JP2022538355A - C1-inhを精製する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、C1エステラーゼ阻害剤(C1-INH)、より具体的にはC1-INH濃縮物を精製する方法に関する。
Description
本発明は、C1エステラーゼ阻害剤(C1-INH)、より具体的にはC1-INH濃縮物を精製する方法に関する。
補体活性化経路のタンパク質であるC1-INHは、活性化型C1rおよびC1sと共有結合複合体を形成することによってC1の活性化を制御する血漿中に存在するプロテアーゼの阻害剤である。それは、血漿プレカリクレイン、因子XIおよびXIIのような重要な血液凝固酵素だけでなくプラスミンも「制御する」。
例えばC1-INH欠損は、C1-INHの欠乏(HAE I型)またはC1-INHの活性の減少(HAE II型)に起因する遺伝性血管浮腫(HAE)と関連する。C1-INH欠損は、血液が人工心肺内のような表面と接触した際に生成される酵素の中和によるC1-INHの消費だけでなく、慢性の状況で現れる免疫複合体、特にリウマチ性障害のような、凝固カスケードを開始する疾患経過にも起因する場合がある。現在のところ、C1-INHタンパク質の置きかえは、急性HAEの予防または処置におけるゴールドスタンダードと考えられなければならない。このことは、商業的に入手可能なヒト血漿由来C1-INHに特に当てはまり、報告によればそのC1-INHは、ヒトC1-INHタンパク質と同一でないトランスジェニックウサギにおいて作製された商業的に入手可能な組換えC1-INHよりも自然な機能性を有する(非特許文献1)。考えられているさらなる治療適用には、虚血再灌流傷害の予防、減少および/または処置におけるC1-INHの使用がある(参照特許文献1)。
ヒト血漿からのC1-INHの単離および/または精製は公知であるが、多少高価であり、特にほとんどの場合非常に時間を要する方法である。血漿からC1-INHを作製するために提案される異なる方法には、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿および疎水性相互作用クロマトグラフィーのような様々な分離法がある。これら方法のいずれかを単独で使用することは、C1-INH、特にC1-INH濃縮物を精製するには一般に不十分であり、十分に、したがってその様々な組合せが先行技術において提案されてきた。
特許文献2は、陰イオン交換クロマトグラフィーに続く陽イオン交換クロマトグラフィーの使用について記載している。特許文献3は、収率約20%で純度90%のC1-INH調製物に到達するための沈殿工程とネガティブモードでの疎水性相互作用クロマトグラフィーとの組合せについて記載している。特許文献4は、PEG沈殿ならびにジャカリンアガロースにおけるクロマトグラフィーおよびネガティブモードでの疎水性相互作用クロマトグラフィーについて記載している。
特許文献5は、C1-INH含有出発材料が、酸性条件下において陰イオン交換体で2回処理される方法について記載している(pHはそれぞれpH5.5に設定される)。第1のイオン交換工程後にPEG沈殿し、次いで、ACTをなお含むことが公知であるCinryze(登録商標)の製造と同様に、第2のイオン交換工程を行う(非特許文献1)。
血管性浮腫を処置するための商業的に入手可能な4つのC1-INH濃縮物のうち、3つは血漿由来である。後者は、商品名Berinert(登録商標)、Cinryze(登録商標)およびCetor(登録商標)で販売されている。これらC1-INH濃縮物は、所有権のある異なる方法によって調製される(参照非特許文献1)。これらの所有権のある方法が:寒冷沈降反応、イオン交換クロマトグラフィー、沈殿、低温殺菌、限外および/もしくは透析濾過、ならびに/または疎水性相互作用クロマトグラフィーを含むがそれだけには限らない一連の工程をそれぞれ含むことは公知である。これらの多段階方法は、よく確立されており、強力で、信頼性が高い。それら方法は、その中に検出可能な付属するタンパク質、特にアルファ-1-アンチキモトリプシン(ACT)を極微量含むバルク産物を産する。
C1-INHの半分の分子量しかないにもかかわらず、ACTは、上述したBerinert(登録商標)だけでなくHAEGARDA(登録商標)、Cinryze(登録商標)またはCetor(登録商標)のような血漿由来C1-INH調製物の製造の間に共精製する。上述したものの中で、Berinert(登録商標)[およびHAEGARDA(登録商標)]のACTレベルは最も低く(非特許文献1)、即ち5μg/IU C1-INHをはるかに下回る。
自明ながら、製造業者は、可能な限り高純度な産物を提供するよう努めている。付属するタンパク質が、実際の最終産物の効果および安全性に対して負の影響を有しない限り、微量のタンパク質は容認される。しかし、原理的には、微量の付属するタンパク質も不要である。
対応する調製物から純度100%のC1-INHを研究室規模で単離することは可能になる。さらに工業規模でそのような高純度を達成することは、経済的理由から容易および確実に実現可能ではなく、経済的理由は、時間を要する方法と関連する産物の損失だけによる。そのような調製物が得られる原材料、即ち血液は、換言すれば、極めて高い純度を達成するためだけに活性物質の過剰な損失を許容するほど十分に豊富ではない。
それにもかかわらず、製造業者はそれぞれの方法を改善するよう常に努めている。Berinert(登録商標)の製造に使用される方法の様な確立されている多段階方法の改善における対応する試みは、個々の工程が再検討され、修正されることを意味する場合がある。そのような変更は、例えばより高い収率、より速い処理時間、等をもたらすことができる。または、小さな変更が、供給連鎖における変更(例えば、方法に使用される第三者の材料の利用可能性、等)のような他の理由に対して単純に必要になる場合もある。どんな小さな変更も、おそらく不便を伴う可能性がある。例えば、付属するタンパク質の量は、非常に少ないままであるが、対応する変更の前より少なくなる場合がある。
C1-INH調製物中の微量のACTの存在は、有害性を引き起こさないと長い間、および依然として考えられてきた。さらに、可能な限り高純度のC1-INH調製物を提供すること、したがって多段階方法によって血漿から得られたC1-INH調製物中ACT含有量をさらに減少させることは、なお望ましい。
ACTタンパク質は、成熟タンパク質から切断されるアミノ末端に25残基のシグナルペプチドを含む423アミノ酸から構成されている。ACTの全体の分子量は、複数部位における激しいグリコシル化のためおよそ55~66kDaである。それは、典型的なセルピン構造を有する(非特許文献2)。ACTは、同族のプロテアーゼと出会って、セルピン:プロテアーゼ複合体を形成し、その複合体は、ACT単独より10~50倍速い速度で肝臓によって循環血漿から取り除かれる(非特許文献3)。ACTは、炎症に応じて血漿レベルが増加する急性期タンパク質である。急性期応答におけるその役割は、いくつかのセリンプロテアーゼ、最も著しくは白血球カテプシンGの阻害剤として作用することである(非特許文献4)。カテプシンGは、炎症部位で放出され、病原体を死滅させ、分解し、組織を再形成し、炎症誘発性サイトカインおよび受容体を活性化する。カテプシンGの過剰なまたは長期間にわたる活性、および結果として生じる組織損傷は、セルピン調節、例えばACTによって回避される。ヒト血漿中のACTの濃度は、通常約400mg/lである(非特許文献5)。
商業的に入手可能なACTの調製物が、Cinryze(登録商標)の場合31μg/IU C1-INHまたはBerinert(登録商標)もしくHAEGARDA(登録商標)の場合5μg/IU C1-INH以下の濃度でACTを含むことは公知である。
Feussnerら、「Transfusion」2014年10月;54(10):2566~73頁、doi:10.1111/trf.12678
Bakerら、SERPINA3(aka alpha-1-antichymotrypsin)、Front.Biosci.2007年(12)、2821~2835頁
Mastら、Biochem.1991年(30)、1723~1730頁
Crispe,J.Immunol.2016年(196)、17~21頁
Hollanderら、BMC Pulm.Med.2007年(29)、7頁
5μg/IU C1-INH以下またはさらに低いACTレベルを確実にするために、C1-INH産物の損失を最小限にしながら多段階方法によって血漿から得られるC1-INH調製物をさらに精製、または「最終精製」することを可能にする手段が必要とされている。ヒト血漿は、既存の必要性を満たすのに充分な量で入手することが一般に困難である。確立され、最適化された多段階方法で得られるC1-INH調製物は、高度に濃縮されている。したがって血漿から得られる既存のC1-INH調製物のさらなる精製または最終精製は、産物の損失、不必要な希釈、などのような不便を伴うべきでない。
本問題を解決するために、本発明は、いくつかの工程を含む先行する方法によって血漿から得られるC1-INH調製物から1-アンチキモトリプシン(ACT)を枯渇させる方法であって、C1-INH調製物からのACTの枯渇は、陰イオン交換クロマトグラフィーによって実行される、方法を提供する。
出発材料を構成するC1-INH調製物中のACT濃度は、例えば100、50、35、30、25、20、15以下、好ましくは35以下、より好ましくは10以下、最も好ましくは5μg/IU C1-INH以下であることができる。
発明者らは、C1-INH産物の損失または不必要な希釈を本質的に伴わずにC1-INH調製物中になお存在するACT含有量の大幅な減少を達成し、医薬として使用することを意図する既存のC1-INH調製物の純度および安全性を増強する効果的な最終精製工程を提供することができた。
好ましくは、C1-INH調製物は:寒冷沈降反応、イオン交換クロマトグラフィー、沈殿、低温殺菌、限外濾過および/もしくは透析濾過ならびに/または疎水性相互作用クロマトグラフィーを含むがこれに限定されないいくつかの工程を含む先行する方法によって血漿から得られるものである。
対応するC1-INH調製物は、商品名Berinert(登録商標)、Haegarda(登録商標)、Cinryze(登録商標)およびCetor(登録商標)で公知である。それらを作製するために使用される製造方法は、すでに非常に低いACT含有量で調製物を産する。
文脈において注目すべきは、Cinryze(登録商標)および/またはCetor(登録商標)の製造が、寒冷沈降反応、様々なイオン交換クロマトグラフィー工程、PEG沈殿、低温殺菌、濾過および凍結乾燥を報告によれば含み、一方Berinert(登録商標)の製造が、寒冷沈降反応、イオン交換クロマトグラフィー、第四級アミノエチル吸着、硫酸アンモニウム沈殿、低温殺菌、疎水性相互作用クロマトグラフィー、濾過および凍結乾燥を報告によれば含むことである。後者は、前者よりもいっそう高純度の、即ちACT含有量がより低い産物を産するので、後者からACTをさらに枯渇させることにより、よりいっそう少ない資源でBerinert(登録商標)製造方法の場合に既に得られたものよりさらに優れた血漿から得られるC1-INH調製物を産することができ、したがって特に好ましい。
それゆえ、C1-INH調製物は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを含むがこれに限定されないいくつかの工程を含む先行する方法によって血漿から得られるものであることが特に好ましい。
好ましくは、本発明による方法は、以下の工程:
(i)C1-INHおよびACTが固定相に結合する第1の条件下でC1-INH調製物を、固定相を含む陰イオン交換クロマトグラフィーカラムにロードする工程と;
(ii)荷電しているカラムを洗浄する任意の工程と;
(iii)第2の条件を適用して移動相によってACTを溶出する工程と;
(iv)第3の条件を適用して移動相によってC1-INHを溶出する工程とを含む。
(i)C1-INHおよびACTが固定相に結合する第1の条件下でC1-INH調製物を、固定相を含む陰イオン交換クロマトグラフィーカラムにロードする工程と;
(ii)荷電しているカラムを洗浄する任意の工程と;
(iii)第2の条件を適用して移動相によってACTを溶出する工程と;
(iv)第3の条件を適用して移動相によってC1-INHを溶出する工程とを含む。
好ましくは、上述した工程(iii)における第2の条件にはイオン強度Aの溶出緩衝液の使用があり、上述した工程(iv)における第3の条件にはイオン強度Bの溶出緩衝液の使用があり、イオン強度AとBは異なる。
イオン強度Aからイオン強度Bへの移行は、異なる塩濃度CAおよびCBを有する溶出緩衝液EBAおよびEBBを使用する塩濃度勾配によって、または段階溶出によって好ましくは達成される。
好ましくは、溶出緩衝液EBAは、25℃で18.7~20.20mS/cm、好ましくは25℃で18.9~19.8mS/cm、最も好ましくは25℃で19.2mS/cmの伝導率、またはより好ましくは10mMトリス、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaCl、pH7.2を有する緩衝液からなる。
溶出緩衝液EBAは、C1-IHNが荷電したカラムに結合し続けるが、少なくとも1つまたは複数の混入しているタンパク質が荷電したカラムに結合しないように選択され、溶出緩衝液EBBは、荷電したカラムに結合している本質的に全てのC1-INHがもはや結合せず、溶出液中に採集できるように選択される。
溶出緩衝液EBAおよびEBBの的確な選択により、ACTの様な混入タンパク質の除去が、C1-INHの損失なしにまたは最小限の損失だけで可能になる。
溶出緩衝液EBBは、25℃で25.3mS/cmまたは25℃で30.4mS/cmより高い、または25℃で38.5mS/cmより高い、または25℃で47.7mS/cmより高い、または25℃で54.8mS/cmより高い、または25℃で63.4mS/cmより高い、または25℃で69.7mS/cmより高い、または25℃で77.8mS/cmより高い、または25℃で84.4mS/cmと同等もしくは高い伝導率を有し、溶出緩衝液EBBは、陰イオン交換クロマトグラフィーになお結合している本質的に全てのC1-INHを溶出する。当業者は、必要条件を容易に決定することができる。
より好ましくは、溶出緩衝液EBBは、10mMトリス、250mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、300mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、400mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、500mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、600mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、700mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、800mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、900mM NaCl、pH7.2;または10mMトリス、1M NaCl、pH7.2からなる。
本発明の方法は、下記の緩衝液EBAおよびEBB:
a)
(i)溶出緩衝液EBAは、25℃で18.7~20.2mS/cm、好ましくは25℃で18.9~19.8mS/cm、最も好ましくは25℃で19.2mS/cmの伝導率を有し、
(ii)溶出緩衝液EBBは、25℃で25.3mS/cmより高い、もしくは25℃で30.4mS/cmより高い、もしくは25℃で38.5mS/cmより高い、もしくは25℃で47.7mS/cmより高い、もしくは25℃で54.8mS/cmより高い、もしくは25℃で63.4mS/cmより高い、もしくは25℃で69.7mS/cmより高い、もしくは25℃で77.8mS/cmより高い、もしくは25℃で84.4mS/cmと同等もしくは高い伝導率を有し、
溶出緩衝液EBBは、溶出工程(i)後に陰イオン交換クロマトグラフィーカラムになお結合している本質的に全てのC1-INHを溶出する。
または
b)
(i)溶出緩衝液EBAは、10mMトリス、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaCl、pH7.2からなり、
(ii)溶出緩衝液EBBは、25℃で25.3mS/cmより高い、もしくは25℃で30.4mS/cmより高い、もしくは25℃で38.5mS/cmより高い、もしくは25℃で47.7mS/cmより高い、もしくは25℃で54.8mS/cmより高い、もしくは25℃で63.4mS/cmより高い、もしくは25℃で69.7mS/cmより高い、もしくは25℃で77.8mS/cmより高い、もしくは25℃で84.4mS/cmと同等もしくは高い伝導率を有し、
溶出緩衝液EBBは、溶出工程(i)後に陰イオン交換クロマトグラフィーカラムになお結合している本質的に全てのC1-INHを溶出する。
または
c)
(i)溶出緩衝液EBAは、10mMトリス、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaCl、pH7.2からなり、
(ii)溶出緩衝液EBBは、10mMトリス、250mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、300mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、400mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、500mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、600mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、700mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、800mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、900mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、1M NaCl、pH7.2からなる
を組み合わせる。
a)
(i)溶出緩衝液EBAは、25℃で18.7~20.2mS/cm、好ましくは25℃で18.9~19.8mS/cm、最も好ましくは25℃で19.2mS/cmの伝導率を有し、
(ii)溶出緩衝液EBBは、25℃で25.3mS/cmより高い、もしくは25℃で30.4mS/cmより高い、もしくは25℃で38.5mS/cmより高い、もしくは25℃で47.7mS/cmより高い、もしくは25℃で54.8mS/cmより高い、もしくは25℃で63.4mS/cmより高い、もしくは25℃で69.7mS/cmより高い、もしくは25℃で77.8mS/cmより高い、もしくは25℃で84.4mS/cmと同等もしくは高い伝導率を有し、
溶出緩衝液EBBは、溶出工程(i)後に陰イオン交換クロマトグラフィーカラムになお結合している本質的に全てのC1-INHを溶出する。
または
b)
(i)溶出緩衝液EBAは、10mMトリス、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaCl、pH7.2からなり、
(ii)溶出緩衝液EBBは、25℃で25.3mS/cmより高い、もしくは25℃で30.4mS/cmより高い、もしくは25℃で38.5mS/cmより高い、もしくは25℃で47.7mS/cmより高い、もしくは25℃で54.8mS/cmより高い、もしくは25℃で63.4mS/cmより高い、もしくは25℃で69.7mS/cmより高い、もしくは25℃で77.8mS/cmより高い、もしくは25℃で84.4mS/cmと同等もしくは高い伝導率を有し、
溶出緩衝液EBBは、溶出工程(i)後に陰イオン交換クロマトグラフィーカラムになお結合している本質的に全てのC1-INHを溶出する。
または
c)
(i)溶出緩衝液EBAは、10mMトリス、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaCl、pH7.2からなり、
(ii)溶出緩衝液EBBは、10mMトリス、250mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、300mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、400mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、500mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、600mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、700mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、800mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、900mM NaCl、pH7.2;もしくは10mMトリス、1M NaCl、pH7.2からなる
を組み合わせる。
本発明者らは、そのような条件がACTの枯渇を可能にするという点で特に有用であることを見出し、C1-INHを本質的に損失することなしに、即ちそのような環境下でC1-INHの回収率は90%より高く、好ましくは少なくとも95%であり、一方でACTは大幅に、即ち50%またはより低く低下する。
陰イオン交換クロマトグラフィーに使用される固定相材料は、Capto(登録商標)DEAE(GEによって販売される、官能基としてジアミノエチルを使用する)のような弱陰イオン交換体か、または好ましくはQ HP樹脂、Capto(登録商標)Q Impres樹脂、Capto(登録商標)Q樹脂(全てGEによって販売される、全てが官能基として第四級アンモニウムを有する)もしくはFractogel(登録商標)TMAE、Eshmuno(登録商標)H(Merckによって販売される、官能基としてトリメチルアミンエチルを有する)のような強陰イオン交換体かのいずれかの型に属する。
前述の中で、官能基として通常のアンモニウムを有する樹脂が、最も好ましい。
C1-INH調製物は、ヒト血漿から得られることが好ましい。
血漿は血液から得られ、血液とは、ヒトおよび他の動物中に見られる体液を意味するものと理解される。このことは、本発明による方法を、全種類の動物性血漿、さらに好ましくはヒト血漿から得られるC1-INH調製物を最終精製するために使うことができることを意味し、例えば血友病を患っているヒトの処置における重要性のためヒト血漿から得られるC1-INH調製物が特に好ましい。
C1-INH調製物は、媒体に溶解しているC1-INHおよびACTから本質的になることがさらに好ましい。
本発明は、そのような調製物が得られた方法にかかわりなく、好ましくはそれのさらなる最終精製を目指す。好ましくは、ACT含有量は、100、50、35、30、25、20、15以下、好ましくは35以下、より好ましくは10μg ACT/IU C1-INH以下、最も好ましくは5μg ACT/IU C1-INH以下である。
本発明は、上に記載の方法のいずれか1つによる方法を使用することによって得ることができる血漿から得られるC1-INH調製物をさらに提供する。
血漿から得られるC1-INH調製物は、原理的に公知であるが、現在記載されているようにACTが枯渇した対応する調製物は、先行技術から公知でない。高度に精製された、即ちACTのいかなる存在の痕跡もないC1-INHを得ることは原理的には可能であるが、本発明による方法は、ACTレベルを極めて大幅に減少させるが、ACTを完全には排除しない。
以下において、本発明は、図および例によってより詳細に記載されることになり、図は以下を図示する。
本発明の文脈において、以下の定義を適用する:
請求項および本発明の説明において、「C1-INH」、「C1-INH」、「C1-INH調製物」および「C1-INH調製物」は、タンパク質C1エステラーゼ阻害剤を含有する濃縮物、特に、タンパク質C1エステラーゼ阻害剤を含有する液体濃縮物を表すために同時に使用される。技術的背景および/または先行技術について言及する場合、「C1-INH」は、例えばC1-INH欠損を検討する文脈において、タンパク質それ自体を意味することもできる。
本出願/特許の全体を通じて、
「HIC」は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを意味する;
「AEX」は、陰イオン交換クロマトグラフィーを意味する;
「AEX樹脂」は、AEXにおいて固定相として使用した樹脂を意味する;
「強いAEX樹脂」は、幅広いpH範囲に使用できる高度にイオン化されたAEX樹脂を意味する;
「弱いAEX樹脂」は、イオン化の程度がpHに強く依存する樹脂を意味する;
「BC」は、クロマトグラフィーカラムの結合能力を意味する;
「ネガティブモード」または「通過画分様式」または「通過画分」は、標的化合物(例えばC1-INH)がクロマトグラフィーカラムの固定相に結合しない条件下でクロマトグラフィーを実行する方法を示す;
「結合様式」、「結合および溶出」または「ポジティブモード」は、最初に、標的化合物(例えばC1-INH)がクロマトグラフィーカラムの固定相に結合する条件で、次いで同化合物がクロマトグラフィーカラムから溶出される条件で実行されるクロマトグラフィーを表す;
「化合物が固定相に結合する」場合、これは、化合物の構造的完全性が影響を受けることなく、好ましくは共有結合もしくは化学吸着ではなく、むしろ物理吸着によって固定相に吸着または保持されることを意味することを意図する;
「WFI」は、「注射用蒸留水」を意味する;
「濃度勾配」は、高濃度から低濃度への、溶液に溶解している物質の濃度の漸進的変動を示す、
「段階溶出」は、濃度勾配の場合のような連続的移行ではなく、第1から第2の濃度への急な移行であり、濃度が徐々に低下することを意味する;
「%」は、特に明記しない限り「質量%」を意味する;
「沈殿剤」は、タンパク質の沈殿を誘発する薬剤である;
「溶出液画分」は、中に含まれている特定の分析物が、固定相に事前に結合または保持される(本明細書に言及されるポジティブモードの場合)、またはされない(本明細書に言及されるネガティブモードの場合)かに関わらずクロマトグラフィーカラムから出てくる移動相流の画分を表す。
「HIC」は、疎水性相互作用クロマトグラフィーを意味する;
「AEX」は、陰イオン交換クロマトグラフィーを意味する;
「AEX樹脂」は、AEXにおいて固定相として使用した樹脂を意味する;
「強いAEX樹脂」は、幅広いpH範囲に使用できる高度にイオン化されたAEX樹脂を意味する;
「弱いAEX樹脂」は、イオン化の程度がpHに強く依存する樹脂を意味する;
「BC」は、クロマトグラフィーカラムの結合能力を意味する;
「ネガティブモード」または「通過画分様式」または「通過画分」は、標的化合物(例えばC1-INH)がクロマトグラフィーカラムの固定相に結合しない条件下でクロマトグラフィーを実行する方法を示す;
「結合様式」、「結合および溶出」または「ポジティブモード」は、最初に、標的化合物(例えばC1-INH)がクロマトグラフィーカラムの固定相に結合する条件で、次いで同化合物がクロマトグラフィーカラムから溶出される条件で実行されるクロマトグラフィーを表す;
「化合物が固定相に結合する」場合、これは、化合物の構造的完全性が影響を受けることなく、好ましくは共有結合もしくは化学吸着ではなく、むしろ物理吸着によって固定相に吸着または保持されることを意味することを意図する;
「WFI」は、「注射用蒸留水」を意味する;
「濃度勾配」は、高濃度から低濃度への、溶液に溶解している物質の濃度の漸進的変動を示す、
「段階溶出」は、濃度勾配の場合のような連続的移行ではなく、第1から第2の濃度への急な移行であり、濃度が徐々に低下することを意味する;
「%」は、特に明記しない限り「質量%」を意味する;
「沈殿剤」は、タンパク質の沈殿を誘発する薬剤である;
「溶出液画分」は、中に含まれている特定の分析物が、固定相に事前に結合または保持される(本明細書に言及されるポジティブモードの場合)、またはされない(本明細書に言及されるネガティブモードの場合)かに関わらずクロマトグラフィーカラムから出てくる移動相流の画分を表す。
以下において、本発明は、図を参照することによってより詳細に説明されることとなる。
図1は、先行技術から公知の商業的に入手可能なC1-INH調製物の電気泳動ゲルを示す。点線は、C1-INHの分子量(105kD)を示す。商品名Berinert(登録商標)、Cetor(登録商標)およびCinryze(登録商標)で公知の血漿から得られる商業的に入手可能なC1-INH調製物の間の差異は、明らかに区別可能である。このゲルにおいてレーン1~5は、Berinert(登録商標)、Cetor(登録商標)およびCinryze(登録商標)が微量のACTを含むことを示し、Feussnerらによってより詳細に述べられているように、Berinert(登録商標)が含有するACTの量は最小である(図1、1)。Berinert(登録商標)、Cetor(登録商標)およびCinryze(登録商標)だけでなくHaegarda(登録商標)も、それぞれいくつかの工程を含む方法によって血漿から得られたC1-INH調製物である。Berinert(登録商標)、Cetor(登録商標)およびCinryze(登録商標)の製造に含まれる工程は、これまでに記載されている(Feussnerら、「Transfusion」2014年10月;54(10):2566~73頁、doi:10.1111/trf.12678)。
図2は、本発明によるAEXクロマトグラフィー実験のクロマトグラムおよびその実験からの溶出試料を分析するSDSページゲルを表し;カラムロードは、C1-INH調製物Berinert(登録商標)の生産から取り出されたC1-INH濃縮物、即ちBerinert(登録商標)の調製物における最後の疎水性相互作用クロマトグラフィー工程の溶出液(1:25希釈)であり;結合能力BCは、15mgタンパク質/mL樹脂であり;分離は、30mMから1000mMのNaCl塩勾配によって実行された。前ピーク溶出液試料は、図2(参照レーン6)のSDSページゲルに示すようにACTを明らかに含む。したがって、図2のクロマトグラムおよびSDSページゲルは、AEXクロマトグラフィーを使用することによる、複数の工程に関連する方法によって得られ、既に極めて低濃度のACTを含むC1-INH調製物からのACTの枯渇を実証する。
図3は、図2に表される実験と同じカラムロードおよび結合能力を有するが、あまり急でない塩勾配、即ち30mMから515mM NaClを使用するAEXクロマトグラフィー実験から得られた溶出液試料のSDSページゲルを表す。図3のSDSページゲルは、AEXクロマトグラフィーを使用することによるC1-INH調製物からのACTの枯渇を実証する。
図4は、固定相からACTを溶出することになる様々な塩濃度の第1の溶出緩衝液を用いる段階溶出を使用してAEXクロマトグラフィー実験から得られた溶出液試料のSDSページゲルを表す。「E1」は、それぞれの溶出液1の試料に対応するレーンを示し、「E2」は、それぞれの溶出液2の試料に対応するレーンを示す。C1-INH調製物からのACTの枯渇の程度が、塩濃度の増大と共に増大し、溶出液2中のC1-INH回収の程度が、塩濃度の増大と共に減少することが明らかに見られる。
図5は、異なる溶出緩衝液1について、溶出緩衝液1の塩含有量に応じた溶出液2中のC1-INH回収物の純度および程度を比較して示す。図5から推測できるように、175~190、好ましくは175~185、最も好ましくは180mM NaClのNaCl濃度の溶出緩衝液1は、C1-INH調製物からC1-INHを本質的に損失することなくACTを最大限、枯渇させるのに最適である。
図6は、異なる溶出緩衝液1について、溶出緩衝液1の塩含有量に応じた溶出液2中のC1-INHおよびACTの量を比較して示す。図6は、最終産物において溶出緩衝液1におけるより低イオン強度と比較して、第1の溶出に使用した緩衝液における175mMまたはより高いNaClでACTの非常に優れた枯渇が達成され、190mMを超えるイオン強度の溶出緩衝液1ではC1-INHの収率が低すぎて商業的に実現不可能であることを示す。
動物血液、特にヒト血液から得られるC1-INH調製物は、今日では、様々な多段階方法によって得られる。ヒト血漿から始まる確立された方法は、寒冷沈降反応、イオン交換クロマトグラフィー、第四級アミノエチル吸着、硫酸アンモニウム沈殿、低温殺菌および疎水性相互作用クロマトグラフィー[Berinert(登録商標)の製造に含まれる方法工程、Feussnerらまたは欧州特許第0101935号を参照のこと]または寒冷沈降反応、イオン交換クロマトグラフィーの様々な工程、PEG(特にPEG-4000)による沈殿および低温殺菌[Cinryze(登録商標)/Cetor(登録商標)の製造に含まれる方法工程]の工程を含む。これらの方法は、沈殿工程を含むことを共通して有する。さらなる最後の工程は、濾過および凍結乾燥である。本発明は、さらなる工程の陰イオン交換クロマトグラフィーを追加して、上述した様な多段階方法によって得られるC1-INH調製物をさらに精製することを提案し、したがって「最終精製」工程を提供してなおさらに既存の産物の安全性を増強する。その最終精製工程は、濾過および凍結乾燥の前に行うことができるが、他の場合には、最終産物にほぼ相当するC1-INH濃縮物またはC1-INH調製物を産する一連の他の工程に続く最終工程である。
驚くべきことに、さらなる最終精製工程におけるAEXクロマトグラフィーの使用は、C1-INHを本質的に損失することなく、および不必要な希釈なしにC1-INH調製物からACTをなおさらに枯渇させることを可能にする。AEXクロマトグラフィーは長い間公知であったが、また付属するタンパク質からC1-INHを分離する文脈においてもC1-INH濃縮物の調製におけるその使用が時折言及されてきたにもかかわらず、それは、複数の工程方法によって得られるC1-INH調製物からACTを枯渇させる特定の目的にこれまで使用されてこず、本質的に高純度のC1-INH調製物を得るために多くの試みが過去に行われてきたにもかかわらず、ACTは不純物としてなお存在している。
この背景を鑑みると、これが本当に可能であることは予想できなかった。非常に驚くべきことに、工業規模でC1-INH調製物の生産を可能にするよく確立されている別の方法は、対応する最終精製工程を、即ちそれぞれの方法の同等に遅い段階で内包することによってさらに改善することができる。
以下において、本発明は、実施例を参照することにより詳細に記載されることになる。
C1-INH調製物Berinert(登録商標)の生産から取り出されたC1-INH濃縮物、即ちBerinert(登録商標)の調製物における最後の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)工程の溶出液を1:25に希釈して、先行するHICにおいて利用したカオトロピック剤である硫酸アンモニウム(AS)の濃度を低下させ、それによりタンパク質結合を可能にした。次いで、AEXクロマトグラフィーを、結合/溶出様式で実行した、即ち、出発材料を、結合緩衝液を使用してカラムにロードし、その後洗浄緩衝液で洗浄し、最後に塩勾配を適用することによって溶出した。緩衝液の組成および勾配ならびにさらなる詳細を、表2に開示し、対応するクロマトグラムおよびSDSページゲルを図2に示した。
したがって実施例1は、AEXクロマトグラフィーを使用することによる、複数の工程に関連する方法によって得られ、既に極めて低濃度のACTを含むC1-INH調製物からのACTの枯渇を実証した。
AEXクロマトグラフィーを、実施例1に記載の通り、さらに10mM NaClから515mM NaClの溶出勾配で実行した。対応するクロマトグラムを、本明細書において検討した図3に示した。したがって実施例2は、AEXクロマトグラフィーを使用することによる、複数の工程に関連する方法によって得られ、既に極めて低濃度のACTを含むC1-INH調製物からのACTの枯渇を実証した。
出発材料
Berinertの方法で得た産物、Feussnerら(doi:10.1111/trf.12678)(バッチ番号20181219-HW)によって記載されるものと類似の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって得られ、-20℃で貯蔵した高度に精製されたC1-INH濃縮物を使用した。この材料を、10mMトリス、32mM AS pH7.2に対して4℃で終夜透析し、次いで、以下の表3に表した異なる塩濃度を有する溶出緩衝液1を比較する陰イオン交換クロマトグラフィー実験に供した。
Berinertの方法で得た産物、Feussnerら(doi:10.1111/trf.12678)(バッチ番号20181219-HW)によって記載されるものと類似の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって得られ、-20℃で貯蔵した高度に精製されたC1-INH濃縮物を使用した。この材料を、10mMトリス、32mM AS pH7.2に対して4℃で終夜透析し、次いで、以下の表3に表した異なる塩濃度を有する溶出緩衝液1を比較する陰イオン交換クロマトグラフィー実験に供した。
物質および器材
物質:
Milli-Qによって得られる脱イオン水。
器材:
クロマトグラフィーデバイス AKTA avant 25
ソフトウェア Unicom 6.4
pHメータ Knick
伝導率計 Knick
計量秤 Sartorius
マグネチックスターラ Thermo Scientific
カラム GE Healthcare、樹脂:Q HP、ロット番号10270237
カラム寸法 内径0.77cm、ベッド高10cm、カラム容積4.7mL
物質:
Milli-Qによって得られる脱イオン水。
器材:
クロマトグラフィーデバイス AKTA avant 25
ソフトウェア Unicom 6.4
pHメータ Knick
伝導率計 Knick
計量秤 Sartorius
マグネチックスターラ Thermo Scientific
カラム GE Healthcare、樹脂:Q HP、ロット番号10270237
カラム寸法 内径0.77cm、ベッド高10cm、カラム容積4.7mL
収率の算出は、それぞれのカラムロードa~c(上記表3を参照のこと)の容積ならびに溶出液1および2の容積(それぞれ23.5mL)に基づく。
分析
「カラムロード」(L)、「溶出液1」(E1)および「溶出液2」(E2)からの試料を、SDS-PAGEによって分析した。対応するSDS-PAGEゲルを図4に表した。「カラムロード」および「溶出液2」からの試料を、品質管理研究室においてC1-INH活性についてさらに試験した。
「カラムロード」(L)、「溶出液1」(E1)および「溶出液2」(E2)からの試料を、SDS-PAGEによって分析した。対応するSDS-PAGEゲルを図4に表した。「カラムロード」および「溶出液2」からの試料を、品質管理研究室においてC1-INH活性についてさらに試験した。
比較の結果を図5に表されるグラフに要約し、それぞれの溶出液2に回収したC1-INHの収率を%純度と比較して示した。それによると、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaClのNaCl濃度の溶出緩衝液1は、C1-INH調製物からC1-INHを本質的に損失することなくACTを最大限、枯渇させるのに最適である。これは、25℃で18.7~20.2mS/cm、好ましくは25℃で18.9~19.8mS/cm、最も好ましくは25℃で19.2mS/cmの溶出緩衝液1の伝導率に相当する。溶出緩衝液2は、陰イオン交換クロマトグラフィーカラムになお結合している全てのC1-INHを溶出するのに十分高い必要があり、25℃で21.6mS/cmより高い必要がある。溶出緩衝液2の一例は、10mMトリス、1M NaCl、pH7.2の緩衝液組成である。
図6は、170mM NaCl(25℃で18.7mS/cm)の溶出緩衝液1を使用した場合、ACTの若干の減少が既にあるが、最終産物中にACTの出発量の49%がなお存在し、一方で175mM NaCl(25℃で18.9mS/cm)の溶出緩衝液1を使用した場合、最終産物中にACTの出発量のわずか17%しか存在しないことを示す。これは、C1-INHの最大収率およびACTの最小収率を可能にするために必要な溶出緩衝液1のイオン強度/伝導率の微調整が、いかに重要かについて例示している。
本発明は、特定の例に言及することにより上に記載されている。これらの例は、本発明を制限することを決して意図するものではなく、本発明が作用する方法を例示することを意図するものである。
Claims (7)
- 疎水性相互作用クロマトグラフィーを含むがこれに限定されないいくつかの工程を含む先行する方法によって血漿から得られるC1-INH調製物から1-アンチキモトリプシン(ACT)を枯渇させる方法であって、C1-INH調製物からのACTの枯渇は、陰イオン交換クロマトグラフィーによって実行され、以下の工程:
(i)C1-INHおよびACTが固定相に結合する第1の条件下でC1-INH調製物を、固定相を含む陰イオン交換クロマトグラフィーカラムにロードする工程と;
(ii)荷電しているカラムを洗浄する任意の工程と;
(iii)第2の条件を適用して移動相によってACTを溶出する工程と;
(iv)第3の条件を適用して移動相によってC1-INHを溶出する工程とを含み、
第2の条件にはイオン強度Aの溶出緩衝液の使用があり、
第3の条件にはイオン強度Bの溶出緩衝液の使用があり、イオン強度AとBが異なり、
イオン強度Aからイオン強度Bへの移行は、異なる塩濃度CAおよびCBを有する溶出緩衝液EBAおよびEBBを使用する塩濃度勾配によって、または段階溶出によって達成され、
(i)溶出緩衝液EBAは、25℃で18.7~20.2mS/cm、好ましくは25℃で18.9~19.8mS/cm、最も好ましくは25℃で19.2mS/cmの伝導率を有し、
(ii)溶出緩衝液EBBは、25℃で21.6mS/cmより高い伝導率を有し、溶出緩衝液EBBは、溶出工程(i)後に陰イオン交換クロマトグラフィーカラムになお結合しているC1-INHを溶出することを特徴とする、前記方法。 - (i)溶出緩衝液EBAは、10mMトリス、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaCl、pH7.2からなり、
(ii)溶出緩衝液EBBは、25℃で25.3mS/cmより高い伝導率を有し、溶出緩衝液EBBは、溶出工程(i)後に前記陰イオン交換クロマトグラフィーカラムになお結合しているC1-INHを溶出する、
請求項1に記載の方法。 - (i)溶出緩衝液EBAは、10mMトリス、175~190mM NaCl、好ましくは175~185mM NaCl、最も好ましくは180mM NaCl、pH7.2からなり、
(ii)溶出緩衝液EBBは、10mMトリス、1M NaCl、pH7.2からなる、
請求項1および2のいずれか1項に記載の方法。 - 固定相材料が、Capto(登録商標)DEAE(GEによって販売される、官能基としてジアミノエチルを使用する)のような弱陰イオン交換体、または好ましくはQ HP樹脂、Capto(登録商標)Q Impres樹脂、Capto(登録商標)Q樹脂(全てGEによって販売される、全てが官能基として第四級アンモニウムを有する)もしくはFractogel(登録商標)TMAE、Eshmuno(登録商標)H(Merckによって販売される、官能基としてトリメチルアミンエチルを有する)のような強陰イオン交換体の型に属する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記C1-INH調製物は、ヒト血漿から得られる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記C1-INH調製物は、媒体に溶解しているC1-INHおよびACTから本質的になる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の方法を使用することによって得ることができるC1-INH調製物。
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