JP2013130224A - 部材の接着構造と部材の接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着すべき複数の部材に対し、十分なオープンタイムを確保できるとともに、実用上の接着力を得るまでのセットタイムを短縮可能な、部材の接合構造と接合方法を提供することである。
【解決手段】複数の部材間の接合領域に配置された、反応性硬化型接着剤と、接合領域の隣接領域の一部に配置された、ホットメルト接着剤とを有する部材接合構造を提供する。また、接合すべき複数の部材の少なくとも一方の部材の周縁部に反応性硬化型接着剤を塗布する工程と、部材の周縁部に隣接する領域の少なくとも一部の領域に、ホットメルト接着剤を塗布する工程と、ホットメルト接着剤を硬化し、複数の部材を仮固定する工程と、反応性硬化型接着剤を硬化し、前記複数の部材を最終接合する工程とを有する、部材の接合方法を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の部材間の接合領域に配置された、反応性硬化型接着剤と、接合領域の隣接領域の一部に配置された、ホットメルト接着剤とを有する部材接合構造を提供する。また、接合すべき複数の部材の少なくとも一方の部材の周縁部に反応性硬化型接着剤を塗布する工程と、部材の周縁部に隣接する領域の少なくとも一部の領域に、ホットメルト接着剤を塗布する工程と、ホットメルト接着剤を硬化し、複数の部材を仮固定する工程と、反応性硬化型接着剤を硬化し、前記複数の部材を最終接合する工程とを有する、部材の接合方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車等の車体やドアパネル等の複数の部材を接合する際に採用できる接合構造と接合方法に関する。
従来、自動車等のドア、フード、トランク及びバックドア等を構成する部材の多くは、強度を確保するため、アウターパネルとインターパネルの二重構造となっており、2枚のパネル状部材を周縁部で貼り合わせる接合構造が採用されている。
金属パネル同士を用いる場合は、接合方法として、周縁部を溶接で接合する方法が広く用いられているが、貼り合わせるいずれか一方が樹脂部材である場合等は溶接ができないため、接着剤を用いた接着方法が検討されている。接着剤での接合は、樹脂部材に限らず、金属パネル同士を接合する場合にも利用可能である。
接着剤としては、一液性湿気硬化型接着剤等の反応性硬化型接着剤やホットメルト型接着剤等の例が上げられるが、特許文献1には、「長尺自動車用モールを車体に接着させるに際し、モールの車体への接着面上に、その中心線付近の長手方向に一液性湿気型接着剤を、また、その両側縁部長手方向にホットメルト型粘着剤を、相互に平行にかつ同時に塗布後、該粘着面を車体に押圧することを特徴とする自動車のモール接着方法」が記載されている。この方法においては、ホットメルト型粘着剤の粘着力により初期接着性が発揮され、また一液性湿気硬化型接着剤により、経時後、耐久性の高い、かつ高い接着強度が得られえる。
しかしながら、自動車のドア等の大型のパネルを接着剤で貼り合わせる場合、モール等に比較し、パネルサイズが大きいため、接合部となるパネル周囲に接着剤を塗布するにも、接合するパネル同士の位置決めにも一定の時間を要する。
反応性硬化型接着剤は、一般に、高温で良好なシール性と接着性を発揮するが、接着剤を一方の部材に塗布してから他方の部材に貼り合わせることが可能な時間である「オープンタイム」が比較的長い。大型パネルを貼り合わせる場合のように、接着剤塗布と位置あわせに時間がかかる場合に適しているものの、所定の接着力を得るまでの時間である「セットタイム」も長いため、作業効率が悪い。
一方、ホットメルト型接着剤は、塗布後、温度の低下とともに、短時間のうちに硬化するため、「セットタイム」を短くできるが、「オープンタイム」も短いため、十分なオープンタイムを必要とする大型のパネル等の接着に適用することは困難である。
反応性硬化型接着剤とホットメルト型接着剤を同時に用いる特許文献1に記載されている接着方法でも、ホットメルト型接着剤の硬化時間が早いため、接着すべきパネルが大型化すると、必要なオープンタイムが得られない。
本発明の目的は、上述する従来の課題に鑑み、接着すべき複数の部材に対し、接着作業に必要なオープンタイムを確保できるとともに、実用上の接着力を得るまでのセットタイムを短縮可能な、部材の接合構造と接合方法を提供することである。
本発明の一態様は、複数の部材間の接合領域に配置された反応性硬化型接着剤と、この接合領域の隣接領域の一部に配置された、ホットメルト接着剤とを有する、複数の部材を接合した構造を提供する。
本発明の他の態様は、接合すべき複数の部材の少なくとも一方の部材の周縁部に反応性硬化型接着剤を塗布する工程と、部材の周縁部に隣接する領域の少なくとも一部の領域に、ホットメルト接着剤を塗布する工程と、ホットメルト接着剤を硬化し、複数の部材を仮固定する工程と、反応性硬化型接着剤を硬化し、複数の部材を最終接合する工程とを有する、部材の接合方法を提供する。
本発明の接合構造と接合方法によれば、接着すべき部材が大きくなり、接着剤塗布作業や貼り合わせ位置調整に時間がかかる場合も、反応性硬化型接着剤を使用することで、十分なオープンタイムを確保することができるとともに、ホットメルト接着剤を接合の一部のみに用いることで、短時間に仮固定を行うことができ、実質的なセットタイムを短縮できる。
本発明の実施形態の複数の部材の接合構造は、自動車のドアパネル等の大型のパネル等にも適用可能であって、複数の部材間の接合領域に反応性硬化型接着剤を配置するとともに、この接合領域の隣接領域の一部に、ホットメルト接着剤を配置した構造を有する。
当該接合構造は、例えば、接合すべき複数の部材の少なくとも一方の部材の周縁部に反応性硬化型接着剤を塗布し、その後部材の周縁部に隣接する領域の少なくとも一部の領域に、ホットメルト接着剤を塗布して、複数の部材を仮固定した後、反応性硬化型接着剤を硬化し、複数の部材を接合する方法により得ることができる。
すなわち、上記接合構造と接合方法によれば、反応性硬化型接着剤を用いて部材の接着部を接着することで、部材が大型化した場合にも、接着剤塗布や位置あわせに必要なオープンタイムを確保するとともに、最終的な接合後には、耐久性の高い良好な接着性を得ることができる。また、反応性硬化型接着剤の塗布後に、接合部の隣接領域の一部にホットメルト接着剤を塗布し、短時間で部材を仮固定できるため、反応性硬化型接着剤の硬化を待つことなく、作業を進行できる。すなわち、実質的に十分な長さのオープンタイムと、短いセットタイムを両立する接合方法を提供できる。
本明細書において、接合対象となる部材としては、代表的には自動車の車体で用いられる、ドア、天井、エンジンフード、トランクフード及びバックドア等のアウターパネルとインナーパネルを貼り合わせて用いる大型部材が挙げられる。しかし、貼り合わせる部材はこれらに限られず、サイドモールや、ミラー等、貼り合わせる部材が比較的小型のもの、あるいはサイズが異なる部材同士を接合するようなものも含まれる。また、自動車の車体部材に限られず、家具、電気製品または機械などで用いられる部材も接合対象にできる。
部材の材質としては、樹脂部材を使用できるが、反応性硬化型接着剤およびホットメルト接着剤で接着できる部材であれば、樹脂部材に限られず、金属性部材、セラミックス部材あるいは、異種部材を接合して得られる接合部材にも応用できる。
本明細書において、「複数の部材を接合した構造」には、一対の部材を貼り合わせる接合構造、大型の一の部材に他の一または複数の部材を貼り合わせる接合構造、異種部材同士を貼り合わせる接合構造、形状の異なる2または3以上の部材を貼り合わせる接合構造等を含むが、接合される部材の具体的形状、大きさ、接合される部材の数および材質は限定されない。また、本明細書において、「接合領域」とは、接着剤によって、部材間で接合される領域をいう。さらに、接合領域の「隣接領域」とは、接合領域に直接接している領域のみならず、一定の間隔をもって近接する領域も含まれる。
樹脂部材の材料としては、代表的には、ポリエチレン(PE)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、または、これらの樹脂を炭素繊維やガラス繊維等を用いた繊維強化樹脂(FRP)、あるいは、これらの複合材料等、自動車の樹脂車体材料として使用可能な樹脂はいずれも使用することができる。
以下、接合対象となる部材の例として、自動車のドアパネルのインナーパネルとアウターパネルを想定し、説明の便宜のため、一対の矩形の樹脂パネルを貼り合わせる場合を例にして、図面を参照し、本実施の形態の具体的な接合構造と接合方法の実施の形態について説明する。
図1に、一対の矩形の樹脂パネルの一方のパネル110(以下、一方のパネルを「第1パネル」、他方のパネルを「第2パネル」と呼ぶ)の平面図を示す。図2に、第2パネル120の平面図、図3に第1パネル110と第2パネル120を接合した際の接合構造の断面図を示す。
本実施形態の接合構造では、図1〜図3に示すように、第1パネル110と第2パネル120との接合領域となるパネル周縁部に反応性硬化型接着剤20を配置するとともに、パネル周縁部の隣接領域の一部、例えば、図1に示すように、矩形パネルの各コーナの内側四箇所にホットメルト接着剤40を配置し、反応性硬化型接着剤20とホットメルト接着剤40の2種類の接着剤で2つの第1パネル110と第2パネル120を接合している。
以下、本実施形態の接合方法と具体的な接合構造について説明する。
本実施形態の接合方法では、まず、第1パネル110の接合領域にあたる、パネル周縁部に、反応性硬化型接着剤20を塗布する。接着剤の幅や厚みは、最終的に実用上十分な接着力が得られるのであれば、特に限定されない。例えば、図1に示すように、パネルの全周縁部に反応性硬化型接着剤20を1mm〜20mm幅、あるいは約5mm〜15mm幅等の一定幅で帯状に塗布することができる。接合後のパネルに密閉性が必要であれば、反応性硬化型接着剤20は、環状に略連続に塗布することが好ましい。また、接合後のパネルに密閉性が必要でない場合には、周縁部全領域に反応性硬化型接着剤20を塗布する必要はなく、例えば、一定間隔で、あるいは必要な複数箇所のみに塗布すればよい。
なお、ここでは、矩形の第1パネル110の周縁部を接合領域としているが、実際の部材では、部材の用途により、部材の平面形状、立体形状は、様々に異なるため、接合領域も周縁部に限定されない。接合する部材の種類にあわせ、周縁部に限らず、接合領域は、適宜設けることができる。
接着剤の塗布方法は特に限定されない。はけ、ヘラ、ローラー、エア・スプレー、ノズルスプレー、ロールコーター等を使用した塗布方法が可能である。例えば、粘性が高く液だれが起こりにくい粘度を持つペースト状の反応性硬化型接着剤20を使用する場合は、ハンディガンタイプの市販の接着剤ディスペンサーを用いて、チューブ状のノズルから絞り出しながら、描画するように、パネルの周縁部に手動で塗布することができる。あるいは、2次元または、3次元に自動制御により稼動可能なロボットアームに接着剤ディスペンサーを取り付け、自動で、パネル上の所定の接合領域に塗布することもできる。
反応性硬化型接着剤20としては、オープンタイムが接合する部材への接着剤の塗布時間に十分なものであれば使用できる。なお、部材の形状や大きさに応じて、必要とするオープンタイムは5分以内にすることもできるが、汎用性を考慮し、代表的には5分以上、あるいは10分以上のオープンタイムを有する反応性硬化型接着剤を使用することが望ましい。
代表的な反応性硬化型接着剤20としては、二液性硬化型接着剤を使用できる。エポキシ系、ウレタン系、あるいはアクリル系の二液性硬化型接着剤等を挙げることができる。さらに、一液性湿気硬化型接着剤を使用することもできる。具体的には、ウレタン系、ポリサルファイド系、シリコン系、シラン変性ウレタン系の一液性湿気硬化型接着剤を使用することができる。特に、室温での硬化が可能な、ウレタン型接着剤が好ましい。例えば、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基をブロックしたものを主成分とする接着剤、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基にシラン化合物を付加させたものを主成分とする接着剤、オキシアルキレン重合体の末端にヒドロシリコン化合物が結合したものを主成分とする接着剤などが挙げられる。
次に、第1パネル110の周縁部に、反応性硬化型接着剤20を塗布し終わったら、第1パネル110の上に第2パネル120を載置する。
第2パネル120を第1パネル110上に載置後すみやかに、反応性硬化型接着剤20の塗布領域、すなわち接合領域に隣接する領域の一部に、ホットメルト接着剤40を塗布する。第2パネル120を第1パネル110上に載置後に、ホットメルト接着剤40を塗布する場合は、予め、第2パネル120の塗布すべき箇所に開口部(孔)を設け、そこからホットメルト接着剤40を供給してもよい。例えば、図2に示すように、第2パネル120の各コーナ近傍4箇所に、ドリル等で孔50を開け、この孔50を介して、ホットメルト接着剤40を第1パネル110と第2パネル120間に流し込むことができる。なお、ホットメルト接着剤40を第1パネルと第2パネル間に流し込むための孔50は、第2パネル120に限らず、第1パネル110に設けることもできる。このように、第1パネル110と第2パネル120を積層させた後に、いずれかのパネルに設けた孔を介してホットメルト接着剤40を第1と第2のパネル間隙に供給する場合は、ホットメルト接着剤40のオープンタイムを気にする必要がない。
なお、第2パネル120を第1パネル110上に載置する直前に、接合領域に隣接する領域の一部にホットメルト接着剤40を塗布することもできる。この場合は、第2パネルに孔をあける必要はないが、ホットメルト接着剤のオープンタイム内に、ホットメルト接着剤を塗布し、第2パネルを載置する作業を終えることが望ましい。
なお、図1に示すように、第1パネル110上の接合領域の内側に、予め、シリコーンゴムシートのような可撓性のフィルムからなるフレーム30を配置してもよい。フレーム30は、第1パネル110と第2パネル120との間のスペーサとして機能し、両パネル間の距離を調整し、フレーム30の厚みにより反応性硬化型接着剤20の厚みを均一に調整することが可能になる。また、反応性硬化型接着剤20の粘度が低い場合は、フレーム30により、反応性硬化型接着剤20の周囲への流れ出しを抑止し、塗布領域を確定することもできる。フレーム形状や幅は、特に限定されないが、第1パネル110の接合部周縁部内側に例えば幅5mm〜30mm、厚み0.5mm〜5mm、あるいは2mm〜4mmのフレームを使用できる。
なお、第1パネル110と第2パネル120との間のスペーサとしては、突起形状を持つリブ等をフレーム30の代わりにスペーサとして使用することもできる。
さらに、図1に示すように、第1パネル110上のホットメルト接着剤の塗布領域40を確定するために、フレーム30と同様に、シリコーンゴムシートのような可撓性のフィルムと同じ厚みの複数の別のフレーム35を配置してもよい。フレーム35を使用する場合は、フレーム35の厚みと開口部形状により、第1パネル110と第2パネル120間に配置されるホットメルト接着剤の塗布領域と厚みを調整できる。フレーム35の形状や幅は、特に限定されないが、例えば0.5mm〜2mm幅のシートで、0.01〜1cm2程度の矩形、円形、C型等の開口部を有するフレーム35を使用できる。なお、図1には、フレーム30と別個にフレーム35を形成しているが、フレーム30と35とは一体に形成してもよい。
図3に、フレーム30および35を用いて接合した、第1パネル110と第2パネル120の接合構造の断面図の一例を示す。同図に示すように、第1パネル110と第2パネル120は、パネル端縁に配置された反応性硬化型接着剤20と、フレーム30,35を介してその内側の近接する領域に、塗布されたホットメルト接着剤40とで接合される。
ホットメルト接着剤40の塗布領域は、図1に示すように、接合部に隣接する一部の領域とする。ホットメルト接着剤40は、塗布後の温度低下に伴いすぐに硬化するため、オープンタイムが際めて短い。しかし、塗布領域を一部に限定することで、短時間のオープンタイムの間に塗布作業を終えることができる。また、硬化時間が、反応性硬化型接着剤20に比較し、格段に短いため、ホットメルト接着剤40の塗布により、第1パネル110と第2パネル120が短時間で接着され、パネル同士の仮固定が可能になる。
ホットメルト接着剤40としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂を主成分とするホットメルト接着剤の他、ポリアミド系樹脂を主成分とするもの、ウレタン系樹脂を主成分とするもの、エチレン・ビニルアセテート(EVA)系樹脂を主成分とするもの、あるいはゴム系樹脂を主成分とするホットメルト接着剤等を使用することができる。特に、ポリオレフィン系樹脂およびEVA系樹脂を主成分とするホットメルト接着剤を使用する場合は、難接着素材であるPP、PE、PET等のオレフィン系部材に対し優れた接着性が得ることができる。
第1パネル110と第2パネル120との仮固定を確実なものとするためには、接合するパネルの重さに応じたホットメルト接着剤40の塗布面積、すなわち接着面積を確保することが望ましい。接着面積とパネル重さの関係は、使用するホットメルト接着剤の種類やパネル表面の状態等にも依存するが、予め仮固定可能な単位面積あたりのパネル重さ(W/S(kg・cm2))を測定し、必要なホットメルト接着剤の塗布面積S(cm2)を決めてもよい。例えば、ポリプロピレンを主成分とするホットメルト接着剤を使用する場合、好ましくは、W/S(kg/cm2)を0.6(kg/cm2)以下、あるいは0.5(kg/cm2)以下となるように調整することで、約1分間の硬化時間(養生時間)で、後述する仮固定試験で示すようなパネル落下試験に耐えうる確実な仮固定を可能とすることができる。また、エチレンビニルアセテート(EVA)を主成分とするホットメルト接着剤を使用する場合も、0.3(kg/cm2)以下、あるいは0.2(kg/cm2)以下となるように塗布面積を調整することで、約3分の硬化時間(養生時間)で、同様に高い接着強度を得ることができる。
なお、ホットメルト接着剤による仮固定は、反応性硬化型接着剤が硬化するまでの次の作業工程を進めるために必要な接着強度を維持できるものであればよく、必ずしもパネル落下試験に耐える接着強度を必要とするものではない。
以上、図1〜図3を参照して、本実施形態の接合構造と接合方法について説明したが、本発明の接合構造において、パネル上の反応性硬化型接着剤20とホットメルト接着剤40の配置は、図1に示す配置に限られず、図4〜図6に示すように、種々の変形が可能である。
例えば、図4に示すその他の実施形態では、第1パネル111のパネル周縁部に反応性硬化型接着剤21が配置されるとともに、パネル周縁部の内側隣接領域の一部として、矩形パネルの各辺の中央部にホットメルト接着剤41を配置してもよい。例えば、反応性硬化型接着剤21の塗布領域の内側に配置した枠状のフレーム31の各辺の中央部に開口を設け、この開口領域をホットメルト接着剤41の塗布領域とすることができる。
また、図5に示すその他の実施形態では、第1パネル112のパネル周縁部に反応性硬化型接着剤22が配置されるが、第1パネル112の各辺の一部に内側に迂回して塗布する領域22aを設けるとともに、その領域22aの端面側にホットメルト接着剤42を配置してもよい。このような配置を行う場合は、第1パネルと第2パネルを積層後に、これらのパネルの側面、すなわち、第1と第2パネルの間隙からからホットメルト接着剤42を注入により塗布することが可能となる。すでに第1、第2パネルを積層しているため、ホットメルト接着剤のオープンタイムを気にすることなく作業を進めることができるとともに、第2パネルに図2に示すような、ホットメルト接着剤42を注入塗布するための孔50を設ける必要がない。
さらに、図6に示すその他の実施形態では、第1パネル113のパネル周縁部において、パネル端面よりやや内側に反応性硬化型接着剤23を配置するとともに、反応性硬化型接着剤23に隣接するパネル端面を含む外周囲の一部にホットメルト接着剤43を配置してもよい。このような配置を行う場合も、ホットメルト接着剤43を、第1パネルと第2パネルとを積層後に、パネルの側、すなわち、第1と第2パネルの間隙からからホットメルト接着剤43を注入により塗布することが可能となる。すでに第1、第2パネルを積層しているため、ホットメルト接着剤のオープンタイムを気にすることなく作業を進めることができるとともに第2パネルに図2に示すような、ホットメルト接着剤43を注入塗布するための孔50を設ける必要がなくなる。
さらに、本発明を逸脱しない範囲で、反応性硬化型接着剤とホットメルト接着剤の配置は種々の変形が可能であることは、当業者には自明である。
<仮固定試験>
4種の3M社製ホットメルト接着剤Scotch−Weld(商標)(製品番号3748、3797、3747および3792)を用い、樹脂パネルの仮固定試験を行った。
4種の3M社製ホットメルト接着剤Scotch−Weld(商標)(製品番号3748、3797、3747および3792)を用い、樹脂パネルの仮固定試験を行った。
第1パネルとしては、500mm×500mmの正方形、厚み3mmのPP樹脂製パネルを準備した。第2パネルとしては、第1パネルと同じパネルを単一または複数のパネルを積層し固定することで、重さを調整したものをそれぞれの試験パネルとして準備した。
図7に示すように、第1パネル115上の各コーナの内側に、10mm×10mmの正方形開口を有する、厚み3mmの矩形シリコーンゴム製フレーム35を4つ配置した。フレーム35内に、ハンドガンタイプの塗布装置であるScotch−Weld(商標)ホットメルトアプリケータ、TCQを用いて、ホットメルト接着剤45を供給し、フレーム35の開口部を接着剤で充たした。その後、表1に示す試験条件に従い、所定の重さに調整した第2パネルを、ホットメルト接着剤45が塗布された第1パネルの上に載置し、すぐにクリップで周囲を留め、固定した。なお、第2パネルの総重量は、パネルの積層枚数で調整した。積層されるパネル同士は、両面テープで固定した。1〜3分の養生時間後、第1パネルを上、第2パネルを下にし、第1パネルのみを水平な状態で、上方に手で持ち上げ、第2パネルが落下するかどうかを観察した。
結果を表1および表2に示す。第2パネルの重さWを接着剤面積S(10mm×10mm×4)で割ることで求めた、接着剤塗布単位面積あたりの接着力(W/S(kg/cm2))を同表内に示した。
PPを主成分とするホットメルト接着剤を使用する場合は、EVAを主成分とするホットメルト接着剤より短時間で強い接着力を示した。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
貼り合わせる第1パネルと第2パネルとして、500mm×500mmの正方形、厚み3mmのPP樹脂製パネルをそれぞれ準備した。なお、第2パネルには、図2に示すように、各コーナに、後の工程でホットメルト接着剤を供給する位置に径2.5mmのドリルで孔50を開けた。
貼り合わせる第1パネルと第2パネルとして、500mm×500mmの正方形、厚み3mmのPP樹脂製パネルをそれぞれ準備した。なお、第2パネルには、図2に示すように、各コーナに、後の工程でホットメルト接着剤を供給する位置に径2.5mmのドリルで孔50を開けた。
図1に示すように、第1パネル110の上に開口部480mm×480mm、幅10mm、厚み3mmの四角形のフレーム30をパネル外縁より10mm内側に載置した。また、フレーム30の各コーナには、開口部が10mm×10mm、幅1mm、厚み3mmのC型フレーム35を載置した。フレーム30および35はいずれもシリコーンゴム製シートを用いた。
反応性硬化型接着剤20である、3M社製Scotch−Weld(商標)DP−8010NSを第1パネル110の周縁部全体に10mm幅で、ハンドガンタイプの塗布装置であるMixPAC社DM200−10、マニュアルディスペンシングガンを用いて塗布した。ここで用いたDP−8010NSは、実質的な硬化が始まるまでのいわゆるオープンタイムが約10分であったが、第1パネルの周縁部への塗布はオープンタイム内の5分で終了した。
その後すみやかに、第2パネル120を第1パネル110の上に載置した。次に、予め第2パネル120に形成した孔50を介して、ホットメルト接着剤40である、3M社製 Scotch−Weld(商標)3748を、C型フレーム35で形成された開口部に、Scotch−Weld(商標)ホットメルトアプリケータ、TCQを用いて流し込むことで塗布した。
ホットメルト接着剤40を塗布してから約1分後、接合した第1、第2パネルの一方のパネルのみを手で持ち上げ、接着状態を確認した。接着層の剥離やズレが生じていないことが確認できた。また、1日経過後、接合した第1、第2パネルを水中に沈めたが、接着部での水のリークがなく、第1、第2パネルの接着部が良好なシール性を確保できていることが確認できた。
<比較例1>
貼り合わせる第1パネルと第2パネルとして、500mm×500mmの正方形、厚み3mmのPP樹脂製パネルをそれぞれ準備した。図8に示すように、実施例と同様に、第1パネル110の上に480mm×480mmの開口部を持つ、幅10mm、厚み3mmの四角形のフレーム36をパネル外縁より10mm内側に載置した。
貼り合わせる第1パネルと第2パネルとして、500mm×500mmの正方形、厚み3mmのPP樹脂製パネルをそれぞれ準備した。図8に示すように、実施例と同様に、第1パネル110の上に480mm×480mmの開口部を持つ、幅10mm、厚み3mmの四角形のフレーム36をパネル外縁より10mm内側に載置した。
反応性硬化型接着剤26である、3M社製Scotch−Weld(商標)DP−8010NSを第1パネル116の周縁部全体に10mm幅で、ハンドガンタイプの塗布装置であるMixPAC社DM200−10、マニュアルディスペンシングガンを用いて塗布した。ここで用いたDP−8010NSは、実質的な硬化が始まるまでのいわゆるオープンタイムが約10分であるが、第1パネルの周縁部への塗布は約5分で終了し、オープンタイム内に終了した。
すぐに、第2パネル120を第1パネル116の上に載置した。ホットメルト接着剤を塗布することなく、約1分後、接合した第1、第2パネルの一方のパネルのみを手で持ち上げ、接着状態を確認した。ホットメルト接着剤を用いないこの接合方法では、接着層はすぐに剥離し生じ始め、他方のパネルが落下した。
110:第1パネル
120:第2パネル
20:反応性硬化型接着剤
30、35:フレーム
40:ホットメルト接着剤
50:孔
120:第2パネル
20:反応性硬化型接着剤
30、35:フレーム
40:ホットメルト接着剤
50:孔
Claims (7)
- 複数の部材を接合した構造であって、
前記複数の部材間の接合領域に配置された、反応性硬化型接着剤と、
前記接合領域の隣接領域の一部に配置された、ホットメルト接着剤と、
を有する、部材接合構造。 - 前記ホットメルト接着剤は、オレフィン系またはエチレン・ビニルアセテート系樹脂を主成分とする、請求項1に記載の部材接合構造。
- 前記ホットメルト接着剤は、ポリプロピレン樹脂を主成分とする、請求項2に記載の部材接合構造。
- 前記部材は、パネルであり、
前記接合領域は、前記パネル部材の周縁部にあり、
前記反応性硬化型接着剤は、前記周縁部に略連続に配置され、
前記ホットメルト接着剤は、前記周縁部に隣接する複数個所に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の部材接合構造。 - 前記ホットメルト接着剤は、複数の前記パネルのいずれかに形成された1または複数の孔から、または、接着すべき複数の前記パネルの間隙から、前記接合領域の隣接領域の一部に供給されるものである、請求項4に記載の部材接合構造。
- 接合すべき複数の部材の少なくとも一方の部材の周縁部に反応性硬化型接着剤を塗布する工程と、
前記部材の周縁部に隣接する領域の少なくとも一部の領域に、ホットメルト接着剤を塗布する工程と、
前記ホットメルト接着剤を硬化し、複数の部材を仮固定する工程と、
前記反応性硬化型接着剤を硬化し、前記複数の部材を最終接合する工程
とを有する、部材の接合方法。 - 前記一方の部材の周縁部に反応性硬化型接着剤を塗布する工程後、前記部材の周縁部に隣接する領域の少なくとも一部の領域に、ホットメルト接着剤を塗布する工程の前に、
前記一方の部材の上に他方の部材を載置する工程を有し、
前記ホットメルト接着剤を塗布する工程において、いずれか一方の部材に開口した孔から、または、接着すべき複数の前記部材の間隙から前記ホットメルト接着剤を供給する、請求項6に記載の部材の接合方法。
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