JP2013129262A - 四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置 - Google Patents

四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】操舵制御則が切替えられることにより車両の旋回応答性が変化した場合に運転者が操舵フィーリングに異和感を覚える虞れを低減する四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置を提供する。
【解決手段】走行状況に応じて少なくとも後輪の操舵制御則を変更する四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置であって、路面の曲率が大きいときには後輪の操舵制御則を第一の制御則に設定し、路面の曲率が小さいときには後輪の操舵制御則を第二の制御則に設定し、後輪の操舵制御則が第二の制御則に設定されているときにはアシスト特性を後輪の操舵制御則が第一の制御則に設定されているときとは異なる特性に変更し、これにより後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更する。
【選択図】図2

Description

本発明は、四輪操舵車両に係り、更に詳細には四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置に係る。
四輪操舵車両に於いては、後輪が前輪とは逆相にて操舵されると車両の操向性が向上し、後輪が前輪とは同相にて操舵されると車両の安定性が向上する。即ち後輪の操舵によって車両の旋回応答性が変化する。このことに着目して、走行路の状況に応じて前後輪の操舵制御則を切替えることが既に知られている。
特に本願出願人により出願され既に特許された下記の特許文献1には、走行路が直線的又は高速走行可能な走行路であるときには、車両の横加速度と操舵角とが比例関係になる制御則に変更する四輪操舵車両の操舵制御装置が記載されている。
特開2006−315514号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の四輪操舵車両に於いては、前後輪の操舵制御則が切替えられても操舵アシスト制御則は変更されない。そのため前後輪の操舵制御則が切替えられることにより車両の旋回応答性が変化しても、その変化に応じて操舵アシスト特性を変化させることができず、運転者は操舵フィーリングに異和感を覚えるという問題がある。この問題は後輪の操舵制御則のみが切替えられる場合にも生じる
本発明は、走行路の状況に応じて少なくとも後輪の操舵制御則が切替えられる従来の四輪操舵車両に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものである。そして本発明の主要な課題は、操舵制御則が切替えられることにより車両の旋回応答性が変化した場合に運転者が操舵フィーリングに異和感を覚える虞れを低減することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、走行状況に応じて少なくとも後輪の操舵制御則を変更する四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置であって、後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更することを特徴とする四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置(請求項1の構成)によって達成される。
上記の構成によれば、後輪の操舵制御則が変更されることにより操舵特性が変化しても、操舵特性の変化に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更することができる。よって操舵制御則が切替えられることにより車両の旋回応答性が変化しても運転者が操舵フィーリングに異和感を覚える虞れを低減することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記の構成に於いて、走行状況が第一及び第二の状況であるときには後輪の操舵制御則をそれぞれ第一及び第二の制御則に設定し、後輪の操舵制御則が第二の制御則に設定されているときには前記操舵アシスト装置のアシスト特性を後輪の操舵制御則が第一の制御則に設定されているときとは異なる特性に変更するよう構成される(請求項2の構成)。
上記の構成によれば、後輪の操舵制御則が第二の制御則に設定されているときには、操舵アシスト装置のアシスト特性を後輪の操舵制御則が第一の制御則に設定されているときとは異なる特性に変更することができる。よって後輪の操舵制御則が切替えられることにより車両の旋回応答性が変化しても、操舵特性の変化に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を確実に変更することができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記の構成に於いて、後輪の操舵制御則の変更に伴い変化する操舵特性は、1)運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲイン、2)運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲイン及び微分ゲイン、3)運転者の操舵操作量に対する前輪の操舵量の比例ゲインと運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲインとの差、4)運転者の操舵操作量に対する前輪の操舵量の比例ゲインと運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲインとの差及び運転者の操舵操作量に対する前輪の操舵量の微分ゲインと運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の微分ゲインとの差、5)運転者の操舵操作量に対する前輪横力応答の定常ゲインの何れかであるよう構成される(請求項3の構成)。
上記の構成によれば、後輪の操舵制御則の変更に伴い1)〜5)の何れかの操舵特性が変化する場合にも、操舵特性の変化に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を確実に変更することができる。
また本発明によれば、上記の構成に於いて、少なくとも前輪を操舵することにより車両を走行路に沿って走行させるレーンキープアシスト制御が行われ、後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化及び目標走行ラインに対する車両の横方向の偏差に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更するよう構成される(請求項4の構成)。
上記の構成によれば、後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更することができるだけでなく、目標走行ラインに対する車両の横方向の偏差に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更することができる。よって車両の旋回応答性の変化に起因して運転者が操舵フィーリングに異和感を覚える虞れを低減することができるだけでなく、車両が目標走行ラインよりできるだけ横方向にずれないようにする操舵操作を運転者に促すことができる。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記の構成に於いて、少なくとも前輪を操舵することにより車両を走行路に沿って走行させるレーンキープアシスト制御が行われ、後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化及び目標走行ラインに対する車両の偏向角度に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更するよう構成される(請求項5の構成)。
上記の構成によれば、車両の旋回応答性の変化に起因して運転者が操舵フィーリングに異和感を覚える虞れを低減することができるだけでなく、目標走行ライン対する車両の偏向角度ができるだけ大きくならないようにする操舵操作を運転者に促すことができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、走行路の曲率に応じて少なくとも後輪の操舵制御則を変更するよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、通常の四輪操舵制御時には後輪の操舵制御則が第一の制御則に設定され、走行路の曲率によっては後輪の操舵制御則が第二の制御則に設定されるよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、走行路の曲率は車両前方の情報を取得する手段により取得された走行路の情報に基づいて判定されるよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、操舵特性は車速によっても変化され、後輪の操舵制御則及び車速に基づいて後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化量が求められ、操舵特性の変化量に基づいて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更するよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、操舵アシスト装置は少なくとも操舵トルクに応じた目標アシストトルクに基づいてアシストトルクを発生し、後輪の操舵制御則が第一の制御則に設定されているときには、目標アシストトルクは標準の目標アシストトルクに設定され、後輪の操舵制御則が第二の制御則に設定されているときには、目標アシストトルクは車両の旋回応答性の変化に基づいて標準のアシスト特性を補正することにより求められる補正後のアシスト特性に基づいて目標アシストトルクが演算されるよう構成される。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記の構成に於いて、後輪の操舵制御則が第二の制御則に設定されているとき補正後のアシスト特性は走行路の曲率に応じて複数設定されるよう構成される。
電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。 第一の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図2に示されたフローチャートのステップ700Aに於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。 車速Vに基づいて前輪操舵の比例ゲインFpを演算するための第一の制御則の値Fp_base及び第二の制御則の値Fp_fixのマップを示す図である。 車速Vに基づいて前輪操舵の微分ゲインFdを演算するための第一の制御則の値Fd_base及び第二の制御則の値Fd_fixのマップを示す図である。 車速Vに基づいて後輪操舵の比例ゲインRpを演算するための第一の制御則の値Rp-base及び第二の制御則の値Rp-fixのマップを示す図である。 車速Vに基づいて後輪操舵の微分ゲインRdを演算するための第一の制御則の値Rd_base及び第二の制御則の値Rd_fixのマップを示す図である。 操舵トルクMT及び車速Vに基づいてアシストトルクTaを演算するための通常時のアシスト特性Ta_baseを示す図である。 比例ゲインRpの変化量z1に基づいて補正係数F1(z1)を演算するためのマップを示す図である。 比例ゲインRpの変化量z1に基づいて補正係数F2(z1)を演算するためのマップを示す図である。 第二の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図11に示されたフローチャートのステップ700Bに於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。 微分ゲインRdの変化量z2に基づいて補正係数G1(z2)を演算するためのマップを示す図である。 微分ゲインRdの変化量z2に基づいて補正係数G2(z2)を演算するためのマップを示す図である。 第三の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図15に示されたフローチャートのステップ700Cに於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。 変化量z3に基づいて補正係数H1(z3)を演算するためのマップを示す図である。 変化量z3に基づいて補正係数H2(z3)を演算するためのマップを示す図である。 第四の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図19に示されたフローチャートのステップ700Dに於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。 変化量z4に基づいて補正係数J1(z4)を演算するためのマップを示す図である。 変化量z4に基づいて補正係数J2(z4)を演算するためのマップを示す図である。 第五の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図23に示されたフローチャートのステップ700Eに於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。 定常ゲインYf_gの変化量z5に基づいて補正係数P1(z5)を演算するためのマップを示す図である。 定常ゲインYf_gの変化量z5に基づいて補正係数P2(z5)を演算するためのマップを示す図である。 電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第六実施形態を示す概略構成図である。 第六の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図28に示されたフローチャートのステップ800に於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。 第六の実施形態に於いてLKA制御の目標走行ラインに対する車両の横方向の偏向量yを演算する要領を示す図である。 横方向の偏向量yに基づいて補正係数Q1(y)を演算するためのマップを示す図である。 横方向の偏向量yに基づいて補正係数Q2(y)を演算するためのマップを示す図である。 第七の実施形態に於いて図28に示されたフローチャートのステップ800に於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。 第七の実施形態に於いてLKA制御の目標走行ラインの接線方向に対する車両の移動方向の偏向角uを演算する要領を示す図である。 車両の移動方向の偏向角uに基づいて補正係数W1(u)を演算するためのマップを示す図である。 車両の移動方向の偏向角uに基づいて補正係数W2(u)を演算するためのマップを示す図である。 第八の実施形態に於いて図28に示されたフローチャートのステップ800に於いて実行されるアシスト特性Ta_fix演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
図1に於いて、本発明による操舵アシスト制御装置10は車両12に搭載され、転舵角可変装置14及びこれを制御する電子制御装置16を含んでいる。また図1に於いて、18FL及び18FRはそれぞれ車両12の操舵輪としての左右の前輪を示し、18RL及び18RRはそれぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪18FL及び18FRは運転者によるステアリングホイール20の操作に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン型の電動式パワーステアリング装置22によりラックバー24及びタイロッド26L及び26Rを介して転舵される。
操舵入力手段であるステアリングホイール20はアッパステアリングシャフト28、転舵角可変装置14、ロアステアリングシャフト30、ユニバーサルジョイント32を介してパワーステアリング装置22のピニオンシャフト34に駆動接続されている。転舵角可変装置14はハウジング14Aの側にてアッパステアリングシャフト28の下端に連結され、回転子14Bの側にて図には示されていない減速機構を介してロアステアリングシャフト30の上端に連結された補助転舵駆動用の電動機36を含んでいる。
かくして転舵角可変装置14はアッパステアリングシャフト28に対し相対的にロアステアリングシャフト30を回転駆動することにより、左右の前輪18FL及び18FRをステアリングホイール20に対し相対的に補助転舵駆動する。よって転舵角可変装置14はステアリングギヤ比(操舵伝達比の逆数)を増減変化させるステアリングギヤ比可変装置(VGRS)、従って操舵伝達比可変装置としても機能し、電子制御装置16の操舵角制御部により制御される。
左右の後輪18RL及び18RRは左右の前輪18FL及び18FRの操舵とは独立に、後輪操舵装置42の電動式の駆動装置44によりタイロッド46L及び46Rを介して操舵され、後輪操舵装置42は電子制御装置16の操舵角制御部により制御される。
図示の後輪操舵装置42は周知の構成の電動式補助ステアリング装置であり、電動機48Aと、電動機48Aの回転をリレーロッド48Bの往復運動に変換する例えばねじ式の運動変換機構48Cとを有する。リレーロッド48Bはタイロッド46L、46R及び図には示されていないナックルアームと共働してリレーロッド48Bの往復運動により左右の後輪18RL及び18RRを転舵駆動する転舵機構を構成している。
図には詳細に示されていないが、変換機構48Cは電動機48Aの回転をリレーロッド48Bの往復運動に変換するが、左右の後輪10RL及び10RRが路面より受けリレーロッド48Bに伝達された力を電動機48Aへ伝達せず、従ってリレーロッド48Bに伝達された力によって電動機48Aが回転駆動されることがないよう構成されている。
図示の実施形態に於いては、電動式パワーステアリング装置22はラック同軸型の電動式パワーステアリング装置であり、電動機50と、電動機50の回転トルクをラックバー24の往復動方向の力に変換する例えばボールねじ式の変換機構52とを有する。電動式パワーステアリング装置22は電子制御装置16の操舵アシスト制御部によって制御され、ハウジング54に対し相対的にラックバー24を駆動する補助操舵力を発生することにより、運転者の操舵負担を軽減する操舵アシスト装置として機能する。
尚転舵角可変装置14は補助操舵アシスト装置と共働して運転者の操舵操作によらず左右前輪舵角を変化させると共に、ステアリングホイール20の回転角度を変化させることができる限り、任意の構成のものであってよい。同様に操舵アシスト装置も補助操舵力を発生することができる限り任意の構成のものであってよい。また操舵入力手段はステアリングホイール20であり、その操作位置は回転角度であるが、操舵入力手段はジョイスティック型の操舵レバーであってもよく、その場合の操作位置は往復操作位置であってよい。
図示の実施形態に於いては、アッパステアリングシャフト28には該アッパステアリングシャフトの回転角度を操舵角δとして検出する操舵角センサ60及び操舵トルクMTを検出する操舵トルクセンサ62が設けられている。ロアステアリングシャフト30にはその回転角度をピニオン角度(ピニオンシャフト34の回転角度)φとして検出する回転角度センサ64が設けられていてもよい。操舵角δを示す信号、操舵トルクMTを示す信号、ピニオン角度φを示す信号は、車速センサ66により検出された車速Vを示す信号と共に電子制御装置16へ入力される。
尚回転角度センサ64は転舵角可変装置14の相対回転角度θre、即ちアッパステアリングシャフト28に対するロアステアリングシャフト30の相対回転角度を検出する回転角度センサに置き換えられてもよい。
また車両12には車両の前方を撮影するCCDカメラ68が設けられており、CCDカメラ58により撮影された車両の前方の画像情報を示す信号も電子制御装置16へ入力される。尚車両の前方の画像情報や操向路の情報はCCDカメラ以外の手段により取得されてもよい。また車両の乗員により操作され操舵モードを二輪操舵モード及び四輪操舵モードの何れかに選択するための選択スイッチ70が設けられていてもよい。
電子制御装置16の操舵角制御部及び操舵アシスト制御部はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含むものであってよい。また操舵角センサ60、操舵トルクセンサ62、回転角度センサ64はそれぞれ車両の左旋回方向への操舵又は転舵の場合を正として操舵角δ、操舵トルクTs、ピニオン角度φを検出する。
後に詳細に説明する如く、電子制御装置16の操舵角制御部は図2等に示されたフローチャートに従って四輪操舵の各ゲインをまず第一の操舵制御則のゲインとして通常時の四輪操舵のベースゲインFp_base、Fd_base、Rp-base、Rd_baseに設定する。そして操舵角制御部は通常時には転舵角可変装置14及び後輪操舵装置42を制御することにより前後輪の操舵制御を行う。
特にこの第一の実施形態に於いては、電子制御装置16の操舵角制御部はCCDカメラ68により撮影された車両の前方の画像情報に基づいて走行路の曲率を判定すると共に、四輪操舵モードへの切替えが可能であるか否かを判定する。そして操舵角制御部は四輪操舵モードへの切替えが可能であると判定した場合には、操舵制御則を第二の制御則に設定すべく各ゲインを走行路の曲率に応じて補正する。即ち操舵角制御部は前輪操舵の比例ゲインFp、前輪操舵の微分ゲインFd、後輪操舵の比例ゲインRp、後輪操舵の微分ゲインRdのマップをそれぞれ図4乃至図7に示されたFp_fix、Fd_fix、Rpfix、Rd_fixのマップに設定する。
各ゲインのマップは図4乃至図7に於いてはそれぞれ一つしか図示されていないが、それぞれN=1〜N=n(正の整数)までnのマップが設定されている。そして曲率に応じてNが決定されることにより、nのマップのうちの一つが決定される。図4乃至図7に示されている如く、各ゲインは車速Vに応じて可変設定される。
尚図4乃至図7に示されたマップは例示であり、これらに限定されるものではない。またこれらのマップは例えば各車種毎に実験的に求められてよい。このことは後述の他のマップについても同様である。
またsをラプラス演算子として、後輪操舵の比例ゲインRpは操舵角δ(s)に対する後輪の舵角δr(s)の比であり、後輪操舵の微分ゲインRdは操舵角δ(s)の変化に対する後輪の舵角δr(s)の変化の比である。
フローチャートとしては図示されていないが、電子制御装置16の操舵アシスト制御部は操舵トルクMTに基づいて図8に示されたマップより通常時の目標アシストトルクTaを演算する。そして通常時、即ち四輪操舵モードへの切替えが不可能である場合及び四輪操舵モードへの切替えが可能であるが切替えが行われていない場合には、操舵アシスト制御部はベースのアシスト特性Ta_baseに基づいて操舵アシスト制御を行う。即ち操舵アシスト制御部はアシストトルクがベースのアシスト特性Ta_baseに基づいて演算された目標アシストトルクTaになるよう、電動式パワーステアリング装置22を制御する。
これに対し四輪操舵モードへの切替えが可能であり、操舵制御則が第二の制御則であるときには、電子制御装置16の操舵アシスト制御部は比例ゲインRpの変化量z1(=Rp_fix−Rp_base)に基づいて補正係数F1(z1)を演算する。そして操舵アシスト制御部はベースのアシスト特性Ta_baseが補正係数F1(z1)にて補正された補正後のアシスト特性Ta_fixに基づいて電動式パワーステアリング装置22を制御することにより操舵アシスト制御を行う。
次に図2に示されたフローチャートを参照して第一の実施形態に於ける操舵制御及び操舵アシストの制御ルーチンについて説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ100に於いては四輪操舵の各ゲインが通常時の四輪操舵のベースゲインFp_base、Fd_base、Rp-base、Rd_baseに設定される。またアシスト特性がベースのアシスト特性Ta_baseに設定される。
ステップ150に於いては例えばフェールセーフによる要求の如く、電子制御装置16内に二輪操舵モードの要求があるか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ350へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ200へ進む。
尚選択スイッチ70が設けられている場合には、選択スイッチ70により選択された操舵モードが二輪操舵モードであるか否かの判別も行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ350へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ200へ進む。
ステップ200に於いては操舵のゲインが二輪操舵のゲインに設定される。即ちステアリング系のステアリングギヤ比をRsとして、前輪操舵の比例ゲインFpが1/Rsに設定され、前輪操舵の微分ゲインFd、後輪操舵の比例ゲインRp、後輪操舵の微分ゲインRdがそれぞれ0に設定される。従って転舵角可変装置14は作動されず、前輪はステアリングホイール20の操舵操作に応じて一定のステアリングギヤ比Rsにて転舵され、後輪は転舵されない。
ステップ250に於いてはアシスト特性がベースの特性Ta_baseから二輪操舵時のアシスト特性Ta_2WDに修正されることにより補正され、ステップ300に於いては目標アシストトルクTaが二輪操舵時のアシスト特性Ta_2WDに基づいて演算される。
ステップ350に於いては四輪操舵モードへの切替えが可能であるか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ450へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ400へ進む。
ステップ400に於いては操舵モードが四輪操舵モードへ切替えられているか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ400へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ550へ進む。
ステップ450に於いてはステップ100に於いて設定されたベースゲインにて四輪操舵モードによる操舵制御が実行される。即ちTdf及びTdrをそれぞれ一次遅れの時定数として、下記の式1又は2に従って操舵角δ(s)に対する前輪の目標舵角δf(s)が演算されると共に、下記の式3又は4に従って操舵角δ(s)に対する後輪の目標舵角δr(s)が演算される。そして前輪の舵角δfが目標舵角δf(s)になるよう転舵角可変装置14が制御され、後輪の舵角δrが目標舵角δr(s)になるよう後輪操舵装置42が制御される。
Figure 2013129262
ステップ500に於いては目標アシストトルクTaが操舵トルクTsに基づいて四輪操舵時のベースのアシスト特性Ta_baseに従って演算される。そして目標アシストトルクTaを示す信号が電子制御装置16の操舵アシスト制御部へ出力される。
ステップ550に於いては曲率に応じてNが決定されることにより、それぞれ図4乃至図7に示されたマップに対応するnのマップのうちの一つが決定される。即ち四輪操舵の各ゲインが走行路の曲率に応じて決定されたFp_fix、Fd_fix、Rpfix、Rd_fixのマップより車速Vに基づいて演算される値に補正される。そしてそれらの補正後のゲインにて四輪操舵モードによる操舵制御が実行される。
即ちTdf及びTdrをそれぞれ一次遅れの時定数として、下記の式5又は6に従って操舵角δ(s)に対する前輪の目標舵角δf(s)が演算されると共に、下記の式7又は8に従って操舵角δ(s)に対する後輪の目標舵角δr(s)が演算される。そして前輪の舵角δfが目標舵角δf(s)になるよう転舵角可変装置14が制御され、後輪の舵角δrが目標舵角δr(s)になるよう後輪操舵装置42が制御される。
Figure 2013129262
ステップ700Aに於いては図3に示されたフローチャートに従って、アシスト特性がベースの特性Ta_baseから四輪操舵時のアシスト特性Ta_fixに修正されることにより補正される。
ステップ900に於いては目標アシストトルクTaが操舵トルクTsに基づいて四輪操舵時の補正後のアシスト特性Ta_fixに従って演算される。そして目標アシストトルクTaを示す信号が電子制御装置16の操舵アシスト制御部へ出力される。
図3に示されたフローチャートのステップ712に於いては下記の式9に従って第二の制御則の値Rp_fixと第一の制御則の値Rp_baseとの差として後輪操舵の比例ゲインRpの変化量z1が演算される。
z1=Rp_fix−Rp_base ……(9)
ステップ714に於いては比例ゲインRpの変化量z1に基づいて図9に示されたマップより補正係数F1(z1)が演算される。
ステップ716に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式10に従って通常時のアシスト特性Ta_baseの値と補正係数F1(z1)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*F1(z1) ……(10)
かくして第一の実施形態によれば、操舵モードが四輪操舵モードの第二の操舵制御則に切替わるときには、ステップ400の判別が行われ、ステップ550に於いて切替えられた第二の操舵制御則による四輪操舵モードにて操舵制御が行われる。
特にステップ550に於いて各操舵ゲインがベースゲインFp_base、Fd_base、Rp-base、Rd_baseから第二の操舵制御則のゲインFp_fix、Fd_fix、Rpfix、Rd_fixに補正される。そして補正後のゲインに基づいて角δ(s)に対する前輪の目標舵角δf(s)及び後輪の目標舵角δr(s)が演算され、前輪及び後輪の舵角がそれぞれ目標舵角δf(s)及びδr(s)になるよう転舵角可変装置14及び後輪操舵装置42が制御される。
またステップ700Aに於いてアシスト特性がベースの特性Ta_baseが第二の操舵制御則による四輪操舵モードに切替えられた後の特性Ta_fixに補正され、ステップ900に於いて目標アシストトルクTaが操舵トルクTsに基づいて補正後のアシスト特性Ta_fixに従って演算される。
特にステップ712に於いて第二の制御則の値Rp_fixと第一の制御則の値Rp_baseとの差として後輪操舵の比例ゲインRpの変化量z1が演算され、ステップ714に於いて比例ゲインRpの変化量z1に基づいて補正係数F1(z1)が演算される。またステップ716に於いて通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数F1(z1)との積としてアシスト特性Ta_fixが演算される。そしてステップ900に於いて目標アシストトルクTaが操舵トルクTsに基づいて四輪操舵時の補正後のアシスト特性Ta_fixに従って演算される。
従って第一の実施形態によれば、走行路の曲率及び車速Vに応じて四輪操舵モード時に於ける車両の操舵特性を好ましい特性に制御することができると共に、操舵特性の変化に応じて操舵アシスト特性を好ましい特性に制御することができる。尚この作用効果は後述の他の実施形態に於いても同様に得られる。
特に第一の実施形態によれば、走行路の曲率及び車速Vに応じて可変設定される後輪操舵の比例ゲインRpの変化に応じてアシスト特性に対する補正係数F1(z1)を可変設定し、これにより操舵アシスト特性を好ましい特性に制御することができる。
尚第一の実施形態に於いては、補正係数F1(z1)は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する補正係数であり、比例ゲインRpの変化量z1に基づいて図9に示されたマップより演算される。しかし補正係数は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数F2(z1)として演算されてもよい。
例えばステップ714に於いて比例ゲインRpの変化量z1に基づいて図10に示されたマップより補正係数F2(z1)が演算され、ステップ716に於いてアシスト特性Ta_fixが下記の式11に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+F2(z1)} ……(11)
[第二の実施形態]
図11は本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第二の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。尚図11に於いて図2に示されたステップと同一のステップには図2に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。このことは後述の他の実施形態についても同様である。
この第二の実施形態に於いては、ステップ550の次にステップ700Bが実行される。ステップ700Bに於いては図12に示されたフローチャートに従って、アシスト特性がベースの特性Ta_baseから四輪操舵時のアシスト特性Ta_fixに修正されることにより補正される。尚図12に示されたフローチャートのステップ720及び724はそれぞれ上述の第一の実施形態のステップ712及び714と同様に行われる。
ステップ720の次に実行されるステップ722に於いては、下記の式12に従って第二の制御則の値Rd_fixと第一の制御則の値Rd_baseとの差として後輪操舵の微分ゲインRdの変化量z2が演算される。
z2=Rd_fix−Rd_base ……(12)
ステップ726に於いては微分ゲインRdの変化量z2に基づいて図13に示されたマップより補正係数G1(z2)が演算される。
ステップ728に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式13に従って通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数F1(z1)及びG1(z2)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*F1(z1)*G1(z2) ……(13)
かくして第二の実施形態によれば、操舵モードが四輪操舵モードであるときには、ステップ550に於いて第一の実施形態の場合と同様に各操舵ゲインが第二の操舵制御則のゲインFp_fix、Fd_fix、Rpfix、Rd_fixに補正される。そして補正後のゲインに基づいて角δ(s)に対する前輪の目標舵角δf(s)及び後輪の目標舵角δr(s)が演算され、前輪及び後輪の舵角がそれぞれ目標舵角δf(s)及びδr(s)になるよう転舵角可変装置14及び後輪操舵装置42が制御される。
またステップ720及び724に於いて第一の実施形態の場合と同様に補正係数F1(z1)が演算されるだけでなく、ステップ722及び726に於いて補正係数G1(z2)が演算される。即ちステップ722に於いて第二の制御則の値Rd_fixと第一の制御則の値Rd_baseとの差として後輪操舵の微分ゲインRdの変化量z2が演算され、ステップ726に於いて微分ゲインRdの変化量z2に基づいて補正係数G1(z2)が演算される。そしてステップ728に於いて通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数F1(z1)及びG1(z2)との積としてアシスト特性Ta_fixが演算される。
従って第二の実施形態によれば、走行路の曲率及び車速Vに応じて可変設定される後輪操舵の比例ゲインRp及び微分ゲインRdの変化に応じてアシスト特性に対する補正係数F1(z1)及びG1(z2)を可変設定することができる。よって操舵特性の変化に応じて操舵アシスト特性を上述の第一の実施形態よりも更に一層好ましい特性に制御することができる。
尚上述の第二の実施形態に於いては、補正係数G1(z2)は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する補正係数であり、微分ゲインRdの変化量z2に基づいて図13に示されたマップより演算される。しかしこの補正係数も通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数G2(z2)として演算されてもよい。
例えばステップ724に於いて比例ゲインRpの変化量z1に基づいて図10に示されたマップより補正係数F2(z1)が演算され、ステップ726に於いて微分ゲインRdの変化量z2に基づいて図14に示されたマップより補正係数G2(z2)が演算されてもよい。そしてステップ728に於いてアシスト特性Ta_fixが下記の式14に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+F2(z1)+G2(z2)} ……(14)
[第三の実施形態]
図15は本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第三の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
この第三の実施形態に於いては、ステップ550の次にステップ700Cが実行される。ステップ700Cに於いては図16に示されたフローチャートに従って、アシスト特性がベースの特性Ta_baseから四輪操舵時のアシスト特性Ta_fixに修正されることにより補正される。
図16に示されたフローチャートのステップ730に於いては、下記の式15に従って前輪操舵の比例ゲインFpと後輪操舵の比例ゲインRpとの差の変化量z3が演算される。
z3=(Fp_fix−Rp_fix)−(Fp_base−Rp_base) ……(15)
ステップ732に於いては変化量z3に基づいて図17に示されたマップより補正係数H1(z3)が演算される。
ステップ734に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式16に従って通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数H1(z3)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*H1(z3) ……(16)
かくして第三の実施形態によれば、操舵モードが四輪操舵モードであるときには、ステップ550に於いて第一の実施形態の場合と同様に各操舵ゲインが第二の操舵制御則のゲインFp_fix、Fd_fix、Rpfix、Rd_fixに補正される。そして補正後のゲインに基づいて角δ(s)に対する前輪の目標舵角δf(s)及び後輪の目標舵角δr(s)が演算され、前輪及び後輪の舵角がそれぞれ目標舵角δf(s)及びδr(s)になるよう転舵角可変装置14及び後輪操舵装置42が制御される。
またステップ730に於いて前輪操舵の比例ゲインFpと後輪操舵の比例ゲインRpとの差の変化量z3が演算され、ステップ732に於いて変化量z3に基づいて補正係数H1(z3)が演算される。そしてステップ734に於いて通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数H1(z3)との積としてアシスト特性Ta_fixが演算される。
従って第三の実施形態によれば、走行路の曲率及び車速Vに応じて可変設定される前輪操舵の比例ゲインFp及び後輪操舵の比例ゲインRpの変化に応じてアシスト特性に対する補正係数H1(z3)を可変設定することができる。よって操舵特性の変化に応じて操舵アシスト特性を上述の第一の実施形態よりも更に一層好ましい特性に制御することができる。
尚上述の第三の実施形態に於いては、補正係数H1(z3)は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する補正係数であり、前輪操舵の比例ゲインFpと後輪操舵の比例ゲインRpとの差の変化量z3に基づいて図17に示されたマップより演算される。しかしこの補正係数も通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数H2(z3)として演算されてもよい。
例えばステップ732に於いて変化量z3に基づいて図18に示されたマップより補正係数H2(z3)が演算され、ステップ734に於いて目標アシストトルクTa_fixが下記の式17に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)} ……(17)
また全車速域に於いて前輪操舵の比例ゲインFpと後輪操舵の比例ゲインRpとが異なる値であるときには、補正係数H2(z3)は下記の式18に従って演算されてもよい。
H2(z3)=z3/(Fp_base−Rp_base) ……(18)
[第四の実施形態]
図19は本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第四の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
この第四の実施形態に於いては、ステップ550の次にステップ700Dが実行される。ステップ700Dに於いては図20に示されたフローチャートに従って、アシスト特性がベースの特性Ta_baseから四輪操舵時のアシスト特性Ta_fixに修正されることにより補正される。尚図20に示されたフローチャートのステップ740及び742はそれぞれ上述の第三の実施形態のステップ730及び732と同様に行われる。
ステップ742の次に実行されるステップ744に於いては、下記の式19に従って前輪操舵の微分ゲインFdと後輪操舵の微分ゲインRdとの差の変化量z4が演算される。
Z4=(Fd_fix−Rd_fix)−(Fd_base−Rd_base) ……(19)
ステップ746に於いては変化量z4に基づいて図21に示されたマップより補正係数J1(z4)が演算される。
ステップ748に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式20に従って通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数H1(z3)及びJ1(z4)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*J1(z4) ……(20)
かくして第四の実施形態によれば、操舵モードが四輪操舵モードであるときには、ステップ550に於いて第一の実施形態の場合と同様に各操舵ゲインが第二の操舵制御則のゲインFp_fix、Fd_fix、Rpfix、Rd_fixに補正される。そして補正後のゲインに基づいて角δ(s)に対する前輪の目標舵角δf(s)及び後輪の目標舵角δr(s)が演算され、前輪及び後輪の舵角がそれぞれ目標舵角δf(s)及びδr(s)になるよう転舵角可変装置14及び後輪操舵装置42が制御される。
また図20に示されたフローチャートのステップ740及び742に於いて第三の実施形態の場合と同様に補正係数H1(z3)が演算されるだけでなく、ステップ744及び746に於いて補正係数J1(z4)が演算される。即ちステップ744に於いて前輪操舵の微分ゲインFdと後輪操舵の微分ゲインRdとの差の変化量z4が演算され、ステップ746に於いて変化量z4に基づいて補正係数J1(z4)が演算される。そしてステップ748に於いて通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数H1(z3)及びJ1(z4)との積としてアシスト特性Ta_fixが演算される。
従って第四の実施形態によれば、走行路の曲率及び車速Vに応じて可変設定される前後輪操舵の比例ゲインFp、Rp及び微分ゲインFd、Rdの変化に応じてアシスト特性に対する補正係数H1(z3)及びJ1(z4)を可変設定することができる。よって操舵特性の変化に応じて操舵アシスト特性を上述の第一の実施形態よりも更に一層好ましい特性に制御することができる。
尚上述の第四の実施形態に於いては、補正係数H1(z3)及びJ1(z4)は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する補正係数であり、それぞれ比例ゲイン及び微分ゲインの差の変化量z3及びz4に基づいて図17及び図21に示されたマップより演算される。しかしこれらの補正係数も通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数H2(z3)及びJ2(z4)として演算されてもよい。
例えばステップ742に於いて変化量z3に基づいて図18に示されたマップより補正係数H2(z3)が演算され、ステップ746に於いて変化量z4に基づいて図22に示されたマップより補正係数J2(z4)が演算されてもよい。そしてステップ748に於いてアシスト特性Ta_fixが下記の式21に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+J2(z4)} ……(21)
[第五の実施形態]
図23は本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第五の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
前輪のコーナリングパワーをKfとし、車両の重心から前輪車軸及び後輪車軸までの車両前後方向の距離をそれぞれLf及びLrとして、操舵角δ(s)に対する前輪横力Yf(s)の応答(Yf(s)/δ(s))の定常ゲインYf_gは下記の式22により表される。
Yf_g=Kf*[{1−(Gsf+Gyf*Lf/V)}*Fp
−(Gsr+Gyr*Lf/V)*Rp] ……(22)
またGsf及びGsrはそれぞれ下記の式23及び24により表される前輪及び後輪のスリップ角定常ゲインであり、Gyf及びGyrはそれぞれ下記の式25及び26により表される前輪及び後輪のヨーレート定常ゲインである。
Gsf=(Lr/L)*{1−(Mr*V)/(2Lr*Kr)}/(1+A
……(23)
Gsr=(Lf/L)*{1+(Mf*V)/(2Lf*Kf)}/(1+A
……(24)
Gyf=(V/L)/(1+A) ……(25)
Gyr=−(V/L)/(1+A) ……(26)
尚上記式25及び26に於けるAはスタビリティファクタであり、車両の質量をMとし、後輪のコーナリングパワーをKrとし、車両のホイールペースをLとして下記の式27により表される。
A=−M*(Lf*Kf−Lr*Kr)/(2L*Kf*Kr) ……(27)
操舵制御則が第一の制御則と第二の制御則との間にて変化すると後輪操舵の比例ゲインRp及び前輪操舵の比例ゲインFpが変化するので、定常ゲインYf_gも変化する。よってこの第五の実施形態に於いては、定常ゲインYf_gの変化に応じて目標アシストトルクTa_baseに対する補正係数が演算される。
図23に示されている如く、この第五の実施形態に於いては、ステップ100に於いて四輪操舵の各ゲインがベースゲインFp_base、Fd_base、Rp-base、Rd_baseに設定され、アシスト特性がベースのアシスト特性Ta_baseに設定される。また操舵角に対する前輪横力応答の定常ゲインがベースゲインYf_g_baseに設定される。
この場合の後輪操舵のベースの比例ゲインRp_base及び前輪操舵のベースの比例ゲインFp_baseはそれぞれ図4及び図15に示されたマップより演算される。また上記式22に対応する下記の式28に従って操舵角δ(s)に対する前輪横力Yf(s)の応答の定常ゲインYf_g_baseが演算される。
Yf_g_base=Kf*[{1−(Gsf+Gyf*Lf/V)}*Fp_base
−(Gsr+Gyr*Lf/V)*Rp_base] ……(28)
またこの第五の実施形態に於いては、ステップ550の次にステップ700Eが実行される。ステップ700Eに於いては図14に示されたフローチャートに従って、アシスト特性がベースの特性Ta_baseから四輪操舵時のアシスト特性Ta_fixに修正されることにより補正される。
図14に示されたフローチャートのステップ782に於いてはステップ550に於いて演算された比例ゲインRp及びFpに基づいて上記式22に従って操舵角δ(s)に対する前輪横力Yf(s)の応答の定常ゲインYf_gが現在の定常ゲインYf_g_fixとして演算される。
ステップ784に於いては下記の式29に従って現在の定常ゲインYf_g_fixとベースの定常ゲインYf_g_baseとの差として定常ゲインYf_gの変化量z5が演算される。
Z5=Yf_g_fix−Yf_g_base ……(29)
ステップ786に於いては定常ゲインYf_gの変化量z5に基づいて図25に示されたマップより補正係数P1(z5)が演算される。
ステップ788に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式30に従って通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数P1(z5)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*P1(z5) ……(30)
かくして第五の実施形態によれば、四輪操舵の制御則が第一の制御則より第二の制御則へ切替わるときには、そのことがステップ400に於いて判別され、上述の他の実施形態の場合と同様にステップ550に於いて前後輪の舵角が切替わった後の第二の制御則にて制御される。
特に第五の実施形態に於いては、ステップ100及び782に於いて操舵角に対する前輪横力の応答の定常ゲインとしてベースの定常ゲインYf_g_base及び現在の定常ゲインYf_g_fixが演算される。そしてステップ784に於いて定常ゲインYf_g_fixとYf_g_baseとの差として定常ゲインYf_gの変化量z5が演算され、ステップ786に於いては定常ゲインYf_gの変化量z5に基づいて補正係数P1(z5)が演算される。更にステップ788に於いて操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数P1(z5)との積として演算される。
従って第五の実施形態によれば、第三の実施形態の場合と同様に走行路の曲率及び車速Vに応じて可変設定される前輪操舵の比例ゲインFp及び後輪操舵の比例ゲインRpの変化に応じてアシスト特性に対する補正係数P1(z5)を可変設定することができる。よって操舵特性の変化に応じて操舵アシスト特性を上述の第一の実施形態よりも更に一層好ましい特性に制御することができる。
尚上述の第五の実施形態に於いては、補正係数P1(z5)は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する補正係数であり、操舵角に対する前輪横力の応答の定常ゲインYf_gの変化量z5に基づいて図25に示されたマップより演算される。しかしこの補正係数も通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数P2(z5)として演算されてもよい。
例えばステップ786に於いて変化量z5に基づいて図26に示されたマップより補正係数P2(z5)が演算され、ステップ788に於いてアシスト特性Ta_fixが下記の式31に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+P2(z5)} ……(31)
またベースの定常ゲインYf_g_baseが全車速域に於いて0ではない場合には、補正係数P2(z5)は下記の式32に従って演算されてもよい。
P2(z5)=z5/Yf_g_base ……(32)
[第六の実施形態]
図27は電動式パワーステアリング装置が搭載された車両に適用された本発明による四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置の第六の実施形態を示す概略構成図である。尚図27に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
この第六の実施形態に於いては、車両の乗員により操作され車両を走行路に沿って走行させるレーンキープアシスト(LKA)制御を選択するための選択スイッチ72が設けられている。選択スイッチ72の操作によりレーンキープアシスト制御が選択されているか否かを示す信号も電子制御装置16の操舵角制御部へ入力される。
この第六の実施形態の電子制御装置16の操舵角制御部は、転舵角可変装置14、電動式パワーステアリング装置22、後輪操舵装置42を制御することにより、第一の実施形態の二輪操舵モード又は四輪操舵モードによる舵角制御に加えてLKA制御を行う。以上のことは後述の第七及び第八の実施形態についても同様である。
図28は第六の実施形態に於ける操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートである。尚図28に示されたフローチャートのステップ100〜550はそれぞれ上述の第一の実施形態のステップ100〜550と同様に行われる。
図28に示されている如く、ステップ550が完了すると制御はステップ600へ進み、ステップ500に於いては選択スイッチ72の操作によりLKA制御が選択されているか否かの判別が行われる。そして否定判別が行われたときには制御はステップ700Aへ進み、上述の第一の実施形態の場合と同様に操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが演算される。またステップ900に於いて目標アシストトルクTaが操舵トルクTsに基づいて補正後のアシスト特性Ta_fixに従って演算される。
これに対しステップ600に於いて肯定判別が行われたときには制御はステップ800へ進み、ステップ800に於いては図29に示されたフローチャートに従って目標アシストトルクTa_fixが演算される。尚図29に示されたフローチャートのステップ760及び762はそれぞれ上述の第一の実施形態のステップ712及び714と同様に実行されれる。
ステップ762の次に実行されるステップ764に於いては、CCDカメラ58により撮影された車両の前方の画像情報に基づいて、図30に示されている如くLKA制御の目標走行ライン70に対する車両12の横方向の偏向量(重心位置の横方向のずれ量)yが演算される。尚車両12の横方向の偏向量yは目標走行ライン70に対し左側への偏向を正として演算される。
ステップ766に於いては横方向の偏向量yに基づいて図31に示されたマップより補正係数Q1(y)が演算される。
ステップ768に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式33に従って通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数F1(z1)及びQ1(y)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*F1(z1)*Q1(y) ……(33)
かくして第六の実施形態によれば、四輪操舵の制御則が第一の制御則より第二の制御則へ切替わるときには、そのことがステップ400に於いて判別され、上述の他の実施形態の場合と同様にステップ550に於いて前後輪の舵角が切替わった後の第二の制御則にて制御される。
特に第六の実施形態に於いては、選択スイッチ72の操作によりLKA制御が選択されているか否かの判別が行われる。そしてLKA制御が選択されていないときには、ステップ600に於いて否定判別が行われ、ステップ700Aに於いて第一の実施形態の場合と同様に操舵制御則が第二の制御則であるときの目標アシストトルクTa_fixが演算される。
これに対し選択スイッチ72の操作によりLKA制御が選択されているときにはLKA制御が行われる。そしてステップ600に於いて肯定判別が行われ、ステップ800に於いて図29に示されたフローチャートに従って操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが演算される。
特にステップ764に於いてLKA制御の目標走行ラインに対する車両の横方向の偏向量yが演算され、ステップ766に於いては横方向の偏向量yに基づいて補正係数Q1(y)が演算される。そしてステップ768に於いてアシスト特性Ta_fixが通常時のアシス特性Ta_baseと補正係数F1(z1)及びQ1(y)との積として演算される。
従って第六の実施形態によれば、走行路の曲率及び車速Vに応じて可変設定される後輪操舵の比例ゲインRp及び車両の横方向の偏向量yの変化に応じてアシスト特性に対する補正係数F1(z1)及びQ1(y)を可変設定することができる。よって操舵特性の変化及びLKA制御に於ける車両の横方向の偏向量の変化に応じて操舵アシスト特性を上述の第一の実施形態よりも更に一層好ましい特性に制御することができる。
特に車両が目標走行ラインの近傍にあり車両の横方向の偏向量yが小さいときには、アシストトルクを小さくして運転者が感じる操舵反力を大きくし、これにより車両が目標走行ラインより遠ざかる操舵操作を行い難くすることができる。逆に車両が目標走行ラインより離れており車両の横方向の偏向量yが大きいときには、車両が目標走行ラインへ近づく方向のアシストトルクを大きくし、これにより車両が目標走行ラインに近づく操舵操作を行い易くすることができる。
尚上述の第六の実施形態に於いては、補正係数Q1(y)は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する補正係数であり、車両の横方向の偏向量yに基づいて図31に示されたマップより演算される。しかしこの補正係数も通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数Q2(y)として演算されてもよい。
例えばステップ762に於いて比例ゲインRpの変化量z1に基づいて図10に示されたマップより補正係数F2(z1)が演算され、ステップ766に於いて車両の横方向の偏向量yに基づいて図32に示されたマップより補正係数Q2(y)が演算されてよい。そしてステップ768に於いてアシスト特性Ta_fixが下記の式34に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+F2(z1)+Q2(y)} ……(34)
[第七の実施形態]
操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートは図示されていないが、この第七の実施形態に於いては図28に示されたフローチャートのステップ800に於いて図33に示されたフローチャートに従ってアシスト特性Ta_fixが演算される。尚図33に示されたフローチャートのステップ770及び772はそれぞれ上述の第六の実施形態のステップ712及び714と同様に行われる。
ステップ772の次に実行されるステップ774に於いては、CCDカメラ58により撮影された車両の前方の画像情報等に基づいて、図34に示されている如くLKA制御の目標走行ライン70の接線方向に対する車両12の移動方向の偏向角uが演算される。即ち車両12の重心に於いて目標走行ライン70に対し引かれた接線を72として、車両12の前後方向の線74が接線72に対しなす角度αが求められ、また車両の移動方向の線76が線74に対しなす角度(車両のスリップ角)βが求められる。そして角度αと角度βとの和が目標走行ライン70の接線方向に対する車両12の移動方向の偏向角uとして演算される。
尚角度α、角度β、車両12の偏向角uは基準の線に対し左側になす場合を正として演算される。また角度βが角度αに比して非常に小さい値であるときには、偏向角uは角度αに設定されてよい。
ステップ776に於いては車両12の移動方向の偏向角uに基づいて図35に示されたマップより補正係数W1(u)が演算される。
ステップ778に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式35に従って通常時の目標アシストトルクTa_baseと補正係数F1(z1)及びW1(u)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*F1(z1)*W1(u) ……(35)
かくして第七の実施形態に於いても、四輪操舵の制御則が第一の制御則より第二の制御則へ切替わるときには、そのことがステップ400に於いて判別され、上述の他の実施形態の場合と同様にステップ550に於いて前後輪の舵角が切替わった後の第二の制御則にて制御される。また選択スイッチ72の操作によりLKA制御が選択されていないときには、ステップ600に於いて否定判別が行われ、ステップ700Aに於いて第一の実施形態の場合と同様に操舵制御則が第二の制御則であるときの目標アシストトルクTa_fixが演算される。
これに対し選択スイッチ72の操作によりLKA制御が選択されているときにはLKA制御が行われる。そしてステップ600に於いて肯定判別が行われ、ステップ800に於いて図33に示されたフローチャートに従って操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが演算される。
特にステップ774に於いてLKA制御の目標走行ラインの接線方向に対する車両の移動方向の偏向角uが演算され、ステップ776に於いては移動方向の偏向角uに基づいて補正係数W1(u)が演算される。そしてステップ778に於いてアシスト特性Ta_fixが通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数F1(z1)及びW1(u)との積として演算される。
従って第七の実施形態によれば、走行路の曲率及び車速Vに応じて可変設定される後輪操舵の比例ゲインRp及び車両の移動方向の偏向角uの変化に応じてアシスト特性に対する補正係数F1(z1)及びW1(u)を可変設定することができる。よって操舵特性の変化及びLKA制御に於ける車両の移動方向の偏向角の変化に応じて操舵アシスト特性を上述の第一の実施形態よりも更に一層好ましい特性に制御することができる。
特に車両の移動方向の偏向角uが小さいときには、アシストトルクを小さくして運転者が感じる操舵反力を大きくし、これにより車両の前後方向及び移動方向が目標走行ラインの接線方向より遠ざかる操舵操作を行い難くすることができる。逆に車両の移動方向の偏向角uが大きいときには、車両の前後方向及び移動方向が目標走行ラインの接線方向へ近づく方向のアシストトルクを大きくし、操舵操作を行い易くすることができる。
尚上述の第七の実施形態に於いては、補正係数W1(u)は通常時のアシスト特性Ta_baseに対する補正係数であり、車両の移動方向の偏向角uに基づいて図35に示されたマップより演算される。しかしこの補正係数も通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数W2(u)として演算されてもよい。
例えばステップ772に於いて比例ゲインRpの変化量z1に基づいて図11に示されたマップより補正係数F2(z1)が演算され、ステップ776に於いて車両の移動方向の偏向角uに基づいて図36に示されたマップより補正係数W2(u)が演算されてよい。そしてステップ778に於いてアシスト特性Ta_fixが下記の式36に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+F2(z1)+W2(u)} ……(36)
[第八の実施形態]
この第八の実施形態は上述の第六の実施形態と第七の実施形態との組合せとして構成されている。操舵制御のメインルーチンを示すフローチャートは図示されていないが、この第八の実施形態に於いては図28に示されたフローチャートのステップ800に於いて図37に示されたフローチャートに従ってアシスト特性Ta_fixが演算される。
図37に示されたフローチャートのステップ760〜766はそれぞれ上述の第六の実施形態のステップ760〜766と同様に行われ、ステップ774及び776はそれぞれ上述の第七の実施形態のステップ774及び776と同様に行われる。
ステップ780に於いては操舵制御則が第二の制御則であるときのアシスト特性Ta_fixが下記の式37に従って通常時のアシスト特性Ta_baseと補正係数F1(z1)、Q1(y)及びW1(u)との積として演算される。
Ta_fix=Ta_base*F1(z1)*Q1(y)*W1(u) ……(37)
従ってこの第八の実施形態によれば、上述の第六及び第七の実施形態の両方の作用効果を得ることができる。
尚この第八の実施形態に於いても、上述の第六及び第七の実施形態の修正例の如く、通常時のアシスト特性Ta_baseに対する増減補正量を演算するための補正係数Q2(y)及びW2(u)が演算されてよい。そしてステップ780に於いてアシスト特性Ta_fixが下記の式38に従って演算されてもよい。
Ta_fix=Ta_base*{1+F2(z1)+Q2(y)+W2(u)} ……(38)
以上の説明より解る如く、上述の第六乃至第八の実施形態は第一の実施形態の修正例として構成されているが、第二乃至第五の実施形態の修正例として構成されてもよい。
例えば上述の第六の実施形態が第二乃至第五の実施形態の修正例として構成される場合には、上記式33及び34はそれぞれ下記の式39乃至46に変更される。
Ta_fix=Ta_base*G1(z2)*Q1(y) ……(39)
Ta_fix=Ta_base*{1+G2(z2)+Q2(y)} ……(40)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*Q1(y) ……(41)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+Q2(y)} ……(42)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*J1(z4)*Q1(y) ……(43)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+J2(z4)+Q2(y)} ……(44)
Ta_fix=Ta_base*P1(z5)*Q1(y) ……(45)
Ta_fix=Ta_base*{1+P2(z5)+Q2(y)} ……(46)
同様に上述の第七の実施形態が第二乃至第五の実施形態の修正例として構成される場合には、上記式35及び36はそれぞれ下記の式47乃至54に変更される。
Ta_fix=Ta_base*G1(z2)*W1(u) ……(47)
Ta_fix=Ta_base*{1+G2(z2)+W2(u)} ……(48)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*W1(u) ……(49)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+W2(u)} ……(50)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*J1(z4)*W1(u) ……(51)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+J2(z4)+W2(u)} ……(52)
Ta_fix=Ta_base*P1(z5)*W1(u) ……(53)
Ta_fix=Ta_base*{1+P2(z5)+W2(u)} ……(54)
更に上述の第八の実施形態が第二乃至第五の実施形態の修正例として構成される場合には、上記式37及び38はそれぞれ下記の式55乃至62に変更される。
Ta_fix=Ta_base*G1(z2)*Q1(y)*W1(u) ……(55)
Ta_fix=Ta_base*{1+G2(z2)+Q2(y)+W2(u)} ……(56)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*Q1(y)*W1(u) ……(57)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+Q2(y)+W2(u)} ……(58)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*Q1(y)*W1(u) ……(59)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+Q2(y)+W2(u)} ……(60)
Ta_fix=Ta_base*P1(z5)*Q1(y)*W1(u) ……(61)
Ta_fix=Ta_base*{1+P2(z5)+Q2(y)+W2(u)} ……(62)
また上述の第五の実施形態が第一乃至第四の実施形態と組合わされてもよく、それらの場合には上記式10、11、13、14、16、17、20、21はそれぞれ下記の式63乃至70に変更される。
Ta_fix=Ta_base*F1(z1)*P1(z5) ……(63)
Ta_fix=Ta_base*{1+F2(z1)+P2(z5)} ……(64)
Ta_fix=Ta_base*f1(z1)*G1(z2)*P1(z5) ……(65)
Ta_fix=Ta_base*{1+F2(z1)+G2(z2)+P2(z5)} ……(66)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*P1(z5) ……(67)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+P2(z5)} ……(68)
Ta_fix=Ta_base*H1(z3)*J1(z4)*P1(z5) ……(69)
Ta_fix=Ta_base*{1+H2(z3)+J2(z4)+P2(z5)} ……(70)
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施形態に於いては、走行路の曲率に応じて操舵制御則が第一の制御則又は第二の制御則に設定されるようになっている。しかし操舵制御則の切替えは走行路の曲率に加えて走行路の幅、車線の数、走行路が一般道路であるか高速道路であるか等の情報に基づいて行われるよう修正されてよい。また操舵制御則は三つ以上の制御則の間に切替えられてもよい。
また上述の各実施形態に於いては、走行路の曲率等の判定はCCDカメラ68により撮影された車両の前方の画像情報に基づいて行われるようになっている。しかしナビゲーション装置からの情報や操舵角及び操舵角速度等の運転操作状況に基づいて走行路の曲率等が判定されてもよく、またこれらの情報が車両の前方の画像情報に加えて補助的に使用されてもよい。
また上述の各実施形態に於いては、パワーステアリング装置はラック同軸型の電動式パワーステアリング装置22である。しかしパワーステアリング装置はラック同軸型以外の電動式パワーステアリング装置であってもよく、また油圧式のパワーステアリング装置であってもよい。
また上述の第一及び第二の実施形態に於いては、後輪操舵の比例ゲインRpの変化量z1等が正の値であり、補正係数F1(z1)等を演算するためのマップも変化量z1等が正の領域に限られている。しかし後輪操舵の比例ゲインRp等のマップは操舵制御則の変化に伴って変化量z1等が正負に亘って変化するよう設定されてもよく、その場合には補正係数F1(z1)等を演算するためのマップも変化量z1等が正負の領域に跨って設定される。
また上述の第三の実施形態に於いては、前輪操舵の比例ゲインFpと後輪操舵の比例ゲインRpとの差の変化量z3は負の値であり補正係数H1(z3)を演算するためのマップも変化量z3が負の領域に限られている。しかし後輪操舵の比例ゲインRp等のマップは操舵制御則の変化に伴って変化量z3が正負に亘って変化するよう設定されてもよく、その場合には補正係数H1(z3)を演算するためのマップも変化量z3が正負の領域に跨って設定される。
10…操舵アシスト制御装置、14…転舵角可変装置、16…電子制御装置、22…電動式パワーステアリング装置、42…後輪操舵装置、60…操舵角センサ、62…操舵トルクセンサ、66…車速センサ、68…CCDカメラ、70、72…選択スイッチ

Claims (5)

  1. 走行状況に応じて少なくとも後輪の操舵制御則を変更する四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置であって、後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更することを特徴とする四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置。
  2. 走行状況が第一及び第二の状況であるときには後輪の操舵制御則をそれぞれ第一及び第二の制御則に設定し、後輪の操舵制御則が第二の制御則に設定されているときには前記操舵アシスト装置のアシスト特性を後輪の操舵制御則が第一の制御則に設定されているときとは異なる特性に変更することを特徴とする請求項1に記載の四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置。
  3. 後輪の操舵制御則の変更に伴い変化する操舵特性は、1)運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲイン、2)運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲイン及び微分ゲイン、3)運転者の操舵操作量に対する前輪の操舵量の比例ゲインと運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲインとの差、4)運転者の操舵操作量に対する前輪の操舵量の比例ゲインと運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の比例ゲインとの差及び運転者の操舵操作量に対する前輪の操舵量の微分ゲインと運転者の操舵操作量に対する後輪の操舵量の微分ゲインとの差、5)運転者の操舵操作量に対する前輪横力応答の定常ゲインの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置。
  4. 少なくとも前輪を操舵することにより車両を走行路に沿って走行させるレーンキープアシスト制御が行われ、後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化及び目標走行ラインに対する車両の横方向の偏差に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置。
  5. 少なくとも前輪を操舵することにより車両を走行路に沿って走行させるレーンキープアシスト制御が行われ、後輪の操舵制御則の変更に伴う操舵特性の変化及び目標走行ラインに対する車両の偏向角度に応じて操舵アシスト装置のアシスト特性を変更することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の四輪操舵車両の操舵アシスト制御装置。
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