JP2013115263A - 光電変換素子および光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換素子および光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光劣化率を低減可能な光電変換素子を提供する。
【解決手段】光電変換素子10は、n型単結晶シリコン基板1と、バッファ層2と、p型非晶質半導体層3とを備える。バッファ層2は、n型単結晶シリコン基板1に接して配置され、p型非晶質半導体総3は、バッファ層2に接して配置される。そして、バッファ層2における炭素原子の含有量は、基準値よりも少なく、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲からなる。
【選択図】図1

Description

この発明は、光電変換素子および光電変換素子の製造方法に関するものである。
従来、光を電気に変換する太陽電池として特許文献1に記載の光電変換装置が知られている。
この光電変換装置は、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を基板上に積層した構造からなる。
そして、p型半導体層は、少なくともシリコン原子を含有する微結晶半導体からなり、i型半導体層およびn型半導体層は、微結晶半導体からなる。
また、p型半導体層は、1原子%〜40原子%の炭素原子を含有する。
また、従来、光を電気に変換する太陽電池として特許文献2に記載の太陽電池が知られている。
この太陽電池は、n型単結晶シリコンと、真性非晶質シリコンと、p型非晶質シリコンと、透明導電膜と、裏面電極とを備える。
真性非晶質シリコンは、n型単結晶シリコンの一主面に形成される。p型非晶質シリコンは、真性非晶質シリコン上に真性非晶質シリコンに接して形成される。透明導電膜は、p型非晶質シリコン上にp型非晶質シリコンに接して形成される。裏面電極は、透明導電膜と反対側において、n型単結晶シリコンに接して形成される。このように、特許文献2に記載された太陽電池は、n型単結晶シリコンと、真性非晶質シリコンおよびp型非晶質シリコンとによって接合が形成されるヘテロ接合型の太陽電池である。
特開2006−060131号公報 特開平5−136440号公報
しかし、特許文献1に記載の光電変換装置は、太陽光のような強い光が照射された場合、光劣化率が大きいという問題があり、非晶質シリコンを用いて接合を形成する特許文献2に記載の太陽電池においても、太陽光のような強い光が照射された場合、光劣化が生じる可能性がある。
そこで、この発明は、光劣化率を低減可能な光電変換素子を提供するものである。
また、この発明は、光劣化率を低減可能な光電変換素子の製造方法を提供するものである。
この発明の実施の形態によれば、光電変換素子は、結晶シリコン基板と、半導体層と、バッファ層とを備える。結晶シリコン基板は、第1の導電型を有する。半導体層は、第1の導電型と反対の導電型である第2の導電型を有するアモルファスシリコンカーバイドからなり、結晶シリコン基板上に堆積される。バッファ層は、半導体層と結晶シリコン基板との間に設けられるとともにアモルファスシリコンカーバイドからなり、炭素原子の含有量が基準値よりも少ない。そして、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲からなる。
また、この発明の実施の形態によれば、光電変換素子の製造方法は、アモルファスシリコンカーバイドからなるバッファ層を炭素原子の含有量が基準値よりも少なくなるように第1の導電型を有する結晶シリコン基板上に堆積する第1の工程と、第1の導電型と反対の導電型である第2の導電型を有するアモルファスシリコンカーバイドからなる半導体層を前記バッファ層上に堆積する第2の工程とを備え、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲からなる。
この発明の実施の形態による光電変換素子においては、炭素原子の含有量が基準値よりも少ないバッファ層が半導体層と結晶シリコン基板との間に配置される。その結果、半導体層とバッファ層との界面およびバッファ層と結晶シリコン基板との界面における再結合準位が減少する。そして、結晶シリコン基板において光励起された少数キャリア(電子または正孔)は、半導体層とバッファ層との界面およびバッファ層と結晶シリコン基板との界面において再結合する割合が減少し、半導体層へ到達し易くなる。結晶シリコン基板において光励起された少数キャリア(電子または正孔)は、太陽光のような強い光を照射した後においても、半導体層へ到達し易くなり、短絡光電流(Jsc)が大きくなる。
従って、光電変換素子の光劣化率を低減できる。
また、この発明の実施の形態による光電変換素子の製造方法においては、炭素原子の含有量が基準値よりも少なくなるようにバッファ層が半導体層と結晶シリコン基板との間に形成される。その結果、この発明の実施の形態による光電変換素子の製造方法を用いて製造された光電変換素子において、半導体層とバッファ層との界面およびバッファ層と結晶シリコン基板との界面における再結合準位が減少し、上述したように、太陽光のような強い光を照射した後においても、短絡光電流(Jsc)が大きくなる。
従って、光電変換素子の光劣化率を低減できる。
この発明の実施の形態1による光電変換素子の構成を示す断面図である。 バッファ層を形成するときのCHガスの流量を示す図である。 実施の形態2による光電変換素子の構成を示す断面図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
この明細書において、「非晶質相」とは、シリコン(Si)原子等がランダムに配列された状態を言う。また、アモルファスシリコンカーバイドを「a−SiC」と表記するが、この表記は、実際には、水素(H)原子が含まれていてもよい。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による光電変換素子の構成を示す断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による光電変換素子10は、n型単結晶シリコン基板1と、バッファ層2と、p型非晶質半導体層3と、透明導電膜4と、電極5とを備える。
n型単結晶シリコン基板1は、例えば、(100)の面方位を有し、0.1〜1.0Ω・cmの比抵抗を有する。そして、n型単結晶シリコン基板1は、100〜300μmの厚みを有し、好ましくは、100〜200μmの厚みを有する。
バッファ層2は、非晶質相からなり、例えば、i型a−SiCからなる。また、バッファ層2は、3〜5nmの膜厚または6〜7nmの膜厚を有するとともに、1.98〜2.0eVの光学バンドギャップを有する。そして、バッファ層2は、n型単結晶シリコン基板1の一主面に接して配置される。
バッファ層2における炭素原子の含有量は、基準値よりも少なく、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲である。
そして、この基準値は、次のように決定された。従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換装置においては、p型半導体層は、1原子%〜40原子%の炭素原子を含む。シリコンの原子密度は、5×1022(個/cm)であるので、p型半導体層における炭素原子の含有量は、(1原子%〜40原子%)×5×1022(個/cm)=5×1020(個/cm)〜2×1022(個/cm)の範囲である。
一方、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子においては、バッファ層は、p型半導体層における炭素原子の含有量と同じ含有量の炭素原子を含み、バッファ層の膜厚は、6〜7nmであるので、バッファ層における炭素原子の含有量は、(5×1020(個/cm)×6×10−7(cm)〜2×1022(個/cm))×7×10−7(cm)=3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)である。
そして、光電変換素子10のバッファ層2の膜厚が6〜7nmである場合、バッファ層2は、従来のバッファ層における炭素原子の含有量よりも少ない含有量の炭素原子を含むので、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)となる。
また、光電変換素子10のバッファ層2の膜厚が3〜5nmである場合、バッファ層2は、従来のバッファ層の膜厚が6nmである場合の炭素原子の含有量よりも少ない含有量の炭素原子を含むので、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)となる。
従って、炭素原子の含有量の基準値を3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲と決定した。
p型非晶質半導体層3は、例えば、p型a−SiCからなり、8〜9nmの膜厚を有する。また、p型非晶質半導体層3は、2.05eVの光学バンドギャップを有する。そして、p型非晶質半導体層3は、バッファ層2に接して配置される。
透明導電膜4は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnOおよびZnO等のいずれかからなる。そして、透明導電膜4は、p型非晶質半導体層3に接して配置される。
電極5は、例えば、アルミニウム(Al)からなる。そして、電極5は、n型単結晶シリコン基板1のバッファ層2が配置された面と反対側の面に接して配置される。
光電変換素子10の製造方法について説明する。光電変換素子10は、主に、プラズマ装置を用いてプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)法によって製造される。
プラズマ装置は、仕込室と、反応室CB1〜CB3と、取出室と、整合器と、RF電源とを備える。仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室は、直線的に配置されている。そして、仕込室と反応室CB1との間、反応室CB1と反応室CB2との間、反応室CB2と反応室CB3との間および反応室CB3と取出室との間は、仕切バルブで仕切られている。また、仕込室から反応室CB1、反応室CB2、反応室CB3および取出室へ単結晶シリコン基板を順次搬送する搬送機構がプラズマ装置に備えられている。
仕込室は、加熱機構と排気機構とを備える。加熱機構は、単結晶シリコン基板を所定の温度に昇温する。排気機構は、仕込室内のガスを排気し、仕込室の到達圧力を、例えば、1×10−5Pa以下に設定する。
反応室CB1〜CB3の各々は、平行平板電極と、加熱機構と、排気機構とを備える。加熱機構は、単結晶シリコン基板を所定の温度に昇温する。排気機構は、反応室CB1〜CB3内のガスを排気し、反応室CB1〜CB3の到達圧力を、例えば、1×10−5Pa以下に設定する。平行平板電極は、整合器を介してRF電源に接続される。
取出室は、排気機構を備える。排気機構は、取出室内のガスを排気し、取出室の到達圧力を、例えば、1×10−5Pa以下に設定する。
仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室の各排気機構は、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプからなる。ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプは、ターボ分子ポンプが仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室に最も近くなるように、それぞれ、仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室に直列的に連結されている。そして、各排気機構は、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプによって、それぞれ、仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室内のガスを排気し、またはメカニカルブースタポンプおよびロータリーポンプによって、それぞれ、仕込室、反応室CB1〜CB3および取出室内のガスを排気する。
RF電源は、例えば、13.56MHzのRF電力を整合器を介して反応室CB1〜CB3の平行平板電極に印加する。
光電変換素子10の製造が開始されると、n型単結晶シリコン基板1をエタノール等で超音波洗浄して脱脂し、その後、n型単結晶シリコン基板1をフッ酸中に浸漬してn型単結晶シリコン基板1の表面に形成された自然酸化膜を除去するとともに、n型単結晶シリコン基板1の表面を水素で終端する。
n型単結晶シリコン基板1の洗浄が終了すると、n型単結晶シリコン基板1をプラズマ装置の仕込室の基板ホルダー上に配置する。
そして、仕込室の排気機構は、1×10−5Pa以下に仕込室内のガスを排気し、仕込室の加熱機構は、n型単結晶シリコン基板1の温度を200℃に設定するように基板ホルダーを加熱する。また、反応室CB1〜CB3の加熱機構も、基板温度を200℃に設定するように基板ホルダーを加熱する。
n型単結晶シリコン基板1の温度が200℃に達すると、仕込室と反応室CB1との間の仕切バルブが開けられ、n型単結晶シリコン基板1は、仕込室から反応室CB1へ搬送される。
バッファ層2およびp型非晶質半導体層3を形成するときの材料ガスの流量を表1に示す。
Figure 2013115263
n型単結晶シリコン基板1が反応室CB1へ搬送されると、2sccmのシラン(SiH)ガスと、42sccmの水素(H)ガスと、126sccmのメタン(CH)ガスとを反応室CB1に流し、反応室CB1の圧力を13.3Pa〜665Paの範囲に設定する。そして、RF電源は、16〜80mW/cmの範囲のRFパワーを整合器を介して平行平板電極に印加する。
これによって、反応室CB1内でプラズマが発生し、バッファ層2としてのi型a−SiCがn型単結晶シリコン基板1上に堆積される。
なお、CHガスの流量を0sccmから126sccmまで4.2sccm/秒の割合で増加させながらバッファ層2(=i型a−SiC)をn型単結晶シリコン基板1上に堆積してもよい。
バッファ層2の膜厚が6〜7nmになると、反応室CB1の平行平板電極へのRFパワーの印加を停止するとともに、SiHガス、HガスおよびCHガスの反応室CB1への供給を停止し、排気機構によって1×10−5Pa以下に反応室CB1を真空引きする。そして、仕切バルブを開け、バッファ層2/n型単結晶シリコン基板1を反応室CB1から反応室CB2へ搬送する。
バッファ層2/n型単結晶シリコン基板1が反応室CB2へ搬送されると、2sccmのSiHガスと、42sccmのHガスと、水素希釈された12sccmのジボラン(B)ガスと、252sccmのCHガスとを反応室CB2に流し、反応室CB2の圧力を13.3Pa〜665Paの範囲に設定する。そして、RF電源は、16〜80mW/cmの範囲のRFパワーを整合器を介して平行平板電極に印加する。なお、水素希釈されたBガスの濃度は、例えば、0.1%である。
これによって、反応室CB2内でプラズマが発生し、p型非晶質半導体層3としてのp型a−SiCがバッファ層2上に堆積される。
p型非晶質半導体層3の膜厚が8〜9nmになると、反応室CB2の平行平板電極へのRFパワーの印加を停止するとともに、SiHガス、Hガス、CHガスおよびBガスの反応室CB2への供給を停止し、排気機構によって1×10−5Pa以下に反応室CB2を真空引きする。そして、仕切バルブを開け、p型非晶質半導体層3/バッファ層2/n型単結晶シリコン基板1を反応室CB2から取出室へ搬送する。
その後、取出室でp型非晶質半導体層3/バッファ層2/n型単結晶シリコン基板1を室温まで冷却した後、p型非晶質半導体層3/バッファ層2/n型単結晶シリコン基板1を取出室から取出し、p型非晶質半導体層3/バッファ層2/n型単結晶シリコン基板1をスパッタ装置にセットする。
そして、スパッタ装置を用いて透明導電膜4としてのITOをp型非晶質半導体層3上に形成する。その後、透明導電膜4/p型非晶質半導体層3/バッファ層2/n型単結晶シリコン基板1を蒸着装置にセットし、蒸着装置を用いて電極5としてのAlをn型単結晶シリコン基板1の裏面(バッファ層2が形成された面と反対側の面)に形成する。これによって、光電変換素子10が完成する。
なお、上記においては、膜厚が6〜7nmになるようにバッファ層2をn型単結晶シリコン基板1上に堆積すると説明したが、光電変換素子10の製造方法においては、CHガスの流量を252sccmに一定に保持して膜厚が3〜5nmになるようにバッファ層2をn型単結晶シリコン基板1上に堆積してもよい。
このように、光電変換素子10は、バッファ層2およびp型非晶質半導体層3をプラズマCVD法によってn型単結晶シリコン基板1上に順次積層し、その後、スパッタリングによって透明導電膜4をp型非晶質半導体層3上に形成し、蒸着によって電極5(=Al)をn型単結晶シリコン基板1の裏面に形成することによって製造される。
図2は、バッファ層2を形成するときのCHガスの流量を示す図である。図2において、直線k1,k3は、図1に示す光電変換素子10のバッファ層2を形成するときのCHガスの流量を示し、直線k2,k4は、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子のバッファ層を形成するときのCHガスの流量を示す。
バッファ層2の膜厚が6〜7nmである場合、バッファ層2は、図2の(a)に示す直線k1または図2の(b)に示す直線k3に従ってCHガスの流量を制御して形成される。
図2の(a)を参照して、光電変換素子10のバッファ層2は、CHガスの流量を126sccmに一定に保持して形成される(直線k1参照)。一方、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子のバッファ層を形成するときのCHガスの流量は、252sccmに一定に保持される(直線k2参照)。従って、光電変換素子10のバッファ層2は、従来の光電変換素子のバッファ層を形成するときのCHガスの流量(252sccm)を半分に減少して形成される。
図2の(b)を参照して、光電変換素子10のバッファ層2は、CHガスの流量を0sccmから126sccmまで徐々に増加させて形成される(直線k3参照)。この場合、CHガスの流量は、バッファ層2の膜厚が3〜3.5nmになるまでは、0sccmであり、その後、30秒間で0sccmから126sccmになるように増加される。
一方、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子のバッファ層を形成するときのCHガスの流量は、0sccmから252sccmまで徐々に増加される(直線k4参照)。この場合、CHガスの流量は、1分間で0sccmから252sccmになるように増加される。
従って、光電変換素子10のバッファ層2は、CHガスの流量の増加割合を従来と同じに保持し、CHガスの流量の最終値を従来の半分に減少して形成される。
なお、光電変換素子10のバッファ層2を形成するときのCHガスの流量が直線k3に従って制御される場合、形成されたバッファ層2において、炭素原子の含有量は、p型非晶質半導体層3からn型単結晶シリコン基板1へ向かう方向において、徐々に減少する。従って、CHガスの流量を増加させながらバッファ層2をn型単結晶シリコン基板1上に形成した場合、バッファ層2は、所謂、炭素原子を厚み方向にグレーディッドさせた構造からなる。そして、バッファ層2のn型単結晶シリコン基板1側には、カーボン(C)が含まれていないので、n型単結晶シリコン基板1の表面は、バッファ層2のカーボン(C)が含まれていない部分によって覆われる。その結果、バッファ層2とn型単結晶シリコン基板1との界面における再結合準位を減少できる。
このように、バッファ層2における炭素原子の含有量は、バッファ層2を形成するときのCHガスの流量を減少させることによって、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子のバッファ層における炭素原子の含有量よりも少ない値に設定される。
また、バッファ層2を形成するときのCHガスの流量が252sccmである場合、バッファ層2の膜厚を3〜5nmに設定することによって、バッファ層2における炭素原子の含有量は、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子のバッファ層における炭素原子の含有量よりも少ない値に設定される。
従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子のバッファ層における炭素原子の含有量は、1原子%〜40原子%=5×1020(個/cm)〜2×1022(個/cm)である。そして、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子において、バッファ層の膜厚は、6〜7nmであるので、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子のバッファ層における炭素原子の含有量は、5×1020(個/cm)×6×10−7(cm)〜2×1022(個/cm)×7×10−7(cm)=3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)である。
一方、光電変換素子10のバッファ層2の膜厚は、3〜5nmであるので、光電変換素子10のバッファ層2における炭素原子の含有量は、5×1020(個/cm)×3×10−7(cm)〜2×1022(個/cm)×5×10−7(cm)=1.5×1014(個/cm)〜1.0×1016(個/cm)である。
従って、バッファ層を形成するときのCHガスの流量を従来と同じに保持し、バッファ層2の膜厚を従来よりも薄くすることによってバッファ層2における炭素原子の含有量を少なくできる。
このように、この発明の実施の形態においては、バッファ層2を形成するときのCHガスの流量を従来の流量よりも少なくすることによって、またはバッファ層2の膜厚を従来の膜厚よりも薄くすることによって、バッファ層2における炭素原子の含有量を少なくする。
光電変換素子10においては、太陽光は、透明導電膜4側から光電変換素子10に入射する。そして、電子および正孔は、主に、n型単結晶シリコン基板1において光励起される。
n型単結晶シリコン基板1において光励起された電子および正孔は、p型非晶質半導体層3/バッファ層2(=i型a−SiC)/n型単結晶シリコン基板1からなるpin接合による内部電界によって分離される。そして、電子は、電極5へ到達し、正孔は、バッファ層2を介してp型非晶質半導体層3へ到達し、p型非晶質半導体層3から透明導電膜4へ到達する。
電極5へ到達した電子は、透明導電膜4と電極5との間に接続された外部負荷を介して電極5から透明導電膜4へ到達し、p型非晶質半導体層3から透明導電膜4へ到達した正孔と再結合する。
これによって、光電変換素子10において発生した電流が外部負荷に流れる。
pin構造からなる非晶質太陽電池においてp型非晶質半導体層とi型非晶質半導体層との間に配置されるバッファ層としてバッファ層2を用いた場合、非晶質太陽電池の変換効率の光劣化率が15%から9%へと大きく改善された。そして、この変換効率の光劣化率の改善は、主に、光照射後の短絡光電流(Jsc)が大きいことに起因している。
このように、光照射後の短絡光電流(Jsc)が大きいのは、バッファ層2における炭素原子の含有量が基準値よりも少なくされた結果、バッファ層2の品質が向上し、p型非晶質半導体層とバッファ層との界面およびバッファ層とi型非晶質半導体層との界面における再結合準位が減少し、i型非晶質半導体層において光励起された正孔がp型非晶質半導体層とバッファ層との界面およびバッファ層とi型非晶質半導体層との界面において再結合する割合が減少したためと考えられる。
従って、バッファ層2をp型非晶質半導体層3とn型単結晶シリコン基板1との間に配置した光電変換素子10においても、p型非晶質半導体層3とバッファ層2との界面およびバッファ層2とn型単結晶シリコン基板1との界面における再結合準位が減少し、n型単結晶シリコン基板1において光励起された正孔(=少数キャリア)がp型非晶質半導体層3とバッファ層2との界面およびバッファ層2とn型単結晶シリコン基板1との界面において再結合する割合が減少し、太陽光のような強い光を照射した後においても、短絡光電流(Jsc)が大きくなる。従って、光電変換素子10の変換効率の光劣化率を低減できる。
従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子においては、バッファ層における炭素原子の含有量は、1原子%〜40原子%=5×1020(個/cm)〜2×1022(個/cm)であり、従来のアモルファスシリコンを用いた光電変換素子におけるバッファ層の膜厚は、6〜7nmであるので、光電変換素子10において、バッファ層2の膜厚を6〜7nm(従来の膜厚と同じ)に保持し、CHガスの流量を少なくしてバッファ層2を形成した場合、バッファ層2における炭素原子の含有量は、5×1020(個/cm)×6×10−7(cm)〜2×1022(個/cm)×7×10−7(cm)=3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)よりも少なくなる。
従って、光電変換素子10は、CHガスの流量を少なくしてバッファ層2における炭素原子の含有量を減少させた場合、炭素原子の含有量が基準値(=3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm))よりも少ないバッファ層2を備えていればよい。
また、膜厚を6〜7nmから3〜5nmに薄くすることによってバッファ層2における炭素原子の含有量を少なくした場合、バッファ層2における炭素原子の含有量は、上述したように、1.5×1014(個/cm)〜1.0×1016(個/cm)である。
一方、バッファ層の膜厚が6〜7nmである場合、バッファ層における炭素原子の含有量は、上述したように、3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)である。そして、バッファ層の膜厚が6nmである場合、バッファ層における炭素原子の含有量は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)である。その結果、膜厚を6nmよりも薄くすることによってバッファ層2における炭素原子の含有量を減少させた場合のバッファ層2における炭素原子の含有量の基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)に設定されるべきである。
従って、光電変換素子10は、膜厚を薄くすることによってバッファ層2における炭素原子の含有量を減少させた場合、炭素原子の含有量が基準値(=3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm))よりも少ないバッファ層2を備えていればよい。
そうすると、CHガスの流量を少なくしてバッファ層2における炭素原子の含有量を減少させる方法、および膜厚を薄くすることによってバッファ層2における炭素原子の含有量を減少させる方法のいずれかの方法を採用する場合、光電変換素子10は、炭素原子の含有量が基準値(=3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲)よりも少ないバッファ層2を備えていればよい。
そして、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)は、バッファ層2を厚み方向から見た場合の単位面積当たりの炭素原子の含有量の範囲を表している。
従って、バッファ層を備える光電変換素子において、バッファ層を厚み方向から見た場合の単位面積当たりの炭素原子の含有量が3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)からなる基準値、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)からなる基準値よりも少なければ、この光電変換素子は、本願発明の範囲に含まれる。
このように、この発明の実施の形態においては、バッファ層2における炭素原子の含有量を、バッファ層2の膜厚を考慮したときの単位面積当たりの炭素原子の含有量である基準値(=3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲)を用いて規定した点に技術的意義がある。バッファ層2における炭素原子の含有量を基準値(=3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲)よりも少なくすれば、光電変換素子10の光劣化率を減少できるからである。
また、膜厚を薄くしてバッファ層2における炭素原子の含有量を少なくする場合、バッファ層2の膜厚を6nmよりも薄い3〜5nmに設定すればよく、膜厚が6nmであるときのバッファ層2における炭素原子の含有量は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)であるので、光電変換素子10におけるバッファ層2の膜厚は、基準膜厚よりも薄く、基準膜厚は、バッファ層における炭素原子の含有量が基準値(=3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm))になるときの膜厚であればよい。
なお、実施の形態1による光電変換素子10は、n型単結晶シリコン基板1に代えてn型多結晶シリコン基板を備えていてもよい。この場合、n型多結晶シリコン基板は、例えば、0.1〜1.0Ω・cmの比抵抗を有する。また、n型多結晶シリコン基板は、100〜300μmの厚みを有し、好ましくは、100〜200μmの厚みを有する。そして、n型多結晶シリコン基板を用いた場合も、光電変換素子10は、上述した方法によって製造される。
また、実施の形態1においては、n型単結晶シリコン基板1(またはn型多結晶シリコン基板)のバッファ層2側の表面は、凹凸化(テクスチャ化)されていてもよい。
[実施の形態2]
図3は、実施の形態2による光電変換素子の構成を示す断面図である。図3を参照して、実施の形態2による光電変換素子100は、図1に示す光電変換素子10のn型単結晶シリコン基板1をp型単結晶シリコン基板101に代え、p型非晶質半導体層3をn型非晶質半導体層103に代えたものであり、その他は、光電変換素子10と同じである。
p型単結晶シリコン基板101は、例えば、(100)の面方位を有し、0.1〜1.0Ω・cmの比抵抗を有する。そして、p型単結晶シリコン基板101は、100〜300μmの厚みを有し、好ましくは、100〜200μmの厚みを有する。
n型非晶質半導体層103は、例えば、n型a−SiCからなり、8〜9nmの膜厚を有する。また、n型非晶質半導体層103は、2.05eVの光学バンドギャップを有する。そして、n型非晶質半導体層103は、バッファ層2に接して配置される。
光電変換素子100においては、透明導電膜4は、n型非晶質半導体層103に接して配置され、電極5は、p型単結晶シリコン基板101に接して配置される。
光電変換素子100の製造方法について説明する。光電変換素子100も、主に、上述したプラズマ装置を用いてプラズマCVD法によって製造される。
光電変換素子100の製造が開始されると、p型単結晶シリコン基板101をエタノール等で超音波洗浄して脱脂し、その後、p型単結晶シリコン基板101をフッ酸中に浸漬してp型単結晶シリコン基板101の表面に形成された自然酸化膜を除去するとともに、p型単結晶シリコン基板101の表面を水素で終端する。
p型単結晶シリコン基板101の洗浄が終了すると、p型単結晶シリコン基板101をプラズマ装置の仕込室の基板ホルダー上に配置する。
そして、仕込室の排気機構は、1×10−5Pa以下に仕込室内のガスを排気し、仕込室の加熱機構は、p型単結晶シリコン基板101の温度を200℃に設定するように基板ホルダーを加熱する。また、反応室CB1,CB3の加熱機構も、基板温度を200℃に設定するように基板ホルダーを加熱する。
p型単結晶シリコン基板101の温度が200℃に達すると、仕込室と反応室CB1との間の仕切バルブが開けられ、p型単結晶シリコン基板101は、仕込室から反応室CB1へ搬送される。
バッファ層2およびn型非晶質半導体層103を形成するときの材料ガスの流量を表2に示す。
Figure 2013115263
p型単結晶シリコン基板101が反応室CB1へ搬送されると、上述した方法によって、バッファ層2をp型単結晶シリコン基板101上に堆積する。
そして、仕切バルブを開け、バッファ層2/p型単結晶シリコン基板101を反応室CB1から反応室CB3へ搬送する。
バッファ層2/p型単結晶シリコン基板101が反応室CB3へ搬送されると、10sccmのSiHガスと、150sccmのHガスと、水素希釈された50sccmのフォスフィン(PH)ガスと、252sccmのCHガスとを反応室CB3に流し、反応室CB3の圧力を13.3Pa〜665Paの範囲に設定する。そして、RF電源は、16〜80mW/cmの範囲のRFパワーを整合器を介して平行平板電極に印加する。なお、水素希釈されたPHガスの濃度は、例えば、0.2%である。
これによって、反応室CB3内でプラズマが発生し、n型非晶質半導体層103としてのn型a−SiCがバッファ層2上に堆積される。
n型非晶質半導体層103の膜厚が8〜9nmになると、反応室CB3の平行平板電極へのRFパワーの印加を停止するとともに、SiHガス、Hガス、CHガスおよびPHガスの反応室CB3への供給を停止し、排気機構によって1×10−5Pa以下に反応室CB3を真空引きする。そして、仕切バルブを開け、n型非晶質半導体層103/バッファ層2/p型単結晶シリコン基板101を反応室CB3から取出室へ搬送する。
その後、取出室でn型非晶質半導体層103/バッファ層2/p型単結晶シリコン基板101を室温まで冷却した後、n型非晶質半導体層103/バッファ層2/p型単結晶シリコン基板101を取出室から取出し、n型非晶質半導体層103/バッファ層2/p型単結晶シリコン基板101をスパッタ装置にセットする。
そして、上述した方法によって透明導電膜4および電極5を形成する。これによって、光電変換素子100が完成する。
なお、その他の製造方法は、光電変換素子10の製造方法と同じである。
光電変換素子100においては、太陽光は、透明導電膜4側から光電変換素子100に入射する。そして、電子および正孔は、主に、p型単結晶シリコン基板101において光励起される。
p型単結晶シリコン基板101において光励起された電子および正孔は、n型非晶質半導体層103/バッファ層2(=i型a−SiC)/p型単結晶シリコン基板101からなるpin接合による内部電界によって分離される。そして、電子(=少数キャリア)は、バッファ層2を介してn型非晶質半導体層103へ到達し、n型非晶質半導体層103から透明導電膜4へ到達し、正孔は、電極5へ到達する。
透明導電膜4へ到達した電子は、透明導電膜4と電極5との間に接続された外部負荷を介して透明導電膜4から電極5へ到達し、電極5へ到達した正孔と再結合する。
これによって、光電変換素子100において発生した電流が外部負荷に流れる。
上述したように、光電変換素子100は、炭素原子の含有量を基準値よりも少なくしたバッファ層2を備えるので、光電変換素子10について説明した理由と同じ理由によって、光電変換素子100の変換効率の光劣化率を低減できる。
なお、実施の形態2による光電変換素子100は、p型単結晶シリコン基板101に代えてp型多結晶シリコン基板を備えていてもよい。この場合、p型多結晶シリコン基板は、例えば、0.1〜1.0Ω・cmの比抵抗を有する。また、p型多結晶シリコン基板は、100〜300μmの厚みを有し、好ましくは、100〜200μmの厚みを有する。そして、p型多結晶シリコン基板を用いた場合も、光電変換素子100は、上述した方法によって製造される。
また、実施の形態2においては、p型単結晶シリコン基板101(またはp型多結晶シリコン基板)のバッファ層2側の表面は、凹凸化(テクスチャ化)されていてもよい。
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
上述した実施の形態1においては、炭素原子の含有量が基準値よりも少ないバッファ層2とn型単結晶シリコン基板1(またはn型多結晶シリコン基板)とを備える光電変換素子10について説明し、実施の形態2においては、炭素原子の含有量が基準値よりも少ないバッファ層2とp型単結晶シリコン基板101(またはp型多結晶シリコン基板)とを備える光電変換素子100について説明した。
従って、この発明の実施の形態による光電変換素子は、第1の導電型を有する結晶シリコン基板と、第1の導電型と反対の導電型である第2の導電型を有するアモルファスシリコンカーバイドからなり、結晶シリコン基板上に堆積された半導体層と、半導体層と結晶シリコン基板との間に設けられるとともにアモルファスシリコンカーバイドからなり、炭素原子の含有量が基準値よりも少ないバッファ層とを備え、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲からなっていればよい。
また、上述したように、光電変換素子10,100の製造方法は、炭素原子用の材料ガスであるCHガスの流量を従来の流量よりも少なくして、または膜厚を従来の膜厚よりも薄くしてバッファ層2を形成する工程を備える。
従って、この発明の実施の形態による光電変換素子の製造方法は、アモルファスシリコンカーバイドからなるバッファ層を炭素原子の含有量が基準値よりも少なくなるように第1の導電型を有する結晶シリコン基板上に堆積する第1の工程と、第1の導電型と反対の導電型である第2の導電型を有するアモルファスシリコンカーバイドからなる半導体層をバッファ層上に堆積する第2の工程とを備え、基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲からなっていればよい。
また、光電変換素子10,100の製造方法においては、バッファ層2は、炭素原子用の材料ガスであるCHガスの流量を252sccmよりも少なくして形成されるので、バッファ層を形成する第1の工程において、バッファ層は、炭素原子用の材料ガスを基準流量よりも少なくして堆積され、基準流量は、バッファ層2における炭素原子の含有量が基準値(=3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲)になるときの流量であればよい。そして、炭素原子用の材料ガスを基準流量よりも少なくしてバッファ層2を堆積する場合、炭素原子用の材料ガスの流量を基準流量よりも少ない範囲において炭素原子用の材料ガスの流量を一定に保持して、または炭素原子用の材料ガスの流量を徐々に増加しながらバッファ層2が堆積される。
更に、光電変換素子10,100の製造方法においては、バッファ層2は、膜厚を6〜7nmよりも薄い3〜5nmに設定して形成されるので、バッファ層を形成する第1の工程において、バッファ層は、膜厚を基準膜厚よりも薄くして堆積され、基準膜厚は、バッファ層における炭素原子の含有量が基準値(=3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲)になるときの膜厚であればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、光電変換素子および光電変換素子の製造方法に適用される。
1 n型単結晶シリコン基板、2 バッファ層、3 p型非晶質半導体層、4 透明導電膜、5 電極、10,100 光電変換素子、101 p型単結晶シリコン基板、103 n型非晶質半導体層。

Claims (17)

  1. 第1の導電型を有する結晶シリコン基板と、
    前記第1の導電型と反対の導電型である第2の導電型を有するアモルファスシリコンカーバイドからなり、前記結晶シリコン基板上に堆積された半導体層と、
    前記半導体層と前記結晶シリコン基板との間に設けられるとともにアモルファスシリコンカーバイドからなり、炭素原子の含有量が基準値よりも少ないバッファ層とを備え、
    前記基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲からなる、光電変換素子。
  2. 前記バッファ層における炭素原子の含有量は、前記半導体層から前記結晶シリコン基板へ向かう方向において徐々に減少している、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記バッファ層における炭素原子の含有量は、前記バッファ層の厚み方向において略一定である、請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記バッファ層の膜厚は、基準膜厚よりも薄く、
    前記基準膜厚は、前記バッファ層における炭素原子の含有量が前記基準値になるときの膜厚である、請求項1に記載の光電変換素子。
  5. 前記結晶シリコン基板は、単結晶シリコン基板からなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記結晶シリコン基板は、多結晶シリコン基板からなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記第1の導電型は、n型であり、
    前記第2の導電型は、p型である、請求項5または請求項6に記載の光電変換素子。
  8. 前記第1の導電型は、p型であり、
    前記第2の導電型は、n型である、請求項5または請求項6に記載の光電変換素子。
  9. アモルファスシリコンカーバイドからなるバッファ層を炭素原子の含有量が基準値よりも少なくなるように第1の導電型を有する結晶シリコン基板上に堆積する第1の工程と、
    前記第1の導電型と反対の導電型である第2の導電型を有するアモルファスシリコンカーバイドからなる半導体層を前記バッファ層上に堆積する第2の工程とを備え、
    前記基準値は、3×1014(個/cm)〜1.2×1016(個/cm)の範囲、または3×1014(個/cm)〜1.4×1016(個/cm)の範囲からなる、光電変換素子の製造方法。
  10. 前記第1の工程において、前記バッファ層は、炭素原子用の材料ガスの流量を基準流量よりも少なくして堆積され、
    前記基準流量は、前記バッファ層における炭素原子の含有量が前記基準値になるときの流量である、請求項9に記載の光電変換素子の製造方法。
  11. 前記第1の工程において、前記バッファ層は、前記基準流量よりも少ない範囲において前記炭素原子用の材料ガスの流量を徐々に増加しながら堆積される、請求項10に記載の光電変換素子の製造方法。
  12. 前記第1の工程において、前記バッファ層は、前記基準流量よりも少ない範囲において前記炭素原子用の材料ガスの流量を略一定に保持して堆積される、請求項10に記載の光電変換素子の製造方法。
  13. 前記第1の工程において、前記バッファ層は、膜厚を基準膜厚よりも薄くして堆積され、
    前記基準膜厚は、前記バッファ層における炭素原子の含有量が前記基準値になるときの膜厚である、請求項9に記載の光電変換素子の製造方法。
  14. 前記結晶シリコン基板は、単結晶シリコン基板からなる、請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  15. 前記結晶シリコン基板は、多結晶シリコン基板からなる、請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
  16. 前記第1の導電型は、n型であり、
    前記第2の導電型は、p型である、請求項14または請求項15に記載の光電変換素子の製造方法。
  17. 前記第1の導電型は、p型であり、
    前記第2の導電型は、n型である、請求項14または請求項15に記載の光電変換素子の製造方法。
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