以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.出納システムの構成]
図1において、出納システム1は、例えば金融機関の営業店において図示しない接客用カウンタの後方に設置され、金銭に関する入金や出金等の各種処理を総合的に実行するようになされている。
出納システム1は、紙幣を1枚単位で入出金する紙幣入出金機2、及び金種別の紙幣を所定枚数毎に施封して小束にした状態で収納し、また紙幣の小束を出金する施封小束支払機3を有している。
また出納システム1は、例えば金融機関の営業店、小売店や公共施設等に設置される現金自動預払機(ATM、図示せず)に着脱可能で、当該現金自動預払機で行われる取引用の紙幣を収納する補充回収カセットに紙幣を補充し、また補充回収カセットから紙幣を回収する紙幣補充回収機4も有している。
さらに出納システム1は、各金種の新券(新札)を出金する新券支払機5、金種別の一定枚数毎に棒状に重ねて包まれた硬貨(いわゆる棒金)を出金するための棒金支払機6、及び硬貨を1枚単位で入出金する硬貨入出金機7も有している。
さらに出納システム1は、紙幣入出金機2や施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、新券支払機5、棒金支払機6及び硬貨入出金機7で行われる入金や出金等の処理内容を認証して所定の帳票等に印字し排出する認証プリンタ8、及び現金以外の小切手や定期預金証書等の有価証券を取り込んで入金処理する現金外ポスト9も有している。
さらに出納システム1は、入金や出金等の各種処理に関する種々の情報を表示するディスプレイ10、入金や出金等の各種処理に関する種々の情報や指示等を入力するためのキーボード11、及び出納システム1全体を統括制御する制御装置12も有している。
出納システム1は、これら各種装置の少なくとも一部については比較的自由に配置することができるものの、例えば、棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7が、各々の正面を同一方向に向け互いに隣接するよう横一列に配置されている。
因みに以下の説明では、出納システム1における棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7各々の正面が向く方向を前方向と定義し、その反対を後方向と定義して、さらに当該出納システム1の前側に対峙して見たときの左右方向及び上下方向をそれぞれ定義する。
また出納システム1は、例えば、紙幣補充回収機4の前上側に新券支払機5が組み込まれて一体化されていると共に、当該紙幣補充回収機4に認証プリンタ8が載置されている。
さらに出納システム1は、紙幣入出金機1にディスプレイ10が正面を前方向に向けて載置されると共に、当該ディスプレイ10の前にキーボード11が載置されている。さらに出納システム1は、硬貨入出金機7に現金外ポスト9が載置されている。
そして出納システム1では、右方向に沿って順次隣接させるようにして配置された施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、及び紙幣入出金機2が、紙幣を左方向及び右方向に搬送する装置間搬送部によって接続されている。
これにより出納システム1は、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4及び紙幣入出金機2の間で、施封や補充、回収等の各種処理に用いる紙幣を適宜、装置間搬送部を介して搬送して受け渡すことができるようになされている。
[1−2.紙幣補充回収機の構成]
紙幣補充回収機4は、図2に示すように、新券支払機5と共に箱形の補充回収機筐体20内に組み込まれており、当該補充回収機筐体20内における下方から後方に渡る範囲を占めるように構成されている。
補充回収機筐体20内には、上述した制御装置12からの指示を基に、紙幣補充回収機4全体を制御する制御部21が収納されている。
補充回収機筐体20内における前側下寄りの箇所には、紙幣収納庫22が設けられている。紙幣収納庫22は、その内部において紙幣を上下に重ねるように集積させており、図示しない現金自動預払機(ATM)に出金用として補充するための紙幣や、現金自動預払機に入金され回収された紙幣を収納するようになされている。
また紙幣収納庫22は、その上側に設けられた上側入出口22Aにより紙幣を繰り出し、又は受け入れると共に、後側下部に設けられた下側入出口22Bにより紙幣を受け入れるようになされている。
繰出部23は、紙幣収納庫22の上側に配置されており、当該紙幣収納庫22の上側から紙幣を取得し、1枚ずつに分離して後方の受渡部24へ向けて送り出すようになされている。
受渡部24は、前後方向を進行方向とする搬送路を形成しており、前方の繰出部23と後方の鑑別部25との間で、この搬送路に沿って紙幣を前方又は後方へ搬送するようになされている。
鑑別部25は、内部に光学センサや磁気センサ等を有しており、紙幣を前後方向へ走行させながらその金種、表裏、真偽及び損傷の程度等を鑑別し、当該紙幣を表裏反転部26へ受け渡すと共に、鑑別結果を制御部21へ通知するようになされている。因みに制御部21は、この鑑別結果を基に当該紙幣の搬送先を決定し、この搬送先に応じて各部を制御するようになされている。
表裏反転部26は、鑑別部25における表裏の鑑別結果を基に、表向きの紙幣又は裏向きの紙幣のいずれか一方を選択的に反転させることにより紙幣の表裏を揃え、装置間搬送部27又は紙幣収納庫22の下側入出口22Bへ供給する。
紙幣収納庫22は、下側入出口22Bに紙幣が供給されると、当該紙幣を取り込んで内部に収納するようになされている。
装置間搬送部27は、紙幣の進行方向を上下方向から左右方向に変換すると共に、左右に隣接する紙幣入出金機2(図1)又は施封小束支払機3(図1)との間で当該紙幣を搬送するようになされている。
このように紙幣補充回収機4は、繰出部23と鑑別部25との間において受渡部24により紙幣を前後方向へ搬送するようになされている。
[1−3.繰出部、受渡部及び鑑別部の構成]
次に、紙幣補充回収機4の繰出部23、受渡部24及び鑑別部25の詳細な構成について説明する。
図2の一部を拡大した図3に示すように、繰出部23は、箱形の繰出部筐体31を中心に構成されている。繰出部筐体31は、外殻を構成する部分のみでなり、或いはその内部に繰出部23を構成する一部又は全部の機構や部品等(図示せず)が組み付けられている。
因みに図3は、紙幣補充回収機4の繰出部23、受渡部24及び鑑別部25を右方向から見た側面図であるが、説明の都合上、本来は他の部品に隠れる一部の部品を明示的に表しており、また一部の部品を省略している。
繰出部筐体31の後面には、上寄りの箇所に媒体としての紙幣を排出し又は受け入れる入出口(図示せず)が設けられており、この入出口を上下から挟むように紙幣をガイドする繰出部アッパガイド32及び送出案内体としての繰出部ロワガイド33が取り付けられている。
繰出部筐体31における上面後寄りの箇所には、アッパガイド支持部34が取り付けられている。このアッパガイド支持部34は、繰出部筐体31の後面よりも後方まで延長されると共に、この延長された部分が繰出部筐体31の上面よりも下方まで延設されている。
アッパガイド支持部34の後側部分には、その下面に受渡部24の受渡部アッパガイド35が固定されると共に、当該受渡部アッパガイド35よりも上方にローラ36が回転可能に取り付けられている。
対向案内体としての受渡部アッパガイド35は、全体として薄板状に形成されており、前後の中ほどで僅かに折り曲げられ、後半部分をほぼ水平とする一方、前半部分が上向きに持ち上げられ、さらに前端部分及び後端部分がそれぞれ上方へ折り曲げられている。
また受渡部アッパガイド35は、左右方向の幅が紙幣における長手方向の長さよりも長くなっており、搬送路の対向側面側である上側から紙幣を案内することにより、その下面に沿って当該紙幣を前後方向へ搬送させるようになされている。
ローラ36は、円筒状に構成されており、受渡部アッパガイド35に穿設された露出孔(図示せず)を介して、その下端部分を当該受渡部アッパガイド35の下面から露出させている。
さらにアッパガイド支持部34には、後部分における受渡部アッパガイド35の左右外方となる箇所に、カム曲線部38が立設されている。このカム曲線部38は、左右方向から見て直線状に形成されており、前上方と後下方とを結ぶように傾斜されている。
ところで繰出部筐体31は、前寄りの箇所において、補充回収機筐体20(図2)に対し送出回動軸としての回動軸37を介して取り付けられている。
このため繰出部筐体31は、図3と対応する図4(A)に示すように、繰出部アッパガイド32、繰出部ロワガイド33、アッパガイド支持部34、受渡部アッパガイド35、ローラ36及びカム曲線部38と一体に(以下これらをまとめて繰出回動部61と呼ぶ)、補充回収機筐体20(図2)に対し開方向R1又は閉方向R2へ回動することができる。
実際上繰出回動部61は、通常の運用時には回動軸37に対し受渡部アッパガイド35をほぼ後方に位置させた閉状態(図3及び図4)とされ、保守作業時等には開方向R1へ回動されることにより回動軸37に対し受渡部アッパガイド35を上方に位置させた開状態(詳しくは後述する)とされる。
一方、受渡部24(図3)は、受渡部支持体41(図中破線で示す)を中心に構成されている。受渡部支持体41は、前後方向から見てU字状に形成され、左右中央部分を大きく空けており、側板部分を受渡部アッパガイド35よりも外方に位置させている。
受渡部支持体41における上寄りの箇所には、左右の側板間を渡すように、その後側に中間回動軸としての回動軸43を介して中間案内体としての受渡部ロワガイド42が取り付けられている。
受渡部ロワガイド42は、全体として薄板状に形成されており、受渡部アッパガイド35と対応するように、前後の中ほどで僅かに折り曲げられ、後半部分をほぼ水平とする一方、前半部分が上向きに持ち上げられ、さらに前端部分及び後端部分がそれぞれ下方へ折り曲げられている。
受渡部ロワガイド42は、繰出回動部61が閉状態にあるとき、受渡部アッパガイド35との間に隙間を空けるように対向することにより、この隙間を受渡部24における紙幣の搬送路とする。
また受渡部支持体41(図3)の上方には、ローラ36と対向する箇所にローラ44が回転可能に取り付けられている。ローラ44は、ローラ36と同様に円筒状に構成されており、受渡部ロワガイド42に穿設された露出孔(図示せず)を介して、その上端部分を当該受渡部ロワガイド42の上面から露出させている。
このローラ44は、図示しないモータによって回転駆動されており、紙幣をローラ36との間に挟み込んで前方向又は後方向へ進行させるようになされている。
このとき受渡部ロワガイド42は、搬送路の一側面側である下側から紙幣を案内することにより、その上面に沿って当該紙幣を前後方向へ搬送させるようになされている。
また受渡部ロワガイド42は、図5に示すように、本体部42Aの前端部分から前方へ向けて、複数の爪状部42Bを左右方向に所定間隔ごとに、すなわち櫛歯状に配置させている。
各爪状部42Bは、全体として前後方向に細長い角柱状に形成されており、その上面を本体部42Aと揃えるように当該本体部42Aの前端部分から前上方へ向けて延長され、その前端部分を前下方へ折り曲げている。
一方、繰出部23の繰出部ロワガイド33は、図3及び図4に示したように、その一面を繰出部23の繰出部筐体31における後面に当接させ、他の面をそれぞれ後上方及び後下方へ向けるように、当該繰出部筐体31に取り付けられている。
この繰出部ロワガイド33は、図5に示したように、左右方向を軸とする三角柱の一部が櫛状にえぐられたような形状、換言すれば、大きさの異なる2種類の三角柱が中心軸を左右方向に向けて交互に連結されたような形状となっている。
繰出部ロワガイド33における大きい三角柱に相当する主ガイド部33Aは、左右方向に関し、受渡部ロワガイド42の爪状部42Bを避けた位置、すなわち爪状部42B同士の隙間及び両端に相当する位置に配置されている。換言すれば、主ガイド部33Aは、爪状部42Bと互いに噛み合うような櫛歯状に配置されている。
この主ガイド部33Aは、繰出回動部61が閉状態にあるとき(図3及び図4)、その後端部分を本体部42Aの前端よりも前方に位置させている。このため主ガイド部33Aは、仮に受渡部ロワガイド42が固定されたままで繰出回動部61が閉状態から開方向R1(図4)へ回動されたとしても、本体部42Aと干渉することはない。
また主ガイド部33Aは、図5(B)に示したように、後上面における上端近傍部分において、他の部分よりも傾斜角が小さくなっており、繰出回動部61が閉状態にあるときにおける受渡部ロワガイド42の本体部42Aとの間で、斜面を揃えるようになされている。
すなわち繰出部ロワガイド33及び受渡部ロワガイド42は、互いの一部分同士を噛み合わせている。これにより繰出部ロワガイド33及び受渡部ロワガイド42は、互いの間に隙間や大きな段差を形成しないため、搬送される紙幣を脱落や停止させることなく受け渡しながら案内することができる。
繰出部ロワガイド33における小さい三角柱に相当する副ガイド部33Bは、左右方向に関し、主ガイド部33A同士の間、すなわち受渡部ロワガイド42の爪状部42Bと対向する位置に配置されている。
外れ止め部としての副ガイド部33Bは、図5(C)に示したように、主ガイド部33Aと下端部を揃えることにより、後上面を主ガイド部33Aよりも低く位置させており、これにより繰出回動部61が閉状態にあるときにおける受渡部ロワガイド42の爪状部42Bと干渉しないようになされている。
ここで副ガイド部33Bは、その後端部33Eを爪状部42Bの先端部42Eよりも後方に位置させている。すなわち繰出回動部61が閉状態にある場合、繰出部ロワガイド33は、その一部である副ガイド部33Bを受渡部ロワガイド42の爪状部42Bの直下に位置している。
これにより副ガイド部33Bは、仮に繰出部23と受渡部24との間における互いの位置精度が低く、繰出部ロワガイド33に対し受渡部ロワガイド42が下方に逃げてしまい正常に噛み合わなくなる恐れがあったとしても、爪状部42Bを当該副ガイド部33Bの上方に、すなわち主ガイド部33A同士の隙間に止めることができる。
その一方で繰出部ロワガイド33は、仮に受渡部ロワガイド42が固定されたままで繰出回動部61が閉状態から開方向R1(図4)へ回動されると、副ガイド部33Bを爪状部42Bと当接又は干渉させることになる。
ところで受渡部ロワガイド42(図3)は、左右の側部に、所定の取付部材を介してカム追従部45が取り付けられており、また下面後側に、上下方向に細長い棒状の制動体46が下方へ向けて立設されている。
カム追従部45は、その前方が上方へ突出すると共に、その突出部分が左右方向から見て滑らかに湾曲している。またカム追従部45は、繰出回動部61が閉状態にあるとき、湾曲部分の一点においてカム曲線部38の下面に当接するよう、その形状や受渡部ロワガイド42に対する取付位置等が定められている。
受渡部ロワガイド42は、上述したように、回動軸43を介して受渡部支持体41に取り付けられている。このため受渡部ロワガイド42は、図4(B)に示すように、カム追従部45及び制動体46と一体に(以下これらをまとめて受渡回動部62と呼ぶ)、受渡部支持体41に対し開方向S1又は閉方向S2へ回動することができる。
制動体46の下端部46Aと受渡部支持体41に設けられた引掛部47との間には、コイルばねでなるスプリング48が自然状態から伸長された状態で掛け渡されている(図3、図4(C))。さらに受渡部支持体41における引掛部47の後方には、回動範囲規制部としてのストッパ49が設けられている。
かかる構成により受渡回動部62(図4(B))は、付勢部としてのスプリング48の復元力(弾性力)が作用することにより、常に開方向S1へ回動しようとするものの、下端部46Aの回動範囲がストッパ49により制限され、当該ストッパ49と当接した位置で静止する。
また受渡回動部62は、例えばカム追従部45の湾曲部分に対し下方向へ向かう力が加えられると、スプリング48を伸長させながら閉方向S2へ回動する。
ところで鑑別部25(図3)は、箱形の鑑別部筐体51を中心に構成されている。鑑別部筐体51の前面には、紙幣を取り込み、また排出する前入出口が穿設されており、この前入出口を上下から挟むように、紙幣をガイドする鑑別部アッパガイド52及び鑑別部ロワガイド53が取り付けられている。
また鑑別部筐体51の後面には、表裏反転部26(図2)との間で紙幣を受け渡すための後入出部54が設けられている。
以下、図4(D)に示したように、補充回収機筐体20(図2)に固定された鑑別部25の鑑別部筐体51、鑑別部アッパガイド52、鑑別部ロワガイド53及び後入出部54並びに受渡部24の受渡部支持体41、引掛部47及びストッパ49を、まとめて固定部63と呼ぶ。
このように紙幣補充回収機4の繰出部23、受渡部24及び鑑別部25は、図4に示したように、補充回収機筐体20(図2)に対し回動軸37を中心に回動する繰出回動部61、回動軸43を中心に回動する受渡回動部62、及び固定された固定部63並びにスプリング48により構成されている。
[1−4.繰出回動部及び受渡回動部の回動]
次に、紙幣補充回収機4における繰出回動部61及び受渡回動部62の回動について説明する。上述したように、繰出回動部61は、通常の運用時において回動軸37に対し受渡部アッパガイド35をほぼ後方に位置させた閉状態となっている(図3)。
このとき受渡回動部62は、スプリング48に作用する復元力により開方向S1(図4(B))へ回動しようとするものの、カム追従部45をカム曲線部38に当接させることになり、いわば上から押さえつけられた状態となり、回動することができない。
このため受渡回動部62は、カム追従部45をカム曲線部38に当接させた状態に保持され、受渡部ロワガイド42と受渡部アッパガイド35との間に一定の隙間を形成し、これを紙幣の搬送路とする。
一方、紙幣補充回収機4において保守作業が行われる際、繰出部筐体31等に対し上方向への外力が加えられると、図3と対応する図6に示すように、繰出回動部61は、回動軸37を中心に開方向R1へ回動する。
このとき繰出回動部61のカム曲線部38は、閉状態(図3)から上方へ且つ僅かに前方へ移動し、また僅かに傾きを変化させる。これに伴い受渡回動部62は、いわば上からの押さえつけが僅かに緩められた状態となり、スプリング48の復元力により、カム追従部45をカム曲線部38へ当接させながら開方向S1へ僅かに回動する。
またこのとき受渡部ロワガイド42は、前側端部が上方向へ持ち上げられるものの、カム曲線部38に当接するカム追従部45の形状が最適化されていることにより、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれからも離れている。
これを換言すれば、受渡部ロワガイド42は、スプリング48、カム曲線部38及びカム追従部45により、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉すること無く、前側端部を上方向へ持ち上げるよう誘導されることになる。
その後、繰出回動部61は、繰出部筐体31等に対しさらに上方向への外力が加えられると、図6と対応する図7に示すように、回動軸37を中心にさらに開方向R1へ回動する。このとき繰出回動部61のカム曲線部38は、図6に示した状態からさらに上方へ且つ僅かに前方へ移動し、また僅かに傾きを変化させる。
これに伴い受渡回動部62は、スプリング48の復元力により、開方向S1へさらに回動するものの、制動体46の下端部46Aをストッパ49に当接させた段階でその回動を停止させ、その位置(以下これを停止位置と呼ぶ)に静止する。
受渡回動部62が停止位置に到達した後も繰出回動部61が開方向R1へ回動されると、図7に示したように、繰出回動部61は、カム曲線部38をカム追従部45から引き離す。
このとき受渡部ロワガイド42は、回動中及び停止後のいずれにおいても、引き続き、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれからも離れている。
また受渡部ロワガイド42は、停止位置に到達したとき、爪状部42Bの先端部42Eを、繰出部ロワガイド33における副ガイド部33B(図5)の後端部33Eにより描かれる軌跡Cの外側に、すなわち回動軸37から見て遠方に位置させる。
これを換言すれば、受渡部ロワガイド42は、スプリング48、カム曲線部38及びカム追従部45により、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉すること無く前側端部を上方向へ持ち上げると共に、爪状部42Bの先端部42Eを軌跡Cの外側に退避させるよう、誘導されることになる。
その後、繰出回動部61は、繰出部筐体31等に対しさらに上方向への外力が加えられると、図7と対応する図8に示すように、回動軸37を中心にさらに開方向R1へ回動し、開状態となる。
このとき受渡回動部62は、カム曲線部38によりカム追従部45が押し付けられていないものの、既に制動体46の下端部46Aをストッパ49に当接させる停止位置に到達しているため、回動せず静止し続ける。
このとき受渡部ロワガイド42は、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35からさらに引き離されており、これらのいずれとも当接若しくは干渉しない。
ところで繰出回動部61は、開状態(図8)から閉方向R2へ回動される場合、図7の状態及び図6の状態を経て図3の閉状態に戻る。
このとき繰出回動部61は、途中からカム曲線部38をカム追従部45に当接させて受渡回動部62を閉方向S2へ回動させることにより、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33や受渡部アッパガイド35等と当接又は干渉させずに徐々に降ろしていく。
さらに繰出回動部61は、爪状部42Bの先端部42Eを軌跡Cの内側(回動軸37に近い側)へ引き入れていき、最終的に爪状部42Bを副ガイド部33Bの直上に位置させて主ガイド部33Aと噛み合わせる(図5)。
このように紙幣補充回収機4は、繰出回動部61が閉状態にあるときには繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出回動部61を回動させる際には、カム曲線部38及びカム追従部45を介して受渡回動部62も回動させるようになされている。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣補充回収機4は、繰出回動部61が閉状態にある場合、カム曲線部38によりカム追従部45を下方向へ押し付け、繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを互いに噛み合わせる(図5)。
このとき受渡部24は、受渡部アッパガイド35と受渡部ロワガイド42との間に形成する搬送路に沿って紙幣を前後方向へ搬送することができる(図3)。
特に繰出部ロワガイド33は、副ガイド部33Bを受渡部ロワガイド42の爪状部42Bの直下に位置させることにより、主ガイド部33Aと当該爪状部42Bとを確実に噛み合わせることができ、受渡部ロワガイド42との間に隙間や大きな段差を形成しない。
これにより受渡部24は、繰出部23との間において、紙幣を誤って落下させ、或いは周囲に引っ掛ける等して停止させる(すなわち詰まらせる)ことなく、安定的に紙幣を受け渡し、案内することができる。
また紙幣補充回収機4は、繰出回動部61を開方向R1へ回動させる際、カム追従部45を押さえ付けているカム曲線部38を上方向へ持ち上げ、スプリング48の復元力により受渡回動部62を開方向S1へ回動させていく。
特にカム追従部45は、繰出回動部61の一部として回動するカム曲線部38に合わせて形状が最適化されている。
このためカム追従部45は、カム曲線部38に当接し続けることにより、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させること無く、前側端部を上方向へ持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができる。
これを換言すれば、カム曲線部38及びカム追従部45については、受渡回動部62の回動中に、互いに当接することにより、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させないよう設計した。
これにより繰出回動部61は、受渡回動部62の受渡部ロワガイド42と干渉することなく開状態(図8)まで回動することができる。このため紙幣補充回収機4では、繰出部23及び受渡部24の保守作業において、作業性や視認性を高めることができ、作業効率を格段に向上させることができる。
また出納システム1では、繰出部23及び鑑別部25を紙幣補充回収機4に合わせた専用設計とする必要が無く、これらを紙幣入出金機2や施封小束支払機3等と共通化して設計の手間や部品の種類の増加を抑えることができ、コストダウンに繋げることができる。
さらに受渡回動部62は、スプリング48の復元力により開方向S1へ付勢される一方、カム曲線部38によりカム追従部45を介して下方向へ押し付けられるようにした。
このため紙幣補充回収部4では、繰出回動部61を開方向R1又は閉方向R2へ回動させるだけで、受渡回動部62を当該繰出回動部61と連動するように回動させることができる。
すなわち紙幣補充回収部4では、保守作業等において、繰出回動部61を回動させるだけで、自動的に受渡回動部62を回動させて受渡部ロワガイド42との当接や干渉を回避するよう誘導することができるので、繁雑な作業を強いることがない。
また受渡回動部62は、開方向S1へ回動され制動体46の下端部46Aをストッパ49に当接させた後、スプリング48の復元力が継続して作用するため停止位置に静止し、回動する繰出回動部61との連動範囲を回動範囲の一部分に止める。
このためカム追従部45は、繰出回動部61の開方向R1への回動に伴い大きく持ち上げられるカム曲線部38に追従し続ける必要が無い。換言すれば、カム追従部45は、受渡部ロワガイド42が繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35の近傍に位置するときのみカム曲線部38と当接して当該受渡部ロワガイド42を誘導することができれば良いため、比較的小型に構成することができる。
さらに紙幣補充回収部4では、カム追従部45を最適な形状に構成したことにより、カム曲線部38を左右方向から見て直線状に構成した。このためカム曲線部38は、例えばアッパガイド支持部34における左右の側板部分を外方へ折り曲げるといった、容易な作業工程により形成することができる。
以上の構成によれば、紙幣補充回収機4は、繰出回動部61が閉状態にあるときには、副ガイド部33Bを受渡部ロワガイド42の爪状部42Bの直下に位置させて繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出部23と受渡部24との間で紙幣を安定的に案内させる。また紙幣補充回収機4は、スプリング48の復元力により受渡回動部62を開方向S1へ付勢する一方、カム曲線部38によりカム追従部45を介して下方向へ押し付けるため、繰出回動部61を回動させる際、当該受渡回動部62を連動させるよう回動させ、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33及び受渡部アッパガイド35等と当接若しくは干渉させること無く持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができ、保守作業等における作業性を格段に高めることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による紙幣補充回収機104(図2)は、第1の実施の形態による紙幣補充回収機4と比較して、繰出部23及び受渡部24に代わる繰出部123及び受渡部124を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2−1.繰出部、受渡部及び鑑別部の構成]
繰出部123は、図3と対応する図9に示すように、アッパガイド支持部34及びカム曲線部38に代わるアッパガイド支持部134及び扇形ギヤ138を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
アッパガイド支持部134は、アッパガイド支持部34と一部の形状が異なるものの、当該アッパガイド支持部34と同様、受渡部アッパガイド35等を支持している。
扇形ギヤ138は、繰出部筐体31の左右側面に取り付けられ、回動軸37を中心とする扇形に形成されており、円弧状の部分にギヤが形成されている。
この扇形ギヤ138は、図10に示すように、第1の実施の形態における繰出回動部61に代わる繰出回動部161の一部分を構成しており、繰出部筐体31、繰出部ロワガイド33及び受渡部アッパガイド35等と共に、回動軸37を中心に開方向R1又は閉方向R2へ回動するようになされている。
受渡部124(図9)は、受渡部支持体41に代わる受渡部支持体141を中心に構成されており、カム追従部45、制動体46、引掛部47、スプリング48及びストッパ49に代えて、2段ギヤ143、1段ギヤ144及び扇形ギヤ145を有している。
受渡部支持体141は、受渡部支持体41と同様に回動軸43を介して受渡部ロワガイド42を回動自在に支持する他、2段ギヤ143及び1段ギヤ144をそれぞれ回転自在に支持している。
2段ギヤ143は、互いに歯数の異なる大径ギヤ及び小径ギヤを重ねた構成となっており、左右方向に沿った中心軸を中心に自在に回転するようになされている。また2段ギヤ143は、受渡部支持体141に対し、大径ギヤを扇形ギヤ138のギヤ部分と歯合させる位置に取り付けられている。
1段ギヤ144は、左右方向に沿った中心軸を中心に、1枚のギヤを自在に回転するようになされている。また1段ギヤ144は、受渡部支持体141に対し、2段ギヤ143の小径ギヤと歯合させる位置に取り付けられている。
扇形ギヤ145は、受渡部ロワガイド42における左右の側部に、所定の取付部材を介して取り付けられており、回動軸43を中心とした扇形に形成されている。また扇形ギヤ145は、円弧状の部分にギヤが形成されており、このギヤを1段ギヤ144と歯合させている。
以下では、受渡部ロワガイド42及び扇形ギヤ145を、第1の実施の形態における受渡回動部62に代えて、受渡回動部162と呼ぶ。また、鑑別部25の鑑別部筐体51等に加えて、受渡部支持体141、2段ギヤ143及び1段ギヤ144をまとめて、第1の実施の形態における固定部63に代わる固定部163と呼ぶ。
このように紙幣補充回収機104では、扇形ギヤ138、2段ギヤ143、1段ギヤ144及び扇形ギヤ145(以下これらをまとめて伝達部140と呼ぶ)を順次歯合させている。
このため紙幣補充回収機104では、繰出回動部161の繰出部筐体31等が回動されると、その駆動力が伝達部140の各ギヤを介して伝達され、受渡回動部162の受渡部ロワガイド42を回動させることになる。
[2−2.繰出回動部及び受渡回動部の回動]
次に、紙幣補充回収機104における繰出回動部161及び受渡回動部162の回動について説明する。繰出回動部161は、第1の実施の形態と同様、通常の運用時において回動軸37に対し受渡部アッパガイド35をほぼ後方に位置させた閉状態となっている(図9)。
このとき受渡回動部162は、伝達部140の各ギヤの歯合により、受渡部ロワガイド42の爪状部42Bを繰出部ロワガイド33における副ガイド部33Bの直上に位置させるよう噛み合わせた状態に保持される(図5)。
その後繰出回動部161は、開方向R1へ回動されると、扇形ギヤ138の回動が伝達部140の各ギヤにより順次伝達され、受渡回動部162の扇形ギヤ145を回動させることにより、図10に示すように、受渡回動部162を開方向S1へ回動させる。
ここで伝達部140は、繰出回動部161の回動角度に対する受渡回動部162の最適な回動角度に基づき、2段ギヤ143における大径ギヤと小径ギヤとのギヤ比が適切に設定されている。
このため受渡部ロワガイド42は、第1の実施の形態と同様、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉すること無く、その前側端部を徐々に上方向へ持ち上げるよう誘導されて軌跡Cの外側へ退避する。
また繰出回動部161は、開状態(図10)から閉方向R2へ回動されると、開動作の場合と同様、扇形ギヤ138の回動が伝達部140の各ギヤにより順次伝達され、受渡回動部162の扇形ギヤ145を回動させることにより、受渡回動部162を閉方向S2へ回動させる。
このとき受渡部ロワガイド42は、やはり第1の実施の形態と同様、繰出部ロワガイド33や受渡部アッパガイド35等と当接又は干渉することなく徐々に下降し、爪状部42Bの先端部42Eを軌跡Cの内側へ入り込ませて、爪状部42Bを副ガイド部33Bの直上に位置させる(図5)。
このように紙幣補充回収機104は、繰出回動部161が閉状態にあるときには繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出回動部161を回動させる際には、伝達部140を介して受渡回動部162も回動させるようになされている。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による紙幣補充回収機104は、繰出回動部161が閉状態にある場合、伝達部140の各ギヤの歯合により、繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを互いに噛み合わせる(図5)。
このとき受渡部124は、受渡部アッパガイド35と受渡部ロワガイド42との間に形成する搬送路に沿って、紙幣を脱落等させることなく前後方向へ搬送することができる(図9)。
また紙幣補充回収機104は、繰出回動部161を開方向R1へ回動させる際、その回動を扇形ギヤ138から伝達部140の各ギヤを介して扇形ギヤ145へ順次伝達させていくことにより、受渡回動部162を開方向S1へ回動させていく。
特に2段ギヤ143は、繰出回動部161の回動角度に対する受渡回動部162の最適な回動角度に基づき、大径ギヤと小径ギヤとのギヤ比が適切に設定されている。
このため伝達部140は、第1の実施形態と同様、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させること無く、その前側端部を上方向へ持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができる。
これを換言すれば、伝達部140については、受渡回動部162の回動中に受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させないよう、各ギヤ比等を設計した。
これにより繰出回動部161は、受渡回動部162の受渡部ロワガイド42と干渉することなく開状態(図10)まで回動することができる。このため紙幣補充回収機104では、第1の実施の形態と同様、繰出部123及び受渡部124の保守作業において、作業性や視認性を高めることができ、作業効率を格段に向上させることができる。
また伝達部140は、繰出回動部161の全ての回動範囲において、扇形ギヤ138から扇形ギヤ145までの各ギヤを互いに歯合させるようにしたことにより、繰出回動部161と受渡回動部162との間で回動動作のみに限らず停止状態も連動させることができる。
このため紙幣補充回収機104は、例えば繰出回動部161を所定のロック機構等により閉状態に固定することにより、受渡回動部162も閉状態(図9)に固定することができる。
さらに紙幣補充回収機104は、その他の点についても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、紙幣補充回収機104は、繰出回動部161が閉状態にあるときには、副ガイド部33Bを受渡部ロワガイド42の爪状部42Bの直下に位置させて繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出部123と受渡部124との間で紙幣を安定的に案内させる。また紙幣補充回収機104は、繰出回動部161を回動させる際、伝達部140を介して受渡回動部162を回動させ、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33及び受渡部アッパガイド35等と当接若しくは干渉させること無く持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができ、保守作業等における作業性を格段に高めることができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による紙幣補充回収機204(図2)は、第1の実施の形態による紙幣補充回収機4と比較して、繰出部23及び受渡部24に代わる繰出部223及び受渡部224を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[3−1.繰出部、受渡部及び鑑別部の構成]
繰出部223は、図3と対応する図11に示すように、アッパガイド支持部34及びカム曲線部38に代わるアッパガイド支持部234及びピン242を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
アッパガイド支持部234は、アッパガイド支持部34と一部の形状が異なるものの、当該アッパガイド支持部34と同様、受渡部アッパガイド35等を支持している。
ピン242は、小さい円柱状に構成されており、繰出部筐体31の左右側面から左右方向へ突出するように立設されている。
このピン242は、図12に示すように、第1の実施の形態における繰出回動部61に代わる繰出回動部261の一部分を構成しており、繰出部筐体31、繰出部ロワガイド33及び受渡部アッパガイド35等と共に、回動軸37を中心に開方向R1又は閉方向R2へ回動するようになされている。
受渡部224(図11)は、受渡部支持体41に代わる受渡部支持体241を中心に構成されており、カム追従部45、制動体46、引掛部47、スプリング48及びストッパ49に代えて、リンク243及び245並びに補助板247を有している。
受渡部支持体241は、受渡部支持体41と同様に回動軸43を介して受渡部ロワガイド42を回動自在に支持する他、リンク243及び245をそれぞれ回転自在に支持している。
リンク243は、前後方向に細長い棒状に構成されており、受渡部支持体241に対し、軸244を介して回動自在に取り付けられている。リンク243における軸244の取付位置は、前後方向の中央よりも後寄りとなっている。
リンク243の前端部には、当該リンク243の長手方向に沿った細長い溝243Aが形成されている。この溝243Aの溝幅は、ピン242の直径よりも僅かに大きくなっている。
リンク243は、受渡部支持体241に対し、溝243A内にピン242を挟み込むような位置に取り付けられており、溝243A内でピン242を摺動させ得るようになされている。
すなわちピン242は、溝243A内で自在に移動し得ると共に回動し得る移動軸として機能し、繰出部筐体31が回動されると、その回動角度に応じてリンク243を回動させるようになされている。
またリンク243の後端部には、前端部と同様に当該リンク243の長手方向に沿った細長い溝243Bが形成されている。
リンク245は、リンク243と同様、前後方向に細長い棒状に構成されており、受渡部支持体241に対し、軸246を介して回動自在に取り付けられている。リンク245における軸246の取付位置は、前後方向のほぼ中央となっている。
リンク245の前端部には、ピン242と同様の小さな円柱状でなるピン245Pが左右の外方へ突出するように立設されている。ピン245Pの直径は、リンク243の後端部に設けられた溝243Bの溝幅よりも僅かに小さくなっている。
リンク245は、受渡部支持体241に対し、ピン245Pがリンク243の溝243Bに挟み込まれる位置に取り付けられており、また溝243B内でピン245Pを摺動させ得るようになされている。
すなわちピン245Pは、溝243B内で自在に移動し得ると共に回動し得る移動軸として機能し、リンク243が回動されると、その回動角度に応じてリンク245を回動させるようになされている。
またリンク245の後端部には、リンク243の後端部と同様に、当該リンク245の長手方向に沿った細長い溝245Bが形成されている。
補助板247は、長方形の板状に構成されており、受渡部ロワガイド42における左右の側部に、所定の取付部材を介して取り付けられている。また補助板247は、回動軸43から所定の距離だけ離れた箇所に、ピン242と同様の小さな円柱状でなるピン248を左右の外方へ向けて突設させている。
ピン248は、その直径がリンク245の後端部に設けられた溝245Bの溝幅よりも僅かに小さく構成されると共に、補助板247に対し、リンク245の溝245Bに挟み込まれるような位置に取り付けられており、溝243B内で自在に摺動し得るようになされている。
すなわちピン248は、溝245B内で自在に移動し得ると共に回動し得る移動軸として機能し、リンク245が回動されると、その回動角度に応じて補助板247及び受渡部ロワガイド42を回動させるようになされている。
以下では、受渡部ロワガイド42、補助板247及びピン248を、第1の実施の形態における受渡回動部62に代えて、受渡回動部262と呼ぶ。また、鑑別部25の鑑別部筐体51等に加えて、受渡部支持体241、リンク243及び245、並びに軸244及び246をまとめて、第1の実施の形態における固定部63に代わる固定部263と呼ぶ。
このように紙幣補充回収機204では、ピン242、リンク243、リンク245及びピン248(以下これらをまとめて伝達部240と呼ぶ)を、互いに移動軸及び溝を介して順次連動させている。
このため紙幣補充回収機204では、繰出回動部261の繰出部筐体31等が回動されると、その駆動力が伝達部240のリンク243及び245を介して受渡回動部262の補助板247に伝達され、受渡部ロワガイド42を回動させることになる。
[3−2.繰出回動部及び受渡回動部の回動]
次に、紙幣補充回収機204における繰出回動部261及び受渡回動部262の回動について説明する。繰出回動部261は、第1の実施の形態と同様、通常の運用時において回動軸37に対し受渡部アッパガイド35をほぼ後方に位置させた閉状態となっている(図11)。
このとき受渡回動部262は、伝達部240における各移動軸と溝との係合により、受渡部ロワガイド42の爪状部42Bを繰出部ロワガイド33における副ガイド部33Bの直上に位置させるよう噛み合わせた状態に保持される(図5)。
その後繰出回動部261は、開方向R1へ回動されると、ピン242の回動が伝達部240のリンク243及び245により順次伝達され、補助板247を回動させることにより、図12に示すように、受渡回動部262を開方向S1へ回動させる。
ここで伝達部240は、繰出回動部261の回動角度に対する受渡回動部262の最適な回動角度に基づき、リンク243の前後方向に関する軸244の取付位置及びリンク245の前後方向に関する軸246の取付位置がそれぞれ適切に設定されている。
このため受渡部ロワガイド42は、第1の実施の形態と同様、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉すること無く、その前側端部を徐々に上方向へ持ち上げるよう誘導されて軌跡Cの外側へ退避する。
また繰出回動部261は、開状態(図12)から閉方向R2へ回動されると、開動作の場合と同様、ピン242の回動が伝達部240のリンク243及び245により順次伝達され、補助板247を回動させることにより、受渡回動部262を開方向S1へ回動させる。
このとき受渡部ロワガイド42は、やはり第1の実施の形態と同様、繰出部ロワガイド33や受渡部アッパガイド35等と当接又は干渉することなく徐々に下降し、爪状部42Bの先端部42Eを軌跡Cの内側へ入れ込み、爪状部42Bを副ガイド部33Bの直上に位置させる(図5)。
このように紙幣補充回収機204は、繰出回動部261が閉状態にあるときには繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出回動部261を回動させる際には、伝達部240を介して受渡回動部262も回動させるようになされている。
[3−3.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による紙幣補充回収機204は、繰出回動部261が閉状態にある場合、伝達部240の各移動軸と溝との係合により、繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを互いに噛み合わせる(図5)。
このとき受渡部224は、受渡部アッパガイド35と受渡部ロワガイド42との間に形成する搬送路に沿って紙幣を前後方向へ搬送することができる(図11)。
また紙幣補充回収機204は、繰出回動部261を開方向R1へ回動させる際、その回動をピン242から伝達部240のリンク243及び245を順次介して補助板247へ順次伝達させていくことにより、受渡回動部262を開方向S1へ回動させていく。
特にリンク243は、繰出回動部261の回動角度に対する受渡回動部262の最適な回動角度に基づき、前後方向に関する軸244の取付位置及びリンク245の前後方向に関する軸246の取付位置がそれぞれ適切に設定されている。
このため伝達部240は、第1の実施形態と同様、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させること無く、前側端部を上方向へ持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができる。
これを換言すれば、伝達部240については、受渡回動部262の回動中に受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させないよう、各リンクの長さ等を設計した。
これにより繰出回動部261は、受渡回動部262の受渡部ロワガイド42と干渉することなく開状態(図12)まで回動することができる。このため紙幣補充回収機204では、第1の実施の形態と同様、繰出部223及び受渡部224の保守作業において、作業性や視認性を高めることができ、作業効率を格段に向上させることができる。
また伝達部240は、繰出回動部261の全ての回動範囲において、各移動軸(ピン242、243P及び248)を各溝(溝243A、243B及び245B)内で移動させ、いわば係合状態を維持するようにしたことにより、繰出回動部261と受渡回動部262との間で回動動作のみに限らず停止状態も連動させることができる。
このため紙幣補充回収機204は、第2の実施の形態と同様、例えば繰出回動部261を所定のロック機構等により閉状態に固定することにより、受渡回動部262も閉状態(図11)に固定することができる。
さらに紙幣補充回収機204は、その他の点についても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、紙幣補充回収機204は、繰出回動部261が閉状態にあるときには、副ガイド部33Bを受渡部ロワガイド42の爪状部42Bの直下に位置させて繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出部223と受渡部224との間で紙幣を安定的に案内させる。また紙幣補充回収機204は、繰出回動部261を回動させる際、伝達部240を介して受渡回動部262を回動させ、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33及び受渡部アッパガイド35等と当接若しくは干渉させること無く持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができ、保守作業等における作業性を格段に高めることができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による紙幣補充回収機304(図2)は、第1の実施の形態による紙幣補充回収機4と比較して、繰出部23及び受渡部24に代わる繰出部323及び受渡部324を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[4−1.繰出部、受渡部及び鑑別部の構成]
繰出部323は、図3と対応する図13に示すように、アッパガイド支持部34及びカム曲線部38に代わるアッパガイド支持部334及びレール孔338を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
アッパガイド支持部334は、アッパガイド支持部34と一部の形状が異なるものの、当該アッパガイド支持部34と同様、受渡部アッパガイド35等を支持している。
またアッパガイド支持部334は、後部分における受渡部アッパガイド35の左右外方となる箇所に、送出側レール孔としてのレール孔338が穿設されている。レール孔338は、長孔状に形成されており、その長軸が前上方と後下方とを結ぶように傾斜されている。
このレール孔338は、図14(A)に示すように、第1の実施の形態における繰出回動部61に代わる繰出回動部361の一部分を構成しており、繰出部筐体31、繰出部ロワガイド33及び受渡部アッパガイド35等と共に、回動軸37を中心に開方向R1又は閉方向R2へ回動するようになされている。
受渡部324(図13)は、受渡部支持体41に代わる受渡部支持体341を中心に構成されており、カム追従部45、制動体46、引掛部47、スプリング48及びストッパ49に代えて、補助板343、ローラ344及び345、並びにレール孔346を有している。
補助板343は、左右方向に薄い板状に構成されると共に、前後に長い矩形が前上方及び後下方にそれぞれ延長されたような形状となっており、受渡部ロワガイド42における左右の側部に、所定の取付部材を介して取り付けられている。
補助板343の前上方には、円筒状でなる送出側移動子としてのローラ344が左右方向に沿った回転軸を中心として回転自在に取り付けられている。ローラ344の外径は、レール孔338における短軸方向の長さ(すなわち孔の幅)よりも僅かに小さくなっている。
このローラ344は、レール孔338に挿通されることにより移動軸として機能し、当該レール孔338内を長軸方向に沿って移動すると共に、アッパガイド支持部334に対し補助板343を回動させるようになされている。
補助板343の後下方には、ローラ344と同様の円筒状でなる受入側移動子としてのローラ345が左右方向に沿った回転軸を中心として回転自在に取り付けられている。
一方、受渡部支持体341の側板部分には、レール孔338と同様に長孔状に形成された受入側レール孔としてのレール孔346が穿設されている。
レール孔346は、その長軸が後上方と前下方とを結ぶように、すなわちレール孔338と反対向きに傾斜されている。またレール孔346における短軸方向の長さ(すなわち孔の幅)は、ローラ345の外径よりも僅かに大きくなっている。
ローラ345は、レール孔346に挿通されることにより移動軸として機能し、当該レール孔346内を長軸方向に沿って移動すると共に、受渡部支持体341に対し補助板343を回動させるようになされている。
以下では、図14(B)に示すように、受渡部ロワガイド42、補助板343、並びにローラ344及び345をまとめて、第1の実施の形態における受渡回動部62に代わる受渡回動部362と呼ぶ。
また、図14(C)に示すように、鑑別部25の鑑別部筐体51等に加えて、受渡部支持体341及びレール孔346をまとめて、第1の実施の形態における固定部63に代わる固定部363と呼ぶ。
ところで紙幣補充回収部304では、繰出回動部361が回動軸37を中心に回動されると、レール孔338の位置及び角度を徐々に変化させる一方、固定部363に設けられたレール孔346の位置及び角度は変化させない。
また受渡回動部362のローラ344とローラ345は、いずれも補助板343に取り付けられており、その距離を一定に保っている。
このため紙幣補充回収部304は、繰出回動部361が回動軸37を中心に回動すると、レール孔338及び346内でローラ344及び345をそれぞれ移動させながら、受渡部ロワガイド42の前側端部を持ち上げるように受渡回動部362を回動させることになる。
[4−2.繰出回動部及び受渡回動部の回動]
次に、紙幣補充回収機304における繰出回動部361及び受渡回動部362の回動について説明する。繰出回動部361は、第1の実施の形態と同様、通常の運用時において回動軸37に対し受渡部アッパガイド35をほぼ後方に位置させた閉状態となっている(図13)。
このとき受渡回動部362は、レール孔338の最前方にローラ344を位置させると共にレール孔346の最後方にローラ345を位置させることにより、受渡部ロワガイド42の爪状部42Bを繰出部ロワガイド33における副ガイド部33Bの直上に位置させるよう噛み合わせた状態に保持される(図5)。
その後繰出回動部361は、開方向R1へ回動されると、レール孔338に挿通されたローラ344が当該レール孔338内を後下方へ移動すると共にレール孔346に挿通されたローラ345が当該レール孔346内を前下方へ移動していくことにより、図15に示すように、受渡回動部362を開方向S1へ回動させる。
ここで補助板343並びにレール孔338及び346は、繰出回動部361の回動角度に対する受渡回動部362の最適な位置及び回動角度に基づき、それぞれの位置や形状等が適切に設定されている。
このため受渡部ロワガイド42は、第1の実施の形態と同様、繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉すること無く、その前側端部を徐々に上方向へ持ち上げるよう誘導されて軌跡Cの外側へ退避する。
また繰出回動部361は、開状態(図15)から閉方向R2へ回動されると、レール孔338に挿通されたローラ344が当該レール孔338内を前上方へ移動すると共にレール孔346に挿通されたローラ345が当該レール孔346内を後上方へ移動していくことにより、受渡回動部362を開方向S1へ回動させる。
このとき受渡部ロワガイド42は、やはり第1の実施の形態と同様、繰出部ロワガイド33や受渡部アッパガイド35等と当接又は干渉することなく徐々に下降し、爪状部42Bの先端部42Eを軌跡Cの内側へ入れ込み、爪状部42Bを副ガイド部33Bの直上に位置させる(図5)。
このように紙幣補充回収機304は、繰出回動部361が閉状態にあるときには繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出回動部361を回動させる際には、ローラ344及び345をレール孔338及び346内で移動させることにより、受渡回動部362も回動させるようになされている。
[4−3.動作及び効果]
以上の構成において、第4の実施の形態による紙幣補充回収機304は、繰出回動部361が閉状態にある場合、レール孔338の最前方にローラ344を位置させると共にレール孔346の最後方にローラ345を位置させることにより、繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを互いに噛み合わせる(図5)。
このとき受渡部324は、受渡部アッパガイド35と受渡部ロワガイド42との間に形成する搬送路に沿って紙幣を前後方向へ搬送することができる(図13)。
また紙幣補充回収機304は、繰出回動部361を開方向R1へ回動させる際、ローラ344をレール孔338内で後下方へ移動させると共にローラ345をレール孔346内で前下方へ移動させていくことにより、受渡回動部362を開方向S1へ回動させていく。
特に補助板343並びにレール孔338及び346は、繰出回動部361の回動角度に対する受渡回動部362の最適な位置及び回動角度に基づき、それぞれの位置や形状等が適切に設定されている。
このため紙幣補充回収機304は、第1の実施形態と同様、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させること無く、前側端部を上方向へ持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができる。
これを換言すれば、補助板343並びにレール孔338及び346については、受渡回動部262の回動中に受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させないよう、それぞれの位置や形状等を設計した。
これにより繰出回動部361は、受渡回動部362の受渡部ロワガイド42と干渉することなく開状態(図15)まで回動することができる。このため紙幣補充回収機304では、第1の実施の形態と同様、繰出部323及び受渡部324の保守作業において、作業性や視認性を高めることができ、作業効率を格段に向上させることができる。
さらに紙幣補充回収機304は、その他の点についても、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、紙幣補充回収機304は、繰出回動部361が閉状態にあるときには、副ガイド部33Bを受渡部ロワガイド42の爪状部42Bの直下に位置させて繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とを適切に噛み合わせ、繰出部323と受渡部324との間で紙幣を安定的に案内させる。また紙幣補充回収機304は、繰出回動部361を回動させる際、ローラ344及び345をレール孔338及び346内でそれぞれ移動させて受渡回動部262を回動させ、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33及び受渡部アッパガイド35等と当接若しくは干渉させること無く持ち上げて軌跡Cの外側へ誘導することができ、保守作業等における作業性を格段に高めることができる。
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1〜第4の実施の形態においては、カム機構、ギヤ機構、リンク機構及びレール機構をそれぞれ用いることにより、繰出部筐体31が回動されることに伴い受渡部ロワガイド42を回動させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば所定のプーリ及びベルトを用いる等、種々の伝達機構を介して繰出部筐体31の回動を受渡部ロワガイド42へ伝達するようにしても良い。この場合、要は繰出部筐体31を含む繰出回動部61等の回動角度に応じて受渡部ロワガイド42を含む受渡回動部62等の回動角度を適切に調整することにより、受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させること無く回動させることができれば良い。
また上述した実施の形態においては、受渡部ロワガイド42が受渡部アッパガイド35と分離して回動し、特に軌跡Cの範囲内では、当該受渡部ロワガイド42の前側端部が当該受渡部アッパガイド35と繰出部ロワガイド33の副ガイド部33Bとの間に位置するよう誘導するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば受渡部アッパガイド35を受渡部ロワガイド42と一体に回動するようにした場合に、或いは受渡部アッパガイド35を省略した場合に、軌跡Cの範囲内における回動中には受渡部ロワガイド42の前側端部が繰出部ロワガイド33の副ガイド部33Bよりも上方に位置させ、閉状態では爪状部42Bを副ガイド部33Bの直上に位置させるよう誘導するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、軌跡Cの範囲外においてカム追従部45をカム曲線部38から引き離すようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、カム曲線部38及びカム追従部45をそれぞれ第1の実施の形態とは異なる形状として、軌跡Cの範囲外においてもカム追従部45をカム曲線部38に当接させ続けるようにしても良い。さらにこの場合、ストッパ49を省略しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、カム曲線部38を左右方向から見て直線状に形成するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばカム曲線部38を左右方向から見て任意の曲線状や折れ線状に形成しても良く、またカム追従部45に代えて第3の実施の形態におけるローラ344と同様のローラとしても良い。すなわち、カム曲線部38及びカム追従部45の形状に関しては、ローラをカム曲線部38に当接させながら繰出回動部61が受渡部ロワガイド42の前側端部を受渡部ロワガイド42を繰出部ロワガイド33、繰出部アッパガイド32及び受渡部アッパガイド35のいずれとも当接若しくは干渉させること無く回動させるような種々の形状とすることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、コイルばねでなるスプリング48により受渡回動部62を開方向S1へ付勢するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば板ばねやゴム、或いはトーションばね等、弾性力を利用した種々の付勢手段を用いるようにしても良く、さらには受渡回動部62における適切な箇所におもりを取り付けることにより重力を付勢手段として用い、若しくは磁力を付勢手段として用いるようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、2段ギヤ143における大径ギヤと小径ギヤとのギヤ比を適切に設定することにより、繰出回動部161の回動角度に対し受渡回動部162を最適な回動角度とするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば2段ギヤ143における小径ギヤと1段ギヤ144とのギヤ比や、1段ギヤ144の半径と扇形ギヤ145の半径との比率等をそれぞれ適切に設定することにより、繰出回動部161の回動角度に対し受渡回動部162を最適な回動角度とするようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、扇形ギヤ138と扇形ギヤ145との間に2個のギヤ、すなわち2段ギヤ143及び1段ギヤ144を介在させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、扇形ギヤ138と扇形ギヤ145との間に3個以上のギヤを介在させるようにしても良い。この場合、例えば扇形ギヤ138と扇形ギヤ145との間に多数のギヤを配置することにより、扇形ギヤ138を小型化することも可能となる。或いは、ギヤを省略して扇形ギヤ138と扇形ギヤ145とを直接歯合させて、部品点数を削減するようにしても良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、リンク243における軸244の前後方向に関する位置及びリンク245における軸246の前後方向に関する位置をそれぞれ適切に設定することにより、繰出回動部261の回動角度に対し受渡回動部262を最適な回動角度とするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば回動軸37からピン242までの距離とリンク243における軸244から前端部分までの距離との比率等、移動軸を介して互いに連結された箇所における回動軸から移動軸までの距離の比率をそれぞれ適切に設定することにより、繰出回動部261の回動角度に対し受渡回動部262を最適な回動角度とするようにしても良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、繰出部筐体31と補助板247との間に2本のリンク、すなわちリンク243及び245を介在させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、繰出部筐体31と補助板247との間に1本のリンク又は3本以上のリンクを介在させるようにしても良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、リンク243及び245をいずれも左右方向から見て直線状(棒状)とするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、リンク243及び245の少なくとも一方を左右方向から見て例えば折れ線状や曲線状とするようにしても良い。
さらに上述した第4の実施の形態においては、レール孔338及び346をいずれも左右方向から見て直線状の長軸を有する長孔とするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、レール孔338及び346の少なくとも一方を左右方向から見て例えば折れ線状や曲線状とするようにしても良い。さらには、レール孔338及び346のいずれか一方を丸孔とすることにより、移動軸ではなく単なる回動軸として機能させるようにしても良い。
さらに上述した第4の実施の形態においては、補助板343に対し自在に回転するローラ344及び345をレール孔338及び346にそれぞれ挿通させることにより移動軸として機能させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば補助板343に対し回転しない円柱状のピンをそれぞれ立設し、これをレール孔338及び346にそれぞれ挿通させることにより移動軸として機能させるようにしても良い。この場合、ピンの表面を円滑に仕上げることにより摩擦を低減させることが望ましい。
さらに上述した第4の実施の形態においては、繰出回動部361側のアッパガイド支持部334にレール孔338を穿設し、受渡回動部362側の補助板343にローラ344を設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばアッパガイド支持部334にローラを設け、補助板343にレール孔を穿設するようにしても良い。レール孔346及びローラ345についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡部アッパガイド35及び受渡部ロワガイド42における左右の両方にカム曲線部38、カム追従部45及びスプリング48等を設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、左右のいずれか一方のみにカム曲線部38、カム追従部45及びスプリング48等を設けるようにしても良く、さらには受渡部アッパガイド35及び受渡部ロワガイド42の上方や下方にこれらを設けるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、繰出部ロワガイド33及び受渡部ロワガイド42の前端部分を左右方向に櫛歯状に形成し、繰出回動部61が閉状態にあるとき、繰出部ロワガイド33の副ガイド部33Bの上方に受渡部ロワガイド42の爪状部42Bを位置させることにより、繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42とが適切に噛み合わせて紙幣を安定的に搬送するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば繰出部ロワガイド33及び受渡部ロワガイド42の前端部分をいずれも左右方向に一様に構成し、繰出回動部61が閉状態にあるとき、繰出部ロワガイド33の上方に受渡部ロワガイド42の前端部分を位置させることにより、繰出部ロワガイド33と受渡部ロワガイド42との間で紙幣を安定的に搬送するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、繰出回動部61及び受渡回動部62の閉状態からの回動方向をいずれも上方向とするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば繰出回動部61及び受渡回動部62の閉状態からの回動方向をいずれも下方向とするようにしても良い。この場合、繰出回動部61の一部として受渡部ロワガイド42が回動し、受渡回動部62の一部として受渡部アッパガイド35が回動するようにすれば良い。さらには、紙幣の紙面を左右方向に向けて、すなわち紙幣を立てて搬送する場合には、搬送路の右側や左側に位置するガイドを回動させるようにしても良く、紙幣の紙面を前後方向に向けて搬送する場合には、搬送路の前側や後側に位置するガイドを回動させるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、出納システム1の現金補充回収機4において繰出部23と鑑別部25との間で紙幣を受け渡す受渡部24に本発明を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば鑑別部25と表裏反転部26との間のように紙幣補充回収機4内で紙幣を受け渡す種々の箇所に適用しても良く、また紙幣入出金機2や施封小束支払機3のように出納システム1の他の装置内における紙幣を受け渡す箇所に適用しても良く、さらには現金自動預払機(ATM)のような紙幣を扱う他の装置内において紙幣を受け渡す箇所に適用するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
これらの場合、要は互いに隣接する部分の間で紙幣を受け渡す箇所であって、保守等の際にはロワガイドを干渉させることなく一方の部分を回動させることができ、搬送時には回動させる部分のロワガイドにおける少なくとも一部を受渡部のロワガイドよりも下方に位置させて紙幣の脱落等を防止することができれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、金融機関等において紙幣を取り扱う出納システム1の紙幣補充回収機4において、媒体としての紙幣を内部で搬送するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を内部で搬送する種々の装置に適用するようにしても良く、或いはこれらの媒体を複数の装置間で受け渡す場合に適用するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、送出部としての繰出部23と、受入部としての鑑別部25及び受渡部支持体41と、送出案内体としての繰出部ロワガイド33と、中間案内体としての受渡部ロワガイド42と、送出回動軸としての回動軸37と、誘導部としてのカム曲線部38、カム追従部45及びスプリング48とによって媒体搬送装置としての紙幣補充回収機4を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる送出部と、受入部と、送出案内体と、中間案内体と、送出回動軸と、誘導部とによって媒体搬送装置を構成するようにしても良い。