JP2013132244A - 酵素反応装置、セルロース糖化装置、バイオマス糖化装置及びエタノール生産装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】糖化酵素を用いてバイオマス中のセルロースを水溶性の糖分に分解する際の、糖分の収率を高めた酵素反応装置を提供する。
【解決手段】糖化酵素を用いてセルロースとリグニンとを含むバイオマス処理物を分解処理し、セルロースを水溶性の糖分に分解する酵素反応装置4である。円筒形状の外槽40と、外槽40内に収容された円筒形状の内槽41とが、その中心軸が水平方向に向くように横置きに配置されている。内槽41内に、鉛直方向に撹拌流れを生じさせる撹拌機44が配設されている。内槽41内にバイオマス処理物及び糖化酵素を供給するための供給手段46が設けられている。内槽41の少なくとも底部の一部がフィルター43によって形成されている。外槽40の底部に液排出口が形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】糖化酵素を用いてセルロースとリグニンとを含むバイオマス処理物を分解処理し、セルロースを水溶性の糖分に分解する酵素反応装置4である。円筒形状の外槽40と、外槽40内に収容された円筒形状の内槽41とが、その中心軸が水平方向に向くように横置きに配置されている。内槽41内に、鉛直方向に撹拌流れを生じさせる撹拌機44が配設されている。内槽41内にバイオマス処理物及び糖化酵素を供給するための供給手段46が設けられている。内槽41の少なくとも底部の一部がフィルター43によって形成されている。外槽40の底部に液排出口が形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、酵素反応装置、セルロース糖化装置、バイオマス糖化装置及びエタノール生産装置に関する。
バイオマスからエタノール(バイオエタノール)を生産する技術として種々のプロセスが発表されている。例えば、非特許文献1には、糖化酵素として広く知られるセルラーゼを用いてバイオマス中のセルロースをグルコースに糖化し、当該グルコースを発酵処理することによってエタノールを生産するプロセスが開示されている。
ところで、食物としての利用が困難な木質系バイオマスは、セルロースとヘミセルロースとリグニンとを主成分とするセルロース系バイオマスである。このような木質系バイオマスからエタノールを生産するべく、前記したように糖化酵素を用いてセルロースをグルコースに糖化しようとする場合、例えばこの糖化処理の効率を上げるための前処理として、木質系バイオマスを加圧熱水処理することでヘミセルロースを分離除去し、セルロースの濃度を高めておく。
すなわち、加圧熱水処理を行ってバイオマス中のヘミセルロースを加圧熱水中に溶解させ、これによって加圧熱水中に溶解せずに残るセルロースやリグニンを主とする成分を固体(固型分)として分離する。そして、ヘミセルロースを分離してセルロースの濃度を高めた前記固型分(バイオマス処理物)に対し、前記の糖化酵素を用いた糖化処理を行うことにより、セルロースを水溶性の糖分(例えば水溶性オリゴ糖)に分解(糖化)する。
是石真友子・今中洋行・今村維克・狩山昌弘・中西一弘、「酵素糖化と発酵を併用した小麦フスマからの効率的エタノール生産」、生物工学会 第87巻第5号 P.216〜223 2009
前記の糖化処理を行う酵素反応装置としては、一般的な有底円筒状の容器が用いられる。すなわち、その開口が上になるように立てて設置し、この中に前記固型分と前記糖化酵素とを入れる。そして、開口の上方から差し入れた撹拌翼を水平方向に回転させて容器内を撹拌し、前記固型分と前記糖化酵素とを均一に混合することにより、分解反応(糖化反応)を進める。
ところが、前記固型分は水分が例えば80〜90%と比較的高いものの、流動性はほとんどない。したがって、容器の内壁面側にある固型分は、特に分解反応が進んでいない初期では撹拌翼が直接当たらないことからほとんど流動せず、そのため分解反応がほとんど進まずに内壁面に付着してそのまま残ってしまう。これにより、固型分中のセルロースから得られる水溶性の糖分の収率が低下し、エタノールの製造コストが高くなってしまう。
なお、時間の経過とともに分解反応が進み、ある程度流動性が高まるものの、このように流動性が高まるまで処理を続けるのでは、処理時間が長くなり過ぎて生産効率が低くなり、エタノールの製造効率が低下してしまう。
また、前記固型分の流動性を高めるべく、該固型分に充分な量の水を加えることも考えられるが、その場合には、得られる液分中における水溶性の糖分の濃度が低くなり、後工程での負荷が高くなってしまい、やはりエタノールの製造コストが高くなってしまう。
また、前記固型分の流動性を高めるべく、該固型分に充分な量の水を加えることも考えられるが、その場合には、得られる液分中における水溶性の糖分の濃度が低くなり、後工程での負荷が高くなってしまい、やはりエタノールの製造コストが高くなってしまう。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、糖化酵素を用いてバイオマス中のセルロースを水溶性の糖分に分解する際の、糖分の収率を高めた酵素反応装置と、この酵素反応装置を備えたセルロース糖化装置、バイオマス糖化装置及びエタノール生産装置を提供することを目的とする。
本発明の酵素反応装置は、糖化酵素を用いてセルロースとリグニンとを含むバイオマス処理物を分解処理し、前記セルロースを水溶性の糖分に分解する酵素反応装置であって、両端部を閉塞してなる円筒形状の外槽と、前記外槽内に収容された両端部を閉塞してなる円筒形状の内槽とが、その中心軸が水平方向に向くように横置きに配置されており、前記内槽内に、鉛直方向に撹拌流れを生じさせる撹拌機が配設され、前記内槽内に前記バイオマス処理物及び前記糖化酵素を供給するための供給手段が設けられ、前記内槽の少なくとも底部の一部がフィルターによって形成され、前記外槽の底部に液排出口が形成されていることを特徴とする。
また、前記酵素反応装置においては、前記外槽内において前記内槽の外周面に、該内槽内を加熱する加熱手段が設けられていることが好ましい。
また、前記酵素反応装置においては、前記内槽の底部に固型分導出管が接続され、該固型分導出管は前記外槽の外にまで引き出されていることが好ましい。
本発明のセルロース糖化装置は、前記の酵素反応装置と、前記酵素反応装置で生成した分解物を、グルコースに糖化分解する反応装置と、を具備することを特徴とする。
本発明のバイオマス糖化装置は、バイオマスに加圧熱水を作用させてバイオマスに含まれるヘミセルロースを選択的に分解する加圧熱水反応装置と、前記加圧熱水反応装置の処理液から固型分としてのセルロース及びリグニンを分離する固液分離器と、前記固液分離器で分離された固型分中のセルロースをグルコースに分解する前記のセルロース糖化装置と、を具備することを特徴とする。
また、前記バイオマス糖化装置においては、前記固液分離器で分離された液分としてのヘミセルロース分解物を、ヘミセルロース由来の単糖に分解する反応装置を、さらに具備することが好ましい。
本発明のエタノール生産装置は、前記のバイオマス糖化装置と、前記バイオマス糖化装置により生成されたグルコースからエタノールを生成する第1発酵装置と、前記バイオマス糖化装置により生成されたヘミセルロース由来の単糖からエタノールを生成する第2発酵装置と、を具備することを特徴とする。
本発明の酵素反応装置によれば、円筒状の外槽とこれに収容された円筒状の内槽とを横置きに配置し、内槽内に撹拌機を配設したので、供給手段によって内槽内に供給したバイオマス処理物及び糖化酵素を撹拌機によって撹拌混合することにより、バイオマス処理物中のセルロースを分解反応させることができる。その際、撹拌機で鉛直方向に撹拌流れを生じさせることにより、被処理物を鉛直方向に流動させることができ、したがって上昇させた被処理物をその自重によって下降させることにより、内槽内の被処理物全体を大きく流動させることができる。これにより、撹拌翼が直接当たらない被処理物も流動させることができる。よって、被処理物を効率良く撹拌混合し、セルロースから得られる水溶性の糖分の収率を高めることができる。
また、内槽の少なくとも底部の一部をフィルターによって形成しているので、分解反応によって生成した水溶性の糖分を、バイオマス処理物中に含まれていた水分とともに前記フィルターで固液分離し、外槽側に移行させてその底部に形成された液排出口を介して分離回収することができる。糖化酵素は、固型分に付着し易い性質を有しているので、内槽内の固型分中にも残存し、そのまま分解反応に寄与する。
よって、この酵素反応装置及びこれを備えたセルロース糖化装置、バイオマス糖化装置、エタノール生産装置によれば、セルロースから得られる水溶性の糖分の収率を高めることができ、しかも、糖化酵素を比較的多く固型分に残したまま、水溶性の糖分を含む液分を分離回収することができる。また、内槽内に残る固型分についても、該固型分が糖化酵素を含有しているので、これを別工程で処理することにより、糖化酵素の有効利用を図ることができる。
よって、この酵素反応装置及びこれを備えたセルロース糖化装置、バイオマス糖化装置、エタノール生産装置によれば、セルロースから得られる水溶性の糖分の収率を高めることができ、しかも、糖化酵素を比較的多く固型分に残したまま、水溶性の糖分を含む液分を分離回収することができる。また、内槽内に残る固型分についても、該固型分が糖化酵素を含有しているので、これを別工程で処理することにより、糖化酵素の有効利用を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明に係るエタノール生産装置の一実施形態の概略構成を示すプロセス構成図であり、図1中符号Aはエタノール生産装置である。
図1は、本発明に係るエタノール生産装置の一実施形態の概略構成を示すプロセス構成図であり、図1中符号Aはエタノール生産装置である。
このエタノール生産装置Aは、加圧熱水反応装置1、固液分離器2、冷却器3、酵素反応装置4、第1触媒反応装置5、第1発酵装置6、第2触媒反応装置7、第2発酵装置8、蒸留装置9及び排水処理装置10を備えて構成されている。このような構成のもとにエタノール生産装置Aは、外部から原料として供給された木質系バイオマスを糖化処理することで単糖類(キシロース及びグルコース)を生産し、さらに当該単糖類にアルコール発酵処理及び蒸留処理を施すことで高純度のエタノールを生産する。
加圧熱水反応装置1は、200〜230℃の加圧熱水を前記木質系バイオマスに作用させることにより、木質系バイオマスに含まれるヘミセルロース(固体)を選択的に加水分解して可溶化させる装置である。木質系バイオマスは、前述したようにセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを主成分とするセルロース系バイオマスである。これら主成分のうち、ヘミセルロースは、比較的低温の200〜230℃の加圧熱水を作用させると容易に加水分解されて五炭糖が重合したヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類(ヘミセルロース分解物)に分解(可溶化)する。しかし、セルロースは、200〜230℃の加圧熱水ではほとんど分解しない。特に、セルロースを加圧熱水で加水分解するためには、200〜230℃を超える例えば240〜300℃程度の加圧熱水を木質系バイオマスに作用させる必要がある。
加圧熱水反応装置1は、このようなセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの加圧熱水に対する性質を利用することにより、木質系バイオマスに含まれるヘミセルロースを五炭糖が重合したヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類(ヘミセルロース分解物)に選択的に分解(可溶化)させる。なお、加圧熱水とは、亜臨界状態の熱水であって、液体状態を維持するために加圧された熱水である。
前記加圧熱水反応装置1は、図1に示すようにポンプ1a、加熱器1b、水量調整弁1c、反応槽1d及び制御装置1eを備えて構成されている。ポンプ1aは、外部から供給される水を加圧して加熱器1bに移送する。加熱器1bは、制御装置1eから入力した温度制御信号に応じて、ポンプ1aから流入する加圧水を200〜230℃まで加熱し、加圧熱水として水量調整弁1cに移送する。水量調整弁1cは、制御装置1eから入力した流量制御信号に応じてその開度が調節される電子制御弁であり、流量調整した上で加熱器1bから流入する加圧熱水を反応槽1dに移送する。
反応槽1dは、外部から原料として供給される一定量の木質系バイオマスを収容すると共に、水量調整弁1cから流入する加圧熱水を木質系バイオマスに添加(作用)させることにより、木質系バイオマス中のヘミセルロースを、ヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類に選択的に分解する。この反応槽1dによって得られる処理液は、木質系バイオマスの主成分のうち、セルロース及びリグニンを固体(固型分)として含み、またヘミセルロースが分解して得られたヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類(ヘミセルロース分解物)を液体(液分)として含んでいる。反応槽1dはこのような処理液を固液分離器2に移送する。
制御装置1eは、加熱器1bに温度制御信号を出力すると共に水量調整弁1cに流量制御信号を出力し、反応槽1dに供給すべき加圧熱水の温度及び流量(供給量)を調節することにより、反応槽1dにおける木質系バイオマスの加水分解条件を制御する。すなわち、制御装置1eは、加圧熱水の供給量Q(ml)と木質系バイオマスの供給量V(g)との比率K(=Q/V)、加圧熱水の温度T(℃)を加水分解条件として設定する。制御装置1eが反応槽1dの加水分解条件を調整することにより、反応槽1dから流出する処理液は、前述したようにセルロース及びリグニンを固体(固型分)として含み、またヘミセルロースが分解して得られたヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類を液体(液分)として含むものとなる。
固液分離器2は、前記反応槽1dから流入する処理液を固液分離することにより、固体であるセルロース及びリグニンをバイオマス処理物(第1多糖物)として冷却器3に移送する一方、ヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類を第2多糖液として第2触媒反応装置7に移送する。冷却器3は、後段の酵素反応装置4における糖化酵素の活性が最も高くなるように第1多糖物の温度を調節するために設けられており、固液分離器2から流入するバイオマス処理物(第1多糖物)を例えば40〜50℃程度に冷却して酵素反応装置4に移送する。
酵素反応装置4は、冷却器3から供給され、必要に応じて水分調整されたバイオマス処理物(第1多糖物)に糖化酵素であるセルラーゼを添加し、バイオマス処理物(第1多糖物)中のセルロースにセルラーゼを作用させることにより、セロビオース(グルコースが2量体重合したもの)を主成分とする分解物、つまり水溶性の糖分である水溶性オリゴ糖や懸濁体多糖に加水分解する装置である。
図2、図3は、本発明の酵素反応装置の一実施形態となる酵素反応装置4の概略構成を示す図であり、図2は一部断面視した斜視図、図3は図2のB−B線矢視断面図である。
図2、図3に示すように酵素反応装置4は、略円筒形状の外槽40と、この外槽40内に収容された略円筒形状の内槽41とを備え、これら外槽40と内槽41を、それぞれの中心軸が水平方向に沿うように横置きに配置されたものである。
図2、図3に示すように酵素反応装置4は、略円筒形状の外槽40と、この外槽40内に収容された略円筒形状の内槽41とを備え、これら外槽40と内槽41を、それぞれの中心軸が水平方向に沿うように横置きに配置されたものである。
外槽40は、金属製で円筒形状の外筒部40aと、その両端部のうちの一方を閉塞する蓋部40b及び他方を閉塞する蓋部40cを備え、内部を液密な収容空間としたものである。これら蓋部40b、40cは、外筒部40aに対して着脱可能、もしくは開閉可能に取り付けられており、これによって外筒部40a内のメンテナンスが可能になっている。
内槽41は、外筒部40aより充分に小さい径、例えば外筒部40aの外径の1/2〜2/3程度の外径を有する円筒形状の内筒部41aと、その両端部のうちの一方を閉塞する蓋部41b及び他方を閉塞する蓋部41cを備えたもので、内筒部41aの中心軸を外筒部40aの中心軸にほぼ一致させて、前記収容空間内に収容配置されている。蓋部41b、41cは、内筒部41aに対して着脱可能、もしくは開閉可能に取り付けられており、これによって内筒部40a内のメンテナンスが可能になっている。なお、この内槽41は、図示しない保持部材によって外槽40内に保持固定されている。
内筒部41aは、本実施形態では水平に配置された円筒部分の略上部半分がステンレス等の金属で形成されて内筒本体42となっており、残りの底部側が主にフィルター43によって形成されている。フィルター43としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなるプラスチックワイヤーが織られて形成された織布(例えば、日本フィルコン株式会社製のOSタイプ(品名))や、不織布、所定の開口径の孔を多数有したパンチングメタルなど、フィルターとして機能する種々のものが用いられる。
本実施形態では、フィルター43として、日本フィルコン株式会社製のOS−76(品名)が用いられている。このOS−76は、目開きが縦0.116mm、横0.210mmであり、網厚が0.45mmのものである。このような構成のもとにこのOS−76からなるフィルター43は、後述するように投入された被処理物中の水分や水溶性の糖分を通過させ(濾過し)、残渣となる固型分を分離するようになっている。
前記内筒本体42は、フィルター43を保持固定してこれを補強するべく、図2に示すように内槽41の底部側まで周回する円弧状の枠体42aを複数有している。そして、この枠体42aの内側にフィルター43が着脱可能に貼設され保持されることにより、フィルター43は横置きされた円筒形状の内筒部41aの、下側(底部側)略半分を構成している。
ここで、本実施形態では、内筒部41aの底部側略半分をフィルター43によって形成したが、本発明はこれに限定されることなく、内槽41の少なくとも底部の一部がフィルター43によって形成されていればよい。具体的には、図3に示すように内槽41(内筒部41a)が形成する円筒の外形である円形の底側の、中心角θを120°とする範囲R1以上であり、かつ、180°とする範囲R2以下の範囲を、フィルター43によって形成するのが好ましい。
酵素反応装置4では後述するように酵素分解処理をバッチ式で行うが、その際、被処理物(バイオマス処理物と糖化酵素との混合物)の量を、通常は外槽40の容積の1/2程度に対応する量とする。そのため、フィルター43を前記範囲に形成しておけば、前記被処理物はほぼフィルター43の範囲内に収容されるようになる。したがって、被処理物が広い範囲でフィルター43に接することにより、濾過が円滑になされるようになる。
また、これら外槽40及び内槽41内には、図2、図3に示すように撹拌機44が配設されている。撹拌機44は、回転軸44aとこの回転軸44aに固定された撹拌翼44bとを有し、モーター(図示せず)によってこれに連結する回転軸44aを回転させ、撹拌翼44bを回転軸44aの回転方向に回転させるものである。この撹拌機44は、本実施形態ではその回転軸44aを水平に配置し、内筒部41aの中心軸に一致させて内槽41内に収容させている。すなわち、回転軸44aは外槽40の一方の蓋部40b、内槽41の一方の蓋部41bを貫通して内槽41内に挿入され、さらに内槽41の他方の蓋部41c、外槽40の他方の蓋部40cを貫通して外部に引き出されている。
回転軸44aは、前記蓋部40b、41b、40c、41cに設けられた孔(図示せず)に、軸受け等を介して回転可能かつ液密に保持されている。そして、撹拌翼44bは、内槽41内に位置するように、回転軸44aの長さ方向にてその複数箇所に取り付けられている。すなわち、内槽41内の水平方向を等分割(例えば4等分から8等分)する位置に、撹拌翼44bが着脱可能に取り付けられている。なお、撹拌翼44bとしては、例えば図3に示すように回転軸44aを中心にしてその両側に延びる板状のものや、プロペラ状のものなど、従来公知の種々のものが使用可能である。撹拌翼44bの長さについては、その先端が内筒部41aの内周面に対して所定の間隙、例えば5cm〜20cm程度の間隙を有する長さとするのが好ましい。また、撹拌翼44bの枚数については、2枚に限ることなく、1枚、または3枚以上であってもよい。
このような構成のもとに撹拌機44は、回転軸44aの回転によって撹拌翼44bが図3中の矢印方向に回転することにより、内槽41内に収容された被処理物Wに対し、鉛直方向に撹拌流れを生じさせるようになっている。すなわち、撹拌翼44bを回転させることで被処理物Wを一旦下方に押し込んだ後、上昇させるようにすくい上げることにより、被処理物Wを上下方向(鉛直方向)に流動させるようになっている。その際、下降させられた被処理物Wはフィルター43側に押し込まれるため、フィルター43上に堆積していた被処理物Wを強制的に流動させ、上昇させるように作用する。また、上昇させられた被処理物Wは自重によって下降するため、被処理物Wはその全体が内槽41内を大きく流動するようになる。したがって、撹拌翼44bが直接当たらないフィルター43側の被処理物Wも、良好に流動するようになる。
また、内槽41には、その外周面に加熱管45(加熱手段)が巻回した状態で配置されている。この加熱管45は、内槽41の外周面に螺旋状に巻回され、一端側(図示せず)及び他端側(図示せず)がそれぞれ外槽40の上部側から外に引き出されている。そして、例えばこの加熱管45に加熱媒体となる50℃程度の温水が供給され、循環させられることにより、内槽41内の被処理物Wは例えば40℃〜50℃程度の温度、すなわち通常の糖化酵素がその酵素活性を最大にする温度に保持されるようになっている。
なお、この加熱管45については、特に内槽41の底部側では前記枠体42aの外周面上に沿わせるのが好ましい。枠体42は内筒本体42aの一部であって金属製であるので、加熱管45との間で熱伝導が良好に起こり、加熱効率を高めることができるからである。また、フィルター43を塞がないため、フィルター43の濾過面積を減少させないですむからである。
前記外槽40には、その上部に、被処理物Wを供給するための供給管46(供給手段)が設けられている。この供給管46は、外槽40を貫通し、さらに内槽41の内筒本体42を貫通して内槽41内に通じるもので、前記したように冷却器3から供給されたバイオマス処理物(第1多糖物)に糖化酵素が添加され、調製された被処理物Wを、内槽41内に供給するためのものである。
さらに、外槽40には、その底部に液排出口(図示せず)が形成されており、該液排出口には排出管47が接続されている。この排出管47は、後述するように酵素反応装置4内で分解反応によって生成した水溶性の糖分及び水分を抜き出し、次工程の原料として一旦貯槽(図示せず)に貯留し、あるいは直接次工程に移送するためのものである。なお、排出管47には開閉弁(図示せず)が設けられており、酵素反応装置4での反応中は開閉弁が閉じられ、反応が終了した後、開閉弁が開かれるようになっている。
前記内槽41には、その底部、例えばフィルター43を保持する前記枠部42aに、固型分導出管48が接続されている。固型分導出管48は、内槽41内に連通して配置され、さらに外槽40の外にまで引き出されたもので、内槽41内に残った固型分を酵素反応装置4の外部に導出する際に用いられるものである。なお、固型分導出管48にも開閉弁(図示せず)が設けられており、酵素反応装置4での反応中は開閉弁が閉じられ、反応が終了した後、開閉弁が開かれるようになっている。
被処理物W中に添加される糖化酵素であるセルラーゼは、複数種類の糖化酵素の集合体として一般的に知られているが、主成分としてβ−グルカナーゼを含んでいる。このβ−グルカナーゼは、セルロースを水溶性オリゴ糖(水溶性の糖分)に加水分解するための糖化酵素として知られている。水溶性オリゴ糖は、グルコースが2〜6量体重合した水溶性を示す分解物(多糖類)である。また、懸濁体多糖は、グルコースが7量体以上重合したものやグルコースが6量体重合したセロヘキサオースの結晶であり、酵素反応装置4内において懸濁状態で存在する分解物(多糖類)である。酵素反応装置4は、β−グルカナーゼがセルロースに作用することにより、水溶性オリゴ糖を生成するようになっている。
なお、酵素反応装置4では、糖化酵素として市販の「耐熱性酵素」を使用してもよい。通常の糖化酵素は、前記したように40〜50℃程度において酵素活性が最大になるが、耐熱性酵素は、70〜90℃程度の温度において酵素活性が最大になる。このような耐熱性酵素を酵素反応装置4で用いることにより、冷却器3で冷却すべき温度幅が小さくなるので、第1多糖物の冷却によるエネルギーロスを縮小することが可能となる。なお、このような耐熱性酵素を用いる場合には、前記加熱管45で内槽41内を加熱する温度も、70〜90℃とする。
このような構成の酵素反応装置4によって前記被処理物Wを分解(糖化)処理するには、予め加熱管45で内槽41内を所定温度に加熱した後、前記供給管46より所定量の被処理物Wを内槽41内に供給する。被処理物Wは、例えば水分が80〜90%程度含んでいるものの、ほとんど流動性はなく、また、水分もほとんど分離されることなく、バイオマス処理物中に含まれている。したがって、内槽41内に供給された直後では、ほとんど固液分離されることなく、ほぼ全量が内槽41内、すなわちフィルター43上に留まっている。
このような被処理部Wの供給に並行して、あるいは供給が完了したら、撹拌機44を稼働させ、撹拌翼44bを回転させる。すると、撹拌翼44bの回転に伴われて被処理物Wが流動することで、糖化酵素によるセルロースの分解反応が進む。その際、前述したように撹拌翼44bが鉛直方向に撹拌流れを生じさせるため、被処理物Wは全体が内槽41内を大きく流動し、撹拌翼44bが直接当たらないフィルター43側の被処理物Wも良好に流動するようになる。よって、被処理物Wを効率良く撹拌混合することができるため、セルロースの分解反応を効率良く進ませることができる。すなわち、被処理物W全体を短時間で分解反応に供することができる。
また、このように分解反応が進み、セルロースから水溶性オリゴ糖(水溶性の糖分)が生成すると、これを溶解した水分は、水溶性オリゴ糖と共にフィルター43を通過し、外槽40の底部側に移行する。すなわち、セルロースの分解反応と同時に、フィルター43による濾過(固液分離)が進む。なお、前述したように処理中は排出管47の開閉弁を閉じているので、外槽40側に移行した液分はそのまま外槽40の底部に留まる。そのため、この液分の液面がフィルター43を通って内槽41内にまで上昇するため、内槽41内の固型分は前記液分とともに撹拌されて良好に流動し、分解反応を進ませる。
このようにして撹拌を予め設定した処理時間続けたら、撹拌機44を停止し、分解処理を終了する。そして、必要に応じてさらに所定時間被処理物Wを静置し、固液分離を進ませるとともに、フィルター43による濾過も進ませる。その後、排出管47の開閉弁を開き、外槽40の底部に溜まった液分を排出管47から排出し、貯槽にあるいは次工程に移送する。
また、このようにして生成物である水溶性オリゴ糖を含む液分を排出したら、排出管47の開閉弁を閉じ、固型分導出管48の開閉弁を開く。そして、例えば前記供給管46から内槽41内に水を供給し、内槽41内のフィルター43上に堆積する固型分、すなわちリグニンを主とする固型分を、供給した水で洗い流し、固型分導出管48から導出する。ここで、前記の糖化酵素は固型分に付着し易い性質を有している。したがって、糖化酵素は排出管47から排出された液分にも含まれるものの、フィルター43上に堆積した固型分中にも多く含まれ、該固型分と共に固型分導出管48から導出される。よって、この糖化酵素を含む固型分を、別工程(図示せず)で所定の処理を行うことにより、水溶性の糖分を得ることができる。
すなわち、フィルター43上に堆積し、固型分導出管48から導出した固型分中には、リグニンの他にも未反応(未分解)のセルロースが残存しており、したがってこのセルロースを、固型分中に含まれる糖化酵素によって分解し、水溶性オリゴ糖(水溶性の糖分)にすることができる。なお、このような未反応(未分解)のセルロースが残存しないよう、酵素反応装置4での処理時間を長くすると、処理効率が悪くなって生産性を損なうため、通常は未反応(未分解)のセルロースがある程度残存している状態で、酵素反応処理を終了する。
このような酵素反応装置4にあっては、円筒状の外槽40とこれに収容された円筒状の内槽41とを横置きに配置し、内槽41内に撹拌機44の撹拌翼44bを配設したので、内槽41内に供給した被処理物Wを撹拌翼44bによって撹拌混合することにより、被処理物W中のセルロースを分解反応させることができる。その際、撹拌翼44bで鉛直方向に撹拌流れを生じさせることにより、被処理物Wを鉛直方向に流動させることができ、したがって被処理物W全体を大きく流動させることができる。これにより、撹拌翼44bが直接当たらない被処理物Wも流動させることができ、被処理物Wを効率良く撹拌混合してセルロースから得られる水溶性オリゴ糖(水溶性の糖分)の収率を高めることができる。
また、内槽41の底部をフィルター43によって形成しているので、分解反応によって生成した水溶性の糖分を、水分とともにフィルター43で固液分離して外槽40側に移行させ、さらに排出管47(液排出口)を介して分離回収し、次工程に移送することができる。
よって、この酵素反応装置4によれば、セルロースから得られる水溶性オリゴ糖(水溶性の糖分)の収率を高めることができ、しかも、糖化酵素を比較的多く固型分に残したまま、水溶性の糖分を含む液分を分離回収することができる。また、内槽41内に残る固型分についても、該固型分が糖化酵素を含有しているので、これを固型分導出管48から導出して回収し、別工程で処理することにより、糖化酵素の有効利用を図ることができる。
よって、この酵素反応装置4によれば、セルロースから得られる水溶性オリゴ糖(水溶性の糖分)の収率を高めることができ、しかも、糖化酵素を比較的多く固型分に残したまま、水溶性の糖分を含む液分を分離回収することができる。また、内槽41内に残る固型分についても、該固型分が糖化酵素を含有しているので、これを固型分導出管48から導出して回収し、別工程で処理することにより、糖化酵素の有効利用を図ることができる。
なお、本発明の酵素反応装置は、前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
図1のエタノール生産装置Aに戻り、酵素反応装置4に続いて配置された第1触媒反応装置5は、酵素反応装置4から移送された液分(第1多糖液)、すなわちセルロースの分解物である水溶性グリゴ糖(水溶性の糖分)等を含む液分を、粉末状の固体酸触媒Xを用いて加水分解することでグルコースを生成するものである。すなわち、当該グルコースを主成分とする第1単糖液を第1発酵装置6に移送するもので、第1混合装置5aと第1固液分離装置5bとを備えて構成されている。
第1混合装置5aは、酵素反応装置4から流入する第1多糖液(液分)と予め充填されている固体酸触媒Xとを90℃以上120℃未満の温度下において撹拌・混合することで両者を接触させて加水分解反応(つまり糖化反応)を促進させる。このような糖化反応により、第1多糖液に含まれる水溶性オリゴ糖が分解されて単糖(六炭糖)であるグルコースが生成される。このように生成されたグルコースを含む第1単糖液と固体酸触媒Xとを含む第1混合液は、第1混合装置5aから第1固液分離装置5bに移送される。
第1固液分離装置5bは、前記第1混合装置5aから流入する第1混合液を固液分離することで第1単糖液と固体酸触媒Xとを分離し、固体酸触媒Xを回収して前記第1混合装置5aに供給する(再利用する)一方、グルコースを含む第1単糖液を第1発酵装置6に移送する。このような第1固液分離装置5bとしては、例えば沈殿槽を用いることができる。つまり、沈殿槽に供給される第1混合液のうち、粉末状の固体酸触媒Xは槽底部に沈殿し、上澄み液がグルコースを含む第1単糖液として得られる。
第1発酵装置6は、前記第1触媒反応装置5から流入するグルコースを含む第1単糖液に、酵母等のエタノール発酵微生物と、窒素、リン等の栄養源とを添加し、適切な温度、pH等の条件下で微生物を培養してグルコースをアルコール発酵させることでエタノールを生成するものである。第1発酵装置6は、このように生成したエタノールを蒸留装置9に移送する。
第2触媒反応装置7は、前記の加圧熱水反応装置1から流入する第2多糖液を、粉末状の固体酸触媒Xを用いて加水分解することでヘミセルロース由来の単糖を含む第2単糖液を生成するものであり、第2混合装置7a及び第2固液分離装置7bを備えて構成されている。第2混合装置7aは、加圧熱水反応装置1から流入する第2多糖液と予め充填されている固体酸触媒Xとを90℃以上120℃未満の温度下において撹拌・混合することにより、両者を接触させて加水分解反応(つまり糖化反応)を促進させる。このような糖化反応により、第2多糖液に含まれるヘミセルロース由来のオリゴ糖が加水分解されて単糖(五炭糖)が生成する。第2混合装置7aは、このように生成したヘミセルロース由来の単糖を含む第2単糖液と固体酸触媒Xとを含む第2混合液とを第2固液分離装置7bに移送する。
第2固液分離装置7bは、前記の第2混合装置7aから流入する第2混合液を固液分離することで第2単糖液と固体酸触媒Xとに分離し、固体酸触媒Xを回収して前記第2混合装置7aに供給する(再利用する)一方、ヘミセルロース由来の単糖を含む第2単糖液を第2発酵装置8に移送する。このような第2固液分離装置7bとしては、前述した第1固液分離装置5bと同様に沈殿槽を用いることができる。つまり、沈殿槽に供給された第2混合液のうち、粉末状の固体酸触媒Xは槽底部に沈殿し、上澄み液がヘミセルロース由来の単糖を含む第2単糖液として得られる。
第2発酵装置8は、前記第2触媒反応装置7から流入するヘミセルロース由来の単糖を含む第2単糖液に、酵母等のエタノール発酵微生物と、窒素、リン等の栄養源とを添加し、適切な温度、pH等の条件下で微生物を培養してヘミセルロース由来の単糖をアルコール発酵させることでエタノールを生成するものである。エタノール発酵微生物としては、サッカロミセス属酵母などの公知の各種微生物を用いることができる。第2発酵装置8は、このように生成したエタノールを蒸留装置9に移送する。
蒸留装置9は、前記の第1発酵装置6及び第2発酵装置8から流入するエタノールの蒸留及び濃縮を行うことにより、純度の高いエタノールを生成して外部に移送するものである。排水処理装置10は、加圧熱水反応装置1の反応槽1dから排出されるブロー水と、第1発酵装置6及び第2発酵装置8から排出される水(アルコール発酵の過程で生成される水)とを受け入れ、所定の清浄化処理を施して外部に排水するものである。
次に、このように構成されたエタノール生産装置Aの動作について説明する。
加圧熱水反応装置1では、制御装置1eによって加熱器1b及び水量調整弁1cが制御されることにより、反応槽1d内に収容された一定量の木質系バイオマスに200〜230℃の加圧熱水が所定量添加される。この状態で一定の反応時間が経過することにより、反応槽1d内の木質系バイオマスに含まれるヘミセルロースは、ヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類(ヘミセルロース分解物)に選択的に分解される。
加圧熱水反応装置1では、制御装置1eによって加熱器1b及び水量調整弁1cが制御されることにより、反応槽1d内に収容された一定量の木質系バイオマスに200〜230℃の加圧熱水が所定量添加される。この状態で一定の反応時間が経過することにより、反応槽1d内の木質系バイオマスに含まれるヘミセルロースは、ヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類(ヘミセルロース分解物)に選択的に分解される。
したがって、前記反応時間が経過した後における反応槽1dの処理液は、セルロース及びリグニンを固体(固型分)として含み、またヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類(ヘミセルロース分解物)を液体(液分)として含む固液混合液となる。そして、このような処理液は、反応槽1dから固液分離器2に排出され、当該固液分離器2において固液分離される。すなわち、固体であるセルロース及びリグニンは、固液分離器2から冷却器3に第1多糖物(バイオマス処理物)として移送され、一方、ヘミセルロース由来のオリゴ糖を主成分とする多糖類(ヘミセルロース分解物)は、第2多糖液として第2触媒反応装置7に移送される。
そして、前記第1多糖物(バイオマス処理物)は、冷却器3において40〜50℃程度に冷却された後、前述したように糖化酵素(セルラーゼ)が添加されて被処理物Wとされる。そして、この被処理物Wが前記酵素反応装置4に移送され、当該酵素反応装置4において前述したように分解反応に供される。この結果、セルラーゼが第1多糖物に含まれるセルロースに作用することにより、当該セルロースが水溶性オリゴ糖に分解される。つまり、酵素反応装置4では、セルラーゼに含まれるβ−グルカナーゼがセルロースに作用することによってセロビオースが生成する。なお、この際に、酵素反応装置4において生成した水溶性オリゴ糖の一部は、セルラーゼに含まれるβ−グルコシダーゼによってグルコースに分解される。酵素反応装置4では、所定時間(例えばほとんどのセルロースがセロビオースに分解されるまでの時間)をかけて酵素反応を行う。そして、この結果生成したセロビオース及びグルコースを含む第1多糖液は、酵素反応装置4から第1触媒反応装置5の第1混合装置5aに移送される。
第1混合装置5aは、酵素反応装置4から流入した第1多糖液と固体酸触媒Xとを90〜100℃の温度下において撹拌・混合することで第1多糖液中の水溶性オリゴ糖をグルコースに分解する。この第1混合装置5aにおけるグルコースの生成速度は、酵素反応装置4における生成速度よりも早い。具体的には、第1混合装置5aにおいて約10時間の間に生成されるグルコースの量は、酵素反応装置4において生成される量の約3.5倍である。第1混合装置5aでは、ほとんど全ての水溶性オリゴ糖がグルコースに分解されるまでの時間をかけて触媒反応を行う。そして、この結果生成されたグルコースを含む第1単糖液は、固体酸触媒Xとともに第1混合液として第1混合装置5aから第1固液分離装置5bに流出する。
そして、前記第1混合液は、第1固液分離装置5bにおいて第1単糖液と固体酸触媒Xとに固液分離され、固体である固体酸触媒Xは第1混合装置5aに返送され、一方、第1単糖液は、第1発酵装置6に移送される。この第1発酵装置6では、アルコール発酵によって第1単糖液に含まれるグルコースからエタノールが生成し、蒸留装置9に供給される。そして、蒸留装置9では、エタノールの蒸留・濃縮が行われる。
一方、第2触媒反応装置7に供給された第2多糖液は、第2触媒反応装置7の第2混合装置7aにおいて第2多糖液と固体酸触媒Xとを90℃以上120℃未満の温度下において撹拌・混合されることにより、第2多糖液中のヘミセルロース由来のオリゴ糖が単糖に分解される。そして、このヘミセルロース由来の単糖を含む第2単糖液は、固体酸触媒Xとともに第2混合液として第2混合装置7aから第2固液分離装置7bに排出され、当該第2固液分離装置7bにおいて第2単糖液と固体酸触媒Xとに固液分離される。そして、固体である固体酸触媒Xは第2混合装置7aに返送され、一方、第2単糖液は、第2発酵装置8に移送される。この第2発酵装置8では、アルコール発酵により第2単糖液に含まれるヘミセルロース由来の単糖からエタノールが生成し、蒸留装置9に供給されて蒸留・濃縮が行われる。
さらに、加圧熱水反応装置1の反応槽1dから排出されるブロー水及び第1発酵装置6及び第2発酵装置8から排出される水(アルコール発酵の過程で生成される水)は、排水処理装置10において所定の清浄度まで浄化処理された後に外部に排水される。
このようなエタノール生産装置Aでは、糖化酵素(セルラーゼ)によってセルロースが水溶性オリゴ糖に分解され、さらに固体酸触媒Xによって前記水溶性オリゴ糖がグルコースに分解され、当該グルコースからエタノールが生産される。その際、本エタノール生産装置Aでは、前述したようにセルロースを分解して水溶性オリゴ糖(水溶性の糖分)を生成する際の収率を酵素反応装置4によって高めているので、エタノールの製造効率を高めることができる。
同様に、このエタノール生産装置Aを構成するセルロース糖化装置、すなわち前記酵素反応装置4と第1触媒反応装置5とを備えるセルロース糖化装置も、酵素反応装置4を備えることにより、エタノールの製造効率を高めることができる。
さらに、前記加圧熱水反応装置1と、前記固液分離器2と、前記セルロース糖化装置とを備えたバイオマス糖化装置も、酵素反応装置4を備えることにより、エタノールの製造効率を高めることができる。
さらに、前記加圧熱水反応装置1と、前記固液分離器2と、前記セルロース糖化装置とを備えたバイオマス糖化装置も、酵素反応装置4を備えることにより、エタノールの製造効率を高めることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)前記実施形態では、第1触媒反応装置5において生成されたグルコースや第2触媒反応装置7において生成されたヘミセルロース由来の単糖からエタノールを生成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1発酵装置6や、第2発酵装置8や、蒸留装置9を他の反応装置に換えることで、エタノール以外の化学製品(例えばヒドロキシメチルフルフラールやフルフラール)を生成するようにしてもよい。
(1)前記実施形態では、第1触媒反応装置5において生成されたグルコースや第2触媒反応装置7において生成されたヘミセルロース由来の単糖からエタノールを生成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1発酵装置6や、第2発酵装置8や、蒸留装置9を他の反応装置に換えることで、エタノール以外の化学製品(例えばヒドロキシメチルフルフラールやフルフラール)を生成するようにしてもよい。
(2)前記実施形態では、木質系バイオマスに含まれるセルロースからグルコースを生成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、同様にセルロースとヘミセルロースとリグニンとを含んでいる草本系バイオマスであれば、これに含まれるセルロースから水溶性の糖分(グルコース)を生成するようにしてもよい。
(3)前記実施形態における第1触媒反応装置5及び第2触媒反応装置7では、粉末状の固体酸触媒Xを用いた関係で第1固液分離装置5b及び第2固液分離装置7bを設けた。
しかしながら、固体酸触媒には粉末状のものの他にペレット状のものがある。このペレット状固体酸触媒を用いる場合、第1触媒反応装置及び第2触媒反応装置として、例えば流通性容器内に固定状態に収納されたペレット状固体酸触媒に第1多糖液あるいは第2多糖液を通過させて加水分解するタイプの触媒反応装置(固定床固体酸触媒反応装置)を採用することが考えられる。このような固定床固体酸触媒反応装置を採用することにより、第1触媒反応装置及び第2触媒反応装置の装置構成を簡略化することができる。
しかしながら、固体酸触媒には粉末状のものの他にペレット状のものがある。このペレット状固体酸触媒を用いる場合、第1触媒反応装置及び第2触媒反応装置として、例えば流通性容器内に固定状態に収納されたペレット状固体酸触媒に第1多糖液あるいは第2多糖液を通過させて加水分解するタイプの触媒反応装置(固定床固体酸触媒反応装置)を採用することが考えられる。このような固定床固体酸触媒反応装置を採用することにより、第1触媒反応装置及び第2触媒反応装置の装置構成を簡略化することができる。
A…エタノール生産装置、1…加圧熱水反応装置、1a…ポンプ、1b…加熱器、1c…水量調整弁、1d…反応槽、1e…制御装置、2…固液分離器、3…冷却器、4…酵素反応装置、5…第1触媒反応装置、5a…第1混合装置、5b…第1固液分離装置、6…第1発酵装置、7…第2触媒反応装置、7a…第2混合装置、7b…第2固液分離装置、8…第2発酵装置、9…蒸留装置、10…排水処理装置、40…外槽、40a…外筒部、41…内槽、41a…内筒部、42…内筒本体、43…フィルター、44…撹拌機、44b…撹拌翼、45…加熱管(加熱手段)、46…供給管(供給手段)、47…排出管、48…固型分導出管
Claims (7)
- 糖化酵素を用いてセルロースとリグニンとを含むバイオマス処理物を分解処理し、前記セルロースを水溶性の糖分に分解する酵素反応装置であって、
両端部を閉塞してなる円筒形状の外槽と、前記外槽内に収容された両端部を閉塞してなる円筒形状の内槽とが、その中心軸が水平方向に向くように横置きに配置されており、
前記内槽内に、鉛直方向に撹拌流れを生じさせる撹拌機が配設され、
前記内槽内に前記バイオマス処理物及び前記糖化酵素を供給するための供給手段が設けられ、
前記内槽の少なくとも底部の一部がフィルターによって形成され、
前記外槽の底部に液排出口が形成されていることを特徴とする酵素反応装置。 - 前記外槽内において前記内槽の外周面に、該内槽内を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の酵素反応装置。
- 前記内槽の底部に固型分導出管が接続され、該固型分導出管は前記外槽の外にまで引き出されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の酵素反応装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵素反応装置と、
前記酵素反応装置で生成した分解物を、固体酸触媒を用いてグルコースに分解する第1触媒反応装置と、を具備することを特徴とするセルロース糖化装置。 - バイオマスに加圧熱水を作用させてバイオマスに含まれるヘミセルロースを選択的に分解する加圧熱水反応装置と、
前記加圧熱水反応装置の処理液から固型分としてのセルロース及びリグニンを分離する固液分離器と、
前記固液分離器で分離された固型分中のセルロースをグルコースに分解する請求項4記載のセルロース糖化装置と、を具備することを特徴とするバイオマス糖化装置。 - 前記固液分離器で分離された液分としてのヘミセルロース分解物を、固体酸触媒を用いてヘミセルロース由来の単糖に分解する第2触媒反応装置を、さらに具備することを特徴とする請求項5記載のバイオマス糖化装置。
- 請求項6に記載のバイオマス糖化装置と、
前記バイオマス糖化装置により生成されたグルコースからエタノールを生成する第1発酵装置と、
前記バイオマス糖化装置により生成されたヘミセルロース由来の単糖からエタノールを生成する第2発酵装置と、を具備することを特徴とするエタノール生産装置。
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