以下に添付図面を参照して、この発明にかかる警備装置および入退館判定方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態にかかる警備装置は、警備が行われる監視領域を複数の領域(エリア)に分け、各エリアに設けられたセンサによる検知の遷移からエリア単位での検知の遷移を求めて検知状態時系列とし、検知状態時系列と予め定められた入館行動モデル、退館行動モデルとを照合して入館行動、退館行動を判断するものである。
図1は、警備装置が備えられた監視領域の一例を示す平面図である。図1では、警備装置100のコントローラ101が監視領域の内部に設置されている場合を示している。図1に示すように、監視領域は、エリア1、エリア2、およびエリア3に分割されている。これらのエリアは、監視領域の建物構造とセンサ(センサの検知区域)との位置関係により設定するものである。
エリア1は、監視領域外と監視領域内の人間の通過(入館または退館)を検知するための領域である。エリア1には、監視領域への入退館を行う出入口が設置され、通過検知センサ10(詳細は後述)が設けられている。そして、このエリア1は、監視領域へ入館する利用者が最初に通過する領域で、監視領域から退館する利用者が最後に通過する領域であり、該利用者の入退館の際には、通過検知センサ10に必ず検知されることになる。
エリア2は、センサの検知対象が人間であるか否かを判断するための領域であるとともに、利用者が監視領域に入退館する際に監視領域における種々の警備設定を行う領域である。エリア2では、監視領域を警備する警備装置100における種々の設定を行うコントローラ101と、誘導装置103(詳細は後述)が設置され、監視領域の出入口からコントローラ101までの動線が描けるように3つのセンサS1、S2、S3(詳細は後述)が設けられている。利用者が出入口からこのエリア2に入館する場合、エリア1を通過した後にこのエリア2に入ることになり、利用者がエリア2から監視領域外に退館する場合、エリア1を通過した後に監視領域外に出ることになる。
エリア3は、監視領域への侵入者の判定のための領域である。エリア3では、監視領域を警備する警備装置100(本体)が設置され、センサS4、S5(詳細は後述)が設けられている。利用者が出入口からこのエリア3に入館する場合、エリア1、エリア2を通過した後にこのエリア3に入ることになり、利用者がエリア3から監視領域外に退館する場合、エリア2、エリア1を通過した後に監視領域外に出ることになる。
図2は、警備装置が備えられた監視領域の他の一例を示す平面図である。図2では、警備装置100のコントローラ101が監視領域の外部に設置されている場合を示している。図2に示すように、監視領域は、エリア1、エリア2、およびエリア3に分割されている。
エリア1は、図1と同様、監視領域外と監視領域内の人間の通過(入館または退館)を検知するための領域である。エリア1には、監視領域への入退館を行う出入口が設置され、通過検知センサ10(詳細は後述)が設けられている。そして、このエリア1は、監視領域へ入館する利用者が最初に通過する領域で、監視領域から退館する利用者が最後に通過する領域であり、該利用者の入退館の際には、通過検知センサ10に必ず検知されることになる。
エリア2は、センサの検知対象が人間であるか否かを判断するための領域である。エリア2では、誘導装置103(詳細は後述)が設置され、センサS1、S2(詳細は後述)が設けられている。利用者が出入口からこのエリア2に入館する場合、エリア1を通過した後にこのエリア2に入ることになり、利用者がエリア2から監視領域外に退館する場合、エリア1を通過した後に監視領域外に出ることになる。
エリア3は、図1と同様、監視領域への侵入者の判定のための領域である。エリア3では、監視領域を警備する警備装置100(本体)が設置され、センサS4、S5(詳細は後述)が設けられている。利用者が出入口からこのエリア3に入館する場合、エリア1、エリア2を通過した後にこのエリア3に入ることになり、利用者がエリア3から監視領域外に退館する場合、エリア2、エリア1を通過した後に監視領域外に出ることになる。
また、監視領域の外部には、監視領域を警備する警備装置100における種々の設定を行うコントローラ101が設置されており、利用者が監視領域に入退館する際、該コントローラ101から該種々の設定を行う。
図3は、実施の形態1にかかる警備装置の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる警備装置100は、ネットワーク400を介して監視センタ500に接続されている。図3では、コントローラ101が監視領域の内部に設置されている図1に示す警備装置について説明している。なお、コントローラ101が監視領域の外部に設置されている図2の警備装置は、コントローラ101の設置位置が監視領域の外部であること、およびセンサS3がエリア2に設置されていないこと以外、図1における警備装置と同様の構成および機能となっている。また、本実施の形態では、コントローラ101は、監視領域の内部に設置しても外部に設置してもよいが、いずれの位置に設定したかを警備装置に登録しておく。
ネットワーク400は、電話回線、無線ネットワーク、インターネットなどであって、警備装置100と監視センタ500を接続している。
監視センタ500は、警備装置100から、監視領域における異常を検知した旨の通報を受信した場合に、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うセンタである。
警備装置100は、監視領域の警備を行うものであって、さらに、通過検知センサ10と、センサS1〜S5と、誘導装置103と、コントローラ101と、入出力制御部115と、通信制御部116と、センサ領域対応記憶部117と、検知状態時系列記憶部118と、行動モデル記憶部119と、制御部150と、を主に備えている。
通過検知センサ10は、監視領域におけるエリア1に設けられた出入口を通過する人間などの通過方向を検知するセンサである。従って、通過検知センサ10が人間等の通過方向を検知することで、エリア1における出入口を通過した者が、監視領域への入館者か退館者かを判断することができる。なお、本実施の形態では、出入口を通過するものが入館者か退館者かを判断するために、通過検知センサのように通過方向を検知する特殊なセンサを用いているが、これに限定されることはなく、2つ以上のセンサを設置して、該2つ以上のセンサにおける検知タイミングによって、出入口を通過した人間等の方向を判断する構成としてもよい。
センサS1〜S5は、センサS1〜S3がエリア2に設置され、センサS4、S5がエリア3に設置されており、それぞれのセンサにおける検知区域に入ってきた者等を検知する人感センサである。センサS1〜S5とは、例えば、赤外線の受光量の変化をもとに人の存在を検出する赤外線センサ、赤外線などの受信が遮断されることで人の存在を検出する遮断センサ、電磁波の乱れで人の存在を検知する気配センサ、およびマグネットにより扉の開閉を検出するマグネットセンサなどの監視領域の異常を検出する各種センサ等が該当する。
誘導装置103は、監視領域におけるエリア2に設置されており、警備モードが警備解除状態に切替えて設定されていない場合、すなわち警備モードが警備状態に設定されている場合であって、エリア2のセンサS1〜S3のいずれかのセンサが検知している物が人間であると判断した場合、監視領域の警備モードを警備解除状態に切替える旨の誘導、または監視領域の警備モードが警備状態である旨の警告等を発する装置である。また、誘導装置103は、警備モードが警備解除状態から警備状態へ切替えて設定された場合に、速やかに監視領域から退館する旨の誘導を発する装置である。具体的には、例えば、誘導装置103は、上述したような誘導や警告等を音声メッセージによって出力したり、フラッシュライトを点滅して出力させることによって威嚇するものである。なお、誘導装置103は、上述した誘導や警告等を組み合わせて出力してもよい。また、誘導装置103は、エリア2のセンサS1〜S3のいずれかのセンサが検知している物が人間であると判断し、一定の時間が経過した場合は、再度誘導や警告等を出力してもよく、複数回該出力を行なってもよい。
ここで、「警備モード」とは、監視領域において異常検知した際の通報先への通報の可否、または監視領域に対する報知の可否などを定めたモードであり、異常を検知したときの警備装置の動作を決定するモードである。警備モードは、通報の可否および通報先、監視領域への報知の有無などによって複数のモードが存在し、代表的な警備モードとしては、警備状態、警備解除状態がある。
まず、「警備状態」とは、主に利用者が監視領域の外部にいて、警備を必要とする場合に設定する警備モードであり、センサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備装置が受信した場合に、監視センタに異常を知らせる警報を通報する状態である。なお、警備装置の設置されている監視領域において異常を検知したことを報知する場合もある。これは、侵入者を威嚇する目的や誤報である場合に警報解除状態への警備操作を促す目的で報知するものである。
次に、「警備解除状態」とは、主に利用者が監視領域の内部にいて、警備を必要としない場合に設定する警備モードであり、センサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備装置が受信した場合でも、監視センタへの警報の通報、監視領域における異常の検知、通報先端末への異常の通報のいずれも行わない状態である。これは、センサにより異常が検知(人の存在の検知、扉の開閉の検知)されても、監視領域の内部にいる利用者を検知したものと判断するためである。
コントローラ101は、利用者からの操作入力を受け付けるものであり、さらに操作表示部102を備えている。
操作表示部102は、例えばタッチ入力式の液晶画面であり、利用者に対して設定画面を表示して、利用者の操作入力を受け付けるものである。すなわち、操作表示部102は、利用者により、監視領域における警備モードの設定として「警備状態」または「警備解除状態」の警備操作を受け付ける。
入出力制御部115は、コントローラ101の入出力制御、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5の入力制御、誘導装置103の出力制御、監視領域の音声を取得するマイク(図示せず)の入力制御、送信された音声を出力するスピーカ(図示せず)の出力制御など、種々のデータの入出力を制御する処理部である。
通信制御部116は、警備装置100とネットワーク400との間における通信を制御するものであり、具体的にはネットワークボードなどが該当する。
センサ領域対応記憶部117は、監視領域に設置された通過検知センサ10およびセンサS1〜S5のそれぞれと、監視領域を分割したエリア1〜3のそれぞれとを対応付けて登録するセンサ領域対応情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やメモリ等の記憶媒体である。
図4は、センサ領域対応情報の一例を示す図である。図4に示すように、センサ領域対応情報は、監視領域におけるエリアと、センサそれぞれに固有のセンサIDを対応付けて登録している。例えば、図4では、「エリア1」とセンサID「0010」の通過検知センサ10とが対応付けられているため、エリア1には通過検知センサ10が設置されている。従って、通過検知センサ10からの検知信号を受信した場合は、エリア1に利用者等が存在していることがわかる。また、「エリア3」とセンサID「0004」のセンサS4およびセンサID「0005」のセンサS5とが対応付けられているため、エリア3には、センサS4、S5が設置されている。従って、センサS4、S5のいずれか、または両方から検知信号を受信した場合は、エリア3に利用者等が存在していることがわかる。
検知状態時系列記憶部118は、センサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、および定常状態復旧情報を時系列で示す検知状態時系列情報を記憶可能なHDDやメモリ等の記憶媒体である。なお、本実施の形態では、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5のいずれかのセンサが人や物を検知(検知状態から無検知状態に変化した場合も含む)した際、エリア1〜3それぞれのセンサによるセンサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、定常状態復旧情報の情報に変換するが、この変換した情報をまとめたものを「検知状態」と称する。そして、本実施の形態では、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5が何かを検知する毎にセンサ信号を検知状態に変換し、この検知状態を時系列に並べた「検知状態時系列」を生成して、生成した検知状態時系列を用いて監視領域の出入口付近の状態を推定している。
センサ検知遷移状態情報とは、複数のセンサ(通過検知センサ10およびセンサS1〜S5のうちの2つ以上のセンサ)が検知した際に得られる情報であり、センサの検知要因(検知対象)が移動しており、かつ検知要因(検知対象)の大まかな移動方向を示す情報である。つまり、通過検知センサ10が検知対象を検知した後に、センサS1が検知対象を検知した場合、該検知対象は、エリア1からエリア2に移動したことが把握できる。1つのセンサだけが複数回検知対象を検知したとしても遷移状態情報は得ることはできない。なお、センサが何も検知していない状態から何かを検知した場合は、エリアが無検知状態から検知状態に変化したとの遷移状態情報を得る。さらに、センサ検知遷移状態情報は、単純に移動の有無の2値の情報としてもよいし、移動方向を含めたベクトルとしてもよい。
監視領域への入退館情報とは、エリア1に設置されている通過検知センサ10により、監視領域のエリア1に設けられた出入口において利用者などの通過方向が検知された場合に判断される情報であり、検知された通過方向によってその利用者等が監視領域に入館したか、監視領域から退館したかを示す情報である。具体的には、通過方向がエリア1の内部から監視領域の外部の方向である場合には、退館と判断し、通過方向が監視領域の外部からエリア1の内部の方向である場合には、入館と判断する。なお、入退館情報とは、入館したか、退館したか、または、入館も退館もしていないかの3値の値で表現した情報である。
警備操作情報とは、利用者によりコントローラ101が操作され、警備モードが警備状態または警備解除状態に設定されたか否かを示す情報である。警備操作情報とは、警備状態から警備解除状態へ切替えて設定する操作(警備解除状態への操作)、警備解除状態から警備状態へ切替えて設定する操作(警備状態への操作)の2種類がある。なお、警備解除状態への操作および警備状態への操作の際には、特殊な操作方法を設定することができる。本実施の形態では、警備操作情報としては、警備解除状態への操作(通常と特殊)、警備状態への操作(通常と特殊)、警備操作未実施(いずれの警備操作も行っていない)の5値で表現される。
ここで、上記の特殊な警備操作方法について説明する。特殊な警備操作方法とは、侵入者に脅されて警備モードを設定する警備操作(主に警備解除状態への操作)を行ったことがわかるように、警備操作時に特殊な警備操作信号を出力する警備操作方法の設定ができる。この警備操作方法としては、例えば、警備操作を行うための鍵として通常使用するものとは別に特殊な信号が出る設定の鍵を用いる。この場合には、特殊な信号を受信した場合に、特殊な警備操作が行われたと判断する。あるいは、通常使用するものとは異なるコントローラを別に設置するなどの構成としてもよい。この場合には、コントローラからの受信信号を識別して、通常の警備操作か特殊な警備操作かを判断すればよい。
定常状態復旧情報とは、監視領域中の全センサ(通過検知センサ10およびセンサS1〜S5)が検知状態から定常状態(非検知状態)へ移行したか否かを示す情報であり、「全センサ定常状態へ移行」または「検知中のセンサあり」の2値で表現される。監視領域内のセンサは監視領域内の環境の変化を検知し、何か(人間や物)を検知した場合に検知状態に移行する。その後、環境変化の要因(検知対象)が失われ、監視領域内の全てのセンサが定常状態に移行した際に、定常状態復旧情報は、「全センサ定常状態へ移行」となる。
図5、図6は、検知状態時系列情報の一例を示す図である。図5、6に示すように、検知状態時系列情報は、横に時間軸(t)をとって、(1)センサ検知遷移状態情報、(2)監視領域への入退館情報、(3)警備操作情報、(4)定常状態復旧情報を、時系列に並べて生成された情報である。
例えば、図5のセンサ検知遷移状態情報を参照すると、10時10分に通過検知センサ10が検知し、10時11分にセンサS1が検知し、10時13分にセンサS3が検知しているため、それらセンサによる検知対象は、エリア1、エリア2の順に移動していることがわかる。また、監視領域への入退館情報を参照すると、10時10分には、通過検知センサ10によって、監視領域に入館した者(もしくは物)がいることが検知されていることがわかる。また、警備操作情報を参照すると、10時13分には、警備状態から警備解除状態に切替えて設定する警備操作が行われていることがわかる。また、定常状態復旧情報を参照すると、10時10分、10時11分には、いずれかのセンサにより検知対象を検知しているため、監視領域内に入館者がいることがわかる。つまり、10時10分に監視領域の出入口から入館者がいて、10時11分に該入館者がエリア2に移動して、10時13分に該利用者により警備モードが警備解除状態に切替えて設定されたことが把握でできるため、正規の利用者が入館してきたと推測できる。
また、例えば、図6のセンサ検知遷移状態情報を参照すると、9時31分に通過検知センサ10が検知し、9時32分にセンサS2が検知し、9時33分にセンサS4が検知しているため、それらセンサによる検知対象は、エリア1、エリア2、エリア3の順に移動していることがわかる。また、監視領域への入退館情報を参照すると、9時31分には、通過検知センサ10によって、監視領域に入館した者(もしくは物)がいることが検知されていることがわかる。また、警備操作情報を参照すると、いずれの時間にもいずれの警備操作も行われていないことがわかる。また、定常状態復旧情報を参照すると、9時31分、9時32分、9時33分に、いずれかのセンサにより検知対象を検知しているため、監視領域内に入館者がいることがわかる。つまり、9時31分に監視領域の出入口から入館者がいて、9時32分に該入館者がエリア2に移動して、9時33分に該利用者がエリア3に移動し、その間、警備モードが切替えられていないことが把握できるため、不審者が入館してきたと推測できる。
図3に戻り、行動モデル記憶部119は、入館者(正規の利用者および不審者)の監視領域への入館からの行動と検知されたセンサが属するエリアの状態遷移モデルとして表した入館行動モデルと、退館者の監視領域からの退館までの行動と検知されたセンサが属するエリアの状態遷移モデルとして表した退館行動モデルを記憶するHDDやメモリ等の記憶媒体である。また、入館行動モデルは、コントローラ101が監視領域の内部に設けられている場合と外部に設けられている場合とでは異なるため、2種類の入館行動モデルが記憶されている。また、退館行動モデルも同様に、コントローラ101が監視領域の内部に設けられている場合と外部に設けられている場合とでは異なるため、2種類の退館行動モデルが記憶されている。以下に、入館行動モデルおよび退館行動モデルの一例を示す。
図7は、コントローラを監視領域の内部に設置した場合の退館行動モデルの一例を示す図である。図7に示す退館行動モデルでは、コントローラ101が監視領域の内部にあるため、利用者がエリア2に存在し、かつ警備状態への操作を行った場合が行動始点となる。そして、該行動始点から、利用者がエリア1を通過して監視領域から退館した場合、正常な退館と判断される。また、該行動始点から、利用者がエリア3に移動した後、エリア2を通過して、さらにエリア1を通過して監視領域から退館した場合も、正常な退館と判断される。
図8は、コントローラを監視領域の外部に設置した場合の退館行動モデルの一例を示す図である。図8に示す退館行動モデルでは、コントローラ101が監視領域の外部にあるため、監視領域から退館した後、警備状態への操作を行った状態が行動始点となる。そして、該行動始点から、利用者が監視領域の建物から離れた場合、正常な退館と判断される。なお、利用者が建物から離れたことは把握することができないため、実質的には、警備モードを警備状態に切替えて設定する警備状態への操作が行われたことで、正常な退館と判断されることになる。
図9は、コントローラを監視領域の内部に設置した場合の入館行動モデルの一例を示す図である。図9に示す入館行動モデルでは、まず入館者がエリア1を通過して入館する。そして、入館者がエリア2に到着し、誘導装置103により誘導または警告が発せられても警備解除状態への操作を行わずにエリア3へ移動した場合、侵入者の侵入と判断される。また、入館者がエリア2に到着した後、エリア2に長期滞在した場合も、侵入者の侵入と判断される。また、入館者がエリア2に到着し、警備解除状態への操作を行った場合、正規の入館者の入館と判断される。また、入館者がエリア2に到着した後、再度エリア1を通過して退館して一定時間経過した場合、人間の一時的な入館と判断される。また、入館者がエリア2に到着した後、再度エリア1を通過して退館し、再度エリア1を通過して入館した場合、上記のいずれかの動作が繰り返される。
図10は、コントローラを監視領域の外部に設置した場合の入館行動モデルの一例を示す図である。図10に示す入館行動モデルでは、まず入館者が監視領域の建物付近に到着した後、警備解除状態への操作を行った場合、正規の入館者の入館と判断される。また、入館者が監視領域の建物付近に到着した後、エリア1を通過して入館し、さらにエリア2に到着した場合に、誘導装置103により誘導または警告が発せられ、警備解除状態への操作を失念したことに気付き、再度エリア1を通過して退館した場合であって、一定時間経過した場合、人間の一時的な入館と判断される。一方、再度エリア1を通過して退館した後、警備解除状態への操作を行った場合、正規の入館者の入館と判断される。また、再度エリア1を通過して退館し、再度エリア1を通過して入館した場合、上記いずれかの動作が繰り返される。
また、入館者が監視領域の建物付近に到着した後、エリア1を通過して入館し、さらにエリア2に到着した場合に、誘導装置103により誘導または警告が発せられても警備解除状態への操作を行わずにエリア3に移動した場合、侵入者の侵入と判断される。また、入館者がエリア2に到着した後、エリア2に長期滞在した場合も、侵入者の侵入と判断される。
図3に戻り、制御部150は、警備装置全体の制御を行うものであり、さらに、警備モード切替部151と、警備モード記憶部152と、通報部153と、検知状態時系列生成部154と、照合部155と、を主に備えている。
警備モード切替部151は、後述する警備モード記憶部152に、利用者から受け付けた警備操作に従って、警備モードを警備状態と警備解除状態との間で切り替える設定を行うものである。
警備モード記憶部152は、監視領域における現在の上述した警備モードを記憶するメモリなどの記憶媒体である。
通報部153は、警備モードが警備状態に設定されている場合に、監視領域において異常が検知されたと判断されると監視センタ500に対して異常が検知されたという異常検知情報を通報するものである。
検知状態時系列生成部154は、監視領域における異常を検知する通過検知センサ10およびセンサS1〜S5からの検知信号を受信した場合に、該検知信号を発したいずれかのセンサが属するエリアをセンサ領域対応情報に基づいて判定し、検知信号を発したセンサ(センサID)および判定されたエリアの遷移を示すセンサ検知遷移状態情報を、時系列に検知状態時系列情報に登録することにより、検知状態時系列情報を検知状態時系列記憶部118に生成するものである。
また、検知状態時系列生成部154は、さらに、監視領域のエリア1の利用者の通過方向を検知する通過検知センサ10から検知信号を受信した場合に、該検知信号から利用者の移動方向を判断し、移動方向(エリア1から監視領域の方向、監視領域からエリア1の方向)に基づいて監視領域の入退館状態(入館、退館、いずれでもない)を時系列に記録した監視領域への入退館情報を、時系列に検知状態時系列情報に登録する。
また、検知状態時系列生成部154は、さらに、コントローラ101によって警備操作を受け付けた場合に、受け付けた警備操作が警備状態の設定か警備解除状態の設定か、あるいは特殊な警備操作であるかを示す警備操作情報を、時系列に検知状態時系列情報に登録する。
また、検知状態時系列生成部154は、さらに、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5のいずれかから検知信号を受信した後、すべてのセンサが検知信号を発しない定常状態に復旧しているか否かを示す定常状態復旧情報を、時系列に検知状態時系列情報に登録する。
なお、検知状態時系列生成部154は、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5からの検知信号を受信したか否か、およびコントローラ101によって警備操作を受け付けたか否かを把握するための処理を常時実行して、検知状態時系列情報の登録処理を行っている。
図11は、検知状態時系列情報の登録処理の流れを示すフローチャートである。図11に示すように、まず、検知状態時系列生成部154は、通過検知センサ10による検知があるか否かを判断する(ステップS10)。通過検知センサ10による検知があった場合(ステップS10:Yes)、検知状態時系列生成部154は、通過検知センサ10による検知方向に従って、監視領域への入退館情報の登録を行う(ステップS11:図5、6における(2)参照)。一方、通過検知センサ10による検知がなかった場合(ステップS10:No)、ステップS12の処理へ進む。
次に、検知状態時系列生成部154は、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5のいずれかのセンサによる検知があるか否かを判断する(ステップS12)。通過検知センサ10およびセンサS1〜S5のいずれかのセンサによる検知があった場合(ステップS12:Yes)、検知状態時系列生成部154は、センサ領域対応情報(図4参照)を参照して、検知したセンサに対応するエリアの判別を行う(ステップS13)。そして、検知状態時系列生成部154は、センサ検知遷移状態情報の登録を行う(ステップS14:図5、6における(1)参照)。また、検知状態時系列生成部154は、定常状態復旧情報の登録を行う(ステップS15:図5、6における(4)参照)。一方、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5のいずれかのセンサによる検知がなかった場合(ステップS12:No)、ステップS16の処理へ進む。
次に、検知状態時系列生成部154は、コントローラ101からの警備モードの警備操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS16)。コントローラ101からの警備モードの警備操作を受け付けた場合(ステップS16:Yes)、検知状態時系列生成部154は、受け付けた警備モード(警備状態(通常または特殊)または警備解除状態(通常または特殊))の登録を行う(ステップS17:図5、6における(3)参照)。一方、コントローラ101からの警備モードの警備操作を受け付けなかった場合(ステップS16:No)、ステップ10の処理に戻る。
このように、検知状態時系列生成部154は、上記処理を繰り返すことにより、検知状態時系列情報の登録処理を行い、該情報の更新をしている。
照合部155は、センサ領域対応情報に登録されているセンサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、および定常状態復旧情報と、入館行動モデルおよび退館行動モデルとを照合して、その照合結果に基づいて利用者が正当な入館者または退館者か否かを判断するものである。また、照合部155は、センサ領域対応情報に登録されている定常状態復旧情報と、入館行動モデルおよび退館行動モデルとを照合して、その照合結果に基づいてセンサの異常を判断する。また、照合部155は、検知状態時系列情報と入館行動モデルおよび退館行動モデルとの照合が一致しなかった場合には、所定の判定時間の経過後に、異常の可能性ありと判断を行う。
このように、照合部155は、検知状態時系列情報(図5、6参照)と入館行動モデル(図9、10参照)および退館行動モデル(図7、8参照)とを照合することで、検知状態時系列情報から監視領域の出入口付近の状態を推定する。また、照合部155は、検知状態を取得した時点での照合結果によって何らかの判断が確定しなかった場合、次の検知状態が取得され検知状態時系列情報が更新されるまで判断を保留する。また、照合部155は、検知状態時系列情報を取得し、何らかの判断が確定した時点で判断処理を終了する。
上記判断処理は、何らかの判断が確定するまで続ける。しかし、取得した検知状態時系列情報が入館行動モデルおよび退館行動モデルと整合しない場合、判断が確定しないことが考えられる。例えば、エリア1とエリア2のセンサが検知し、判断が確定しないうちにその後の検知状態が得られず、定常状態復旧情報が「検知中のセンサあり」であった場合が考えられる。この場合、判断を確定させるまでの検知状態が得られておらず、入館行動モデルと照合できないため、判断が確定しない。このような場合、侵入者の侵入やセンサ故障等の可能性が考えられるため、判断を保留したままにしておくことは危険である。そこで、照合部155は、ある程度の時間、すなわち所定の判定時間の経過を待って、「異常の可能性あり」と判断を確定させ、判断処理を終了させる。
また、判断を開始するに至った検知状態を取得した後に、以降の検知状態を待つ場合や、上述したように判断が確定せず判断を保留しておく場合等の判断を実行する判定時間(判断時間)は、予め一定時間を定めておいてもよいし、時期や過去の履歴から動的に判定時間を変更させるようにしてもよい。動的に判定時間を変更させる場合、例えば、新入社員の入社の時期には警備操作に慣れていない者が増えることが予想されるため、判定時間を長くする。また、ほとんどセンサの誤動作が無かった監視領域においては、センサが検知した場合、センサの誤動作ではない可能性が高いため、判定時間を短くするといったことが考えられる。
次に、以上のように構成された警備装置100における検知状態時系列情報と入退館行動モデルとの照合による入退館行動判定処理について説明する。なお、この検知状態時系列情報と入退館行動モデルとの照合による入退館行動判定処理の実行中には、上述した登録処理が並列処理で実行されている。
本実施の形態の入退館判定処理は、照合部155が、センサからの検知信号を受信したり、警備操作信号を受信したり等の所定のタイミングで検知状態時系列情報を検知状態時系列記憶部118から読み出し、検知状態時系列情報からセンサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、定常状態復旧情報を取得する。
そして、照合部155は、取得したセンサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、定常状態復旧情報のそれぞれの内容と、入館行動モデルとが一致するか否かを比較して入館者の行動が正常なものか異常なものか、あるいは異常の可能性があるかを判定する。
また、照合部155は、取得したセンサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、定常状態復旧情報のそれぞれの内容と、退館行動モデルとが一致するか否かを比較して退館者の行動が正常なものか異常なものか、あるいは異常の可能性があるか等の判定を行っている。
この入退館行動判定処理は、入館行動モデル、退館行動モデルによって種種のアルゴリズムが考えられる。以下、図12〜24を参照して、図9、10に示した入館行動モデルおよび図7、8に示した退館行動モデルに基づいて行う入退館行動判定処理の一例を説明する。なお、入退館行動判定処理は以下に示す例に限定されるものではなく、種種のパターンが考えられる。
まず、警備装置100における検知状態時系列情報と退館行動モデルとの照合による判断処理について説明する。図12は、実施の形態1にかかる警備装置における退館判断処理の手順を示すフローチャートである。
まず、利用者が監視領域から退館する場合、照合部155は、コントローラ101が監視領域の外側に設置されているか否かを判断する(ステップS140)。コントローラ101が監視領域の外側に設置されている場合に警備モードを警備状態へ切り替える操作を受け付けた場合(ステップS140:Yes)、照合部155は、利用者は監視領域の外側に移動しており退館動作が完了(正常退館)との判断を確定する(ステップS141)。
一方、コントローラ101が監視領域の内側に設置されている場合(ステップS140:No)、警備状態に切り替える操作が行われた時点で利用者は監視領域内にいることから、図13における退館状態分岐処理へ進む(ステップS142)。
図13は、実施の形態1にかかる警備装置における退館状態分岐処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、図17における信号受信処理を行った後(ステップS150)、検知状態時系列情報における状態が遷移しているか否かを判断する(ステップS151)。検知状態時系列情報における状態が遷移していなかった場合(ステップS151:No)、照合部155は、異常の可能性ありとの判断を確定する(ステップS152)。
一方、検知状態時系列情報における状態が遷移していた場合(ステップS151:Yes)、照合部155は、エリア2のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS153)。エリア2のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS153:Yes)、図14における通常退館判断処理へ進む(ステップS154)。
一方、エリア2のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS153:No)、図15における状態分岐処理へ進む(ステップS155)。
図14は、実施の形態1にかかる警備装置における通常退館判断処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、図17における信号受信処理を行った後(ステップS160)、検知状態時系列情報における状態が遷移しているか否かを判断する(ステップS161)。検知状態時系列情報における状態が遷移していなかった場合(ステップS161:No)、照合部155は、異常の可能性ありとの判断を確定する(ステップS162)。
一方、検知状態時系列情報における状態が遷移していた場合(ステップS161:Yes)、照合部155は、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS163)。エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS163:Yes)、図16における退館確定処理へ進む(ステップS164)。
一方、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS163:No)、照合部155は、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS165)。エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS165:Yes)、後述する入館行動判断処理(図20〜24)へ進む(ステップS166)。一方、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS165:No)、ステップS160に戻って図17における信号受信処理へ進む。
図15は、実施の形態1にかかる警備装置における状態分岐処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、エリア3のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS170)。エリア3のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS170:Yes)、照合部155は、侵入者の侵入であるため、異常事態との判断を確定する(ステップS171)。
一方、エリア3のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS170:No)、照合部155は、エリア2のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS172)。エリア2のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS172:Yes)、図14における通常退館判断処理へ進む(ステップS173)。
一方、エリア2のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS172:No)、照合部155は、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS174)。エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS174:Yes)、後述する入館行動判断処理(図20〜24)へ進む(ステップS175)。一方、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS174:No)、図16における退館確定処理へ進む(ステップS176)。
図16は、実施の形態1にかかる警備装置における退館確定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、図17における信号受信処理を行った後(ステップS180)、検知状態時系列情報における状態が遷移しているか否かを判断する(ステップS181)。検知状態時系列情報における状態が遷移していなかった場合(ステップS181:No)、照合部155は、センサ故障のため、異常事態との判断を確定する(ステップS182)。
一方、検知状態時系列情報における状態が遷移していた場合(ステップS181:Yes)、照合部155は、定常状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS183)。定常状態に遷移していなかった場合(ステップS183:No)、図15における状態分岐処理へ進む(ステップS184)。
一方、定常状態に遷移していた場合(ステップS183:Yes)、図18における定常状態タイマを作動する(ステップS185)。次に、照合部155は、予め定めた定常状態維持時間を超過したか否かを判断する(ステップS186)。予め定めた定常状態維持時間を超過した場合(ステップS186:Yes)、照合部155は、正常な退館であるため、正常事態との判断を確定する(ステップS187)。
一方、予め定めた定常状態維持時間を超過していない場合(ステップS186:No)、照合部155は、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS188)。エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS188:Yes)、後述する入館行動判断処理(図20〜24)へ進む(ステップS189)。
一方、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS188:No)、照合部155は、エリア2のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS190)。エリア2のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS190:Yes)、図14における通常退館判断処理へ進む(ステップS191)。
一方、エリア2のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS190:No)、照合部155は、エリア3のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS192)。エリア3のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS192:Yes)、照合部155は、侵入者の侵入であるため、異常事態との判断を確定する(ステップS193)。一方、エリア3のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS192:No)、ステップS180に戻って図17における信号受信処理へ進む。
図17は、実施の形態1にかかる警備装置における信号受信処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、予め定めた判定時間が超過しているか否かを判断する(ステップS100)。判定時間が超過している場合(ステップS100:Yes)、元の処理に戻る(ステップS101)。一方、判定時間が超過していない場合(ステップS100:No)、照合部155は、コントローラ101から警備操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS102)。
コントローラ101から警備操作を受け付けた場合(ステップS102:Yes)、図19における警備操作判断処理へ進む(ステップS103)。一方、コントローラ101から警備操作を受け付けなかった場合(ステップS102:No)、照合部155は、いずれかのセンサによる検知があったか否かを判断する(ステップS104)。いずれかのセンサによる検知があった場合(ステップS104:Yes)、照合部155は、検知状態時系列情報における状態が遷移しているか否かを判断する(ステップS105)。検知状態時系列情報における状態が遷移していた場合(ステップS105:Yes)、元の処理に戻り「状態遷移」のフラグが立つ(ステップS106)。
ステップS104において、いずれかのセンサによる検知がなかった場合(ステップS104:No)、およびステップS105において、検知状態時系列情報における状態が遷移していなかった場合(ステップS105:No)、ステップS100に戻って処理を繰り返す。
図18は、実施の形態1にかかる警備装置における定常状態タイマの手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、予め定めた定常状態維持時間を超過したか否かを判断する(ステップS110)。予め定めた定常状態維持時間を超過した場合(ステップS110:Yes)、元の処理に戻り「定常状態タイマオーバー」のフラグが立つ(ステップS111)。一方、予め定めた定常状態維持時間を超過していない場合(ステップS110:No)、照合部155は、コントローラ101から警備操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS112)。コントローラ101から警備操作を受け付けた場合(ステップS112:Yes)、図19における警備操作判断処理へ進む(ステップS113)。
一方、コントローラ101から警備操作を受け付けなかった場合(ステップS112:No)、照合部155は、いずれかのセンサによる検知があったか否かを判断する(ステップS114)。いずれかのセンサによる検知があった場合(ステップS104:Yes)、元の処理に戻る(ステップS115)。一方、いずれかのセンサによる検知がなかった場合(ステップS114:No)、ステップS110に戻って処理を繰り返す。
図19は、実施の形態1にかかる警備装置における監視領域に入館する場合(退館した直後に再入館する場合を含む)の警備操作判断処理の手順を示すフローチャートである。
まず、監視領域に入館する場合における通常の警備操作(警備解除状態への操作)を受け付けたか否かを判断する(ステップS30)。通常の警備操作(警備解除状態への操作)を受け付けた場合(ステップS30:Yes)、正規入館者の入館であるため、正常事態との判断を確定する(ステップS31)。一方、通常の警備操作(警備解除状態への操作)を受け付けなかった場合(ステップS30:No)、脅された入館等の不正な入館であるため、異常事態との判断を確定する(ステップS32)。
次に、警備装置100における検知状態時系列情報と入館行動モデルとの照合による判断処理について説明する。図20は、実施の形態1にかかる警備装置における入館判断開始情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
まず、利用者が監視領域へ入館する場合、照合部155は、判断開始情報により判断を開始する(ステップS20)。判断開始情報がエリア1入館情報、すなわち通過検知センサ10による入館を示す検知情報であった場合(ステップS20:エリア1入館)、図21における入館判断処理へ進む(ステップS21)。一方、判断開始情報が警備操作信号、すなわちコントローラ101から監視領域に入館する場合における警備解除状態への操作による信号であった場合(ステップS20:警備操作信号)、図19における警備操作判断処理へ進む(ステップS22)。なお、図19におけるステップS30では、監視領域に入館する場合における通常の警備操作(警備解除状態への操作)を受け付けたか否かを判断する。
図21は、実施の形態1にかかる警備装置における入館判断処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、図17における信号受信処理を行った後(ステップS40)、検知状態時系列情報における状態が遷移しているか否かを判断する(ステップS41)。検知状態時系列情報における状態が遷移していなかった場合(ステップS41:No)、照合部155は、通過検知センサ故障のため、異常事態との判断を確定する(ステップS42)。
一方、検知状態時系列情報における状態が遷移していた場合(ステップS41:Yes)、照合部155は、定常状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS43)。定常状態に遷移していた場合(ステップS43:Yes)、図18における定常状態タイマを作動する(ステップS44)。次に、照合部155は、予め定めた定常状態維持時間を超過したか否かを判断する(ステップS45)。予め定めた定常状態維持時間を超過した場合(ステップS45:Yes)、照合部155は、通過検知センサ誤作動のため、正常事態との判断を確定する(ステップS46)。
ステップS43において、定常状態に遷移していなかった場合(ステップS43:No)、およびステップS46において、予め定めた定常状態維持時間を超過していなかった場合(ステップS45:No)、照合部155は、エリア2のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS47)。エリア2のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS47:Yes)、図22における人間進入処理へ進む(ステップS48)。
一方、エリア2のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS47:No)、照合部155は、エリア3のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS49)。エリア3のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS49:Yes)、照合部155は、侵入者の侵入であるため、異常事態との判断を確定する(ステップS50)。
一方、エリア3のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS49:No)、照合部155は、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS51)。エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS51:Yes)、図23における一時入館判断処理へ進む(ステップS52)。一方、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS51:No)、ステップS40に戻って図17における信号受信処理へ進む。
図22は、実施の形態1にかかる警備装置における人間進入処理の手順を示すフローチャートである。
エリア2のセンサが反応している場合、誘導装置103は、誘導・警告メッセージを出力する(ステップS60)。そして、図24における滞在検知処理を行った後(ステップS61)、照合部155は、予め定めた判定時間が超過しているか否かを判断する(ステップS62)。判定時間が超過している場合(ステップS62:Yes)、照合部155は、異常の可能性ありとの判断を確定する(ステップS63)。
一方、判定時間が超過していない場合(ステップS62:No)、照合部155は、滞在検知がなされているか否か、すなわちエリア2で検知された検知対象が、予め定めた滞在判定時間を超過しても滞在しているか否かを判断する(ステップS64)。滞在検知がなされている場合(ステップS64:Yes)、照合部155は、侵入者の侵入であるため、異常事態との判断を確定する(ステップS65)。
一方、滞在検知がなされていない場合(ステップS64:No)、照合部155は、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS66)。エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS66:Yes)、図23における一時入館判断処理へ進む(ステップS67)。
一方、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS66:No)、照合部155は、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS68)。エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS68:Yes)、図21における入館判断処理へ進む(ステップS69)。一方、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS68:No)、照合部155は、侵入者の侵入であるため、異常事態との判断を確定する(ステップS70)。
図23は、実施の形態1にかかる警備装置における一時入館判断処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、図17における信号受信処理を行った後(ステップS80)、検知状態時系列情報における状態が遷移しているか否かを判断する(ステップS81)。検知状態時系列情報における状態が遷移していなかった場合(ステップS81:No)、照合部155は、異常の可能性ありとの判断を確定する(ステップS82)。
一方、検知状態時系列情報における状態が遷移していた場合(ステップS81:Yes)、照合部155は、定常状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS83)。定常状態に遷移していた場合(ステップS83:Yes)、図18における定常状態タイマを作動する(ステップS84)。次に、照合部155は、予め定めた定常状態維持時間を超過したか否かを判断する(ステップS85)。予め定めた定常状態維持時間を超過した場合(ステップS85:Yes)、照合部155は、人間の一時的入館であるため、正常事態との判断を確定する(ステップS86)。
一方、ステップS83において、定常状態に遷移していなかった場合(ステップS83:No)、およびステップS85において、予め定めた定常状態維持時間を超過していない場合(ステップS85:No)、照合部155は、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS87)。エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS87:Yes)、図21における入館判断処理へ進む(ステップS88)。
一方、エリア1のセンサが入館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS87:No)、照合部155は、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS89)。エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していた場合(ステップS89:Yes)、図23における一時入館判断処理へ進む(ステップS90)。
一方、エリア1のセンサが退館を示す検知状態に遷移していなかった場合(ステップS89:No)、照合部155は、エリア2のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS91)。エリア2のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS91:Yes)、図22における人間進入処理へ進む(ステップS92)。
一方、エリア2のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS91:No)、照合部155は、侵入者の侵入であるため、異常事態との判断を確定する(ステップS93)。
図24は、実施の形態1にかかる警備装置における滞在検知処理の手順を示すフローチャートである。
まず、照合部155は、予め定めた判定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS120)。判定時間が経過している場合(ステップS120:Yes)、元の処理に戻り「判定時間オーバー」のフラグが立つ(ステップS121)。一方、判定時間が経過していない場合(ステップS120:No)、照合部155は、コントローラ101から警備操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS122)。
コントローラ101から警備操作を受け付けた場合(ステップS122:Yes)、図19における警備操作判断処理へ進む(ステップS123)。一方、コントローラ101から警備操作を受け付けなかった場合(ステップS122:No)、照合部155は、滞在判定時間が超過したか否かを判断する(ステップS124)。滞在判定時間が超過している場合(ステップS124:Yes)、元の処理に戻り「滞在検知」のフラグが立つ(ステップS125)。
滞在判定時間が超過していない場合(ステップS124:No)、照合部155は、いずれかのセンサによる検知があったか否かを判断する(ステップS126)。いずれかのセンサによる検知があった場合(ステップS126:Yes)、照合部155は、定常状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS127)。定常状態に遷移していなかった場合(ステップS127:No)、照合部155は、エリア2のセンサが検知状態に遷移しているか否かを判断する(ステップS128)。そして、エリア2のセンサが検知状態に遷移していなかった場合(ステップS128:No)、元の処理に戻る(ステップS129)。
ステップS126において、いずれかのセンサによる検知がなかった場合(ステップS126:No)、ステップS127において、定常状態に遷移していた場合(ステップS127:Yes)、およびステップS128において、エリア2のセンサが検知状態に遷移していた場合(ステップS128:Yes)、ステップS120に戻って処理を繰り返す。
このように、本実施の形態にかかる警備装置は、監視領域における異常を検知する複数のセンサ(通過検知センサ10およびセンサS1〜S5)からの検知信号を受信した場合に、該検知信号を発したいずれかのセンサが属するエリアを、センサ領域対応記憶部117に記憶されているセンサ領域対応記憶情報に基づいて判定する。判定されたエリアの遷移を示すセンサ遷移状態情報を、時系列に検知状態時系列記憶部118に記憶されている検知状態時系列情報に登録する。そして、検知状態時系列情報と、行動モデル記憶部119に記憶されている入館行動モデルおよび退館行動モデルとを照合して、その照合結果に基づいて利用者が正当な入館者または退館者であるかを判断する。従って、監視領域への入退館者による監視領域の警備操作(警備状態への操作および警備解除状態への操作)における誤操作を防止できる。
また、入退館時にタイマ時間を気にしたり、センサの検知順序パターンの登録などを行う必要がないため、利用者の負担を軽減することができる。また、常に更新されている検知状態時系列情報により照合を行って、利用者が正当な入館者または退館者であるかを判断するため、監視領域の状態を正確に判断して誤報を軽減できる。また、エリアごとに上記判断を行なっているため、センサの配置変更があっても、不審者判定アルゴリズムに影響を与えることを軽減して、柔軟な不審者判定を行うことができる。また、センサによる検知信号をそのまま判断に用いるのではなく、センサ検知遷移状態情報という上位の概念に変換して、入館行動モデルおよび退館行動モデルと照合して判断を行うため、入館者や退館者の予想外の動きにも対応することができる。
また、複数のセンサ(通過検知センサ10およびセンサS1〜S5)のそれぞれを、監視領域を分割した複数のエリアのそれぞれに対応付けて、このエリアの遷移で利用者が正当な入館者または退館者か否かを判断することで、種々の監視領域に対して同一の不審者判定アルゴリズムを用いることができ、警備装置に設定しなければいけない状態の遷移パターンを大幅に削減することができる。このため、監視領域のレイアウトを変更した場合にも柔軟に対応することができるととともに、警備装置の開発や保守の工程を大幅に低減することができる。
また、コントローラ101が監視領域の内部に設置され、警備状態に設定されている監視領域へ入館した際に、警備操作用の鍵を忘れた場合でも、誘導装置103により出力された誘導や警告に従って監視領域から退館することで、「人間の一時的入館(正常状態)」と判断され、異常状態(侵入者侵入等)と判断されることはない。
また、コントローラ101が監視領域の外部に設置されていた場合でも、コントローラ101が内部に設置されている場合と同様に、誘導装置103により誘導や警告が出力され、センサからの検知状態を用いてエリア1およびエリア2の状態を推定する。このため、正規の入館者が警備解除状態への操作を失念した場合でも、上記誘導や警告に従って監視領域から退館することで「人間の一時的入館(正常状態)」と判断され、異常状態(「侵入者侵入等」)と判断されることはない。また、「人間の一時的入館(正常状態)」との判断が確定した後、警備解除状態に操作されることで正規入館者が入館していると判断することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1における警備装置が警備する監視領域では、出入口付近をエリア1として、さらにエリア2、エリア3が予め定めて分割されていた。これに対し、本実施の形態では、監視領域内を3つのエリアに分割し、各エリアは1つ以上のセンサの検知区域で構成されており、さらに状況に応じて該エリアを変動させることができる。
図25は、実施の形態2にかかる警備装置の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる警備装置200は、ネットワーク400を介して監視センタ500に接続されている。図25では、コントローラ101が監視領域の内部に設置されている場合の警備装置について説明している。また、本実施の形態では、コントローラ101は、監視領域の内部に設置しても外部に設置してもよいが、いずれの位置に設定したかを警備装置に登録しておく。ここで、警備装置200は、実施の形態1における警備装置100にさらに変更部256を備えた構成となっている。従って、警備装置200における変更部256以外の構成および機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
制御部250における変更部256は、センサ領域対応記憶部117に記憶されているセンサ領域対応情報の複数のセンサ(通過検知センサ10とセンサS1〜S5)と複数のエリアとの対応を所定のタイミングで変更するものである。この所定のタイミングとしては、所定の時刻ごとに変更したり、警備操作を受け付けた時点からの時間の経過に伴って徐々に変更したり、いずれかのセンサの検知信号を受信した時点からの時間の経過に伴って徐々に変更することができる。
ここで、変更部256によってセンサ領域対応情報の複数のセンサ(通過検知センサ10とセンサS1〜S5)と複数のエリアとの対応を変更した場合でも、照合部155による、検知状態時系列情報と入館行動モデルおよび退館行動モデルとの照合は、エリア単位で行われるので、入館行動モデルおよび退館行動モデルの変更は必要ないばかりか、入退館行動判定処理のアルゴリズムの変更も不要となる。従って、本実施の形態の入館行動モデルおよび退館行動モデルは実施の形態1と同様であり、また入退館行動判定処理は、実施の形態1と同様に行われる。
次に、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5と複数のエリアとの対応を変更した例を示す。図26−1は、監視領域を3つのエリアに分割した場合の一例を示す平面図である(基本設定)。図26−2は、図26−1におけるエリアを変更した場合の一例を示す平面図である。なお、図における「A」「B」「C」「D」「E」「F」は、それぞれのセンサによる検知区域を示している。
例えば、平日は、基本設定として、図26−1に示すように、エリア1は、監視領域の出入口が設置され、通過検知センサ10の検知区域が含まれるように、センサ領域対応情報を設定しておく。また、エリア2は、コントローラ101が設置され、センサS1〜S3の検知区域が含まれ、エリア3は、センサS4、S5の検知区域が含まれるように、センサ領域対応情報を設定しておく。
一方、変更部256は、休日や夜間のように正規の利用者が入館することが殆どないと考えられる曜日・時間帯には、図26−2に示すように、平日の基本設定よりもエリア2を狭めるように、センサ領域対応情報を変更する。すなわち、変更部256は、エリア2には、コントローラ101が設置され、センサS2、S3の検知区域が含まれており、エリア3には、センサS1、S4、S5の検知区域が含まれるように、センサ領域対応情報を変更する。また、正規の利用者の入館が絶対にない時間帯がある場合には、図26−2で狭めたエリア2を完全になくすように変更してもよい。
なお、監視領域を分割するエリアを変更するためには、警備装置に予め指定の曜日や時間帯等を設定することが必要となる。つまり、警備装置には、カレンダーや時計の機能を有する構成を備え、指定の曜日や時間帯等になると、変更部256は、上記のようにエリアとセンサとの対応を変更して、センサ領域対応情報を変更する。
このように、監視領域内の3つのエリアを曜日や時間帯に応じて変更することで、エリアが変更されていることを知らずに監視領域の内部に侵入してきた人物(侵入者)がエリア3まで侵入しやすくなり、「侵入者侵入」と判断するまでの時間が短縮される。つまり、図26−1の基本設定では、侵入者が監視領域の出入口から入館してきた場合に、エリア2を必ず通過する。そのため、「侵入者侵入」と判断されるまでに多少の遅れが生じる。これに対し、図26−2のようにエリア2を狭めることで、侵入者がエリア3に侵入するまでの時間を短くでき、侵入者が侵入した場合に素早く「侵入者侵入」と判断でき、防犯性が向上する。
また、エリア2を完全になくした場合には、侵入者が侵入すると即座に「侵入者侵入」と判断するようになり、図26−2のようにエリア2を狭めた場合よりもさらに防犯性が向上する。
また、エリア2を完全になくさない場合には、正規の入館者に予めエリアを変更させている旨を伝えておくことで、休日等に入館した正規の入館者は、エリア2の領域を出ないように移動すれば、通常通り「正規入館者の入館」と判断されることになる。また、休日や夜間にも入館の可能性が考えられる警備対象(監視領域)においては、図26−2のようにエリア2を狭めることで、防犯性を向上させたまま正規の入館方法を実施することができる。
次に、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5と複数のエリアとの対応を変更したさせた他の例を示す。図27−1は、監視領域を3つのエリアに分割した場合の一例を示す平面図である(基本設定)。図27−2、図27−3、図27−4は、図27−1におけるエリアを変更した場合の一例を示す平面図である。
例えば、変更部256は、最終退館者がコントローラ101から警備状態へ切替える操作を行った際に、図27−2に示すように、一旦エリア1以外の全ての監視領域をエリア2とするように、センサ領域対応情報を変更する。そして、図27−3、図27−4に示すように、徐々にエリア2を狭めていき、図27−1基本設定の状態に戻すように、センサ領域対応情報を変更する。
具体的には、警備状態への操作を受け付けた直後、図27−2に示すように、エリア1以外の全ての監視領域をエリア2とする。その後、警備状態への操作を受け付けてから予め定めたn秒間で、図27−2から図27−3に示すように、センサS5の検知区域がエリア3にほぼ含まれるようにエリア2を変更する。さらに、警備状態への操作を受け付けてからn秒後から、予め定めたm秒間で、図27−3から図27−4に示すように、センサS4、S5の検知区域がエリア3に含まれるようにエリア2を変更し、基本設定(図27−1)の状態に戻す。
このとき、人間の歩行速度を考慮して、利用者(退館者)が警備状態への操作を行った後に監視領域の最奥まで行って、センサS4の検知区域に戻ってくるまでの時間をn秒とする。そして、センサS4の検知区域からセンサS1〜S3の検知区域に戻ってくるまでの時間をm秒とする。
また、図27−1〜27−4に示すように徐々にエリア2を狭めていくのではなく、あるタイミングで切替えてもよい。図28−1、図28−2は、図27−1におけるエリアを変更した場合の一例を示す平面図である。
例えば、警備状態への操作を受け付けた直後、図28−1に示すように、エリア1以外の全ての監視領域をエリア2とする。そして、変更部256は、あるタイミングで、図28−2に示すように、センサS4、S5の検知区域がエリア3に含まれるようにエリア2を変更し、基本設定(図27−1)の状態に戻すように、センサ領域対応情報を変更する。そのタイミングの代表例として、監視領域の手前側(出入口側)から奥側までの往復に要する時間p秒後や、エリア1において退館方向の信号が得られた場合などがある。
このように監視区域のエリアを変更することで、以下のような場合に効果を奏する。例えば、最終退館者が警備状態への操作を行って退館する際に、忘れ物などに気付き、退館する前に監視領域の奥側(基本設定におけるエリア3側)へ一旦引き返すといった場合がある。この場合、基本設定による監視領域のエリア構成では、監視領域の奥側へ戻り、エリア3に踏み込んだ時点で「侵入者侵入」と判断されてしまう。そのため、一度警備モードを警備解除状態へ操作することが必要であったが、警備解除状態への操作を失念したまま監視領域の奥側へ引き返してしまうことがある。また、忘れ物等を取りに行くたびにいちいち警備解除状態への操作を行うことは、利用者にとって煩雑で利便性が低い。
そのため、図27−1〜27−4、図28−1、図28−2に示すように、監視領域内のエリア構成を変更することによって、警備状態への操作を行った後に、警備解除状態への操作を行わないで監視領域の奥側へ引き返しても、短時間であれば「侵入者侵入」と誤判断されることがなくなる。
また、通常、侵入者は最終退館者が退館し、人が誰もいなくなったことを十分確信してから監視領域に侵入するのが一般的である。従って、警備状態への操作を行った直後に、エリア2の領域を広く変更しても防犯性における影響は少ない。また、万が一、最終退館者の帰り際に監視領域の奥側から侵入者が侵入したとしても、徐々にエリア2を狭めていくことでエリア3を広く変更させるため、エリア3に侵入すれば即座に「侵入者侵入」と判断できる。
次に、通過検知センサ10およびセンサS1〜S5と複数のエリアとの対応を変更した他の例を示す。図29−1は、警備解除状態に設定されている場合の監視領域の一例を示す平面図である。また、図29−2は、警備状態に操作された際にエリアを変更しなかった場合の監視領域の一例を示す平面図である。図29−3は、警備状態に操作された際にエリアを変更した場合の監視領域の一例を示す平面図である。
例えば、残務中セットおよび逆セットをしてしまった場合について説明する。ここで、残務中セットとは、監視領域が会社である場合に、社員Aが残業等で監視領域内に残っているにも関わらず、社員Bが社員Aの存在に気付かずに警備状態への操作をしてしまうことである。また、逆セットとは、監視領域が会社である場合に、社員Aが警備解除状態に操作した後に、監視領域の警備が解除されていることを気付かずに後から出社した社員Bが警備状態への操作をしてしまうことである。
図29−1に示すような警備解除状態の監視領域において、監視領域の内部にいる人物に気付かずに警備状態への操作をしてしまった場合、エリアが変更しない構成であれば、図29−2に示すように、エリア2には、センサS1〜S3の検知区域が含まれ、エリア3には、センサS4、S5の検知区域が含まれることになる。そうすると、その内部にいる人物がエリア3に存在していれば、即座に「侵入者侵入」と誤判断してしまう。
しかし、図29−1に示すような警備解除状態の監視領域において、監視領域の内部にいる人物に気付かずに警備状態への操作をしてしまった場合、変更部256により、センサ領域対応情報を変更することでエリアが変更する構成であれば、図29−3に示すように、エリア2には、センサS1〜S5の検知区域が含まれることになる。そうすると、監視領域の内部にいる人物がセンサS1〜S5に検知されてしまった場合でも、不審者か否かの判断確定までの猶予時間が得られることになる。
このように、監視領域のエリアを変更することで、不審者か否かの判断確定までの猶予時間が得られることで、誤って警備状態への操作を行った場合でも、その猶予時間内に再び警備解除状態への操作を行うことにより、誤報を防止することができる。また、猶予時間は、監視領域の奥側に行くまでの時間(n秒)を考慮しているため、残務中セットがなされた場合に、監視領域の奥側からコントローラ101の設置場所まで移動する時間が確保される。また、逆セットがなされた場合に、誤って警備状態への操作を行ってしまった人物(社員B)が、監視領域の内部を移動中に監視領域の内部にいる人物(社員A)に気付き、コントローラ101まで行く時間が確保される。
このように、本実施の形態にかかる警備装置は、実施の形態1の効果に加え、監視領域の状況に応じて領域を動的に変化させることも容易に実現できる。
なお、上記実施の形態1、2では、警備装置100、200という単一の装置において、検知状態時系列情報を生成し、センサ領域対応情報に登録されているセンサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、および定常状態復旧情報と、入館行動モデルおよび退館行動モデルとを照合して、その照合結果に基づいて種々の判断を行うものであったが、これに限定されるものではなく、検知状態時系列情報の生成と照合とを異なる装置で行うように構成してもよい。
例えば、検知状態時系列情報を警備装置で生成し、監視センタなどの外部装置に入館行動モデルおよび退館行動モデルを記憶しておき、照合を実行するように構成することができる。すなわち、この例では、警備装置において生成された検知状態時系列情報を、監視センタなどの外部装置に送信する。そして、該検知状態時系列情報を受信した監視センタなどの外部装置において、センサ領域対応情報に登録されているセンサ検知遷移状態情報、監視領域への入退館情報、警備操作情報、および定常状態復旧情報と、入館行動モデルおよび退館行動モデルとを照合し、その照合結果に基づいて種々の判断を行う構成とすればよい。