JP2013124916A - 分子の分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体関連分子を含む試料の前処理から、分離された生体関連分子の転写膜への固定までの一連の工程を、自動で効率的に行うことが可能な分析装置の提供。
【解決手段】分析対象の分子を含む試料を保持し、前記試料から前記分子を分離する分離部2と、分離された前記分子を分離部2から転写する転写膜5と、分離された前記分子を転写している転写膜5を移動させる転写膜駆動部8と、前記分子を転写後の転写膜5に光を照射するための光源7と、を備え、分離部2は、前記試料を保持し、前記分子を分離する分離媒体21と、分離媒体21を格納した分離槽22と、を有し、転写膜駆動部8は、転写膜5を送り出すための送り出しロール81と、転写膜5を巻き取るための巻き取りロール82とを有する分析装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料中に含まれる生体関連分子の分離及び検出を効率的に行うことができる、分子の分析装置に関する。
転写、翻訳調節機構の解明は近年の生物学の重要課題として位置付けられており、生体の設計図であるDNAから、mRNAへの転写、機能体であるタンパク質への翻訳まで、一連のセントラルドグマをコントールする上で、DNA結合タンパク質(DBP)及びRNA結合タンパク質(RBP)が必須の生体分子であることが知られている。
DNA結合タンパク質は、結合対象のDNAに対して親和性を示す部位を有し、DNAの特定配列と特異的に結合するタンパク質と、非特異的に結合するタンパク質との、2種類に大きく分類できる。
DNAの特定配列と特異的に結合するタンパク質の代表としては、転写調節タンパク質が挙げられる。転写調節タンパク質はDNA上のプロモーター又はエンハンサー等の、転写を制御するDNA領域に結合し、DNAの遺伝情報をRNAに転写する過程を促進又は抑制する。転写因子は単独で、又は他のタンパク質と複合体を形成することによって、この機能を果たす。例えば、ヒトのゲノム上には、転写因子をコードする遺伝子がおよそ1800存在すると推定されている。
DNAの特定配列と非特異的に結合するタンパク質の代表としては、DNAの複製、修復又は組み換え等に関与するタンパク質が挙げられる。これらタンパク質は、DNAと結合し、DNA変異配列の修復やメチル化等の役割を担うことが知られている。
一方、DNAから転写されたRNAは一次RNAと呼ばれ、タンパク質に翻訳されるまで、プレRNAスプライシング、RNAエディティング、核と細胞質との間のmRNAのシャッフリング等、様々に制御される。近年の研究によって、RNA結合タンパク質(RBP)は、このようなRNAの制御に必要不可欠な分子であり、その欠損は様々な疾患、例えば、神経疾患、免疫疾患、代謝疾患等の直接的な原因になることが明らかにされている。
このように、DNA結合タンパク質及びRNA結合タンパク質は、生体現象の根幹となる転写、翻訳機構の調節因子であり、医学、分子生物学、農学、薬学等の生命科学の学際分野で広くその理解が求められている。そこで、これら生体関連分子の分析方法が種々開発されている。
例えば、特定のタンパク質と特定のDNA配列との結合を確認する手法として、ゲルシフトアッセイが知られている。ゲルシフトアッセイでは、タンパク質−DNA複合体が、タンパク質と結合していないフリーのDNAよりも、非変性ポリアクリルアミドゲル中での移動度が小さいという泳動度の差異に基づいて、DNAとタンパク質との結合の有無を分析する。このときのDNAやタンパク質の検出には、従来のラジオアイソトープ(RI)での標識によるオートラジオグラフィー検出に代わり、利便性及び検出感度により優れる化学発光や蛍光標識等を利用した検出が汎用されている。
さらに、この発展技術として、ゲルシフトアッセイ後に、ウェスタンブロッティング法、サザンブロッティング法又はサウスウェスタンブッティング法等によって、DNAやタンパク質を検出する分析方法も検討されている(特許文献1参照)。この分析方法では、例えば、分析対象試料の前処理(インキュベート等)、電気泳動、分離した分子の転写膜への転写、転写された分子のクロスリンクによる転写膜への固定を順次行い、分子を検出可能な状態とする。そして、検出された分子からは種々の情報を取得でき、分子の分析が可能となる。ここで、クロスリンクとは、転写膜上の分子に対して光を照射し、励起した分子を、光化学反応により転写膜に共有結合させる手法である。
この分析方法では、従来、上記の各工程を実験者が手作業で行ってきたが、例えば、ゲルが軟らかい材料で破損し易いため、慎重な取り扱いが必要であり、作業が煩雑で長時間を要し、熟練を要するなど、作業効率が低いという問題点があった。そして、ここまでは、DNA結合タンパク質及びRNA結合タンパク質について主に説明してきたが、これら以外の生体関連分子の分析にも同様の問題点があった。そこで、作業の効率化を目的として、工程の自動化技術が検討されており、例えば、分析対象試料の電気泳動から、分離した分子の転写膜への転写までを、自動で行う方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−321199号公報 特開2007−292616号公報
しかし、上記分析方法での工程の自動化は、まだ改善の余地が残されており、さらなる効率化が求められている。例えば、試料の前処理、試料の電気泳動、転写膜への分子の転写、分子のクロスリンクは、それぞれ専用の装置で行われるが、装置間で試料を移動する作業には依然多くの時間及び労力を要し、さらに移動によって試料の一部を失う可能性がある。また、試料は、変性や失活を抑制するために、安定な環境下において短時間で取り扱うことが必要であり、この観点からも一連の工程をより短時間で行うことが求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、生体関連分子を含む試料の前処理から、分離された生体関連分子の転写膜への固定までの一連の工程を、自動で効率的に行うことが可能な分析装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、分析対象の分子を含む試料を保持し、前記試料から前記分子を分離する分離手段と、分離された前記分子を前記分離手段から転写する転写膜と、分離された前記分子を転写している前記転写膜を移動させる駆動手段と、前記分子を転写後の前記転写膜に光を照射するための光源と、を備えたことを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源が、前記転写膜を挟んで互いに対向する位置に配置され、前記転写膜の両面に光が照射可能とされていることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源が、前記転写膜の移動方向に沿って直列に配置されていることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源が、互いに異なる波長域の光を照射可能とされていることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源により、200〜350nmの少なくともいずれかの波長域の光が照射可能とされていることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記光源と前記転写膜との間に、さらに、スリットが設けられたもしくは設けられていない光遮蔽部材、又はレンズを備え、前記転写膜への光の照射範囲が調節可能とされていることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記光源と前記転写膜との間に、さらにレンズを備え、前記転写膜への光の照射強度が調節可能とされていることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記分離手段は、緩衝液を介して電流を流すことにより、前記分子を分離する分離媒体と、前記分離媒体を格納した分離槽と、を有し、前記分離媒体は、電流を流す前に前記試料を保持しておくための試料保持部を有し、前記分離槽は、電流を流すための、上流側の第一の開口部及び下流側の第二の開口部を有することを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記分子が核酸及び/又は核酸を含む複合体であり、前記転写膜が光の照射によって、前記核酸及び/又は複合体と共有結合を形成可能であることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記分子が核酸、並びに核酸及びタンパク質の複合体であり、前記転写膜が光の照射によって、前記核酸及び複合体と共有結合を形成可能であることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記分離手段が、電気泳動による分子ふるい効果によって前記分子を分離する、ポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲルを分離媒体として有することを特徴とする分子の分析装置を提供する。
また、本発明は、かかる分子の分析装置において、前記転写膜の材質が、ポリフッ化ビニリデン、ニトロセルロース又はナイロンであることを特徴とする分子の分析装置を提供する。
本発明によれば、生体関連分子を含む試料の前処理から、分離された生体関連分子の転写膜への固定までの一連の工程を、自動で効率的に行うことが可能な分析装置が提供される。
第一の実施形態に係る分析装置を例示する概略断面図である。 図1に示す分析装置の分離部を構成する分離媒体及び分離槽を示す概略斜視図である。 図1に示す分析装置を使用して、光源から転写膜へ光照射している状態を例示する斜視図である。 本発明の第二の実施形態に係る分析装置における、光源の配置形態を例示する概略図である。 本発明の第三の実施形態に係る分析装置における、光源の配置形態を例示する概略図である。 本発明の第四の実施形態に係る分析装置における、光源の配置形態を例示する概略図である。 第四の実施形態に係る分析装置における、他の光源の配置形態を例示する概略図である。 第四の実施形態に係る分析装置における、さらに他の光源の配置形態を例示する概略図である。
<分子の分析装置>
本発明に係る分子の分析装置は、分析対象の分子を含む試料を保持し、前記試料から前記分子を分離する分離手段と、分離された前記分子を前記分離手段から転写する転写膜と、分離された前記分子を転写しながら、前記転写膜を移動させる移動手段と、前記分子を転写後の前記転写膜に光を照射するための光源と、を備えたことを特徴とする。
かかる分析装置を使用することで、試料の前処理から、分離された分子の転写膜への固定までの一連の工程を、自動で効率的に行うことができる。
分析対象の前記分子は、具体的には、生体内の反応に関与する生体関連分子であり、天然由来分子、合成分子、並びに天然由来分子及び/又は合成分子の複合体のいずれでもよい。
好ましい前記分子としては、チミン等の核酸塩基構造に代表される、光化学反応で他の分子と共有結合を形成し得る構造を骨格内に有するものが例示でき、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)等の核酸;ペプチド核酸(PNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)等の核酸アナログ;前記核酸及び核酸アナログからなる群から選択される二種以上の複合体;前記核酸及び核酸アナログからなる群から選択される一種以上と、一種以上のタンパク質との複合体が例示でき、核酸、核酸を含む複合体がより好ましく、核酸、核酸とタンパク質との複合体がさらに好ましく、DNA、RNA、DNA結合タンパク質(DBP)、RNA結合タンパク質(RBP)が特に好ましい。なお、ここで「核酸を含む複合体」とは、構成分子の少なくとも一つが核酸である複合体を意味するものとする。
前記核酸としては、1本鎖DNA、2本鎖DNA、cDNA、伝令RNA(mRNA)、mRNA前駆体(pre−mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボゾームRNA(rRNA)、アンチセンスRNA(aRNA)、ガイドRNA(gRNA)、MiRNA(miRNA)、ノンコーディングRNA(ncRNA)、PiRNA(piRNA)、ShRNA(shRNA)、SiRNA(siRNA)等が例示できる。
前記タンパク質は、動物由来タンパク質、植物由来タンパク質、微生物由来タンパク質、合成タンパク質、これらの二種以上が混成された混成タンパク質、及びこれらタンパク質が糖鎖修飾等の翻訳後修飾を受けた修飾タンパク質のいずれでもよい。
前記動物由来タンパク質としては、ヒト、実験動物、家畜もしくは培養細胞から得られた組織を構成するタンパク質、又は抽出されたタンパク質が例示できる。ここで、前記実験動物としては、キイロショウジョウバエ、線虫、マウス、モルモット、アフリカツメカエル、メダカ、カニクイザル、ニホンザル等が例示できる。
前記植物由来タンパク質としては、農業用植物;トウモロコシ、サトウキビ等のバイオエタノール製造用の植物;薬理効果を有する植物;漢方薬剤の原料植物等が例示できる。
前記微生物由来タンパク質としては、ウイルス、細菌、真菌又は原虫に由来するタンパク質が例示でき、病原性微生物に由来するタンパク質が好ましい。
分析に供する前記試料は、前記分子を含むものであり、生体から採取した生体由来試料、該生体由来試料を処理して得られた処理試料、前記分子を二種以上混合して人工的に作製した人工試料、これら試料の二種以上を混合して得られた混合試料等が例示できる。
分析対象となる前記分子は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、目的に応じて任意に調節できる。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る分析装置を例示する概略断面図である。
ここに示す分析装置1は、分離部2、第一の緩衝液槽3、第二の緩衝液槽4、転写膜5、ガイドロール6、光源7、及び転写膜駆動部8を備える。
分離部2は、分析対象の前記分子を含む試料を保持し、この試料から前記分子を分離する分離手段を構成する。
転写膜5は、分離された前記分子を分離部2から転写するものである。
転写膜駆動部8は、分離された前記分子を転写している転写膜5を移動させる駆動手段を構成し、転写膜5を送り出すための送り出しロール81と、転写膜5を巻き取るための巻き取りロール82とを有する。
そして、第一の緩衝液槽3には陰極31が配置され、第二の緩衝液槽4には陽極41が配置されている。
陰極31及び陽極41は、電線を介して直流電源と電気的に接続されている(図示略)。
陰極31及び陽極41の材質は公知のものでよく、白金、金、銀、銅等の金属や、カーボン等の非金属が例示できる。
分離部2は、第一の緩衝液槽3と第二の緩衝液槽4との間に設けられ、これらが直列となるように配置されている。このとき、分析装置1は、筐体11中の所定の箇所に分離部2を配置することで、第一の緩衝液槽3及び第二の緩衝液槽4がそれぞれ同時に構成されるようになっている。
分析装置1は、第一の緩衝液槽3の内部に第一の緩衝液32が、そして第二の緩衝液槽4の内部に第二の緩衝液42が、それぞれ充填されて使用される。
第一の緩衝液32及び第二の緩衝液42としては、導電性を有する公知の組成のものが使用でき、分析対象の分子の種類に応じて適宜選択すればよい。電気泳動に利用可能な好ましいものとしては、トリス(Tris)/グリシン緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸ナトリウム緩衝液、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)緩衝液、Tris/ホウ酸/エチレンジアミン四酢酸(EDTA)緩衝液、Tris/酢酸/EDTA緩衝液、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)緩衝液、リン酸緩衝液、Tris/トリシン緩衝液等が例示できる。
分離部2は、分子を分離する分離媒体21と、この分離媒体21を格納した分離槽22とを有する。分離槽22は、第一の緩衝液槽3に向けて開口された第一の開口部22aと、第二の緩衝液槽4に向けて開口された第二の開口部22bとを有し、内部に格納した分離媒体21が、これら開口部で露出可能となっている。第一の開口部22a及び第二の開口部22bは、それぞれ電極に対向して配置されている。そして分離槽22は、第一の開口部22aを有する側面が第一の緩衝液槽3の一つの壁面を構成し、第二の開口部22bを有する側面が第二の緩衝液槽4の一つの壁面を構成している。例えば、電気泳動時には、泳動上流側の第一の開口部22aから、泳動下流側の第二の開口部22bへ向けて電流が流れる。なお、本発明において「泳動上流」とは、試料の泳動方向における上流を、「泳動下流」とは、試料の泳動方向における下流をそれぞれ意味する。したがって、泳動下流端が、試料から分離された分子を転写膜へ転写する部位となる。
筐体11の材質は、絶縁性を有していればよく、石英ガラス等のガラス;セラミックス;アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が例示できる。そして、第一の緩衝液槽3及び第二の緩衝液槽4の緩衝液との接触箇所の材質は、耐薬品性及び防水性が高い材質が好ましい。
筐体11は、その材質に応じて公知の方法で作製すればよい。
図2は、分離部2を構成する分離媒体21及び分離槽22を示す概略斜視図である。
分離槽22は、上板221、下板222及び封止部材223を用いて構成される。上板221の下面と下板222の上面が対向するようにして、上板221及び下板222は配置され、これらの対向面間の空隙部に分離媒体21が格納される。すなわち、下板222、分離媒体21及び上板221は、この順に密着して積層されている。
上板221は、第一の開口部22a側の周縁部に沿って、該周縁部近傍に第三の開口部22cが設けられている。第三の開口部22cは、後述するゲル状の分離媒体21用の原料の注入口に相当する。
上板221の大きさは、分析対象の試料の数や量に応じて適宜調節すればよいが、取り扱い性の観点からは、長辺の長さ(分子の移動方向に対して直交する方向の長さ)Yが40〜80mmであることが好ましく、短辺の長さ(分子の移動方向の長さ)Xが20〜40mmであることが好ましく、厚さZが0.5〜2mmであることが好ましい。
第三の開口部22cの長辺方向の長さY11は、第一の開口部22aの長辺方向の長さに対して90〜98%であることが好ましい。
下板222は、第三の開口部22cが設けられていないこと以外は、上板221と同様のものであり、その形状(第三の開口部22cが設けられていないことを除く)及び大きさは、組み合わせる上板221と同じであることが好ましい。
封止部材223は、上板221の第三の開口部22cに、矢印Iで示すように挿入されて装着されるものであり、幅広の基体部223a上に凸状部223bが突設された形状を有しており、その長手方向に対して垂直な断面の形状が略T字状である。封止部材223の装着時には、凸状部223bは第三の開口部22cに嵌合し、基体部223aは、その凸状部223bが設けられている面(図中の下面)が、上板221の分離媒体21との接触面とは反対側の面(図中の上面)に接触することで、第三の開口部22cが封止される。
なお、分離槽22は、第一の開口部22a及び第二の開口部22bが設けられていない側面(図中の手前の面と、これとは反対側の奥の面)の近傍において、上板221と下板222との間に、板状又は棒状のスペーサ(図示略)が設けられた構成であってもよい。
上板221、下板222及びスペーサの材質は、絶縁性を有していればよく、石英ガラス等のガラス;セラミックス;アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が例示できる。なかでも、親水性を有し、平坦性及び放熱性に優れることから、ガラスが好ましい。
上板221、下板222及びスペーサは、その材質に応じて公知の方法で作製すればよい。
上板221及び下板222の少なくとも一方には、分離媒体21の温度を調節するための温調手段(図示略)が設けられていることが好ましく、上板221及び下板222の両方に、温調手段が設けられていることがより好ましい。また、前記温調手段は、上板221又は下板222の内部に組み込まれていることが好ましい。前記温調手段としては、ペルチェ素子が例示できる。
分離媒体21は、例えば、電気泳動によって前記試料から分析対象の分子を分離するものであり、分子の種類に応じて適宜選択すればよく、好ましいものとしては、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲルが例示できる。また、超微細柱(ナノピラー)が立設された構造のものでもよい。
分離媒体21のうち、分離槽22の第一の開口部22aの近傍(電気泳動時の泳動上流側)には、後述するように、試料を保持するための試料保持部(図示略)が設けられており、分子を分離する前の試料を保持すると共に、試料をその種類に応じて前処理できるようになっている。
第二の緩衝液槽4には、ガイドロール6及び転写膜駆動部8が設けられている。
転写膜5は、送り出しロール81から送り出され、ガイドロール6でガイドされて、最終的には巻き取りロール82で巻き取られるようになっている。図中の矢印R、R及びRは、それぞれ、矢印Mで示す方向に転写膜5を移動させた(送り出した)時の、送り出しロール81、巻き取りロール82及びガイドロール6の回転方向を示す。
転写膜5は、転写膜駆動部8による移動時に、分離槽22の第二の開口部22bにおける分離媒体21の露出面21bと接触していてもよいし、接触していなくてもよいが、分子の転写量が向上する点から、接触していることが好ましい。接触していない場合、分離媒体21の前記露出面21bと転写膜5との間の距離は、0.1mm以下であることが好ましい。なお、符号21aは、分離槽22の第一の開口部22aにおける分離媒体21の露出面を示す。
また、分離媒体21の前記露出面21bと陽極41との間に、ガイドロール6等の介在構造が存在しない場合には、転写膜5は、転写膜駆動部8による移動時に、陽極41と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
転写膜5の材質は、検出対象の分子を固定できればよく、疎水性であることが好ましく、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ニトロセルロース、ナイロン等の合成樹脂が例示できる。
転写膜5の大きさは、組み合わせる分離部2の大きさに応じて設定すればよい。例えば、短辺の長さ(図中の矢印Mで示す転写膜5の移動方向に対して直交する方向、すなわち転写膜5の幅方向の長さ)は、分離媒体21の同方向の長さに対して同等以上であることが好ましく、取り扱い性の観点からは、前記Yと同様の範囲であることが好ましい。転写膜5の長辺の長さ(転写膜5の移動方向の長さ)は、転写膜5の移動速度にもよるが、80〜120mmであることが好ましい。そして、転写膜5の厚さは、0.05〜2mmであることが好ましい。
ガイドロール6は、分離槽22の第二の開口部22bにおいて露出されている分離媒体21(前記露出面21b)に対して、上記のように接触又は非接触の状態で転写膜5の配置位置を維持すると共に、図中の矢印Mで示す方向への転写膜5の移動をガイドする。
ガイドロール6は、その回転軸方向が、分離槽22の第二の開口部22bの長辺方向に略平行となるように、第二の開口部22bに対向して配置され、第二の開口部22bにおいて露出されている分離媒体21から転写膜5へ、分離された分子を転写できるようになっている。
ガイドロール6の回転軸方向の長さは、第二の開口部22bの長辺方向の長さよりも短くてもよいが、前記長辺方向の長さと同等であることが好ましい。また、ガイドロール6は、1個だけ設けられていてもよいが、複数個が互いに間隔を空けて直列に設けられていてもよい。ただし、構成を簡略化できる点から、ガイドロール6の数は1個であることが好ましい。
ガイドロール6、送り出しロール81及び巻き取りロール82の材質は、絶縁性を有していればよく、上板221等と同様でよい。
光源7は、分子を転写後の転写膜5に光を照射するものであり、転写膜5の送り方向(移動方向)において、分離槽22の第二の開口部22b(分離媒体21の露出面21b)よりも下流側に配置されている。ここではさらに、第二の緩衝液槽4に充填された第二の緩衝液42の液面よりも下流側で、且つ巻き取りロール82よりも上流側に配置された例を示している。そして、光源7は、転写膜5の分子の転写面(分子の転写時に、分離媒体21と対向する面)に光を照射できるように配置されている。光源7により光を照射されると、転写膜5上の分子は、転写膜5とクロスリンクして転写膜5に強固に固定される。なお、転写膜5の光源7による光の照射面は、分子の転写面でなくてもよいが、分子をより強固に固定できる点から、ここに示すように分子の転写面であることが好ましい。
光源7は、紫外領域の波長の光を照射可能なものが好ましく、200〜400nmのいずれかの波長域の光を照射可能なものがより好ましく、200〜350nmのいずれかの波長域の光を照射可能なものが特に好ましい。
また、光源7は、転写膜5に対して10〜5000μW/cmの照度で光を照射可能なものが好ましい。
装置を小型化し、且つ転写された分子を十分にクロスリンクさせるためには、分子が転写され、光が照射されている転写膜5の領域と、光源7の光放射面との距離は、0.1〜10cmであることが好ましい。
光源7を備えた光照射装置(手段)としては、UVクロスリンカー等が例示できる。
なお、ここでは、分析対象の分子を含む試料からこの分子を分離する分離部として、分離媒体及び分離槽22を有するものを示しているが、分子を分離及び転写できるものであれば、これに限定されない。
また、ここでは、分子の転写時に、転写膜5の配置位置を維持し、転写膜5の移動をガイドする手段として、ガイドロールを使用した例を示しているが、これらの目的を達することができれば、その他の手段を使用してもよい。
分析装置1は、後述する分析の各工程を行う機構を一体化しているので、小型化が容易である。
分析装置1を使用して、分子は、例えば、(1)試料の前処理、(2)分子の分離、(3)分離された分子の転写膜への転写(以下、「(3)転写」と略記する)、及び(4)分子の転写膜とのクロスリンク(以下、「(4)クロスリンク」と略記する)という工程を経て、転写膜へ固定され、分析可能な状態となる。以下、主にゲルシフトアッセイを行う場合を例に挙げて、各工程について説明する。
(1)試料の前処理は、分子を目的の状態とするために行う。例えば、検出対象の分子が、核酸及び核酸アナログからなる群から選択される二種以上の複合体;核酸及び核酸アナログからなる群から選択される一種以上と、一種以上のタンパク質との複合体;等の2分子以上の複合体である場合には、これら複合体を形成させる。例えば、検出対象の分子がDNA結合タンパク質(DBP)又はRNA結合タンパク質(RBP)である場合には、DNA又はRNAと、タンパク質とを混合して混合液を作製し、これをインキュベートすればよい。
(1)試料の前処理に際しては、分離媒体21の試料保持部に試料を導入する。試料保持部は、後述するように電流を流す前に、導入した試料を保持しておくためのものである。試料保持部は、例えば、ゲル状の分離媒体21の場合、分離部2の第三の開口部22cから内部にこの分離媒体21の原料を充填し、次いで、封止部材223を第三の開口部22cに挿入してから前記原料をゲル化させ、封止部材223を取り外すことで、封止部材223の凸状部223bによって型どりされた分離媒体21における凹部として形成できる。このとき、封止部材223として、凸状部223bの先端部がくし歯状とされたものを使用することで、このくし歯に対応した複数個の凹部(試料保持部)を形成できる。
(1)試料の前処理は、試料保持部中で公知の方法で行えばよい。例えば、前記インキュベートの場合、試料保持部中の試料を、好ましくは20分〜3時間、より好ましくは30分〜1時間、温度調節しながら静置すればよい。温度調節は、例えば、分離槽22に設けられた前記温調手段により行うことができる。インキュベート時の温度は、前処理に要する時間を短縮できる点から、36.5〜37.5℃であることが好ましい。なお、ここに挙げた前処理条件は一例であり、検出対象の分子の種類に応じて、適宜調節することが好ましい。
(2)分子の分離は、(1)試料の前処理後に、陰極31及び陽極41に電圧を印加することで行うことができる。このとき、第一の緩衝液32及び第二の緩衝液42を介して電流が流れるが、分離槽22の第一の開口部22a側から第二の開口部22b側へ向けて、分離媒体21中を電流が流れることで、試料中の各種分子は、その分子量や電荷量に応じて、分離媒体21中を第一の開口部22a側から第二の開口部22b側へ向けて移動し、分子ふるい効果や電気的引力の効果により、互いに分離される。例えば、DNAやRNA(核酸)は、DNA結合タンパク質やRNA結合タンパク質(核酸とタンパク質との複合体)よりも分子量が小さく、DNA結合タンパク質やRNA結合タンパク質では、タンパク質の電荷の影響があるので、同じ電流値での分離媒体21における移動距離は、DNAやRNAの方がDNA結合タンパク質やRNA結合タンパク質よりも長くなり、この泳動距離の差に基づいてこれら分子は分離される。
電圧の印加条件は、試料中に含まれる各種分子の種類、分離媒体21の種類等に応じて、適宜調節すればよい。
電圧印加時には、前記温調手段により分離媒体21を、例えば、2〜10℃に温度調節することで、電気泳動のばらつきを抑制でき、より高精度に分子を分離できる。
(3)転写は、(2)分子の分離時(上記の電圧印加時)に、転写膜駆動部8によって転写膜5を移動させることで行う。転写膜駆動部8によって、転写膜5は、送り出しロール81から送り出され、ガイドロール6でガイドされながら移動する。一方、試料中に含まれていた各種分子は、分離媒体21中で互いに分離され、同じ電流値での移動距離が長い(移動度が大きい)ものから順に、第二の開口部22bにおける分離媒体21の露出面21bから排出される。そして、排出された分子は、直ちに転写膜5に接触して吸着され、転写される。
(4)クロスリンクは、(3)転写後の転写膜5に光源7から光照射することで行う。転写後の分子は、その構造の少なくとも一部が照射光によって励起され、光化学反応により転写膜5との間で共有結合を形成し、クロスリンクすることで、強固に固定される。
光源7による転写膜5への光照射は、巻き取りロール82による転写膜5の巻き取り前であれば、いずれのタイミングで行ってもよいが、分子転写後に速やかに光照射することで、転写された分子は、温度や湿度等の影響を受けることがなく、その結果、立体構造が高度に維持されたまま、変性することなくより安定化された状態で固定される。なお、(1)試料の前処理から(2)分子の分離までの間は、光照射は不要なので、この間の光源7の作動は必ずしも必要ではない。
図3は、分析装置1を使用して、光源7から転写膜5へ光照射している状態を例示する斜視図である。図中、符号5aは、光源7による転写膜5上の光照射領域を示す。
照射光は、紫外光であることが好ましく、200〜400nmの少なくともいずれかの波長の光を含むことが好ましく、200〜350nmの少なくともいずれかの波長の光を含むことがより好ましく、例えば、254nm、260nm、305nm、310nm及び320nmのいずれか1以上の波長の光を含むことがさらに好ましい。
(4)クロスリンク後の転写膜5は、最終的に巻き取りロール82で巻き取られ、保存可能な状態となる。
そして、(1)試料の前処理から、転写膜5の巻き取りまでの一連の工程は、プログラミングによって全自動で行うことができる。
転写膜5に固定された分子の検出は、その分子の種類に応じて公知の方法で行えばよい。好ましい検出方法としては、蛍光標識された抗体を用いて、抗原−抗体反応によりタンパク質を検出する方法(ウエスタンブロッティング法)や、抗ジゴキシゲニン−ALP(DIGラベル)、又はストレプトアビジン−HRP(Biotinラベル)を用いて、化学発光によりDNA、DBP、タンパク質を検出する方法が例示でき、これら以外にも、サザンブロッティング法、サウスウェスタンブロッティング法、CBB染色法、銀染色法、エチレンブロマイド染色法等を適用できる。
分析装置1を使用することにより、分子の分析においては、(1)試料の前処理から(4)クロスリンクを経て、転写膜5の巻き取りまでの一連の工程をすべて自動で行うことができる。このように、これらの工程を、装置の変更等を伴うことなく、すべて連続的に自動で行うことができるので、分子を従来よりも短時間で分析でき、例えば、上記一連の工程を0.5〜3時間程度という短時間で行うことが可能である。分子の分離を短時間で行えば、分離媒体21の変質を抑制することができ、分子の分離媒体21中での不要な拡散も防止できる。さらに、一連の工程で熟練を要する作業が不要で、精度も向上し、試料や分離した分子を失う危険性も低減できる。したがって、分析装置1を使用することにより、従来よりも効率的に分子を分析できる。
図1では、光源7がそのまま転写膜5に対して1個配置された例を示しているが、分析装置における光源の配置形態を調節することで、より優れた効果が得られる分析装置とすることができる。このようなより好適な分析装置について、以下、説明する。
(第二の実施形態)
図4は、本発明の第二の実施形態に係る分析装置における、光源の配置形態を例示する概略図である。
ここに示す分析装置は、光源7を2個備え、1個は転写膜5の一方の面に、残りの1個は転写膜5の他方の面(前記一方の面とは反対側の面)に、それぞれ配置されている。すなわち、これら2個の光源7は、転写膜5を間に挟むように配置され、転写膜5の両面に光照射できるようになっている。転写膜5のこれら面の一方は、分子の転写面である。この点以外、ここに示す分析装置は、図1に示す分析装置1と同じである。
このように光源7を配置することで、より高強度の光を転写膜5に照射でき、より多くの分子をクロスリンクさせることができる。通常、転写膜5は繊維状又はポア状であるが、転写膜5の片面のみに光照射した場合には、照射光が到達し易いのは、照射面(片面)とその近傍の領域であり、分子のクロスリンクはこのような領域で生じ易く、それ以外の領域(例えば、転写膜5の厚さ方向の中央部から、前記照射面とは反対側の面までの間の領域)では生じ難くなる。これに対し、転写膜5の両面に光照射した場合には、転写膜5の厚さ方向に、照射光が万遍なく到達するので、厚さ方向のすべての領域で分子のクロスリンクが生じ易くなる。
2個の光源7は、転写膜5の長手方向(図中の矢印Mで示す転写膜5の移動方向)及び転写膜5の幅方向(図中の矢印Mで示す転写膜5の移動方向に対して直交する方向)の少なくとも一方において、配置位置が一致していなくてもよいが、配置位置のずれは小さいほど好ましく、両方において配置位置が一致していることがより好ましい。すなわち、2個の光源7は、転写膜5を挟んで互いに対向する位置に配置されていることが好ましい。このようにすることで、より優れた効果が得られる。
なお、ここでは、光源7の数が2個である場合を示しているが、光源7の数は複数であればよく、その数は特に限定されない。例えば、光源7の数が3個以上である場合には、少なくとも2個の光源7が、上記関係を満たしていればよい。ただし、分析装置の取り扱い性と得られる効果を考慮すると、本実施形態での光源7の数は、2〜4個であることが好ましい。
ここに示す分析装置を使用した場合も、光の照射方法が異なる点以外は、図1に示す分析装置1を使用した場合と同様の方法で、分子を分析できる。
(第三の実施形態)
図5は、本発明の第三の実施形態に係る分析装置における、光源の配置形態を例示する概略図である。
ここに示す分析装置は、光源7を3個備え、これら3個の光源7が、転写膜5の長手方向(図中の矢印Mで示す転写膜5の移動方向)に沿って、直列に配置されている。転写膜5の光照射面は、分子の転写面であることが好ましい。この点以外、ここに示す分析装置は、図1に示す分析装置と同じである。
これら光源7として、互いに異なる波長域の光が照射可能であるものを使用することで、複数の波長域の光を同時に又は連続して照射できる。例えば、分子のクロスリンクに最適な光の波長が不明である場合、その波長の特定に時間と労力を要することがある。これは、クロスリンクさせる分子の種類や、転写膜5の材質によって、最適な光の波長が異なるからである。これに対して、これら光源7により、複数の波長域の光を同時に又は連続して照射することで、最適な光の波長を特定しなくても、容易に分子をクロスリンクさせることができるようになる。より具体的には、例えば、これら光源7により、好ましくは200〜400nm、より好ましくは200〜350nmの少なくともいずれかの波長の光(好ましくは200〜400nm、より好ましくは200〜350nmの一部の波長もしくは波長域の光又は全波長域の光)を照射することで、効率的にクロスリンクさせることができる。
また、これら光源7同士の間隔を狭くすることで、光源7を1個のみ使用した場合よりも、照射光の強度をより大きくできる。
なお、ここでは、光源7の数が3個である場合を示しているが、光源7の数は複数であればよく、その数は特に限定されない。そして、複数個の光源7のうち、少なくとも2個の光源7が、上記関係を満たしていればよい。ただし、分析装置の取り扱い性と得られる効果を考慮すると、本実施形態での光源7の数は、3〜5個であることが好ましい。例えば、光源7の数が5個である場合には、254nm、260nm、305nm、310nm又は320nmの波長の光を含み、これら波長が互いに異なる光源7を使用することが好ましい。
ここに示す分析装置を使用した場合も、光の照射方法が異なる点以外は、図1に示す分析装置1を使用した場合と同様の方法で、分子を分析できる。
(第四の実施形態)
図6は、本発明の第四の実施形態に係る分析装置における、光源の配置形態を例示する概略図である。
ここに示す分析装置は、光源7の光放射面7a上に、光遮蔽部材71を備えたこと以外は、図1に示す分析装置と同じである。
光遮蔽部材71には、転写膜5の長手方向(図中の矢印Mで示す転写膜5の移動方向)に対して直交する方向に延びるスリット71bが設けられている。そして、光遮蔽部材71の遮光面71aが光源7の光放射面7aに接触し、スリット71bが光源7の光放射面7a上に重なるようにして、光遮蔽部材71が配置されている。なお、図5では、判り易く示すために、光源7及びスリット71を断面表示している。
光遮蔽部材71は、スリット71bが設けられている部位を除いて、光源7の光放射面7aの全面を覆うことができれば、その外形は特に限定されない。
このような光遮蔽部材71を設けることで、転写膜5への光の照射領域(転写膜5上の光照射面の領域)を調節できる。通常、光源7からの照射光は、放射状に広がって進むため、光源7と転写膜5との間の距離によっては、転写膜5の光照領域において、照射光の強度にばらつきが生じることがある。照射光の強度がばらつくと、分子のクロスリンクの程度にもばらつきが生じてしまう。しかし、光遮蔽部材71を設け、スリット71bを通過した光が到達することで、転写膜5上の光照射領域は、スリット71bの方向に長い形状となり、この長手方向(スリット71bの方向)において、照射光の強度がより均一となる。
光遮蔽部材71の材質は、樹脂、金属、セラミックス等、光の透過率が低いものであれば公知のものでよく、特に限定されない。
なお、ここでは、光遮蔽部材71として、その遮光面71aが光源7の光放射面7aに接触しているものを示しているが、本実施形態ではこれに限定されず、光遮蔽部材71は、光源7と転写膜5との間に設けられていればよく、光源7に接触していなくてもよい。
また、ここでは、スリット71bの方向が、転写膜5の長手方向に対して直交する方向である場合を示しているが、スリット71bの方向は、目的に応じて任意に設定できる。
ここに示す分析装置を使用した場合も、光の照射方法が異なる点以外は、図1に示す分析装置1を使用した場合と同様の方法で、分子を分析できる。
また、ここでは、光遮蔽部材として、光通過部位の形状がスリット状であるものを示しているが、光通過部位の形状及び大きさは、目的に応じて任意に設定できる。そして、光通過部位の形状及び大きさを調節することで、転写膜5への光の照射領域の形状及び大きさを任意に設定できる。
図7は、本実施形態に係る分析装置における、他の光源の配置形態を例示する概略図である。
ここに示す分析装置は、図6に示す分析装置において、光遮蔽部材71に代えて、スリットが設けられていない光遮蔽部材72を備えたものである。この点以外、ここに示す分析装置は、図6に示す分析装置と同じである。
光遮蔽部材72は、スリット71bが設けられていない点以外は、上記の光遮蔽部材71と同様のものである。ここでは、光遮蔽部材72として、外形が四角形状であるものを示しているが、これに限定されない。
光遮蔽部材72は、光源7の光放射面7aのうち、光の照射方向に対して左側の特定の領域のみを覆うようにして、その遮光面72aが光放射面7aに接触して配置されている。
このような光遮蔽部材72を設けることで、転写膜5への光の照射領域(転写膜5上の光照射面の領域)を調節できる。具体的には、転写膜5の幅方向(図中の矢印Mで示す転写膜5の移動方向に対して直交する方向)において、光の照射方向に対して右側の特定の領域のみに光を照射することができ、このときの光照射領域5aのみにおいて、分子をクロスリンクさせることができる。符号5bは、光遮蔽部材72を設けなければ光が照射されていたはずの転写膜5での遮光領域を示す。分子の分析においては、このように、転写した分子の一部はクロスリンクさせないことが必要になる場合もあり、本実施形態の分析装置はこのような分析に好適である。
なお、ここでは、光遮蔽部材72として、その遮光面72aが光源7の光放射面7aに接触しているものを示しているが、本実施形態ではこれに限定されず、光遮蔽部材72は、光源7と転写膜5との間に設けられていればよく、光源7に接触していなくてもよい。
また、ここでは、光源7の光放射面7aのうち、光の照射方向に対して左側の特定の領域のみを、光遮蔽部材72で覆うようにした例を示しているが、光遮蔽部材72で覆う光放射面7aの領域は、目的に応じて任意に設定できる。
ここに示す分析装置を使用した場合も、光の照射方法が異なる点以外は、図1に示す分析装置1を使用した場合と同様の方法で、分子を分析できる。
図8は、本実施形態に係る分析装置における、さらに他の光源の配置形態を例示する概略図である。
ここに示す分析装置は、図6に示す分析装置において、光遮蔽部材71に代えて、レンズ73を備えたものである。この点以外、ここに示す分析装置は、図6に示す分析装置と同じである。
レンズ73を介して光を照射することで、転写膜5への光の照射領域(転写膜5上の光照射面の領域)を調節できる。具体的には、光源7の通常使用時よりも転写膜5への光の照射領域を狭めることができる。また、同時に、光源7の通常使用時よりも転写膜5の光照射面において、照射光の強度を大きくできる。
本発明は、医学、薬学、生化学等の、生体関連分子の分析が必要とされる分野全般で利用可能である。
1・・・分析装置、2・・・分離部、21・・・分離媒体、22・・・分離槽、22a・・・第一の開口部、22b・・・第二の開口部、3・・・第一の緩衝液槽、32・・・第一の緩衝液、4・・・第二の緩衝液槽、42・・・第二の緩衝液、5・・・転写膜、5a・・・光照射領域、7・・・光源、71,72・・・光遮蔽部材、73・・・レンズ、71b・・・スリット、8・・・転写膜駆動部、81・・・送り出しロール、82・・・巻き取りロール

Claims (12)

  1. 分析対象の分子を含む試料を保持し、前記試料から前記分子を分離する分離手段と、
    分離された前記分子を前記分離手段から転写する転写膜と、
    分離された前記分子を転写している前記転写膜を移動させる駆動手段と、
    前記分子を転写後の前記転写膜に光を照射するための光源と、
    を備えたことを特徴とする分子の分析装置。
  2. 前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源が、前記転写膜を挟んで互いに対向する位置に配置され、前記転写膜の両面に光が照射可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の分子の分析装置。
  3. 前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源が、前記転写膜の移動方向に沿って直列に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分子の分析装置。
  4. 前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源が、互いに異なる波長域の光を照射可能とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  5. 前記光源を複数個備え、少なくとも2個の光源により、200〜350nmの少なくともいずれかの波長域の光が照射可能とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  6. 前記光源と前記転写膜との間に、さらに、スリットが設けられたもしくは設けられていない光遮蔽部材、又はレンズを備え、前記転写膜への光の照射範囲が調節可能とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  7. 前記光源と前記転写膜との間に、さらにレンズを備え、前記転写膜への光の照射強度が調節可能とされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  8. 前記分離手段は、緩衝液を介して電流を流すことにより、前記分子を分離する分離媒体と、前記分離媒体を格納した分離槽と、を有し、
    前記分離媒体は、電流を流す前に前記試料を保持しておくための試料保持部を有し、
    前記分離槽は、電流を流すための、上流側の第一の開口部及び下流側の第二の開口部を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  9. 前記分子が核酸及び/又は核酸を含む複合体であり、前記転写膜が光の照射によって、前記核酸及び/又は複合体と共有結合を形成可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  10. 前記分子が核酸、並びに核酸及びタンパク質の複合体であり、前記転写膜が光の照射によって、前記核酸及び複合体と共有結合を形成可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  11. 前記分離手段が、電気泳動による分子ふるい効果によって前記分子を分離する、ポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲルを分離媒体として有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
  12. 前記転写膜の材質が、ポリフッ化ビニリデン、ニトロセルロース又はナイロンであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の分子の分析装置。
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