JP2013116560A - 成形装置および成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、成形品の形状に関わらず、成形型を型開きさせるときに生じる部分的に偏った離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くようにモーメントが発生するのを防止して、成形型をまっすぐに型開きさせることができ、また、成形型と成形品が擦れて所謂カジリが発生するのを防止することができる成形装置および成形方法を提供する。
【解決手段】成形型1を型開きさせるときに、成形型1が傾くように発生するモーメントを打ち消すように力を成形型1に付与して、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに一致させるよう近づけるモーメント打ち消し力付与手段3を備えている。そして、モーメント打ち消し力付与手段3は、成形型1の周縁部に力を付与するよう配設されており、さらに、成形品Wの形状により成形型1を傾かせるように発生するモーメントに応じて、成形型1に付与する力を調整することができるよう構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】成形型1を型開きさせるときに、成形型1が傾くように発生するモーメントを打ち消すように力を成形型1に付与して、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに一致させるよう近づけるモーメント打ち消し力付与手段3を備えている。そして、モーメント打ち消し力付与手段3は、成形型1の周縁部に力を付与するよう配設されており、さらに、成形品Wの形状により成形型1を傾かせるように発生するモーメントに応じて、成形型1に付与する力を調整することができるよう構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、成形装置および成形方法に関し、さらに詳しくは、複数の成形型によりキャビティを形成してその内部に成形材料を充填して成形品を成形した後に、成形型に接続された成形型開閉手段により成形型を後退させて、成形品から成形型を離型させて型開きさせる成形装置および成形方法に関するものである。
成形品に応じてキャビティを形成するための成形型としては、一般に、相対向して開閉可能に配設された固定型および可動型などからなる主型があり、また、例えば図3に示すようにさらに可動型の固定型に対する開閉方向と異なる方向に開閉されるスライドコア1などがある。これらの可動型やスライドコアなどの成形型1は、成形品Wを成形するに際して、シリンダなどからなる成形型開閉手段2によってキャビティTを形成するように型閉じされて所定の力で型締される。また、成形が完了すると、成形型開閉手段2によって型開きされる。成形型開閉手段2は、成形装置に固定されている。
ここで、成形品Wが成形型1のキャビティ面に密着し貼り付いた状態となっており、成形型1を型開きするためには、成形型1と成形品Wが貼り付いた状態から、成形型開閉手段2によって離型抵抗に抗して所定の力で成形型1を後退移動させて離型させる必要がある。そして、この離型抵抗は、成形品Wの形状によって部分的に異なる場合がある。また、成形品Wの形状によっては、成形型1を型開きするときに離型時の成形品Wと成形型1との間に部分的に摩擦抵抗が生じる場合がある。そして、この摩擦抵抗は、成形品Wの形状によって、部分的に偏って生じる場合がある。この離型時の成形品Wとの間に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗を成形型1が受けると、図4に参照されるように、成形型1が傾く(α)ようにモーメントが発生し、離型重心位置Gが成形型開閉手段2の接続位置Cから離れ(l)、その結果、成形型1をまっすぐに後退移動させて型開きさせることができず、シリンダ20のピストンロッド21など成形型開閉手段2を変形させたり破損させることとなる。
そのため、従来の成形装置においては、型開き時に成形型1をまっすぐに後退移動させるために、その成形型1とこれに摺接する部分とにガイド機構5を設けることが、従来から行われている。このガイド機構5は、例えば成形型1とこれに摺接する部分とのいずれか一方に突部を設けるとともに、いずれか他方に突部をガイドするガイド溝を設けることにより構成されている。
また、成形装置に固定された成形型開閉手段2に対して成形型1が傾くのを許容して、シリンダ20のピストンロッド21など成形型開閉手段2の変形や破損を防止するために、図3に示したように、ピストンロッド21の中間部にジョイント6を介装することも、従来から知られている。なお、図3においては、例示的に4つのスライドコア1を型閉じた状態を示したもので、そのうちの1つのスライドコア1のみにガイド機構5が設けられているとともに、成形型開閉手段2がジョイント6を介して結合されている状態が示されているが、他のスライドコア1についても同様に、ガイド機構5や、ジョイント6が介装された成形型開閉手段2を備えている。
このようなジョイント6を有する成形装置は、特許文献1に開示されている。そして、特許文献1には、型開閉手段を構成するシリンダのピストンロッドを成形型の選択された位置に接続することが開示されている。さらに、特許文献1には、成形型の背面にグリッドパターンで配列された複数個のプレート固定用ねじ穴が設けられており、このプレート固定用ねじ穴の配列と整合するように中間プレートには複数個のボルト挿通穴が設けられており、このボルト挿通孔のうちの離型重心に最も近い位置のボルト挿通穴をねじ穴に加工してシリンダのピストンロッドと接続された軸材のねじ軸を螺合し、また、この軸材のねじ軸が螺合された中間プレートの各ボルト挿通孔が成形型のねじ穴に臨むようにして中間プレートを成形型に対して位置決めし、プレート固定用ボルトを選択されたボルト挿通穴に挿通してボルト固定用ねじ穴に螺合することなどが記載されている(0014)。そして、特許文献1の図1には、プレート固定用ボルトが中間プレートのねじ穴に隣接するボルト挿通穴に挿通され、成形型のボルト固定用ねじ穴に螺合された状態が示されている。
しかしながら、成形品Wの形状によって、成形型1を型開きさせるときに、部分的に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗を成形型1が受け、図4に示すように成形型1が傾く(α)ようにモーメントが発生し、その結果、離型重心位置Gが成形型開閉手段2の接続位置Cから離れ(l)ると、ガイド機構5やジョイント6に無理な力が加わって偏摩耗させたり変形や破損させる原因となり、また、成形型1と成形品Wが擦れて所謂カジリが発生するなどの問題が生じる。
また、特許文献1にあっては、プレート固定用ボルトにより成形型と中間プレートとを固定している位置と、シリンダのピストンロッドと接続された軸材のねじ軸が中間プレートに螺合されている位置とが異なっているため、成形型を型開きするときに傾くようにモーメントが発生し、成形型をまっすぐに型開きさせることができないという問題が依然としてあった。さらに、特許文献1にあっては、成形型の背面にグリッドパターンで配列された複数個のプレート固定用ねじ穴に対してプレート固定用ボルトを螺合し、また、中間プレートにグリッドパターンで配列された複数個のボルト挿通穴のうちの離型重心に最も近い位置のボルト挿通穴をねじ穴に加工してシリンダのピストンロッドと接続された軸材のねじ軸を螺合するものであるため、成形品の形状に応じて成形型と中間プレートとの結合位置と、中間プレートとピストンロッドとの結合位置を容易に変更することができず、また、接続位置を成形型の離型重心と正確に一致させることができないなどの問題があった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、成形品の形状に関わらず、成形型を型開きさせるときに生じる部分的に偏った離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くようにモーメントが発生するのを防止して、成形型をまっすぐに型開きさせることができ、また、成形型と成形品が擦れて所謂カジリが発生するのを防止することができる成形装置および成形方法を提供することを目的とする。
請求項1の成形装置に係る発明は、上記目的を達成するため、成形型に接続されて型閉じと型開きをさせる成形型開閉手段と、成形型を型開きさせるときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づける力付与手段とを備えていることを特徴とする。
また、請求項2の成形方法に係る発明は、上記目的を達成するため、成形型に接続された成形型開閉手段により型開きするときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることを特徴とする。
また、請求項2の成形方法に係る発明は、上記目的を達成するため、成形型に接続された成形型開閉手段により型開きするときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、力付与手段を備えていることにより、成形型を型開きさせるときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることができるため、成形品の形状に関わらず、成形型を傾けることなくまっすぐに型開きさせることが可能な成形装置を提供することができる。
また、請求項2の発明によれば、成形型に接続された成形型開閉手段により型開きするときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることにより、成形品の形状に関わらず、成形型を傾けることなくまっすぐに型開きさせることが可能な成形方法を提供することができる。
また、請求項2の発明によれば、成形型に接続された成形型開閉手段により型開きするときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることにより、成形品の形状に関わらず、成形型を傾けることなくまっすぐに型開きさせることが可能な成形方法を提供することができる。
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(6)項が請求項2に相当する。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(6)項が請求項2に相当する。
(1) 成形型に接続されて型閉じと型開きをさせる成形型開閉手段と、
成形型を型開きさせるときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づける力付与手段と
を備えていることを特徴とする成形装置。
成形型を型開きさせるときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づける力付与手段と
を備えていることを特徴とする成形装置。
(1)項の発明では、成形を完了すると、成形型開閉手段により成形型を型開きする。このとき、離型時の成形品と成形型との間に部分的に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くようにモーメントが発生する場合がある。しかしながら、本発明では、力付与手段が、成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すように力を付与することにより、成形型の離型重心位置を成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることができる。そのため、成形品の形状に関わらず、成形型を傾けることなくまっすぐに型開きさせることができる。
(2) 前記力付与手段は、前記成形型の周縁部に接するよう配設されていることを特徴とする(1)項に記載の成形装置。
(2)項の発明では、(1)項に記載の発明において、力付与手段が前記成形型の周縁部に接するよう配設されていることにより、型開きするときに、離型時の成形品と成形型との間に部分的に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すような力を成形型の周縁部に付与するため、かかるモーメントを効率よく打ち消すことができ、その結果、成形型をまっすぐに型開きさせることができる。
(3) 前記力付与手段は、成形品の形状により成形型が傾くように発生するモーメントに応じて、成形型に付与する力を調整することができるものであることを特徴とする(1)または(2)項のいずれかに記載の成形装置。
(3)項の発明では、(1)または(2)項のいずれかに記載の発明において、成形品の形状によって成形型が傾くように発生するモーメントに応じて、成形型に付与する力を調整することができるよう力付与手段を構成することにより、型開きするときに、離型時の成形品と成形型との間に部分的に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すような力を成形型に適切に付与することができるため、かかるモーメントを適切に打ち消すことができ、その結果、成形型をまっすぐに型開きさせることができる。
(4) 前記力付与手段は、成形型に型開き方向とは反対方向の抗力を付与するものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の成形装置。
(4)項の発明では、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の発明において、前記力付与手段は、成形型に型開き方向とは反対方向の抗力を付与するものであることにより、成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すように力を付与することが具現化できる。
(5) 前記力付与手段は、成形型の型開き方向に力を付与するものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の成形装置。
(5)項の発明では、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の発明において、前記力付与手段は、成形型の型開き方向に力を付与するものであることにより、成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すように力を付与することが具現化できる。
(6) 成形型に接続された成形型開閉手段により型開きするときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることを特徴とする成形方法。
(6)項の発明では、成形を完了すると、成形型開閉手段により成形型を型開きする。このとき、離型時の成形品と成形型との間に部分的に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くようにモーメントが発生する場合がある。しかしながら、本発明では、型開きするときに成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消す力を成形型に付与することにより、成形型の離型重心位置を成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることができる。そのため、成形品の形状に関わらず、成形型を傾けることなくまっすぐに型開きさせることができる。
(7) 型開きするときに前記成形型の周縁部に対して力を付与することを特徴とする(6)項に記載の成形方法。
(7)項の発明では、(6)項に記載の発明において、型開きするときに離型時の成形品と成形型との間に部分的に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すような力を前記成形型の周縁部に対して付与することにより、型開きするときに、かかるモーメントを効率よく打ち消すことができ、その結果、成形型をまっすぐに型開きさせることができる。
(8) 成形品の形状により成形型が傾くように発生するモーメントに応じて、成形型に付与する力を調整することを特徴とする(6)または(7)項のいずれかに記載の成形方法。
(8)項の発明では、(6)項または(7)項のいずれかに記載の発明において、成形品の形状によって成形型が傾くように発生するモーメントに応じて、成形型に付与する力を調整することにより、型開きするときに、成形型に適切な力を付与することができるため、離型時の成形品と成形型との間に部分的に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗により成形型が傾くように発生するモーメントを適切に打ち消すことができ、その結果、成形型をまっすぐに型開きさせることができる。
(9) 成形型に型開き方向とは反対方向の抗力を付与することを特徴とする(6)〜(8)のいずれか1項に記載の成形方法。
(9)項の発明では、(6)〜(8)のいずれか1項に記載の発明において、成形型に型開き方向とは反対方向の抗力を付与することにより、型開きするときに成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消す力を成形型に付与することが具現化できる。
(10) 成形型に型開き方向に力を付与することを特徴とする(6)〜(8)のいずれか1項に記載の成形方法。
(10)項に記載の発明では、(6)〜(8)のいずれか1項に記載の発明において、成形型に型開き方向に力を付与することにより、型開きするときに成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消す力を成形型に付与することが具現化できる。
最初に、本発明による成形装置の実施の一形態を、図1および図2に基づいて詳細に説明する。なお、図において同じ符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明の成形装置は、概略、複数の成形型1によりキャビティTを形成してその内部に成形材料を充填して成形品Wを成形した後に、成形型1に接続された成形型開閉手段2により成形型1を後退させて、成形品Wから成形型1を離型させて型開きさせるものであって、成形型1を型開きさせるときに、成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すように成形型1に力を付与して、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに一致させるよう近づける力付与手段3(以下、モーメント打ち消し力付与手段3という)を備えている。そして、モーメント打ち消し力付与手段3は、成形型1の周縁部に力を付与するよう配設されており、さらに、成形品Wの形状により成形型1を傾かせるように発生するモーメントに応じて、成形型1に付与する力を調整することができるよう構成されている。さらにまた、モーメント打ち消し力付与手段3は、成形型1に型開き方向Pとは反対方向Rの抗力を付与するもの、または、成形型開閉手段2による成形型1の型開き方向と同じ方向Pに力を付与するものにより構成することができる。
本発明の成形装置は、概略、複数の成形型1によりキャビティTを形成してその内部に成形材料を充填して成形品Wを成形した後に、成形型1に接続された成形型開閉手段2により成形型1を後退させて、成形品Wから成形型1を離型させて型開きさせるものであって、成形型1を型開きさせるときに、成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すように成形型1に力を付与して、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに一致させるよう近づける力付与手段3(以下、モーメント打ち消し力付与手段3という)を備えている。そして、モーメント打ち消し力付与手段3は、成形型1の周縁部に力を付与するよう配設されており、さらに、成形品Wの形状により成形型1を傾かせるように発生するモーメントに応じて、成形型1に付与する力を調整することができるよう構成されている。さらにまた、モーメント打ち消し力付与手段3は、成形型1に型開き方向Pとは反対方向Rの抗力を付与するもの、または、成形型開閉手段2による成形型1の型開き方向と同じ方向Pに力を付与するものにより構成することができる。
この実施の形態における成形型1は、例えば図3に参照されるように4つのスライドコアにより構成されているが、図1に示した実施の形態では4つのスライドコア1のうちの1つのみが例示的に示されていることに注意されたい。なお、固定型および可動型などの主型は図1の紙面の奥と手前に相対向するように配設される。本発明における成形型1には、これらの固定型や可動型などの主型も含まれる。またこの実施の形態における成形品Wは、図1における左方に凹部Waを有する形状であり、この凹部Waと対応して成形型1のキャビティ面は、左方に突部1aが形成されている。
成形型開閉手段2は、シリンダ20により構成されており、シリンダ20のピストンロッド21の先端近傍には小径部21aが形成されている。また、成形型1の裏面には、軸部22が結合されている。軸部22の先端近傍は、ピストンロッド21と同様に小径部22aが形成されている。両小径部21a、22aは、ジョイント本体60の孔部61に揺動可能に保持されている。シリンダ20は、成形装置の基台などに固定されており、成形型1は、型閉じしたときに他の成形型1(図3を参照)と協働して成形品Wと対応する形状のキャビティTを形成し得るように配置されている。そして、軸部22は、シリンダ20のピストンロッド21の中心軸線の延長線上の位置Cで、成形型1の裏面に接続されている。
成形型1の側面には、ガイド機構5を構成する一対の突起またはガイド溝が設けられている。成形型1の裏面は、図2に示した実施の形態の場合、矩形に成形されている。成形型1の裏面の縁部(図2に示した実施の形態では角部近傍)には、モーメント打ち消し力付与手段3が当接される。
モーメント打ち消し力付与手段3は、図1に示した実施の形態の場合、成形型1の裏面に当接されるロッド31と、成形型開閉手段2の駆動によって成形型1が後退移動しようとするのに伴ってロッド31が後退移動しようとする力とは反対方向Rの力を加えるシリンダ30とを備えている。ロッド31の成形型1と接する先端面は球面状に成形されている。シリンダ30内には、型開き方向Pと反対方向Rに抗力を加えるために、バネ、油または空気など流体の流通抵抗を利用する減衰機構、あるいは、これらバネや減衰機構を組み合わせた機構などが設けられている。図2に示したように、この実施の形態の場合、成形型1の角部近傍にそれぞれロッド31が当接されるように4つのモーメント打ち消し力付与手段3が設けられている。モーメント打ち消し力付与手段3の抗力の合計は、成形型開閉手段2による型開き力よりも小さく設定されている。
そして、各モーメント打ち消し力付与手段3の抗力は、型開きにより成形品Wが離型するときにその成形品Wの形状により離型抵抗や摩擦抵抗が部分的に異なることに起因して成形型1を傾かせるように発生するモーメントの大きさに応じて、つまり、成形品Wの形状により離型重心Gが移動しようとする長さ(図2に示したlやmを参照)に応じて設定することができる。例えば、成形型開閉手段2の接続位置Cに対して離型重心Gが図2における左右方向に長さlだけ移動しようとする場合、モーメント打ち消し力付与手段3A、3Bの抗力(ゼロを含む)よりも3C、3Dの抗力が大きくなるように設定される。また、成形型開閉手段2の接続位置Cに対して離型重心Gが図2における上下方向に長さmだけ移動しようとする場合、モーメント打ち消し力付与手段3A、3Cの抗力(ゼロを含む)よりも3B、3Dの抗力が大きくなるように設定される。なお、モーメント打ち消し力付与手段3を設ける数は4つに限定されることはなく、また、モーメント打ち消し力付与手段3を設ける位置は成形型1の角部近傍に限定されることはなく、これらの数や位置は成形型1の形状や、成形型1を傾かせるように発生するモーメントの大きさなどに応じて設定することができる。さらにまた、本発明におけるモーメント打ち消し力付与手段3は、上述したように、型開き方向Pと反対方向Rに抗力を成形型1に加えるものであることに限定されることはなく、例えば図1に示した実施の形態の場合、右方のモーメント打ち消し力付与手段3を、上述したように型開き方向Pと反対方向Rに抗力を加えるものにより構成し、左方のモーメント打ち消し力付与手段3を、成形型1の左方を型開き方向Pに引っ張るよう力を加える流体圧シリンダなどにより構成し、この流体圧シリンダのピストンロッドの先端を成形型1の左方に結合することもできる。これら各モーメント打ち消し力付与手段3により型開き時に成形型1に対して付与する力の大きさと方向は、成形型1に発生するモーメントを検出して、その検出されたモーメントの大きさと方向に応じた大きさと方向の力を付与することができるように調整可能に構成してもよく、また、成形品Wの形状に応じて発生するモーメントを予め測定しておき、この測定されたモーメントの経験則に基づいて付与する力の大きさと方向を予め設定しておくこともできる。
次に、本発明の成形方法を、上述したように構成された成形装置を用いる場合により、その作動とともに説明する。
本発明の成形方法は、概略、成形型1に接続された成形型開閉手段2により型開きするときに、成形型1に成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すように力を付与して、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに一致させるよう近づける。そして、型開きするときに成形型1の周縁部に対して成形型1にモーメントを打ち消す力を付与し、さらには、成形品Wの形状により成形型1を傾かせるように発生するモーメントに応じて、成形型1に付与するモーメントを打ち消す力を調整する。さらにまた、成形型1に付与する力は、成形型1の型開き方向Pとは反対方向Rの抗力、または、成形型開閉手段2による成形型1の型開き方向と同じ方向Pの力とすることができる。
本発明の成形方法は、概略、成形型1に接続された成形型開閉手段2により型開きするときに、成形型1に成形型が傾くように発生するモーメントを打ち消すように力を付与して、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに一致させるよう近づける。そして、型開きするときに成形型1の周縁部に対して成形型1にモーメントを打ち消す力を付与し、さらには、成形品Wの形状により成形型1を傾かせるように発生するモーメントに応じて、成形型1に付与するモーメントを打ち消す力を調整する。さらにまた、成形型1に付与する力は、成形型1の型開き方向Pとは反対方向Rの抗力、または、成形型開閉手段2による成形型1の型開き方向と同じ方向Pの力とすることができる。
成形型1は、成形品Wを成形するに際して、図3に参照されるように、成形型開閉手段2により型閉じされ、所定の力で型締されており、キャビティTを形成している。このキャビティT内に成形材料として、溶融され流動可能な状態の金属や樹脂などの成形材料が所定の圧力で充填され、その後、固化すると、所定形状の成形品Wが成形される。
成形品Wの成形が完了すると、成形型開閉手段2により成形型1を後退移動させて型開きし、成形品Wを取り出す。この型開きするとき、最初に、成形型1が成形品Wから離れる(離型する)。離型時には、成形品Wと成形型1が貼り付いた状態から、成形型1が成形品Wから引き離され、離型抵抗が生じることとなるが、この離型抵抗は、成形品Wの形状に応じて均一に発生せず、部分的に偏って生じる場合がある。また、成形品Wの形状によっては、成形型1を型開きするときに離型時の成形品Wと成形型1との間に部分的に摩擦抵抗が生じる場合がある。そして、この摩擦抵抗は、成形品Wの形状によって、部分的に偏って生じる場合がある。この離型時の成形品Wとの間に偏って生じる離型抵抗や摩擦抵抗を成形型1が受けると、図4に参照されるように成形型1が傾く(α)ようにモーメントが発生し、その結果、離型重心位置Gが成形型開閉手段2の接続位置Cから離れ、成形型1をまっすぐに後退移動させることができなくなる。そこで、本発明では、成形型開閉手段2により成形型1を型開きするときに、発生するモーメントを打ち消すことができる力をモーメント打ち消し力付与手段3によって成形型1に付与してバランスをとり、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに一致させるよう近づける。
各モーメント打ち消し力付与手段3によって成形型1に対して力を付与する位置や方向P、Rは、型開きにより成形品Wが離型するときにその成形品Wの形状により離型抵抗や摩擦抵抗が部分的に異なることに起因して成形型1が傾くように発生するモーメントの方向などに応じて設定することができる。
また、各モーメント打ち消し力付与手段3によって成形型1に付与する力の大きさや方向は、型開きにより成形品Wが離型するときにその成形品Wの形状により離型抵抗や摩擦抵抗が部分的に異なることに起因して成形型1が傾くように発生するモーメントの大きさや方向などに応じて、つまり、成形品Wの形状により離型重心位置Gが移動しようとする長さ(図2に示したlやmを参照)に応じて設定される。例えば、成形型開閉手段2の接続位置Cに対して離型重心位置Gが図2における左右方向に長さlだけ移動しようとする場合、モーメント打ち消し力付与手段3A、3Bの抗力(ゼロを含む)よりも3C、3Dの抗力が大きくなるように、各モーメント打ち消し力付与手段3により付与する力の大きさが設定される。また、成形型開閉手段2の接続位置Cに対して離型重心位置Gが図2における上下方向に長さmだけ移動しようとする場合、モーメント打ち消し力付与手段3A、3Cの抗力(ゼロを含む)よりも3B、3Dの抗力が大きくなるように、各モーメント打ち消し力付与手段3により付与する力の大きさが設定される。さらにまた、本発明におけるモーメント打ち消し力を付与する方向は、上述したように、型開き方向Pと反対方向Rに抗力を成形型1に加えることに限定されることはなく、例えば図1に示した実施の形態の場合、成形型1の右方に対して上述したように型開き方向Pと反対方向Rに抗力を加え、成形型1の左方に対して型開き方向Pに引っ張るよう力を加えることもできる。
このようにして、型開きするときにモーメントが発生する成形型1に対して、各モーメント打ち消し力付与手段3により型開き方向Pと反対方向Rに抗力を付与することにより、成形型1が傾くように作用するモーメントが打ち消され、成形型1の離型重心位置Gが成形型開閉手段2の接続位置Cに一致するよう近づき、バランスがとられることとなる。その結果、成形型1をまっすぐに後退移動させることができる。
なお、図1に示した実施の形態では、従来の技術(図3)と同様に、成形型1にガイド機構5を設け、また、成形型開閉手段2のピストンロッド21にジョイント6を介装しているが、本発明では、上述したように成形型1が傾くように作用するモーメントを打ち消すことができるため、ガイド機構5やジョイント6に無理な力が作用してこれらが偏磨耗したり変形や破損するのを防止することができ、また、場合によってはこれらのガイド機構5やジョイント6を設ける必要がなくなる。なお、本発明は、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに完全に一致させるようモーメント打ち消し力を付与することに限定されることはなく、成形型1が傾くように作用するモーメントを打ち消してバランスをとり、成形型1をまっすぐに後退移動させることができる程度に、成形型1の離型重心位置Gを成形型開閉手段2の接続位置Cに近づけるようモーメント打ち消し力を付与する場合も含まれる。
1:成形型、 2:成形型開閉手段、 3:モーメント打ち消し力付与手段(力付与手段)、 W:成形品、P:型開き方向、 R:反対方向、 G:離型重心位置、 C:成形型開閉手段の接続位置
Claims (2)
- 成形型に接続されて型閉じと型開きをさせる成形型開閉手段と、
成形型を型開きさせるときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づける力付与手段と
を備えていることを特徴とする成形装置。 - 成形型に接続された成形型開閉手段により型開きするときに、成形型に力を付与して、成形型の離型重心位置を前記成形型開閉手段の接続位置に一致させるよう近づけることを特徴とする成形方法。
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JP2011263712A JP2013116560A (ja) | 2011-12-01 | 2011-12-01 | 成形装置および成形方法 |
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Country Status (1)
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2011
- 2011-12-01 JP JP2011263712A patent/JP2013116560A/ja active Pending
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