JP2013132687A - アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法 - Google Patents

アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013132687A
JP2013132687A JP2011286744A JP2011286744A JP2013132687A JP 2013132687 A JP2013132687 A JP 2013132687A JP 2011286744 A JP2011286744 A JP 2011286744A JP 2011286744 A JP2011286744 A JP 2011286744A JP 2013132687 A JP2013132687 A JP 2013132687A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing
powder
aluminum
rolling
brazing sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011286744A
Other languages
English (en)
Inventor
Masakazu Edo
正和 江戸
Hideyuki Miyake
秀幸 三宅
Tomotoshi Mochizuki
智俊 望月
Natsuki Yoneyama
夏樹 米山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Primetals Technologies Holdings Ltd
MA Aluminum Corp
Original Assignee
Mitsubishi Aluminum Co Ltd
IHI Corp
IHI Metaltech Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Aluminum Co Ltd, IHI Corp, IHI Metaltech Co Ltd filed Critical Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Priority to JP2011286744A priority Critical patent/JP2013132687A/ja
Publication of JP2013132687A publication Critical patent/JP2013132687A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

【課題】純アルミニウムを基材とするブレージングシートの製造を容易にする。
【解決手段】質量比でAlを99.5%以上含有し、残部が不可避不純物からなる冷間圧延アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、Siを5〜30%含有し、所望によりZnを0.1〜10%含有するAl−Si合金ろう材粉末または純Siろう材粉末の一方またはその両方からなるろう材粉末が非溶融のままバインダを含むことなく前記表面に圧着されているろう材層を有しており、ろう付時に残渣や有毒ガスの発生がなく、良好なろう付を行うことができるとともに、製品として使用する際には、熱伝導性や熱歪みの緩衝材としての機能を有するものとして好適に使用できる効果がある。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム材の表面にろう材粉末が配置されて、ろう付けに供されるアルミニウムブレージングシートとそれを用いたろう付構造体およびアルミニウムブレージングシートの製造方法に関するものである。
アルミニウム材のろう付には、材料表面にAl−Siろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートが一般的に使用されている。このブレージングシートは、ろう材合金からなるろう材シートを予め用意し、芯材となるアルミニウム合金材とろう材シートを熱間圧延で加圧圧着するクラッド圧延法にて製造されており、前記ろう材の融点以上の温度に加熱され、溶融したろう材が接合部に流動することで、ろう付継手が形成される。
現在、多くの分野で、JIS A3003合金に代表されるAl−Mn系合金に、Al−Si合金ろう材が貼り合されたブレージングシートが広く使用されているが、近年は熱交換器の用途や形状が多様化しており、ブレージングシートには従来以上に高い熱伝導性や熱歪みの緩衝材としての機能も求められており、高純度アルミニウムを芯材に用いたブレージングシートの提供が望まれている。
しかし、純アルミニウム材にAl−Si合金ろう材が貼り合わされたブレージングシートを通常の熱間圧着圧延で製造しようとすると、強度の低い純アルミニウム材と強度の高いろう材との延性差が非常に大きいため、クラッド圧延時に圧着不良が発生し、ブレージングシートの製造が困難となる。特に純度が99.9%以上の高純度アルミニウムを芯材に用いると、高温における芯材の延性が非常に高くなるため、熱間圧着圧延でのクラッド材の製造は不可能である。
また、冷間圧延時には圧延による加工硬化によって芯材とろう材の延性差がさらに増大するため、ろう材クラッド率が大きくばらつくなどの問題が発生する。特に純度が99.9%以上の高純度アルミニウムを芯材に用いた場合、冷間圧延率が増加すると、ろう材層に割れを生じ、ろう材層が存在しない部位を生じる場合がある。
また、クラッド材以外に粉末ろうをバインダなどとともに塗布する方法もあるが、ろう付時にバインダ残渣による接合不良や変色を招いたりする問題がある。
さらには、Al−Si合金ろう材箔を別途作製し、これを純Al材に組み合わせてろう付する方法もあるが、この方法は生産効率を低下させ、ろう付製品のコスト高を招く。
そこで、このような芯材とろう材との延性の差が大きく、通常の熱間圧着圧延が困難なブレージングシートを製造する方法として、粉末ろうを圧延ロールに通すことで基材に圧着した後、熱処理を加えて粉末ろうの密着力を向上する製造方法が示されている(特許文献1参照)。
特開2009-172619号公報
しかし、前記粉末ろうを芯材に塗布する製造方法は、芯材とろう材層の延性が大きいものでもブレージングシートの製造は可能であるが、ブレージングシートの切断ならびに加工時に粉末ろうが脱落しやすい問題がある。また、ろう付時も粉末ろう材の表面が酸化しやすいため、接合に有効な溶融ろうの生成や流動が阻害されやすい傾向がある。
その対策として、特許文献1に示される製造方法では、粉末ろうを圧着した後、加熱処理を行い、粉末ろう同士や基材との密着性を向上させているが、Al−Siろう材が溶融する577℃よりも低い温度の熱処理では状態は変化せず、密着性の改善効果は見られない。このため、特許文献1の製造方法では、熱処理に際し、Al−Siろう材の溶融が開始する577℃以上に昇温させることが必要である。しかし、577℃以上に昇温する熱処理を行うと、粉末ろうと基材の密着性は向上するが、熱処理時に芯材中にSiなどのろう材成分が拡散して、芯材とろう材の成分やクラッド率が変化するため、温度管理が非常に難しく、ブレージングシートとしての品質保証上問題を生じる。また、ろうが溶融した後のサンプルを冷間圧延すると、純Al芯材とろう材の延性差が大きいため、ろう材クラッド率が大きくばらつき、冷間圧延率がさらに増加すると、ろう材層に割れを生じ、表面にろう材層が存在しない部位を生じる場合もある。また、この熱処理工程はろう材層の酸化を防止するため、窒素ガスなどの非酸化雰囲気中で行うことも必要となり、設備や工程管理面からコストアップの要因となる。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、通常の熱間圧着圧延法で製造が困難な延性が高い純アルミニウムを芯材に用いたブレージングシートにおいても、ろう材粉末の密着性ならびにろう付性に優れ、低コストで安定した品質が得られるブレージングシートおよびそれを用いたろう付接合体を供給することを目的とする。
上記目的を達成するために、発明者らは、例えば、純アルミニウム基材にSiが重量比で5〜30%のAl−Si合金粉末あるいは純Si粉末を圧延ローラにより予備圧着した後、粉末ろうに熱処理を加えることなく、冷間圧延を実施することで、粉末ろうの密着性やろう付性に優れるブレージングシートが低コストで安定して製造可能なことを見い出した。
本製法であれば、アルミニウム基材とろう材の延性に差が大きいものでもクラッド材の作製が可能であり、従来にない高い熱伝導性を有するブレージングシートを提供することが可能となる。
この製造工程であれば、冷間圧延時も粉末ろうの粒子が予備圧着されている状態であるため、芯材の伸びに応じて、ろう材粉末が分散するため、安定したろう材厚さが得られる。
また、アルミニウム基材とろう材が冷間圧延工程を経ることでさらに強固に圧着されるため、ろう付時に溶融ろうを形成しやすく、バインダも使用しないため、ろう付残渣や有害なガスも発生しない。また、ろう材をAl粉やZn粉、Al−Zn合金粉末と混合することで、生成する溶融ろうの成分や流動性を制御したり、耐食性を向上させるなどの付加機能を付与することもできる。
すなわち、本発明のアルミニウムブレージングシートのうち、第1の本発明は、質量比でAlを99.5%以上含有し、残部が不可避不純物からなる冷間圧延アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、Siを含むろう材粉末がバインダを含むことなく、非溶融状態で前記表面に圧着されているろう材層を有することを特徴とする。
第2の本発明のアルミニウムブレージングシートは、前記第1の本発明において、前記ろう材粉末が、Siを5〜30%含有するAl−Si合金ろう材粉末または純Siろう材粉末の一方またはその両方からなることを特徴とする。
第3の本発明のアルミニウムブレージングシートは、前記第2の本発明において、前記Al−Si合金ろう材粉末が、さらに、Znを0.1〜10%含有することを特徴とする。
第4の本発明のアルミニウムブレージングシートは、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記ろう材粉末は、冷間圧延によって、アルミニウム基材の塑性変形とともに該アルミニウム基材に圧着されたものであることを特徴とする。
第5の本発明のアルミニウムブレージングシートは、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記冷間圧延アルミニウム基材の20℃におけるO材での耐力が35MPa以下であることを特徴とする。
第6の本発明のアルミニウムブレージングシートは、前記第1〜第5の本発明のいずれかにおいて、前記ろう材粉末が、さらに純Al粉末、純Zn粉末、Al−Zn合金粉末の1種または2種以上を含有する混合粉末であることを特徴とする。
第7の本発明のろう付構造体は、当該ろう付構造体の一部に前記本発明のいずれかのブレージングシートが使用され、前記ろう材層を介したろう付によって接合されていることを特徴とする。
第8の本発明のアルミニウムブレージングシートの製造方法は、質量比でAlを99.5%以上含有し、残部が不可避不純物からなるアルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、Siを含むろう材粉末を保持し、前記ろう材粉末を保持した前記アルミニウム基材を冷間圧延して該アルミニウム基材の表面に前記ろう材粉末を非溶融のままバインダを含むことなく圧着してろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを得ることを特徴とする。
第9の本発明のアルミニウムブレージングシートの製造方法は、前記第8の本発明において、前記ろう材粉末の保持は、前記アルミニウム基材の表面に前記ろう材粉末を付着させロールで圧下して予備圧着したものであることを特徴とする。
以下、本発明における限定の理由について説明する。
Al:99.5%以上
Alは純度が高くなるにつれて延性が高くなるため、ろう材との延性差が大きくなり、クラッド圧延が困難になる。このため、本発明では、通常のクラッド材の製造方法である熱間圧着圧延で製造が明らかに困難となるAl純度が99.5%以上の純アルミニウムをアルミニウム基材の材料として対象にする。Al純度が99.5%未満であれば、熱間圧着圧延法によるブレージングシートの作製が可能になる。
また、Alは高純度になるほど、熱伝導率が向上する。さらに、再結晶温度も著しく低下するため、熱歪み緩衝材としての機能も向上する。したがって、Al基材の純度が高ければ高いほど、前記性能上は向上することから、アルミニウムの純度は99.9%以上が望ましい。
不可避不純物
本発明のアルミニウム基材では、その他に不可避不純物を含み得る。代表的な不可避不純物としては、Fe、Siが挙げられる。本発明としては、その他微量な不可避不純物元素も含め、これらの総量が0.5%以下であればよい。
Al−Si合金ろう材粉末または純Siろう材粉末
本発明では、Siを含むろう材粉末が用いられ、Al−Si合金ろう材粉末と純Siろう材粉末の一方または両方が好適には用いられる。なお、Al−Si合金ろう材粉末には、質量比でSiを5〜30%含むろう材合金を用いることができる。Al−Si合金ろう材には、その他に、Znを0.1〜10%含有するものを用いることができる。
Al−Si合金ろう材は、上記Siや上記Znを含み、残部がAlと不可避不純物からなるものが例示される。
20℃におけるO材耐力が35MPa以下
本発明のアルミニウム基材は、強度が低いほど通常の熱間クラッド圧延での製造が困難となる。20℃におけるO材耐力が35MPaを超える純アルミニウム基材では、通常の熱間圧着圧延によるブレージングシートの作製も可能となり、一方、熱伝導度や熱歪み緩衝作用などの物性が著しく低下するため、アルミニウム基材の20℃におけるO材耐力を35MPa以下に規定した。20℃における基材のO材耐力は30MPa以下が望ましい。なお、O材とする焼きなましの熱処理条件は本発明としては特に限定されるものではないが、完全に再結晶が起こる250℃以上の温度で実施するのが望ましい。
混合粉末
本発明では、ろう材粉末に、さらに純Al粉末、純Zn粉末、Al−Zn合金粉末の1種または2種以上を含有するものであってもよい。これらの混合量は特に限定されるものではないが、他のSiを含むろう材粉末、例えばAl−Si合金ろう材粉末または純Siろう材粉末に対する重量比は50%以下が望ましい。
前記ろう材粉末(混合粉末の場合を含む)の大きさは、本発明としては特に限定されるものではないが、Al−Si合金粉末の場合は平均粒径が10〜100μm、純Si粉末の場合は平均粒径10μm以下を好適例として示すことができる。
Al−Si合金粉末は圧着圧延時に塑性変形し、固着力が増大するため、比較的粗大な粉末が望ましく、微細になりすぎると表面積が増大し、ろう付性が低下する。一方、純Si粉末は圧着圧延時に塑性変形しないため、微細なほどアルミニウム基材との密着性が向上する。また、粗大なSi粉末が存在すると、ろう付時に顕著なろう侵食が発生するため、Si粉末の粒径は微細なほど好ましい。
ろう材粉末の保持
本発明の好適な製造方法では、質量比でAlを99.5%以上含有し、残部が不可避不純物からなるアルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、Siを含むろう材粉末が保持されて冷間圧延が施される。
ろう材粉末の保持方法は本発明としては特に限定されるものではなく、塗布などにより行うことも可能であるが、安定した保持のためにはローラを用いた予備圧着が望ましい。予備圧着によってろう材粉末が安定して保持され、その後の冷間圧延時にろう材粉末が圧延ロールに付着したり、脱落することなく、圧延によって均一に拡がるため、均質な状態のろう材層が得られやすくなる。なお、予備圧着で一度に大きな圧下を加えると、粉末ろう材が局所的に芯材に圧入され、ろう材層の厚みにバラツキを生じやすくなるため、予備圧着時はあまり高圧下とせず、圧延率を35%以下とすることが望ましい。
冷間圧延
ろう材粉末を予備圧着したままでは特にろう材表層部における基材への粉末の密着性が低く、ブレージングシートを切断ならびに成形加工する際に粉末ろうの脱落が問題となる。粉末ろうをアルミニウム基材表面に保持した状態で、冷間圧延を実施すると粉末の密着性が向上し、加工時の脱落が著しく低減する。また、ろう付時に粉末ろう表面の酸化を抑制し、溶融ろうが生成しやすくなるという効果もある。さらに、Siを含む粉末ろう材、特には純Siを粉末ろうとして用いた場合、熱処理時にSiがAl基材中に拡散することで溶融ろうが形成されるが、冷間圧延により基材とろう材粉末の密着性が向上するため、溶融ろうが非常に生成しやすくなり、未反応ろう材粉末の低減やろう付性向上効果を得ることができる。
なお、冷間圧延率が高いほど優れた効果が得られるが、密着性向上のためには圧延率50%以上の冷間圧延を、さらに良好な密着性を得るには圧延率75%以上の冷間圧延を実施するのが望ましい。
また、ろう材粉末は、上記冷間圧延に先だって、圧延ロールによってアルミニウム基材に圧着させてアルミニウム基材に保持させたものとすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、質量比でAlを99.5%以上含有し、残部が不可避不純物からなる冷間圧延アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、Siを含むろう材粉末が非溶融のままバインダを含むことなく前記表面に圧着されているろう材層を有するので、ろう付時に残渣や有毒ガスの発生がなく、良好なろう付を行うことができる。
本発明の一実施形態におけるアルミニウムブレージングシートの製造工程を示す図である。 同じく、ろう材粉末が圧着されたアルミニウムブレージングシートの概念図を示すものである。 ろう材層がクラッドされた従来のアルミニウムブレージングシートの概念図を示すものである。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明のブレージングシートを製造する工程を示すものであり、粉末ろうの予備圧着圧延装置1の概略および冷間圧延装置10の概略が示されている。
予備圧着圧延装置1はクラッド層形成用ろう粉末2を貯蓄するホッパ2a、2bと、ホッパ2a、2bからクラッド層形成用ろう材粉末2を後述する圧延ローラ5a、5bの周面に供給する供給配管3a、3bと、供給されたクラッド層形成用ろう材粉末2とアルミニウム基材100とを圧延する圧延ローラ5a、5bと、圧延ローラ5a、5bの周面に供給されたクラッド層形成用ろう粉末の圧延ローラ間への供給量を調節する調節ローラ4a、4bと、圧延後のブレージングシート中間品110を巻き取る回収ローラ7とを有する。図中6は、方向転換ローラである。
クラッド層形成ろう材粉末2としては、Siを5〜30%含有し、残部が不可避不純物からなるAl−Si合金ろう材粉末または純Siろう材粉末が好適に用いられる。
また、前記ろう材粉末として、純Al粉末、純Zn粉末、Al−Zn合金粉末の内1種または2種以上を含有する混合粉末も適用可能であり、その場合は事前に上記粉末を最適な比率で混合し、圧延に供することで、ろう材成分の調整が容易になり、成分の偏りも防止することができる。
圧延ローラ5a、5bは、供給配管3a、3bの下方に一対となって設けられる。また、圧延ローラ5a、5bは互いの周面が所定の間隔で平行対峙するように配置される。そして、圧延ローラ5a、5bは回転駆動機構によって回転することにより、所定の加圧力を付与し、圧延ローラ5a、5b間に挿入されるアルミニウム基材10とクラッド層形成用ろう材粉末2を予備圧着圧延する構造となっている。
調節ローラ4a、4bは、軸方向長さが、圧延ローラ5a、5bの軸方向全長に渡り、圧延ローラ5a、5bの周面上方に設けられる。調節ローラ4a、4bは、調節ローラ4a、4bと圧延ローラ5a、5bとの互いの周面が所定の間隔で対峙するように配置される。そして、調節ローラ4a、4bを所定の速度で回転させることで、圧延ローラ5a、5b間へのクラッド層形成用ろう材粉末2の供給量を調節する機構となっている。
冷間圧延装置10は、予備圧着圧延装置1で製造されたブレージングシート中間品110を冷間圧延してブレージングシート120を得るものである。冷間圧延装置10には、ブレージングシート中間品110を冷間圧延する圧延ローラ11、12が対峙して設置されており、該圧延ローラ11、12間にブレージングシート中間品110を通して該ブレージングシート中間品110を所定の圧下率で圧下する。
続いて、予備圧着圧延装置1の動作を説明するとともに、本発明ブレージングシートの製造方法について述べる。
予備圧着圧延装置1は、ホッパ2a、2bに貯蔵されたクラッド層形成用ろう粉末2を供給配管3a、3bに供給し、当該供給配管3a、3bを介してクラッド層形成用ろう粉末2を圧延ローラ5a、5aの周面に連続的に供給する。
圧延ローラ5a、5bの周面に供給されたクラッド層形成用ろう粉末2は圧延ローラ5a、5bの周面と所定の間隔で回転駆動する調節ローラ4a、4bによって、一定の厚さに調整されることによって供給量が制御され、圧延ローラ5a、5bの周面に供給される。
そして、圧延ローラ5a、5bの周面に供給されたクラッド層形成用ろう粉末2は圧延ローラ5a、5bの回転駆動によって圧延ローラ5a、5bの間に上方から下方へ挿通されて搬送されるシート状のアルミニウム基材100と圧延され、コイル状に巻き取られる。当該圧延によって、クラッド層形成用ろう粉末2はアルミニウム基材100の表面に固着されてアルミニウム基材100の両面にそれぞれ、ろう材層101、102が形成されてブレージングシート中間品110が回収ローラ7に巻き取られた状態で得られる。なお、アルミニウム基材100は、アルミニウム純度が99.5%以上の純アルミニウムで構成されている。
その後、回収ローラ7に巻き取られたブレージングシート中間品110を圧延ローラ11、12の上流側に設置し、該圧延ローラ11、12間にブレージングシート中間品110を挿通して、好適には50%以上の圧下率で圧延し、回収ローラ13に本発明のブレージングシート120として巻き取る。冷間圧延を実施することにより、ろう材層101、102のアルミニウム基材100への密着力を高めたり、粉末ろう材同士のすき間をなくすことで良好なクラッド材が形成される。
上記ブレージングシート120の断面顕微鏡写真の模式図を図2(a)(b)に示す。
図2(a)は、ろう材粉末としてAl−Si合金粉末を用いたものである。アルミニウム基材の表面に、一様にAl−Si合金粉末ろう材層が形成されている。ろう材粉末は、冷間圧延によってアルミニウム基材側に強く密着しており、一部に塑性変形が見られる。図2(b)は、ろう材粉末としてSi粉末を用いたものである。アルミニウム基材の表面に、一様にSi粉末ろう材層が形成されている。ろう材粉末は、冷間圧延によって塑性変形することなくアルミニウム基材側に強く密着している。
図3は、従来の熱間圧延および冷間圧延によって作製したブレージングシートを示すものである。アルミニウム基材上にろう材層が形成されてアルミニウム基材に圧着している。ただし、アルミニウム基材はアルミニウムが99.5質量%未満となっており、これよりもアルミニウム純度が高いと、熱間圧延、冷間圧延による製作が困難になる。
なお、本発明のブレージングシートはいずれの板厚にも適用可能であるが、特に板厚1mm以下のブレージングシート(全厚)の製造に好適に用いることができる。
以上、本発明に好適な実施形態の一例を示したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、ろう材の付与についても基材の片面のみ、あるいは両面に形成する構成としても良く、両面に異なる成分の粉末ろう材層を形成しても良い。
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1、2に示す組成(残部がその他の不可避不純物)のアルミニウム基材と、同じく表1、2に示すろう材粉末とを用意し、前記実施形態の粉末ろう予備圧着圧延法により、アルミニウム基材の両面にろう材層を形成したブレージングシートを作製した。ろう材粉末の予備圧着圧延は室温(20℃)で実施し、アルミニウム基材の両面に同じ厚さで付与されるように調整を行った。予備圧着圧延では、ろう材粉末が幾らかは圧下される程度に圧延した。したがって、圧延率は25%よりも小さくなっている。
アルミニウム基材にろう材粉末が予備圧着された中間品サンプルは、その後、各種圧延率で冷間圧延を実施し、板厚1mmのブレージングシートのサンプルとした。ろう材粉末層の厚さは、1mmの全板厚に対して、両面ともクラッド率3%(厚さ0.03mm)狙いとした。
(基材の20℃におけるO材の耐力測定方法)
表1に示した各種基材合金について、焼鈍により質別をO材とした板厚1mmのサンプルを準備し、JIS5号試験片にて室温20℃で引張試験を実施した。引張試験で得られた応力−歪み線図から、各基材の0.2%耐力を求め、表1に示した。
(クラッド圧延性の評価)
クラッド圧延性は前記粉末ろう予備圧着圧延法にて、下記評価基準にて評価を行なった。
また、比較例ならびに参考例として、従来の粉末ろう予備圧着圧延法や通常実施される熱間圧着圧延法で作製したサンプルにおける評価結果も表1、2に合せて記載した。
○:クラッド圧延可能
△:クラッド圧延はできたが、一部でろう材の剥離や圧着不良が発生
×:クラッド圧延不可
(クラッド率の安定性)
ろう材粉末の予備圧着そのまま又は熱処理後、もしくは熱間クラッド圧延実施後に、各種圧延率で冷間圧延を実施し、任意部について断面観察を実施し、ろう材クラッド率の状態を観察した。ろう材クラッド率の最大値と最小値を測定し、以下の判定基準により評価を実施した。評価結果は表1、2に示した。
○:最大クラッド率と最小クラッド率の差4%未満
△: 〃 4〜6%未満
×: 〃 6%以上
(粉末ろうの密着性)
作製したブレージングシートのサンプルをハンドシャーにて切断し、切断面近傍の粉末ろうの剥離状態を以下の判定基準により評価を実施した。評価結果は表1、2に示した。
◎:切断面で粉末ろうの剥離なし
○:切断面のごくわずかの部位で剥離が発生(品質上問題ないレベル)
△:切断面の半分程度で剥離が発生
×:切断面全域にわたり剥離が発生
(アルミニウム基材の熱伝導率測定)
表1、2に示した各種基材合金について、焼鈍により質別をO材とした板厚1mmのサンプルを用いて、室温20℃における熱伝導度を求めた結果を表1、2に示す。
本発明の実施例No.1〜15では、純アルミニウム基材を用いても、クラッド圧延が可能であり、安定したクラッド率が得られた。また、通常のJIS A 3003合金を使用したブレージングシートに比べ、著しく熱伝導性が向上する結果が得られた。
一方、アルミニウム基材の成分が、本発明の範囲外である比較例No.16〜19や参考例No.28〜33は、純アルミニウム基材に比べ、熱伝導率が低かった。
さらに、粉末ろう圧着圧延後に熱処理を加え、粉末ろうを溶融させて密着性を高めた後、冷間圧延を行った比較例No.20〜23では、ろう材クラッド率のバラツキが非常に大きくなった。また、純アルミニウム基材を使用して通常の熱間圧延圧着法でブレージングシートを作製した参考例No.22〜27は、いずれも圧着不良が発生し、ブレージングシートの製造が出来なかった。
以上のように、本発明の実施例では、純アルミニウムを基材に用いた熱伝導性に優れるブレージングシートの作製が可能であったが、比較例や参考例ではブレージングシートの作製で不具合を生じ、性能上も熱伝導率の低下が見られた。
Figure 2013132687
Figure 2013132687
1 予備圧着圧延装置
2 クラッド層形成用ろう粉末
10 冷間圧延装置
100 アルミニウム基材
101 ろう材層
102 ろう材層
110 ブレージングシート中間品
120 ブレージングシート

Claims (9)

  1. 質量比でAlを99.5%以上含有し、残部が不可避不純物からなる冷間圧延アルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、Siを含むろう材粉末が非溶融のままバインダを含むことなく前記表面に圧着されているろう材層を有することを特徴とするアルミニウムブレージングシート。
  2. 前記ろう材粉末が、Siを5〜30%含有するAl−Si合金ろう材粉末または純Siろう材粉末の一方またはその両方からなることを特徴とする請求項1記載のアルミニウムブレージングシート。
  3. 前記Al−Si合金ろう材粉末が、Znを0.1〜10%含有することを特徴とする請求項2記載のアルミニウムブレージングシート。
  4. 前記ろう材粉末は、冷間圧延によって、アルミニウム基材の塑性変形とともに該アルミニウム基材に圧着されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウムブレージングシート。
  5. 前記冷間圧延アルミニウム基材の20℃におけるO材での耐力が35MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブレージングシート。
  6. 前記ろう材粉末が、さらに純Al粉末、純Zn粉末、Al−Zn合金粉末の1種または2種以上を含有する混合粉末であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウムブレージングシート。
  7. 当該ろう付構造体の一部に請求項1〜6のいずれかに記載のブレージングシートが使用され、前記ろう材層を介したろう付によって接合されていることを特徴とするろう付構造体。
  8. 質量比でAlを99.5%以上含有し、残部が不可避不純物からなるアルミニウム基材の少なくとも一方の表面に、Siを含むろう材粉末を保持し、前記ろう材粉末を保持した前記アルミニウム基材を冷間圧延して該アルミニウム基材の表面に前記ろう材粉末を非溶融のままバインダを含むことなく圧着してろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを得ることを特徴とするアルミニウムブレージングシートの製造方法。
  9. 前記ろう材粉末の保持は、前記アルミニウム基材の表面に前記ろう材粉末を付着させロールで圧下して予備圧着したものであることを特徴とする請求項8記載のアルミニウムブレージングシートの製造方法。
JP2011286744A 2011-12-27 2011-12-27 アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法 Pending JP2013132687A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011286744A JP2013132687A (ja) 2011-12-27 2011-12-27 アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011286744A JP2013132687A (ja) 2011-12-27 2011-12-27 アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013132687A true JP2013132687A (ja) 2013-07-08

Family

ID=48909758

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011286744A Pending JP2013132687A (ja) 2011-12-27 2011-12-27 アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013132687A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3027350B1 (en) Brazing alloys
WO2014017568A1 (ja) はんだ合金
JP5339556B2 (ja) 無フラックスろう付け用ブレージングシート及びその製造方法
EP3590653A1 (en) Solder composition
CN107695559A (zh) 一种银基复合钎料箔材及其制备方法
WO2013025990A2 (en) Lead-free solder compositions
JP6439795B2 (ja) ろう付け用Ni基アモルファス合金薄帯、それを用いたステンレス鋼製接合物
CN108136548A (zh) 钎焊合金
JP2013233577A (ja) PbフリーIn系はんだ合金
JP2013132689A (ja) アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法
EP2055425A1 (en) Process for producing cladding material and cladding material
TW201527031A (zh) 堆焊用焊接材料、矯正輥、導引輥、搬運輥以及鐵砧
TW201718893A (zh) 鈦複合材以及熱軋用鈦材
JP2013132687A (ja) アルミニウムブレージングシートおよびそれを用いたろう付構造体ならびにアルミニウムブレージングシートの製造方法
JPH0970686A (ja) 銅合金ブレージングシート及びその製造方法
TWI745631B (zh) 銀釺料及使用該銀釺料之接合方法
EP4103351A1 (de) Bleifreie lötfolie
JP5203906B2 (ja) Bi含有はんだ箔の製造方法、Bi含有はんだ箔、接合体、及びパワー半導体モジュール
KR100508604B1 (ko) 알루미늄 합금 용접 와이어
EP3023189B1 (en) Brazing sheet for surface joining
JP6073924B2 (ja) 温度ヒューズ用電極材料およびその製造方法
JP2009172618A (ja) 銀含有クラッドシートの製造方法
JP2003191093A (ja) 溶接用アルミニウム合金ワイヤ
JP2009172619A (ja) アルミニウム含有クラッドシートの製造方法
JPWO2017018509A1 (ja) チタン複合材および熱間圧延用チタン材

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20130904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130904