JP2007331581A - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 運転者の操舵操作に応じた車両運動目標値と自動操縦による車両運動目標値との両方を使って転舵制御する場合においても、適正な転舵制御量を設定する。
【解決手段】 車両を自動操縦するための車両運動の第1目標値(γauto*,βauto*)を算出し(S27,S28)、その第1目標値を得るために必要な運転者による操舵ハンドルの仮想舵角を算出する(S29)。次に、実際の操舵ハンドルの操舵角と算出された仮想舵角との差分から、その差分に対応する運転者の操舵操作による車両運動の第2目標値(γdriv*,βdriv*)を算出する(S32,S33)。そして、第1目標値と第2目標値との和に基づいて車両運動の最終目標値を算出し(S34,S35)、この最終目標値を得るために必要な車輪の目標転舵角を算出して(S36)、前後輪の転舵モータを駆動制御する(S37)。
【選択図】 図4

Description

本発明は、車輪を転舵する転舵アクチュエータを備え、転舵アクチュエータを駆動制御することにより所望の転舵角を得る車両の操舵装置に関する。
従来から、操舵ハンドルの操舵操作に応じた車両運動の目標値を算出し、その車両運動目標値が得られるように、前後輪の転舵アクチュエータを駆動制御する車両の操舵装置が知られている。
例えば、特許文献1のものでは、ハンドル操舵角と車速とを検出し、この2つの検出値に基づいて車両運動目標値としての目標ヨーレートおよび目標横速度を算出する。そして、この目標ヨーレートと目標横速度が得られるような目標前輪舵角と目標後輪舵角を算出し、前輪転舵アクチュエータと後輪転舵アクチュエータを目標舵角に駆動制御している。
特開2004−182197号公報
しかし、こうしたハンドル操作に応じた車両運動目標値が得られるように前後輪の転舵角を制御する装置においては、車線維持支援機能といった自動操縦機能を付加しようとすると異常な車両挙動が発生してしまう。
例えば、カメラにより車両前方の道路を撮像し、その撮像画像から車線を認識して、その車線にそって車両が走行するような車両の運動目標値を演算し、その車両運動目標値が得られるように車輪の転舵角を制御する自動操縦機能を備えた場合を考える。この場合、車線形状に応じて転舵アクチュエータが駆動され、それにあわせて操舵ハンドルも回動することとなる。
一方、自動操縦中に運転者によるハンドル操作があった場合には、そのハンドル操作による転舵分も含めて車両運動目標値を算出して転舵制御する必要がある。ところが、運転者のハンドル操作に応じた車両運動目標値を算出するに際し、この自動操縦制御による操舵ハンドルの回動が運転者による回動操作によりなされたものと誤認識して、その分だけ上乗せされた必要以上の車両運動目標値が算出されてしまう。この結果、最終的な車両運動目標値が本来あるべき車両運動目標値と乖離してしまうのである。
本発明は、こうした問題に対処するためになされたもので、運転者の操舵操作に応じた車両運動目標値と自動操縦による車両運動目標値との両方を使って転舵制御する場合においても、適正な転舵制御量を設定することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、運転者によって操作されて、操作量に応じた舵角に車輪を転舵するための操舵ハンドルと、前記車輪を転舵する転舵アクチュエータとを備えた車両の操舵装置において、前記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両を自動操縦するために、前記操舵ハンドルの操作とは無関係に車両の走行状態に応じて車両運動の第1目標値を算出する第1車両運動目標値算出手段と、前記車両の運動の第1目標値を得るために必要な運転者による前記操舵ハンドルの仮想舵角を算出する仮想舵角算出手段と、前記操舵角検出手段により検出した操舵ハンドルの操舵角と前記仮想舵角算出手段により算出された仮想舵角との差分から、その差分に対応する運転者の操舵操作による車両運動の第2目標値を算出する第2車両運動目標値算出手段と、前記第1目標値と前記第2目標値との和に基づいて車両運動の最終目標値を算出する最終車両運動目標値算出手段と、前記最終目標値を得るために必要な車輪の目標転舵角を算出する転舵角算出手段と、前記転舵角算出手段により算出された目標転舵角に基づいて前記転舵アクチュエータを駆動制御して、前記算出された目標転舵角を実現するアクチュエータ制御手段とを備えたことにある。
これによれば、第1車両運動目標値算出手段が車両運動の第1目標値を算出する。この車両の第1目標値は、車両を自動操縦するために、操舵ハンドルの操作とは無関係に車両の走行状態に応じて算出される。
一方、仮想舵角算出手段が車両の運動の第1目標値を得るために必要な運転者による操舵ハンドルの仮想舵角を算出する。つまり、車両運動の第1目標値を得るためには、運転者のハンドル操作に換算してどれだけの操舵角が必要なのか算出する。
そして、第2車両運動目標値算出手段は、操舵角検出手段により検出された操舵ハンドルの操舵角と仮想舵角との差分を求める。この差分が、自動操縦による操舵に対して運転者が付加した操舵分となる。更に、第2車両運動目標値算出手段は、この差分に対応する運転者の操舵操作による車両運動の第2目標値を算出する。つまり、運転者がこの舵角差分を操舵したときの車両運動の目標値を第2目標値として算出する。
車両運動の第1目標値と第2目標値とが算出されると、最終車両運動目標値算出手段は、2つの第1目標値と第2目標値との和を車両運動の最終目標値とする。
そして、転舵角算出手段は、この最終目標値を得るために必要な車輪の目標転舵角を算出し、転舵アクチュエータ制御手段は、この目標転舵角に基づいて転舵アクチュエータを駆動制御する。
こうして、車輪が目標転舵角に制御されることで、最終車両運動目標値が得られることになる。
本願発明の車両の操舵装置は、このようにして、運転者が自動操縦に対してハンドル操舵した舵角分を算出し、この舵角分に相当する第2目標値を自動操縦による第1目標値に加算することで、適正な最終車両運動目標値が得られる。
例えば、運転者が自動操縦にまかせてハンドル操作をしていない場合には、操舵ハンドルの操舵角と仮想舵角との差分がゼロとなり、第2目標値はゼロとなる。このため、自動操縦に対して車両運動の目標値が上乗せされないため、最終車両運動目標値は適正な値となる。また、運転者が自動操縦に対して操作を加えた場合には、その操作分が車両運動の第2目標値として設定されるため、運転者の意図した操舵状態が得られる。
従って、運転者の操舵操作に応じた車両運動目標値と自動操縦による車両運動目標値との両方を使って転舵制御する場合においても、適正な転舵制御量を設定することができる。
本発明の他の特徴は、前記車両運動の第1目標値と第2目標値と最終目標値は、少なくとも車両のヨーレートを含むことにある。
また、前記車両運動の第1目標値と第2目標値と最終目標値は、少なくとも車体スリップ角を含むことにある。
これによれば、少なくとも車両のヨーレートあるいは車体スリップ角を目標値として目標転舵角を算出するため、車輪の適正な舵角制御が可能となる。
以下、本発明の車両の操舵装置の一実施形態について説明する。図1は、同実施形態に係る車両の操舵装置を概略的に示している。
この操舵装置10は、左右前輪Wfl,Wfrを転舵するための前輪転舵部20と、運転者の操舵操作に対してアシストトルクを発生する操舵アシスト部30と、左右後輪Wrl,Wrrを転舵するための後輪転舵部40と、これら前輪転舵部20,操舵アシスト部30,後輪転舵部40を制御するための転舵制御装置50とを備える。
前輪転舵部20は、運転者によって回動操作される操舵ハンドル21を有する。操舵ハンドル21は、ステアリングシャフト22の上端に接続されている。ステアリングシャフト22の下端部にはピニオンギヤ23が設けられ、同ピニオンギヤ23にはラックバー24が噛み合っている。ラックバー24は左右に延設され、その両端にて左右前輪Wfl,Wfrを転舵可能に連結していて、軸線方向の変位により左右前輪Wfl,Wfrを転舵する。したがって、操舵ハンドル21の回動は、ステアリングシャフト22およびピニオンギヤ23を介してラックバー24に伝達されて、ラックバー24を軸線方向に変位させて、左右前輪Wfl,Wfrを転舵する。
ステアリングシャフト22には、ステアリングシャフト22の回転角度に基づいて操舵ハンドル21の操舵角δhを検出する操舵角センサ25と、運転者が操舵ハンドル21を操作することにより入力される入力トルクを操舵トルクThとして検出するトルクセンサ26とが設けられる。
ラックバー24には、電動モータ27が組み付けられている。電動モータ27は、その回転に応じてボールねじ機構28を介してラックバー24を軸線方向に駆動することにより、左右前輪Wfl,Wfrに対して転舵力を付与する。電動モータ27には回転角センサ29が組みつけられている。
回転角センサ29は、本実施形態においてはレゾルバにより構成され、電動モータ27の回転角を検出して、検出した回転角を表す検出信号を転舵制御装置50の後述する前輪転舵ECU61に出力する。この回転角は、モータ位相制御用の信号として使用されるだけでなく、電動モータ27により転舵される左右前輪Wfl,Wfrの転舵角に換算できるため、転舵角センサとしても使用される。
以下、この電動モータを前輪転舵モータ27と呼ぶ。
また、ラックバー24には、前輪転舵モータ27と並んで、操舵アシスト部30としての電動モータ31が組み付けられる。電動モータ31は、前輪転舵モータ27と同様に、その回転に応じてボールねじ機構32を介してラックバー24を軸線方向に駆動することにより、運転者のハンドル操作に対してアシストトルクを付与する。電動モータ31には回転角センサ33が組みつけられている。
回転角センサ33は、本実施形態においてはレゾルバにより構成され、電動モータ31の回転角を検出して、検出した回転角を表す検出信号を転舵制御装置50の後述するアシストECU71に出力する。この回転角は、モータ位相制御用の信号として使用される。
以下、この電動モータをアシストモータ31と呼ぶ。
後輪転舵部40は、左右後輪Wrl,Wrrを転舵可能に連結する転舵バー41を備え、転舵バー41の軸線方向の変位により左右後輪Wrl,Wrrを転舵する。この転舵バー41には電動モータ42が組み付けられている。電動モータ42は、その回転に応じてボールねじ機構43を介して転舵バー41を軸線方向に駆動することにより、左右後輪Wrl,Wrrに対して転舵力を付与する。電動モータ42には回転角センサ44が組みつけられている。
回転角センサ44は、本実施形態においてはレゾルバにより構成され、電動モータ42の回転角を検出して、検出した回転角を表す検出信号を転舵制御装置50の後述する後輪転舵ECU81に出力する。この回転角は、モータ位相制御用の信号として使用されるだけでなく、電動モータ42により転舵される左右前輪Wfl,Wfrの転舵角に換算できるため、転舵角センサとして使用される。
以下、この電動モータを後輪転舵モータ42と呼ぶ。
転舵制御装置50は、前輪転舵モータ27を駆動制御するための前輪転舵制御装置60と、アシストモータ31を駆動制御するためのアシスト制御装置70と、後輪転舵モータ42を駆動制御するための後輪転舵制御装置80と、車両の前方を撮像して車線情報を取得する車線検出装置90と、車線検出装置90からの車線情報および運転者の操舵情報に基づいて転舵制御量およびアシスト補正制御量を演算して制御指令を前輪転舵制御装置60,アシスト制御装置70,後輪転舵制御装置80に出力する電子制御ユニット100(以下、メインECU100と呼ぶ)とを備える。
前輪転舵制御装置60は、前輪転舵モータ27の通電を制御する電子制御装置61(以下、前輪転舵ECU61と呼ぶ)と、前輪転舵ECU61からの通電指令に応じて前輪転舵モータ27を駆動するモータ駆動回路62とから構成される。前輪転舵ECU61は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、メインECU100からの前輪転舵制御指令と前輪転舵モータ27の回転角を検出する回転角センサ29の回転角検出信号とに基づいて前輪転舵モータ27の通電を制御する。
アシスト制御装置70は、アシストモータ31の通電を制御する電子制御装置71(以下、アシストECU71と呼ぶ)と、アシストECU71からの通電指令に応じてアシストモータ71を駆動するモータ駆動回路72とを備える。モータ駆動回路72には、アシストモータ31に流れる電流量を検出する電流センサ73が設けられ、この電流センサ73により検出した検出電流値iをアシストECU71に出力する。
アシストECU71は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、操舵状態に応じた目標アシストトルクを算出すると共に、電流センサ73により検出した電流値iに基づいて、目標アシストトルクに対応する目標アシスト電流がアシストモータ31に流れるように、モータ駆動回路72を制御してモータ印加電圧を調整する。例えば、アシストモータ31として3相ブラシレスモータを用い、3相インバータにより構成したモータ駆動回路72にてモータ駆動制御する場合には、3相インバータのスイッチング素子のデューティ比をPWM制御して電圧を調整する。
後輪転舵制御装置80は、後輪転舵モータ42の通電を制御する電子制御装置81(以下、後輪転舵ECU81と呼ぶ)と、後輪転舵ECU81からの通電指令に応じて後輪転舵モータ42を駆動するモータ駆動回路82とから構成される。後輪転舵ECU81は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、メインECU100からの後輪転舵制御指令と後輪転舵モータ42の回転角を検出する回転角センサ44の回転角検出信号とに基づいて後輪転舵モータ42の通電を制御する。
車線検出装置90は、自車両の前方を撮像するステレオカメラ91と、このステレオカメラ91から出力された画像信号に対して各種の画像処理をほどこす画像処理装置92(以下、画像ECU92と呼ぶ)とを備える。
ステレオカメラ91は、光軸が互いに平行な2台のカメラ91a,91bを左右に配置した複眼カメラであり、この2つのカメラ91a,91bによる2つの視点から前方の道路状況を撮像する。このステレオカメラ91は、車体に固定され、車両から所定距離前方の範囲(例えば、前方17〜20メートルの範囲)における道路を注視領域として撮像し、左右の画像信号を所定の周期で画像ECU92に出力する。
画像ECU92は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、このステレオカメラ91にて撮像して得られた左右1対の画像信号を入力し、それぞれの画像信号に対して画像処理(エッジ抽出処理等)をほどこして特徴点を抽出することにより、前方の道路の白線等のレーンマーカー(以下、単に白線と呼ぶ)の形成状態を検出する。この場合、ステレオカメラ91で撮像された左右の画像上における対応点p1(x1,y1)とp2(x2,y2)とを照合し、その相関関係に基づいて、三角測量法により撮像対象物の三次元距離データ(x,y,z)を生成する。従って、道路に形成された白線の形成状態を自車両からの距離をも合わせて認識することができる。
画像ECU92は、ステレオカメラ91により撮像して得られた画像信号を処理して前方の車線状況とその車線における車両の状態とを検出する。
ここで、画像ECU92が実行する車線車両状態検出処理について説明する。図2は、画像ECU92が実行する車線車両状態検出制御ルーチンを表し、この車線車両状態検出制御ルーチンは画像ECU92のROM内に制御プログラムとして記憶されている。
この車線車両状態検出制御ルーチンは、図示しないイグニッションスイッチの投入により起動し、所定の短い周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、画像ECU92は、ステップS11において、ステレオカメラ91からの画像信号を入力する。続いて、ステップS12において、入力した画像信号に対してエッジ抽出処理等の画像処理をほどこすことにより、車両前方の道路の左右の白線の形成状態を認識する。
次に、ステップS13において、図3に示すように、その左右の白線LL、LRから車両Cの目標軌道となる道路中央線LCの位置を算出する。
この例では、対向車線の無い一車線の道路を示しているが、車線が複数ある道路の場合には、右側に形成される最も車両に近い白線と、左側に形成される最も車両に近い白線とを抽出して、その左右の白線に囲まれた領域を走行車線として認識し、その走行車線における中央線を道路中央線として求めればよい。
この場合、画像ECU92は、左右の白線LL、LRの三次元距離データから道路中央線LCの三次元距離データを求めることにより、画像データ上における道路中央線LCの形成状態を三次元的に認識することができる。
続いて、画像ECU92は、ステップS14に処理を進め、現在車両位置における道路中央線LCの曲率半径R(図3参照)を計算する。本実施形態においては、車両重心位置Gから真横(車両前後軸線に対して直交する方向)に向けて引いた線と道路中央線LCとの交点Aを求め、この交点A部分における道路中央線LCにおける曲率半径R(カーブの半径R)を算出する。
この算出にあたっては、ステレオカメラ91が車両Cの前方(例えば、車両前方の17〜20メートル)を撮像することから、現時点の車両位置よりも所定距離だけ後方を走行していたときに撮像した画像に基づいて行えばよい。また、道路中央線LCの形状は、三次元距離データから把握されるため、交点A近傍における曲線を円弧に近似し、その円弧の半径を曲率半径Rとすればよい。
続いて、ステップS15において、道路中央線LC位置と車両Cの位置との横方向のずれを横方向変位量Dとして算出する。本実施形態においては、交点Aと車両重心位置Gとの距離を横方向変位量Dとしている。
次に、ステップS16において、道路中央線LCの形成方向(車両の現在位置における道路中央線の接線方向)と車両Cの向き(車両の前後軸方向)とのなす角度を車両姿勢角θとして算出する。本実施形態においては、交点Aにおける接線の方向に対する車両Cの向きを車両姿勢角θとしている。
尚、ステップS15,S16において、現時点における車両の道路中央線LCに対する横方向変位量Dや姿勢角θは、撮影画像上における道路中央線LCの座標位置および座標位置の推移から算出すればよい。
画像ECU92は、ステップS14〜S16にて曲率半径R、横方向変位量D、車両姿勢角θの算出処理が完了すると、これらの計算値R,D,θをメインECU100に出力して(S17)、本制御ルーチンを一旦終了する。この制御ルーチンは、所定の周期で繰り返されることから、常に、道路に対する車両の走行状態情報が画像ECU92からメインECU100に出力されることとなる。
メインECU100は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、後述する前後輪転舵制御プログラムの実行により、車両を道路中央線に沿って走行させる自動運転(自動操縦)に運転者の操舵分を加えた転舵制御量を演算し、前輪転舵ECU61、後輪転舵ECU81に対して転舵制御指令を出力する。また、メインECU100は、前後輪転舵制御プログラムを実行するために車速センサ110を接続して車速信号Vを入力する。
次に、前後輪転舵制御処理について説明する。図4は、メインECU100が実行する前後輪転舵制御ルーチンを表し、この前後輪転舵制御ルーチンは、メインECU100のROM内に制御プログラムとして記憶されている。
この前後輪転舵制御ルーチンは、図示しないイグニッションスイッチの投入により起動し、所定の短い周期で繰り返し実行される。また、この制御ルーチンと並行して車線検出装置90による上述した車線車両状態検出処理が行われる。
この前後輪転舵制御ルーチンは、基本的には、道路中央線に沿って車両を走行させる自動操縦を行うための車両運動の目標値と、運転者が操舵ハンドルを操舵した分の車両運動の目標値とを求め、それら目標値の和を最終車両運動の目標値として設定し、この最終車両運動の目標値が得られるような舵角にて前後輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrを転舵制御する。そして、本実施形態においては、この車両運動の目標値として、ヨーレートγと車体スリップ角βとを用いる。
以下、その具体的な制御処理について詳述する。
本制御ルーチンが起動すると、まずステップS21において、車速センサ110から車速信号Vおよび操舵角センサ25から操舵角信号δhを読み込む。続いて、ステップS22において、操舵角δhに対するヨーレートゲインKyh(γ/δh)を算出する。このヨーレートゲインKyhは、運転者のハンドル操作から車両運動の目標値(目標ヨーレート)を生成するための瞬時ヨーレートゲインであって、図5に示すヨーレートゲイン算出マップMPyhを参照して算出する。この操舵角δhに対するヨーレートゲインKyhは、算出マップMPyhに示すように車速Vに応じた値に設定され、所定速度未満の範囲であれば車速Vの増加に伴って増加し、所定速度以上となる範囲では車速Vの増加に伴って減少するように設定される。
続いて、ステップS23において、操舵角δhに対する車体スリップ角ゲインKbh(β/δh)を算出する。この車体スリップ角ゲインKbhは、運転者のハンドル操作から車両運動の目標値(目標車体スリップ角)を生成するための瞬時車体スリップ角ゲインであって、図6に示す車体スリップ角ゲイン算出マップMPbhを参照して算出する。この操舵角δhに対する車体スリップ角ゲインKbhは、算出マップMPbhに示すように車速Vに応じた値に設定され、所定速度未満の範囲であれば正の値をとり、所定速度以上となる範囲では負の値をとるように設定される。
尚、ヨーレートゲイン算出マップMPyhおよび車体スリップ角ゲイン算出マップMPbhは、メインECU100のROM内に記憶されている。
次に、ステップS24において、画像ECU92から車線情報(θ,D,R)を読み込む。画像ECU92は、上述したように、現在の車両位置と道路中央線との横方向変位量D情報、道路中央線の形成方向に対する車両の向きを表す車両姿勢角θ情報、車両位置における道路中央線の曲率半径R情報を所定の周期で出力しているため、メインECU100は、この画像ECU92からの最新出力情報を読み込む。
続いて、ステップS25において、自動操縦による軌道修正を行うための目標ヨーレートΔγauto*を次式のように算出する。
Δγauto*=Kyauto・θ
Kyauto:自動操縦用ヨーレート制御ゲイン
次に、ステップS26において、自動操縦による軌道修正を行うための目標車体スリップ角Δβauto*を次式のように算出する。
Δβ*=θ+Kbauto・D
Kbauto:自動操縦用車体スリップ角制御ゲイン
ここで、ステップS25,26における計算式について説明する。
本実施形態での自動操縦時においては、道路中央線を車両の目標軌道とし、車両がこの道路中央線に沿って走行するように前後輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの転舵角を制御する。そして、この前後輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの転舵角を制御するに当たって、車両に所定のヨーレート、車体スリップ角が生じるように各転舵角を制御する。そこで、横方向変位量Dおよび車両姿勢角θに応じた分の軌道修正用のヨーレートおよび車体スリップ角の目標値Δγauto*、Δβauto*を設定する。
いま、図7に示す車両状態を考える。図7は、走行車両Cと道路中央線LCとの関係を表している。この車両Cは、道路中央線LCに対して横方向変位量Dおよび車両姿勢角θだけずれが生じている。また、車体の向きに対して車両の進行方向が角度βだけずれている。この角度βが車体スリップ角である。
この状態において、車両の運動方程式は、ヨーレートγ,車体スリップ角β,車速V,横方向変位量D,車両姿勢角θを使って、次式(1),(2)のように表すことができる。
Figure 2007331581
Figure 2007331581
従って、次式(3)が得られる。
Figure 2007331581
ここで
Figure 2007331581
Figure 2007331581
としたフィードバック制御を考えると(K1〜K4は制御ゲイン)、次式のように表すことができる。
Figure 2007331581
Figure 2007331581
そして、車両姿勢角θおよび横方向変位量Dを独立して制御するために、
K2=0,K3=1
とすると、車両の運動方程式を次式(8)のように表すことができる。
Figure 2007331581
従って、車両の運動方程式は、
Figure 2007331581
Figure 2007331581
となり、式(1)、(2)から最終的に、
Figure 2007331581
Figure 2007331581
という関係式が得られる。
こうして、ヨーレートγおよび車体スリップ角βを、それぞれ横方向変位量Dおよび車両姿勢角θを用いて表すことができる。
従って、ステップS25,S26において算出する軌道修正用の目標ヨーレートΔγauto*および目標車体スリップ角Δβauto*は、この式(11),(12)を用いればよいが、車体スリップ角βに関しては、車両の横方向変位量Dに対する応答性が車速Vに依存してしまう。
ここで、車両姿勢角初期値θ(0)、横方向変位量初期値D(0)に対する応答について式で表すと下記式(13)のようになる。
Figure 2007331581
s…ラプラス演算子
従って、式(13)におけるV・K4の項から横方向変位量Dに対する応答性が車速Vに依存することがわかる。
そこで、ステップS26の算出式で用いる自動操縦用車体スリップ角制御ゲインKbautoは、この制御ゲインK4を車速Vで除算した値(K4/V)に設定する。また、ステップS25の算出式で用いる自動操縦用ヨーレート制御ゲインKyautoについては制御ゲインK1と同様のものでよい。
更に、ステップS25,S26にて用いる自動操縦用ヨーレート制御ゲインKyautoおよび自動操縦用車体スリップ角制御ゲインKbautoは、車速Vと道路中央線の曲率半径Rに応じて変化するように設定する。
図8は自動操縦用ヨーレート制御ゲイン算出マップMPyautoを、図9は自動操縦用車体スリップ角制御ゲイン算出マップMPbautoを表す。
制御ゲインKyauto,Kbautoは、この算出マップMPyauto、MPbautoに示すように、車速Vが高いほど大きな値に設定される。従って、車両姿勢や車両横位置を修正するときの車両の旋回半径や修正距離を車速Vにかかわらず一定にすることができる。このため、自動操縦時においては、乗員に与える感覚が車速に応じて変化しないため、乗員に違和感を与えない。
更に、制御ゲインKyauto,Kbautoは、道路中央線の曲率半径Rが小さいほど大きな値に設定される。従って、曲線路面における即応性が確保され、例えば、運転者のハンドル操作なく道路中央線に追従させることが可能となる。また、直線路面における車両姿勢や車両位置の修正動作が抑えられて自然な感じの直線走行が可能となり、運転者に違和感を与えない。
こうした各算出マップMPyauto、MPbautoは、メインECU100のROM内に記憶されており、ステップS25、S26での軌道修正用の目標ヨーレートΔγauto*および目標車体スリップ角Δβauto*の算出にあたって参照される。
続いて、メインECU100は、このようにして算出された軌道修正用の目標ヨーレートΔγauto*および目標車体スリップ角Δβauto*に基づいて、ステップS27およびステップS28において、自動操縦による目標ヨーレートγauto*および目標車体スリップ角βauto*を算出する。
つまり、ステップS25およびステップS26にて算出した軌道修正用の目標ヨーレートΔγauto*および目標車体スリップ角Δβauto*は、車両の道路中央線に対する位置および姿勢角のずれを修正するための車両運動目標値であって、車輪中立位置に対する転舵状態に対応した車両運動目標値ではない。
そのため、ステップS27においては、軌道修正用の目標ヨーレートΔγauto*の積分値を算出して、この算出値を現在の転舵状態における自動操縦用目標ヨーレートγauto*する。本制御ルーチンは、所定周期で繰り返し実行されることから、Δγauto*の初期値を値「0」に設定しておくことで、Δγauto*の積算値を目標ヨーレートγauto*とすることができる。
同様に、ステップS28においては、軌道修正用の目標車体スリップ角Δβauto*の初期値を値「0」に設定して積算していくことにより、この積算値を車輪中立位置に対する転舵状態に対応した自動操縦用目標車体スリップ角βauto*とする。
このステップS27,S28にて算出した自動操縦用の目標ヨーレートγauto*および目標車体スリップ角βauto*が本発明における車両運動の第1目標値に相当する。
こうして自動操縦による瞬時車両運動目標値である目標ヨーレートγauto*および目標車体スリップ角βauto*が算出されると、次に、ステップS29において、車両運動目標値(目標ヨーレートγauto*)を得るために必要な運転者による操舵ハンドル21の操舵角を仮想舵角δhautoとして算出する。つまり、この車両運動目標値を得るためには、運転者のハンドル操作に換算してどれだけの操舵角が必要なのか計算する。
そこで、このステップS29においては、仮想舵角δhautoを次式のように算出する。
δhauto=γauto*/Kyh
ここで、Kyhは、ステップS22にて算出した運転者のハンドル操作から車両運動の目標値を生成するための瞬時ヨーレートゲインである。
続いて、メインECU100は、処理をステップS30に進めて、この仮想舵角δhautoを表すデータをアシストECU71に出力する。アシストECU71は、アシスト制御ルーチンの実行時にこの仮想舵角δhautoに基づいて補正アシストトルクを算出するが、この処理については後述する。
次に、ステップS31において、運転者が操作したハンドル操舵角δhdrivを次式により算出する。
δhdriv=δh−δhauto
つまり、操舵角センサ25により検出した実際のハンドル操舵角δhと自動操縦による仮想舵角δhautoとの差を、運転者が操作したハンドル操舵角δhdrivであると推定する。
続いて、ステップS32において、運転者が操作したハンドル操舵分の目標ヨーレートγdriv*を次式のように算出する。
γdriv*=Kyh・δhdriv
つまり、運転者がハンドル操作したと推定した操舵角δhdrivに、運転者のハンドル操作から車両運動の目標値を生成するための瞬時ヨーレートゲインKyh(ステップS22にて算出)を乗じることで、運転者が操作したハンドル操舵分の目標ヨーレートγdriv*を算出する。
同様に、ステップS33において、運転者が操作したハンドル操舵分の目標車体スリップ角βdriv*を次式のように算出する。
βdriv*=Kbh・δhdriv
つまり、運転者がハンドル操作したと推定した操舵角δhdrivに、運転者のハンドル操作から車両運動の目標値を生成するための瞬時車体スリップ角ゲインKbh(ステップS23にて算出)を乗じることで、運転者が操作したハンドル操舵分の目標車体スリップ角βdriv*を算出する。
このステップS33,S33にて算出した目標ヨーレートγdriv*および目標車体スリップ角βdriv*が、本発明における車両運動の第2目標値に相当する。
続いて、メインECU100は、その処理をステップS34に進め、最終目標ヨーレートγ*を次式のように算出する。
γ*=γauto*+γdriv*
つまり、ステップS27にて算出した自動操縦による目標ヨーレートγauto*と、ステップS32にて算出した運転者が操作したハンドル操舵分の目標ヨーレートγdriv*との和を最終目標ヨーレートγ*として算出する。
同様に、メインECU100は、ステップS35において、最終目標車体スリップ角β*を次式のように算出する
β*=βauto*+βdriv*
つまり、ステップS28にて算出した自動操縦による目標車体スリップ角βauto*と、ステップS33にて算出した運転者が操作したハンドル操舵分の目標車体スリップ角βdriv*との和を最終目標車体スリップ角β*として算出する。
このステップS34,S35において算出した最終目標ヨーレートγ*および最終目標車体スリップ角β*が、本発明の車両運動の最終目標値に相当する。
こうして車両運動の最終目標値(γ*,β*)が算出されると、続いて、ステップS36において、目標前輪転舵角δf*および目標後輪転舵角δr*を次式により算出する。
Figure 2007331581
Cf:前輪コーナリングパワー
Cr:後輪コーナリングパワー
I:車体重心回りの慣性モーメント
m:車体質量
V:車速
Lf:車体重心から前輪車軸までの前後方向の水平距離
Lr:車体重心から後輪車軸までの前後方向の水平距離
この式は、前後輪操舵2輪モデルにおける前後輪目標舵角の演算式である。
続いて、メインECU100は、ステップS37において、先のステップS36で算出した目標前輪転舵角δf*および目標後輪転舵角δr*に応じた制御指令を前輪転舵ECU61および後輪転舵ECU81に出力する。
前輪転舵ECU61は、メインECU100からの制御指令を受けて、モータ駆動回路62に駆動信号を出力してこの目標前輪転舵角δf*となるように前輪Wfl,Wfrを転舵する。つまり、前輪転舵モータ27の回転角度を検出する回転角センサ29の信号を入力して転舵角δf(中立位置に対する舵角)を検出し、この検出転舵角δfが目標前輪転舵角δf*と一致するように前輪転舵モータ27をフィードバック制御する。
また、後輪転舵ECU81は、メインECU100からの制御指令を受けて、モータ駆動回路82に駆動信号を出力してこの目標後輪転舵角δr*となるように後輪Wrl,Wrrを転舵する。つまり、後輪転舵モータ42の回転角度を検出する回転角センサ44の信号を入力して転舵角δr(中立位置に対する舵角)を検出し、この検出転舵角δrが目標後輪転舵角δr*と一致するように後輪転舵モータ42をフィードバック制御する。
メインECU100は、前輪転舵ECU61および後輪転舵ECU81に対して制御指令を出力すると本制御ルーチンを一旦終了する。そして、所定の周期で本制御ルーチンを繰り返し実行する。
従って、車両走行中においては、常に、道路中央線を目標軌道とした自動操縦による車両運動目標値と、運転者の行ったハンドル操舵分による車両運動目標値との和に基づいて前後輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrが駆動制御されることとなる。
次に、アシストECU71が実行するアシスト制御処理について説明する。図10は、アシストECU71が実行するアシスト制御ルーチンを表し、このアシスト制御ルーチンは、アシストECU71のROM内に制御プログラムとして記憶されている。
このアシスト制御ルーチンは、図示しないイグニッションスイッチの投入により起動し、上述した前後輪転舵制御ルーチンと並行して所定の短い周期で繰り返し実行される。
このアシスト制御ルーチンが起動すると、まず、ステップS51において、トルクセンサ26からの検出信号を読み込んで、運転者が操舵ハンドル21に加えたトルク値を表す操舵トルクTh情報を取得するとともに、車速センサ110から検出信号を読み込んで車速V情報を取得する。
続いて、ステップS52において、図11に示す基本アシストマップMPa1を参照して、操舵トルクThと車速Vとから基本アシストトルクTa1を算出する。この基本アシストマップMPa1は、アシストECU71のROM内に記憶されており、複数の代表的な車速値ごとに、操舵トルクThに依存して複数の基本アシストトルクTa1が決められている。基本アシストトルクTa1は、運転者が行う操舵ハンドル21の操作に対して補助力を与えるためのもので、操舵トルクThが増加するにしたがって非線形に増加し、車速Vが低いほど大きな値に設定される。
次に、ステップS53に処理を進め、自動操縦による仮想舵角δhauto情報を取得する。メインECU100は、上述したように前後輪転舵制御ルーチンの実行中に仮想舵角δhauto情報をアシストECU71に所定の周期で出力している(S30)。
従って、アシストECU71は、ステップS53において、このアシストECU71から出力される仮想舵角δhauto情報のうち最新のものを仮想舵角δhautoとして取得する。
続いて、ステップS54において、仮想舵角δhautoに対応する転舵角で前輪Wfl,Wfrを転舵したときに前輪Wfl,Wfrに働く反力(車輪を中立位置側に戻そうとする力)に応じた補助アシストトルクTa2を算出する。この補助アシストトルクTa2は、例えば、仮想舵角δhautoにステアリングギヤ比の逆数とコーナリングパワーとを乗じて得られる前輪コーナリングフォースに所定係数を乗じて算出すればよい。つまり、前輪Wfl,Wfrに働くコーナリングフォースに対抗するトルクを補助アシストトルクTa2として算出する。
こうして基本アシストトルクTa1と補助アシストトルクTa2が算出されると、続いて、ステップS55において、最終的な目標アシストトルクTa*をそれらの和として算出する。
Ta*=Ta1+Ta2
続いて、アシストECU71は、ステップS56において、目標アシストトルクTa*に応じたアシスト電流をアシストモータ31に通電するようにモータ駆動回路72に制御指令を出力する。従って、目標アシストトルクに対応する目標アシスト電流がモータ駆動回路72からアシストモータ31に流れ、操舵ハンドル21の操舵方向にアシストトルクが発生する。
アシストECU71は、モータ駆動回路72に制御指令を出力すると、本制御ルーチンを一旦終了する。そして、所定の周期で本制御ルーチンを繰り返す。
従って、常に、運転者のハンドル操作に対する基本アシストトルクTa1だけでなく、自動操縦による転舵に対する補助アシストトルクTa2が働くこととなる。
以上説明した本実施形態の車両の転舵装置によれば、メインECU100が前後輪転舵制御ルーチンを実行することにより、道路中央線に沿って車両を走行させる自動操縦を行うための車両運動の第1目標値(γauto*,βauto*)を算出し、その車両運動の目標値を得るための運転者によるハンドル舵角に換算した仮想舵角δhautoを求める。そして、実際のハンドル操舵角δhと仮想舵角δhautoとの舵角差を運転者の操作したハンドル操舵分と推定して、そのハンドル操舵分に対応する車両運動の第2目標値(γdriv*,βdriv*)を算出する。続いて、車両運動の第1目標値(γauto*,βauto*)と第2目標値(γdriv*,βdriv*)との和を車両運動の最終目標値(γ*,β*)として算出し、この最終目標値(γ*,β*)を得るために必要な前輪Wfl,Wfrと後輪Wrl,Wrrの目標転舵角(δf*,δr*)を算出して前輪転舵ECU、後輪転舵ECUに制御指令を出力する。
この結果、運転者の操舵操作に応じた車両運動目標値と自動操縦による車両運動目標値との両方を使って転舵制御する場合においても、自動操縦に運転者のハンドル操作分を適正に加味した車両運動の最終目標値が得られるため、最適に車輪を転舵することができる。従って、運転者の意図した操舵状態が得られ、操舵感覚、旋回運動感覚が極めて良好となる。
また、運転者がハンドル操作を行わない場合においても、適正な運動目標値にしたがって自動操縦されるため、安全であり運転者に不安感を抱かせない。
また、自動操縦するにあたり、車両の走行状態に応じた最適なヨーレートと車体スリップ角を得るようにして車両を車線に沿って走行させるため、過剰なヨーモーメントや横加速度の発生を抑えて乗員に違和感を与えない。つまり、車両の旋回運動だけで横方向のずれと車両姿勢角のずれを修正しようとすると、過剰な旋回運動が行われるおそれがあるが、本実施形態においては、車両の走行状態に応じた最適なヨーレートと車体スリップ角を得るように舵角を制御しているためそうした不具合が生じない。
また、車両姿勢角θと横方向変位量Dとを独立して制御できるため、車両を効率よく目標軌道に沿って走行させることができる。
例えば、横風走行時や傾斜路面(車体幅方向に傾斜している路面)走行時においては、車両が道路に対して横方向に変位しやすい。しかし、このようなケースにおいても本実施形態の操舵装置10によれば、車両を旋回させずに横方向位置の修正を行うことができる。つまり、車両が道路中央線に対して横方向にのみ変位している場合(車両姿勢角θ=0)には、軌道修正用の目標ヨーレートΔγauto*が零に設定され、目標車体スリップ角Δβauto*が横方向変位量Dに応じた値に設定されるため、車両を旋回させずに横方向位置のみを修正することができる。
従って、過剰な旋回運動(蛇行運転)をしてしまうといった不具合がなく安定走行が可能である。また、後続車両の乗員に対しも不安感を抱かせない。
また、車両が道路中央線に対して横方向にはずれていなく方向のみがずれている場合には、車両を横移動させずに方向のみを修正することができる。この場合、横方向変位量DはD=0となり、軌道修正用の目標ヨーレートΔγauto*と目標車体スリップ角Δβauto*とが車両姿勢角θに応じた値に設定されるため、車両を横移動させることなくその向きを修正することができる。
これらの結果、車両を効率よく目標軌道に沿うように走行させることができ、過剰なヨーモーメントや横加速度の発生を抑えることができる。
更に、横方向変位量Dと車両姿勢角θの制御応答性を可変にすることができる。
例えば、横方向変位量Dの応答性を遅く、車両姿勢角θの応答性を速くするなど、制御応答性を個別に調整することができる。
車両姿勢角θの応答性は、dθ/dt=K1・θ+K2Dとして表される。この場合、上述した計算例においては、K2=0としたが、K2に所定値(≠0)を与えることで横方向変位量Dの変化が車両姿勢角θの応答性に現れる。
また、横方向変位量Dの応答性は、dD/dt=V(K3−1)θ+K4・V・Dとして表される。この場合、上述した計算例においては、K3=1としたが、K3に所定値(≠1)を与えることで車両姿勢角θの変化が横方向変位量Dの応答性に現れる。
従って、制御ゲインK2,K3を調整することにより、横方向変位量Dと車両姿勢角θの制御応答性を自由に設定することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、ラックバー24に設けた前輪転舵モータ27により前輪Wfl,Wfrの舵角を調整したが、ステアリングバイワイヤ方式の操舵装置を用いて転舵角制御を行うようにしてもよい。また、ステアリングギヤ比を電動モータにより変更するギヤ比可変装置(VGRS)を用いて転舵角制御を行うようにしても良い。
また、本実施形態では、自動操縦運転を行うために、前方道路を撮像して車線状態を検出する構成を採用しているが、例えば、ナビゲーションシステムから車線情報を取得するとともに、GPS信号を入力して車線上における車両状態(横方向変位量と車両姿勢角)を演算して、前後輪の舵角制御を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、前輪Wfl,Wfrと後輪Wrl,Wrrとを独立して転舵する前輪転舵アクチュエータと後輪転舵アクチュエータとにより転舵アクチュエータを構成したが、前輪Wfl,Wfrのみに転舵アクチュエータを設けた構成であってもよい。
尚、本実施形態における前輪転舵モータ27および後輪転舵モータ42が本発明の転舵アクチュエータに相当し、本実施形態における操舵角センサ25が本発明の操舵角検出手段に相当する。また、本実施形態におけるメインECU100において行われるステップS27,S28の処理が本発明の第1車両運動目標値算出手段に相当し、本実施形態におけるメインECU100において行われるステップS29の処理が本発明の仮想舵角算出手段に相当し、本実施形態におけるメインECU100において行われるステップS31〜S33の処理が本発明の第2車両運動目標値算出手段に相当する。また、本実施形態におけるメインECU100において行われるステップS34,S35の処理が本発明の最終車両運動目標値算出手段に相当し、本実施形態におけるメインECU100において行われるステップS36の処理が本発明の転舵角算出手段に相当する。また、本実施形態における前輪転舵制御装置60および後輪転舵制御装置80が本発明のアクチュエータ制御手段に相当する。
本発明の一実施形態に係る車両の操舵装置の全体概略図である。 画像ECUの行う車線車両状態検出制御ルーチンを表すフローチャートである。 道路上における車両状態を説明する説明図である。 メインECUの行う前後輪転舵制御ルーチンのフローチャートである。 ヨーレートゲインKyhを算出するための算出マップである。 車体スリップ角ゲインKbhを算出するための算出マップである。 横方向変位量D、車両姿勢角θ、車体スリップ角βを表す説明図である。 ヨーレート制御ゲインKyautoを算出するため算出マップである。 車体スリップ角制御ゲインKbautoを算出するため算出マップである。 アシストECUの行うアシスト制御ルーチンを表すフローチャートである。 基本アシストトルクTa1を算出するための算出マップである。
符号の説明
10…操舵装置、20…前輪転舵部、21…操舵ハンドル、25…操舵角センサ、27…前輪転舵モータ、29…回転角センサ、30…操舵アシスト部、31…アシストモータ、40…後輪操舵部、42…後輪転舵モータ、44…回転角センサ、50…転舵制御装置、60…前輪転舵制御装置、61…前輪転舵ECU、62…モータ駆動回路、70…アシスト制御装置、71…アシストECU、72…モータ駆動回路、80…後輪転舵制御装置、81…後輪転舵ECU、82…モータ駆動回路、90…車線検出装置、91…ステレオカメラ、92…画像処理装置、100…メインECU、110…車速センサ、Wfl,Wfr…左右前輪、Wrl,Wrr…左右後輪。

Claims (3)

  1. 運転者によって操作されて、操作量に応じた舵角に車輪を転舵するための操舵ハンドルと、
    前記車輪を転舵する転舵アクチュエータと
    を備えた車両の操舵装置において、
    前記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    車両を自動操縦するために、前記操舵ハンドルの操作とは無関係に車両の走行状態に応じて車両運動の第1目標値を算出する第1車両運動目標値算出手段と、
    前記車両の運動の第1目標値を得るために必要な運転者による前記操舵ハンドルの仮想舵角を算出する仮想舵角算出手段と、
    前記操舵角検出手段により検出した操舵ハンドルの操舵角と前記仮想舵角算出手段により算出された仮想舵角との差分から、その差分に対応する運転者の操舵操作による車両運動の第2目標値を算出する第2車両運動目標値算出手段と、
    前記第1目標値と前記第2目標値との和に基づいて車両運動の最終目標値を算出する最終車両運動目標値算出手段と、
    前記最終目標値を得るために必要な車輪の目標転舵角を算出する転舵角算出手段と、
    前記転舵角算出手段により算出された目標転舵角に基づいて前記転舵アクチュエータを駆動制御して、前記算出された目標転舵角を実現するアクチュエータ制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 前記車両運動の第1目標値と第2目標値と最終目標値は、少なくとも車両のヨーレートを含むことを特徴とする請求項1記載の車両の操舵装置。
  3. 前記車両運動の第1目標値と第2目標値と最終目標値は、少なくとも車体スリップ角を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の操舵装置。
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