JP2013114208A - 液体現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、クリーニング性、現像性、耐ホットオフセット性が良好な液体現像剤を提供することである。
【解決手段】少なくとも、結着樹脂(A)、着色剤(B)、無機酸化物(C)からなるトナー粒子と、キャリア液(D)とからなる液体現像剤である。
さらに、無機酸化物(C)の表面電位V10が0.8kV以下であることを特徴とする、上記液体現像剤である。(ただしV10はコロナ帯電を行った10秒後の表面電位とする。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等を利用して画像の形成がなされる電子複写機、プリンター、オンデマンド印刷機等における静電潜像を現像するために用いられる液体現像剤に関する。さらに好ましくはクリーニング性に優れる液体現像剤に関する。
液体現像剤を用いた画像形成装置は、乾式の粉体トナーと比べて、湿式下で微粉砕、分散を行うことから微細化が可能であり、キャリアとして絶縁性液体のキャリア液を用いることからトナー粒子の機内の飛散による問題等が生じることなく高精細な画像の形成が可能であるという特徴を有している。
液体現像剤を用いた電子写真方式の画像形成装置では、キャリア液中に微細化されたトナー粒子を分散した現像剤が用いられており、感光体上に露光によって形成された静電潜像をキャリア液中のトナー粒子を用いて現像している。現像後には、得られた像を紙などの記録媒体上に転写、乾燥、定着して画像形成がなされる。
これらの現像および転写工程においては、ローラー上に現像および転写されなかったトナー粒子が残るために、これをローラーやブレードを用いてクリーニングする必要がある。
上記のクリーニング工程で、良好にトナー粒子がかきとれない場合は、転写後の残留トナーが紙面上に転写されてしまいトラブルとなってしまうため、トナー粒子のクリーニング性は重要な課題となっている。
特に液体現像剤に関しては、粒子径が小さいことからブレードをすり抜けやすく、また良好な転写性を得るために、粒子あたりの帯電量を大きくする必要があり、現像及び転写ローラーや感光体と、残留トナーとの静電付着力が強くなり、よりクリーニングが困難になってくる。
このクリーニング性を改善するために、従来から、液体現像剤の特性制御についての検討がなされている。(特許文献1、2)
しかしながら特許文献1では、トナー粒子径、粒子形状の制御によるものであり、その効果は不十分なものであった。また、特許文献2では、キャリア液中への分散剤量により、帯電制御を行うものであるが、分散剤の増量は定着性の劣化を招くものであった。
特開2008−209655号公報 特開2008−134507号公報
このように、液体現像剤の転写残トナーのクリーニング性の向上については、トナー粒子径、粒子形状の制御や、キャリア液中の分散剤量による帯電制御では不十分であり、改善の余地が大きい。
本発明の目的は、クリーニング性、現像性、耐ホットオフセット性に優れた液体現像剤を提供することである。
本発明者等は鋭意検討した結果、以下の特徴を有する液体現像剤の発明に至ったものである。
少なくとも、結着樹脂(A)、着色剤(B)、無機酸化物(C)からなるトナー粒子を、キャリア液(D)に分散してなる液体現像剤。
また、無機酸化物(C)の表面電位V10が0.8kV以下であることを特徴とする、上記液体現像剤。ただしV10はコロナ帯電10秒後の表面電位とする。
また、無機酸化物(C)の表面電位Vが0.2kV以上1.6kV以下であることを特徴とする、上記液体現像剤。ただしVはコロナ帯電1秒後の表面電位とする。
また、無機酸化物(C)をトナー粒子中に0.1〜10重量%含有することを特徴とする、上記液体現像剤。
また、結着樹脂(A)が少なくともポリエステル樹脂を含むことを特徴とする、上記液体現像剤。
以上述べたように、結着樹脂(A)、着色剤(B)と共に、無機酸化物(C)を内添し、表面特性、帯電性を制御したトナー粒子を、キャリア液(D)に分散することで、クリーニング性、現像性、耐ホットオフセット性が良好な液体現像剤を提供することが出来る。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の液体現像剤は、そのトナー粒子中に無機酸化物(C)を内添することが大きな特徴である。無機酸化物(C)の種類、添加量を最適に選定し、トナー粒子の表面特性、帯電特性を制御することで、クリーニング性が向上し、また現像性、耐ホットオフセット性に優れるものである。
以下本発明の液体現像剤を構成する結着樹脂(A)と着色剤(B)、無機酸化物(C)からなるトナー粒子、キャリア液(D)などについて詳細に説明する。
(トナー粒子)
本発明の液体現像剤に用いるトナー粒子は、少なくとも結着樹脂(A)と着色剤(B)無機酸化物(C)とからなるものであり、加えて顔料分散剤、可塑剤、ワックスなどの添加剤を用いることも好ましい。
(結着樹脂(A))
一般的に、結着樹脂には顔料や染料などの着色剤をその樹脂中に均一分散させる機能と、紙などの基材へ定着する際のバインダーとしての機能がある。
使用することのできる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体また架橋されたスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などがあげられる。
顔料分散性、定着性に優れる点において、特にポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は熱可塑性ポリエステルであることが好ましく、2価あるいは3価以上のアルコール成分とカルボン酸などの酸成分との重縮合により得られるものである。
アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、下記一般式(1)で示されるビスフェノール誘導体等の2価のアルコール類、
グリセロール、ジグリセロール、ソルビット、ソルビタン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、等の3価以上のアルコール類が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
Figure 2013114208




(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
酸成分としては、二価のカルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;
またさらに炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;
フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物;
シクロヘキサンジカルボン酸;ナフタレンジカルボン酸;ジフェノキシエタン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられ、
架橋成分としてはたらく三価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、オクタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
好ましいアルコール成分は、ビスフェノールAにアルキレンオキサイドを2〜3モル付加させたもの、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等であり、好ましい酸成分はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物、コハク酸、n−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類、トリメリット酸またはその無水物等のトリカルボン酸類である。
重縮合の方法としては、公知の塊状重合法を用いることができ、ポリエステル樹脂の分子量、軟化温度を制御するには反応させるアルコール成分とカルボン酸の種類、モル比、さらには反応温度、反応時間、反応圧力、触媒等を調整すればよい。さらに、ポリエステル樹脂として市販品を用いることも可能である。例えば、ダイヤクロンER−502、ダイヤクロンER−508(いずれも三菱レイヨン社製)などがある。
さらには、定着性、分散性、粉砕性の向上のためにポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂のハイブリッド樹脂を用いることが好適である。
ポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂のハイブリッド樹脂は、例えば特許第3531980号、特開2006−178296のような公知の方法により合成される。
結着樹脂(A)に含まれるポリエステル樹脂とスチレン−アクリル系樹脂の質量比率[ポリエステル樹脂/スチレン−アクリル共重合樹脂]は1〜20であることが好ましい。質量比率が20を超えると、定着性、分散性、粉砕性向上の効果が得られず、質量比率が1を下回ると耐ホットオフセット性が劣化する傾向にある。より好ましくは、質量比率3〜20である。
(軟化温度(T4))
本発明に用いる結着樹脂(A)の軟化温度は70〜140℃の範囲が好ましく、80℃〜130℃の範囲がより好ましい。本発明での軟化温度は、島津製作所製フローテスターCFT−500Dを用いて、開始温度40℃、昇温速度6.0℃/min、試験荷重20kg、予熱時間300秒、ダイ穴径0.5mm、ダイ長さ1.0mmの条件にて、試料1.0gの4mmが流出したときの温度を軟化温度(T4)として測定したものである。
結着樹脂(A)の軟化温度が70℃よりも低いと混練時に軟化し過ぎてしまい、着色剤(B)の分散性が悪化し、液体現像剤としての必要な画像濃度が得られなくなる。さらには耐オフセット性が劣化し、液体現像剤の分散安定性も悪くなる。対して、軟化温度が140℃より高いと良好な定着性が得られない。
(平均分子量)
結着樹脂(A)は、耐オフセット性および定着性、画質特性の点から、重量平均分子量(Mw)が2,000〜100,000のものが好ましく、3,000〜30,000のものがより好ましい。結着樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が2,000より小さくなると、耐オフセット性、色再現性および分散安定性が低下する傾向にあり、100,000より大きくなると定着性が劣化する傾向にある。
また、本発明に用いる結着樹脂(A)は、特定の低分子量の縮重合体成分と特定の高分子量の縮重合体成分とからなる2山の分子量分布曲線を有するタイプ、或いは1山の単分子量分布曲線を有するタイプのいずれのものであってもよい。
重量平均分子量は、東ソー(株)製ゲルパーミネイションクロマトグラフィ(HLC−8220。)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
さらに、結着樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率、Mw/Mnが2〜15の範囲であることが好ましい。Mw/Mnが2を下回ると耐オフセット性が悪くなると共に、非オフセット領域が狭くなり低温定着性が劣化する傾向にある。Mw/Mnが15を超えると、トナー粒子の粉砕性が悪くなり、液体現像剤としての画像特性が劣化する傾向にある。
(着色剤(B))
本発明の液体現像剤に用いる着色剤(B)としては、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各有機顔料、有機染料、特にその造塩化合物、カーボンブラック、磁性体が好適に用いられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。またキャリア液に対して不溶であることが好ましい。
イエローの着色剤としては、イエローの有機顔料、イエローの染料の造塩化合物を用いることが好ましい。
イエローの有機顔料としては、ベンズイミダゾロン化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、キノフタロン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、138、139、147、150、168、174、176、180、181、191等が好適に用いられる。中でもキノフタロン化合物、縮合アゾ化合物、ベンズイミダゾロン化合物を用いることが好ましい。
またイエローの染料の造塩化合物としては、酸性染料の造塩化合物、塩基性染料の造塩化合物が用いられる。酸性染料の造塩化合物としては、C.I.アシッドイエロー11、23(タートラジン)と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。四級アンモニウム塩を構成することでトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。
マゼンタの着色剤としては、マゼンタの有機顔料、マゼンタの染料の造塩化合物を用いることが好ましい。
マゼンタの有機顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、ローダミンレーキ等の塩基性染料のレーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、209、220、221、254、255、268、269等、C.I.ピグメントバイオレット1、19等が好適に用いられる。中でもキナクリドン化合物、ローダミンレーキ顔料、ナフトール系顔料等を用いることが好ましい。具体的には、ナフトールAS(C.I.ピグメントレッド269等)、ローダミンレーキ(C.I.ピグメントレッド81、81:1、81:2、81:3、81:4、169等)、キナクリドン(C.I.ピグメントレッド122等)カーミン6B(C.I.ピグメントレッド57:1)が好ましい材料である。
またキナクリドン顔料とモノアゾ顔料であるカーミン6B(C.I.ピグメントレッド57:1)とを併用したものは良好なマゼンタ色、赤色を呈し好ましいものである。
またマゼンタの染料の造塩化合物としては、ローダミン系酸性染料の造塩化合物、ローダミン系塩基性染料の造塩化合物が好ましく用いられる。塩基性染料の造塩化合物としては、C.I.ベーシックレッド1、同ベーシックバイオレット10と無色(色素の発色を阻害しない)の有機スルホン酸、有機カルボン酸とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。塩基性染料は良好な正帯電を呈することからトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。有機スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、ナフチルアミンスルホン酸等が好ましく用いられる。有機カルボン酸としては、サリチル酸誘導体や高級脂肪酸が用いられる。
シアンの着色剤としては、シアン、青色の有機顔料、シアン、青色染料の造塩化合物、シアン、青色染料の油溶性染料を用いることが好ましい。
シアンの有機顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、62、66等が好適に用いられる。中でもC.I.ピグメントブルー15:3等の銅フタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
また前記有機顔料と併用する形態で、トリアリールメタン系の染料由来の化合物を用いることも好ましい。トリアリールメタン系色素は、良好な正帯電性を有することから帯電性のコントロール、着色性の両方の観点から有効な材料である。特にC.I.ソルベントブルー124等のトリアリールメタン系油溶性染料やトリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物は良好なものである。C.I.ソルベントブルー124としては、具体的にはクラリアント社製のCOPY BLUE PRは好ましい材料である。これはC.I.ベーシックレッド9(パラマゼンタ)とアニリンとを縮合せしめ得られたものである。
さらに色相調整の目的で前記シアン、青色の有機顔料、シアン、青色染料の造塩化合物、シアン、青色染料の油溶性染料に加えて、緑色顔料を補色として使用することができる。緑色顔料としては、具体的にはC.I.ピグメントグリーン7、36等のハロゲン化フタロシアニン化合物が好ましい。
黒の着色剤としては、コスト、取り扱いの点からもカーボンブラック、ペリレンブラック等の有機黒色顔料やニグロシン染料、アゾ金属錯体染料等の有機黒色染料を用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、バイオマス由来のカーボンブラックなどの各種いずれも使用できるが、ファーネスブラックカーボン、バイオマスカーボンが、画像特性においてかぶり(白地部の地汚れ)が低減される効果があり好ましいものである。
ニグロシン染料としては、ニグロシンベースを湿式粉砕等により微細化し、体積平均粒径を0.5〜2μmとしたものを用いることが好ましい。この微細化されたニグロシン染料はグロスを有し、光沢のある黒色を得ることができる。またニグロシンの微細化は特開2006−171501等に記載の方法により得られるものである。
また黒色着色剤としては、上記イエロー、マゼンタ、シアンの3色の着色剤を用いて黒色を得ることもできる。
さらに画像濃度が良好で、コントラストのある黒色を得るためには、黒の着色剤として黒色色素100質量部に対して、青色色素を1〜10質量部添加することが好ましい。青色色素としては、ハロゲンを含まない金属フタロシアニンブルー化合物、トリアリールメタン化合物、ジオキサジンバイオレット顔料等を用いることが好ましい。またフタロシアニンブルー化合物、トリアリールメタン化合物は安定した正帯電性を有していることも良好な黒トナー粒子を得る上で有効である。具体的には、C.I.ピグメントブルー15:3、ビクトリアピュアブルーレーキ顔料(C.I.ピグメントブルー1)、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット19、トリアリールメタン系塩基性染料と実質的に無色の有機酸とからなる造塩化合物(C.I.ベーシックブルー7と有機酸との造塩化合物)、トリアリールメタン系油溶性染料を用いることが好ましい。
トリアリールメタン系色素は良好な正帯電を呈することでトナー粒子の帯電性制御に有効であり、中でも分散性に優れたトリアリールメタン系油溶性染料が好ましい。
本発明に用いるトナー粒子中に含まれる着色剤(B)の含有量は、使用する結着樹脂(A)の種類により異なるが、通常、トナー粒子100質量部に対して5〜30質量部、好ましくは5〜20質量部である。
(無機酸化物(C))
無機酸化物(C)としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、亜鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。また、タルク、カオリンクレー等の天然鉱物由来の化合物も好適に使用できる。これらは、1種もしくは2種類以上を組み合わせて使用することが出来る。
これらの無機酸化物は粉砕界面となるため、トナー粒子の表面に多く存在するものと考えられ、その滑剤としての効果により、トナー粒子とローラーとの付着力を低減しクリーニング性が良化する。また、定着ローラーとの接触においても同様に、付着力を低減するため、耐ホットオフセット性も良化するものと考えられる。特にタルクはその滑剤としての効果に優れており、好適である。
タルクとは、滑石と呼ばれる鉱石を微粉砕したものであり、組成式はMgSi10(OH)(含水珪酸マグネシウム)で表される。平均粒子径は10μm以下のものが好適であり、これより大きいと分散不良となり易く、現像性、転写性に劣ってしまう。
また、無機酸化物(C)はコロナ帯電を行い、10秒後の表面電位の値(V10)が0.8kV以下であることが好ましい。さらには0.5kV以下がより好ましい。V10が0.8kV以下であれば、トナー粒子の帯電電荷が減衰し、現像ローラーや感光体との静電付着力が低減し、クリーニング性が良化する。V10が0.8kVより大きいと、トナー粒子の帯電減衰が小さく、現像ローラーや感光体と、残留トナーとの静電付着力が強くなりやすく、クリーニング性に劣ってしまう。
さらには、コロナ帯電を行った1秒後の表面電位(V)は0.2kV以上、1.6kV以下であることが好ましい。Vが0.2kV未満であると、トナー粒子の帯電が不十分となり、現像性及び転写性に劣ってしまい、Vが1.6kVより大きいと、帯電が大きすぎて、静電付着力が強くなりやすく、クリーニング性に劣ってしまう。
無機酸化物(C)の表面電位は次のようにして測定した。すなわち、無機酸化物サンプルを黒アルマイト処理したアルミニウム容器(直径40mmx高さ10mmの円柱形)にすりきりまで入れ、アース接地した金属板上に置き、コロナ放電部位、および表面電位計とサンプル最表面の距離を10mmにセットする。24℃(±2℃)45%(±5%)の雰囲気条件にて、6kVの針電極からのコロナ放電による粒子帯電を10秒行い、その直後から表面電位計にて測定を行った。上記測定は静電気拡散率測定機NS−D100((株)ナノシーズ社製)を用いて行い、測定方法はJIS C 61340−2−1に準拠したものである。
表面電位V10が0.8kV以下となる無機酸化物としては、一例として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、タルク、カオリン等が上げられる。また、表面電位V10が0.8kV以下かつ、表面電位Vが0.2kV以上1.6kV以下である無機酸化物としては、タルク、カオリン等が上げられるが、2種類以上の無機酸化物を併用し、例えば、二酸化ケイ素のようなVの大きい無機酸化物と、酸化アルミニウムや酸化マグネシウムのような帯電減衰の早い無機酸化物とを任意の比率で合わせ、表面電位を調整すれば良い。
無機酸化物(C)はトナー粒子中に0.1重量%〜10重量%の範囲で添加される。好ましくは0.5重量%〜7重量%であり、さらには1〜5重量%がより好ましい。0.1重量%未満であるとその効果が認められず、また10重量%を超えると、トナー粒子中での無機酸化物が分散不良となり、現像不良を引き起こし易く、好ましくない。
また、無機酸化物(C)の平均1次粒径は10μm以下であることが好ましい。10μmを超えると樹脂への分散が困難となり、現像性、定着性が劣化する。粒子径は例えば、電子顕微鏡により測定できる。
(キャリア液(D))
本発明の液体現像剤に用いるキャリア液(D)としては、脂肪族系炭化水素であることが好ましい。脂肪族系炭化水素としては、直鎖状パラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素があげられる。これらの中でも、残留する芳香族系炭化水素が極めて少ない脂肪族系炭化水素が地球環境、作業環境上好ましい。また親油性を有し、化学的に安定して絶縁性を有するものが好ましい。また、キャリア液は、画像形成装置中で使用される物質または装置、特に感光体等の現像プロセス周辺部の部材に対して化学的に不活性である必要がある。
キャリア液(D)の蒸留範囲における乾点は、190〜360℃の範囲であることが好ましい。190℃よりも低いと、乾燥が速く、現像周りの規制ブレードに固着が生じ、画像汚染を引き起こしてしまう。また360℃よりも高いと、キャリア液の除去が困難になり定着性が悪くなってしまう。
ここで蒸留範囲における乾点は、ASTM D 86、ASTM D 1078、JIS K2254によって規定される方法によるものである。
またキャリア液(D)のアニリン点(JIS K 2256)は60〜105℃の範囲であることが好ましい。また、カウリブタノール数値(KB値:ASTM D 1133)は30以下であるものを使用することが好ましい。より好ましくは20〜30の範囲である。アニリン点が60℃より低い、あるいはカウリブタノール数値が30を超えると、溶媒としての溶解能力が高く、キャリア液がトナー粒子を溶解してしまう為、トナー粒子の安定性が悪くなる、色再現性が悪くなる、キャリア液が着色して紙などの基材を汚してしまうなどの問題が発生する。アニリン点が105℃を超えると、トナー粒子をキャリア液に分散させる際に添加する分散剤・添加剤などとの相溶性が悪く、分散不良や十分な画像濃度が得られないなどの問題が発生する。
キャリア液(D)の絶縁性を具体的に記すと、誘電定数が5以下,好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3である。
また同時にキャリア液(D)の電気抵抗率が10Ω・cm以上で,好ましくは1010Ω・cm以上,特に好ましくは、1010〜1016Ω・cmの範囲である。ここで電気抵抗率は、川口電機製作所社製ユニバーサルエレクトロメーターMMA−II−17Dと液体用電極LP−05とを組み合わせて行った。電気抵抗率が10Ω・cm以下の場合、トナー粒子の帯電性が悪くなり、十分な画像濃度が得られず、色再現性・発色性が悪くなる。
さらにキャリア液(D)の15℃における密度(JIS K 2249)は、0.67〜0.9g/cmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.70〜0.85g/cmの範囲である。この範囲において、トナー粒子と分散剤が安定して存在できる為、優れた定着性と画像濃度が得られる。
またキャリア液(D)は、動粘度(ASTM D445)1〜20mm/sの範囲であることが好ましい。特に好ましくは1〜10の範囲である。この範囲においては、現象時に帯電粒子を移動させることができる。
動粘度が1よりも小さいと、液体現像剤の粘度が低くなるために現像ローラーへの転移性が悪く、十分な画像濃度が得られない。さらに現像後のトナー粒子が移動しやすくなるために画像の精細性が崩れやすくなり好ましくない。また動粘度が20よりも大きいと、トナー粒子の流動性が得られずに電気泳動が生じにくく、十分な画像濃度が得られない。さらに紙などの基材への浸透性が悪く、トナー粒子が定着する際のキャリア液除去が困難になり十分な定着性が得られない。特に、重ね合わせ画像での定着性は大きく劣化する。
具体的に好ましいキャリア液(D)は、特に商品名“アイソパーM”(Isopar TM M)(エクソン コーポレーション:Exxon Corporation)のような分枝状パラフィン溶媒混合物、特にイソパラフィン系炭化水素や、“エクソールD80”、“エクソールD110”、“エクソールD130” (Exxsol TM)のようなナフテン系炭化水素であることが好ましい。
(その他の添加剤)
(高分子分散剤)
高分子分散剤はトナー粒子をキャリア液中に良好に分散させ、保存安定性、現像特性を向上させる効果を有するものであり、本発明においても使用することが好ましい。特に限定されるものではないが、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナフテン酸マンガン、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の脂肪酸金属塩、レシチン、チタンキレート等の有機チタネート類のチタネートカップリング剤、アルコキシチタンポリマー、ポリヒドロキシチタンカルボキシレート化合物、チタンアルコキシド、コハク酸イミド化合物、ポリイミン化合物、フッ素含有シラン化合物、ピロリドン系化合物が挙げられる。特にピロリドン環を有する高分子分散剤が好適である。高分子分散剤はキャリア液中に添加しても、トナー製造の混練の際にトナー粒子中に添加して用いることもできる。
ピロリドン環を有する高分子分散剤は、N−ビニル−2−ピロリドンと共重合可能もしくはグラフト重合可能な重合単量体より得られる。N−ビニル−2−ピロリドンと重合可能な単量体としては、特に限定されることはないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド誘導体、塩基性不飽和単量体およびその塩または第4級化物、ビニルアミド類、カルボキシル基含有不飽和単量体およびその塩、ビニルエステル類、ビニルエチレンカーボネートおよびその誘導体、α−オレフィンが挙げられる。市販品としては、例えば、Antaron V−216、Antaron V−220(ISP社製)等が挙げられる。
高分子分散剤は、液体現像剤100質量部に対して、0.1〜10質量部程度添加することができる。より好ましくは、0.1〜5質量部の範囲である。0.1質量部より少ないとトナー粒子の分散性が劣化し、10質量部より多い場合、トナー粒子の分散性は良好であるが、基材への定着性が劣化する傾向にある。
(顔料分散剤)
トナー粒子に内添する顔料分散剤の形態としては、ポリアミン系の樹脂型分散剤ソルスパース24000SC、ソルスパーズ32000(アビシア社製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)、アクリル共重合物の樹脂型分散剤BYK−116(ビックケミー社製)などを用いることができる。特に着色マスターバッチであるコンクを経て製造する場合は、マスターバッチ製造時に添加することが好ましい。
顔料分散剤の添加量は、着色剤(B)100質量部に対して3〜40質量部が好ましく、更には5〜30質量部がより好ましい。3質量部より少ないと、その分散効果が得られず、40質量部より多いと粉砕性が劣化する。
(色素誘導体)
本発明に用いるトナー粒子においては、着色剤(B)の発色性を損なわない範囲で色素誘導体を用いることも可能ではある。
色素誘導体としては、有機色素(有機顔料、有機染料)、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられる。
本発明においては、中でも顔料誘導体が好ましく、その構造は、下記一般式(2)で示される化合物である。
P−Ln 式(2)
(ただし、
P:有機顔料残基、アントラキノン残基、アクリドン残基またはトリアジン残基
L:塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基
n:1〜4の整数である)
Pの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;金属錯体系顔料等が挙げられる。
色素誘導体としては、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
本発明の液体現像剤において色素誘導体は、使用する着色剤(B)の種類によって適性添加量が異なるが、着色剤(B)100質量部に対して0.1質量部から30質量部の範囲で用いることが好ましい。0.1質量部より少ないと、分散性向上効果が得られず、30質量部より多いと、良好な帯電安定性が得られ難い。
(荷電制御剤)
本発明の液体現像剤中のトナー粒子には、必要に応じて色相に支障を来たさない範囲で無色あるいは淡色の荷電制御剤が含有されてもよい。荷電制御剤は、現像されるべき静電潜像担持体上の静電荷像の極性に応じて、正荷電制御剤または負荷電制御剤が用いられる。
本発明においては、トナー粒子は正帯電を呈することが好ましく、正荷電制御剤を通常用いるものである。
正荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩化合物(例えば、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルベンジルアンモニウムテトラフルオロボレート)、4級アンモニウム塩有機錫オキサイド(例えば、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド)、ジオルガノスズボレート(ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート)、アミノ基を有するポリマー等の電子供与性物質等を単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
また上記荷電制御剤を用いる代わりに、樹脂系荷電制御剤を用いることもできる。
正帯電用としては、
一般式 −{CH−CH(C)a}−{CH−CH(COOC)}b−{CH−C(CH)COOCN+CH(C}cCH(C)SO
(このうち四級アンモニウム塩部が3〜35質量部、スチレン・アクリル部が97〜65質量部であり、それによりa,b,cの値が決まる)で表される、四級アンモニウム塩を官能基としてスチレン・アクリル樹脂に共重合したスチレン・アクリル系ポリマーが挙げられる。
具体的には、アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸・スチレン共重合物、アクリル酸ブチル・N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート・スチレン共重合物等である。これらは無色透明であることからカラートナーに用いるのに好適である。また樹脂系荷電制御剤は、通常、結着樹脂(A)100質量部に対して1.0〜20質量部、好ましくは2.0〜8.0質量部添加することが好ましい。
(製造方法)
本発明の液体現像剤の製造方法について説明する。
本発明の液体現像剤は、以下の6つのプロセスを経て得られることが好ましい。
(1)トナー粒子用の着色マスターバッチの作製
結着樹脂(A)と着色剤(B)と無機酸化物(C)とをマスターバッチ中の着色剤濃度10〜60質量部の濃度で、熱ロール等を用いて混練を行い、冷却後粗砕し、着色マスターバッチを得る。また顔料分散剤、色素誘導体を添加することもできる。
(2)トナー粒子用チップの作製(着色マスターバッチの希釈)
(1)で得た着色マスターバッチと結着樹脂(A)とを、スーパーミキサー等のミキサーで予備分散する。次いで溶融混練を行うことで、着色マスターバッチを希釈し、任意の着色剤濃度のトナー粒子用のチップを得る。また、高分子分散剤、ワックス等を添加してもよい。トナー粒子用のチップはハンマーミル、サンプルミル等により5mm以下としておくことが好ましい。
また(1)、(2)の工程は、一本化することも可能であり、その場合は(1)の着色マスターバッチのプロセスを経ることなく、予備分散時に全ての材料を仕込み、トナー粒子用チップを作製すればよい。溶融混練としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、1軸、2軸のエクストルーダー等の公知の混練機を用いることができる。
(3)トナー粒子の乾式粉砕
(2)で得られたトナー粒子用チップを微粉砕し、平均粒径で10μm以下とする。微粉砕は通常、ジェットミル等のジェット気流式粉砕機、ターボミル、クリプトロン等の機械式粉砕機を用いることが好ましい。
(4)トナー粒子の湿式粉砕(分散)
(3)で得たトナー粒子、キャリア液(D)および高分子分散剤を予備混合し、次いで湿式粉砕機(分散機)を用いて、平均粒径で0.5〜4μm、好ましくは1〜3μmの範囲になるように湿式粉砕を行う。湿式粉砕はトナー粒子濃度が10%〜50%の範囲で行うのが好ましい。高濃度で湿式粉砕を行い、その後キャリア液で所望の濃度に希釈し液体現像剤を得るのが、生産効率上好ましい。
トナー粒子の湿式粉砕を行うために使用することのできる湿式粉砕機としては、粉砕媒体を使用するものであり、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌式ミルがあげられる。容器駆動媒体ミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、遠心流動化ミル等があり、また媒体攪拌式ミルとしては、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル(横型、縦型)、アニューラーミル等があげられる。
上記いずれの装置においても、湿式粉砕による微細化は可能であるが、中でも、媒体攪拌式ミルを用いることが生産性、粉砕能力、粒度分布の制御等の点から好ましく、更にはその中でも、密閉型、水平型のマイクロビーズを充填しメディア(媒体)として用いる、横型の流通槽式ミルに分類される湿式粉砕機を用いることが好ましい。
具体的には、WAB社(シンマルエンタープライゼス社)製、ダイノーミル(DYNO−MILL)、サンドミル等があげられる。
本発明に用いる湿式粉砕機において、粉砕性を決定づける大きな要因としては、粉砕メディアの種類、粉砕メディアの粒径、粉砕機内の分散メディアの充填率、アジテーターディスクの種類、粉砕される試料の溶液濃度、溶媒の種類等があげられる。中でも粉砕メディアの種類、メディアの粒径が粉砕性に大きく寄与するものである。
粉砕メディアの種類としては、トナー粒子の粘度、比重及び粉砕、分散の要求粒度に応じて、ガラスビーズ(SiO2 70〜80%、NaO 12〜16%等)、ジルコンビーズ(ZrO2 69%、SiO2 31%)、ジルコニアビーズ(ZrO2 95%以上)、アルミナ(Al2 90%以上)、チタニア(TiO2 77.7%、Al2 17.4%)、スチールボール等が使用可能であるが、中でも良好な粉砕性を得るためには、ジルコニアビーズ、ジルコンビーズを用いることが好ましい。
また粉砕メディアの粒子径(直径)は0.1mm〜3.0mmの範囲において使用可能であるが、中でも0.3〜1.4mmの範囲であることが好ましい。0.1mmよりも小さいと、粉砕機内の負荷が大きくなり、発熱によりトナー粒子が溶融してしまい粉砕が困難になってしまい、また3.0mmよりも大きいと、十分な粉砕を行うことができない。
(トナー物性)
本発明に用いられるトナー粒子としては、平均粒径(D50)が0.5〜4μmであることが好ましく、1〜3μmがより好ましい。平均粒径(D50)が0.5μmよりも小さいと十分な画像濃度は得られるが、クリーニングブレードをすり抜け易く、クリーニング性が劣化する。平均粒径(D50)が4μmよりも大きいと十分な画像濃度が得られず、発色性が低下する。
本発明での粒径は、日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分析計マイクロトラックHRAを用いて測定したものであり、平均粒径(D50)は累積50パーセント径の値である。
本発明における液体現像剤中のトナー粒子の濃度は液体現像剤100質量%に対して、5〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜30質量%である。5質量%より少ないとキャリア液の除去が難しく、トナー粒子の定着性が悪くなる。40質量%より多いとトナー粒子の移動性が悪くなり、十分な画像濃度が得られない。
また本発明の液体現像剤の粘度は5〜180mPa・s、液体現像剤の体積固有抵抗は1010〜1015Ω・cmであることが好ましい。
液体現像剤の粘度は、例えば東機産業製のE型粘度計TV−22などを用いて測定することができる。液体現像剤中の固形分を25%に調整し、25℃に十分馴染ませた後、TV−22形粘度形に1°34′コーンをセットし、20rpmで1分経過後の粘度を測定した。粘度が5mPa・sより小さくなると現像後の画像の精細性に欠け、180mPa・sを超えると現像時のトナー粒子の移動性が劣り高速現像が出来ない、重ね合わせでの画像濃度が得られないなどの問題が発生する。
体積固有抵抗は前記述べたキャリア液の測定法と同様に測定できる。1010Ω・cm以下だと感光体上の静電潜像が保持できなくなり好ましくない。
本発明の液体現像剤の使用に際し、好ましく用いることのできる現像プロセスは、導電ゴムからなる現像ローラーに液体現像剤を供給し、LED露光されたアモルファスシリコン感光体を用いて、転写前除電、中間転写体を介して現像を行うことが好ましい。また感光体は表面電位+450〜550V、残留電位+50V以下、現像ローラーにかかるバイアスは+250〜450Vの範囲であることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の態様はこれらの実施例に限定されるものではない。なお以下については、部数は全て質量部を表す。
また実施例においては以下に記載する材料を用いて行った。
(結着樹脂の合成)
ポリエステル樹脂製造例(結着樹脂A〜C)
還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計、攪拌機を備え付けたフラスコに表1に示す多価アルコールと多塩基酸、触媒として、ジブチル錫オキサイド2部を投入し、撹拌しながら窒素ガスを導入し、220℃で6時間反応を行った。さらに減圧下において反応を行い、所望の軟化点となったところで、常圧に戻し、温度を100℃以下に下げ重縮合を停止させ、結着樹脂A〜Cを得た。
ハイブリッド樹脂製造例(樹脂D,E)
ポリエステル樹脂製造例と同様の装置に表1に示すポリエステル樹脂モノマーと触媒としてジブチル錫オキサイド2部を投入し、撹拌しながら窒素ガスを導入し、220℃で6時間反応を行った。その後160℃に降温し、表1に示すビニル系樹脂モノマー及び、重合開始剤のジ−t−ブチルパーオキサイドの混合物を滴下ロートを用いて1時間かけて滴下した。さらに160℃で2時間反応させた後、220℃に昇温し、さらに減圧下において、所望の軟化点となるまで反応させ、結着樹脂D,Eを得た。
Figure 2013114208
(着色剤)
シアン着色剤
C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー)
Lionol Blue FG7919(トーヨーケム(株)製)
(無機酸化物)
タルク
ハイフィラー#5000PJ(松村産業(株)製)
FG−15 (日本タルク(株)製)
NANO ACE D−600 (日本タルク(株)製)
カオリン
Glomax LL(竹原化学工業(株)製)
シリカ
アエロジル130(日本アエロジル(株)製)
アルミナ
AluminiumOxide C(日本アエロジル(株)製)
上記無機酸化物のコロナ帯電1秒後、及び10秒後の表面電位測定結果を表2に示す。
Figure 2013114208



(顔料分散剤)
顔料分散剤1 塩基性樹脂型分散剤(ポリアミン系樹脂)
ソルスパーズ24000SC 酸価:25mgKOH/g
(分散剤)
分散剤1 ピロリドン環を有する高分子化合物
Antaron V216(αオレフィン/ビニルピロリドン共重合体)
平均分子量:7300 融点:約10℃
分散剤2 ピロリドン環を有する高分子化合物
Antaron V220(αオレフィン/ビニルピロリドン共重合体)
平均分子量:8600 融点:約80℃
(キャリア液)
エクソールD110 ナフテン系炭化水素
乾点:267℃ アニリン点:83℃ 動粘度:3.50mm/s
密度:0.810g/cm
[実施例1]
粉体トナー1
Lionol Blue FG7919 15質量部
結着樹脂A 79質量部
顔料分散剤1(ソルスパーズ24000SC) 2質量部
ハイフィラー#5000PJ 3質量部
サンワックス161P(三洋化成(株)製ポリエチレンワックス) 1質量部
上記材料(合計5kg)を20Lの容積を有するヘンシェルミキサーで混合(3000rpm,3分)した後、二軸混練押出機(PCM30)で供給量4kg/hr,吐出温度145℃にて溶融混練を行い、更にロール温度140℃の3本ロールにて混練を行った。冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでI式ジェットミル(IDS−2型)で微粉砕し平均粒径約7.0μmのシアントナー粉砕品1を得た。
次いで、
シアントナー粉砕品1 25質量部
エクソールD110 73質量部
分散剤1 2質量部
を秤量し、十分に攪拌、混合し、エクソールD110溶液中にシアントナー粉砕品1を分散させた。
このシアントナー粉砕品1を分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を60分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s、シリンダー ZTA、メディア(材質:ジルコニア)直径 1.25mm、充填率 70%
溶液流量 45kg/h、 冷却水 5l/min. 、圧力 0.1Kg/cm
60分間湿式粉砕を行った後、スラリーを取り出し、目開き33μm(SUS304製)のメッシュを通過させ、液体現像剤1を得た。粒度分布の確認を行ったところ、平均粒径(D50)が2.5μmであった。
[実施例2〜9、比較例1〜2]
表3、及び表4に示す原料を実施例1と同様の方法を用いて、それぞれ粉体トナー、及び液体現像剤を作製した。
Figure 2013114208
Figure 2013114208
印刷評価
実写試験は、市販の液体現像複写機(Savin870:セイビン社製)を改造したものを用いて、23℃/50%RHの環境条件下で、アモルファスシリコン感光体を用い、感光体表面電位を+450〜500V、残留電位+50V以下、現像ローラーのバイアスを+250〜450Vに設定し、初期から1000枚の画像試験を行った。このとき画像作製は各色単色で出力を行い、紙は王子製紙製OKトップコート、熱圧着は速度30m/min、160℃の条件にて行った。
クリーニング性の評価については、1000枚の印刷後に装置内部の感光体、現像ローラーを観察し、以下のように評価した。
○:感光体、現像ローラーに残留トナー粒子が確認されない。
△:感光体、現像ローラーにやや残留トナー粒子が確認される。
×:感光体、現像ローラーに多くの残留トナー粒子が確認される。
現像性、転写性の評価については、1000枚後の印刷濃度を測定した。
○:印刷濃度1.6以上
△:印刷濃度1.4〜1.6
×:印刷濃度1.4以下
なお、画像濃度はグレタグマクベス濃度計(D−196)にて測定した。
また、カブリとは非画線部の汚れのことであるが、カブリはフォトボルトにて、反射率を測定することにより行った。1.0%以下が良好な値である。
さらに定着率は、次のように評価した。1000枚後の、1センチx1センチのベタ部分を出力した印字画像を用いて、まず出力時の画像濃度ID(ID)を測定した。その後印字物にメンディングテープ(3M社製スコッチ810)を貼り、1kgの円柱状の真鍮錘を転がし5往復させた。その後メンディングテープを取り除き、再度画像濃度ID(ID)を測定し、(ID)/(ID)x100を計算し定着率(%)を求めた。ここでは定着率が80%以上であれば、実用上好ましく、90%以上であればより好ましいものである。
また、耐オフセット性については、上記液体現像複写機で出力した後、外部定着機にて速度15m/min、ニップ厚6mmで熱圧着させ、この熱圧着させるロール表面に対してトナー粒子が付着し始める温度を、以下の3段階のランク評価を行った。ここでは熱圧着ロール温度が140℃以上であれば、実用上好ましいものである。
○:熱圧着ロール温度が140℃以上
△:熱圧着ロール温度が120℃以上、140℃未満
×:熱圧着ロール温度が120℃未満
印刷評価結果を表5に示す。
無機酸化物を添加した実施例1〜9では、比較例1,2よりも、明らかにクリーニング性と耐ホットオフセット性が良好な結果となっている。また、カブリについても実施例1〜9は良好な結果であるのに対して、比較例1,2においてはクリーニング性の不良から紙面全面に汚れが発生している。
Figure 2013114208
本発明の液体現像剤は、クリーニング性、現像性、耐オフセット性に優れ、電子写真法、静電記録法等を利用して画像の形成がなされる電子複写機、プリンター、オンデマンド印刷機等における静電潜像を現像するために用いられる液体現像剤として好ましく用いることができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、結着樹脂(A)、着色剤(B)、無機酸化物(C)からなるトナー粒子と、キャリア液(D)とからなる液体現像剤。
  2. 無機酸化物(C)の表面電位V10が0.8kV以下であることを特徴とする、請求項1記載の液体現像剤。(ただしV10はコロナ帯電を行った10秒後の表面電位とする。)
  3. 無機酸化物(C)の表面電位Vが0.2kV以上1.6kV以下であることを特徴とする、請求項1、2いずれかに記載の液体現像剤。(ただしVはコロナ帯電を行った1秒後の表面電位とする。)
  4. 無機酸化物(C)をトナー粒子中に0.1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1から3いずれか記載の液体現像剤。
  5. 結着樹脂(A)が少なくともポリエステル樹脂を含むことを特徴とする、請求項1から4いずれかに記載の液体現像剤。
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