JP2013112690A - ポリウレタン系樹脂組成物 - Google Patents

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宏 西村
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Abstract

【課題】加熱により硬化し、かつ、熱硬化後に分解することができ、これにより、例えば、易剥離型の接着剤などとして利用することのできる、1液型のポリウレタン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、加熱により解離して2以上のイソシアナート基を生じさせ得るブロックドイソシアナートと、加熱により開裂させ得る分解サイトを分子内に有する多価アルコールとを含むとともに、前記分解サイトを実質的に開裂させることなく前記ブロックドイソシアナートを解離させ得るものである、ことを特徴とする
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリウレタン系樹脂組成物に関し、詳しくは、加熱によりウレタン結合を生成して硬化可能であるとともに、硬化後に分解させることのできるポリウレタン系樹脂組成物に関する。
ポリウレタン系樹脂組成物の硬化には、1液型と2液型がある。
2液型は、主剤を多価アルコール、硬化剤を多価イソシアナートとし、両者を混合・反応させることで硬化させるものであり、混合後、直ちに硬化反応が起こることから、取り扱いが煩雑である。そのため、1液型のほうが好ましいといえる。
この1液型ポリウレタン系樹脂組成物としては、イソシアナート基を有する変性ウレタンポリマーを空気中の水分と反応させて硬化する湿気硬化性のものが一般的に用いられているが、ブロックドイソシアナートを用いた熱硬化性のものも種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。このブロックドイソシアナートについては、解離温度を低くすることや解離速度を速めることを主眼において、改良が行われているが、その廃棄処理などにおいては、従来あるポリウレタン系樹脂組成物と何ら変わるところはない。
すなわち、ポリウレタン系樹脂組成物は、幅広い用途に利用されており、例えば、接着用途に用いられているが、被着体のリサイクルや再資源化、被着体を廃棄処理する場合の処理過程における省エネルギー化など、環境負荷の軽減という観点から、使用後の剥離が可能であり、被着体を容易に分離できる易剥離型接着剤の開発が求められるところ、このような性能を有するポリウレタン系樹脂組成物は、上述の従来技術も含め、検討・開発されていないのが現状である。
特開2003−48951号公報
そこで、本発明は、加熱により硬化し、かつ、熱硬化後に分解することができ、これにより、例えば、易剥離型の接着剤などとして利用することのできる、1液型のポリウレタン系樹脂組成物を提供することを目的としている。
本発明者は、上記課題を解決するために、以下のごとく鋭意検討を行った。
すなわち、ブロックドイソシアナートは加熱により解離させて使用するものであるので、加熱により分解する多価アルコールを用いることは普通考えないことであるが、本発明者は、上述のように、近年、比較的低温で解離してイソシアナート基を生じさせるブロックドイソシアナートの開発が進んでいる中で、この低温解離性を上手く活用すれば、低温硬化・高温分解という性質を有する新規なポリウレタン系樹脂組成物を得ることができるのではないかという従来にない独自の着想を得、前記ブロックドイソシアナートを、分子内に分解サイトを有する多価アルコールと併用することを検討するとともに、その効果の実験的確認を得て、本発明を完成するに至った。
さらに、光酸発生剤をも含有させることにより、光照射により低温で分解サイトを開裂させることができ、低温硬化・低温分解が可能となることも併せて見出した。
すなわち、本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、加熱により解離して2以上のイソシアナート基を生じさせ得るブロックドイソシアナートと、加熱により開裂させ得る分解サイトを分子内に有する多価アルコールとを含むとともに、前記分解サイトを実質的に開裂させることなく前記ブロックドイソシアナートを解離させ得るものである、ことを特徴とする。
なお、本発明において、多価アルコールの分解サイトに関し、特に断りなく単に「開裂温度」というときは、光酸発生剤から酸を発生させるための光照射を行っていない状態での分解サイトの開裂温度をいうこととする。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、加熱により硬化させることができるとともに、この硬化の後、より高温での加熱、または、光照射および加熱を行うことにより分解させることができる。
実施例における中間体(a)のNMRスペクトルである。 実施例におけるジオール(b)のNMRスペクトルである。 実施例におけるジオール(b)のIRスペクトルである。 実施例にかかるポリウレタン系樹脂組成物の加熱温度と不溶化率の関係を示すグラフである。 実施例にかかるポリウレタン系樹脂組成物の光照射後の加熱温度と不溶化率の関係を示すグラフである。
以下、本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔ポリウレタン系樹脂組成物〕
本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、加熱により解離して2以上のイソシアナート基を生じさせ得るブロックドイソシアナートと、加熱により開裂させ得る分解サイトを分子内に有する多価アルコールとを含む。
前記ブロックドイソシアナートとしては、加熱により解離して2以上のイソシアナート基を生じさせ得るものであれば、特に限定されない。
ただし、ブロックドイソシアナートの解離温度が高すぎると適用場面が限定的になってしまうおそれ(例えば、耐熱性の低い基材に適用できなくなるおそれ)や、多価アルコールの分解サイトの開裂温度も必然的に高くしなければならないために使用可能な多価アルコールの種類が限定されてしまったりエネルギーコストの増大を招いたりするおそれがあるので、ブロックドイソシアナートの解離温度は好ましくは140℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、特に好ましくは100℃以下である。
このとき、ブロックドイソシアナートの解離温度が低すぎると使用前に硬化が起こってしまうおそれがあるので、例えば、70℃以上とすることが好ましい。
加熱による解離により生じさせ得るイソシアナート基の数は2以上であれば特に限定されないが、通常、2または3である。
本発明で用いるブロックドイソシアナートは、2以上のイソシアナート基がブロック剤でブロックされた構造を有するものである。例えば、トリレンジイソシアナート、メタフェニレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリス(ヘキサメチレンジイソシアナート)、トリス(ヘキサメチレンジイソシアナート)のイソシアナート基を用いて鎖状に結合させた重縮合物、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナートなどのイソシアナートが、活性水素原子を1個以上有するブロック剤、例えば、フェノール、チオフェノール、クレゾール、レゾルシノールなどのフェノール類、ジフェニルアミン、キシリジンなどの芳香族第2級アミン類、ピラゾール、ジメチルピラゾールなどの環状アミン類、フタル酸イミド類、カプロラクタム、バレロラクタムなどのラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類および酸性亜硫酸ソーダなどのブロック剤でブロックされたものが挙げられる。
本発明においては、解離温度の低いブロックドイソシアナートを用いることが好ましいが、このようなものとしては、例えば、メチルエチルケトオキシムをブロック剤としたものが挙げられる。市販品としては、例えば、明成化学工業株式会社製の「メイカネートシリーズ」、「DMシリーズ」などがある。
また、前記多価アルコールとしては、加熱により開裂させ得る分解サイトを分子内に有するものであれば、特に限定されない。
分解サイトの開裂温度は、ブロックドイソシアナートの解離温度を下回らないよう考慮して、適宜決定すればよい。分解サイトの開裂温度が低すぎると、ブロックドイソシアナートの解離温度も必然的に低くしなければならないために使用可能なブロックドイソシアナートの種類が限定されることになるが、例えば、分解サイトの開裂温度が180℃以上のものであれば、組み合わせ可能なブロックドイソシアナートの種類も多くなってくる。
このとき、分解サイトの開裂温度が高すぎると適用場面が限定的になってしまうおそれ(例えば、耐熱性の低い基材に適用できなくなるおそれ)や、エネルギーコストの増大を招くおそれがあるので、例えば、220℃以下であることが好ましい。
なお、ここにいう開裂温度は、上述のとおり、光酸発生剤から酸を発生させるための光照射を行っていない状態での分解サイトの開裂温度であるが、光酸発生剤を含有させるとともに光照射をすれば、分解サイトの開裂温度をさらに低下させることができる。この場合、用いる光酸発生剤と原料の種類にもよるが、前記光照射後の分解サイトの開裂温度は、例えば、室温(20℃程度)〜120℃となる。そのため、光酸発生剤を含有させるとともに光照射を行うことを前提とする場合は、光酸発生剤から酸を発生させるための光照射を行っていない状態での上記分解サイトの開裂温度上限は特に問題とならず、例えば、この温度が220℃を超えるものであっても、光照射後の分解サイトの開裂温度が十分に低くなるのであれば実用上何ら問題はない。
前記分解サイトとしては、特に限定するわけではないが、例えば、エステル結合部位、アセタール結合部位、ヘミアセタールエステル結合部位などが好ましく挙げられる。中でも、エステル結合部位がより好ましく採用でき、第3級カルボン酸エステル結合部位が最も好ましい。
第3級カルボン酸エステル結合部位は、例えば、下式のように、酸塩化物(X1)と第3級アルコール(X2)との反応により形成させることができる。
ここで、下式中の2つのR3は、それぞれ独立して、直鎖または分岐状の炭化水素基であり、炭素数1〜6程度の直鎖もしくは分岐状の飽和炭化水素基が好ましく挙げられ、特に好ましくはメチル基またはエチル基である。
Figure 2013112690
アセタール結合部位は、例えば、下式のように、アルコール(Y1)とビニルエーテル(Y2)との反応により形成させることができる。
Figure 2013112690
ヘミアセタールエステル結合部位は、例えば、下式のように、カルボン酸(Z1)とビニルエーテル(Z2)との反応により形成することができる。
Figure 2013112690
上記各反応式において、R2は任意の有機鎖であり、直鎖、分岐のいずれでも良く、環状構造を有していても良く、エーテル結合やエステル結合などの種々の有機結合を有していても良い。R2は、本発明の目的上、通常は、容易に熱分解する結合部位を有しない。そして、この場合、R2は、ポリウレタン系樹脂組成物の硬化物を熱分解する際にも分解されずにそのまま残存する構造部分となるので、容易に除去できるように、溶解性などを考慮して分子構造の設計をすると良い。
なお、上記各反応式においては、化合物(X2)、(Y2)、(Z2)は、対称性をもった分子構造であることが好ましい。2以上の水酸基を均質に導入するなどの観点から分子設計上有利だからである。ただし、本発明は必ずしもこのような対称構造のものに限定されるものではない。
次に、多価アルコールにおける2以上の水酸基について説明すると、上記各反応式において、R1が前記水酸基を有する部位となるべき分子構造部分であり、従って、R1は、ブロックドイソシアナートから遊離される2以上のイソシアナート基と反応する水酸基を有し、または、このような水酸基を導入し得る構造を有する任意の有機鎖である。このように、多価アルコールにおける2以上の水酸基は、化合物(X1)、(Y1)、(Z1)と化合物(X2)、(Y2)、(Y2)とを反応させる前に、化合物(X1)、(Y1)、(Z1)の分子末端に初めから導入しておいても良いが、反応により化合物(X3)、(Y3)、(Z3)を得た後の分子末端に導入してもよい。そして、以下に例示するように、化合物(X3)、(Y3)、(Z3)を得た後にその分子末端に導入するほうが、分子設計上有利である。
例えば、化合物(X1)、(Y1)、(Z1)として、R1に不飽和炭素結合を有する化合物を用いて、上記各反応に基づき2以上の不飽和炭素結合を有する化合物(X3)、(Y3)、(Z3)を得たのち、前記2以上の不飽和炭素結合部分に、メルカプトアルコールのメルカプト基を反応させるなどして、2以上の水酸基を導入する方法が好ましく挙げられる。この場合、R1としては、炭素数2〜4程度の直鎖もしくは分岐状の不飽和炭化水素基が好ましく挙げられ、ビニル基が特に好ましい。
より具体的には、例えば、化合物(X1)としてアクリル酸ハロゲン化物、化合物(Y1)としてヒドロキシアルキルアクリレート、化合物(Z1)としてアクリル酸を用い、上記各反応に基づき化合物(X3)、(Y3)、(Z3)を得たのち、メルカプトアルコールのメルカプト基を反応させて、末端に2以上の水酸基を有する多価アルコールを得ることができる。
このようにして2以上の水酸基を導入するようにすると、メルカプトアルコールの炭素鎖の長さや構造を変えることで、所望の分子構造を得ることができる。例えば、ポリウレタン系樹脂組成物の硬化物を熱分解した後に容易に除去できるように、溶解性などを考慮して分子設計することも容易となる。
上記各反応式において、nは、通常、多価アルコールの末端水酸基の数に対応し、2以上であることが必須であるが、通常4以下であり、好ましくは2または3である。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、上記において、多価アルコールの分解サイトを実質的に開裂させることなくブロックドイソシアナートを解離させ得ることが必要である。ここで、「実質的に開裂させることなく」との用語の意味は、多価アルコールの分解サイトが一部開裂されても、それが、樹脂組成物の熱硬化性を妨げる程の開裂でなければ許容されるという意味であり、本発明はこのような場合も含む。このような観点からは、例えば、ブロックドイソシアナートの解離温度よりも分解サイトの開裂温度のほうが30℃以上高いことが好ましく、50℃以上高いことがより好ましい。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、上記ブロックドイソシアナートおよび多価アルコール以外に、光酸発生剤を含んでいてもよい。
光酸発生剤は、光照射によって分解され酸を生じるものである。この酸の存在により、多価アルコールの分解サイトの開裂温度が低下し、本発明のポリウレタン系樹脂組成物を熱硬化した後の熱分解を、より低温で行うことができる。
酸の強さが強いほど多価アルコールの分解サイトの開裂温度が低くなる傾向にある。このような観点から、光酸発生剤の種類を適宜決定することができる。
具体的には、特に限定するわけではないが、例えば、N−トリフルオロメタンスルフォニロキシ−1,8−ナフチルイミド(NITf)、トリフェニルスルホニウム=トリフルオロメタンスルホナートなどが挙げられる。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物において、ブロックドイソシアナートの配合割合は、樹脂組成物全量に対して、例えば、20〜80重量%であり、好ましくは40〜60重量%である。また、多価アルコールの配合割合は、樹脂組成物全量に対して、例えば、20〜80重量%であり、好ましくは40〜60重量%である。さらに、光酸発生剤の配合割合は、樹脂組成物全量に対して、例えば、0〜10重量%であり、好ましくは3〜5重量%である。
ブロックドイソシアナートおよび多価アルコールの相互割合は、特に限定されないが、例えば、官能基比(NCO:OH)で1:2〜2:1程度となるように設定される。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、本発明の効果を害しない範囲で、上記ブロックドイソシアナート、多価アルコールおよび光酸発生剤以外に、溶剤や、顔料、増粘剤など、用途に応じた適宜の添加物を含むものであっても良い。
〔ポリウレタン系樹脂組成物の使用〕
本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、幅広い用途に汎用的に利用でき、例えば、接着剤、塗料、シーラントなどのコーティング用途に利用することができる。特に、接着剤用途に好適に用いられる。
具体的には、まず、上述のごとき本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物を接着基材面などのコーティング基材面に従来公知の方法でコーティングする。
前記コーティング基材としては、特に限定されず、例えば、木材、プラスチック、金属、紙など、幅広い基材に適用できる。
その後、ブロックドイソシアナートの解離温度以上であって、かつ、多価アルコールにおける分解サイトの開裂温度未満の温度条件で加熱を行い、ブロックドイソシアナートを解離させるとともに、これにより生じた2以上のイソシアナート基と多価アルコールの2以上の水酸基とを反応させ、ウレタン結合を生じさせることにより、コーティング膜を硬化させる。この硬化のための加熱時間としては、加熱温度にもよるが、例えば、5〜10分である。
このようにして、コーティング基材面にポリウレタン系樹脂組成物の硬化被膜を形成させ、接着層、塗膜層、シーリング層などの所望の樹脂層を得る。
この硬化被膜は、接着層、塗膜層、シーリング層などとして利用されるが、その効用を終えた後は、加熱、または、光照射および加熱により分解除去できるようになっている。
すなわち、加熱を行うことで多価アルコール由来の分解サイトを開裂させ、硬化被膜を分解させることができる。ポリウレタン系樹脂組成物が光酸発生剤を含有するものであれば、分解サイトの開裂のための加熱の前に、光照射を行って酸を発生させるようにする。
前記光照射は、光酸発生剤から酸を発生させうる条件で行うことができる。照射する光は、例えば、可視光、紫外線、赤外線を用いることができるが、簡易な光源としては、紫外線が好ましい。
光の照射時間は、光酸発生剤の種類や光の強度によるが、通常は数秒間〜数分間である。特に、分解する硬化被膜の形態に応じて適宜選択することができ、例えば、膜厚が厚い場合には、比較的長い時間照射することが効率的である。
熱分解のための加熱は、多価アルコールにおける分解サイトの開裂温度以上の温度で行う。ただし、上述のとおり、ポリウレタン系樹脂組成物が光酸発生剤をも含む場合に、光照射後に加熱する場合は、より低い温度(例えば、室温〜120℃程度)での熱分解が可能となる。この熱分解のための加熱時間としては、加熱温度にもよるが、例えば、5〜10分である。なお、このときの加熱は、必要以上に高温で行うべきでない。温度が高すぎると、熱分解により生じるカルボキシル基末端や水酸基末端が互いに脱水縮合して高分子化し、不溶化するおそれがあるからである。したがって、この熱分解のための加熱温度は、例えば、分解サイトを開裂させて熱分解を起こさせるのに必要な温度の下限(前記のとおり、光酸発生剤の使用および光照射を行うことで、低くすることができる)を基準として、+70℃を越えない温度であることが好ましく、+50℃を超えない温度であることがより好ましい。
熱分解後は、ポリウレタン系樹脂組成物の組成にもよるが、通常、溶剤で洗い流すことができるものとなる。熱分解により、例えば、上記第3級カルボン酸エステル結合部位を有するものはカルボン酸に分解し、上記アセタール結合部位を有するものはアルコールに分解し、上記ヘミアセタール結合部位を有するものはアルコールやカルボン酸に分解するので、アセトンなどの有機溶剤に溶解させて除去することができる。
以下、本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物について実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔合成例1:ジオールの合成〕
下記に示す合成経路(1)、(2)を経て、ジオール(b)を合成した。
Figure 2013112690
以下、合成経路(1)、(2)について詳細を示す。
<合成経路(1):中間体(a)の合成>
温度計を取り付けた4つ口フラスコに、窒素下で、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール5.0g(34.6mmol)、クロロホルム100mL、トリエチルアミン11.5ml(82.5mmol)を加えた。系を0℃以下に保ち、攪拌した。
ここに、アクリル酸クロリド6.7mL(82.5mmol)をゆっくりと1時間かけて滴下した。その後、室温で5時間攪拌した。
次に反応終了のためにイオン交換水を約30mL加え、さらに15分間攪拌した。クロロホルム層をイオン交換水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、イオン交換水で2回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、クロロホルムを留去し、黄色透明液体5.7gを得た。精製はシリカゲル中圧カラム(展開溶媒;クロロホルム:酢酸エチル=95:5)で行った。
得られた生成物は、無色液体であり、収量3.2g、収率37%であった。生成物のNMR測定結果を以下に示す。
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ6.28(2H,d),6.02(2H,q),5.73(2H,d),1.83(4H,s),1.47(12H,s)
上記1HNMRスペクトルを図1に示す。この1HNMRスペクトルから上記中間体(a)の生成を確認した。
<合成経路(2):ジオール(b)の合成>
窒素下で、50mL2つ口フラスコに、6−メルカプト−1−ヘキサノール1.4mL(10.2mmol)、n−ヘキシルアミン0.17mL(1.3mmol)およびクロロホルム2mLを加えた後、系を水浴で冷却した。上記合成経路(1)で得た中間体(a)1.3g(5.1mmol)のクロロホルム溶液2mLをゆっくりと10分間かけて滴下した。8時間室温で反応させた後、系にクロロホルムを10mL加え、1.0N塩酸15mL×3回、イオン交換水15mL×2回、NaHCO3飽和水溶液×2回で分液した。クロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、クロロホルムを留去し、黄色透明液体2.6gを得た。精製はシリカゲル中圧カラム(展開溶媒;クロロホルム:酢酸エチル=70:30)で行った。
得られた生成物は、無色液体であり、収量1.6g、収率60%であった。生成物のNMR測定結果を以下に示す。
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ3.63(4H,t),2.72(4H,t),2.50(8H,q),1.78(4H,s),1.59−1.36(28H,m)
上記1HNMRスペクトルを図2に示す。また、この生成物のIRスペクトルについても測定した。これを、図3に示す。これら1HNMRおよびFT−IRのスペクトルデータから目的のジオール(b)の生成を確認した。
〔合成例2:ブロックドイソシアナートの合成〕
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内に、トリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパンアダクト体(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアナート=1/10で反応させた後、未反応のトリレンジイソシアナートを除去精製して得ることができる)100重量部、酢酸エチル33重量部を仕込み、メチルエチルケトオキシム40重量部(トリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパンアダクト体のイソシアナート基1当量に対し1当量)、酢酸エチル27重量部を添加し、50℃で1時間保持した。反応液を35℃まで冷却し、下式(c)で示されるブロックドイソシアナートを得た。
Figure 2013112690
〔実施例:ポリウレタン系樹脂組成物の作製〕
上記合成例1で得たジオール(b)と、上記合成例2で得たブロックドイソシアナート(解離温度120℃)とを、官能基比(NCO:OH)で1:1となるように混合し、さらに光酸発生剤としてNITf(N−トリフルオロメタンスルフォニロキシ−1,8−ナフチルイミド)を、これら3成分合計量に対し5重量%となる割合で混合したのち、シクロヘキサノンに溶解させて、実施例にかかるポリウレタン系樹脂組成物を得た。
〔性能評価〕
上記実施例にかかるポリウレタン系樹脂組成物を用いて、熱硬化性および熱分解性について評価した。
まず、ポリウレタン系樹脂組成物を、シリコン板上にスピンコートで塗布し、シクロヘキサノンを除去して、膜厚1.0μmの薄膜を形成した。
上記薄膜をホットプレート上で加熱して、様々な加熱温度でアセトンに対する不溶化率を測定した。
なお、不溶化率は、ホットプレート上に形成した薄膜をアセトンに10分間浸漬させたのちの膜厚(A)を測定するとともに、この測定結果と、浸漬前の膜厚(A0=1.0μm)とから、下式により算出した。
アセトンに対する不溶化率(%)=A/A0×100
加熱温度ごとの不溶化率の測定結果に基づき、加熱温度と不溶化率の関係を評価した。加熱時間は10分間とした。結果を図4に示す。
図4に見るように、120〜140℃付近で不溶化率が上昇しており、ブロックドイソシアナートが解離し、分子末端に3つのイソシアナート基を生じるとともに多価アルコール(ジオール(b))と反応してウレタン結合を形成し、硬化していることが分かる。そして、180〜200℃付近において不溶化率が減少しており、多価アルコール由来の第3級カルボキシル基が開裂して低分子化が起こっていることが分かる。230℃付近から不溶化率が再び上昇しているのは、熱分解で生成したカルボキシル基の脱水反応により再度架橋構造が形成されて不溶化したためであると推測される。
次に、光照射の影響を見るため、上記薄膜について、まず、140℃×10分間加熱を行って、熱硬化を行った後、365nmの光を200mJ/cm3照射してから、さらに加熱を行って、上記と同様に、加熱温度と不溶化率の関係を評価した。この光照射後の加熱時間は10分間とした。結果を図5に示す。
図5を図4と比較してみると明らかなように、光照射を行い光酸発生剤から酸を発生させることにより、多価アルコール由来の第3級カルボキシル基の開裂温度が低くなることが分かる。具体的には、110〜120℃付近で不溶化率が低下し、光照射しない場合の上述の結果(180〜200℃付近で不溶化率が低下)と比べると、より低い温度での分解が可能となったことが分かる。なお、180〜220℃付近にかけての不溶化率の上昇は、熱分解で生成したカルボキシル基の脱水反応により再度架橋構造が形成されて不溶化したためであると推測される。
以上のとおり、本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、加熱により硬化した後、より高温で加熱することにより分解し、溶剤で溶解除去できることが分かる。また、光酸発生剤を含ませておき光照射することで、低温であっても分解させることができ、同様に溶剤で溶解除去できることが分かる。
本発明にかかるポリウレタン系樹脂組成物は、接着剤、塗料、シーラントなどのコーティング用途に利用することができ、特に、接着剤用途に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 加熱により解離して2以上のイソシアナート基を生じさせ得るブロックドイソシアナートと、加熱により開裂させ得る分解サイトを分子内に有する多価アルコールとを含むとともに、前記分解サイトを実質的に開裂させることなく前記ブロックドイソシアナートを解離させ得るものである、ポリウレタン系樹脂組成物。
  2. 前記ブロックドイソシアナートの解離温度が140℃以下である、請求項1に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
  3. 前記分解サイトが第3級カルボン酸エステル結合部位である、請求項1または2に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
  4. 光酸発生剤をも含むものである、請求項1から3までのいずれかに記載のポリウレタン系樹脂組成物。
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