JP5434472B2 - 液体現像剤 - Google Patents
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Description
しかしながらトナー粒子中の着色剤の分散性が不十分であったり、ロジンエステルとポリエステル樹脂との相溶性不良による帯電の不安定であったり、トナー粒子の定着が良くなかったり改善の余地があるのが現状であった。
この液体現像剤は、このトナー粒子の存在により、液体現像剤中のトナー粒子の現像特性が良好になり、初期から良好な画像濃度、色再現を有し、カブリのない複写画像を得ることができる。さらに現像剤のバランスが安定し、長期にわたってキャリア液の汚染が起こらない好ましい液体現像剤を提供できた。
本発明の液体現像剤は、少なくともトナー粒子中に少なくともポリエステル樹脂、不均化ロジンエステル及び着色剤を含有させることにより以下の点において優れた効果が得られることが確認された。
不均化ロジンエステルはポリエステル樹脂中に含まれることで、ポリエステル樹脂中に相溶化、好ましく分散され、トナー粒子として、顔料の分散性に優れ、定着性に優れ、かつ光沢性を有する出力画像を得ることができるものである。
本発明のトナー粒子は、少なくとも不均化ロジンエステル、ポリエステル樹脂及び着色剤とからなるものであり、さらに荷電制御剤、顔料分散剤を添加することもできる。
このポリエステル樹脂の極性基と不均化ロジンエステルのカルボキシル基との反応を経ることで、定着性に優れる結着樹脂成分を得ることができるものである。
またトナー粒子中に、着色剤が均一に分散、配合されることにより個々のトナー粒子中に含まれる着色剤の偏りがないため、トナーとしての品質も大きく改善することができる。特に画像特性からは非画像部のかぶり、飛び散りが低減される。
不均化ロジンは、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンの不均化反応生成物である。本発明で用いる不均化ロジンは、原料ロジンを公知の不均化反応に供することにより容易に製造できる。即ち、ロジンを不均化触媒の存在下に加熱反応させることにより行う。不均化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等の各種公知のものを用いることができる。該触媒の使用量は、ロジンに対して通常0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%であり、反応温度は100〜300℃、好ましくは150〜290℃である。
ここで使用されるアルコールとしては、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコールのような1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の4価アルコールが挙げられる。なお反応に際しては、必ずしもエステル化触媒を必要としないが、反応時間の短縮のために酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒、水酸化カルシウム等のアルカリ金属の水酸化物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物等を使用することもできる。
特に好ましい酸価の範囲は5〜20mgKOH/gである。また酸価はエステル化反応工程において、アルコールの種類、添加量を制御し調整することができる。
軟化点はエステル化反応工程において、アルコールの種類、添加量を調整し、所望の数値の不均化ロジンエステルを得ることができるが、この軟化点範囲を満足する具体的な製品としては、荒川化学工業(株)社製スーパーエステルA−125、A−115、T−100、A−75等が挙げられる。
また不均化ロジンエステルの添加量は着色剤の添加量とのバランスも重要である。着色剤を好ましく分散、相溶させるためには不均化ロジンエステルの添加量は着色剤の含有量の0.3〜3.5倍の範囲であることが好ましい。着色剤の含有量の0.3倍よりも少ないと、相溶化剤としての効果は得られにくく、着色剤が遊離するケースも生じてしまう。着色剤の含有量の3.5倍を超えてしまうと、不均化ロジンエステルが過剰になり、トナー処方に支障をきたし、画像特性が悪化してしまう。より好ましい範囲は着色剤の含有量の0.6〜3倍の範囲である。
本発明の液体現像剤に用いられる結着樹脂としてのポリエステル樹脂は、各色の色材の色相を阻害しないために無色、透明あるいは白色、淡色を呈するものが好ましい。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、THFに溶解した試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
本発明においては、軟化温度Tsの測定は、島津製作所製フローテスターCFT−500Dを用いて、開始温度40℃、昇温速度6.0℃/min.、試験荷重20kg、予熱時間300秒、ダイ穴径0.5mm、ダイ長さ1.0mmの条件にて行った。
本発明の液体現像剤において用いられる着色剤としては、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各有機顔料、有機染料特にその造塩化合物、カーボンブラック、磁性体が好適に用いられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。またキャリア液に対して不溶であることが好ましい。
イエローの有機顔料としては、ベンズイミダゾロン化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、キノフタロン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、138、139、147、150、168、174、176、180、181、191等が好適に用いられる。中でもキノフタロン化合物、縮合アゾ化合物、ベンズイミダゾロン化合物を用いることが好ましい。
またイエローの染料の造塩化合物としては、酸性染料の造塩化合物、塩基性染料の造塩化合物が用いられる。酸性染料の造塩化合物としては、C.I.アシッドイエロー11、23(タートラジン)と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。四級アンモニウム塩を構成することでトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。
マゼンタの有機顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、ローダミンレーキ等の塩基性染料のレーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物、が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、209、220、221、254、255、268、269等、C.I.ピグメントバイオレット1等が好適に用いられる。中でもキナクリドン化合物、ローダミンレーキ顔料、ナフトール系顔料等を用いることが好ましい。具体的には、ナフトールAS(C.I.ピグメントレッド269等)、ローダミンレーキ(C.I.ピグメントレッド81、81:1、81:2、81:3、81:4、169等)、キナクリドン(C.I.ピグメントレッド122等)カーミン6B(C.I.ピグメントレッド57:1)が好ましい材料である。
またキナクリドン顔料とモノアゾ顔料であるカーミン6B(C.I.ピグメントレッド57:1)とを併用したものは良好なマゼンタ色、赤色を呈し好ましいものである。
またマゼンタの染料の造塩化合物としては、ローダミン系酸性染料の造塩化合物、ローダミン系塩基性染料の造塩化合物が好ましく用いられる。塩基性染料の造塩化合物としては、C.I.ベーシックレッド1、同ベーシックバイオレット10と無色(色素の発色を阻害しない)の有機スルホン酸、有機カルボン酸とからなる造塩化合物を用いることが好ましい。塩基性染料は良好な正帯電を呈することからトナー粒子が安定した正帯電を保持することができる。有機スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、ナフチルアミンスルホン酸等が好ましく用いられる。有機カルボン酸としては、サリチル酸誘導体や高級脂肪酸が用いられる。
シアンの有機顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、62、66等が好適に用いられる。中でもC.I.ピグメントブルー15:3等の銅フタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
また前記有機顔料と併用する形態で、トリアリールメタン系の染料由来の化合物を用いることも好ましい。トリアリールメタン系色素は、良好な正帯電性を有することから帯電性のコントロール、着色性の両方の観点から有効な材料である。特にC.I.ソルベントブルー124等のトリアリールメタン系油溶性染料やトリアリールメタン系塩基性染料の造塩化合物は良好なものである。C.I.ソルベントブルー124としては、具体的にはクラリアント社製のCOPY BLUE PRは好ましい材料である。これはC.I.ベーシックレッド9(パラマゼンタ)とアニリンとを縮合せしめ得られたものである。
さらに色相調整の目的で前記シアン、青色の有機顔料、シアン、青色染料の造塩化合物、シアン、青色染料の油溶性染料に加えて、緑色顔料を補色として使用することができる。緑色顔料としては、具体的にはC.I.ピグメントグリーン7、36等のハロゲン化フタロシアニン化合物が好ましい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、バイオマス由来のカーボンブラックなどの各種いずれも使用できるが、ファーネスブラックカーボン、バイオマスカーボンが、画像特性においてかぶり(白地部の地汚れ)が低減される効果があり好ましいものである。
ニグロシン染料としては、ニグロシンベースを湿式粉砕等により微細化し、体積平均粒径を0.5〜2μmとしたものを用いることが好ましい。この微細化されたニグロシン染料はグロスを有し、光沢のある黒色を得ることができる。またニグロシンの微細化は特開2006−171501等に記載の方法により得られるものである。
また黒色着色剤としては、上記イエロー、マゼンタ、シアンの3色の着色剤を用いて黒色を得ることもできる。
トリアリールメタン系色素は良好な正帯電を呈することでトナー粒子の帯電性制御に有効であり、中でも分散性に優れたトリアリールメタン系油溶性染料が好ましい。
また本発明に用いるトナー粒子は、前記述べたポリエステル樹脂、着色剤に加え、顔料分散剤、顔料誘導体等、荷電制御剤を用いることも好ましい。
(顔料分散剤)
トナー粒子に内添する顔料分散剤の形態としては、ソルスパース等の樹脂型分散剤を用いることができる。特に着色マスターバッチであるコンクを経て製造する場合は、マスターバッチ製造時に添加する好ましい材料である。
本発明に用いるトナー粒子においては、着色剤の発色性を損なわない範囲で色素誘導体を用いることも可能ではある。
色素誘導体としては、有機色素(有機顔料、有機染料)、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられる。
本発明においては、中でも顔料誘導体が好ましく、その構造は、下記一般式(2)で示される化合物である。
P−Ln 式(2)
(ただし、
P:有機顔料残基、アントラキノン残基、アクリドン残基またはトリアジン残基
L:塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基
n:1〜4の整数である)
Pの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料;アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料;銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料;イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;金属錯体系顔料等が挙げられる。
色素誘導体の配合量は、分散性向上の点から、着色剤100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、着色剤100質量部に対して、好ましくは4質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下である。
本発明の液体現像剤においては、トナー粒子が正帯電性を有することから、塩基性の色素誘導体を用いることが好ましい。
本発明の液体現像剤中のトナー粒子には、必要に応じて色相に支障を来たさない範囲で無色あるいは淡色の荷電制御剤が含有されてもよい。荷電制御剤は、現像されるべき静電潜像担持体上の静電荷像の極性に応じて、正荷電制御剤または負荷電制御剤が用いられる。
本発明においては、トナー粒子は正帯電を呈することが好ましく、正荷電制御剤を通常用いるものである。
正帯電用としては、一般式 −{CH2−CH(C6H5)a}−{CH2−CH(COOC4H9)}b−{CH2−C(CH3)COOC2H4N+CH3(C2H5)2}cCH3(C6H4)SO3−(このうち四級アンモニウム塩部が3〜35質量部、スチレン・アクリル部が97〜65質量部であり、それによりa,b,cの値が決まる)で表される、四級アンモニウム塩を官能基としてスチレン・アクリル樹脂に共重合したスチレン・アクリル系ポリマーが挙げられる。
具体的には、アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸・スチレン共重合物、アクリル酸ブチル・N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート・スチレン共重合物等である。これらはポリエステル樹脂と用いたときに無色透明であることからカラートナーに用いるのに好適である。また樹脂系荷電制御剤は、通常、ポリエステル樹脂100質量部に対して1.0〜20質量部、好ましくは2.0〜8質量部添加することが好ましい。
本発明の液体現像剤に用いるキャリア液としては、脂肪族炭化水素、であることが好ましい。脂肪族炭化水素としては、直鎖炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素があげられる。また親油性を有し、化学的に安定して絶縁性を有するものが好ましい。また,キャリア液は、画像形成装置中で使用される物質または装置、特に感光体等の現像プロセス周辺部の部材に対して化学的に不活性である必要がある。
またアニリン点(JIS K 2256)は60〜95℃の範囲であることが安定したキャリア液を得る上で好ましい。
キャリア液の絶縁性を具体的に記すと、誘電定数が5以下,好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。
また同時にキャリア液体の電気抵抗率が109Ω・cm以上で,好ましくは1010Ω・cm以上,特に好ましくは、1010〜1016Ω・cmの範囲である。ここで電気抵抗率は、川口電機製作所社製ユニバーサルエレクトロメーターMMA−II−17Dと液体用電極LP−05とを組み合わせて行った。
さらにキャリア液の15℃における密度(JIS K 2249)は、0.67〜0.9g/cm3の範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.70〜0.85g/cm3の範囲である。この範囲において、トナー粒子と分散剤が安定して存在できる。
一方粘度が1よりも小さいと、現像後のトナー粒子が移動しやすくなるために画像の精細性が崩れやすくなり好ましくない。また粘度が8よりも大きいと、トナー粒子の流動性が得られず電気泳動が生じにくく十分な画像濃度が得られない。
またキャリア液の蒸留範囲における乾点は、210〜320℃の範囲であることが好ましい。210℃よりも低いと、現像剤が常温で乾燥し、固形物が析出してしまい、さらに現像まわりの規制ブレードに固着が生じ、画像汚染を引き起こしてしまう。また320℃よりも高いと、キャリア液の除去が困難になり定着が悪くなってしまう。
ここで蒸留範囲における乾点は、ASTM D 86、ASTM D 1078、JIS K2254によって規定される方法によるものである。
本発明においては、分散剤はトナー粒子が存在するキャリア液中に添加して、トナー粒子を均一に分散させ、現像特性を向上させる効果を有するものである。本発明の液体現像剤のプロセスにおいては、トナー粒子が正帯電性を有するものである。
また分散剤を使用する形態としては、トナー粒子と同極性になる分散剤はトナー粒子に吸着させ、トナー粒子と逆極性になる分散剤はトナー粒子に吸着させず、キャリア液中に分散させるものである。またこのときに極性を議論する基準はキャリア液に対する極性となる。またこの挙動は実際に画像試験を行った上で見極めるものであり経験的に得られるものとなる。
具体的に使用することができるものは、ポリビニルピロリドン、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナフテン酸マンガン、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の脂肪酸金属塩、レシチン、チタンキレート等の有機チタネート類のチタネートカップリング剤、アルコキシチタンポリマー、ポリヒドロキシチタンカルボキシレート化合物、チタンアルコキシド、コハク酸イミド化合物、フッ素含有シラン化合物などである。中でもチタンアルコキシド、コハク酸イミド化合物、フッ素含有シラン化合物は好ましい材料である。
中でも好ましい帯電性を呈するものは、テトラ−i−プロポキシチタン(分子量284)、テトラ−n−ブトキシチタン(分子量340)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン(分子量564)である。
アルキル(またはアルケニル)コハク酸イミドは、アルキル(またはアルケニル)無水コハク酸とポリエチレンジアミンなどのポリアミンを反応させて得ることができるものである。即ち、末端に二重結合を有するオレフィンのオリゴマーと無水マレイン酸との反応により、まずアルキル(またはアルケニル)酸無水物を合成する。このものは適宜水添等の還元によりアルキル(またはアルケニル)酸無水物としてもよい。次にこのようにして得られるアルキル(またはアルケニル)コハク酸無水物をアンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンの如きイミド化剤と反応させ、所望のアルキル(またはアルケニル)コハク酸イミド化合物を得ることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法について説明する。
本発明の液体現像剤は、以下の5つのプロセスを経て得られることが好ましい。
(1)トナー粒子用の着色マスターバッチの作製
分散用樹脂と着色剤とをマスターバッチ中の着色剤濃度20〜60質量%の濃度で、熱ロール等を用いて混練を行い、冷却後粗砕を行い、着色マスターバッチを得る。また分散用樹脂、着色剤に加えて、樹脂型分散剤、色素誘導体を添加することもできる。
(1)で得た着色マスターバッチとポリエステル樹脂とを、スーパーミキサー等のミキサーで混合を行い、予備分散し、次いで溶融混練を行うことで、着色マスターバッチをポリエステル樹脂中に希釈、展開し、トナー粒子用のチップを得る。ここで予備分散を行う時点で、荷電制御剤を添加してもよい。さらにトナー粒子用のチップはハンマーミル、サンプルミル等の粗砕により10mm以下としておくことが好ましい。
また(1)、(2)の工程は、一本化することも可能であり、その場合は(1)の着色マスターバッチのプロセスを経ることなく、予備分散時に全ての材料を仕込み、トナー粒子用チップを作製すればよい。溶融混練としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、1軸、2軸のエクストルーダー等の公知の混練機を用いることができる。
(2)で得られたトナー粒子用チップを微粉砕し、体積平均粒径で7μm以下とする。微粉砕は通常、ジェットミル等のジェット気流式粉砕機、ターボミル、クリプトロン等の機械式粉砕機を用いることが好ましい。
(3)で得た乾式粉砕されたトナー粒子を、キャリア液と同一組成の溶媒に展開し、湿式粉砕機(分散機)を用いて、体積平均粒径で0.5〜4μm、好ましくは1〜3μmの範囲になるように粉砕を行う。またこのときにトナー粒子に吸着させる機能を有する分散剤を添加することがトナー粒子の安定した帯電性を得る上で有効である。ここではチタンアルコキシドを溶媒中に乾式粉砕されたトナー粒子とともに添加し、湿式粉砕を行うことが好ましい。湿式粉砕、分散工程において、チタンアルコキシドはトナー粒子中に吸着し、帯電的にも安定化する。
湿式粉砕(分散)を行う際は、品温が50℃を超えないように冷却することが必要である。品温が50℃を超えてしまうと、トナー粒子が融着を起こしてしまい、粒度分布の制御ができなくなる。
上記いずれの装置においても、湿式粉砕による微細化は可能であるが、中でも、媒体攪拌式ミルを用いることが生産性、粉砕能力、粒度分布の制御等の点から好ましく、更にはその中でも、密閉型、水平型のマイクロビーズを充填しメディア(媒体)として用いる、横型の流通槽式ミルに分類される湿式粉砕機を用いることが、精密な湿式粉砕、分散を行う上で好ましい。
具体的には、WAB社(シンマルエンタープライゼス社)製、ダイノーミル(DYNO−MILL)、サンドミル等があげられる。これは、水平型の湿式粉砕機は分散メディアが重力の影響をほとんど受けないため、粉砕機内で理想に近い均一な分布を得ることができる。また完全密閉型の構造を有することから泡立ちや溶剤の蒸発による収支の欠損がなく安定した粉砕処理が可能である。
また粉砕メディアの粒子径(直径)は0.1mm〜3.0mmの範囲において使用可能であるが、中でも0.3〜1.4mmの範囲であることが好ましい。0.1mmよりも小さいと、粉砕機内の負荷が大きくなり、発熱によりトナー粒子が溶融してしまい粉砕が困難になってしまい、また3.0mmよりも大きいと、十分な粉砕を行うことができない。分散メディアの充填率は、40〜85%であることが好ましい。85%を超えてしまうと、粉砕機内の負荷が大きくなり、発熱によりトナー粒子が溶融してしまい粉砕が困難になってしまい、また40%以下になってしまうと、粉砕効率が低下してしまい微細化が困難になってしまう。またスラリー中のトナー粒子の濃度が高い場合(40〜50%の濃度)は充填率を40〜70重量%とするとよい。
(4)で得られた湿式粉砕を経たトナー粒子とキャリア液、場合によっては分散剤を含んだ材料に、キャリア液、必要に応じてさらに分散剤を加え、混合して、トナー粒子の濃度をコントロールした上で現像剤を精製する。
分散剤は、(4)工程で得られた材料に、調整用のキャリア液と共に添加することでトナー粒子が安定した状態で分散している液体現像剤を得ることができる。
本発明に用いられるトナー粒子としては、体積平均粒径が0.5〜4μmであることが好ましく、1〜3μmが更に好ましい。また2μm以下の粒径を有するトナー粒子が50体積%以下含有され、1〜3μmの粒径を有するトナー粒子が5〜60体積%含有され、5μm以上の粒径を有するトナー粒子が35体積%以下であることが現像特性の上からはより好ましい。5μm以上の粒径を有するトナー粒子が35体積%よりも多くなると、画質が低下してしまう場合がある。
トナーの粒度分布測定は、レーザー回折・散乱式粒度分析計、例えば日機装社製マイクロトラックHRAを用いて測定することができる。
現像剤の粘度は、例えば東機産業製のE型粘度計TV−22などを用いて測定することができる。現像剤中の固形分を25%に調整し、25℃に十分馴染ませた後、TV−22形粘度形に1°34′コーンをセットし、20rpmで1分経過後の粘度を測定した。粘度が10mPa・s以下だと現像後の画像の精細性に欠け、200mPa・s以上だと現像時のトナーの移動性が劣り高速現像が出来ない。
体積固有抵抗は前記述べたキャリア液の測定法と同様に測定できる。1010Ω・cm以下だと感光体上の静電潜像が保持できなくなり好ましくない。
熱可塑性ポリエステル樹脂1
テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA、エチレングリコールから構成されるポリエステル樹脂。
酸価:10mgKOH/g OH価:43mgKOH/g Tg 58℃ 軟化温度Ts 65℃ 真密度1.32g/cc 分子量 Mw:28200 Mn:2500
熱可塑性ポリエステル樹脂2
テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA、エチレングリコールから構成されるポリエステル樹脂。
酸価:18mgKOH/g OH価:36mgKOH/g Tg 59℃ 軟化温度Ts 66℃ 真密度1.31g/cc 分子量 Mw:32000 Mn:2600
ブラック着色剤1
カーボンブラック(キャボット社製モナーク280 BET比表面積 45m2/g)とC.I.ソルベントブルー124(クラリアント社製 COPY BLUE PR)
ブラック着色剤2
カーボンブラック(キャボット社製モナーク280 BET比表面積 45m2/g)とニグロシンベース湿式粉砕品(0.5μm)(オリエント化学社製ボントロンN−07を湿式粉砕にて微細化)
イエロー着色剤1
C.I.ピグメントイエロー138
シアン着色剤1
C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ソルベントブルー124(クラリアント社製 COPY BLUE PR)
シアン着色剤2
C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントブルー1
マゼンタ着色剤1
C.I.ピグメントレッド269とC.I.ピグメントバイオレット1
マゼンタ着色剤2
C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントレッド57:1
不均化ロジンエステル1 荒川化学製 スーパーエステルA−125
(酸価 12.2 軟化点 126℃ 真密度 1.097g/cm3)
不均化ロジンエステル2 荒川化学製 スーパーエステルA−115
(酸価 17.8 軟化点 118℃ 真密度 1.098g/cm3)
不均化ロジンエステル3 荒川化学製 スーパーエステルA−100
(酸価 5.4 軟化点 100℃ 真密度 1.099g/cm3)
不均化ロジンエステル4 荒川化学製 スーパーエステルA−75
(酸価 6.7 軟化点 78℃ 真密度 1.096g/cm3)
アイソパーM イソパラフィン系炭化水素 乾点 254℃ 密度 0.790g/cm3
エクソールD110 ナフテン系炭化水素 乾点 267℃ 密度 0.810g/cm3
分散剤1 コハク酸イミド化合物
Lubrizol 2153 酸価:70mgKOH/g
数平均分子量:3000以下
分散剤2 チタンアルコキシド(チタンテトライソポロポキシド)
Ti(O−i−C3H7)4
分散剤3 トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
CF3CH2CH2Si(OCH3)3 分子量:218.2 比重:1.14(25℃)
沸点:144℃
熱可塑性ポリエステル樹脂1 52質量部
不均化ロジンエステル1 8質量部
カーボンブラック(比表面積45m2/g:キャボット社製モナーク280)37質量部
コピーブルー PR(C.I.ソルベントブルー124) 3質量部
上記材料(合計3kg)を加圧ニーダー中で設定温度150℃、10分の条件にて混合、混練を行い取り出した。更にロール温度95℃の3本ロールにて混練を行い、冷却後10mm以下に粗砕し、ブラック着色剤分散体であるブラックコンク1を得た。
さらに、
熱可塑性ポリエステル樹脂1 50質量部
ブラックコンク1 50質量部
上記材料(合計5kg)を20Lの容積を有するヘンシェルミキサーで混合(3000rpm,3分)した後、二軸混練押出機(PCM30)で供給量6kg/hr,吐出温度145℃にて溶融混練を行い、冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでI式ジェットミル(IDS−2型)で微粉砕し体積平均粒径約5.0μmのブラックトナー粉砕品1を得た。
さらに、
ブラックトナー粉砕品1 25質量部
アイソパーM 73質量部
分散剤1 2質量部
を秤量し、十分に攪拌、混合し、アイソパーM溶液中にブラックトナー粉砕品1を分散させた。(スラリー濃度は25質量%)
このブラックトナー粉砕品1を分散させたスラリーを、媒体攪拌式ミルである湿式粉砕機、ダイノーミル マルチラボ(シンマルエンタープライゼス社製、容量1.4L)を用いて循環運転を60分行い、湿式粉砕を行った。
このときの湿式粉砕の条件は以下の通りであった。
アジテーターディスク(材質:ジルコニア)周速 10m/s,シリンダー ZTA,
メディア(材質:ジルコニア)直径 1.25mm,充填率 70%
溶液流量 45kg/h, 冷却水 5l/min. ,圧力 0.1Kg/cm2
60分間湿式粉砕を行った後、スラリーを取り出し、目開き33μm(SUS304製)のメッシュを通過させ、ブラックトナー湿式粉砕品1(ブラックトナー粒子1を含む)を得た。ブラックトナー粒子1の粒度分布の確認を行ったところ、D50(累積50パーセント径)が2.9μmであった。
さらに得られたブラックトナー湿式粉砕品1 100質量部に対し、分散剤3を1質量部添加し、攪拌を行い、液体現像剤1を得た。
また実施例2〜17、比較例1〜3についても同様に実験条件、組成、物性結果を表1〜4に示す。また表1〜4に記載される以外の条件については、実施例1と同様に行った。
表3からわかるように、不均化ロジンエステルを添加しないと、十分な画像濃度が得られず、定着強度が劣ってしまうことがわかる。
Claims (11)
- ポリエステル樹脂と不均化ロジンエステルと着色剤とを含むトナー粒子、およびキャリア液を含んでなる液体現像剤。
- さらに、分散剤を含む請求項1記載の液体現像剤。
- 不均化ロジンエステルの酸価が、25mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 不均化ロジンエステルの酸価が、5〜20mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の液体現像剤。
- 不均化ロジンエステルの環球法による軟化点が、70〜140℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の液体現像剤。
- 不均化ロジンエステルは、ポリエステル樹脂100質量部に対して0.3〜20質量部の範囲で含まれることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の液体現像剤。
- 着色剤が、カーボンブラック、フタロシアニンブルー顔料、トリアリールメタンレーキ顔料、キナクリドン顔料、ローダミンレーキ顔料、ナフトール系顔料、モノアゾ顔料およびキノフタロン顔料を含む群から選択される請求項1〜6いずれかに記載の液体現像剤。
- ポリエステル樹脂の酸価が、5〜40mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の液体現像剤。
- キャリア液が、脂肪族系炭化水素であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の液体現像剤。
- キャリア液の蒸留範囲における乾点が、210〜320℃であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の液体現像剤。
- トナー粒子の体積平均粒径が、0.5〜4μmであることを特徴とする請求項1〜10いずれかに記載の液体現像剤。
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