JP2013119290A - 鉄道信号保安システム - Google Patents

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Abstract

【課題】軌道回路方式による在線位置検知を行うためのシステムや現場機器の導入をすることなく、転てつ器の鎖錠を確実に継続させ、安全を確保する。
【解決手段】列車に搭載される車上装置が地上装置に対し在線位置情報を送信する在線位置情報申告装置を有し、地上装置が当該列車の在線位置を認識する信号保安システムにおいて、車上装置に在線位置情報の異常の有無を検知する故障状態検知装置を設け、異常が検知された際に、当該故障情報を地上装置に送信する。この故障情報を受信した際には、地上装置は、故障列車が接近鎖錠区間を走行中に、進路の取消しを実施しても、時素時間の経過にかかわらず、接近鎖錠の解錠を防止する。
【選択図】図6

Description

本発明は在線位置検知を車上位置申告で行う鉄道信号保安システムに関するものである。
在線位置検知を車上位置申告で行う方式は、下記特許文献1、2にみられるように、車上装置が主体となり、軌道に設置された地上子からの位置情報と、速度発電機によって算出される在線位置認識を照査し、無線を介して地上装置へ送信する方式である。
こうした車上位置申告方式は、下記特許文献3にみられるような、レールを電気回路の一部に用いて列車の車輪がレールを短絡させることで在線位置を認識する軌道回路方式と比較して、多くの現場機器を減らすことができ、保守に要する費用を抑えることができる。
近年、車上位置申告方式はCBTCシステムとして、在線位置情報を車上装置が無線を使って送信し、地上装置がその在線位置情報を受信して制御を行っているが、車上位置申告方式において列車走行中に車上位置申告装置が故障した場合、地上装置の連動の論理を有する連動装置が把握している在線認識位置と、実在線位置が不一致となることがあり、信号保安装置として安全性に問題がある。
安全性に問題のある例として、列車を駅構内の待避ホームに停車させ、後続する特急列車等を通過させる場合を想定する。
この場合には、列車を待避ホームに進入させるべく転てつ器を切り換えて鎖錠するが、場内信号機が一旦進行を現示した後、駅構内で発生した事故の発生等に伴い、列車がその信号機の外方(信号機の手前の区間)の一定区間に接近または進入しているときに、この列車の進路を取り消して緊急停止させるべく、信号機が突然に停止現示することが起こり得る。
この場合、信号機が停止を現示しても、列車が止まり切れず、信号の内方(信号機の先の区間)に進入するおそれがある。だからといって、転てつ器の鎖錠を解錠して切り換え得る状態にするのは脱線を招く危険がある。そこで、この一定区間を接近鎖錠区間として、転てつ機の切り換えを行われないよう鎖錠を行っている。
ただし、列車運行管理上、転てつ器の鎖錠を際限なく継続することはできないので、停止信号の現示から列車が確実に信号機の外方に停車するまでに要する、時素時間と称される時間経過後に、鎖錠の解除を行うようにしている。
特開平11−115760号公報 特開2009−61892号公報 特許第3577588号公報
ところが、車上位置申告装置が故障し、地上装置の在線認識位置と実在線位置が不一致となった状態で、上述のように、進路の取消しを行って信号機の停止現示を行った場合、地上装置側では列車の停止位置が正確に特定できず、実際の停車位置が転てつ器をまたがる、てつ査区間にあるにもかかわらず、地上装置の在線認識は場内信号機外方となる場合がある。この状態で上述の時素時間の経過に伴い、転てつ器の鎖錠を解除した後、列車を進行させると、列車が脱線する可能性がある。
信号保安システムにおいては、このような万一の場合でも、上述の不正解錠による脱線の危険を確実に回避する必要があるため、てつ査区間には、レールを電気回路の一部に用いて列車の車輪がレールを短絡させることで、在線位置識する軌道回路方式を敷設して安全性を確保する必要がある。したがって、車上申告方式は軌道回路方式と比較し、現場機器を減らし、保守費用を低減できるという利点があるものの、こうした接近鎖錠区間の周辺には、従来の軌道回路方式を一部採用せざるを得ないという問題があり、信号保安システムの複雑化を招き、現場機器、保守費用の削減に限界が生じていた。
そこで、本発明では、進路取消し時における連動装置の連動論理に、時素解錠時の条件として、車上装置の故障情報が正常であることを付加した信号保安システムを構築する。
より具体的には、列車に搭載される車上装置が地上装置に対し在線位置情報を送信し、
前記地上装置が当該列車の在線位置を認識する信号保安システムにおいて、前記車上装置に在線位置情報の異常の有無を検知する前記故障状態検知装置を設け、異常が検知された際に、その故障情報を前記地上装置に送信し、当該地上装置は、故障情報を受信した際、故障列車が接近鎖錠区間を走行中に、進路の取消しを実施しても、時素時間の経過にかかわらず、不正解錠となる接近鎖錠の解錠を防止するようにした。
上記の信号保安システム前記地上装置は前記故障情報に基づいて、その故障状態を取入れて、進路復位設定を行う連動装置を制御するようにしてもよい。
また、前記地上装置は、信号機相互間、信号機と転てつ装置などの相互間を関連づけることができ、列車制御装置も併せ持つ連動装置を有するものとするとよい。
さらに、前記地上装置は前記連動装置と前記列車制御装置が別体の場合、在線位置情報と故障情報を前記車上装置と前記地上装置との間の付加したインタフェースにより、前記在線位置情報に故障情報を付加すればよい。
本発明によれば、故障状態検知装置により異常が検知された際には、故障列車が接近鎖錠区間を走行中に、進路の取消しを実施しても、時素時間の経過にかかわらず、接近鎖錠の解錠を防止するようにしたから、接近鎖錠区間の周辺に、軌道回路方式による在線位置検知を行うためのシステムや現場機器の導入をすることなく、転てつ器の鎖錠を確実に継続させ、安全を確保することができるので、信号保安システムを簡略化するとともに、現場機器、保守費用を最大限削減することが可能になる。
車上装置の詳細ブロック図である。 地上装置の機能構成を示すブロック図である。 在線位置情報申告装置のフロー図である。 車上装置の電送フォーマット図である。 故障状態検知装置のフロー図である。 地上装置の進路取消し時の接近鎖錠解錠処理を示すフロー図である。 列車が接近鎖状区間を走行中の状態を示す図である。 実列車位置が場内信号機の内方にある状態で、不正解錠が防止される様子を示す図である。
本実施例においては、要は、図1に示す列車1の車上装置の制御部10に故障状態検知装置11を設け、在線位置情報申告装置12と故障状態検知装置11の両情報を地上装置4への電文へ付加して送信するようにインタフェースを設計するもので、以下詳細に説明する。
車上装置は送受信器13と制御部10で構成されている。送受信器13は無線アンテナ14を介して地上装置4と車上装置間の情報を送受信する装置である。送受信方法は無線機を使った空間を介して行う。制御部10は地上装置4との送受信情報から車上装置を制御し、列車速度が適切であるかを監視する装置である。監視は地上装置4からの情報と速度発電機15からの列車速度信号を照査して行う。適切な速度を超過している場合、制御部10は適切な速度まで自動的に減速するようブレーキ命令を出力する。
制御部10は在線位置情報申告装置12と故障状態検知装置11を設けているが、両装置は各々独立して機能しており、送受信器13が在線位置情報と故障情報を電文情報に乗せて地上装置4へ一定周期で送信している。
在線位置情報申告装置12は、軌道に設置された地上子からの位置情報と、速度発電機15から信号から算出される走行距離とに基づいて、在線位置認識を照査し在線位置情報を作成する。
制御部10は速度発電機15からの在線位置情報と地上からレールを介して受信する制御情報を基に停止パターンを検索し、その停止パターンと実際の速度を照査して自動ブレーキ要否を判断している。
故障状態検知装置11は速度発電機15が故障し、在線位置情報がない場合、故障と判断するフェールセーフ方式を採用しており、在線位置情報があっても、制御情報が受信できていない場合も故障と判断し、さらに、在線位置情報、制御情報が共にあっても停止パターンが検索できなければ故障と判断する。このように、故障と判断したとき、在線位置情報申告装置12からの位置情報に、対応する故障情報を付加した上で、送受信器13に出力する。
一方、送受信器13は地上装置と故障状態検知装置11との情報の送受信を行い、地上装置4は受信した信号に故障情報が付加されている場合、故障状態検知装置11が故障したと認識し、緊急停止情報を車上装置へ送信して列車を停止させることで安全性を保つ。
なお、送受信器13が故障した場合、送受信が不能であれば車上装置、地上装置4は、それぞれ無信号を検知することで列車は緊急停止する。さらに、送受信器13が故障して、所定の信号を継続的に送受信し続けた場合、車上装置はパターン検索ができないことで緊急停止を行う。
ここで、地上装置4は連動装置と列車制御装置で構成されている。連動装置は支障する信号機相互間、信号機とその進路に関係のある転てつ器間、互いに競合する転てつ器間相互間、列車と信号機あるいは転てつ器間等に必要な電気的又は機械的に連鎖関係を付けた装置である。
一方、列車制御装置は列車に対し、列車が線路の条件により列車の運転速度が制限される箇所までに、当該箇所を含む区間の制御情報が指示する運転速度まで列車の速度を減速させ、かつ、列車が停止を指示する制御情報を示す区間の終端までに停止することができる運転速度を指示する制御情報を連続して示す装置である。
図2は地上装置4の機能構成を示すブロック図である。地上装置4は、連動装置6と、列車制御装置9からなり、連動装置6は、転てつ器、信号機、軌道回路等の現場周辺機器状態情報を受信して、現場周辺機器設定装置6(1)、進路予約設定装置6(2)、進路取消停止設定装置6(3)、進路復位設定装置6(4)の順に制御を行い、現場周辺機器制御情報を送信する。
本実施例においては、連動装置6内の進路取消停止設定装置63により故障状態検知装置11で付加された故障情報を判定し、故障情報が判定された場合、列車制御装置9はこの車上装置情報を、無線アンテナを介して受信し、該当する列車に対し、列車停止情報作成装置91により列車停止情報を送信したり、あるいは、緊急停止情報作成装置92により緊急停止情報を送信して列車制御を行う。
図3は在線位置情報申告装置12の動作を示すフローチャートである。在線位置情報申告装置12は、S121で在線位置情報作成指令を送信し、S122で速度発電機からの列車速度信号を受信し、S123で線路情報を読み込み、列車速度信号と線路情報に基づいて在線位置を算出する。S124で、その在線位置情報を一定時間毎に故障状態検知装置11への送信を行い、再びS121による在線位置情報作成指令の送信を繰り返す。
図4は車上装置からの電送フォーマットを示す。車上装置の制御部10で作成される車上装置情報は、連動装置6、列車制御装置9を制御するための在線位置情報19を電送している。在線位置情報申告装置12で作成された車上装置情報は、故障状態検知装置11から故障情報20が出力された場合にこれを付加する。連動装置6は、進路取消設定時に故障情報20が付加された在線位置情報19を判断し、進路復位設定を行う。なお、18は電送情報の先頭を示すフラグを、21は誤り検出を行うためのCRC符号を示している。
図5は故障状態検知装置11の動作を示すフローチャートである。
故障状態検知装置11は、S111で、故障情報を作成する際の初期値を故障状態と設定している。S112で、在線位置情報申告装置12からの在線位置情報を受信しているか否かを判断し、受信していると判断し、しかもS113で在線位置情報が妥当な情報であると判断した場合、S114で、送受信器13への車上装置情報を作成し、故障情報を正常情報に切り換えた上で、S115でこの正常情報とともに送信する。
S112、あるいはS113で、在線位置情報申告装置12からの在線位置情報に異常が発生したことが判断された時、故障状態検知装置11は、S116で在線位置情報申告装置12からの電文の受信応答状況を要素として故障情報を初期値(故障状態)とし、S114で作成する車上装置情報に付加し、S115で送受信器13へ送信する。なお、故障状態検知装置11は、それ自体が故障した場合に備え、故障情報を正常と作成できないことを判定して故障検知する機能を実装している。
在線位置情報申告装置12が故障した場合、在線位置情報申告装置12は在線位置情報を送信しないか、誤った在線位置情報を送信し続けることが考えられる。この時、故障状態検知装置11はその情報を妥当か判断して故障情報を作成し、車上装置情報に付加して送受信器へ送信する。
車上装置の制御部10における在線位置情報申告装置12や故障状態検知装置11自体が故障した場合、地上装置は受信または未受信となる車上装置情報から故障状態を判断し、車上装置故障として認識する。そして、列車制御装置は緊急停止情報を作成し、列車に緊急停止情報を送信し、進路取り消しを行う。
図6は地上装置4の連動装置6で行われる進路取消し時の接近鎖錠解錠処理を示すフローチャートである。
S61で進路取消しを開始すると、S62で在線区間が進路鎖錠区間か否か判断し、進路鎖錠区間の場合、S63で進路鎖錠区間処理を行い、この進路鎖錠区間処理が終了すると、S64で進路復位命令を送出する。
一方、S62で在線区間が進路鎖錠区間でないと判断した場合、S65で列車が転てつ器7の鎖錠を行う接近鎖錠区間に在線してか否かを判断する。接近鎖錠区間に在線していない場合、S64で進路復位命令を送出する。
接近鎖錠区間に在線している場合、S66により、車上装置の故障判断を行い、車上装置が故障していることが確認された場合、S68で進路取消停止命令を送出し、進路を取消して停止させ、接近鎖錠の解錠を防止する。
一方、S66により、車上装置が正常と判断され、S67により、時素経過が完了するまでの間、正常状態が継続していることが確認された場合のみ、S69で接近鎖錠解錠処理を行い、この処理が終了するとS64で進路復位命令を送出する。
このように、列車1が接近鎖錠区間に在線している状態で、車上装置が故障している場合は、S68で進路取消停止命令を送出して接近鎖錠の解錠を防止し、車上装置が時素経過時間の間、正常状態を継続しているのみ、S69で接近鎖錠解錠処理を行うので、接近鎖錠区間の周辺に、軌道回路方式による在線位置検知を行うためのシステムや現場機器の導入をすることなく、転てつ器の鎖錠を確実に継続させ、安全を確保することが可能となる。
図7を用いて、本実施例の動作を説明する。
列車1は進路8の接近鎖錠区間5を走行中であり、駅2には場内信号機3がある。駅構内には転てつ器7が設置されている。
場内信号機3の外方の接近鎖錠区間5に在線中に列車1の在線位置情報申告装置12が故障した時、故障状態検知装置11は送受信器13から無線アンテナ14を介して地上装置4に故障情報が付加された在線装置情報を送信する。
同時期に連動装置6が進路8の取消しを行うと、場内信号機3は進行信号から停止信号を現示する。転てつ器7は、故障情報が付加されていない場合は、時素時間分鎖錠を行う。
列車1は直ちに緊急停止するが、停止するまでの十分な停止距離が得られなく、場内信号機3の内方に停車する。
一方、故障情報が付加されている場合は、地上装置4は列車1の最終的な位置認識を在線位置情報申告装置12が故障する直前の場内信号機3の外方である接近鎖錠区間5としているが、実列車位置は図8に示す場内信号機3の内方になっている可能性がある。
したがって、故障情報が付加されている場合は、時素時間の経過にかかわらず、進路8の鎖錠は継続され、転てつ器7の鎖錠も継続する。結果、新たに列車16の出発進路17を構成しようとしても、転てつ器7が転換できず、不正解錠が防止され、進路17が構成されないので、列車1が脱線する可能性はなくなり、保守員等により、列車16を安全な分岐線等への誘導が確実に終了したことが確認された後、修理が行われる。このように、本実施例によれば、在線位置情報申告装置が異常の列車の走行のみに適切待避等を行うことができ、地上装置や車上装置の位置申告装置が正常な他の列車の走行には影響を与えない。
なお、この間、列車1の進路8に関係する鎖錠は掛かり続けるが、進路8に関係しない駅2の連動設備については列車1に影響を受けずに制御することができる。
なお、本実施例において、列車制御装置と連動装置が一体化された地上装置を採用したが、列車制御装置と連動装置が地上装置を採用しても問題はない。
以上説明したように、本発明によれば、故障状態検知装置により異常が検知された際には、故障列車が接近鎖錠区間を走行中に、進路の取消しを実施しても、時素時間の経過にかかわらず、接近鎖錠の解錠を防止するようにしたから、接近鎖錠区間の周辺に、軌道回路方式による在線位置検知を行うためのシステムや現場機器の導入をすることなく、転てつ機の鎖錠を確実に継続させ、安全を確保することができるので、現場機器、保守費用を最大限削減することが可能な信号保安システムとして広く採用されることが期待される。
1 列車 2 駅
3 場内信号機 4 地上装置
5 接近鎖錠区間 6 連動装置
7 転てつ器 8 進路
9 列車制御装置 10 制御部
11 故障状態検知装置 12 在線位置情報申告装置
13 送受信機 14 無線アンテナ
15 速度発電機 16 列車
17 進路 18 フラグ
19 在線位置情報 20 故障情報
21 CRC符号

Claims (4)

  1. 列車に搭載される車上装置が地上装置に対し在線位置情報を送信する在線位置情報申告装置を有し、前記地上装置が当該列車の在線位置を認識する信号保安システムにおいて、
    前記車上装置に在線位置情報の異常の有無を検知する前記故障状態検知装置を設け、異常が検知された際に、当該故障情報を前記地上装置に送信し、当該地上装置は、故障情報を受信した際、故障列車が接近鎖錠区間を走行中に、進路の取消しを実施しても、時素時間の経過にかかわらず、接近鎖錠の解錠を防止することを特徴とする信号保安システム。
  2. 前記地上装置は前記故障情報に基づいて、その故障状態を取入れて、進路復位設定を行う連動装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の信号保安システム。
  3. 前記地上装置は信号機相互間、信号機と転てつ装置などの相互間を関連づけることができ、列車制御装置も併せ持つ連動装置を有することを特徴とする請求項1または2に記載の信号保安システム。
  4. 前記地上装置は前記連動装置と前記列車制御装置が別体の場合、在線位置情報と故障情報を前記車上装置と前記地上装置との間の付加したインタフェースにより、前記在線位置情報に故障情報を付加することを特徴とする請求項1からの3のいずれかに記載の信号保安システム。
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