JP2013124979A - 赤外線放射素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度の低下を抑制しつつ高出力化が可能な赤外線放射素子を提供する。
【解決手段】赤外線放射素子1は、基板2と、この基板2の一表面側に形成された発熱体層3および発熱体層3を覆う保護層4を有する機能層5と、基板2の上記一表面側で基板2と機能層5との間に介在し機能層5を支持する絶縁層6とを備えている。この赤外線放射素子1は、発熱体層3への通電により発熱体層3から赤外線が放射される。基板2は、絶縁層6における発熱体層3側とは反対側の表面を露出させる開口部2aが形成されている。また、絶縁層6は、開口部2aに臨む表面6aに、凹部6cが設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】赤外線放射素子1は、基板2と、この基板2の一表面側に形成された発熱体層3および発熱体層3を覆う保護層4を有する機能層5と、基板2の上記一表面側で基板2と機能層5との間に介在し機能層5を支持する絶縁層6とを備えている。この赤外線放射素子1は、発熱体層3への通電により発熱体層3から赤外線が放射される。基板2は、絶縁層6における発熱体層3側とは反対側の表面を露出させる開口部2aが形成されている。また、絶縁層6は、開口部2aに臨む表面6aに、凹部6cが設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、赤外線放射素子に関するものである。
従来から、MEMS(micro electro mechanicalsystems)の製造技術などを利用して製造される赤外線放射素子が研究開発されている。この種の赤外線放射素子は、ガスセンサや光学分析装置などの赤外線源として使用することができる。
この種の赤外線放射素子として、例えば、図6および図7に示す構成の放射源が知られている(特許文献1)。
この放射源は、基板13と、基板13上に形成された第1絶縁層22と、第1絶縁層22上に形成された放射表面層11と、放射表面層11上に形成された第2絶縁層24、第2絶縁層24上に形成された極めて細い複数の白熱フィラメント10とを備えている。また、この放射源は、各白熱フィラメント10を覆うように形成され各白熱フィラメント10を保護する第3絶縁層26と、第3絶縁層26に形成された開口を通して各白熱フィラメント10の両端部に接続された一対の金属パッド15,15とを備えている。第2絶縁層24は、放射表面層11と白熱フィラメント10とを電気的に絶縁するために設けてある。また、特許文献1には、白熱フィラメント10が、均一平面板としての多層構造をなす他の要素(第1絶縁層22、放射表面層11、第2絶縁層24、第3絶縁層26)により囲まれている旨が記載されている。また、特許文献1には、第1絶縁層22および第3絶縁層26を設ける目的は、白熱フィラメント10および放射表面層11が酸化しないように保護することである旨が記載されている。
また、基板13には、放射表面層11に対応して開口部14が形成されている。特許文献1には、開口部14を形成するために使用できるエッチング液として、水酸化カリウム(KOH)水溶液、少量のピロカテコールを添加したエチレンジアミン水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)が記載されている。
ここで、放射源は、典型的には、基板13が、(100)配向のシリコンチップにより形成されている。また、第1絶縁層22は、厚さが200nmの窒化シリコン層からなる。また、放射表面層11は、厚さが約1μmで、ホウ素、リンまたは砒素がドープされたポリシリコン膜からなる。また、第2絶縁層24は、厚さが約50nmの窒化シリコン層からなる。また、白熱フィラメント10は、厚さが約400nmのタングステン層からなる。また、第3絶縁層26は、厚さが約200nmの窒化シリコン層からなる。金属パッド15は、例えば、アルミニウムから形成されており、第3絶縁層26に形成された開口を通して白熱フィラメント10とオーム性接触を形成している。
また、放射源は、放射表面層11が1mmの面積を有している一方で、白熱フィラメント10の寸法については、例えば厚さを0.1−1μm、幅を2−10μmとし、その間隔を20−50μmとしてある。
ここにおいて、放射源は、白熱フィラメント10が当該白熱フィラメント10に流れる電流により加熱されるが、白熱フィラメント10を、専ら放射表面層11の加熱のために用いるものであり、放射表面層11が主熱放射源として振る舞う。
ところで、赤外線放射素子を例えば分光式ガスセンサ用の赤外線源として用いる場合には、赤外線放射素子を間欠的に駆動することで赤外線を間欠的に放射させ、赤外線を検出する受光素子の出力をロックインアンプにより増幅することで、ガスセンサの出力のS/N比を向上できることが知られている。
しかしながら、図6および図7に示した放射源の構成では、第1絶縁層22、第2絶縁層24それぞれの熱容量に起因して、白熱フィラメント10へ与える電圧波形に対する放射表面層11の温度変化の応答が遅くなって放射表面層11の温度が上昇しにくくなり、高出力化および応答速度の高速化が難しい。
そこで、上述の放射源では、第1絶縁層22の熱容量を小さくするために、第1絶縁層22の厚さを薄くすることが考えられる。しかしながら、上述の放射源では、第1絶縁層22の厚さを薄くなるほど、機械的強度が低下し、製造途中や動作中に発生する熱応力などに起因して第1絶縁層22が破壊されやすくなる懸念がある。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、機械的強度の低下を抑制しつつ高出力化が可能な赤外線放射素子を提供することにある。
本発明の赤外線放射素子は、基板と、前記基板の一表面側に形成された発熱体層および前記発熱体層を覆う保護層を有する機能層と、前記基板の前記一表面側で前記基板と前記機能層との間に介在し前記機能層を支持する絶縁層とを備え、前記発熱体層への通電により前記発熱体層から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、前記基板は、前記絶縁層における前記発熱体層側とは反対側の表面を露出させる開口部が形成されてなり、前記絶縁層は、前記開口部に臨む表面に、少なくとも1つの凹部が設けられてなることを特徴とする。
この赤外線放射素子において、前記絶縁層は、前記凹部の底部の厚さが、前記保護層と同じ厚さに設定されてなることが好ましい。
この赤外線放射素子において、前記基板の前記一表面側で前記発熱体層に接するように形成された一対の電極を備え、前記凹部は、前記表面における前記各電極の各々の投影領域の並ぶ方向に直交する中心線を対称軸として線対称に配置されてなることが好ましい。
この赤外線放射素子において、前記絶縁層は、前記表面が格子状に形成されてなることが好ましい。
この赤外線放射素子において、前記絶縁層は、前記表面がハニカム状に形成されてなることが好ましい。
この赤外線放射素子において、前記絶縁層は、前記開口部と前記発熱体層とを隔離するダイヤフラム部と、前記基板の前記一表面側で前記開口部の周部に形成され前記ダイヤフラム部を支持する支持部とからなり、前記ダイヤフラム部の中央部の熱容量に比べて、前記ダイヤフラム部の周部の熱容量を小さくするように前記凹部が配置されていることが好ましい。
本発明の赤外線放射素子においては、機械的強度の低下を抑制しつつ高出力化が可能となる。
以下では、本実施形態の赤外線放射素子1について図1に基づいて説明する。
赤外線放射素子1は、基板2と、この基板2の一表面側に形成された発熱体層3および発熱体層3を覆う保護層4を有する機能層5と、基板2の上記一表面側で基板2と機能層5との間に介在し機能層5を支持する絶縁層6とを備えている。この赤外線放射素子1は、発熱体層3への通電により発熱体層3から赤外線が放射される。
基板2は、絶縁層6における発熱体層3側とは反対側の表面を露出させる開口部2aが形成されている。また、絶縁層6は、開口部2aに臨む表面6aに、凹部6cが設けられている。
また、赤外線放射素子1は、基板2の上記一表面側で発熱体層3に接するように形成された一対の電極7,7を備えている。また、赤外線放射素子1は、各電極7,7の各々に配線8,8を介して電気的に接続された一対のパッド9,9を備えている。
以下、赤外線放射素子1の各構成要素について詳細に説明する。
基板2は、上記一表面が(100)面の単結晶のシリコン基板により形成されているが、これに限らず、(110)面の単結晶のシリコン基板により形成してもよい。また、基板2は、単結晶のシリコン基板に限らず、多結晶のシリコン基板でもよいし、シリコン基板以外でもよい。基板2の材料は、絶縁層6の材料よりも熱伝導率が大きく且つ熱容量が大きな材料が好ましい。
基板2の外周形状は、矩形状である。基板2の外形サイズは、特に限定するものではないが、例えば、10mm以下に設定するのが好ましい。また、基板2は、開口部2aの開口形状を矩形状としてある。また、基板2の開口部2aは、上記一表面側に比べて他表面側での開口面積が大きくなる形状に形成されている。ここで、基板2の開口部2aは、絶縁層6から離れるほど開口面積が徐々に大きくなる形状に形成されている。基板2の開口部2aは、基板2をエッチングすることにより形成されている。基板2の開口部2aは、基板2が(100)面の単結晶のシリコン基板の場合には、アルカリ系溶液をエッチング液として用いた異方性エッチングにより形成することができる。基板2の開口部2aの開口形状は、特に限定するものではない。また、赤外線放射素子1は、基板2の上記他表面側に、開口部2aを形成する際のマスク層が残っていてもよい。なお、マスク層としては、例えば、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜などを用いることができる。
絶縁層6は、開口部2aと発熱体層3とを隔離するダイヤフラム部6Dと、基板2の上記一表面側で開口部2aの周部に形成されダイヤフラム部6Dを支持する支持部6Sとからなる。
また、絶縁層6は、基板2側のシリコン酸化膜61と、このシリコン酸化膜61における基板2側とは反対側に積層されたシリコン窒化膜62とからなる。ここで、絶縁層6は、凹部6cの底部の厚さが、保護層4と同じ厚さに設定されていることが好ましい。絶縁層6の凹部6cの底部とは、凹部6cの内底面と、絶縁層6における発熱体層3側の面との間の部分である。要するに、絶縁層6は、凹部6cの内底面と絶縁層6における開口部2a側とは反対側の面との間の厚さが、保護層4と同じ厚さに設定されていることが好ましい。これにより、赤外線放射素子1は、絶縁層6と発熱体層3と保護層4とで構成されるサンドイッチ構造の応力バランスを向上させることが可能となり、このサンドイッチ構造の反りや破損を、より抑制することが可能となって機械的強度のより一層の向上を図ることが可能となる。ここにおいて、凹部6cの底部の材料は、保護層4の材料と同じであることが好ましく、本実施形態の赤外線放射素子1では、後述のように保護層4をシリコン窒化膜により構成し、凹部6cの底部の厚さを、シリコン窒化膜62の厚さと同じ厚さに設定してある。絶縁層6は、赤外線放射素子1の製造時において基板2の上記他表面側から基板2をエッチングして開口部2aを形成する際のエッチングストッパ層としての機能も有している。また、シリコン窒化膜62は、赤外線放射素子1の製造時において基板2の上記他表面側からシリコン酸化膜61をエッチングして凹部6cを形成する際のエッチングストッパ層としての機能も有している。凹部6cの深さ寸法は、シリコン酸化膜61の厚さ寸法と同じに設定する例に限らず、シリコン酸化膜61の厚さ寸法よりも小さく設定してもよいし、シリコン酸化膜61の厚さ寸法よりも大きく設定してもよい。ここで、凹部6cの深さ寸法をシリコン酸化膜61の厚さ寸法と同じに設定する場合には、凹部6cの底部の厚さが、シリコン窒化膜62の厚さと略等しくなり、凹部6cの底部6cがシリコン窒化膜62の一部により構成される。また、凹部6cの深さ寸法をシリコン酸化膜61の厚さ寸法よりも小さく設定した場合には、凹部6cの底部の厚さが、シリコン酸化膜61のうち当該凹部6cの内底面とシリコン窒化膜62との間に残存している部分の厚さと、シリコン窒化膜62の厚さとの合計厚さとなる。また、凹部6cの深さ寸法をシリコン酸化膜61の厚さ寸法よりも大きく設定した場合には、凹部6cの底部の厚さが、シリコン窒化膜62のうち当該凹部6cの内底面と絶縁層6における発熱体層3側の面との間に残存している部分の厚さとなる。また、絶縁層6の層構造は、シリコン酸化膜61とシリコン窒化膜62の積層構造に限らず、シリコン酸化膜61やシリコン窒化膜62の単層構造でもよいし、その他の材料からなる単層構造や、2層以上の積層構造でもよい。
発熱体層3は、平面形状を矩形状としてあるが、特に矩形状に限定するものではなく、例えば、円形状や多角形状などでもよい。
発熱体層3の平面サイズは、絶縁層6において開口部2aに臨む表面6aの平面サイズよりも小さく設定するのが好ましい。つまり、発熱体層3は、ダイヤフラム部6Dの平面サイズよりも小さく設定するのが好ましい。ここで、ダイヤフラム部6Dの平面サイズは、特に限定するものではないが、例えば、5mm□以下に設定するのが好ましい。
発熱体層3の平面サイズは、各電極7の各々が重なる各コンタクト領域3bを除いた放射領域3aの平面サイズが3mm□以下となるように設定するのが好ましい。ただし、放射領域の形状は、正方形状に限らず、長方形状、円形状、多角形状などでもよい。
発熱体層3の材料としては、窒化タンタルを採用しているが、これに限らず、例えば、窒化チタン、ニッケルクロム、タングステン、チタン、トリウム、白金、ジルコニウム、クロム、バナジウム、ロジウム、ハフニウム、ルテニウム、ボロン、イリジウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、オスミウム、レニウム、ニッケル、ホルミウム、コバルト、エルビウム、イットリウム、鉄、スカンジウム、ツリウム、パラジウム、ルテチウムなどを採用してもよい。また、発熱体層3の材料としては、導電性のポリシリコンや導電性のアモルファスシリコンなどを採用してもよい。発熱体層3の材料について、基板2と発熱体層3との線膨張係数差に伴う熱応力に起因して発熱体層3が破壊されるのを防止するという観点からは、基板2の材料との線膨張係数差が小さい材料が好ましい。
保護層4は、シリコン窒化膜により構成してある。保護層4は、これに限らず、例えば、シリコン酸化膜により構成してもよいし、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層構造を有していてもよい。
絶縁層6の厚さと発熱体層3の厚さと保護層4の厚さとの合計厚さは、例えば、0.1μm〜10μm程度の範囲で設定することが好ましい。
一対の電極7,7は、基板2の上記一表面側において、発熱体層3の両端部(図1における左右両端部)それぞれと接する形で形成されている。各電極7は、保護層4に形成されたコンタクトホール4aを通して発熱体層3上に形成され、発熱体層3と電気的に接続されている。ここで、各電極7は、発熱体層3とオーミック接触をなしている。
各電極7の材料としては、Al−Siを採用している。各電極7の材料は、特に限定するものではなく、例えば、Au、Cuなどを採用してもよい。また、各電極7は、少なくとも、発熱体層3と接する部分が発熱体層3とオーミック接触が可能な材料であればよく、単層構造に限らず、多層構造でもよい。例えば、各電極7は、発熱体層3側から順に、第1層、第2層、第3層が積層された3層構造として、発熱体層3に接する第1層の材料を高融点金属(例えば、クロムなど)とし、第2層の材料をニッケルとし、第3層の材料をAuとしてもよい。
各配線8および各パッド9は、各電極7と同じ材料により形成され、同じ層構造、同じ厚さに設定するのが好ましい。これにより、赤外線放射素子1は、各配線8および各パッド9を各電極7と同時に形成することが可能となる。パッド9の厚さは、0.5〜2μm程度の範囲で設定することが好ましい。
赤外線放射素子1の製造にあたっては、例えば、基板2の上記一表面側に、絶縁層6、発熱体層3、保護層4を順次形成してから、保護層4にコンタクトホール4aを形成し、その後、各電極7、各配線8および各パッド9を形成し、続いて、基板2に開口部2aを形成し、その後、絶縁層6において開口部2aに臨む表面6aに凹部6cを形成すればよい。
ここにおいて、絶縁層6のシリコン酸化膜61の形成方法は、熱酸化法やCVD法などを採用することができ、熱酸化法が好ましい。また、絶縁層6のシリコン窒化膜62の形成方法は、CVD法などを採用することができ、LPCVD法が好ましい。また、発熱体層3の形成方法は、スパッタ法や蒸着法やCVD法などを採用することができる。また、保護層4の形成方法は、CVD法などを採用することができ、プラズマCVD法が好ましい。また、コンタクトホール4aの形成にあたっては、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用すればよい。また、各電極7、各配線8および各パッド9の形成にあたっては、例えば、スパッタ法や蒸着法やCVD法などの薄膜形成技術と、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術とを利用することができる。また、開口部2aの形成にあたっては、基板2の上記他表面側のシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜(図示せず)をマスク層として、基板2を上記他表面側からエッチングすることにより形成すればよい。ここで、本実施形態の赤外線放射素子1の製造方法では、開口部2aの形成時に、絶縁層6を第1のエッチングストッパ層として利用することにより、絶縁層6の厚さの精度を高めることが可能となるとともに、絶縁層6における開口部2a側に基板2の一部や残渣が残るのを防止することが可能となる。マスク層を形成する方法としては、例えば、絶縁層6のシリコン酸化膜61の形成と同時に基板2の上記他表面側にマスク層の基礎となるシリコン酸化膜を形成し、上述の絶縁層6のシリコン窒化膜62の形成と同時に基板2の上記他表面側にシリコン窒化膜を形成し、その後、マスク層の基礎となるシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングする方法がある。また、凹部6cの形成にあたっては、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用すればよい。ここで、本実施形態の赤外線放射素子1の製造方法では、凹部6cの形成時に、シリコン窒化膜62を第2のエッチングストッパ層として利用することにより、凹部6cの底部の厚さの精度を高めることが可能となり、赤外線放射素子1ごとの、絶縁層6の機械的強度のばらつきや、絶縁層6のダイヤフラム部6D全体の熱容量のばらつきを抑制することが可能となる。
また、上述の赤外線放射素子1の製造にあたっては、凹部6cの形成が終了するまでのプロセスを、ウェハレベルで行い、凹部6cを形成した後、個々の赤外線放射素子1に分離すればよい。つまり、赤外線放射素子1の製造にあたっては、例えば、基板2の基礎となるシリコンウェハを準備して、このシリコンウェハに複数の赤外線検出素子1を上述の製造方法に従って形成し、その後、個々の赤外線検出素子1に分離すればよい。
上述の赤外線放射素子1の製造方法から分かるように、赤外線放射素子1は、MEMSの製造技術を利用して製造することができる。
ところで、赤外線放射素子1において発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λは、発熱体層3の温度に依存する。ここで、ピーク波長をλ〔μm〕、発熱体層3の絶対温度をT〔K〕とすれば、ピーク波長λは、
λ=2898/T
となり、発熱体層3の絶対温度Tと発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λとの関係がウィーンの変位則を満足している。要するに、赤外線放射素子1では、発熱体層3が黒体を構成している。赤外線放射素子1は、例えば、図示しない外部電源から一対のパッド9,9間に与える入力電力を調整することにより、発熱体層3に発生するジュール熱を変化させることができ、発熱体層3の温度を変化させることができる。したがって、赤外線放射素子1は、発熱体層3への最大入力電力に応じて発熱体層3の温度を変化させることができ、また、発熱体層3の温度を変化させることで発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λを変化させることができる。また、本実施形態の赤外線放射素子1では、発熱体層3の温度を高くするほど赤外線の放射量を増大させることが可能となる。このため、赤外線放射素子1は、広範囲の赤外線波長域において高出力の赤外線光源として用いることが可能となる。例えば、赤外線放射素子1をガスセンサの赤外光源として使用する場合には、発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λを4μm程度にするのが好ましく、発熱体層3の温度を800K程度とすればよい。ここにおいて、本実施形態の赤外線放射素子1では、発熱体層3が上述のように黒体を構成している。これにより、赤外線放射素子1は、発熱体層3の単位面積が単位時間に放射する全エネルギEがT4に略比例するものと推測される(つまり、シュテファン−ボルツマンの法則を満足するものと推測される)。
λ=2898/T
となり、発熱体層3の絶対温度Tと発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λとの関係がウィーンの変位則を満足している。要するに、赤外線放射素子1では、発熱体層3が黒体を構成している。赤外線放射素子1は、例えば、図示しない外部電源から一対のパッド9,9間に与える入力電力を調整することにより、発熱体層3に発生するジュール熱を変化させることができ、発熱体層3の温度を変化させることができる。したがって、赤外線放射素子1は、発熱体層3への最大入力電力に応じて発熱体層3の温度を変化させることができ、また、発熱体層3の温度を変化させることで発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λを変化させることができる。また、本実施形態の赤外線放射素子1では、発熱体層3の温度を高くするほど赤外線の放射量を増大させることが可能となる。このため、赤外線放射素子1は、広範囲の赤外線波長域において高出力の赤外線光源として用いることが可能となる。例えば、赤外線放射素子1をガスセンサの赤外光源として使用する場合には、発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λを4μm程度にするのが好ましく、発熱体層3の温度を800K程度とすればよい。ここにおいて、本実施形態の赤外線放射素子1では、発熱体層3が上述のように黒体を構成している。これにより、赤外線放射素子1は、発熱体層3の単位面積が単位時間に放射する全エネルギEがT4に略比例するものと推測される(つまり、シュテファン−ボルツマンの法則を満足するものと推測される)。
以上説明した本実施形態の赤外線放射素子1は、基板2と、基板2の上記一表面側に形成された発熱体層3および発熱体層3を覆う保護層4を有する機能層5と、基板2の上記一表面側で基板2と機能層5との間に介在し機能層5を支持する絶縁層6とを備え、発熱体層3への通電により発熱体層3から赤外線が放射されるものである。そして、本実施形態の赤外線放射素子1では、基板2に、絶縁層6における発熱体層3側とは反対側の表面6aを露出させる開口部2aが形成されており、絶縁層6において開口部2aに臨む表面6aに、少なくとも1つの凹部6cが設けられている。
しかして、本実施形態の赤外線放射素子1は、絶縁層6の厚さを均一としたまま薄くする場合に比べて、絶縁層6の機械的強度の低下を抑制しつつ、絶縁層6におけるダイヤフラム部6D全体の熱容量を低減することが可能となる。そして、赤外線放射素子1は、ダイヤフラム部6D全体の熱容量を低減することにより、一対のパッド9,9間へ与える電圧波形に対する発熱体層3の温度変化の応答を速くすることが可能となって発熱体層3の温度が上昇しやすくなり、高出力化および応答速度の高速化を図ることが可能となる。要するに、本実施形態の赤外線放射素子1では、機械的強度の低下を抑制しつつ高出力化が可能となる。
また、本実施形態の赤外線放射素子1では、基板2を単結晶のシリコン基板から形成し、絶縁層6をシリコン酸化膜61とシリコン窒化膜62とで構成してある。これにより、赤外線放射素子1は、絶縁層6に比べて基板2の熱容量および熱伝導率それぞれが大きく、基板2がヒートシンクとしての機能を有するので、小型で入力電力に対する応答速度が速く且つ赤外線の放射特性の安定性を向上させることが可能となる。また、本実施形態の赤外線放射素子1では、発熱体層3の材料として、シリコンよりも高融点のTaNを採用すれば、発熱体層3の温度をシリコンの最高使用温度(シリコンの融点よりもやや低い温度)まで上昇させることが可能となり、赤外線発光ダイオードに比べて赤外線の放射量を大幅に増大させることが可能となる。また、赤外線放射素子1は、各電極7において少なくとも発熱体層3に接する部位がシリコンよりも高融点の金属により形成されていれば、発熱体層3の温度を各電極7の材料に制約されることなく上昇させることが可能となる。
ところで、赤外線放射素子1は、絶縁層6において開口部2aに臨む表面6aに、少なくとも1つの凹部6cが設けられていればよい。凹部6cの数や配置は、特に限定するものではなく、例えば、図1(c)および図2〜図5のように種々の形態を採用することができる。ここで、図2は、凹部6cが1つだけ設けられた赤外線放射素子1の下面図である。なお、図2の赤外線放射素子1では、凹部6cの開口形状を円形状として、発熱体層3とダイヤフラム部6Dと凹部6cの中心を、ダイヤフラム部6Dおよび発熱体層3それぞれの中心と合わせてある。
凹部6cは、図1(c)および図2〜図5それぞれに示すように、絶縁層6の開口部2aに臨む表面6aにおいて各電極7の各々の投影領域(破線で示してある)の並ぶ方向に直交する中心線M1を対称軸として線対称に配置されていることが好ましい。これにより、赤外線放射素子1は、凹部6cが中心線M1を対称軸として線対称に配置されていない場合に比べて、絶縁層6の機械的強度のより一層の向上を図ることが可能となるとともに、発熱体層3の温度の面内ばらつきを抑制することが可能なる。
また、赤外線放射素子1は、図3に示すように絶縁層6の表面6aが格子状に形成されているものでもよい。これにより、赤外線放射素子1は、凹部6cが中心線M1を対称軸として線対称に配置されていない場合に比べて、絶縁層6の機械的強度のより一層の向上を図ることが可能となるとともに、発熱体層3の温度の面内ばらつきを抑制することが可能なる。なお、図3の構成では、複数の凹部6cの開口形状が矩形状(図示例では、正方形状)となる。
また、赤外線放射素子1は、図4に示すように絶縁層6の表面6aがハニカム状に形成されているものでもよい。これにより、赤外線放射素子1は、凹部6cが中心線M1を対称軸として線対称に配置されていない場合に比べて、絶縁層6の機械的強度のより一層の向上を図ることが可能となるとともに、発熱体層3の温度の面内ばらつきを抑制することが可能なる。なお、図4の構成では、複数の凹部6cの開口形状が正六角形状となる。
絶縁層6の表面6aは、格子状、ハニカム状に限らず、網状であればよい。ここにおいて、絶縁層6の表面6aが網状ということは、各凹部6cの各々に対応する各網目が正方形状の場合には、表面6aが正方格子状の形状となり、各網目が六角形状の場合には、表面6aが六角格子状(つまり、ハニカム状)となり、各網目が三角形状の場合には、表面6aが三角格子状となる。
また、赤外線放射素子1は、図5に示すように絶縁層6に関して、ダイヤフラム部6Dの中央部の熱容量に比べて、ダイヤフラム部6Dの周部の熱容量を小さくするように凹部6cが配置されているものでもよい。具体的には、ダイヤフラム部6Dの中央部よりも周部のほうに凹部6cを密に配置すればよい。言い換えれば、赤外線放射素子1は、凹部6cの配置密度を、ダイヤフラム部6Dの中心からの距離が長くなるほど高くなるようにしたものでもよい。これにより、赤外線放射素子1は、絶縁層6の表面6aに凹部6cが形成されていない場合や、図1(c)や図2〜図4の場合に比べて、発熱体層3の温度の面内ばらつきを、より抑制することが可能なる。この点について説明すれば、赤外線放射素子1は、絶縁層6の表面6aに凹部6cが形成されているが、凹部6cが形成されていない場合、ダイヤフラム部6Dの中央部に比べて、ダイヤフラム部6Dの周部の温度が低くなる傾向にある。これに対して、赤外線放射素子1は、ダイヤフラム部6Dの中央部の熱容量に比べて、ダイヤフラム部6Dの周部の熱容量を小さくするように凹部6cを配置することにより、発熱体層3の温度の面内ばらつきを、より抑制することが可能なる。
なお、本実施形態の赤外線放射素子1は、ガスセンサ用の赤外光源に限らず、例えば、炎検知用の赤外光源、赤外光通信用の赤外光源、分光分析用の赤外光源などに使用することが可能である。
1 赤外線放射素子
2 基板
2a 開口部
3 発熱体層
4 保護層
5 機能層
6 絶縁層
6a 表面
6c 凹部
6D ダイヤフラム部
6S 支持部
61 シリコン酸化膜
62 シリコン窒化膜
7 電極
2 基板
2a 開口部
3 発熱体層
4 保護層
5 機能層
6 絶縁層
6a 表面
6c 凹部
6D ダイヤフラム部
6S 支持部
61 シリコン酸化膜
62 シリコン窒化膜
7 電極
Claims (6)
- 基板と、前記基板の一表面側に形成された発熱体層および前記発熱体層を覆う保護層を有する機能層と、前記基板の前記一表面側で前記基板と前記機能層との間に介在し前記機能層を支持する絶縁層とを備え、前記発熱体層への通電により前記発熱体層から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、前記基板は、前記絶縁層における前記発熱体層側とは反対側の表面を露出させる開口部が形成されてなり、前記絶縁層は、前記開口部に臨む表面に、少なくとも1つの凹部が設けられてなることを特徴とする赤外線放射素子。
- 前記絶縁層は、前記凹部の底部の厚さが、前記保護層と同じ厚さに設定されてなることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
- 前記基板の前記一表面側で前記発熱体層に接するように形成された一対の電極を備え、前記凹部は、前記表面における前記各電極の各々の投影領域の並ぶ方向に直交する中心線を対称軸として線対称に配置されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の赤外線放射素子。
- 前記絶縁層は、前記表面が格子状に形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の赤外線放射素子。
- 前記絶縁層は、前記表面がハニカム状に形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の赤外線放射素子。
- 前記絶縁層は、前記開口部と前記発熱体層とを隔離するダイヤフラム部と、前記基板の前記一表面側で前記開口部の周部に形成され前記ダイヤフラム部を支持する支持部とからなり、前記ダイヤフラム部の中央部の熱容量に比べて、前記ダイヤフラム部の周部の熱容量を小さくするように前記凹部が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の赤外線放射素子。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015045343A1 (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 赤外線放射素子及びその製造方法 |
JP2016138797A (ja) * | 2015-01-27 | 2016-08-04 | 日本特殊陶業株式会社 | マイクロヒータ及びセンサ |
CN111373230A (zh) * | 2017-09-28 | 2020-07-03 | 盛思锐股份公司 | 红外装置 |
-
2011
- 2011-12-15 JP JP2011274934A patent/JP2013124979A/ja active Pending
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