JP2013123385A - 骨髄液処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷蔵温度で保存された骨髄液を細胞分離材で捕捉及び回収する際の問題点を解決することを課題とする。具体的には細胞分離材を充填した容器の内圧上昇を抑制し、細胞分離材への目詰まりを抑制する骨髄液処理方法を提供する。更に本発明は、骨髄液に含まれる不要細胞の除去率を向上させ、効率よく必要細胞を回収することを可能とする骨髄液処理方法を提供する。
【解決手段】冷蔵温度で保存された骨髄液を、骨髄液から必要細胞を実質的に捕捉し、不要細胞を実質的に通過させる細胞分離材を充填した骨髄液流入部と骨髄液流出部を有する容器に、当該骨髄液を細胞処理温度で通液し、不要細胞含有液を当該容器から導出させ、次に当該必要細胞を捕捉した当該容器に細胞分離溶液を通液して容器に捕捉された当該必要細胞を回収する骨髄液処理方法において、
冷蔵温度が1〜6℃であり、かつ細胞処理温度が29〜40℃であることを特徴とする骨髄液処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、骨髄液から必要細胞を選択的に捕捉・回収するための骨髄液処理方法に関する。
近年、再生医療分野において、間葉系幹細胞が種々の組織や臓器に分化し得る能力を有していることから注目されている(非特許文献1)。しかし、該幹細胞は成人の骨髄液中で10から10個に1つ割合であり非常に存在頻度が少ないため、再生医療分野において間葉系幹細胞を分離・濃縮する種々の方法が精力的に検討されている。そのうち、フィルターから成る細胞分離材を用いた細胞の分離・濃縮方法は、閉鎖系操作が可能で、且つ、操作が簡便等の多数の利点を有するため、再生医療の観点から重要視されている(特許文献1)。
しかし、間葉系幹細胞を含む骨髄液は、細胞、タンパク質、及び脂質等の様々な因子を含んだ体液であるので、温度変化等の外的環境によって性質が変わりやすいという特徴を有する。そのため、骨髄液から細胞を分離・濃縮する際の処理温度や骨髄液の状態によっては細胞分離材の目詰まりを生じ、それと共に細胞分離材を充填した容器内圧が上昇する恐れがある。さらに、目詰まりが生じると細胞分離効率や回収効率が低下し、また、容器内圧上昇による細胞捕捉のダメージも懸念される。
一方、フィルターから成る細胞分離材を用いて血液中から細胞を分離・濃縮する方法が知られている。例えば、平均繊維直径の異なる複数の繊維を有する白血球除去フィルターを用いて、予め1〜6℃で保存された血液を1〜6℃の条件下で濾過すること、または、20〜24℃で保存された血液を20〜24℃の条件下で濾過すること、を特徴とする細胞処理方法が開示されており、当該方法によって血液におけるフィルターへの目詰まりが低減されると記載されている(特許文献2)。また、細胞分離に供せられるまでの細胞保存温度Aと細胞分離に供せられる際の細胞分離温度Bが、0℃<A<30℃且つ0℃<B<30℃且つ|A−B|<15℃であるとことを特徴とする有核細胞を高率に回収する細胞分離回収方法が開示されており、細胞保存温度と細胞分離温度の差が大きいと、細胞が破壊されDNA等の粘着性物質が放出されるか、ストレスによる刺激を原因とする凝固系の活性化などにより、細胞処理時間の増大、細胞回収率の低下に結びつくと記載されている(特許文献3)。また、フィルターから成る細胞分離材を使用せずに細胞を分離・濃縮する方法として、特開平10−179149(特許文献4)が開示されている。ここでは、液体窒素温度(−196℃)付近で凍結保護媒体内に保存された幹細胞を30〜43℃で解凍し、遠心分離にて凍結保護媒体から幹細胞を分離するという手法が記載されており、当該方法は液体窒素付近下からの解凍における細胞の生存率向上を目的とすることが記載されている。
上記のように、血液中から細胞を分離・濃縮する方法は開示されているものの、骨髄液から細胞分離材を用いて細胞を分離・濃縮した場合に生じる前記問題点は、未だに解決されていない。
WO2007/046501号公報 WO2006/073106号公報 特開2000−139454号公報 特開平10−179149号
Pittenger.et al. Multilineage Potential of Adult Human Mesenchymal Stem Cells,Science 284:143−147(1999)
本発明者らは、冷蔵温度で保存された骨髄液から必要細胞を効率よく回収するために、特許文献2や特許文献3に記載された処理方法を試してみたが、前記従来方法では細胞分離材の目詰まりが生じ、さらに不要細胞の除去率や必要細胞の回収率が低下することが明らかとなり、冷蔵温度保存された骨髄液の処理方法に適していないことが判明した。
したがって本発明の目的は、冷蔵温度で保存された骨髄液を細胞分離材で捕捉及び回収する際の前記問題等を解決することを課題とする。具体的には細胞分離材を充填した容器の内圧上昇を抑制し、細胞分離材への目詰まりを抑制する骨髄液処理方法を提供する。更に本発明は、骨髄液に含まれる不要細胞の除去率を向上させ、効率よく必要細胞を回収することを可能とする骨髄液処理方法を提供する。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに必要細胞を実質的に捕捉及び回収可能な細胞分離材に該体液を通液するときの温度が特定の範囲にあると、細胞分離材を充填した容器内圧の上昇を抑制し、細胞分離材への目詰まりを抑制することを見出した。更に、骨髄液に含まれる不要細胞の除去率が向上し、且つ高率に必要細胞の回収が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明が提供するのは以下の通りである。
(1)冷蔵温度で保存された骨髄液を、骨髄液から必要細胞を実質的に捕捉し、不要細胞を実質的に通過させる細胞分離材を充填した骨髄液流入部と骨髄液流出部を有する容器に、当該骨髄液を細胞処理温度で通液し、不要細胞含有液を当該容器から導出させ、次に当該必要細胞を捕捉した当該容器に細胞分離溶液を通液して容器に捕捉された当該必要細胞を回収する骨髄液処理方法において、
冷蔵温度が1〜6℃であり、かつ細胞処理温度が29〜40℃であることを特徴とする骨髄液処理方法。
(2)骨髄液から必要細胞を実質的に捕捉し、不要細胞を実質的に通過させる細胞分離材を充填した骨髄液流入部と骨髄液流出部を有する容器に、当該骨髄液流入部側の圧力を100mmHg以下で通液することを特徴とする請求項1記載の骨髄液処理方法。
(3)必要細胞が間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項1または2に記載の骨髄液処理方法。
本発明により、細胞分離材を充填した容器の内圧上昇を抑制し、細胞分離材への目詰まりを抑制することができる。更に、骨髄液に含まれる不要細胞の除去率が向上し、且つ高効率に必要細胞を回収することができる。
本発明において骨髄液は、腸骨等から採取された体液をいう。具体的には、ヒトや動物の腸骨から採取することができる。前記動物にはブタ、サル、ウマ等が挙げられる。
本発明において必要細胞とは、増殖し分化能を有する幹細胞をいう。具体的には、間葉系幹細胞、骨髄ストローマ細胞など多分化能を有する細胞を挙げることができる。その中でも、臨床例が豊富で実用性が高いという観点から間葉系幹細胞が好ましい。間葉系幹細胞とは、体液中から分離され、増殖を繰り返す能力を有し、下流の細胞系譜への分化が可能な細胞を指し、分化誘導因子により骨芽細胞や軟骨細胞、血管内皮細胞、歯周靱帯繊維芽細胞等へ分化する細胞である。
骨髄ストローマ細胞とは、骨髄細胞中における未熟及び成熟血液細胞を除く全ての付着性細胞成分を指す。
本発明において不要細胞とは、必要細胞から積極的に除去することが望まれる細胞のことを指し、積極的に除去することが望まれる細胞とは、例えば、赤血球、白血球、血小板等が挙げられる。
本発明の細胞分離材は、必要細胞は通過せず、不要細胞を除去する濾過材であればいかなるものでもよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、レーヨン、ビニロン、ポリスチレン、アクリル(ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリレート等)、ナイロン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド、ポリアミド、キュプラ、ケブラー、カーボン、フェノール、テトロン、パルプ、麻、セルロース、ケナフ、キチン、キトサン、ガラス、綿等を挙げることができる。中でも、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル、レーヨン、ポリオレフィン、ビニロン、ナイロン、およびポリウレタン等の合成高分子を好適に用いることができる。前記細胞分離材は、これらの材質のうち、単一の材質からなってもよいし、複数の材質を組み合わせた複合材からなってもよい。2種以上の合成高分子を組み合わせて用いる場合、その組み合わせは特に限定されるものではないが、ポリエステルとポリプロピレンとの組み合わせ、レーヨンとポリオレフィンとの組み合わせ、または、ポリエステルとレーヨンとビニロンとの組み合わせを好適に用いることができる。
2種以上の合成高分子を組み合わせて繊維とする場合の繊維の形態としては、1本の繊維が異成分同士の合成高分子よりなる繊維、あるいは異成分同士が剥離分割した分割繊維でもよい。また成分の異なる合成高分子単独よりなる繊維をそれぞれ複合化した形態でもよい。ここでいう複合化とは、特に限定は無く、2種以上の繊維が混在した状態より構成される形態、あるいは合成高分子単独よりなる形態をそれぞれ張り合わせたもの等が挙げられる。
本発明において細胞分離材の形態としては、フィルター構造を有する細胞分離材を容器内に充填したものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、連通孔構造の多孔質体、繊維の集合体、織物等を挙げることができる。中でも、加工のし易さから、繊維で構成されることが好ましく、孔径の微調整が可能である観点から、不織布であることがより好ましい。
当該細胞分離材は、液流入部と液流出部を有する容器に充填することが好ましいが、このとき、細胞分離材は、圧縮せず容器に充填しても良いし、圧縮して容器に充填しても良い。細胞分離材は、前期の条件を満たせば、形状等の限定はない。好ましい具体例としては、不織布状の細胞分離材を、充填した状態での厚み0.1〜5cm程度で、容器に充填して得られたもの等が挙げられる。この場合、細胞分離材の厚み(充填した状態で)は、0.1cm〜5cmが好ましいが、目的とする必要細胞の回収率及び赤血球等の除去効率の点から、0.15〜4cmがより好ましく、さらに好ましくは0.2〜3cmである。細胞分離フィルターの厚みが、前記厚みに満たない時は、細胞分離材を積層して条件を満たしても良い。
本発明の容器は、球、コンテナ、カセット、バッグ、チューブ等、任意の形態であって良い。好ましい具体例としては、例えば、容量約0.1〜400mL程度、直径0.1〜15cm程度の筒状容器や、一片の長さ0.1〜20cm程度の正方形または長方形で、厚みが0.1〜5cm程度の四角柱状容器等が挙げられる。さらに、体液を送液するための液流入部、および細胞分離フィルターを通過した体液を排出するための液流出部を有しており、さらに液流入部あるいは、液流入部以外の液流入側に独立して、細胞分離フィルター内に留まっている非付着細胞を洗浄するための洗浄液流入部を備え、かつ、液流出部あるいは、液流出部以外の液流出部側に独立して、細胞分離フィルターに捕捉された細胞を回収するための細胞回収液流入部(体液及び洗浄液の流れとは逆方向から細胞回収液を流すため)を備えていてもよい。
また、容器は、任意の構造材料を使用して作製することができる。構造材料としては、具体的には非反応性ポリマー、生体親和性金属、合金、ガラス等が挙げられる。非反応性ポリマーとしては、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー当のアクリルニトリルポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ポリマー;ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカードネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリドアクリルコポリマー、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等が上げられる。容器の材料として有用な金属材料(生体親和性金属、合金)としては、ステンレス鋼、チタン、白金、タンタル、金、およびそれらの合金、並びに金メッキ合金鉄、白金メッキ合金鉄、コバルトクロミウム合金、窒化チタン被覆ステンレス鋼等が挙げられる。特に好ましくは、耐滅菌製を有する素材であるが、具体的には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリカードネート、ポリスルホン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。
細胞分離材の性能をより向上させるために、細胞分離材に親水化処理を行っても良い。親水化処理することにより、目的とする必要細胞以外の細胞における非特異的な捕捉の抑制、骨髄液を偏り無く細胞分離材中に通過させ、性能の向上、必要細胞の回収効率向上等を付与することができる。親水化処理方法としては、水溶性多価アルコール、または水酸基やカチオン基、アニオン基を有するポリマー、あるいはその共重合体(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、あるいはその共重合体等)を吸着させる方法、水溶性高分子(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等)を吸着させる方法、疎水性膜に親水性高分子を固定する方法(例えば、表面に親水性モノマーを化学的に結合させる方法等)、電子線照射する方法、含水状態で細胞分離フィルターに放射線を照射することで親水性高分子を架橋不溶化する方法、乾燥状態で熱処理することにより親水性高分子を不溶化すし固定する方法、疎水性膜の表面をスルホン化する方法、親水性高分子と疎水性ポリマードープとの混合物から膜をつくる方法、アルカリ水溶液(NaOH、KOH等)処理により膜表面に親水基を付与する方法、疎水性多孔質膜をアルコールに浸漬した後、水溶性ポリマー水溶液で処理乾燥後、熱処理や放射線等で不溶化処理する方法、または界面活性作用を有する物質を吸着させる方法等が挙げられる。
親水性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、多糖類(セルロース、キチン、キトサン等)、水溶性多価アルコール等が挙げられる。
疎水性ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、アクリル、ウレタン、ビニロン、ナイロン、ポリエステル等が挙げられる。
さらに目的とする幹細胞の細胞分離材への付着性を向上させるために、細胞付着性のタンパク質や、目的とする幹細胞上の発現されている特異的抗原に対する抗体を、細胞分離フィルター上に固定化しても良い。細胞付着性のタンパク質としては、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、コラーゲン等が挙げられる。抗体としては、CD73、CD90、CD105、CD166、CD140a、CD271等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、固定化方法としては、例えば、一般的なタンパク質の固定化方法である、臭化シアン活性化法、酸アジド誘導体法、縮合試薬法、ジアゾ法、アルキル化法、架橋法等の方法を任意に用いることが出来る。
本発明における必要細胞を実質的に捕捉するとは、骨髄液中の必要細胞を60%以上捕捉することをいい、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。または、不必要細胞を実質的に通過させるとは、骨髄液中の不要細胞を50%以上通過することをいい、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、もっとも好ましいのは70%以上である。
本発明の細胞分離溶液は、細胞と等張である溶液であれば特に限定はないが、生理食塩液やリンゲル液等の注射溶剤として使用実績のあるものや、緩衝液、細胞培養用の培地などが挙げられる。特に、培養工程を経る際はそのまま培養が行える培地が好ましく、培養工程を経ずそのまま治療に用いる際は、生理食塩液等の点滴等に使用実績のある等張液等、安全性が保証されている細胞分離溶液を使用することが好ましい。
本発明において冷蔵温度にする方法として、冷蔵温度に設定した冷蔵庫による保管、ウォーターバスによる保管、及びドライアイスによる保管等が挙げられる。汎用性から冷蔵庫で保存することが好ましい。冷蔵温度としては、1℃以上6℃以下が好ましく、より好ましくは3℃以上5℃以下が好ましい。冷蔵温度が1℃未満では細胞は死滅し、6℃を超えて保存すると細菌が繁殖しコンタミネーションを起こす可能性がある。
本発明において細胞処理温度にする方法として、細胞処理温度に設定したウォーターバス、恒温器、インキュベーター等が挙げられる。装置の入手のし易さや簡便さからウォーターバスを使用することが好ましい。細胞処理温度としては、29℃以上40℃以下が好ましい。より好ましくは、31℃以上37℃以下である。細胞処理温度が29℃未満では細胞分離材の目詰まりを生じ、40℃を超えると細胞は死滅する。
本発明は骨髄液を通液させる場合に、細胞分離材を充填した骨髄液流入部と骨髄液流出部を有する容器の当該骨髄液流入部側の圧力を100mmHg以下で通液することが好ましく、より好ましくは70mmHg以下、もっとも好ましいのは40mmHg以下である。100mmHg超えると、容器内圧上昇による細胞捕捉のダメージが懸念される。
本発明で得られた必要細胞は、未分化の状態で細胞を培養し増殖させ提供することも、増殖させずに使用することも可能であり、治療用細胞として用いてもよい。具体的な治療対象としては、幹細胞疲弊疾患、骨疾患、軟骨疾患、虚血性疾患、血管系疾患、神経病、やけど、慢性炎症、心疾患、免疫不全、クーロン病等の疾患、豊胸、しわとり、美容成形、組織陥没症等の組織増大術等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
未分化の細胞の増殖に用いられる培地としては、DMEM、αーMEM、MEM、IMEM、RPMI−1640が挙げられ、サイトカイン、抗体やペプチドなどの刺激因子などを用いて培養しても良い。
本発明で得られた必要細胞を、分化誘導剤等により分化誘導することにより軟骨損傷患者に移植する細胞、骨疾患患者に移植する細胞、心筋疾患患者または血管疾患患者に移植する細胞、神経組織を損傷した患者に移植する細胞として使用することができるが、これらに限定されるものではない。
該分化誘導剤としては、目的とする細胞を分化誘導できるものを使用することが好ましいが、軟骨への分化誘導剤としてはデキサメタゾン、TGFβ、インシュリン、トランスフェリン、エタノールアミン、プロリン、アスコルビン酸、ピルビン酸塩、セレン等が挙げられ;骨への分化誘導剤としてはデキサメタゾン、β−グリセロリン酸、ビタミンC、アスコルビン酸塩等が挙げられ、;心筋への分化誘導剤としてはEGF、PDGF、5−アザシチジン等が挙げられ;神経への分化誘導剤としてはEGF、bFGF、bHLH等が挙げられ;血管への分化誘導剤としてはbFGF、VEGF等が挙げられる。
本発明により回収した必要細胞や増殖させた必要細胞、及び未分化の必要細胞を分化誘導した細胞を凍結保存しても良い。細胞のへのダメージを少なくできる点から、液体窒素を用いて凍結保存することが好ましい。また、凍結保存した細胞を融解し、ヒトや動物への移植、研究への使用、または再度培養することができる。
本発明により回収した必要細胞や増殖させた必要細胞、及び未分化の必要細胞を分化さ誘導した細胞を用いて医薬品組成物を製造することができる。前記細胞を製薬的に許容される添加剤と混合することで医薬品組成物を製造することができる。製薬的に許容される添加剤としては、凝固剤、ビタミン等の栄養源、抗生物質等が挙げられる。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
細胞分離材を使用した骨髄液中からの間葉系幹細胞分離:
(1)冷蔵温度骨髄液の調製
体重約30Kgの家畜ブタに筋肉注射にてケタラール、セラクタールを注入し、その後ネンブタールを静脈注射にて追加することにより麻酔を行った。10mLのシリンジに約20IU/mLになるように予めヘパリンを入れておき、腸骨より15Gの穿刺針を用いて骨髄液を採取した。次に採取した骨髄プールにヘパリンを最終濃度で50IU/mLになるように添加して、十分に転倒混和を行った骨髄液を冷蔵庫で1.5時間程度保管し、冷蔵温度(4℃)にした。なお、当該骨髄液を用いて、分離前の血球数測定を自動血球計測装置(シスメックスK−4500)にて実施した。
(2)細胞分離具の作製
骨髄液流入部及び骨髄液流出部を供えた内径が2.6cmの円筒状のハウジングに、レーヨンとポリエチレンからなる不織布を充填し、不織布の上下をストッパーで挟み込む(充填時不織布厚み0.9cm)ことにより、不織布を36枚充填した細胞分離具を作製した。不織布の目付は90g/mであるので、不織布の密度(=目付け/厚み)は3.8×10g/mである。なお、不織布の繊維径は15±10μmである。
(3)細胞分離処理
細胞分離具の体積の約10倍量の生理食塩液(大塚製薬)を、骨髄液流入部から骨髄液流出部の方向に通液して不織布の洗浄を行った。(1)で調製した冷蔵温度で保存された骨髄液をウォーターバスで37℃に加温し、当該骨髄液30mLを細胞分離具の骨髄液流入部側から、シリンジポンプを用いて流速6mL/分で通液した。このとき、骨髄液流入部側に三方活栓を装着し、三方活栓の片側に通液する骨髄液の入ったシリンジをつなぎ、もう方側にデジタル圧力計DG631E(東京航空計器)をつなぎ、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧を30秒置きに測定した。骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は24mmHg以下であった。次に、生理食塩液30mLを骨髄液流入部側の圧から通液し、赤血球、白血球、及び血小板の洗浄除去を行った。このとき、細胞分離具の骨髄液流出部から流出した骨髄液、及び生理食塩液を通過画分とした。最後に、牛胎児血清10%を含むα−MEM培養液(Gibco)50mLを、骨髄液等を流した方向と逆方向から勢いよく流すことにより、目的とする必要細胞画分を回収した。当該必要細胞画分を用いて、分離後の血球数測定を自動血球計測装置にて実施した。本細胞分離処理での赤血球除去率、白血球除去率及び血小板除去率はそれぞれ99%、80%、97%であった。なお、除去率の算出方法は以下の計算式(式(1))にて算出した。
Figure 2013123385
(比較例1)
採取した骨髄液を4℃で保管し、25℃に加温後に細胞分離処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で実施した。その結果、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は100mmHgを超えた。骨髄液18mL通液した時点で完全に目詰まりし、安全面が危惧されたため細胞分離処理を中止し、洗浄、及び回収操作は実施しなかった。
(比較例2)
採取した骨髄液を4℃で保管し、15℃に加温後に細胞分離処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で実施した。その結果、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は100mmHgを超えた。骨髄液15mL通液した時点で完全に目詰まりを起こし、安全面が危惧されたため細胞分離処理を中止し、洗浄、及び回収操作は実施しなかった。
(比較例3)
採取した骨髄液を4℃で保管し、当該温度のまま細胞分離処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で実施した。その結果、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は100mmHgを超えた。骨髄液18mL通液した時点で完全に目詰まりを起こし、安全面が危惧されたため細胞分離処理を中止し、洗浄、及び回収操作は実施しなかった。
(実施例2)
実施例1で使用したブタ骨髄液とは別個体のブタ骨髄液を用いた点と、採取した骨髄液を4℃で保管し、36℃に加温後に細胞分離処理を行った以外は実施例1と同様の方法で実施した。その結果、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は16mmHg以下であり、赤血球除去率、白血球除去率及び血小板除去率はそれぞれ99%、75%、83%であった。
(実施例3)
採取した骨髄液を4℃で保管し、31℃に加温後に細胞分離処理を行った以外は実施例2と同様の方法で実施した。その結果、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は34mmHg以下であり、赤血球除去率、白血球除去率及び血小板除去率はそれぞれ99%、81%、97%であった。
(比較例4)
採取した骨髄液を4℃で保管し、28℃に加温後に細胞分離処理を行った以外は実施例2と同様の方法で実施した。その結果、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は100mmHgを超えた。骨髄液29mL通液した時点で目詰まりを起こし、安全面が危惧されたため細胞分離処理を中止し、洗浄、及び回収操作は実施しなかった。
(比較例5)
採取した骨髄液を4℃で保管し、25℃に加温後に細胞分離処理を行った以外は実施例2と同様の方法で実施した。その結果、骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧は100mmHgを超えた。骨髄液24mL通液した時点で完全に目詰まりを起こし、安全面が危惧されたため細胞分離処理を中止し、洗浄、及び回収操作は実施しなかった。
なお、実施例1〜3、参考例1〜2、及び比較例1〜5の骨髄液通液時の細胞分離具の骨髄液流入部側の圧を30秒置きに測定した結果を表1に示した。
Figure 2013123385
表1の結果より、本発明による細胞分離処理は、細胞分離材の目詰まりを抑制し容器内圧上昇を100mmHg以下に抑制可能であることがわかる。
次に、実施例1〜3、及び参考例1及び2の赤血球除去率、白血球除去率及び血小板除去率を表2に示した。
Figure 2013123385
表2の結果より、本発明による細胞分離処理は、不要細胞を効率的に除去できることがわかる。
(実施例4)
実施例1で得た回収液に含まれる間葉系幹細胞数の測定:
骨髄液1mLあたりの間葉系幹細胞の数をコロニーアッセイによって求めるため、実施例1の細胞分離具から回収した必要細胞画分(50mL)のうち、その1/30量を直径10cmのポリスチレン製シャーレ(IWAKI)に移し、37℃のCOインキュベーター内で培養を行った。2〜3日ごとに培地交換し非接着細胞等を除去し、培養開始7日後にクリスタルバイオレット(和光純薬)でコロニーを染色して出現したコロニー数を測定した。この出現コロニー数を、間葉系幹細胞の数とした。
同様にして、細胞分離具を通過した通過画分に含まれる間葉系幹細胞の数を求めた。ただし、通過液は赤血球を多く含むため、間葉系幹細胞のシャーレへの接着を赤血球が阻害することを防ぐため、通過液(60mL)の1/30量に、0.83%(w/w)塩化アンモニウム水溶液を添加して赤血球を溶血させ、その後、生理食塩液にて1回洗浄した後に、回収液と同様のコロニーアッセイを行った。その結果、回収液の出現コロニー数は、骨髄液1mLあたり125個であった。また、通過液のコロニー数は、骨髄液1mLあたり3個であった。
Figure 2013123385
表3の結果より、本発明による細胞分離処理は、間葉系幹細胞を通過させることなく効率的に回収可能であることがわかった。

Claims (3)

  1. 冷蔵温度で保存された骨髄液を、骨髄液から必要細胞を実質的に捕捉し、不要細胞を実質的に通過させる細胞分離材を充填した骨髄液流入部と骨髄液流出部を有する容器に、当該骨髄液を細胞処理温度で通液し、不要細胞含有液を当該容器から導出させ、次に当該必要細胞を捕捉した当該容器に細胞分離溶液を通液して容器に捕捉された当該必要細胞を回収する骨髄液処理方法において、
    冷蔵温度が1〜6℃であり、かつ細胞処理温度が29〜40℃であることを特徴とする骨髄液処理方法。
  2. 骨髄液から必要細胞を実質的に捕捉し、不要対象細胞を実質的に通過させる細胞分離材を充填した骨髄液流入部と骨髄液流出部を有する容器に、当該骨髄液流入部側の圧力を100mmHg以下で通液することを特徴とする請求項1記載の骨髄液処理方法。
  3. 必要細胞が間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項1または2に記載の骨髄液処理方法。
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