JP2013121664A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録装置において、ノズル列において使用ノズルと不使用ノズルが設定されたモードを実行した後、それら両方のノズル範囲を用いるモードを実行する場合でも、濃度ムラの発生を防ぐことを可能とする。
【解決手段】高速記録モード、すなわち、ノズル列について総てのノズルあるいは可能な限り多くのノズルを使用するモードを実施する際に、各色インクのノズル列の領域Aおよび領域Bそれぞれのドットカウント値を読み込む(S201)。次に、ノズル列ごとに領域Aと領域Bのドットカウント値の差を求め、この差と所定の閾値Xと比較する(S202)。ドットカウント値の差が閾値Xより大きい場合は、該当するノズル列の使用を不許可とする。これにより、ノズル列において使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲が設定された高画質記録モードなどによって、ノズル範囲間で吐出特性の差が発生したとしても、それによる濃度ムラの発生を未然に防ぐことができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット記録装置およびその記録方法に関し、詳しくは、記録ヘッドの双方向記録に起因した濃度むらを抑制すべく記録ヘッドのノズル使用範囲を制御する記録モードを含む記録に関するものである。
インクジェット記録装置では、例えば、往復走査でそれぞれ記録される、隣接する領域間でインクの打ち込み時間の間隔が走査方向において異なることによって、これら領域間で濃度差や色味の差などが発生することがある。このような問題に対し、特許文献1には、異なる種類のインクのノズル列間で使用するノズルの範囲を相互に異ならせることが記載されている。詳しくは、異なる種類のインクのノズル列間で異なるノズル使用範囲とすることにより、それぞれの記録領域で、その前の記録領域からの打ち込み時間間隔を走査方向において一定にし、隣接領域間での濃度差の発生を抑制している。
さらに、特許文献1には、設定された記録条件を取得もしくは参照して、その記録条件に応じて、それぞれのノズル列において使用するノズル範囲を設定することが記載されている。例えば、記録条件として画質の異なる複数の記録モードが設定可能な構成において、高品質な画像の記録を行う高画質記録モードが設定されている場合には、上述のように、異なる種類のインクのノズル列間で異なるノズル使用範囲とする。これにより、それぞれの記録領域で、その前の記録領域からの打ち込み時間間隔を走査方向において一定にしている。また、画質よりも記録速度を重視した高速記録モードが設定されている場合には、それぞれのノズル列における使用ノズルは範囲を可能な限り広い範囲に設定するようにしている。
また、異なる種類のインクの打ち込み順序を各記録領域で一定にするために、異なる種類のインクのノズル列間で使用するノズルの範囲を相互に異ならせることも知られている。
特開2002−307672号公報
しかしながら、ノズル列間で使用するノズルの範囲を相互に異ならせるモードを高頻度に、また、長時間実行すると、次のような不都合が生じる場合がある。
インクジェット方式の記録ヘッドにおけるノズルごとの吐出特性は、使用時間や吐出回数に応じてヒーター等の吐出機構部の劣化によって変化することがある。その結果、インク吐出量や吐出速度の低下などの吐出不良を生じる。一方、不使用の期間が長期に及ぶノズルにおいても、ノズル内のインクが吐出されずに長時間放置され続けるために、インク水分の蒸発によって顔料など色材の濃度が増す、インク増粘を生じることもある。さらに、周囲からの熱や湿度などの影響によって、ノズル内で異物が発生して吐出口周辺やノズル内壁面に付着し、適正なインク滴の吐出を阻害する場合もある。
そして、以上のように、ノズル列間で使用するノズルの範囲を相互に異ならせるモードを実行した後、例えば、ノズル列の全ノズルを使用する記録モードに切り替えて記録を行うことがある。このとき、先の記録モードで使用されていたノズル範囲と使用していなかったノズル範囲との間で、記録濃度に差を生じ濃度ムラが発生することがある。
図1はこの問題を説明する図であり、濃度が均一なシアンベタ画像を1パス記録した場合の記録画像を模式的に示している。図1に示すように、ノズル列間で使用するノズルの範囲を相互に異ならせるモードを実行することによって、ある1つのノズル列において、正常に吐出するノズル範囲と吐出不良のノズル範囲が生じる。そして、このような状態のノズル列で、1パス記録を行うと、正常吐出による正常な記録濃度領域と吐出不良による、例えば濃度低下領域との境界が、各走査による記録領域の中に位置することになる。このため、他の種類のインクと合わせて1回の走査で完成する記録画像において濃度ムラが発生する。
本発明の目的は、ノズル列において使用ノズルと不使用ノズルが設定されたモードを実行した後、それら両方のノズル範囲を用いるモードを実行する場合でも、濃度ムラの発生を防ぐことができるインクジェット記録装置およびその記録方法を提供することである。
そのために本発明では、インクを吐出する複数のノズルからなるノズル列を同色のインクについて複数備え、それぞれのノズル列における使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲とが定められた第1記録モードと、前記第1記録モードにおける使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の両方が使用されるよう設定されたノズル列を用いる第2記録モードと、を有して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記第2記録モードを実行する際、前記第1記録モードにおいて定められている使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の吐出特性の差を、それぞれのノズル列について取得する吐出特性取得手段と、前記吐出特性の差が所定の閾値より大きい場合、当該吐出特性の差を生じているノズル列の使用を不許可とし、他の同色のインクを吐出するノズル列を用いるよう設定するノズル列制御手段と、を具えたことを特徴とする。
以上の構成によれば、ノズル列において使用ノズルと不使用ノズルが設定されたモードを実行した後、それら両方のノズル範囲を用いるモードを実行する場合でも、濃度ムラの発生を防ぐことができる。
濃度が均一なシアンベタ画像を1パス記録した場合の記録画像を模式的に示す図である。 本発明を適応可能なカラーインクジェット記録装置の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。 図2に示した装置における各部の制御を実行するための制御構成を示すブロック図である。 (a)は、本実施形態に係るノズル設定切り替え処理を示すフローチャートであり、(b)は、本実施形態において選択され得る記録モードを示した図である。 (a)は、高画質モードにおける使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の設定を説明する図であり、(b)および(c)は、本実施形態における高画質記録モードのノズル使用範囲設定に基づく記録の仕方を説明する図である。 (a)は、第1実施形態に係る高速記録モードにおける使用ノズル設定の処理を示すフローチャートであり、(b)は、第2実施形態に係る高速記録モードを開始する際の各ノズル列の使用可否を決定する処理を示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る使用ノズル選択結果を示す説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図2は、本発明を適応可能なカラーインクジェット記録装置の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。この図において、インクタンク213〜218は、6種類のインクである、フォトシアン(PC1)、シアン(C1)、ママットブラック(MBK)、グレー(Gy1)、フォトマゼンタ(PM1)、イエロー(Y)をそれぞれ収容している。これら6つのインクタンクのインクは記録ヘッド201〜206に対してそれぞれ供給可能に構成されている。インクタンク219〜224は、6種類のインクである、マゼンタ(M)、フォトマゼンタ(PM2)、グレー(Gy2)、フォトブラック(PBK)、シアン(C2)、フォトシアン(PC2)をそれぞれ収容している。これら6つのインクタンクのインクを記録ヘッド207〜212に対して供給可能に構成されている。このように記録ヘッドはある同色インクについてノズル列を複数備えている。
搬送ローラ103は、補助ローラ104とともに記録媒体(記録用紙)107を挟持しながら回転して記録媒体107を搬送するとともに、記録媒体107を保持する役割も担っている。キャリッジ106は、インクタンク213〜224及び記録ヘッド201〜212を搭載可能であって、これら記録ヘッド及びインクタンクを搭載しながらX方向沿って往復移動可能に構成されている。このキャリッジ106の往復移動中に記録ヘッドからインクが吐出され、これにより記録媒体に画像が記録される。記録ヘッド201〜212の回復動作時等の非記録動作時には、このキャリッジは図中の点線で示したホームポジション位置hに待機するように制御される。
キャリッジ106の主走査方向(Xの正の方向)への1回の走査に伴う記録が終了すると、キャリッジ106はホームポジションhへ向かう、主走査方向の逆方向(Xの負の方向)へ走査しながら、記録ヘッド201〜212で記録を行う。前回の記録走査が終了してから続く記録走査が始まる前には、搬送ローラ103が回転して、主走査方向と交差する副走査方向(Y方向)へと記録媒体が搬送される。このように記録ヘッドの記録走査と記録媒体の搬送とを繰り返すことにより記録媒体107に対する記録が完成する。記録ヘッド201〜212からインクを吐出する記録動作およびノズル使用範囲の制御は、図3にて後述される制御構成によって行われる。
また、キャリッジ106の移動範囲の一方の端部には、記録ヘッドの各ノズル列から吐出されるインクを検出するための吐出タイミング取得ユニット108が設けられている。このユニット108は、後述される本発明の第2の実施形態で用いることができる。
上記の例では、インクタンク213〜224と記録ヘッド201〜212とを着脱可能にキャリッジ106に搭載する構成を示した。しかし、インクタンク213〜224と記録ヘッド201〜212とが一体となったカートリッジをキャリッジに搭載する形態を採用してもよい。さらに、一つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な複数色一体型のヘッドをキャリッジに搭載する形態を採用してもよい。
図3は、上述した装置における各部の制御を実行するための制御構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置は、インターフェイス400を介して、不図示のホストコンピュータ(以下、ホストPC)等のデータ供給装置に接続されている。そして、データ供給装置から送信される各種データや記録に関連する制御信号等は、インクジェット記録装置の記録制御部500に入力される。記録制御部500は、インターフェイス400を介して入力された制御信号に従って制御する。また、記録制御部500は、入力される画像データの処理や入力される信号の処理を行う。405は、記録媒体107の搬送のために搬送ローラ103を回転させるための搬送モータである。406は、記録ヘッド201〜212を搭載するキャリッジ106を往復移動させるためのキャリッジモータである。407、408は、搬送モータ405、キャリッジモータ406をそれぞれ駆動するためのモータドライバである。409は記録ヘッド201〜212を駆動するヘッドドライバであり、記録ヘッドの数に対応して複数設けられている。また、410はヘッド種別信号発生回路であり、キャリッジ106に搭載されている記録ヘッド201〜212の種類や数を示す信号を記録制御部500に供給する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態は、プリンタドライバやプリンタ本体において設定されている記録条件を取得もしくは参照して、設定された記録条件に応じて、各色インクのノズル列において使用する範囲を設定する構成に関する。例えば、記録条件として画質の異なる複数の記録モードが設定可能な構成において、高画質の記録モードが設定されている場合には、記録領域間のインク打ち込み順序が常に同じになるように使用ノズル範囲を設定する。また、高速に画像を記録する記録モード(第2記録モード)が設定されている場合には、各インクとも使用ノズル範囲を可能な限り広い範囲に設定した1パス記録、又は2パス以上のマルチパス記録が行われるように設定する。
図4(a)は、本実施形態に係るノズル設定切り替え処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS001で、記録するデータを読み込む。次に、ステップS002で記録データに付随しているヘッダ情報等から記録モードの情報を取得する。次に、ステップS003で、高速記録モードか否かの判定を行う。高速記録モードである場合は、ステップS004で高速記録モード用のノズル範囲設定を行う。一方、ステップS003で高速記録モードでないと判断した場合は、ステップS005で高画質記録モード(第1記録モード)か否かを判断する。高画質記録モードの場合は、ステップS006で高画質記録モード用のノズル範囲設定を行う。ステップS005で、高画質記録モードでないと判断したときは、ステップS007で、標準記録モードとしてのノズル設定を行って、本処理を終了する。
図4(b)は、本実施形態において選択され得る記録モードを示した図である。同図に示すように、1パス記録または走査間で記録用紙107の搬送を伴わない2パス記録を行う高速記録モードが設定されている。また、4パス以上のマルチパス記録を行う標準記録モード、および記録ヘッドの使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲を定めたマルチパス記録を行う高画質記録モードが設定されている。
図5(a)は、高画質モードにおける使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の設定を説明する図である。図5(a)において、濃い色で示される領域(ノズル範囲)が高画質モードで使用されるノズル範囲であり、白色で示される領域が使用されない(不使用)ノズル範囲である。なお、本実施形態は、全長1インチである各ノズル列に1200個のノズルが等間隔に配置されており、これら各色のノズル列が主走査方向に配列している。本実施形態では、各ノズル列の全ノズルを使用した高速記録モードも選択実行できるよう、各ノズル列は副走査方向軸に対し同じ位置に配置され、1走査あたり、副走査方向に最高1200dpiの解像度で記録が可能である。記録媒体の搬送によって、領域Bによって記録が行われ、その後その領域幅分の記録媒体の搬送を介して領域Aによる記録が行われる。
同図から明らかなように、インクPC1、C1、MBK、Gy1、PM1を吐出するノズル列は総てのノズルが使用されない。また、インクY、M、Gy2、PBK、C2を吐出するノズル列は、副走査方向(記録媒体の搬送方向)における領域A、Bのうち領域Bのノズル範囲を使用し、領域Aのノズル範囲を不使用とする。一方、インクPM2、PC2を吐出するノズル列は、領域A、Bのうち領域Aのノズル範囲を使用し、領域Bのノズル範囲を不使用とする。なお、本実施形態ではインクPC1、C1、MBK、Gy1、PM1のノズル列を用いない形態であるが、片方のヘッドを集中的に使用することによるヘッド発熱を分散させるために、他の記録ヘッドの同色インクを選択的に用いてもよい。
図5(b)および(c)は、本実施形態における高画質記録モードのノズル使用範囲設定に基づく記録の仕方を説明する図であり、一例としてC2インクのノズル列とPC2インクのノズル列を用いた記録方法を示している。
図5(b)に示すように、C2インクのノズル列では、記録媒体搬送方向上流側(図の下側)の600ノズル分の領域B群を使用ノズルとし、下流側の600ノズル分の領域A群を不使用ノズルとする。一方、PC2インクのノズル列では、上流側の600ノズル分の領域B群を不使用ノズルとし、下流側の600ノズル分の領域A群を使用ノズルとする。そして、各インク色について6回の走査(パス)でその色の記録を完成するよう、使用ノズル範囲を6等分した100ノズル分相当の幅を有した記録領域(以下、単位領域ともいう)およびそれぞれの走査間の記録媒体搬送量が定められる。このようなノズル使用範囲および記録媒体搬送量によって、C2インクノズル列(上流側使用ノズル列)とPC2インクのノズル列(下流側使用ノズル列)を用いた、図5(c)に示すような記録動作が行われ、上記単位領域は12パスで記録が完成する。
以上のように、高画質記録モードなど、各色インクのノズル列について使用ノズルと不使用ノズルが設定される記録モードが実行されると、上述したように、使用ノズル範囲に吐出不良が生じるなど、使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲との間に吐出特性の差を生じることがある。このような記録モードの後に、高速記録モードなど、各色インクのノズル列の総て、あるいは上記の使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の両方を用いる記録モードを実行する場合に、上記吐出特性の差が現われて濃度ムラなどの生じることがある。本実施形態は、上記吐出特性の差を予め検出し、それに応じてそのような吐出特性の差を生じさせているノズル列の使用を制御することにより、濃度ムラを抑制する。
図6(a)は、一例として高速記録モードにおける使用ノズル設定の処理を示すフローチャートであり、具体的には、図4(a)に示すステップS004のノズル設定処理を示している。
本実施形態では、各色インクのノズル列の領域Aおよび領域Bそれぞれについて、その領域のノズルから吐出した回数をカウントし、これをその領域のノズルの総吐出数(以下、ドットカウント値ともいう)として、RAM403に格納している。なお、このカウントは、その処理対象となっているノズル列を備えた記録ヘッドが初めて用いられるときから開始される。高速記録モード、すなわち、ノズル列について総てのノズルあるいは可能な限り多くのノズルを使用するモードを実施する際に、上記各色インクのノズル列の領域ごとのドットカウント値を用いる。すなわち、ステップS201で、各色インクのノズル列の領域Aおよび領域Bそれぞれのドットカウント値を読み込む。次に、ステップS202で、ノズル列ごとに領域Aと領域Bのドットカウント値の差を求め、この差と所定の閾値Xと比較する。
ドットカウント値の差が閾値Xより大きい場合は、該当するノズル列の使用を不許可とする。図に示す例では、C2インクのノズル列について一方の領域のノズルのドットカウント値が多く、吐出不良が生じている可能性が高い場合は、C2ノズル列の使用を不許可とする。この場合は、図7(a)に示すように、シアン色の記録はC1ノズル列のみで行うよう設定する。
なお、高速記録モードにおいてC2ノズル列の使用が禁止された後に標準記録モードが選択された場合はC2ノズル領域Bを用いても多パスによるマルチパス記録が行われるため、画像的な不具合は発生しない。そのため標準記録モードでは、図7(b)に示すように、C2ノズル列の使用を許可し、C1、C2の2つのノズル列を用いて記録を行う。標準記録モードでの使用が長期間行われた場合、領域Aと領域Bのドットカウント値は平準化される。そこで、本実施形態では、ステップS202で、ドットカウント値の差が閾値X以下であると判断したときは、該当するノズル列、図に示す例ではC2ノズル列の使用を許可する設定をする。これにより、シアン色は標準記録モードと同様に図7(b)に示すように、C1、C2の2つのノズル列で記録が行われることになる。このようにモード変更時に各ノズル列の領域Aと領域Bのドットカウント値の差が所定の閾値と比較され、その結果に応じて領域間に吐出特性に偏りが発生していると想定される場合は、そのノズル列の使用が不許可とされる。その結果、画質劣化要因となる濃度ムラを抑制することができる。なお、閾値Xの値は、600×10^8以下に設定することが望ましいことが発明者等による実験で明らかになっているが、この数値に限るものではない。
以上の本実施形態によれば、ノズル列において使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲が設定された記録モードなどによってノズル範囲間で吐出特性の差が発生したとしても、その吐出特性取得によってノズル列制御を行い濃度ムラの発生を未然に防ぐことが可能となる。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、ノズル列の使用可否を領域Aと領域Bのドットカウント値の差で判定したが、本発明の第2実施形態では、図2(a)に示した吐出タイミング取得ユニット108を用いて領域ごとの吐出特性を取得する。
吐出タイミング取得ユニット108は、発光素子と受光素子が相対する位置関係に具備されており、発光素子と受光素子との間をインク滴が通過したタイミングを検出することができる。これにより、記録ヘッドに対する吐出パルス発生から発光・受光素子間をインク滴が通過するまでの時間を得ることができる。そして、各ノズル(吐出口)から発光・受光素子を結ぶ直線位置までの距離は予め分かっているのでインク滴の飛翔速度Vを得ることができる。ここで、インク吐出量Vdとインク滴の飛翔速度Vは相関関係が強く、飛翔速度Vが高ければ吐出量Vdも大きく、飛翔速度Vが低ければ吐出量Vdも少なくなる。このため飛翔速度Vの変化はインク吐出量Vdの変化として捕らえることができる。本実施形態では、所定のタイミングで吐出タイミング取得ユニット108によって各ノズル列の領域Aと領域Bの飛翔速度Vを取得し、それをRAM(DRAM)403もしくはプログラムROM402に保存する。なお、この飛翔速度の定期的な取得は、印刷ジョブ終了時や自動もしくは手動で操作するノズル列のクリーニング動作後に行うことが望ましい。さらに、図示していないタイマー機能や計測されたドットカウントと連動して行われると、ユーザーに意識させずインク滴飛翔速度を得ることが可能である。
図6(b)は、高速記録モードを開始する際の各ノズル列の使用可否を決定する処理を示すフローチャートであり、図6(a)と同様の処理を示している。ステップS301で、領域Aのインク滴飛翔速度Vaと領域Bのインク滴飛翔速度Vbを取得する。次に、ステップS302で、VaとVbの差であるVa−Vbと所定の閾値Vxと比較する。Va−Vbが閾値Vxより大きい場合、ノズル列の使用は禁止され、図に示す例では、シアン色の記録はC1ノズル列のみで行われる。ステップS302で、Va−Vbが閾値Vx以下と判断したときは、画質劣化要因である濃度ムラは許容範囲であることが推定されるため、図に示す例ではC2ノズル列の使用が許可される。ここで、閾値Vxは10m/秒以下に設定することが望ましいことが発明者等の実験結果から得られているが、この数値に限るものではないことはもちろんである。
(第3実施形態)
上述の第1および2実施形態では、高速記録モード時にノズル列の領域Aと領域Bの総てについて使用の可否を設定していたが、図7(c)に示すように、高速記録モード時の、図に示す例ではC2ノズル列の領域Bのみを使用不可とさいてもよい。
この場合、C1ノズル列の領域AとC2ノズル列の領域Aは、記録媒体におけるドット配置に対して補完関係で記録を行う。その結果、高速記録モード時にもC2ノズルの領域Aの記録が進むため、前述した通常記録モード時よりも早くC2ノズル列の領域Aと領域Bの吐出特性の平準化が行われることとなる。その際にC1ノズル列の領域Aと領域Bに吐出特性の差が発生するが、C2ノズル列の領域Aの使用率をC1ノズル列における領域Aと領域Bの吐出特性の差が問題にならない範囲になるようにコントロールするものである。C1、C2ノズル列の領域Aにおける記録データの振り分けは当該事業者であれば問題なく行うことができる。
なお、本発明は、紙や布、革、不織布、OHP用紙等、さらには金属などの記録媒体を用いる機器全てに適用可能である。具体的な適用機器としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の事務機器や、工業用生産機器などを挙げることができる。また、本発明は、大型の記録媒体に対して高速に記録を行う機器などに特に有効である。
106 キャリッジ
201 記録ヘッド
401 MPU
402 プログラムROM
403 RAM(DRAM)
406 キャリッジモータ
500 記録制御部

Claims (4)

  1. インクを吐出する複数のノズルからなるノズル列を同色のインクについて複数備え、それぞれのノズル列における使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲とが定められた第1記録モードと、前記第1記録モードにおける使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の両方が使用されるよう設定されたノズル列を用いる第2記録モードと、を有して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記第2記録モードを実行する際、前記第1記録モードにおいて定められている使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の吐出特性の差を、それぞれのノズル列について取得する吐出特性取得手段と、
    前記吐出特性の差が所定の閾値より大きい場合、当該吐出特性の差を生じているノズル列の使用を不許可とし、他の同色のインクを吐出するノズル列を用いるよう設定するノズル列制御手段と、
    を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記吐出特性の差は、前記使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の間の総吐出数の差であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記吐出特性は、前記使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の間の吐出されるインクの速度の差であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. インクを吐出する複数のノズルからなるノズル列を同色のインクについて複数備え、それぞれのノズル列における使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲とが定められた第1記録モードと、前記第1記録モードにおける使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の両方が使用されるよう設定されたノズル列を用いる第2記録モードと、を有して記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
    前記第2記録モードを実行する際、前記第1記録モードにおいて定められている使用ノズル範囲と不使用ノズル範囲の吐出特性の差を、それぞれのノズル列について取得する吐出特性取得工程と、
    前記吐出特性の差が所定の閾値より大きい場合、当該吐出特性の差を生じているノズル列の使用を不許可とし、他の同色のインクを吐出するノズル列を用いるよう設定するノズル列制御工程と、
    を有したことを特徴とするインクジェット記録方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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