、
上記影響物質由来励起光低下度算出部が算出した上記影響物質由来励起光低下度と、上記表皮厚み由来励起光低下度算出部が算出した上記表皮厚み由来励起光低下度とを用いて、上記励起光の強度の設定値を補正する励起光強度補正部と、を備える構成である。
本発明の一態様によれば、被験者または測定部位の相違によらず、一定の強度を有する励起光を被験者の真皮に照射することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る肌状態判定システムの構成を示す図である。 上記肌状態判定システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。 皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量およびメラニン層の厚み依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。 人工的に合成した糖化コラーゲン(AGEs)を用いた蛍光スペクトルを示す図である。 皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量および表皮層の厚み依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。
〔実施形態〕
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図1は、肌状態判定システム(測定システム、肌状態測定装置)100の構成を示す図である。図1に示すように、肌状態判定システム100は、測定装置(測定部)10および判定装置(判定部)20を備えている。
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図1は、肌状態判定システム100の構成を示す図である。図1に示すように、肌状態判定システム100は、測定装置(測定部)10および判定装置(判定部)20を備えている。
この肌状態判定システム100では、測定装置10において測定対象物質である肌内蛍光物質を検出するための励起光が出射される。また、測定装置10において、励起光の強度に影響を及ぼす可能性、および、励起光が照射されることによって測定対象物質から生じる蛍光の強度(蛍光強度)に影響を及ぼす可能性のある影響物質を検出するための参照光が出射される。そして、測定装置10は、参照光の照射によって発生した放射光の強度を測定し、その測定結果を判定装置20に送信する。
また、判定装置20は、励起光が照射される測定部位、および、被験者の性別、人種、年齢等を示す生物学的データを用いて、当該被験者の測定部位における表皮の厚みを推定する。
判定装置20は、測定装置10から得た放射光の強度(または当該強度から算出される反射率、吸光度等の値)を示す測定結果と、推定した表皮の厚みとを用いて、測定装置10において予め設定されている励起光の強度の設定値を補正する。上記において測定装置10が出射する励起光は、この設定値が補正された後の光強度を有する励起光である。そして、判定装置20は、測定装置10が出射した補正後の励起光が測定対象物質に照射されることによって得られる蛍光の強度を、上記測定結果と上記表皮の厚みとを用いて補正し、補正した蛍光の強度に基づいて肌状態を判定する。
なお、肌状態判定システム100では、判定装置20において、上記測定結果と上記表皮の厚みとを用いて上記設定値が補正される構成を少なくとも備えていればよい。すなわち、肌状態判定システム100は、測定装置10において予め設定されている励起光の強度の設定値を少なくとも補正できればよい。
<測定装置10の概要>
測定装置10は、測定対象の個体(生体)の肌(皮膚)における測定部位70に対して、判定装置20において上記設定値が補正された励起光を照射し、当該照射によって生じる、測定対象物質の蛍光の強度を測定する。また、測定装置10は、上記影響物質を検出するための参照光を照射し、当該照射によって生体から放射される放射光(反射光、蛍光など)の強度を測定する。
しかしながら、測定装置10が取得するデータは、このような蛍光や放射光のデータのみに限られず、その他の物性情報(または物理量)を取得するようにしてもよい。
例えば、一般に、肌の一部に光が照射されることにより生じる光としては、照射した光が反射した反射光、反射した光が肌を透過した透過光、または、励起光を照射することによって生じた蛍光(肌に含まれる物質に由来する蛍光)などを挙示できる。
よって、測定装置10は、本実施形態において示す光の強度の他、例えば、その半値幅、検出された光の波長、肌の透過率などといった、肌の一部に含まれる物質などに由来する物性情報(または物理量)のいずれかを特定するものであればよい。
測定装置10の測定対象となる測定部位70は、例えば、腕、手首、指、手のひら、頬、耳等であり、これらの測定部位70に対して励起光および参照光が照射される。
励起光の照射位置と参照光の照射位置とを一致させることが好ましいが、完全に一致させる必要は必ずしもなく、参照光の照射位置は、励起光の照射位置の近傍であればよい。
<測定装置10の構成>
測定装置10は、励起光源(励起光照射部)11、検出器(蛍光測定部、放射光測定部)12および参照光源(参照光照射部)13を備えている。
(励起光源11)
励起光源11は、280nm以上、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位70に照射するための光源である。励起光源11として、ハロゲンやキセノン光源のような管球タイプのものや、LED(発光ダイオード)、LD(レーザダイオード)等が利用可能である。
励起光の波長範囲は、測定対象物質の種類に応じて設定されればよい。例えば、励起光は、後期糖化反応生成物(AGEs(Advanced Glycation Endproducts))の検出することが可能な波長範囲を有していてもよい。
AGEsには、現在構造が明らかになったものだけでも20ほどの種類があり、その中で励起光を照射すると蛍光を発するものがいくつかある。例えば、ペントシジンおよびベスパーリジンはAGEsの代表的な例である。
ペントシジンはペントースと等モルのリジンとアルギニンとが架橋した構造を有し、酸加水分解後に安定な蛍光性物質である。このペントシジンは、特に糖尿病の発症や末期の腎症において増加することが報告されている。ペントシジンは、328〜335nmの波長の励起光を受けて378〜385nmの蛍光を発する。
ベスパーリジンはAGE化ウシ血清アルブミン(BSA)を酸加水分解した後、主要な蛍光性物質として単離され、2分子のリジンを架橋した構造を有している。ベスパーリジンは、370nmの波長の励起光を受けて440nmの蛍光を発する。
これらのAGEsを検出するための励起光の波長としては、370nmまたはその近傍の波長(280〜410nm)が適している。AGEsの種類によって適応する励起光の幅としては、近紫外領域である280〜400nmから可視光領域である400〜600nmのものが適している。すなわち、AGEsを検出するための励起光の波長範囲として280nm以上、600nm以下の範囲を設定することができる。
本実施形態では、励起光の波長は、近紫外領域の280nm以上、365nm以下の波長か、青紫領域の405nmの波長となっている。このような波長の光を測定部位70の特定部位(例えば、真皮など)に照射することにより、照射位置の真皮に蓄積している測定対象物質(例えば、AGEs)からの蛍光が得られる。
また、測定装置10が備える記憶部(不図示)には、励起光源11が出射する励起光の強度の値を示す設定値が格納されている。この設定値は、測定対象物質の蛍光の強度測定の前に、後述する判定装置20によって補正される値である。励起光源11は、この補正された設定値が示す光強度を有する励起光を測定部位70に照射する。
励起光源11から出射される励起光は、直接、測定部位70に照射されてもよく、入射用光ファイバーや光学ロッド等の導光部材(プローブ)によって測定部位70まで導光されてもよい。このような導光部材も励起光照射部に含めることができる。
励起光の照射および蛍光の受光のために光ファイバーを用いる場合には、励起光出射用ファイバーと蛍光受光用ファイバーとが束ねられたバンドルファイバーを用いてもよい。励起光出射用ファイバーおよび励起光源11、ならびに、蛍光受光用ファイバーおよび検出器12はSMA(Sma[Sab Miniature Type A])コネクタを通して結合されればよい。プローブとして光ファイバーを用いることにより、励起光をできるだけロス無く測定部位70まで導くことができる。
また、測定装置10は、据え置き型の装置であっても、ユーザが保持するタイプのものであってもよい。
(参照光源13)
参照光源13は、280nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する参照光を測定部位70に照射するための光源である。参照光源13として、ハロゲンやキセノン光源のような管球タイプのものや、LED、LD等が利用可能である。
本実施形態では、測定装置10が備える参照光源は、1種類であるものとして説明するが、これに限定されず、2種類以上であってもよい。
例えば、2種類の参照光源を有する場合、一方の参照光源は、複数種類の影響物質のうちの1つを検出するためのピーク波長を有する参照光を出射するものであり、他方の参照光源は、複数種類の影響物質のうちの別の1つを検出するためのピーク波長を有する参照光を出射するものであってもよい。
また、励起光を用いて影響物質を検出できる場合には、参照光源を設けなくてもよい。つまり、測定装置10が検出可能な影響物質を測定できる光源を参照光源として1種類以上、設ければ良い。
参照光を用いて複数種類の影響物質を検出する方法として、例えば、568nmの参照光を用いる場合が挙げられる。検出対象の影響物質はメラニンおよびヘモグロビンである。
メラニンは紫外から可視領域にかけて吸収を示す。一方でヘモグロビンは568nmに吸収のピークを示す。したがって、568nmの光を照射したとき、上記各物質は吸収を示す。各物質の吸収率データ(例えば、メラニンがX%、ヘモグロビンがY%)からそれぞれの物質(影響物質)由来の影響度、すなわち励起光低下度および蛍光低下度を求めることができる。
上記の例では、1種類の参照光で複数の影響物質を検出しているが、複数種類の参照光で、複数の影響物質を検出しても良い。
上記影響物質とは、測定部位70に含まれると推定される物質であり、上記励起光の強度および蛍光の強度(少なくとも上記励起光の強度)に影響を及ぼす可能性のある物質である。例えば、上記影響物質とは、励起光源11が出射する励起光を吸収する物質、または励起光の照射によって生じる蛍光を吸収する物質である。換言すれば、測定部位70に照射された励起光および蛍光の強度を低下させる物質である。
参照光のピーク波長は、例えば500nm以上、900nm以下であってもよい。本実施形態で検出対象としているAGEsは、主に紫外光〜可視光領域の波長の光を吸収するため、このような波長の光を用いることで、AGEs由来の吸光の影響が低減された肌内吸光物質(影響物質)の情報(物理量)を得ることができる。
しかしながら、参照光の波長ピークは上記波長範囲に限らず、例えば励起光の波長範囲を含む280nm以上、900nm以下であってもよい。すなわち、参照光の波長ピークは、肌内吸光物質(影響物質)から放射光を検出できる結果、判定装置20において当該影響物質由来の励起光低下度および蛍光低下度を算出可能な波長範囲に設定されていればよい。
参照光源13から出射される参照光は、直接、測定部位70に照射されてもよく、光ファイバー等の導光部材によって測定部位70まで導光されてもよい。このような導光部材も参照光照射部に含めることができる。
参照光の照射および放射光の受光のために光ファイバーを用いる場合には、参照光出射用ファイバーと放射光受光用ファイバーとが束ねられているバンドルファイバーを用いてもよい。参照光出射用ファイバーと参照光源13とはSMAコネクタを通して結合されればよい。蛍光を検出する検出器と放射光を検出する検出器とが同一である場合には、放射光受光用ファイバーを、蛍光受光用ファイバーと兼用してもよい。
プローブとして光ファイバーを用いることにより、放射光をできるだけロス無く検出器12まで導くことができる。
励起光と参照光とは、測定部位70における概ね同一の位置に照射されることが好ましい。そのため、励起光出射用ファイバーの励起光出射端部と、参照光出射用ファイバーの参照光出射端部とは、近接した位置に配置されていることが好ましい。受光用ファイバーを蛍光受光用と放射光受光用とで兼用する場合には、励起光出射用ファイバー、参照光出射用ファイバーおよび受光用ファイバーをバンドルファイバーとして形成してもよい。
蛍光を検出する場合、蛍光収率を高めるために、受光用ファイバーを測定対象に対して垂直に配置することが望ましい。
一方、反射光を検出する場合は、参照光出射用ファイバーから出射される参照光の入射角と受光用ファイバーが受ける反射光の反射角とが等しい位置に各ファイバーを配置することが望ましい。この場合に、反射光の収率が高くなる。
したがって、蛍光と反射光とを同一の受光ファイバーで受ける場合は、全てのファイバーが測定対象に対して垂直に配置されていることが望ましい。
(検出器12)
検出器12は、上記励起光が測定部位70の表面(肌)に照射されることによって発生した蛍光を、反射用光ファイバー等の光学部材を通して受光し、その蛍光の波長ごとの強度を測定する。すなわち、検出器12は、どの波長の蛍光がどの程度の強さで検出されたのかを測定する。
なお、反射用光ファイバーを用いることは必須ではなく、検出器12が上記蛍光を直接受光してもよい。
検出器12としてはCCD(charge-coupled device)アレイやCMOS(c metal-oxide semiconductor)イメージセンサといった半導体検出器、光電子倍増管(PMT)、チャンネルトロン検出器、PD(フォトダイオード)、または、所定の波長範囲の光を選択的に検出できるフィルタとPDとを組み合わせた検出器等が利用可能である。ただし、測定装置10の可搬性を高める上では、半導体検出器を用いるほうが有利である。
蛍光は励起光よりも波長が長いため、検出器12としては、320〜500nmの範囲の光が検出できるものであればよいが、蛍光についても、AGEsの種類によって検出される波長に幅があるため、320〜900nmの範囲が検出できるものであれば利用可能である。
一方で、検出器12は、参照光を測定部位70に照射することによって生体から放射される放射光(反射光、蛍光など)を、反射用光ファイバー等の光学部材を通して受光し、その強度を測定する。すなわち、検出器12は、蛍光測定部と放射光測定部との2つの測定部の機能を兼ね備えている。
放射光測定部としての検出器12は、参照光源13から発せられる参照光の波長範囲と同範囲の波長を検出できるものであればよい。具体的には、280〜900nmの範囲が検出できるものであれば利用可能である。
励起光源11と検出器12との組を測定対象物質測定部14として捉え、参照光源13および検出器12の組を影響物質測定部15として捉えることもできる。また、蛍光測定部としての検出器12と、放射光測定部としての検出器12とを別々に設けてもよい。
励起光源11と検出器12、および参照光源13と検出器12とは、同期しており、検出器12が受光した光が、どの光源からの光を照射することによって得られたものであるかが判別可能になっている。
各光源から励起光または参照光を出射するタイミングは、ユーザが決定してもよいが、利便性を考慮して、測定装置10が備える制御部(不図示)によって制御されることが好ましい。励起光を出射するタイミングと、参照光を出射するタイミングとの間に大きな時間差があった場合には、その間にプローブの先端と測定部位70との位置関係がずれる可能性がある。そのため、励起光を出射するタイミングと、参照光を出射するタイミングとの時間間隔は短い方が好ましい。
また、励起光と参照光とを出射する順序は、参照光を出射した後に励起光が出射されるという順序であることが好ましい。本実施形態では、判定装置20において、参照光が測定部位70に照射されることによって得られる放射光の強度を示す測定結果と、被験者の表皮の厚みとを用いて、上記設定値が補正される。そのため、上記設定値が補正された励起光、すなわち、肌の色味および表皮の厚みに起因した励起光の強度の低下(減衰量)を補填した一定の強度を有する励起光を、被験者の測定部位70(真皮に含まれる測定対象物質)に照射するためには、上記出射順序であることが好ましい。
検出器12は、励起光源11から励起光が出射された後に蛍光を受光すると、当該蛍光の波長ごとの蛍光強度を測定し、その測定結果を示す蛍光データを判定装置20のデータ取得部42へ出力する。
また、検出器12は、参照光源13から参照光が出射された後に、当該参照光の照射によって発生した放射光の強度を測定し、その放射光の強度と、参照光源13から出射された参照光そのものの強度(反射率100%のときの強度)とから参照光の反射率を算出する。そして、検出器12は、当該反射率を示す放射光データをデータ取得部42へ出力する。
反射率100%の参照光の強度は、予め測定されており、記憶部23に記憶されていることが好ましい。ただし、この測定のタイミングは、放射光の強度を測定した後でもよく、影響物質由来低下度算出部51において励起光低下度および蛍光低下度が算出される前に行われればよい。
蛍光データおよび放射光データは、互いに対応付けられてデータ取得部42へ出力される。
なお、放射光が蛍光であり、その蛍光強度を用いて励起光低下度および蛍光低下度を算出する場合には、放射光データに蛍光強度を示す情報を含める。
上記のような測定装置10の構成により、肌内蛍光物質の蛍光強度を測定できるとともに、参照光を測定部位70に照射することで発生する放射光の強度を測定することができる。
以上のような測定装置10を用いて、測定対象の個体の肌から得られた肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の蛍光データを測定するとともに、肌内吸光物質(メラニン、ヘモグロビンなど)に関する複数の放射光データを得ることができる。これにより、判定装置20において、少なくとも放射光データを用いて、上記設定値および蛍光の強度のそれぞれを補正することができる。そしてその結果、精度良く肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)を検出することができる。
<判定装置20の構成>
判定装置20は、参照光の照射により得られた放射光データと、ユーザ入力によって取得した生物学的データを用いて、予め測定装置10において設定されている励起光の強度の設定値を補正する。また、上記設定値が補正された励起光を測定部位70に照射することにより測定された蛍光強度を示す蛍光データと、上記放射光データと、上記表皮厚みデータとを用いて、上記蛍光強度を補正する。そして、補正した蛍光強度を用いて、測定対象の個体の肌の状態を判定する。
判定装置20は、少なくとも上記設定値の補正を行う構成であればよい。この場合、上記設定値が補正された励起光を測定部位70に照射することにより測定された蛍光強度を用いて、測定対象の個体の肌の状態が判定される。
判定装置20と測定装置10とは、物理的に分離された個別の装置として実現されており、有線または無線により互いに通信可能に接続されている。判定装置20は、パーソナルコンピュータであってもよい。なお、測定装置10と判定装置20とを一体として実現してもよい。
この判定装置20は、表示部21、操作部22、記憶部23および主制御部(肌状態測定装置)30を備えている。
(表示部21)
表示部21は、判定部31の判定結果を表示する表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。
(操作部22)
操作部22は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス、入力ボタン等を含んでいる。
操作部22において、ユーザが生物学的データ(測定部位、性別、人種、年齢など)を、表皮厚みデータ取得部43に入力する。
(記憶部23)
記憶部23は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であり、測定データ、参照蛍光強度、ユーザ設定情報、統計的な表皮厚みデータなどの各種の情報を記憶する。
(主制御部30)
主制御部30は、制御プログラムを実行することにより、判定装置20の各部を制御するものである。主制御部30は、記憶部23に格納されている制御プログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、各種処理を実行する。
この主制御部30は、判定部31およびデータ解析部(肌状態測定装置)40を備えている。
(データ解析部40)
データ解析部40は、検出器12から出力された放射光データ、及び、操作部22において被験者(ユーザ)によって入力された生物学的データに基づいて、測定部位70に照射する励起光の強度の設定値を補正するものである。また、データ解析部40は、上記設定値が補正された励起光を照射したときに得られる蛍光データが示す蛍光の強度を、上記放射光データおよび上記生物学的データに基づいて補正する。
データ解析部40は、励起光強度補正部41、データ取得部42、表皮厚みデータ取得部43、蛍光強度補正部44および低下度算出部50を備えている。
(データ取得部42)
データ取得部42は、検出器12から出力された蛍光データ、放射光データを取得する。蛍光データは、励起光を測定部位70に照射することで発生する蛍光の測定結果を示すデータである。放射光データは、参照光を測定部位70に照射することで発生する放射光の強度を示す測定結果を示すデータである。なお、この測定結果は、例えば、検出器12において算出される参照光の反射率であってもよい。
データ取得部42は、受信した蛍光データが示す蛍光スペクトルに対してピークの分離・抽出などの解析を行い、特定のピーク波長における肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の蛍光強度を抽出する。そして、データ取得部42は、抽出した蛍光強度を示す抽出蛍光データを蛍光強度補正部44へ出力する。
また、データ取得部42は、受信した放射光データを低下度算出部50へ出力する。
さらに、データ取得部42は、例えば測定装置10に対する測定開始指示をトリガーとして、測定部位70に励起光が照射される前の、測定装置10において予め設定されている上記設定値を取得し、その設定値を示す設定値データを励起光強度補正部41に出力する。
(表皮厚みデータ取得部43)
表皮厚みデータ取得部43は、操作部22において被験者が入力した生物学的データ(測定部位、性別、人種、年齢など)を取得する。そして、表皮厚みデータ取得部43は、取得した生物学的データ(被験者による入力情報)と、記憶部23に予め格納された統計的な表皮厚みデータとを比較することにより、上記被験者の測定部位70における表皮の厚みを推定する。
統計的な表皮厚みデータとは、測定部位、性別、人種および年齢の組のそれぞれについて予め推定(設定)された健常者の表皮の厚みの統計値を示すデータである。例えば(測定部位、性別、人種、年齢)=(腕、女性、黄色人種、20〜30代)という組に対して、1つの表皮の厚みの統計値が紐付けて設定されている。
表皮厚みデータ取得部43は、上記推定した表皮の厚みを示す表皮厚みデータ(厚みデータ)を低下度算出部50へ出力する。
なお、表皮厚み由来低下度算出部52が表皮厚みデータを算出する構成の場合には、表皮厚みデータ取得部43は、操作部22を介して取得した生物学的データを、表皮厚み由来低下度算出部52に出力してもよい。
(低下度算出部50)
低下度算出部50は、測定部位における被験者の表皮に含まれる影響物質と、当該表皮厚みとに起因して低下する度合いを示す励起光低下度および蛍光低下度を算出するものである。この処理を行うために、低下度算出部50は、影響物質由来低下度算出部51と表皮厚み由来低下度算出部52とを備えている。
(影響物質由来低下度算出部51)
影響物質由来低下度算出部51は、上記励起光低下度として、参照光を測定部位70に照射することによって生体から放射される放射光の強度を示す測定結果を用いて、測定部位70に含まれると推定される影響物質により、測定部位70に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来励起光低下度を算出する。この場合、影響物質由来低下度算出部51は、影響物質由来励起光低下度を算出する影響物質由来励起光低下度算出部として機能する。
具体的には、影響物質由来低下度算出部51は、測定部位70に参照光を照射したときの放射光の強度に基づく放射光強度値を、放射光強度値と影響物質由来励起光低下度との関係を示す数式(検量線)に代入することにより、影響物質由来励起光低下度を算出する。
放射光強度値としては、放射光の強度、参照光の強度と放射光の強度とから算出される参照光の反射率もしくは吸光度、または、放射光の強度から推定される影響物質の濃度等が挙げられる。すなわち、放射光強度値とは、放射光の強度そのもの、または、放射光の強度から算出もしくは推定される影響物質の蓄積量に関連する値である。
この放射光強度値は、データ取得部42から得られる放射光データに含まれていてもよい。また、放射光データには測定された放射光の強度、または当該強度から算出された反射率が含まれており、影響物質由来低下度算出部51において、これらの値から上記吸光度、影響物質の濃度等が算出されてもよい。
また、影響物質由来励起光低下度とは、表皮に入射された励起光である入射光の強度に対する、その入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す励起光強度比を指す。透過光の強度は入射光の強度よりも低下するため、この励起光強度比は0より大きく1未満の値となる。
したがって、影響物質由来低下度算出部51は、参照光の照射により算出された放射光強度値を上記数式に代入することにより、励起光強度比としての影響物質由来励起光低下度を算出する。
また、影響物質由来低下度算出部51は、上記蛍光低下度として、上記放射光の強度を示す測定結果を用いて、測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来蛍光低下度を算出する。この場合、影響物質由来低下度算出部51は、影響物質由来蛍光低下度を算出する影響物質由来蛍光低下度算出部として機能する。
具体的には、影響物質由来低下度算出部51は、上記放射光強度値を、放射光強度値と影響物質由来蛍光低下度との関係を示す数式(検量線)に代入することにより、影響物質由来蛍光低下度を算出する。
影響物質由来蛍光低下度とは、上記蛍光の波長ピークを有する光が上記表皮に入射したときの入射光の強度に対する、その入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す蛍光強度比を指す。上述のように、透過光の強度は入射光の強度よりも低下するため、この蛍光強度比は0より大きく1未満の値となる。
したがって、影響物質由来低下度算出部51は、参照光の照射により算出された放射光強度値を上記数式に代入することにより、蛍光強度比としての影響物質由来蛍光低下度を算出する。
上記2つの数式は、予め記憶部23に格納されており、影響物質由来低下度算出部51は、記憶部23から上記数式を取得する。
そのために、影響物質由来低下度算出部51は、例えば、放射光データが示す参照光の反射率より当該参照光の吸光度を算出する。
参照光の吸光度は、下記(1)式により算出できる。
(吸光度)=log10(l/l) ・・・(1)
(1)式において、lは、反射率100%の場合の参照光の光強度であり、lは、参照光を測定部位70に照射することで発生した放射光(反射光)の光強度である。それゆえ、l/lは、反射率の逆数である。
また、各影響物質由来の励起光低下度および蛍光低下度をより精度良く求めるために、影響物質由来低下度算出部51は、影響物質の少なくとも1つについて、2種類以上の参照光を用いて当該影響物質由来の励起光低下度および蛍光低下度を算出することが好ましい。あるいは、ハロゲンやキセノン光源のようなブロードな波長域の光を照射して、発生した放射光(反射光)を分光して得られた、各波長の放射光(反射光)の光強度に基づいて算出される算出値(反射率または吸光度)(放射光強度値)を用いて、当該影響物質由来の励起光低下度および蛍光低下度を算出することが好ましい。
検出器12は、参照光を照射したときに得られた放射光の反射率を算出し、これらの反射率を示す放射光データを判定装置20へ出力する。
影響物質由来低下度算出部51は、このようにして得られた放射光データから、参照光の吸光度を上述のように算出し、影響物質の吸光度を算出する。
各影響物質由来の励起光低下度および蛍光低下度の算出方法として、多変量解析により当該励起光低下度および蛍光低下度を算出する方法が考えられる。その一例として、濃度既知の影響物質を用いた実験において、重回帰分析の一種である最小二乗法を用いた検量線の数式を算出する方法を挙げる。
具体的には、励起光低下度を算出するための数式として、互いに異なる濃度の影響物質を含む、複数種類の生体組織モデル(皮膚ファントムモデル)に対して、所定のピーク波長を有する励起光をそれぞれ照射したときの各生体組織モデルに対する励起光強度比と、各生体組織モデルに対して参照光を照射したときの各生体組織モデルに対する参照光の吸光度との関係を示す検量線を予め作成しておく。
また、蛍光低下度を算出するための数式として、上記複数種類の生体組織モデルに対して、測定対象物質に励起光を照射したときに生じると推定される蛍光のピーク波長を有する光をそれぞれ照射したときの、各生体組織モデルに対する蛍光強度比と、各生体組織モデルに対して参照光を照射したときの各生体組織モデルに対する参照光の吸光度との関係を示す検量線を予め作成しておく。
参照光を測定部位70に照射したときの吸光度を、上記検量線を示す数式に代入することにより、影響物質によって、測定対象物に照射される励起光の強度がどれだけ低下するかを示す励起光低下度、および、検出される蛍光の強度がどれだけ低下するかを示す蛍光低下度を算出することができる。
例えば、励起光低下度の算出の場合、生体組織モデルに含まれるメラニン量を変化させたときのメラニン吸光度と、当該生体組織モデルを励起光の波長ピークを有する光が透過したときの励起光強度比(または当該生体組織モデルを当該光が透過したときの透過光の強度)との間で検量線を引き、メラニン吸光度に応じた補正係数を得る。
ここでは一例として、指数近似で、下記(2)式に示す自然対数eを底とする近似曲線を引き、補正係数として得られたbの値を用いて補正する例を示す。なお、以下の励起光強度比は、メラニンの影響がない場合の励起光の強度を基準に算出している。
(メラニン吸光度に対する励起光強度比)
=exp{b×(メラニン吸光度)} ・・・(2)
つまり、メラニン由来の励起光低下度に対する上記設定値の補正を、下記(3)式を用いて行う。
(設定値の補正強度)
=(設定値)/exp{b×(メラニン吸光度)} ・・・(3)
一方、蛍光低下度の算出の場合も同様に、例えば、生体組織モデルに含まれるメラニン量を変化させたときのメラニン吸光度と、当該生体組織モデルを蛍光の波長ピークを有する光が透過したときの蛍光強度比(または当該生体組織モデルを当該光が透過したときの透過光の強度)との間で検量線を引き、メラニン吸光度に応じた補正係数を得る。
ここでは一例として、指数近似で、下記(4)式に示す自然対数eを底とする近似曲線を引き、補正係数として得られたbの値を用いて補正する例を示す。なお、以下の蛍光強度比は、メラニンの影響がない場合の蛍光の強度を基準に算出している。
(メラニン吸光度に対する蛍光強度比)
=exp{b×(メラニン吸光度)} ・・・(4)
つまり、メラニン由来の蛍光低下度に対する蛍光の強度(実測値)の補正を、下記(5)式を用いて行う。
(実測値の補正強度)
=(実測値)/exp{b×(メラニン吸光度)} ・・・(5)
上記方法以外にも、線形近似、対数近似、多項式近似などを用いてもよい。また、メラニン以外の影響物質の吸光度に基づく補正も同様に行うことができる。
影響物質由来低下度算出部51は、各影響物質由来の励起光低下度、すなわち、exp{b×(メラニン吸光度)}の値を算出し、算出した励起光低下度を励起光低下度データとして励起光強度補正部41へ出力する。また、影響物質由来低下度算出部51は、各影響物質由来の蛍光低下度、すなわち、exp{b×(メラニン吸光度)}の値を算出し、算出した蛍光低下度を蛍光低下度データとして蛍光強度補正部44へ出力する。
なお、影響物質由来低下度算出部51を影響物質ごとに設け、励起光低下度および蛍光低下度の算出を並行して行ってもよい。すなわち、第1影響物質(例えばメラニン)由来の上記2つの低下度を算出する第1影響物質由来低下度算出部、第2影響物質(例えばヘモグロビン)由来の上記2つの低下度を算出する第2影響物質由来低下度算出部、…第n影響物質由来の上記2つの低下度を算出する第n影響物質由来低下度算出部を設けてもよい。
また、影響物質由来低下度算出部51を低下度算出機能ごとに設けてもよい。すなわち、励起光低下度を算出する影響物質由来励起光低下度算出部と、蛍光低下度を算出する影響物質由来蛍光低下度算出部とを設けてもよい。
(表皮厚み由来低下度算出部52)
表皮厚み由来低下度算出部52は、上記励起光低下度として、測定部位70における表皮の厚みを示す表皮厚みデータを用いて、測定部位70における表皮により、測定部位70に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来励起光低下度を算出する。この場合、表皮厚み由来低下度算出部52は、表皮厚み由来励起光低下度を算出する表皮厚み由来励起光低下度算出部として機能する。
具体的には、表皮厚み由来低下度算出部52は、表皮厚みデータが示す表皮の厚みを、表皮の厚みと表皮厚み由来励起光低下度との関係を示す数式(検量線)に代入することにより、表皮厚み由来励起光低下度を算出する。表皮厚み由来励起光低下度とは、上述した励起光強度比を指す。
したがって、表皮厚み由来低下度算出部52は、生物学的データおよび統計的な表皮厚みデータから得られた被験者の表皮の厚みを上記数式に代入することにより、励起光強度比としての表皮厚み由来励起光低下度を算出する。
また、表皮厚み由来低下度算出部52は、上記蛍光低下度として、上記表皮厚みデータを用いて、測定部位70における表皮により、測定部位70に照射された蛍光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来蛍光低下度を算出する。この場合、表皮厚み由来低下度算出部52は、表皮厚み由来蛍光低下度を算出する表皮厚み由来蛍光低下度算出部として機能する。
具体的には、表皮厚み由来低下度算出部52は、表皮厚みデータが示す表皮の厚みを、表皮の厚みと表皮厚み由来蛍光低下度との関係を示す数式(検量線)に代入することにより、表皮厚み由来蛍光低下度を算出する。表皮厚み由来蛍光低下度とは、上述した蛍光強度比を指す。
したがって、表皮厚み由来低下度算出部52は、生物学的データおよび統計的な表皮厚みデータから得られた被験者の表皮の厚みを上記数式に代入することにより、蛍光強度比としての表皮厚み由来蛍光低下度を算出する。
上記2つの数式は、予め記憶部23に格納されており、表皮厚み由来低下度算出部52は、記憶部23から上記数式を取得する。
そのために、表皮厚み由来低下度算出部52は、例えば、上述した統計的な表皮厚みデータと被験者が入力した生物学的データとを用いて、被験者の測定部位における表皮の厚みを算出する。ただし、上記算出操作は、表皮厚みデータ取得部43において実施されても構わない。
表皮厚み由来低下度算出部52は、このようにして得られた被験者の表皮の厚みから、表皮厚み由来の励起光低下度および蛍光低下度を算出する。
表皮厚み由来の励起光低下度および蛍光低下度の算出方法として、多変量解析により当該励起光低下度および蛍光低下度を算出する方法が考えられる。その一例として、吸光度既知の光学フィルタを用いた実験において、重回帰分析の一種である最小二乗法を用いた検量線の数式を算出する方法を挙げる。
具体的には、励起光低下度を算出するための数式として、互いに異なる厚みの光学フィルタに対して、所定のピーク波長を有する励起光をそれぞれ照射したときの各光学フィルタに対する励起光強度比と、各光学フィルタの厚みとの関係を示す検量線を予め作成しておく。
また、蛍光低下度を算出するための数式として、互いに異なる厚みの光学フィルタに対して、測定対象物質に励起光を照射したときに生じると推定される蛍光のピーク波長を有する光をそれぞれ照射したときの、各光学フィルタに対する蛍光強度比と、各光学フィルタの厚みとの関係を示す検量線を予め作成しておく。
上記検量線は、ヒトの皮膚の吸収係数に近い光学フィルタを用いて作成されることが好ましい。例えば、ヒトの皮膚の吸収係数は、具体的には非特許文献1に示されているように、例えば365nmにピーク波長(照射波長)を有する光(励起光に相当)の場合には35〜50cm−1、460nmにピーク波長(照射波長)を有する光(測定対象物に励起光が照射されたときに生じる蛍光に相当)に対して15〜20cm−1となる。
そのため、例えば、励起光強度比を算出する場合には、35〜50cm−1の吸収係数を有する光学フィルタを用意し、蛍光強度比を算出する場合には、15〜20cm−1の吸収係数を有する光学フィルタを用意することが好ましい。
ただし、上記光学フィルタの吸収係数は一例であって、測定部位、性別、人種、年齢の組ごとに得られる統計的なヒトの皮膚の吸収係数を有する光学フィルタを用いて、様々なピーク波長を有する光を照射して上記検量線を予め作成しておくことがより好ましい。
上記表皮厚みデータを、上記検量線を示す数式に代入することにより、表皮の厚みによって、測定対象物質に照射される励起光の強度がどれだけ低下するかを示す励起光低下度、および、検出される蛍光の強度がどれだけ低下するかを示す蛍光低下度を算出することができる。
例えば、励起光低下度の算出の場合、吸光度既知の光学フィルタを用いて、光学フィルタの厚みと、当該光学フィルタを励起光の波長ピークを有する光が透過したときの励起光強度比(または当該光学フィルタを当該光が透過したときの透過光の強度)との間で検量線を引き、その光学フィルタの厚みに応じた補正係数を得る。
ここでは一例として、指数近似で、下記(6)式に示す自然対数eを底とする近似曲線を引き、補正係数として得られたdの値を用いて補正する例を示す。以下の励起光強度比は、光学フィルタの厚みの影響がない場合の励起光の強度を基準に算出している。なお、dは、モル吸光係数εとモル濃度cとを乗じた値である。
(光学フィルタに対する励起光強度比)
=exp{−ln10×d×(光学フィルタの厚み)} ・・・(6)
つまり、表皮厚み由来の励起光低下度に対する上記設定値の補正を、下記(7)式を用いて行う。
(設定値の補正強度)=(設定値)/
exp{−ln10×d×(表皮の厚み)} ・・・(7)
一方、蛍光低下度の算出の場合も同様に、例えば、吸光度既知の光学フィルタを用いて、光学フィルタの厚みと、当該光学フィルタを蛍光の波長ピークを有する光が透過したときの蛍光強度比(または当該生体組織モデルを当該光が透過したときの透過光の強度)との間で検量線を引き、その光学フィルタの厚みに応じた補正係数を得る。
ここでは一例として、指数近似で、下記(8)式に示す自然対数eを底とする近似曲線を引き、補正係数として得られたdの値を用いて補正する例を示す。以下の蛍光強度比は、光学フィルタの厚みの影響がない場合の蛍光の強度を基準に算出している。なお、dは、モル吸光係数εとモル濃度cとを乗じた値である。
(光学フィルタに対する蛍光強度比)
=exp{−ln10×d×(光学フィルタの厚み)} ・・・(8)
つまり、表皮厚み由来の蛍光低下度に対する蛍光(実測値)の補正を、下記(9)式を用いて行う。
(実測値の補正強度)=(実測値)/
exp{−ln10×d×(表皮の厚み)} ・・・(9)
上記方法以外にも、線形近似、対数近似、多項式近似などを用いてもよい。
表皮厚み由来低下度算出部52は、表皮厚み由来の励起光低下度、すなわち、exp{−ln10×d×(光学フィルタの厚み)}の値を算出し、算出した励起光低下度を励起光低下度データとして励起光強度補正部41へ出力する。また、表皮厚み由来低下度算出部52は、表皮厚み由来の蛍光低下度、すなわち、exp{−ln10×d×(光学フィルタの厚み)}の値を算出し、算出した蛍光低下度を蛍光低下度データとして蛍光強度補正部44へ出力する。
なお、表皮厚み由来低下度算出部52を低下度算出機能ごとに設けてもよい。すなわち、励起光低下度を算出する表皮厚み由来励起光低下度算出部と、蛍光低下度を算出する表皮厚み由来蛍光低下度算出部とを設けてもよい。
(励起光強度補正部41)
励起光強度補正部41は、低下度算出部50が算出した影響物質由来励起光低下度および表皮厚み由来励起光低下度を用いて、データ取得部42から出力された設定値データが示す設定値を補正する。
励起光強度補正部41における上記設定値の補正方法として、各影響物質の蓄積量及び表皮の厚みに応じて、影響物質由来励起光低下度および表皮厚み由来励起光低下度をそれぞれ規格化(特定の値を基準とした相対値として表現)し、上記設定値と規格化したこれらの励起光低下度との和や差をとる、あるいは積や商をとることが挙げられる。
励起光強度補正部41における補正の一例として、下記(10)式に示すように、上記設定値を、各影響物質の蓄積量(吸光度)及び表皮の厚みのそれぞれに対応する励起光強度比(低下度算出部50が算出した励起光低下度)で除算することで、測定対象物質を含む真皮に照射される励起光の強度の設定値を、所望の強度に近づける方法が挙げられる。なお、(10)式においてnは3以上の自然数である。
(補正強度)=(既定の励起光の強度(予め設定されている設定値))/(表皮由来の励起光強度比)/(メラニン由来の励起光強度比)/(ヘモグロビン由来の励起光強度比)/・・・/(第n影響物質由来の励起光強度比) ・・・(10)
励起光強度補正部41は、補正後の設定値を示す補正後励起光データを測定装置10に送信する。これにより、励起光源11は、補正後の設定値が示す光強度を有する励起光を測定部位70に照射することができる。
なお、影響物質由来低下度算出部51および表皮厚み由来低下度算出部52のいずれか一方が励起光低下度を算出し、その算出結果を励起光強度補正部41に出力する構成、すなわち影響物質由来励起光低下度算出部および表皮厚み由来励起光低下度算出部のいずれか一方の機能のみを備える構成であってもよい。
(蛍光強度補正部44)
蛍光強度補正部44は、低下度算出部50が算出した影響物質由来蛍光低下度および表皮厚み由来蛍光低下度を用いて、データ取得部42から出力された蛍光データ(抽出蛍光データ)が示す蛍光の強度を補正する。
蛍光強度補正部44における蛍光の強度の補正方法として、各影響物質の蓄積量及び表皮の厚みに応じて、影響物質由来蛍光低下度および表皮厚み由来蛍光低下度をそれぞれ規格化(特定の値を基準とした相対値として表現)し、蛍光の強度と規格化したこれらの蛍光低下度との和や差をとる、あるいは積や商をとることが挙げられる。
蛍光強度補正部44における補正の一例として、下記(11)式に示すように、実際に測定した蛍光の強度(実測値)を、各影響物質の蓄積量及び表皮の厚みのそれぞれに対応する蛍光強度比(低下度算出部50が算出した蛍光低下度)で除算することで、測定値を真値に近づける方法が挙げられる。なお、(11)式においてnは3以上の自然数である。
(補正強度)=(実測値)/(表皮由来の蛍光低下度)/(メラニン由来の蛍光低下度)/(ヘモグロビン由来の蛍光低下度)/・・・/(第n影響物質由来の蛍光低下度) ・・・(11)
蛍光強度補正部44は、補正した蛍光の強度(補正後蛍光強度と称する)を示す補正後蛍光データを記憶部23に格納するとともに、肌状態を判定することを命じる判定命令を判定部31へ出力する。
上述した各部のうち、励起光強度補正部41、データ取得部42、表皮厚みデータ取得部43および低下度算出部50の組を励起光補正用データ解析部45として捉え、データ取得部42、表皮厚みデータ取得部43、蛍光強度補正部44および低下度算出部50を蛍光補正用データ解析部46として捉えることもできる。
なお、判定装置20は、少なくとも上記設定値を補正し、補正後の励起光の照射によって生じる測定対象物質の蛍光の強度から、肌状態の判定を行う構成であってもよい。この場合、データ解析部40は、励起光補正用データ解析部45のみを備える(すなわち、蛍光強度補正部44を備えない)構成であってもよい。この場合、判定部31は、蛍光データをデータ取得部42から直接受信すればよい。
また、上述のように、影響物質由来低下度算出部51および表皮厚み由来低下度算出部52は、それぞれ影響物質由来蛍光低下度および表皮厚み由来蛍光低下度を算出している。そのため本実施形態では、蛍光強度補正部44は、これら2つの蛍光低下度を用いて蛍光の強度の補正を行っているが、これに限らず、いずれか一方の蛍光低下度を用いて蛍光の補正を行ってもよい。
この場合、影響物質由来低下度算出部51および表皮厚み由来低下度算出部52のいずれか一方が蛍光低下度を算出し、その算出結果を蛍光強度補正部44に出力する構成、すなわち影響物質由来蛍光低下度算出部および表皮厚み由来蛍光低下度算出部のいずれか一方の機能のみを備える構成であってもよい。
(判定部31)
判定部31は、蛍光強度補正部44が算出した補正後蛍光強度と、所定の参照値(参照蛍光強度と称する)とを比較した結果に基づいて肌の状態を判定する。
参照蛍光強度は、補正後蛍光強度を評価するための基準となる値である。例えば、参照蛍光強度は、予め年齢層ごとに算出された健常者の補正後蛍光強度の統計値(例えば、平均値)に基づいて算出された少なくとも1段階の値である。また、参照蛍光強度は、健常者の補正後蛍光強度の範囲であってもよい。
判定部31は、補正後蛍光強度が、参照蛍光強度よりも高い場合に、肌の状態は正常状態から外れていると判定する。参照蛍光強度を複数段階設け、正常、やや悪化、著しく悪化など、判定結果を複数段階出力してもよい。このような判定結果は、表示部21に表示される。
以上のような判定装置20を用いて、測定装置10に予め設定されている、測定対象の個体の肌に含まれる肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)に照射する励起光の強度の設定値を補正することができる。これにより、測定装置10は、個人差または測定部位70の相違によらず、肌内蛍光物質に対して一定の強度を有する励起光を照射することができるとともに、補正後の励起光を肌内蛍光物質に照射することができる。その結果、測定装置10において精度よく蛍光の強度を測定できるので、判定装置20において精度よく肌内蛍光物質の蓄積量を推定でき、ひいては精度よく肌の状態を判定することができる。
また、本実施形態の判定装置20は、上記設定値の補正に加え、蛍光の強度も補正できるので、さらに精度よく肌の状態を判定することができる。
<肌状態判定システム100における処理の流れ>
次に、肌状態判定システム100における処理の流れの一例について説明する。図2は、肌状態判定システム100(特に、判定装置20)における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、被験者(測定対象者)が、当該被験者の生物学的データ(測定部位、性別、人種、年齢など)を、操作部22を介して入力することにより、表皮厚みデータ取得部43は、当該生物学的データを取得する(S1)。表皮厚みデータ取得部43は、表皮厚みデータを算出し、算出された表皮厚みデータを低下度算出部50へ出力する。
次に、出射用光ファイバーおよび受光用光ファイバーで構成されるプローブの先端を、測定を所望する肌の箇所にあてる。参照光源13から影響物質の測定に適した参照光が出射されると、その参照光は、参照光出射用光ファイバーの先端から肌に出射される(参照光出射工程)。肌に含まれる影響物質(メラニン、ヘモグロビンなど)に参照光が照射されることによって、当該参照光が反射されるか、または蛍光が発せられる。この反射光または蛍光(放射光)は、受光用光ファイバーの先端から入射し、検出器12へと導かれる。
検出器12は、放射光を受光すると(放射光受光工程)、各放射光の波長に応じた反射率を測定し、その測定結果を示す放射光データを判定装置20のデータ取得部42へ出力する。
データ取得部42は、放射光データを受け取ると(S2)、受信した放射光データを低下度算出部50へ出力する。
ステップS1とステップS2との順序は逆でもよく、ステップS1とステップS2とが並行して行われてもよい。
低下度算出部50は、放射光データおよび表皮厚みデータを受信すると、影響物質由来低下度算出部51において、放射光データが示す反射率を用いて、各放射光の波長の吸光度を算出し、算出した吸光度から影響物質由来の励起光低下度および蛍光低下度を算出する(影響物質由来励起光低下度算出工程、影響物質由来蛍光低下度算出工程)。また、表皮厚み由来低下度算出部52において、表皮厚みデータを用いて、表皮厚み由来の励起光低下度および蛍光低下度を算出する(表皮厚み由来励起光低下度算出工程、表皮厚み由来蛍光低下度算出工程)(S3)。そして、低下度算出部50は、算出した影響物質由来励起光低下度および表皮厚み由来励起光低下度を励起光強度補正部41へ出力するとともに、算出した影響物質由来蛍光低下度および表皮厚み由来蛍光低下度を蛍光強度補正部44へ出力する。
励起光強度補正部41は、測定を所望する肌の箇所に照射する励起光の強度の設定値を、低下度算出部50から受信した上記2つの励起光低下度を用いて補正する(励起光補正工程)(S4)。
次に、励起光源11から肌内蛍光物質(好ましくは肌内AGEs)の測定に適した波長ピークを有する、上記設定値が補正された励起光(すなわち、補正後の光強度を有する励起光)が出射されると、その励起光は、励起光出射用光ファイバーの先端から肌(測定部位70)に出射される(励起光出射工程)。
肌に含まれる蛍光物質(好ましくはAGEs)に励起光が照射されることによって、蛍光が放射される。この蛍光は、受光用光ファイバーの先端から入射し、検出器12へと導かれる。
検出器12は、蛍光を受光すると(蛍光受光工程)、当該蛍光の波長ごとの蛍光強度を測定し、その測定結果を示す蛍光データを判定装置20のデータ取得部42へ出力する。
データ取得部42は、蛍光データを受け取ると(S5)、受信した蛍光データが示す蛍光スペクトルに対してピークの分離・抽出などの解析を行い、特定のピーク波長における肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の蛍光強度を抽出する(S6)。そして、データ取得部42は、抽出した蛍光強度を示す抽出蛍光データ(蛍光データ)を蛍光強度補正部44へ出力する。
蛍光強度補正部44は、データ取得部42から受信した抽出蛍光データが示す蛍光強度を、低下度算出部50から受信した上記2つの蛍光低下度を用いて補正する(蛍光強度補正工程)(S7)。
蛍光強度補正部44は、補正した蛍光強度を示す補正後蛍光データを記憶部23に格納するとともに、肌状態を判定することを命じる判定命令を判定部31に出力する。
判定部31は、記憶部23に格納された補正後蛍光データから肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の補正後蛍光強度を抽出する。
そして、判定部31は、抽出した補正後蛍光強度と、記憶部23に予め格納されている参照蛍光強度とを比較することにより肌状態の悪化の程度を判定する(判定工程)(S8)。
参照蛍光強度として、例えば、10代、20代といった年齢層ごとに、肌内蛍光物質(好ましくはAGEs)の補正蛍光強度の平均値が求められ、予め記憶部23に格納されている。測定対象のユーザの年齢は、予め記憶部23に格納されているか、または、測定時にユーザによって操作部22を介して入力される。
判定部31は、測定対象のユーザの年齢に対応する参照蛍光強度を記憶部23から読み出し、実測蛍光強度と比較する。例えば、判定部31は、実測蛍光強度が参照蛍光強度よりも高い場合、ユーザの肌の状態は悪いと判定する。
肌状態の判定を終えると、判定部31は、判定結果を表示部21へ出力し、表示部21にて表示させる(S9)。
なお、判定装置20は、上述のように、少なくとも影響物質由来励起光低下度および表皮厚み由来励起光低下度を算出して、肌の色味および表皮の厚みに起因した励起光の強度の低下(減衰量)を補填した一定の強度を有する励起光を照射できればよい。そのため、ステップS3が、影響物質由来励起光低下度を算出する影響物質由来励起光低下度算出工程と、表皮厚み由来励起光低下度を算出する表皮厚み由来励起光低下度算出工程とのみを含む構成であってもよい。
また、判定装置20は、上述のように、上記設定値の補正に加え、影響物質由来蛍光低下度および表皮厚み由来蛍光低下度のうち、少なくともいずれか一方を用いた蛍光強度の補正を行う構成であってもよい。この場合、ステップS3が、影響物質由来蛍光低下度を算出する影響物質由来蛍光低下度算出工程と、表皮厚み由来蛍光低下度を算出する表皮厚み由来蛍光低下度算出工程とのうち、少なくともいずれか一方を含む構成であってもよい。
なお、ステップS3におけるこれらの算出処理は、どのような順序で行われてもよい。
(第2蛍光強度補正工程)
上述の蛍光測定において、蛍光強度をより正確に測定するために、特定の基準物質に対して励起光を照射し、その蛍光を基準として蛍光強度を補正することが好ましい。
すなわち、本発明の一態様に係る肌状態測定方法に、基準物質から出射される標準となる蛍光を受光し、その蛍光の強度(リファレンス)を測定する標準蛍光測定工程と、上記標準蛍光測定工程において測定した蛍光の強度と所定の蛍光強度とを比較した結果に基づいて、上記蛍光データが示す蛍光の強度を補正する第2蛍光強度補正工程とを含めてもよい。所定の蛍光強度は、記憶部23に予め記憶されていればよい。
このような蛍光強度の補正を行うことにより、何らかの原因により、励起光源11の出力が低下したり、検出器12の検出感度が変化したりするなど、蛍光の検出に関わる部材に異常が生した場合に、その異常によって影響を受けた蛍光データを補正することができ、測定対象物質の測定精度(測定値の信頼性)を高めることができる。
リファレンスを用いて蛍光強度の補正を行う場合の計算例の一例として、例えば、所定の強度とリファレンスとの比を算出し、当該比を実測値(励起光の照射によって発生した蛍光の強度)または補正後蛍光強度にかけることが挙げられる。測定装置10が正常であれば、上記比が1となるように所定の強度が設定されており、その場合、上記演算によって実測値は変化しない。しかし、例えば、励起光源11の出力または検出器12の検出感度が低下した場合には、リファレンスが小さくなり、上記比は1より大きくなる。それゆえ、当該比を実測値にかけることによって実測値が増加し、励起光源11の出力等が低下した影響を打ち消すことができる。
第2蛍光強度補正工程における上述の演算は、蛍光強度補正部44に行わせてもよく、データ解析部40のその他の機能ブロック(図示しない第2蛍光強度補正部)に行わせてもよい。
第2蛍光強度補正工程は、検出器12が蛍光データに対して与える影響を除くためのものであるため、蛍光強度補正部44における蛍光強度の補正には影響を及ぼさない。そのため、第2蛍光強度補正工程は、蛍光強度補正部44における蛍光強度の補正より先に行われても、その後に行われてもよい。
また、上記基準物質として、励起光を長時間照射しても蛍光強度が低下しにくい物質を選択することが好ましい。このような基準物質として、ナノメータサイズの粒子を用いたナノ粒子蛍光体を用いることが好ましい。ナノ粒子蛍光体は、励起光を連続的に照射しても発生する蛍光の強度が低下しにくい。上記基準物質として蛍光ビーズを用いた場合には、励起光を連続的に照射すると次第に蛍光強度が低下していくという問題がある。
なお、ナノ粒子蛍光体は、ナノ粒子のサイズを調整することによって蛍光波長を調整できるものである。
また、上述のように基準物質に対して励起光を照射することで発生した蛍光の強度(リファレンス)を測定し、当該蛍光強度に基づいて励起光源11の出力または検出器12の感度を調整してもよい。この場合、例えば、リファレンスが基準値から低下した分だけ励起光源11の出力または検出器12の感度を上げることにより、リファレンスが基準値を示すように調整すればよい。この調整は、ユーザが手動で行ってもよく、判定装置20が自動的に行ってもよい。
(放射光強度補正工程)
また、参照光を所定の反射板(例えば、白色板)に照射することにより生じた反射光(リファレンス)を受光し(基準反射光受光工程)、受光した反射光の強度と所定の強度とを比較した結果に基づいて、放射光の強度を補正してもよい(放射光強度補正工程、第3補正工程)。
放射光強度補正工程では、参照光を所定の反射板に照射することにより生じた反射光をリファレンスとして利用して、第2蛍光強度補正工程における上述の演算と同様の方法で放射光データが示す放射光強度を補正する。
すなわち、例えば、所定の強度とリファレンスとの比を算出し、当該比を実測値(放射光の照射によって発生した放射光の強度)にかける。測定装置10が正常であれば、上記比が1となるように設定されている。参照光源13の出力や、検出器12の検出感度に異常がなければ、上記比は1となり、実測値は変化しない。逆に、例えば、参照光源13の出力が低下した場合には、リファレンスが小さくなり、上記比は1より大きくなる。それゆえ、当該比を実測値にかけることによって実測値が増加し、参照光源13の出力が低下した影響を打ち消すことができる。
放射光強度補正工程における上述の演算は、蛍光強度補正部44に行わせてもよく、データ解析部40のその他の機能ブロック(図示しない放射光強度補正部)に行わせてもよい。
また、上述のように参照光を所定の反射板に照射することにより生じた反射光の強度(リファレンス)を測定し、当該強度に基づいて参照光源13の出力、または検出器12の感度を調整してもよい。この場合、例えば、リファレンスが基準値から低下した分だけ参照光源13の出力または検出器12の感度を上げることにより、リファレンスが基準値を示すように調整すればよい。この調整は、ユーザが手動で行ってもよく、判定装置20が自動的に行ってもよい。
〔変形例〕
測定部位70における影響物質の濃度を、当該影響物質を検出するための参照光の吸光度から算出し、影響物質の濃度と上記励起光強度比との関係を示す検量線の式を用いて、影響物質由来励起光低下度を算出してもよい。同様に、影響物質の濃度と上記蛍光強度比との関係を示す検量線の式を用いて、影響物質由来蛍光低下度を算出してもよい。
また、参照光を照射することによって影響物質から放射される蛍光の強度と、測定対象物質の蛍光強度の減衰量あるいは増大量との関係を示す検量線の式を用いて、影響物質の蛍光強度から測定対象物質の蛍光強度の減衰量あるいは増大量を算出してもよい。
測定対象物質の蛍光スペクトルに影響物質のスペクトルが重なることにより、真値より蛍光強度が高くなる可能性がある。それゆえ、測定対象物質の蛍光強度の減衰量のみならず、蛍光強度の増大量についても考慮することが好ましい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
判定装置20の制御ブロック(特に主制御部30)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、判定装置20は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る肌状態測定装置(主制御部30、特にデータ解析部40)は、
280nm以上、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位(70)に照射することによって生じる、測定対象物質(例えばAGEs等の肌内蛍光物質)の蛍光の強度に基づいて肌状態を測定する肌状態測定装置であって、
280nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の強度を示す測定結果(放射光データ)を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質(例えばメラニンやヘモグロビン等)により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来励起光低下度を算出する影響物質由来励起光低下度算出部(影響物質由来低下度算出部51)と、
上記測定部位における表皮の厚みを示す厚みデータ(表皮厚みデータ)を用いて、上記測定部位における表皮により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来励起光低下度を算出する表皮厚み由来励起光低下度算出部(表皮厚み由来低下度算出部52)と、
上記影響物質由来励起光低下度算出部が算出した上記影響物質由来励起光低下度と、上記表皮厚み由来励起光低下度算出部が算出した上記表皮厚み由来励起光低下度とを用いて、上記設定値を補正する励起光強度補正部(41)と、を備えている。
上記の構成によれば、280nm以上、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位(例えば、腕の皮膚表面)に照射することによって、当該励起光を受けて蛍光を発する測定対象物質の蛍光が発生し、その蛍光の強度を測定することにより、当該測定対象物質の蓄積量を測定することができる。
このようにして照射する励起光の強度は、測定部位に含まれる影響物質(例えば、吸光物質)および表皮の影響により、十分な光強度を有する励起光を測定対象物質が含まれる真皮に照射できていない可能性が高い。そして、このような光強度を有する励起光を照射した結果得られる蛍光の強度は、真の値よりも低い値となっている可能性が高い。
そこで、影響物質由来励起光低下度算出部は、参照光を測定部位に照射することによって生じる放射光(反射光、散乱光または蛍光)の強度を示す測定結果を用いて、影響物質により、測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来励起光低下度を算出する。上記参照光は、280nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する光である。
また、表皮厚み由来励起光低下度算出部は、測定部位における表皮の厚みを示す厚みデータを用いて、測定部位における表皮により、測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来励起光低下度を算出する。
そして、励起光強度補正部は、算出された影響物質由来励起光低下度および表皮厚み由来励起光低下度を用いて、生体に照射される励起光の強度の設定値を補正する。このように励起光の強度の設定値を補正することで、肌状態測定装置は、被験者の相違(個人差)または測定部位の相違によらず、測定対象である被験者の真皮(すなわち、測定対象物質)に対して一定の強度を有する励起光を照射することができる。
また、このように補正された励起光の照射による蛍光データの測定を行うことが可能となるので、当該蛍光データが示す蛍光の強度も真の値に近づけることができる。それゆえ、肌状態測定装置は、精度よく蛍光の強度を測定することができる。
さらに、影響物質(吸光物質)による励起光低下度(影響物質由来励起光低下度)に加え、表皮の厚みによる励起光低下度(表皮厚み由来励起光低下度)を用いて励起光の強度の設定値を補正することにより、1つの励起光低下度を用いて補正を行う場合よりも当該補正の精度を高めることができる。
なお、励起光の照射位置と参照光の照射位置とを一致させることが好ましいが、完全に一致させる必要は必ずしもなく、参照光の照射位置は、励起光の照射位置の近傍であればよい。
さらに、本発明の態様2に係る肌状態測定装置では、上記態様1において、
上記影響物質由来励起光低下度及び上記表皮厚み由来励起光低下度は、上記表皮に入射された励起光である入射光の強度に対する、上記入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す励起光強度比であり、
上記励起光強度補正部は、上記設定値を、上記影響物質由来励起光低下度及び上記表皮厚み由来励起光低下度で除算することにより、上記設定値を補正してもよい。
上記影響物質由来励起光低下度及び上記表皮厚み由来励起光低下度は、上記入射光の強度に対する上記透過光の強度の割合を示す励起光強度比である。透過光の強度は入射光の強度よりも低下するため、励起光低下度は、(0より大きく)1未満の値となる。
上記の構成よれば、励起光強度補正部が、励起光の強度の設定値を、1未満の値である励起光強度比で除算して補正するので、影響物質および表皮の影響を受けて低下すると推定される励起光の強度の設定値を、予め(すなわち、蛍光の強度の測定前に)その推定される低下分だけ高く設定しておくことができる。そのため、影響物質および表皮の影響による励起光の強度の低下を防ぐことにより、被験者または測定部位の相違によらず一定の強度を有する励起光を被験者の真皮に照射することができる。
さらに、本発明の態様3に係る肌状態測定装置では、上記態様1または2において、
上記影響物質由来励起光低下度算出部は、上記測定部位に上記参照光を照射したときの放射光の強度に基づく放射光強度値を、上記放射光強度値と上記影響物質由来励起光低下度との関係を示す数式に代入することにより、上記影響物質由来励起光低下度を算出してもよい。
上記の構成によれば、上記放射光強度値を上記数式に代入するだけで、影響物質由来励起光低下度を算出することができる。すなわち、影響物質由来励起光低下度を、簡易にかつ精度よく算出することができる。なお、この数式は、予め算出された検量線である。
なお、放射光強度値としては、放射光の強度そのもの、または、放射光の強度に基づいて算出される参照光の反射率または吸光度などが挙げられる。
さらに、本発明の態様4に係る肌状態測定装置では、上記態様1から3のいずれかにおいて、
上記表皮厚み由来励起光低下度算出部は、上記厚みデータが示す表皮の厚みを、上記表皮の厚みと上記表皮厚み由来励起光低下度との関係を示す数式に代入することにより、上記表皮厚み由来励起光低下度を算出してもよい。
上記の構成によれば、上記表皮の厚みを上記数式に代入するだけで、表皮厚み由来励起光低下度を算出することができる。すなわち、表皮厚み由来励起光低下度を、簡易にかつ精度よく算出することができる。なお、この数式は、予め算出された検量線である。
さらに、本発明の態様5に係る肌状態測定装置では、上記態様1から4のいずれかにおいて、
上記放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来蛍光低下度を算出する影響物質由来蛍光低下度算出部と、
上記影響物質由来蛍光低下度算出部が算出した上記影響物質由来蛍光低下度を用いて、上記蛍光の強度を示す蛍光データを補正する蛍光強度補正部をさらに備えていてもよい。
上記波長範囲の励起光が測定対象物質に照射されると、当該測定対象物質から蛍光が発生するが、このようにして得られた蛍光の強度は、測定部位に含まれる影響物質により、真の値よりも低い値となっている可能性が高い。
そこで、蛍光強度補正部は、影響物質由来蛍光低下度算出部が算出した影響物質由来蛍光低下度を用いて、蛍光データを補正する。この場合、上記励起光の強度の設定値の補正に加え、上記影響物質による蛍光低下度(蛍光の減衰率)を考慮した蛍光の強度の補正を行うことができるので、上記設定値の補正のみを行う場合よりも、より真の値に近い蛍光の強度を得ることが可能となる。
さらに、本発明の態様6に係る肌状態測定装置では、上記態様5において、
上記影響物質由来蛍光低下度は、上記蛍光の波長ピークを有する光が上記表皮に入射したときの入射光の強度に対する、上記入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す蛍光強度比であり、
上記蛍光強度補正部は、上記蛍光の強度を、上記影響物質由来蛍光低下度で除算することにより、上記蛍光の強度を補正してもよい。
上記影響物質由来蛍光低下度は、上記入射光の強度に対する上記透過光の強度の割合を示す蛍光強度比である。透過光の強度は入射光の強度よりも低下するため、蛍光低下度は、(0より大きく)1未満の値となる。
上記の構成よれば、蛍光強度補正部が、蛍光の強度を、1未満の値である蛍光強度比で除算して補正するので、影響物質の影響を受けて低下すると推定される蛍光の強度を、その推定される低下分だけ高めることができる。
さらに、本発明の態様7に係る肌状態測定装置では、上記態様5または6において、
上記影響物質由来蛍光低下度算出部は、上記測定部位に上記参照光を照射したときの放射光の強度に基づく放射光強度値を、上記放射光強度値と上記影響物質由来蛍光低下度との関係を示す数式に代入することにより、上記影響物質由来蛍光低下度を算出してもよい。
上記の構成によれば、上記放射光強度値を上記数式に代入するだけで、影響物質由来蛍光低下度を算出することができる。すなわち、影響物質由来蛍光低下度を、簡易にかつ精度よく算出することができる。なお、この数式は、予め算出された検量線である。
さらに、本発明の態様8に係る肌状態測定装置では、上記態様1から7のいずれかにおいて、
上記厚みデータを用いて、上記測定部位における表皮により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来蛍光低下度を算出する表皮厚み由来蛍光低下度算出部と、
上記表皮厚み由来蛍光低下度算出部が算出した上記表皮厚み由来蛍光低下度を用いて、上記蛍光の強度を示す蛍光データを補正する蛍光強度補正部をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、蛍光強度補正部は、表皮厚み由来蛍光低下度算出部が算出した表皮厚み由来蛍光低下度を用いて、蛍光データを補正する。この場合、上記励起光の強度の設定値の補正に加え、上記表皮による蛍光低下度を考慮した蛍光の強度の補正を行うことができるので、上記設定値の補正のみを行う場合よりも、より真の値に近い蛍光の強度を得ることが可能となる。
さらに、本発明の態様9に係る肌状態測定装置では、上記態様8において、
上記表皮厚み由来蛍光低下度は、上記蛍光の波長ピークを有する光が上記表皮に入射したときの入射光の強度に対する、上記入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す蛍光強度比であり、
上記蛍光強度補正部は、上記蛍光の強度を、上記表皮厚み由来蛍光低下度で除算することにより、上記蛍光の強度を補正してもよい。
上記表皮厚み由来蛍光低下度は、上述したように、1未満の値である蛍光強度比である。
上記の構成よれば、蛍光強度補正部が、蛍光の強度を、1未満の値である蛍光強度比で除算して補正するので、表皮の影響を受けて低下すると推定される蛍光の強度を、その推定される低下分だけ高めることができる。
さらに、本発明の態様10に係る肌状態測定装置では、上記態様8または9において、
上記表皮厚み由来蛍光低下度算出部は、上記厚みデータが示す表皮の厚みを、上記表皮の厚みと上記表皮厚み由来蛍光低下度との関係を示す数式に代入することにより、上記表皮厚み由来蛍光低下度を算出してもよい。
上記の構成によれば、上記表皮の厚みを上記数式に代入するだけで、表皮厚み由来蛍光低下度を算出することができる。すなわち、表皮厚み由来蛍光低下度を、簡易にかつ精度よく算出することができる。なお、この数式は、予め算出された検量線である。
さらに、本発明の態様11に係る肌状態測定装置では、上記態様1から10のいずれかにおいて、
上記厚みデータは、被験者の表皮の厚みを推定するための当該被験者の生物学的データを用いて算出されてもよい。
上記の構成によれば、厚みデータは、上記被験者の生物学的データを用いて算出される。この生物学的データとは、例えば、被験者によって入力される、励起光を照射する測定部位、および、被験者の性別、人種、年齢が挙げられる。この生物学的データが示す各種情報に基づいて、当該被験者の測定部位における表皮の厚みが算出(推定)される。
これにより、肌状態測定装置が、表皮による影響を考慮して、少なくとも励起光の強度の設定値の補正を行うことができる。
さらに、本発明の態様12に係る肌状態測定方法は、
280nm以上、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度に基づいて肌状態を測定する肌状態測定装置における肌状態測定方法であって、
280nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来励起光低下度を算出する影響物質由来励起光低下度算出工程と、
上記測定部位における表皮の厚みを示す厚みデータを用いて、上記測定部位における表皮により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来励起光低下度を算出する表皮厚み由来励起光低下度算出工程と、
上記影響物質由来励起光低下度算出工程において算出した上記影響物質由来励起光低下度と、上記表皮厚み由来励起光低下度算出工程において算出した上記表皮厚み由来励起光低下度とを用いて、上記励起光の強度の設定値を補正する励起光強度補正工程と、を含んでいる。
上記の構成によれば、280nm以上、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって、当該励起光を受けて蛍光を発する測定対象物質の蛍光が発生し、その蛍光の強度を測定することにより、当該測定対象物質の蓄積量を測定することができる。
このようにして照射する励起光の強度は、測定部位に含まれる影響物質および表皮の影響により、十分な光強度を有する励起光を測定対象物質が含まれる真皮に照射できていない可能性が高い。そして、このような光強度を有する励起光を照射した結果得られる蛍光の強度は、真の値よりも低い値となっている可能性が高い。
そこで、参照光を測定部位に照射することによって生じる放射光(反射光、散乱光または蛍光)の強度を示す測定結果を用いて、影響物質により、測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来励起光低下度を算出する。上記参照光は、280nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する光である。
また、測定部位における表皮の厚みを示す厚みデータを用いて、測定部位における表皮により、測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来励起光低下度を算出する。
そして、上記のように算出した影響物質由来励起光低下度および表皮厚み由来励起光低下度を用いて、生体に照射される励起光の強度の設定値を補正する。このように励起光の強度の設定値を補正することで、肌状態測定装置は、被験者の相違(個人差)または測定部位の相違によらず、測定対象である被験者の真皮(すなわち、測定対象物質)に対して一定の強度を有する励起光を照射することができる。
また、このように補正された励起光の照射による蛍光データの測定を行うことができるので、当該蛍光データが示す蛍光の強度も真の値に近づけることができる。それゆえ、肌状態測定装置は、精度よく蛍光の強度を測定することができる。
さらに、影響物質による励起光低下度に加え、表皮の厚みによる励起光低下度を用いて励起光の強度の設定値を補正することにより、1つの励起光低下度を用いて補正を行う場合よりも補正の精度を高めることができる。
さらに、本発明の態様13に係る肌状態測定方法は、上記態様12において、
上記放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来蛍光低下度をさらに算出する影響物質由来蛍光低下度算出工程と、
上記励起光強度補正工程において上記設定値が補正された励起光を、上記測定部位に出射する励起光出射工程と、
上記励起光出射工程において出射した上記励起光が上記測定部位に照射されることによって生じる、上記測定部位に含まれる上記測定対象物質の蛍光を受光する蛍光受光工程と、
上記影響物質由来蛍光低下度算出工程において算出した上記影響物質由来蛍光低下度を用いて、上記蛍光受光工程において受光した上記蛍光の強度を示す蛍光データを補正する蛍光強度補正工程と、をさらに含んでいてもよい。
上記の構成によれば、設定値が補正された励起光が測定部位に照射され、その結果生じる測定対象物質の蛍光の強度を、影響物質由来蛍光低下度を用いて補正する。
そのため、上記設定値が補正された励起光を用いて、上記影響物質による蛍光低下度を考慮した蛍光の強度の補正を行うことができるので、上記設定値の補正のみを行う場合よりも、より真の値に近い蛍光の強度を得ることが可能となる。
さらに、本発明の態様14に係る肌状態測定方法は、上記態様12または13において、
上記厚みデータを用いて、上記測定部位における表皮により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来蛍光低下度を算出する表皮厚み由来蛍光低下度算出工程と、
上記励起光強度補正工程において上記設定値が補正された励起光を、上記測定部位に出射する励起光出射工程と、
上記励起光出射工程において出射した上記励起光が上記測定部位に照射されることによって生じる、上記測定部位に含まれる上記測定対象物質の蛍光を受光する蛍光受光工程と、
上記表皮厚み由来蛍光低下度算出工程において算出した上記表皮厚み由来蛍光低下度を用いて、上記蛍光受光工程において受光した上記蛍光の強度を示す蛍光データを補正する蛍光強度補正工程と、をさらに含んでいてもよい。
上記の構成によれば、設定値が補正された励起光が測定部位に照射され、その結果生じる測定対象物質の蛍光の強度を、表皮厚み由来蛍光低下度を用いて補正する。
そのため、上記設定値が補正された励起光を用いて、上記表皮厚みによる蛍光低下度を考慮した蛍光の強度の補正を行うことができるので、上記設定値の補正のみを行う場合よりも、より真の値に近い蛍光の強度を得ることが可能となる。
また、影響物質による蛍光低下度も考慮した蛍光の強度の補正を行う場合には、さらに真の値に近い蛍光の強度を得ることが可能となる。
さらに、本発明の態様15に係る肌状態測定方法は、上記態様13または14において、
標準となる蛍光を受光し、その蛍光の強度を測定する標準蛍光測定工程と、
上記標準蛍光測定工程において測定した蛍光の強度に基づいて、上記蛍光データが示す蛍光の強度を補正する第2補正工程と、をさらに含んでいてもよい。
上記の構成によれば、標準となる蛍光を受光することによって得られた測定値に基づいて、上記蛍光データが示す蛍光の強度が補正される。
それゆえ、何らかの原因により、蛍光を検出する検出器の感度が変化するなど、蛍光の検出に関わる部材に異常が生した場合に、その異常によって影響を受けた蛍光データを補正することができ、測定対象物質の測定精度を高めることができる。
なお、第2補正工程は、蛍光の検出器などの測定装置が測定値に対して与える影響を除くためのものであるため、吸光物質の影響を除くための第1補正工程(蛍光強度補正工程)における補正には影響を及ぼさない。そのため、第2補正工程は、第1補正工程より先に行われても、第1補正工程の後に行われてもよい。
さらに、本発明の態様16に係る肌状態測定方法は、上記態様12から15のいずれかにおいて、
上記参照光を所定の反射板に照射することにより生じた反射光を受光する基準反射光受光工程と、
上記基準反射光受光工程において受光した反射光の強度に基づいて、上記影響物質由来励起光低下度算出工程において用いる上記放射光の強度を補正する第3補正工程と、をさらに含んでいてもよい。
上記の構成によれば、参照光を所定の反射板(例えば、白色板)に照射することにより生じた反射光の強度に基づいて、反射光の強度が補正される。
それゆえ、何らかの原因により参照光の光出力が所定の強度から変化した場合や反射光を検出する検出器の感度が変化した場合に、その変化に応じて、影響物質由来励起光低下度算出工程において用いる放射光の強度を補正することができ、励起光の強度の設定値の補正精度を高めることができる。
その他、本発明の一態様に係る測定システム(肌状態判定システム100)は、上記の各態様に係る肌状態測定装置と、上記測定対象物質の蛍光の強度を測定する測定装置とを含む構成であってもよい。
さらに、本発明の各態様に係る肌状態測定装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記肌状態測定装置が備える各手段として動作させることにより上記肌状態測定装置をコンピュータにて実現させる肌状態測定装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
さらに、本発明の一態様に係る肌状態測定装置では、上記態様8において、
上記放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来蛍光低下度を算出する影響物質由来蛍光低下度算出部をさらに備え、
上記影響物質由来蛍光低下度および上記表皮厚み由来蛍光低下度は、上記蛍光の波長ピークを有する光が上記表皮に入射したときの入射光の強度に対する、上記入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す蛍光強度比であり、
上記蛍光強度補正部は、上記蛍光の強度を、上記影響物質由来蛍光低下度および上記表皮厚み由来蛍光低下度で除算することにより、上記蛍光の強度を補正してもよい。
上記の構成によれば、蛍光強度補正部が、蛍光の強度を、1未満の値である蛍光強度比で除算して補正するので、影響物質および表皮の影響を受けて低下すると推定される蛍光の強度を、その推定される低下分だけ高めることができる。
〔実験例〕
次に、肌内蛍光物質(特にAGEs)の蛍光測定において、参照光を用いて算出した影響物質の吸光度と、影響物質を含んだ表皮の厚みとを用いて、測定装置10において予め設定されている励起光の強度の設定値を補正し、その補正後の設定値で励起光を照射したときに発生する、肌内蛍光物質の蛍光の強度を補正することの有用性について説明する。本実験例では、皮膚ファントムモデルを用いた、メラニン量およびメラニンを含む層(メラニン層と称する)の厚みに依存したAGEs測定の実験結果について説明する。
<皮膚ファントムモデルの調製>
放射光データ及び表皮厚みデータによる上記設定値の補正および蛍光強度の補正が有用であることを示すために、皮膚ファントムモデルを作製し、蛍光強度測定および反射率測定を行った。図3は、皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量およびメラニン層の厚み依存AGEs測定実験の方法を説明するための図である。
図3に示すように、カップAに濃度既知のメラニンを、カップBに濃度既知の糖化コラーゲン(AGEs)を調製し、カップAの上面から励起光および参照光を照射し、蛍光および反射率データを取得した。
(カップAの調製)
皮膚ファントムモデルとしてのカップAは、寒天溶液(1.5g/100ml)にユーメラニンを所定量添加することで調製し、皮膚の表皮モデルとした。つまり、本実験例では、上記メラニン層の厚みは表皮モデル(カップA)の厚みを指す。なお、寒天はキシダ化学(株)の1級寒天末を用いた。また、ユーメラニンは、和光純薬工業(株)のユーメラニン,100%を用いた。
ユーメラニンは、主にチロシンやジヒドロキシフェニルアラニンから合成されるメラニン系色素の一種である。
上記試薬を用いて、メラニン量およびメラニン層の厚みのいずれかが異なる、下記の3種類の表皮モデルを用意した。
・条件(A)…メラニン量:0.20mg/ml,厚み:1mm
・条件(B)…メラニン量:0.10mg/ml,厚み:1mm
・条件(C)…メラニン量:0.20mg/ml,厚み:2mm
(カップBの調製)
糖化コラーゲン(AGEs)は、1/15Mリン酸緩衝液にコラーゲン(4.5g/dl)とグルコース(0.5M)とを混合させ、40℃に設定したインキュベータ内で90日間反応させることで調製し、皮膚の真皮モデルとした。
上記90日反応させた濃度固定の糖化コラーゲンAGEs(カップB)に対して、カップA(表皮モデル)のメラニン量および厚みを変化させることで、メラニン量およびメラニン層の厚み依存AGEs測定実験を行った。
<測定装置>
測定装置10を用いて、上記皮膚ファントムモデルに対して、蛍光測定および反射率測定を行った。
(光源)
AGEs蛍光測定用の励起光源として、365nmのLED光源を用いた。また、反射率測定用の参照光源として、660nm,880nmの2種類のLED光源を用いた。
(分光器)
検出器12としての分光器は、市販の小型の分光器を用いた。
<測定結果>
図4は、人工的に合成した糖化コラーゲン(AGEs)を用いた蛍光スペクトルを示す図である。すなわち、上記カップBに、365nmの光を照射したときに得られた蛍光スペクトルである。
同図では横軸に波長(nm)、縦軸に蛍光の強度(a.u.)を示している。波長460nmあたりの蛍光強度が、6036a.u.の値を示していることがわかる。この値を、AGEsの蛍光強度の真値とする。
図5は、図3に示した皮膚ファントムモデルを用いたメラニン量およびメラニン層(表皮層)の厚み依存AGEs測定実験における蛍光強度の補正前後の値を示すグラフである。図5に示すように、上記設定値も蛍光の強度も補正しない場合(予め設定された設定値が示す光強度を有する励起光(補正前の励起光)を照射して蛍光の強度を得た場合)には、メラニン濃度が高く、かつメラニン層の厚みが大きいほど、蛍光強度が減衰し、真値と異なる結果が得られていることがわかる。
例えば、同図の「条件(A)実測値(補正なし)」、「条件(B)実測値(補正なし)」、「条件(C)実測値(補正なし)」を参照すれば、条件(A)〜(C)のうち、メラニン量が最も多く、かつメラニン層の厚みが最も大きい「条件(C)」の蛍光強度が最も低く、真値から最もかけ離れた値となっている。
そこで、(1)660nmおよび880nmの波長の参照光を照射したときの反射率よりメラニンの吸光度を算出し、当該メラニンの吸光度を用いてメラニンによる上記設定値および蛍光強度を補正するとともに、(2)表皮モデルの厚みによる上記設定値および蛍光強度を補正した。
上記各波長の光における反射率のリファレンスとして、白色校正板を用意し、白色校正板に参照光を照射したときの反射光の光強度を反射率100%の光強度とした。
上記2種類の波長を有する参照光の照射で得られたメラニン吸光度を用いた補正は、下記(11)および(12)式に基づくものである。
は上記(2)式と同様の算出方法で、660nmおよび880nmの波長を有する参照光を照射したときに得られるメラニン吸光度(例えば660nmの参照光の吸光度と880nmの参照光の吸光度との差)について検量線を作成することで求まる補正係数である。また、bは、上記(4)式と同様の算出方法で、上記検量線を作成することで求まる補正係数である。
(設定値の補正強度)=(設定値)/exp{(b×メラニン吸光度)}
・・・(11)
(実測値の補正強度)=(実測値)/exp{(b×メラニン吸光度)}
・・・(12)
一方、表皮モデルの厚みを用いた補正は、下記(13)および(14)式に基づくものである。dは、上記(7)式と同様の算出方法で、表皮モデルの厚みについて検量線を作成することで求まる補正係数である。また、dは、上記(9)式と同様の算出方法で、上記検量線を作成することで求まる補正係数である。
(設定値の補正強度)=(設定値)/
exp{−ln10×d×(表皮の厚み)}・・・(13)
(実測値の補正強度)=(実測値)/
exp{−ln10×d×(表皮の厚み)}・・・(14)
そして、上記(11)および(13)式で求められた補正強度を用いて上記設定値を補正した後、上記(12)および(14)式で求められた補正強度を用いて蛍光の強度(上記実測値)を補正した結果が、図5に示す「条件(A)補正値」、「条件(B)補正値」および「条件(C)補正値」である。
図5に示すように、いずれの条件の場合も、上記(11)および(12)式に示すメラニンの影響を除くための補正に加え、上記(13)および(14)式に示す表皮の厚みの影響を除くための補正を行うことにより、一方だけの補正を行う場合よりも蛍光強度の補正の精度が高まることが分かる。
本発明は、肌状態に適した抗老化や抗糖化効果等の化粧品・医薬品の選択、肌のカウンセリング、あるいは化粧品・医薬品の有効性評価・モニタリング等、多面的に利用できる。
30 主制御部(肌状態測定装置)
40 データ解析部(肌状態測定装置)
41 励起光強度補正部
44 蛍光強度補正部
50 低下度算出部(影響物質由来励起光低下度算出部、影響物質由来蛍光低下度算出部、表皮厚み由来励起光低下度算出部、表皮厚み由来蛍光低下度算出部)
51 影響物質由来低下度算出部(影響物質由来励起光低下度算出部、影響物質由来蛍光低下度算出部)
52 表皮厚み由来低下度算出部(表皮厚み由来励起光低下度算出部、表皮厚み由来蛍光低下度算出部)
100 肌状態判定システム(肌状態測定装置)

Claims (5)

  1. 280nm以上、410nm以下の波長範囲にピークを有する励起光を生体の測定部位に照射することによって生じる、測定対象物質の蛍光の強度に基づいて肌状態を測定する肌状態測定装置であって、
    280nm以上、900nm以下の波長範囲にピークを有する参照光を上記測定部位に照射することによって上記生体から放射される放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来励起光低下度を算出する影響物質由来励起光低下度算出部と、
    上記測定部位における表皮の厚みを示す厚みデータを用いて、上記測定部位における表皮により、上記測定部位に照射された励起光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来励起光低下度を算出する表皮厚み由来励起光低下度算出部と、
    上記影響物質由来励起光低下度算出部が算出した上記影響物質由来励起光低下度と、上記表皮厚み由来励起光低下度算出部が算出した上記表皮厚み由来励起光低下度とを用いて、上記励起光の強度の設定値を補正する励起光強度補正部と、を備えることを特徴とする肌状態測定装置。
  2. 上記影響物質由来励起光低下度及び上記表皮厚み由来励起光低下度は、上記表皮に入射された励起光である入射光の強度に対する、上記入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す励起光強度比であり、
    上記励起光強度補正部は、上記設定値を、上記影響物質由来励起光低下度及び上記表皮厚み由来励起光低下度で除算することにより、上記設定値を補正することを特徴とする請求項1に記載の肌状態測定装置。
  3. 上記放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来蛍光低下度を算出する影響物質由来蛍光低下度算出部と、
    上記影響物質由来蛍光低下度算出部が算出した上記影響物質由来蛍光低下度を用いて、上記蛍光の強度を示す蛍光データを補正する蛍光強度補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の肌状態測定装置。
  4. 上記厚みデータを用いて、上記測定部位における表皮により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す表皮厚み由来蛍光低下度を算出する表皮厚み由来蛍光低下度算出部と、
    上記表皮厚み由来蛍光低下度算出部が算出した上記表皮厚み由来蛍光低下度を用いて、上記蛍光の強度を示す蛍光データを補正する蛍光強度補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の肌状態測定装置。
  5. 上記放射光の強度を示す測定結果を用いて、上記測定部位に含まれると推定される影響物質により、上記蛍光の強度が低下する度合いを示す影響物質由来蛍光低下度を算出する影響物質由来蛍光低下度算出部をさらに備え、
    上記影響物質由来蛍光低下度および上記表皮厚み由来蛍光低下度は、上記蛍光の波長ピークを有する光が上記表皮に入射したときの入射光の強度に対する、上記入射光が上記表皮を透過した光である透過光の強度の割合を示す蛍光強度比であり、
    上記蛍光強度補正部は、上記蛍光の強度を、上記影響物質由来蛍光低下度および上記表皮厚み由来蛍光低下度で除算することにより、上記蛍光の強度を補正することを特徴とする請求項4に記載の肌状態測定装置。
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