JP2013131470A - 発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】シースルーであることを維持しながら、高効率で光を取り出すことができ、更には凸部又は凹部によるスジが視認され難い発光素子を提供する。
【解決手段】第一の透明電極層、発光層及び第二の透明電極層をこの順に備える両面発光型の有機EL素子と、有機EL素子の少なくとも一方の表面に設けられる出光面構造層とを備える発光素子であって、出光面構造層が、有機EL素子とは反対側の表面に、有機EL素子の一方の表面に対して平行な平坦面部と、平坦面部に対して傾斜した斜面部とを有する凹凸構造を有し、斜面部を、平坦面部に対して垂直な方向に、平坦面部に対して平行な平面へと投影して形成される投影面積が、平坦面部の全面積の0.1倍以下であり、斜面部は、平坦面部との境の部分に曲面部を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は発光素子に関する。具体的には、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、適宜「有機EL素子」という。)を備える発光素子に関する。
有機EL素子を備える発光素子は、その形状を面状とすることが可能であり、且つ、その光の色を白色又はそれに近い色とすることが可能である。このため、有機EL素子を備える発光素子は、住環境等の空間を照明する照明器具の光源として、または、表示装置のバックライト装置としての用途に用いることが考えられる。
しかしながら、現在知られている有機EL素子は、上記照明の用途に用いるには効率が低い。そこで、有機EL素子の光取出効率を向上させることが望まれる。有機EL素子の光取出効率を向上させる方法として、片面発光型の有機EL素子の表面に、種々の凹凸構造を設けることが知られている。例えば、有機EL素子の表面に、凹凸構造を有する構造層を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−266429号公報
有機EL素子を備える発光素子には、片面発光型の他に、両面から光を取り出す両面発光型の発光素子がある。両面発光型の発光素子においても光を高効率で取り出すことが求められるので、発明者は、両面発光型の発光素子にも、片面発光型の発光素子と同様に凹凸構造を設けることを試みた。ところが、片面発光型の発光素子用の凹凸構造をそのまま両面発光型の発光素子に適用しても、所望の性能が得られないことが判明した。
通常、両面発光型の発光素子が備える各層は、光を透過させることができるようになっている。このため、通常の両面発光型の発光素子はシースルーになっている。即ち、両面発光型の発光素子は、その発光素子を通して向こう側を見通すことができるようになっている。シースルーになっていることにより意匠性を高めたり用途を多様化することができたりするので、シースルーであることは、両面発光型の発光素子の利点の一つである。したがって、光を高効率で取り出すように凹凸構造を設ける場合でも、その発光素子を通して向こう側を見通せなくなることは避けることが望ましい。
他方、片面発光型の発光素子は、光取出効率を高める観点から反射層(例えば反射電極等)を備え、有機EL素子が発した光のうち出光面とは反対側に発せられた光を反射層で反射するようになっている。このため、外部から片面発光型の発光素子に進入した光も反射層で反射されるので、その発光素子を通して向こう側を見通すことができないようになっている。このような理由から、片面発光型の発光素子に設けられる従来の凹凸構造は、一般に、両面発光型の発光素子のようにシースルーに関する検討がなされていない。したがって、従来の凹凸構造を両面発光型の発光素子に設けた場合、通常はヘイズが大きくなって、発光素子を通して向こう側を見通せなくなる。
また、有機EL素子の表面に設けられる凹凸構造の形状の一例として、ある一定の方向に延在する凸部又は凹部を含む形状がある。また、別の例として、ある一定の方向に並んで形成された凸部又は凹部を含む形状がある。凹凸構造にこのような凸部又は凹部が含まれていると、両面発光型の発光素子では、観察する角度によっては前記の凸部又は凹部が視認されることがあった。例えば、有機EL素子の表面に対して斜めの極角で凹凸構造を観察すると、凸部又は凹部が延在する方向に沿ったスジが視認されることがあった。特に、2群の凸部又は凹部が格子状に延在したり並んだりしている場合には、凸部又は凹部のスジがある一定の領域で視認されることにより、凹凸構造の表面での反射光のムラが観察されることがあった。このムラを、以下、「格子ムラ」と呼ぶことがある。格子ムラは、発光素子の外部から照射されて凹凸構造の表面で反射された光がムラ状に観察されたものであるので、前記の凸部又は凹部のスジが視認されなくなれば、解消されるものと考えられる。ただし、ここで課題となっている格子ムラは、視認される反射光の強さが周囲よりも強かったり大きかったりすることを意味するものではない。格子ムラは、前記の凸部又は凹部のスジが視認されることにより、凸部若しくは凹部が延在する方向または凸部若しくは凹部が並んだ方向を認識しうる程度に、反射光の見え方にムラがあることを意味する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シースルーであることを維持しながら、高効率で光を取り出すことができ、更には凸部又は凹部によるスジが視認され難い発光素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するべく鋭意検討した結果、その出光面に凹凸構造を有する発光素子において、凹凸構造の平坦面部と斜面部との面積比を制御し、さらに斜面部の平坦面部との境の部分を所定の曲面にすることにより、シースルーであることを維持しながら、高効率で光を取り出すことができ、さらには凸部又は凹部によるスジが視認され難い発光素子を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕 第一の透明電極層、発光層及び第二の透明電極層をこの順に備える両面発光型の有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも一方の表面に直接または間接的に設けられる出光面構造層とを備える発光素子であって、
前記出光面構造層は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子とは反対側の表面に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の一方の表面に対して平行な平坦面部と、前記平坦面部に対して傾斜した斜面部とを有する凹凸構造を有し、
前記斜面部を、前記平坦面部に対して垂直な方向に、前記平坦面部に対して平行な平面へと投影して形成される投影面積が、前記平坦面部の全面積の0.1倍以下であり、
前記斜面部は、前記平坦面部との境の部分に、前記平坦面部に近い位置ほど前記平坦面部に対して小さく傾斜する曲面部を有する、発光素子。
〔2〕 前記凹凸構造における平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値が22μm以下である、〔1〕記載の発光素子。
〔3〕 前記斜面部が前記平坦面部に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度で傾斜している、〔1〕又は〔2〕記載の発光素子。
本発明の発光素子は、シースルーであり、高効率で光を取り出すことができ、更には凸部又は凹部によるスジが視認され難い。
図1は、本発明の第一実施形態に係る発光素子を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す発光素子を線1a−1bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の第一実施形態に係る発光素子の出光面の一部を、発光素子の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係る凹凸構造層を、図3の線3aを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。 図5は、図4の斜面部の周辺を拡大して模式的に示す部分断面図である。 図6は、本発明の第一実施形態に係る発光素子の出光面の斜面部を、平坦面部に対して垂直な方向に、平坦面部に対して平行な平面へと投影した様子を模式的に示す投影図である。 図7は、本発明の第二実施形態に係る発光素子を模式的に示す斜視図である。 図8は、図7に示す発光素子を線7a−7bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明の第二実施形態に係る発光素子の出光面の一部を、発光素子の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。 図10は、本発明の第二実施形態に係る凹凸構造層を、図9の線9aを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。 図11は、図10の斜面部の周辺を拡大して模式的に示す部分断面図である。 図12は、本発明の第三実施形態に係る発光素子を模式的に示す斜視図である。 図13は、図12に示す発光素子を線12a−12bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。 図14は、本発明の第三実施形態に係る発光素子の出光面の一部を、発光素子の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。 図15は、本発明の第三実施形態に係る凹凸構造層を、図14の線14aを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。 図16は、本発明の第四実施形態に係る発光素子を模式的に示す斜視図である。 図17は、図16に示す発光素子を線16a−16bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。 図18は、本発明の第四実施形態に係る発光素子の出光面の一部を、発光素子の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。 図19は、本発明の第四実施形態に係る凹凸構造層を、図18の線18aを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。 図20は、本発明の第五実施形態に係る発光素子を模式的に示す斜視図である。 図21は、本発明の第六実施形態に係る凹凸構造層の断面を模式的に示す断面図である。 図22は本発明の第七実施形態に係る発光素子を模式的に示す斜視図である。 図23は、本発明の別の実施形態に係る凹凸構造層の断面を模式的に示す断面図である。 図24は、本発明の別の実施形態に係る凹凸構造層の断面を模式的に示す断面図である。 図25は、実施例1において樹脂モールドを製造する際の様子を模式的に示す図である。 図26は、切削モールドによる樹脂モールドの成型の際の転写不良について説明する図である。 図27は、樹脂モールドの曲面部の曲率半径rの求め方の概要を説明する図である。 図28は、実施例1において転写モールドを製造する際の様子を模式的に示す図である。 図29は、実施例1において凹凸構造層を製造する際の様子を模式的に示す図である。
以下、実施形態及び例示物等を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下に説明する実施形態において、構成要素が「平行」又は「垂直」であるとは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲、例えば±5°の範囲内で誤差を含んでいてもよい。また、ある方向に「沿って」とは、別に断らない限り、ある方向に「平行に」という意味である。さらに、別に断らない限り、発光素子を構成する各層の厚み方向は発光素子の厚み方向に一致しており、単に「厚み方向」という場合は発光素子の厚み方向を表す。
〔1.第一実施形態〕
図1及び図2はいずれも本発明の第一実施形態に係る発光素子を説明する図であって、図1は発光素子を模式的に示す斜視図であり、図2は図1に示す発光素子を線1a−1bを通り出光面に対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。なお、線1a−1bは、一列の凹部116の全ての平坦面部114の上を通る線であるものとする。また、図1において、平坦面部113と斜面部115との境界線117は破線で示す。
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る発光素子10は、矩形の平板状の構造を有する素子であり、両面発光型の有機EL素子140を備える。有機EL素子140は、少なくとも第一の透明電極層141、発光層142及び第二の透明電極層143をこの順に備える。発光層142で生じた光は、第一の透明電極層141及び第二の透明電極層143をそれぞれ透過して、有機EL素子の表面144及び145を通って出て行くようになっている。
有機EL素子140の少なくとも一方の表面144には、出光面構造層100が設けられている。本実施形態では、出光面構造層100は有機EL素子140の表面144に接するように直接に設けられている。ただし、出光面構造層100は、例えば接着層、光拡散層等の層を介して、有機EL素子140の表面144に間接的に設けられていてもよい。
さらに、本実施形態の発光素子10は、上述した部材以外にも構成要素を備えていてもよい。本実施形態では、有機EL素子140の図中下側の表面145に封止基材151が設けられているものとする。
したがって、発光素子10は、封止基材151、有機EL素子140及び出光面構造層100をこの順に備え、出光面構造層100の有機EL素子140とは反対側の表面10Uを通って光が出て行きうるように、また、封止基材151における有機EL素子140とは反対側の表面10Dを通って光が出て行きうるようになっている。なお、前記の表面10U及び10Dは発光素子10の最も外側に位置し、この表面10U及び10Dを通って発光素子10の外部へ光が出て行くことになるため、表面10U及び10Dを「出光面」と呼ぶことがある。
〔1−1.有機EL素子〕
例えば有機EL素子140として例示するように、有機EL素子は、通常、2層以上の電極層と、これらの電極層間に設けられ、電極層から電圧を印加されることにより発光する発光層と、を備える。
有機EL素子は、基板上に有機EL素子を構成する電極層、発光層等の層を形成し、さらにそれらの層を覆う封止部材を設け、基板と封止部材で発光層等の層を封止した構成とされるのが一般的である。
前記発光層としては、特に限定されず既知のものを適宜選択してもよい。発光層中の発光材料は1種類に限らず、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、発光層は1層に限らず、光源としての用途に適合すべく、一種の層単独又は複数種類の層の組み合わせとしてもよい。これにより、白色又はそれに近い色の光を発光するものとし得る。
有機EL素子を構成する電極層は、いずれも透明な材料により形成されている透明電極層である。ここで「透明」であるとは、光学部材に用いるのに適した程度の光線透過率を有する意味である。例えば、発光素子10が全体として後述する所望の全光線透過率を有する程度に高い光線透過率を有する電極を、透明電極層として用いてもよい。このように高い透明性を有する透明電極層を備えることにより、発光層で発生した光取出効率を向上でき、また、発光素子を通じて向こう側を明瞭に見通すことができる。透明電極層の材料は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに透明電極層は1層のみを備える単層構造の層であってもよく、2層以上の層を備える複層構造の層であってもよい。
有機EL素子140は、第一の透明電極層141と第二の透明電極層143との間に、発光層142に加えて、例えばホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層及び電子注入層等の他の層(図示せず。)をさらに有していてもよい。また、有機EL素子140はさらに、第一の透明電極層141及び第二の透明電極層143に通電するための配線、発光層142の封止のための周辺構造等の任意の構成要素を備えていてもよい。
透明電極層及びその間に設ける層を構成する材料としては、特に限定されないが、具体例として下記のものを挙げることができる。
透明電極層の材料としてはITO(酸化インジウムスズ)等を挙げることができる。
正孔注入層の材料としてはスターバースト系芳香族ジアミン化合物等を挙げることができる。
正孔輸送層の材料としてはトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができる。
黄色発光層のホスト材料としてはトリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができ、黄色発光層のドーパント材料としてはテトラセン誘導体等を挙げることができる。
緑色発光層の材料としてはピラゾリン誘導体等を挙げることができる。
青色発光層のホスト材料としてはアントラセン誘導体等を挙げることができ、青色発光層のドーパント材料としてはペリレン誘導体等を挙げることができる。
赤色発光層の材料としてはユーロピウム錯体等を挙げることができる。
電子輸送層の材料としてはアルミニウムキノリン錯体(Alq)等を挙げることができる。
上記のもの又はその他の発光層を適宜組み合わせて積層型又はタンデム型と呼ばれる、補色関係にある色の光を発生する発光層としてもよい。補色関係の組み合わせは、例えば、黄/青、又は緑/青/赤等としてもよい。
〔1−2.出光面構造層〕
出光面構造層100は、有機EL素子140の表面144に設けられた層であり、この出光面構造層100の有機EL素子140とは反対側の表面が、出光面10Uである。出光面10Uは発光素子10の最表面に露出した面であり、発光素子10としての出光面、即ち、発光素子10から素子外部に光が出て行く際の出光面である。
出光面10Uは、巨視的に見ると、有機EL素子140の表面144に対して平行な面であり、発光素子10の主面に平行である。しかし、出光面10Uは、微視的に見ると凹凸構造を有するため、一部の面(本実施形態では、斜面部115)は有機EL素子140の表面144に対して非平行な角度をなしうる。そこで、以下の説明において、出光面に対して平行又は垂直であるとは、別に断らない限り、凹部又は凸部を無視して巨視的に見た出光面に対して平行又は垂直であることをいう。また、発光素子10は、別に断らない限り、かかる出光面10Uが水平方向と平行で且つ上向きになるよう載置した状態で説明する。
出光面構造層100は、凹凸構造層111及び基材フィルム層112を含む複層体110と、基板としての支持基板131と、複層体110及び支持基板131を接着する接着層121とを備える。
凹凸構造層111は、発光素子10の一方の表面(即ち、発光素子10の一方の出光面側の最外層。図中の上側)に位置する層である。凹凸構造層111の表面である出光面10Uには凹凸構造が形成されている。凹凸構造については詳しくは後述するが、この凹凸構造は、有機EL素子140の表面144に対して平行な平坦面部113及び114と、これらの平坦面部113及び114に対して傾斜した斜面部115とを有する。ここで、斜面部115が平坦面部113及び平坦面部114に対して傾斜するとは、斜面部115が平坦面部113及び114と平行でないことを表す。この際、斜面部115と平坦面部113及び114とが平行であるか否かの判断においては、精密な判断が求められるので、その判断において許容される誤差は通常±1°の範囲であり、より好ましくは±0.5°の範囲であり、理想的には誤差を含めずに平行か否かを判断することが好ましい。
具体的には、凹凸構造層111の出光面10Uは、複数の凹部116と、これらの凹部116間の隙間部分である平坦面部113とを備えている。各凹部116は、それぞれ、凹部116の底部分に相当する四角形状の平坦面部114と、この四角形の四辺からそれぞれ延びる4面の斜面部115とにより構成されている。また、斜面部115と平坦面部113との境界線117は、四角形を構成している。
なお、本明細書においては、図面は模式的な図示であるため、出光面10U上には僅かな個数の凹部116のみを示しているが、実際の発光素子においては、一枚の発光素子の出光面上に、これよりも遥かに多い数の凹部を設けてもよい。
(凹凸構造の説明)
以下、出光面10Uの凹凸構造について、図面を参照して詳細に説明する。
図3は、発光素子10の出光面10Uの一部を、発光素子10の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。図3において、平坦面部113と斜面部115との境界線117は破線で示す。また、図4は、凹凸構造層111を、図3の線3aを通り出光面10Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。さらに、図5は、図4の斜面部115の周辺を拡大して模式的に示す部分断面図である。なお、前記の線3aは、一列の凹部116の全ての平坦面部114の上を通る線であるものとする。
図3及び図4に示すように、出光面10Uは、複数の凹部116と、これらの凹部116間の隙間部分である平坦面部113とを備えている。また前記のとおり、凹部116は、凹部116の底部分に相当する矩形状の平坦面部114と、矩形の四辺からそれぞれ延びる四面の斜面部115とにより構成されている。ここで、平坦面部114は正方形状である。他方、斜面部115は、図3に示すように、厚み方向から見るといずれも同一の台形状である。したがって、斜面部115と平坦面部113との境界線117は、正方形を構成している。本実施形態では、これらの平坦面部113及び114並びに斜面部115により、出光面10Uに凹凸構造が構成されている。
このように平坦面部113及び114並びに斜面部115を有する凹凸構造を有することにより、凹凸構造を有さない場合と比較して、本実施形態の発光素子10は、出光面10Uからの光取出効率を高めることができる。これは、平坦面部113及び114で内部反射することにより取り出すことができなかった光であっても、斜面部115からであれば取り出すことができるからである。また、平坦面部113及び114が、有機EL素子140を出てから空気中に取り出されまで反射を繰り返す光を、多様な方向に反射させるので、これによっても、光取出効率を高めることができる。
さらに、本実施形態においては、外部衝撃により凹凸構造の欠け等が生じることを防止でき、ひいては出光面10Uの機械的強度を向上させることができる。一般に、面に凹凸構造があると、その面に衝撃が加えられた場合に当該凹凸構造の一部に力が集中し、破損しやすくなる傾向がある。ところが、本実施形態の発光素子10では、平坦面部113の厚み方向の位置を揃えて均一で平坦な面としているため、外部から出光面10Uに加えられる力又は衝撃によって出向面10Uの一部に力が集中することを抑制できるようになっている。このため、出向面10Uの破損を防止し、良好な光取り出し効率と、発光素子10の出光面10Uの高い機械的強度とを両立させることができるようになっている。
さらに、本実施形態においては、凹凸構造に塵及び破片が溜まり難くすることができる。平坦面部114は、周囲を斜面部115に囲まれ、相対的に凹んだ窪みとなっている。したがって、塵及び埃が発光素子10に付着する場合、その塵及び埃は、窪みに相当する平坦面部114に溜まり易い。仮に塵及び破片が平坦面部114に溜まると光取出効率の低下及び輝点の発生などを生じる可能性がある。ところが、本実施形態では窪みの底である平坦面部114が平坦になっているので、塵及び破片を容易に排出でき、塵及び破片が溜まり難くすることができる。
図3に示すように、斜面部115は、厚み方向から見るといずれも台形状である。ただし、図5に示すように、斜面部115は、平坦面部113との境の部分に曲面部115cを有している。ここで、平坦面部113と斜面部115との境の部分とは、斜面部115の一部分であって、平坦面部113と斜面部115との境界Pから所定の範囲までの部分を意味する。したがって、曲面部115cは、平坦面部113と斜面部115との境界Pにおいて平坦面部113と接している。なお、曲面部115cは、厚み方向から見て平坦面部113と斜面部115との境の部分の、少なくとも一部に設けられていてもよいが、通常は全体に設けられる。
また、曲面部115cとは、曲面で形成された部分を意味する。この曲面部115cは、当該曲面部115cが接する平坦面部113に近い位置ほど前記平坦面部113に対して小さく傾斜している。すなわち、平坦面部113に対する曲面部115cの傾斜角度ρは、平坦面部113に近い位置ほど小さくなっていて、平坦面部113に近い位置ほどゼロに近くなっている。また、曲面部115cは、前記平坦面部113から遠い位置ほど前記平坦面部113に対して大きく傾斜している。すなわち、平坦面部113に対する曲面部115cの傾斜角度ρは、平坦面部113に遠いほど大きくなっていて、平坦面部113から遠い位置ほど、斜面部115の曲面部115c以外の部分115fの傾斜角度に近くなっている。したがって、平坦面部113と斜面部115との間には角が無くなっていて、平坦面部113から斜面部115にかけて出光面10Uは滑らかに繋がっている。
このように、斜面部115が、平坦面部113との境の部分に曲面部115cを有しているので、格子ムラを抑えることができる。例えば、曲面部115cを形成しないタイプの発光素子では、平坦面部と斜面部との境界には角があると考えられる。このような発光素子では、平坦面部と斜面部との境界の角が輝点となり、この輝点が凹部の並ぶ方向に連続して見えることにより、スジ状の格子ムラが視認されていたものと考えられる。また、平坦面部と斜面部との境界に角があると、その角の周期的構造に起因して干渉及び回折が生じることが考えられる。これらの干渉及び回折によって光が強められたり弱められたりすると、凹部が並んだ方向において相対的に強い光が見える可能性があるので、この現象も、格子ムラの発生の一因であったと考えられる。これに対し、本実施形態に係る発光素子10では、曲面部115cを設けることにより、輝点、干渉及び回折の原因となる角が少なくなるので、格子ムラを抑制できるものと推察される。
前記の曲面部115cの曲率半径rは、通常1μm以上、好ましくは1.25μm以上、より好ましくは1.5μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは17.5μm以下、より好ましくは15μm以下である。曲面部115cの曲率半径を前記範囲の下限値以上とすることにより、格子ムラを効果的に抑制できる。また、上限値以下とすることにより、斜面部の投影面積を小さく抑えることが可能となり、発光素子を通して向こう側を良好に見通すことができる。
図3に示すように、凹部116は、通常、位置が離散的になるように設けられる。ここでは、複数の凹部116は、出光面10Uに対して平行で互いに垂直な2方向X及びYに沿って配列されている。具体的には、凹部116は、一定の間隔Lを空けて、2方向X及びYに沿って連続して配置されている。前記の2方向X及びYにおいて、隣り合う凹部116の間には隙間が設けられていて、この隙間が平坦面部113を構成している。よって、出光面10Uにおいては、通常、平坦面部114の周囲には斜面部115が位置し、斜面部115の周囲(ひいては、凹部116の周囲)には平坦面部113が位置している。
図6は、発光素子10の出光面10Uの斜面部115を、平坦面部113及び114に対して垂直な方向に、平坦面部113及び114に対して平行な平面900へと投影した様子を模式的に示す投影図である。本実施形態では、平坦面部113及び114に対して垂直な方向は、出光面10Uに対して垂直な方向、及び、発光素子10の厚み方向に対して平行な方向に一致する。また、平坦面部113及び114に対して平行な平面900は、出光面10Uに対して平行な平面となる。ただし、前記の平坦面部113及び114に対して平行な平面900は、発光素子10が有する平面ではなく、斜面部115の投影面積を測定するために設定される投影平面である。また、図6において、発光素子10の出光面10Uの斜面部115を、平坦面部113及び114に対して垂直な方向に、平坦面部113及び114に対して平行な平面900へと投影した投影像901には斜線を付して示す。
図6に示すように、本実施形態の発光素子10において、斜面部115を、平坦面部113及び114に対して垂直な方向に、平坦面部113及び114に対して平行な平面900へと投影して形成される投影面積が、平坦面部113及び114の合計面積の、通常0.1倍以下、好ましくは0.05倍以下、より好ましくは0.01倍以下である。また、平坦面部113及び114の合計面積に対する斜面部115の投影面積の比の下限は、通常0.0001倍以上、好ましくは0.0005倍以上、より好ましくは0.001倍以上である。
このような構成を有することにより、本実施形態においては、発光素子10の向こう側を見通せるようになる。一般に、観察者が発光素子10を通して向こう側を見通す場合には、観察者は出光面10Uの法線方向またはそれに近い方向から発光素子10を見ることが多い。このため、シースルーを実現する観点から発光素子10を透過させるべき光は、出光面10Uに対する入射角が小さくなる傾向がある。ここで、平坦面部113及び114は、出光面10Uに対して平行であるので、出光面10Uに対する入射角が小さい光を透過させやすい傾向がある。したがって、平坦面部113及び114には、発光素子10を通して向こう側を見通すための光を効果的に透過させ、シースルーを実現する作用を有する。
ところが、従来の片面発光型の発光素子に設けられる凹凸構造を両面発光型の発光素子に適用した場合、通常は斜面部の割合が大きくなることにより、相対的に平坦面部の割合が小さくなるので、ヘイズが大きくなり、発光素子の向こう側を見通せなくなっていた。これに対し、平坦面部113及び114の合計面積に対する斜面部115の投影面積の割合を前記の範囲に収めると、出光面10Uに対して垂直な方向から見た場合の凹凸構造によるヘイズの向上を抑制できる。したがって、本実施形態の発光素子10によれば、凹凸構造を有しながらもヘイズの上昇を抑制できるので、シースルーを損なわないようになっている。
さらに、図4に示すように、出光面10Uにおける平坦面部113及び平坦面部114の厚み方向の位置の差Hの最大値は、好ましくは22μm以下であり、21μm以下もしくは20μm以下としてもよい。なお、下限は、通常2μm以上であり、3μm以上もしくは4μm以上としてもよい。
平坦面部113及び114の合計面積に対する斜面部115の投影面積の割合が前記の範囲にある場合において、平坦面部113及び114の厚み方向の位置の差Hの最大値を前記の範囲に収めることにより、出光面10Uの法線方向に対して傾斜した方向(斜め方向)から見た場合にも発光素子10の向こう側を見通すことができるようになる。斜面部115の面積割合が大きいと、斜め方向から出光面10Uを見た場合のヘイズが大きくなる傾向がある。これに対し、平坦面部113及び114の合計面積(全面積)に対する斜面部115の投影面積の割合が前記の範囲に収まり、且つ、平坦面部113及び114の厚み方向の位置の差Hの最大値が前記の範囲に収まることにより、斜め方向から見た場合のヘイズの向上を抑制できるので、斜め方向から発光素子10を見た場合でもシースルーを損なわないようにできる。
斜面部115は、平坦面部113及び114に対して、通常80°以上、好ましくは81°以上、より好ましくは82°以上、また、通常90°未満、好ましくは89°以下、より好ましくは88°以下の平均傾斜角度θで傾斜していることが好ましい。すなわち、斜面部115はいずれも平坦面部113及び114に対して平行でない面であるが、これらの斜面部115と平坦面部113及び114とがなす角度(傾斜角度)の平均値が前記の範囲に収まることが好ましい。このように斜面部115の平均傾斜角度θが大きいことにより、光の取出効率を安定して高めることができる。また、平均傾斜角度θが小さい場合と比べ、平均傾斜角度θが大きいと斜面部115一つあたりの前記投影面積を小さくできるので、出光面10Uに対して垂直な方向から見た場合に発光素子10の向こう側をより明瞭に見通しやすくなる。出光面10Uに対して垂直な方向は発光素子10の正面方向に当たり、通常はこの正面方向から発光素子10の向こう側を見通す頻度が高いと想定されるため、前記の利点は実用上、有用である。
ここで、本実施形態では、全ての斜面部115の形状及び傾斜角度は、同じ大きさに設定されているが、特に限定されず異なっていてもよい。
凹凸構造層111の厚みTは、前記の平坦面部113及び114の厚み方向の位置の差Hの最大値との関係で、適切な範囲にすればよい。例えば、凹凸構造層111の材料として、凹凸構造層111の耐久性の維持に有利な硬質の材料を用いた場合、凹凸構造層111の厚みTを薄くしたほうが発光素子10の可撓性を高めることが可能となり、発光素子10の製造工程における凹凸構造層111の取り扱いが容易となるので、好ましい。具体的には、平坦面部113及び114の厚み方向の位置の差Hの最大値と凹凸構造層111の厚みTとの差は、0〜30μmであることが好ましい。
図3に示すように、出光面10Uは、平坦面部113及び114並びに2つの斜面部115を含む繰り返し構造が、2方向X及びYそれぞれに沿って繰り返し並んだ形状となっている。例えば方向Xにおいては、図4に示すように、平坦面部113、斜面部115、平坦面部114及び斜面部115がこの順に並んだ繰り返し構造118が繰り返し並んだ形状となっている。このような繰り返し構造118のピッチPは、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは450μm以下、より好ましくは400μm以下である。ピッチPが前記範囲の下限値以上となることにより、光の取り出し効率を高めることができる。また、ピッチPが前記範囲の上限値以下となることにより、発光素子10の透明性を良好にできる。
凹凸構造層111の厚さTは、特に限定されないが、1μm〜70μmであることが好ましい。本実施形態では、凹凸構造層111の厚さTとは、凹凸構造が形成されていない基材フィルム層112側の面と、平坦面部113との距離のことである。
また、基材フィルム層112の厚さは、20μm〜300μmであることが好ましい。
(複層体の材料の説明)
出光面構造層100は、複数の層からなるものとしうるが、単一の層からなってもよい。所望の特性を備えた出光面構造層100を容易に得る観点からは、複数の層からなることが好ましい。本実施形態では、図1に示すように、出光面構造層100は、凹凸構造層111と基材フィルム層112とを組み合わせた複層体110を含むようになっているものとする。これにより、性能の高い出光面構造層100を容易に得ることができる。
凹凸構造層111及び基材フィルム層112は、通常、透明樹脂を含む樹脂組成物により形成する。ここで透明樹脂が「透明」であるとは、光学部材に用いるのに適した程度の光線透過率を有する意味である。本実施形態においては、出光面構造層100を構成する各層が、光学部材に用いるのに適した光線透過率を有するものとしてもよく、例えば、出光面構造層100全体として80%以上の全光線透過率を有するものとしてもよい。
透明樹脂は、特に限定されず、透明な層を形成することができる各種の樹脂を用いてもよい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを挙げることができる。なかでも熱可塑性樹脂は熱による変形が容易であるため、また紫外線硬化性樹脂は硬化性が高く効率が良いため、凹凸構造層111の効率的な形成が可能となり、それぞれ好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系、ポリアクリレート系、シクロオレフィンポリマー系等の樹脂を挙げることができる。また、紫外線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エン/チオール系、イソシアネート系等の樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂としては、複数個の重合性官能基を有するものを好ましく用いることができる。なお、前記の樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
なかでも、複層体110を構成する凹凸構造層111の材料としては、出光面10Uの凹凸構造を形成しやすく且つ凹凸構造の耐擦傷性を得やすいという観点から、硬化時の硬度が高い材料が好ましい。具体的には、7μmの膜厚の樹脂層を基材上に凹凸構造が無い状態で形成した際に、鉛筆硬度でHB以上になるような材料が好ましく、H以上になる材料がさらに好ましく、2H以上になる材料がより好ましい。一方、基材フィルム層112の材料としては、凹凸構造層111の形成に際しての取り扱い、並びに、複層体110を成形した後の複層体110の取り扱いを容易とするために、ある程度の柔軟性があるものが好ましい。このような材料を組み合わせることにより、取り扱いが容易で且つ耐久性に優れる複層体110を得ることができ、その結果、高性能の発光素子10を容易に製造することができる。
このような材料の組み合わせは、それぞれの材料を構成する樹脂として、上に例示した透明樹脂を適宜選択することにより得ることができる。具体的には、凹凸構造層111の材料を構成する透明樹脂として、例えばアクリレート等の紫外線硬化性樹脂を用い、一方、基材フィルム層112の材料を構成する透明樹脂として、例えば脂環式オレフィンポリマー製のフィルム(例えば、日本ゼオン社製のゼオノアフィルム等)や、ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
本実施形態のように、出光面構造層100が凹凸構造層111と基材フィルム層112とを含む場合、凹凸構造層111と基材フィルム層112との屈折率はできるだけ近くする態様としてもよい。この場合、凹凸構造層111と基材フィルム層112との屈折率差は、好ましくは0.1以内、さらに好ましくは0.05以内である。
凹凸構造層111、基材フィルム層112等の出光面構造層100の構成要素となる層の材料として、シースルー性を阻害しない範囲で、光拡散性のある材料を用いてもよい。これにより、シースルー性を維持しつつ、出光面構造層100を透過する光を拡散させることができ、観察角度による色味の変化等の不具合を更に低減しうる。
光拡散性のある材料としては、例えば、粒子を含んだ材料、2種類以上の樹脂を混ぜ合わせて光を拡散させるアロイ樹脂、等を挙げることができる。なかでも、光拡散性を容易に調節できるという観点から、粒子を含んだ材料が好ましく、特に粒子を含んだ樹脂組成物が特に好ましい。
粒子は、透明であってもよく、不透明であってもよい。粒子の材料としては、例えば、金属及び金属化合物、並びに樹脂等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、金属の酸化物及び窒化物を挙げることができる。金属及び金属化合物の具体例を挙げると、銀、アルミのような反射率が高い金属;酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム、窒化珪素、錫添加酸化インジウム、酸化チタン等の金属化合物;などを挙げることができる。一方、樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。なお、粒子の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
粒子の形状は、例えば、球状、円柱状、立方体状、直方体状、角錐状、円錐状、星型状等の形状としてもよい。
粒子の粒径は、好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。ここで粒径とは、体積基準の粒子量を、粒子径を横軸にして積算した積算分布における50%粒子径のことである。粒子径が大きいほど、所望の効果を得るために必要な粒子の含有割合は多くなり、粒子径が小さいほど、含有量は少なくてすむ。したがって、粒子径が小さいほど、観察角度による色味の変化の低減、及び光取り出し効率の向上等の所望の効果を、少ない粒子で得ることができる。なお、粒子の形状が球状以外である場合には、その同等体積の球の直径を粒子径とする。
粒子が透明な粒子であり、且つ粒子が透明樹脂中に含まれる場合において、粒子の屈折率と透明樹脂の屈折率との差が、0.05〜0.5であることが好ましく、0.07〜0.5であることがより好ましい。ここで、粒子及び透明樹脂の屈折率は、どちらがより大きくてもよい。粒子と透明樹脂の屈折率の差を前記範囲の下限値以上とすることにより観察角度による色味の変化を効果的に防止でき、また、上限値以下とすることにより光取出効果を高くすることができる。
粒子の含有割合は、粒子を含む層の全量中における体積割合で、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、また、80%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。粒子の含有割合をかかる下限以上とすることにより、観察角度による色味の変化の低減等の所望の効果を得ることができる。また、かかる上限以下とすることにより、粒子の凝集を防止し、粒子を安定して分散させることができる。
さらに、樹脂組成物は、必要に応じて任意の成分を含んでいてもよい。当該任意の成分としては、例えば、フェノール系、アミン系等の劣化防止剤;界面活性剤系、シロキサン系等の帯電防止剤;トリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系等の耐光剤;などの添加剤を挙げることができる。
(支持基板)
本実施形態の発光素子10は、有機EL素子140と複層体110との間に、支持基板131を備える。支持基板131を備えることにより、発光素子10に、たわみを抑制する剛性を与えることができる。また、支持基板131として、有機EL素子140を封止する性能に優れて、且つ、製造工程において有機EL素子140を構成する層をその上に順次形成することを容易に行い得る基板を備えることにより、発光素子10の耐久性を向上させ、且つ製造を容易にすることができる。
支持基板131を構成する材料としては、通常、透明な材料を用いる。その材料としては、例えば、ガラス、樹脂などが挙げられる。なお、支持基板131の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
支持基板131を構成する材料の屈折率は、特に制限されないが、1.4〜2.0とすることが好ましい。
支持基板131の厚さは、特に限定されないが、0.1mm〜5mmであることが好ましい。
(接着層)
本実施形態の発光素子10は、複層体110と支持基板131との間に接着層121を備える。接着層121は、複層体110の基材フィルム層112と支持基板131との間に介在して、これらの2層を接着する層である。
接着層121の材料である接着剤は、狭義の接着剤(23℃における剪断貯蔵弾性率が1〜500MPaであり、常温で粘着性を示さない、いわゆるホットメルト型の接着剤)のみならず、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満である粘着剤をも包含する。具体的には、支持基板131あるいは基材フィルム層112に近い屈折率を有し、且つ透明であるものを適宜用いうる。より具体的には、アクリル系接着剤あるいは粘着剤が挙げられる。接着層の厚さは、5μm〜100μmであることが好ましい。
〔1−3.封止基材〕
本実施形態の発光素子10は、有機EL素子140の表面145に封止基材151を備える。封止基材151は、有機EL素子140の表面145に直接接するように設けてもよい。また、有機EL素子140の145と封止基材151との間に、充填材や接着剤等の任意の物質が存在していてもよいし、空隙が存在していてもよい。空隙には、発光層142の耐久性を大きく損なう等の不都合がない限りは空気やその他の気体が存在してもよいし、空隙内を真空としてもよい。
封止基材151としては、有機EL素子140を封止でき、表面145から出てくる光を透過させる任意の部材を用いうる。例えば、支持基材131と同様の部材を用いてもよい。
〔1−4.製造方法〕
発光素子10の製造方法は、特に限定されないが、例えば、支持基板131の一方の面に有機EL素子140を構成する各層を積層する工程と、凹凸構造層111及び基材フィルム層112を有する複層体110を用意する工程と、用意した複層体110を接着層121を介して支持基板131の他方の面に貼付する工程と、有機EL素子140の支持基板131とは反対側の面に封止基材151を設ける工程とを行うことにより製造してもよい。ここで、前記の各工程は、所望の発光素子10が得られる限り順番に制限はない。
凹凸構造層111及び基材フィルム層112を有する複層体110の製造は、例えば、所望の形状を有する金型等の型を用意し、この型を、凹凸構造層111を形成する材料の層に転写することにより行うことができる。より具体的な方法としては、
(方法1)基材フィルム層112を構成する樹脂組成物Aの層及び凹凸構造層111を構成する樹脂組成物Bの層(凹凸構造はまだ形成されていない)を有する未加工複層体を用意し、かかる未加工複層体の樹脂組成物B側の面上に、凹凸構造を形成する方法;及び
(方法2)基材フィルム層112の上に、液体状態の樹脂組成物Bを塗布し、塗布された樹脂組成物Bの層に型を当て、その状態で樹脂組成物Bを硬化させ、凹凸構造層111を形成する方法
などを挙げることができる。
方法1において、未加工複層体は、例えば樹脂組成物A及び樹脂組成物Bを共押出する押出成形により得るようにしてもよい。未加工複層体の樹脂組成物B側の面上に、所望の表面形状を有する型(モールド)を押し当てることにより、凹凸構造を形成することができる。
より具体的には、長尺の未加工複層体を押出成形により連続的に形成し、所望の表面形状を有する転写ロールとニップロールとで未加工複層体を加圧し、それにより、連続的な製造を効率的に行うことができる。転写ロールとニップロールとによる挟み圧力は、好ましくは数MPa〜数十MPaである。また転写時の温度は、樹脂組成物Bのガラス転移温度をTgとすると、好ましくはTg以上(Tg+100℃)以下である。未加工複層体と転写ロールとの接触時間はフィルムの送り速度、すなわちロール回転速度によって調整でき、好ましくは5秒以上600秒以下である。
方法2において、凹凸構造層111を構成する樹脂組成物Bとしては、紫外線等のエネルギー線により硬化しうる組成物を用いることが好ましい。かかる樹脂組成物Bを、基材フィルム層112上に塗布し、型を当てた状態で、塗布面の裏側(基材フィルム層の、樹脂組成物Bを塗布した面とは反対側)に位置する光源から、紫外線等のエネルギー線を照射し、樹脂組成物Bを硬化させ、その後型を剥離することにより、樹脂組成物Bの塗膜を凹凸構造層111とし、複層体110を得ることができる。
型の製造方法にも制限は無い。例えば、金属板等の基材を切削して型を製造してもよい。ただし、切削加工では曲面部を形成することが難しいため、以下のような方法により型を製造してもよい。
例えば、樹脂成形法において温度を制御する方法が挙げられる。即ち、まず金属の母剤にニッケルリンや銅等のメッキを施した金型を切削して一次型を作製する。その後、一次型の形状を前記の熱可塑性樹脂に写し取り、樹脂製の型を作製する。この際、一次型から樹脂製の型を取り外す際、一次型の温度を適切に調整することにより、樹脂製の型における角が丸みを帯びる。その後、電気鋳造法(電鋳)により樹脂製の型の形状を二次型に写し取ることによって、所望の型を製造してもよい。
また、例えば、樹脂製の型を加熱する方法が挙げられる。即ち、まず任意の方法によって熱可塑性の樹脂製の型の角を作製する。その後、樹脂製の型の角を加熱して、角に丸みを帯びさせる。その後、電気鋳造法(電鋳)により樹脂製の型の形状を二次型に写し取ることによって、所望の型を製造してもよい。
〔1−5.主な利点の説明〕
本実施形態の発光素子10は上述したように構成されているので、有機EL素子140の発光層142で発生した光は、第一の透明電極層141及び出光面構造層100を透過して出光面10Uを通って取り出され、また、第二の透明電極層143及び封止基材151を透過して出光面10Dを通って取り出される。この際、出光面10Uが平坦面部113及び114並びに斜面部115を含む凹凸構造を有するため、出光面10Uから光を高効率で取り出すことができる。
また、発光素子10が備える層がいずれも透明であるため、発光素子10では、一方の出光面10Uに入射した光は発光素子10を透過して他方の出光面10Dを通って出て行けるようになっており、また、他方の出光面10Dに入射した光も発光素子10を透過して一方の出光面10Uを通って出て行けるようになっている。この際、本実施形態では、平坦面部113及び114の合計面積に対する斜面部115の投影面積の割合を所定の範囲に収めてあるので、ヘイズを抑制できる。したがって、発光素子10を通じて反対側を肉眼で明瞭に見通すことができるようになり、シースルー型の発光素子を実現できる。
具体的には、発光素子10は、発光素子10全体として、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の全光線透過率を有する。なお、上限は理想的には100%であるが、通常は90%以下である。
さらに、発光素子10のヘイズは、発光素子10全体として、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下と小さい値になっている。なお、下限値は理想的にはゼロであるが、通常は0.1%以上である。
また、発光素子10は、斜面部115が曲面部115cを有するので、発光素子10を観察した場合に、凹部116が並んだ方向X及びYに延在するスジが視認され難くなり、格子ムラを防止することができる。
〔2.第二実施形態〕
第一実施形態に係る斜面部115においては、相対的に突出した平坦面部113との境の部分に曲面部115cを形成したが、例えば、相対的に窪んだ平坦面部114との境の部分に曲面部を形成してもよい。ここで、相対的に突出した平坦面部とは、有機EL素子までの距離が遠い平坦面部を指し、また、相対的に窪んだ平坦面部とは、有機EL素子までの距離が近い平坦面部を指す。以下、その例を、図面を用いて説明する。
図7〜図11はいずれも本発明の第二実施形態に係る発光素子20を説明する図である。図7は、発光素子20を模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示す発光素子20を線7a−7bを通り出光面20Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。図9は、発光素子20の出光面20Uの一部を、発光素子20の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。図10は、凹凸構造層を、図9の線9aを通り出光面20Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。さらに、図11は、図10の斜面部215の周辺を拡大して模式的に示す部分断面図である。なお、前記の線7a−7b及び線9aは、一列の凹部216の全ての平坦面部114の上を通る線であるものとする。また、図7及び図9において、平坦面部114と斜面部215との境界線は破線で示す。さらに、図10において符号「218」は平坦面部113、斜面部215、平坦面部114及び斜面部215を含む繰り返し構造を表す。
図7〜図11に示すように、本発明の第二実施形態に係る発光素子20は、凹凸構造層111の代わりに凹凸構造層211を備えていること以外は、第一実施形態に係る発光素子10と同様である。すなわち、第二実施形態に係る発光素子20は、出光面構造層200を構成する複層体210において、凹凸構造層211の表面である出光面20Uの形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
出光面20Uの凹凸構造は、斜面部215の形状が異なること以外は第一実施形態に係る出光面10Uの凹凸構造と同様である。斜面部215は、平坦面部113との境の部分ではなく、平坦面部114との境の部分に曲面部215cを有している。曲面部215cは、当該曲面部215cが接する平坦面部114に近い位置ほど前記平坦面部114に対して小さく傾斜していて、平坦面部114に近い位置ほど傾斜角度ρがゼロに近くなっている。また、曲面部215cは、前記平坦面部114から遠い位置ほど前記平坦面部114に対して大きく傾斜していて、平坦面部114から遠い位置ほど、傾斜角度ρが斜面部215の曲面部215c以外の部分215fの傾斜角度に近くなっている。したがって、平坦面部114と斜面部215との間には角が無くなっていて、平坦面部114から斜面部215にかけて出光面20Uは滑らかに繋がっている。
さらに、本実施形態の出光面20Uにおいても、斜面部215の投影面積は、第一実施形態と同様に、平坦面部113及び114の合計面積の通常0.1倍以下となっている。また、出光面20Uの凹凸構造における平坦面部113及び114の厚み方向の位置の差Hの最大値は22μm以下であり、斜面部215が平坦面部113及び114に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度θで傾斜している。
本実施形態の発光素子20は上述したように構成されているため、有機EL素子140の発光層142で発生した光は、第一の透明電極層141及び出光面構造層200を透過して出光面20Uを通って取り出され、また、第二の透明電極層143及び封止基材151を透過して出光面10Dを通って取り出される。この際、シースルーであることを維持しながら、出光面20Uから高効率で光を取り出すことができる。また、出光面20Uにおいて格子ムラを防止することができる。さらに、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔3.第三実施形態〕
第一実施形態及び第二実施形態に係る斜面部115及び215においては、相対的に突出した平坦面部113との境の部分、及び、相対的に窪んだ平坦面部114との境の部分の一方に曲面部を形成した。しかし、斜面部において、相対的に突出した平坦面部113との境の部分、及び、相対的に窪んだ平坦面部114との境の部分の両方に、曲面部を形成してもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
図12〜図15はいずれも本発明の第三実施形態に係る発光素子30を説明する図である。図12は、発光素子30を模式的に示す斜視図である。図13は、図12に示す発光素子30を線12a−12bを通り出光面30Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。図14は、発光素子30の出光面30Uの一部を、発光素子30の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。図15は、凹凸構造層を、図14の線14aを通り出光面30Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。なお、前記の線12a−12b及び線14aは、一列の凹部316の全ての平坦面部114の上を通る線であるものとする。また、図12及び図14において、平坦面部113及び114と斜面部315との境界線は破線で示す。さらに、図15において符号「318」は平坦面部113、斜面部315、平坦面部114及び斜面部315を含む繰り返し構造を表す。また、符号「315f」は斜面部315の曲面部315c1及び315c2以外の部分を表す。
図12〜図15に示すように、本発明の第三実施形態に係る発光素子30は、凹凸構造層111の代わりに凹凸構造層311を備えていること以外は、第一実施形態に係る発光素子10と同様である。すなわち、第三実施形態に係る発光素子30は、出光面構造層300を構成する複層体310において、凹凸構造層311の表面である出光面30Uの形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
出光面30Uの凹凸構造は、斜面部315の形状が異なること以外は第一実施形態に係る出光面10Uの凹凸構造と同様である。斜面部315は、平坦面部113との境の部分に曲面部315c1を有し、平坦面部114との境の部分に曲面部315c2を有している。曲面部315c1は第一実施形態に係る曲面部115cと同様であり、曲面部315c2は第二実施形態に係る曲面部215cと同様である。したがって、平坦面部113と斜面部315との間、並びに、平坦面部114と斜面部315との間には角が無くなっていて、平坦面部113から斜面部315を介して平坦面部114にかけて出光面30Uは滑らかに繋がっている。
さらに、本実施形態の出光面30Uにおいても、斜面部315の投影面積は、第一実施形態と同様に、平坦面部113及び114の合計面積の通常0.1倍以下となっている。また、出光面30Uの凹凸構造における平坦面部113及び114の厚み方向の位置の差Hの最大値は22μm以下であり、斜面部315が平坦面部113及び114に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度θで傾斜している。
本実施形態の発光素子30は上述したように構成されているため、有機EL素子140の発光層142で発生した光は、第一の透明電極層141及び出光面構造層300を透過して出光面30Uを通って取り出され、また、第二の透明電極層143及び封止基材151を透過して出光面10Dを通って取り出される。この際、シースルーであることを維持しながら、出光面30Uから高効率で光を取り出すことができる。また、出光面30Uにおいて格子ムラを防止することができる。さらに、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔4.第四実施形態〕
第一実施形態〜第三実施形態においては出光面に凹部を設け、この凹部により平坦面部と斜面部とを有する凹凸構造を構成したが、例えば、凹部の代わりに凸部を設けてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
図16〜図19はいずれも本発明の第四実施形態に係る発光素子を説明する図である。図16は、発光素子40を模式的に示す斜視図である。図17は、図16に示す発光素子40を線16a−16bを通り出光面40Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す断面図である。図18は、発光素子40の出光面40Uの一部を、発光素子40の厚み方向から見た様子を拡大して模式的に示す部分平面図である。図19は、凹凸構造層411を、図18の線18aを通り出光面40Uに対して垂直な面で切断した断面を模式的に示す部分断面図である。なお、前記の線16a−16b及び線18aは、一列の凸部416の全ての平坦面部414の上を通る線であるものとする。また、図16及び図18において、平坦面部413と斜面部415との境界線は破線で示す。さらに、図19において符号「418」は平坦面部413、斜面部415、平坦面部414及び斜面部415を含む繰り返し構造を表す。
図16〜図19に示すように、本発明の第四実施形態に係る発光素子40は、凹凸構造層111の代わりに凹凸構造層411を備えていること以外は、第一実施形態に係る発光素子10と同様である。すなわち、第四実施形態に係る発光素子40は、出光面構造層400を構成する複層体410において、凹凸構造層411の表面である出光面40Uの形状が異なる他は、第一実施形態と同様の構成を有している。
出光面40Uの凹凸構造は、第一実施形態に係る出光面10Uの凹凸構造の凹凸を反転させた形状であり、平坦面部413、平坦面部414及び斜面部415が、第一実施形態に係る平坦面部113、平坦面部114及び斜面部115にそれぞれ対応する。このため、出光面40Uは凹部116の代わりに凸部416を有している。また、凸部416は、それぞれ、有機EL素子140の表面144に対して平行な平坦面部414を上面として有し、平坦面部414に対して傾斜した斜面部415を側面として有する。さらに、隣り合う凸部416の間には隙間が設けられていて、この隙間が、有機EL素子140の表面144に対して平行な平坦面部413を構成している。
また、斜面部415は、平坦面部413との境の部分に曲面部415cを有している。曲面部415cは、当該曲面部415cが接する平坦面部413に近い位置ほど前記平坦面部413に対して小さく傾斜していて、平坦面部413に近い位置ほど傾斜角度がゼロに近くなっている。また、曲面部415cは、前記平坦面部413から遠い位置ほど前記平坦面部413に対して大きく傾斜していて、平坦面部413から遠い位置ほど、傾斜角度が斜面部415の曲面部415c以外の部分415fの傾斜角度に近くなっている。したがって、平坦面部413と斜面部415との間には角が無くなっていて、平坦面部413から斜面部415にかけて出光面40Uは滑らかに繋がっている。
さらに、本実施形態の出光面40Uにおいても、斜面部415の投影面積は、第一実施形態と同様に、平坦面部413及び414の合計面積の通常0.1倍以下となっている。また、出光面40Uの凹凸構造における平坦面部413及び414の厚み方向の位置の差Hの最大値は22μm以下であり、斜面部415が平坦面部413及び414に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度θで傾斜している。
本実施形態の発光素子40は上述したように構成されているため、有機EL素子140の発光層142で発生した光は、第一の透明電極層141及び出光面構造層400を透過して出光面40Uを通って取り出され、また、第二の透明電極層143及び封止基材151を透過して出光面10Dを通って取り出される。この際、シースルーであることを維持しながら、出光面40Uから高効率で光を取り出すことができる。また、出光面40Uにおいて格子ムラを防止することができる。さらに、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔5.第五実施形態〕
第一〜第四実施形態においては、有機EL素子の2つの表面のうち一方の表面に出光面構造層を配置するようにしたが、両方の表面に出光面構造層を配置するようにしてもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
図20は、本発明の第五実施形態に係る発光素子50を模式的に示す斜視図である。図20に示すように、本発明の第五実施形態に係る発光素子50は、封止基材151の代わりに出光面構造層100を備えること以外は、第一実施形態に係る発光素子10と同様である。これにより、発光素子50は、有機EL素子140の2つの表面144及び145の両方に、出光面構造層100を備えることになる。したがって、発光素子50は、2つの出光面10U及び10Dの両方が凹凸構造を有することになる。なお、本実施形態では、2つの出光面10U及び10Dに、それぞれ同じ形状の凹凸構造を設けているが、必ずしもこのような形態には限定されず、一方の出光面の凹凸構造の形状と、他方の出光面の凹凸構造の形状を異なるものとしてもよい。
本実施形態の発光素子50は上述したように構成されているため、有機EL素子140の発光層142で発生した光は、第一の透明電極層141及び出光面構造層100を透過して出光面10Uを通って取り出され、また、第二の透明電極層143及び出光面構造層100を透過して出光面10Dを通って取り出される。この際、シースルーであることを維持しながら、出光面10U及び10Dから高効率で光を取り出すことができる。また、出光面10U及び10Dの両方において格子ムラを防止することができる。さらに、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔6.第六実施形態〕
第一〜第五実施形態においては、同じ出光面に形成される凹部又は凸部の寸法を一定にし、ひいては凹凸構造が有する平坦面部及び斜面部の寸法もそれぞれ一定に形成したが、寸法を不揃いにして寸法差を設けるようにしてもよい。中でも、出光面を通って出光する出射光及び出光面で反射した反射光の一方又は両方の干渉をもたらす差異を超える寸法差を設けると、前記の出射光及び反射光の一方又は両方の干渉による虹ムラを抑制できるため、好ましい。
例えば、凹部又は凸部の深さ又は高さに当たる平坦面部の厚み方向の位置の差に、前記の寸法差があることが好ましい。なお、出光面を通って出光する出射光には、有機EL素子が発した光だけでなく、当該出光面の反対側から発光素子へ入射して発光素子を透過した透過光も含む。以下、このような凹凸構造の例を、図面を用いて説明する。
図21は、本発明の第六実施形態に係る凹凸構造層611の断面を模式的に示す断面図である。図21に示すように、本発明の第六実施形態に係る凹凸構造層611の表面である出光面60Uには、平坦面部614を底面とし斜面部615を側面とする凹部616と、平坦面部617を底面とし斜面部618を側面とする凹部619とが、それぞれ複数設けられている。また、凹部616及び619の間には隙間が設けられていて、この隙間が平坦面部613を構成している。
斜面部615は、平坦面部613との境の部分に曲面部615cを有している。曲面部615cは、当該曲面部615cが接する平坦面部613に近い位置ほど前記平坦面部613に対して小さく傾斜していて、平坦面部613に近い位置ほど傾斜角度がゼロに近くなっている。また、曲面部615cは、前記平坦面部613から遠い位置ほど前記平坦面部613に対して大きく傾斜していて、平坦面部613から遠い位置ほど、傾斜角度が斜面部615の曲面部615c以外の部分615fの傾斜角度に近くなっている。したがって、平坦面部613と斜面部615との間には角が無くなっていて、平坦面部613から斜面部615にかけて出光面60Uは滑らかに繋がっている。
また、斜面部618は、平坦面部613との境の部分に曲面部618cを有している。曲面部618cは、当該曲面部618cが接する平坦面部613に近い位置ほど前記平坦面部613に対して小さく傾斜していて、平坦面部613に近い位置ほど傾斜角度がゼロに近くなっている。また、曲面部618cは、前記平坦面部613から遠い位置ほど前記平坦面部613に対して大きく傾斜していて、平坦面部613から遠い位置ほど、傾斜角度が斜面部618の曲面部618c以外の部分618fの傾斜角度に近くなっている。したがって、平坦面部613と斜面部618との間には角が無くなっていて、平坦面部613から斜面部618にかけて出光面60Uは滑らかに繋がっている。
さらに、本実施形態の出光面60Uにおいても、斜面部615及び618の投影面積は、第一実施形態と同様に、平坦面部613、614及び617の合計面積の通常0.1倍以下となっている。ここで、斜面部615及び618の投影面積とは、斜面部615及び618全体の投影面積を指す。また、出光面60Uの凹凸構造における平坦面部613、614及び617の厚み方向の位置の差の最大値H619は22μm以下であり、斜面部615及び618が平坦面部613、614及び617に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度で傾斜している。
ここで、凹部616の深さ(すなわち、平坦面部613と平坦面部614との厚み方向の位置の差)H616は、凹部619の深さ(すなわち、平坦面部613と平坦面部617との厚み方向の位置の差)H619よりも小さくなっている。この場合、凹部616の深さH616と凹部619の深さH619との間に、出射光及び反射光の一方又は両方の干渉をもたらす差異を超える寸法差H619−H616があると、干渉による虹ムラを抑制できる。この際、前記の寸法差H619−H616は、出射光の干渉をもたらす差異を超える寸法差であってもよいが、出射光よりも反射光の方が虹ムラへの影響が大きい傾向があるので、反射光の干渉をもたらす差異を超える寸法差であることが好ましく、出射光及び反射光の両方の干渉をもたらす差異を超える寸法差であることがより好ましい。前述した寸法差が無い場合には、凹凸構造層611の上面における平坦面部613、614および617での反射光と凹凸構造層611の下面での反射光との間で干渉が起こり虹ムラが生じていた。しかしながら、表面の凹凸構造に前記所定の寸法差を備えることにより、反射光間の干渉を抑えることができ、出光面60Uにおける虹ムラを抑えることができる。
前記の干渉をもたらす差異を超える寸法差とは、有機EL素子140から発せられた出射光の干渉を例に挙げると、例えば、出射光の中心波長の、通常0.62倍以上、好ましくは1.5倍以上の寸法差である。この寸法差を設けることにより、虹ムラの発生を抑制することができる。かかる寸法差の上限は特に限定されないが、好ましくは、出射光の中心波長の60倍以下である。
上記数値範囲は、以下に示す知見から確認している。すなわち、凹部の深さを全て揃える態様で設計した構造層において、凹部の深さに170nm以上の誤差が生じると干渉が発生して虹ムラが現れるという場合に、かかる虹ムラを発生させる誤差の最小値の2倍以上の高さの寸法差を敢えて設けると、虹ムラの発生を抑制することができることが分かっている。さらに、凹部の深さを全て揃える態様で設計した構造層において、凹部の深さに標準偏差でσ1nm(≒60nm)のバラツキが生じると干渉が発生し虹ムラが現れるという場合、6×σ1nm(=360nm)以上の寸法差を敢えて設けることにより、虹ムラの発生を抑制することができることが分かっている。上記2つの知見により、出射光の干渉をもたらす差異を超える寸法差は、発光素子が出光する光の中心波長の0.62倍以上であると示すことができる。
また、同様の理由から、透過光及び反射光の干渉では、干渉をもたらす差異を超える寸法差は、透過光及び反射光の中心波長の、通常0.62倍以上、好ましくは1.5倍以上の寸法差であり、また通常60倍以下の寸法差である。ただし、通常は、透過光及び反射光は自然光であり、任意の波長を含む光であるため、反射する光の中心波長を決定することは難しい。そこで、虹ムラの原因となる光が可視光であることに鑑みて、通常は、可視光の中心波長である550nmを反射する光の中心波長として、前記の寸法差を設定することが好ましい。
さらに、本実施形態のように凹凸構造が寸法差を有するようにした場合でも、シースルーであることを維持しながら、出光面60Uから高効率で光を取り出すことができる。また、出光面60Uにおいて格子ムラを防止することができる。さらには、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、平坦面部の厚み方向の位置の差以外の要素において、前記の寸法差を設けた場合でも、同様の効果を得ることができる。例えば、平坦面部の厚み方向の位置の差、凹部又は凸部の間隔L、繰り返し構造のピッチP、などの要素群のうち1つ以上の要素において前記の寸法差があれば、同様に虹ムラを抑制することができる。
〔7.第七実施形態〕
本発明に係る出光面構造層は、有機EL素子を備える発光素子であれば、任意の発光素子に適用しうる。したがって、有機EL素子に対して対称な層構造を有する発光素子に対して上述した出光面構造層を設けてもよく、有機EL素子に対して非対称な層構造を有する発光素子に対して出光面構造層を設けてもよい。例えば、第五実施形態では、有機EL素子の両方の表面144及び145に、出光面構造層以外の層を備えない点で対称な発光素子の例を示したが、有機EL素子に対して非対称な層構造を有する発光素子に構造層を適用してもよい。以下、その例を、図面を用いて説明する。
図22は本発明の第七実施形態に係る発光素子70を模式的に示す斜視図である。図22に示すように、本発明の第七実施形態に係る発光素子70は、有機EL素子140の第二の透明電極層143と封止基材151との間に不活性ガス層761を備えること以外は第一実施形態に係る発光素子10と同様である。
不活性ガス層761は外部から浸入する酸素及び湿気が有機EL素子140を劣化させないように保護する層であり、窒素ガス等の不活性ガスが充填された層である。通常、発光素子70の側面は図示しない封止部材で封止されるため、不活性ガス層761内のガスが外部に漏れ出すことは無い。
この発光素子70は、有機EL素子140の一方の表面145側にだけ不活性ガス層761を有する点で、有機EL素子140に対して非対称な層構造を有する。このような発光素子70であっても、シースルーであることを維持しながら、高効率で光を取り出すことができ、さらには、格子ムラを防止できる。また、第一実施形態と同様の効果を得ることもできる。
〔8.その他〕
本発明の発光素子について実施形態を示して説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
例えば、上述した実施形態では有機EL素子の表面に直接に接するように出光面構造層を設けたが、出光面構造層は他の任意の層を介して有機EL素子の表面に設けられていてもよい。任意の層としては、例えば、有機EL素子を外気及び湿気から保護するガスバリア層、紫外線を遮断する紫外線カット層などが挙げられる。
また、例えば、上述した実施形態では、出光面構造層としては、凹凸構造層、基材フィルム層、接着層及び支持基板からなるものを示したが、出光面構造層は、これらよりも少ない層から構成されたものであってもよく、又は逆にこれらの層に加えて任意の層をさらに含むものであってもよい。例えば、凹凸構造層の表面にさらにコーティング層を有し、これが出光面の凹凸構造を規定するものであってもよい。
また、例えば、平坦面部及び斜面部の位置、向き、形状、数及びこれらの組み合わせは、実施形態のものに限られず、変更してもよい。
具体例を挙げると、平坦面部は、上述した実施形態のように厚み方向の位置を2段階に揃えて設ける以外にも、図23に示すように1段階に揃えて設けてもよい。図23は、本発明の別の実施形態に係る凹凸構造層811の断面を模式的に示す断面図である。また図23において、符号「815f」は、斜面部815の曲面部815c以外の部分を表す。
図23に示す凹凸構造層811においては、略錐形状の凹部816の側面として斜面部815が設けられ、隣り合う凹部816間の隙間に厚み方向の位置を揃えて平坦面部813が設けられている。また、斜面部815の投影面積は、平坦面部813の面積に対して所定の範囲に収まっている。さらに、斜面部815は、平坦面部813との境の部分に、平坦面部813に近い位置ほど平坦面部813に対して小さく傾斜する曲面部815cを有している。このように、平坦面部813の厚み方向の位置を1段階に揃える場合でも、これらの平坦面部813及び斜面部815を有する出光面80Uから高効率で光を取り出すことができ、良好なシースルーを実現でき、さらに、格子ムラを防止することができる。
また、例えば、図24に示すように、平坦面部の厚み方向の位置を3段階以上に揃えるようにしてもよい。図24は、本発明の別の実施形態に係る凹凸構造層911の断面を模式的に示す断面図である。また図24において、符号「918f」は、斜面部918の曲面部918c以外の部分を表す。
図24に示す凹凸構造層911において凹部916は平坦面部914及び917並びに斜面部915及び918を有する。これらは、底面として平坦面部914の周囲に斜面部915が設けられ、斜面部915の周囲に平坦面部917が設けられ、平坦面部917の周囲に斜面部918が設けられ、隣り合う凹部916間の隙間に平坦面部913が設けられている。また、斜面部915及び918の投影面積は、平坦面部913、914及び917の合計面積に対して所定の範囲に収まっている。ここで、斜面部915及び918の投影面積とは、斜面部915及び918全体の投影面積を指す。さらに、斜面部918は、平坦面部913との境の部分に、平坦面部913に近い位置ほど平坦面部913に対して小さく傾斜する曲面部918cを有している。このように、平坦面部913、914及び917の厚み方向の位置を3段階以上の複数段階で揃える場合でも、これらの平坦面部913、914及び917並びに斜面部915及び918を有する出光面90Uから高効率で光を取り出すことができ、良好なシースルーを実現でき、さらに、格子ムラを防止することができる。
なお、平坦面部913、914及び917の厚み方向の位置を3段階以上の複数段階で揃える場合、平坦面部913、914及び917の厚み方向の位置の差の最大値は、図24において符号HMAXで示す寸法となる。
また、上述した実施形態においては、凹部及び凸部並びに当該凹部又は凸部に含まれる斜面部を、出光面に対して平行で互いに直交する2方向X及びYに沿って配列するようにしたが、これらは、直交しない2方向に沿って配列してもよく、3方向以上の方向に沿って配列してもよい。
また、上述した実施形態では、出光面の全面に分布する凹部又は凸部として、同一の形状からなるもののみが分布しているものを示したが、出光面には異なる形状の凹部又は凸部が混在していてもよく、また、凹部と凸部とが混在していてもよい。例えば、大きさの異なる凹部又は凸部が混在していたり、異なる傾斜角度の斜面部が混在していたりしてもよい。
また、上述した実施形態では、凹部及び凸部の幅、並びに、隣り合う凹部同士の間隔及び凸部同士の間隔については、一定のものを示したが、凹部及び凸部の幅が狭いものと広いものとが混在していてもよく、また、隣り合う凹部同士の間隔及び凸部同士の間隔が狭い箇所と広い箇所とが混在していてもよい。
〔9.用途〕
本発明の発光素子は、例えば、照明器具及びバックライト装置等の用途に用いることができる。
照明器具は、本発明の発光素子を光源として有し、さらに、必要に応じて、光源を保持する部材、電力を供給する回路等の任意の構成要素を備える。
また、バックライト装置は、本発明の発光素子を光源として有し、さらに、必要に応じて、筐体、電力を供給する回路、出光する光をさらに均一にするための拡散板、拡散シート、プリズムシート等の任意の構成要素を含む。バックライト装置の用途は、液晶表示装置等、画素を制御して画像を表示させる表示装置、並びに看板等の固定された画像を表示させる表示装置のバックライト等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において表記される樹脂の屈折率は、いずれも、硬化後の屈折率を表す。また、量を示す「部」及び「%」は、別に断らない限り重量基準である。さらに、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。また、方位角方向とは、凹凸構造が形成された面に平行な方向を指す。
〔実施例1〕
(切削モールドの作製)
頂角5°、先端幅約55μmの切削バイトを用いて、金属板に、4つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を作製する切削モールドを作製した。4つの方位角方向は、0°方向、45°方向、90°方向及び135°方向とした。また、切削ピッチはいずれも400μmとし、いずれの溝の深さも10.0μmとした。
(樹脂モールドの作製)
図25は、実施例1において樹脂モールドを製造する際の様子を模式的に示す図である。図25に示すように、射出成形機(型締め力9,810KN;図示せず。)を用いて、前記の切削モールド510により、脂環式構造を有する樹脂(日本ゼオン社製「ゼオノア1060R」、吸水率0.01%)を成型して、樹脂モールド520を得た。成型の際の条件は、シリンダー温度290℃、保圧50MPa、保圧時間3秒とした。また切削モールド510の金型温度を約70℃から90℃の条件下で変え、樹脂モールド520を20枚成形した。
得られた樹脂モールド520の表面には、切削モールド510に形成された溝511に対応して、断面が略台形状の凸部521を多数有する凹凸構造が形成された。この際、樹脂モールド520の凸部521の斜面部522には、凸部521の先端の平坦面部523との境の部分に、平坦面部523に近い位置ほど平坦面部523に対して小さく傾斜する曲面部522cが形成されていた。この曲面部522cは、切削モールド510の温度を前記のような範囲に調整したことにより生じた転写不良によって形成されたものである。
図26は、前記の切削モールド510による樹脂モールド520の成型の際の転写不良について説明する図である。図26に示すように、切削モールド510の形状を樹脂モールド520に転写する場合、切削モールド510の温度を調整することにより、切削モールド510の溝511の底512と側面513との境界部分514では、切削モールド510の形状を樹脂モールド520に転写できない転写不良が生じうる。このような転写不良が生じると、その転写不良が生じた部分は丸みを帯びた形状となる。この丸みを帯びた部分が、樹脂モールド520の曲面部522cとなる。
前記の曲面部522cの曲率半径は、切削モールド510の温度を調整することにより、制御可能である。これは、切削モールド510の温度により、樹脂への形状転写性に違いが生じるためと考えられる。
作製した複数の樹脂モールド520を、形状測定レーザーマイクロスコープ(キーエンス社製「VK9700」)を用いて測定したところ、平坦面部523に対する斜面部522の平均傾斜角度は、いずれも約87.5°であった。また、平坦面部523の幅は、切削モールド510の温度に応じた形状転写性の違いに応じて、約50μmのものから約55μmのものがあった。このうち、平坦面部523の幅が約50μmのものを選択した。
図27は、樹脂モールド520の曲面部522cの曲率半径rの求め方の概要を説明する図である。曲面部522cの曲率半径rの具体的な値は、切削モールド510の溝511の底512の幅W512と、得られた樹脂モールド520の凸部521の平坦面部523の幅W523と、凸部521の斜面522の曲面部522c以外の部分522fの平坦面部523に対する傾斜角度φから計算しうる。通常、凸部521の平坦面部523の両側に形成される斜面部522の曲面部522cは、同じ形状になると考えられるので、具体的には、以下のようにして曲率半径rを求めることができる。
図27において、凸部521の平坦面部523を延長した辺E523、及び、斜面部522の曲面部522c以外の部分522fを延長した辺E522fを想定する。また、この2辺E523及びE522fに内接しうる円Cを想定する。さらに、この円Cが、辺E523と接する接点Pを想定する。この際、前記の2辺E523及びE522fの交わる内角の角度は、180°−φとなる。また、この円Cが辺E523と接する接点Pと、前記2辺E523及びE522fの交点Pとの距離は、「(W512−W523)/2」となる。したがって、前記の円Cの半径rを、曲面部522cの曲率半径rとして計算することができる。
通常、切削モールド510の溝511の底512の幅W512は、切削モールド510の製造時に用いた切削バイトの先端幅に一致する。したがって、切削モールド510の溝511の底512の幅W512の代わりに、切削バイトの先端幅を用いても、曲率半径rは計算しうる。
また、通常、曲面部522cは、曲率半径rの計算に際して無視しうる程度に小さい。したがって、斜面522の曲面部522c以外の部分522fの傾斜角度φの代わりに、斜面部522の平均傾斜角度θを用いても、曲率半径rは計算しうる。
こうして求められる曲率半径rは推測値であるが、高い信頼性のある値と考えられる。
これを利用し、実施例1でも、切削バイトの先端幅と、樹脂モールド520の凸部521の平坦面部523の幅と、斜面部522の平均傾斜角度から、曲面部522cの曲率半径rを計算した。その結果、曲率半径rは約2.5μmであった。
また、この樹脂モールド520の平坦面部の合計面積(全面積)に対する斜面部の投影面積の比は、約0.043であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、10.1μmであった。
(転写モールドの作製)
図28は、実施例1において転写モールド530を製造する際の様子を模式的に示す図である。樹脂モールド520から、電気鋳造法により、転写モールド530を作製した。これにより、樹脂モールド520の凹凸構造を反転させた形状を有する転写モールド530を得た。
(凹凸構造層の作製)
図29は、実施例1において凹凸構造層540を製造する際の様子を模式的に示す図である。ロール状のフィルム基材として、脂環式オレフィンポリマーのフィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」、厚さ100μm、屈折率1.53)を用意した。このフィルム基材に、ウレタンアクリレートを主成分とするUV硬化樹脂(屈折率1.54)を塗布して塗膜を形成した。かかる塗膜上に転写モールド530を押し付けた。この状態で、紫外線を1.5mJ/cm照射し、塗膜を硬化させた。これにより、厚み15μmの、凹凸構造を有する凹凸構造層540を作製した。
(透明な有機EL素子の製造)
主面に透明電極層が形成されたガラス基板上に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホール阻止層、電荷発生層、金属酸化物層及び陰極を、この順に形成した。各層を形成した材料と膜厚は下記の通りである。
・透明電極層:ITO 300nm
・ホール注入層:三酸化モリブデン(MoO)5nm
・ホール輸送層:NS−21[新日鉄化学株式会社製]及びMoO 20nm、さらにNS−21 5nm、合計25nm
・発光層:NS−21及びEY52(e−Ray Optoelectronics Technology社(以下、e−Ray社とする)製)20nm、さらにEB43及びEB52(共にe−Ray社製)30nm、合計50nm
・ホール阻止層:ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq) 5nm
・電荷発生層:Liq及びDPB 35nm、さらにアルミニウム 1.5nm、さらにNS−21及びMoO 10nm、合計37.5nm
・金属酸化物層:MoO 5nm
・陰極:ITO 100nm
ホール注入層から金属酸化物層までの形成は、真空蒸着装置内に透明電極層を既に形成したガラス基板を設置し、上記のホール輸送層から金属酸化物層までの材料を抵抗加熱式により順次蒸着させることにより行なった。系内圧は5×10−3Paで、蒸発速度0.1nm/s〜0.2nm/sで行った。その後、陰極層のITOは、対向ターゲット型スパッタ法により製膜した。これを、UV硬化樹脂を用いて、別のガラス板により封止し、透明有機EL素子1を得た。得られた透明有機EL素子1に通電し駆動させたところ、良好な白色の光が得られ、正面方向及び斜め方向共に、透明性が優れていた。なお、ここで正面方向とは有機EL素子の主面の法線方向を指し、斜め方向とは有機EL素子の主面に対して45°傾斜した方向を指す。
(発光素子1の製造)
得られた透明有機EL素子1に、凹凸構造層を形成したフィルム基材を粘着層(アクリル系樹脂、屈折率1.49、日東電工社製、CS9621)を介して貼り合せ、透明有機EL素子1−粘着層−フィルム基材−凹凸構造層との層構成を有する発光素子1を得た。得られた発光素子1を通電して光らせ、発光素子1の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
〔実施例2〕
頂角30°、先端幅約165μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも300μmとし、いずれの溝の深さも10.0μmとした。
こうして得られた切削モールドを用いて実施例1と同様に樹脂モールドを作製したところ、凸部の先端の平坦面部の幅が約150μmのものから約165μmのものが得られた。そのうち、平坦面部の幅が約150μmのものを樹脂モールドとした。
この樹脂モールドの凹凸構造が形成された面において、平坦面部に対する斜面部の平均傾斜角度は、75.0°であった。
また、切削バイトの先端幅と、樹脂モールドの凸部の平坦面部の幅と、斜面部の平均傾斜角度から、曲面部の曲率半径を計算したところ、約10.0μmであった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、約0.069であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、10.1μmであった。
樹脂モールドとして以上のようにして作製されたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、転写モールドを作製し、更に凹凸構造層(厚み15μm)を形成し、発光素子2を製造した。
得られた発光素子2を通電して光らせ、発光素子2の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
〔実施例3〕
頂角10°、先端幅約114μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも250μmとし、いずれの溝の深さも30.0μmとした。
こうして得られた切削モールドを用いて実施例1と同様に樹脂モールドを作製したところ、凸部の先端の平坦面部の幅が約100μmのものから約114μmのものが得られた。そのうち、平坦面部の幅が約100μmのものを樹脂モールドとした。
この樹脂モールドの凹凸構造が形成された面において、平坦面部に対する斜面部の平均傾斜角度は、85.0°であった。
また、切削バイトの先端幅と、樹脂モールドの凸部の平坦面部の幅と、斜面部の平均傾斜角度から、曲面部の曲率半径を計算したところ、約7.5μmであった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、約0.093であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、30.1μmであった。
樹脂モールドとして以上のようにして作製されたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、転写モールドを作製し、更に凹凸構造層(厚み35μm)を形成し、発光素子3を製造した。
得られた発光素子3を通電して光らせ、発光素子3の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
〔実施例4〕
頂角25°、先端幅約108μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも300μmとし、いずれの溝の深さも25.0μmとした。
こうして得られた切削モールドを用いて実施例1と同様に樹脂モールドを作製したところ、凸部の先端の平坦面部の幅が約100μmのものから約108μmのものが得られた。そのうち、平坦面部の幅が約100μmのものを樹脂モールドとした。
この樹脂モールドの凹凸構造が形成された面において、平坦面部に対する斜面部の平均傾斜角度は、77.5°であった。
切削バイトの先端幅と、樹脂モールドの凸部の平坦面部の幅と、斜面部の平均傾斜角度から、曲面部の曲率半径を計算したところ、約5.0μmであった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、約0.088であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、25.1μmであった。
樹脂モールドとして以上のようにして作製されたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、転写モールドを作製し、更に凹凸構造層(厚み30μm)を形成し、発光素子4を製造した。
得られた発光素子4を通電して光らせ、発光素子4の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が優れていた。
〔比較例2〕
頂角20.0°、先端幅25μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも50μmとし、いずれの溝の深さも20.0μmとした。
こうして得られた切削モールドを転写モールドの代わりに用いて、実施例1と同様にして凹凸構造層(厚み25μm)を形成し、発光素子5を製造した。
製造された凹凸構造層の凹凸構造が形成された面において、平坦面部に対する斜面部の平均傾斜角度は、80.0°であった。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.138であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、20.1μmであった。
得られた発光素子5を通電して光らせ、発光素子5の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が劣っていた。
〔比較例3〕
頂角50.0°、先端幅25μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも150μmとし、いずれの溝の深さも15.0μmとした。
こうして得られた切削モールドを転写モールドの代わりに用いて、実施例1と同様にして凹凸構造層(厚み20μm)を形成し、発光素子6を製造した。
製造された凹凸構造層の凹凸構造が形成された面において、平坦面部に対する斜面部の平均傾斜角度は、65.0°であった。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.172であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、15.1μmであった。
得られた発光素子6を通電して光らせ、発光素子6の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が劣っていた。
〔比較例4〕
頂角20.0°、先端幅25μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも50μmとし、いずれの溝の深さも25.0μmとした。
こうして得られた切削モールドを転写モールドの代わりに用いて、実施例1と同様にして凹凸構造層(厚み30μm)を形成し、発光素子7を製造した。
製造された凹凸構造層の凹凸構造が形成された面において、平坦面部に対する斜面部の平均傾斜角度は、80.0°であった。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.17であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、25.1μmであった。
得られた発光素子7を通電して光らせ、発光素子7の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が劣っていた。
〔比較例5〕
頂角30.0°、先端幅50μmの切削バイトを用いて、金属板に、2つの方位角方向に溝を切削することにより、凹凸構造を有する切削モールドを作製した。2つの方位角方向は0°方向及び90°方向とした。また、切削ピッチはいずれも100μmとし、いずれの溝の深さも30.0μmとした。
こうして得られた切削モールドを転写モールドの代わりに用いて、実施例1と同様にして凹凸構造層(厚み35μm)を形成し、発光素子8を製造した。
製造された凹凸構造層の凹凸構造が形成された面において、平坦面部に対する斜面部の平均傾斜角度は、75.0°であった。
また、斜面部において、曲面部は形成されていなかった。
また、平坦面部の合計面積に対する斜面部の投影面積の比は、0.156であった。
さらに、平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値は、30.1μmであった。
得られた発光素子8を通電して光らせ、発光素子8の透過性を目視で評価すると、正面方向及び斜め方向からの透明性が劣っていた。
〔評価〕
(凹凸構造層の透明性)
実施例1〜4並びに比較例2〜5で得られた凹凸構造層について、プログラム(プログラム名「ASAP」、Breault Reserch社製)を用いた光学シミュレーションで、平行光透過率と拡散光透過率を算出し、凹凸構造層の透明性を表す数値として、(拡散光透過率)/(平行光透過率+拡散光透過率)×100を算出した。この数値が低いほど、厚み方向から見た透明性に優れることを表す。得られた値を表1〜2に示す。
(光取り出し量)
実施例1で得られた透明有機EL素子1、実施例1〜4並びに比較例2〜5で得られた発光素子1〜8について、プログラム(プログラム名「ASAP」、Breault Reserch社製)を用いた光学シミュレーションで、発光層の光度を1lmとし、両面からでてくる光度を算出した。得られた値を表1及び表2に示す。
(格子ムラ)
実施例1〜実施例4、および比較例2〜比較例5で得られた面発光素子1〜8について目視観察し、格子ムラの有無を確認した。実施例1〜実施例4は、凹凸構造層の斜面部が、平坦面部との境の部分に曲面部を有しており、所定の傾きを有しているため、格子ムラがほとんど観察されず優良であった。
(視認性)
5mm×5mmサイズの文字を配列した表示面の50cm手前に、透明有機EL素子1および発光素子1〜8を非点灯状態で配置し、透明有機EL素子1および発光素子1〜8を通して、正面方向および斜め方向から文字を観察した。文字がにじみやゆがみが無くはっきり見えるものを「優」、にじみやゆがみがあるが、文字が読み取れるものを「良」、にじみやゆがみが多く、文字がはっきり読み取れないものを「不良」とした。結果を表1及び表2に示す。
〔結果〕
下記の表1及び表2に、前記の実施例及び比較例の結果を示す。また、透明有機EL素子1については、比較例1として取り扱う。表1及び表2において、貼合面とは発光素子において凹凸構造層を設けた面を指し、裏面とは発光素子において凹凸構造層を設けた面とは反対側の面を指す。また、比較例1において、「貼合面の光取出量」欄の数値および「裏面の光取出量」欄の数値は、いずれも、凹凸構造層の無いガラス表面からの光取出量を表す。
Figure 2013131470
Figure 2013131470
〔検討〕
表2から分かるように、発光素子の表面に凹凸構造を設けていない比較例1では光取出効率が低い。また、比較例2〜5では、光取出効率には優れているが、凹凸構造層に平坦面部と斜面部との境界に一定の傾きを有していないために視認性及び透明性に劣り、また格子ムラを抑制できていない。これに対し、表1に記載のように、本発明の実施例1〜4では光取出効率、視認性及び透明性、並びに格子ムラの抑制性能の全てにバランスよく優れる。したがって、本発明の構成により、シースルーであることを維持しながら、高効率で光を取り出すことができ、更には格子ムラを抑制可能な発光素子を実現しうることが確認された。
10 発光素子
10U及び10D 出光面
20 発光素子
20U 出光面
30 発光素子
30U 出光面
40 発光素子
40U 出光面
50 発光素子
60U 出光面
70 発光素子
80U 出光面
90U 出光面
100 出光面構造層
110 複層体
111 凹凸構造層
112 基材フィルム層
113 平坦面部
114 平坦面部
115 斜面部
115c 曲面部
115f 斜面部の曲面部以外の部分
116 凹部
117 斜面部と平坦面部との境界線
118 繰り返し構造
121 接着層
131 支持基板
140 有機EL素子
141 第一の透明電極層
142 発光層
143 第二の透明電極層
144 有機EL素子の表面
145 有機EL素子の表面
151 封止基材
200 出光面構造層
210 複層体
211 凹凸構造層
215 斜面部
215c 曲面部
215f 斜面部の曲面部以外の部分
216 凹部
218 繰り返し構造
300 出光面構造層
310 複層体
311 凹凸構造層
315 斜面部
315c1 曲面部
315c2 曲面部
315f 斜面部の曲面部以外の部分
316 凹部
318 繰り返し構造
400 出光面構造層
410 複層体
411 凹凸構造層
413 平坦面部
414 平坦面部
415 斜面部
415c 曲面部
415f 斜面部の曲面部以外の部分
416 凸部
418 繰り返し構造
510 切削モールド
511 溝
512 溝の底
513 溝の側面
520 樹脂モールド
521 凸部
522 斜面部
522c 曲面部
523 平坦面部
530 転写モールド
540 凹凸構造層
611 凹凸構造層
613 平坦面部
614 平坦面部
615 斜面部
615c 曲面部
615f 斜面部の曲面部以外の部分
616 凹部
617 平坦面部
618 斜面部
618c 曲面部
618f 斜面部の曲面部以外の部分
619 凹部
761 不活性ガス層
811 凹凸構造層
813 平坦面部
815 斜面部
815c 曲面部
815f 斜面部の曲面部以外の部分
816 凹部
911 凹凸構造層
913 平坦面部
914 平坦面部
915 斜面部
916 凹部
917 平坦面部
918 斜面部
918c 曲面部
918f 斜面部の曲面部以外の部分
900 平面
901 斜面部の投影像

Claims (3)

  1. 第一の透明電極層、発光層及び第二の透明電極層をこの順に備える両面発光型の有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の少なくとも一方の表面に直接または間接的に設けられる出光面構造層とを備える発光素子であって、
    前記出光面構造層は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子とは反対側の表面に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の一方の表面に対して平行な平坦面部と、前記平坦面部に対して傾斜した斜面部とを有する凹凸構造を有し、
    前記斜面部を、前記平坦面部に対して垂直な方向に、前記平坦面部に対して平行な平面へと投影して形成される投影面積が、前記平坦面部の全面積の0.1倍以下であり、
    前記斜面部は、前記平坦面部との境の部分に、前記平坦面部に近い位置ほど前記平坦面部に対して小さく傾斜する曲面部を有する、発光素子。
  2. 前記凹凸構造における平坦面部の厚み方向の位置の差の最大値が22μm以下である、請求項1記載の発光素子。
  3. 前記斜面部が前記平坦面部に対して80°以上90°未満の平均傾斜角度で傾斜している、請求項1又は2記載の発光素子。
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