JP2013116441A - 洗浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトに構成され、且つ、マイクロバブルを多く含んだ流体をノズルから噴出させることで、高度な清浄度の要求される洗浄対象物を効果的に洗浄することができる洗浄装置を提供する。
【解決手段】 マイクロバブルを含有する洗浄水を噴出させるノズル34は、流路部40に配設されて洗浄水に旋回流を生成させる旋回流生成部42から、流路部40に配設されて洗浄水を噴出させる噴出部46の噴出口44までの距離Lを10mm〜70mmに設定し、かつ、噴出口44の直径を3mm〜6mmに設定し、旋回流生成部42において圧力比が20〜100の範囲で減圧され、噴出口44から噴出されたマイクロバブルを多く含む洗浄水により洗浄対象物を洗浄する。
【選択図】図2

Description

本発明は、マイクロバブルを含有する液体を用いて洗浄対象物を洗浄する洗浄装置に関する。特に、高度な清浄状態が要求される半導体基板収納容器の洗浄装置に関する。
マイクロバブルは直径50μm以下の微細な気泡であり、気泡体積が微細であるため、上昇速度が遅く長い間液体中に滞在し続けることが知られている。マイクロバブルは、加圧溶解した気体を再気泡化したり、気液2相を旋回させながら分散させたりすることで作り出されるとされている。
マイクロバブルは、マイクロバブルの内部や周囲に存在している水分子などを分解してフリーラジカルを形成することが知られている。フリーラジカルは反応性が非常に高いため、排水処理などにおいて汚れた水を奇麗にしたり、工場からの排水中に含まれる有害化学物質を分解したりすることが可能である。
また、マイクロバブルは油脂成分(汚れ)を吸着して除去する効果があることが知られている。これは、マイクロバブル表面に油脂成分が吸着し、洗浄対象物の表面から油脂成分が除去されることが繰り返されることにより、最終的に洗浄対象物の表面の油脂成分が完全に除去される事によるものである。そして、大量の油脂成分を短時間で除去するためにはマイクロバブルの高密度化、すなわち単位体積あたりのマイクロバブル数の増加が必要となる(非特許文献1)。
一方、マイクロバブルを水中に噴射させるとマイクロバブルが消失することが知られている。これは、水中でマイクロバブル同士が頻繁に衝突して気泡同士が合体を繰り返し、マイクロバブルが消滅するためである(非特許文献1)。
さらに、マイクロバブルを空気中にスプレーノズルから噴出させるとマイクロバブルが消失するとされている。これは、スプレーノズルから噴出される水滴中に十分な量のマイクロバブルが存在できないためと考えられているが、詳しくは明らかにされていない。
そこで、非特許文献1にはマイクロバブルを高密度に発生させた水槽に洗浄対象物を浸漬して洗浄する方法が述べられている。一方、特許文献1〜5には気体と液体を混合して噴射させることにより洗浄する装置の発明が開示されている。
特許文献1に開示された洗浄装置は、半導体ウエハ上の汚染物を効率よく除去するために、噴出ノズルに液体供給手段とガス供給手段とが接続され、基板表面に損傷を与えずに汚染物粒子を除去するものである。
特許文献2に開示された噴霧ノズルは、直線状に形成された管状ノズルチップの、少なくとも一端部から流体が供給され、管状ノズルチップの外周面には、軸線に沿って多数の噴霧孔が形成されており、この多数の噴霧孔から、流体が対象物へと噴霧されるものである。
特許文献3に開示された微細気泡発生ノズルは、流速または衝突力を低下させることなく、微細気泡を含む水流を広い角度で生成するノズルに関するものである。気泡発生ノズルはベンチュリ管を形成する液体流路と気体流路を備えており、微細気泡を広角に噴出するものである。
特許文献4に記載の発明では、キャビテーション現象を起こすマイクロバブル発生器を用いて、メッシュ体が配設されたスプレーノズルからマイクロバブルを含んだ水粒子を噴霧し、気流中の揮発性有機化合物を除去するものである。
特許文献5に開示された発明は、気体を液体に加圧溶解させて飽和状態としたのち、大気圧まで減圧して、脈動流を発生させるポンプにより気液混合体を噴射させるものである。
宮本誠、「マイクロバブルを用いた環境配慮型洗浄技術」、三菱電機技報、三菱電機株式会社、平成20年8月、第82巻、第8号、P.489―492
特開平8−318181号公報 特開2003−311189号公報 特開2009−273966号公報 特開2009−297698号公報 特開2009−154059号公報
しかしながら、非特許文献1に記載の方法はマイクロバブルを高濃度に生成するために添加剤を用いており、高度な清浄状態が要求される分野においては添加剤が汚染原因となるために好ましくない。また、洗浄方法としては、マイクロバブルを発生させた水槽中に洗浄対象物を浸漬する方法を取るため、洗浄対象物に複雑な形状や凹凸などがあると、複雑な形状部分等を十分に洗浄することができない。また、水槽中に浸漬できない大きな洗浄対象物は洗浄することができず、さらに水槽の内部の汚染に注意が必要となり、液管理に多大の労力を要する。
特許文献1に記載の発明では、マイクロバブルの洗浄力を利用せずに、単に液体を気体の供給圧力により液滴にして半導体ウエハを洗浄することを目的としている。しかしながら、噴出ノズルに液体供給手段とガス供給手段とを接続しており、スプレーノズルの構造が複雑である。そのため、複数のスプレーノズルで洗浄する場合に装置全体が複雑になるという問題がある。
特許文献2に記載の発明では、マイクロバブルの洗浄力を利用せずに、直線状に形成された管状ノズルチップの一端で水と空気を混合させた気液混合流体を、管状ノズルチップに設けられた噴霧孔から噴霧するものである。また、特許文献2の主目的は、洗浄物の洗浄時にノズルの移動がなく、洗浄ムラなく洗浄するため管に噴霧孔を開けて液体を噴霧することであり、高度な洗浄を目的としたものではない。
特許文献3に記載の発明では、微細気泡を発生させるためにベンチュリ管を用いており、かつ広角ノズルを組み合わせて液体を噴出させているために、ノズルが複数必要な場合には装置の構造が複雑になるという問題がある。また、マイクロバブルの濃度に関する示唆はなく、高い衝突力をもって広角に洗浄するための装置であり、マイクロバブルの効果により洗浄する発明ではない。
特許文献4に記載の発明では、キャビテーション現象を起こすマイクロバブル発生器が必須の構成要件であるが、キャビテーション現象を起こすマイクロバブル発生器は複雑な形状をしており装置の構造が複雑になるという問題がある。
また、水道水から直接マイクロバブル発生器を通すことにより、気泡径10〜19μmのマイクロバブルが約10,000個/ml発生するとしているが、この数値はスプレーノズルを通した後の値ではないため、実際にスプレーノズルを通した後の水粒子にどれくらいのマイクロバブルが含まれているか不明である。さらに、スプレーノズルはマイクロバブル発生器に対して直線的に取り付けられており、複数のスプレーノズルで幅広く洗浄するためのものではない。
なお、水に気泡を十分に含有させた気体含有水を用いない場合には、特許文献4に記載のキャビテーション現象を起こすマイクロバブル発生器を用いてもマイクロバブルは発生しないことが確認されている。
特許文献5に記載の発明では、脈動流を発生させるポンプと、気体を液体に加圧溶解して飽和状態となった液体を大気圧まで減圧する減圧部とが必要となり、装置の構成が複雑となる。また、明細書中には被洗浄物の表面で十分に微細気泡を発生させるとあるが、定量的に微細気泡がどれくらい発生しているかという記述はなく、微細気泡が実際に発生しているかどうかは疑問である。
上記いずれの先行技術文献にも、マイクロバブルを含んだ水溶液をスプレーノズルの先端から噴霧した水滴中にどれくらいのマイクロバブルが存在しているかを明示した発明はなく、マイクロバブルとスプレー噴射の相乗効果による洗浄力を示したものではない。
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであって、複雑なノズル形状や特殊な装置が不要で、コンパクトに構成され、且つ、マイクロバブルを多く含んだ流体をノズル先端から噴出して洗浄することにより高い洗浄効果を達成することのできる洗浄装置を提供することを目的とする。
本発明に係る洗浄装置は、流体に気泡を混入させる気泡混入装置と、前記気泡混入装置によって気泡が混入された前記流体が導入される導入部と、一端部が前記導入部に接続され、他端部から前記流体を噴出させる複数のノズルとを備え、前記ノズルは、前記導入部から前記流体が供給される円筒状内周面が形成された流路部を有し、前記流路部の前記一端部側には、前記導入部における前記流体の圧力P1を、前記流路部における前記流体の圧力P2に減圧させる複数の孔を有する圧力調整部が配設され、前記流路部の前記他端部側には、減圧された前記流体を噴出させる略円形の噴出口が形成された噴出部が配設され、前記圧力P1及びP2の圧力比P1/P2が20〜100に設定され、前記圧力調整部から前記噴出部までの距離が10mm〜70mmに設定され、前記噴出部における前記噴出口の直径が3mm〜6mmに設定されることを特徴とする。
前記洗浄装置において、複数の前記孔は、前記流路部の延在方向に対して回転対称に形成され、前記流体に旋回流を生成させる傾斜孔であることを特徴とする。
前記洗浄装置において、前記流路部には、前記流体の進路を直進方向から斜め方向に変更することで、前記流体に旋回流を生成させる旋回流生成部材が配設されることを特徴とする。
前記洗浄装置において、前記噴出部には、前記噴出口から前記流体を拡散して噴出させる拡散部が一体に形成されることを特徴とする。
前記洗浄装置において、前記被洗浄物は、半導体基板を収納する収納容器であることを特徴とする。
本発明の洗浄装置は、圧力調整部により発生したマイクロバブルを含む流体を、圧力調整部により所定の減圧比で減圧し、流体の移動距離が最適化された流路部を介して、直径が最適化された噴出部の噴出口に導くことにより、マイクロバブルを多く含んだ溶液を複数のノズルの噴出部から噴出させて洗浄対象物を洗浄することができる。また、旋回流生成機能を併せ持つ圧力調整部または旋回流生成部により流体を旋回流とすることにより、あるいは噴出部に拡散部が一体に形成されることにより、噴出部から円錐状または扇状に液体を噴出させ、洗浄対象物を広範囲に洗浄する事ができる。
その結果、本発明の洗浄装置はノズルから高密度のマイクロバブルを含んだ流体を噴射することで、複雑な凹凸形状を有する洗浄対象物を効率的に洗浄することができる。また、流体の噴射とマイクロバブルとの相乗効果により、短時間で清浄度の極めて高い結果を得ることができる。
また、この装置を用いることにより、添加剤や界面活性剤が不要となるため、添加剤や界面活性剤を洗い流す洗浄液を少なくすることができ、かつ、添加剤や界面活性剤の残留による汚染を確実に回避することができる。
本実施形態の洗浄装置の全体構成斜視図である。 本実施形態の洗浄装置に配設されるノズルの断面図である。 本実施形態のノズル内部に配設される圧力調整部の斜視図である。 図3に示す圧力調整部のIV−IV断面図である。 本実施形態の洗浄装置に配設されるノズルの変形例の断面図である。 本実施形態のノズル内部に配設される圧力調整部の変形例の斜視図である。 圧力調整部と旋回流生成部とを別体に構成したノズルの断面図である。 本実施形態のノズル内部に配設される圧力調整部の変形例の斜視図である。 本実施形態のノズル内部に配設される旋回流生成部の一部切欠斜視図である。 本実施形態における噴出口に流体の拡散部が一体に形成されたノズルの断面図である。 本実施形態における噴出口に流体の拡散部が一体に形成されたノズルの正面図である。 本実施形態における噴出口に流体の拡散部が一体に形成されたノズルの斜視図である。 本実施形態において洗浄水がノズル内部を通過して噴射される説明図である。 本実施例におけるマイクロバブル個数測定の説明図である。 実施例1における各種データの測定結果である。 実施例2におけるマイクロバブル数の測定結果である。 比較例1における各種データの測定結果である。 実施例1及び比較例1におけるマイクロバブル数対圧力調整位置のグラフである。 実施例1及び比較例1におけるマイクロバブル数対噴出口径のグラフである。 実施例1及び比較例1における噴出角度対噴出口径のグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の洗浄装置10の全体構成斜視図である。
洗浄装置10は、気泡混入装置12で発生した気泡を含む液体から圧力調整部42(図2)でマイクロバブルを発生させ、かつ旋回流としてノズル34から洗浄水20を噴出させることにより洗浄対象物36を洗浄するための装置である。気泡混入装置12は洗浄水20を貯留する水槽14と、水槽14の上部に配設され、洗浄水20に空気を供給する空気ポンプ18と、水槽14内の気圧を測定する気圧計16と、空気ポンプ18に連結された空気導入管24の下端部に装着された空気泡発生器22とを備える。水槽14には洗浄水20を供給するための図示しない給水管と、水槽14内を大気圧に解放するバルブが連結される。また、水槽14には水流管28aを経由してバルブ26が連結され、バルブ26には水流管28bを経由して導入部32の下端部が連結される。
導入部32の側面には所定の間隔で複数のノズル34が配設される。洗浄対象物36は、ノズル34の先端部から噴出されるマイクロバブルを含む洗浄水20により洗浄できる適切な位置に配置される。
図2は、本実施形態の洗浄装置10に配設されるノズル34の断面図である。ノズル34は洗浄水20の流路である円筒状内周面38が形成された流路部40を有する。流路部40は一端部が導入部32に接続される。流路部40の一端部には圧力調整部42が配設される。また、流路部40の他端部には略円形の噴出口44が形成された噴出部46が一体に形成される。
圧力調整部42は洗浄水20内に存在する空気を膨張させてマイクロバブルを生成し、かつ、旋回流を生成させる部材であり、例えば、図3及び図4に示すように、円形の板体に、その中心軸の方向である流路部40の延在方向に対して回転対称となる位置に配設された複数の傾斜孔48を形成して構成される。なお、図3において、矢印は圧力調整部42の各傾斜孔48を通過した洗浄水20の流れ方向を示す。圧力調整部42の位置は、圧力調整部42から噴出口44までの距離Lが10mm〜70mm、好適には30mm〜50mmとなるように設定される。また、噴出部46に形成された噴出口44の直径dは3mm〜6mm、好適には3mm〜5mmに設定される。
また、ノズル34は、図5に示すように、導入部側流路部50と噴出部側流路部52との2つの部材に分割されるノズル34aとして構成することもできる。導入部側流路部50及び噴出部側流路部52は、洗浄水20の流路である円筒状内周面38aを有する。また、噴出部側流路部52には、円形の噴出口44aが形成された噴出部46aが一体に形成される。噴出部側流路部52は導入部側流路部50に対してねじ込み式とすることで、適宜交換可能となる。
また、圧力調整部42は、円形の板体の中心軸の方向である流路部40の延在方向に対して傾斜孔48が回転対称に配設されるのであれば、例えば、図6に示すように、中央部に洗浄水20を通過させる中央孔54を形成し、その周囲に複数の傾斜孔48aを形成した圧力調整部42aとして構成することができる。なお、傾斜孔48又は48aの数は、3〜5個程度とすることが好ましい。また、図6において、矢印は圧力調整部42aの各傾斜孔48aを通過した洗浄水20の流れ方向を示す。
図7は、圧力調整部56と旋回流生成部60とを別体に構成したノズル34bの断面図である。圧力調整部56は、図8に示すように円形の板体に複数の導入孔58を形成して構成される。導入孔58は、流路部40の延在方向に対して平行に設けられる。
導入孔58は中央部に洗浄水20を通過させる中央孔を形成したり、5個程度の複数の穴を設けることができる。なお、図8において、矢印は圧力調整部56の導入孔58を通過した洗浄水20の流れ方向を示す。
図9は、旋回流生成部60の一部切欠斜視図である。旋回流生成部60は内部に流体の進行方向を斜め方向に変更して旋回流を生成させるための旋回流生成板62が配設されている。流体は旋回流生成部60の圧力調整部56側に設けられた流入部64から旋回流生成部60内へと導入され、旋回流生成板62によって、例えば流体の一部が進行方向の斜め下方向へ、流体の残りが斜め上方向へと導かれることにより旋回流となり、旋回流生成部60の噴出部46側に設けられた流出部66から旋回流として流出する。その後、旋回流となった流体は噴出口44から円錐状に噴出する。
図10は、噴出部46cに流体の拡散部となる噴出口44cが一体に形成されたノズル34cの断面図である。流体は導入部32から圧力調整板56aを通り、円筒状内周面38cを有する流路部40cへと流入し、噴出口44cへと導かれる。図11に示すように、噴出口44cは楕円形に形成されることで、洗浄水20に旋回流を生成させなくても、噴出口44cの長尺な方向に扇型に噴出する。(図12)
本実施形態の洗浄装置10は、基本的には以上のように構成される。次に洗浄装置10の動作につき、図13に基づいて以下に説明する。
まず、図1に示す水槽12に図示しない給水管から洗浄水20を供給し、所定量を貯留する。その時、図示しない水槽14に接続されたバルブを開いて水槽14を解放状態とする。その後、空気ポンプ18を駆動させ、空気導入管24を介して、水槽14に貯留した洗浄水20中に空気泡発生器22により空気をバブリングする。所定時間バブリングした後、図示しない水槽14に接続されたバルブを閉じて水槽14を密閉状態とし、水槽14が所定圧力になるまで空気をバブリングする。その後、バルブ26を開き、水槽14内の気泡を含んだ洗浄水20は、水流管28a、28bを経由して導入部32に導入され、導入部32の側面に複数配設されたノズル34へと送られる。
気泡を含んだ洗浄水20は、導入部32からノズル34へと送られる際、圧力調整部42に形成された複数の傾斜孔48を通過して流路部40へと流入する。図3に示すように、洗浄水20は圧力調整部42の中心軸に対して回転対称に形成された複数の傾斜孔48を介して流路部40側に導入され、矢印で示すように、流路部40の円筒状内周面38に沿って旋回しながら噴出部46の噴出口44に供給される。この場合、圧力調整部42では、導入部32側の洗浄水20の圧力が複数の傾斜孔48を通過することにより大きく減圧されて流路部40に供給される。そして、圧力調整部42から噴出口44までの距離Lを最適化することにより、好適には30mm〜50mmとなるように設定することにより、空気を含む流体からマイクロバブルを効果的に発生させ、マイクロバブルを高濃度に含んだ洗浄水20が噴出口44に供給される。
次いで、圧力調整部42を通過することにより、旋回しながら噴出部46に達した洗浄水20は、噴出口44から円錐状に広がりながら噴出され、洗浄対象物36に噴射され、洗浄が行われる。この場合、噴出口44の直径dを最適化することにより、好適には3mm〜5mmに設定することにより、マイクロバブルを高濃度に発生させた状態で洗浄水20が洗浄対象物36に噴射される。
図7に示すように、流路部40の内部に圧力調整部56と旋回流生成部60のそれぞれが配設されたノズル34b用いた場合には、洗浄水20が導入部32から圧力調整部56に形成された導入孔58を通過して旋回流生成部60へと流入し、旋回流生成部60において旋回流となり、噴出口44から円錐状に噴出する他は前述したとおりである。
図10に示すように、流路部40の内部に圧力調整部56と噴出部46cに流体の拡散部が一体に形成された噴出口44cを有するノズル34cを用いた場合には、洗浄水20は導入部32から圧力調整板56aを通り、円筒状内周面38cを有する流路部40cへと流入し、噴出口44cへと導かれ、楕円形に形成された噴出口44cから、噴出口44cの長尺な方向に扇型に噴出する他は前述したとおりである。
以下に、前述した構成により噴出した流体中にあるマイクロバブルの個数の測定、噴出角度、洗浄効果及び導入部32内の流体の圧力P1と流路部40内の流体の圧力P2の比P1/P2を測定した実施例を示す。
実施例1
洗浄装置10として、図1に示す気泡発生装置12と、導入部32と、ノズル34とを用意した。まず、水槽12に洗浄水20として純水を100リットル給水し、その後水温を30℃に加温した。水温が安定してから、空気ポンプ18を駆動して空気を水中に送り込み、5分間空気泡発生器22から気泡を洗浄水20中に放出した。この時、水槽14は図示しないバルブを開いて開放状態にしてある。その後、水槽14は図示しないバルブを閉じて密閉状態とした後、水槽14内部を所定の圧力まで加圧状態にした。水槽14の内部が所定の圧力まで加圧できた後、バルブ26を解放して水槽内14の水を水流管28a、28bを経由して導入部32からノズル34へと導入し、図13に示すように、噴出部46の噴出口44からマイクロバブルを含んだ洗浄水20を噴出させた。
図14に示すように、噴出部44から噴出する洗浄水20をトレイ70に受け、マイクロバブル測定装置68を用いてマイクロバブルの個数を測定した。マイクロバブル測定装置は、リオン株式会社製パーティクルセンサKS-42Dを用いた。マイクロバブル個数は6μm〜38μmまでのマイクロバブルの個数を3回測定し、その平均値を取った。
マイクロバブル個数の測定では、ノズル34の噴出口44の直径dを3mmから6mmまで変化させた時のマイクロバブル数を測定した。また、同時にノズル34の圧力調整部42から噴出口44までの距離を15mmから70mmまで変化させた場合についてマイクロバブルの個数を測定した。
また、前述した条件下において、噴出口44から噴出される洗浄水20の噴出角度、洗浄効果、導入部32内の流体の圧力P1と流路部40内の流体の圧力P2の比P1/P2を測定した。
噴出角度は噴出口44から噴出する洗浄水20を写真に取り、画像解析ソフトにより噴出口44から噴出する洗浄水20の角度を測定した。
洗浄効果の試験では、アクリル板(50mm×50mm×3mm)を用意し加工油を全面に塗布した。その後、噴出部44からのマイクロバブルを含んだ洗浄水20をアクリル板全面に1分間噴出させ、加工油の残存状態を観察した。
導入部32内の流体の圧力P1と流路部40内の流体の圧力P2の比P1/P2は図14に示す圧力計72及び74により測定し、P1/P2を計算した。以上の結果を図15に示す。
図15より、d=3mm以上6mm以下で、かつL=15mm以上70mm以下の場合にマイクロバブル発生平均個数は4,000個/ml以上であり、1分間の洗浄で加工油を完全に除去することができた。また、噴出口44から噴出する流体は頂角が30度以上の円錐状であり、スプレー噴射による洗浄を好適に行える角度を持っていた。さらに、圧力比P1/P2は20以上の値を示すことがわかった。
実施例2
ノズル34の噴出口44の直径dを3mmと4mmとし、ノズル34の圧力調整部42から噴出口44までの距離を15mmと50mmとして圧力調整部42、圧力調整部56(図8)のみ、圧力調整部56と旋回流生成部60(図7)を併用した場合についてマイクロバブルの個数を測定した。それ以外の条件はすべて実施例1と同様とした。結果を図16に示す。
図16より、圧力調整部56のみを用いた場合は圧力調整部42よりもマイクロバブル数が多く発生した。また、圧力調整部56と旋回流生成部60を併用した場合は圧力調整部42の場合と同様な結果となった。
比較例1
実施例1以外の条件について、ノズル34の噴出口44の直径dを1mmから10mmまで変化させ、同時にノズル34の圧力調整部42から噴出口44までの距離を5mmから160mmまで変化させた場合及び圧力調整部42を用いない場合に対して、マイクロバブルの個数、噴出角度、洗浄効果、圧力比P1/P2を測定した。その他の条件は実施例1と同じ条件で試験を行った。結果を図17に示す。
図17の結果より、圧力調整部42がない場合にはマイクロバブルの発生量は極端に少なく、1,000個/ml以下であった。その条件で洗浄試験を行うと、加工油はかなり残存し、洗浄が不十分であった。また、d=1mmと2mmではマイクロバブル数は圧力調整部42の位置Lにかかわらず全体的に3,000個/mlと低く、十分な洗浄効果を発揮することができなかった。(図18、図19参照)
さらに、噴出口44の直径dが3mm〜10mmでも圧力調整部42の位置Lが5mmの場合にはマイクロバブル数は2,000/mlと低く、十分な洗浄効果を発揮することができなかった。
そして、圧力調整部42の位置Lが120mm、160mmの場合及び噴出口44の直径dが10mmと大口径の場合には、洗浄液20の噴出角度が20度以下であり、スプレーノズルによる洗浄としては極めて狭い範囲の洗浄しか行うことができない(図20)。
以上の結果より、ノズル34の噴出口44の直径dは3mmから6mmまで、ノズル34の圧力調整部42から噴出口44までの距離は10mmから70mmまでがマイクロバブルは高濃度に発生し、十分な洗浄力を示し、かつ適切な噴出角度を有することが判明した。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
例えば、空気ポンプ18に代えて、コンプレッサー等で圧縮した空気を水槽14内部に送り込むことで、洗浄水20中に空気をバブリングさせると共に、空気圧により洗浄水20を導入部32へと送ることもできる。
あるいは、気泡混入装置12は、洗浄水20を貯留する水槽14と、水槽14に水流管28aを経由して空気を混入可能なポンプを配設し、洗浄水20を前記ポンプにて空気を混入すると同時に導入部32へ送水する構成とすることができる。
10…洗浄装置
12…気泡混入装置
14…水槽
16…圧力計
18…空気ポンプ
20…洗浄水
22…空気泡発生器
24…空気導入管
26…バルブ
28a、28b…水流管
32…導入部
34、34a、34b、34c…ノズル
36…洗浄対象物
38、38a、38c……円筒状内周面
40、40b、40c…流路部
42、42a…圧力調整部
44、44a、44c…噴出口
46、46a、46c…噴出部
d…噴出口径
L…噴出口から圧力調整部までの距離
48、48a…傾斜孔
50…導入部側流路部
52…噴出部側流路部
54…中央孔
56、56a…圧力調整部
58、58a…導入孔
60…旋回流生成部
62…旋回流生成板
64…流入部
66…流出部
68…マイクロバブル測定装置
70…トレイ
72…圧力計P1
74…圧力計P2

Claims (5)

  1. マイクロバブルを含む流体を被洗浄物に噴射させ洗浄を行う洗浄装置において、
    流体に気泡を混入させる気泡混入装置と、
    前記気泡混入装置によって気泡が混入された前記流体が導入される導入部と、
    一端部が前記導入部に接続され、他端部から前記流体を噴出させる複数のノズルとを備え、
    前記ノズルは、前記導入部から前記流体が供給される円筒状内周面が形成された流路部を有し、
    前記流路部の前記一端部側には、前記導入部における前記流体の圧力P1を、前記流路部における前記流体の圧力P2に減圧させる複数の孔を有する圧力調整部が配設され、
    前記流路部の前記他端部側には、減圧された前記流体を噴出させる略円形の噴出口が形成された噴出部が配設され、
    前記圧力P1及びP2の圧力比P1/P2が20〜100に設定され、
    前記圧力調整部から前記噴出部までの距離が10mm〜70mmに設定され、
    前記噴出部における前記噴出口の直径が3mm〜6mmに設定されることを特徴とする洗浄装置。
  2. 請求項1記載の洗浄装置において、
    複数の前記孔は、前記流路部の延在方向に対して回転対称に形成され、前記流体に旋回流を生成させる傾斜孔であることを特徴とする洗浄装置。
  3. 請求項1記載の洗浄装置において、
    前記流路部には、前記流体の進路を直進方向から斜め方向に変更することで、前記流体に旋回流を生成させる旋回流生成部材が配設されることを特徴とする洗浄装置。
  4. 請求項1記載の洗浄装置において、
    前記噴出部には、前記噴出口から前記流体を拡散して噴出させる拡散部が一体に形成されることを特徴とする洗浄装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄装置において、
    前記被洗浄物は、半導体基板を収納する収納容器であることを特徴とする洗浄装置。
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