以下に添付図面を参照して、この発明にかかる警備装置および警備動作切替え方法の最良な実施形態を詳細に説明する。
[概要]
本実施形態にかかる警備装置は、監視領域における異常を検知した際に予め定めた複数の警備動作のうち少なくとも一つを実行する警備装置である。具体的には、この警備装置は、一般家庭の住居として使用される建物の敷地を監視領域としており、建物の敷地内に侵入した侵入者を排除するための警備動作(侵入者排除動作)として、「誘導動作」、「警告動作」、「第1威嚇動作」、「第2威嚇動作」、および「攻撃動作」を有する。そして、この警備装置は、建物の敷地(監視領域)に設置された複数のセンサにより送出されるセンサ反応信号(反応信号)と、このセンサ反応信号の時系列データに基づいて算出される確信度および確信度加重和(詳細は後述する)と、建物の開口部において異常が発生の有無や該異常が発生した開口部に対する侵入危険度(詳細は後述する)とに基づいて、上記の各警備動作のうち、実行する警備動作の切替えを行う機能を持つ。
ここで、上記の各警備動作の概要について説明する。上記の各警備動作には「駆動」と「停止」の2つのモードがある。「駆動」モードは、各警備動作で使用する機器として指定されている機器を作動させるモードであり、「停止」モードは、機器の作動を停止するモードである。
「誘導動作」は、敷地の入口である門扉から建物の入口である玄関までの経路(以下、アクセスエリアという。)を少なくとも可聴領域とする音声出力機器から、誘導音声を出力する警備動作である。誘導音声とは、家人に対して警備解除を促したり、正規訪問者に対して退去を促したりする音声メッセージである。「誘導動作」の実行中は、例えば「ただいま警備中です。すみやかに退去して下さい。家人の方は警備解除をお願いします。」といった音声メッセージ(誘導音声)を音声出力機器から出力する。
「誘導動作」の目的は、敷地内が警備中であることを優しく報知することである。これにより、家人に対しては警備解除、正規訪問者に対しては退去を促し、不法侵入者に対しては精神的不安を与えることができる。なお、「誘導動作」で使用する音声出力機器は、アクセスエリアを可聴領域とする指向性スピーカを用いることが望ましい。ただし、指向性のない通常のスピーカを用いるようにしてもよい。
「警告動作」は、建物の開口部付近(以下、開口部エリアという。)を少なくとも可聴領域とする音声出力機器から、警告音声を出力する動作である。警告音声とは、退去しない場合に警備会社等に通報されるなどの警告を行う音声メッセージである。「警告動作」の実行中は、例えば「警備エリアに侵入しています。滞在を続けた場合、警備会社に通報されます。」といった音声メッセージ(警告音声)を音声出力機器から出力する。また、「警告動作」では、音声出力機器からの警告音声の出力と併せて、限定報知用機器を作動させる。限定報知用機器とは、敷地内に異常が発生していることを敷地内に報知するものであり、例えば、敷地内に存在する人間に対してのみ影響を与えるように設置されたライトなどである。
「警告動作」の目的は、警備中の敷地内に侵入していることを強めに報知することである。これにより、警備会社等に通報される可能性があることを示唆し、家人に対しては速やかな警備解除、正規訪問者に対しては速やかな退去を促し、不法侵入者に対しては発見される感覚を与えることができる。なお、「警告動作」で使用する音声出力機器は、開口部エリアを可聴領域とする指向性スピーカを用いることが望ましい。ただし、「誘導動作」で使用する音声出力機器として指向性スピーカを用いている場合は、これを「警告動作」で使用する音声出力機器として代用することも可能である。この場合、実行する警備動作が「誘導動作」から「警告動作」に切替わると、指向性スピーカから出力される音声が、誘導音声から警告音声に切替わる。
「第1威嚇動作」は、開口部エリアを少なくとも可聴領域とする音声出力機器から、威嚇音声を出力する動作である。威嚇音声とは、警備会社等への通報が完了したなどの内容の威嚇を行う音声メッセージである。「第1威嚇動作」の実行中は、例えば「警備会社に通報されました。まもなく警備員が到着します。」といった音声メッセージ(威嚇音声)を音声出力機器から出力する。
「第1威嚇動作」の目的は、侵入者に対して人(警備員など)が来ることを報知することである。これにより、警備会社などに通報される可能性が高いことを不法侵入者に理解させ、不法侵入者に対して、発見される感覚を「警告動作」よりも強く与えることができる。なお、「第1威嚇動作」で使用する音声出力機器としては、「警告動作」で用いる指向性スピーカをそのまま利用することができる。この場合、実行する警備動作が「警告動作」から「威嚇動作」に切替わると、指向性スピーカから出力される音声が、警告音声から威嚇音声に切替わる。
「第2威嚇動作」は、敷地の内外に対して報知する周囲報知用機器を作動させる動作である。周囲報知用機器とは、敷地内に異常が発生していることを敷地内および敷地外に報知するものであり、例えば、敷地内だけでなく敷地外にも影響を与えるように設置された点滅用ライトや威嚇ベルなどである。
「第2威嚇動作」の目的は、監視対象の敷地に異常が発生していることを近隣の住民に報知することである。これにより、周囲からの注目を浴びる可能性が高いことを不法侵入者に理解させ、不法侵入者に対して、発見される感覚を「警告動作」よりも強く与えることができる。なお、「第1威嚇動作」で使用する音声出力機器として指向性のない通常のスピーカを用いる場合には、このスピーカから敷地外にも届く音量で威嚇音声または威嚇ベルに相当する威嚇音を出力することで、このスピーカを周囲報知用機器として代用することも可能である。
「攻撃動作」は、「警告動作」「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」の実行中にこれらの動作に加えて実行されるものであり、建物への侵入危険度の高い開口部エリアに存在する人間に対して負荷を与える攻撃用機器を作動させる動作である。攻撃用機器としては、開口部エリアに存在する人間の動きを制限し、また、不快な気分にさせる効果のある機器が用いられる。例えば、捕縛ネットや催涙ガス、フラッシュライトなどが攻撃用機器の一例として考えられる。
「攻撃動作」の目的は、不法侵入者に対して身体的及び精神的に負荷を与え、侵入工作の継続を困難にさせることである。これにより、不法侵入者は、その場に滞在を続けて侵入工作を継続することが困難になり、侵入意欲が低下することで侵入を断念させることができる。
本実施形態にかかる警備装置では、上記の各警備動作のほかに、「警告動作」に付随する警備動作として「物理的防御動作」を有する。「物理的防御動作」は、建物の開口部に設けた物理的防御用機器を作動させる動作である。物理的防御用機器とは、電動補助錠や電動シャッタなど、建物の開口部の遮断状態を物理的に強化する機器である。
「物理的防御動作」の目的は、建物の開口部の遮断状態を物理的に強化することにより、不法侵入者による侵入工作を困難にさせることである。これにより、建物外での滞在時間を延ばし、発見される感覚を高めることで、侵入を断念させることができる。
[装置構成]
図1は、実施形態にかかる警備装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる警備装置は、図1に示すように、監視領域である建物の敷地に設置された複数のセンサ1と、センサインターフェース2と、制御装置3と、排除用機器インターフェース4と、警備動作(侵入者排除動作)を実行するための各種機器5と、開口部異常検知機器6と、開口部異常検知機器インターフェース7とを備える。制御装置3は、通信ネットワークを介して、警備会社に設置された監視装置10に接続されている。
センサ1は、監視領域である建物の敷地を複数の検知対象領域に分けたときに、各検知対象領域に対してそれぞれ一つ以上設置され、監視領域における検知対象物を検知した場合に反応信号を送出するものである。つまり、本実施形態にかかる警備装置では、監視領域である建物の敷地に複数のセンサ1を設置しており、それぞれのセンサ1の種類としては、当該センサ1が設置される検知対象領域での物体検知に適したものが用いられる。例えば、敷地の入口である門扉の開閉を検知するセンサや、焦電素子を用いたパッシブ型の赤外線センサ、赤外線ビームの遮断を検知するセンサ、赤外線の反射を利用して物体の有無や物体までの距離を検知するセンサ等が、本実施形態におけるセンサ1として有効に利用可能である。また、センサ1は、玄関や窓などの建物の開口部付近(開口部エリア)に設置され、開口部付近における検知対象物を検知した場合に反応信号を送出する。なお、以下では、開口部エリアのセンサとした表現は、開口部エリアを検知対象として設置されたセンサと同義であるとする。なお、センサ1は、第1検知手段に相当する。
センサインターフェース2は、上記の複数のセンサ1の制御および各センサ1から送出されたセンサ反応信号の受信を実施するための装置である。センサ反応信号は、センサ1が物体に反応していることを示す「反応」と、センサ1が物体に反応していないことを示す「無反応」の2値をとる。本実施形態にかかる警備装置では、センサ1が物体に反応しているか否かに関わらず、センサインターフェース2によって所定の計測周期で定期的に複数のセンサ1からセンサ反応信号が取得され、制御装置3に供給される。
開口部異常検知機器6は、監視領域(敷地)における建物内への侵入起点となり得る開口部付近、すなわち玄関や窓付近それぞれを検知対象として複数設置され、各開口部付近における検知対象物(侵入工作等)を検知した場合に検知情報を送出するものである。開口部異常検知機器6としては、例えば、マイクや振動センサが利用される。なお、開口部異常検知機器6は、第2検知手段に相当する。
開口部異常検知機器インターフェース7は、上記の開口部異常検知機器6の制御および各開口部異常検知機器6から送出された検知情報の受信を実施するための装置である。本実施形態にかかる警備装置では、開口部異常検知機器6が侵入工作等の異常に反応しているか否かに関わらず、開口部異常検知機器インターフェース7によって所定の計測周期で定期的に複数の開口部異常検知機器6からの検知情報が取得され、制御装置3に供給される。
制御装置3は、本実施形態にかかる警備装置の全体を統括的に制御するものである。特に、この制御装置3は、センサインターフェース2によって複数のセンサ1から定期的に送出されるセンサ反応信号を入力し、このセンサ反応信号の時系列データから、後述する確信度および確信度加重和を算出する。また、制御装置3は、開口部異常検知機器インターフェース7によって複数の開口部異常検知機器6から定期的に送出される検知情報を入力する。そして、制御装置3は、この検知情報に基づいて開口部において異常が発生しているか否かを判断し、異常が発生している場合は、さらに、異常が発生した開口部に対する侵入危険度の高低を判断する。そして、制御装置3は、センサインターフェース2によって複数のセンサ1から定期的に送出されるセンサ反応信号と、センサ反応信号の時系列データから算出した確信度および確信度加重和と、開口部における異常の発生の有無や侵入危険度とに基づいて、実行する警備動作の切替えを行い、各種機器5の動作を制御するための制御指令を排除用機器インターフェース4に出力する。
また、制御装置3は、例えば「第1威嚇動作」を実行させるように警備動作を切替えた場合など、予め定めた所定条件が成立したときに、警備会社に設置された監視装置10に対して、異常を知らせる信号を発報(通報)する機能も有している。
排除用機器インターフェース4は、制御装置3から出力された制御指令に従って、各種機器5のうちで、実行する警備動作に関わる機器を作動させ、それ以外の機器を停止させる。
警備動作を実行するための各種機器5は、上述した音声出力機器5a、限定報知用機器5b、周囲報知用機器5c、攻撃用機器5dおよび物理的防御用機器5eを含む。なお、図1では、「誘導動作」、「警告動作」、「第1威嚇動作」、および「第2威嚇動作」のそれぞれで使用する音声出力機器を音声出力機器5aとして総称しているが、それぞれの警備動作で個別の音声出力機器を用いるようにしてもよいし、一部の音声出力機器を共有するようにしてもよい。
図2は、制御装置内部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。制御装置3は、図2に示すように、判断モデル記憶部31と、確信度算出部32と、確信度加重和算出部33と、開口部異常判断部35と、警備動作制御部34とを備える。
判断モデル記憶部31は、ダイナミックベイジアンネットワークを利用した確率モデルによりセンサ反応の因果関係を表現したモデルである判断モデルを記憶するデータベースである。
判断モデルは、センサ1の反応要因となり得る予め定めた複数の物体カテゴリごとに、各物体カテゴリに属する物体の行動の遷移の条件付確率と位置の遷移の条件付確率とを定めた確率モデルである行動モデルと、物体が存在する位置と複数のセンサ1の反応との関係を表した確率モデルであるセンサモデルと、を含んでいる。また、本実施形態では、監視領域である建物の敷地を複数の検知対象領域に分けて、各検知対象領域に対してそれぞれ一つ以上のセンサ1を設置する構成を想定しているため、これら複数の検知対象領域の位置を表す位置モデルを定義し、この位置モデルを、確率モデルである行動モデルおよびセンサモデルとともに、判断モデルに含めている。なお、判断モデルの具体例については、詳細を後述する。
確信度算出部32は、判断モデル記憶部31に記憶されている判断モデルを用いることで、センサインターフェース2によって複数のセンサ1から定期的に送出されるセンサ反応信号の時系列データから、予め定めた複数の物体カテゴリごとに、各物体カテゴリに属する物体がセンサ反応要因となっている確からしさを表す確信度を算出する。
具体的には、確信度算出部32は、センサインターフェース2によってセンサ反応信号が取得されるたびにそのセンサ反応信号をチェックするとともに、そのセンサ反応信号を内部メモリなどにバッファリングしていく。そして、新たに得られたセンサ反応信号と過去のセンサ反応信号とを組み合わせた時系列データを随時生成し、このセンサ反応信号の時系列データを、判断モデル記憶部31に記憶されている判断モデルと照合することによって、物体カテゴリごとの確信度を算出する。ここで、本実施形態では、物体カテゴリとして、人間、小動物、無生物の3種類のカテゴリを想定している。なお、確信度算出部32は、計算結果を内部メモリなどに一時的に保存し、次の処理周期において確信度を算出する際に、前回の計算結果を用いて再帰的な計算を行うことで、計算負荷を低減させるようにしている。この確信度算出部32による物体カテゴリごとの確信度の算出方法の具体例については、詳細を後述する。
確信度加重和算出部33は、確信度算出部32により時系列で算出される各物体カテゴリの確信度のうち、物体カテゴリ=人間に対応する確信度を、時系列の初期段階ほど低い重み係数により重み付け加算した値である確信度加重和を算出する。
物体カテゴリごとの確信度は、上述したように、センサ反応信号の時系列データを判断モデルと照合することによって算出されるが、時系列の初期段階では得られている情報が少ないため、確信度の誤差が大きいと考えられる。そこで、本実施形態では、信頼性の高い情報を得るために、確信度加重和算出部33が、確信度算出部32により時系列で算出される物体カテゴリごとの確信度のうち、特に物体カテゴリ=人間に対応する確信度について、時系列で算出される確信度の積分をとる(毎回の確信度の総和をとる)。この際、観測の初期段階の確信度は信頼できないと考えて、初期段階の確信度には低い重み係数により重み付け加算して確信度加重和を算出する。なお、重み係数は、観測時間が経過するごとに増加していく値であり、種々の単調増加の関数を用いることができるが、シグモイド関数を用いるのが最適と考えられる。
開口部異常判断部35は、開口部の異常を検知する開口部異常検知機器6から送出された検知情報から、建物の開口部において異常が発生しているか否かを判断する。そして、開口部異常判断部35は、開口部において異常が発生していると判断した場合、さらに、開口部において発生している異常(不審者の侵入等)の危険の度合いを示す危険度、すなわち開口部に対する侵入危険度が予め定めた基準値より高いか低いかを判断する。例えば、ガラスを叩く音程度であれば侵入危険度は「低」となり、ガラスが割れるような破壊音であれば「高」となる。以下に、2つの具体例を挙げて説明する。
まず、建物の開口部付近で発生する音情報(検知情報)を利用して異常を検知する方法が考えられる。本実施形態の警備装置は、建物の開口部より発生した音をマイク(開口部異常検知機器6)で集音し、その音を開口部異常判断部35にて処理して、開口部において異常が発生しているか否かの判断を行う。すなわち、開口部異常判断部35は、得られた音情報と予め記憶部(不図示)に蓄積された様々な音の波形モデルを比較・分析することにより、自然要因(風など)によって引き起こされたと考えられる音は異常と判断せず、人間によって引き起こされたと考えられる音は異常と判断する。
具体的には、例えば、上述した記憶部には、人間要因によって発生する音の代表的な波形パターンと、自然要因によって発生する音の代表的な波形パターンとを予め波形モデルとして記憶させておく。そして、マイクから入力される波形パターン(入力波形パターン)がその波形モデルに合致するかを統計的・確率的パターン認識法(ベイズ識別規則、DPマッチング等)を用いて比較することによって認識する。入力波形パターンが人間要因の波形モデルと合致度が高い(入力波形パターンが人間要因の波形モデルと合致する確率の方が高い)場合に異常と判断し、入力波形パターンが自然要因の波形モデルと合致度が高い(入力波形パターンが自然要因の波形モデルと合致する確率の方が高い)場合は異常と判断しない。
さらに、開口部異常判断部35は、建物の開口部で異常が発生していると判断された場合、集音された音を処理し、侵入危険度の高低を判断する。すなわち、開口部異常判断部35は、集音された音の波形や振幅、音の継続時間などを記憶部(不図示)の波形モデルと比較・分析する。そして、開口部異常判断部35は、集音された音の波形や振幅、音の継続時間などの比較・分析結果が、開口部の破壊に至るような音(例:ガラスの破壊音)であって予め定めた基準値より高ければ侵入危険度を「高」と判断する。一方、開口部異常判断部35は、比較・分析結果が、開口部への侵入危険度はあるが破壊には至らないような音(例:ガラスへの打撃音)であって予め定めた基準値より低ければ侵入危険度を「低」と判断する。この場合も例えば、上述の人間要因または自然要因の波形パターンによる手法と同様に、予め侵入危険度が「高」の場合の波形モデルと、侵入危険度「低」の場合の波形モデルを記憶部に記憶させておく。そして、入力波形パターンと記憶部の波形モデルとの合致度により、侵入危険度の高低を判定する。
このような音声の入力波形パターンと波形モデルとの比較・分析は、例えば、「確率モデルによる音声認識」;中川聖一;社団法人電子情報通信学会(1988)における12頁〜15頁に記載された手法などを適用することができる。
また、建物の開口部付近で発生する振動情報(検知情報)を利用して異常を検知する方法が考えられる。本実施形態の警備装置は、建物の開口部の振動を振動センサ(開口部異常検知機器6)で検知し、その検知した振動を開口部異常判断部35にて処理して、開口部において異常が発生しているか否かの判断を行う。すなわち、開口部異常判断部35は、得られた振動情報と予め記憶部(不図示)に蓄積された様々な振動の波形モデルを比較・分析することにより、自然要因(風など)によって引き起こされたと考えられる振動は異常と判断せず、人間によって引き起こされたと考えられる振動は異常と判断する。
具体的には、例えば、上述した記憶部には、人間要因によって発生する振動の代表的な波形パターンと、自然要因によって発生する振動の代表的な波形パターンとを予め波形モデルとして記憶させておく。そして、振動センサから入力される波形パターン(入力波形パターン)がその波形モデルに合致するかを統計的・確率的パターン認識法(ベイズ識別規則、DPマッチング等)を用いて比較することによって認識する。入力波形パターンが人間要因の波形モデルと合致度が高い(入力波形パターンが人間要因の波形モデルと合致する確率の方が高い)場合に異常と判断し、入力波形パターンが自然要因の波形モデルと合致度が高い(入力波形パターンが自然要因の波形モデルと合致する確率の方が高い)場合は異常と判断しない。
さらに、開口部異常判断部35は、建物の開口部で異常が発生していると判断された場合、検知された振動を処理し、侵入危険度の高低を判定する。すなわち、開口部異常判断部35は、検知された振動の波形や振幅、振動の継続時間などを記憶部(不図示)の波形モデルと比較・分析する。そして、開口部異常判断部35は、検知された振動の波形や振幅、振動の継続時間などの比較・分析結果が、開口部の破壊に至るような振動(大きな振動)であって予め定めた基準値より高ければ侵入危険度を「高」と判断する。一方、開口部異常判断部35は、比較・分析結果が、開口部への侵入危険度はあるが破壊には至らないような振動(小さな振動)であって予め定めた基準値より低ければ侵入危険度を「低」と判断する。この場合も例えば、上述の人間要因または自然要因の波形パターンによる手法と同様に、予め侵入危険度が「高」の場合の波形モデルと、侵入危険度「低」の場合の波形モデルを記憶部に記憶させておく。そして、入力波形パターンと記憶部の波形モデルとの合致度により、侵入危険度の高低を判定する。
このような振動の入力波形パターンと波形モデルとの比較・分析は、例えば、上述した「確率モデルによる音声認識」;中川聖一;社団法人電子情報通信学会(1988)における12頁〜15頁に記載された手法などを、振動の波形モデルに代えて適用することができる。
警備動作制御部34は、センサインターフェース2によって複数のセンサ1から定期的に送出されるセンサ反応信号と、確信度算出部32により算出される物体カテゴリごとの確信度と、確信度加重和算出部33により算出される確信度加重和と、開口部異常判断部35により判断される開口部における異常の発生の有無および開口部に対する侵入危険度の高低とに基づいて、上記の各警備動作のうちで現在の状況に応じた最適な警備動作が実行されるように、上記の各警備動作の「駆動」モードや「停止」モードを設定し、各種機器5の動作を制御するための制御指令を排除用機器インターフェース4に出力する。
また、警備動作制御部34は、センサ1が反応した場合、反応しているセンサがいずれの場所に設置されたセンサであるかを判断する。すなわち、例えば、警備装置3に、各センサの識別情報であるセンサID(identification)と、センサの設置場所の識別情報である設置場所IDとを対応付けたID対応情報を記憶部(不図示)に記憶しておく。そして、センサ1がセンサIDを含めたセンサ反応信号を出力し、センサインターフェース2は該センサ反応信号を受信して警備装置3に送信する。警備装置3がセンサ1から「反応」を示すセンサ反応信号を受信すると、警備動作制御部34は、該記憶部に記憶されたID対応情報を参照して、受信したセンサ反応信号に含まれたセンサIDに対応する設置場所が、反応しているセンサが設置された場所であると判断する。
ここで、建物の開口部について説明する。建物内への侵入起点となり得る開口部に対し、干渉が可能と考えられるエリア(開口部に対して異常を発生させることが可能な領域)を各開口部に対して設定し、各エリアを「帰属エリア」と称する。図3〜図6は、帰属エリアの説明図である。図3を参照すると、玄関、窓W1、窓W2に対して干渉可能なエリアは図3中の斜線部分であるため、玄関、窓W1、窓W2の帰属エリアはAとなる。
同様に、図4を参照すると、窓W3の帰属エリアはBとなる。また、図5を参照すると、窓W4の帰属エリアはCとなる。また、図6を参照すると、窓W5、窓W6の帰属エリアはDとなる。そして、「帰属エリアが反応/無反応」ということは、「帰属エリアに検知範囲が含まれるセンサ1が反応/無反応」と同義となる。
次に、開口部異常判断部35による判断が行われない場合と行われる場合について説明する。例えば、複数のセンサ1から送出されるセンサ反応信号と、確信度算出部32により算出される物体カテゴリごとの確信度と、確信度加重和算出部33により算出される確信度加重和とにより、警備動作を切替える場合、確信度加重和が設定した閾値を超えない限り警備動作が切替わらない。このため、該閾値を超える前に侵入危険度が上昇した時などには適切な警備動作が遅れて開始される可能性があった。また、センサ1が反応せずに確信度および確信度加重和が算出されない状況、例えば、悪意を持った人間による敷地外(監視領域外)からの行為(石などを建物に向かって投げつける等)に対しては、警備動作が切替わらないため、対抗手段がない。
このように、警備動作の遅れ及び敷地外からの行為への対処を解決するため、本実施形態の警備装置では、センサ反応信号と確信度と確信度加重和だけでなく、さらに開口部における異常の発生の有無および開口部に対する侵入危険度の高低を、警備動作切替えの判断条件としている。これにより、敷地内には侵入者はいないが開口部に異常が発生している場合、確信度加重和の値に関わらずその時点の警備動作から上位の警備動作へ切替えることができる。すなわち、開口部に対する異常の発生のみで適した警備動作に切替えることができる。
[警備動作切替えの具体例]
ここで、警備動作制御部34による警備動作の切替えの具体例について説明する。なお、以下で説明する警備動作の切替えはあくまで一例を例示したものであり、切替えの判断基準(条件)は、以下で説明する例に限られるものではなく、警備装置を適用する環境などに応じて様々に変形して設定することができる。
本実施形態にかかる警備装置は「警備セットモード」と「警備解除モード」とを有し、警備装置が「警備セットモード」に設定されると、警備動作制御部34による制御が開始される。そして、この警備動作制御部34による制御に従って、上記の各警備動作のうちのいずれかが実行される。なお、警備装置が「警備解除モード」に設定されている場合には、監視領域に設置されたセンサ1が物体に反応したり、開口部異常検知機器6が異常を検知しても警備動作は行われない。
また、警備装置が「警備セットモード」に設定された場合、警備動作制御部34は、いずれの警備動作も実行されておらず、かつ複数のセンサ1が全て反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断された場合、警備動作として「第2威嚇動作」を実行する。
(誘導動作)
警備動作制御部34は、監視領域である建物の敷地に設置された複数のセンサ1のうち、最初に反応したセンサが門扉の開閉を検知するセンサ(門扉センサ)である場合、最初に実行する警備動作として「誘導動作」を選択する。これは、「誘導動作」の主な対象として想定している正規利用者が、通常は門扉から敷地内に進入することを考慮したものである。
また、警備動作制御部34は、「誘導動作」の実行中は、以下の条件に従って警備動作の切替えを行う。すなわち、「誘導動作」の実行中に、複数のセンサ1のうち、アクセスエリアを検知対象として設置されたセンサが反応し続けており、且つ、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、且つ、確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th1(第1の閾値)以上である場合、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「誘導動作」から「警告動作」に切替える。これは、音声出力機器5aから誘導音声を出力しているにも関わらず、アクセスエリアを検知対象として設置されたセンサが反応し続け、そのアクセスエリアに滞在している物体が人間である可能性が高い状況は、不法侵入者がアクセスエリアに滞在している可能性が高く、確信度加重和がある閾値を超えた時点で「警告動作」に移行することが有効と考えられるためである。
また、「誘導動作」の実行中に、複数のセンサ1のうち、アクセスエリア以外を検知対象として設置されたセンサが反応し、且つ、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「誘導動作」から「警告動作」に切替える。これは、音声出力機器5aから誘導音声を出力した結果、物体がアクセスエリアから敷地内の他のエリアに移動し、その移動した物体が人間である可能性が高い状況は、不法侵入者がアクセスエリア以外のエリアに移動した可能性が高く、「警告動作」に移行することが有効と考えられるためである。
また、「誘導動作」の実行中に、複数のセンサ1のうち、アクセスエリア以外を検知対象として設置されたセンサが反応し、且つ、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度よりも、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度の方が高い状態が、予め定めた所定時間以上継続した場合、警備動作制御部34は、「誘導動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。これは、アクセスエリアから敷地内の他のエリアに移動した物体が人間以外の小動物や無生物である可能性が高い状況では、警備動作を実行する必要がないと考えられるためである。なお、ここでは、アクセスエリア以外を検知対象として設置されたセンサが反応していることを警備動作終了の条件の1つとしているが、アクセスエリアを検知対象として設置されたセンサが反応している場合であっても、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度よりも、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度の方が高い状態が所定時間以上継続した場合は、「誘導動作」を含めたすべての警備動作を終了させるようにしてもよい。
また、「誘導動作」の実行中に、複数のセンサ1のうちのいずれも反応していない状態が、予め定めた所定時間以上継続した場合、警備動作制御部34は、「誘導動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。これは、いずれのセンサも反応していない状況は、センサ反応要因となっていた物体が敷地外に移動した可能性が高く、警備動作を実行する必要がないと考えられるためである。
また、「誘導動作」の実行中に、警備装置が「警備セットモード」から「警備解除モード」に切替えられた場合には、家人が警備解除の操作を行ったと判断できるため、警備動作制御部34は、「誘導動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。
なお、「誘導動作」の実行中、「誘導動作」において作動させる音声出力機器5aの可聴領域内(つまり、音声出力機器5aからの誘導音声の効果が及ぶ範囲)のセンサが反応していない状況では、音声出力機器5aを作動させることは無駄である。そのため、このような状況では、警備動作制御部34は、音声出力機器5aからの誘導音声の出力を中断させ、無駄な消費電力の削減を図ることが望ましい。
また、「誘導動作」の実行中に、アクセスエリアを検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th1(第1の閾値)未満であり、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により異常が発生した開口部の侵入危険度が基準値より高いと判断された場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「誘導動作」から「第1威嚇動作」に切替える。
また、「誘導動作」の実行中に、アクセスエリアを検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th1(第1の閾値)未満であり、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により異常が発生した開口部の侵入危険度が基準値より低い場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「誘導動作」から「警告動作」に切替える。
また、「誘導動作」の実行中に、アクセスエリアを検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th1(第1の閾値)未満であり、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応していない場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「誘導動作」から「警告動作」に切替える。
(警告動作)
一方、監視領域である建物の敷地に設置された複数のセンサ1のうち、最初に反応したセンサが門扉の開閉を検知するセンサ(門扉センサ)以外のセンサであり、且つ、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合、警備動作制御部34は、最初に実行する警備動作として「警告動作」を選択する。これは、「警告動作」の主な対象として想定している不法侵入者が、門扉以外の場所から敷地内に侵入する可能性が高いことを考慮したものである。つまり、門扉の開閉を検知するセンサ(門扉センサ)以外のセンサが最初に反応し、人間に対応する確信度が高い状況は、不法侵入者が敷地内に侵入した可能性が高く、すぐに「警告動作」を行うことが有効と考えられるためである。
なお、警備動作制御部34は、実行する警備動作として「警告動作」を選択した場合には、この「警告動作」に付随して「物理的防御動作」を実行させる。この「物理的防御動作」は、警備装置が「警備セットモード」から「警備解除モード」に切替えられた場合や、建物の玄関に設置された本錠の正規開錠動作が確認できた場合などに終了する。本錠の正規開錠動作は、例えば本錠の施開錠状態を検知可能なセンサを設けることで確認できる。
また、警備動作制御部34は、「警告動作」の実行中は、以下の条件に従って警備動作の切替えを行う。すなわち、「警告動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、且つ、複数のセンサ1のうち、開口部エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しており、且つ、確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th2a(第2の閾値)以上であり、且つ、確信度算出部32により算出された人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が、十分に小さい値に設定された閾値Th3(第3の閾値)以下である場合、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「警告動作」から「第1威嚇動作」に切替える。これは、音声出力機器5aから警告音声を出力しているにも関わらず、人間である可能性が高い物体が開口部エリアに存在する状況は、高い侵入意図を持った不法侵入者が建物内部への侵入を企てようとしている可能性が高いため、「警告動作」よりも侵入者排除効果の強い「第1威嚇動作」を行うことが有効と考えられるためである。
なお、建物の開口部としては、一般的に、建物内部への侵入危険度が高い開口部(例えば、掃出し窓のような開口部が広く、破壊工作が比較的容易な開口部)と、侵入危険度が低い開口部(例えば、高窓のような開口部が狭く、破壊工作が困難な開口部)とが存在する。建物内部への侵入危険度が高い開口部エリアのセンサが反応している場合と、建物内部への侵入危険度が低い開口部エリアのセンサが反応している場合とで、確信度総和値に対する閾値を変化させるようにしてもよい。具体的には、侵入危険度の高い開口部エリアのセンサが反応している場合の閾値は、侵入危険度の低い開口部エリアのセンサが反応している場合の閾値よりも低くすることで、「警告動作」から「第1威嚇動作」への切替えを早めに行う仕組みとすることが望ましい。
また、「警告動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度よりも、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度の方が高い状態が所定時間以上継続した場合、警備動作制御部34は、「警告動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。これは、センサ反応要因となっている物体が人間以外の小動物や無生物である可能性が高い状況では、警備動作を実行する必要がないと考えられるためである。
また、「警告動作」の実行中に、複数のセンサ1のうちのいずれも反応していない状態が、予め定めた所定時間以上継続した場合、警備動作制御部34は、「警告動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。これは、いずれのセンサも反応していない状況は、センサ反応要因となっていた物体が敷地外に移動した可能性が高く、警備動作を実行する必要がないと考えられるためである。
また、「警告動作」の実行中に、警備装置が「警備セットモード」から「警備解除モード」に切替えられた場合には、家人が警備解除の操作を行ったと判断できるため、警備動作制御部34は、「警告動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。
なお、「警告動作」の実行中、「警告動作」において作動させる音声出力機器5aの可聴領域内(つまり、音声出力機器5aからの警告音声の効果が及ぶ範囲)や、限定報知用機器5bによる異常報知の効果が及ぶ範囲のセンサが反応していない状況では、これら音声出力機器5aや限定報知用機器5bを作動させることは無駄である。そのため、警備動作制御部34は、音声出力機器5aの可聴領域内のセンサが反応していなければ、音声出力機器5aからの警告音声の出力を中断し、また、限定報知用機器5bによる異常報知の効果が及ぶ範囲のセンサが反応していなければ、限定報知用機器5bの作動を中断させることで、無駄な消費電力の削減を図ることが望ましい。
また、「警告動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ開口部異常判断部35により異常が発生した開口部の侵入危険度が基準値より高いと判断された場合に、警備動作制御部34は、「警告動作」に加えて「攻撃動作」を実行させる。
また、「警告動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ開口部異常判断部35により異常が発生した開口部の侵入危険度が基準値より低く、かつ人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3(第3の閾値)以下である場合に、警備動作制御部34は、「警告動作」に加えて「第1威嚇動作」を実行させる。
また、「警告動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th2a(第2の閾値)以上であり、かつ確信度算出部32により算出された人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3(第3の閾値)以下である場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「警告動作」から「第1威嚇動作」に切替える。
また、「警告動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により異常が発生した開口部の侵入危険度が基準値より低いと判断され、かつ確信度算出部32により算出された人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3(第3の閾値)以下である場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「警告動作」から「第1威嚇動作」に切替える。
また、「警告動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により異常が発生した開口部の侵入危険度が基準値より高いと判断された場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「警告動作」から「第2威嚇動作」に切替える。
(第1威嚇動作および第2威嚇動作)
警備動作制御部34は、「警告動作」から「第1威嚇動作」「第2威嚇動作」への切替えを、上述した条件に従って行う。「警告動作」から「第1威嚇動作」への切替えの条件の1つとして、確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th2a(第2の閾値)以上という条件があるが、この閾値Th2aより大きい閾値Th2b(第4の閾値)を設け、確信度加重和が閾値Th2a以上となったら第1威嚇動作を実行して音声出力機器5aからの威嚇音声の出力を開始し、確信度加重和が閾値Th2b以上となったら第2威嚇動作を実行して周囲報知用機器5cの作動を開始させる。これは、周囲に与える影響を考慮すると、周囲に対する影響が小さい順番に機器を作動させる方が、利便性の高い警備装置になると考えられるからである。なお、周囲報知用機器5cとして、光を発する機器と音を発する機器がある場合、周囲に与える影響の大きさを考えて、光を発する機器、音を発する機器の順番に作動させることが望ましい。
また、警備動作制御部34は、「第2威嚇動作」の実行中は、以下の条件に従って警備動作の切替えを行う。すなわち、「第2威嚇動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していないと判断され、かつ確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が上記の閾値Th2(第2の閾値)よりも大きい閾値Th4以上となり、かつ人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3(第3の閾値)以下である場合に、「第2威嚇動作」に加えて「攻撃動作」を実行させる。これは、音声出力機器5aから威嚇音声を出力し、また周囲報知用機器5cを作動させているにも関わらず、不法侵入者である可能性が極めて高い物体が開口部エリアに存在し続けている状況では、不法侵入者に対して直接的な負荷を与える「攻撃動作」を行うことが有効と考えられるためである。
また、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」の実行中に、複数のセンサ1のいずれかが反応しているが開口部エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しなくなり、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していないと判断された場合、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」から「警告動作」に切替える。これは、開口部エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しなくなった状況では、不法侵入者が建物内部へ侵入する侵入危険度が下がったと判断でき、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」よりも侵入者排除効果の弱い「警告動作」を行うことが有効と考えられるためである。なお、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」に加えて「攻撃動作」も実行している場合には、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」から「警告動作」への切替えが行われるときに、「攻撃動作」は終了させる。
また、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度よりも、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度の方が高い状態が所定時間以上継続した場合、警備動作制御部34は、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。これは、センサ反応要因となっている物体が人間以外の小動物や無生物である可能性が高い状況では、警備動作を実行する必要がないと考えられるためである。
また、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」の実行中に、複数のセンサ1のうちのいずれも反応していない状態が、予め定めた所定時間以上継続した場合、警備動作制御部34は、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。これは、いずれのセンサも反応していない状況は、センサ反応要因となっていた物体が敷地外に移動した可能性が高く、警備動作を実行する必要がないと考えられるためである。
また、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」の実行中に、警備装置が「警備セットモード」から「警備解除モード」に切替えられた場合には、家人が警備解除の操作を行ったと判断できるため、警備動作制御部34は、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」を含めたすべての警備動作を終了させる。
なお、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」の実行中、「第1威嚇動作」において作動させる音声出力機器5aの可聴領域内(つまり、音声出力機器5aからの威嚇音声の効果が及ぶ範囲)や、「第2威嚇動作」において作動させる周囲報知用機器5cによる異常報知の効果が及ぶ範囲のセンサが反応していない状況では、これら音声出力機器5aや周囲報知用機器5cを作動させることは無駄である。そのため、警備動作制御部34は、音声出力機器5aの可聴領域内のセンサが反応していなければ、音声出力機器5aからの威嚇音声の出力を中断し、また、周囲報知用機器5cによる異常報知の効果が及ぶ範囲のセンサが反応していなければ、周囲報知用機器5cの作動を中断させることで、無駄な消費電力の削減を図ることが望ましい。同様に、警備動作制御部34は、「攻撃動作」の実行中、攻撃用機器5dの効果が及ぶ範囲のセンサが反応していなければ、攻撃用機器5dの作動を中断させることで、無駄な消費電力の削減を図ることが望ましい。
また、「第1威嚇動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断された場合に、警備動作制御部34は、「第1威嚇動作」に加えて「攻撃動作」を実行させる。
また、「第1威嚇動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ確信度加重和算出部33により算出された確信度加重和が閾値Th2b(第4の閾値)以上であり、かつ確信度算出部32により算出された人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3(第3の閾値)以下である場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「第1威嚇動作」から「第2威嚇動作」に切替える。
また、「第1威嚇動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ確信度算出部32により算出された人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3(第3の閾値)以下である場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「第1威嚇動作」から「第2威嚇動作」に切替える。
また、「第2威嚇動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しており、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ確信度算出部32により算出された人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3(第3の閾値)以下である場合に、警備動作制御部34は、「第2威嚇動作」に加えて「攻撃動作」を実行させる。
(攻撃動作)
また、警備動作制御部34は、「攻撃動作」の実行中は、以下の条件に従って警備動作の切替えを行う。すなわち、「攻撃動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応していない場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「警告動作」に切替える。
また、「攻撃動作」の実行中に、確信度算出部32により算出された人間に対応する確信度が人間以外の物体カテゴリに対応する確信度よりも高く、かつ開口部付近を検知対象として設置されたセンサが反応しておらず、かつ開口部異常判断部35により開口部において異常が発生していると判断され、かつ異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応している場合に、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「第2威嚇動作」に切替える。
次に、図を参照しながら、警備動作の切替え例を示す。図7は、警備動作の切替え例を説明するための参考図である。図7に示すように、門扉近傍であって、外部からの通常のアクセスが行われるエリアを門扉エリアとする。また、通常外部から入ってくる人間が建物の玄関へ向かうのに通過するエリアをアクセスエリアとする。そして、図7では、建物の開口部及びその手前部分の空間を開口部エリアとし、S0〜S6で示している。開口部エリアS0は玄関に対応し、開口部エリアS1は窓W1に対応し、開口部エリアS2は窓W2に対応し、開口部エリアS3は窓W3に対応し、開口部エリアS4は窓W4に対応し、開口部エリアS5は窓W5に対応し、開口部エリアS6は窓W6に対応する開口部エリアである。また、本実施の形態では、上述の門扉エリア、アクセスエリア、各開口部エリアS0〜S6などを検知対象とした複数のセンサ1が設置されており、それぞれ、門扉センサ、アクセスエリアのセンサ、開口部エリアのセンサと称する。なお、以下で説明する警備動作の切替え例においては、人間以外の確信度は微小であるものとする。
まず始めに、図7における窓W1の開口部エリアS1(開口部を検知対象として設置されたセンサである開口部センサが検知するエリア)と、窓W1の開口部異常検知機器6が異常を検知している場合について説明する。
まず、「警告動作」の実行中に、開口部異常判断部35により侵入危険度が高いと判断された場合、警備動作制御部34は、「警告動作」に加えて「攻撃動作」を実行する。一方、開口部異常判断部35により侵入危険度が低いと判断された場合、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「警告動作」から「第1威嚇動作」に切替える。
また、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」の実行中は、開口部異常判断部35の判断による侵入危険度に関わらず、警備動作制御部34は、「第1威嚇動作」または「第2威嚇動作」に加えて「攻撃動作」を実行する。
次に、図7におけるX地点に人間がいると仮定し、窓W1の開口部異常検知機器6が異常を検知し、異常が発生した窓W1に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応している場合について説明する。ここで、X地点は、上述した開口部センサ以外のセンサの検知エリアである。
まず、「警告動作」の実行中に、開口部異常判断部35により侵入危険度が高いと判断された場合、警備動作制御部34は、「警告動作」から「第2威嚇動作」に切替える。一方、開口部異常判断部35により侵入危険度が低いと判断された場合、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「警告動作」から「第1威嚇動作」に切替える。
また、「第1威嚇動作」の実行中は、開口部異常判断部35の判断による侵入危険度に関わらず、警備動作制御部34は、実行する警備動作を「第1威嚇動作」から「第2威嚇動作」に切替える。
次に、図7におけるY地点に人間がいると仮定し、窓W1の開口部異常検知機器6が異常を検知し、異常が発生した窓W1に対して異常を発生させることが不可能な帰属エリアを検知対象として設置されたセンサが反応している場合について説明する。ここで、Y地点は、上述した開口部センサ以外のセンサの検知エリアである。
まず、「警告動作」の実行中は、開口部異常判断部35の判断による侵入危険度に関わらず、警備動作制御部34は、「警告動作」を継続して実行する。また、「第1威嚇動作」の実行中は、開口部異常判断部35の判断による侵入危険度に関わらず、警備動作制御部34は、「第1威嚇動作」を継続して実行する。
また、「攻撃動作」の実行中は、開口部異常判断部35の判断による侵入危険度に関わらず、警備動作制御部34は、「攻撃動作」を継続して実行する。
最後に、図7におけるZ地点に人間がいると仮定し、窓W1の開口部異常検知機器6が異常を検知している場合について説明する。この場合は、Z地点は、監視領域外であるため、いずれのセンサも反応しない。この場合は、開口部異常判断部35の判断による侵入危険度に関わらず、警備動作制御部34は、警備動作として「第2威嚇動作」を実行する。
[警備動作の遷移の具体例]
次に、本実施形態にかかる警備装置により実行される警備動作の遷移の具体例について、図8〜図13を参照して説明する。図8は、一連の警備動作の遷移を説明するメインフローチャートである。
(メインフロー)
まず、警備動作制御部34は、敷地内のいずれかのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS11)。いずれのセンサも反応していない場合(ステップS11:No)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、いずれかの開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS12)。そして、異常が発生していないと判断された場合(ステップS12:No)、ステップS11に戻って処理を繰り返す。
一方、異常が発生していると判断された場合(ステップS12:Yes)、ステップS26に進み、警備動作制御部34は、警備動作として「第2威嚇動作」を実行する(ステップS26)。
ステップS11において、いずれかのセンサが反応している場合(ステップS11:Yes)、警備動作制御部34による制御を開始し(ステップS13)、警備動作制御部34は、反応しているセンサが門扉に設置された門扉センサであるか否かを判断する(ステップS14)。反応しているセンサが門扉センサでない場合(ステップS14:No)、ステップS17に進み、警備動作制御部34は、警備動作として「警告動作」を実行する(ステップS17)。
一方、反応しているセンサが門扉センサである場合(ステップS14:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作として「誘導動作」を実行する(ステップS15)。そして、警備動作制御部34は、警備動作を警告動作に切替えるか否かを判断し(ステップS16)、警告動作に切替えると判断された場合(ステップS16:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える(ステップS17)。
一方、警告動作に切替えないと判断された場合(ステップS16:No)、警備動作制御部34は、警備動作を第1威嚇動作に切替えるか否かを判断し(ステップS18)、第1威嚇動作に切替えると判断された場合(ステップS18:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS22に進み、警備動作を「第1威嚇動作」に切替える(ステップS22)。一方、第1威嚇動作に切替えないと判断された場合(ステップS18:No)、警備動作制御部34は、ステップS32に進み、警備動作を終了する(ステップS32)。
ステップS17において警告動作に切替えた後、警備動作制御部34は、警備動作を終了するか否かを判断し(ステップS19)、警備動作を終了すると判断された場合(ステップS19:Yes)、ステップS32に進み、警備動作を終了する(ステップS32)。
一方、警備動作を終了しないと判断された場合(ステップS19:No)、警備動作制御部34は、警備動作を第2威嚇動作に切替えるか否かを判断し(ステップS20)、第2威嚇動作に切替えると判断された場合(ステップS20:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS26に進み、警備動作を「第2威嚇動作」に切替える(ステップS26)。
一方、第2威嚇動作に切替えないと判断された場合(ステップS20:No)、警備動作制御部34は、警備動作に攻撃動作を追加するか否かを判断し(ステップS21)、攻撃動作を追加すると判断された場合(ステップS21:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS29に進み、警備動作に「攻撃動作」を追加する(ステップS29)。一方、攻撃動作を追加しないと判断された場合(ステップS21:No)、警備動作制御部34は、警備動作を「第1威嚇動作」に切替える(ステップS22)。
ステップS22において第1威嚇動作に切替えた後、警備動作制御部34は、警備動作を終了するか否かを判断し(ステップS23)、警備動作を終了すると判断された場合(ステップS23:Yes)、ステップS32に進み、警備動作を終了する(ステップS32)。
一方、警備動作を終了しないと判断された場合(ステップS23:No)、警備動作制御部34は、警備動作を警告動作に切替えるか否かを判断し(ステップS24)、警告動作に切替えると判断された場合(ステップS24:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS17に戻り、警備動作を「警告動作」に切替える(ステップS17)。
一方、警告動作に切替えないと判断された場合(ステップS24:No)、警備動作制御部34は、警備動作に攻撃動作を追加するか否かを判断し(ステップS25)、攻撃動作を追加すると判断された場合(ステップS25:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS29に進み、警備動作に「攻撃動作」を追加する(ステップS29)。一方、攻撃動作を追加しないと判断された場合(ステップS25:No)、警備動作制御部34は、警備動作を「第2威嚇動作」に切替える(ステップS26)。
ステップS26において第2威嚇動作に切替えた後、警備動作制御部34は、警備動作を警告動作に切替えるか否かを判断し(ステップS27)、警告動作に切替えると判断された場合(ステップS27:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS17に戻り、警備動作を「警告動作」に切替える(ステップS17)。
一方、警告動作に切替えないと判断された場合(ステップS27:No)、警備動作制御部34は、警備動作に攻撃動作を追加するか否かを判断し(ステップS28)、攻撃動作を追加しないと判断された場合(ステップS28:No)、警備動作制御部34は、ステップS32に進み、警備動作を終了する(ステップS32)。
一方、攻撃動作を追加すると判断された場合(ステップS28:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作に「攻撃動作」を追加する(ステップS29)。その後、警備動作制御部34は、警備動作を警告動作に切替えるか否かを判断し(ステップS30)、警告動作に切替えると判断された場合(ステップS30:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS17に戻り、警備動作を「警告動作」に切替える(ステップS17)。
一方、警告動作に切替えないと判断された場合(ステップS30:No)、警備動作制御部34は、警備動作を第2威嚇動作に切替える否かを判断し(ステップS31)、第2威嚇動作に切替えると判断された場合(ステップS31:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS26に戻り、警備動作を「第2威嚇動作」に切替える(ステップS26)。
一方、第2威嚇動作に切替えないと判断された場合(ステップS31:No)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する(ステップS32)。そして、警備動作制御部34は、警備装置が警備解除モードへ切替えられたか否かを判断し(ステップS33)、警備解除モードに切替えられていない場合(ステップS33:No)、すなわち警備セットモードに設定されたままの場合、ステップS11に戻って処理を繰り返す。一方、警備解除モードに切替えられた場合(ステップS33:Yes)、警備動作制御部34は、処理を終了する。
(誘導動作)
次に、図8のステップS15における「誘導動作」実行時の警備動作制御部34による制御の具体例について、図9を参照して説明する。図9は、「誘導動作」実行時の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、誘導動作が開始されると、音声出力機器5aから誘導音声を出力させる(ステップS41)。そして、警備動作制御部34は、警備装置が警備解除モードへ切替えられたか否かを判断し(ステップS42)、警備解除モードに切替えられた場合(ステップS42:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
一方、警備解除モードに切替えられていない場合(ステップS42:No)、すなわち警備セットモードに設定されたままの場合、警備動作制御部34は、いずれかのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS43)。いずれのセンサも反応していない場合(ステップS43:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断し(ステップS44)、所定時間が経過していない場合(ステップS44:No)、ステップS42に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS44:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS43において、いずれかのセンサが反応している場合(ステップS43:Yes)、警備動作制御部34は、反応しているセンサがアクセスエリアのセンサか否かを判断する(ステップS45)。アクセスエリアのセンサではない場合(ステップS45:No)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高いか否かを判断する(ステップS46)。
人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも低い場合(ステップS46:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS47)。そして、所定時間が経過していない場合(ステップS47:No)、ステップS42に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS47:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS46において、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合(ステップS46:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。
ステップS45において、反応しているセンサがアクセスエリアのセンサである場合(ステップS45:Yes)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高いか否かを判断する(ステップS48)。人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも低い場合(ステップS48:No)、ステップS42に戻って処理を繰り返す。
一方、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合(ステップS48:Yes)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th1以上となっているか否かを判断する(ステップS49)。
人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th1以上である場合(ステップS49:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。一方、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th1未満である場合(ステップS49:No)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、いずれかの開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS50)。異常が発生していないと判断された場合(ステップS50:No)、ステップS42に戻って処理を繰り返す。
一方、異常が発生していると判断された場合(ステップS50:Yes)、警備動作制御部34は、異常が発生した開口部に対応する開口部エリアのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS51)。該開口部エリアのセンサが反応していない場合(ステップS51:No)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。
該開口部エリアのセンサが反応している場合(ステップS51:Yes)、開口部異常判断部35は、異常が発生した開口部の侵入危険度が高いか否かを判断する(ステップS52)。侵入危険度が高くない場合(ステップS52:No)、すなわち侵入危険度が低い場合、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。一方、侵入危険度が高い場合(ステップS52:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「第1威嚇動作」に切替える。
(警告動作)
次に、図8のステップS17における「警告動作」実行時の警備動作制御部34による制御の具体例について、図10を参照して説明する。図10は、「警告動作」および「物理的防御動作」実行時の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、警告動作が開始されると、警備動作制御部34は、誘導動作からの切替えか否かを判断し(ステップS61)、誘導動作からの切替えである場合(ステップS61:Yes)、ステップS63に進む。一方、誘導動作からの切替えでない場合(ステップS61:No)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高いか否かを判断する(ステップS62)。
人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも低い場合(ステップS62:No)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。一方、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合(ステップS62:Yes)、警備動作制御部34は、物理的防御用機器5eを作動させる(ステップS63)。そして、警備動作制御部34は、音声出力機器5aから警告音声を出力させ、限定報知用機器5bを作動させる(ステップS64)。
次に、警備動作制御部34は、警備装置が警備解除モードへ切替えられたか否かを判断し(ステップS65)、警備解除モードに切替えられた場合(ステップS65:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
一方、警備解除モードに切替えられていない場合(ステップS65:No)、すなわち警備セットモードに設定されたままの場合、警備動作制御部34は、いずれかのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS66)。いずれのセンサも反応していない場合(ステップS66:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断し(ステップS67)、所定時間が経過していない場合(ステップS67:No)、ステップS65に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS67:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS66において、いずれかのセンサが反応している場合(ステップS66:Yes)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高いか否かを判断する(ステップS68)。人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも低い場合(ステップS68:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS69)。
そして、所定時間が経過していない場合(ステップS69:No)、ステップS65に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS69:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS68において、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合(ステップS68:Yes)、警備動作制御部34は、いずれかの開口部エリアのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS70)。いずれの開口部エリアのセンサも反応していない場合(ステップS70:No)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、いずれかの開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS71)。異常が発生していないと判断された場合(ステップS71:No)、ステップS65に戻って処理を繰り返す。
一方、異常が発生していると判断された場合(ステップS71:Yes)、警備動作制御部34は、異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアのセンサが反応したか否かを判断する(ステップS72)。該帰属エリアのセンサが反応していない場合(ステップS72:No)、ステップS75の処理に進む。
一方、該帰属エリアのセンサが反応している場合(ステップS72:Yes)、開口部異常判断部35は、異常が発生した開口部の侵入危険度が高いか否かを判断する(ステップS73)。侵入危険度が高くない場合(ステップS73:No)、すなわち侵入危険度が低い場合、ステップS76の処理に進む。一方、侵入危険度が高い場合(ステップS73:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「第2威嚇動作」に切替える。
ステップS70において、いずれかの開口部エリアのセンサが反応している場合(ステップS70:Yes)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、センサが反応した開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS74)。
開口部において異常が発生していない場合(ステップS74:No)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th2a以上となっているか否かを判断する(ステップS75)。人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th2a未満である場合(ステップS75:No)、ステップS65に戻って処理を繰り返す。
一方、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th2a以上である場合(ステップS75:Yes)、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3以下であるか否かを判断する(ステップS76)。人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3以下である場合(ステップS76:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「第1威嚇動作」に切替える。一方、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3を超えている場合(ステップS76:No)、ステップS65に戻って処理を繰り返す。
ステップS74において、開口部に異常が発生している場合(ステップS74:Yes)、開口部異常判断部35は、異常が発生した開口部の侵入危険度が高いか否かを判断する(ステップS77)。侵入危険度が高くない場合(ステップS77:No)、すなわち侵入危険度が低い場合、ステップS76の処理に進む。一方、侵入危険度が高い場合(ステップS77:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作に「攻撃動作」を追加する。
(第1威嚇動作)
次に、図8のステップS22における「第1威嚇動作」実行時の警備動作制御部34による制御の具体例について、図11を参照して説明する。図11は、「第1威嚇動作」実行時の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、第1威嚇動作が開始されると、警備動作制御部34は、音声出力機器5aから威嚇音声を出力させる(ステップS81)。次に、警備動作制御部34は、警備装置が警備解除モードへ切替えられたか否かを判断し(ステップS82)、警備解除モードに切替えられた場合(ステップS82:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
一方、警備解除モードに切替えられていない場合(ステップS82:No)、すなわち警備セットモードに設定されたままの場合、警備動作制御部34は、いずれかのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS83)。いずれのセンサも反応していない場合(ステップS83:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断し(ステップS84)、所定時間が経過していない場合(ステップS84:No)、ステップS82に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS84:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS83において、いずれかのセンサが反応している場合(ステップS83:Yes)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高いか否かを判断する(ステップS85)。人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも低い場合(ステップS85:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS86)。
そして、所定時間が経過していない場合(ステップS86:No)、ステップS82に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS86:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS85において、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合(ステップS85:Yes)、警備動作制御部34は、いずれかの開口部エリアのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS87)。いずれの開口部エリアのセンサも反応していない場合(ステップS87:No)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、いずれかの開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS88)。異常が発生していないと判断された場合(ステップS88:No)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。
一方、異常が発生していると判断された場合(ステップS88:Yes)、警備動作制御部34は、異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアのセンサが反応したか否かを判断する(ステップS89)。該帰属エリアのセンサが反応していない場合(ステップS89:No)、ステップS91の処理に進む。一方、該帰属エリアのセンサが反応している場合(ステップS89:Yes)、ステップS92の処理に進む。
ステップS87において、いずれかの開口部エリアのセンサが反応している場合(ステップS87:Yes)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、センサが反応した開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS90)。開口部において異常が発生している場合(ステップS90:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作に「攻撃動作」を追加する。
一方、開口部において異常が発生していない場合(ステップS90:No)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th2b以上となっているか否かを判断する(ステップS91)。人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th2b未満である場合(ステップS91:No)、ステップS82に戻って処理を繰り返す。
一方、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th2b以上である場合(ステップS91:Yes)、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3以下であるか否かを判断する(ステップS92)。人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3以下である場合(ステップS92:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「第2威嚇動作」に切替える。一方、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3を超えている場合(ステップS92:No)、ステップS82に戻って処理を繰り返す。
(第2威嚇動作)
次に、図8のステップS26における「第2威嚇動作」実行時の警備動作制御部34による制御の具体例について、図12を参照して説明する。図12は、「第2威嚇動作」実行時の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、第2威嚇動作が開始されると、警備動作制御部34は、周囲報知用機器5cを作動させる(ステップS101)。次に、警備動作制御部34は、警備装置が警備解除モードへ切替えられたか否かを判断し(ステップS102)、警備解除モードに切替えられた場合(ステップS102:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
一方、警備解除モードに切替えられていない場合(ステップS102:No)、すなわち警備セットモードに設定されたままの場合、警備動作制御部34は、いずれかのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS103)。いずれのセンサも反応していない場合(ステップS103:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断し(ステップS104)、所定時間が経過していない場合(ステップS104:No)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS104:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS103において、いずれかのセンサが反応している場合(ステップS103:Yes)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高いか否かを判断する(ステップS105)。人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも低い場合(ステップS105:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS106)。
そして、所定時間が経過していない場合(ステップS106:No)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS106:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS105において、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合(ステップS105:Yes)、警備動作制御部34は、いずれかの開口部エリアのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS107)。いずれの開口部エリアのセンサも反応していない場合(ステップS107:No)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、いずれかの開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS108)。
異常が発生していると判断された場合(ステップS108:Yes)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。一方、異常が発生していないと判断された場合(ステップS108:No)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。
ステップS107において、いずれかの開口部エリアのセンサが反応している場合(ステップS107:Yes)、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、センサが反応した開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS109)。開口部において異常が発生している場合(ステップS109:Yes)、警備動作制御部34は、ステップS111に進む。
一方、開口部において異常が発生していない場合(ステップS109:No)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th4以上となっているか否かを判断する(ステップS110)。人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th4未満である場合(ステップS110:No)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。
一方、人間に対応する確信度加重和が予め定めた閾値Th4以上である場合(ステップS110:Yes)、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3以下であるか否かを判断する(ステップS111)。人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3以下である場合(ステップS111:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作に「攻撃動作」を追加する。一方、人間以外の物体カテゴリに対応する確信度が閾値Th3を超えている場合(ステップS111:No)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。
(攻撃動作)
次に、図8のステップS29における「攻撃動作」実行時の警備動作制御部34による制御の具体例について、図13を参照して説明する。図13は、「攻撃動作」実行時の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、警備動作制御部34は、直前の警備動作が第1威嚇動作であるか否かを判断する(ステップS121)。第1威嚇動作である場合(ステップS121:Yes)、ステップS124の処理に進む。一方、第1威嚇動作でない場合(ステップS121:No)、警備動作制御部34は、直前の警備動作が第2威嚇動作であるか否かを判断する(ステップS122)。
第2威嚇動作である場合(ステップS122:Yes)、ステップS125の処理に進む。一方、第2威嚇動作でない場合(ステップS122:No)、警備動作制御部34は、音声出力機器5aから威嚇音声を出力させる(ステップS123)。そして、警備動作制御部34は、周囲報知用機器5cを作動させ(ステップS124)、攻撃用機器5dを作動させる(ステップS125)。
次に、警備動作制御部34は、警備装置が警備解除モードへ切替えられたか否かを判断し(ステップS126)、警備解除モードに切替えられた場合(ステップS126:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
一方、警備解除モードに切替えられていない場合(ステップS126:No)、すなわち警備セットモードに設定されたままの場合、警備動作制御部34は、いずれかのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS127)。いずれのセンサも反応していない場合(ステップS127:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断し(ステップS128)、所定時間が経過していない場合(ステップS128:No)、ステップS126に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS128:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS127において、いずれかのセンサが反応している場合(ステップS127:Yes)、警備動作制御部34は、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高いか否かを判断する(ステップS129)。人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも低い場合(ステップS129:No)、警備動作制御部34は、所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS130)。
そして、所定時間が経過していない場合(ステップS130:No)、ステップS126に戻って処理を繰り返す。一方、所定時間が経過した場合(ステップS130:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を終了する。
ステップS129において、人間に対応する確信度が他の物体カテゴリに対応する確信度よりも高い場合(ステップS129:Yes)、警備動作制御部34は、いずれかの開口部エリアのセンサが反応しているか否かを判断する(ステップS131)。いずれかの開口部エリアのセンサが反応している場合(ステップS131:Yes)、ステップS126に戻って処理を繰り返す。
一方、いずれの開口部エリアのセンサも反応していない場合(ステップS131:No)、警備動作制御部34は、攻撃用機器5dを停止する(ステップS132)。そして、開口部異常判断部35は、開口部異常検知機器6により送出された検知情報から、いずれかの開口部において異常が発生しているか否かを判断する(ステップS133)。異常が発生していないと判断された場合(ステップS133:No)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。
一方、異常が発生していると判断された場合(ステップS133:Yes)、警備動作制御部34は、異常が発生した開口部に対して異常を発生させることが可能な帰属エリアのセンサが反応したか否かを判断する(ステップS134)。該帰属エリアのセンサが反応していない場合(ステップS134:No)、警備動作制御部34は、警備動作を「警告動作」に切替える。一方、該帰属エリアのセンサが反応している場合(ステップS134:Yes)、警備動作制御部34は、警備動作を「第2威嚇動作」に切替える。
[確信度の算出]
以上、警備動作制御部34による警備動作の切替えについて具体例を挙げながら詳細に説明したが、次に、警備動作を切替える際の判定の基準の1つとして用いられる確信度を算出する方法の具体例について、詳細に説明する。確信度の算出手法については、特開2011−113411号公報に詳述されている手法を用いる。
なお、以下では、建物の敷地を、門扉エリアと、囲障エリアと、アクセスエリアと、プライベートエリアと、開口部エリアとに分けて(図15参照)、位置モデル、行動モデル、およびセンサモデルを表した判断モデルを用いた例をあげて説明する。一方、上記実施の形態では、建物の敷地を、門扉エリアと、アクセスエリアと、開口部エリアとに分けており、エリアの分け方の相違のみであるため、下記の例の確信度算出方法を容易に適用することができる(図7参照)。
また、以下では、門扉エリア、囲障エリア、アクセスエリア、プライベートエリア、開口部エリアの5つの検知対象領域にエリア分けし、それぞれのエリアにセンサ1a〜1fを設置した例(図20参照)をあげて説明する。一方、上記実施の形態では、上述したように、門扉センサ、アクセスエリアのセンサ、開口部エリアS0〜S6を検知対象として設置された開口部センサなどを設置しており、下記の例の確信度算出方法を容易に適用することができる。
また、以下に記載する確信度の算出方法は一例であるため、以下の算出方法に限定されることはなく、他の算出方法により確信度を算出する構成としてもよい。
本実施形態にかかる警備装置において、制御装置3の確信度算出部32が算出する物体カテゴリごとの確信度は、上述したように、各物体カテゴリに属する物体がセンサ反応要因となっている確からしさを表す値である。ここで、本実施形態では、物体カテゴリとして人間、小動物、無生物を想定しており、これらの行動は画一的ではない。つまり、これらの物体カテゴリに属する物体が毎回全く同じ行動を取るとは考えられず、移動経路や移動速度などは毎回変化するものと考えられる。したがって、各物体カテゴリの行動モデルとして決定的な単一モデルを構築することは困難であり、確率的な行動モデルを構築することが必要となる。そこで、本実施形態にかかる警備装置では、ダイナミックベイジアンネットワークを利用した確率モデルを構築し、ダイナミックベイジアンネットワークを利用した確率推論によって、各物体カテゴリに属する物体がセンサ反応要因となっている確からしさを表す確信度を算出する。
すなわち、本実施形態にかかる警備装置では、ダイナミックベイジアンネットワークを利用した確率推論を実行するために、各種の物体カテゴリごとの行動の選択基準(行動モデル)を確率モデルによって構築し、また、センサの反応と物体の行動との関係性をセンサモデルとして行動モデルと同様の確率モデルによって構築する。そして、これら二つの確率モデルと、上述した複数の検知対象領域の位置を表す位置モデルとを組み合わせた「判断モデル」を利用することによって、時系列で得られるセンサ反応信号からセンサ反応要因を推定できるようにしている。
(ダイナミックベイジアンネットワーク)
以下では、まず、判断モデルに用いるダイナミックベイジアンネットワークの概要について説明する。ダイナミックベイジアンネットワークとは、観測された事象からその原因を推定する確率モデルであるベイジアンネットワークを時間軸に展開したものである。
ベイジアンネットワークは、事象を構成する複数の要素間の因果関係を視覚的に表現し、それらの因果関係を条件付確率で表したものである。つまり、ベイジアンネットワークは、図14に示すように、事象を構成する各要素を確率変数で表されるノードとして表し、因果関係を有する各ノード間を有向辺(矢印)で結んで、ノード間の因果関係を条件付確率で定義したモデルとして表現される。図14に示した例では、事象を構成するノードAとノードBの因果関係が条件付確率P(B|A)として与えられ、ノードBとノードCの因果関係が条件付確率P(C|B)として与えられる。なお、先頭のノードAには、このノードに接続される矢印がなく、条件付確率を定義できないので、このノード自体の確率変数で定まる事前確率P(A)を与える。このような事前確率と条件付確率によって表現される図14のモデルは、下記の式(1)に示すような数式によって表すことができる。
P(A,B,C)=P(A)P(B|A)P(C|B) ・・・(1)
以上のようなベイジアンネットワークにおいて、あるノードに対して当該ノードに接続される矢印の起点となるノードは、一般に親ノードと呼ばれている。ここで、あるノードXに対する親ノードをPa(X)と表し、ノードがn個あるモデルを一般式で表現すると、下記の式(2)のようになる。
ベイジアンネットワークでは、上述したように、事象を構成する各要素間の因果関係を条件付確率によって定義するが、各要素の実現値は離散的に表現するのが一般的である。図14に示した例において、ノードAとノードBの因果関係を表す条件付確率P(B|A)は、図15に示すような条件付確率表によって表現される。この図15の条件付確率表では、ノードAが「1」のときにノードBが「1」となる確率は0.6、ノードAが「1」のときにノードBが「0」となる確率は0.4、ノードAが「0」のときにノードBが「1」となる確率は0.1、ノードAが「0」のときにノードBが「0」となる確率は0.9であることを示している。ベイジアンネットワークでは、各ノード間の条件付確率としてそれぞれ以上のような条件付確率表を用意してネットワーク全体のモデルを構築する。
ベイジアンネットワークを利用した原因の推定は、観測できる要素を固定して未知の要素の全てのパターンの組み合わせを考えることで行う。例えば、図14に示した例において、ノードCが「1」であることが観測された場合、ノードCが「1」という結果が、ノードAが「1」であることに起因するものかどうかを推定するには、ノードAが「1」の条件下でノードBが「1」となってノードCが「1」となる確率と、ノードAが「1」の条件下でノードBが「0」となってノードCが「1」となる確率の和を計算する。以上を数式で表すと、下記の式(3)のようになる。
P(C=1|A=1)=α(P(A=1)P(B=1|A=1)P(C=1|B=1)+P(A=1)P(B=0|A=1)P(C=1|B=0))
=α(ΣBP(A=1)P(B|A=1)P(C=1|B)) ・・・(3)
ここで、αは正規化定数であり、C=1の場合のA=0の確率との正規化を行う定数である。
以上のように、ベイジアンネットワークでは、観測できる要素の値を固定して観測できない未知の要素の全ての実現値分のパターンの確率の和を求めることで原因の確率を求めることができ、原因の推定が可能となる。
以上説明したベイジアンネットワークは、時間軸を考慮しない静的なモデルである。したがって、本実施形態にかかる警備装置のように、時々刻々とセンサ反応信号が得られるような対象への適用を考えた場合には、時系列に対応したモデルを構築する必要がある。そこで、ベイジアンネットワークを時間軸に展開したモデルであるダイナミックベイジアンネットワークを利用する。
ダイナミックベイジアンネットワークは、図16に示すように、一つの基本的なモデルをユニットとして、観測結果が得られるごとに時々刻々とユニットが追加され、増大していくモデルとなっている。このようなダイナミックベイジアンネットワークを利用した推定方法は、基本的には上述したベイジアンネットワークを利用した推定方法と同様であり、観測結果が得られるたびにノード数が増えていくだけである。
図16に示した例では、1回目の観測結果O1が得られたときのモデルは図17のようになる。この図17のモデルを上記の式(1)のように表すと、下記の式(4)のようになる。
P(X0,X1,O1)=P(X0)P(X1|X0)P(O1|X1) ・・・(4)
ここで、X1の状態の推定を行うことを考える。O1は観測結果のため固定し、未知の要素はX0となる。上記の式(3)を利用すると、下記の式(5)のとおりに計算することによってX1の状態の推定値を得ることができる。
P(X1|O1)=ΣX0P(X0)P(X1|X0)P(O1|X1)
=P(O1|X1)ΣX0P(X0)P(X1|X0) ・・・(5)
次に、2回目の観測時点では、図18に示すように、X2とO2のノードが追加されたモデルとなる。この図18に示すモデルをこれまでと同様に数式で表すと、下記の式(6)のようになる。
P(X0,X1,X2,O1,O2)=P(X0)P(X1|X0)P(O1|X1)P(X2|X1)P(O2|X2) ・・・(6)
ここで、X2の状態の推定値は、未知の要素がX0およびX1であるため、下記の式(7)のとおりに計算することで得ることができる。
P(X2|O1,O2)=ΣX0ΣX1P(X0)P(X1|X0)P(O1|X1)P(X2|X1)P(O2|X2)
=P(O2|X2)ΣX1P(O1|X1)P(X2|X1)ΣX0P(X0)P(X1|X0) ・・・(7)
ダイナミックベイジアンネットワークでは、新たな観測結果が得られるたびにモデルにユニットを追加して上述のように計算を行うことによって、時系列で得られる観測結果からその原因を推定することが可能となる。ただし、時々刻々とユニットを追加していけば、ある時間が経過すると非常に巨大なモデルとなり、それだけ計算量が増大して実用に値しないものとなる虞がある。そこで、ダイナミックベイジアンネットワークを利用した因果関係の推定を行う場合には、下記の式(8)に示すような再帰的な計算を行うことによって計算量の増大を抑えるようにすることが望ましい。
P(Xt+1|O1,O2,・・・,Ot+1)=P(Ot+1|Xt+1)ΣXtP(Xt+1|Xt,O1,O2,・・・,Ot)P(Xt|O1,O2,・・・,Ot)
=P(Ot+1|Xt+1)ΣXtP(Xt+1|Xt)P(Xt|O1,O2,・・・,Ot) ・・・(8)
この式(8)において、最後の項が前のタイミングでの推定値である。このように、前のタイミングの推定値を用いた再帰的な計算を行うことによって、計算量の増大を有効に抑制することが可能となる。
(判断モデル)
次に、確信度の算出に用いられる判断モデルについて、さらに詳しく説明する。図19は、判断モデルの概要を示すモデル図である。判断モデルは、図19に示すように、ダイナミックベイジアンネットワークを利用した確率モデルであり、大きく分けて、位置モデルと、行動モデルと、センサモデルの3つのモデルから構成されている。このうち、行動モデルとセンサモデルは、図15に示したような条件付確率表で表現される確率モデルである。なお、図19の判断モデルでは、各ノードの添え字の部分が観測時間を表し、“0”は初期状態を表している。この判断モデルは時系列の変化を表したモデル(ダイナミックベイジアンネットワーク)であり、図20に示すように、初期状態の基本モデルに対して、添え字が共通する部分がユニットとして観測タイミングごとに追加されていくものである。以下、この判断モデルを構成する位置モデル、行動モデル、センサモデルについて、具体例を挙げながら説明する。
(位置モデル)
位置モデルは、センサ1を用いた物体検知の対象となる複数の検知対象領域の位置を表すモデルである。すなわち、監視領域となる建物の敷地構造を周辺状況等によって複数の抽象的なエリアに分け、各エリアをそれぞれ検知対象領域とする。このときの各エリアの位置を位置モデルとして表現する。具体的には、一般的な建物の敷地構造は、例えば図21に示すように、門扉エリアと、囲障エリアと、アクセスエリアと、プライベートエリアと、開口部エリアとに分けることができ、これら各エリアの位置を位置モデルとして表す。なお、図21の門扉エリアは図7の門扉エリアに相当し、図21のアクセスエリアは図7のアクセスエリアに相当し、図21の開口部エリアは図7の開口部エリアS0〜S6に相当する。
ここで、図21に例示する位置モデルの各エリアは、次のような意味を持つ。
門扉エリア:外部からの通常のアクセスが行われるエリアであり、門扉は通常閉じられており、開閉はレバーを引く等の動作を要するものとする。
囲障エリア:囲障(塀)の部分を表している。
アクセスエリア:通常の外部から入ってくる人間が建物の玄関へ向かうのに通過するエリアである。
プライベートエリア:アクセスエリアと空間的には繋がっているが、門扉から玄関までのルートを外れた庭の奥の部分の空間を表す。
開口部エリア:建物の開口部及びその手前部分の空間を表す。
(行動モデル)
行動モデルは、予め定めた複数の物体カテゴリごとに、各物体カテゴリに属する物体の行動様式を表した確率モデルである。すなわち、行動モデルは、各物体カテゴリに属する物体が上記の位置モデルで表現される建物敷地内をどのような行動を取りながらどのように移動していくのかを、図15に示したような条件付確率表の形で表現したモデルである。本実施形態で想定する判断モデルは、図19に示したように、行動モデルの部分の要素間を繋ぐ矢印が、物体行動(At)と物体位置(Xt)の2種類のノードに向かっている。したがって、行動モデルは、各物体カテゴリに属する物体の行動の遷移を表現する条件付確率表と、各物体カテゴリに属する物体の位置の遷移を表現する条件付確率表との2つの条件付確率表によって表される。
ここで、それぞれの条件付確率表について説明する前に、図19に示した判断モデル(ダイナミックベイジアンネットワーク)のノードとなる物体カテゴリと物体行動および物体位置の具体的な実現値の例を説明する。
物体カテゴリは、センサ反応要因の分類であり、本実施の形態では、人間、小動物、無生物の3つのカテゴリとしている。なお、ここで無生物とは、小動物以外のセンサ誤報の要因となり得るものを総称したカテゴリであり、例えば、太陽光や風、ゴミ袋等の飛来物などである。
物体行動は、物体カテゴリが取り得る行動を分類したものであり、本実施の形態では、消失、進入、移動、滞在の4つの行動に分類している。ここで消失とは、敷地外から消える動作であり、外部に離脱するような動きをいう。また、進入とは、外部から敷地内部に入ってくる動作をいう。また、移動とは、敷地内を移動する動作をいう。また、滞在とは、敷地内の現在位置からほとんど動かない動作をいう。
物体位置は、図21に示したように、上記の位置モデルにおいて表現された敷地内のそれぞれのエリアを表したものである。
次に、行動モデルを表現する2つの条件付確率表について説明する。図22は、物体の行動の遷移を表現する条件付確率表の具体例を示し、図23は、物体の位置の遷移を表現する条件付確率表の具体例を示している。
物体の行動の遷移を表現する条件付確率表とは、物体が前に選択した行動によって敷地内のある位置に存在しているとの条件の下で、次に選択する行動の確率を表現したものである。言い換えると、物体がある行動を取って現在の位置にいるときに、続けてどの行動を選択するのかという確率を表している。このような行動の遷移の条件付確率を式で表すと、P(行動|物体,現在位置,前行動)となる。この条件付確率を、上述した物体行動の分類と図21に示した位置モデルとを用いて図15に示したような条件付確率表として表すことにより、図22に示すような物体の行動の遷移を表現する条件付確率表が得られる。
物体の位置の遷移を表現する条件付確率表とは、物体が前のタイミングで存在していた位置においてある行動を取ったとの条件の下で、現在存在する位置はどこなのかを確率で表現したものである。言い換えると、物体が前にいた位置である行動を取った後に、どの位置にいるのかという確率を表している。このような位置の遷移の条件付確率を式で表すと、P(位置|物体,前位置,前行動)となる。この条件付確率を、上述した物体行動の分類と図21に示した位置モデルとを用いて図15に示したような条件付確率表として表すことにより、図23に示すような物体の位置の遷移を表現する条件付確率表が得られる。
ところで、初期状態の判断モデル(図20の左側に示す基本モデル)では、前のタイミングでの行動や位置のノードが存在しないため、図22や図23に示した条件付確率表をそのまま適用することはできない。そこで、このような初期状態に対応した条件付確率表、つまり、センサ1が最初に反応した場合に適合する条件付確率表を別に用意しておく。
初期状態の位置については、センサ1の反応要因となる物体が最初に建物敷地内のどこに存在するか(初期位置)を条件付確率P(位置|物体)として表すことができ、これを図15に示したような条件付確率表として表すと、図24に示すような初期位置の条件付確率表が得られる。また、初期状態の行動については、センサ1の反応要因となる物体が最初にどのような行動をとるか(初期行動)を条件付確率P(行動|物体,現在位置)として表すことができ、これを図15に示したような条件付確率表として表すと、図25に示すような初期行動の条件付確率表が得られる。
なお、図19に示した判断モデルにおいては、物体カテゴリ(Ct)を表すノード間が矢印で繋がっているため、この物体カテゴリを表すノード間の因果関係についての条件付確率を定義する必要があるが、物体が動いている最中に変化することはないと考えられる(例えば人間が小動物に変化するといったことはない)ため、前の物体と現在の物体が等しい確率を1.0、変化する確率を0として与えておけばよい。
(センサモデル)
センサモデルは、物体が存在する位置と複数のセンサ1の反応との関係を表した確率モデルである。すなわち、センサモデルは、物体がある位置に存在した場合に、各センサ1がどのように反応するのかを表している。図19に示した判断モデルのセンサモデル部分に示すように、センサモデルは、物体位置(Xt)のノードと観測結果であるセンサ反応信号(Ot)のノード間が矢印で結ばれた形をしており、条件付確率P(センサ|位置)によって定義される。なお、センサ反応信号は反応/無反応の2値をとるものとしている。以下、具体例を挙げながらセンサモデルについてさらに詳しく説明する。
監視領域となる建物の敷地内を図21に示したように門扉エリア、囲障エリア、アクセスエリア、プライベートエリア、開口部エリアの5つの検知対象領域にエリア分けし、図26に示すように、門扉エリアには屋外開閉センサ1a、囲障エリアには2つの対向式赤外線センサ1b,1c、アクセスエリアには屋外空間センサ1d、プライベートエリアには屋外空間センサ1e、開口部エリアには滞留検知センサ1fがそれぞれ設置されているものとする。なお、屋外開閉センサ1aは門扉の開閉を検知するセンサであり、対向式赤外線センサ1b,1cは赤外線ビームの遮断を検知するセンサである。また、屋外空間センサ1d,1eは焦電素子を用いたパッシブ型の赤外線センサであり、滞留検知センサ1fは赤外線の反射を利用して物体の有無や物体までの距離を検知するセンサである。これら各センサ1a〜1fの検知エリアは、図26中のハッチングを付した領域となる。
以上のように住宅の敷地内にセンサ1a〜1fを設置したとの仮定のもとで、条件付確率P(センサ|位置)を図15に示したような条件付確率表として表すことにより、図27に示すようなセンサモデルの条件付確率表が得られる。各センサ1a〜1fから得られるセンサ反応信号は上述したように反応/無反応の2値であり、図27に示す条件付確率表では反応を示す確率が示される。この図27に示す条件付確率は、敷地内のある位置に物体が存在したときに、どのセンサが反応するかを表現したものである。
なお、このセンサモデルの条件付確率表では、敷地内のいずれかのエリア(検知対象領域)に物体が存在するにも関わらずセンサ1a〜1fのいずれも反応しない無反応の状態となる確率も与えている。これは、位置モデルによって定義される各エリア(検知対象領域)をセンサ1a〜1fの検知エリアで完全に覆うことは困難であることや、検知エリア内に物体が存在してもセンサ1a〜1fが誤って反応しない(失報)場合があることを考慮したものである。このようにセンサモデルの条件付確率表に無反応の状態の確率を与えておくことにより、位置モデルによって定義される敷地内のエリア全てをセンサ1の検知エリアで覆う必要はなくなり、また、センサ1が誤って反応しなかった場合にも対応することが可能となる。
以上のように、確信度の算出に用いる判断モデルは、監視領域となる建物の敷地をエリア分けして位置モデルを生成するとともに、行動モデルを表現する4つの条件付確率表(図22〜図25)と、センサモデルを表す条件付確率表(図27)とを作成することによって構築されるものである。判断モデルを構成する上記の5つの条件付確率表は、人間(侵入者)や小動物、無生物の行動パターンやそれに応じたセンサ反応状態を数値に変換したものであり、設計者が予め作成しておくものであるが、経験的に得られる警備に関するノウハウを利用してこれらの条件付確率表を作成することによって、警備装置に適用する上で最適な判断モデルを構築することができる。以下、警備に適した判断モデルを構成する条件付確率表の具体的な作成基準の一例について説明する。
(人間の行動パターン)
まず、人間の行動パターンについて、基本的な考え方として次のような仮定をおく。
「人間は地面を移動し(空を飛ばない)、敷地外から敷地内へ移動する。敷地内においても地面を移動し、建物へ向かう。」
このような仮定をおくため、図24に示した初期位置の条件付確率表では、人間が敷地内部のエリア(アクセスエリア、プライベートエリア、開口部エリア等)に初期状態で存在する確率は0とする。
また、上述した物体行動の定義から、「進入」は敷地外から敷地内へ移動することと定義しているため、図25に示した初期行動の条件付確率表では、門扉エリアと囲障エリア以外のエリアでは、人間の初期行動が「進入」である確率を0としている。同様に、図22に示した行動遷移の条件付確率表では、前のタイミングでの行動に拠らず敷地内部のエリア(アクセスエリア、プライベートエリア、開口部エリア等)に存在している状態で人間が「進入」を選択する確率を0としている。また、図23に示した位置遷移の条件付確率表では、図21に示した位置モデルにおいて、進入の直後に玄関前に存在することは不可能であるため(距離が離れすぎている)、前行動が「進入」の場合に人間が開口部エリアに存在する確率を0としている。
以上は、物体行動や物体位置の定義のもとで人間の物理的な挙動に関して明示的な行動パターンに関して述べたものである。図22〜図25に示した条件付確率表の他の部分に関しては、侵入者等の人間の行動に関して警備のノウハウを応用する。以下では、その例を簡単に説明する。
侵入者は、周囲から見られることを嫌悪する傾向が強く現れる。そのため、見通しが悪い箇所や見られたとしても周囲から怪しまれない箇所/行動、極度に短時間で目的が達成される箇所/行動を好む傾向にある。そのため、図24に示した初期位置の条件付確率表では、人間の初期位置の確率として、「囲障」よりも「門扉」を高く設定している。これは、門扉を開けることは通常の訪問者のようで怪しまれにくい上に、乗り越えるよりも短時間で敷地内へ入ることができると考えられるからである。ただし、門扉自体が強固な場合や、門扉が頑丈に施錠されている場合、門扉が高い場合等においては、人間の初期位置の確率として「門扉」よりも「囲障」のほうを高く設定することが好ましい場合もある。
同様に、門扉周辺に滞在することは周囲から見つかり怪しまれるリスクを負うことになるため、図22に示した行動遷移の条件付確率表では、前のタイミングでの行動に拠らず門扉エリアに存在している人間がとる行動として、「滞在」よりも「移動」を選択する確率を高く設定している。
また、アクセスエリアは門扉から直接繋がったエリアであり、門扉が格子状であるような場合にはアクセスエリアの見通しがよくなる。そのため、図22に示した行動遷移の条件付確率表では、アクセスエリア内では人間が「滞在」を選択する確率を低く設定しており、「移動」を選択する確率を高く設定している。また、プライベートエリアは周囲を囲障で囲まれており滞在しても周囲から見られるリスクが低いため、プライベートエリアに存在している人間が「滞在」を選択する確率は、アクセスエリアに存在している場合より高く設定する。
人間は建物の中を目指して進み、建物内へ入るには開口部を通る。そのため、人間は開口部エリアに向かう。したがって、開口部エリア以外のエリアでは人間が「移動」を選択する確率が全体的に高く、逆に、開口部エリアでは人間が「滞在」を選択する確率が高い。図23に示した位置遷移の条件付確率表は、物体の移動の方向性を表している。侵入者は見通しが悪いエリアを移動しながら、見通しが悪く侵入しやすい開口部エリアへ向かうように位置を遷移する。このため、図23に示した位置遷移の条件付確率表では、侵入者が好むエリアへ進むように人間の位置の遷移確率を与える。
以上のような基準に従って人間の位置や行動に関する条件付確率を定めるが、これらは警備対象となる住宅の物理的な構造や周辺環境に依存して調整する。例えば、囲障が1m程度であれば、乗り越える方が短時間で済む場合があり、そのような建物の場合には、図24に示した初期位置の条件確率表において、人間の初期位置が「囲障」である確率を高めるようにする。
(小動物の行動パターン)
小動物についても、人間の場合と同様に「地面を移動し(空を飛ばない)、敷地外から敷地内へ移動する。敷地内においても地面を移動する。」との仮定をおく。このような仮定をおくため、図24に示した初期位置の条件付確率表では、小動物の初期位置が「囲障」である確率を高く設定している。なお、小動物は門扉を開閉することがないと考えられるため、門扉エリアに存在する確率は0としている。
その他の条件付確率表では、「小動物はランダムに行動を選択し、方向性の定めがなく移動する。」との仮定をおいて、それぞれの条件付確率表の小動物に関する項目を埋めていく。
(無生物のパターン)
無生物は、ゴミ袋等の飛来物のほか、風や太陽光線などの自然要因がある。したがって、敷地内のどの位置も無生物の初期位置となり得るが、その確率は各エリアの大きさに依存することとなる。このため、図24に示した初期位置の条件付確率表では、無生物の初期位置の確率の大小を各エリアの大きさに応じて設定している。
また、無生物は移動することがほとんどないと考えられるため、「移動」を選択する確率はどのような状態(位置、前のタイミングの行動)でも非常に小さい確率を与える。また、無生物はその要因自体がなくなる場合(太陽光が雲で覆われる場合や日が傾く等)があるため、行動として「消失」を選択する確率を高く設定する。以上のような考え方に従って、図22〜図25に示した条件付確率表の無生物に関する項目を埋めていく。
(センサ反応信号のパターン)
センサ反応信号は、物体の行動パターンによって変化するものではなく、センサ1の種類や検知エリアの大きさ、センサ1の設置位置に依存して反応の確率が変化する。図27に示したセンサモデルの条件付確率表は、物体がある位置Xに存在したときにどのセンサが反応するかを表したものであり、図26に示した例において、物体が存在しているエリアに設置されているセンサ以外のセンサが反応する確率を0としている。
また、図27に示したセンサモデルの条件付確率表では、上述したように、センサ1の種類に応じて、物体が存在するのに誤って反応しないような確率を「無反応」の確率として与えている。図26に示した例では、門扉エリアに設置した屋外開閉センサ1aや、囲障エリアに設置した対向式赤外線センサ1b,1c、開口部エリアに設置した滞留検知センサ1fは、誤って反応しない場合が非常に少ないと想定しているため、無反応の確率を非常に小さな値に設定している。逆に、アクセスエリアやプライベートエリアに設置する屋外空間センサ1d,1eは誤って反応しない確率はある程度高いことを想定しているため、無反応の確率を他のセンサよりも高く設定している。
ところで、図26に示した例では、位置モデルによって定義される各エリア(検知対象領域)がセンサ1a〜1fの検知エリアによってほぼ覆われていることを想定しているが、実際には、センサ1の検知エリアで全てのエリア(検知対象領域)を完全に覆うことは困難な場合が多い。そこで、このような場合には、位置モデルによって定義されるエリア内ではあるがセンサ1の検知エリアからは外れている位置に物体が存在する可能性も考慮して、センサモデルの条件付確率表における「無反応」の確率を定める。
具体的な例を挙げて説明すると、例えば図28に示すように、監視領域となる建物の敷地に、アクセスエリアの一部を検知エリアとする屋外空間センサ1g、アクセスエリアの一部とプライベートエリアの一部とを検知エリアとする屋外空間センサ1h、プライベートエリアの一部を検知エリアとする屋外空間センサ1iがそれぞれ設置されているものとする(図中のハッチングを付した領域が各センサ1g〜1iの検知エリアを示している。)。この図28に示す例では、特にプライベートエリアにおいてセンサ検知エリアから外れる領域が広くなっているため、プライベートエリアに物体が存在しても、無反応の状態となる確率が高い。そこで、センサモデルの条件付確率表では、位置がプライベートエリアの場合に、そのセンサ検知エリアから抜けている面積に応じて確率を低く設定する。図29は、このような場合のセンサモデルの条件付確率表の一例を示している。なお、ここでは簡単のために、アクセスエリアとプライベートエリアのみに焦点を絞って記述している。
また、図28に示した例では、屋外空間センサ1hがアクセスエリアとプライベートエリアにまたがって設置されている。この場合には、アクセスエリアとプライベートエリアのどちらに物体が存在しても屋外空間センサ1hが反応する場合がある。そのため、図29に示したセンサモデルの条件付確率表では、物体の位置がアクセスエリアとプライベートエリアのどちらの場合にも屋外空間センサ1hの確率を0にせず、各エリアにどれほどセンサの検知エリアがかかっているかに応じた確率を与える。
(確信度の算出)
次に、制御装置3の確信度算出部32において、センサ1の反応信号の時系列データと上述した判断モデルとを用いて、物体カテゴリごとにセンサ反応要因となっている確信度を算出する手法について説明する。
ベイジアンネットワークを利用した原因推定の計算式は、上記の式(3)で示したように、条件付確率の積と和で構成されている。センサ反応要因推定アルゴリズムにおいて、図19に示したような判断モデルを利用して確信度の算出を行うために、上記の式(3)を図19の判断モデルに適用すると、下記の式(9)のようになる。
P(C0=c|O0=o)=α(P(C0=c)ΣXΣAP(A0|C0=c,X0)P(X0|C0=c)P(O0=o|X0)) ・・・(9)
また、2回目以降の観測値が得られた際の確信度の計算式は、下記の式(10)のように、再帰的な計算を行う計算式として表される。
P(C=c|Ot=ot,Ot-1=ot-1,Ot-2=ot-2,・・・)
=α((ΣXtΣAtΣXt−1ΣAt−1P(At|C=c,Xt,At-1)P(Xt|C=c,At-1,Xt-1)P(Ot=ot|Xt))P(C=c|Ot-1=ot-1,Ot-2=ot-2,・・・)) ・・・(10)
なお、上記の式(9)および式(10)において、Cは物体カテゴリを表し、Oはセンサ反応信号(反応したセンサ)を表している。また、Aは物体の行動を表し、Xは物体の存在する位置を表している。また、各変数の添え字は観測タイミングを表し、添え字の“0”は初期状態を表している。また、ΣA(・・・)は行動Aに関して総和をとるという意味であり、ΣX(・・・)は位置Xに関して総和をとるという意味である。
上記の式(9)では、初期行動の条件付確率を表すP(A0|C0=c,X0)に関して図25に示したような条件付確率表から値を参照し、初期位置の条件付確率を表すP(X0|C0=c)に関して図24に示したような条件付確率表から値を参照し、センサモデルの条件付確率を表すP(O0=o|X0)に関して図27に示したような条件付確率表から値を参照することによって、初期状態のセンサ反応信号としてoが観測された際にその反応要因の物体カテゴリがcである確信度P(C0=c|O0=o)を算出することができる。
また、上記の式(10)では、行動遷移の条件付確率を表すP(At|C=c,Xt,At-1)に関して図22に示したような条件付確率表から値を参照し、位置遷移の条件付確率を表すP(Xt|C=c,At-1,Xt-1)に関して図23に示したような条件付確率表から値を参照し、センサモデルの条件付確率を表すP(Ot=ot|Xt)に関して図27に示したような条件付確率表から値を参照し、前回の計算結果P(C=c|Ot-1=ot-1,Ot-2=ot-2,・・・)を用いた再帰的な計算をすることによって、2回目以降のセンサ反応信号としてoが観測された際にその反応要因の物体カテゴリがcである確信度P(C=c|Ot=ot,Ot-1=ot-1,Ot-2=ot-2,・・・)を算出することができる。
ここで、図26に示した例において、初期状態のセンサ反応信号として門扉エリアに設置した屋外開閉センサ1aの反応が観測された場合に、そのセンサ反応要因が人間である確信度を算出する場合を想定して上記の式(9)を具体化すると、下記の式(11)のようになる。
上記の式(11)から分かるように、知りたい物体カテゴリと観測で得たセンサ反応の部分は固定し、行動Aと位置Xの組み合わせを変えた全てのパターンの確率の総和をとっている。それぞれの条件付確率は、図22〜図25、図27に示したような条件付確率表に照らし合わせることで即座に具体的な数値が割り当てられ、それらの数値を使って確信度を算出する。
なお、上記の式(9)〜式(11)において、右辺の先頭にあるαは正規化定数であり、cを人間、小動物、無生物と3つの物体カテゴリで変化させたときに算出される3つの値の和を1.0とするような係数である。実際の計算上は、αを考慮しないで上記の式を使って3つの物体カテゴリごとにそれぞれ確信度を計算し、3つの値が得られた後に、それぞれの値を3つの値の和で割ることで確信度を得る。
(確信度算出の具体例)
次に、図30および図31に示す物体の行動パターンを想定し、物体カテゴリごとの確信度を算出する具体例について説明する。図30は、不審者が囲障エリアからアクセスエリアに侵入し、そのまま開口部エリア(玄関)へ向かった場合の例である。センサの反応としては、{囲障エリア、アクセスエリア、開口部エリア}と3回反応したとする。一方、図31は、小動物が図30と同様に囲障を乗り越えてアクセスエリアに進入し、そのまま囲障エリアから外へ抜けた場合の例である。この場合のセンサの反応としては、{囲障エリア、アクセスエリア、囲障エリア}となる。
物体カテゴリごとの確信度の算出は、センサ反応の1回目については上記の式(9)と図24、図25、図27に示したような条件付確率表を利用して計算する。2回目のセンサ反応からは、計算量が増えないよう上記の式(10)と図22、図23、図27に示したような条件付確率表を利用して再帰的に計算する。
図30の例において物体カテゴリごとに確信度を算出した場合の結果を図32に示す。また、図31の例において物体カテゴリごとに確信度を算出した場合の結果を図33に示す。これら図32および図33において、実数部分が各センサ反応要因の推定値(確信度)を表している。図32に示すように、図30の例の場合では、道路に面する囲障エリアのセンサの反応から始まっており、初めのうちは動物と区別がつかない。しかしながら、その方向性が開口部エリア(玄関)へまっすぐ進んでいる様子がわかったことで(つまり、センサ反応O2が得られたことで)、センサの反応要因が人間である確信度が高い値となる。一方、図33に示すように、図31の例の場合では、図30の例と同様に囲障エリアのセンサから反応が始まっており、その後も方向の定めがなく再度囲障エリアのセンサが反応する。特定の目的を持たないようなセンサ反応系列が得られたことで、目的を持たずに移動する物体として小動物がセンサ反応要因である確信度が高い値となる。
[実施形態の効果]
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態にかかる警備装置では、制御装置3の確信度算出部32が、複数のセンサ1から定期的に送出されたセンサ反応信号の時系列データを、判断モデル記憶部31が記憶する判断モデルに照らし合わせて、複数の物体カテゴリごとに、各物体カテゴリに属する物体がセンサ反応要因となっている確からしさを表す確信度を算出する。また、制御装置3の確信度加重和算出部33が、確信度算出部32により時系列で算出される、物体カテゴリ=人間に対応する確信度を、時系列の初期段階ほど低い重み係数により重み付け加算した確信度加重和を算出する。また、制御装置3の開口部異常判断部35が、開口部異常検知機器6から送出された検知情報から開口部において異常が発生しているか否かを判断し、開口部において異常が発生している場合、異常が発生している開口部に対する侵入危険度が高いか低いかを判断する。そして、制御装置3の警備動作制御部34が、複数のセンサ1から送出されたセンサ反応信号と、確信度算出部32により算出される物体カテゴリごとの確信度と、確信度加重和算出部33により算出される確信度加重和と、開口部異常判断部35により判断された異常の有無および侵入危険度の高低とに基づいて、現在の状況に応じた最適な警備動作が実行されるように、警備動作の切替えを行うようにしている。したがって、本実施形態にかかる警備装置によれば、センサ反応要因を的確に推定して、推定されるセンサ反応要因に対して効果的な警備動作を行うことができる。