JP2013120885A - Cmp用研磨液及びこの研磨液を用いた研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリア膜の研磨速度が高速、かつ砥粒の分散安定性が良好であり、low−k膜を高い研磨速度で研磨することができるCMP用研磨液を提供する。
【解決手段】(A)一般式(1)で表される第四級ホスホニウム塩化合物と、(B)負電荷を有する砥粒と、(C)酸化金属溶解剤と、(D)酸化剤と、を少なくとも含有するCMP用研磨液。
Figure 2013120885

(一般式(1)中のR〜Rは、ベンゼン環を有するアルキル基、若しくは炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表し、Rは、炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表す。また、Xは、陰イオンを表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体デバイスの配線形成工程等における研磨に使用されるCMP用研磨液及びこの研磨液を用いた研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、「LSI」という。)の高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(以下、「CMP」という。)法もその一つであり、LSI製造工程、特に、多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグの形成、埋め込み配線の形成において頻繁に利用される技術である。この技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
また、最近は、LSIを高性能化するために、配線材料となる導電性物質として銅又は銅合金の利用が試みられている。しかし、銅又は銅合金は従来のアルミニウム合金配線の形成で頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難である。
そこで、あらかじめ溝を形成してある絶縁膜上に銅又は銅合金の薄膜を堆積して埋め込み、溝部以外の前記薄膜をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン法が主に採用されている。この技術は、例えば、特許文献2に開示されている。
一方、銅又は銅合金等の配線部用金属の下層には、層間絶縁膜中への金属の拡散防止や密着性向上のためのバリア導体層(以下、「バリア膜」という。)として、例えば、タンタル、タンタル合金、窒化タンタル等の導体からなる層が形成される。したがって、銅又は銅合金等の配線部用金属を埋め込む配線部以外では、露出したバリア膜をCMPにより取り除く必要がある。
しかし、これらのバリア膜の導体は、銅又は銅合金に比べ硬度が高いために、銅又は銅合金用の研磨材料を組み合わせても充分な研磨速度が得られず、かつ被研磨面の平坦性が悪くなる場合が多い。そこで、配線部用金属を研磨する第1の研磨工程と、バリア膜を研磨する第2の研磨工程からなる2段階の研磨方法が検討されている。
図1に一般的なダマシンプロセスによる配線形成を断面模式図で示す。図1(a)は研磨前の状態を示し、表面に溝を形成した層間絶縁膜1、層間絶縁膜1の表面凹凸に追従するように形成されたバリア膜2、凹凸を埋めるように堆積された銅又は銅合金の配線部用金属3を有する。
まず、図1(b)に示すように、配線部用金属3を研磨するための研磨液で、バリア膜2が露出するまで配線部用金属3を研磨する(第1の研磨工程)。次に、バリア膜2用の研磨液で層間絶縁膜1の凸部が露出するまで研磨する(第2の研磨工程)。この第2の研磨工程においては、図1(c)に示すように、層間絶縁膜を余分に研磨するオーバー研磨が行われることが多い。図1の(c)において、破線部分は、第2の研磨工程における、バリア膜研磨前の図1(b)の状態を示す。このようなオーバー研磨により、研磨後の被研磨面の平坦性を高めることができる。
このようなバリア膜用の研磨液として、酸化剤と、金属表面に対する保護膜形成剤と、酸と、水とを含み、pHが3以下であり、上記酸化剤の濃度が0.01〜3質量%であるCMP用研磨剤が提案されている。(例えば特許文献3参照。)
ところで、近年、配線間隔が更に微細化されていることに伴い、配線遅延の問題が生じてきている。集積回路は、金属配線が何層にも張り巡らされて信号を伝達しているが、微細化に伴って配線同士の距離が近くなるために、近接する配線間の電気容量(配線間容量)が大きくなり、それに比例して配線を伝わる信号が遅くなるという現象(信号遅延)が生じる。それにより、回路の動作速度が上がらず、かえって消費電力が増えてしまうという問題が顕著になってきた。
そこで、この課題を克服するために、配線間容量を下げる手法の一つとして、二酸化珪素を主体とする層間絶縁膜から、低誘電率材料の膜(以下、「low−k膜」という。)への転換が図られている。low−k膜としては、オルガノシリケートグラスや全芳香環系low−k膜等を挙げることができる。これらのlow−k膜は、有機化合物を原料としたり、膜に空孔を形成させたりすることによって、誘電率を下げている。
更に、low−k膜は、比誘電率が空気(〜1)程度に低い材料の開発が始まっている。これらはULK(Ultra low−k)などと呼ばれ、空気を含んだポーラス(多孔性)な材料を使う方向で検討が進んでいる。但し、ポーラス材料は蜂の巣の様な中空構造なので軟らかく、二酸化珪素膜と比較して、機械的強度が低い、吸湿性が高い、プラズマ及び薬品耐性が低いといった弱点を有する。このため、前記第2の研磨工程において、low−k膜の損傷、過剰な研磨、膜の剥離等の問題を有する。
そこで、上記の課題を克服するため、low−k膜を二酸化珪素でキャップした構造とすることが提案されている。図2に、このような構造のデバイスの製造プロセスの一例を示す。図2の(a)の構造を得るためには、まず、Si基板4上にlow−k膜5と二酸化珪素からなるキャップ層6を積層構造で成膜した後、隆起部及び溝部を形成する。その上に、表面の隆起部及び溝部に追従するようにバリア膜2が形成され、隆起部及び溝部を埋めるように全体に堆積された配線部用金属3が形成されている。
層間絶縁膜部分にキャップ層の二酸化珪素が含まれると、二酸化珪素の誘電率の影響を受けてしまうため、層間絶縁膜全体として実効比誘電率がさほど低くならない。すなわち、low−k膜の有する低誘電率特性を充分活かせていないこととなる。従って、前記キャップ層としての二酸化珪素膜は、前記バリア膜研磨時に除去され、最終的にはlow−k膜のみからなる層間絶縁膜とすることが望ましい。
このような構造のデバイスを得るためには、図2の(a)に示す状態から、図2(b)に示すように、研磨を行う。具体的には、配線部用金属3を研磨するための研磨液で、バリア膜2が露出するまで配線部用金属3を研磨する(第1の研磨工程)。次に、バリア膜2用の研磨液でバリア膜を研磨し、図2(c)に示すように、少なくとも二酸化珪素のキャップ層6を全て除去し、low−k膜5が露出するまで研磨する(第2の研磨工程)。
従って、前記の第2の研磨工程では、バリア金属及び配線部用金属だけでなく、キャップ層である二酸化珪素膜及びlow−k膜も研磨する必要がある。また、半導体デバイスを設計通り構築するため、即ち、多層配線を実現するためには、各層が平坦である加工精度が求められるので、キャップ層を削りきった後に露出する下層のlow−k膜も削る必要がある。これらの理由より、バリア膜用の研磨液には、バリア金属及び配線部用金属だけでなく、キャップ層である二酸化珪素等の酸化膜及びlow−k膜に対してある程度の研磨速度が必要である。
米国特許第4944836号明細書 特開平02−278822号公報 再公表特許WO01/13417号パンフレット
従来のバリア用研磨液は、バリア金属及び二酸化珪素は好適に研磨できるが、low−k膜に対する研磨速度を向上させるためには、例えば、CMP用研磨液中の砥粒の含有量を多くする、CMP用研磨液中の砥粒の粒径を大きくする手段が考えられる。しかしながら、前記のいずれの手段も、砥粒の分散安定性が悪くなる傾向があり、砥粒の沈降が発生しやすくなる。このため、CMP用研磨液を一定期間保管した後に使用する場合、low−k膜の研磨速度が低下しやすくなるといった問題がある。
また、バリア膜用研磨液は砥粒を含有してなるが、この砥粒のゼータ電位は正に大きな方が砥粒同士に反発作用を生じ、砥粒の凝集を抑制するため、研磨液としての安定性が向上する。しかしながら、砥粒のゼータ電位は正に大きければ大きいほどlow−k膜の研磨速度は遅くなることが実験により明らかとなっている。
本発明は、これらの課題を解決しようとするものであって、ゼータ電位が負に大きな砥粒を含有させ、バリア膜のバリア金属に対する良好な研磨速度を維持し、更にキャップ層の二酸化珪素を研磨でき、かつ、low−k膜に対する高い研磨速度を達成できる研磨液及び研磨方法を提供するものである。
より具体的には、本発明は、バリア膜を研磨する第2の研磨工程におけるlow−k膜の研磨速度を向上させるものであり、安定性に優れたCMP用研磨液及び研磨方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、前記の第2の研磨工程において、low−k膜が露出した後、low−k膜のみに作用し、ゼータ電位が負に大きな砥粒を選択的にlow−k膜に近づけることで、前記の課題を克服することができると着想し、鋭意検討を行った。
その結果、アルキル基と正電荷を発現するホスホニウムイオンを一つの分子内に持つ第四級ホスホニウム塩と、シリカ粒子を砥粒に使用したCMP用研磨液を見出し、前記シリカ粒子が持つゼータ電位が重要な因子であることを見出した。
すなわち本発明は、(A)一般式(1)で表される第四級ホスホニウム塩化合物と、(B)負電荷を有する砥粒と、(C)酸化金属溶解剤と、(D)酸化剤と、を含有するCMP用研磨液に関する。
Figure 2013120885
一般式(1)中のR〜Rは、ベンゼン環を有するアルキル基、好ましくはベンジル基あるいはフェニル基の誘導体、より好ましくはベンジル基あるいはフェニル基、若しくは炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表し、Rは、炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表す。また、一般式(1)中のXは、陰イオンを表す。
本発明に係るCMP用研磨液では、バリア膜の高い研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素膜を研磨でき、かつ、low−k膜の研磨速度を向上することができる。また、本発明に係るCMP用研磨液では、砥粒の凝集を抑制し、優れた安定性もなしえる。
(A)成分の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して0.1〜1質量部であることが好ましい。この場合、バリア膜及び酸化膜の研磨速度を下げることなくlow−k膜の研磨速度を向上することができる。
(B)成分は、負電荷を有する砥粒であり、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア又はこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この場合、砥粒の凝集を抑制することができる。
(B)成分は、上記した中でも、CMP用研磨液中でのゼータ電位が−10mV以下のシリカ粒子であることが好ましく、また、二軸平均一次粒子径が60nm以下のコロイダルシリカであることが好ましい。
前記シリカ粒子の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して3.0〜8.0質量部であることが好ましい。
本発明のCMP用研磨液のpHは、中性領域又は酸性領域であることが好ましい。ここで中性領域とは6.5以上7.5以下と定義され、酸性領域とはpH6.5未満として定義される。
また、本発明は、上記のCMP用研磨液が、3倍以上に濃縮されているCMP用研磨液用濃縮液に関する。
また、本発明は、砥粒を10質量部以上含む、上記のCMP用研磨液用濃縮液に関する。
また、本発明は、凹部及び凸部を表面に有する層間絶縁膜と、この層間絶縁膜の表面に追従して設けられたバリア膜と、前記凹部を充填してこのバリア膜を被覆するように設けられた導電性物質層と、を有する基板における導電性物質層を研磨して層間絶縁膜の凸部上に位置するバリア膜を露出させる第1の研磨工程と、第1の研磨工程により露出したバリア膜を研磨して層間絶縁膜の凸部を露出させる第2の研磨工程と、を含み、少なくとも第2の研磨工程で上記CMP用研磨液、又は上記CMP用研磨液用濃縮液と希釈液若しくは添加液又はその両方と混合して調整したCMP用研磨液を用いて研磨する研磨方法に関する。本発明に係る研磨方法では、すべての層で実用的な研磨速度を得ることができる。
上記層間絶縁膜は、low−k膜と、該low−k膜をキャップしたキャップ層とを有し、前記low−k膜が、誘電率2.9以下のシリコン系被膜又は有機ポリマー膜であることが好ましい。
また、上記導電性物質層は、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、バリア膜は、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、タングステン、タングステン化合物、ルテニウム及びルテニウム化合物、コバルト、コバルト化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
また、前記第2の研磨工程において、更に凸部の層間絶縁膜の一部を研磨することが好ましい。
なお、本発明において、「凹部及び凸部を表面に有する層間絶縁膜」とは、図1に示されるように層間絶縁膜自体に凹部及び凸部が形成された状態でもよく、また、図2に示すように、Si基板等の他の基板の上に部分的に層間絶縁膜を形成して凹部及び凸部を有するようにした状態も含むものとする。従って、本発明において「層間絶縁膜を表面に沿って被覆するバリア膜」とは、図2に示すように、バリア膜が、部分的に層間絶縁膜以外の部分を被覆している状態であってもよい。
また、本発明は、上記の研磨方法を用いて製造された半導体基板に関する。
更に、本発明は、上記の研磨方法を用いて製造された電子機器に関する。
本発明によれば、バリア膜を研磨する第2の研磨工程において、バリア膜の高い研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素を研磨でき、かつ、low−k膜の研磨速度を向上することが可能なCMP用研磨液及び研磨方法を提供することができる。また、本発明によれば、層間絶縁膜の研磨速度を膜種ごとに制御可能なCMP用研磨液を提供することができる。加えて、本発明によれば、砥粒の凝集を抑制し、安定性に優れたCMP用研磨液を提供することができる。更に、本発明によれば、上記のCMP用研磨液を用いて、微細化、薄膜化、寸法精度にも優れ、信頼性の高い、低コストの半導体デバイス等の製造における研磨方法を提供することができる。
一般的なダマシンプロセスによる配線形成の断面模式図である。 層間絶縁膜にlow−k膜及びキャップ層を用いた配線形成の断面模式図である。 二軸平均一次粒子径を算出される粒子形状の一例である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態に係るCMP用研磨液は、(A)成分:一般式(1)で表される第四級ホスホニウム塩を有する化合物、(B)成分:負電荷を有する砥粒、(C)成分:酸化金属溶解剤、及び(D)成分:酸化剤と、を少なくとも含有する。
本実施形態に係るCMP用研磨液では、バリア膜の高い研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素を研磨でき、かつ、low−k膜の研磨速度を向上することができる。本実施形態に係るCMP用研磨液を用いた際にlow−k膜の研磨速度が向上するメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、本発明者らは、low−k膜の研磨機構を、研磨対象膜と砥粒の静電的相互作用に起因していると推測している。low−k膜は二酸化珪素膜等の酸化膜と比較して疎水性が強く、CMP用研磨液及び砥粒との親和性は通常低く、砥粒濃度が低い。その結果、low−k膜は低い研磨速度となる。
本発明は、low−k膜の疎水性に着目し、これと親和力のある物質を介することで、砥粒をlow−k膜に接近させることができた。具体的には、以下のような機構である。
本実施形態に係るCMP用研磨液では、一般式(1)で表される第四級ホスホニウム塩化合物が、界面活性剤のような役割を担う。カチオン部に存在する疎水性置換基、例えばメチル基等が、疎水性の強いlow−k膜上に多く吸着する。その結果、low−k膜上に正の電荷が多数存在することになり、負電荷の砥粒と静電的相互作用が発生し、互いが引き合うことで、low−k膜上に砥粒が多く存在する状態となる。通常、ゼータ電位が+10.0〜+30.0mVと、高い正電荷の砥粒を含むCMP用研磨液では、low−k膜に対し高い研磨速度が得られないことが実験により明らかとなっているが、本発明では、このlow−k膜と負の電荷を持つ砥粒が接近することにより、高い研磨速度が達成できる。
以下、本実施形態に係るCMP用研磨液の各含有成分について詳細に説明する。
[(A)成分:添加剤]
本発明のCMP用研磨液は、上記一般式(1)で表される第四級ホスホニウム塩化合物を含む添加剤を含有する。一般式(1)中のR〜Rは、ベンゼン環を有するアルキル基、好ましくはベンジル基あるいはフェニル基の誘導体、より好ましくはベンジル基あるいはフェニル基、若しくは炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表し、Rは、炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表す。
また、一般式(1)中のXの陰イオンは、特に限定はないが、ハロゲンイオン(例えば、F、Cl、Br、I)、水酸化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン等を挙げることができる。
添加剤の前記第四級ホスホニウム塩化合物の含有量は、砥粒、酸化金属溶解剤、酸化剤、場合により金属防食剤、水溶性ポリマー、有機溶剤及び水を含むCMP用研磨液100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。前記砥粒の含有量が0.1質量部以上であればlow−k膜の研磨速度が向上する傾向があり、1質量部以下であればCMP用研磨液の砥粒の分散性が向上する傾向がある。
[(B)成分:砥粒]
本発明のCMP用研磨液は負電荷を有する砥粒を含有する。また、砥粒表面の負電荷は、−10mV以下であればより好ましく、−20mV以下であることが特に好ましい。砥粒としては、特に制限はないが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、ゲルマニア又はこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
変性物は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、ゲルマニア等の砥粒粒子の表面をアルカリ金属などの不純物を含有しない、スルホン酸を修飾させた砥粒が挙げられる。
実施形態に係るCMP用研磨液に使用する粒子としてはコロイダルシリカを使用する。バリア膜に対する良好な研磨速度が得られる点にのみ着目すれば、二軸平均一次粒子径が60nm以下のものが好ましい。また、CMP用研磨液中での分散安定性が比較的良く、CMPにより発生する研磨傷の発生数の比較的少ない点で、二軸平均一次粒子径が20〜60nmであることが好ましく、下限は25nm以上であることがより好ましく、上限は55nm以下であることがより好ましい。従って、実施形態に係るCMP用研磨液では、バリア膜に対する良好な研磨速度が得られ、かつ、シリカ粒子の分散安定性を高いレベルで両立するためには、二軸平均一次粒子径が25〜55nmとする。
本発明において二軸平均一次粒子径(R[nm])は、任意の粒子20個を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果から、次のようにして算出する。すなわち、通常水に分散している固形分濃度5〜40質量%のコロイダルシリカを例にすると、適量のコロイダルシリカの液を取り、その液が入っている容器にパターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒間浸した後、純水の入った容器に移して約30秒間すすぎをし、そのチップを窒素ブロー乾燥する。その後、SEM観察用の試料台に載せ、加速電圧10kVを掛け、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察、画像を撮影する。得られた画像から任意の20個を選択する。
例えば、選択したシリカ粒子が図3に示すような形状であった場合、シリカ粒子7に外接し、その長径が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形8)を導く。そして、その外接長方形8の長径をL、短径をBとして、(L+B)/2として1粒子の二軸平均一次粒子径を算出する。この作業を任意の20個のシリカ粒子に対して実施し、得られた値の平均値を、本発明における二軸平均一次粒子径という。
本発明のCMP用研磨液に使用するシリカ粒子としては、砥粒の分散性に優れ、バリア膜の高い研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素を研磨でき、かつ、low−k膜の研磨速度を向上することが達成できる点で、CMP用研磨液中でのゼータ電位が−10mV以下であることが好ましく、−20mV以下であることがより好ましい。
本発明においてゼータ電位(ζ[mV])は、ゼータ電位測定装置において測定サンプルの散乱強度が1.0×10〜5.0×10cps(ここでcpsとはcounts per second、すなわちカウント毎秒を意味し、粒子の計数の単位である。以下同じ。)となるようにCMP用研磨液を純水で希釈し、ゼータ電位測定用セルに入れ、測定する。散乱強度を前記範囲にするには例えばシリカ粒子が1.7〜1.8質量部となるようにCMP用研磨液を希釈することが挙げられる。
ゼータ電位の異なる種々のシリカ粒子は、いくつかのシリカ粒子メーカーから容易に入手可能であり、これらの値もメーカーでの知見により制御が可能である。
また、シリカ粒子の種類としては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等公知のものを使用することができるが、前記のゼータ電位を有するシリカ粒子の入手が容易な点で、コロイダルシリカであることが好ましい。なお、本発明のCMP用研磨液において、前記の特性を満たす限りは、2種類以上の砥粒を組み合わせて使用することができる。
前記シリカ粒子の含有量は、CMP用研磨液:100質量部に対して、3.0〜8.0質量部とすることが好ましい。前記の特性を有するコロイダルシリカの含有量が3.0質量部以上の場合、層間絶縁膜に対する良好な研磨速度が得られる傾向があり、8.0質量部以下の場合、粒子の凝集・沈降がより抑制しやすくなり、結果として良好な分散安定性・保存安定性が得られる傾向がある。なお、ここでの含有量とは、CMP研磨工程に使用しうる状態に調合した状態(Point of Use)での配合量であり、後述する分液保存時又は濃縮保存時の配合量ではない。
本発明のCMP用研磨液は、バリア膜の高い研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素を研磨でき、かつ、low−k膜の良好な研磨速度が得られることを特長とするが、前記のように、バリア膜の研磨においてオーバー研磨する場合のCMP用研磨液に好適に使用するためには、更に導電性物質及びバリア膜の研磨速度も良好な値に保つことが好ましい。このような点で、本発明のCMP用研磨液のpHは中性領域又は酸性領域であることが好ましい。ここで中性領域とは6.5以上7.5以下と定義され、酸性領域とはpH6.5未満として定義される。
後述する酸化金属溶解剤として有機酸化合物、無機酸化合物を使用する場合には、導電性物質に対する腐食を抑制しやすく、導電性物質が過剰に研磨されることに起因するディッシングを抑制しやすくなる点で、pHは1.5以上がより好ましく、1.8以上が更に好ましく、2.0以上が特に好ましい。また酸性が強すぎる場合と比較しても取り扱いが容易になる。また、導電性物質及びバリア膜の導体に対しても良好な研磨速度を得ることができる点で、pHは5.0以下がより好ましく、4.5以下が更に好ましく、4.0以下が特に好ましく、3.5以下が非常に好ましく、3.0以下が極めて好ましい。
また、後述する酸化金属溶解剤としてアミノ酸を含有する場合には、pHは中性領域であることが好ましい。
CMP用研磨液の媒体としては、シリカ粒子が分散できる液体であれば特に制限されないが、pH調整の取り扱い性、安全性、被研磨面との反応性などの点から水を主成分とするものが好ましく、より具体的には、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。
CMP用研磨液は、必要に応じて水以外の有機溶媒を添加しても良い。これらの有機溶媒は、水に溶解しにくい成分の溶解補助剤として使用したり、研磨する面に対するCMP用研磨液の濡れ性を向上させる目的で使用したりすることができる。本発明のCMP用研磨液における有機溶媒としては特に制限はないが、水と混合できるものが好ましく、1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
溶解補助剤として使用する場合の有機溶媒としては、アルコールや、酢酸等の極性溶媒を挙げることができる。また、濡れ性を向上させる目的では、例えば、グリコール類、グリコールモノエーテル類、グリコールジエーテル類、アルコール類、炭酸エステル類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、フェノール類、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、酢酸エチル、乳酸エチル、スルホラン等が挙げられる。中でも、グリコールモノエーテル類、アルコール類、炭酸エステル類から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
有機溶媒を配合する場合、有機溶媒の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.1〜95質量部とすることが好ましい。前記含有量は、CMP用研磨液の基板に対する濡れ性を向上させる点で0.2質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましい。また、上限としては、製造プロセス上困難が生じるのを防ぐ点で50質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
なお、水の含有量は残部でよく、含有されていれば特に制限はない。また、後述する濃縮保存されたCMP用研磨液を、使用に適する濃度まで希釈する希釈液としても用いられる。
本発明においては、CMP用研磨液のpHが低い場合には、導電性物質のエッチングが生じるおそれがあるため、これを抑制する目的で金属防食剤を含有することができる。
[(C)成分:酸化金属溶解剤]
本発明のCMP用研磨液は、酸化金属溶解剤を含有する。このことにより、導電性物質及びバリア膜等の金属に対する良好な研磨速度が得られる。ここで酸化金属溶解剤とは、少なくとも酸化した導電性物質を水に溶解させるのに寄与する物質として定義され、キレート剤、エッチング剤として知られる物質を含む。
このような酸化金属溶解剤は、pHの調整及び導電性物質の溶解の目的で使用されるものであり、その機能を有していれば特に制限はないが、具体的には例えば、有機酸、有機酸エステル、有機酸の塩等の有機酸化合物;無機酸、無機酸の塩等の無機酸化合物;アミノ酸などが挙げられる。前記の塩としては、特に制限はないがアンモニウム塩であることが好ましい。これらの酸化金属溶解剤は1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができ、前記有機酸、前記無機酸及び前記アミノ酸を併用することもできる。
前記の酸化金属溶解剤としては、実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できるという点では、有機酸化合物を含むことが好ましく、有機酸であることがより好ましい。前記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、乳酸、マンデル酸、ビニル酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、フタル酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、グルタル酸、オキサロ酢酸、クエン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メリト酸、イソクエン酸、アコニット酸、オキサロコハク酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、2−メチル酪酸、カプロン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、オクタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、安息香酸、ケイヒ酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、グリコール酸、サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、ピロカテク酸、レソルシル酸、ゲンチジン酸、プロカテク酸、オルセリン酸、没食子酸、タルトロン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、シトラマル酸、キナ酸、シキミ酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸,メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、カフェー酸、フェルラ酸、イソフェルラ酸、シナピン酸、p−トルエンスルホン酸、等の有機酸、及び、無水マレイン酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、等の有機酸の酸無水物などが挙げられ、中でも、ギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、アジピン酸から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記の酸化金属溶解剤としては、導電性物質に対する高い研磨速度が得られやすい点では、無機酸を含むことが好ましく、具体的には例えば、塩酸、硝酸等の一価の無機酸、硫酸、クロム酸、炭酸、モリブデン酸、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、セレン酸、テルル酸、亜テルル酸、タングステン酸、ホスホン酸等の二価の酸、リン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、バナジン酸等の三価の酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の四価以上の酸などが挙げられる。無機酸を使用する場合は、硝酸であることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記酸化金属溶解剤としては、pHの調整が容易であり、導電性物質に対する高い研磨速度が得られやすい点では、アミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸としては、わずかでも水に溶解するアミノ酸であれば特に制限はなく、具体的には例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シシチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸化金属溶解剤を配合する場合、その含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.001〜20質量部とすることが好ましい。前記含有量は、導電性物質及びバリア膜等の金属に対して良好な研磨速度が得られやすい点で0.002質量部以上がより好ましく、0.005質量部以上が更に好ましい。また、上限としては、エッチングを抑制し被研磨面に荒れが生じるのを防ぎやすい点で、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが更に好ましく、3質量部以下であることが特に好ましい。
本発明のCMP用研磨液は、導電性物質に対する保護膜を形成して導電性物質のエッチングを抑制し、更に、研磨後の表面に荒れが生じるのを防ぐ機能を有する金属防食剤を含有することが好ましい。ここで、金属防食剤とは、単独で使用したときに前記導電性物質に保護膜を形成しうる物質として定義される。前記保護膜は、金属防食剤の水溶液に導電性物質膜を有する試料を浸漬し、試料の表面の組成分析を行うことで保護膜が形成されているか判別することができるが、本発明のCMP用研磨液中において、必ずしも前記金属防食剤からなる保護膜が形成されている必要はない。
このような金属防食剤としては、具体的には例えば、分子内にトリアゾール骨格を有するトリアゾール化合物、分子内にピラゾール骨格を有するピラゾール化合物、分子内にピラミジン骨格を有するピラミジン化合物、分子内にイミダゾール骨格を有するイミダソール化合物、分子内にグアニジン骨格を有するグアニジン化合物、分子内にチアゾール骨格を有するチアゾール化合物、分子内にテトラゾール骨格を有するテトラゾール化合物等が挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
中でもトリアゾール化合物が好ましく、具体的には例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体;ベンゾトリアゾール;1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールメチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールブチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールオクチルエステル、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、[1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル][1,2,4−トリアゾリル−1−メチル][2−エチルヘキシル]アミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸、3−アミノベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体;などが挙げられる。
金属防食剤の含有量としては、導電性物質のエッチングを抑制し、更に、研磨後の表面に荒れが生じるのを防ぎやすくなる点で、CMP用研磨液100質量部に対して、0.001質量部以上がより好ましく、0.01質量部以上が更に好ましい。また、上限としては、導電性物質膜及びバリア膜の研磨速度を実用的な研磨速度に保つことができる点で10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましく、2質量部以下が特に好ましい。
[(D)成分:酸化剤]
本発明のCMP用研磨液は、前記導電性物質を酸化する能力を有する酸化剤を含有する。このような酸化剤としては、具体的には、例えば、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、オゾン水等が挙げられ、中でも過酸化水素がより好ましい。これらは、1種類単独で又は2種類以上混合して用いることができる。過酸化水素は、通常過酸化水素水として入手できるため、本発明のCMP用研磨液を、後述するように濃縮保存して使用する場合に、希釈液として使用することができる。
基板が集積回路用素子を含むシリコン基板である場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、不揮発成分を含まない酸化剤が望ましい。但し、オゾン水は組成の時間変化が激しいため、過酸化水素が最も適している。なお、適用対象の基体が半導体素子を含まないガラス基板などである場合は不揮発成分を含む酸化剤であっても差し支えない。
前記酸化剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して、0.01〜50質量部とすることが好ましい。前記含有量は、金属の酸化が不充分となりCMP速度が低下することを防ぐ観点から、0.02質量部以上が好ましく、0.05質量部以上が更に好ましい。また、上限としては、被研磨面に荒れが生じるのを防ぐことができる点で、30質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。なお、酸化剤として過酸化水素を使用する場合、過酸化水素が最終的に前記範囲になるように換算して、過酸化水素水を配合する。
また、CMP用研磨液のpHを酸性領域とする場合には、前記酸化剤の含有量は、バリア膜に対する良好な研磨速度が得られる点で、CMP用研磨液100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲とすることがより好ましい。CMP用研磨液のpHが1〜4である場合には、前記酸化剤の含有量が0.15質量部付近でバリア膜に対する研磨速度が極大となる傾向があり、この観点で、前記酸化剤の含有量は、CMP用研磨液100質量部に対して2.5質量部以下であることが更に好ましく、2質量部以下であることが更に好ましく、1.5質量部以下であることが特に好ましく、1.0質量部以下であることが極めて好ましい。
本発明のCMP用研磨液は、水溶性ポリマーを含有することができる。CMP用研磨液は、水溶性ポリマーを含有させることで、被研磨面の平坦化能に優れ、また、微細配線部が密集している部位においても、エロージョンの発生を抑制することができる。
水溶性ポリマーの重量平均分子量は、高い研磨速度を発現させることができる点で、500以上が好ましく、1500以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。また、上限としては特に制限はないが、CMP用研磨液中への溶解度の観点から、500万以下が好ましい。水溶性ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば、以下の条件で、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。
(条件)
試料:10μL
標準ポリスチレン:東ソー株式会社製標準ポリスチレン(分子量;190000、17900、9100、2980、578、474、370、266)
検出器:株式会社日立製作所製、RI−モニター、商品名:L−3000
インテグレーター:株式会社日立製作所製、GPCインテグレーター、商品名:D−2200
ポンプ:株式会社日立製作所製、商品名:L−6000
デガス装置:昭和電工株式会社製、商品名:Shodex DEGAS(「Shodex」は登録商標)
カラム:日立化成工業株式会社製、商品名:GL−R440、GL−R430、GL−R420をこの順番で連結して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:23℃
流速:1.75mL/min
測定時間:45min
水溶性ポリマーとしては、特に制限はないが、平坦化特性に優れる点で、アクリル酸ポリマー(モノマー成分としてC=C−COOH骨格を含む原料モノマーを重合又は共重合させて得られるポリマー)であることが好ましい。
前記アクリル酸系ポリマーを得るための前記原料モノマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、チグリン酸、2−トリフルオロメチルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルコン酸等のカルボン酸類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸類;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のエステル類、及びこれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルキルアミン塩等の塩が挙げられる。
前記の中でも、メタクリル酸ポリマー(モノマー成分としてメタクリル酸を含む原料モノマーを重合又は共重合させて得られるポリマー)を含有することが好ましい。前記メタクリル酸系ポリマーは、メタクリル酸のホモポリマー及び、メタクリル酸と該メタクリル酸と共重合可能なモノマーとのコポリマーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
メタクリル酸系ポリマーがメタクリル酸と該メタクリル酸と共重合可能なモノマーとのコポリマーである場合、モノマー全量に対するメタクリル酸の割合は、好ましくは40モル%以上100モル%未満、より好ましくは70モル%以上100モル%未満である。前記メタクリル酸の割合が高くなることで、エロージョン及びシームを抑制し、被研磨面の平坦性をより高めることができる。前記メタクリル酸の割合が40モル%未満では、エロージョン及びシームを効果的に抑制できず、被研磨面の平坦性が低くなる傾向にある。
メタクリル酸系ポリマーの配合量は、CMP用研磨液に含まれる砥粒の安定性が極端に低下するのを抑制しつつ、平坦性を向上できる点で、CMP用研磨液の全成分の総量100質量部に対して、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下が更に好ましく、0.05質量部以下が特に好ましい。下限としては、平坦性を効果的に向上できる点で、CMP用研磨液の全成分の総量100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.01質量部以上が更に好ましい。
本発明のCMP用研磨液によれば、相対的に少ない砥粒の添加量でも、二酸化珪素膜を研磨でき、かつ、low−k膜の高い研磨速度が得られるため、コスト面でも有利である。もちろん凝集・沈降等の影響を受けない程度に砥粒を多く添加することは可能である。しかしながら、本発明のCMP用研磨液において、砥粒は少ない添加量でよいため、例えば、CMP用研磨液を運搬・保存する際には、高濃度に濃縮することが可能である。すなわち、少なくともシリカ粒子を含む「スラリ」と、シリカ粒子以外の成分を含む1つ又は複数の「添加液」や「希釈液」とに分けて調製して保存し、CMP研磨工程に際して、それらを混合することにより調合して使用しうる。
(分液保存)
前記で説明してきたような酸化金属溶解剤などの成分を含むことによって、研磨速度を好ましい値に調整することができるが、予め混合しておくことによって、シリカ粒子の分散安定性が低下することがある。これを避けるために、本発明のCMP用研磨液は、少なくとも前記のシリカ粒子を含むスラリと、シリカ粒子以外の成分(例えば、シリカ粒子の分散安定性を低下させうる成分)を含む添加液とに分けて調製して保存することができる。
例えば、前記のシリカ粒子、酸化金属溶解剤、酸化剤、金属防食剤及び水を含有するCMP用研磨液の場合、シリカ粒子の分散安定性に影響を与える可能性がある酸化剤をシリカ粒子と分けて保存することができる。すなわち、酸化剤を含む水溶液と、シリカ粒子、酸化金属溶解剤、金属防食剤及び水を含有するスラリとに分けることができる。
(濃縮保存)
本発明のCMP用研磨液に使用されるシリカ粒子は、一次粒子径、会合度及びシラノール基密度がこれまで説明した範囲にあり、相対的に少ない砥粒の含有量でも、二酸化珪素膜を高速に研磨でき、かつ、low−k膜を選択的に研磨することができるため、媒体に高濃度に含有・分散させたることができる。従来のシリカ粒子は、公知の方法で分散性を高めた場合であっても媒体100質量部に対して、せいぜい10質量部程度の含有量が限界であり、これ以上添加すると凝集・沈降が起こる。しかしながら、本発明のCMP用研磨液に使用されるシリカ粒子は、10質量部以上媒体に分散させることができ、12質量部程度までは容易に媒体に含有・分散させることが可能である。また、最大で18質量部程度まで含有・分散させることが可能である。このことは、本発明のCMP用研磨液が高い濃縮状態のCMP用研磨液用濃縮液で保存・運搬できることを意味しており、プロセス上極めて有利である。例えば、シリカ粒子を5質量部含有するCMP用研磨液として使用する場合、保存・運搬時は3倍濃縮が可能であることを意味する。このように、使用時よりも3倍以上に濃縮されているCMP用研磨液用濃縮液として保存・運搬できる。
より具体的には、例えば、CMP用研磨液濃縮液100質量部に対して、少なくとも前記のシリカ粒子を10質量部以上含むCMP研磨用濃縮液と、それ以外の成分を含む添加液と、希釈液とに分けて調製し、これらを研磨工程の直前に混合、又は、研磨時に所望の濃度になるように流量を調節しながら供給することで、CMP用研磨液を得ることができる。希釈液としては、例えば、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒等が挙げられる。また、希釈液にも、シリカ粒子以外の成分を含むことが可能であり、例えば、CMP用研磨液用濃縮液と、酸化剤を含む希釈液としての過酸化水素水と、それ以外の成分を含む添加液とに分けることも可能である。前記添加液と希釈液とに分けなくとも分散安定性に支障がない場合は、いずれか一方であってもよい。
(用途・使用方法)
以上のような本発明のCMP用研磨液を、半導体基板や電子機器製造のための研磨工程に適用することができる。より具体的には、半導体基板における配線の形成に適用できる。
例えば導電性物質と、バリア膜、層間絶縁膜とのCMPに使用することができる。
本発明のCMP用研磨液を使用した具体的な研磨方法の一つとしては、
表面に凹部及び凸部を有する二酸化珪素でキャップされたlow−k膜、該二酸化珪素膜を表面に沿って被覆するバリア膜、前記凹部を充填してバリア膜を被覆する導電性物質を有する基板の、導電性物質を研磨して前記凸部上の前記バリア膜を露出させる第1の研磨工程と、
前記CMP用研磨液を供給しながら、少なくとも前記凸部上の前記バリア膜及び二酸化珪素膜を研磨して凸部のlow−k膜を露出させる第2の研磨工程を含む研磨方法、
を挙げることができる。なお、第2の研磨工程においては、更にlow−k膜の凸部の一部を研磨して平坦化させる、いわゆるオーバー研磨を行うこともできる。
また、本発明のCMP用研磨液を濃縮状態で調製して、前記CMP用研磨液用濃縮液として保存する場合の研磨方法としては、
表面に凹部及び凸部を有する二酸化珪素でキャップされたlow−k膜、該二酸化珪素膜を表面に沿って被覆するバリア膜、前記凹部を充填してバリア膜を被覆する導電性物質を有する基板の、導電性物質を研磨して前記凸部上の前記バリア膜を露出させる第1の研磨工程と、
前記CMP用研磨液用濃縮液を、希釈液若しくは添加液又はその両方と混合して、CMP用研磨液を調製する混合工程と、
該CMP用研磨液を供給しながら、少なくとも前記凸部上の前記バリア膜及び二酸化珪素膜を研磨して凸部のlow−k膜を露出させる第2の研磨工程と、
を含むことを特徴とする研磨方法、
を挙げることができる。この際、前記混合工程は、前記第2の研磨工程が行われる時に、CMP用研磨液用濃縮液、希釈液、添加液等を別々の配管で供給し、前記第2の研磨工程の系の中で混合する方法をとることができる。また、前記混合工程として、前記第2の研磨工程の前に、CMP用研磨液用濃縮液、希釈液、添加液等を混合して、CMP用研磨液を調製しておく方法を採ることもできる。
前記導電性物質としては、例えば、銅、銅合金、銅の酸化物、銅合金の酸化物等の銅系金属、タングステン、窒化タングステン、タングステン合金等のタングステン系金属、銀、金などが主成分の物質などが挙げられ、銅系金属が主成分である金属であることが好ましく、銅が主成分である金属であることがより好ましい。前記導電性物質は、公知のスパッタ法、メッキ法等により成膜することができる。
層間絶縁膜としては、例えば、シリコン系被膜、有機ポリマー膜等が挙げられる。
シリコン系被膜としては、例えば、二酸化珪素、フルオロシリケートグラス、トリメチルシランやジメトキシジメチルシランを出発原料として得られるオルガノシリケートグラス、シリコンオキシナイトライド、水素化シルセスキオキサン等のシリカ系被膜、シリコンカーバイド、シリコンナイトライドなどを挙げることができる。
また、有機ポリマー膜としては、例えば、トリメチルシランを出発原料とするオルガノシリケートグラス、全芳香環系low−k膜(全芳香族系低誘電率層間絶縁膜)等のlow−k膜(低誘電率膜)などが挙げられ、特に、オルガノシリケートグラスが好ましい。これらの膜は、CVD法、スピンコート法、ディップコート法又はスプレー法によって成膜される。更に、表面は、凹部及び凸部を有するように加工して形成される。
バリア膜は、層間絶縁膜中に導電性物質が拡散するのを防止するため及び層間絶縁膜と導電性物質との密着性を向上させるために形成される。このようなバリア膜としては、例えば、チタン、窒化チタン、チタン合金等のチタン系金属;タンタル、窒化タンタル、タンタル合金等のタンタル系金属;ルテニウム、ルテニウム合金等のルテニウム系金属;コバルト、その他のコバルト化合物などが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、バリア膜は、二層以上の積層膜とすることもできる。
研磨する装置としては、例えば、研磨布により研磨する場合、研磨される基板を保持できるホルダと、回転数が変更可能なモータ等と接続し、研磨布を貼り付けた定盤とを有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限はない。
研磨条件には制限はないが、定盤の回転速度は基板が飛び出さないように200min−1以下の低回転が好ましい。研磨圧力としては、1〜100kPaであることが好ましく、同一基板内でCMP速度のばらつきが少ないこと(CMP速度の面内均一性)及び研磨前に存在していた凹凸が解消し平坦になること(パターンの平坦性)を満足するためには、5〜50kPaであることがより好ましい。
研磨している間、研磨布にはCMP用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常にCMP用研磨液で覆われていることが好ましい。研磨終了後の基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。本発明による研磨工程を実施し、更に、基板洗浄工程を加えるのが好ましい。
以下、本発明の研磨方法の実施態様を、図2に示すような半導体基板における配線層の形成工程の具体例を示しながら、より詳細に説明する。なお、本発明の研磨方法がこれに限られないことは言うまでもない。
まず、図2(a)に示すように、シリコン基板4上にオルガノシリケートグラス等のlow−k膜5を層間絶縁膜として成膜した後、その上部に二酸化珪素等のキャップ層6を積層し層間絶縁膜を形成する。次いで、レジスト層形成、エッチング等の公知の手段を用いて、層間絶縁膜表面を加工し、所定パターンの凹部(基板露出部)を形成する。これにより、凸部と凹部とを有する表面が形成される。次に前記表面の凸凹に沿って、層間絶縁膜を被覆するタンタル等のバリア膜2を、蒸着又はCVD等により成膜する。
更に、前記凹部を充填するように、銅等の配線用金属からなる導電性物質3を、蒸着、めっき、CVD等の手法により形成して、本発明の研磨方法に供される基板を形成する。層間絶縁膜5、バリア膜2及び導電性物質3の形成厚さは、それぞれ10〜2000nm、1〜100nm、10〜2500nm程度が好ましい。
次に、前記方法により作製された基板を、本発明のCMP用研磨液を用いて研磨する方法を、図2を参照しながら説明する。まず、図2(a)の基板の表面の導電性物質3を、例えば、導電性物質/バリア膜の研磨速度比が充分大きい、第1のCMP用研磨液を用いて、CMPにより研磨する(第1の研磨工程)。これにより、図2(b)に示すように基板上の凸部のバリア膜2を露出させ、凹部に前記導電性物質3が残された所望の導体パターンが露出した基板を得る。研磨条件によっては、わずかに導電性物質が残り、凸部のバリア膜の一部が露出しない場合もある(この状態は図示していない)が、本発明のCMP用研磨液は、導電性物質を研磨することもできるので、大半の導電性物質が除去されていれば差し支えない。
得られた導体パターンを、本発明のCMP用研磨液を使用して研磨する、第2の研磨工程を行う。第2の研磨工程では、導電性物質、バリア膜及び層間絶縁膜である二酸化珪素膜およびlow−k膜を研磨できる第2のCMP用研磨液を使用して、例えば、少なくとも、前記露出しているバリア膜及び凹部の導電性物質を研磨する。これにより、図2の(c)のように、凸部を被覆するバリア膜を除去し、その下の層間絶縁膜5が全て露出させて、研磨を終了し、研磨終了後の基板を得る。研磨終了後の基板は、凹部に金属配線となる前記導電性物質3が埋め込まれ、導電性物質3と層間絶縁膜5との境界にバリア膜2の断面が露出した形状となる。
ここで、本発明のCMP用研磨液は、前記第1のCMP用研磨液及び第2のCMP用研磨液のどちらにも使用することができるが、二酸化珪素膜が研磨でき、かつ、low−k膜を高速に研磨することができるという特長を活かすためには、少なくとも前記第2のCMP用研磨液として使用されることが好ましい。
なお、研磨終了後の基板においてより優れた平坦性を確保するために、更に、オーバー研磨(例えば、第2の研磨工程で所望のパターンを得られるまでの時間が100secの場合、この100secの研磨に加えて、50sec追加して研磨することをオーバー研磨50%という)して、凸部の層間絶縁膜の一部を含む深さまで研磨しても良い。
このようにして形成された金属配線の上に、更に、層間絶縁膜及び第2層目の金属配線を形成し、同様な工程を所定数繰り返すことにより、所望の配線層数を有する半導体基板を製造することができる(図示せず)。
本発明のCMP用研磨液は、前記のような半導体基板に形成された珪素化合物膜の研磨だけでなく、所定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素膜、ガラス、窒化珪素等の無機絶縁膜、フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス、ITO(Indium Tin Oxide)等の無機導電膜、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバの端面、シンチレータ等の光学用単結晶、固体レーザ単結晶、青色レーザ用LEDサファイア基板、SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッド等の基板を研磨するためにも使用することができる。
以下、実施例により本発明を説明する。但し、本発明は、これらの実施例により制限されるものではない。
(CMP用研磨液用濃縮液の調製)
容器にリンゴ酸を1.2質量部、金属防食剤として1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを0.3質量部、表1及び表2に示す第四級ホスホニウム塩化合物を0.3質量部入れ、そこに超純水をM質量部注ぎ、攪拌・混合して、両成分を溶解させた。次に、二軸平均一次粒子径:40nmのコロイダルシリカを9.0質量部に相当する量添加し、「CMP用研磨液用濃縮液」を得た。なお、前記超純水のM質量部は、合計が100質量部になるよう計算して求めた。
(CMP用研磨液の調製)
前記CMP用研磨液用濃縮液100質量部に、超純水を200質量部添加して3倍に希釈し、「スラリ」を得た。次に、30質量%の過酸化水素水を0.67質量部(過酸化水素として0.2質量部に相当する量)添加し、攪拌・混合して実施例1〜5、比較例1〜7のCMP用研磨液を調製した。
コロイダルシリカの二軸平均一次粒子径(R)及びゼータ電位(ζ)の各値は、表1及び表2に示されるとおりである。
(測定方法)
なお、表1及び表2中に示すコロイダルシリカの特性は、下記のようにして調べた。
(二軸平均一次粒子径(R[nm]))
コロイダルシリカを乾燥させ、走査型電子顕微鏡で観察した画像を得た。得られた画像から、任意の粒子20個を選択した。図3に示すように、選択した粒子7に外接し、その長径が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形8)を導き、その外接長方形8の長径をL、短径をBとして、(L+B)/2として1粒子の二軸平均一次粒子径を算出した。この作業を任意の20粒子に対して実施し、得られた値の平均値を求め、二軸平均一次粒子径とした。
(ゼータ電位)
測定装置として、BECKMAN COULTER社製、商品名:Delsa Nano Cを使用し、前記装置における測定サンプルの散乱強度が1.0×10〜5.0×10cpsとなるように前記のCMP用研磨液を希釈して測定サンプルを調製した。具体的には、CMP用研磨液に含まれるコロイダルシリカが、CMP用研磨液100質量部中に1.71質量部となるようにCMP用研磨液を純水で希釈したものを測定サンプルとし、ゼータ電位測定用セルに入れ、測定した。
(研磨速度)
前記で得られたCMP用研磨液を用いて、下記研磨条件で、それぞれブランケット基板(ブランケット基板(a)から(d))を研磨・洗浄した。
(研磨条件)
・研磨・洗浄装置:CMP用研磨機(AMAT社製、商品名:Reflexion LK)
・研磨布:発泡ポリウレタン樹脂(Rohm and Haas社製、商品名:IC1010)
・定盤回転数:93min−1
・ヘッド回転数:87min−1
・研磨圧力:10kPa
・CMP用研磨液の供給量:300mL/min
・研磨時間:ブランケット基板(a):120sec、ブランケット基板(b):60sec、ブランケット基板(c):60sec、ブランケット基板:(d)30sec
(ブランケット基板)
・ブランケット基板(a):
厚さ:1600nmの銅膜をスパッタ法で形成したシリコン基板。
・ブランケット基板(b):
厚さ:1000nmの二酸化珪素膜をCVD法で形成したシリコン基板。
・ブランケット基板(c):
厚さ:500nmのSiOC膜をCVD法で形成したシリコン基板(株式会社アドバンテック製、BD膜)。
・ブランケット基板(d):
厚さ:150nmの窒化タンタル膜をCVD法で形成したシリコン基板。
研磨・洗浄後の4種類のブランケット基板それぞれについて、下記のようにして研磨速度を求めた。研磨速度の測定結果を表1及び表2に示す。
ブランケット基板(a)、(d)については、研磨前後での膜厚を金属膜厚測定装置(株式会社日立国際電気製、型番:VR−120/08S)を用いて測定し、その膜厚差から求めた。
ブランケット基板(b)、(c)は、研磨前後での膜厚を膜厚測定装置(大日本スクリーン製造株式会社製、商品名:RE−3000)を用いて測定し、その膜厚差から求めた。
(砥粒分散安定性評価)
CMP用研磨液を調整後、60℃の恒温槽で2週間保管した後、砥粒の沈降の有無を目視確認して、砥粒分散安定性を評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2013120885
Figure 2013120885
表1から明らかなように、アルキル基の炭素数が4個以下である第四級ホスホニウム塩を配合することにより、実施例1〜5のCMP用研磨液はバリア膜の高い研磨速度を維持しつつ、二酸化珪素膜を研磨でき、かつ、low−k膜の研磨速度が向上したことは明らかである。また、砥粒分散安定性も優れていることも同様である。
これに対し、表2に示されるように、アルキル基の炭素数が5個以上である第四級ホスホニウム塩を配合した比較例1〜5のCMP用研磨液では、砥粒分散安定性が悪化していることが分かる。
コロイダルシリカ粒子のゼータ電位が正である比較例6のCMP用研磨液は、low−k膜の研磨速度が低いことが分かる。また、コロイダルシリカ粒子のゼータ電位が負であり、アルキル基の炭素数が4個以下である第四級ホスホニウム塩が配合されていない比較例7のCMP用研磨液も、同様にlow−k膜の研磨速度が低いことが分かる。
1 層間絶縁膜
2 バリア膜
3 配線部用金属(導電性物質)
4 Si基板
5 low−k膜
6 キャップ層
7 シリカ粒子
8 外接長方形
L 外接長方形の長径
B 外接長方形の短径

Claims (17)

  1. (A)一般式(1)で表される第四級ホスホニウム塩化合物と、
    (B)負電荷を有する砥粒と、
    (C)酸化金属溶解剤と、
    (D)酸化剤と、
    を含有する、CMP用研磨液。
    Figure 2013120885
    (一般式(1)中のR〜Rは、ベンゼン環を有するアルキル基、若しくは炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表し、Rは炭素原子数4個以下の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基を表す。また、Xは、陰イオンを表す。)
  2. (A)成分の含有量が、CMP用研磨液100質量部に対して0.01〜1質量部である、請求項1に記載のCMP用研磨液。
  3. (B)成分が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア又はこれらの変性物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜2のいずれかに記載のCMP用研磨液。
  4. (B)成分が、CMP用研磨液中でのゼータ電位が−10mV以下のシリカ粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載のCMP用研磨液。
  5. (B)成分が、二軸平均一次粒子径が60nm以下のコロイダルシリカである請求項1〜4のいずれかに記載のCMP用研磨液。
  6. 前記シリカ粒子の含有量が、CMP用研磨液100質量部に対して3.0〜8.0質量部である請求項4又は5に記載のCMP用研磨液。
  7. pHが中性領域又は酸性領域である請求項1〜6のいずれかに記載のCMP用研磨液。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のCMP用研磨液が、3倍以上に濃縮されているCMP用研磨液用濃縮液。
  9. 前記砥粒を10質量部以上含む請求項8に記載のCMP用研磨液用濃縮液。
  10. 凹部及び凸部を表面に有する層間絶縁膜、
    前記表面に沿って層間絶縁膜を被覆するバリア膜、
    前記凹部を充填してバリア膜を被覆する導電性物質
    を有する基板の、導電性物質を研磨して前記凸部上の前記バリア膜を露出させる第1の研磨工程と、
    少なくとも前記凸部上の前記バリア膜を研磨して凸部の層間絶縁膜を露出させる第2の研磨工程と、
    を含み、
    少なくとも前記第2の研磨工程で請求項1〜7のいずれかに記載のCMP用研磨液を供給しながら研磨する研磨方法。
  11. 請求項8又は9に記載のCMP用研磨液用濃縮液を、希釈液若しくは添加液又はその両方と混合して、CMP用研磨液を調整する混合工程と、
    凹部及び凸部を表面に有する層間絶縁膜、
    前記表面に沿って層間絶縁膜を被覆するバリア膜、
    前記凹部を充填してバリア膜を被覆する導電性物質
    を有する基板の、導電性物質を研磨して前記凸部上の前記バリア膜を露出させる第1の研磨工程と、
    少なくとも前記凸部上の前記バリア膜を研磨して凸部の層間絶縁膜を露出させる第2の研磨工程と、
    を含み、
    少なくとも前記第2の研磨工程で前記CMP用研磨液を供給しながら研磨する研磨方法。
  12. 層間絶縁膜が、low−k膜と、該low−k膜をキャップしたキャップ層とを有し、前記low−k膜が、誘電率2.9以下のシリコン系被膜又は有機ポリマー膜である請求項10又は11に記載の研磨方法。
  13. 導電性物質層が、銅、銅合金、銅の酸化物及び銅合金の酸化物から選ばれる少なくとも1種の導電性物質を含む請求項10〜12のいずれかに記載の研磨方法。
  14. バリア膜が、タンタル、タンタル化合物、チタン、チタン化合物、タングステン、タングステン化合物、ルテニウム、ルテニウム化合物、コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種を含む請求項10〜13のいずれかに記載の研磨方法。
  15. 前記第2の研磨工程において、更に凸部の層間絶縁膜の一部を研磨する請求項10〜14のいずれかに記載の研磨方法。
  16. 請求項10〜15のいずれかに記載の研磨方法を用いて製造された半導体基板。
  17. 請求項10〜15のいずれかに記載の研磨方法を用いて製造された電子機器。
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