JP2013119247A - 潜像印刷物 - Google Patents

潜像印刷物 Download PDF

Info

Publication number
JP2013119247A
JP2013119247A JP2011269568A JP2011269568A JP2013119247A JP 2013119247 A JP2013119247 A JP 2013119247A JP 2011269568 A JP2011269568 A JP 2011269568A JP 2011269568 A JP2011269568 A JP 2011269568A JP 2013119247 A JP2013119247 A JP 2013119247A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
area
information
significant information
printed matter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011269568A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5849374B2 (ja
Inventor
Tadashi Morinaga
匡 森永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Printing Bureau
Original Assignee
National Printing Bureau
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Printing Bureau filed Critical National Printing Bureau
Priority to JP2011269568A priority Critical patent/JP5849374B2/ja
Publication of JP2013119247A publication Critical patent/JP2013119247A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5849374B2 publication Critical patent/JP5849374B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Printing Methods (AREA)
  • Inspection Of Paper Currency And Valuable Securities (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、通常光下で第一の有意情報が観察され、光を強く反射させることで第二の有意情報が視認される、画像のチェンジ効果に優れた潜像印刷物に関する。
【解決手段】 基材と異なる色のインキにより形成された第一の画像と、第一の画像の上に、カラーフリップフロップ性を有する透明又は半透明のインキにより形成された第二の画像が積層され、第一の画像は、第一の要素を第一のピッチで第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報を構成する第一の情報領域を有し、第二の画像は、ベタ印刷により形成されたベタ領域と、ベタ領域内に白抜きから成る第二の要素を第一のピッチで第一の方向に複数配して形成した第二の有意情報を構成する第二の情報領域を有し、拡散反射光下の観察においては、第一の有意情報が視認され、正反射光下の観察においては、第二の有意情報が視認されることを特徴とする潜像印刷物である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード及び通行券等の貴重印刷物の分野において、通常の観察条件では、第一の有意情報を観察することができ、光を強く反射させることで、第二の有意情報を観察することができる、画像のチェンジ効果に優れた潜像印刷物に関するものである。
近年のスキャナ、プリンタ及びカラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。このような複製や偽造を防止する偽造防止技術の一つとして、観察角度によって画像が変化するホログラムに代表される光学的なセキュリティ要素を貼付したものが多く存在するようになった。
しかし、ホログラムは、インキを用いた印刷によって形成する従来の偽造防止技術とは異なり、複雑な製造工程と特殊な材料を用いて形成されることから、従来の偽造防止用印刷物と比較すると製造に手間がかかり、かつ、極めて高価である。このことから、金属インキ、干渉マイカ、酸化フレークマイカ、顔料コートアルミニウムフレーク及び光学的変化フレーク等の特殊な光反射性粉体をインキ又は塗料に配合し、かつ、特殊な材料同士の重ね合わせや複雑な網点構成を用いて一般的な印刷方法で形成可能であって、ホログラムと同様な画像変化を実現した偽造防止用印刷物が出現している。
その中には、オフセット印刷で形成した下地画像と、スクリーン印刷で形成したパール効果のある画像とを重ね合わせて形成する印刷物であって、強い光を反射しなかった場合と、強い光を反射した場合とで、全く異なる画像が観察される偽造防止技術が存在する。これらの技術は、優れた画像のチェンジ効果に加え、光を反射した場合に光の明暗の変化が生じるだけでなく、パール効果によって鮮やかな色相変化も生じる。よって、これらは、従来の印刷で形成可能なホログラムと同様な画像変化を実現した偽造防止用印刷物と比較して、真偽判別性に優れるだけでなく、デザイン性も高く、偽造抵抗力も高いことから、より優れた偽造防止用印刷物であると考えられている。
本出願人は、基材の表面に第一の画像が印刷され、この第一の画像上に第二の画像が印刷された真偽判別可能な印刷物であって、第一の画像は、少なくとも一部に、明度が90以上である領域を有し、第二の画像は、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有する半透明性インキにより、盛り上がりを有するように印刷された線画が形成されていることを特徴とし、正反射光量と拡散反射光量とが加算された全体の光量が、第一の画像と第二の画像との間で略等しい方向から印刷領域を観察すると、第一の画像がより明瞭に視認され、全体の光量が第一の画像と第二の画像との間で略等しい方向から異なる方向へと印刷物の角度を変えて観察すると、第一の画像が徐々に視認されにくくなり、第二の画像がより明瞭に視認されることを特徴とする真偽判別可能な印刷物に関わる発明を出願している(特許文献1参照)。
また、本出願人は、基材の表面上の印刷領域に、基材と異なる色を有する着色インキによって第一の画像を印刷し、その上に虹彩色パール顔料を含んだ透明インキの万線から成り、画像部の万線と背景領域の万線が異なる方向からなる第二の画像を積層することで、観察する角度によって、第一の画像と第二の画像がチェンジして視認されることを特徴とする情報担持体に関わる発明を出願している(特許文献2参照)。
さらに、本出願人は、基材の一表面上の印刷領域に基材と異なる色を有する金属光沢インキによって形成された第一の画像と、第1の印刷領域全体を覆う形で虹彩色パール顔料を含む透明インキによって第二の画像を形成することで、拡散反射光が支配的な観察角度領域では第一の画像のみが視認され、正反射光が支配的な観察角度領域では第二の画像のみが視認されることを特徴とする情報担持体を出願している(特許文献3参照)。
特開2008−120078号公報 特開2010−173161号公報 特開2010−17925号公報
特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の技術は、いずれも基材表面に印刷した第1の画線の上に、パール効果のある第2の画線を重ね合わせて形成する構成であって、拡散反射光下では、第一の画像が、正反射光下では、第二の画像が視認される効果を有する優れた技術である。しかしながら、これらの技術は、いずれも拡散反射光下で視認される第一の画像が表現し得る色濃度(濃淡)に制限があり、図柄をデザインする上で大きな制約となっていた。例えば、特許文献1に記載の技術では、第一の画像を極めて淡く(L*90以上)構成する必要があり、特許文献2及び特許文献3に記載の技術では、第一の画像を中間調からベタ(網点面積率50%から100%)で構成する必要があった。以上のように、それぞれの技術で構成できる第一の画像の濃淡は、それぞれに制約があり、この制約を踏まえずに第一の画像をデザインした場合には所望の効果を発揮することができなかった。
また、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、盛り上がりを有する蒲鉾状の画線群で第二の画像を形成する必要があった。盛り上がりを有する画線群を形成するためには、画線と対となる非画線がなければならないが、非画線を設けることで第二の画像の面積率は大きく低下する。メタリック顔料やパール顔料に代表される材料の光の反射光量は面積率に依存することから、第二の画像の面積率が小さくなれば反射光の量は小さくなって第二の画像の視認性は相対的に低下するために、結果として画像のチェンジ効果が小さくなるという問題があった。
また、特許文献1及び特許文献2に記載の技術において、盛り上がりを有する画線に高いパール効果を付与する場合には、パール顔料が盛り上がりのある画線の表面に揃って配向している必要があり、配向が揃っていない場合には、パール効果は著しく低下し、画像のチェンジ効果も小さくなるという問題があった。顔料を盛り上がりのある画線の表面に揃って配向させる方法としては、例えば、特開2001−106937号公報に記載の技術のように、顔料に撥水及び撥油性を付与する方法を用いたり、あるいは盛り上がりのある画線を樹脂で形成した後に顔料を吹き付ける等の特殊な製造工程を経る必要があり、極めて特別な工夫が必要であった。
一方、特許文献3に記載の技術では、第一の画像を金属光沢インキで形成する必要があった。金属光沢インキは、通常の着色インキと比べて光を反射する特性に優れることから、画像のチェンジ効果を高めることができるものの、インキが金色や銀色等に限定されることから、第一の画像の濃淡に制限があるだけでなく、使用できる色彩にも大きな制限が生じ、第一の画像のデザイン上の制約が極めて大きいという問題があった。また、金属光沢インキは、酸や塩基に対する耐性が充分ではなく、長期にわたる使用や流通を考慮した場合の堅ろう性に問題があった。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、特殊な処理をされた顔料と印刷時に特別の工夫を施す必要がなく、第一の画像と第二の画像のチェンジ効果がより良好な潜像印刷物に関するものである。
本発明は、基材上の少なくとも一部に、基材の色と異なる色のインキにより形成された第一の画像と、第一の画像の上に、カラーフリップフロップ性を有する透明又は半透明のインキにより形成された第二の画像が積層されて成る印刷領域を有し、第一の画像は、第一の要素を第一のピッチで第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報を構成する第一の情報領域を有し、第二の画像は、ベタ印刷により形成されたベタ領域と、ベタ領域内に白抜きから成る第二の要素を第一のピッチで第一の方向に複数配列して形成した第二の有意情報を構成する第二の情報領域を有し、第二の要素が、第一の要素と重ならないように配置され、拡散反射光下の観察においては、第二の画像が透明又は半透明であるため、第二の画像を通じて第一の画像の反射により第一の有意情報のみが視認され、正反射光下の観察においては、第二の画像がカラーフリップフロップ性によって特定の色相で可視化されるとともに、第一の画像へと入射する光が遮蔽され、第一の有意情報が消失し、第二の有意情報が視認されることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第一の情報領域が、第一の要素を5%以上50%以下の面積率の範囲で形成して成り、ベタ領域は、80%以上100%以下の面積率の範囲で形成して成り、第二の情報領域は、第二の要素を5%以上95%以下の面積率の範囲で形成して成ることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第一の画像が、前記第一の要素と重ならないように、第三の要素を前記第一のピッチで前記第一の方向に複数配列することで、更に、透過光下においては、第一の画像のコントラストが低下して淡くなることで不可視となり、第二の有意情報のみが視認されることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、複数配列された第一の要素、第二の要素及び第三の要素が、画線又は画素群の少なくとも一つ又はそれぞれの組合せであることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第一の要素、第二の要素及び第三の要素が、一つの要素内において、画線又は画素群の少なくとも一つ又はそれぞれの組合せであることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明の潜像印刷物は、従来の特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載の技術に存在していた第一の画像の濃淡に関する制約が存在しない。すなわち、第一の画像は、淡い画像でもよいし、中間調の画像でもよいし、濃い画像でもよく、濃淡を自由にデザインすることができる。また、特許文献3に記載の技術のように、金属光沢インキを用いて形成する必要もなく、色彩設計上の制約も存在しない。
また、本発明の潜像印刷物は、従来の特許文献1及び特許文献2に記載の技術のように、第二の画像を盛り上がりのある画線で構成する必要はない。よって、第二の画像を面積率100%の領域を有した構成で形成することができ、従来の技術と比較して第二の画像は、光の反射特性に優れるために、結果として画像のチェンジ効果も高くなる。
また、本発明の潜像印刷物は、従来の特許文献1及び特許文献2に記載の技術のように、第二の画像を盛り上がりのある画線で構成する必要はないことから、第二の画像の印刷方法はスクリーン印刷や凹版印刷等の特殊な印刷方法で形成する必要はなく、基本的にはオフセット印刷やフレキソ印刷及び凸版印刷等の一般的な印刷方式で形成することが可能であり、生産性やコストの観点でより優れる。
加えて、本発明の潜像印刷物は、従来の特許文献1及び特許文献2に記載の技術のように、第二の画像を盛り上がりのある画線によって構成する必要はないことから、第二の画像にパール効果を付与する場合、画線表面に顔料を揃って配向させるための特殊な顔料や特殊な加工方法を用いる必要がなく、一般的な印刷方法で顔料の配向を揃えて高いパール効果を得ることができる。一例としては、揮発性の高い溶剤タイプのパールインキを用いて印刷し、インキ中の溶剤成分が揮発することでパール顔料が自然に揃って配向させる方式が最も一般的で容易な印刷方法である。
本発明の実施の形態における潜像印刷物を示す図である。 本発明の実施の形態における潜像印刷物の構造を示す図である。 本発明の実施の形態における第一の画像を示す図である。 本発明の実施の形態における第二の画像を示す図である。 本発明の実施の形態における印刷順を示す図である。 本発明の実施の形態における第一の画像と第二の画像との、それぞれの画線の重なり合いの位置関係を示す図である。 本発明の実施の形態における効果を示す図である。 本発明の一実施例における潜像印刷物を示す図である。 本発明の一実施例における潜像印刷物の構造を示す図である。 本発明の一実施例における第一の画像を示す図である。 本発明の一実施例における第二の画像を示す図である。 本発明の一実施例における第一の画像と第二の画像との、それぞれの画線の重なり合いの位置関係を示す図である。 本発明の一実施例における効果を示す図である。 本発明の一実施例における潜像印刷物を示す図である。 本発明の一実施例における潜像印刷物の構造を示す図である。 本発明の一実施例における第一の画像を示す図である。 本発明の一実施例における第二の画像を示す図である。 本発明の一実施例における第一の画像と第二の画像との、それぞれの画線の重なり合いの位置関係を示す図である。 本発明の一実施例における効果を示す図である。 本発明の一実施例における潜像印刷物を示す図である。 本発明の一実施例における潜像印刷物の構造を示す図である。 本発明の一実施例における第一の画像を示す図である。 本発明の一実施例における第二の画像を示す図である。 本発明の一実施例における第一の画像と第二の画像との、それぞれの画線の重なり合いの位置関係を示す図である。 本発明の一実施例における効果を示す図である。 本発明の一比較例における潜像印刷物を示す図である。 本発明の一比較例における第一の画像と第二の画像との、それぞれの画線の重なり合いの位置関係を示す図である。 本発明の一比較例における効果を示す図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記の技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
図1は、本発明の潜像印刷物(1)を示す図であり、基材(2)上に印刷領域(3)を備えて成る。基材(2)は、上質紙、コート紙及びアート紙等の紙や、プラスティック及び金属等でもよく、素材は問わない。また、基材(2)の色は、いかなる色彩でもよい。
図2に、印刷領域(3)を構成する二つの画像を示す。印刷領域(3)は、第一の画像(4)と、第一の画像(4)の上に積層された第二の画像(5)を有して成る。なお、本実施の形態において、第一の画像(4)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表す第一の情報領域(12)を有し、第二の画像(5)は、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字を表す第二の情報領域(7)を有して成る。
図3に、第一の画像(4)と、第一の画像(4)の一部を拡大した図を示す。第一の画像(4)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表した第一の情報領域(12)を有する。第一の情報領域(12)は、画線幅W1の第一の要素(6)が第一の方向(図中S1方向)に第一のピッチP1で連続して配置され、第一の要素(6)の有無により形成されて成る。なお、本実施の形態において、第一の画像(4)は、第一の情報領域(12)のみで形成されており、第一の画像(4)と第一の情報領域(12)は、同様であり、第一の画像(4)中には、第一の要素(6)しか存在しないが、第一の要素(6)以外の画線や画素が存在してもよい。後述する実施例2において、第一の画像(4)中に第一の要素(6)以外の画線が存在する例について説明する。
図4に示す第二の画像(5)は、印刷領域(3)を積層して一定の濃度で構成したベタ領域(8)と、ベタ領域(8)の中に形成された第二の有意情報であるアルファベットの「JPN」の文字を表して成る第二の情報領域(7)を有する。ベタ領域(8)は、正反射時の第二の画像(5)の視認性を高めるため、面積率100%(ベタで形成される)で形成することが望ましいが、面積率100%で形成することで発生するムカレやピッキングといった印刷トラブルを避けるために、面積率80%前後まで落として形成してもよい。第二の情報領域(7)は、ベタ領域(8)の中に、画線幅W2で網点面積率0%(ヌキで形成される)の第二の要素(9)が、第一の方向(図中S1方向)に第一のピッチP1で連続して配置されて成る。
以上のような構成である第一の画像(4)と第二の画像(5)を、基材(2)に印刷して本発明の潜像印刷物(1)を形成する。図5に示すように、まず、第一の画像(4)を印刷した後に、第二の画像(5)を積層するように形成する。第一の画像(4)は、印刷で形成する場合には、一般的な着色インキを使用して形成してもよいし、特許参考文献3に記載の技術のように、金属光沢インキを使用して形成してもよく、基材と異なる色を有していれば如何なる色彩のインキで形成してもよい。
第二の画像(5)を印刷で形成する場合には、拡散反射光下で透明又は半透明であって、正反射光下では、特定の干渉色を発する、いわゆる、カラーフリップフロップ性を有したインキを用いて形成する。このカラーフリップフロップ性とは、金インキや銀インキ等のメタリックインキが有する、光を反射することで明度のみが変化する明暗フリップフロップ性とは異なり、光を反射することで色相も変化する特性のことである。カラーフリップフロップ性を備えた材料を用いることで、真偽判別性、意匠性及び偽造抵抗力を高く保つことができる。
第一の画像(4)は、如何なる印刷方式で形成してもよいが、凹版印刷方式やスクリーン印刷方式等の画線に盛り上がりが形成されてしまう印刷方式で形成した場合には、第一の画像(4)の上に重ねて形成する第二の画像(5)に第一の画像(4)の画線の盛り上がりが反映されてしまう場合があることから望ましくない。オフセット印刷方式、凸版印刷方式、フレキソ印刷方式及びグラビア印刷方式等により形成される画線の高さは低く、生産性も高いため、これらの印刷方式が望ましい。一方の第二の画像(5)は、カラーフリップフロップ性を付与できる印刷方式であれば、いかなる印刷方式で形成してもよい。オフセット印刷方式、凸版印刷方式、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式、凹版印刷方式及びスクリーン印刷方式等、あらゆる印刷方式で形成することができる。
図6において、第一の画像(4) と第二の画像(5)を重ね合わせた場合の、各画線の重なり合いの望ましい位置関係について説明する。最も望ましい位置関係とは、第一の画像(4)を構成する第一の要素(6)が、第二の画像(5)のベタ領域(8)で完全に積層され、かつ、第二の画像(5)の第二の要素(9)の下には、濃淡の変化がない構造(本実施の形態においては基材(2))の関係である。この図6に示した位置関係で、第一の画像(4)と第二の画像(5)を重ね合わせた場合に、本発明の2つの画像のチェンジ効果が最も高くなる。その理由については、図7の効果の説明とともに説明する。
本発明の潜像印刷物(1)の効果について、図7を用いて説明する。図7(a)は、本発明の潜像印刷物(1)を拡散反射光下で観察した場合に、印刷領域(3)中に視認することができる画像を示し、図7(b)は、本発明の潜像印刷物(1)を正反射光下で観察した場合に、印刷領域(3)中に視認することができる画像を示す。
なお、本明細書中でいう「拡散反射光下での観察」とは、光源(10)から入射する光が潜像印刷物(1)と成す角度と、観察者の視点(11a)と潜像印刷物(1)とが成す角度とが大きく異なり、潜像印刷物(1)から生じて観察者の視点(11a)に達する光の中に正反射光が占める割合が相対的に低く、拡散反射光が占める割合が相対的に高い観察条件をさす。また、本明細書中でいう「正反射光下での観察」とは、光源(10)から入射する光が潜像印刷物(1)と成す角度と、観察者の視点(11b)と潜像印刷物(1)とが成す角度とが近い値であり、潜像印刷物(1)から生じて観察者の視点(11b)に達する光の中に正反射光が占める割合が相対的に高く、拡散反射光が占める割合が相対的に低い観察条件をさす。
図7(a)に示す拡散反射光下での観察において、観察者(11a)には、第一の有意情報である「七宝」のマークのみが視認される。これは、第一の画像(4)が基材(2)と異なる色彩で形成されている一方で、第二の画像(5)は、透明又は半透明であるため、観察者には、第一の画像(4)のみが視認されるためである。
一方、図7(b)に示す正反射光下での観察において、観察者(11b)には、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字のみが視認される。これは、拡散反射光下において透明又は半透明により形成されたために不可視であった第二の画像(5)が、正反射光下では、光を強く反射することで干渉色を発して可視化される一方で、第一の画像(4)が第二の画像(5)が発する強い反射光によって目視上隠蔽されて不可視となるためである。よって、正反射光下の観察においては、第二の画像(5)がカラーフリップフロップ性によって特定の色相で可視化されるとともに、第一の画像(4)へと入射する光が遮蔽され、第一の有意情報が消失し、前記第二の有意情報が視認される。
以上のように、拡散反射光下の観察において、第一の画像(4)の第一の有意情報が視認され、加えて正反射光下の観察において、第一の画像(4)の中の第一の情報領域(12)が完全に消失して第二の画像(5)の第二の有意情報が視認される、高いチェンジ効果を実現するためには、いくつかの条件を満たす必要がある。
第一に、第一の画像(4)の中の第一の情報領域(12)の面積率は、低めに形成されている必要がある。具体的な面積率は、インキの着色力にもよるが、一般的なプロセスインキ程度の着色力のインキの場合、面積率5%以上50%以下に留めることが望ましい。面積率5%未満で第一の情報領域(12)を形成した場合、拡散反射光下において第一の有意情報を認識することが難しくなる場合があり、反対に、50%を超える面積率で第一の情報領域(12)を形成した場合には、正反射光下で第一の情報領域(12)が消失しない場合があるので、望ましくない。ただし、ここで述べた面積率の制限は、第一の情報領域(12)に適用されるものであって、第一の画像(4)全体については50%を超える高い面積率で形成し得る。その一例は、後述する実施例2で具体的に説明する。
第二に、図6で示したように、第一の要素(6)は、ベタ領域(8)によって積層されている必要がある。仮に、第一の要素(6)がベタ領域(8)によって積層されていない場合、一定の色濃度を有する第一の要素(6)は、正反射光下でも消失せず、一定のコントラストを有して視認されてしまうため、本発明の画像のチェンジ効果が失われてしまう。よって、第一の要素(6)をベタ領域(8)で積層する必要がある。なお、第一の情報領域(12)を極端に淡く形成するか、あるいは、光を強く反射する特性を有する高光沢なインキで形成した場合に限り、第一の要素(6)をベタ領域(8)で積層しなくとも、画像のチェンジ効果を得ることができる。ただし、これらは、第一の画像(4)の濃淡や色彩に制限を加えることで得られる効果であり、基本的には、先行技術文献としてあげた従来の技術の応用に属する構成である。
第三に、ベタ領域(8)中に形成されて成る、第二の有意情報を表した第二の情報領域(7)を構成する第二の要素(9)は、それぞれの第二の要素(9)が重ねられた各々の第二の要素(9)の直下の構造(第一の画像(4)又は基材(2))の間に、大きな濃淡差が存在してはならない。これは、第二の要素(9)は、ベタ領域(8)と異なり、光を反射する効果を有さないために、第二の要素(9)直下に存在する画像は、正反射光下でも消失せず、視認されてしまうためである。具体的な一例としては、第一の要素(6)の上に、第二の要素(9)を完全に重ね合わせるような構成としてはならない。このような構成とした場合には、正反射光下で視認される第二の有意情報の中に、第一の有意情報が反映されてしまい、不明瞭な画像となってしまうため避けなければならない。この例については、後述する比較例で説明する。本実施の形態では、第二の要素(9)を基材(2)の上に形成したが、第一の要素(6)以外の画線上や、その画線の一部だけに重ね合わせて形成してもよい。第一の要素(6)以外の画線上に第二の要素(9)を形成する例については、後述する実施例2で説明する。
最後に、第二の情報領域(7)の面積率は、5%以上95%以下で形成することが望ましい。5%未満で形成した場合には、正反射光下で出現する第二の有意情報が不鮮明な画像となる場合があり、面積率95%を超えて形成した場合には、相対的に第一の情報領域(12)の面積率を小さく設計する必要が生じ、第一の有意情報が不鮮明な画像となる場合があるため、避けなければならない。
以上のように、第一の情報領域(12)と第二の情報領域(7)の面積率と、第一の画像(4)と第二の画像(5)の重なり合いの位置関係を制御することで、拡散反射光下の観察において、第一の画像(4)の第一の有意情報が視認され、加えて、正反射光下の観察において、第一の画像(4)の中の第一の情報領域(12)が完全に消失して第二の画像(5)の第二の有意情報が視認されるという、高いチェンジ効果を実現することができる。
本実施の形態の説明において、第一の情報領域(12)を形成する第一の要素(6)を画線で形成したが、これに限定されるものではない。第一の要素(6)を画線ではなく、画素で形成した例については、後述する実施例3で説明する。また、画線と画素を同時に用いて第一の要素(6)を形成しても何ら問題ない。
また、本実施の形態の説明において、第二の情報領域(7)を形成する第二の要素(9)を画線で形成したが、これに限定されるものではない。第二の要素(9)を画線ではなく、画素で形成した例については、後述する実施例3で説明する。また、画線と画素を同時に用いて第二の要素(9)を形成しても何ら問題ない。
なお、本明細書における画線とは、印刷物における画像を構成する最小単位である印刷網点を、所定方向に隙間なく連続して配置することにより形成した画像要素であって、例えば、直線、曲線、波線、点線及び破線等の分断線等が含まれ、画線の形状は如何なるものであっても本発明における画線に含まれるものとする。画素とは、印刷物における画像を構成する最小単位である印刷網点自体又は印刷網点を複数集合させて形成した一塊の画像要素であって、例えば、円、三角形及び四角形等を含む多角形、星形等の各種図形、あるいは文字や記号等が含まれ、濃淡の変化が面積率、すなわち、点の大小により表現される網点形状であり、画素の形状は、如何なるものであっても本発明における画素に含まれるものとする。
第一の情報領域(12)及び第二の情報領域(7)の第一のピッチは、50μm以上2mm以下で形成することが望ましい。この第一のピッチは、特に限定されるものではないが、実際の製造時の画線再現性等を考慮すると、50μm未満で形成するのは、安定性にかけ、2mmを超えるピッチで形成した画像は、解像度が粗くなりすぎるために好ましくない。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した潜像印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
実施例1について、図8から図13を用いて説明する。実施例1は、通常の着色インキで第一の画像を形成し、第二の画像をスクリーン印刷方式で印刷して潜像印刷物を形成した例である。
図8は、本発明の潜像印刷物(1−1)を示す図であり、基材(2−1)上に印刷領域(3−1)を備えて成る。基材(2−1)は、一般的な白色上質紙(日本製紙製)を使用した。
図9に、印刷領域(3−1)を構成する2つの画像を示す。印刷領域(3−1)は、第一の画像(4−1)と第二の画像(5−1)を有して成る。第一の画像(4−1)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表し、第二の画像(5−1)は、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字を表して成る。
図10に第一の画像(4−1)と第一の画像(4−1)の一部を拡大した図を示す。第一の画像(4−1)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表した第一の情報領域(12−1)を有する。第一の情報領域(12−1)は、画線幅0.15mmの第一の要素(6−1)が第一の方向(図中S1方向)に0.4mmピッチで連続して配置されて成る。なお、本実施例1においては、第一の画像(4−1)には、第一の情報領域(12−1)しか存在しないため、第一の画像(4−1)と第一の情報領域(12−1)は同様である。以上の構成の画像を青色のプロセスオフセットインキ(DaiCure アビリオ プロセス 藍)を用いて、ウェットオフセット印刷方式で基材(2−1)上に第一の画像(4−1)を形成した。
図11に示す第二の画像(5−1)は、印刷領域(3−1)の面積全体を積層して一定の濃度で構成したベタ領域(8−1)と、ベタ領域(8−1)の中に形成された第二の有意情報であるアルファベットの「JPN」の文字を表して成る第二の情報領域(7−1)を有する。第二の情報領域(7−1)は、ベタ領域(8−1)の中に、画線幅0.15mmで網点面積率0%の第二の要素(9−1)が、第一の方向(図中S1方向)に0.4mmピッチで連続して配置されて成る。
以上のような構成である第一の画像(4−1)と第二の画像(5−1)を、基材(2−1)に印刷して本発明の潜像印刷物(1−1)を形成した。図5に示したように、まず、第一の画像(4―1)を印刷した後に、第二の画像(5−1)を積層するように、UV乾燥型のスクリーン印刷方式で形成した。第二の画像(5−1)は、表1に示すカラーフリップフロップ性を有した透明な虹彩色パール顔料を含んだインキで印刷した。このインキは、拡散反射光下では無色透明であるが、正反射光下では金色の干渉色を発する色彩変化に富んだインキである。
Figure 2013119247
なお、第一の画像(4−1)と第二の画像(5−1)の重ね合わせの位置関係について、図12に示す。第一の要素(6−1)は、ベタ領域(8−1)で完全に積層され、第二の要素(9−1)の下には、基材(2−1)のみがある位置関係になるように、第一の画像(4−1)と第二の画像(5−1)を重ね合わせた。
完成した本発明の潜像印刷物(1−1)の効果について、図13を用いて説明する。図13(a)は、本発明の潜像印刷物(1−1)を拡散反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−1)中に視認される画像を示し、図13(b)は、本発明の潜像印刷物(1−1)を正反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−1)中に視認される画像を示す。
図13(a)に示す拡散反射光下での観察において、観察者(11a−1)には、第一の有意情報である「七宝」のマークのみが第一の画像(4−1)を形成したインキの色である青色で視認された。また、一方の図13(b)に示す正反射光下での観察において、観察者(11b−1)には、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字のみが虹彩色パール顔料の干渉色の金色で視認された。
よって、拡散反射光下の観察において、第一の画像(4−1)の第一の有意情報が視認され、加えて正反射光下の観察において、第一の画像(4−1)の中の第一の情報領域(12−1)が完全に消失して第二の画像(5−1)の第二の有意情報を視認することができた。以上のように、高いチェンジ効果を確認することができるとともに、2つの観察条件の変化によって、色彩が鮮やかに変化することを確認することができた。
実施例2について、図14から図19を用いて説明する。実施例2は、通常の着色インキで第一の画像(4−2)を形成し、第二の画像(5−2)をスクリーン印刷方式で印刷して潜像印刷物(1−2)を形成した例であり、実施例1とは異なり、第一の画像(4−2)は、第一の情報領域(12−2)のほかに、背景領域(13−2)を有して成り、第一の画像(4−2)を淡いインキを用いて高い面積率で形成した例である。また、淡いインキを用いることで、透過光を用いた場合でも第二の有意情報を視認することができる潜像印刷物(1−2)の例である。
図14は、本発明の潜像印刷物(1−2)を示す図であり、基材(2−2)上に印刷領域(3−2)を備えて成る。基材(2−2)は、一般的な白色上質紙(日本製紙製)を使用した。
図15に、印刷領域(3−2)を構成する2つの画像を示す。印刷領域(3−2)は、第一の画像(4−2)と第二の画像(5−2)を有して成る。第一の画像(4−2)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表し、第二の画像(5−2)は、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字を表して成る。なお、本実施例2において、第一の画像(4−2)は、第一の情報領域(12−2)のほかに、一定の濃度で構成した画像である背景領域(13−2)を有する。
図16に、第一の画像(4−2)と第一の画像(4−2)の一部を拡大した図を示す。第一の画像(4−2)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表した第一の情報領域(12−2)を有する。第一の情報領域(12−2)は、画線幅0.20mmの第一の要素(6−2)が第一の方向(図中S1方向)に0.5mmピッチで連続して配置されて成る。また、背景領域(13−2)は、画線幅0.2mmの第三の要素(14−2)が同じく第一の方向(図中S1方向)に0.5mmピッチで連続して配置されて成る。第一の要素(6−2)と第三の要素(14−2)は、お互いに重なり合わないよう形成されて成る。
背景領域(13−2)は、第一の画像(4−2)に一定以上の濃度が要求される場合に、面積率の制限のある第一の情報領域(12−2)だけではデザイン上要求される充分な色濃度に達しない場合に修飾的に付与される画像であって、有意情報を含まず、第一の要素(6−2)と重なり合わないように配される第三の要素(14−2)によって形成される。以上の構成の第一の画像(4−2)を淡い水色のオフセットインキ(T&K TOKA P656U 淡藍)を用いて、ウェットオフセット印刷方式で基材(2−2)上に形成した。
図17に示す第二の画像(5−2)は、印刷領域(3−2)の面積全体を積層して一定の濃度で構成したベタ領域(8−2)と、ベタ領域(8−2)の中に形成された第二の有意情報であるアルファベットの「JPN」の文字を表して成る第二の情報領域(7−2)を有する。第二の情報領域(7−2)は、ベタ領域(8−2)の中に、画線幅0.15mmで網点面積率0%の第二の要素(9−2)が、第一の方向(図中S1方向)に0.5mmピッチで連続して配置されて成る。
以上のような構成である第一の画像(4−2)と第二の画像(5−2)を基材(2−2)に印刷して本発明の潜像印刷物(1−2)を形成した。図5に示したように、まず、第一の画像(4−2)を印刷した後に、第二の画像(5−2)を積層するように、UV乾燥型のスクリーン印刷方式で形成した。第二の画像(5−2)は、表1に示したカラーフリップフロップ性を有した透明な虹彩色パール顔料を含んだインキで印刷した。
第一の画像(4−2)と第二の画像(5−2)の重ね合わせの位置関係について、図18に示す。第一の要素(6−2)上には、ベタ領域(8−2)が完全に積層され、第二の要素(9−2)の下には、第三の要素(14−2)のみがある位置関係になるように、第一の画像(4−2)と第二の画像(5−2)を重ね合わせた。本実施例2において、第二の要素(9−2)と第三の要素(14−2)は、完全に重なり合って形成されて成るが、わずかに上下にお互いの刷り合わせがずれたとしても、第一の要素(6−2)に重ならなければ、問題ない。例えば、第二の要素(9−2)が、S1方向に0.1mmずれたとしても、第二の要素(9−2)と第三の要素(14−2)のピッチは同じであるため、その結果、全ての第二の要素(9−2)の下にある第三の要素(14−2)と基材(2−2)の比率は全て同じとなり、全ての第二の要素(9−2)の下の濃淡が一定の値となることから、本発明の特徴である画像のチェンジ効果に何ら影響を及ぼさない。
仮に、製造に使用する印刷機の印刷精度の問題で、第二の要素(9−2)がずれて、第一の要素(6−2)にわずかに重なったとしても、第二の要素(9−2)の下の第一の要素(6−2)の占める割合に対して、基材(2−2)や第三の要素(14−2)の占める割合が多いのであれば、影響は相対的に小さく、本発明のチェンジ効果は発揮できる。よって、仮に第一の要素(6−2)の割合に対して、第二の要素(9−2)と第一の要素(6−2)がわずかに重なったとしても、基材(2−2)や第三の要素(14−2)の割合が相対的に多ければ、本発明の構成に含まれるものとする。
図19に、完成した本発明の潜像印刷物(1−2)の効果について説明する。図19(a)は、本発明の潜像印刷物(1−2)を拡散反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−2)中に視認される画像を示し、図19(b)は、本発明の潜像印刷物(1−2)を正反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−2)中に視認される画像を示し、図19(c)は、本発明の潜像印刷物(1−2)を透過光で観察した場合に、印刷領域(3−2)中に視認することができる画像を示す。
図19(a)に示す拡散反射光下での観察において、観察者(11a−2)には、第一の有意情報である「七宝」のマークのみが、第一の画像(4−2)を形成したインキの色である淡い青色で視認された。また、一方の、図19(b)に示す正反射光下での観察において、観察者(11b−2)には、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字のみが、虹彩色パール顔料の干渉色である金色で視認された。また、透過光下の観察において、淡いインキで形成された第一の画像(4−2)がより淡くなって不可視となり、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字のみが、パール顔料の補色である青色で視認された。
よって、拡散反射光下の観察において、第一の画像(4−2)の第一の有意情報が視認され、加えて正反射光下の観察において、第一の画像(4−2)の中の第一の情報領域(12−2)が完全に消失して第二の画像(5−2)の第二の有意情報が視認され、加えて、透過光下でも第二の有意情報を視認することができた。以上のように、高いチェンジ効果を確認することができるとともに、3つの観察条件の変化によって、色彩が鮮やかに変化することを確認することができた。
実施例3について、図20から図25を用いて説明する。本実施例3は、第一の要素(6−3)及び第二の要素(9−3)をこれまでの例のように画線ではなく、画素で形成した例である。
図20は、本発明の潜像印刷物(1−3)を示す図であり、基材(2−3)上に印刷領域(3−3)を備えて成る。基材(2−3)は、一般的な白色上質紙(日本製紙製)を使用した。
図21に、印刷領域(3−3)を構成する二つの画像を示す。印刷領域(3−3)は、第一の画像(4−3)と第二の画像(5−3)を有して成る。第一の画像(4−3)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表し、第二の画像(5−3)は、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字を表して成る。
図22に第一の画像(4−3)と第一の画像(4−3)の一部を拡大した図を示す。第一の画像(4−3)は、第一の有意情報である「七宝」のマークを表した第一の情報領域(12−3)を有する。第一の情報領域(12−3)は、画素高さ0.2mm、画素幅0.2mmの第一の要素(6−3)を第一の方向及び第二の方向(図中S1方向及びS2方向)に0.5mmピッチで連続して配置されて成る。なお、本実施例3の形態においては、第一の画像(4−3)には、第一の情報領域(12−3)しか存在しないため、第一の画像(4−3)と第一の情報領域(12−3)は、同様である。以上の構成の画像を赤色のプロセスオフセットインキ(DaiCure アビリオ プロセス 紅N)を用いて、ウェットオフセット印刷方式で基材(2−3)上に形成した。
図23に示す第二の画像(5−3)は、印刷領域(3−3)の面積全体を積層して一定の濃度で構成したベタ領域(8−3)と、ベタ領域(8−3)の中に形成された第二の有意情報であるアルファベットの「JPN」の文字を表して成る第二の情報領域(7−3)を有する。第二の情報領域(7−3)は、ベタ領域(8−3)の中に、画素高さ0.3mm、画素幅0.3mmの第二の要素(9−3)が第一の方向及び第二の方向(図中S1方向及びS2方向)に0.5mmピッチで連続して配置されて成る。
以上のような構成である第一の画像(4−3)と第二の画像(5−3)を、基材(2−3)に印刷して本発明の潜像印刷物(1−3)を形成した。図5に示したように、まず、第一の画像(4−3)を印刷した後に、第二の画像(5−3)を積層するように、UV乾燥型のスクリーン印刷方式で形成した。第二の画像(5−3)は、表2に示すカラーフリップフロップ性を有した透明な虹彩色パール顔料を含んだインキで印刷した。このインキは、拡散反射光下では、無色透明であるが、正反射光下では、赤色の干渉色を発する色彩変化に富んだインキである。
Figure 2013119247
なお、第一の画像(4−3)と第二の画像(5−3)の重ね合わせの位置関係について、図24に示す。第一の要素(6−3)は、ベタ領域(8−3)で完全に積層され、第二の要素(9−3)の下には、基材(2−3)のみがある位置関係になるように、第一の画像(4−3)と第二の画像(5−3)を重ね合わせた。
図25に完成した本発明の潜像印刷物(1−3)の効果について説明する。図25(a)は、本発明の潜像印刷物(1−3)を拡散反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−3)中に視認される画像を示し、図25(b)は、本発明の潜像印刷物(1−3)を正反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−3)中に視認される画像を示す。
図25(a)に示す拡散反射光下での観察において、観察者(11a−3)には、第一の有意情報である「七宝」のマークのみが、第一の画像(4−3)を形成したインキの色である赤色で視認された。また、一方の図25(b)に示す正反射光下での観察において、観察者(11b−3)には、第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字のみが、虹彩色パール顔料の干渉色である赤色で視認された。
よって、拡散反射光下の観察において、第一の画像(4−3)の第一の有意情報が視認され、加えて、正反射光下の観察において、第一の画像(4−3)の中の第一の情報領域(12−3)が完全に消失して第二の画像(5−3)の第二の有意情報を視認することができ、高いチェンジ効果を確認した。また、第一の画像(4−3)の色と第二の画像(5−3)の干渉色の色相を同じにすることで、色彩変化は抑えられるものの、第二の画像(5−3)が発する干渉色によって、第一の画像(4−3)の第一の有意情報の消失する効果がいっそう高まり、かつ、第二の画像(5−3)の赤色の干渉色もより強く感じられるために、第二の画像(5−3)の視認性がより高く感じられる結果となった。
(比較例)
最後に比較例について、図26から図28を用いて説明する。本比較例では、実施例1と同様な画線構成と材料を用いるものの、第一の画像と第二の画像の刷り合わせを合わせず、従来の技術によって比較用の印刷物を形成した例である。
図26は、本比較例の印刷物(1−4)を示す図であり、基材(2−4)上に印刷領域(3−4)を備えて成る。基材(2−4)は、一般的な白色上質紙(日本製紙製)を使用した。
本比較例用の印刷物(1−4)の画線構成及び材料構成は実施例1と同一であることから、図示しない。第一の画像(4−4)を青色のプロセスオフセットインキ(DaiCure アビリオ プロセス 藍)を用いて、ウェットオフセット印刷方式で基材(2−4)上に形成し、その上に、第二の画像(5−4)を積層するように表1に示したスクリーンインキを用い、UV乾燥型のスクリーン印刷方式で形成した。
本比較例用の印刷物(1−4)の第一の画像(4−4)と第二の画像(5−4)の重ね合わせの位置関係について、図27に示す。第一の要素(6−4)は、ベタ領域(8−4)では積層せず、第二の要素(9−4)が第一の要素(6−4)の上に重なる位置関係になるように、第一の画像(4−4)と第二の画像(5−4)を重ね合わせた。
図28に完成した比較例用の印刷物(1−4)の効果について説明する。図28(a)は、比較例の印刷物(1−4)を拡散反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−4)中に視認される画像を示し、図28(b)は、比較例用の印刷物(1−4)を正反射光下で観察した場合に、印刷領域(3−4)中に視認される画像を示す。
図28(a)に示す拡散反射光下での観察において、観察者(11a−4)には、第一の有意情報である「七宝」のマークのみが第一の画像(4−4)を形成したインキの色である青色で視認された。この観察条件での効果は、本発明の潜像印刷物と遜色ない効果であった。しかし、一方の図28(b)に示す正反射光下での観察において、観察者(11b−4)には第二の有意情報である「JPN」のアルファベットの文字のみが虹彩色パール顔料の干渉色である金色で視認されるものの、「JPN」内部には、第一の有意情報である「七宝」の画像が反映されてしまい、不明瞭な画像として視認される結果となった。
以上のように、第一の画像(4−4)と第二の画像(5−4)の重ね合わせの位置関係を制御しない場合には、正反射光下の観察において、第一の画像(4−4)の中の第一の情報領域(12−4)が完全に消失せず、第二の画像(5−4)の第二の有意情報と混ざり合って視認されるため、本発明の構成を用いずに、従来技術のみで作製した印刷物では、本発明のような画像のチェンジ効果を得ることはできない。
1、1−1、1−2、1−3 潜像印刷物
1−4 比較例用の印刷物
2、2−1、2−2、2−3、2−4 基材
3、3−1、3−2、3−3、3−4 印刷領域
4、4−1、4−2、4−3、4−4 第一の画像
5、5−1、5−2 5−3、5−4 第二の画像
6、6−1、6−2、6−3、6−4 第一の要素
7、7−1、7−2、7−3 第二の情報領域
8、8−1、8−2、8−3、8−4 ベタ領域
9、9−1、9−2、9−3、9−4 第二の要素
10、10−1、10−2、10−3、10−4 光源
11a、11b、11a−1、11b−1、11a−2、11b−2、11c−2、11a−3、11b−3、11a−4、11b−4 観察者の視点
12、12−1、12−2、12−3、12−4 第一の情報領域
13−2 背景領域
14−2 第三の要素

Claims (5)

  1. 基材上の少なくとも一部に、前記基材の色と異なる色のインキにより形成された第一の画像と、前記第一の画像の上に、カラーフリップフロップ性を有する透明又は半透明のインキにより形成された第二の画像が積層されて成る印刷領域を有し、
    前記第一の画像は、第一の要素を第一のピッチで第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報を構成する第一の情報領域を有し、
    前記第二の画像は、ベタ印刷により形成されたベタ領域と、前記ベタ領域内に白抜きから成る第二の要素を前記第一のピッチで前記第一の方向に複数配列して形成した第二の有意情報を構成する第二の情報領域を有し、
    前記第二の要素は、前記第一の要素と重ならないように配置され
    拡散反射光下の観察においては、前記第二の画像が透明又は半透明であるため、前記第二の画像を通じて前記第一の画像の反射により前記第一の有意情報のみが視認され、
    正反射光下の観察においては、前記第二の画像がカラーフリップフロップ性によって特定の色相で可視化されるとともに、前記第一の画像へと入射する光が遮蔽され、前記第一の有意情報が消失し、前記第二の有意情報が視認されることを特徴とする潜像印刷物。
  2. 前記第一の情報領域は、前記第一の要素を5%以上50%以下の面積率の範囲で形成して成り、前記ベタ領域は、80%以上100%以下の面積率の範囲で形成して成り、
    前記第二の情報領域は、前記第二の要素を5%以上95%以下の面積率の範囲で形成して成ることを特徴とする請求項1記載の潜像印刷物。
  3. 前記第一の画像は、前記第一の要素と重ならないように、第三の要素を前記第一のピッチで前記第一の方向に複数配列することで、更に、透過光下においても、前記第一の画像のコントラストが低下して淡くなることで不可視となり、前記第二の有意情報のみが視認されることを特徴とする請求項1又は2記載の潜像印刷物。
  4. 複数配列された前記第一の要素、前記第二の要素及び前記第三の要素は、画線又は画素の少なくとも一つ又はそれぞれの組合せであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の潜像印刷物。
  5. 前記第一の要素、前記第二の要素及び前記第三の要素は、一つの要素内において、画線又は画素の少なくとも一つ又はそれぞれの組合せであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の潜像印刷物。
JP2011269568A 2011-12-09 2011-12-09 潜像印刷物 Active JP5849374B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011269568A JP5849374B2 (ja) 2011-12-09 2011-12-09 潜像印刷物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011269568A JP5849374B2 (ja) 2011-12-09 2011-12-09 潜像印刷物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013119247A true JP2013119247A (ja) 2013-06-17
JP5849374B2 JP5849374B2 (ja) 2016-01-27

Family

ID=48772133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011269568A Active JP5849374B2 (ja) 2011-12-09 2011-12-09 潜像印刷物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5849374B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000006565A (ja) * 1998-06-26 2000-01-11 Toppan Printing Co Ltd カラーコピー防止印刷物
JP2005001345A (ja) * 2003-06-16 2005-01-06 National Printing Bureau 真偽判別形成体
JP2010269476A (ja) * 2009-05-20 2010-12-02 National Printing Bureau 真偽判別可能な情報担持体
JP2011037234A (ja) * 2009-08-18 2011-02-24 National Printing Bureau 潜像印刷物
JP2011218655A (ja) * 2010-04-08 2011-11-04 National Printing Bureau 潜像印刷物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000006565A (ja) * 1998-06-26 2000-01-11 Toppan Printing Co Ltd カラーコピー防止印刷物
JP2005001345A (ja) * 2003-06-16 2005-01-06 National Printing Bureau 真偽判別形成体
JP2010269476A (ja) * 2009-05-20 2010-12-02 National Printing Bureau 真偽判別可能な情報担持体
JP2011037234A (ja) * 2009-08-18 2011-02-24 National Printing Bureau 潜像印刷物
JP2011218655A (ja) * 2010-04-08 2011-11-04 National Printing Bureau 潜像印刷物

Also Published As

Publication number Publication date
JP5849374B2 (ja) 2016-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5358819B2 (ja) 潜像印刷物
JP5900820B2 (ja) 潜像印刷物
JP2019166711A (ja) 色彩変化印刷物
JP5186655B2 (ja) 真偽判別可能な情報担持体
JP5885164B2 (ja) 潜像印刷物
JP6399359B2 (ja) 潜像印刷物
JP5533731B2 (ja) 潜像印刷物
JP6300101B2 (ja) 特殊潜像画像体
JP6032419B2 (ja) 潜像印刷物
JP5907382B2 (ja) 潜像印刷物
JP4840693B2 (ja) 偽造防止印刷物
JP5920781B2 (ja) 潜像印刷物
JP2003305938A (ja) 偽造防止印刷物
JP7089249B2 (ja) 偽造防止印刷物
JP6394984B2 (ja) 潜像印刷物
JP2013188909A (ja) 潜像印刷物
JP5849374B2 (ja) 潜像印刷物
JP6886662B2 (ja) 潜像印刷物
JP2017056641A (ja) 真偽判別可能な情報担持体
JP5920784B2 (ja) 潜像印刷物
JP2017065185A (ja) 偽造防止印刷物
JP2020114639A (ja) 偽造防止印刷物
JP7329800B2 (ja) 潜像印刷物
JP6966745B2 (ja) 偽造防止印刷物
JP5721103B2 (ja) 潜像印刷物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150317

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150803

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150820

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151116

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5849374

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250