JP2013119182A - インクジェットプリントヘッド - Google Patents

インクジェットプリントヘッド Download PDF

Info

Publication number
JP2013119182A
JP2013119182A JP2011267317A JP2011267317A JP2013119182A JP 2013119182 A JP2013119182 A JP 2013119182A JP 2011267317 A JP2011267317 A JP 2011267317A JP 2011267317 A JP2011267317 A JP 2011267317A JP 2013119182 A JP2013119182 A JP 2013119182A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink flow
ink
flow path
print head
vibration film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011267317A
Other languages
English (en)
Inventor
Takanari Nagahata
隆也 長畑
Akira Sawamura
陽 沢村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rohm Co Ltd
Original Assignee
Rohm Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rohm Co Ltd filed Critical Rohm Co Ltd
Priority to JP2011267317A priority Critical patent/JP2013119182A/ja
Publication of JP2013119182A publication Critical patent/JP2013119182A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】吐出性能を向上することができるインクジェットプリントヘッドを提供する。
【解決手段】インクジェットプリントヘッド1は、インク流通方向21に延びた加圧室20と、加圧室20の容積を変化させるように変形する振動膜5と、振動膜5の縁部を支持し、振動膜5とともに加圧室20を区画するシリコン基板2と、振動膜5の加圧室20とは反対側の表面に接して形成された圧電素子6と、加圧室20のインク流通方向21に関する途中位置において、インク流通方向21と交差するように振動膜5に沿って延びた支持縁部23aを有し、この支持縁部23aにおいて振動膜5に接して、振動膜5を支持する中間支持部材としての梁部材23とを含む。
【選択図】図1

Description

この発明は、圧電素子によってインク流路内の容積を変化させてインクを吐出するインクジェットプリントヘッドに関する。
特許文献1は、流路形成基板と、ノズル基板と、圧電アクチュエータとを備えたインクジェットプリントヘッドを開示している。流路形成基板には、インク流路が形成されており、インク流路は、吐出されるインクが満たされる圧力チャンバを有している。圧力チャンバの上部には、圧電アクチュエータの駆動によって変形される振動膜が設けられている。
圧電アクチュエータは、下部電極と上部電極との間に圧電体膜を挟んで構成されている。圧力チャンバは、細長い長方形の平面形状を有していて、圧電体膜は、その縁部が圧力チャンバの縁部から後退して位置するように配置されている。このような構成により、圧電アクチュエータを駆動すると、逆圧電効果によって圧電体膜が伸縮し、それによって振動膜が変形する。これにより、圧力チャンバ内の容積が変化するので、圧力チャンバ内のインクがノズル基板に形成されたノズルから吐出される。
特開2005−238845号公報
振動膜において圧電体膜が形成されている領域は、圧電体膜によって拘束されているため、大きく変形することができない。したがって、振動膜において最も大きく変形するのは、圧電体膜の縁部と圧力チャンバの縁部との間の周縁領域である。この周縁領域の変形によって、圧力チャンバの容積変化がもたらされる。より詳細には、圧力チャンバは細長い直方体の空間となっていて、それに応じて、圧電体膜の形状は細長い長方形となっている。そのため、その長方形の長手方向に関しては圧電体膜が大きく変形するのに対し、その長方形の幅方向に関する圧電体膜の変形量は小さい。したがって、圧力チャンバ内の容積変化に対する寄与は、主として振動膜の長手方向両端部領域における変形によってもたらされる。したがって、圧力チャンバの長さを長くしても、圧力チャンバの容積変化率をさほど大きくすることができず、吐出性能の向上には限界があった。
そこで、この発明の目的は、吐出性能を向上することができるインクジェットプリントヘッドを提供することである。
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、インク流通方向に延びたインク流路(より具体的には、インクを加圧するための加圧室を構成する流路)と、前記インク流路を区画し、前記インク流路の容積を変化させるように変形する振動膜と、前記インク流通方向両端部および前記インク流通方向に沿う両側部において前記振動膜の縁部を支持(より具体的には非可動状態に支持)し、前記振動膜とともに前記インク流路を区画するインク流路形成部材と、前記振動膜の前記インク流路とは反対側の表面に接して形成された圧電素子と、前記インク流路の前記インク流通方向に関する途中位置において、前記インク流通方向と交差するように前記振動膜に沿って延びた支持縁部を有し、この支持縁部において前記振動膜に接して、当該振動膜を支持(より具体的には非可動状態に支持)する中間支持部材とを含む、インクジェットプリントヘッドを提供する。
この構成によれば、振動膜およびインク流路形成部材によってインク流路が区画されていて、振動膜のインク流路とは反対側の表面に接して圧電素子が形成されている。圧電素子を駆動すると振動膜を変形させることができるから、インク流路の容積変化を生じさせて、インク流路内のインクを押し出して吐出することができる。振動膜の変形は、主として、振動膜の非可動状態に支持されている縁部と圧電素子の素子縁部との間で生じる。この主たる変形領域を、便宜上、「主変形領域」と呼ぶことにする。
インク流路のインク流通方向に関する途中位置には、中間支持部材の支持縁部が配置されており、この支持縁部が振動膜に接して、当該振動膜を支持している。これにより、振動膜は、インク流通方向に関する途中位置において中間支持部材の支持縁部によって拘束されている。したがって、振動膜は、インク流路形成部材によってインク流通方向両端部およびインク流路方向に沿う両側部において縁部が支持されているうえに、中間支持部材の支持縁部によって、インク流通方向に関する途中位置でも支持されている。これにより、振動膜は非可動状態に拘束された長い縁部を有することになる。その結果、この長い縁部と圧電素子(とくに圧電体膜)との間の領域である主変形領域の総延長が、インク流路の周囲長よりも長くなる。これにより、圧電素子を駆動したときに振動膜を大きく変形させることができるので、インク流路の容積変化率を大きくすることができる。その結果、インク吐出性能を向上できる。
容積変化率は、たとえば、振動膜が非変形状態のときのインク流路の容積(最大容積)に対する容積変化量の割合である。容積変化量とは、振動膜の最大変形状態におけるインク流路の容積(最小容積)とインク流路の最大容積との差である。
インク流路はインク流通方向に沿って細長く形成されるのが通常であるから、中間支持部材がインク流通方向と交差するように延びた支持縁部で振動膜を支持することによって、圧電素子の変形により、支持縁部の近傍で振動膜に大きな変形を生じさせることができる。
請求項2記載の発明は、前記圧電素子が、前記振動膜の縁部および前記中間支持部材の支持縁部から間隔を開けて配置された素子縁部を有する、請求項1に記載のインクジェットプリントヘッドである。
この構成では、振動膜の縁部および中間支持部材の支持縁部から間隔を開けて圧電素子の素子縁部が配置されている。そのため、圧電素子の素子縁部と振動膜において流路形成部材または中間支持部材によって拘束された部分との間の主変形領域は、圧電素子の剛性(主として圧電体膜の剛性)の影響を受けないので、主変形領域における振動膜の変形を効率的に生じさせることができる。それより、インク流路の容積変化率を大きくすることができる。
請求項3記載の発明は、前記中間支持部材が、前記インク流路形成部材の両側部間に架け渡された梁部材を含む、請求項1または2に記載のインクジェットプリントヘッドである。
梁部材は、インク流路形成部材の両側部間に架け渡されているから、インク流通方向に交差する方向に延びた長い支持縁部を有している。これにより、インク流路形成部材の両側部間の幅が小さい場合であっても、インク流通方向に長く延びた圧電素子の変形を効率的に利用して、梁部材の支持縁部の近傍において、振動膜に大きな変形をもたらすことができる。
前記梁部材は、インク流路方向に対して直交する直線状の梁部材であってもよいし、インク流通方向に対して斜めに交差する梁部材であってもよいし、曲線状の部材であってもよい。梁部材は、インク流路形成部材と同じ材料で一体的に形成されていてもよいし、インク流路形成部材とは別の材料を用いて形成されていてもよい。
梁部材は、インク流路のインク流通方向両端から、インク流路の幅(インク流通方向に直交する方向の幅)よりも長い距離(好ましくは当該幅の8倍以上、さらに好ましくは10倍以上の距離)を開けて、配置されていることが好ましい。
請求項4記載の発明は、前記梁部材が、前記インク流通方向に所定の間隔を開けて、前記インク流路の両端の間に複数個配置されている、請求項3に記載のインクジェットプリントヘッドである。
この構成によれば、インク流通方向に間隔を開けて複数の梁部材が配置されているので、振動膜は、拘束された縁部と圧電素子の素子縁部との間の領域(主変形領域)を一層多く有することになる。その結果、振動膜を効率的に変形させることができるので、インク流路の容積変化率を大きくして、インク吐出性能を一層向上することができる。
複数の梁部材のインク流通方向の間隔は、インク流路の幅(インク流通方向に直交する方向の幅)よりも長い距離(より好ましくは当該幅の8倍以上、さらに好ましくは10倍以上の距離)であることが好ましい。
請求項5記載の発明は、前記中間支持部材が、前記インク流路形成部材の前記インク流路に沿う側面から前記インク流路に向かって突出した突条部を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッドである。
この構成では、突条部は、インク流通方向に交差する支持縁部を有し、その支持縁部で振動膜を拘束することになる。インク流路形成部材の側面からインク流路に向かって突出した突条部は、たとえば、インク流路形成部材をエッチングしてインク流路を形成するときに同時に形成することができる。したがって、インク流路の容積変化率を大きくしてインク吐出性能を向上できるインクジェットプリントヘッドを少ない工程で製造することができる。
請求項6記載の発明は、前記突条部が、前記インク流路形成部材の前記インク流通方向に沿う一対の側面からそれぞれ突出した少なくとも一対の突条部を含む、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッドである。むろん、インク流通方向に間隔を開けて複数対の突条部が配置されていてもよい。複数対の突条部のインク流通方向の間隔は、インク流路の幅(インク流通方向に直交する方向の幅)よりも長い距離(より好ましくは当該幅の8倍以上、さらに好ましくは10倍以上の距離)であることが好ましい。
この構成によれば、インク流路形成部材の一対の側面からそれぞれ突条部が突出しているので、振動膜は、インク流通方向と交差する方向に沿って拘束される縁部を多く有することができる。これにより、振動膜の変形を効率的に生じさせて、インク流路の容積変化率を大きくすることができる。
請求項7に記載されているように、前記一対の突条部が、前記インク流通方向と直交する方向に対向して配置されていてもよい。また、請求項8に記載されているように、前記一対の突条部が、前記インク流通方向に関してずらされて配置されていてもよい。
請求項9記載の発明は、前記中間支持部材が前記インク流路形成部材の前記インク流通方向に沿う側面から離れた前記支持縁部を有する支持柱を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッドである。この構成では、中間支持部材としての支持柱は、インク流路形成部材の側面から離れた位置で振動膜を拘束する支持縁部を有しているから、振動膜の縁部は、一層長い距離にわたって拘束される。これにより、主変形領域を一層大きくすることができるので、振動膜の変形をより一層効率的に生じさせて、インク流路の容積変化率を大きくすることできる。
請求項10記載の発明は、前記中間支持部材の前記インク流路に露出している表面が湾曲面である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッドである。この構成によれば、中間支持部材の表面が湾曲面であるので、インク流路内におけるインクの流通がスムーズになり、インク吐出性能をさらに向上することができる。
請求項11記載の発明は、前記圧電素子が、前記インク流通方向に関して前記中間支持部材を挟んで複数の作動部分に分割されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッドである。この構成によれば、中間支持部材の支持縁部と圧電素子の各作動部分の素子縁部との間に間隔を確保できるので、この間隔が確保された領域(主変形領域)において、振動膜の大きな変形を生じさせることできる。複数の作動部分に対しては、共通の駆動電圧が印加されるようになっていてもよいし、個別に駆動電圧が印加されるようになっていてもよい。複数の作動部分に対して個別の駆動電圧を印加できる構成とすれば、インク吐出量をきめ細かく管理することができる。
請求項12記載の発明では、前記複数の作動部分が、当該作動部分よりも幅狭(より具体的にはインク流通方向に直交する方向に関する作動部分の長さ(幅)よりも幅狭)の細線部によって互いに接続されている、請求項11に記載のインクジェットプリントヘッドである。
この構成によれば、圧電素子の複数の作動部分が互いに接続されているので、複数の作動部分に対して共通の駆動電圧を与えることができる。これにより、複数の作動部分を一様に駆動して、すぐれた吐出性能を実現することできる。幅狭の細線部によって振動膜が強固に拘束されることはないから、振動膜の大きな変形を確保することができる。
図1は、この発明の一実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの模式的な断面図である。 図2は、前記インクジェットプリントヘッドのノズル形成領域に形成されたインク流路としての加圧室および圧電素子の圧電体膜の配置を説明するための図解的な平面図である。 図3は、加圧室の構成を示すために一部を切り欠いたシリコン基板の斜視図である。 図4は、インクジェットプリントヘッドの構造例を説明するための横断面図である。 図5は、インクジェットプリントヘッドの別の構造例を説明するための横断面図である。 図6は、振動膜の変形を説明するための図解的な斜視図であり、インクジェットプリントヘッドのノズル形成領域の一部を切り欠いて表してある。 図7Aおよび図7Bは、インク流通方向の各位置での振動膜の変形量を表したグラフである。 図8は、この発明の第2の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室および圧電素子の構成を説明するための図解的な平面図である。 図9は、この発明の第3の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室および圧電素子の配置を説明するための図解的な平面図である。 図10は、図9の構造の変形例を示す図解的な平面図である。 図11は、図9の構造の他の変形例を示す図解的な平面図である。 図12は、この発明の第4の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室および圧電素子の配置を説明するための図解的な平面図である。 図13は、この発明の第5の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室および圧電素子の配置を説明するための図解的な平面図である。 図14は、この発明の第6の実施形態を説明するための断面図であり、加圧室のインク流通方向に沿う縦断面を示す。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの模式的な断面図である。インクジェットプリントヘッド1は、シリコン基板2と、インクを吐出する吐出口10dを有するノズル基板10とを備えている。ノズル基板10は、キャビティプレート10A,10B,10Cとを備えている。
シリコン基板2は、インク流路形成部材の一例であり、ノズル形成領域3を有している。ノズル形成領域3において、シリコン基板2には、インク流路(インク溜まり)としての加圧室20が形成されている。
キャビティプレート10Aは、たとえばシリコンプレートからなる。キャビティプレート10Aは、シリコン基板2の裏面に貼り合わされ、インク通路10a,11aを形成するように構成されている。インク通路10aは、加圧室20に連通し、この加圧室20にインクを供給するインク供給路である。インク通路11aは、インク供給路10aとは別の位置で加圧室20に連通しており、インク吐出通路11の一部を形成している。キャビティプレート10B,10Cは、プラスチック板またはステンレス板で構成されていてもよい。キャビティプレート10Bは、キャビティプレート10Aに貼り合わされており、キャビティプレート10Aのインク通路11aと整合するインク通路11bが、厚さ方向に貫通して形成されている。キャビティプレート10Cは、キャビティプレート10Bに貼り合わされており、キャビティプレート10Bのインク通路11bと整合するノズル通路11cが厚さ方向に貫通して形成している。インク通路11a,11bおよびノズル通路11cは、インク吐出通路11を形成している。加圧室20からインク吐出通路11を通って、ノズル通路11cの先端に形成された吐出口11dから、インクが吐出される。インク通路11aおよび11bは、それぞれの入口から出口まで一様な流路断面を有している。ノズル通路11cは、インク通路11bの出口に整合する入口を有し、吐出口11dに向かって流路断面がテーパー状に絞られている。
加圧室20は、図1の左右方向に細長く延びて形成されており、その一端部の底面にインク供給路10aが連通しており、その他端部の底面にインク吐出通路11が連通している。すなわち、加圧室20は、インク供給路10aからインク吐出通路11へと向かうインク流通方向21に沿って細長く延びた直方体形状の空間となるように、シリコン基板2によって区画されている。
ノズル形成領域3において、シリコン基板2の表面には、振動膜5が形成されている。振動膜5は、シリコン層5Aと、絶縁膜である酸化シリコン(SiO)層5Bとからなる。振動膜5の厚さは、たとえば、0.5μm〜2μmである。より具体的には、シリコン層5Aの厚さがたとえば0.3μm〜1.4μm程度であり、酸化シリコン層5Bの厚さがたとえば0.2μm〜0.6μm程度である。シリコン層5Aは、ノズル形成領域3において、シリコン基板2を裏面側から部分的にエッチングして加圧室20を形成し、その加圧室20の天面部に薄部を残すことによって形成されている。すなわち、シリコン基板2は、加圧室20以外の部分の厚部(厚さ50μm〜60μm)と、加圧室20の天面部である薄部とを有しており、その薄部が振動膜5を構成するシリコン層5Aをなしている。加圧室20は、振動膜5と、シリコン基板2の前記厚部(インク流路形成部材)とによって区画されており、この実施形態では、略直方体形状に形成されている。
ノズル形成領域3において、振動膜5の表面、すなわち酸化シリコン層5Bの表面には、圧電素子6が配置されている。圧電素子6は、酸化シリコン層5B上に形成された下部電極7と、下部電極7上に形成された圧電体膜8と、圧電体膜8上に形成された上部電極9とを備えている。言い換えれば、圧電素子6は、圧電体膜8を上部電極9および下部電極7で上下から挟むことにより構成されている。圧電素子6は、この実施形態では、複数の作動部分6A,6B,6Cに分割されている。下部電極7は、これらの複数の作動部分6A,6B,6Cに対して共通となっており、圧電体膜8および上部電極9は、作動部分毎に分割されている。
下部電極7は、たとえば、Ti(チタン)層およびPt(プラチナ)層(たとえば100nm〜150nm厚)を振動膜5側から順に積層した2層構造を有している。この他にも、Au(金)膜、Cr(クロム)膜、Ni(ニッケル)膜などの単膜で下部電極を形成することもできる。下部電極7は、圧電体膜8の下面に接し、さらに、圧電体膜8の外方の領域にまで延びた延長部を有している。
圧電体膜8としては、たとえば、ゾルゲル法またはスパッタ法によって形成されたPZT(PbZrTi1-X:チタン酸ジルコン酸鉛)膜を適用することができる。圧電体膜8の厚さは、1μm〜5μmが好ましい。振動膜5の全体の厚さは、圧電体膜8の厚さと同程度か、圧電体膜8の厚さの2/3程度とすることが好ましい。
上部電極9は、圧電体膜8と平面視同形状に形成されている。上部電極9は、たとえば、IrO(酸化イリジウム)層およびIr(イリジウム)層を圧電体膜8側から順に積層した2層構造を有している。
ノズル形成領域3において、振動膜5および圧電素子6の表面は、水素バリア膜13により覆われている。水素バリア膜13は、Al(アルミナ)からなる。これにより、圧電体膜8の水素還元による特性劣化を防止することができる。水素バリア膜13上には、層間絶縁膜14が積層されている。層間絶縁膜14は、SiOからなる。層間絶縁膜14上には、配線15,16が形成されている。配線15,16は、Al(アルミニウム)を含む金属材料からなる。
配線15の一端部は、下部電極7の延長部の上方に配置されている。配線15の一端部と下部電極7の延長部との間において、水素バリア膜13および層間絶縁膜14を連続して貫通する貫通孔17が形成されている。配線15の一端部は、貫通孔17内に入り込み、貫通孔17内で下部電極7と接続されている。
配線16の一端部は、上部電極9の周縁部の上方に配置されている。配線16の一端部と上部電極9との間において、水素バリア膜13および層間絶縁膜14を連続して貫通する貫通孔18が形成されている。配線16の一端部は、貫通孔18内に入り込み、貫通孔18内で上部電極9と接続されている。図1には、圧電素子6の一つの作動部分6Cに関してのみ上部電極9と配線16とは接続を示してあるが、図1に表れていない位置で、配線16と作動部分6A,6Bとが、同様の構成によって接続されている。ただし、複数の作動部分6A,6B,6Cに対して、個別の配線を設け、作動部分6A,6B,6Cの圧電体膜8に印加する電圧を個別に制御できるようにしてもよい。このようにすれば、インク吐出をきめ細かく管理することができる。
配線15,16の各他端部は、駆動回路4に接続されている。駆動回路4は、シリコン基板2のノズル形成領域3とは別の領域に形成されていてもよいし、シリコン基板2外に形成されていてもよい。
インクジェットプリントヘッド1の最表面には、表面保護膜19が形成されている。表面保護膜19は、たとえば、SiNからなる。層間絶縁膜14および配線15,16は、表面保護膜19により覆われている。
圧電素子6は、振動膜5を挟んで加圧室20に対向する位置に形成されている。すなわち、圧電素子6は、振動膜5の加圧室20とは反対側の表面に接するように形成されている。加圧室20には、図示しないインクタンクからインク供給路10aを通って供給されるインクが充填される。振動膜5は、加圧室20の天面部を区画していて、加圧室20に臨んでいる。振動膜5は、シリコン基板2の加圧室20の周囲の部分(厚部)によって支持されており、加圧室20に対向する方向(換言すれば振動膜5の厚さ方向)に変形可能な可撓性を有している。
駆動回路4から圧電素子6に駆動電圧が印加されると、逆圧電効果によって、圧電体膜8が変形する。これにより、圧電素子6とともに振動膜5が変形し、それによって、加圧室20の容積変化がもたらされ、加圧室20内のインクが加圧される。加圧されたインクは、インク吐出通路11を通って、吐出口11dから微小液滴となって吐出される。
図2は、ノズル形成領域3に形成されたインク流路としての加圧室20および圧電素子6の圧電体膜8の配置を説明するための図解的な平面図であり、シリコン基板2および圧電体膜8のみを示してある。また、図3は、加圧室20の構成を示すために一部を切り欠いたシリコン基板2の斜視図である。
シリコン基板2のノズル形成領域3には、複数の加圧室20が互いに平行に延びてストライプ状に形成されている。複数の加圧室20は、それらの幅方向に微小な間隔d1(たとえば15μm程度)を開けて等間隔で形成されている。
各加圧室20は、平面視において、インク供給路10aからインク吐出通路11に向かうインク流通方向21(図1を併せて参照)に沿って細長く延びた長方形形状を有している。各加圧室20において、インク流通方向21に関する両端の間の途中位置には、複数(この実施形態では2個)の梁部材23が、互いにインク流通方向21に間隔を開けて配置されている。この実施形態では、複数の梁部材23は、互いに等しい間隔d2を開けて配置されている。より具体的には、一つの梁部材23は、インク流通方向21に関して上流側の加圧室20の端(上流端)から間隔d2を開けて配置されている。さらに、当該一つの梁部材23からインク流通方向21に同じ間隔d2を開けて別の梁部材23が配置されている。さらに、当該別の梁部材23からインク流通方向21に同じ間隔d2を開けた位置に、インク流通方向21に関して下流側の加圧室20の端(下流端)が位置している。
各梁部材23は、インク流通方向21に直交する幅方向22に沿って延びている。梁部材23は、振動膜5を構成するシリコン層5Aと一体的に形成されていて、振動膜5の下面から加圧室20の内方へと突出しており、この実施形態では矩形断面を有している(図1参照)。これにより、梁部材23は、インク流通方向21と直交する支持縁部23aをインク流通方向21に関する両側に有しており、その支持縁部23aにおいて振動膜5を支持している。換言すれば、振動膜5は、梁部材23の支持縁部23aによってインク流通方向21に関する途中位置で支持されて拘束されている。
圧電素子6は、平面視において加圧室20の内縁20aおよび梁部材23の支持縁部23aによって区画された複数の領域内にそれぞれ配置された複数(この実施形態では3個)の作動部分6A,6B,6Cを有している。この実施形態では、作動部分6A,6B,6Cは、互いに分離されており、それぞれ、加圧室20の内縁20aおよび梁部材23の支持縁部23aから各内方の領域に間隔Gだけ後退した素子縁部6a,6b,6cを有している。この実施形態では、作動部分6A,6B,6Cは、それぞれインク流通方向21に沿って長手の長方形に形成されており、それに応じて、素子縁部6a,6b,6cはインク流通方向21に沿って長手の長方形を形成している。各作動部分6A,6B,6Cのインク流通方向21への十分な伸張変形を確保するためには、梁部材23のインク流通方向21に関する間隔d2は、加圧室20の幅方向22に関する長さ(幅)Wの8倍以上(より好ましくは10倍以上)であることが好ましい。
振動膜5において、圧電素子6の作動部分6A,6B,6Cの素子縁部6a,6b,6cと、加圧室20の内縁20aまたは梁部材23の支持縁部23aとの間の環状領域(この実施形態ではインク流通方向21に長手の矩形環状領域)は、主変形領域5Mである。主変形領域5Mは、圧電素子6または加圧室20もしくは梁部材23によって拘束されていない領域であり、主変形領域5Mにおいて振動膜5の主たる変形が生じることになる。作動部分6A,6B,6Cは、インク流通方向21に沿う長手の長方形に形成されているので、作動部分6A,6B,6Cに電圧をかけると、各作動部分6A,6B,6Cの圧電体膜8には、幅方向22に関しては小さな変形が生じ、インク流通方向21に関しては大きな変形が生じる。よって、主変形領域5Mのなかでも、加圧室20の両端縁20bまたは梁部材23の支持縁部23aの近傍の領域においてより大きな変形が局所的に生じることになる。この大きな変形が生じる領域を「局所変形領域」ということにする。局所変形領域は、振動膜5がインク流通方向21(加圧室20の長手方向)と交差する方向に沿って支持(拘束)されている場合に、その支持縁部(この実施形態では加圧室20の両端縁20bまたは梁部材23の支持縁部23a)と圧電素子6の素子縁部6a,6b,6cとの間の領域である。
図4は、インクジェットプリントヘッド1の構造例を説明するための横断面図であり、インク流通方向21に直交する幅方向22に沿う切断面(図2のA−A断面)が示されている。複数の加圧室20は、シリコン基板2に形成された区画壁25によって互いに分離されている。この区画壁25の厚さが、加圧室20の間の間隔d1である。区画壁25の表面は、加圧室20のインク流通方向21に沿う側面26を形成している。各加圧室20の一対の側面26の間に跨がるように、加圧室20の天面に梁部材23が配置されている。すなわち、梁部材23は、インク流通方向21に沿う一対の側部間に架け渡されている。そして、この実施形態では、梁部材23は、振動膜5と一体的に形成されており、シリコン層5Aと同じく、シリコン基板2の一部で構成されている。すなわち、梁部材23は、シリコン層5Aと同じ材料であるシリコンからなっている。
振動膜5の表層部分を構成する酸化シリコン層5Bの表面には、下部電極7が形成されている。下部電極7は、図4の構造例においては、複数の加圧室20に関して形成された複数の圧電素子6に対して共通の下部電極を構成しており、さらに、複数の作動部分6A,6B,6Cに対して共通の下部電極を構成している。すなわち、複数の圧電素子6は、圧電体膜8および上部電極9がそれぞれの素子毎および作動部分毎に分離されていて、圧電体膜8および上部電極9の周縁が素子縁部6a,6b,6cを形成している。下部電極7の膜厚は薄いので、この下部電極7のみが振動膜5の主変形領域5Mに形成されていたとしても、主変形領域5Mの変形は阻害されない。
図5は、インクジェットプリントヘッド1の別の構造例を説明するための横断面図であり、図4と同様な切断面が示されている。この構造例では、圧電素子6毎、および作動部分6A,6B,6C毎に、下部電極7が分離されている。このような構造によっても、各圧電素子6および各作動部分6A,6B,6Cを駆動して、振動膜5に変形を生じさせることができる。図5の構造例では、主変形領域5Mに圧電素子6のいずれの部分も形成されていないので、主変形領域5Mの変形量を一層大きくすることができる。
図6は、振動膜5の変形を説明するための図解的な斜視図であり、ノズル形成領域3の一部を切り欠いて表してある。ただし、図6には、梁部材23が設けられていない構成が示されている。説明の便宜上、インク流通方向21に沿ってX軸をとり、幅方向22に沿ってY軸をとり、加圧室20の深さ方向(変形していない状態の振動膜5の法線方向)にZ軸をとって、三次元直交座標系を定義する。
圧電素子6の上部電極9および下部電極7の間に電圧を印加すると、逆圧電効果によって、圧電体膜8がその主面に平行な方向へと伸張する。これにより、振動膜5が、その主面に沿って伸張することになる。圧電体膜8の変形は、振動膜5側においては、当該振動膜5によって制限される。そのため、圧電体膜8の伸張変形は、上部電極9側の方が下部電極7側よりも大きくなる。その結果、圧電素子6は、その素子縁部が加圧室20の内方空間へと入り込むように変形することになり、それに応じて、振動膜5は、加圧室20の内方に向かって窪むように変形する。この変形した状態が、図6において最も手前側に示す加圧室20に関して描かれている。
図7Aは、振動膜5の幅方向22(Y軸方向)に関する中央位置においてX軸方向の各位置での振動膜5の変形量を表したグラフである。この図7Aには、加圧室20のX軸方向の長さLを1100μmとし、幅方向22に関する長さ(幅)Wを55μmとし、さらに、圧電素子6の素子縁部と加圧室20の内縁との間に10μmの間隔Gを開けたサンプルについての測定結果が示されている。ただし、図7Aには、加圧室20の全長の半分の領域についての測定結果を示す。残り半分の領域における変形は、図7Aに示した変形量と対称に表れる。図7Aにおいて、横軸はX軸方向中心位置を原点としたときのX軸方向位置を表し、縦軸は非変形状態での振動膜5のY軸方向位置を原点として厚み方向(Y軸方向)変位を表す。厚み方向変位の負値は、加圧室20の内方へと窪む変位を表している。
振動膜5において圧電体膜8が形成されている部分は、圧電体膜8の剛性のために拘束されていて、大きな撓み変形を生じることができない。したがって、圧電素子6の素子縁部と加圧室20の内縁との間の主変形領域5Mにおいて振動膜5が大きく変形する。すなわち、主変形領域5Mにおいては、圧電体膜8が形成されている領域よりも大きな変形が生じている。とくに、加圧室20のインク流通方向21(加圧室20の長手方向)に関する両端部付近の局所変形領域において大きな変形が生じる。加圧室20の幅方向22に関する両端部(すなわち加圧室20の両側部付近)においては、振動膜5の変形はさほど大きくない。これは、圧電体膜8の幅方向22に関する長さが短いため、当該幅方向22に関する変形量が小さいからである。
図7Bは、加圧室20のインク流通方向21に関する長さLを500μmとし、幅方向22に関する幅Wを55μmとし、さらに、圧電素子6の素子縁部を加圧室20の内縁から10μmだけ後退して位置させたサンプルについての同様の測定結果を示す。
図7Aおよび図7Bの比較から明らかなとおり、振動膜5の周縁の主変形領域5M、とくに加圧室20のインク流通方向21に関する両端部付近の局所変形領域における振動膜5の変形量は、図7Aのサンプルと図7Bのサンプルとで有意な変化が生じていない。すなわち、主変形領域5M(とくに局所変形領域)における振動膜5の変形量は、加圧室20のインク流通方向21に関する長さを短くしても、ほぼ同様に生じることになる。
そこで、この実施形態では、インク流通方向21に交差する支持縁部23aを有する梁部材23が設けられ、この梁部材23の支持縁部23aによって振動膜5を拘束している。そのため、梁部材23の支持縁部23aと圧電素子6の作動部分6A,6B,6Cの素子縁部6a,6b,6cとの間に、大きな撓み変形を生じることができる局所変形領域が位置することになる。すなわち、梁部材23が設けられていない加圧室20においてはインク流通方向21の両端部付近のみが局所変形領域となるのに対し、この実施形態においては、加圧室20の両端部付近のみならず、梁部材23のインク流通方向21に関する両側も局所変形領域となり、振動膜5の大きな撓み変形が生じる。その結果、圧電素子6を駆動しているときと駆動していないときとで、加圧室20の容積を大きく変化させることができ、容積変化率を向上することができる。その結果、インク吐出性能の向上されたインクジェットプリントヘッド1を提供することができる。
図8は、この発明の第2の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室および圧電素子の構成を説明するための図解的な平面図である。図8において、前述の図1〜図6に示された各部に対応する部分には、同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、梁部材23の代わりに、加圧室20のインク流通方向21に沿う一対の側面26に、当該側面26から加圧室20の内方空間へと突出した突条部30が形成されている。突条部30は、この実施形態では、半円柱状に形成されていて、加圧室20の底面からその天面に至るように延びて、振動膜5に一体的に結合されている。したがって、振動膜5は、突条部30の上端のエッジ部である支持縁部30aに結合され、この支持縁部30aによって支持されて拘束されている。支持縁部30aは、加圧室20の側面からその内方へと突出した半円形であり、したがって、インク流通方向21と交差するように延びた部分を有している。
図8に示された構成では、加圧室20の相対向する一対の側面26に、幅方向22に沿って対向するように突条部30がそれぞれ形成されている。より具体的には、インク流通方向21に関する別の位置でそれぞれ対向する2対の突条部30が設けられている。各対の突条部30によって区切られる領域に、圧電素子6の作動部分6A,6B,6Cがそれぞれ配置されている。2対の突条部30は、インク流通方向21に関して、第1の実施形態における梁部材23と同様な位置に配置されていることが好ましい。
このような構成によっても、振動膜5は、加圧室20の両端だけでなく、インク流通方向21に関する途中位置において、インク流通方向21と交差するように延びた支持縁部30aを有する突条部30によって支持されている。そのため、主変形領域5Mの総延長が長くなり、かつ、局所変形領域が多くなるから、振動膜5は、より広い範囲において大きな変形を生じることになる。これによって、加圧室20の容積変化率を大きくすることができるので、インク吐出性能の向上されたインクジェットプリントヘッドを提供できる。
図9は、この発明の第3の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室および圧電素子の配置を説明するための図解的な平面図である。図9において、図8に示された各部に対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、加圧室20のインク流通方向21に沿う一対の側面26のうちの一方から、幅方向22に沿って加圧室20の内方に向かって、突条部33が突出している。この実施形態では、突条部33は、底面が半長円状の柱状体であって、加圧室20の底面からその天面まで延びて振動膜5と一体的に結合されている。図9に示す例では、複数の突条部33が、インク流通方向21に沿って間隔を開けて配置されている。そして、突条部33によってインク流通方向21に関して区画される3つの領域に、圧電素子6の作動部分6A,6B,6Cがそれぞれ配置されている。突条部33は、インク流通方向21に関して、第1の実施形態における梁部材23と同様な位置に配置されていることが好ましい。
突条部33は半長円形の支持縁部33aを有し、この支持縁部33aにおいて振動膜5を支持し、かつ当該振動膜を拘束している。支持縁部33aは、具体的には、幅方向22に延びた互いに平行な一対の直線部34と、当該一対の直線部34の間を滑らかに結合する半円部35とを有している。そのため、インク流通方向21と交差する領域が長いので、振動膜5のより広い領域を大きく変形させることができる。それによって、加圧室20の容積を大きく変化させることができるから、より効率的に加圧室20の容積変化率を大きくすることができる。
なお、図9に示す構成を変形して、加圧室20のインク流通方向21に沿う一対の両側面26に突条部33を配置し、それらの突条部を幅方向22に沿って互いに対向させてもよい。このような構造を図10に示す。
図11は、図9の構造のさらに他の変形例を示す図解的な平面図である。この構造例では、加圧室20のインク流通方向21に沿う一対の側面26において、インク流通方向21に関して異なる位置に突条部33がそれぞれ配置されている。すなわち、両側面26に、互い違いに突条部33が配置されている。この構成によれば、加圧室20内におけるインクの流れに対する影響を抑制しながら、突条部33によって振動膜5の中間部を支持することができる。これにより、インク吐出性能を一層向上することができる。
図12は、この発明の第4の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室20および圧電素子6の配置を説明するための図解的な平面図である。図12において、前述の図8に示された各部に対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、加圧室20の側面から離れた位置に、中間支持部材としての支持柱40が配置されている。支持柱40は、この実施形態では、幅方向22に沿って長軸を有する楕円形の底面を有する柱状体であって、加圧室20の底面からその天面にまで延びて振動膜5の下面に一体的に結合されている。よって、支持柱40は、楕円形の支持縁部40aを有し、この楕円形の支持縁部40aによって振動膜5を中間位置で支持し、かつ拘束している。支持縁部40aは、インク流通方向21に交差する部分を有しているので、前述の各実施形態の場合と同じく、当該支持縁部40aの近傍において振動膜5に大きな撓み変形を生じさせることができる。
図12に示す例では、支持柱40は、インク流通方向21に沿って間隔を開けて配置されている。そして、支持柱40によってインク流通方向21に関して区画される3つの領域に、圧電素子6の作動部分6A,6B,6Cがそれぞれ配置されている。支持柱40は、インク流通方向21に関して、第1の実施形態における梁部材23と同様な位置に配置されていることが好ましい。
図12の構成例では、複数の支持柱40は、幅方向22に沿ってずれた位置に配置されているが、複数の支持柱40の幅方向22に関する位置は揃えられていてもよい。
図8〜図12に示した構成における共通の利益は、中間支持部材としての突条部30,33または支持柱40がいずれも柱状体であって、そのため、シリコン基板2をその厚さ方向にエッチングして加圧室20を形成するときに、同時に突条部30,33または支持柱40を形成できることである。これにより、多くの製造工程を要することなく、加圧室20の容積変化率を向上したインクジェットプリントヘッドを製造することができる。
さらに、突条部30,33および支持柱40は、いずれも外周面に角部を有しておらず、加圧室20に臨む湾曲面を有している。それにより、突条部30,33および支持柱40は、インク流通方向21へのインクの流通を阻害しないから、加圧室20内におけるインクの流れをスムーズにすることができる。換言すれば、突条部30,33および支持柱40は、インク流通方向21に関する圧力損失を低減した流路構造を提供しつつ、振動膜5をインク流通方向21の中間部において支持する構造となっている。
図13は、この発明の第5の実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの加圧室20および圧電素子6の配置を説明するための図解的な平面図である。図13において、図2に示された各部の対応部分には同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、作動部分6A,6B,6Cは、完全には分離されておらず、作動部分6A,6B,6Cよりも幅狭の細線部50によって互いに結合されている。細線部50は、圧電体膜8を上部電極9および下部電極7で挟んだ構造を有している。細線部50は、この実施形態では、幅方向22に蛇行する蛇行形状に形成されていて、振動膜5の撓み変形を阻害しないようになっている。細線部50は、十分に細く形成されているので、主変形領域5Mにおける振動膜5の変形を阻害することはない。この構造による利益は、複数の作動部分6A,6B,6Cの圧電体膜8に対して等しい駆動電圧を印加することができることである。また、複数の作動部分6A,6B,6Cの上部電極9が連続しているので、上部電極9に関する配線構造を簡単にすることができる。
図14は、この発明の第6の実施形態を説明するための断面図であり、加圧室20のインク流通方向21に沿う縦断面が示されている。図14において、図1に示された各部に対応する部分には同一参照符号を付す。
この実施形態では、第1の実施形態と同様に、加圧室20のインク流通方向21に沿う一対の側部に掛け渡された梁部材53が設けられている。ただし、梁部材53は、その長手方向(幅方向22に平行な方向)に垂直な断面において下方側が半円形に形成されている。第1の実施形態における梁部材23は、断面が矩形であり、加圧室20に臨む部分に角部を有している。そのため、加圧室20内のインクの流れを阻害するおそれがある。それに対して、この実施形態における梁部材53は、加圧室20に臨む部分が湾曲面となっているので、加圧室20内におけるスムーズなインクの流れを保証することができる。これにより、インク吐出性能を一層向上することができる。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、第1および第6の実施形態においては、梁部材23,53がインク流通方向21に直交する直線状である例を示したが、インク流通方向21に対して斜めに交差するように梁部材23,53を配置してもよいし、梁部材23,53を曲線状に形成してもよい。
また、中間支持部材としての梁部材23,53、突条部33、または支持柱40は、シリコン基板2と同じ材料、すなわちシリコンで構成されていてもよいし、シリコン基板2とは異なる材料(たとえば絶縁膜)で構成されていてもよい。
さらに、中間支持部材として、梁部材、突条部および支持柱のうちの2種または3種を組み合わせて用いてもよい。
また、前述の実施形態では、中間支持部材(梁部材23,53、突条部33、または支持柱40)によって振動膜5がインク流通方向21に関して3つの領域に区分され、各領域に圧電素子6の作動部分6A,6B,6Cが配置された構成を示した。しかし、これは一例にすぎず、中間支持部材は、インク流通方向21に関して振動膜5を2つまたは4つ以上の領域に区分するように、一つまたは複数個設けられてもよい。この場合に、加圧室20の端部からインク流通方向21に沿って加圧室20の幅の8倍以上の間隔を開けて中間支持部材の支持縁部を配置することが好ましい。また、複数の中間支持部材がインク流通方向21に沿って間隔を開けて配置されるときは、その間隔は、加圧室20の幅の8倍以上とすることが好ましい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 インクジェットプリントヘッド
2 シリコン基板(半導体基板)
3 ノズル形成領域
4 駆動回路
5 振動膜
5M 主変形領域
6 圧電素子
6A,6B,6C 作動部分
6a,6b,6c 素子縁部
7 下部電極
8 圧電体膜
9 上部電極
20 加圧室(インク流路)
20a 内縁
20b 両端縁
21 インク流通方向
22 幅方向
23 梁部材
23a 支持縁部
25 区画壁
26 側面
30 突条部
30a 支持縁部
33 突条部
33a 支持縁部
40 支持柱
40a 支持縁部
50 細線部
53 梁部材

Claims (12)

  1. インク流通方向に延びたインク流路と、
    前記インク流路を区画し、前記インク流路の容積を変化させるように変形する振動膜と、
    前記インク流通方向両端部および前記インク流通方向に沿う両側部において前記振動膜の縁部を支持し、前記振動膜とともに前記インク流路を区画するインク流路形成部材と、
    前記振動膜の前記インク流路とは反対側の表面に接して形成された圧電素子と、
    前記インク流路の前記インク流通方向に関する途中位置において、前記インク流通方向と交差するように前記振動膜に沿って延びた支持縁部を有し、この支持縁部において前記振動膜に接して、当該振動膜を支持する中間支持部材とを含む、インクジェットプリントヘッド。
  2. 前記圧電素子が、前記振動膜の縁部および前記中間支持部材の支持縁部から間隔を開けて配置された素子縁部を有する、請求項1に記載のインクジェットプリントヘッド。
  3. 前記中間支持部材が、前記インク流路形成部材の両側部間に架け渡された梁部材を含む、請求項1または2に記載のインクジェットプリントヘッド。
  4. 前記梁部材が、前記インク流通方向に所定の間隔を開けて、前記インク流路の両端の間に複数個配置されている、請求項3に記載のインクジェットプリントヘッド。
  5. 前記中間支持部材が、前記インク流路形成部材の前記インク流路に沿う側面から前記インク流路に向かって突出した突条部を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
  6. 前記突条部が、前記インク流路形成部材の前記インク流通方向に沿う一対の側面からそれぞれ突出した少なくとも一対の突条部を含む、請求項5に記載のインクジェットプリントヘッド。
  7. 前記一対の突条部が、前記インク流通方向と直交する方向に対向して配置されている、請求項6に記載のインクジェットプリントヘッド。
  8. 前記一対の突条部が、前記インク流通方向に関してずらされて配置されている、請求項6に記載のインクジェットプリントヘッド。
  9. 前記中間支持部材が前記インク流路形成部材の前記インク流通方向に沿う側面から離れた前記支持縁部を有する支持柱を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
  10. 前記中間支持部材の前記インク流路に露出している表面が湾曲面である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
  11. 前記圧電素子が、前記インク流通方向に関して前記中間支持部材を挟んで複数の作動部分に分割されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェットプリントヘッド。
  12. 前記複数の作動部分が、当該作動部分よりも幅狭の細線部によって互いに接続されている、請求項11に記載のインクジェットプリントヘッド。
JP2011267317A 2011-12-06 2011-12-06 インクジェットプリントヘッド Pending JP2013119182A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011267317A JP2013119182A (ja) 2011-12-06 2011-12-06 インクジェットプリントヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011267317A JP2013119182A (ja) 2011-12-06 2011-12-06 インクジェットプリントヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013119182A true JP2013119182A (ja) 2013-06-17

Family

ID=48772080

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011267317A Pending JP2013119182A (ja) 2011-12-06 2011-12-06 インクジェットプリントヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013119182A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016054269A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2016054270A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2016054286A (ja) * 2014-08-05 2016-04-14 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2016058716A (ja) * 2014-09-04 2016-04-21 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2017045984A (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2017074751A (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2018020509A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
US10032977B2 (en) 2014-08-05 2018-07-24 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same
US10115883B2 (en) 2014-09-04 2018-10-30 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same
US10199565B2 (en) 2015-08-24 2019-02-05 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10522734B2 (en) 2014-08-05 2019-12-31 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same
JP2016054286A (ja) * 2014-08-05 2016-04-14 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
US10032977B2 (en) 2014-08-05 2018-07-24 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same
JP2016054270A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2016058716A (ja) * 2014-09-04 2016-04-21 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2016054269A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
US10115883B2 (en) 2014-09-04 2018-10-30 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same
JP2017045984A (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
US11322679B2 (en) 2015-08-24 2022-05-03 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same
US10199565B2 (en) 2015-08-24 2019-02-05 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same
JP2017074751A (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
JP2018020509A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
US10155382B2 (en) 2016-08-04 2018-12-18 Rohm Co., Ltd. Device using a piezoelectric element and method for manufacturing the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013119182A (ja) インクジェットプリントヘッド
JP6008347B2 (ja) インクジェットプリントヘッドおよびその製造方法
JP6252013B2 (ja) 液体吐出ヘッド、及び、液体吐出装置
JP2006272948A (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP2015193222A (ja) 圧電体膜利用装置
JP4179099B2 (ja) インクジェットヘッド
JP5427730B2 (ja) インクジェットプリントヘッド及びインクジェットプリントヘッド製造方法
JP4069832B2 (ja) インクジェットヘッド
JP3925650B2 (ja) インクジェットプリンタヘッド
JP2005059436A (ja) インクジェットヘッド
JP4240135B2 (ja) インクジェットヘッド
US7290865B2 (en) Inkjet head
JP2008213157A (ja) 液滴吐出装置
WO2019202723A1 (ja) ノズルプレートの製造方法及びインクジェットヘッド
JP4075731B2 (ja) インクジェットヘッド
JP5901282B2 (ja) 液体吐出ヘッド
US11273642B2 (en) Liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus
US7255429B2 (en) Inkjet print head
JP4292728B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
JP5925067B2 (ja) 液体吐出ヘッド
JP2005238721A (ja) インクジェットヘッド
JP4561637B2 (ja) インクジェットヘッド
JP6171051B1 (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP2018039152A (ja) 液体吐出ヘッド
JP7468113B2 (ja) 液体吐出ヘッド