JP2013123213A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、概して電子通信システム、特に増幅器中での高調波および相互変調の除去による広帯域線形化に関する。
電子通信系において、情報信号の群が同時に増幅されるとともに送信される場合がしばしばある。例えば、セル方式無線基地局送信機は、単一の地理的セル内の複数の起動している受信移動局へ信号を送信してもよい。該信号は、マルチキャリア信号において複数の既定の周波数で現れうる。同様に、衛星通信トランスポンダが、多くの参加する遠隔局への多数の情報信号を増幅および送信してもよい。いくつかの通信系においては、配分された周波数帯内で複数の周波数チャンネルを占める情報信号が信号キャリア上で調整される、周波数分割多元接続(FDMA)等の暗号化スキームを用いてもよい。ここで、信号送信を悪化させうるチャンネル間干渉を回避するための手段がとられる。
このようなチャンネル間干渉の、可能性のある原因の1つが相互変調歪み(IMD)として知られ、これは異なる周波数の2つ以上の信号が混ざる場合に生じうる。例えば、異なる周波数の2つのキャリアが非線形増幅器を用いて増幅される場合、本来のキャリア周波数の整数倍の和および差において偽の出力が起こりうる。IMDは、しばしばキャリア信号の2つの間でのスペクトルとなるマルチキャリア信号の増幅および送信を行う送信機における問題の原因となる傾向がある。さらに、IMDは概してフィルタ除去が難しく、それはこのようなフィルタはキャリア信号をフィルタ除去し、信号および最終的には電力増幅器によって増幅される信号からの関連するデータを除去するであろうためである。環境および経時要因に加え、観測される電力増幅器のIMD性能は、出力電力、キャリアの数およびそれらの周波数分離の変化に敏感である。
相互変調および歪みの生成を抑制するための従来のアプローチは、より低い電力効率、より高度な複雑さおよび高い成分コスト、および/または狭帯域系のみの有効性を代償としていた。
典型的な実施形態においては、増幅装置は、第1の脚および第2の脚における差動入力信号を受信するように構成される初期増幅段、および初期増幅段の出力と結合される最終増幅段であって第1の脚および第2の脚のそれぞれにおける一次信号増幅器およびエラー増幅器を有する最終増幅段からなり、第1の脚のエラー増幅器の出力は第2の脚の初期信号増幅器の出力と結合されるとともに、第2の脚のエラー増幅器の出力は第1の脚の初期信号増幅器の出力と結合される。
別の実施形態においては、増幅器装置のための広帯域線形化を行うための方法には、初期増幅段の第1の脚および第2の脚での差動入力信号の受信、初期増幅段の出力の最終増幅段との連結であって最終増幅段は第1の脚および第2の脚のそれぞれにおいて初期信号増幅器およびエラー増幅器を有するものとする連結、および第1の脚のエラー増幅器の出力と第2の脚の初期信号増幅器の出力との結合および第2の脚のエラー増幅器の出力と第1の脚の初期信号増幅器の出力との結合がある。
説明の単純さおよび明瞭さのために、適当な場合において、異なる図面で繰り返される符号は対応または類似する要素を示すものであると認識されるであろう。さらに、多くの特定の詳細が、ここで述べる実施例の充分な理解のために述べられる。しかし、ここで述べられる実施例はこれらの特定の詳細無しで実効できることは、当業者には理解されるであろう。他の例において、方法、手順および成分は詳細には述べられず、述べられた関連する重要な特徴が不明瞭とならないようにしている。また、記述はここで開示される実施例の範囲を限定するものとみなしてはならない。
前記のように、2つの比較的強い信号に起因する相互変調積(典型的には三次変調積)は、相互変調積の周波数と等しい周波数を有するキャリア上で送信される第3の比較的弱い信号の送信を中止させうる。多キャリア増幅器において線形性を向上するとともにチャンネル間効果を低減するための、様々な解決策が提案されている。そのような解決策の1つは、2つ以上のフィードフォワード環を歪みの解消に用いるフィードフォワード増幅器回路である。選択的フィードフォワード増幅器設計によって、より多くの環を用いて歪みをさらに低減しうる。
第1のループにおいて、増幅器への入力における信号の一部がフィードフォワードされるとともに、適当な振幅および位相の調整に続いて、増幅器出力から抽出されてエラー信号を生成する。エラー信号は出力の歪み成分に比例する。エラー信号を生成する第1の環は、信号解消環として知られる。そしてエラー信号は増幅され、位相を調整されるとともに増幅器出力から抽出されて、歪みレベルが低減された修正信号出力が得られる。回路のこの部分はエラー解消ループとして知られる。
設計の1つにおいて、“パイロットトーン”がフィードフォワード増幅器の第1のループ(すなわち、信号解消ループ)に導入される。そして、エラー解消ループにおける振幅および位相の調節が、所望の出力が得られるまで振幅および位相を変化させることによって行われる。しかし、この方式でなされる調節は本質的に狭帯域であり、典型的には狭い周波数帯にわたって最適な増幅器性能を与える。
歪みを低減するための別の技法は、さらなる解消ループの追加によってフィードフォワード増幅器におけるIMD解消をさらに向上させることを含む。追加されるループは典型的には、全体的な増幅器調整に複雑さおよび追加のコストをもたらす追加の位相およびゲイン制御を有する。しかし、こうして得られるわずかな向上は、概して複合的フィードフォワード環を用いることによって追加される複雑さおよびコストに見合うものではない。
ブロードバンドシステムのための別の技法は、バランを用いて二次高調波信号を除去することを含む。一方、このような装置は、IMDまたは高次高調波歪み信号に効果が無い。さらなる技法は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)装置、マルチゲート型トランジスターおよび導関数重合せ法、およびチップ上ダイレクサーにおけるカレントミラー手法を用いる差動増幅器を含むが、これに限定されるものではない。
よって、ここで開示されるものは、高調波および相互変調歪みの除去による広帯域線形化を提供する増幅器設計および技術である。要するに、この実施例では、交差結着エラー増幅器を組み込む差動、フィードフォワード増幅器設計が用いられる。すなわち、差動信号組の第1の脚において生成されるフィードフォワード誤差信号が、第2の脚の増幅された信号に供給されるとともに結合され、その逆も成立する。バランの広帯域の組を増幅器の出力において用い、基本波を結合しつつ二次高調波歪みを削減してもよい。結果、増幅器は広い周波数範囲にわたって有意に低減された歪み信号を生成する。
図1を用いて、具体的な実施例に係る、交差結着エラー増幅器を有する差動、フィードフォワード増幅器回路100の概略図を示す。差動増幅器である増幅器回路100は、第1の脚102aおよび第2の脚102bを有する。例えば電界効果トランジスター(FETs)Q1a,Q2aおよび関連付けられた適合出力回路装置106aを含む第1初期増幅段104aが、第1の脚102a内に含まれる。しかし、第1初期増幅段104aにおいて、トランジスター装置またはトランジスター装置の形式を異なる数で用いてもよいことは理解されるべきである。同様に、第2の脚102aは、例えば増幅トランジスターQ1b,Q2bおよび関連付けられた適合出力回路装置106bを含む第2初期増幅段104bを含む。
第1および第2初期増幅段のさらに下流は、第1および第2最終増幅段である。ここで、個々の脚の最終増幅段は、一次信号増幅器および一次信号増幅器から分離された(同じ入力を有する)エラー増幅器を含む。第1の脚102aにおいて一次信号増幅器はQ3aaで示されるとともに、エラー増幅器はQ3abで示され、第2の脚102bにおいて一次信号増幅器はQ3baで示されるとともに、エラー増幅器はQ3bbで示される。顕著に、エラー増幅器Q3abおよびQ3bbの出力は、第1の脚および第2の脚に関して交差結着または交差連結される。すなわち、エラー増幅器Q3bbの出力は、第1連結器C1を経て第1の脚102aの一次信号増幅器Q3aaと結合される。相応して、エラー増幅器Q3abの出力は、第2連結器C2を経て第2の脚102bの一次信号増幅器Q3baと結合される。第1および第2の脚102a,102bからの結合された出力信号は、それから対応するバラン108a,108bに結合される。
増幅器回路100は差動増幅器なので、それへの入力信号は図1に示すように、例えばアンテナフィードによって、または図示しないバランを用いて、差動的にフィードされる。装置のゲインが充分に高いと仮定して、初期増幅段104a,104bはシステムノイズ要因(NF)を設定する。最終増幅段(再び、一次信号増幅器およびエラー信号増幅器を含む個々の脚について)は、信号およびエラーに関して異なる線形特性を有する。すなわち、最終増幅段の2つの増幅器装置(信号、エラー)に、互いに関して差動的にバイアスがかけられ、非線形信号は一次信号増幅器(Q3aa,Q3ba)よりもエラー増幅器(Q3ab,Q3bb)へと送られる。
さらに、最終増幅段に関して、電力は一次信号増幅器(Q3aa,Q3ba)と対応するエラー増幅器(Q3ab,Q3bb)との間で分離される。実施例の1つにおいて、この分離は等しい分離による反応的適合によって実施されうる。あるいは、図示しない結合器の双方の経路を経ての位相変化が一致する限り、結合器を用いうる。いずれにせよ、エラー増幅器(Q3ab,Q3bb)は、非線形信号成分への低減された一次信号を持つように選択される。すなわち、エラー増幅器(Q3ab,Q3bb)の非線形歪みは、一次信号増幅器(Q3aa,Q3ba)のそれよりも低いdBc(キャリアに関するデシベル)値を有する。
先に示したように、増幅されたエラー信号は結合器に交差結着されるとともに、差動増幅器内の別の脚の一次信号に結合される。結合器比率は三次および相互変調積を等しくするように設定され、これによってこれらの非線形信号が解消される。dBcレベルがどれだけ低減されるかに依存して、一次信号のロスがありうる。最終的に、交差結着エラー増幅器によって低減または除去された奇数次および奇数次相互変調信号を有する差動出力信号は、バラン108a,108b内で結合され、偶数次信号を除去する。
図2は、典型的な実施例に係る、増幅器(図1の増幅器100等)内の高調波および相互変調の除去を行う方法200を示すフローチャートである。ブロック202において、位相変更入力信号組(つまり、差動入力信号)が初期増幅段において受信される。位相変更差動信号組は、例えばアンテナフィードの使用を経て、あるいはバランによって、初期増幅段へフィードされうる。ブロック204に示すように、最初に増幅されると、差動信号組は、最終信号増幅器とエラー増幅器との間の個々の脚において分離される。最終信号増幅器およびエラー増幅器は、互いに関して異なる線形性特性を有する。先のフィードフォワードスキームとは対照的に、ブロック206に映されるように、エラー増幅器の個々の出力は交差結着されるとともに、差動組の反対側の脚の最終増幅器の出力と結合される。これは、奇数次高調波および相互変調信号の低減または除去に帰結する。最後に、ブロック208に示されるように、バランとの連結を経て、偶数次信号が出力差動信号から低減または取り除かれる。
前記の実施例は、さらなる直流電力を要することなく広帯域受信系の線形性を向上すると評価されるであろう。従来のフィードフォワード技法は、高調波の180°の転移が達成される間の位相および振幅の一致によって限定された帯域を提示するが、この実施例は差動フィードを利用して歪み成分の180°の位相転移を達成する。1または複数の初期増幅段階の出力における同一のマッチング回路との交差結着を用いることによって、キャンセル回路の広帯域性能が保証される。さらに、装置の線形性を適合させることは、主要な信号のロスを低減させる。
本開示は1または複数の好ましい実施例に関して述べているが、本開示の範囲から離れることなくさまざまな変更がなされうるとともに同等物のその要素との置換がなされうることは、当業者には理解されるであろう。加えて、本開示の本質的な範囲から離れることなく、特定の状況または材質を開示の教示に適合させるための多くの改良がなされうる。よって、本開示は実行のために熟慮された最良の形態として開示された特定の実施例に限定されないが、添付の請求項の範囲内のすべての実施例を含むであろうことが意図される。
Claims (10)
- 第1の脚および第2の脚において差動入力信号を受信するように構成される初期増幅段と、
前記初期増幅段の出力と連結される最終増幅段であって、前記第1の脚および前記第2の脚のそれぞれにおける一次信号増幅器およびエラー増幅器からなる最終増幅段と、
前記第1の脚内に構成され、該第1の脚のエラー増幅器の出力を前記第2の脚の一次信号増幅器の出力と結合する第1連結器と、
前記第2の脚内に構成され、該第2の脚のエラー増幅器の出力を前記第1の脚の一次信号増幅器の出力と結合する第2連結器と、を具備し、
前記第1および第2連結器は、奇数次高調波信号および相互変調積を解消するように構成される、
増幅器装置。 - 各最終増幅段の前記一次信号増幅器およびエラー増幅器をバイアスし、一次信号増幅器の入力に関してより多くの非線形信号をエラー増幅器の入力へと送るものとする、
請求項1に記載の装置。 - エラー増幅器が一次信号増幅器に関して非線形成分へと低減された一次信号を有する、
請求項1に記載の装置。 - 前記最終増幅段の出力に連結されるバランをさらに含む、
請求項1に記載の装置。 - 前記最終増幅段の出力に連結されるバランは、偶数次信号を除去するように形成されるものとする、
請求項4に記載の装置。 - 初期増幅段の第1の脚および第2の脚における差動入力信号の受信と、
該初期増幅段の出力の、最終増幅段の出力への連結であって、該最終増幅段は前記第1の脚および前記第2の脚のそれぞれにおける一次信号増幅器およびエラー増幅器からなるからなるものとする連結と、
前記第1の脚内に形成される第1連結器による、前記第1の脚の前記エラー増幅器の出力と前記第2の脚の前記一次信号増幅器の出力との結合と、
前記第2の脚内に形成される第2連結器による、前記第2の脚の前記エラー増幅器の出力と前記第1の脚の前記一次信号増幅器の出力との結合と、を含み、
前記第1および第2連結器は、奇数次高調波信号および相互変調積を解消するように構成される、
増幅器装置の広帯域線形化を行うための方法。 - 各最終増幅段の前記一次信号増幅器および前記エラー増幅器をバイアスし、前記エラー増幅器の出力におけるより多くの非線形信号を前記一次信号増幅器の入力に関して送るものとする、
請求項6に記載の方法。 - 前記エラー増幅器が前記一次信号増幅器に関して非線形成分へと低減された一次信号を有する、
請求項6に記載の方法。 - 前記最終増幅段の出力のバランへの連結をさらに含む、
請求項6に記載の方法。 - 前記最終増幅段の出力に連結される前記バランは、偶数次信号を除去するように形成されるものとする、
請求項9に記載の方法。
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