JP2013131470A - 発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一の透明電極層、発光層及び第二の透明電極層をこの順に備える両面発光型の有機EL素子と、有機EL素子の少なくとも一方の表面に設けられる出光面構造層とを備える発光素子であって、出光面構造層が、有機EL素子とは反対側の表面に、有機EL素子の一方の表面に対して平行な平坦面部と、平坦面部に対して傾斜した斜面部とを有する凹凸構造を有し、斜面部を、平坦面部に対して垂直な方向に、平坦面部に対して平行な平面へと投影して形成される投影面積が、平坦面部の全面積の0.1倍以下であり、斜面部は、平坦面部との境の部分に曲面部を有する。
【選択図】図1
Description
すなわち、本発明は、以下の通りである。
前記出光面構造層は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子とは反対側の表面に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の一方の表面に対して平行な平坦面部と、前記平坦面部に対して傾斜した斜面部とを有する凹凸構造を有し、
前記斜面部を、前記平坦面部に対して垂直な方向に、前記平坦面部に対して平行な平面へと投影して形成される投影面積が、前記平坦面部の全面積の0.1倍以下であり、
前記斜面部は、前記平坦面部との境の部分に、前記平坦面部に近い位置ほど前記平坦面部に対して小さく傾斜する曲面部を有する、発光素子。
〔2〕 前記凹凸構造における平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値が22μm以下である、〔1〕記載の発光素子。
〔3〕 前記斜面部が前記平坦面部に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度で傾斜している、〔1〕又は〔2〕記載の発光素子。
以下に説明する実施形態において、構成要素が「平行」又は「垂直」であるとは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲、例えば±5°の範囲内で誤差を含んでいてもよい。また、ある方向に「沿って」とは、別に断らない限り、ある方向に「平行に」という意味である。さらに、別に断らない限り、発光素子を構成する各層の厚み方向は発光素子の厚み方向に一致しており、単に「厚み方向」という場合は発光素子の厚み方向を表す。
図1及び図2はいずれも本発明の第一実施形態に係る発光素子を説明する図であって、図1は発光素子を模式的に示す斜視図であり、図2は図1に示す発光素子を線1a−1bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。なお、線1a−1bは、一列の凹部116の全ての平坦面部114の上を通る線であるものとする。また、図1において、平坦面部113と斜面部115との境界線117は破線で示す。
例えば有機EL素子140として例示するように、有機EL素子は、通常、2層以上の電極層と、これらの電極層間に設けられ、電極層から電圧を印加されることにより発光する発光層と、を備える。
透明電極層の材料としてはITO(酸化インジウムスズ)等を挙げることができる。
正孔注入層の材料としてはスターバースト系芳香族ジアミン化合物等を挙げることができる。
正孔輸送層の材料としてはトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができる。
黄色発光層のホスト材料としてはトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができ、黄色発光層のドーパント材料としてはテトラセン誘導体等を挙げることができる。
緑色発光層の材料としてはピラゾリン誘導体等を挙げることができる。
青色発光層のホスト材料としてはアントラセン誘導体等を挙げることができ、青色発光層のドーパント材料としてはペリレン誘導体等を挙げることができる。
赤色発光層の材料としてはユーロピウム錯体等を挙げることができる。
電子輸送層の材料としてはアルミニウムキノリン錯体(Alq)等を挙げることができる。
出光面構造層100は、有機EL素子140の表面144に設けられた層であり、この出光面構造層100の有機EL素子140とは反対側の表面が、出光面10Uである。出光面10Uは発光素子10の最表面に露出した面であり、発光素子10としての出光面、即ち、発光素子10から素子外部に光が出て行く際の出光面である。
凹凸構造層111は、発光素子10の一方の表面(即ち、発光素子10の一方の出光面側の最外層。図中の上側)に位置する層である。凹凸構造層111の表面である出光面10Uには凹凸構造が形成されている。凹凸構造については詳しくは後述するが、この凹凸構造は、有機EL素子140の表面144に対して平行な平坦面部113及び114と、これらの平坦面部113及び114に対して傾斜した斜面部115とを有する。ここで、斜面部115が平坦面部113及び平坦面部114に対して傾斜するとは、斜面部115が平坦面部113及び114と平行でないことを表す。この際、斜面部115と平坦面部113及び114とが平行であるか否かの判断においては、精密な判断が求められるので、その判断において許容される誤差は通常±1°の範囲であり、より好ましくは±0.5°の範囲であり、理想的には誤差を含めずに平行か否かを判断することが好ましい。
以下、出光面10Uの凹凸構造について、図面を参照して詳細に説明する。
図3は、発光素子10の出光面10Uの一部を、発光素子10の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。図3において、平坦面部113と斜面部115との境界線117は破線で示す。また、図4は、凹凸構造層111を、図3の線3aを通り出光面10Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。さらに、図5は、図4の斜面部115の周辺を拡大して模式的に示す部分断面図である。なお、前記の線3aは、一列の凹部116の全ての平坦面部114の上を通る線であるものとする。
また、基材フィルム層112の厚さは、20μm〜300μmであることが好ましい。
出光面構造層100は、複数の層からなるものとしうるが、単一の層からなってもよい。所望の特性を備えた出光面構造層100を容易に得る観点からは、複数の層からなることが好ましい。本実施形態では、図1に示すように、出光面構造層100は、凹凸構造層111と基材フィルム層112とを組み合わせた複層体110を含むようになっているものとする。これにより、性能の高い出光面構造層100を容易に得ることができる。
本実施形態の発光素子10は、有機EL素子140と複層体110との間に、支持基板131を備える。支持基板131を備えることにより、発光素子10に、たわみを抑制する剛性を与えることができる。また、支持基板131として、有機EL素子140を封止する性能に優れて、且つ、製造工程において有機EL素子140を構成する層をその上に順次形成することを容易に行い得る基板を備えることにより、発光素子10の耐久性を向上させ、且つ製造を容易にすることができる。
支持基板131を構成する材料の屈折率は、特に制限されないが、1.4〜2.0とすることが好ましい。
支持基板131の厚さは、特に限定されないが、0.1mm〜5mmであることが好ましい。
本実施形態の発光素子10は、複層体110と支持基板131との間に接着層121を備える。接着層121は、複層体110の基材フィルム層112と支持基板131との間に介在して、これらの2層を接着する層である。
接着層121の材料である接着剤は、狭義の接着剤(23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaであり、常温で粘着性を示さない、いわゆるホットメルト型の接着剤)のみならず、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満である粘着剤をも包含する。具体的には、支持基板131あるいは基材フィルム層112に近い屈折率を有し、且つ透明であるものを適宜用いうる。より具体的には、アクリル系接着剤あるいは粘着剤が挙げられる。接着層の厚さは、5μm〜100μmであることが好ましい。
本実施形態の発光素子10は、有機EL素子140の表面145に封止基材151を備える。封止基材151は、有機EL素子140の表面145に直接接するように設けてもよい。また、有機EL素子140の145と封止基材151との間に、充填材や接着剤等の任意の物質が存在していてもよいし、空隙が存在していてもよい。空隙には、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がない限りは空気やその他の気体が存在してもよいし、空隙内を真空としてもよい。
発光素子10の製造方法は、特に限定されないが、例えば、支持基板131の一方の面に有機EL素子140を構成する各層を積層する工程と、凹凸構造層111及び基材フィルム層112を有する複層体110を用意する工程と、用意した複層体110を接着層121を介して支持基板131の他方の面に貼付する工程と、有機EL素子140の支持基板131とは反対側の面に封止基材151を設ける工程とを行うことにより製造してもよい。ここで、前記の各工程は、所望の発光素子10が得られる限り順番に制限はない。
(方法1)基材フィルム層112を構成する樹脂組成物Aの層及び凹凸構造層111を構成する樹脂組成物Bの層(凹凸構造はまだ形成されていない)を有する未加工複層体を用意し、かかる未加工複層体の樹脂組成物B側の面上に、凹凸構造を形成する方法;及び
(方法2)基材フィルム層112の上に、液体状態の樹脂組成物Bを塗布し、塗布された樹脂組成物Bの層に型を当て、その状態で樹脂組成物Bを硬化させ、凹凸構造層111を形成する方法
などを挙げることができる。
より具体的には、長尺の未加工複層体を押出成形により連続的に形成し、所望の表面形状を有する転写ロールとニップロールとで未加工複層体を加圧し、それにより、連続的な製造を効率的に行うことができる。転写ロールとニップロールとによる挟み圧力は、好ましくは数MPa〜数十MPaである。また転写時の温度は、樹脂組成物Bのガラス転移温度をTgとすると、好ましくはTg以上(Tg+100℃)以下である。未加工複層体と転写ロールとの接触時間はフィルムの送り速度、すなわちロール回転速度によって調整でき、好ましくは5秒以上600秒以下である。
例えば、樹脂成形法において温度を制御する方法が挙げられる。即ち、まず金属の母剤にニッケルリンや銅等のメッキを施した金型を切削して一次型を作製する。その後、一次型の形状を前記の熱可塑性樹脂に写し取り、樹脂製の型を作製する。この際、一次型から樹脂製の型を取り外す際、一次型の温度を適切に調整することにより、樹脂製の型における角が丸みを帯びる。その後、電気鋳造法(電鋳)により樹脂製の型の形状を二次型に写し取ることによって、所望の型を製造してもよい。
本実施形態の発光素子10は上述したように構成されているので、有機EL素子140の発光層142で発生した光は、第一の透明電極層141及び出光面構造層100を透過して出光面10Uを通って取り出され、また、第二の透明電極層143及び封止基材151を透過して出光面10Dを通って取り出される。この際、出光面10Uが平坦面部113及び114並びに斜面部115を含む凹凸構造を有するため、出光面10Uから光を高効率で取り出すことができる。
さらに、発光素子10のヘイズは、発光素子10全体として、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下と小さい値になっている。なお、下限値は理想的にはゼロであるが、通常は0.1%以上である。
第一実施形態に係る斜面部115においては、相対的に突出した平坦面部113との境の部分に曲面部115cを形成したが、例えば、相対的に窪んだ平坦面部114との境の部分に曲面部を形成してもよい。ここで、相対的に突出した平坦面部とは、有機EL素子までの距離が遠い平坦面部を指し、また、相対的に窪んだ平坦面部とは、有機EL素子までの距離が近い平坦面部を指す。以下、その例を、図面を用いて説明する。
第一実施形態及び第二実施形態に係る斜面部115及び215においては、相対的に突出した平坦面部113との境の部分、及び、相対的に窪んだ平坦面部114との境の部分の一方に曲面部を形成した。しかし、斜面部において、相対的に突出した平坦面部113との境の部分、及び、相対的に窪んだ平坦面部114との境の部分の両方に、曲面部を形成してもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
第一実施形態〜第三実施形態においては出光面に凹部を設け、この凹部により平坦面部と斜面部とを有する凹凸構造を構成したが、例えば、凹部の代わりに凸部を設けてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
第一〜第四実施形態においては、有機EL素子の2つの表面のうち一方の表面に出光面構造層を配置するようにしたが、両方の表面に出光面構造層を配置するようにしてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
第一〜第五実施形態においては、同じ出光面に形成される凹部又は凸部の寸法を一定にし、ひいては凹凸構造が有する平坦面部及び斜面部の寸法もそれぞれ一定に形成したが、寸法を不揃いにして寸法差を設けるようにしてもよい。中でも、出光面を通って出光する出射光及び出光面で反射した反射光の一方又は両方の干渉をもたらす差異を超える寸法差を設けると、前記の出射光及び反射光の一方又は両方の干渉による虹ムラを抑制できるため、好ましい。
本発明に係る出光面構造層は、有機EL素子を備える発光素子であれば、任意の発光素子に適用しうる。したがって、有機EL素子に対して対称な層構造を有する発光素子に対して上述した出光面構造層を設けてもよく、有機EL素子に対して非対称な層構造を有する発光素子に対して出光面構造層を設けてもよい。例えば、第五実施形態では、有機EL素子の両方の表面144及び145に、出光面構造層以外の層を備えない点で対称な発光素子の例を示したが、有機EL素子に対して非対称な層構造を有する発光素子に構造層を適用してもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
本発明の発光素子について実施形態を示して説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
例えば、上述した実施形態では有機EL素子の表面に直接に接するように出光面構造層を設けたが、出光面構造層は他の任意の層を介して有機EL素子の表面に設けられていてもよい。任意の層としては、例えば、有機EL素子を外気及び湿気から保護するガスバリア層、紫外線を遮断する紫外線カット層などが挙げられる。
具体例を挙げると、平坦面部は、上述した実施形態のように厚み方向の位置を2段階に揃えて設ける以外にも、図23に示すように1段階に揃えて設けてもよい。図23は、本発明の別の実施形態に係る凹凸構造層811の断面を模式的に示す断面図である。また図23において、符号「815f」は、斜面部815の曲面部815c以外の部分を表す。
なお、平坦面部913、914及び917の厚み方向の位置を3段階以上の複数段階で揃える場合、平坦面部913、914及び917の厚み方向の位置の差の最大値は、図24において符号HMAXで示す寸法となる。
本発明の発光素子は、例えば、照明器具及びバックライト装置等の用途に用いることができる。
照明器具は、本発明の発光素子を光源として有し、さらに、必要に応じて、光源を保持する部材、電力を供給する回路等の任意の構成要素を備える。
また、バックライト装置は、本発明の発光素子を光源として有し、さらに、必要に応じて、筐体、電力を供給する回路、出光する光をさらに均一にするための拡散板、拡散シート、プリズムシート等の任意の構成要素を含む。バックライト装置の用途は、液晶表示装置等、画素を制御して画像を表示させる表示装置、並びに看板等の固定された画像を表示させる表示装置のバックライト等が挙げられる。
以下の説明において表記される樹脂の屈折率は、いずれも、硬化後の屈折率を表す。また、量を示す「部」及び「%」は、別に断らない限り重量基準である。さらに、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。また、方位角方向とは、凹凸構造が形成された面に平行な方向を指す。
(切削モールドの作製)
頂角5°、先端幅約55μmの切削バイトを用いて、金属板に、4つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を作製する切削モールドを作製した。4つの方位角方向は、0°方向、45°方向、90°方向及び135°方向とした。また、切削ピッチはいずれも400μmとし、いずれの溝の深さも10.0μmとした。
図25は、実施例1において樹脂モールドを製造する際の様子を模式的に示す図である。図25に示すように、射出成形機(型締め力9,810KN;図示せず。)を用いて、前記の切削モールド510により、脂環式構造を有する樹脂(日本ゼオン社製「ゼオノア1060R」、吸水率0.01%)を成型して、樹脂モールド520を得た。成型の際の条件は、シリンダー温度290℃、保圧50MPa、保圧時間3秒とした。また切削モールド510の金型温度を約70℃から90℃の条件下で変え、樹脂モールド520を20枚成形した。
また、通常、曲面部522cは、曲率半径rの計算に際して無視しうる程度に小さい。したがって、斜面522の曲面部522c以外の部分522fの傾斜角度φの代わりに、斜面部522の平均傾斜角度θを用いても、曲率半径rは計算しうる。
こうして求められる曲率半径rは推測値であるが、高い信頼性のある値と考えられる。
また、この樹脂モールド520の平坦面部の合計面積(全面積)に対する斜面部の投影面積の比は、約0.043であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、10.1μmであった。
図28は、実施例1において転写モールド530を製造する際の様子を模式的に示す図である。樹脂モールド520から、電気鋳造法により、転写モールド530を作製した。これにより、樹脂モールド520の凹凸構造を反転させた形状を有する転写モールド530を得た。
図29は、実施例1において凹凸構造層540を製造する際の様子を模式的に示す図である。ロール状のフィルム基材として、脂環式オレフィンポリマーのフィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」、厚さ100μm、屈折率1.53)を用意した。このフィルム基材に、ウレタンアクリレートを主成分とするUV硬化樹脂(屈折率1.54)を塗布して塗膜を形成した。かかる塗膜上に転写モールド530を押し付けた。この状態で、紫外線を1.5mJ/cm2照射し、塗膜を硬化させた。これにより、厚み15μmの、凹凸構造を有する凹凸構造層540を作製した。
主面に透明電極層が形成されたガラス基板上に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホール阻止層、電荷発生層、金属酸化物層及び陰極を、この順に形成した。各層を形成した材料と膜厚は下記の通りである。
・ホール注入層:三酸化モリブデン(MoO3)5nm
・ホール輸送層:NS−21[新日鉄化学株式会社製]及びMoO3 20nm、さらにNS−21 5nm、合計25nm
・発光層:NS−21及びEY52(e−Ray Optoelectronics Technology社(以下、e−Ray社とする)製)20nm、さらにEB43及びEB52(共にe−Ray社製)30nm、合計50nm
・ホール阻止層:ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq) 5nm
・電荷発生層:Liq及びDPB 35nm、さらにアルミニウム 1.5nm、さらにNS−21及びMoO3 10nm、合計37.5nm
・金属酸化物層:MoO3 5nm
・陰極:ITO 100nm
得られた透明有機EL素子1に、凹凸構造層を形成したフィルム基材を粘着層(アクリル系樹脂、屈折率1.49、日東電工社製、CS9621)を介して貼り合せ、透明有機EL素子1−粘着層−フィルム基材−凹凸構造層との層構成を有する発光素子1を得た。得られた発光素子1を通電して光らせ、発光素子1の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
頂角30°、先端幅約165μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも300μmとし、いずれの溝の深さも10.0μmとした。
また、切削バイトの先端幅と、樹脂モールドの凸部の平坦面部の幅と、斜面部の平均傾斜角度から、曲面部の曲率半径を計算したところ、約10.0μmであった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、約0.069であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、10.1μmであった。
得られた発光素子2を通電して光らせ、発光素子2の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
頂角10°、先端幅約114μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも250μmとし、いずれの溝の深さも30.0μmとした。
また、切削バイトの先端幅と、樹脂モールドの凸部の平坦面部の幅と、斜面部の平均傾斜角度から、曲面部の曲率半径を計算したところ、約7.5μmであった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、約0.093であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、30.1μmであった。
得られた発光素子3を通電して光らせ、発光素子3の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
頂角25°、先端幅約108μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも300μmとし、いずれの溝の深さも25.0μmとした。
切削バイトの先端幅と、樹脂モールドの凸部の平坦面部の幅と、斜面部の平均傾斜角度から、曲面部の曲率半径を計算したところ、約5.0μmであった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、約0.088であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、25.1μmであった。
得られた発光素子4を通電して光らせ、発光素子4の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
頂角20.0°、先端幅25μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも50μmとし、いずれの溝の深さも20.0μmとした。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.138であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、20.1μmであった。
頂角50.0°、先端幅25μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも150μmとし、いずれの溝の深さも15.0μmとした。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.172であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、15.1μmであった。
頂角20.0°、先端幅25μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも50μmとし、いずれの溝の深さも25.0μmとした。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.17であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、25.1μmであった。
頂角30.0°、先端幅50μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも100μmとし、いずれの溝の深さも30.0μmとした。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.156であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、30.1μmであった。
(凹凸構造層の透明性)
実施例1〜4並びに比較例2〜5で得られた凹凸構造層について、プログラム(プログラム名「ASAP」、Breault Reserch社製)を用いた光学シミュレーションで、平行光透過率と拡散光透過率を算出し、凹凸構造層の透明性を表す数値として、(拡散光透過率)/(平行光透過率+拡散光透過率)×100を算出した。この数値が低いほど、厚み方向から見た透明性に優れることを表す。得られた値を表1〜2に示す。
実施例1で得られた透明有機EL素子1、実施例1〜4並びに比較例2〜5で得られた発光素子1〜8について、プログラム(プログラム名「ASAP」、Breault Reserch社製)を用いた光学シミュレーションで、発光層の光度を1lmとし、両面からでてくる光度を算出した。得られた値を表1及び表2に示す。
実施例1〜実施例4、および比較例2〜比較例5で得られた面発光素子1〜8について目視観察し、格子ムラの有無を確認した。実施例1〜実施例4は、凹凸構造層の斜面部が、平坦面部との境の部分に曲面部を有しており、所定の傾きを有しているため、格子ムラがほとんど観察されず優良であった。
5mm×5mmサイズの文字を配列した表示面の50cm手前に、透明有機EL素子1および発光素子1〜8を非点灯状態で配置し、透明有機EL素子1および発光素子1〜8を通して、正面方向および斜め方向から文字を観察した。文字がにじみやゆがみが無くはっきり見えるものを「優」、にじみやゆがみがあるが、文字が読み取れるものを「良」、にじみやゆがみが多く、文字がはっきり読み取れないものを「不良」とした。結果を表1及び表2に示す。
下記の表1及び表2に、前記の実施例及び比較例の結果を示す。また、透明有機EL素子1については、比較例1として取り扱う。表1及び表2において、貼合面とは発光素子において凹凸構造層を設けた面を指し、裏面とは発光素子において凹凸構造層を設けた面とは反対側の面を指す。また、比較例1において、「貼合面の光取出量」欄の数値および「裏面の光取出量」欄の数値は、いずれも、凹凸構造層の無いガラス表面からの光取出量を表す。
表2から分かるように、発光素子の表面に凹凸構造を設けていない比較例1では光取出効率が低い。また、比較例2〜5では、光取出効率には優れているが、凹凸構造層に平坦面部と斜面部との境界に一定の傾きを有していないために視認性及び透明性に劣り、また格子ムラを抑制できていない。これに対し、表1に記載のように、本発明の実施例1〜4では光取出効率、視認性及び透明性、並びに格子ムラの抑制性能の全てにバランスよく優れる。したがって、本発明の構成により、シースルーであることを維持しながら、高効率で光を取り出すことができ、更には格子ムラを抑制可能な発光素子を実現しうることが確認された。
10U及び10D 出光面
20 発光素子
20U 出光面
30 発光素子
30U 出光面
40 発光素子
40U 出光面
50 発光素子
60U 出光面
70 発光素子
80U 出光面
90U 出光面
100 出光面構造層
110 複層体
111 凹凸構造層
112 基材フィルム層
113 平坦面部
114 平坦面部
115 斜面部
115c 曲面部
115f 斜面部の曲面部以外の部分
116 凹部
117 斜面部と平坦面部との境界線
118 繰り返し構造
121 接着層
131 支持基板
140 有機EL素子
141 第一の透明電極層
142 発光層
143 第二の透明電極層
144 有機EL素子の表面
145 有機EL素子の表面
151 封止基材
200 出光面構造層
210 複層体
211 凹凸構造層
215 斜面部
215c 曲面部
215f 斜面部の曲面部以外の部分
216 凹部
218 繰り返し構造
300 出光面構造層
310 複層体
311 凹凸構造層
315 斜面部
315c1 曲面部
315c2 曲面部
315f 斜面部の曲面部以外の部分
316 凹部
318 繰り返し構造
400 出光面構造層
410 複層体
411 凹凸構造層
413 平坦面部
414 平坦面部
415 斜面部
415c 曲面部
415f 斜面部の曲面部以外の部分
416 凸部
418 繰り返し構造
510 切削モールド
511 溝
512 溝の底
513 溝の側面
520 樹脂モールド
521 凸部
522 斜面部
522c 曲面部
523 平坦面部
530 転写モールド
540 凹凸構造層
611 凹凸構造層
613 平坦面部
614 平坦面部
615 斜面部
615c 曲面部
615f 斜面部の曲面部以外の部分
616 凹部
617 平坦面部
618 斜面部
618c 曲面部
618f 斜面部の曲面部以外の部分
619 凹部
761 不活性ガス層
811 凹凸構造層
813 平坦面部
815 斜面部
815c 曲面部
815f 斜面部の曲面部以外の部分
816 凹部
911 凹凸構造層
913 平坦面部
914 平坦面部
915 斜面部
916 凹部
917 平坦面部
918 斜面部
918c 曲面部
918f 斜面部の曲面部以外の部分
900 平面
901 斜面部の投影像
Claims (3)
- 第一の透明電極層、発光層及び第二の透明電極層をこの順に備える両面発光型の有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも一方の表面に直接または間接的に設けられる出光面構造層とを備える発光素子であって、
前記出光面構造層は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子とは反対側の表面に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の一方の表面に対して平行な平坦面部と、前記平坦面部に対して傾斜した斜面部とを有する凹凸構造を有し、
前記斜面部を、前記平坦面部に対して垂直な方向に、前記平坦面部に対して平行な平面へと投影して形成される投影面積が、前記平坦面部の全面積の0.1倍以下であり、
前記斜面部は、前記平坦面部との境の部分に、前記平坦面部に近い位置ほど前記平坦面部に対して小さく傾斜する曲面部を有する、発光素子。 - 前記凹凸構造における平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値が22μm以下である、請求項1記載の発光素子。
- 前記斜面部が前記平坦面部に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度で傾斜している、請求項1又は2記載の発光素子。
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