JP2013127645A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体上に「ワックス付着画像」が生じることのない、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着部材の外周面に対向するとともに定着部材を電磁誘導によって直接的又は間接的に加熱する誘導加熱部25を備える。トナーは、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有する。そして、定着部材に対向する誘導加熱部25の対向面28aに、対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる流路28a1を設ける。
【選択図】図4

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、パラフィンワックスが含有されたトナーを記録媒体上に定着する電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、電磁誘導加熱方式の定着装置が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
詳しくは、電磁誘導加熱方式の定着装置は、定着ローラや定着ベルト等の定着部材、定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材、定着部材の外周面に対向して定着部材を電磁誘導加熱する誘導加熱部、等で構成されている。また、誘導加熱部は、励磁コイル、励磁コイルを覆うコア、励磁コイルを保持するとともに定着部材に対向するコイルガイド、等で構成される。そして、誘導加熱部の励磁コイルが通電されると、定着部材の発熱層(又は、定着部材に当接する加熱部材の発熱層)の周りに磁束が形成されて発熱層が電磁誘導加熱されて、定着部材が直接的(又は間接的)に加熱される。こうして、ニップ部の位置で定着部材に接触する記録媒体上のトナーが加熱・溶融されて、記録媒体上にトナーが定着される。
ここで、定着部材の加熱効率を向上させるために、誘導加熱部(コイルガイド)は、定着部材に対して微小なギャップをあけて対向するように配設されている。
一方、特許文献2、特許文献3等には、低温定着性を向上させるとともに、定着部材にオイルを塗布することなく定着部材や加圧部材に対する記録媒体の分離性(離型性)を高めることを目的として、作像プロセスに用いられるトナーに、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有させる技術が開示されている。
他方、特許文献4等には、熱ヒータ方式の定着装置であって、定着ベルトに圧接する加圧ローラを逆回転させることで、定着ベルト上にフィルミングしたワックスをクリーニングする技術が開示されている。
上述した従来の電磁誘導加熱方式の定着装置は、低温定着性を向上させるとともに定着部材にオイルを塗布することなく定着部材や加圧部材に対する記録媒体の分離性(離型性)を高めるために、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合に、ニップ部の位置や定着部材の表面等で揮発したパラフィンワックスが、定着部材に対向する誘導加熱部(コイルガイド)の対向面に付着して、その付着したパラフィンワックスが固着する不具合が生じていた。そして、誘導加熱部(コイルガイド)の対向面に固着して蓄積されるパラフィンワックスの量が増加して、その蓄積された高さが定着部材との微小ギャップを超えてしまうと、誘導加熱部に固着したパラフィンワックスの一部が定着部材に付着してしまう。そして、定着部材に付着したパラフィンワックスが、定着工程時にニップ部の位置で記録媒体上に付着してしまう(このようにワックスが付着した記録媒体上の画像を「ワックス付着画像」と呼ぶ。)。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体上に「ワックス付着画像」が生じることのない、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナーを加熱・溶融して記録媒体上に定着させる定着部材と、前記定着部材の外周面に対向するとともに、前記定着部材を電磁誘導によって直接的又は間接的に加熱する誘導加熱部と、を備え、前記定着部材に対向する前記誘導加熱部の対向面の一部又は全部に凹状又は凸状に形成された複数の溝部を設け、前記複数の溝部を、前記誘導加熱部の前記対向面に付着した前記トナーの含有成分を流動させる流路としたものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記トナーの含有成分を、パラフィンワックスとしたものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記パラフィンワックスは、融点が60〜90℃の範囲になるように形成されたものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記流路の下流側に前記含有成分を捕集する捕集手段を設けたものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項4に記載の発明において、前記捕集手段を、前記含有成分を吸収する吸収材としたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項4又は請求項5に記載の発明において、前記捕集手段は、前記誘導加熱部に対して着脱自在に構成されたものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、鉛直方向に並設されたものである。
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、水平方向に並設されたものである。
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、水平方向に対して斜めに並設されたものである。
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、そのエッジ部がR0.2以上になるように形成されたものである。
また、請求項11記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項10のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、その幅が5mm以下になるように形成されたものである。
また、請求項12記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、隣接する溝部との間隔が5mm以下になるように形成されたものである。
また、請求項13記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項12のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、その深さが0.2mm以上になるように形成されたものである。
また、請求項14記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項13のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、通紙可能な最大の記録媒体の幅方向の範囲を含む範囲に形成されたものである。
また、請求項15記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項14のいずれかに記載の発明において、前記誘導加熱部は、前記定着部材の側方に配設されたものである。
また、請求項16記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、定着部材に対向する誘導加熱部の対向面に、その対向面に付着したパラフィンワックスを流動させる流路を設けているために、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体上に「ワックス付着画像」が生じることのない、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 定着装置を示す断面図である。 定着装置の一部を示す斜視図である。 定着装置の誘導加熱部を示す斜視図である。 コイルガイドの溝部を示す拡大斜視図である。 コイルガイドを幅方向に示す正面図である。 コイルガイドの溝部を示す断面図である。 従来の誘導加熱部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2における定着装置の誘導加熱部を示す断面図である。 誘導加熱部に対して定着装置の主部が着脱された状態を示す概略図である。 定着装置の主部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態3における定着装置のコイルガイドの一部を示す拡大斜視図である。 この発明の実施の形態4における定着装置のコイルガイドの一部を示す拡大斜視図である。 この発明の実施の形態5における定着装置を示す断面図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図7にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上に形成されたカラー画像を記録媒体P上に転写する2次転写ローラ、19は記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿読込部4によって、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ(不図示である。)が設置されている。そして、転写バイアスローラの位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
そして、1次転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト17は、2次転写ローラ18との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラが、2次転写ローラ18との間に中間転写ベルト17を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト17上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト17には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト17は、中間転写クリーニング部16の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト17上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト17上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体1の下方に配設された給紙部7から、給紙ローラ8やレジストローラ等が設置された搬送経路K1を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部7には、記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ8が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pが搬送経路K1に向けて給送される。
搬送経路K1に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ(不図示である。)のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト17上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラが回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置19の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラ9によって、装置本体1外に出力画像として排出されて(破線矢印方向の移動である。)、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、画像形成装置本体1に設置される定着装置19の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置19は、誘導加熱部25(磁束発生手段)、誘導加熱部25に対向する定着部材としての定着ローラ20、定着ローラ20に圧接する加圧部材としての加圧ローラ30、入口ガイド板41、拍車ガイド板42、分離ガイド板43、出口ガイド板50、サーミスタ61、62、等で構成される。
ここで、定着部材としての定着ローラ20は、鉄やステンレス鋼等からなる芯金23上に、発泡シリコーンゴム等からなる断熱弾性層22、スリーブ層21が順次積層されたものであって、その外径が40mm程度に形成されている。
定着ローラ20のスリーブ層21は、内周面側から基材層、第1酸化防止層、発熱層、第2酸化防止層、弾性層、離型層が順次積層された多層構造体である。詳しくは、基材層は層厚が40μm程度のステンレスで形成されたものであり、第1酸化防止層及び第2酸化防止層は層厚が1μm以下のニッケルをストライクめっき処理にて形成したものであり、発熱層は層厚が10μm程度の銅で形成されたものであり、弾性層は層厚が150μm程度のシリコーンゴムで形成されたものであり、離型層は層厚が30μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で形成されたものである。
このように構成された定着ローラ20は、誘導加熱部25から発せられる磁束によってスリーブ層21の発熱層が電磁誘導加熱されることになる。なお、定着ローラ20の構成は、本実施の形態1のものに限定されることなく、例えば、スリーブ層21を断熱弾性層22(定着補助ローラ)に接着しないで別体化することもできる。ただし、スリーブ層21(定着スリーブ)を別体化した場合には、稼動中にスリーブ層21が幅方向(スラスト方向)に移動するのを抑止するための部材を設置することが好ましい。
ここで、定着ローラ20に対向する位置であって、ニップ部の上流側(搬送方向上流側)には、複数の拍車が幅方向に並設された拍車ガイド板42が設置されている。拍車ガイド板42は、ニップ部に送入される記録媒体Pの定着面(画像が定着される面である。)に対向する位置に配設されて、記録媒体Pをニップ部に案内するものである。拍車ガイド板42は、記録媒体P上の未定着画像に拍車が接触してもその画像に擦れ跡が生じないように、拍車の周面がノコ歯状に形成されている。
また、定着ローラ20に対向する位置であって、ニップ部から送出される記録媒体Pの定着面に対向する位置(ニップ部の搬送方向下流側である。)には、分離ガイド板43が設置されている。分離ガイド板43は、ニップ部から送出された定着工程後の記録媒体Pが、定着ローラ20に吸着して巻き付く不具合を防止するためのものである。すなわち、定着工程後の記録媒体Pが定着ローラ20に吸着してしまった場合に、記録媒体Pの先端に分離ガイド板43が接触して、記録媒体Pを定着ローラ20から強制的に分離させる。
また、ニップ部の上流側(記録媒体Pの搬送方向上流側である。)であって、ニップ部に近接する位置には、定着ローラ20に接触する接触型温度検知センサとしてのサーミスタ62が配設されている。サーミスタ62は、駆動部側の幅方向端部に配設されていて、定着ローラ20の幅方向端部の表面温度を検知する。
また、図示は省略するが、定着ローラ20の幅方向中央部に対向する位置には、サーモパイル(非接触型温度検知センサ)が配設されている。
そして、サーミスタ62やサーモパイルによって、定着ローラ20上の温度(定着温度)を検知して、サーミスタ62やサーモパイルによる検知結果に基いて、誘導加熱部25による加熱量を調整する。なお、本実施の形態1では、定着工程時(通紙時)における定着温度が160〜165℃になるように誘導加熱部25の制御がおこなわれている。
図2を参照して、加圧部材としての加圧ローラ30は、アルミニウム、銅等からなる円筒部材32上に、シリコーンゴム等からなる弾性層31、PFA等からなる離型層(不図示である。)が形成されたものである。加圧ローラ30の弾性層31は、肉厚が1〜5mmとなるように形成されている。また、加圧ローラ30の離型層は、層厚が20〜50μmとなるように形成されている。加圧ローラ30は、定着ローラ20に圧接している。そして、定着ローラ20と加圧ローラ30との圧接部(ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
なお、本実施の形態1では、定着ローラ20の加熱効率を高めるために、加圧ローラ30にハロゲンヒータ等のヒータ33が内設されている。ヒータ33に電力が供給されることにより、ヒータ33の輻射熱によって加圧ローラ30が加熱されて、定着ローラ20の表面が加圧ローラ30を介して加熱されることになる。
また、ニップ部の上流側(記録媒体Pの搬送方向上流側である。)であって、ニップ部に近接する位置には、加圧ローラ30に接触する接触型温度検知センサとしてのサーミスタ61が配設されている。サーミスタ61は、駆動部側の幅方向端部に配設されていて、加圧ローラ30の幅方向端部の表面温度を検知する。
また、図示は省略するが、加圧ローラ30の幅方向中央部に対向する位置には、サーモパイル(非接触型温度検知センサ)が配設されている。
そして、サーミスタ61やサーモパイルによって、加圧ローラ30上の温度を検知して、サーミスタ61やサーモパイルによる検知結果に基いて、ヒータ33による加熱量を調整する。
ここで、加圧ローラ30に対向する位置であって、ニップ部に送入される記録媒体Pの非定着面に対向する位置(ニップ部の上流側である。)には、入口ガイド板41が設置されている。入口ガイド板41は、ニップ部に送入される記録媒体Pをニップ部に案内するものである。
また、加圧ローラ30に対向する位置であって、ニップ部から送出される記録媒体Pの非定着面に対向する位置(ニップ部の下流側である。)には、出口ガイド板50が設置されている。出口ガイド板50は、ニップ部から送出された定着工程後の記録媒体Pを定着工程後の搬送経路に向けて案内するためのものである。
なお、図3を参照して、出口ガイド板50には把持部70が設置されている。そして、ユーザーやサービスマン等の作業者は、定着装置19の位置で記録媒体Pのジャム(搬送中の記録媒体Pが詰まる現象である。)が発生したときに、定着装置19の主部(図3に示すものである。)を装置本体1から取出して、把持部70を把持して出口ガイド板50を回転軸部50aを中心に回転(図2の矢印方向の回転である。)させて、ニップ部を露呈させた状態でジャム紙をニップ部から引き抜き除去することになる。なお、図4は、定着装置19の主部(図3に示すものである。)が分離された状態の誘導加熱部25を示す斜視図である。
誘導加熱部25は、コイル部26(励磁コイル)、コア部27(励磁コイルコア)、コイルガイド28、等で構成される。コイル部26は、定着ローラ20の外周面の一部を覆うように配設されたコイルガイド28上に細線を束ねたリッツ線を巻回して幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設したものである。
コイルガイド28は、ガラス材料が45%程度含有されたPET(ポリエチレンテレフタレート)等の耐熱性の高い樹脂材料からなり、定着ローラ20の外周面に対向してコイル部26を保持する。なお、本実施の形態1では、コイルガイド28(誘導加熱部25)の対向面28aと、定着ローラ20の外周面と、のギャップが2±0.1mmに設定されている。
コア部27は、フェライト等の強磁性体(比透磁率が2500程度である。)からなり、定着ローラ20の発熱層に向けて効率のよい磁束を形成するためのものでありアーチコア、センターコア、サイドコア等で構成されている。
なお、図4を参照して、誘導加熱部25は、定着装置19の主部から分離できるように構成されている。そして、定着装置19の主部(図3に示すユニットである。)は、ドア100が開放された状態で、図4に示す誘導加熱部25から分離されて画像形成装置本体1から取出されることになる(図1の右方向への移動である。)。
また、本実施の形態1において、誘導加熱部25は、定着ローラ20の側方(図2の左側の側方である。)に配設されている。
このように構成された定着装置19は、次のように動作する。
不図示の駆動モータによって定着ローラ20が図2の反時計方向に回転駆動され、それにともない加圧ローラ30が時計方向に回転する。そして、定着ローラ20のスリーブ層21(発熱層)は、誘導加熱部25との対向位置で、誘導加熱部25から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、発振回路が周波数可変の電源部(不図示である。)からコイル部26に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流が通電されることで、コイル部26から定着ローラ20のスリーブ層21に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、スリーブ層21の発熱層に渦電流が生じて、発熱層はその電気抵抗によってジュール熱が発生して誘導加熱される。こうして、スリーブ層21(定着ローラ20)は、自身の発熱層の誘導加熱によって加熱される。
その後、誘導加熱部25によって加熱された定着ローラ20表面は、加圧ローラ30との当接部(ニップ部)に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、入口ガイド板41(又は拍車ガイド板42)に案内されながら定着ローラ20と加圧ローラ30との間(ニップ部である。)に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ローラ20から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ローラ20と加圧ローラ30との間から送出される(矢印Y2の搬送方向の移動である。)。
ニップ部を通過した定着ローラ20表面は、その後に再び誘導加熱部25との対向位置に達する。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
以下、本実施の形態1における画像形成装置で用いられるトナーについて詳述する。
本実施の形態1において、トナーTには、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスが含有されている。詳しくは、トナーTは、融点が60℃以上90℃以下であるパラフィンワックス及び結着樹脂を含有する母体粒子を有していて、その母体粒子は、DSC測定における吸熱ピークのパラフィンワックス由来の吸熱量が3.5J/g以上5.5J/g以下であり、平均円形度が0.950以上0.980以下になるように形成されたものである。このようにトナーTに融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有させることで、低温定着性を向上させるとともに、定着ローラ20にオイルを塗布することなく定着ローラ20や加圧ローラ30に対する記録媒体Pの分離性(離型性)を高めることができる。特に、トナーに他のワックス(例えば、カルナバワックス、ライスワックス、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス等である。)を含有させた場合に比べて、定着ローラ20等に対する記録媒体Pの分離性(離型性)を高めることができる。なお、本実施の形態1では、トナーTに含有させるパラフィンワックスの融点を67℃に設定している。
以下、さらに詳しく、トナーTについて説明する。
(粒径分布)
600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの重量平均粒径(D4)は3〜8μmが好ましい。重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)は1.00〜1.30の範囲にあることが好ましい。(D4/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。同様の理由で、2μm以下の粒子が1〜10個数%であることが好ましい。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では現像効率を高くすることができる。一方でトナーを小粒径化するときの課題として、粒径の大きな粒子に較べてキャリアへの非静電的付着力が大きいため、キャリア表面に長くとどまり攪拌ストレスを受けやすくキャリア表面へ固着しキャリアの帯電能力を下げる原因となる。こうした問題を防止するため2μm以下の粒子は1〜10個数%であることが好ましい。
ここで、トナー粒子の粒度分布の測定法はコールターカウンター法による。コールターカウンター法による測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
(FPIA、平均円形度、アスペクト比)
アスペクト比、平均円形度、2μm以下の超微粉トナーの計測には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000;シスメックス社製)を用いて計測し、同機付属の解析ソフトを用いて解析を行なった。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.1〜0.5ml添加し、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA−3000を用いて濃度を5000〜15000個/μlが得られるまでトナーの形状及び分布を測定した。本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5000〜15000個/μlにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、すなわち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを充分にぬらすことができないため、分散が不充分となる。またトナー添加量は粒径のより異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3〜7μmの場合、トナー量を0.1〜0.5g添加することにより分散液濃度を5000〜15000個/μlにあわせることが可能となる。
解析条件として、測定対象粒径限定を2〜200μmとして解析し手得られるアスペクト比および平均円形度、2μm以下の超微粉トナー量を求めた。平均円形度及びアスペクト比は下記のように定義される。
平均円形度=(粒子面積と等しい塩の周囲長)/(粒子周囲長)
アスペクト比=(最大長垂直長)/(最大長)
平均円形度が主として粒子の凹凸度合いを表現する形状係数なのに対し、アスペクト比は主として粒子の針状度を表現する形状係数である。
トナーの形状とクリーニング性(クリーニング部15におけるクリーニング性である。)の関係を評価し、形状(特にアスペクト比)がクリーニング特性と密接な相関を有することを見出した。アスペクト比が小さいトナーでは、圧密条件下でのトナー粒子間の相互に作用する力が大きく、感光体ドラム上の転写残トナーをクリーニンブレード等でせき止める(クリーニングする)工程において、ブレードによりせき止められたトナーが凝集しトナー層を形成しやすい。したがって、転写残トナーがブレードのみでなく、ブレードでせき止められたこのトナー層によってもせき止められ、クリーニングブレードをすり抜けるトナー量が減少し良好なクリーニング性を得ることができる。
アスペクト比が0.90より大きいトナーではクリーニング性が悪化し、一方でアスペクト比が0.80より小さいと、クリーニング以外の工程で、流動性が低いことによる不具合、具体的には配管内でのトナー詰まりの発生など不具合が顕著となる。このためアスペクト比には最適範囲があり、その値は0.80〜0.90である。
これまで見出されていなかった課題として、トナーを帯電させ現像する工程において、トナーの形状と帯電特性の間に以下の(1)〜(4)の傾向があることがわかった。
(1)トナーの形状が球に近いほど、トナーとキャリアが点接触であるためか、トナーがキャリア上で回転しながら接触するため、キャリアの表面でトナーが転がりやすくなり、パラフィンワックス、低分子量樹脂成分等のトナー成分がキャリア上に固着しやすくなる。その結果、キャリアの帯電能力を低下させやすくなる。これはトナーとキャリアとの接触面積が小さい(二成分現像方式)、トナーと現像スリーブとの接触面積が小さい(1成分現像方式)ことに対応する。
(2)一方、トナーの表面形状が粗く、凹凸の多い形状では、トナーとキャリアが面接触となるため、キャリアの表面でトナーが転がりにくくなるが、トナーとキャリアの接触面積が大きく、パラフィンワックス、低分子量樹脂成分等のトナー成分がキャリア上に固着しやすくなる。その結果、キャリアの帯電能力を低下させやすくなる。これはトナーとキャリアとの接触面積が大きい(二成分現像方式)、トナーと現像スリーブとの接触面積が大きい(1成分現像方式)ことに対応する。
(3)トナーとキャリアが長時間攪拌されると凹凸よりも形状の影響が強く現れる。すなわち実使用条件での耐久性評価などにおいてトナーとキャリアを現像機内で長時間攪拌すると、トナー上の凹凸が削りとられる、もしくは変形するなどによって凹凸は残らなくなるためであり、この結果、上記(1)の影響が現れる。
(4)このためトナーの帯電性、特に長期の攪拌によるキャリアの帯電能力の低下と関連するトナー形状としてはアスペクト比で見ることが好ましく、アスペクト比が低いほど、キャリア上で転がりにくく、アスペクト比が高いほど球形に近いためキャリア上を転がりやすい。このためトナーとキャリアが適度な接触を維持しつつトナー成分がキャリア上に固着しない範囲のアスペクト比としては0.80〜0.90の範囲にあることが好ましい。
上記の点からトナーのアスペクト比には最適範囲があり、その値は0.80〜0.90である。ただし、新たな課題として転写性能についてみると、本トルク評価法により評価したトルクが大きいほど転写時に虫食い現象が起こりやすくなる傾向があるため、感光体ドラムおよび中間転写ベルトの表面性、具体的には表面摩擦係数についても最適化する必要があり、これによってトレードオフとなるクリーニング性、現像性、転写性いずれにおいても良好な結果を得ることができることを見出した。
(SF−1、SF−2)
トナーの形状係数SF−1が130〜160の範囲にあり、形状係数SF−2が110〜140の範囲にあることが好ましい。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表わされる。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表わされる。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π)・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入し該トナーの粒子100個について解析して計算した。
D/Sを15〜40%、(L/M)>2のトナーをSF−1、SF−2で表現すると、SF−1が130〜160の範囲にあり、形状係数SF−2が110〜140の範囲にある。
(トナー濃度)
フルカラー画像形成装置においては、現像剤中のトナー濃度としてはトナー濃度3〜12wt%の範囲で用いられることが多い。画像濃度の制御は現像剤中のトナーとキャリアの粒径、すなわち表面積を考慮し、キャリア表面積に締めるトナーの占有面積が100%以下となるよう制御されるが、これはトナーとキャリアの充分な接触を維持し、トナーとキャリアの接触不良によるトナーの帯電不足を防止するための処置である。ここで、高トナー濃度の現像剤においては、トナー中の低融点ワックス、樹脂などがキャリア表面上に固着しキャリアの帯電能力を下げるという問題が生じやすい。
(DSCによる離型剤由来の吸熱ピーク吸熱量)
トナーのガラス転移点(Tg)は、通常40〜70℃、好ましくは40〜60℃である。40℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不充分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂等の変性ポリエステルの共存により、本発明のトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
また、定着性能のうち耐ホットオフセット性を得るためには離型材料が多いことが好ましく、一方、離型剤はキャリアに固着しやすいため、現像剤キャリアの帯電能力を長期間維持する上では少ないことが好ましい。この観点から、トナー中の離型剤の含有量として、DSCにおける離型剤由来の吸熱ピークの吸熱量が3.5〜5.5J/gの範囲にあることが優れた耐ホットオフセット性とキャリアの帯電能力維持の両面で望ましい。なお、本実施の形態1では、上述したように、トナーTに含有させる離型剤として、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを用いている。
測定装置として島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定した。
・測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50ml/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
測定した結果は前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行なった。解析方法は、2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線において、離型剤の溶融時の吸熱に相当する吸熱ピークの低温側、高温側のベースラインの2箇所を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク吸熱量を求める。なお、離型剤の溶融時の吸熱に相当する吸熱ピークとは、離型剤単独のDSC測定を上記手順で行ない得られる吸熱ピークである。
また、トナーTgは2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。次にDSC曲線で前記ピーク温度+5℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能をもちいてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。ここで示された温度がトナーのTgに相当する。
この他のトナーの構成材料について説明する。
−変性ポリエステル−
本発明のトナーはバインダ樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。0.5質量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40質量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及び(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記(B1)〜(B5)のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、(B1)及び(B1)と少量の(B2)の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。この時のピーク分子量は1000〜10000が好ましく、1000未満では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なくその結果耐ホットオフセット性が悪化する。また10000を超えると定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなる。変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
−未変性ポリエステル−
前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)をバインダ樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜10000、好ましくは2000〜8000、さらに好ましくは2000〜5000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は1〜5が好ましく、より好ましくは2〜4である。ワックスに高酸価ワックスを使用するため、バインダは低酸価バインダが帯電や高体積抵抗につながるので二成分系現像剤に用いるトナーにはマッチしやすい。
バインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は、他のトナー材料を含むトナー粒子としたときに、通常35〜70℃、好ましくは40〜65℃、より好ましくは40〜60℃となるものである。35℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不充分となる。ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、本発明のトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
−着色剤−
着色剤としては、公知の染料及び顔料が使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
前記着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、又はマスターバッチとともに混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
上記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
−荷電制御剤−
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
前記荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。10質量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
―無機フィラー―
トナー形状を制御するための無機フィラーとしては、モンモリロナイト、もしくはその有機変性物(クレイトンAPA)が用いられる。無機フィラーの機能は、トナー表面に凹凸を形成させることでありそのメカニズムは下記のとおりである。
トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させるトナー製造方法においては、乳化時にトナー材料液中の無機フィラーが有機溶媒と水系溶媒の界面に移動し、乳化分散体(反応物)の表面形状に集まる。次に、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥する工程において、表面に存在する無機フィラーが反応物表面に凸凹を形成する。従って、本発明の形状を得る上で、無機フィラー量を0.1〜10重量部の範囲で量を制御し形状を変化させることができ、無機フィラー量が多いほどSF−1、SF−2の値が大きくなり異形化する。
−外添剤−
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜0.3μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、100〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子、たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
特に、シリカ、酸化チタンに上記の表面処理を施して得られる疎水性シリカ、疎水性酸化チタンを用いることが好ましい。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーバインダの製造方法)
トナーバインダは以下の方法などで製造することができる。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート化合物(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。さらに(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)及びエーテル類(テトラヒドロフランなど)などの多価イソシアネート化合物(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
未変性ポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル(i)、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100質量部に対し、通常0〜300質量部、好ましくは0〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000質量部を超えると経済的でない。
水系媒体に分散させる前記樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)は、好ましくは50〜110℃、より好ましくは50〜90℃であり、ガラス転移点(Tg)が50℃未満の場合、トナー保存性の悪化、又はリサイクル時トナー回収経路にて固着、凝集する確率が高くなる。ガラス転移点(Tg)が110℃超の場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまう。更に好ましい範囲としては50〜70℃の範囲が挙げられる。
また、その重量平均分子量は10万以下であることが望ましい。好ましくは5万以下である。その下限値は、通常、4000である。重量平均分子量が10万を超える場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまう。
前記樹脂微粒子は水性分散体を形成しうる樹脂であれば公知の樹脂が使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂又はそれらの併用樹脂からなるものが好ましい。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
樹脂微粒子において、その体積平均粒径は、光散乱光度計(大塚電子製)にて測定した値で、10〜200nm、好ましくは20〜80nmである。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるため、又は、ワックスのトナー最表面への露出を防ぐために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行なわせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行なうことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行なわれる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
以下、本実施の形態1において特徴的な、定着装置19の構成・動作について詳述する。
図4及び図5を参照して、本実施の形態1における定着装置19は、定着ローラ20に対向するコイルガイド28(誘導加熱部25)の対向面28aに、対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる流路として複数の溝部28a1が設けられている。詳しくは、複数の溝部28a1(流路)は、対向面28aの一部(対向面28aの下方から、対向面28aの下端につながる面部にかけてである。)に対して凹状に形成されるとともに、鉛直方向に並設されている。すなわち、対向面28aの基準面に対して凹状に形成された溝部28a1は、その長手方向が対向面28aの周方向に沿うように形成されている。
このように構成することにより、低融点(60〜90℃の範囲である。)のパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合に、ニップ部の位置や定着ローラ20の表面等でパラフィンワックスが揮発して、揮発したパラフィンワックスが定着ローラ20に対向する誘導加熱部25(コイルガイド28)の対向面28aに付着しても、対向面28aに形成された溝部28a1を流路として下方に流動するために、対向面28aにパラフィンワックスが局所的に固着・蓄積する不具合を抑止することができる。
すなわち、図8を参照して、誘導加熱部25(コイルガイド28)の対向面28aに溝部を形成しない場合(従来の定着装置の構成である。)には、図8の破線で囲んだ位置にパラフィンワックスが固着して蓄積されて、その蓄積されたパラフィンワックスの高さが定着ローラ20と対向面28aとの微小ギャップ(2mm程度である。)を超えてしまうと、誘導加熱部25に固着したパラフィンワックスの一部が定着ローラ20に付着してしまう。そして、定着ローラ20に付着したパラフィンワックスが、定着工程時にニップ部の位置で記録媒体P上に付着して、「ワックス付着画像」が出力されてしまう。これに対して、本実施の形態1では、定着ローラ20に対向するコイルガイド28の対向面28aにパラフィンワックスの流路としての溝部28a1を複数形成しているために、対向面28aにパラフィンワックスが局所的に固着・蓄積する不具合を抑止することができる。
なお、本実施の形態1では、複数の溝部28a1を対向面28aに対して凹状に形成したが、複数の溝部を対向面28aに対して凸状に形成することもできる。
ここで、図6を参照して、コイルガイド28の対向面28aの複数の溝部28a1は、通紙可能な最大の記録媒体Pの幅方向の範囲X1を含む範囲X2に形成されている。コイルガイド28の対向面28aのうち、パラフィンワックスが付着する幅方向の範囲は、通紙可能な最大の記録媒体Pの幅方向の範囲X1にほぼ一致するために、その範囲X1を含むように溝部28a1が形成される幅方向の範囲X2を定めることで、「ワックス付着画像」の発生を確実に抑止することができる。
また、図7を参照して、複数の溝部28a1は、そのエッジ部(図7の破線で囲んだ部分である。)がR0.2(mm)以上になるように形成されている。これにより、隣接する溝部28a1に挟まれた凸部(高い位置)に付着したパラフィンワックスが溝部28a1(凹部)に流れやすくなるために、溝部28a1がパラフィンワックスの流路として確実に機能することになる。
また、図7を参照して、複数の溝部28a1は、その幅Mが5mm以下になるように形成されている。溝部28a1の幅Mが大き過ぎると、パラフィンワックスに表面張力が作用して溝部28a1にパラフィンワックスが滞留してしまうことがあるために、溝部28a1の幅Mをある程度小さくする必要がある。本願発明者は、溝部28a1の幅Mが上述の範囲にあるときに、溝部28a1におけるパラフィンワックスの流動性が良好であることを実験的に確認した。なお、本実施の形態1では、溝部28a1の幅Mを1mm程度に設定している。
また、図7を参照して、複数の溝部28a1は、隣接する溝部28a1との間隔Nが5mm以下になるように形成されている。溝部28a1の間隔Nが大き過ぎると、隣接する溝部28a1に挟まれた凸部に付着したパラフィンワックスが溝部28a1に流れにくくなるために、溝部28a1の間隔Nをある程度小さくする必要がある。本願発明者は、溝部28a1の間隔Nが上述の範囲にあるときに、パラフィンワックスが溝部28a1に良好に流動することを実験的に確認した。なお、本実施の形態1では、溝部28a1の間隔Nを1mm程度に設定している。
また、図7を参照して、複数の溝部28a1は、その深さWが0.2mm以上になるように形成されている。溝部28a1の深さWが小さ過ぎると、パラフィンワックスに表面張力が作用して溝部28a1にパラフィンワックスが滞留してしまうことがあるために、溝部28a1の深さWをある程度大きくする必要がある。本願発明者は、溝部28a1の深さWが上述の範囲にあるときに、溝部28a1におけるパラフィンワックスの流動性が良好であることを実験的に確認した。なお、本実施の形態1では、溝部28a1の深さWを0.5mm程度に設定している。なお、溝部28a1の深さWが大き過ぎると、コイルガイド28の強度や難燃性が低下する可能性があるために、溝部28a1の深さWは1mm以下に設定することが好ましい。
なお、図7を参照して、本実施の形態1では、溝部28a1の断面形状や隣接する溝部28a1に挟まれた凸部の断面形状を略矩形に形成したが、溝部28a1の断面形状や隣接する溝部28a1に挟まれた凸部の断面形状を、略三角形や略台形に形成することもできる。
ここで、本実施の形態1における定着装置19は、図2を参照して、複数の溝部28a1(流路)の下流側に、パラフィンワックスを捕集する捕集手段としてのワックス吸収材29を設けている。ワックス吸収材29は、フェルト等の繊維材料で形成されていて、溝部28a1の下流側に達したパラフィンワックスを吸収して捕集するように、コイルガイド28の底面に折り込むように貼着されている。これにより、溝部28a1を流れるパラフィンワックスが溝部28a1から流れ落ちて他の部品に付着する不具合を抑止することができる。なお、ワックス吸収材29が設置される幅方向の範囲は、通紙可能な最大の記録媒体Pの幅方向の範囲X1を含む範囲X2であることが好ましい(図6を参照できる。)。
以上説明したように、本実施の形態1では、定着ローラ20(定着部材)に対向する誘導加熱部25の対向面28aに、その対向面28aに付着したパラフィンワックスを対向面28aに沿って流動させる複数の溝部28a1(流路)を設けているために、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体P上に「ワックス付着画像」が生じる不具合を抑止することができる。
実施の形態2.
図9〜図11にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図9は、実施の形態2における定着装置の誘導加熱部を示す断面図である。図10(A)は誘導加熱部25に対して定着装置19の主部が装着された状態を示す概略図であり、図10(B)は誘導加熱部25に対して定着装置19の主部が離脱された状態を示す概略図である。図11は、定着装置の主部を示す斜視図である。
本実施の形態2における定着装置は、コイルガイド28の上端から下端にかけて溝部28a1が形成されている点と、ワックス吸収材29の構成と、が前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態2における定着装置19においても、前記実施の形態1のものと同様に、定着ローラ20に対向するコイルガイド28(誘導加熱部25)の対向面28aに、対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる流路として複数の溝部28a1が設けられている。
ここで、図9を参照して、本実施の形態2では、複数の溝部28a1は、対向面28aの全部(対向面28aの上端につながる面部から、対向面28a、対向面28aの下端につながる面部にかけてであって、図9の一点鎖線で示す範囲である。)に対して凹状に鉛直方向に並設されている。
また、図9及び図10(A)を参照して、本実施の形態2では、捕集手段としてのワックス吸収材29が、板状に形成されていて、コイルガイド28の底面に対して微小な隙間をあけて設置されている。また、本実施の形態2におけるワックス吸収材29(捕集手段)は、誘導加熱部25に対して着脱自在(交換自在)に構成されている。
具体的に、図10及び図11に示すように、ワックス吸収材29は、定着装置19の主部(図3に示すユニットである。)の側に貼着されている。そして、定着装置19の主部を画像形成装置本体1にセットすると(図10(B)の状態から図10(A)の状態への移動である。)、装置本体1側に設置された誘導加熱部25(コイルガイド28)の対向面28aの下方にワックス吸収材29が配置されることになる。ここで、定着装置19の主部の筐体の一部(突出部)は、装置本体1に装着されたときに、コイルガイド28の下方に入り込むように構成されていて、この筐体の突出部の表面にワックス吸収材29が貼着されている。
このように定着装置19の主部の側にワックス吸収材29を設置した場合には、定着装置19の主部を誘導加熱部25から離脱すると(図10(B)の状態である。)、誘導加熱部25からワックス吸収材29が離脱される。これに対して、定着装置19の主部を誘導加熱部25に装着すると(図10(A)の状態である。)、誘導加熱部25の対向面28aの下方にワックス吸収材29が配設されて、誘導加熱部25の対向面28aに沿って流れ落ちるパラフィンワックス捕集することができる。すなわち、溝部28a1を流れるパラフィンワックスが溝部28a1から流れ落ちて他の部品に付着する不具合を抑止することができる。また、本実施の形態2では、定着装置19の主部に貼着されたワックス吸収材29を誘導加熱部25に対して微小な隙間をあけて対向するように配設しているために、図10に示すような定着装置19の主部の着脱動作がおこなわれてもワックス吸収材29と誘導加熱部25とが接触して摩擦抵抗によりワックス吸収材29が定着装置19から剥がれる不具合が抑止される。
ここで、ワックス吸収材29は、定期的なサービスマンのメンテナンス時等に交換されることが好ましい。例えば、厚さ2mm程度のフェルトからなるワックス吸収材29であって、ワックスを吸収するフェルト面と反対側の面に両面テープが設けられたものであれば、上述した定着装置19の筐体の突出部に容易に貼り付けたり交換したりすることができる。これにより、定着装置19の主部のメンテナンス作業に合わせて、ワックス吸収材29の交換メンテナンスが定期的におこなわれて、ワックス吸収材29によるパラフィンワックスの捕集性が確保されることになる。
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、定着ローラ20(定着部材)に対向する誘導加熱部25の対向面28aに、その対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる複数の溝部28a1(流路)を設けているために、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体P上に「ワックス付着画像」が生じる不具合を抑止することができる。
実施の形態3.
図12にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図12は、実施の形態3における定着装置のコイルガイド28の一部を示す拡大斜視図であって、前記実施の形態1における図5に対応する図である。本実施の形態3における定着装置は、コイルガイド28に形成された溝部28a1の形状が、前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態3における定着装置19においても、前記各実施の形態のものと同様に、定着ローラ20に対向するコイルガイド28(誘導加熱部25)の対向面28aに、対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる流路として複数の溝部28a1が設けられている。
ここで、本実施の形態3では、複数の溝部28a1は、対向面28aの基準面に対して凹状に形成されるとともに、水平方向(幅方向)に並設されている。すなわち、溝部28a1は、その長手方向が対向面28aの幅方向に沿うように形成されている。
このように構成することにより、低融点(60〜90℃の範囲である。)のパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合に、ニップ部の位置や定着ローラ20の表面等でパラフィンワックスが揮発して、揮発したパラフィンワックスが定着ローラ20に対向する誘導加熱部25(コイルガイド28)の対向面28aに付着しても、対向面28aに形成された溝部28a1を流路として水平方向に拡散するように流動するために、対向面28aにパラフィンワックスが局所的に固着・蓄積する不具合を抑止することができる。
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、定着ローラ20(定着部材)に対向する誘導加熱部25の対向面28aに、その対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる複数の溝部28a1(流路)を設けているために、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体P上に「ワックス付着画像」が生じる不具合を抑止することができる。
実施の形態4.
図13にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図13は、実施の形態4における定着装置のコイルガイド28の一部を示す拡大斜視図であって、前記実施の形態1における図5に対応する図である。本実施の形態4における定着装置は、コイルガイド28に形成された溝部28a1の形状が、前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態4における定着装置19においても、前記各実施の形態のものと同様に、定着ローラ20に対向するコイルガイド28(誘導加熱部25)の対向面28aに、対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる流路として複数の溝部28a1が設けられている。
ここで、本実施の形態4では、複数の溝部28a1は、対向面28aの基準面に対して凹状に形成されるとともに、水平方向(幅方向)に対して斜めに並設されている。すなわち、溝部28a1は、その長手方向が対向面28aの斜め方向に沿うように形成されている。
このように構成することにより、斜めに配設された溝部28a1を流動するパラフィンワックスを、図13の破線で囲んだ箇所で集中的に捕集することができる。したがって、パラフィンワックスを捕集するワックス吸収材29(捕集手段)の設置面積を小さくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態4でも、前記各実施の形態と同様に、定着ローラ20(定着部材)に対向する誘導加熱部25の対向面28aに、その対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる複数の溝部28a1(流路)を設けているために、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体P上に「ワックス付着画像」が生じる不具合を抑止することができる。
実施の形態5.
図14にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図14は、実施の形態5における定着装置を示す断面図であって、前記実施の形態1における図2に対応する図である。本実施の形態5における定着装置は、定着部材として定着ベルト65が用いられている点が、定着部材として定着ローラ20が用いられている前記実施の形態1のものとは相違する。
図14に示すように、本実施の形態5における定着装置20は、誘導加熱部25、定着部材としての定着ベルト65、加熱ローラ66、定着補助ローラ67、加圧部材としての加圧ローラ30、等で構成される。
ここで、定着補助ローラ67は、ステンレス鋼等からなる芯金の表面に、シリコーンゴム等の弾性層を形成したものである。定着補助ローラ67の弾性層は、肉厚が1〜10mmで、アスカー硬度が30〜60度となるように形成されている。
加熱ローラ66は、ステンレス鋼等で形成された円筒体である。加熱ローラ66や定着補助ローラ67は、図14の反時計方向に回転する。
発熱層を備えた定着ベルト65は、加熱ローラ66及び定着補助ローラ67に張架・支持されている。定着ベルト65は、内周面側から、ベース層、弾性層、発熱層、シリコーンゴム層、離型層、が積層されている。そして、定着ベルト65の発熱層は、誘導加熱部25から発せられる磁束によって電磁誘導加熱される。
そして、本実施の形態5においても、前記各実施の形態と同様に、定着ベルト65(定着部材)に対向するコイルガイド28(誘導加熱部25)の対向面28aに、対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる流路として複数の溝部(不図示である。)が設けられている。
このように構成された定着装置19は、定着工程時に次のように動作する。
定着補助ローラ67の回転駆動によって、定着ベルト65は図14の反時計方向に周回するとともに、加熱ローラ66も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も時計方向に回転する。定着ベルト65は、誘導加熱部25との対向位置で加熱される。
詳しくは、不図示の電源部からコイル部25に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流を流すことで、発熱層に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、定着ベルト65の発熱層に渦電流が生じて、発熱層の電気抵抗によってジュール熱が発生して、発熱層が加熱される。こうして、定着ベルト65は、自身の発熱層の発熱によって加熱される。
その後、誘導加熱部25によって加熱された定着ベルト65表面は、加圧ローラ30との当接部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。ニップ部を通過した定着ベルト65表面は、その後に再び誘導加熱部25との対向位置に達する。このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
なお、本実施の形態5では、誘導加熱部25によって誘導加熱される発熱層を定着部材(定着ベルト65)に設けたが、発熱層を加熱ローラ66に設けることもできる。このような場合には、誘導加熱部25によって加熱ローラ66が電磁誘導加熱されて、定着ベルト65が加熱ローラ66によって間接的に加熱されることになる。
以上説明したように、本実施の形態5でも、前記各実施の形態と同様に、定着ベルト65(定着部材)に対向する誘導加熱部25の対向面28aに、その対向面28aに付着したパラフィンワックスを流動させる複数の溝部28a1(流路)を設けているために、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有したトナーを用いた場合であっても、プリント出力される記録媒体P上に「ワックス付着画像」が生じる不具合を抑止することができる。
なお、前記各実施の形態では、定着部材として定着ローラ20や定着ベルト65を用いて加圧部材として加圧ローラ30を用いた定着装置に対して本発明を適用したが、定着部材として定着フィルムを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置や、加圧部材として加圧ベルトや加圧パッドを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置に対しても、本発明を適用することができる。そして、このような場合にも、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
(付記)
(付記1)
トナーを加熱・溶融して記録媒体上に定着させる定着部材と、
前記定着部材の外周面に対向するとともに、前記定着部材を電磁誘導によって直接的又は間接的に加熱する誘導加熱部と、
を備え、
前記トナーは、融点が60〜90℃の範囲であるパラフィンワックスを含有し、
前記定着部材に対向する前記誘導加熱部の対向面に、当該対向面に付着した前記パラフィンワックスを流動させる流路を設けたことを特徴とする定着装置。
(付記2)
前記流路は、前記対向面の一部又は全部に凹状又は凸状に形成された複数の溝部であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
(付記3)
前記複数の溝部は、鉛直方向に並設されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
(付記4)
前記複数の溝部は、水平方向に並設されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
(付記5)
前記複数の溝部は、水平方向に対して斜めに並設されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
(付記6)
前記複数の溝部は、そのエッジ部がR0.2以上になるように形成されたことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
(付記7)
前記複数の溝部は、その幅が5mm以下になるように形成されたことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
(付記8)
前記複数の溝部は、隣接する溝部との間隔が5mm以下になるように形成されたことを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
(付記9)
前記複数の溝部は、その深さが0.2mm以上になるように形成されたことを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
(付記10)
前記流路は、通紙可能な最大の記録媒体の幅方向の範囲を含む範囲に形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
(付記11)
前記流路の下流側に前記パラフィンワックスを捕集する捕集手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置。
(付記12)
前記捕集手段は、前記パラフィンワックスを吸収するワックス吸収材であることを特徴とする請求項11に記載の定着装置。
(付記13)
前記捕集手段は、前記誘導加熱部に対して着脱自在に構成されたことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の定着装置。
(付記14)
前記誘導加熱部は、前記定着部材の側方に配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の定着装置。
(付記15)
請求項1〜請求項14のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
1 画像形成装置本体(装置本体)、
19 定着装置、
20 定着ローラ(定着部材)、
25 誘導加熱部、
28 コイルガイド、
28a 対向面、
28a1 溝部(流路)、
29 ワックス吸収材(捕集手段)、
30 加圧ローラ(加圧部材)、
65 定着ベルト(定着部材)、
66 加熱ローラ、 67 定着補助ローラ。
特開2008−40176号公報 特開2008−76565号公報 特開2008−97046号公報 特開2007−52296号公報
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナーを加熱・溶融して記録媒体上に定着させる定着部材と、前記定着部材の外周面に対向するとともに、前記定着部材を電磁誘導によって直接的又は間接的に加熱する誘導加熱部と、を備え、前記定着部材に対向する前記誘導加熱部の対向面溝部が形成されたものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記溝部は、少なくとも前記対向面の下方に形成されたものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記溝部は、その幅が5mm以下になるように形成されたものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記溝部は、その深さが0.2mm以上になるように形成されたものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記溝部を、複数の溝部としたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項5に記載の発明において、前記複数の溝部は、そのエッジ部がR0.2以上になるように形成されたものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記複数の溝部は、隣接する溝部との間隔が5mm以下になるように形成されたものである。
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項5〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、鉛直方向に並設されたものである。
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項5〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記複数の溝部は、水平方向に対して斜めに並設されたものである。
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記溝部は、通紙可能な最大の記録媒体の幅方向の範囲を含む範囲に形成されたものである。
また、請求項11記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項10のいずれかに記載の発明において、前記誘導加熱部は、前記定着部材の側方に配設されたものである。
また、請求項12記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。

Claims (16)

  1. トナーを加熱・溶融して記録媒体上に定着させる定着部材と、
    前記定着部材の外周面に対向するとともに、前記定着部材を電磁誘導によって直接的又は間接的に加熱する誘導加熱部と、
    を備え、
    前記定着部材に対向する前記誘導加熱部の対向面の一部又は全部に凹状又は凸状に形成された複数の溝部を設け、
    前記複数の溝部は、前記誘導加熱部の前記対向面に付着した前記トナーの含有成分を流動させる流路であることを特徴とする定着装置。
  2. 前記トナーの含有成分は、パラフィンワックスであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記パラフィンワックスは、融点が60〜90℃の範囲になるように形成されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記流路の下流側に前記含有成分を捕集する捕集手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記捕集手段は、前記含有成分を吸収する吸収材であることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記捕集手段は、前記誘導加熱部に対して着脱自在に構成されたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記複数の溝部は、鉛直方向に並設されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記複数の溝部は、水平方向に並設されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記複数の溝部は、水平方向に対して斜めに並設されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記複数の溝部は、そのエッジ部がR0.2以上になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
  11. 前記複数の溝部は、その幅が5mm以下になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置。
  12. 前記複数の溝部は、隣接する溝部との間隔が5mm以下になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置。
  13. 前記複数の溝部は、その深さが0.2mm以上になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の定着装置。
  14. 前記複数の溝部は、通紙可能な最大の記録媒体の幅方向の範囲を含む範囲に形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の定着装置。
  15. 前記誘導加熱部は、前記定着部材の側方に配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の定着装置。
  16. 請求項1〜請求項15のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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