JP2013131322A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極合材層の捲回軸方向の中央部分の含浸性を向上させると共に、充放電時の正極合材層からの非水電解液の流出を防止して電池性能に優れる非水電解液二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明によって提供される非水電解液二次電池において、捲回電極体の捲回軸方向における正極合材層66の両端部分66A,66Aは、第1の正極活物質68Aを主体として構成されており、該捲回軸方向における正極合材層の少なくとも中心を含む中央部分66Bは、第2の正極活物質68Bを主体として構成されている。該第1の正極活物質と該第2の正極活物質との間で、DBP吸収量[mL/100g]が相互に異なっており、第1の正極活物質のDBP吸収量A[mL/100g]は、第2の正極活物質のDBP吸収量B[mL/100g]よりも小さい。
【選択図】図4

Description

本発明は非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、例えば、電気を駆動源として利用する車両に搭載される電源、或いはパソコンや携帯端末その他の電気製品等に用いられる電源として重要性が高まっている。特に軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましい。
非水電解液二次電池の一つの典型的な例では、正極と負極との間を電荷担体(例えばリチウムイオン等の金属イオン)が非水電解液を介して行き来することによって、充電および放電が行われる。かかる正極は、正極集電体(導電性部材)と正極合材層とを備えている。かかる正極合材層は、例えば、正極活物質と、バインダ等とを、適量の溶媒に加えて混練することでペースト状の組成物(ペースト状の組成物には、スラリー状の組成物及びインク状の組成物が包含される。)を調製し、これを正極集電体(導電性部材)上に塗布して乾燥することにより形成される。
上記のような正極と負極とを捲回して形成された捲回電極体を備える非水電解液二次電池として例えばリチウムイオン二次電池を作製する際、非水電解液を正極合材層の捲回軸方向の両端部分から注入して捲回電極体に該電解液を含浸させる。このとき、正極合材層の捲回軸方向の両端部分から注入された非水電解液が中央部分に十分に含浸されない虞がある。該中央部分において非水電解液の含浸が十分でないと、充放電時に該部分において金属リチウムが析出してしまう虞がある。このように金属リチウムが析出すると充放電時に使用されるリチウムイオンが減少し電池性能(例えばサイクル特性)が低下してしまい好ましくない。電解液の含浸に関する従来技術として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、電極体の捲回軸方向の中央部の単位体積当たりの電解液保持量が両端部分よりも多くなるように構成されているリチウムイオン電池が記載されている。
特開2009−211956号公報
ところで、上記正極合材層に非水電解液を良好に含浸させるために、正極合材層に含める正極活物質として非水電解液の吸収量が大きい活物質を用いた場合、正極合材層の捲回軸方向の中央部分において非水電解液が十分に含浸される。しかしながら、充放電時における該正極活物質の膨張及び収縮によって、正極合材層中のリチウム塩等を含む非水電解液が正極合材層(捲回電極体)から外部へと流出してしまう虞がある。その結果、正極合材層に含まれる非水電解液の減少(非水電解液の濃度ムラ)によって該正極を備えるリチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)の容量維持率が低下(即ちサイクル特性が低下)してしまう虞がある。
一方、正極合材層に含める正極活物質として非水電解液の吸収量が小さい活物質を用いた場合、充放電時に正極合材層から外部への非水電解液の流出を防止し得る。しかしながら、正極合材層(捲回電極体)に非水電解液を含浸させる際に、正極合材層の中央部分に非水電解液が十分に含浸されないため、該中央部分において非水電解液が不足(例えば全く含浸していない状態)する虞がある。
そこで、本発明は、上述した従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、正極合材層の捲回軸方向の中央部分の含浸性を向上させると共に、充放電時の正極合材層からの非水電解液の流出を防止して電池性能に優れる非水電解液二次電池を提供することである。
上記目的を実現すべく、本発明により、正極シート及び負極シートを含む捲回電極体と、非水電解液と、を備える非水電解液二次電池が提供される。即ちここで開示される非水電解液二次電池において、上記正極シートは、長尺状の正極集電体と、該正極集電体の表面上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極合材層と、を備えている。上記捲回電極体の捲回軸方向における上記正極合材層の両端部分は、第1の正極活物質を主体として構成されている。該捲回軸方向における前記正極合材層の少なくとも中心を含む中央部分は、第2の正極活物質を主体として構成されている。該第1の正極活物質と該第2の正極活物質との間で、JIS K6217−4に基づくDBP吸収量[mL/100g]が相互に異なっている。上記第1の正極活物質のDBP吸収量A[mL/100g]は、上記第2の正極活物質のDBP吸収量B[mL/100g]よりも小さいことを特徴とする。
なお、本明細書において「非水電解液二次電池」とは、非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池等のいわゆる化学電池ならびに電気二重層キャパシタ等の物理電池を包含する用語である。
本発明によって提供される非水電解液二次電池では、捲回電極体の捲回軸方向(即ち長尺状の正極集電体上に形成された正極合材層の幅方向)における正極合材層の両端部分に含まれる第1の正極活物質(即ち正極合材層の両端部分の主成分)のDBP吸収量Aは、同方向の正極合材層の中心を含む中央部分(即ち正極合材層の中央部分の主成分)に含まれる第2の正極活物質のDBP吸収量Bよりも小さい。
このように、正極合材層の中央部分に含まれる第2の正極活物質のDBP吸収量Bが、両端部分に含まれる第1の正極活物質のDBP吸収量Aよりも大きいことによって、該中央部分において非水電解液の含浸性が向上する。このため、捲回電極体の両端部分から非水電解液を注入して該捲回電極体に非水電解液を含浸させる際に、正極合材層の中央部分を含む全体に亘って非水電解液が良好に含浸される。これにより、充放電時に上記中央部分において電荷担体に由来する物質(例えば金属リチウム等の金属)の析出を防止することができる。
さらに、正極合材層の両端部分に含まれる第1の正極活物質のDBP吸収量Aは、中央部分に含まれる第2の正極活物質のDBP吸収量Bよりも小さい。このため、充放電の際に、正極合材層の中央部分に含まれる第2の正極活物質が膨張及び収縮することによって該正極合材層内に存在する非水電解液が正極合材層の捲回軸方向(幅方向)外側(両端部分の方向)に移動しても、正極合材層の両端部分は含浸性が低いため非水電解液の捲回軸方向(幅方向)への移動は抑制されることとなる。これにより、非水電解液が正極合材層(捲回電極体)の外部へと流出することを効果的に防止することができる。この結果、非水電解液が正極合材層の外部へと流出することによる正極(即ち捲回電極体)の内部抵抗の増加を抑制することができる。
ここで開示される非水電解液二次電池の好適な一態様では、上述の通りDBP吸収量AはDBP吸収量Bよりも小さく、上記第1の正極活物質のDBP吸収量A[mL/100g]は10mL/100g〜30mL/100gであり、上記第2の正極活物質のDBP吸収量B[mL/100g]は30mL/100g〜80mL/100gであることを特徴とする。好ましくは、第2の正極活物質のDBP吸収量Bは、第1の正極活物質のDBP吸収量Aよりも少なくとも5mL/100g大きい。
かかる構成によると、正極合材層の中央部分において良好な含浸性が得られるため捲回電極体の中央部分に非水電解液を良好に含浸させることができる。さらに、充放電時には正極合材層からの非水電解液の流出を効果的に防止することができる。
ここで開示される非水電解液二次電池の好適な他の一態様では、上記正極合材層の捲回軸方向の長さをLとし、該捲回軸方向の前記中央部分の長さをLpとしたときのLp/Lの値が0.15〜0.85(例えば0.2〜0.6)であることを特徴とする。
かかる構成によると、正極合材層の中央部分における非水電解液の含浸性能と、充放電時における正極合材層からの非水電解液の流出防止性能とに優れる非水電解液二次電池となり得る。
好ましくは、上記第1の正極活物質及び上記第2の正極活物質は、いずれも中空構造の活物質粒子であることを特徴とする。中空構造の活物質粒子はその中空部の大きさから上述の膨張及び収縮時における非水電解液の移動が中空構造でない活物質粒子と比較して相対的に大きいと言える。従って、かかる中空構造の活物質粒子を使用する場合に本発明の効果がより顕著となる。
ここで開示される非水電解液二次電池の好適な他の一態様では、上記正極合材層の捲回軸方向の長さは、少なくとも40mmであることを特徴とする。
正極合材層の捲回軸方向の長さが少なくとも40mmのものは、該正極合材層の中央部分における非水電解液の含浸性が十分ではないため、正極合材層の中央部分にDBP吸収量が大きい正極活物質を含めるという本発明の構成を採用することによる効果が特に発揮され得る。
また、本発明によると、複数の単電池が相互に電気的に接続されてなる車両の駆動電源としての組電池であって、上記単電池としてここで開示されるいずれかの非水電解液二次電池が使用されていることを特徴とする組電池が提供される。上述のように、ここで開示されるいずれかの非水電解液二次電池は、特にハイレート(例えば、5C〜50C、好ましくは10C〜30C)充放電時における電荷担体に由来する物質(例えば金属リチウム等の金属)の析出防止性能に優れると共に、正極合材層(捲回電極体)外部への電解液の流出防止性能に優れており、結果、好適な電池性能を維持し得る非水電解液二次電池となり得る。このため、かかる二次電池を複数個(例えば10個以上、好ましくは10〜30個程度)相互に電気的に接続された組電池は、車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)の駆動電源として好ましく用いることができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1中のII‐II線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の捲回電極体の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の正極の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る組電池の外形を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る非水電解液二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識に基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解液二次電池の好適な実施形態の一つとして、リチウムイオン二次電池を例にして詳細に説明するが、本発明の適用対象をかかる種類の非水電解液二次電池に限定することを意図したものではない。例えば、他の金属イオン(例えばマグネシウムイオン)を電荷担体とする非水電解液二次電池にも適用することができる。
本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池は、図3に示すように、正極シート64及び負極シート84を含む捲回電極体50と、非水電解液とを備えている。正極シート(正極)64は、図4に示すように、長尺状(シート形状)の正極集電体62と、該正極集電体62の表面上に形成された少なくとも正極活物質68を含む正極合材層66とを備えている。かかる正極合材層は、例えば、正極活物質68、図示しない導電材及びバインダ等の電極材料から層状に形成されている。
図4に示すように、捲回電極体50(図3参照)の捲回軸方向(即ち正極合材層66の幅方向)における正極合材層66の両端部分66A,66Aは、第1の正極活物質68A(68)を主体として構成されている。なお、両端部分66Aは、第1の正極活物質68Aの他に本発明の効果を奏する上で問題とならないような微量な正極活物質を含み得る。
また、捲回電極体50(図3参照)の捲回軸方向における正極合材層66の中央部分66Bは、第2の正極活物質68B(68)を主体として構成されている。なお、中央部分66Bは、第2の正極活物質68Bの他に本発明の効果を奏する上で問題とならないような微量な正極活物質を含み得る。
ここで、正極合材層66の上記捲回軸方向(幅方向)の中央部分66Bは、図3及び図4に示すように、正極合材層66の上記捲回軸方向の中心を含む領域であって、正極合材層66の上記捲回軸方向の長さをLとし、該捲回軸方向の中央部分66Bの長さをLpとしたときのLp/Lの値が凡そ0.15〜0.85(例えば0.2〜0.6、好ましくは0.4〜0.6。)となる領域であることが好ましい。また、正極合材層66の両端部分66A,66Aと中央部分66Bとの合材密度は実質的に同一であってもよく、例えば2.2g/cm〜3.4g/cmであり得る。
上記正極集電体62としては、従来のリチウムイオン二次電池の正極に用いられている集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウム材又はアルミニウム材を主体とする合金材を用いることができる。長尺状の正極集電体の厚さは、例えば、凡そ10μm〜30μm程度である。
上記正極活物質68(68A,68B)としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属酸化物)が挙げられる。例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn)、或いは、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)のような三元系リチウム含有複合酸化物が挙げられる。
また、一般式がLiMPO或いはLiMVO或いはLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)等で表記されるようなポリアニオン系化合物(例えばLiFePO、LiMnPO、LiFeVO、LiMnVO、LiFeSiO、LiMnSiO、LiCoSiO)を上記正極活物質として用いてもよい。
上記正極活物質68は、一次粒子が集まった二次粒子の形態をなすものであり得、その二次粒子の平均粒径(メジアン径d50)は、例えば、1μm〜50μm。好ましくは3μm〜10μmである。また、第1の正極活物質68Aと第2の正極活物質68Bとは実質的に同一の平均粒径であり得る。なお、平均粒径は、市販されている種々のレーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置によって容易に測定することができる。
本実施形態において、正極合材層66の両端部分66A,66Aに含まれる第1の正極活物質68Aと正極合材層66の中央部分66Bに含まれる第2の正極活物質68Bとの間で、JIS K6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に基づくDBP吸収量[mL/100g]は相互に異なっている。さらに、第1の正極活物質68AのDBP吸収量A[mL/100g]は、第2の正極活物質68BのDBP吸収量B[mL/100g]よりも小さい。
ここで、第1の正極活物質68AのDBP吸収量A[mL/100g]は、凡そ10mL/100g〜30mL/100g(例えば凡そ15mL/100g〜25mL/100g)である。DBP吸収量Aが30mL/100gよりも大きすぎる場合には、リチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)の充放電の際に、両端部分66A,66Aから非水電解液が外部へと流出する虞がある。一方、DBP吸収量Aが10mL/100gよりも小さすぎる場合には、正極合材層66の両端部分66A,66Aにおける非水電解液の含浸性が十分でないため、中央部分66Bに十分に非水電解液が行き渡らない虞がある。
また、第2の正極活物質68BのDBP吸収量B[mL/100g]は、第1の正極活物質68AのDBP吸収量A[mL/100g]よりも大きいことを前提として、例えば、凡そ30mL/100g〜80mL/100g(例えば凡そ30mL/100g〜60mL/100g、通常は凡そ40mL/100g〜50mL/100g)である。DBP吸収量Bが30mL/100gよりも小さすぎる場合には、正極合材層66の中央部分66Bの含浸性が十分ではないため、正極合材層66の両端部分66A,66Aから注入された非水電解液が中央部分66B(特に正極合材層66の幅方向の中心部分)に十分に含浸されない虞がある。
好ましくは、第2の正極活物質68BのDBP吸収量Bは、第1の正極活物質68AのDBP吸収量Aよりも少なくとも5mL/100g(例えば20mL/100g)大きいことである。
一般に、緻密な中実構造の粒子からなる正極活物質(例えば、層状構造のリチウム遷移金属酸化物の粉末)のDBP吸収量は、概ね10mL/100g〜20mL/100g程度である。他の条件(粒子サイズ等)が同程度であれば、かかる中実粒子のDBP吸収量に比べて、多孔質構造または中空構造の粒子のDBP吸収量は大きくなる傾向にある。ここで開示される技術における上記正極活物質68(68A,68B)としては、このような多孔質構造または中空構造の粒子であり得る。
ここで、多孔質構造とは、実体のある部分と空隙部分とが粒子全体にわたって混在している構造(スポンジ状構造)を指す。多孔質構造を有する正極活物質の代表例として、いわゆる噴霧焼成製法(スプレードライ製法と称されることもある。)により得られた正極活物質(典型的には、一次粒子が集まった二次粒子の形態を呈する。)が挙げられる。また、中空構造とは、殻部とその内側の中空部(空洞部)とを有する構造を指す。好ましい一態様において、上記殻部は、粒子外部と上記中空部とを連通させる貫通孔を有していてもよい(以下、殻部に上記貫通孔を有する中空構造を「孔空き中空構造」といい、かかる構造を有する活物質粒子を「孔空き中空活物質粒子」ということがある。)。このような中空構造(特記しない限り、孔空き中空構造を包含する意味である。)の粒子は、実体のある部分が殻部に偏っており、上記中空部にまとまった空間が確保されている点で、多孔質構造の粒子とは、構造上、明らかに区別されるものである。
かかる孔空き中空構造の活物質粒子の材質としては、リチウム遷移金属酸化物(典型的には、層状構造のリチウム遷移金属酸化物)が好ましい。遷移金属として少なくともNi(好ましくはさらにMn)を含むリチウム遷移金属酸化物(典型的にはリチウムニッケル酸化物)が特に好ましい。
≪孔空き中空活物質粒子の製造方法≫
上記リチウム遷移金属酸化物を構成材質とする孔空き中空活物質粒子は、例えば以下のようにして好適に製造することができる。その製造方法は、該活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物に含まれる遷移金属元素の少なくとも一つ(好ましい一態様では、該酸化物に含まれるリチウム以外の金属元素の全部)を含む水性溶液から、該遷移金属の水酸化物を適切な条件で析出させること(原料水酸化物生成工程)を含む。また、その遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合すること(混合工程)を含む。さらに、その混合物を焼成すること(焼成工程)を含み得る。以下、かかる製造方法の好適な一形態につき、層状構造のLiNiCoMn酸化物からなる孔開き中空活物質粒子を製造する場合を例として詳しく説明するが、この製造方法の適用対象をかかる組成の孔開き中空活物質粒子に限定する意図ではない。
ここで開示される正極活物質粒子を製造する方法の好ましい一態様では、上記原料水酸化物生成工程が、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオン(NH )を供給して該水性溶液から遷移金属水酸化物の粒子を析出させることを含む。上記水性溶液を構成する溶媒(水性溶媒)は、典型的には水であり、水を主成分とする混合溶媒であってもよい。この混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール等)が好適である。上記遷移金属化合物の水性溶液(以下、「遷移金属溶液」ともいう。)は、製造目的たる活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物の組成に応じて、該リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素(ここではNi,CoおよびMn)の少なくとも一つ(好ましくは全部)を含む。例えば、水性溶媒中にNiイオン,CoイオンおよびMnイオンを供給し得る一種または二種以上の化合物を含む遷移金属溶液を使用する。これらの金属イオン源となる化合物としては、該金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物等を適宜採用することができる。例えば、水性溶媒(好ましくは水)に硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンが溶解した組成の遷移金属溶液を好ましく使用し得る。
上記NH は、例えば、NH を含む水性溶液(典型的には水溶液)の形態で上記遷移金属溶液に供給されてもよく、該遷移金属溶液にアンモニアガスを直接吹き込むことにより供給されてもよく、これらの供給方法を併用してもよい。NH を含む水性溶液は、例えば、NH 源となり得る化合物(水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニアガス等)を水性溶媒に溶解させることにより調製することができる。好ましい一態様では、水酸化アンモニウム水溶液(すなわちアンモニア水)の形態でNH を供給する。
≪核生成段階≫
好ましい一態様では、上記原料水酸化物生成工程が、上記遷移金属溶液から遷移金属水酸化物の核を析出させる段階(核生成段階)と、その核を成長させる段階(粒子成長段階)とを含む。好ましい一態様において、上記核生成段階および上記粒子成長段階は、いずれもアンモニウムイオンの存在下で行われる。少なくとも、上記粒子成長段階は、上記溶液中のアンモニウムイオン濃度(アンモニア濃度)を制御しつつ(例えば、所定値以下に制御しつつ)行うことが好ましい。また、上記粒子成長段階は、上記核生成段階におけるpHより低pHであって且つアルカリ性の条件下で実施することが好ましい。
バラツキの少ない(例えば、粒径や粒子構造等が平均から大きく外れた粒子の個数割合が少ない)孔空き中空活物質粒子が得られやすいという観点から、上記核生成段階において、上記遷移金属溶液から短時間のうちに(例えば、ほぼ同時に)多数の核を析出させることが好ましい。例えば、上記遷移金属水酸化物が過飽和の状態にある溶液から(例えば、該溶液を臨界過飽和度に到達させることにより)上記核を析出させるとよい。かかる析出態様を好適に実現するには、上記核生成段階をpH12以上(典型的にはpH12以上14以下、例えばpH12.2以上13以下)の条件で行うことが有利である。
核生成段階におけるNH 濃度(アンモニウムイオン濃度)は特に限定されないが、通常は凡そ25g/L以下とすることが適当であり、例えば3〜25g/L程度とするとよい。上記pHおよびNH 濃度は、上記アンモニア水の使用量とアルカリ剤(液性をアルカリ性に傾ける作用のある化合物)の使用量とを適切にバランスさせることにより調整することができる。上記使用量は、例えば、反応系への供給レートとしても把握し得る。アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を、典型的には水溶液の形態で用いることができる。好ましい一態様では水酸化ナトリウム水溶液を使用する。なお、本明細書中において、pHの値は、液温25℃を基準とするpH値をいうものとする。
≪粒子成長段階≫
上記粒子成長段階では、上記核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核(典型的には粒子状)を、好ましくは上記核生成段階よりも低pH域のアルカリ性条件下で成長させる。例えば、pH12未満(典型的にはpH10以上12未満、好ましくはpH10以上11.8以下、例えばpH11.0以上11.8以下)で成長させるとよい。この粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物粒子(原料水酸化物粒子)は、好ましくは、該粒子の外表面部の密度に比べて、該粒子の内部の密度が低い構造を有する。かかる構造の遷移金属水酸化物粒子を安定して得るためには、上記粒子成長段階におけるNH 濃度を高くしすぎない(低く抑える)ことが肝要である。このことによって、遷移金属水酸化物(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物)の析出速度が速くなり、ここで開示される孔開き中空活物質粒子の形成に適した原料水酸化物粒子(換言すれば、孔開き中空構造の焼成物を形成しやすい原料水酸化物粒子)が効果的に生成し得る。通常は、粒子成長段階におけるNH 濃度を25g/L以下とすることが適当であり、好ましくは15g/L以下、より好ましくは10g/L以下(例えば8g/L以下)である。NH 濃度の下限は特に限定されないが、製造条件の管理しやすさ、品質安定性、得られる活物質粒子の機械的強度(例えば硬度)等の観点から、通常は、NH 濃度を1g/L以上(好ましくは3g/L以上)とすることが適当である。粒子成長段階におけるpHおよびNH 濃度は、核生成段階と同様にして調整することができる。
好ましい一態様では、粒子成長段階におけるNH 濃度を7g/L以下(典型的には1〜7g/L、例えば3〜7g/L)とする。この粒子成長段階におけるNH 濃度は、例えば、核生成段階におけるNH 濃度と概ね同程度としてもよく、核生成段階におけるNH 濃度より低くしてもよい。なお、遷移金属水酸化物の析出速度は、例えば、反応液に供給される遷移金属溶液に含まれる遷移金属イオンの合計モル数に対して、反応液の液相中に含まれる遷移金属イオンの合計モル数(合計イオン濃度)の推移を調べることにより把握され得る。
核生成段階および粒子成長段階のそれぞれにおいて、反応液の温度は、凡そ30℃〜60℃の範囲のほぼ一定温度(例えば、所定の温度±1℃)となるように制御することが好ましい。核生成段階と粒子成長段階とで反応液の温度を同程度としてもよい。また、反応液および反応槽内の雰囲気は、核生成段階および粒子成長段階を通じて非酸化性雰囲気に維持することが好ましい。また、反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの合計モル数(合計イオン濃度)は、核生成段階および粒子成長段階を通じて、例えば凡そ0.5〜2.5モル/Lとすることができ、凡そ1.0〜2.2モル/Lとすることが好ましい。かかる合計イオン濃度が維持されるように、遷移金属水酸化物の析出速度に合わせて遷移金属溶液を補充(典型的には連続供給)するとよい。反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの量は、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるNi,Co,Mnのモル比)に対応する量比とすることが好ましい。
≪混合工程≫
好ましい一態様では、このようにして生成した遷移金属水酸化物粒子(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物粒子)を反応液から分離し、洗浄して乾燥させる。そして、この遷移金属水酸化物粒子とリチウム化合物とを所望の量比で混合して未焼成の混合物を調製する(混合工程)。この混合工程では、典型的には、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるLi,Ni,Co,Mnのモル比)に対応する量比で、Li化合物と遷移金属水酸化物粒子とを混合する。上記リチウム化合物としては、加熱により酸化物となり得るリチウム化合物、例えば炭酸リチウム,水酸化リチウム等を好ましく用いることができる。
≪焼成工程≫
そして、上記混合物を焼成して孔空き中空構造の活物質粒子を得る(焼成工程)。この焼成工程は、典型的には酸化性雰囲気中(例えば大気中)で行われる。この焼成工程における焼成温度は、例えば700℃〜1100℃とすることができる。最高焼成温度が800℃以上(好ましくは800℃〜1100℃、例えば800℃〜1050℃)となるように行われることが好ましい。この範囲の最高焼成温度によると、リチウム遷移金属酸化物(好ましくはNi含有Li酸化物、ここではLiNiCoMn酸化物)の一次粒子の焼結反応を適切に進行させることができる。好適には、焼成工程後に焼成物を解砕し、篩分けを行ない、活物質粒子の粒径を調整するとよい。
好ましい一態様では、上記混合物を700℃以上900℃以下の温度T1(すなわち700℃≦T1≦900℃、例えば700℃≦T1≦800℃、典型的には700℃≦T1<800℃)で焼成する第一焼成段階と、その第一焼成段階を経た結果物を800℃以上1100℃以下の温度T2(すなわち800℃≦T2≦1100℃、例えば800℃≦T2≦1050℃)で焼成する第二焼成段階とを含む態様で行う。このことによって、孔開き中空構造の活物質粒子をより効率よく形成することができる。T1およびT2は、T1<T2となるように設定することが好ましい。
第一焼成段階と第二焼成段階とは、連続して(例えば、上記混合物を第一焼成温度T1に保持した後、引き続き第二焼成温度T2まで昇温して該温度T2に保持することにより)行ってもよく、あるいは、第一焼成温度T1に保持した後、いったん冷却(例えば、常温まで冷却)し、必要に応じて解砕および篩い分けを行ってから第二焼成段階に供してもよい。
なお、ここで開示される技術において、上記第一焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第二焼成段階よりも低い温度T1で焼成する段階として把握することができる。また、上記第二焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第一焼成段階よりも高い温度T2で焼成する段階として把握することができる。T1とT2との間には50℃以上(典型的には100℃以上、例えば150℃以上)の温度差を設けることが好ましい。
以上のようにしてDBP吸収量A[mL/100g]が10mL/100g〜30mL/100gの第1の正極活物質68A及び、DBP吸収量B[mL/100g]が30mL/100g〜80mL/100gの第2の正極活物質68Bの好ましい例、ここでは孔空き中空活物質粒子を製造することができる。
上記正極合材層66(即ち両端部分66A,66A及び中央部分66B)は、上記正極活物質68(第1の正極活物質68A及び第2の正極活物質68B)の他に、導電材、バインダ(結着材)等の任意の成分を必要に応じて含有し得る。
上記導電材としては、従来この種のリチウムイオン二次電池の正極で用いられているものであればよく、特定の導電材に限定されない。例えば、カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料を用いることができる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)、グラファイト粉末等のカーボン粉末を用いることができる。これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。導電材の使用量については特に限定されるものではないが、例えば、上記第1の正極活物質68A(或いは上記第2の正極活物質68B)100質量%に対して1質量%〜20質量%(好ましくは5質量%〜15質量%)とすることが例示される。
上記バインダとしては、一般的なリチウムイオン二次電池の正極に使用されるバインダと同様のものを適宜採用することができる。例えば、上記正極合材層を形成する組成物として溶剤系のペースト状組成物(ペースト状組成物には、スラリー状組成物及びインク状組成物が包含される。)を用いる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の、有機溶媒(非水溶媒)に溶解するポリマー材料を用いることができる。あるいは、水系のペースト状組成物を用いる場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。なお、上記で例示したポリマー材料は、バインダとして用いられる他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。バインダの使用量は特に限定されるものではないが、例えば、上記第1の正極活物質68A(或いは上記第2の正極活物質68B)100質量%に対して0.5質量%〜10質量%とすることができる。
ここで、「溶剤系のペースト状組成物」とは、第1の正極活物質68A(或いは上記第2の正極活物質68B)の分散媒が主として有機溶媒である組成物を指す概念である。有機溶媒としては、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)等を用いることができる。「水系のペースト状組成物」とは、第1の正極活物質68A(或いは上記第2の正極活物質68B)の分散媒として水または水を主体とする混合溶媒を用いた組成物を指す概念である。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極シート(正極)64は、例えば、以下のようにして作製することができる。第2の正極活物質68Bと他の任意成分(上記導電材、バインダ等)とを適当な溶媒に分散したペースト状の正極合材層形成用組成物(中央部分用組成物)を用意する。そして、該用意した組成物を上記長尺状の正極集電体62の表面の所定の部分(正極合材層66の中央部分66Bに対応する部分)に塗布する。次に、第1の正極活物質68Aと他の任意成分(上記導電材、バインダ等)とを適当な溶媒に分散したペースト状の正極合材層形成用組成物(端部分用組成物)を用意する。そして、該用意した組成物を上記正極集電体62の表面の所定の部分(正極合材層66の両端部分66A,66Aに対応する部分)に塗布する。その後、中央部分用組成物及び端部分用組成物を乾燥させて正極合材層66を形成した後、必要に応じて圧縮(プレス)する。これにより、正極集電体62と、該正極集電体62上に形成された正極合材層66とを備える正極シート64を作製することができる。このとき、中央部分用組成物の塗布量[mg/cm]と端部分用組成物の塗布量[mg/cm]とは実質的に同じとすることができる。
なお、上記各組成物を正極集電体62上に塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、ダイコーター、スリットコーター、グラビアコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、正極集電体62に上記組成物を好適に塗布することができる。このとき、中央部分用組成物と端部分用組成物とを同時に正極集電体62上に塗布してもよい。
また、圧縮(プレス)方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。
図4に示すように、上記のようにして作製された正極シート64は、正極集電体62と、該集電体62上に形成された少なくとも正極活物質68を含む正極合材層66とを備えている。正極合材層66の中央部分66Bは、両端部分66A,66Aに含まれる第1の正極活物質68AよりもDBP吸収量が大きい第2の正極活物質68Bを主成分として含んでいる。このため、中央部分66Bの含浸性は両端部分66A,66Aよりも高い。従って、かかる正極合材層66では、捲回電極体50(図3参照)の両端部分66A,66Aから非水電解液を注入して該捲回電極体50に非水電解液を含浸させる際に、正極合材層66の中央部分66Bを含む全体に亘って非水電解液が良好に含浸される。これにより、充放電時に上記中央部分66Bにおいて金属リチウムの析出を効果的に防止することができる。
さらに、正極合材層66の両端部分66A,66Aは、中央部分66Bに含まれる第2の正極活物質68BよりもDBP吸収量が小さい第1の正極活物質68Aを主成分として含んでいる。このため、充放電の際に、正極合材層66の中央部分66Bに含まれる第2の正極活物質68Bが膨張及び収縮することによって非水電解液が正極合材層66の捲回軸方向(幅方向)の外側に向けて移動しても、該非水電解液は正極合材層66の両端部分66A,66Aにおいて移動が抑制される。この結果、非水電解液が正極合材層66の外部へと流出することによる正極シート64(即ち捲回電極体50)の内部抵抗の増加を抑制することができる。なお、図4において導電材、結着材等の図示は省略している。
次に、ここで開示されるリチウムイオン二次電池に備えられる負極シート(負極)84について説明する。図3に示すように、かかる負極シート84は、負極集電体82と、該負極集電体82上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極合材層88と、を備えている。
上記負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池の負極に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、黒鉛(グラファイト)等のカーボン材料、リチウム・チタン酸化物(LiTi12)等の酸化物材料、スズ、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)等の金属若しくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料、等が挙げられる。
上記負極合材層88は、上記負極活物質の他に、バインダ(結着材)、増粘材等の任意の成分を必要に応じて含有し得る。
上記バインダとしては、一般的なリチウムイオン二次電池の負極に使用されるバインダと同様のものを適宜採用することができる。例えば、負極合材層88を形成するために水系のペースト状組成物を用いる場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。水に分散する(水分散性の)ポリマー材料としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム類;ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体等が例示される。
また、上記増粘材としては、水若しくは溶剤(有機溶媒)に溶解又は分散するポリマー材料を採用し得る。水に溶解する(水溶性の)ポリマー材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);等が挙げられる。
上記負極合材層88は、例えば、上記負極活物質と、他の任意成分(結着材、増粘材等)とを適当な溶媒(例えば水)に分散したペースト状の負極合材層形成用組成物を用意(調製、購入等)し、該組成物を負極集電体82の表面に塗布(付与)して該組成物を乾燥させた後に、必要に応じてプレス(圧縮)することによって負極合材層88が形成される。これにより、負極集電体82と、負極合材層88を備える負極シート(負極)84を作製することができる。
以下、ここで開示される正極シート64及び負極シート84を備えるリチウムイオン二次電池10の一形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。即ち、上記正極シート64が採用される限りにおいて、作製されるリチウムイオン二次電池の形状(外形やサイズ)には特に制限はない。以下の実施形態では、捲回電極体50および非水電解液を角型形状の電池ケース15に収容した構成のリチウムイオン二次電池10を例にして説明する。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)10を模式的に示す斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)の電池ケース15を備える。このケース(外容器)15は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体30と、その開口部20を塞ぐ蓋体25とを備える。溶接等により蓋体25は、ケース本体30の開口部20を封止している。ケース15の上面(すなわち蓋体25)には、捲回電極体50の正極シート64と電気的に接続する正極端子60および該電極体の負極シート84と電気的に接続する負極端子80が設けられている。また、蓋体25には、従来のリチウムイオン二次電池のケースと同様に、電池異常の際にケース15内部で発生したガスをケース15の外部に排出するための安全弁40が設けられている。ケース15の内部には、正極シート64および負極シート84を計二枚のセパレータシート90とともに積層して長手方向に捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体50及び非水電解液が収容されている。
上記積層の際には、図2及び図3に示すように、正極シート64の正極合材層非形成部分63(即ち正極合材層66が形成されずに正極集電体62が露出した部分)と負極シート84の負極合材層非形成部分83(即ち負極合材層88が形成されずに負極集電体82が露出した部分)とがセパレータシート90の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート64と負極シート84とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体50の捲回方向に対する横方向において、正極シート64および負極シート84の電極合材層非形成部分63,83がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート64の正極合材層66と負極シート84の負極合材層88と二枚のセパレータシート90とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。
図2に示すように、かかる正極合材層非形成部分63に正極端子60を接合して、上記扁平形状に形成された捲回電極体50の正極シート64と正極端子60とを電気的に接続する。同様に負極合材層非形成部分83に負極端子80を接合して、負極シート84と負極端子80とを電気的に接続する。なお、正負極端子60,80と正負極集電体62,82とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
上記非水電解液としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な有機溶媒(非水溶媒)に支持塩を含有させた組成を有する。上記有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等から選択される一種又は二種以上を用いることができる。また、上記支持塩(支持電解質)としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等のフッ素(F)を構成元素として含むリチウム塩を用いることが好ましい。さらに上記非水電解液に、ジフルオロリン酸塩(LiPO)やリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を溶解させてもよい。
また、上記セパレータシートとしては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。
次に、上記リチウムイオン二次電池10を単電池とし、該単電池を複数備えてなる組電池(典型的には複数の単電池が直列に接続されてなる組電池)200の一例を説明する。
図5に示すように、この組電池200は、複数個(典型的には10個以上、好ましくは10〜30個程度、例えば20個)のリチウムイオン二次電池(単電池)10を、それぞれの正極端子60および負極端子80が交互に配置されるように一つずつ反転させつつ、電池ケース15の幅広な面が対向する方向(積層方向)に配列されている。当該配列された単電池10間には、所定形状の冷却板110が挟み込まれている。この冷却板110は、使用時に各単電池10内で発生する熱を効率よく放散させるための放熱部材として機能するものであって、好ましくは単電池10間に冷却用流体(典型的には空気)を導入可能な形状(例えば、長方形状の冷却板の一辺から垂直に延びて対向する辺に至る複数の平行な溝が表面に設けられた形状)を有する。熱伝導性の良い金属製もしくは軽量で硬質なポリプロピレンその他の合成樹脂製の冷却板が好適である。
上記配列させた単電池10および冷却板110の両端には、一対のエンドプレート(拘束板)120,120が配置されている。また、上記冷却板110とエンドプレート120との間には、長さ調整手段としてのシート状スペーサ部材150を一枚又は複数枚挟み込んでいてもよい。上記配列された単電池10、冷却板110およびスペーサ部材150は、両エンドプレート120,120の間を架橋するように取り付けられた締め付け用の拘束バンド130によって、該積層方向に所定の拘束圧が加わるように拘束されている。より詳しくは、拘束バンド130の端部をビス155によりエンドプレート120に締付且つ固定することによって、上記単電池等は、その配列方向に所定の拘束圧が加わるように拘束されている。これにより、各単電池10の電池ケース15の内部に収容されている捲回電極体50にも拘束圧がかかる。
そして、隣接する単電池10間において、一方の正極端子60と他方の負極端子70とが、接続部材(バスバー)140によって電気的に接続されている。このように各単電池10を直列に接続することにより、所望する電圧の組電池200が構築されている。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[正極シートの作製]
<例1>
正極活物質としてのLiNi1/3Mn1/3Co1/3(DBP吸収量A:15mL/100g)と、バインダとしてのアセチレンブラックと、結着材としてのPVDFとの質量比が87:10:3となるように秤量し、これら材料をNMPに分散させてペースト状の正極合材層形成用組成物A(端部分用組成物A)を調製した。さらに、正極活物質としてのLiNi1/3Mn1/3Co1/3(DBP吸収量B:42mL/100g)と、アセチレンブラックと、PVDFとの質量比が87:10:3となるように秤量し、これら材料をNMPに分散させてペースト状の正極合材層形成用組成物B(中央部分用組成物B)を調製した。各組成物を厚さ20μm、幅方向の長さ78mmの正極集電体(アルミニウム箔)A上に塗布した。即ち、正極集電体の幅方向の縁部から20mmの領域(即ち正極合材層非形成部分)を除いた残りの幅方向58mmの領域の正極集電体上に、正極合材層の中央部分の幅方向(捲回軸方向)の長さLpが11.6mmとなるように上記中央部部分用組成物Bを塗布量13.5mg/cmで塗布し、正極合材層の端部の幅方向の長さがそれぞれ23.2mmとなるように上記端部分用組成物Aを塗布量13.5mg/cmで塗布した。その後、該組成物A及び組成物Bを乾燥させて圧延処理を施すことによって正極集電体の表面上に合材密度(正極合材密度)2.8g/cm、幅方向の長さLが58mmの正極合材層が形成された例1に係る正極シートを作製した。このとき、Lp/Lの値は0.2であった。
<例2>
Lp/Lの値が0.4となるように、端部分用組成物A及び中央部分用組成物Bを正極集電体A上に塗布した他は例1と同様にして、例2に係る正極シートを作製した。
<例3>
Lp/Lの値が0.6となるように、端部分用組成物A及び中央部分用組成物Bを正極集電体A上に塗布した他は例1と同様にして、例3に係る正極シートを作製した。
<例4>
Lp/Lの値が1となるように、中央部分用組成物Bのみを正極集電体A上に塗布した他は例1と同様にして、例4に係る正極シートを作製した。
<例5>
Lp/Lの値が0.1となるように、端部分用組成物A及び中央部分用組成物Bを正極集電体A上に塗布した他は例1と同様にして、例5に係る正極シートを作製した。
<例6>
LiNi1/3Mn1/3Co1/3(DBP吸収量:40mL/100g)と、アセチレンブラックと、PVDFとの質量比が87:10:3となるように秤量し、これら材料をNMPに分散させてペースト状の正極合材層形成用組成物Cを調製した。該組成物を正極集電体A上に塗布量13.5mg/cmで塗布した。その後、該組成物を乾燥させて圧延処理を施すことにより、該正極集電体の表面上に幅方向の長さLが58mmの正極合材層が形成された例6に係る正極シートを作製した。
<例7>
DBP吸収量が40mL/100gのLiNi1/3Mn1/3Co1/3に代えて、DBP吸収量が20mL/100gのLiNi1/3Mn1/3Co1/3用いた他は例6と同様にして、例7に係る正極シートを作製した。
[湾曲量測定試験]
上記例1〜例7に係る正極シートを各2枚ずつ用意して、各例に係る正極シートの湾曲量を測定した。即ち、各正極シートについて長手方向の長さが1mとなるようにカットして、カットされた各例に係る正極シートを平坦な机の上に置いて、最も湾曲している部分の机の表面からの高さを測定しその平均値を求めた。測定結果を表1に示す。
Figure 2013131322
表1に示すように、例4及び例6に係る正極シートでは、正極合材層に含まれる正極活物質が1種類のみであり、その正極活物質のDBP吸収量が40mL/100g以上と大きいものであるため、湾曲量が3mm以上と大きく湾曲していることが確認された。一方、中央部分にDBP吸収量が大きい第2の正極活物質を含み且つ両端部分に該第2の正極活物質よりもDBP吸収量が小さい第1の正極活物質を含む場合(例1〜例3及び例5)、或いは、正極合材層に含まれる正極活物質が1種類のみであり、その正極活物質のDBP吸収量が20mL/100gと小さいものである場合(例7)には、湾曲量が0.6mm以下とほとんど湾曲していないことが確認された。
[捲回電極体の作製]
<例1〜例7>
負極活物質としての天然黒鉛と、結着材としてのSBRと、増粘材であるCMCとの質量比が98:1:1となるように秤量し、これら材料をイオン交換水に分散させてペースト状の負極合材層形成用組成物を調製した。該組成物を厚さ10μm、幅方向の長さ80.9mmの負極集電体(銅箔)上に塗布量7.4mg/cm塗布した。その後、該組成物を乾燥させて圧延処理を施すことにより、該負極集電体の表面上に幅方向の長さが60.9mmの負極合材層が形成されてなる例1に係る負極シートを作製した。
そして、上記作製した例1に係る正極シート及び例1に係る負極シートを幅方向の長さ63mmのセパレータシート(ポリエチレン多孔質膜)2枚を介して捲回し例1に係る捲回電極体を作製した。例1に係る正極シートに代えて、例2〜例7に係る正極シートを用いた他は例1と同様にして、例2〜例7に係る捲回電極体を作製した。
[巻きズレ測定試験]
上記例1〜例7に係る捲回電極体を各100個ずつ用意して、各例に係る捲回電極体の巻きズレの有無を確認した。即ち、X線透視法を用いることによって、捲回電極体の捲回軸方向の端部において、正極合材層が対向する負極合材層よりも外側にでているものを巻きズレ不良とした。ここで、次式:(巻きズレ不良の個数/100個);を巻きズレ率[%]とした。測定結果を表1に示す。
表1に示すように、湾曲量が大きい正極シートを備える捲回電極体(例4及び例6)では巻きズレ不良が発生していることが確認された。一方、湾曲量が小さくほとんど湾曲していない正極シートを備える捲回電極体(例1〜例3、例5及び例7)では、巻きズレ不良は発生しなかった。
[リチウムイオン二次電池の作製]
<例1〜例7>
上記例1に係る捲回電極体を非水電解液と共に角型のケースに収容することによって、定格容量が25Ahの例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)との体積比3:5:2の混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させたものを使用した。例1に係る捲回電極体に代えて、例2〜例7に係る捲回電極体を用いた他は例1と同様にして、例2〜例7に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
[含浸性測定試験]
例1〜例7に係るリチウムイオン二次電池をそれぞれ5個用意した。そして、非水電解液注入後(製作後)の各リチウムイオン二次電池をそれぞれ1時間、4時間、8時間、12時間、24時間放置した後、各リチウムイオン二次電池を解体して正極シートを取り出した。このときの正極シート(即ち正極合材層)における非水電解液の含浸の程度を調べた。測定結果を表1に示す。
なお、正極合材層の全体に十分に非水電解液が含浸しているもの(即ち正極合材層の表面上に非水電解液が浮き上がっているもの)は非水電解液が十分に含浸していると判断し、表1中において◎で示した。また、正極合材層の全体に非水電解液が含浸しているもの(即ち正極合材層の全体が湿っており白い部分(非水電解液が含浸していない部分)がないもの)は非水電解液が含浸していると判断し、表1中において○で示した。また、正極合材層の捲回軸方向(幅方向)の中央部分に非水電解液が含浸していないもの(即ち正極合材層の中央部分に白い部分(非水電解液が含浸していない部分)が残っているもの)は非水電解液の含浸が不十分であると判断し、表1中において△で示した。また、正極合材層の全体に亘って非水電解液がほとんど含浸していないもの(即ち正極合材層のほぼ全体が白い部分(非水電解液が含浸していない部分)からなっているもの)は非水電解液がほとんど含浸していないものと判断し、表1中において×で示した。
表1に示すように、例1〜例3及び例6に示すリチウムイオン二次電池では、非水電解液を捲回電極体に注入してから8時間経過後には、該電極体において十分に非水電解液が含浸していることが確認された。また、例7のように、DBP吸収量が20mL/100gと比較的小さい正極活物質のみからなる正極合材層では、非水電解液の含浸性が劣っていることが確認された。さらに、例1〜例5の結果から、捲回軸方向(幅方向)の正極合材層の長さLと、該捲回軸方向の中央部分の長さをLpとしたときのLp/Lの値が0.1以下の場合には、正極合材層の中央部分の含浸性が十分でないことが確認された。
[容量維持率測定試験]
上記作製した例1〜例7に係るリチウムイオン二次電池について、充放電を1000サイクル繰り返し1000サイクル後の容量維持率[%]を求めた。即ち、25℃の温度条件下、10C(240A)の充電レートで4.2V(SOC100%)まで定電流定電圧で充電する(CC−CV充電)操作と、10C(240A)の放電レートで2.5Vまで定電流定電圧で放電する(CC−CV放電)操作を1000回繰り返した。1サイクル後の放電容量(初期容量)に対する、1000サイクル後の放電容量の割合((1000サイクル後の放電容量/初期容量)×100(%))を容量維持率(%)として算出した。なお、上記各放電容量は、各サイクル後のリチウムイオン二次電池を定電流定電圧(CCCV)方式によって1C(24A)で4.2Vまで充電した後、CCCV方式によって1C(24A)で2.5Vまで放電した際に得られる容量である。以上の測定結果を表1に示す。
表1に示すように、例1〜例3に係るリチウムイオン二次電池は、例4〜例7に係るリチウムイオン二次電池と比較して高い容量維持率を備えていることが確認された。特に、Lp/Lが0.4〜0.6のとき(例2及び例3)に容量維持率に優れていることが確認された。
以上の結果より、例1〜例3に係るリチウムイオン二次電池は、湾曲量の小さい正極シートを備えているため、捲回電極体を作製する際の巻きズレ不良の発生が防止されていた。また、非水電解液が正極合材層へ十分に含浸しており、正極合材層の捲回軸方向(幅方向)の中央部分は、十分な量の非水電解液を保持しているため中央部分での金属リチウムの析出が防止されており、これに基づく容量維持率の低下が防止されていた。さらに、例1〜例3に係るリチウムイオン二次電池では、ハイレート充放電時において正極合材層からの非水電解液の外部への流出が抑制され高い容量維持率を備えていた。
本発明に係る非水電解液二次電池は、正極合材層の全体に亘って非水電解液が良好に含浸されており、充放電時(特にハイレート充放電時)のサイクル特性(例えば容量維持率)に優れることから、各種用途向けの非水電解液二次電池として利用可能である。例えば、図6に示すように、自動車等の車両100に搭載される車両駆動用モーターの電源(駆動電源)として好適に利用することができる。車両100に使用されるリチウムイオン二次電池10は、単独で使用されてもよく、直列及び/又は並列に複数接続されてなる組電池200の形態で使用されてもよい。
10 リチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)
15 電池ケース
20 開口部
25 蓋体
30 ケース本体
40 安全弁
50 捲回電極体
60 正極端子
62 正極集電体
63 正極合材層非形成部分
64 正極シート(正極)
66 正極合材層
66A 端部分
66B 中央部分
68 正極活物質
68A 第1の正極活物質
68B 第2の正極活物質
80 負極端子
82 負極集電体
83 負極合材層非形成部分
84 負極シート(負極)
88 負極合材層
90 セパレータシート
100 車両(自動車)
110 冷却板
120 エンドプレート
130 拘束バンド
140 接続部材
150 スペーサ部材
155 ビス
200 組電池

Claims (6)

  1. 正極シート及び負極シートを含む捲回電極体と、非水電解液と、を備える非水電解液二次電池であって、
    前記正極シートは、長尺状の正極集電体と、該正極集電体の表面上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極合材層と、を備えており、
    前記捲回電極体の捲回軸方向における前記正極合材層の両端部分は、第1の正極活物質を主体として構成されており、該捲回軸方向における前記正極合材層の少なくとも中心を含む中央部分は、第2の正極活物質を主体として構成されており、該第1の正極活物質と該第2の正極活物質との間で、JIS K6217−4に基づくDBP吸収量[mL/100g]が相互に異なっており、
    前記第1の正極活物質のDBP吸収量A[mL/100g]は、前記第2の正極活物質のDBP吸収量B[mL/100g]よりも小さいことを特徴とする、非水電解液二次電池。
  2. 前記第1の正極活物質のDBP吸収量A[mL/100g]は10mL/100g〜30mL/100gであり、
    前記第2の正極活物質のDBP吸収量B[mL/100g]は30mL/100g〜80mL/100gであることを特徴とする、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記正極合材層の捲回軸方向の長さをLとし、該捲回軸方向の前記中央部分の長さをLpとしたときのLp/Lの値が0.15〜0.85であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記第1の正極活物質及び前記第2の正極活物質は、いずれも中空構造の活物質粒子であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記正極合材層の捲回軸方向の長さは、少なくとも40mmであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  6. 複数の単電池が相互に電気的に接続されてなる車両の駆動電源としての組電池であって、前記単電池として請求項1から5のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池が使用されていることを特徴とする、組電池。
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