JP2013133550A - 全芳香族ポリアミド繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィラメントの糸切れを抑制するとともに、凝固張力を十分に抑制することで延伸性を向上させ、得られる繊維の品質の斑、特に糸条を構成するフィラメントの単糸繊度斑が抑制できる全芳香族ポリアミド繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】半乾半湿式法によって全芳香族ポリアミド繊維を製造するにあたって、表面粗度RSmが10〜100μmの範囲の凝固浴ローラーを用いる。
【選択図】なし
【解決手段】半乾半湿式法によって全芳香族ポリアミド繊維を製造するにあたって、表面粗度RSmが10〜100μmの範囲の凝固浴ローラーを用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は全芳香族ポリアミド繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、単糸繊度のばらつきが少なく、高品位な全芳香族ポリアミド繊維を半乾半湿式紡糸法において製造するための方法に関する。
全芳香族ポリアミド繊維のように重合度の高いポリマーを紡糸して繊維を得る方法としては、半乾半湿式紡糸法が広く採用されている。半乾半湿式紡糸法では、紡糸口金から一旦気体中に紡出した繊維束を凝固浴中に導入し、浴中で繊維束の進行方向を変換する工程を有するため、ガイドローラー(凝固浴ローラー)が用いられる。そして、このガイドローラー(凝固浴ローラー)によれば、その回転速度によってドラフトを施すことが可能となり、その結果、得られる凝固糸の延伸性や最終的に得られる繊維の品位に大きな影響を与えることができる。したがって、ガイドローラー(凝固浴ローラー)は、製糸工程において重要な設備の一つとなっている。
ところで、半乾半湿式紡糸法における高速化は、高い速度による凝固引取(可紡性の向上)、あるいは、高倍率での延伸(延伸性の向上)により達成することができる。ここで、高速による凝固引取を可能とする方法としては、例えば、凝固浴液の整流化による方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら本方法によれば、可紡性は向上できても延伸性の向上は不十分であった。
延伸性の向上にあたっては、凝固時の張力を減少させて凝固糸の残留伸度を向上する方法が検討されている。凝固張力を減少させる方法としては、例えば、凝固浴に用いるガイドローラー(凝固浴ローラー)を回転ローラーにする技術が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、かかる回転ローラーは、浴中で回転させるために凝固浴液面が波立ち、口金直下での糸切れを発生させていた。凝固張力を減少させるまた別の方法としては、凝固浴ガイドに円弧上に湾曲した丸棒を用いて、糸条を集束させる方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、当該方法による延伸性の向上効果は、いまだ満足できるレベルではなかった。
また、特許文献4には、表面粗さ(表面粗滑係数)が4〜20の範囲の固定ガイドを使用する繊維の製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献4に記載の方法は、凝固張力を抑制するには不十分であり、延伸性の向上には効果が不十分であった。
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィラメントの糸切れを抑制するとともに、凝固張力を十分に抑制することで延伸性を向上させ、得られる繊維の品質の斑、特に糸条を構成するフィラメントの単糸繊度斑が抑制できる全芳香族ポリアミド繊維の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、凝固浴ローラーの表面粗度RSmが特定範囲であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、半乾半湿式法によって全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法であって、表面粗度RSmが10〜100μmの範囲である凝固浴ローラーを用いる全芳香族ポリアミド繊維の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、フィラメントの糸切れを抑制しつつ、品質の斑、特に糸条を構成するフィラメントの繊度斑が抑制された高品位な全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<全芳香族ポリアミド>
本発明の製造方法が採用できる全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリアミドである。また、芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。
<全芳香族ポリアミド>
本発明の製造方法が採用できる全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリアミドである。また、芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。
このような全芳香族ポリアミドとしては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、テレフタル酸成分と3,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分およびパラフェニレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、テレフタル酸成分とフェニルベンゾイミダゾール骨格を有する芳香族ジアミン成分およびパラフェニジレンジアミン成分とが共重合されたコポリパラフェニレン・フェニルベンゾイミダゾール・テレフタルアミド等を挙げることができる。また、本発明の製造方法が採用できる全芳香族ポリアミドとしては、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法においては、半乾半湿式法において高機械的特性が発現する観点から、全芳香族ポリアミドを主成分とする繊維を製造することが好ましい。ここで、「主成分」とは、得られる全芳香族ポリアミド繊維全体に対して、50質量%より大きく100質量%の範囲であることを意味する。なお、本発明においては、パラ型芳香族ポリアミドが100質量%であることが特に好ましい。
さらに、本発明においては、機械的強度が特に優れていることから、ポリパラフェニレンテレフタルアミドまたはコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを用いることが好ましい。さらには、アミド系溶剤等に可溶であるため成形加工性に優れ、熱延伸を施すことにより強度や弾性率等の引張特性を著しく向上できることから、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドを用いることが最も好ましい。
<全芳香族ポリアミド繊維の製造方法>
本発明の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法は、いわゆる半乾半湿式法による繊維の製造方法において、凝固浴中のローラー表面粗度RSmを特定範囲とすることを特徴とする。
具体的には、全芳香族ポリアミド、および、溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調製し、調製した紡糸用溶液(ドープ)を口金を通して不活性気体中に吐出し、さらに貧溶媒からなる凝固液に浸漬させることにより糸条を形成するにあたって、凝固浴中で繊維束の進行方向を変換する凝固浴ローラーの表面粗度RSmを10〜100μmの範囲とする製造方法である。
本発明の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法は、いわゆる半乾半湿式法による繊維の製造方法において、凝固浴中のローラー表面粗度RSmを特定範囲とすることを特徴とする。
具体的には、全芳香族ポリアミド、および、溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調製し、調製した紡糸用溶液(ドープ)を口金を通して不活性気体中に吐出し、さらに貧溶媒からなる凝固液に浸漬させることにより糸条を形成するにあたって、凝固浴中で繊維束の進行方向を変換する凝固浴ローラーの表面粗度RSmを10〜100μmの範囲とする製造方法である。
[凝固浴ローラー]
(表面粗度RSm)
凝固浴ローラーの表面粗度RSmが10μm未満の場合には、凝固糸と凝固浴ローラーとの間で擦過が生じるため凝固浴中での単糸切れが発生する場合がある。凝固浴中で単糸切れが発生すると、最終的に得られる繊維の物性にばらつきが生じ、高品質の繊維を得ることが困難となる。
(表面粗度RSm)
凝固浴ローラーの表面粗度RSmが10μm未満の場合には、凝固糸と凝固浴ローラーとの間で擦過が生じるため凝固浴中での単糸切れが発生する場合がある。凝固浴中で単糸切れが発生すると、最終的に得られる繊維の物性にばらつきが生じ、高品質の繊維を得ることが困難となる。
一方で、凝固浴ローラーの表面粗度RSmが100μmを超える場合には、凝固糸と凝固浴ローラーとの接触長が長くなり、凝固浴ローラーから引き上げローラーまでの間で過度の張力が加わって糸条が延伸されてしまうため、形成された糸条の引張伸度が低下し、その結果、その後の熱延伸工程等において単糸切れが頻発してしまう。
よって、凝固浴中のローラーの表面粗度RSmは、10〜100μmの範囲とすることが必須であり、10〜80μmとすることがより好ましい。特に好ましくは20〜70μmの範囲である。
よって、凝固浴中のローラーの表面粗度RSmは、10〜100μmの範囲とすることが必須であり、10〜80μmとすることがより好ましい。特に好ましくは20〜70μmの範囲である。
(表面加工)
凝固浴ローラーの表面は表面仕上げ加工を施すことが好ましい。表面仕上げ加工の方法としては、例えば、セラミック溶射、ハードクロームメッキ、窒化クローム蒸着等が挙げられるが、汎用性の面から特にハードクロームメッキが好ましい。
凝固浴ローラーの表面は表面仕上げ加工を施すことが好ましい。表面仕上げ加工の方法としては、例えば、セラミック溶射、ハードクロームメッキ、窒化クローム蒸着等が挙げられるが、汎用性の面から特にハードクロームメッキが好ましい。
[紡糸用溶液(ドープ)]
全芳香族ポリアミド、および溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルカプロラクタム(NMC)等を挙げることができる。また、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。さらには、全芳香族ポリアミドの重合に用いた溶媒を、そのまま使用してもよい。
全芳香族ポリアミド、および溶媒を含む紡糸用溶液(ドープ)を調整する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
紡糸用溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルカプロラクタム(NMC)等を挙げることができる。また、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。さらには、全芳香族ポリアミドの重合に用いた溶媒を、そのまま使用してもよい。
また、繊維に機能性等を付与する目的で、添加剤等のその他の任意成分を配合することもでき、その他の任意成分は、紡糸用溶液(ドープ)の調整において導入することができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ドープに対してルーダーやミキサ等を使用して導入することができる。
なお、紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわち全芳香族ポリアミドの濃度は、1.0質量%以上10質量%以下の範囲とすることが好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が1.0質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため、紡糸に必要な粘度が得られず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が10質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加するため、紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により安定した紡糸が困難となりやすい。
なお、紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわち全芳香族ポリアミドの濃度は、1.0質量%以上10質量%以下の範囲とすることが好ましい。紡糸用溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が1.0質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため、紡糸に必要な粘度が得られず、紡糸時の吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が10質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加するため、紡糸時の吐出安定性が低下し、紡糸パック内の急激な圧上昇により安定した紡糸が困難となりやすい。
[口金]
紡糸に用いられる口金は、3000ホール以下のものが好ましく、より好ましくは2000ホール以下である。3000ホールを超える場合には、口金から吐出直後に密着を抑制することが困難であり、また、凝固浴中での均一な凝固が困難となることから、凝固して得られる糸条の繊度に斑が発現する場合があり、本願の目的を達成することが困難となる。なお、繊度に斑が発現すると、その後の熱延伸工程等において単糸切れが頻発する。
紡糸に用いられる口金は、3000ホール以下のものが好ましく、より好ましくは2000ホール以下である。3000ホールを超える場合には、口金から吐出直後に密着を抑制することが困難であり、また、凝固浴中での均一な凝固が困難となることから、凝固して得られる糸条の繊度に斑が発現する場合があり、本願の目的を達成することが困難となる。なお、繊度に斑が発現すると、その後の熱延伸工程等において単糸切れが頻発する。
[その他工程]
凝固液から糸条を引き上げた後は、公知の方法によって、最終的な全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。例えば、凝固浴中で凝固して形成した未延伸糸を水洗して溶媒を除去し、必要に応じて延伸して配向糸とし、さらに、乾燥工程等を経ることにより最終的な繊維を得る。
延伸の方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸のみならず、乾燥糸状態での加熱延伸等も行うことができる。延伸倍率については特に制限はないが、少なくとも6倍以上とすることが好ましく、8倍以上とすることがさらに好ましい。延伸倍率を制御することにより、得られる全芳香族ポリアミド繊維の伸度および強度を制御することができる。また、逐次延伸を採用すれば、延伸安定性を向上させることができる。
凝固液から糸条を引き上げた後は、公知の方法によって、最終的な全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。例えば、凝固浴中で凝固して形成した未延伸糸を水洗して溶媒を除去し、必要に応じて延伸して配向糸とし、さらに、乾燥工程等を経ることにより最終的な繊維を得る。
延伸の方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸のみならず、乾燥糸状態での加熱延伸等も行うことができる。延伸倍率については特に制限はないが、少なくとも6倍以上とすることが好ましく、8倍以上とすることがさらに好ましい。延伸倍率を制御することにより、得られる全芳香族ポリアミド繊維の伸度および強度を制御することができる。また、逐次延伸を採用すれば、延伸安定性を向上させることができる。
<全芳香族ポリアミド繊維>
[単糸繊度変動係数]
本発明の製造方法によれば、凝固浴から引き上げられた湿潤状態の糸条の単糸繊度ばらつき(単糸繊度斑)が小さいものとなる。このため、水洗・乾燥等を実施して最終的に得られる全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度ばらつき(単糸繊度斑)も小さいものとなる。
具体的には、本発明の製造方法によれば、単糸繊度ばらつき(単糸繊度斑)の指標となる繊度変動係数は、10.0%以下となる。好ましくは8.0%以下であり、より好ましくは5.0%以下である。
[単糸繊度変動係数]
本発明の製造方法によれば、凝固浴から引き上げられた湿潤状態の糸条の単糸繊度ばらつき(単糸繊度斑)が小さいものとなる。このため、水洗・乾燥等を実施して最終的に得られる全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度ばらつき(単糸繊度斑)も小さいものとなる。
具体的には、本発明の製造方法によれば、単糸繊度ばらつき(単糸繊度斑)の指標となる繊度変動係数は、10.0%以下となる。好ましくは8.0%以下であり、より好ましくは5.0%以下である。
なお、本発明における繊度変動係数は、最終的に得られた全芳香族ポリアミド繊維の糸条から任意の20本をサンプリングして単糸繊度を測定し、得られた単糸繊度の標準偏差を平均繊度で割った値をいう。繊度変動係数が10.0%を超える場合には、延伸時の単糸切れが多くなり、工程における断糸回数が多くなるのみならず、得られる全芳香族ポリアミド糸条の品位が低下する。
[単糸繊度]
本発明の製造方法を採用した場合の最終的に得られる全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度は、0.1〜2.0dtexであることが好ましい。単糸繊度が0.1dtex未満の場合には、紡糸口金での吐出安定性が低いため、長期のランニングをすることが困難となる。一方で、2.0dtexを超える場合には、単糸が太いために、その後の熱延伸工程等における糸切れに対して、本発明の効果が小さくなる。
本発明の製造方法を採用した場合の最終的に得られる全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度は、0.1〜2.0dtexであることが好ましい。単糸繊度が0.1dtex未満の場合には、紡糸口金での吐出安定性が低いため、長期のランニングをすることが困難となる。一方で、2.0dtexを超える場合には、単糸が太いために、その後の熱延伸工程等における糸切れに対して、本発明の効果が小さくなる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
実施例および比較例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
(1)繊度
JIS L1013に基づき、正量繊度のA法に準拠した測定を実施した。
JIS L1013に基づき、正量繊度のA法に準拠した測定を実施した。
(2)引張強度、引張伸度、弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片 :75cm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
(3)全芳香族ポリアミド糸条の単糸繊度変動係数
測定機としてDenier Computer(サ−チ株式会社製)を用いて、最終的に得られた全芳香族ポリアミド繊維の糸条から任意の20本をサンプリングし、以下の条件にて当該20本の単糸繊度を測定した。得られた単糸繊度の標準偏差を平均繊度で割った値を、繊度変動係数として求めた。
[測定条件]
試料長 :25mm
測定荷重 :0.1g/dtex
測定機としてDenier Computer(サ−チ株式会社製)を用いて、最終的に得られた全芳香族ポリアミド繊維の糸条から任意の20本をサンプリングし、以下の条件にて当該20本の単糸繊度を測定した。得られた単糸繊度の標準偏差を平均繊度で割った値を、繊度変動係数として求めた。
[測定条件]
試料長 :25mm
測定荷重 :0.1g/dtex
(4)凝固浴ローラーの表面粗度
表面粗さ測定器(小坂(株)製、商品名:サーフコーダSE−40D)を用い、JIS B0601の触針式表面粗さ測定の基準に準じて、粗さ曲線の算術平均高さRa、粗さ曲線の最大高さRz、粗さ曲線要素の平均長さRSmを得た。
表面粗さ測定器(小坂(株)製、商品名:サーフコーダSE−40D)を用い、JIS B0601の触針式表面粗さ測定の基準に準じて、粗さ曲線の算術平均高さRa、粗さ曲線の最大高さRz、粗さ曲線要素の平均長さRSmを得た。
<実施例1>
[全芳香族ポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)112.9部、パラフェニレンジアミン1.506部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.789部を、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド5.658部を添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明の粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5質量%の水酸化カルシウムを含有するNMPスラリー9.174部を添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、全芳香族ポリアミド溶液を得た。得られた全芳香族ポリアミドの極限粘度は、3.33であった。
[全芳香族ポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)112.9部、パラフェニレンジアミン1.506部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.789部を、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド5.658部を添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明の粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5質量%の水酸化カルシウムを含有するNMPスラリー9.174部を添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、全芳香族ポリアミド溶液を得た。得られた全芳香族ポリアミドの極限粘度は、3.33であった。
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
重合反応によって得られた全芳香族ポリアミド溶液をそのまま用い、ホール数1000の紡糸口金から、紡糸口金面と凝固浴との距離10mmのエアーギャップを介して、NMP水溶液(NMP濃度:30質量%)を凝固液とする凝固浴中に紡出して凝固させることにより、未延伸糸を得た(半乾半湿式法)。
このとき、ハードクロームメッキ加工を施した凝固浴ローラーを使用し、その表面粗度はRa=0.6μm、Rz=3.8μm、RSm=20.0μmのものを用いた。
引き続き、引き上げられた未延伸糸を水洗、乾燥し、次いで、温度530℃の熱板上で10倍に延伸することにより、最終的な全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた全芳香族ポリアミド繊維は、総繊度1670dtex、フィラメント数1000フィラメント、単糸繊度1.67dtex/フィラメントであった。得られた全芳香族ポリアミド繊維の各種物性、および、工程調子(24時間あたりの断糸回数)を、表1に示す。
重合反応によって得られた全芳香族ポリアミド溶液をそのまま用い、ホール数1000の紡糸口金から、紡糸口金面と凝固浴との距離10mmのエアーギャップを介して、NMP水溶液(NMP濃度:30質量%)を凝固液とする凝固浴中に紡出して凝固させることにより、未延伸糸を得た(半乾半湿式法)。
このとき、ハードクロームメッキ加工を施した凝固浴ローラーを使用し、その表面粗度はRa=0.6μm、Rz=3.8μm、RSm=20.0μmのものを用いた。
引き続き、引き上げられた未延伸糸を水洗、乾燥し、次いで、温度530℃の熱板上で10倍に延伸することにより、最終的な全芳香族ポリアミド繊維を得た。
得られた全芳香族ポリアミド繊維は、総繊度1670dtex、フィラメント数1000フィラメント、単糸繊度1.67dtex/フィラメントであった。得られた全芳香族ポリアミド繊維の各種物性、および、工程調子(24時間あたりの断糸回数)を、表1に示す。
<実施例2>
Ra=0.5μm、Rz=3.5μm、RSm=40.0μmの凝固浴ローラーを用いた以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド繊維を得た。結果を表1に示す。
Ra=0.5μm、Rz=3.5μm、RSm=40.0μmの凝固浴ローラーを用いた以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド繊維を得た。結果を表1に示す。
<比較例1>
Ra=0.4μm、Rz=2.9μm、RSm=7.0μmの表面粗度の凝固浴ローラーを用いた以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド繊維を得た。結果を表1に示す。
Ra=0.4μm、Rz=2.9μm、RSm=7.0μmの表面粗度の凝固浴ローラーを用いた以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド繊維を得た。結果を表1に示す。
<比較例2>
Ra=0.4μm、Rz=3.7μm、RSm=130.0μmの表面粗度の凝固浴ローラーを用いた以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド繊維を得た。結果を表1に示す。
Ra=0.4μm、Rz=3.7μm、RSm=130.0μmの表面粗度の凝固浴ローラーを用いた以外は、実施例1と同様に全芳香族ポリアミド繊維を得た。結果を表1に示す。
Claims (2)
- 半乾半湿式法によって全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法であって、表面粗度RSmが10〜100μmの範囲である凝固浴ローラーを用いる全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
- 前記凝固浴ローラーを回転させない請求項1記載の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
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