JP2013119565A - 樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂粒子本体(A)と、シリカ母粒子、及び、該シリカ母粒子の表面に付着してなる平均円形度が0.7以上0.85以下であるシリカ子粒子を含み、前記樹脂粒子本体(A)の表面に付着したシリカ粒子(B)と、を有する樹脂粒子。
【選択図】なし
Description
また、例えば、特許文献3〜5には、シリカ粒子を含むポリウレタン樹脂粒子が開示されている。
請求項1に係る発明は、樹脂粒子本体(A)と、シリカ母粒子、及び、該シリカ母粒子の表面に付着してなる平均円形度が0.7以上0.85以下であるシリカ子粒子を含み、前記樹脂粒子本体(A)の表面に付着したシリカ粒子(B)と、を含んで構成される樹脂粒子である。
以下、樹脂粒子を構成する樹脂粒子本体(A)及びシリカ粒子(B)についてそれぞれ説明する。
なお、本明細書において、「樹脂粒子本体」とは、シリカ粒子(B)が付着していない樹脂粒子を指す。
まず、本実施形態に係るシリカ粒子(B)について説明する。
シリカ粒子(B)は、シリカ母粒子、及び、該シリカ母粒子の表面に付着してなる平均円形度が0.7以上0.85以下であるシリカ子粒子を含んでなる。
上記の構成をとることから、シリカ子粒子はシリカ母粒子よりも粒径が小さいものであり、即ち、シリカ粒子(B)は少なくとも大小2種のシリカ粒子を含んで構成されるものとなる。
ここで、円形度とは粒子の球の度合いを示し、円形度が1であるときに粒子が真球であることを示す。
シリカ子粒子は、一次粒子の形状として、平均円形度が0.7以上0.85以下であって、真球に比べ凹凸の多い形状、即ち「異形(状)」であることを意味する。以下、円形度が0.85以下である形状を「異形(状)」と称し、これに対し、円形度が0.85を超える形状を「球状」と称することがある。
このような異形状のシリカ子粒子と、このシリカ子粒子が表面に付着したシリカ母粒子と、を含んで構成されるシリカ粒子(B)は、異形状の突起部を有する形態となる。
一方、本実施形態のように、突起部を有するシリカ粒子(B)が樹脂粒子本体の表面に付着した際には、以下のような作用を有するものと考えられる。
まず、シリカ粒子(B)は突起部を有するために、樹脂粒子本体(A)の表面に対するスパイク効果(引っかかり効果)が発現されると共に、シリカ粒子(B)間ではスペーサー効果が発現される。つまり、この突起部の存在により、シリカ粒子(B)は樹脂粒子本体(A)の表面での移動や、埋め込みが起こり難くなり、また、シリカ粒子(B)同士の凝集についても起こり難くなる。その結果として、シリカ粒子(B)は、樹脂粒子本体(A)の表面における偏在化が抑制される。特に、本実施形態では、この突起部が球状ではなく異形状であることから、前述したスパイク効果やスペーサー効果がより大きく発現され、シリカ粒子(B)の樹脂粒子本体(A)への付着性や密着性が高まるため、樹脂粒子本体(A)の硬度や形状に関わらずシリカ粒子(B)の偏在化が抑制され、また、シリカ粒子(B)が表面に付着した樹脂粒子本体(A)に対して機械的負荷をかけた場合であっても、シリカ粒子(B)の偏在化が効果的に抑制されるものと考えられる。
その結果、上記のような構成の樹脂粒子は、流動性が高く、更に、樹脂粒子間の凝集を効果的に抑制し得るものと推測される。
また、樹脂粒子本体(A)間のみならず、樹脂粒子本体(A)と他の樹脂粒子との間の凝集も抑制し得るものと考えられる。
シリカ粒子(B)において、前述した異形状のシリカ子粒子はシリカ母粒子の表面に付着している。
シリカ子粒子とシリカ母粒子との付着状態は特に制限されず、例えば、シリカ子粒子とシリカ母粒子とが機械的に固着した状態であってもよいし、シリカ子粒子とシリカ母粒子とが接着剤等により接着している状態であってもよいし、シリカ子粒子の一部とシリカ母粒子の一部とが融合して一体的に結合している状態であってもよい。
中でも、シリカ子粒子の強度や、シリカ子粒子の脱離抑制の観点からは、シリカ子粒子の一部とシリカ母粒子の一部とが融合して一体的に結合している状態で付着していることが好ましい。
また、シリカ子粒子は、シリカ母粒子表面に偏りなく点在していることが好ましい。シリカ母粒子表面におけるシリカ子粒子の付着量は特に制限されないが、樹脂粒子本体(A)への付着を維持し易くする観点から、シリカ母粒子表面のシリカ子粒子の被覆率が30%以上となる量であることが好ましい。シリカ子粒子を樹脂粒子本体(A)に食い込み易くする観点から、シリカ母粒子表面のシリカ子粒子の被覆率は、90%以下であることが好ましい。
シリカ子粒子の被覆率は、SEMによる画像解析によりシリカ子粒子の付着面積を測定し、シリカ母粒子の表面積bに対するシリカ子粒子の総付着面積aの割合〔(a/b)×100〕から算出される。
シリカ母粒子表面のシリカ子粒子の被覆率は、42%以上75%以下であることがより好ましい。
−平均円形度−
シリカ粒子(B)を構成するシリカ子粒子は、前述の通り、一次粒子の平均円形度が0.7以上0.85以下である。
シリカ子粒子の平均円形度が0.85を超えると、一次粒子が球形に近くなるため、シリカ粒子(B)の突起部分であるシリカ子粒子が樹脂粒子本体(A)に引っかかりにくく、かかる樹脂粒子本体への密着性が悪くなる。そのため、例えば、シリカ粒子(B)と樹脂粒子本体(A)とを混合し攪拌した場合や、経時保存後に、シリカ粒子(B)が偏って樹脂粒子本体(A)に付着したり、樹脂粒子本体(A)から脱離し得る。
また、シリカ子粒子の平均円形度が0.7未満であると、粒子の縦/横比が大きな形状となり、シリカ子粒子に機械的負荷が加わった場合に応力集中が生じ、欠損し易くなる。
なお、シリカ粒子(B)をゾルゲル法により製造する場合は、一次粒子の平均円形度が0.7未満であるシリカ子粒子は製造上が困難である。
シリカ子粒子の平均円形度は、0.75以上0.80以下であることがより好ましい。
円形度(100/SF2)=4π×(A/I2) ・・・式(1)
〔式(1)中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を示し、Aは一次粒子の投影面積を表す。〕
一次粒子の平均円形度は、上記画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
まず、表面が平滑な体積平均粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50,000)に、シリカ粒子(B)を分散付着させる。シリカ粒子(B)が付着した樹脂粒子を、電子線三次元粗さ解析装置を用いて、倍率10,000倍の視野で10nm毎にX−Y軸方向の高さ解析を行い、高さ解析数値を得る。次いで、高さ解析数値を、表計算ソフトMicrosoft Excel(Microsoft社製)を用いて、条件付き書式(二色スケール)により画像化する。かかる画像化により、母粒子と比較して高さが高い子粒子のみを浮き上がらせた子粒子の二次元画像が得られる。
シリカ粒子(B)の一次粒子の平均円形度が0.5以上であることで、シリカ粒子(B)の強度の低下を抑制し、シリカ粒子(B)の一次粒子の平均円形度が0.85以下であることで、樹脂粒子本体にシリカ粒子(B)を付着し易くなる。
シリカ粒子(B)の一次粒子の平均円形度は、0.6以上0.75以下であることがより好ましい。
シリカ粒子(B)の一次粒子の平均円形度は、上記平面画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
シリカ子粒子は、粒径がシリカ母粒子よりも小さければ、特に制限されないが、シリカ子粒子の樹脂粒子本体(A)への食い込み易さの観点から、シリカ子粒子の粒径は、シリカ母粒子の粒径の10%以上40%以下であることが好ましい。
シリカ子粒子の粒径が、シリカ母粒子の粒径の10%以上であることで、シリカ子粒子が樹脂粒子本体(A)に食い込んでも外れ難い。一方、シリカ子粒子の粒径が、シリカ母粒子の粒径の40%以下であることで、シリカ子粒子が樹脂粒子本体(A)に食い込み易くなる。
円相当径=2√(面積/π) ・・・式(2)
シリカ粒子(B)の体積平均粒径が100nm以上であることで、シリカ粒子(B)が樹脂粒子本体(A)の表面に分散し易い。また、シリカ粒子(B)の体積平均粒径が500nm以下であることで、シリカ粒子(B)に機械的負荷が加わった場合に、欠損しにくく、また、付着した樹脂粒子本体(A)の強度を向上させ易く、流動性をも上げ易い。
シリカ粒子(B)の体積平均粒径は、100nm以上350nm以下であることがより好ましく、100nm以上250nm以下であることが更に好ましい。
シリカ粒子(B)を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子のいずれもが、シリカ、即ちSiO2を主成分とする粒子であればよく、結晶性でも非晶性でもよい。また、水ガラスやアルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
また、シリカ粒子(B)の分散性の観点から、シリカ粒子表面は疎水化処理されていることが望ましい。例えば、シリカ粒子表面がアルキル基で被覆されることにより、シリカ粒子は疎水化される。そのためには、例えば、シリカ粒子にアルキル基を有する公知の有機珪素化合物を作用させればよい。疎水化処理の方法の詳細は後述する。
次に、前述したシリカ粒子(B)の付着対象となる樹脂粒子本体(A)について説明する。
樹脂粒子本体(A)は、前述したシリカ粒子(B)がその表面に付着しうる形状、粒径、及び材料(成分)であれば特に制限されず、本実施形態に係る樹脂粒子の使用用途やシリカ粒子(B)との関係に応じて、適宜、決定されればよい。
樹脂粒子本体(A)は形状としては特に制限されないが、粒径としては体積平均粒径にて2μm以上20μm以下であることが好ましい。
樹脂粒子本体(A)の体積平均粒径が2μm以上であることで、流動性の低下を抑制し得る。また、樹脂粒子本体(A)の体積平均粒径が20μm以下であることで、本実施形態に係る樹脂粒子を、粉体塗料やスラッシュ成形、記録材料の用途に用いた場合に、本実施形態に係る樹脂粒子を含有して形成される塗膜又は画像の均一性が低下しにくい。
樹脂粒子本体(A)の体積平均粒径は、3μm以上15μm以下であることがより好ましい。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm以上50μm以下の範囲にある粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
ここで、体積平均粒径は累積体積平均粒径D50vとして求められる。
樹脂粒子本体(A)は、樹脂を含有していればよい。以下、樹脂粒子本体(A)が含有する樹脂を、「本体樹脂」とも称する。
本体樹脂は、各種の天然又は合成高分子物質よりなる熱可塑性樹脂を用い得る。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム状(共)重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニル芳香族樹脂、共役ジエン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂などが単独又は混合して用いられる。
樹脂粒子本体(A)の表面に付着したシリカ粒子(B)の付着量は、樹脂粒子本体(A)の表面積に対するシリカ粒子(B)の計算上の被覆率(「計算被覆率」とも称する)が5%以上80%以下となる範囲であることが好ましい。
計算被覆率は、樹脂粒子本体(A)の比重をA[g/cm3]、樹脂粒子本体(A)の粒径をR[μm]、樹脂粒子本体(A)の仕込み量をB[g]、シリカ粒子(B)の比重をa[g/cm3]、シリカ粒子(B)の粒径をr[nm]、シリカ粒子(B)の仕込み量をb[g]とした場合、〔(√3×A×b×R)/(0.001×2π×a×B×r)×100〕として算出される。
シリカ粒子(B)の付着量は、計算被覆率が30%以上70%以下となる範囲であることがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂粒子は、異形状のシリカ子粒子を有するシリカ粒子(B)が樹脂粒子本体(A)の表面に埋まり込みにくい状態で付着しており、且つ、表面から遊離しにくい。そのため、本実施形態に係る樹脂粒子は、攪拌等の機械的負荷が外部からかけられても、樹脂粒子同士がべたつきにくく、凝集しにくいこととなる。
このような特性を有することから、本実施形態に係る樹脂粒子は、トナー、粉体塗料、記録材料等の種々の用途に適用し得る。また、加熱された成形金型に樹脂粒子を流し込んで溶融成形する、いわゆるスラッシュ成形(パウダースラッシュ成形ともいう)用途にも適用し得る。この用途に適用した際、本実施形態に係る樹脂粒子は、耐凝集性が良好であることから、金型内部に樹脂粒子が行き渡り易く、厚みに偏りが生じ難い塗膜を形成し得る。
本実施形態に係る樹脂粒子を得るには、まず、シリカ粒子(B)を製造することが必要である。このシリカ粒子(B)の製造方法としては、シリカ母粒子の表面に前述のような異形状のシリカ子粒子が付着しているシリカ粒子を製造し得る方法であれば特に制限されず、いわゆる乾式方法が採用されてもよいし、湿式方法が採用されてもよい。
乾式方法による製造方法としては、例えば、粒径が500nmを超えるシリカ粒子を粉砕し、分級して、大小2種のシリカ粒子(シリカ母粒子とシリカ子粒子)を得て、シリカ子粒子をシリカ母粒子に機械的に押し付けて固定する方法が挙げられる。
湿式方法による製造方法としては、例えば、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物を原料とし、ゾルゲル法によって、大小2種のシリカ粒子を得て、シリカ子粒子とシリカ母粒子とを融合して一体的に結びつけて固定する方法が挙げられる。湿式方法としては、ゾルゲル法のほかに、水ガラスを原料としてシリカゾルを得る方法もある。
上記手法により、シリカ母粒子と、シリカ母粒子の表面に付着し、粒径がシリカ母粒子よりも小さく、平均円形度が0.7以上0.85以下であるシリカ子粒子と、を含むシリカ粒子(B)が得られる。この理由は定かではないが、以下のような作用によるものと考えられる。
この反応系に対して、更にテトラアルコキシシランを供給すると、別途、核粒子が成長して得られたシリカ母粒子よりも小さいシリカ粒子が形成され易い環境になる。
なお、反応系内は、アルカリ触媒が不足しているため、シリカ子粒子の核粒子の成長は制限され、シリカ子粒子の粒径は、シリカ母粒子の粒径よりも小さくなる。
その上、前記準備工程及び供給工程によれば、生成した異形状の核粒子が異形状を保ったまま粒子成長され、シリカ粒子(B)が得られると考えられることから、機械的負荷に強く、壊れ難いシリカ粒子が得られる。
特に、シリカ母粒子とシリカ子粒子とは、供給工程におけるテトラアルコキシシランがシリカ母粒子とシリカ子粒子との隙間を覆い、テトラアルコキシシランが反応することにより固着するため、異形のシリカ粒子同士を焼結させて付着させる従来の方法に比べて結びつきが強く、シリカ粒子(B)が機械的負荷を受けても、シリカ母粒子からシリカ子粒子が脱離し難い、強度に優れたシリカ粒子(B)となると考えられる。
以下、本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法の各工程について詳細に説明する。
なお、上記供給工程を経ることで得られたシリカ粒子(B)に対しては、上記付着工程に供する前に、疎水化処理工程による疎水化処理を施してもよい。
準備工程では、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
アルカリ触媒の濃度が、0.80mol/L以上であると、粒子生成工程でテトラアルコキシシランを供給したときに、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成を抑制し、ゲル化状となることを抑制し得る。
一方、アルカリ触媒の濃度が、1.0mol/Lより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、真球状の核粒子が生成され、平均円形度が0.85以下の異形状の核粒子が得られず、その結果、異形状のシリカ粒子が得られない。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
次に、供給工程について説明する。
供給工程は、アルカリ触媒溶液中に、アルカリ触媒を追加供給することなく、0.7mol/L以上1.8mol/L以下の濃度となるようにテトラアルコキシシランを供給して、シリカ粒子を生成する工程である。本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法では、このように粒子成長を促進させる中で、アルカリ触媒を不足状態とすることにより、シリカ母粒子とシリカ子粒子とを形成し、両者を固着させて、シリカ粒子(B)を形成する。
テトラアルコキシシランの濃度が0.7mol/L未満であると、シリカ子粒子が生成しないか、生成しても、平均円形度が0.7以上0.85以下の範囲であるシリカ子粒子を形成し得ない。
また、テトラアルコキシシランの濃度が1.8mol/Lを超えると、シリカ母粒子に付着したシリカ子粒子が、テトラアルコキシシランにより埋没し、得られるシリカ粒子(B)が、樹脂粒子本体(A)の表面を移動し易くなる。
即ち、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.010mol/(mol・min)以下とすることが好ましい。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.001mol以上0.010mol以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給することを意味する。
テトラアルコキシシランの供給速度を上記範囲とすることで、異形状のシリカ子粒子や異形状のシリカ母粒子が、高い割合(例えば95個数%以上)で生成され易くなる。
テトラアルコキシシランの供給速度が、0.001mol/(mol・min)より少ないと、核粒子とテトラアルコキシシランとの反応前に、核粒子にテトラアルコキシシランが偏りなく供給され得るため、粒径と形状共に偏りがなく、球形状のシリカ粒子が生成すると考えられる。
テトラアルコキシシランの供給速度が0.010mol/(mol・min)より大きいと、核粒子を形成する段階におけるテトラアルコキシシラン同士の反応や、粒子成長におけるテトラアルコキシシランと核粒子との反応に対する供給量が過大となり、反応系においてゲル化が生じ、核粒子形成及び粒子成長を阻害する。
具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられるが、反応速度の制御性や得られるシリカ粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがよい。
乾燥されたシリカ粒子は、必要に応じて解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミルなどの乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機など公知のものにより行う。
前述のようにして得られたシリカ粒子(B)は、疎水化処理剤により表面を疎水化処理されてもよい。
ここで、疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種を用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。
ここで、粉体のシリカ粒子(B)を疎水化処理する方法としては、ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体の親水性シリカ粒子を攪拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を加熱することで疎水化処理剤をガス化して粉体のシリカ粒子(B)の表面のシラノール基と反応させる方法が挙げられる。処理温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは120℃以上200℃以下である。
前述のような準備工程及び供給工程を経て得られたシリカ粒子(B)は、平均収縮率が8以上30以下であるという特徴をも有する。
ここで、平均収縮率は、体積平均粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50000)にシリカ粒子を分散させた後のシリカ粒子(B)の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の平面画像解析から、下記式(3)を用いて算出される。
シリカ粒子の収縮率=(1−H/I)×100 ・・・式(3)
〔式(3)中、Hは、画像上におけるシリカ粒子(B)の包絡周囲長を示し、Iは、画像上におけるシリカ粒子の周囲長を示す。〕
包絡周囲長とは、平面画像におけるシリカ粒子(B)の凸部の頂点を最短の距離をもって結んだときの周囲の長さを意味し、周囲長とは、平面画像におけるシリカ粒子(B)の輪郭そのものの長さを意味する。
シリカ粒子(B)の平均収縮率は、100個のシリカ粒子について、式(3)から算出される各シリカ粒子の収縮率の平均として算出される。
シリカ粒子(B)の平均収縮率は、10以上20以下であることがより好ましい。
続いて、付着工程では、既述の方法で得られたシリカ粒子(B)を、樹脂粒子本体(A)の表面に付着する。
シリカ粒子(B)を樹脂粒子本体(A)の表面に付着させる方法としては、例えば、シリカ粒子(B)と、樹脂粒子本体(A)と、更に必要に応じて付着する成分と、をV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等に添加して攪拌する方法が挙げられ、段階を分けてシリカ粒子(B)を樹脂粒子本体(A)の表面に付着させてもよい。
シリカ粒子(B)の付着量を上記範囲とするには、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等には、樹脂粒子本体(A)の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下のシリカ粒子(B)を添加すればよい。
樹脂粒子本体(A)の製造法に特に制限はないが、例えば、本体樹脂を、熱溶融混練した後、粉砕、分級する方法(混練粉砕法)、本体樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した油相を、分散剤を含む水相中にて懸濁分散した後、溶剤を除去する方法(溶解懸濁法)、本体樹脂モノマーから乳化重合等にて得られた本体樹脂を、凝集させて粒子化する方法(乳化重合凝集法)等にて得られる。
樹脂粒子本体(A)に、無機粒子等のその他の成分を含有させる場合は、予め、本体樹脂とその他の成分とを混合しておけばよい。乳化重合凝集法を採用する場合には、本体樹脂モノマーとその他の成分とを混合して乳化重合しておけばよい。
なお、以下で使用した各成分の分子量は、メタノール:32.04、NH3:17.03、テトラメトキシシラン(TMOS):152.22とした。また、メタノールの比重:0.79、10%アンモニア水の比重:1.00とした。
−準備工程−
容積1Lのガラス製反応容器に、金属製攪拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、温度計を備えたものを実験装置として用意した。
この実験装置の反応容器に、初期仕込み量としてメタノール62.37部、13.94部の10%アンモニア水を入れて撹拌混合してアルカリ触媒溶液を得た。この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒量、即ち、NH3(mol)/〔NH3+メタノール+水(L)〕は0.90mol/Lであった。
その後、反応容器温度を20℃とし、反応容器内を窒素ガス置換した後に撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)の流量を1部/minに設定して滴下を開始し、15分間反応を行いシリカ粒子(シリカ粒子1)の懸濁液を得た。この時のテトラメトキシキシシランの全供給量は15部であり、テトラメトキシシラン全供給量はアルカリ触媒溶液に対し1.07mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラメトキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00337mol/(mol・min)であった。
得られた懸濁液スラリー中のシリカ粒子1について既述の粒径測定器で測定したところ、体積平均粒径は240nm、粒度分布指数1.18であった。
その後、得られた懸濁液にトリメチルシランを添加し、100℃ホットプレートで加熱・乾燥させることで粉体粒子(疎水化シリカ粒子1)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子1を、既述のようにして、粒径100μmの樹脂粒子に添加し、SEM観察を行った。その後、既述のようにしてSEM写真の画像解析を行った結果、疎水化シリカ粒子1の平均円形度は0.67であり、シリカ子粒子の平均円形度は0.81であり、平均収縮率は11.32であった。
また、疎水化シリカ粒子1を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子の粒径についても、既述のようにSEMにて測定したところ、シリカ母粒子の粒径は161nmであり、シリカ子粒子の粒径は45nmであった。
撹拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、テレフタル酸ジメチル23mol%、イソフタル酸10mol%、ドデセニルコハク酸無水物15mol%、トリメリット酸無水物3mol%、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物5mol%、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物45mol%の割合で投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド0.06mol%の割合で加え、窒素ガス気流下約190℃で約7時間撹拌反応させ、更に温度を約250℃に上げて約5.0時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間攪拌反応させて、分子内に極性基を有するポリエステル樹脂(1)を得た。
次に、ポリエステル樹脂(1)100質量部を、バンバリーミキサー型混練機で溶融混練した。混練物を圧延ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS型粉砕機で微粉砕を行った後、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径7μmの不定形樹脂粒子Aを得た。
上記製造方法で得られた体積平均粒径7μmの不定形樹脂粒子A20部に、疎水化シリカ粒子1を被覆率が50%となるように添加し、0.4Lサンプルミルにて15000rpmで30秒間混合し、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)を得た。この際、樹脂粒子本体である不定形樹脂粒子Aの比重は1.05、シリカ粒子である疎水化シリカ粒子1の比重は1.5とした。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)について、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について、以下の方法にて評価した。結果を表2に示す。
−分散性の評価−
製造後の疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)について、SEM観察により表面を観察した。更に、画像解析により疎水化シリカ粒子の付着面積を測定し、疎水化シリカ粒子の被覆率を樹脂粒子本体の表面積Cに対する特定シリカ粒子の総付着面積Dの割合〔(D/C)×100〕から算出して、下記評価基準に基づいて評価した。
−評価基準(分散性)−
○:シリカ粒子が、被覆率45%以上で、偏在せずに樹脂粒子本体表面に付着し、凝集体も殆ど見られない。
△:わずかにシリカ粒子の凝集体が見られるものの、シリカ粒子が、被覆率40%以上45%未満で、偏在せずに樹脂粒子本体表面に付着している
×:シリカ粒子の凝集体が散見され、かつ、樹脂粒子本体表面のシリカ粒子の被覆率が40%未満で、分散不良である。
疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)に対し機械的負荷をかけた後、疎水化シリカ粒子の分散性、即ち分散維持性について評価した。具体的には、次のようにして評価した。
疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)5gと、100μmの鉄粉200gと、をガラス瓶に入れ、ターブラ振とう機で60分間混合した。その後、SEM観察により樹脂粒子の表面を観察した。更に、画像解析により疎水化シリカ粒子の付着面積を測定し、疎水化シリカ粒子の被覆率を算出して、下記評価基準に基づいて評価した。
○:樹脂粒子本体の表面凹部へのシリカ粒子の移動が僅かに見られるが、樹脂粒子本体表面のシリカ粒子の被覆率は40%以上である。
△:樹脂粒子本体表面の凹部にシリカ粒子の移動が見られるが、樹脂粒子本体表面のシリカ粒子の被覆率は30%以上40%未満である。
×:樹脂粒子本体表面の凹部にシリカ粒子の移動が多く見られ、樹脂粒子本体表面のシリカ粒子の被覆率は30%未満である。
疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)について、ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて樹脂粒子のゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重とを測定し、以下の式を用いてゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重との比から圧縮比を求め、算出された圧縮比から、樹脂粒子の流動性を評価した。
圧縮比=〔(固め見掛け比重)−(ゆるみ見掛け比重)〕/固め見掛け比重
また、流動性評価でも分散維持性の評価と同様に、測定前にターブラ振とう機で60分間混合行って機械的負荷を与えている。
○:圧縮比が0.3未満
△:圧縮比が0.3以上0.4未満
×:圧縮比が0.4以上
疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)5gと、100μmの鉄粉200gと、をガラス瓶に入れ、ターブラ振で30分間混合した後に、孔径が75μmの篩で鉄粉を取り除いた。その後、篩下の疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)2gを45μmの篩にのせ、振幅1mmで90秒間振動させて、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(1)の落下の様子を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
凝集度(%)=45μm網上質量(g)÷2×100
○:凝集度が10%未満
△:凝集度が10%以上30%未満
×:凝集度が30%以上
実施例1の供給工程において、テトラメトキシシランの滴下量を25部にした以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子2)の懸濁液を得た。
この懸濁液スラリー中のシリカ粒子2の体積平均粒径は389nm、粒度分布指標は1.22であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシシラン全供給量はアルカリ触媒溶液に対し1.78mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00561mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子2について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、平均円形度は0.68であり、シリカ子粒子の平均円形度は0.77であり、平均収縮率は28.70であった。
また、疎水化シリカ粒子2を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子の粒径についても、既述のようにSEMにて測定したところ、シリカ母粒子の粒径は172nmであり、シリカ子粒子の粒径は103nmであった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(2)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(2)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の供給工程において、テトラメトキシシランの滴下量を10部にした以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子3)の懸濁液を得た。
この懸濁液スラリー中のシリカ粒子3の体積平均粒径は117nm、粒度分布指標は1.15であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシシラン全供給量はアルカリ触媒溶液に対し0.71mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00225mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子3について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、平均円形度は0.68であり、シリカ子粒子の平均円形度は0.83であり、平均収縮率は9.20であった。
また、疎水化シリカ粒子3を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子の粒径についても、既述のようにSEMにて測定したところ、シリカ母粒子の粒径は98nmであり、シリカ子粒子の粒径は14nmであった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(3)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(3)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の準備工程において、初期仕込みの10%アンモニア水を15.5部にしてアルカリ触媒溶液を調製した以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子4)の懸濁液を得た。
なお、この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒量、即ち、NH3(mol)/〔NH3+メタノール+水(L)〕は0.99mol/Lであった。
また、得られた懸濁液スラリー中のシリカ粒子4の体積平均粒径は185nm、粒度分布指標は1.13であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシシラン全供給量はアルカリ触媒溶液に対し1.05mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00337mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子4について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、平均円形度は0.74であり、シリカ子粒子の平均円形度は0.85であり、平均収縮率は8.30であった。
また、疎水化シリカ粒子4を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子の粒径についても、既述のようにSEMにて測定したところ、シリカ母粒子の粒径は155nmであり、シリカ子粒子の粒径は18nmであった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(4)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(4)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の準備工程において、初期仕込みの10%アンモニア水を12.5部にしてアルカリ触媒溶液を調製した以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子5)の懸濁液を得た。
なお、この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒量、即ち、NH3(mol)/〔NH3+メタノール+水(L)〕は0.82mol/Lであった。
また、得られた懸濁液スラリー中のシリカ粒子4の体積平均粒径は356nm、粒度分布指標は1.29であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシシラン全供給量はアルカリ触媒溶液に対し1.09mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00337mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子5について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、平均円形度は0.56であり、シリカ子粒子の平均円形度は0.71であり、平均収縮率は19.50であることが分かった。
また、疎水化シリカ粒子5を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子の粒径についても、既述のようにSEMにて測定したところ、シリカ母粒子の粒径は196nmであり、シリカ子粒子の粒径は84nmであった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(5)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(5)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の樹脂粒子本体Aの製造において、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径2μmの不定形樹脂粒子Bを得た。
この不定形樹脂粒子Bを用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子含有樹脂粒子(6)を作製した。なお、この際、不定形樹脂粒子Bに対して計算被覆率が50%となるように疎水化シリカ粒子1を用いた。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(6)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の樹脂粒子本体Aの製造において、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径20μmの不定形樹脂粒子Cを得た。
この不定形樹脂粒子Cを用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子含有樹脂粒子(7)を作製した。なお、この際、不定形樹脂粒子Cに対して計算被覆率が50%となるように疎水化シリカ粒子1を用いた。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(7)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の樹脂粒子本体Aの製造において得られたポリエステル樹脂(1)を用い、このポリエステル樹脂(1)95部とカルナバワックス(東亜化成株式会社製)5部とを、バンバリーミキサー型混練機で溶融混練した。混練物を圧延ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS型粉砕機で微粉砕を行った後、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径7μmの不定形樹脂粒子Dを得た。
この不定形樹脂粒子Dを用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子含有樹脂粒子(8)を作製した。なお、この際、不定形樹脂粒子Dに対して計算被覆率が50%となるように疎水化シリカ粒子1を用いた。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(8)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の準備工程において、初期仕込みの10%アンモニア水を16.50部にしてアルカリ触媒溶液を調製した以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子101)の懸濁液を得た。
なお、この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒量、即ち、NH3(mol)/〔NH3+メタノール+水(L)〕は1.04mol/Lであった。
また、得られた懸濁液スラリー中のシリカ粒子101の体積平均粒径は170nm、粒度分布指標は1.12であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシキシシランの全供給量はアルカリ触媒溶液に対し1.04mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00337mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子101について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、平均円形度は0.80であり、シリカ子粒子の平均円形度は0.92であり、平均収縮率は4.50であることが分かった。
また、疎水化シリカ粒子101を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子の粒径についても、既述のようにSEMにて観察したところ、シリカ粒子の形状は球形(172nm)であって、子粒子は付いていなかった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R1)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R1)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の準備工程において、初期仕込みの10%アンモニア水を11.00部にしてアルカリ触媒溶液を調製した以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子102)の懸濁液を得た。
なお、この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒量、即ち、NH3(mol)/〔NH3+メタノール+水(L)〕は0.73mol/Lであった。
また、得られた懸濁液スラリー中のシリカ粒子102の体積平均粒径は108nm、粒度分布指標は1.10であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシシラン全供給量はアルカリ触媒溶液に対し1.11mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00337mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子102について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、平均円形度は0.91であり、シリカ子粒子の平均円形度は0.93であり、平均収縮率は0.76であった。
また、疎水化シリカ粒子5を構成するシリカ母粒子及びシリカ子粒子の粒径についても、既述のようにSEMにて測定したところ、微粉は発生していたが、母粒子に付着はしておらず、金平糖型粒子は生成していなかった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R2)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R2)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の供給工程において、テトラメトキシシランの滴下量を30部にしたところ、縣濁液はゲル化し、粒子は得られなかった。
この時、テトラメトキシキシシランの全供給量はアルカリ触媒溶液に対し2.14mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00675mol/(mol・min)であった。
実施例1の供給工程において、テトラメトキシシランの滴下量を8部にした以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子104)の懸濁液を得た。
この懸濁液スラリー中のシリカ粒子104の体積平均粒径は110nm、粒度分布指標は1.13であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシシラン全供給量はアルカリ触媒溶液に対し0.57mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00179mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子104について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、シリカ子粒子に該当する粒子がなく、平均円形度は0.92である球形であり、平均円形度0.91である微粉が混ざっていた。なお、この疎水化シリカ粒子104の平均収縮率は0.75であった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R4)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R4)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
実施例1の供給工程において、テトラメトキシシランの滴下と同時に、10%のアンモニア水を0.13部/minの速度で15分間供給した以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子(シリカ粒子104)の懸濁液を得た。
この懸濁液スラリー中のシリカ粒子105の体積平均粒径は260nm、粒度分布指標は1.10であった。
なお、供給工程におけるテトラメトキシキシシランの全供給量はアルカリ触媒溶液に対し1.07mol/Lであった。
また、この供給工程において、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコール(メタノール)に対して0.00337mol/(mol・min)であった。
その疎水化シリカ粒子105について、実施例1と同様にして画像解析を行った結果、シリカ子粒子に該当する粒子がなく、平均円形度は0.98である球形であり、平均円形度0.91である微粉が混ざっていた。なお、この疎水化シリカ粒子105の平均収縮率は0.02であることも分かった。
これにより、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R5)を得た。
得られた疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子(R5)について、実施例1と同様にして、1.樹脂粒子本体の表面におけるシリカ粒子の分散性とその維持性、2.流動性、及び耐凝集性について評価した。結果を表2に示す。
特に、実施例2では、シリカ粒子の粒度分布が広く、また、シリカ母粒子に付着しているシリカ子粒子の数が多いため、樹脂粒子本体に被覆した際のスパイク効果が高いため、他の実施例に比べ、分散性、分散維持性、及び流動性に優れていると考えられる。
また、実施例5では、シリカ子粒子の形状がより異形であるため(円形度が小さいため)、これを含むシリカ粒子を樹脂粒子本体に被覆した際、凹部等への偏在が起こりにくく、他の実施例に比べ、分散性、及び分散維持性に優れていると考えられる。
対して、比較例1、2、4、及び5に記載のシリカ粒子を含有した樹脂粒子は、分散性、分散維持性、流動性、及び凝集性の全てに対し、実施例ほどの結果を得ることができなかった。これは、本実施形態に係るシリカ粒子(B)を用いていないため、前述のようなスパイク効果及びスペーサー効果が発現されていない、又は発現され難いためと考えられる。
Claims (3)
- 樹脂粒子本体(A)と、
シリカ母粒子、及び、該シリカ母粒子の表面に付着してなる平均円形度が0.7以上0.85以下であるシリカ子粒子を含み、前記樹脂粒子本体(A)の表面に付着したシリカ粒子(B)と、
を含んで構成される樹脂粒子。 - アルコールを含む溶媒中に、0.8mol/L以上1.0mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
準備された前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルカリ触媒を追加供給することなく、0.7mol/L以上1.8mol/L以下の濃度となるようにテトラアルコキシシランを供給してシリカ粒子を得る工程と、
得られた前記シリカ粒子を樹脂粒子本体の表面に付着させる工程と、
を有する樹脂粒子の製造方法。 - 前記テトラアルコキシシランは、前記アルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.010mol/(mol・min)以下の供給速度で、前記アルカリ触媒溶液中に供給される請求項2に記載の樹脂粒子の製造方法。
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