JP2013126992A - 虚血再灌流障害を予防するためのc1インヒビターの使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】虚血及び再灌流障害の少なくとも1つを予防、軽減又は処置するための医薬組成物の提供。
【解決手段】血漿中濃度半減期が6時間未満であるC1インヒビターの使用であって、前記C1インヒビターが前記虚血及び再灌流の後に投与される、使用。C1インヒビターが、血漿由来ヒトC1インヒビターと比較して少ない末端シアル酸残基を有する。C1インヒビターが、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノース及びフコースから選択される末端残基を有するグリカンを含む。C1インヒビターが、虚血及び/又は再灌流の少なくとも1時間後、好ましくは少なくとも3時間後、より好ましくは少なくとも6時間後、より好ましくは9時間後、さらにより好ましくは18時間後に投与される。
【選択図】なし
【解決手段】血漿中濃度半減期が6時間未満であるC1インヒビターの使用であって、前記C1インヒビターが前記虚血及び再灌流の後に投与される、使用。C1インヒビターが、血漿由来ヒトC1インヒビターと比較して少ない末端シアル酸残基を有する。C1インヒビターが、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノース及びフコースから選択される末端残基を有するグリカンを含む。C1インヒビターが、虚血及び/又は再灌流の少なくとも1時間後、好ましくは少なくとも3時間後、より好ましくは少なくとも6時間後、より好ましくは9時間後、さらにより好ましくは18時間後に投与される。
【選択図】なし
Description
本発明は、虚血再灌流障害、特に脳卒中の結果生じることのある脳虚血再灌流障害を予防、軽減及び処置するためのC1インヒビターの治療的使用及び予防的使用に関する。
虚血再灌流障害は、良く知られている病態であり、予期される病態であることもあるし、予期されない病態であることもある。予期されない虚血再灌流障害の最も一般的なものの1つは脳卒中である。先進国において、脳卒中は3番目に多い死因であり、長期障害の最も多い原因である。脳卒中は循環器疾患の1つであり、脳に通じる動脈及び脳内に存在する動脈に影響を与える。脳卒中は、このような動脈が血塊又は破裂によって詰まったときに生じ、その結果、その詰まった動脈に支配されている脳組織において虚血が起こる。血流が遮断され、主に生きた組織が酸素化されなくなるために、脳に直接的ダメージが生じ、回復が起こらなければ最終的には梗塞になる。しかし、(生理的又は治療的に)傷害が回復されると、今度は虚血組織の再灌流によってさらに間接的なダメージが生じることがある。長期間の虚血の場合、低酸素症からの「直接的」ダメージのみが主要なメカニズムである。より短期間の虚血では、間接的すなわち再灌流を介したダメージの方が、最終的な結果にとってより重要になる。
補体C1のインヒビターであるC1インヒビター(C1INH)は、モデル齧歯類における脳虚血再灌流に対して、虚血再灌流障害の軽減による神経保護作用を示すことが報告されている(非特許文献1及び非特許文献2)。脳虚血再灌流障害に対するC1INHの神経保護作用にはC1qは必要ではない(非特許文献3)。さらに最近では、C1INHが、炎症と血管系から虚血部位への細胞のリクルートとを阻害することで、虚血再灌流障害に対して抗炎症作用および抗アポトーシス作用を発揮することが非特許文献4で報告されている。しかし、脳卒中の前後でC1INHの投与が治療に有効である時間枠は幾分狭い。
De Simoni et al., 2003, J Cereb Blood Flow Metab. 23: 232-9 Akita et al., 2003, Neurosurgery 52: 395-400 De Simoni et al., 2004, Am J Pathol. 164: 1857-63 Storini et al., 2005, Neurobiol Dis. 19: 10-7
De Simoni et al., 2003, J Cereb Blood Flow Metab. 23: 232-9 Akita et al., 2003, Neurosurgery 52: 395-400 De Simoni et al., 2004, Am J Pathol. 164: 1857-63 Storini et al., 2005, Neurobiol Dis. 19: 10-7
したがって、本発明の目的は、投与時間に関してより広い時間枠を有するC1INHを提供することである。
本発明は、一過性局所脳虚血のモデルマウスにおいて天然の血漿由来C1インヒビター(C1INH)を虚血後に投与した場合、虚血再灌流障害を軽減する活性がほとんど失われているのに対し、C1INH組換え標品は、虚血及び/又は再灌流の少なくとも1時間後に投与された場合でも神経保護効果を発揮することができるという驚くべき発見に基づくものである。驚くべきことに、神経保護効果は、虚血及び/又は再灌流の18時間後にC1INHを注射した場合でも得られる。天然の血漿由来C1INHとC1INH組換え標品の差は、前者が少なくとも24時間の血漿中半減期を有する完全にシアル化された糖タンパク質であり、後者は血漿中半減期がより短くなっており、グリコシル化が血漿由来産物と異なっている点である。
天然の血漿由来C1INHとC1INH組換え標品の間の既知の差に、グリコシル化の程度及び種類がある。組換え糖タンパク質は、オリゴマンノース型、ハイブリッド型及び複合型構造を含む、広範囲の様々なN−グリカンを含む。一方、血漿由来C1INHのN−グリカンは、完全にシアル化された複合型構造から主に構成されている。グリコシル化が異なる結果、血漿由来糖タンパク質の血漿中半減期は少なくとも24時間であるが、組換えC1INHの血漿中半減期は短くなっている。
したがって、1つの態様では、本発明は、虚血の後及び/又は再灌流の後にC1インヒビターを投与することによる、虚血及び再灌流障害の少なくとも1つを予防、軽減、又は処置する方法に関する。該方法は、血漿由来C1INHの血漿中半減期より短い血漿中半減期を有するC1INHを有効量投与するステップを含むことが好ましい。或いは、方法は、血漿由来C1INHと比較してグリコシル化が異なるC1INHを有効量投与するステップを含むことが好ましい。この方法は任意の種類の虚血再灌流障害を予防、減少及び/又は処置するためのC1インヒビターの治療的及び/又は予防的使用に関する。
C1インヒビターはC1エステラーゼインヒビターとも呼ばれ、本明細書では、補体C1のインヒビターと定義される。C1INHはセリンプロテイナーゼインヒビターのスーパーファミリーに属し、補体系のC1r及びC1sの唯一のインヒビターであり、接触系(contact system)の第XIIa因子及びカリクレインの主要なインヒビターである。さらに、C1INHは凝固系及び線溶系のその他のセリンプロテアーゼ、例えば第XI因子、組織型プラスミノーゲン活性化因子、プラスミンも阻害する(Schapira et al. 1985, Complement 2: 111; Davis, 1988, Ann. Rev. Immunol. 6: 595)。ヒトC1INHは500アミノ酸のタンパク質で、アミノ酸22個からなるシグナル配列が含まれている(Carter et al. 1988, Euro. J. Biochem. 173; 163)。血漿C1INHは約76kDaの糖タンパク質であり、高度にグリコシル化されており、その分子質量の26%までが糖である(Perkins et al., 1990, J. Mol. Biol. 214 , 751)。本発明の方法に使用するためのC1INHは、配列番号1に記載の成熟ヒトC1INHのアミノ酸配列と少なくとも65、67、68、69、70、75、80、85、90、95、98又は99%の同一性を有するアミノ酸配列のタンパク質であることが好ましい。
本発明の目的のためには、2つのアミノ酸配列の間の同一性の程度とは、2つの配列間で同一のアミノ酸の百分率を指す。最初に、Altschul, et al., J. Mol. Biol. 215: 403-410 (1990)に記載のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)アルゴリズムを用いて、相同なポリペプチド配列をサーチする。BLAST分析を行うためのソフトウェアは国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公に利用することができる。BLASTアルゴリズムのパラメータW、B及びEによって、アラインメントの感度及び速度が決定される。BLASTプログラムはデフォルトで、語長(W)が3、BLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 (1989)参照)アラインメント(B)が50、期待値(E)が10、M=5、N=−4を使用している。次に、相同な配列の同一性(上に定義)の程度の決定には、CLUSTALWアラインメントアルゴリズム(Higgins D. et al (1994). Nucleic Acids Res. 22:4673-4680)が用いられ、そのパラメーターは以下の通りである:ギャップサイズ:5、ギャップオープン:11、ギャップエクステンション:1、ミスマッチ:−15、ワードサイズ:3。
C1INHはC1INH活性を有することが好ましく、該C1INH活性とは、例えばDrouet et al. (1988, Clin Chim Acta. 174:121-30)に記載されているようにアッセイすることができるものである。より好ましくは、C1INHはヒトC1INH(hC1INH)であり、これはC1INHが人間に天然に存在するアミノ酸配列(例えば配列番号1又はCAA30314)を有することを意味すると理解されるが、C1INHが例えばヒト血漿で産生される又はヒト血漿から得られることは意味しないと理解される。
本発明の1つの態様によれば、本発明の方法に使用するためのC1INHの血漿中半減期は、血漿由来C1INHの血漿中半減期と比較して短いことが好ましく、さらに好ましくは、本発明のC1INHの血漿中半減期はヒト血漿由来C1INHの血漿中半減期よりも短い。「血漿中半減期が短い」とは、血漿由来C1INHの循環半減期に対する本発明のC1INHの循環半減期の負の変化を意味する。本文脈において、血漿由来C1INHとは、天然のC1INHを指し、通常これは血漿に由来し、血漿から精製されてもよいが、化学的又は酵素的に修飾されていない。
血漿中半減期の測定は、C1INH投与後の様々な時点で血液試料を採取し、各試料中のC1INH濃度を決定することで行われる。血清濃度と時間の関係から、血漿中半減期を算出することができる。血漿由来C1INHの循環半減期に対する本発明のC1INHの血漿中半減期の減少は、好ましくは少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約6倍、より好ましくは少なくとも約8倍、最も好ましくは少なくとも約10倍である。すなわち、本発明のC1INHの血漿中半減期は、好ましくは血漿由来C1INH(すなわち対応する天然物)の血漿中半減期の60、50、40、30、25、20、15、12.5又は10%未満である。
例えば、トランスジェニックウサギの乳から得られる、本明細書中の実施例で用いられる本発明のC1INHの血漿中半減期は、ヒト体内において約3時間であり、これは、人間中における血漿由来C1INHの平均血漿中半減期の約1/4〜1/8未満である。血漿由来C1INHと比較したときの本発明のC1INHの血漿中半減期の減少は、全く同一の条件下ではないとしても、似たような条件下で決定されることが好ましいと理解される。すなわち、同じ生物(マウスなどの実験動物又はヒト対象であってもよい)かつほぼ同数の被検対象を用い、対応する投与量及び試料採取計画(sample regimen)で行うことが好ましい。さらに、両方のC1INH標品の平均血漿中半減期は、標準的な統計解析の方法によって決定され得るように比較されると理解される。
半減期のより短いC1INHは、天然のC1INHであれ組換え産物のC1INHであれ、任意の適した方法で作製することができる。例えば、(血漿由来C1INHと比較して)糖鎖構造が修飾されたC1INHを生じる組換え宿主細胞若しくは生物中においてインビボで作製してもよいし、又は天然のC1INHの糖鎖構造をインビトロで化学的若しくは酵素的に修飾してもよい。本発明のC1INHは血漿由来C1INHと比較して以下のように修飾されていることが好ましい:(糖タンパク質の天然の変種又は組換え技術により発現された変種からの)糖鎖の一部分の除去、好ましくはN−結合型糖鎖からのシアル酸及び/若しくはガラクトースの除去並びに/又はマンノース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン及び/若しくはフコース残基が露出するような糖鎖の除去。
本発明の別の態様では、本発明の方法に使用するためのC1INHは、血漿由来C1INHと比較してグリコシル化が異なっていることが好ましい。本発明のC1INHの糖鎖構造への修飾としては、低グリコシル化、過グリコシル化が生じる修飾、C1INHのアシアリオ(asialio)型が生じる修飾、又は異なるグリコシル化パターンを生じるその他
の任意の修飾等を挙げることができる。
の任意の修飾等を挙げることができる。
インビトロにおいて、低グリコシル化は、C1INHの糖鎖の一部分又は完全な糖鎖の欠失により生じてもよい。修飾は、N−若しくはO−結合型糖鎖の両方又は1種類の糖鎖のみに関するものであってよい。修飾は全ての糖鎖に関するものでも、一部の糖鎖に関するものでもよい。過グリコシル化は、例えばC1INH分子に余分に糖鎖部分が追加されるか又は完全な糖鎖が付加される結果生じてもよい。C1INHのアシアロ型、すなわち末端シアル酸残基が減少している型は通常、シアル酸基の除去により得られる。糖タンパク質の血中半減期が、そのN−及びO−結合型糖鎖群の組成及び構造に大きく依存することは周知である。一般的に、糖タンパク質の半減期が最大になるには、そのN−及びO−結合型糖鎖群が末端シアル酸を有する必要がある。この末端シアル酸が存在しないと、ガラクトース残基の露出により、糖タンパク質は血中から急速に除去される。糖タンパク質の糖鎖部分に末端ガラクトース残基が存在すると、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体による血漿クリアランスが促進されることがよく確立されている。したがって、好ましい実施形態では、本発明の方法に使用するためのC1INHは、血漿由来ヒトC1インヒビターと比較して末端シアル酸残基レベルが減少していることが好ましい。シアル酸は様々な方法で除去することができる。例えば,化学的又は酵素的(例えばシアリダーゼでの処理)に除去することができる。この目的に適したシアリダーゼはChou et al.(1996, J Biol Chem. 271(32):19219-24及び1994, J Biol Chem. 269(29):18821-6)に記載されており、例えばV-labs, Inc.社(Covington, Louisiana, USA)から入手することができる。別の好ましい実施形態では、本発明の方法に使用するためのC1INHは、露出したマンノース、N−アセチルグルコサミンマンノースリン酸、ガラクトース及び/又はN−アセチルガラクトサミン残基を有することが好ましい。露出した糖残基は通常、グリカン枝上にある末端糖残基であるか、又は少なくとも、その糖残基に親和性を有する部分(例えば、糖結合ドメイン)が相互作用のために接近することができる糖残基である。露出したガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノース、フコース又はマンノースリン酸残基を有するC1INHは、例えば、β−D−N−アセチルヘキソサミニダーゼ、エンド−β−D−ガラクトシダーゼ及び/又はα−D−N−アセチルガラクトサミニダーゼの1又は複数による酵素処理によって得ることができる(例えばV-labs, Inc.社(Covington, Louisiana, USA)から入手することもできる)。
インビボにおいて、C1INHの糖鎖の修飾は、組換え体産生系(recombinant production systems)を用いて導入してもよい。酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞及び哺乳類細胞など、原核細胞培養物及び真核細胞培養物の両方を用いることができる。例えば、哺乳類の産生系にはCOS細胞及びCHO細胞が適している。哺乳類の細胞培養系はシアリル化された糖基を有する糖タンパク質を産生することができるが、最適な、天然の又は完全なグリコシル化を得ることは多くの場合困難であるため、組換えによって産生された糖タンパク質は通常、対応する天然物とグリコシル化パターンが異なっている。通常、この異なるグリコシル化パターンは(対応する天然物と比較して)不完全なグリコシル化であり、露出したガラクトース、N−アセチルグルコサミン及び/又はマンノース残基を有する。同様に、酵母又は真菌のような真核微生物におけるC1INHの産生も、露出したマンノース残基を有するC1INHを生じる。
被修飾糖鎖構造を有するC1INHは、トランスジェニック動物、好ましくはトランスジェニックウサギ、ウシ、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジなどの非ヒト動物中で作製されてもよい。このような糖タンパク質は、非ヒトトランスジェニック動物の乳から該糖タンパク質が得られるように、非ヒトトランスジェニック動物の乳腺で発現されることが好ましい。当業者であれば、どのトランスジェニック動物が産生に用いるのに最も良いかは、産生される具体的な糖タンパク質及び産生される必要のある量に依存すると理解するであろう。本発明において使用するためのC1INHは、トランスジェニックウシ又はウサギ目(Lagomorpha)の動物、好ましくはウサギ科(Leporidae)の動物、より好ましくはアナウサギ属(Oryctolagus)の動物、最も好ましくはアナウサギ種(Oryctolagus cuniculus)の動物の乳から得られるC1INHであることが特に好ましい。
C1INHタンパク質の糖鎖構造への、天然の血漿由来対応物と比較して異なる種類の修飾は、組換え産生系から得られても良く、例えば、異なるグリコシル化、低グリコシル化又は過グリコシル化が、別々に又は組み合わせて、同時に又は連続して導入されても良く、ある種類の修飾が分子のある部分に導入され、別の種類の修飾が分子の別の部分に導入されても良い。このタンパク質の治療効果に寄与する修飾の好ましい組合わせとしては、例えば本発明のC1INH上の露出したガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノース、フコース及び/又はマンノースリン酸残基を挙げることができる。
本発明のC1INHは、例えばオリゴマンノース型又は高マンノース型のグリカンを有してもよい。C1INHのグリカンの末端残基の少なくとも約5、10、15、20、40又は60%は、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコースアミン、マンノース、フコース及びマンノースリン酸残基から選択されることが好ましい。例えば本発明に使用するための好ましいC1INHが含むシアル酸は、その対応する天然C1INHと比較して、約1/2、1/4、1/5、又は1/6未満であり、かつ/又は該C1INHのN−結合型グリカンの少なくとも約5、10、15、20、40又は60%が、エクアトリアルな3−及び4−OH基を有する末端ヘキソース(例えばマンノース及びN−アセチルグルコサミン)を有する中性グリカンである。対照的に、血漿由来C1INHでは、オリゴマンノース型のグリコシル化は見られない。本発明における使用に好ましいC1INHは、例えば、対応する天然物の1/5〜1/6未満のシアル酸を含み、そのN−結合型グリカンの約15%が末端マンノース残基を有する中性グリカンである、ウサギの乳腺で産生された組換えヒトC1INHである。
本発明のC1INHは、例えばオリゴマンノース型又は高マンノース型のグリカンを有してもよい。C1INHのグリカンの末端残基の少なくとも約5、10、15、20、40又は60%は、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコースアミン、マンノース、フコース及びマンノースリン酸残基から選択されることが好ましい。例えば本発明に使用するための好ましいC1INHが含むシアル酸は、その対応する天然C1INHと比較して、約1/2、1/4、1/5、又は1/6未満であり、かつ/又は該C1INHのN−結合型グリカンの少なくとも約5、10、15、20、40又は60%が、エクアトリアルな3−及び4−OH基を有する末端ヘキソース(例えばマンノース及びN−アセチルグルコサミン)を有する中性グリカンである。対照的に、血漿由来C1INHでは、オリゴマンノース型のグリコシル化は見られない。本発明における使用に好ましいC1INHは、例えば、対応する天然物の1/5〜1/6未満のシアル酸を含み、そのN−結合型グリカンの約15%が末端マンノース残基を有する中性グリカンである、ウサギの乳腺で産生された組換えヒトC1INHである。
好ましい実施形態では、本発明における使用のためのC1INHのグリコシル化が異なるため、その血漿由来対応物に比べて、マンノース結合タンパク質への親和性が高くなる。マンノース結合タンパク質(MBP)は、マンナン結合タンパク質、マンノース結合レクチン(MBL)、マンナン結合レクチン、又は殺菌性Ra反応性因子とも呼ばれる。MBPは、可溶性のCa2+−依存性(C−型)レクチンの一群に属するコレクチンである。MBPは、レクチン経路(補体活性化の古典経路及び代替経路と異なる)を介する補体の活性化因子である。補体系は先天性免疫防御の重要な構成要素であり、3つの経路、すなわち古典経路、代替経路、及び最近発見されたレクチン若しくはマンノース結合レクチン(MBL)経路により活性化される。
古典経路の活性化は、触媒領域C1r及びC1sが認識タンパク質C1qを介して免疫複合体に結合すると開始される(図11参照)。
代替経路は、抗体依存的にゆっくりと常に代謝回転しており、補体に対して特異的に保護されていない粒子を攻撃する。
レクチン又はMBL経路は、様々な病原体上の糖鎖構造又はその他の細胞構造へのMBLの結合によって開始又は活性化される。マンナン結合レクチン関連セリンプロテアーゼ(MASP)−1及び−2の2つのセリンプロテアーゼ(図11参照)がMBLに関連があり、セリンプロテアーゼC1s及びC1rと高い類似性を有する。この複合体は、マンナンに結合すると、C4−及びC3−活性化能を有する。この複合体にはジスルフィド結合で連結された2つのセリンプロテアーゼMASP−1及びMASP−2が含まれる。この形態のMASPはC4及びC3を開裂することができ、その結果、活性化が起こる。本発明のC1INHは、ヒトMBPに対し、その血漿由来対応物よりも高い親和性を有することが好ましい。
MBPは、マンノース及びN−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチル−ヘキソサミンなどの、エクアトリアルな3−及び4−OH基を有する露出したヘキソースを認識する。したがって、好ましい本発明のC1INHは そのような末端ヘキソースを有する。本発明のC1INHの、MBP、好ましくはヒトMBPへの高い親和性は、露出したマンノース及びN−アセチルグルコサミン残基を有しないその天然血漿由来の対応物と比べ、MBPのより効率的なターゲティング、結合及び/又は阻害を可能にするようなものであることが好ましい。ここで、ヒトMBPは、Kawasaki et al.(1983, J. Biochem 94:937-47)によって特徴付けされたタンパク質であって、Taylor et al.(1989, Biochem. J. 262 (3), 763-771)に記載のアミノ酸配列(NCBIアクセッション番号:CAA34079)を有するものを指すと理解される。オリゴ糖と複合体を形成しているラットMBPの構造がWeis et al.(1992, Nature. 360:127-34)に記載されている。ヒトMBPについてのさらなる記述については、例えば米国特許第6,846,649号及びその中の参考文献を参照されたい。
これらの経路(古典経路、代替経路及びレクチン又はMBL経路)は全て、膜侵襲複合体(MAC又はC5b−C9)の構築を最終的に導くのに必須な酵素活性を生じさせる(図11参照)。生理的条件下では、補体系の活性化は可溶性の膜関連制御タンパク質の協調的作用によって効率的に制御されている。これらのタンパク質の1つが、C1s及びC1rに結合するセリンプロテアーゼインヒビターであるC1インヒビター(C1INH)であり、これは古典経路のインヒビターとして現在知られている唯一のものである。さらに、C1INHは、MASP−1及びMASP−2に結合し阻害することで、MBL−仲介性の補体活性化を不活性化することができる。
各種補体経路の活性化は、Wielisaキット(製品番号COMPL300、Wieslab社製、Sweeden)を用いてヒト血清中で測定されることが好ましい。これは市販の酵素免疫測定法であり、3種類の補体経路の各々の検出に特異的で、C5b−C9の沈殿を共通の読取り値(read-out)とする。簡潔には、マイクロタイターストリップのウェルが、3種類の補体経路の各々の特異的活性化因子でコーティングされている。ヒト血清を、それぞれの経路だけが活性化されるように特異的ブロッカーを含む希釈液で希釈する。さらに本発明のC1INH又はその血漿由来対応物を0〜75μmolの濃度範囲で添加し、室温で30分間インキュベートし、ウェルに添加する。その後、ウェル内で希釈ヒト血清を37℃、60分間インキュベートしている間に、特異的なコーティングにより補体が活性化される。その後、ウェルを洗浄し、形成されたC5b−C9を特異的なアルカリホスファターゼ標識抗C5b−C9抗体で検出する。さらなる洗浄ステップの後、アルカリホスファターゼ基質溶液とインキュベートすることで特異的抗体を検出する。補体活性化の量は色の強度に相関し、吸光度で測定される(光学濃度OD)。このキットを用いて、本発明の組換えヒトC1INH(rhC1INH)及び血漿由来C1INH(pdC1INH)がどちらも同様の古典経路阻害能を有することが分かった。しかし、本発明のCIINHは、MBL経路に対して、血漿由来C1INHより約20%高い阻害能を有することが分かった(実施例3参照)。
したがって、この好ましい実施形態では、本発明に使用するためのC1INHのグリコシル化が異なるために、MBPへの親和性が血漿由来対応物よりも高くなり、その結果、より効率的にMBPを阻害し、より効率的にレクチン経路を阻害する。好ましくは、レクチン経路のより効率的な阻害とは、少なくとも5%高い阻害であり、さらにより好ましくは少なくとも10%高い阻害であり、さらにより好ましくは少なくとも15%高い阻害であり、さらにより好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも35%、さらにより好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも45%、さらにより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも55%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも65%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%高い阻害を指す。レクチン経路の活性化は、上述のWielisaキットを用いて測定されることが好ましい。
本発明の方法は、あらゆる種類の虚血及び再灌流障害を予防、軽減又は処置するために適用されてよい。好ましくは本発明の方法は、少なくとも部分的にレクチン経路を介して、より好ましくは主にレクチン経路を介して生じることが分かっている虚血及び再灌流障害に適用される。心筋の虚血及び再灌流障害(J Immunology 2005, 175: 541-546)、腎虚血再灌流障害(Am J Pathol. 2004 165(5):1677-88)胃腸の虚血再灌流障害(J Immunol.2005 15:174(10):6373-80)及び脳卒中(deSimoni et al, 2004 Am J. Pathol. 164:1857-63)については、再灌流障害は主にレクチン経路を介して生じ、古典経路を介して生じることはほとんどないことが示されている。したがって、本発明のC1INHは、天然の血漿由来対応物と比べて、レクチン経路のより強力なインヒビターであることが好ましい。本発明のC1INHは、天然の血漿由来対応物と比較して、人間内におけるより強力なインビボのレクチン経路インヒビターであることが好ましい。
本明細書の実施例で使用される実験モデルと異なり、実生活における虚血の発生は予期されないものであることが多い。したがって、通常、虚血及び/又はその後の再灌流発生前にC1INHを投与するというのは実行可能な選択肢ではなく、必然的に実際のC1INHの投与は虚血及び/又はその後の再灌流の(数時間後とまでいかなくとも)少し後に投与される。しかしこれにより、従来の血漿由来C1INHの治療的有用性が大きく制限されている。なぜなら、従来の血漿由来C1INHは虚血再灌流の後に投与されてもほとんど効果がなく、治療に有効な時間枠が非常に狭いためである(図2及びdeSimoni et al, 2004 Am J. Pathol. 164:1857-63参照)。対照的に、上述の本発明に使用するためのC1INHは、虚血若しくは虚血発症の少なくとも1時間後及び/又は再灌流開始30分後に注射した場合でも神経保護効果を発揮することができる。したがって、虚血及び再灌流障害の予期されない又は予期される発生の少なくとも1つを予防、軽減又は処置する方法の好ましい実施形態では、本発明のC1INHは少なくとも虚血期間の最後又は虚血期間後(すなわち虚血組織が再灌流されているとき)に投与される。本発明のC1INHは、虚血期間後又は再灌流開始後の少なくとも10、15、20、30、45、60、90又は120分後に投与されることがより好ましい。本発明のC1INHは、虚血又は虚血及び/若しくは再灌流の発症から24時間、12時間、6時間、4時間又は3時間以内に投与されることが好ましい。別の好ましい実施形態では、C1インヒビターは、虚血又は虚血及び/若しくは再灌流の発症から少なくとも3時間後、好ましくは少なくとも6時間後、より好ましくは少なくとも9時間後、さらにより好ましくは少なくとも18時間後に投与される。
1つの好ましい実施形態では、本方法は、虚血再灌流の予期されない突発的な又は急性の発生を予防、軽減又は処置するために適用される。虚血再灌流障害の予期されない突発的な又は急性の発生に関連する状態及び障害としては特に制限されないが、急性心筋梗塞(AMI)後、脳卒中(周産期脳卒中を含む)後、出血性ショック後、腸虚血後、経皮経管冠動脈形成術(PCTA)の失敗による緊急冠動脈手術後、血管遮断(例えば、骨格筋虚血につながる大動脈遮断)を伴う任意の血管手術後、又は膵管若しくは胆管処置(ERCP)後の膵炎の後の、虚血再灌流障害等を挙げることができる。そのような場合には、本発明のC1INHを急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中(周産期脳卒中を含む)、出血性ショック、腸虚血、経皮経管冠動脈形成術(PCTA)の失敗による緊急冠動脈手術、血管遮断(例えば、骨格筋虚血につながる大動脈遮断)を伴う任意の血管手術、又は膵管若しくは胆管処置(ERCP)後の膵炎の、少なくとも1、5、10、15、20、30、45、60、90又は120分後に投与することが好ましい。或いは、本発明のC1INHを投与する時間は、再灌流開始の少なくとも1、5、10、15、20、30、45、60、90又は120分後と好ましく定義することもできる。
さらに、予期されない虚血再灌流障害とは、好ましくは治療又は手術により虚血を誘発せずに再灌流が誘発された虚血再灌流障害と定義することができる。そのような治療又は手術としては特に限定されないが、
−薬理学的な血栓溶解(脳卒中、急性冠不全症候群、末梢動脈閉塞、肺動脈塞栓、腎動脈閉塞に対する静脈内療法及び血管内療法を含む)
−物理的な血栓溶解(例えば経皮的冠動脈インターベンション、末梢血管形成術、内臓血管形成術)
−冠動脈バイパス術
−頸動脈血管内膜切除術
−腸間膜虚血
−出血性ショック、心原性ショック、神経原性ショック、アナルフィラキシー(analphylactic)ショックなどのショック
−皮弁の失敗(例えば形成手術)
−指及び肢の再移植
−絞扼性腸
等を挙げることができる。
−薬理学的な血栓溶解(脳卒中、急性冠不全症候群、末梢動脈閉塞、肺動脈塞栓、腎動脈閉塞に対する静脈内療法及び血管内療法を含む)
−物理的な血栓溶解(例えば経皮的冠動脈インターベンション、末梢血管形成術、内臓血管形成術)
−冠動脈バイパス術
−頸動脈血管内膜切除術
−腸間膜虚血
−出血性ショック、心原性ショック、神経原性ショック、アナルフィラキシー(analphylactic)ショックなどのショック
−皮弁の失敗(例えば形成手術)
−指及び肢の再移植
−絞扼性腸
等を挙げることができる。
或いは、別の好ましい実施形態では、本方法は、虚血再灌流の予期される発生を予防、軽減、又は処置するために適用される。虚血再灌流障害の予期される発生としては、治療又は手術により虚血及びその後の再灌流の両方が誘発される状況を好ましく挙げることができる。血流が無くなるか低くなる一時的な期間(すなわち、虚血又は低酸素症)及びその後の再灌流を誘発する治療又は手術として以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
−心肺バイパス
−大動脈瘤や脳動脈瘤などの動脈瘤修復
−手術中にクランプを用いる頸動脈血管内膜切除術
−超低体温循環停止
−止血帯の使用(すなわち外傷時における)
−固形臓器移植
−その他の医原性の血流の乱れ
−心肺バイパス
−大動脈瘤や脳動脈瘤などの動脈瘤修復
−手術中にクランプを用いる頸動脈血管内膜切除術
−超低体温循環停止
−止血帯の使用(すなわち外傷時における)
−固形臓器移植
−その他の医原性の血流の乱れ
さらに、虚血再灌流障害の予期される発生に関連する状態及び疾患としては特に制限されないが、臓器移植(肺、肝臓、腎臓、心臓)後の虚血再灌流障害、血管の遮断(例えば、骨格筋虚血につながる大動脈の遮断)を伴う任意の血管手術後の虚血再灌流障害、膵管若しくは胆管処置(ERCP)後の膵炎後の虚血再灌流障害、体外循環法(ECC)の期間中又は後の虚血再灌流障害等を挙げることができる。
虚血及び再灌流障害の予期される発生の少なくとも1つの予防、軽減又は処置のための方法の好ましい実施形態では、本発明のC1INHは少なくとも虚血期間の最後又は後(すなわち虚血組織が再灌流されているとき)に投与される。本発明のC1INHは、虚血期間の後又は再灌流開始後、少なくとも10、15、20、30、45、60、90又は120分後に投与されることがさらに好ましい。本発明のC1INHは、虚血又は虚血及び/若しくは再灌流発症から24、12、6、4又は3時間後までに投与されることが好ましい。別の好ましい実施形態では、C1インヒビターは、虚血後又は虚血及び/若しくは再灌流発症後少なくとも1時間後、虚血後又は虚血及び/若しくは再灌流発症後少なくとも3時間後、好ましくは少なくとも6時間後、より好ましくは少なくとも9時間後、さらにより好ましくは少なくとも18時間後に投与される。
或いは、本発明の別の態様では、虚血及び再灌流障害の予期される発生の少なくとも1つの予防、軽減又は処置のための方法が提供され、該方法では、虚血及び再灌流の前又は期間中に本発明のC1INHが投与される。本発明のC1INHの血漿中半減期に応じて、可能な限り最良の結果を得るために、本発明のC1INHが投与され得る可能な限り最も早い時点を調節することができると当業者には理解される。
1つの好ましい実施形態によれば、持続投与が必要な対象に及び/又は臓器移植の場合は移植される臓器に本発明のC1INHが持続投与される。移植される臓器は好適な溶媒及び好適な量のC1INHを含む組成物中で保存されることが好ましい。
或いは、又は前述の好ましい実施形態との組合せにおいて、予期される種類の虚血及び再灌流障害の発生の前とは、好ましくは、少なくとも1つの虚血及び再灌流障害の予期される発生の最大で3時間前、好ましくは最大で2時間前、より好ましくは最大で1時間前、最も好ましくは最大で30分前に投与が行われることを意味する。
持続投与が必要な対象とは、虚血及び再灌流障害の予期される発生が起こり得る対象である。虚血及び再灌流障害の予期される発生については既に本明細書に記載した。
虚血及び再灌流障害の予期される発生の前のC1INHの投与は、虚血及び再灌流障害に関連する全てではなくともほとんどのダメージの発生を、虚血及び再灌流障害発生後にC1INHが投与される場合と同様に(より優れてはいなくとも)予防し得るため魅力的である。
より好ましい実施形態では、本方法は、虚血再灌流の予期されない発生に適用される。脳卒中又は周産期脳卒中の後に起こる虚血再灌流障害がさらにより好ましい。虚血再灌流のこれらの種類の予期されない発生において、本発明者らは本発明のC1インヒビターが虚血性ペナンブラで神経保護効果を発揮することを実証した。虚血性ペナンブラとは、好ましくは海馬及び/又は皮質を指す。好ましくは、神経保護効果とは、海馬における虚血発症の3時間後まで、及び皮質における虚血発症の9時間後までに本発明のC1インヒビターで処置した後の海馬及び/又は皮質における神経変性が抑制(counteract)されることを指す。より好ましくは、神経変性は、海馬において4、5、6時間以上まで、及び虚血において10、11、12時間以上まで抑制される。好ましくは、神経変性は実施例2のように評価される。すなわち、神経細胞の変性に特異的なマーカー、好ましくはJade(Schmued LC, et al, 参考文献 4)で脳切片を染色し、蛍光顕微鏡法で解析する。この方法を用いた場合に、神経変性の抑制とは、非処置サンプルと比較して、処置サンプルにおいて可視化される染色された細胞が少なくとも2%少ないことを指す。好ましくは神経変性の抑制とは、染色される細胞が少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%以上少ないことを指す。
或いは、又は前述の実施形態との組合せにおいて、インヒビターを使用することで、虚血及び/又は再灌流により誘発された病変が軽減する。より好ましくは、脳卒中又は周産期脳卒中後に虚血再灌流障害が発生したときに、本発明のC1インヒビターを使用することで梗塞サイズが減少する。さらにより好ましくは、梗塞サイズは実施例2に示すように定量される。さらにより好ましくは、この定量方法を用いた場合に、虚血発症の少なくとも3時間後において、梗塞サイズの少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の減少が達成される。
本発明の方法に使用するためのC1INHは、従来の医薬組成物の一部であってもよいし、それらと併用してもよい。これらの医薬組成物は通常、C1INH及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含有する。これらの医薬組成物は、局所療法又は全身療法のどちらが望ましいか、処置する部位、及び活性化合物の安定性に応じて、複数の方法で投与されてよい。好適な製剤は投与方法によって決まる。医薬組成物は、非経口投与、例えば静脈内、動脈内、皮下、腹腔内若しくは筋肉内への注射若しくは注入、又は髄腔内投与若しくは頭蓋内投与により投与されることが好ましい。好ましい実施形態では、医薬組成物は静脈内注入により投与される。非経口投与に好適な製剤は当該技術分野で公知であり、通常は液剤である。非経口投与のためのC1INH標品は無菌でなければならない。滅菌は、凍結乾燥及び再構成の前又は後に滅菌ろ過膜でろ過することで容易に達成される。C1INH標品は、注入又はボーラス注入により持続的に投与されてもよい。液状C1INH製剤は、例えば注入ポンプにより投与されてもよい。静脈内注入用の典型的な組成物は、100〜500mlの滅菌0.9%NaCl又は5%グルコース(必要に応じて20%アルブミン溶液を添加)と100〜500mgのC1INHとを含むように作製することができる。典型的な筋肉注射用の医薬組成物は、例えば1〜10mlの滅菌緩衝水溶液と1〜250mgの本発明のC1INHとを含むように作製することができる。非経口投与可能な組成物の製造方法は当該技術分野で周知であり、様々な文献にさらに詳細に記載されており、例えばRemington's Pharmaceutical Science (15th ed., Mack Publishing, Easton, PA, 1980)(全ての目的のために、その全体を参照により組み込む)を挙げることができる。
本発明の方法において使用する場合、C1INHの有効量、すなわち有効な濃度及び頻度は、使用する具体的な医薬組成物、状態の重症度及び患者の通常の健康状態によって決定される。一般的に、本発明に使用するためのC1INHに基づく医薬組成物の有効量は、ルーチンな最適化によって決定することができる。好適な出発点は、血漿由来C1INHに基づく同等な医薬組成物に使用されている用量である。本発明の医薬組成物の大きな利点は、高い初期用量で処置に用いることができることであり、それによって処置が成功する可能性が高まる。この高い初期用量は、本発明の医薬組成物中のC1INHのクリアランスが、対応する天然物よりも速いために可能となっている。特に急性症例の処置において、本発明のC1INHの高い初期用量が利点となり得る。この高い初期用量とは、投与され得る対応する天然物の用量の少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、3倍又は4倍であってもよい。
好ましい実施形態では、本発明のC1INHは、個体の体重に対して50、100、200、400、600、800、又は1000U/kgを超える用量で、好ましくは個体の体重に対して50〜2000、100〜1000、200〜800、400〜700又は500〜700U/kgの範囲で静脈内投与される。1ユニット(U)のC1INHとは、ヒトの血液1ミリリットル中に存在するC1INHの量である。そのような1ユニットは、約275マイクログラムの血漿由来C1INHに相当する。分子量を110,000ダルトンとすると、ヒト血漿中のC1INH濃度は2.5マイクロモル毎リットルである(Nuijens et al. (1989), J. Clin. Invest. 84:443)。
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、医薬組成物は、血栓溶解剤をさらに含むか、又は血栓溶解剤と併用して使用されるものであるか若しくは血栓溶解剤による処置の後(after subsequent treatment)に使用されるものである。本願において、血栓溶解剤とは、血餅(血栓)を溶解させて動脈又は静脈を再度開くことのできる薬剤(薬物)を指すと理解される。通常、血栓溶解剤はセリンプロテアーゼであり、プラスミノーゲンをプラスミンに変換し、プラスミンはフィブリノゲン及びフィブリンを分解し、血餅を溶解させる。好ましい血栓溶解剤としては、レテプラーゼ(r-Pa又はRetavase)、アルテプラーゼ(t-PA又はActivase)、ウロキナーゼ(Abbokinase)、プロウロキナーゼ、アニソイル化された精製ストレプトキナーゼ活性化複合体(anisoylated purified streptokinase activator complex)(APSAC)、ストレプトキナーゼ等を挙げることができる。
別の態様、特に米国以外の法域では、本発明は、本明細書で既に記載した任意の方法に従って再灌流障害を予防、軽減又は処置するための医薬の製造のための、本明細書で既に記載した本発明のC1INHの使用に関する。
本明細書及び請求項において、動詞「含む」及びその活用形は、非限定的な意味で使用されており、この語の前の物が含まれつつも、具体的に言及されていない物も排除されないことを意味する。さらに、言及されている要素について、文脈から明らかに要素が1つだけであることが要求されない限り、1つ以上の要素が存在する可能性は排除されない。
実施例
実施例
以前の実験で、虚血期間の初めに投与されたrhC1INH(15U/マウス)の単回投与が、本発明者らの局所脳虚血のモデルマウスにおける虚血から48時間後の評価で、血漿由来C1INHとよく似た様式で、有意に虚血容積を減少させることが示された。本実施例で、本発明者らは、虚血容積及び機能欠損に対するrhC1INHの神経保護活性の有効性の時間枠を調べた。本発明者らは、神経変性及びグリア反応を評価することで7日間の転帰に対するrhC1INHの影響についても実験した。
1. 方法
1.1 一過性局所脳虚血
以前に報告があるように、虚血は中大脳動脈閉塞(MCAO)によって起こる(前述のDe Simoni et al., 2003 and 2004)。麻酔をN2O/O2(70/30%)混合物中の5%イソフルランによって誘導し、同じ混合物中の1.5〜2%イソフルランによって維持した。各動物における血管閉塞の妥当性(adequacy)を確かなものにするために、脳表面に配置して頭蓋骨上に印象材で固定(座標はAP=−1mm、L=−3.5mm)した0.5mmのフレキシブル光ファイバープローブ(Transonic社製、タイプM、直径0.5mm)を用いたレーザードップラー流量計(Transonic社製、BLF−21)により、血流を測定した。簡潔には、右総頸動脈を露出させ、シリコーン処理をしたフィラメント(7−0)を総頸動脈の切開部を通して内頸動脈内に導入し、前大脳動脈とMCAへの分岐部を塞ぐように前大脳動脈へと進めた。血流が虚血前のベースラインに対して70%を超えて減少するまでフィラメントを進めた。虚血30分後、ナイロンフィラメントを慎重に除去して血流を回復させた。
1.1 一過性局所脳虚血
以前に報告があるように、虚血は中大脳動脈閉塞(MCAO)によって起こる(前述のDe Simoni et al., 2003 and 2004)。麻酔をN2O/O2(70/30%)混合物中の5%イソフルランによって誘導し、同じ混合物中の1.5〜2%イソフルランによって維持した。各動物における血管閉塞の妥当性(adequacy)を確かなものにするために、脳表面に配置して頭蓋骨上に印象材で固定(座標はAP=−1mm、L=−3.5mm)した0.5mmのフレキシブル光ファイバープローブ(Transonic社製、タイプM、直径0.5mm)を用いたレーザードップラー流量計(Transonic社製、BLF−21)により、血流を測定した。簡潔には、右総頸動脈を露出させ、シリコーン処理をしたフィラメント(7−0)を総頸動脈の切開部を通して内頸動脈内に導入し、前大脳動脈とMCAへの分岐部を塞ぐように前大脳動脈へと進めた。血流が虚血前のベースラインに対して70%を超えて減少するまでフィラメントを進めた。虚血30分後、ナイロンフィラメントを慎重に除去して血流を回復させた。
1.2 薬物処置
虚血からの様々な時点で、15U/マウスの用量でrhC1INHを150μl又は同体積の生理食塩水をマウスに単回iv注射した:
−虚血期間の初め(rhC1INH−pre)
−虚血期間の終り(rhC1INH−post)
−虚血期間開始1時間後(rhC1INH 1h−post)
この実験で使用したrhC1INHは、乳腺中にヒトC1INHを発現するトランスジェニックウサギを用いて産生し、国際公開第01/57079号パンフレットに記載されているようにして、これらの動物から得られた乳から精製した。
虚血からの様々な時点で、15U/マウスの用量でrhC1INHを150μl又は同体積の生理食塩水をマウスに単回iv注射した:
−虚血期間の初め(rhC1INH−pre)
−虚血期間の終り(rhC1INH−post)
−虚血期間開始1時間後(rhC1INH 1h−post)
この実験で使用したrhC1INHは、乳腺中にヒトC1INHを発現するトランスジェニックウサギを用いて産生し、国際公開第01/57079号パンフレットに記載されているようにして、これらの動物から得られた乳から精製した。
1.3 神経障害の評価
虚血の48時間後に、マウスに固有な2つの神経機能を基準にして各マウスを評価した。評価は、実験条件を知らされていない訓練を受けた研究者が行った。全体障害については、以下のカテゴリーの各々についてマウスに0〜28のスコアを付けた:毛、耳、目、姿勢、自発的活動、てんかん性の行動。局所障害については、以下のカテゴリの各々についてマウスに0〜28のスコア付けた:体の対称性、歩行、クライミング、旋回行動、前肢の対称性、強制旋回、感覚反応。データは中央値及び25パーセンタイル〜75パーセンタイルにて示す。
虚血の48時間後に、マウスに固有な2つの神経機能を基準にして各マウスを評価した。評価は、実験条件を知らされていない訓練を受けた研究者が行った。全体障害については、以下のカテゴリーの各々についてマウスに0〜28のスコアを付けた:毛、耳、目、姿勢、自発的活動、てんかん性の行動。局所障害については、以下のカテゴリの各々についてマウスに0〜28のスコア付けた:体の対称性、歩行、クライミング、旋回行動、前肢の対称性、強制旋回、感覚反応。データは中央値及び25パーセンタイル〜75パーセンタイルにて示す。
1.4 梗塞面積の定量
虚血の48時間後に、マウスにEquitensinで深く麻酔を施し(120μl/マウス、ip)、0.1モル/lのPBS(pH7.4)を30ml、続いてPBS中冷却パラホルムアルデヒド(paraformaldheyde)(4%)を60ml経心臓的に灌流した。頭蓋骨から脳を慎重に取り出し、凍結保護のために、PBS中の30%スクロースに4℃で一晩移した。その後、イソペンタン中に−45℃で3分間浸漬することで脳を急速に凍結し、その後、バイアル中に密封し、使用時まで−70℃で保存した。病変サイズを決定するために、脳の20μmの冠状切片を240μm間隔で連続切断し、ニュートラルレッド(Neutral Red Gurr Certistain、BDH社製、England)で染色した。各薄片について、盲検で梗塞領域を評価し、組織学的染色の相対的薄さにより表した。梗塞領域は、各切片の対側半球の領域から同側半球中の健康組織の領域を引くことで決定した。梗塞体積は、コンピュータ支援画像分析機で定量して分析画像システム(Analytical Image System)で算出した各脳薄片の梗塞領域を統合することで算出した。
虚血の48時間後に、マウスにEquitensinで深く麻酔を施し(120μl/マウス、ip)、0.1モル/lのPBS(pH7.4)を30ml、続いてPBS中冷却パラホルムアルデヒド(paraformaldheyde)(4%)を60ml経心臓的に灌流した。頭蓋骨から脳を慎重に取り出し、凍結保護のために、PBS中の30%スクロースに4℃で一晩移した。その後、イソペンタン中に−45℃で3分間浸漬することで脳を急速に凍結し、その後、バイアル中に密封し、使用時まで−70℃で保存した。病変サイズを決定するために、脳の20μmの冠状切片を240μm間隔で連続切断し、ニュートラルレッド(Neutral Red Gurr Certistain、BDH社製、England)で染色した。各薄片について、盲検で梗塞領域を評価し、組織学的染色の相対的薄さにより表した。梗塞領域は、各切片の対側半球の領域から同側半球中の健康組織の領域を引くことで決定した。梗塞体積は、コンピュータ支援画像分析機で定量して分析画像システム(Analytical Image System)で算出した各脳薄片の梗塞領域を統合することで算出した。
1.5 オープンフィールド試験
虚血の7日後に、マウスの行動をオープンフィールド試験により評価した。この試験は、長期虚血マウスの不安行動及び探索行動、並びに自発運動活性(locomor activity)の有用な試験となり得る。オープンフィールドは、4つの異なる物体を含むプラスチック製ボックス(41×41×41cm)からなる。オープンフィールド領域は、28×28cmの中心ゾーンとそれを囲む周辺ゾーン(border zone)に分けた。マウスを個別にオープンフィールドの中心に置き、実験条件を知らされていない研究者がその行動を5分間観察した。内部横断(inside crossing)(主に不安行動に関係)、外部横断(outside crossing)(主に自発運動に関係)、立ち上がり行動(主に探索行動に関係)、及び物体との接触(主に感覚/自発的行動に関係)の回数を数えた。
虚血の7日後に、マウスの行動をオープンフィールド試験により評価した。この試験は、長期虚血マウスの不安行動及び探索行動、並びに自発運動活性(locomor activity)の有用な試験となり得る。オープンフィールドは、4つの異なる物体を含むプラスチック製ボックス(41×41×41cm)からなる。オープンフィールド領域は、28×28cmの中心ゾーンとそれを囲む周辺ゾーン(border zone)に分けた。マウスを個別にオープンフィールドの中心に置き、実験条件を知らされていない研究者がその行動を5分間観察した。内部横断(inside crossing)(主に不安行動に関係)、外部横断(outside crossing)(主に自発運動に関係)、立ち上がり行動(主に探索行動に関係)、及び物体との接触(主に感覚/自発的行動に関係)の回数を数えた。
1.6 神経細胞の計数
虚血の7日後に、マウスを前述のように経心臓的に灌流した。神経細胞の数は、脳の20μmの冠状切片を640μm間隔で連続切断し、クレシルバイオレット(クレシルバイオレット酢酸、Sigma社製、St. Louis、MO)で染色して決定した。同側半球及び対側半球の3つの20μm切片を神経細胞の計数のために選択した。第1の切片はブレグマからの定位座標前後方向+0.86のものである。神経細胞の消失量は、両半球の3つの切片で生存する神経細胞の数をプールすることで算出し、体側半球の百分率で示した。Soft Imaging System社製のColorviewビデオカメラとAnalySISソフトウェアとにインターフェースで連結されたオリンパス社製BX61顕微鏡を用いた。定量分析は、40倍の倍率で、処置について知らされていない研究者が行った。
虚血の7日後に、マウスを前述のように経心臓的に灌流した。神経細胞の数は、脳の20μmの冠状切片を640μm間隔で連続切断し、クレシルバイオレット(クレシルバイオレット酢酸、Sigma社製、St. Louis、MO)で染色して決定した。同側半球及び対側半球の3つの20μm切片を神経細胞の計数のために選択した。第1の切片はブレグマからの定位座標前後方向+0.86のものである。神経細胞の消失量は、両半球の3つの切片で生存する神経細胞の数をプールすることで算出し、体側半球の百分率で示した。Soft Imaging System社製のColorviewビデオカメラとAnalySISソフトウェアとにインターフェースで連結されたオリンパス社製BX61顕微鏡を用いた。定量分析は、40倍の倍率で、処置について知らされていない研究者が行った。
1.7 アストロサイト及びミクログリアの免疫組織化学
虚血の7日後に、経心臓的に灌流した虚血マウスの厚さ20μmの冠状切片を作製し、アストロサイト及びミクログリア/マクロファージ免疫染色の評価に用いた。簡潔には、切片をPBS(0.1モル/L)中の0.4%トリトンX100で30分間すすぎ、続いてPBS中の0.1%トリトンX100及び3%正常ヤギ血清(NGS)で15分すすいだ。その後、アストロサイト及びミクログリアに対する抗体(抗GFAP抗体1:1500、Chemicon社製;抗CD11b抗体1:250、Dr. A. Doni, Mario Negri Instituteの好意により寄贈された)と一緒に切片を一晩インキュベートした。次の日、PBSで切片を洗浄し、ビオチン化2次抗体と一緒に1時間インキュベートし、洗浄し、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼと一緒にインキュベートした。3’−3−ジアミノベンジジン四塩酸塩と反応させた後、光学顕微鏡解析の前に、切片を洗浄し、乾燥させ、段階希釈アルコール(graded alcohol)で脱水し、キシレンで固定し、DPX mountantを用いてカバーガラスに封入した。
虚血の7日後に、経心臓的に灌流した虚血マウスの厚さ20μmの冠状切片を作製し、アストロサイト及びミクログリア/マクロファージ免疫染色の評価に用いた。簡潔には、切片をPBS(0.1モル/L)中の0.4%トリトンX100で30分間すすぎ、続いてPBS中の0.1%トリトンX100及び3%正常ヤギ血清(NGS)で15分すすいだ。その後、アストロサイト及びミクログリアに対する抗体(抗GFAP抗体1:1500、Chemicon社製;抗CD11b抗体1:250、Dr. A. Doni, Mario Negri Instituteの好意により寄贈された)と一緒に切片を一晩インキュベートした。次の日、PBSで切片を洗浄し、ビオチン化2次抗体と一緒に1時間インキュベートし、洗浄し、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼと一緒にインキュベートした。3’−3−ジアミノベンジジン四塩酸塩と反応させた後、光学顕微鏡解析の前に、切片を洗浄し、乾燥させ、段階希釈アルコール(graded alcohol)で脱水し、キシレンで固定し、DPX mountantを用いてカバーガラスに封入した。
2. 結果
2.1 効果の時間枠
2.1.1 神経障害の評価
虚血の48時間後に、rhC1INH又は生理食塩水を受けた虚血マウスにおける神経障害を評価した。生理食塩水処置した虚血マウスと比較して、rhC1INH処置マウスは全ての群で、有意ではないがわずかな減少が観察された(rhC1INH−pre:9及び12;rhC1INH−post:7及び11;rhC1INH 1h−post:
9及び13、生理食塩水:10及び12.5、それぞれ全体障害及び局所障害の中央値)(データ示さず)。
2.1 効果の時間枠
2.1.1 神経障害の評価
虚血の48時間後に、rhC1INH又は生理食塩水を受けた虚血マウスにおける神経障害を評価した。生理食塩水処置した虚血マウスと比較して、rhC1INH処置マウスは全ての群で、有意ではないがわずかな減少が観察された(rhC1INH−pre:9及び12;rhC1INH−post:7及び11;rhC1INH 1h−post:
9及び13、生理食塩水:10及び12.5、それぞれ全体障害及び局所障害の中央値)(データ示さず)。
2.1.2 梗塞サイズの評価
虚血の48時間後に、生理食塩水処置マウス(41.51±7.01mm3)と比較して、rhC1INH処置マウスは、用量15U/マウス、−pre、−post、及び1h−postにおいて虚血容積の大幅な減少を示した(それぞれ13.67±2.59mm3、9.06±0.77mm3及び8.24±1.00mm3)(図1、データは平均値±SEMで表す)。
虚血の48時間後に、生理食塩水処置マウス(41.51±7.01mm3)と比較して、rhC1INH処置マウスは、用量15U/マウス、−pre、−post、及び1h−postにおいて虚血容積の大幅な減少を示した(それぞれ13.67±2.59mm3、9.06±0.77mm3及び8.24±1.00mm3)(図1、データは平均値±SEMで表す)。
2.2 7日間の転帰
2.2.1 オープンフィールド試験
虚血は、虚血処置していない動物と比較して、立ち上がり行動の回数を有意に減少させたが、rhC1INH処置群ではこのパラメータは非虚血マウスと変わらなかった。評価したその他のパラメータについては、3つの群で差はなかった。
2.2.1 オープンフィールド試験
虚血は、虚血処置していない動物と比較して、立ち上がり行動の回数を有意に減少させたが、rhC1INH処置群ではこのパラメータは非虚血マウスと変わらなかった。評価したその他のパラメータについては、3つの群で差はなかった。
2.2.2 神経細胞の計数
rhC1INHの保護効果が長く続くかを評価するために、虚血誘発及び薬物処置の7日後の神経細胞の喪失を評価した。その結果、生理食塩水処置マウスの平均が14%±2.18%であるに対し、rhC1INH処置マウスの平均は4%±1.24%(データ示さず)であり、この時点においてもまだrhC1INHの保護効果があることが示された。
rhC1INHの保護効果が長く続くかを評価するために、虚血誘発及び薬物処置の7日後の神経細胞の喪失を評価した。その結果、生理食塩水処置マウスの平均が14%±2.18%であるに対し、rhC1INH処置マウスの平均は4%±1.24%(データ示さず)であり、この時点においてもまだrhC1INHの保護効果があることが示された。
2.2.3 ミクログリア/マクロファージ及びアストロサイトの免疫組織化学
虚血の7日後に、生理食塩水を受けた虚血マウスの損傷を受けた海馬及び線条体において、活性化されたミクログリア及び浸潤されたマクロファージが大量に観察された(データ示さず)。15ユニットのrhC1INH−preにより、検討したこれら両部分において、この活性化及び浸潤を抑制(counteract)することができた(データ示さず)。
虚血の7日後に、生理食塩水を受けた虚血マウスの損傷を受けた海馬及び線条体において、活性化されたミクログリア及び浸潤されたマクロファージが大量に観察された(データ示さず)。15ユニットのrhC1INH−preにより、検討したこれら両部分において、この活性化及び浸潤を抑制(counteract)することができた(データ示さず)。
生理食塩水処置した虚血マウスの同側海馬は、アストロサイトのわずかな増加を示し、これはrhC1INH処置した虚血マウスにおける観察結果と変わらなかった(データ示さず)。脳のその他の領域では、どちらの群においても、関連するアストロサイト活性化は見られなかった。
3. 結論
本発明のデータは、用量15U/マウスのrhC1INHが、虚血期間の開始時(−pre)に与えられた場合と虚血期間の最後(−post、すなわち再灌流時)に与えられた場合とで、虚血容積を減少させるのに同様に有効であることを示している。もっと重要なことは、このインヒビターが、虚血発症の1時間後(1h−post)に注射されたときでも神経保護効果を発揮することができるということである。その上、rhC1INHの保護作用は虚血の7日後でも存在する。これらの結果は、血漿由来hC1INHと著しい対照を成しており、血漿由来hC1INHは虚血の1時間後に注射された場合、その神経保護効果を発揮する能力をほとんど完全に失っていた(図2参照)。
本発明のデータは、用量15U/マウスのrhC1INHが、虚血期間の開始時(−pre)に与えられた場合と虚血期間の最後(−post、すなわち再灌流時)に与えられた場合とで、虚血容積を減少させるのに同様に有効であることを示している。もっと重要なことは、このインヒビターが、虚血発症の1時間後(1h−post)に注射されたときでも神経保護効果を発揮することができるということである。その上、rhC1INHの保護作用は虚血の7日後でも存在する。これらの結果は、血漿由来hC1INHと著しい対照を成しており、血漿由来hC1INHは虚血の1時間後に注射された場合、その神経保護効果を発揮する能力をほとんど完全に失っていた(図2参照)。
本研究の主な結果は以下の通りである。
1.マウス血漿中におけるrhC1INHの半減期は、(用量15U/マウスにおいて)約3時間である。抗原と機能的活性が良く相関しており、これは組換えタンパク質が活性型でのみ血漿中を循環していることを示している。組織分布が血漿レベルの減少に寄与した可能性もある。
1.マウス血漿中におけるrhC1INHの半減期は、(用量15U/マウスにおいて)約3時間である。抗原と機能的活性が良く相関しており、これは組換えタンパク質が活性型でのみ血漿中を循環していることを示している。組織分布が血漿レベルの減少に寄与した可能性もある。
2.rhC1INHは、用量15U/マウス、−preにおいて、虚血容積を非常に効果的に減少させる(69%の減少)。
3.用量15U/マウスのrhC1INHは、Fluoro-Jade染色による評価で、海馬中の変性している神経細胞の数を明確に減少させることができ、これは、虚血容積の減少が神経細胞のスペアリング(sparing)によるものであることを示している。
4.rhC1INHは、虚血期間の開始時(−pre)、虚血期間の最後(−post、すなわち再灌流時)、又は虚血発症1時間後(1h−post、すなわち再灌流の開始から30分後)に与えられたとき、虚血容積を減少させるのに同様に有効である。したがって、虚血の1時間後に与えられたときには既に有効でないpdC1INHよりも、rhC1INHは有効性の時間枠が広い。
5.虚血開始の7日後に行った神経細胞の計数により示されているように、rhC1INH−pre投与の神経保護効果は長時間続く。
6.rhC1INHは、虚血から48時間後の評価で、全体及び局所障害のわずかな改善を誘発した。この知見は、pdC1INHにおける観察結果と同様である。長期間の行動の転帰に対するrhC1INHの影響を評価するため、オープンフィールド試験によりマウスの行動を分析した。虚血の7日後における虚血マウスの立上がり行動のスコアは、虚血処置していないマウスと比較して有意に低い。rhC1INH処置マウスではこの低下は見られず、スコアは対照マウスと変わらなかった。
7.rhC1INHは、早期(48時間)及び後期(7日目)における評価で、虚血マウス脳におけるミクログリア/マクロファージの活性化/リクルートを抑制することができる。これらの細胞は脳組織の炎症反応の指標である。
8.48時間目において虚血により誘導される強いアストロサイト反応がrhC1INHによって弱められる。アストロサイト活性化が両実験群において7日目に顕著に低下し、生理食塩水処置マウスとrhC1INH処置マウスとの間で差は見られなかった。
局所脳虚血のモデルマウスにおけるrhC1−INHの神経保護作用の研究
本研究者らは、15UのrhC1−INHが、マウス脳虚血/再灌流のモデルにおいて、虚血/再灌流発症の1時間後に投与された場合であっても顕著な神経保護作用を有する(これは処置後のこのような時間においてはもはや効果をもたないpdC1−ENHとは異なる)ことを以前に実証している。この神経保護は長時間続き、実際、rhC1−INHで処置したマウス虚血脳は、虚血及び処置の7日後においてもまだ梗塞サイズの減少を示す。以下の実験で、本発明者らは、虚血容積に対するrhC1−INHの神経保護活性について、その有効性の時間枠(1時間後を超える)及び用量反応を決定する。さらに、本発明者らは同じプロトコールを用いて、pdC1−INH、ウサギrhC1−INH及びウシrhC1−INH間で(ウサギrhC1−INHの最も効果的な量及び時点において)直接比較を行った。
本研究者らは、15UのrhC1−INHが、マウス脳虚血/再灌流のモデルにおいて、虚血/再灌流発症の1時間後に投与された場合であっても顕著な神経保護作用を有する(これは処置後のこのような時間においてはもはや効果をもたないpdC1−ENHとは異なる)ことを以前に実証している。この神経保護は長時間続き、実際、rhC1−INHで処置したマウス虚血脳は、虚血及び処置の7日後においてもまだ梗塞サイズの減少を示す。以下の実験で、本発明者らは、虚血容積に対するrhC1−INHの神経保護活性について、その有効性の時間枠(1時間後を超える)及び用量反応を決定する。さらに、本発明者らは同じプロトコールを用いて、pdC1−INH、ウサギrhC1−INH及びウシrhC1−INH間で(ウサギrhC1−INHの最も効果的な量及び時点において)直接比較を行った。
方法
動物
動物及び動物の世話に関する手順は、国内の法律及び政策(D.L. n.116, G.U. suppl. 40, 18 February 1992)並びに国際法及び国際政策(EEC Council Directive 86/609, OJ L 358,1; Dec.12,1987; NIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animals, U.S. National Research Council 1996)に準拠した施設ガイドラインに沿って行った。C57B1/6雄マウス(26〜28g、Charles River、Calco, Italy)を1ケージ当たり5頭収容し、一定の温度(21±1℃)及び相対湿度(60%)下で、規則的な明暗スケジュール(7am〜7pm)に置いた。飼料(マウス用のAltromin社製固形飼料)及び水は適宜与えられた。
動物
動物及び動物の世話に関する手順は、国内の法律及び政策(D.L. n.116, G.U. suppl. 40, 18 February 1992)並びに国際法及び国際政策(EEC Council Directive 86/609, OJ L 358,1; Dec.12,1987; NIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animals, U.S. National Research Council 1996)に準拠した施設ガイドラインに沿って行った。C57B1/6雄マウス(26〜28g、Charles River、Calco, Italy)を1ケージ当たり5頭収容し、一定の温度(21±1℃)及び相対湿度(60%)下で、規則的な明暗スケジュール(7am〜7pm)に置いた。飼料(マウス用のAltromin社製固形飼料)及び水は適宜与えられた。
一過性局所脳虚血
以前に記載されている通りに、中大脳動脈閉塞(MCAO)によって虚血を生じさせた1、3。麻酔を、NaO/Oa(70/30%)混合物中の5%イソフルランによって誘導し、同じ混合物中の1.5〜2%イソフルランによって維持した。各動物における血管閉塞の妥当性を確かなものにするために、脳表面に配置して頭蓋骨上に印象材で固定(座標はAP=−1mm、L=−3.5mm)した0.5mmのフレキシブル光ファイバープローブ(Transonic社製、タイプM、直径0.5mm)を用いたレーザードップラー流量計(Transonic社製、BLF−21)により、血流を測定した。簡潔には、右総頸動脈を露出させ、シリコーン処理をしたフィラメント(7−0)を総頸動脈の切開部を通して内頸動脈内に導入し、前大脳動脈とMCAへの分岐部を塞ぐように前大脳動脈へと進めた。血流が虚血前のベースラインに対して70%を超えて減少するまでフィラメントを進めた。虚血から30分後に、ナイロンフィラメントを慎重に除去して血流を回復させた。
以前に記載されている通りに、中大脳動脈閉塞(MCAO)によって虚血を生じさせた1、3。麻酔を、NaO/Oa(70/30%)混合物中の5%イソフルランによって誘導し、同じ混合物中の1.5〜2%イソフルランによって維持した。各動物における血管閉塞の妥当性を確かなものにするために、脳表面に配置して頭蓋骨上に印象材で固定(座標はAP=−1mm、L=−3.5mm)した0.5mmのフレキシブル光ファイバープローブ(Transonic社製、タイプM、直径0.5mm)を用いたレーザードップラー流量計(Transonic社製、BLF−21)により、血流を測定した。簡潔には、右総頸動脈を露出させ、シリコーン処理をしたフィラメント(7−0)を総頸動脈の切開部を通して内頸動脈内に導入し、前大脳動脈とMCAへの分岐部を塞ぐように前大脳動脈へと進めた。血流が虚血前のベースラインに対して70%を超えて減少するまでフィラメントを進めた。虚血から30分後に、ナイロンフィラメントを慎重に除去して血流を回復させた。
薬物処置
虚血からの様々な時点で様々な用量のC1−INH(ウサギrhC1−INH、ウシrhC1−INH又はpdC1−INH)をマウスに単回iv注射した。対照マウスは同体積の生理食塩水を受けた。
虚血からの様々な時点で様々な用量のC1−INH(ウサギrhC1−INH、ウシrhC1−INH又はpdC1−INH)をマウスに単回iv注射した。対照マウスは同体積の生理食塩水を受けた。
神経障害の評価
虚血の48時間後に、マウスに固有な2つの神経機能を基準にして各マウスを評価した。評価は、実験条件を知らされていない訓練を受けた研究者が行った。全体障害については、以下のカテゴリーの各々についてマウスに0〜28のスコアを付けた:毛、耳、目、姿勢、自発的活動、てんかん性の行動。局所障害については、以下のカテゴリーの各々についてマウスに0〜28のスコアを付けた:体の対称性、歩行、クライミング、旋回行動、前肢の対称性、強制旋回、感覚反応.データは中央値及びパーセンタイルで示す。
虚血の48時間後に、マウスに固有な2つの神経機能を基準にして各マウスを評価した。評価は、実験条件を知らされていない訓練を受けた研究者が行った。全体障害については、以下のカテゴリーの各々についてマウスに0〜28のスコアを付けた:毛、耳、目、姿勢、自発的活動、てんかん性の行動。局所障害については、以下のカテゴリーの各々についてマウスに0〜28のスコアを付けた:体の対称性、歩行、クライミング、旋回行動、前肢の対称性、強制旋回、感覚反応.データは中央値及びパーセンタイルで示す。
梗塞サイズの定量
虚血の48時間後に、Equitensin(120jil/マウス、ip)でマウスに深く麻酔を施し、0.1モル/lのPBS(pH7.4)を30ml、続いて冷却PBS中パラホルムアルデヒド(paraformaldheyde)(4%)を60ml経心臓的に灌流した。頭蓋骨から脳を慎重に取り出し、凍結保護のために、PBS中の30%スクロースに4℃で一晩移した。その後、イソペンタン中に−45℃で3分間浸漬することで脳を急速に凍結し、その後バイアル中に密封し、使用時まで−70℃で保存した。病変サイズの決定については、脳の20μmの冠状切片を240(j,m間隔で連続切断し、ニュートラルレッド(Neutral Red Gurr Certistain、BDH社製、England)で染色した。各薄片について、盲検で梗塞領域を評価し、組織学的染色の相対的薄さにより表した。梗塞領域は、各切片の対側半球の領域から同側半球中の健康組織の領域を引くことで決定した。梗塞体積は、コンピュータ支援画像分析機で定量して分析画像システムで算出した各脳薄片の梗塞領域を統合することで算出した。
虚血の48時間後に、Equitensin(120jil/マウス、ip)でマウスに深く麻酔を施し、0.1モル/lのPBS(pH7.4)を30ml、続いて冷却PBS中パラホルムアルデヒド(paraformaldheyde)(4%)を60ml経心臓的に灌流した。頭蓋骨から脳を慎重に取り出し、凍結保護のために、PBS中の30%スクロースに4℃で一晩移した。その後、イソペンタン中に−45℃で3分間浸漬することで脳を急速に凍結し、その後バイアル中に密封し、使用時まで−70℃で保存した。病変サイズの決定については、脳の20μmの冠状切片を240(j,m間隔で連続切断し、ニュートラルレッド(Neutral Red Gurr Certistain、BDH社製、England)で染色した。各薄片について、盲検で梗塞領域を評価し、組織学的染色の相対的薄さにより表した。梗塞領域は、各切片の対側半球の領域から同側半球中の健康組織の領域を引くことで決定した。梗塞体積は、コンピュータ支援画像分析機で定量して分析画像システムで算出した各脳薄片の梗塞領域を統合することで算出した。
神経変性の評価
神経細胞の変性のマーカーであるFluoro-Jade4を用いた染色により、厚さ20jamの切片上で神経変性の有無を評価した。簡潔には、切片を乾燥させ、蒸留水及びエタノール(100%〜75%)中で再水和した。次いで、切片を0.06%過マンガン酸カリウム中で15分間インキュベートし、蒸留水で洗浄し、0.001%Fluoro-Jade染色液に30分間移した。染色後、蛍光顕微鏡解析の前に、切片を蒸留水ですすぎ、乾燥させ、キシレンに浸漬し、DPX mountant(BDH, Poole, UK)を用いてカバーガラスに封入した。
神経細胞の変性のマーカーであるFluoro-Jade4を用いた染色により、厚さ20jamの切片上で神経変性の有無を評価した。簡潔には、切片を乾燥させ、蒸留水及びエタノール(100%〜75%)中で再水和した。次いで、切片を0.06%過マンガン酸カリウム中で15分間インキュベートし、蒸留水で洗浄し、0.001%Fluoro-Jade染色液に30分間移した。染色後、蛍光顕微鏡解析の前に、切片を蒸留水ですすぎ、乾燥させ、キシレンに浸漬し、DPX mountant(BDH, Poole, UK)を用いてカバーガラスに封入した。
結果
一過性虚血における有効性の時間枠
有効性の時間枠を評価するために、虚血の開始から3、6、9、18及び24時間目に、15UのウサギrhC1−INH又は生理食塩水を与えた。48時間後、虚血発症の3及び6時間後にウサギrhC1−INHで処置した虚血マウスは、生理食塩水で処置した虚血マウス(44.43±5.94mm3)と比較して、虚血容積の顕著な減少を示した(それぞれ、11.71±0.63mm3及び20.38±2.37mm3)。ウサギrhC1−INHは、虚血の9及び18時間後に投与された場合も、少し効果は低いものの有効であった(それぞれ23.63±4.11mm3及び27.13±2.58mm3)。虚血の24時間後では、インヒビターはその有益な作用を失っていた(41.92±2.76mm3)。(図3)。Fluoro-Jade染色で、生理食塩水処置マウスの線条体皮質及び海馬において神経変性が起こっていることが示された。rhC1−INHを早い時点で投与した場合、海馬(3時間まで)及び皮質(9時間まで)における神経変性を抑制することができた。マウスを虚血の6及び9時間後にこのインヒビターで処置した場合、海馬内に変性している神経細胞がいくらか観察された。虚血容積がより大きい、処置のより遅い時点(18及び24時間)では、Fluoro-Jade染色は、皮質内に神経変性を起こしている神経細胞が存在することを示していた。検討した全ての時点において、線条体は、生理食塩水処置動物及びrhC1−INH処置動物の両方で、広範囲な神経変性を示した(図5、6及び7)。各動物について、実験条件について知らされていない研究者によるFluoro-Jade染色の半定量的評価を行った(図4)。
一過性虚血における有効性の時間枠
有効性の時間枠を評価するために、虚血の開始から3、6、9、18及び24時間目に、15UのウサギrhC1−INH又は生理食塩水を与えた。48時間後、虚血発症の3及び6時間後にウサギrhC1−INHで処置した虚血マウスは、生理食塩水で処置した虚血マウス(44.43±5.94mm3)と比較して、虚血容積の顕著な減少を示した(それぞれ、11.71±0.63mm3及び20.38±2.37mm3)。ウサギrhC1−INHは、虚血の9及び18時間後に投与された場合も、少し効果は低いものの有効であった(それぞれ23.63±4.11mm3及び27.13±2.58mm3)。虚血の24時間後では、インヒビターはその有益な作用を失っていた(41.92±2.76mm3)。(図3)。Fluoro-Jade染色で、生理食塩水処置マウスの線条体皮質及び海馬において神経変性が起こっていることが示された。rhC1−INHを早い時点で投与した場合、海馬(3時間まで)及び皮質(9時間まで)における神経変性を抑制することができた。マウスを虚血の6及び9時間後にこのインヒビターで処置した場合、海馬内に変性している神経細胞がいくらか観察された。虚血容積がより大きい、処置のより遅い時点(18及び24時間)では、Fluoro-Jade染色は、皮質内に神経変性を起こしている神経細胞が存在することを示していた。検討した全ての時点において、線条体は、生理食塩水処置動物及びrhC1−INH処置動物の両方で、広範囲な神経変性を示した(図5、6及び7)。各動物について、実験条件について知らされていない研究者によるFluoro-Jade染色の半定量的評価を行った(図4)。
一過性虚血における用量反応
ヒトの遺伝性血管浮腫に対して用いるC1−INHの用量が本発明者らがマウスの脳卒中に対して用いた用量より少ないことから、本発明者らの虚血モデルにおいて用いる用量を少なくした。以前の実験結果に基づき、3h post処置を用量反応実験に選んだ。虚血及び再灌流の発症3時間後に、異なる用量のウサギrhC1−INH(5及び10ユニット)を与えた。10U/マウスの用量でもまだ虚血容積を減少させるのに有効であった(22.10±3.65mm3)が、一方、5UのウサギrhC1−INHでは脳のダメージの程度は変わらなかった(47.39±4.08mm3)。これらのデータは、ウサギrhC1−INHが虚血病変を用量依存的に変え得ることを示している(図8)。
ヒトの遺伝性血管浮腫に対して用いるC1−INHの用量が本発明者らがマウスの脳卒中に対して用いた用量より少ないことから、本発明者らの虚血モデルにおいて用いる用量を少なくした。以前の実験結果に基づき、3h post処置を用量反応実験に選んだ。虚血及び再灌流の発症3時間後に、異なる用量のウサギrhC1−INH(5及び10ユニット)を与えた。10U/マウスの用量でもまだ虚血容積を減少させるのに有効であった(22.10±3.65mm3)が、一方、5UのウサギrhC1−INHでは脳のダメージの程度は変わらなかった(47.39±4.08mm3)。これらのデータは、ウサギrhC1−INHが虚血病変を用量依存的に変え得ることを示している(図8)。
10UのrhC1−INHで処置したマウスでは、Fluoro-Jade染色で示されたように、神経変性している神経細胞が線条体においていくらか観察されたが、海馬及び皮質では観察されなかった。一方、5UのrhC1−INHで処置した虚血マウスは、線条体皮質で大きな神経変性を呈していた(示さず)。
全体神経障害及び局所神経障害は、有効性の時間枠又は用量反応実験のどちらにおいても有意な差を示さなかった(示さず)。
(ウサギ及びウシからの)pdC1−INH及びrhC1−INHの影響の比較
pdC1−INHについての本発明者らの以前のデータは、異なる一過性脳虚血モデルを用いて得られたものである。pdC1−INH、ウシrhC1−INH及びウサギrhC1−INHを直接比較するために、これらの化合物を同じ実験プロトコール(シリコーンコーティングしたフィラメント)で虚血を誘発したマウスに与えた。インヒビターは虚血発症3時間後に15U/マウスの用量で投与された。
pdC1−INHについての本発明者らの以前のデータは、異なる一過性脳虚血モデルを用いて得られたものである。pdC1−INH、ウシrhC1−INH及びウサギrhC1−INHを直接比較するために、これらの化合物を同じ実験プロトコール(シリコーンコーティングしたフィラメント)で虚血を誘発したマウスに与えた。インヒビターは虚血発症3時間後に15U/マウスの用量で投与された。
予想された通り、pdC1−INHはこの時点では神経保護作用を発揮できなかった(47.39±4.08mm3)。予想と異なり、ウサギrhC1−INH処置マウスより程度は低いものの、ウシrhC1−INH処置虚血マウスでは、生理食塩水処置マウスと比較して有意に虚血容積が減少していた(図9)。驚くべきことに、ウシrhC1−INHは全体障害及び局所障害の両方を有意に改善した(図10)。
Fluoro-Jade染色により、pdC1−INHで処置した虚血マウスの脳の検討した全て
の領域(皮質、線条体及び海馬)において大きな神経変性が示された。ウシrhC1−INH処置マウスの脳を染色した結果、マウス6頭のうち3頭で皮質及び海馬における顕著な神経変性が観察され、他の3頭では神経変性はごくわずかにしか存在していなかったことから、皮質及び海馬における様々なレベルの神経変性が示された。線条体は、マウス6頭中6頭で広範囲なFluoro-Jade染色を呈した。
の領域(皮質、線条体及び海馬)において大きな神経変性が示された。ウシrhC1−INH処置マウスの脳を染色した結果、マウス6頭のうち3頭で皮質及び海馬における顕著な神経変性が観察され、他の3頭では神経変性はごくわずかにしか存在していなかったことから、皮質及び海馬における様々なレベルの神経変性が示された。線条体は、マウス6頭中6頭で広範囲なFluoro-Jade染色を呈した。
コメント
本研究の最も関心のあるデータは、ウサギrhC1−INHの有効性の時間枠である。虚血から3時間後には既に神経保護効果を失ってしまっているpdC1−INHとは異なり、用量15U/マウスのウサギrhC1−INHは、虚血発症の18時間後まで虚血容積を有意に減少させることができた。この驚くべき特徴により、rhC1−INHはヒトの脳卒中治療のための候補となり得る。pdC1−INHとrhC1−INHの効果が異なるのは、2つの分子のグリコシル化が異なるために、rhC1−INHのマンノース結合タンパク質(MBP)への親和性が、血漿由来のものと比較して高くなっているからであると考えられる。MBPに結合することで、rhC1−MHは心臓、腎臓及び胃腸の虚血/再灌流におけるダメージの原因に関与する補体レクチン経路を阻害する7,9。このほとんど特徴解析されていない経路の脳虚血における役割はまだ分かっておらず、rhC1−INHによる神経保護のメカニズムを明らかにするためにはさらなる実験が必要である。
本研究の最も関心のあるデータは、ウサギrhC1−INHの有効性の時間枠である。虚血から3時間後には既に神経保護効果を失ってしまっているpdC1−INHとは異なり、用量15U/マウスのウサギrhC1−INHは、虚血発症の18時間後まで虚血容積を有意に減少させることができた。この驚くべき特徴により、rhC1−INHはヒトの脳卒中治療のための候補となり得る。pdC1−INHとrhC1−INHの効果が異なるのは、2つの分子のグリコシル化が異なるために、rhC1−INHのマンノース結合タンパク質(MBP)への親和性が、血漿由来のものと比較して高くなっているからであると考えられる。MBPに結合することで、rhC1−MHは心臓、腎臓及び胃腸の虚血/再灌流におけるダメージの原因に関与する補体レクチン経路を阻害する7,9。このほとんど特徴解析されていない経路の脳虚血における役割はまだ分かっておらず、rhC1−INHによる神経保護のメカニズムを明らかにするためにはさらなる実験が必要である。
虚血発症後の時間枠における、pdC1INHよりも優れたrhC1INHの神経保護効果は、細胞表面抗原への結合及び/又は組織へのより効率的な浸透のいずれかによる、組織損傷部位への組換え分子のより効率的なターゲティングによるものであるとさらに説明できるかも知れない。本発明に記載した観察結果の基礎となる正確な分子メカニズムを完全に解明するにはさらなる研究が必要である。
Fluoro-Jade染色からは、時間によって病変がどのように発達するかについての間接的な証拠が得られる。rhC1−INHによる早期処置は、虚血性ペナンブラ(海馬及び皮質)を完全に救出する。処置(投与)が遅くなるほど、ペナンブラ中でより多くの神経細胞が変性する。これらの知見は、rhC1−INHが虚血性ペナンブラに神経保護作用を発揮することを確認するものである。ウサギrhC1−INHは用量依存的に虚血容積を減少させることができる。有効性の時間枠の実験で用いたrhC1−INHの最も効果的な用量(15U/マウス、約600U/kgに相当)は、ヒトの遺伝性血管浮腫に使用されるもの(約25〜100U/kg)より非常に大きい。より低い用量でも神経変性及び虚血性梗塞を減少させるのに有効であるかを検証するために、用量反応実験を行った。その結果、400U/kg(l0U/マウス)のrhC1−INHは、効果は下がるものの、まだ虚血性傷害を有意に抑制することができることが示された。HAEに用いた用量(5U/マウス、200U/kg)の8倍の用量は有効ではなかった。これらの知見は、様々な炎症状態(inflammation settings)の治療用途に高用量のC1−INHが必要であることを示す証拠5と一致している。特に、虚血/再灌流による脳のダメージの原因に関わるメカニズムである内皮接着分子に対する重要な阻害効果6を得るためには、このような用量が必要である。最後に、ウシrhC1−INHは、虚血3の時間後に15U/マウスの用量で与えられたとき、ウサギrhC1−INHほど顕著ではないが、神経保護を提供した。このウシからのrhC1−INHはまた、生理食塩水処置マウスとの比較で、神経障害を改善することができた。これらの知見は、この分子が虚血マウスの全体的状態を改善することができることを示している。
rhC1INH及び血漿由来C1INHの、古典経路及びMBL経路の活性化阻害能の比較
材料及び方法
2種類の異なる血清源を用い、Wieslab(商標)complement system Screen(Euro-Diagnostica社製、Malmf、Sweeden)により、古典経路及びレクチン経路の機能に対するrhC1INH及びpdC1INH(Cetor、Sanquin社製、Amsterdam、The Netherlands)の効果を調べた。1つの血清源はキットに含まれており、この血清源はキット中で陽性対照として使用される(以下、血清試料1と呼ぶ)。もう一方の血清試料は市販のヒト血清プール(25人の異なるドナーのプール;Kordia社製、Leiden、The Netherlands)から入手した(以下、血清試料2と呼ぶ)。両方の血清試料を、独立に3連で(in independenttriplo’s)、0、15、30及び75μmolのrhC1INH又はpdC1INHと一緒に室温で30分間インキュベートした。したがって、pdC1INH及びrhC1INHのストック溶液を適切な濃度に水で希釈した。15、30及び75μmolのrhC1INH又はpdC1INHに相当する体積を取り、水で15μlに調整した。Wieslab Complement Systemとの干渉の対照とするために、rhC1INHを溶解する緩衝液(20mMクエン酸塩、0.19Mスクロース(pH6.8);0.22μmフィルター処理済)をrhC1INHと同じ希釈系列で用意した。(キットと共に提供された)古典経路及びMBL経路両方の陽性対照(PC)及び陰性対照(NC)並びに両方の血清試料を、メーカーの取扱説明書に従って、古典経路用はDiluent CP中に、MBL経路用はDiluent MP中に1/101に希釈した。これらの希釈血清のうち、127.5μlに22.5μlの水、pdC1INH、rhC1INH又は緩衝液を添加し、室温で30分間インキュベートした。次に、100μl/ウェルのPC、NC、Diluent CP又はDiluent MP(ブランク)と試料を適当なプレートにピペットで取り、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルを300μl/ウェルの洗浄溶液で3回洗浄し、続いて100μl/ウェルのコンジュゲートと一緒に室温で30分間インキュベートした。もう一度洗浄した後、ウェルを100μl/ウェルの基質と共にインキュベートし、再度、室温で30分間インキュベートした。100μl/ウェルの5mM EDTAを添加して反応を停止させ、405nmにおける吸光度を読み取った。
2種類の異なる血清源を用い、Wieslab(商標)complement system Screen(Euro-Diagnostica社製、Malmf、Sweeden)により、古典経路及びレクチン経路の機能に対するrhC1INH及びpdC1INH(Cetor、Sanquin社製、Amsterdam、The Netherlands)の効果を調べた。1つの血清源はキットに含まれており、この血清源はキット中で陽性対照として使用される(以下、血清試料1と呼ぶ)。もう一方の血清試料は市販のヒト血清プール(25人の異なるドナーのプール;Kordia社製、Leiden、The Netherlands)から入手した(以下、血清試料2と呼ぶ)。両方の血清試料を、独立に3連で(in independenttriplo’s)、0、15、30及び75μmolのrhC1INH又はpdC1INHと一緒に室温で30分間インキュベートした。したがって、pdC1INH及びrhC1INHのストック溶液を適切な濃度に水で希釈した。15、30及び75μmolのrhC1INH又はpdC1INHに相当する体積を取り、水で15μlに調整した。Wieslab Complement Systemとの干渉の対照とするために、rhC1INHを溶解する緩衝液(20mMクエン酸塩、0.19Mスクロース(pH6.8);0.22μmフィルター処理済)をrhC1INHと同じ希釈系列で用意した。(キットと共に提供された)古典経路及びMBL経路両方の陽性対照(PC)及び陰性対照(NC)並びに両方の血清試料を、メーカーの取扱説明書に従って、古典経路用はDiluent CP中に、MBL経路用はDiluent MP中に1/101に希釈した。これらの希釈血清のうち、127.5μlに22.5μlの水、pdC1INH、rhC1INH又は緩衝液を添加し、室温で30分間インキュベートした。次に、100μl/ウェルのPC、NC、Diluent CP又はDiluent MP(ブランク)と試料を適当なプレートにピペットで取り、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルを300μl/ウェルの洗浄溶液で3回洗浄し、続いて100μl/ウェルのコンジュゲートと一緒に室温で30分間インキュベートした。もう一度洗浄した後、ウェルを100μl/ウェルの基質と共にインキュベートし、再度、室温で30分間インキュベートした。100μl/ウェルの5mM EDTAを添加して反応を停止させ、405nmにおける吸光度を読み取った。
結果の計算には、PC、NC及び試料の吸光度からブランク(Diluent CP又はDiluent MP)の吸光度を引いた。各測定について補体活性化の百分率を次式を用いて算出した:(試料−NC)/(PC−NC)×100。これは、PCが常に100%に設定されることを意味する。各条件につき、平均、標準偏差及びCV%を算出した。
結果
Wielisaを用いて分析した古典経路に対するrhC1INH及びpd−C1INHの効果
古典経路活性化に対するrhC1INH及びpdC1INHの両方の阻害特性を、2種類の異なる血清試料で解析した。図12、13及び16に示すように、両方の血清試料においてrhC1INH及びpdC1INHはどちらも、古典経路を介するC5b−9の堆積を用量依存的に減少させた。濃度75μMのrhC1INHは、血清1において古典経路活性化をpdC1INHよりわずかに強く阻害しているようであるが、このような効果は血清試料2では見られなかった。テストしたその他のすべての濃度において、rhC1INHとpdC1INHの間で阻害特性の差は観察されなかった。したがって、ヒト血清における古典経路活性化の阻害において、rhC1INH及びpdC1INHはどちらも等しく有効であると結論付けられた。
Wielisaを用いて分析した古典経路に対するrhC1INH及びpd−C1INHの効果
古典経路活性化に対するrhC1INH及びpdC1INHの両方の阻害特性を、2種類の異なる血清試料で解析した。図12、13及び16に示すように、両方の血清試料においてrhC1INH及びpdC1INHはどちらも、古典経路を介するC5b−9の堆積を用量依存的に減少させた。濃度75μMのrhC1INHは、血清1において古典経路活性化をpdC1INHよりわずかに強く阻害しているようであるが、このような効果は血清試料2では見られなかった。テストしたその他のすべての濃度において、rhC1INHとpdC1INHの間で阻害特性の差は観察されなかった。したがって、ヒト血清における古典経路活性化の阻害において、rhC1INH及びpdC1INHはどちらも等しく有効であると結論付けられた。
Wielisaを用いて分析したMBL経路に対するrhC1INH及びpd−C1INHの効
果
同じ実験の組合せにおいて、MBL経路活性化に対するrhC1INH及びpdC1INHの阻害特性も解析した。図14、15及び16に示すように、rhC1INH及びpdC1INHは両方とも、MBL経路活性化も用量依存的に減少させた。しかし、差の見られなかった古典経路とは対照的に、rhC1INHはpdC1INHと比較してMBL経路のより協力なインヒビターのようであった。テストした3種類の濃度全てにおいて、また、両方の血清試料において、rhC1INHが介するMBL経路の阻害は、pdC1INHと比較して約20%高い。したがって、rhC1INHはpdC1INHよりも効果的なMBL経路のインヒビターであると結論付けられた。
果
同じ実験の組合せにおいて、MBL経路活性化に対するrhC1INH及びpdC1INHの阻害特性も解析した。図14、15及び16に示すように、rhC1INH及びpdC1INHは両方とも、MBL経路活性化も用量依存的に減少させた。しかし、差の見られなかった古典経路とは対照的に、rhC1INHはpdC1INHと比較してMBL経路のより協力なインヒビターのようであった。テストした3種類の濃度全てにおいて、また、両方の血清試料において、rhC1INHが介するMBL経路の阻害は、pdC1INHと比較して約20%高い。したがって、rhC1INHはpdC1INHよりも効果的なMBL経路のインヒビターであると結論付けられた。
結論
結果は、古典経路の阻害についてrhC1INH及びpdC1INHがどちらも等しく有効であること、しかし、rhC1INHはMBL経路のより強力なインヒビターであることを示している。テストした全ての濃度で、rhC1INHが介するMBL経路阻害はpd1INHと比較して約20%高かった。
結果は、古典経路の阻害についてrhC1INH及びpdC1INHがどちらも等しく有効であること、しかし、rhC1INHはMBL経路のより強力なインヒビターであることを示している。テストした全ての濃度で、rhC1INHが介するMBL経路阻害はpd1INHと比較して約20%高かった。
参考文献
1.De Simoni, M. G. et al. Neuroprotection by complement (Cl) inhibitor in mouse transient brain ischemia. J Cereb Blood Flow Met 23, 232-239 (2003).
2.De Simoni, M. G. et al. The powerful neuroprotective action of Cl-inhibitor on brain ischemia-reperfusion injury does not require Clq. Am JPathol 164, 1857-63 (2004).
3.Storini, C. et al. Cl inhibitor protects against brain ischemia-reperfusion injury via inhibition of cell recruitment and inflammation. Neurobiol Disease 19,10-17 (2005).
4.Schmued, L. C. & Hopkins, K. J. Fluoro-Jade B: a high affinity fluorescent marker for the localization of neuronal degeneration. Brain Res 874, 123-30. (2000).
5.Caliezi, C. et al. Cl esterase inhibitor: an anti-inflammatory agent and its
potential use in the treatment of diseases other than hereditary angioedema. Pharmacol Rev 52,91-112 (2000).
6.Cai, S. et al. A direct role for Cl inhibitor in regulation of leukocyte adhesion. J Immunol 174, 6462-6 (2005).
7.Walsh, M. C. et al. Mannose-binding lectin is a regulator of inflammation that accompanies myocardial ischemia and reperfusion injury. J Immunol 175, 541-6 (2005).
8.Moller-Kristensen, M. et al. Mannan-binding lectin recognizes structures on ischaemic reperfused mouse kidneys and is implicated in tissue injury. Scand JImmunol 61,426-34 (2005).
9.Hart, M. L. et al. Gastrointestinal ischemia-reperfusion injury is lectin complement pathway dependent without involving Clq. J Immunol 174, 6373-80 (2005).
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9.Hart, M. L. et al. Gastrointestinal ischemia-reperfusion injury is lectin complement pathway dependent without involving Clq. J Immunol 174, 6373-80 (2005).
Claims (20)
- 虚血及び再灌流障害の少なくとも1つを予防、軽減又は処置するための医薬組成物の製造における、血漿中濃度半減期が6時間未満であるC1インヒビターの使用であって、前記C1インヒビターが前記虚血及び再灌流の後に投与される、使用。
- C1インヒビターが、血漿由来ヒトC1インヒビターと比較して少ない末端シアル酸残基を有する、請求項1に記載の使用。
- C1インヒビターが、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノース及びフコースから選択される末端残基を有するグリカンを含む、請求項1又は2に記載の使用。
- C1インヒビターが、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも65%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1〜3いずれかに記載の使用。
- C1インヒビターが、遺伝子操作された細胞又は生物から得られる、請求項1〜4いずれかに記載の使用。
- C1インヒビターが、トランスジェニック非ヒト動物から得られる、請求項5に記載の使用。
- C1インヒビターが、トランスジェニック非ヒト動物の乳から得られる、請求項6に記載の使用。
- トランスジェニック非ヒト動物が、ウシ又はウサギ目の動物、好ましくはウサギである、請求項6又は7に記載の使用。
- C1インヒビターが、体重1kg当たり50〜2000ユニットの範囲内の量で使用される、請求項1〜8いずれかに記載の使用。
- C1インヒビターが、虚血及び/又は再灌流の少なくとも1時間後、好ましくは少なくとも3時間後、より好ましくは少なくとも6時間後、より好ましくは9時間後、さらにより好ましくは18時間後に投与される、請求項1〜9いずれかに記載の使用。
- 医薬組成物が、血栓溶解剤も含むか又は血栓溶解剤と併用されるか若しくはその後のそのような薬剤での処置の後に使用されるものである、請求項1〜10いずれかに記載の使用。
- 医薬組成物が、少なくとも1つの虚血及び再灌流障害の予期されない突発性又は急性の発生を予防、軽減又は処置するためのものである、請求項1〜11いずれかに記載の使用。
- 医薬組成物が、脳卒中又は周産期脳卒中後の虚血及び再灌流障害の少なくとも1つを予防、軽減又は処置するためのものである、請求項12に記載の使用。
- 医薬組成物が、少なくとも1つの予期される、好ましくは臓器移植後の、虚血及び再灌流障害の発生を予防、軽減又は処置するためのものである、請求項1〜11いずれか記載の使用。
- 虚血及び再灌流障害の少なくとも1つを予防、軽減又は処置するための医薬組成物の製造における、請求項1〜9いずれか記載のC1インヒビターの使用であって、前記C1インヒビターが、少なくとも1つの虚血及び再灌流障害の予期される発生前又は発生中に投与される、使用。
- C1インヒビターが、少なくとも1つの虚血及び再灌流障害の予期される発生の最大3時間前、好ましくは最大2時間前、より好ましくは最大1時間前、最も好ましくは最大30分前に投与され、かつ/又は本発明の前記C1インヒビターが、持続投与が必要な対象に及び/若しくは臓器移植の場合には移植される臓器に持続投与される、請求項15に記載の使用。
- 虚血及び再灌流障害の予期される発生が臓器移植である、請求項15又は16に記載の使用。
- 医薬組成物が、レクチン経路を介して生じることが知られている虚血及び再灌流障害、好ましくは心筋、腎臓、胃腸の虚血及び再灌流障害又は脳卒中の少なくとも1つを予防、軽減又は処置するためのものである、請求項1〜17いずれか記載の使用。
- C1インヒビターが、好ましくは海馬及び/又は皮質において、神経保護効果を発揮する、請求項13に記載の使用。
- C1インヒビターが、虚血及び/又は再灌流により誘発された病変を軽減させる、請求項1〜20いずれかに記載の使用。
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