JP2013122728A - 電力監視システム、電力監視装置および電力監視方法。 - Google Patents

電力監視システム、電力監視装置および電力監視方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の画像形成装置における総消費電力が上限を超えず、かつ、待機時における総消費電力量を可及的に低く抑えしつつ、特定の画像形成装置におけるジョブの実行を遅延させることがない電力監視システムを提供する。
【解決手段】電力監視装置1は、複写機2〜5から動作許可申請を受け付けると、受け付けたプリントジョブの分割された工程を順次実行した場合の消費電力を算出し、総電力消費量が上限値を超えない範囲で、かつ、待機時に発生する消費電力量の総和が最小になるように各工程の実行順を決定する(P4)。そして、上記決定された実行順に、各工程を実行リストに登録し(P5)、当該実行リストに登録された順番にしたがって動作許可通知を、当該動作許可申請の送信元の複写機に通知する(P6)。この動作許可通知を受けた複写機2〜5は、当該通知された工程を実施する(P7)。
【選択図】図4

Description

本発明は、複数の画像形成装置における総消費電力を監視する電力監視システム及び当該電力監視システムにおける電力監視装置並びに電力監視方法に関する。
同一のブレーカーに接続された電源コンセントから複数の画像形成装置へ電力を供給するような場合、総消費電力を所定の上限値内に抑えてブレーカーが遮断するのを防止するシステムが種々提案されている。
例えば、特許文献1では、一般的な家庭の電気製品の場合についてではあるが、複数の電気製品の使用が重なるような場合、ネットワークを介して優先順位の低い電気機器への電力の供給を停止ないしは低減して総消費電力が許容量を超えないように制御する電力監視システムが開示されている。
ところが、画像形成装置においては、そもそも装置間で優先順位をつけるのが難しい上、仮に優先順位を設定することができたとしても、優先順位の低い画像形成装置にプリントジョブを発行したユーザーは、他の優先順位の高い画像形成装置におけるプリントジョブが終了するまで待たされることになり、大変不便である。
そこで、特許文献2に係る電力監視システムでは、電力監視装置と複数の画像形成装置とをネットワークを介して接続し、各画像形成装置がプリントジョブを受け付けると、電力監視装置に対して一連のジョブを分割した工程単位で、電力使用権の許可を申請するようにしている。
電力監視装着は、この申請を受け取ると、合計の消費電力が上限値を超えないように、該当する画像形成装置に対して、工程単位で電力使用許可の通知を順番に発行し、画像形成装置は、当該許可通知を受けた工程について実行するように構成されている。
これによれば、たとえば、一の画像形成装置のプリントジョブについて、定着処理を含む画像形成工程を許可し、別の画像形成装置については、画像読取工程を許可することが可能となり、消費電力を上限値以下に抑えつつ、各画像形成装置が並行してプリントジョブを処理できるので、特定の画像読取装置にプリントジョブを発行したユーザーがそのジョブの実行を極端に待たされるという不都合がなくなる。
特開平9−84146号公報 特開2008−295134号公報
しかしながら、上記特許文献2の技術によれば、電力監視装置は、単純に許可申請を受け付けたジョブ順に、分割された工程単位で許可通知を発行し、合計電力が所定値を超えるような場合には無条件に次の工程が待たされるため、特定の工程、特に待機中の消費電力が比較的大きな定着工程などの待機状態が長くなる場合があり、この場合には、無駄に電力を消費することになる。
このような定着工程の待機状態における電力消費を低減させるため、待機時に温調制御を行わないことも考えられるが、そうすると、定着装置における加熱ローラーなどの加熱回転体の温度が低下するため、画像形成工程の実行直前に定着温度まで加熱する時間(ウォームアップ時間)が別途必要となり、画像形成工程の開始時刻が遅延するという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、複数の画像形成装置における総消費電力が上限を超えないようにしつつ、特定の画像形成装置におけるジョブの実行を必要以上に遅延させることなく、かつ、待機時における総消費電力量を可及的に低く抑えることができる画像形成装置の電力監視システムおよび当該システムにおける電力監視装置ならびに電力監視方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に、本発明に係わる一つの態様は、複数の画像形成装置と、それら複数台の画像形成装置の総消費電力を監視する電力監視装置とが接続されてなる電力監視システムであって、各画像形成装置は、一連の画像形成ジョブを複数の工程に分割して実行可能な画像形成ジョブ実行手段と、前記電力監視装置からの指示に基づき、前記複数の工程の実行を制御する制御手段とを有し、前記電力監視装置は、前記複数もしくは一部の画像形成装置において実行すべき画像形成ジョブに関する情報を取得して、各画像形成装置における画像形成ジョブの工程間の動作順序を決定する動作順決定手段と、前記決定された動作順序にしたがって各画像形成ジョブの工程を実行するように該当する画像形成装置に指示する指示手段とを備え、前記動作順序決定手段は、各画像形成装置が、画像形成ジョブを実行する際に、それらの総消費電力が所定の上限値を超えず、かつ、いずれかの画像形成装置における特定の工程の実行を待機させる際に生じる消費電力量の総量がより少なくなるように、前記各画像形成ジョブにおける工程間の動作順序を決定することを特徴とする。
上記構成によれば、電力監視装置は、各画像形成装置が、画像形成ジョブを実行する際に、それらの総消費電力が所定の上限値を超えず、かつ、いずれかの画像形成装置における特定の工程の実行を待機させる際に生じる消費電力量の総量がより少なくなるように、前記各画像形成ジョブにおける工程の実行順序を決定し、当該決定された動作順序にしたがって画像形成装置側で、画像形成ジョブの工程を実行するので、複数の画像形成装置における総消費電力が上限値以下となるように監視されると共に、待機時における総消費電力量を可及的に低く抑えるができる。
また、工程ごとの実施により、複数の画像形成装置におけるジョブを並行して実行させることができ、特定の画像読取装置のジョブの実行が必要以上に待たされることがない。
ここで、前記動作順序決定手段は、前記各画像形成装置の実行すべき画像形成ジョブの各工程の動作順序を仮決定する第1の決定手段と、前記仮決定された動作順序で各画像形成装置が画像形成ジョブを実行した場合の合計消費電力が前記上限値を超えるか否かを判定する電力超過判定手段と、前記電力超過判定手段において電力が前記上限値を超えると判定された場合に、所定の画像形成装置における工程を待機させるように前記仮決定された動作順序を変更して本決定する第2の決定手段とを備え、前記第2の決定手段は、待機中の工程により生じる電力消費量の総量がより少なくなるように前記動作順序を変更するようにしても構わない。
ここで、前記第2の決定手段は、定着動作を含む画像形成工程の待機による電力消費量の累積値を最小にすることを最優先して前記動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、給紙工程の待機による電力消費量の累積値を最小にすることを2番目に優先して前記動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、一の画像形成装置における画像形成工程が、他の画像形成装置における画像読取工程によって待機させられている場合に、前記画像形成工程が、前記画像読取工程よりも優先的に実行されるように動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、一の画像形成装置における第1の画像形成工程が、他の画像形成装置における第2の画像形成工程により待機させられている場合において、第1の画像形成工程の待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、優先順序を変更して、第2の画像形成工程を第1の画像形成工程によって待機させた場合に生じる第2の待機消費電力量を比較して、第2の待機消費電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記第1の画像形成工程が前記第2の画像形成工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更することが望ましい。
また、さらに、前記第2の決定手段は、一の画像形成装置における画像形成工程が、他の画像形成装置における給紙工程により待機させられている場合において、画像形成工程の待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、優先順序を変更して、前記給紙工程を前記画像形成工程によって待機させた場合に生じる第2の待機電力量を比較して、第2の待機電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記画像形成工程が前記給紙工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、前記画像形成工程が、前記給紙工程により待機させられる場合における待機時間を取得する待機時間取得手段を備え、取得された待機時間が、所定時間以上である場合には、第1と第2の待機消費電力を比較することなく、前記画像形成工程が前記給紙工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、一の画像形成装置における画像形成工程が、他の画像形成装置における後処理工程によって待機させられている場合には、当該動作順序を変更しないこととしてもよい。
また、前記第2の決定手段は、他の画像形成装置の前記画像読取工程によって前記給紙工程を待機させる場合、前記給紙工程と、他の画像形成装置の前記画像読取り工程との動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、一の画像形成装置における給紙工程が、他の画像形成装置における画像形成工程により待機させられている場合において、給紙工程を待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、優先順序を変更して、画像形成工程を給紙工程によって待機させた場合に生じる第2の待機消費電力量を比較して、第2の待機消費電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記給紙工程が前記画像形成工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、一の画像形成装置における第1の給紙工程が、他の画像形成装置における第2の給紙工程により待機させられている場合において、第1の給紙工程を待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、優先順序を変更して、第2の給紙工程を第1の給紙工程によって待機させた場合に生じる第2の待機消費電力量を比較して、第2の待機消費電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記第1の給紙工程が前記第2の給紙工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更することが望ましい。
また、前記第2の決定手段は、一の画像形成装置における給紙工程が、他の画像形成装置における後処理工程によって待機させられている場合には、当該動作順序を変更しない こととしてもよい。
また、本発明に係る別の態様は、複数の画像形成装置と接続され、それら複数台の画像形成装置の総消費電力を監視する電力監視装置であって、前記複数もしくは一部の画像形成装置において実行すべき画像形成ジョブに関する情報を取得して、各画像形成装置における画像形成ジョブの工程間の動作順序を決定する動作順決定手段と、前記決定された動作順序にしたがって各画像形成ジョブの工程を実行するように該当する画像形成装置に指示する指示手段とを備え、前記動作順序決定手段は、各画像形成装置が、画像形成ジョブを実行する際に、それらの総消費電力が所定の上限値を超えず、かつ、いずれかの画像形成装置における特定の工程の実行を待機させる際に生じる消費電力量の総量がより少なくなるように、前記各画像形成ジョブにおける工程の実行順序を決定することを特徴とする。
また、本発明に係るさらに別の態様は、複数の画像形成装置と接続され、それら複数台の画像形成装置の総消費電力を監視する電力監視装置で実行される電力監視方法であって、前記複数もしくは一部の画像形成装置において実行すべき画像形成ジョブに関する情報を取得する取得ステップと、取得した各画像形成装置における画像形成ジョブの工程間の動作順序を決定する動作順決定ステップと、前記決定された動作順序にしたがって各画像形成ジョブの工程を実行するように該当する画像形成装置に指示する指示ステップとを含み、前記動作順序決定ステップは、各画像形成装置が、画像形成ジョブを実行する際に、それらの総消費電力が所定の上限値を超えず、かつ、いずれかの画像形成装置における特定の工程の実行を待機させる際に生じる消費電力量の総量がより少なくなるように、前記各画像形成ジョブにおける工程の実行順序を決定することを特徴とする。
本発明の実施の形態に係る電力監視システムの構成を示すブロック図である。 上記電力監視システムに接続されている複写機の構成を示す図である。 電力監視装置と複写機の制御部の構成を示すシステムブロック図である。 上記電力監視システムにおいて実行される電力監視方法の概略を説明するための複写機と電力監視装置間の通信シーケンスである。 電力監視装置へ送信する動作許可申請に含まれる工程情報の一例を示す図である。 本実施の形態に係る電力監視システムにおける複写機で実行される動作許可申請処理の制御内容を示すフローチャートである。 電力監視装置における電力監視処理の制御内容を示すメインフローチャートである。 図7のステップS21の申請リスト登録処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。 (a)(b)は、それぞれ上記電力監視装置で作成される実行リストおよび申請リストの例を示す。 図7のステップS23の動作シミュレート処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。 図10の続きのフローチャートである。 (a)(b)は、実施の形態1に係る工程順序変更処理による工程順序入替の前後における総待機消費電力量の変化を具体的に説明するための図である。 (a)(b)は、それぞれ上記電力監視装置の動作シミュレート処理で作成される現在実行リストおよび工程順序変更後の実行リストの例を示す。 図10のステップS210の工程順序変更処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。 図7のステップS24の実行リスト登録処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。 図7のステップS26の動作許可通知処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る工程順序変更処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。 図17の続きのフローチャートである。 (a)(b)は、実施の形態2に係る工程順序変更処理による工程順序入替の前後における総待機消費電力量の変化を具体的に説明するための図である。
以下、本発明に係る電力監視システム100の実施の形態について図面に基づき説明する。
<実施の形態1>
1.電力監視システムの全体構成
図1は、本実施の形態に係る電力監視システム100の全体構成を示す図である。
同図に示すように、電力監視システム100は、電力監視装置1と、4台の複写機2〜5とをLAN6を介して接続し、電力監視装置1と各複写機2〜5との間で通信が可能な構成になっている。
後述するように各複写機2〜5は、自装置でプリントジョブ等の動作を実行する際、事前に動作許可申請を電力監視装置1に対して送信する。電力監視装置1は、動作許可申請を受け付けると、その情報に基づき当該システムに許容されている上限電力を超えない範囲で、複数の複写機の工程が並行して実行できるように、複写機2〜5に対して工程単位で動作許可通知を行う。この際、待機時の消費電力の大きな工程について待ち時間ができるだけ少なくなるように実行順位を決定する。詳しくは後述する。
なお、本明細書において、「プリントジョブ」とは、プリント動作はもちろんのこと、原稿を読み取って複写するコピージョブや、プリントされた記録シートに後処理を行うジョブを含めたジョブの上位概念として使用する。
2.複写機の構成
複写機2〜5は、ほぼ同じ構成となっているため、代表して複写機2についてのみ説明する。
図2は、複写機2の構成を示す概略図である。
同図に示すように複写機2は、画像読取部10、画像形成部20、給紙部30、後処理部40とからなる。
画像読取部10は、原稿トレイに載置された複数枚の原稿を1枚ずつ搬送する原稿自動搬送部(ADF)11とスキャナー部12を備えている。スキャナー部12は、原稿自動搬送部11から搬送されてくる原稿を読み取るシートスルースキャンモードと、原稿が載置されたプラテンガラスの下側に沿って光源と反射ミラーを搭載したキャレッジ13を移動させて原稿を走査するミラースキャンモードを選択的に実行する。原稿からの反射光は、CCDイメージセンサ14により電気信号に変換され、画像データが生成される。
画像形成部20は、電子写真方式により記録シート上にトナー像を形成するものであって、画像プロセス部21と定着部26を備える。
画像プロセス部21は、感光体ドラム22、露光器23、現像器24、転写チャージャ25などからなり、一様に帯電された感光体ドラム22の表面を、露光器23により、上記画像データに基づき駆動変調されたレーザで露光走査して静電潜像を形成し、これに現像器24からトナーを供給してトナー像を形成する。このトナー像は転写位置にて転写チャージャ25による静電力により給紙部30から給紙されてきた記録シート上に転写される。
記録シート上のトナー像は定着器26により熱定着された後、排紙ローラー27を介して後処理部40に送出される。
給紙部30は、給紙カセット31〜33のうち選択された給紙カセットから記録シートを繰り出し、一旦タイミングローラー34で停止させた後、画像形成部20で画像準備が整ったタイミングでタイミングローラー34を駆動して上記転写位置まで送出する。
両面コピーの場合には、片面に画像が形成された記録シートを、搬送切替爪27により自動両面コピー給紙部28に送り込んで再度転写位置まで搬送し、その裏面にトナー像を転写した後、定着器26に通紙して定着し、排紙ローラー27を介して後処理部40に送り込む。
後処理部40は、記録シートにパンチ穴を開けるパンチ処理部41、記録シートを2つ折りする折り曲げ部42、記録シートの折り曲げ部(中央部)にステープル処理を施す中綴じ部43、記録シートの端部分にステープル処理を施す端綴じ部44などを備える公知のものであって、画像形成部20から送出されてきた記録シートにユーザーから指示された後処理を施した後、排出トレイ45上に排出する。
3.各装置の制御部の構成
図3は、本電力監視システム100における各装置の制御部を示すシステムブロック図である。ここでも複写機については代表として複写機2についてのみを示している。
電力監視装置1は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104を有している。
ROM102には、電力監視装置1で実行される制御プログラム(後述の電力監視処理のプログラム)が、格納されている。
RAM103は、揮発性のメモリであり、CPU101が上記制御プログラムをROM102から読み出して実行する際におけるワークエリアとなる。
EEPROM104は、上記制御に必要なテーブル等を記憶する。例えば、各複写機2〜5からプリントジョブの動作許可申請を受け付けて、各プリントジョブについて1枚の処理ごとに実行される工程とその消費電力とを実行時間を対応付けて格納した工程情報参照テーブル(不図示)を記憶する。
一方、複写機2は、メイン制御部となるシステムコントローラ部50の他に、画像読取部10、画像形成部20、後処理部40内にそれぞれ独立の制御部を有する。
システムコントローラ部50は、主な構成要素としてCPU251を備え、電力監視装置1とLAN6を介して通信すると共に、不図示のROMからプログラムを読み出して、画像読取部10、画像形成部20、後処理部40の各制御部と通信して、それらで実行する工程について動作タイミングなどを指示することにより、一連のプリントジョブを画像読取り工程、給紙工程、画像形成工程、後処理工程の各工程に分割して実行させることができるようになっている。
そして、プリントジョブを受け付けて実行するに際し、1枚の記録シートに対するプリントジョブについて、上記各分割された工程ごとに必要な消費電力及び実行時間に関する情報(以下、「工程情報」という。)を、プリントジョブの動作許可申請と共に電力監視装置1に送信する。
画像読取部10における制御部は、主な構成要素としてCPU211を備えており、不図示のROMからプログラムを読み出し原稿自動搬送部11における原稿搬送動作やスキャナー部12におけるキャレッジ13の移動動作、CCDイメージセンサ14等についてタイミングを取って制御して、一連の画像読取動作を実行させる。
画像形成部20における制御部は、主な構成要素としてCPU221、ROM222、RAM223、EEPROM224を備えている。
ROM222には、画像形成部20における画像形成処理の実行に関するプログラム等、各種プログラムが格納されている。
RAM223は、CPU221におけるプログラム実行時のワークエリアとなる。
EEPROM224には、例えば、上記工程情報のテーブル(不図示)が格納されている。
CPU221は、ROM222から必要なプログラムを読み出して、上述のように画像プロセス部21や定着器26における各動作を統一的に制御し、記録シート上に画像を形成させる。また、画像読取部10や後処理部40がオプションとして新たに接続、もしくは交換された際に、それらのCPUと通信して、それぞれ画像読取り工程や後処理工程に関する工程情報を取得し、EEPROM224内の工程情報テーブルを更新する。
後処理部40は、制御部の主な構成要素としてCPU241を備えている。
CPU241は、画像形成部20内のCPU221と接続され、CPU221から指示を受けて、タイミングを取って、各ユニットにおいて記録シートに必要な後処理を施すように制御する。
なお、図3においては、電力監視装置1と複写機2〜5の各制御部をLAN6と接続するためのLANボードなどの通信インターフェースの図示は省略している。
4.電力監視システム100における電力監視処理
<電力監視処理の概要>
図4は、本実施の形態に係る電力監視システム100で実行される電力監視処理において、複写機2〜5と電力監視装置1との間で行われる通信の概要を示すシーケンス図である。
複写機2〜5は、それぞれプリントジョブを受け付けると、当該プリントジョブについて実行される分割工程に関する工程情報や自装置の識別情報を、動作許可申請と共に電力監視装置1に送信する(P1)。
各複写機2〜5における画像形成部20のEEPROM224には、1枚の記録シートについて各分割工程を実行するのに必要な消費電力、実行時間に関する情報が、記録シートのサイズや、後処理の内容ごとの予め求められて工程情報テーブル(不図示)として格納されており、システムコントローラ部50は、受け付けたプリントジョブからプリント条件に関する情報を抽出し、これに基づき上記工程情報テーブルから対応する情報を読み出し、当該ジョブを実行する際における工程情報を生成する。
図5は、複写機2〜5で受け付けたプリントジョブを実行する際における工程情報の一例を示すテーブルの一例を示す図であり、それぞれ原稿を読み取ってA4サイズの記録シートに片面印刷して、後処理として例えば1枚ずつパンチ穴と折り曲げ加工を形成する場合について記載されている。
プリントジョブA〜Cはそれぞれ、複写機2〜5のうち、例えば複写機2、3、4で受け付けたジョブを示している。
各ジョブについて、分割工程は、一連のジョブを分割して実行できる工程が示されている。上述のように、本実施の形態においては、各複写機2〜5は、システムコントローラ部50による制御により、1枚の記録シートについて実行される一連のプリントジョブを、(1)画像読取り、(2)給紙、(3)画像形成、(4)後処理の4工程に分割して実行できる構成となっている。
ここで、画像読み取り工程は、画像読取部10で自動原稿搬送装置11を使用して原稿の画像を読み込む工程を示す。
給紙工程は、給紙部30において、給紙カセット31〜33のうち選択された給紙カセットの給紙口から記録シートを繰り出してタイミングローラー34まで搬送する工程を示す。
画像形成工程は、タイミングローラー34を駆動してから画像プロセス部21で記録シート上にトナー像を転写して、定着器26における定着動作を経過した後、記録シートを後処理部40の用紙スタック部46に収容されるまでの工程を示す。
後処理工程は、画像形成部20から出力された記録シートに対し、上述したパンチ処理や折処理、中綴じ処理、端綴じ工程などの工程を示す(本例ではパンチ処理)。
(5)の「(1)−(3)間待機」とは、(1)から(3)までの工程の間で待機状態となっている場合(当該待機中、定着器26における加熱ローラーを定着温度に維持する必要がある場合)を、(6)の「(5)以外待機」とは、本例では、(1)の画像読込み工程が待機状態にある場合を意味している(以下、説明の便宜上、待機することも一つの工程とみなして、例えば「待機工程(5)」という場合もある。)。
また、消費電力の欄には、各工程における消費電力が記載され、実行時間の欄には、各1枚の記録シートについて(1)〜(4)までの各工程を実行する際に要する時間が記載されている。待機工程(5)、(6)の実行される時間は、その待機の要因となっている工程の残り実行時間によって決定される。
仮に、プリントジョブAが、複写機2で受け付けたジョブである場合、そのプリント条件と複写機2自身の工程情報テーブルに基づき、図5(a)のような工程情報を作成して、自装置の識別情報と共に電力監視装置1に動作許可申請を送信する。
電力監視装置1は、当該動作許可申請を受け付けると、当該動作許可申請の対象となっているプリントジョブの工程を一旦申請リストに登録する(P2)。
そして、受け付けた各プリントジョブの工程を順次並行して実行した場合の消費電力を算出し、総消費電力が上限値を超えない範囲で、かつ、待機時に発生する消費電力量の総和が最小になるように各工程の実行順を決定する(P4)。
次に、上記決定された実行順に、各工程を実行リストに登録し(P5)、当該実行リストに登録された順番にしたがって動作許可通知を、当該動作許可申請の送信元の複写機に通知する(P6)。この動作許可申請の送信元は、当該受け付けた動作許可申請に付されていた識別情報により判断される。
この動作許可通知を受けた複写機2〜5は、当該通知の対象となる工程を実施し(P7)、実行が完了すると、当該実行した工程について動作許可権利を返納する通知を電力監視装置1に送る(P8)。
電力監視装置1では、当該動作許可権利返納通知を受けて申請リストの登録を更新し(P9)、以下、上記P4〜P9までの処理を繰り返す。
複写機2〜5の全てのプリントジョブが終了するまで、上記処理が行われる。
<電力監視システムで実行されるフローチャート>
以下、具体的なフローチャート基づき、上記電力監視システム100で実行される電力監視処理の内容をより詳しく説明する。
(I)複写機における動作許可申請処理
図6は、各複写機2〜5において実行される動作許可申請処理のフローチャートであり、不図示の複写機全体の制御に係るメインフローチャートのサブルーチンとして実行される。このフローチャートは、システムコントローラ部50を中心にして実行される。
まず、ユーザーからのプリントジョブ実行要求があるか否かをチェックする(ステップS1)。たとえば、ユーザーが、原稿自動搬送部11の原稿トレイに原稿を載置し、操作パネル60からスタートキーの入力操作がなされたときに、プリントジョブの実行要求があった判定される。
「要求なし」の場合は要求があるまで待機し、プリントジョブの実行要求があった場合には、ステップS2以降の処理を実行する。
ステップS2では、LAN6を介して、電力監視装置1に対して当該プリントジョブの動作許可申請を電力監視装置1へ送信する(図4のP1参照)。
動作許可申請を通知には、受け付けたプリントジョブに関する工程情報、自装置の識別情報が含まれる。上記のように工程情報には、当該プリントジョブの工程数がいくつあるかの情報と、待機工程を含む各工程での電力消費量、実行時間、及び、各工程間での待機時消費電力に関する情報が含まれている(図5(a)〜(c)参照)。
その後、ユーザーからの中断指示があるか否かのチェックを行う(ステップS3)。この中断指示は、例えば、ユーザーが操作パネル60から操作する。LAN6に接続された外部端末(不図示)からプリントジョブを発行したような場合には、当該端末の操作により中断指示される。
中断指示がある場合には(ステップS3:「中断要求あり」)、プリントジョブの残りの実行動作に対する動作許可申請を取り下げる旨を、電力監視装置1へ通知し(ステップS14)、不図示のメインフローチャートにリターンする。
ステップS3において、「中断要求あり」の場合には、ステップS4に移って、電力監視装置1により動作許可の通知があったか否かを判定し、通知がなければ(ステップS4:「未許可」)、ステップS3に戻って、中断指示チェックを繰り返した後、電力監視装置1から動作許可通知があるまで待ち、動作許可があった場合には(ステップS4:「許可」)、ステップS5〜ステップS8にて当該許可された工程を実行する。
まず、当該許可された工程の動作の実行を開始し(ステップS5)、その実行中にジャム、トラブル等のエラーが発生したかをチェックする(ステップS6)。
ステップS6でエラーが発生したと判定された場合には、ステップS11にて、当該工程の中断処理を実施する。例えば、プリントジョブの給紙工程でジャムなどの給紙ミスのエラーが発生した場合には、駆動停止等の処理を実施する。これらのエラーの検知方法自体は公知であるので、説明を省略する。
そして、電力監視装置1に対して、実行中の工程の動作許可権利返納通知を行い(ステップS12)、プリントジョブの残りの工程がある場合には、さらに残動作の動作許可申請取下げを通知する(ステップS13)。
その後、メインフローチャートにリターンし、処理が循環してステップS1にて、次のプリントジョブ実行要求があるまで待機状態となる。
ステップS6にて、エラーが検知されなかった場合は、次のステップS7で、所定時間を経過しているか否かを判定する。
自装置の工程情報にはその実行時間が予め決定されているので、その時間を経過しても当該工程が完了しなければ(ステップS7:「時間経過」)、ステップS6でエラーが検出された場合と同様にしてステップS11以降のジョブ中断処理を行う。ここで「時間経過」とは、例えば給紙工程において、選択した給紙カセット内の記録シートが無くなった場合などの理由により給紙開始後、レジストローラ34への到着が通紙センサにより所定時間内に検知されない場合等のことを示す。
上記の処理を当該実行中の工程が完了するまで行い(ステップS8で「未完了」→ステップS5〜S7)、許可対象となったプリントジョブの工程が終了したと判定した場合には(ステップS8:「完了」)、電力監視装置1に対して、当該実行が完了した工程の動作許可権利返納する旨通知する(ステップS9)。
そして、プリントジョブの全工程が完了するまで、ステップS3からの処理を繰り返す(ステップS10:「未完了」→ステップS3〜S9)。
プリントジョブの全工程が完了した場合には(ステップS10で「完了」)、メインフローチャートにリターンし、処理が循環してステップS1にて、次のプリントジョブ実行要求があるまで待機状態となる。
(II)電力監視装置1で実行される電力監視処理
次に、電力監視装置1で実行される電力監視処理について説明するが、以下で、説明する各フローチャートは、特記しない限り、電力監視装置1におけるCPU101で実行されるものである。
(1)電力監視処理のメインフローチャート
図7は、電力監視装置1における電力監視処理の制御内容を示すメインフローチャートである。
まず、各複写機2〜5から受け付けた動作許可申請に基づき、申請リストに工程情報を登録/削除する申請リスト登録処理を実行する(ステップS21)。
次のステップS22で、上記申請リストに何らかの工程情報の登録があるか否かを判定し、登録がなければ(ステップS22:「NO」)、ステップS21に戻って、申請リスト登録処理を繰り返すが、申請リストに登録があれば(ステップS22:「YES」)、当該申請リストの情報を基づき、その動作をシミュレートして申請リストに登録された工程について最適な実行順番を求め、その実行時刻を決定する動作シミュレーション処理を実行する(ステップS23)。
そして、当該シミュレート結果から、各動作工程の実行順番を登録した実行リストを作成する実行リスト登録処理を実行し(ステップS24)、これに伴ってステップS21で作成した申請リストを削除し(ステップS25)、当該実行リストに従って動作許可申請を発行した複写機に対して動作許可を通知する動作許可通知処理(ステップS26)を実行する。
以下、各処理のサブルーチンの内容について説明するが、説明の便宜上、各プリントジョブは、全て1枚のみのプリントジョブであるとする。
(2)申請リスト登録処理
図8は、図7におけるステップS21の申請リスト登録処理のサブルーチンにおける制御内容を示すフローチャートである。
まず、複写機2〜5の何れかから動作許可申請を受信したか否かを判定する(ステップS101)。
もし、動作許可申請を受信しておれば(ステップS101:「あり」)、動作順序を更新すべく、すでに受け付けていた動作許可申請により動作順序が登録済みの実行リストを一旦申請リストにコピーして(ステップS102)、実行リストを初期化する(ステップS103)。
そして、新たに受け付けた動作許可申請の工程情報を上記申請リストに追加して(ステップS104)、図7のメインフローチャートにリターンする。
上記実行リストおよび申請リストは、電力監視装置1の例えば、EEPROM104内に記憶されている。
図9(a)は、既に受信していたプリントジョブAに関して生成されている実行リストの例を示すものであり、各工程とその開始時刻が対応付けられて登録されている。
なお、本実施の形態では、動作許可申請の通知に含まれていた各工程の消費電力と実行時間および、各工程間の待機時消費電力の情報については、動作許可申請の受付時に別の工程情報参照テーブル(例えば、図5(a)と同一内容なので図示省略)に登録されて、EEPROM104内に格納されているものとする。また、動作許可申請の送信元の識別情報なども、当該工程情報に対応付けてEEPROM104に記憶される。
図9(a)の実行リストにおいて、例えば、「A(1)」と記載されているのは、図5(a)に示すプリントジョブAの工程(1)(画像読取り工程)であることを示す(以下、他のプリントジョブB、Cについても同じ。)。
仮に、図9(a)の実行リストにおいて、工程A(2)の完了直後に、プリントジョブBの動作許可申請を受信すると(ステップS101で「あり」)、実行リストを更新すべく、残りのプリントジョブAの工程(3)、(4)と、プリントジョブBの工程(1)〜(4)が、申請リストに登録され、図9(b)に示すようになる(以下、第1モデルケースという。なお、実行済みの工程A(1)、(2)が、実行リストから削除される処理については、後述の図15の実行リスト登録処理におけるステップS403参照)。
図8のステップS101において、動作許可申請の受付がなければ(ステップS101:「なし」)、ステップS105に移って、複写機2〜5から動作許可申請取下げ要求を受け付けているか否かを判定する。
もし、動作許可申請取下げ要求を受け付けていなければ(ステップS105:「なし」)、図7のメインフローチャートにリターンし、処理が循環してステップS101で新たな動作許可申請の受付けを待つ。
もし、ステップS105において、既に、実行リストに登録したプリントジョブを発行した複写機2〜5のいずれかから動作許可申請取下げ要求を受け付けていれば(ステップS105で「あり」)、すでに受付けていた動作許可申請により作成されていた実行リストを一旦申請リストにコピーした後(ステップS106)、実行リストを初期化し(ステップS107)、ステップS105で動作許可申請取下げ要求があったプリントジョブに関する一連の動作工程を上記申請リストから削除して(ステップS108)、図7のメインフローチャートにリターンする。
上記動作許可申請取下げ要求は、前述の図6のステップS13、14において、複写機2〜5から、電力監視装置1に通知されるものであって、これにより、動作許可申請を電力監視装置1に送信してきた複写機において、プリントジョブ実行中に、ユーザーからの中断指示、または複写機2〜5側でジャム等のエラー検出などの理由により、当該プリントジョブが中断された場合に、実行リストから、実行途中の動作から取下げ要求のあった動作を削除して、再度動作シミュレートすることが可能となる。
以上のようにして作成された作成された申請リストに基づき、次の動作シミュレート処理が実行されて、各工程の実行順序を決定することにより実行リストが更新される。
(3)動作シミュレート処理
図10は、図7の動作シミュレート処理のサブルーチンの内容を示すフローチャートである。
この動作シミュレート処理では、申請リストに登録されたプリントジョブの分割工程の情報に基づき、シミュレート用の現在実行リストを作成し、工程情報参照テーブルを参照にして所定時間周期で上限電力を超えるか否かの判定を行って動作シミュレートして各工程の開始時刻の決定と、待機時間の算出を行う。また、待機時に発生する待機消費電力量が所定量以上だった場合、実行順序を入れ替えて再度動作シミュレートを実行するといった手順で行われる。なお、現在実行リストは、電力監視装置1の例えばRAM103内に作成される。
まず、申請リストに登録された情報を取得し(ステップS201)、申請リストに登録された各プリントジョブの最初の工程(最先工程)を現在実行リストに登録する。(ステップS202)。
工程情報参照テーブルには、工程ごとの工程情報(消費電力、実行時間)の他に、実行開始済みの工程についての残り実行時間を格納する欄があり、当該工程情報参照テーブルから、ステップS202で、現在実行リストに登録された該当する工程についての工程情報と残り実行時間に関する情報を取得する(ステップS203)。これらの情報は、例えば、ワークエリアであるRAM103に一旦記憶される。なお、実行が開始されていない工程については、その工程情報における実行時間がそのまま残り実行時間として記憶されることになる。
そして、以下のステップS204からステップS213までの処理により、当該選択された工程を同時に実行した場合における総消費電力が上限電力を超えるか否かの判定を行って、もし、上限電力を超える場合には、工程の実行順序を変更して、その場合でも再度上限電力を超えるか否かの判定する処理を周期時間ごとに繰り返すことで動作シミュレートを実現する。
まず、ステップS204で、次に実行すべき工程の消費電力を加算して、その値が上限電力を超過するか否かを判定する(ステップS205)。本実施の形態では、「上限電力」は、ブレーカー上限を想定して1500Wと設定するが、フロア内やビル内の上限電力を設定してもよい。
ここで、仮に、申請リストに、プリントジョブAの工程しか登録されていなければ(図9(a)と同じ状態)、ステップS202では、工程A(1)が、現在実行リストにまず登録され、ステップS205においては、上限電力以下と判定される。
ステップS206では、当該工程A(1)を許可通知の対象となる工程の開始時刻を決定して現在実行リストの開始時刻欄(図13(a)参照)に書き込んで記憶する。
そして、すでに実行が開始されている工程があれば、その実行時間から周期時間(シミュレーション用に設定した時間であり、後述のステップS220において、例えば、初期値を「0」として、0.1秒単位で加算されて更新される。)を減算することで、実行中の工程の残り実行時間を算出し、現在実行リストの残り実行時間の欄に記憶される(ステップS207)。
そして、現在実行リストに動作許可申請された他の工程があるか否かを判定する(ステップS214)。
上記の例では、現在実行リストにプリントジョブAの最初の工程A(1)のみしか登録されていないので、ステップS214で「なし」と判断され、図11のステップS216に移り、実行時間を経過した工程があるか否かを判定する。
この判定は、例えば、上記ステップS207において更新して記憶した残り時間が「0」になったか否かで判定することができる。実行時間を経過した対象工程がある場合は(ステップS216で「あり」)、現在実行リストから当該対象工程の工程情報を削除する(ステップS217)。なお、この際、現在実行リストにおける登録は抹消されるが、当該削除した工程についての開始時刻は、例えば、申請リストの当該工程に関連付けて記憶されているものとする。また、ステップS216において、実行時間を経過した工程がない場合は(ステップS216:「なし」)、ステップS217をスキップして、ステップS218の判定を実行する。
そして、ステップS218において、申請リストに登録された全工程のシミュレートが完了したか否かの判定を行うが、上記の例では、まだ、工程A(2)以降が残っているので(ステップS218:「未完了」)、現在実行リストの最後尾(本例の場合、既に工程A(1)が削除されているので、最後尾であると共に最上位でもある。)に、申請リストの次工程として登録されている工程(上記の場合、工程A(2))を登録する(ステップS219)。
その後、ステップS220で、周期時間を、1周期分(0.1秒)加算して更新し、図10のステップS203に戻って、以下、工程A(2)〜(4)まで上記と同様な動作を繰り返し、ステップS218において、申請リストに登録されている全工程についてシミュレーションが完了すると(ステップS218:「完了」)、図7のメインフローチャートにリターンする。
図7のメインフローチャートの処理が循環してステップS22で新たにプリントジョブの登録があったと判断されると、再びステップS23の動作シミュレーション処理のサブルーチンが実行される。
今、複写機2において工程A(2)の実行が終了したのと同時に、電力監視装置1が複写機3からプリントジョブBの動作許可申請を受け付けたとすると、このときに申請リストの登録状況は、図9(b)に示すようになる。
この場合、図10のステップS202では、各プリントジョブの最先工程A(3)、B(1)を現在実行リストに登録することになり、ステップS203で両者の工程情報を工程情報参照テーブルから取得し、それらの工程の消費電力を加算して、仮に同時に実行させた場合における総消費電力を求める(ステップS204)。
もし、その総消費電力の値が、上限電力を超過していなければ(ステップS204:「以下」)、並行して実行させるべく2つの対象工程に同開始時刻を設定して記憶させ、ステップS207以降の処理を繰り返すことになるが、本例では、工程A(3)とB(1)の消費電力は、それぞれ1100Wと500Wなので(図5(a)(b)参照)、その総和は1600Wとなり、ステップS205で「超過」と判定される。
この場合には、取り敢えず、後で受け付けたプリントジョブBについても早く実行を開始させてプリントジョブAと並行処理させるため、工程B(1)を優先し、工程A(3)を待機させるように、動作順序を仮設定する(図12(a)の時刻t11〜t12間参照)。
次に、工程A(3)が待機する待機時間を算出する(ステップS208)。図5(b)によれば、工程B(1)の次の工程B(2)では、消費電力が、400Wなので工程A(3)を同時に実行しても上限電力を超えない。したがって、A(5)の待機時間は、B(1)の実行時間(B(1)が既に開始されている場合には、その残り実行時間)となる。
この残り実行時間は、上述のステップS207同様、原実行時間から周期時間を減算することにより行われる。
そして、次のステップS209において、当該待機時間が所定の第1の時間以上であるか否かを判定する。本実施の形態においては、この第1の時間は、例えば1秒に設定している。
ステップS209において、待機時間が第1の時間未満であると判定されると(ステップS209:「未満」)、ステップS210の工程順序変更処理やステップS211をスキップして、待機時電力を加算する(ステップS212)。具体的に、工程B(1)の消費電力に、待機工程A(5)の待機消費電力を加算し、加算された結果が、上限電力を超過するか否かを判定する(ステップS213)。
ここで、上限電力以下であれば(ステップS213:「以下」)、順序はそのままで、上記ステップS214以降の処理を実行するが、上限電力を超過する場合には、もはや同時間内に待機状態とすることができないため、複数プリントジョブを並行して実行させるのが不可能と判定し、図11のステップS221に移って、電力消費が重ならないようにして各工程を逐次実行するように各工程の開始時刻をずらして設定し、ステップS218に移って、次以降の工程情報について検討する。具体的には、工程A(3)が完了するまでは、工程B(1)を開始させないようにする。
もし、ステップS209において、対象工程に対して待機時間が1秒以上の場合には(ステップS209:「以上」)、所定の規準にしたがって実行順位を変更する工程順序変更処理を行って(ステップS210)、工程順序が変更された場合には(ステップS211で「あり」)、ステップS201に戻って当該変更された順序に基づき再度シミュレーションを実行する。
ステップS211で、工程順序変更なしと判定された場合、上記したステップS212以下の処理を実行する。
そして、ステップS218において、全ての工程に対して動作シミュレートが完了した場合は、申請リストに登録されていた全ての工程について現在実行リストへの登録が完了したことになるので、本フローチャートを終了し、図7のメインフローチャートにリターンする。
なお、ステップS209において、待機時間が第1の時間(1秒)未満の短い時間である場合に、ステップS210の工程順序変更処理をスキップさせているのは、短時間の待機であるため、その間の待機時消費電力量もそれほど大きく、むしろ、後から受け付けたプリントジョブBの迅速な開始を優先するという価値判断による。もっとも、ステップS209の判断をせずに、常に工程順序変更処理に移って、待機時消費電力量がより小さくなるようにしても構わない。
図12(a)の例では、工程B(1)は、まだ実行が開始されていないので、待機時間(工程B(1)の実行残り時間)は2秒となり、ステップS209において、第1の時間「以上」と判定され、ステップS210の工程順序変更処理が実行される。
(4)工程順序変更処理
図14は、図10のステップS210における工程順序変更処理の制御内容を示すフローチャートである。
まず、図10のステップS202で登録された現在実行リストおよび工程情報参照テーブルから情報を取得する(ステップS301)。
ここで取得する情報は、動作シミュレート中に待機状態と想定されている工程(以下、「待機対象工程」という。上記の例では工程A(3))の待機時消費電力、その際に実行していると想定されている他のプリントジョブの工程(現在、待機対象工程が、待機状態となっている要因となる他のプリントジョブの工程。以下、「待機要因元工程」という。上記の例では工程B(1))の残り実行時間(この残り実行時間は、図10のステップS208で求められてRAM103等に記憶されている)などである。
そして、まず、待機対象工程が画像形成工程であるか否かの判定を行い(ステップS302)、画像形成工程以外であると判定された場合には、待機させてもその消費電力は高くないので、順序変更を行わずに(ステップS310)、本フローチャートを終了して、図10のフローチャートにリターンする。
また、ステップS302にて、待機対象工程が画像形成工程であると判定された場合、ステップS303〜S309までの処理にて実行順序の入れ替えを実施していく。
まず、ステップS303において、何が待機要因元工程となっているかの判定を行う。
そして、待機要因元工程が画像読取り工程である場合には、無条件で当該画像読取り工程と、待機対象工程の画像形成工程の順序入れ替えを行う(ステップS307)。
画像形成工程の方が待機時における消費電力が大きく、また、他のプリントジョブの画像読取り工程を先に実行させてしまうと、当該他のプリントジョブにおいて、それ以降の待機時の消費電力が大きい工程(給紙工程、画像形成工程)の前で待機状態となる可能性が増すからである。
この順序入替は、申請リストに登録された情報に対して、登録順序を入れ替えることにより実行される。ここで変更した申請リストの情報を用いて、図10のステップS201以降にて、実行順序を入れ替えた申請リストに基づき、再度動作シミュレートを実施することになる。
図12(a)の例の場合、待機対象工程A(3)の待機要因元工程はB(1)(画像読取り工程)なので(時刻t11〜t12間)、順序変更がなされ、図12(b)に示すように工程A(3)を先に実行して工程B(1)を待機させる順序となる(時刻t21〜t23)。
また、ステップS303おいて、待機要因元工程が給紙工程である場合、ステップS304に移り、待機要因元工程の残り実行時間が、第2の時間(本例では、例えば3秒)以上である否かを判定する。
もし、ステップS304で、待機要因元工程の残り実行時間が、第2の時間以上であると判定された場合には、待機要因元の給紙工程と、待機対象工程である画像形成工程の実行順序を入れ替える(ステップS307)。
これにより、画像形成工程までの待機時間が長くなることによる各負荷への影響(例えば、待機工程からの復帰時間を短くするため、待機中においても各種駆動モーターを継続駆動することによる駆動モーターの劣化や、定着器26における加熱ローラーを印字中定着温度に維持することによる加熱部材の劣化)を低減することができる。
もし、ステップS304で、残り実行時間が第2の時間未満であった場合には、待機要因元工程の残り実行時間情報と、待機対象工程の待機時消費電力との情報から、現状の実行順序で動作させた場合に待機時電力消費量がどれくらいになるかを算出すると共に、待機対象工程の実行時間と、待機要因元工程の待機時消費電力との情報から、実行順序を入れ替えた場合の待機時電力消費量を算出する(ステップS305)。
そして、上記算出された待機時電力消費量同士を比較し(ステップS306)、順序を入れ替えた方が電力消費量が小さいと判定された場合には、ステップS307に移って、実行順序入れ替えを行う。これにより、待機時の電力消費量をより小さくできる。
反対に、現状の順序の方が、電力消費量が小さいと判定された場合には、順序変更を行わず(ステップS309)、本フローチャートを終了する。
また、ステップS303において、待機要因元工程が画像形成工程であると判定された場合、上記ステップS305とステップS306の動作を実行する。
すなわち、待機要因元の画像形成工程と待機対象となっている画像形成工程がそれぞれ互いに待機状態となったときの待機消費電力量をそれぞれ算出し(ステップS305)、それらの比較結果に基づき、現在のままの順序でよいのか、順番を入れ替えるべきかの判定を行い(ステップS306)、その判定結果に基づき、ステップS307、ステップS309に移行する。この処理は、待機要因元工程が給紙工程のときにステップS304で待機要因元工程の残り実行時間が第2の時間未満と判定された場合と同様なので、これ以上の説明を省略する。
ステップS303において、待機要因元工程が、後処理工程である場合、順序変更を行わず(ステップS310)、本フローチャートを終了し、図7のメインフローチャートにリターンにリターンする。
後処理工程の場合には、待機時の消費電力は小さいので、順序変更して後処理工程の方を待機させてもよいのであるが、本実施の形態では、後処理工程はプリントジョブの最後の工程なので先に実行させて、他のジョブの早期終了を優先させている。もっとも、待機時の消費電力量の最小化の観点からは、この場合にも順序を変更することが望ましい。
以上により必要に応じて、各複写機2〜5間のプリントジョブの各工程間の動作順序を変更する処理を実行することにより、他の処理待機消費電力の総和をより減少させるように配慮されている。
(5)実行リスト登録処理
上記のように動作シミュレート処理を実行して、申請リストに登録された全ての工程について動作シミュレーションが終了して、各工程の開始時刻が決定され、申請リストに記憶されると、次に、実行リスト登録処理を実行する(図7のステップS24)。
図15は、上記実行リスト登録処理における制御内容を示すフローチャートである。
まず、上記動作シミュレート処理において最終的に作成された申請リストのうち開始時刻が最も早い工程を検索して(ステップS401)、これを実行リストに登録し(ステップS402)、実行リストに登録した工程を申請リストから削除する(ステップS403)。
そして、申請リストに、実行リストに未登録の動作工程があるか否かを判定し(ステップS404)、もし、あれば、ステップS401で残りの動作工程の開始時刻が最も早い動作工程を検索し、ステップS402以下の実行リストへの登録処理を繰り返し、ステップS404で、現在実行リストのうち実行リストに未登録の動作工程が残っていないと判定されたら(ステップS404:「なし」)、本フローチャートを終了して図7のフローチャートにリターンする。
(6)動作許可通知処理
上述のように実行リストを作成した後は、申請リストは不要なので削除し(図7のステップS25)、当該実行リストに従って、画像形成装置に対して動作許可を通知する動作許可通知処理を実行する(ステップS26)。
図16は、当該動作許可通知処理における制御内容を示すフローチャートである。
まず、実行リストに、動作許可未通知の登録があるか否かを判定し(ステップS501)、もし、登録が1件もない場合には(ステップS501:NO)、図7のフローチャートにリターンする。もし、登録がある場合には(ステップS501:YES)、次に動作許可権利返納申請を受け付けているか否かを判定する(ステップS502)。
上述したように、動作許可権利返納申請は、実行中の工程が終了した場合に各複写機2〜5から通知される申請である(図6のステップS9参照)。
動作許可権利返納申請がある場合には(ステップS502:YES)、当該返納があった工程を実行リストから削除し(ステップS503)、実行リストを更新する(ステップS504)。
動作許可権利返納申請がない場合には(ステップS502:NO)、ステップS503、S504をスキップする。
そして、実行リストを参照しながら、実行開始時刻になった工程があるか否かを判定し(ステップS505)、実行開始時刻になった工程がなければ(ステップS505:NO)、図7のメインフローチャートにリターンし、処理が循環するのを待つ。
もし、実行開始時刻になった工程があれば(ステップS505:YES)、当該工程について、動作許可申請元の複写機に対し動作許可通知を行った後(ステップS506)、図7のメインフローチャートにリターンする。動作許可申請元の複写機は、動作許可申請受付時にEEPROM104に記憶された識別情報に基づき特定される。
(7)具体的な事例
図13(b)は、上述のモデルケース、すなわち、工程A(2)完了と同時に、プリントジョブBの動作許可申請を受け付けた場合について、動作シミュレーションを実行した結果、図15の実行リスト登録処理で作成された最終的な実行リストの例である。
このモデルケースにおいて、従来のように動作許可申請の通知を受けた順に順次分割工程を許可する場合だと、図12(a)に示すように時刻t11〜t12の間にプリントジョブAの待機工程A(5)が発生すると共に、時刻t13〜t14との間にプリントジョブBの待機工程B(5)が発生するため、プリントジョブA、Bが完了するまでに発生した総待機消費電力量は、0.66667Whであった。
しかし、本実施の形態のように、極力、定着動作を含む画像形成工程の待機が生じないようにプリントジョブA、B間の工程間の順番を変更した図13(b)の実行リストにしたがって動作許可通知を発行して、各工程を実行させることにより、図12(b)に示すようにプリントジョブA、プリントジョブBともに画像形成工程前に待機状態となる区間が発生しなくなり、結果、総待機消費電力量を、0.02778Whまで低減することができた。
上記モデルケース以外のタイミングで動作許可申請を受け付けた場合や、3台以上の複写機から動作許可申請を受け付けたような場合でも、上述の電力監視処理を実行することにより、総消費電力が上限電力以下で、できるだけ複数のプリントジョブを並行して実行しつつ、総待機消費電力量をより低減させることが可能となる。
なお、上記実施の形態においては、説明の便宜上プリントジョブA、Bは、それぞれ1枚ずつのジョブとしたが、実際には、複数枚に対するプリントジョブがほとんどであり、この場合には、それぞれのプリントジョブにおいて工程(1)〜(4)の対する動作許可通知申請が、その枚数分繰り返されて連続して電力監視装置1に通知され、電力監視装置1は各工程について上記動作シミュレーションを実行して動作順序を決定し、該当する複写機2〜5に動作許可通知を発行することになる。
複数枚の原稿のコピージョブの場合には、先に原稿枚数を把握することができないので、ユーザーが操作パネル60から原稿枚数を入力するか、あるいは、原稿自動搬送部11の原稿トレイに原稿が載置されたことが公知の原稿検出器により検出され、コピーのスタートボタンが押下されたときに、1枚分のプリントジョブについて電力監視装置1に動作許可申請が送信され、1枚の原稿を読み取った後に、次の原稿があることが検知されると、当該原稿の読取りを開始する前に、電力監視装置1に2枚目のプリントジョブについての動作許可申請が送信され、以下、原稿トレイ上の原稿がなくなるまで、動作許可申請の通知が電力監視装置1に対してなされる。
電力監視装置1は、当該一例の動作許可申請を受信するたびに実行リストを更新して、当該実行リストにしたがって動作許可通知を発行する。
また、各プリントジョブに、上記工程(1)〜(4)の全てが含まれる必要はない。複写機2〜5にLAN6を介してパーソナルコンピュータからなる複数の端末が接続されて、当該端末からプリントジョブを受け付けるような場合には、通常分割工程(1)(画像読取り工程)は含まれない。
反対に、一連のプリントジョブをさらに細分化してもよい。特に、後処理工程は複数の処理を含むので細分化が可能である。
上記では、便宜上、後処理工程も1枚毎に実行されることを前提に説明したが、例えば中綴じ処理や端綴じ処理(以下、「ステープル工程」と総称)においては、ユーザーから操作パネル60などを介して指定された枚数毎に実行されるので、ステープル工程に関する動作許可申請は、1枚のプリントジョブ毎に毎回送信されるのではなく、当該指定枚数毎に電力監視装置1に送信されることになる。
<実施の形態2>
本実施の形態2においても、電力監視システム100や電力監視装置1、複写機2〜5のハードウェアの構成は実施の形態1と全く同じであり、電力監視装置1のCPU101で実行される工程順序変更処理のサブルーチン(図11、図12)の内容が異なるだけなので、以下では、当該サブルーチンを示すフローチャートについてのみ説明し、他のフローチャートについての説明は省略する。
(1)工程順序変更処理のフローチャート
図17、図18は、本実施の形態にかかる工程順序変更処理の制御内容を示すフローチャートであり、図10に示した動作シミュレート処理において、対象工程の待機時間が第1の時間以上となった場合に、ステップS210のサブルーチンとして実行されるものである。本実施の形態においても、特記がない限り、電力監視装置1のCPU101により実行される。
まず、図17のステップS601〜609は、図14におけるステップS301〜S309と共通している。
簡単に説明すると、ステップS601において、図10のステップS202で登録した現在実行リストの情報を取得し、待機対象工程が、画像形成工程であるかの判定を行う(ステップS602)。
待機対象工程が、画像形成工程である場合には、ステップS603に移行する。
ステップS603では、さらに、待機要因元の工程が何であるかの判定を行い、待機要因元工程が、画像読取り工程である場合には、無条件で待機要因元工程の画像読取り工程と、待機対象工程の画像形成工程の順序入れ替え(ステップS607)、順序変更ありとして(ステップS608)、図10のフローチャートにリターンする。
また、ステップS603において、待機要因元工程が給紙工程であると判定された場合、には、待機要因元工程の残り実行時間が第2の時間以上であった場合には、待機要因元の給紙工程と、待機対象工程の画像形成工程の実行順序を入れ替える(ステップS607)。
ステップS604において、残り実行時間が第2の時間未満であった場合および、ステップS603において、待機要因元工程が画像形成工程であると判定された場合には、ステップS605にて待機要因元工程の残り実行時間情報と、待機対象工程の待機時消費電力との情報から、現状の実行順序で動作させた場合における待機時電力消費量を算出し、また、待機対象工程の実行時間と、待機要因元工程の待機時消費電力との情報から、実行順序を入れ替えた場合における待機時電力消費量を算出する。
そして、ステップS606において、上記算出された待機時電力消費量を比較し、順序を入れ替えた方が待機時の電力消費量が小さいと判定した場合は、実行順序入れ替えを行う(ステップS607)。
反対に、現状順序の方が待機時の消費電力量が小さいと判定した場合は順序変更を行わず(ステップS609)、図10のフローチャートにリターンする。
また、ステップS603において、待機要因元工程が、後処理工程であると判定された場合にも順序変更せず(ステップS609)、図10のフローチャートにリターンする。
このように、ステップS603〜S609までは、ステップS602において、待機対象工程が、画像形成工程と判定された場合に、要因元工程の種類に応じて、順序変更の要否を判定している。
実施の形態1においては、待機対象工程が画像形成工程ではない場合には(図14のステップS302:「画像形成工程以外」)、順序変更しない構成となっていたが(ステップS310)、本実施の形態2では、この場合でもさらに細かく場合分けして、待機消費電力をより低減できるように考慮されている。
すなわち、図17のステップS602において、待機対象工程が、画像形成工程以外であると判定された場合には、図18のステップS610に移って、さらに待機対象工程が給紙工程であるか否かを判定している。
ここで、待機対象工程が給紙工程であると判定された場合には(ステップS610:「給紙工程」)、さらに、待機要因元工程が、画像読取り工程、画像形成工程・給紙工程、後処理工程のいずれであるか否かを判定する(ステップS611)。
ステップS611にて、待機要因元工程が画像読取り工程である場合、無条件で待機要因元工程の画像読取り工程と、待機対象工程の給紙工程の順序入れ替えを行い(S614)、順序変更ありとして(ステップS615)、図10のフローチャートにリターンする。
給紙工程の待機消費電力の方が明らかに大きく、また、他のプリントジョブの画像読取り工程を先に実行させてしまうと、それ以降、当該他のプリントジョブ待機時の消費電力が大きい工程の前で待機状態となる可能性が増すからである。
また、ステップS611にて、待機要因元工程が画像形成工程もしくは給紙工程である場合には、待機要因元工程の残り実行時間情報と、待機対象工程の待機時消費電力との情報から、現状の実行順序で動作させた場合に待機時電力消費量がどれくらいになるかを算出すると共に、待機対象工程の実行時間と、待機要因元工程の待機時消費電力との情報から、実行順序を入れ替えた場合に待機時電力消費量を算出する(ステップS612)。
そして、ステップS612で算出された待機時電力消費量を比較し(ステップS613)、順序を入れ替えた方が電力消費量が小さいと判定した場合は、実行順序入れ替えを行い(ステップS614)、順序変更ありとし(ステップS615)、図10のフローチャートにリターンする。これにより待機時消費電力量をより少なく抑えることができる。
ステップS613において、現状の順序の方が待機消費電力量が小さいと判定された場合は順序変更を行わずに(ステップS616)、本フローチャートを終了して、図10のフローチャートにリターンする。
また、ステップS611で、待機要因元工程が後処理工程であると判定された場合には順序変更を行わず(ステップS616)、本フローチャートを終了する。
これは、後処理工程を優先的に実施させて、1つのジョブを先に終了させた方がユーザーにとっても有利であるからである。もっとも、待機時の消費電力量を最優先にするため、順序を変更しても構わない。
さらに、ステップS610にて、給紙工程以外であると判定した場合にも、順序変更の判定を行わず(ステップS617)、本フローチャートを終了する。ここで給紙工程以外となるのは、画像読取り工程もしくは後処理工程であるが、いずれも待機時の消費電力は多くないからである。
(2)具体的な事例
本実施の形態における効果を説明するため、複写機2でプリントジョブAの工程A(1)(画像読取り工程)完了と同時に、プリントジョブC(図5参照)の動作許可申請を電力監視装置1が受け付けた場合をモデルケースにして、図19(a)(b)を参照しながら説明する。
図19(a)は、従来の方法における実行順序であり、順序入れ替えを行わず、申請を受付けた順にプリントジョブA、Cの各工程を並行処理させた場合の消費電力と経過時間との関係を示している。
本例では、プリントジョブCの給紙工程(2)が、プリントジョブAの画像形成工程(3)の実行によって待機状態となる期間(時刻t33〜t34の2秒間)が発生する。これは、図18のフローチャートにおいてステップS610で待機対象が給紙工程と判定され、ステップS611において待機要因工程が、画像形成工程と判定された場合に該当する。
そこで、ステップS612における待機消費電力算出を実行すると、プリントジョブCの給紙(2)が、プリントジョブAの画像形成工程(3)の実行により待機状態(工程C(5))となる期間(時刻t33〜t34の2秒間)には、工程C(5)の待機消費電力は400W(図5(c)参照)であるから、約0.222Wh(400W×2/3600)の待機消費電力量が発生する。順序を変えて、工程A(3)よりも工程C(2)(1秒間)を優先的に実行すると待機工程A(5)が1秒間発生するので、約0.111Whの待機消費電力量が発生することになる。両者を比較すると(図18のステップS613)、順序を入れ替えた方が、待機消費電力量が減少するので、ステップS614でその順序を変更する処理を実行することになる。
そして、このように順序変更した申請リストについて再度動作シミュレーションを繰り返し、全部の工程について動作シミュレーションを行うと、図19(b)のようになる。
その結果、順序入替前の総待機消費電力量0.66667Whを、順序入替後には、0.02778Whまで減少することができた。
<変形例>
本発明は上述のような実施の形態に限られるものではなく、次のような変形例も実施することができる。
(1)上記各実施の形態では、一連のプリントジョブを画像読取り工程、給紙工程、画像形成工程、後処理工程の4つに分割したが、例えば、後処理工程を後処理の内容に応じてさらに複数の工程に細分するなどして、さらに多くの工程に分割することも可能であるし、反対に、例えば給紙工程と画像形成工程を一つの工程と捉えることも可能である。
(2)また、上記各実施の形態では、複写機2〜5から電力監視装置1に対し動作許可申請を送信する際に、自装置の工程情報と共に送信していたが、各複写機における詳細な工程情報を予め電力監視装置1のEEPROM104などに登録しておき、複写機2〜5からプリントジョブについて許可申請があったときに電力監視装置の方で当該申請を送信してきた複写機ごとに対応する工程情報を読み出すように構成してもよい。
(3)上記実施の形態では、LAN6に接続する複写機は4台であったが、これに限らず2台以上であれば、本発明を実施することができる。また、接続する画像形成装置も、複写機に限られず、ファクシミリ機能や、原稿をスキャンして自装置内の記憶部にファイルしたり、ネットワークを介して接続された外部端末に送信する機能などを有する多機能な複合機(MFP)であってもよいし、プリンターやファクシミリなどの専用機であってもよい。要するに、一連のジョブを複数の工程に分割して実施することが可能であって、一の工程の待機時に、定着動作のように比較的大きな待機消費電力が発生する構成を有しておれば、適用した場合の効果が大きい。
(4)また、電力監視装置1は、独立した装置としてではなく、複写機2〜5のいずれか1台の制御部に兼ねさせるようにすることも可能である。
(5)上記電力監視装置1における電力監視処理の内容は、CPU101で実行されるプログラムに関する発明として捉えることが可能である。
この場合、当該プログラムは、例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、Smart Media(登録商標)、COMPACTFLASH(登録商標)などのフラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態で、インターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
なお、上記実施の形態および変形例の内容は、可能な限り組み合わせてもよい。
本発明は、複数の画像形成装置で消費される電力を監視する電力監視システムに適用することができる。
1 電力監視装置
2〜5 複写機
6 LAN
10 画像読取部
20 画像形成部
30 給紙部
40 後処理部
100 電力監視システム
101、211、221、241 CPU

Claims (15)

  1. 複数の画像形成装置と、それら複数台の画像形成装置の総消費電力を監視する電力監視装置とが接続されてなる電力監視システムであって、
    各画像形成装置は、
    一連の画像形成ジョブを複数の工程に分割して実行可能な画像形成ジョブ実行手段と、
    前記電力監視装置からの指示に基づき、前記複数の工程の実行を制御する制御手段と
    を有し、
    前記電力監視装置は、
    前記複数もしくは一部の画像形成装置において実行すべき画像形成ジョブに関する情報を取得して、各画像形成装置における画像形成ジョブの工程間の動作順序を決定する動作順決定手段と、
    前記決定された動作順序にしたがって各画像形成ジョブの工程を実行するように該当する画像形成装置に指示する指示手段と
    を備え、
    前記動作順序決定手段は、
    各画像形成装置が、画像形成ジョブを実行する際に、それらの総消費電力が所定の上限値を超えず、かつ、いずれかの画像形成装置における特定の工程の実行を待機させる際に生じる消費電力量の総量がより少なくなるように、前記各画像形成ジョブにおける工程間の動作順序を決定する
    ことを特徴とする電力監視システム。
  2. 前記動作順序決定手段は、
    前記各画像形成装置の実行すべき画像形成ジョブの各工程の動作順序を仮決定する第1の決定手段と、
    前記仮決定された動作順序で各画像形成装置が画像形成ジョブを実行した場合の合計消費電力が前記上限値を超えるか否かを判定する電力超過判定手段と、
    前記電力超過判定手段において電力が前記上限値を超えると判定された場合に、所定の画像形成装置における工程を待機させるように前記仮決定された動作順序を変更して本決定する第2の決定手段と、
    を備え、
    前記第2の決定手段は、待機中の工程により生じる電力消費量の総量がより少なくなるように前記動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力監視システム。
  3. 前記第2の決定手段は、
    定着動作を含む画像形成工程の待機による電力消費量の累積値を最小にすることを最優先して前記動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電力監視システム。
  4. 前記第2の決定手段は、
    給紙工程の待機による電力消費量の累積値を最小にすることを2番目に優先して前記動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項3に記載の電力監視システム。
  5. 前記第2の決定手段は、
    一の画像形成装置における画像形成工程が、他の画像形成装置における画像読取工程によって待機させられている場合に、前記画像形成工程が、前記画像読取工程よりも優先的に実行されるように動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の電力監視システム。
  6. 前記第2の決定手段は、
    一の画像形成装置における第1の画像形成工程が、他の画像形成装置における第2の画像形成工程により待機させられている場合において、第1の画像形成工程の待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、
    優先順序を変更して、第2の画像形成工程を第1の画像形成工程によって待機させた場合に生じる第2の待機消費電力量を比較して、第2の待機消費電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記第1の画像形成工程が前記第2の画像形成工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の電力監視システム。
  7. 前記第2の決定手段は、
    一の画像形成装置における画像形成工程が、他の画像形成装置における給紙工程により待機させられている場合において、画像形成工程の待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、
    優先順序を変更して、前記給紙工程を前記画像形成工程によって待機させた場合に生じる第2の待機電力量を比較して、第2の待機電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記画像形成工程が前記給紙工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電力監視システム。
  8. 前記第2の決定手段は、
    前記画像形成工程が、前記給紙工程により待機させられる場合における待機時間を取得する待機時間取得手段を備え、
    取得された待機時間が、所定時間以上である場合には、第1と第2の待機消費電力を比較することなく、前記画像形成工程が前記給紙工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項7に記載の電力監視システム。
  9. 前記第2の決定手段は、
    一の画像形成装置における画像形成工程が、他の画像形成装置における後処理工程によって待機させられている場合には、当該動作順序を変更しない
    ことを特徴とする請求項2に記載の電力監視システム。
  10. 前記第2の決定手段は、
    他の画像形成装置の前記画像読取工程によって前記給紙工程を待機させる場合、
    前記給紙工程と、他の画像形成装置の前記画像読取り工程との動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項2から9までのいずれかに記載の電力監視システム。
  11. 前記第2の決定手段は、
    一の画像形成装置における給紙工程が、他の画像形成装置における画像形成工程により待機させられている場合において、給紙工程を待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、
    優先順序を変更して、画像形成工程を給紙工程によって待機させた場合に生じる第2の待機消費電力量を比較して、第2の待機消費電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記給紙工程が前記画像形成工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項2から9までのいずれかに記載の電力監視システム。
  12. 前記第2の決定手段は、
    一の画像形成装置における第1の給紙工程が、他の画像形成装置における第2の給紙工程により待機させられている場合において、第1の給紙工程を待機させた場合に生じる第1の待機消費電力量と、
    優先順序を変更して、第2の給紙工程を第1の給紙工程によって待機させた場合に生じる第2の待機消費電力量を比較して、第2の待機消費電力量が第1の待機消費電力量よりも小さい場合に、前記第1の給紙工程が前記第2の給紙工程よりも優先して実行されるように動作順序を変更する
    ことを特徴とする請求項2から9までのいずれかに記載の電力監視システム。
  13. 前記第2の決定手段は、
    一の画像形成装置における給紙工程が、他の画像形成装置における後処理工程によって待機させられている場合には、当該動作順序を変更しない
    ことを特徴とする請求項2から9までのいずれかに記載の電力監視システム。
  14. 複数の画像形成装置と接続され、それら複数台の画像形成装置の総消費電力を監視する電力監視装置であって、
    前記複数もしくは一部の画像形成装置において実行すべき画像形成ジョブに関する情報を取得して、各画像形成装置における画像形成ジョブの工程間の動作順序を決定する動作順決定手段と、
    前記決定された動作順序にしたがって各画像形成ジョブの工程を実行するように該当する画像形成装置に指示する指示手段と
    を備え、
    前記動作順序決定手段は、
    各画像形成装置が、画像形成ジョブを実行する際に、それらの総消費電力が所定の上限値を超えず、かつ、いずれかの画像形成装置における特定の工程の実行を待機させる際に生じる消費電力量の総量がより少なくなるように、前記各画像形成ジョブにおける工程の実行順序を決定する
    ことを特徴とする電力監視装置。
  15. 複数の画像形成装置と接続され、それら複数台の画像形成装置の総消費電力を監視する電力監視装置で実行される電力監視方法であって、
    前記複数もしくは一部の画像形成装置において実行すべき画像形成ジョブに関する情報を取得する取得ステップと、
    取得した各画像形成装置における画像形成ジョブの工程間の動作順序を決定する動作順決定ステップと、
    前記決定された動作順序にしたがって各画像形成ジョブの工程を実行するように該当する画像形成装置に指示する指示ステップと
    を含み、
    前記動作順序決定ステップは、
    各画像形成装置が、画像形成ジョブを実行する際に、それらの総消費電力が所定の上限値を超えず、かつ、いずれかの画像形成装置における特定の工程の実行を待機させる際に生じる消費電力量の総量がより少なくなるように、前記各画像形成ジョブにおける工程の実行順序を決定する
    ことを特徴とする電力監視方法。
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