JP2013110091A - 燃料電池の構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】「横縞型」の燃料電池の構造体であって、高い燃料利用率を維持でき、且つ、ガス流路の出口から内部への空気の流入(逆拡散)が抑制され易いものを提供する。
【解決手段】燃料ガス流路11が内部に形成された長手方向を有する平板状の支持基板の主面に、電気的に直列に接続された複数の発電素子部Aと、1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部と、を備えた燃料電池の構造体において、前記ガス流路の出口の断面積が前記ガス流路の入口の断面積より小さい、燃料電池の構造体。
【選択図】図32

Description

本発明は、燃料電池の構造体に関する。
従来より、「ガス流路が内部に形成された電子伝導性を有さない多孔質の支持基板」と、「前記支持基板の表面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、燃料極、固体電解質、及び空気極が積層されてなる複数の発電素子部」と、「1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の燃料極と他方の空気極とを電気的に接続する電子伝導性を有する1つ又は複数の電気的接続部」とを備えた固体酸化物形燃料電池の構造体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような構成は、「横縞型」とも呼ばれる。
特開2008−226789号公報
特許文献1に記載の「横縞型」の固体酸化物形燃料電池の構造体では、支持基板の内部に形成されたガス流路の断面積が、入口から出口に亘って一定となっている。本発明者は、支持基板の内部に形成されたガス流路について「流路のガス流れ方向の位置」と「流路の断面積」との関係に着目し、種々の実験等を行った。その結果、前記関係に関し、ガス流路の断面積が入口から出口に亘って一定の場合と比べて、高い燃料利用率を維持でき、且つ、ガス流路の出口から内部への空気の流入(逆拡散)が抑制され易い態様を見出した。
本発明は、「横縞型」の燃料電池の構造体であって、高い燃料利用率を維持でき、且つ、ガス流路の出口から内部への空気の流入(逆拡散)が抑制され易いものを提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池の構造体は、ガス流路が内部に形成された電子伝導性を有さない平板状の多孔質の支持基板と、前記平板状の支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ「少なくとも内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部」と、1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する電子伝導性を有する1つ又は複数の電気的接続部とを備える。即ち、この構造体は、「横縞型」の燃料電池の構造体である。
本発明に係る燃料電池の構造体の特徴は、前記ガス流路の出口の断面積が前記ガス流路の入口の断面積より小さいことにある。これによれば、出口側の断面積が狭いことによって、ガス流路内の圧力損失が大きくなり、ガス流路内に燃料ガスが適度に滞留させられる。この結果、高い燃料利用率を維持した状態で、ガス流路内の長手方向におけるガス濃度の分布がより均一化され得る。
加えて、出口側の断面積が狭いことによって、ガス流路の出口でのガスの流速が大きくなり、ガス流路の出口からガス流路の内部への空気の流入(逆拡散)が抑制され得る。この結果、支持基板の再酸化が抑制されて、燃料電池の耐久性が維持され得る。
なお、本発明に係る燃料電池の構造体では、前記平板状の支持基板の主面における前記複数の箇所に、前記支持基板の材料からなる底壁と全周に亘って前記支持基板の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第1凹部がそれぞれ形成され、前記各第1凹部に、対応する前記発電素子部の内側電極(の全体)がそれぞれ埋設されることが好適である。
ここにおいて、前記第1凹部の平面形状(支持基板の主面に垂直の方向からみた場合の形状)は、例えば、長方形、正方形、円形、楕円形、長円形である。また、前記支持基板が長手方向を有し、且つ、前記複数の第1凹部が長手方向に沿って所定の間隔をおいて配置されていることが好適である。また、前記内側電極及び前記外側電極はそれぞれ、空気極及び燃料極であってもよいし、燃料極及び空気極であってもよい。
上記構成では、内側電極を埋設するための各第1凹部が周方向に閉じた側壁を有している。換言すれば、支持基板において各第1凹部を囲む枠体がそれぞれ形成されている。従って、この構造体は、支持基板が外力を受けた場合に変形し難い構造であるといえる。
本発明に係る燃料電池の構造体を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の構造体の2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の作動状態を説明するための図である。 図1に示す燃料電池の構造体の作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の構造体の製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 支持基板の凹部の底壁の表面に凹凸が形成された様子を示した図1に対応する斜視図である。 図15に示す燃料電池の構造体16−16線に対応する断面図である。 図16の一部拡大図である。 凹部底壁の断面形状が正弦波状の比較例と比べて支持基板の断面積が大きくなることを説明するための図である。 凹部底壁の表面に形成される凹凸の変形例の図16に対応する断面図である。 凹部に埋設された燃料極の外側面の形状の一例を示す図16に対応する断面図である。 凹部に埋設された燃料極の外側面の形状の他の例を示す図16に対応する断面図である。 本発明に係る燃料電池の構造体の第1変形例の図2に対応する断面図である。 本発明に係る燃料電池の構造体の第2変形例の図2に対応する断面図である。 本発明に係る燃料電池の構造体の第3変形例の図2に対応する断面図である。 本発明に係る燃料電池の構造体の第4変形例の図3に対応する断面図である。 支持基板の主面における凹部が形成されていない部分にも凹凸が形成された様子を示した図15に対応する斜視図である。 図26に示す燃料電池の構造体27−27線に対応する断面図である。 図26に示す燃料電池の構造体28−28線に対応する断面図である。 燃料ガス流路の断面形状が円形ではなく扁平な形状である場合の図1に対応する斜視図である。 燃料ガス流路の断面形状が円形ではなく扁平な形状である場合の図27に対応する斜視図である。 燃料ガス流路の断面形状が円形ではなく扁平な形状である場合の図28に対応する斜視図である。 支持基板の内部に形成されたガス流路の変形例を示す図である。
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構造体を示す。このSOFCの構造体は、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このSOFCの構造体の全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmの長方形である。このSOFCの構造体の全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCの構造体の全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このSOFCの構造体の図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCの構造体の詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y(イットリア)が使用されてもよい。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸素イオン伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。LaCrOは、Caがドープされた(La,Ca)CrO(カルシウムドープランタンクロマイト)であっても、Srがドープされた(La,Sr)CrO(ストロンチウムドープランタンクロマイト)であってもよい。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、前記「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における前記「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における前記「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCの構造体に対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O2− (於:空気極60) …(1)
+O2−→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このSOFCの構造体全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの構造体の製造方法の一例について図6〜図14を参照しながら簡単に説明する。図6〜図14において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、CSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図14を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図9に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図11に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図12に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCの構造体において空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図13に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図14に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCの構造体が得られる。以上、図1に示したSOFCの構造体の製造方法の一例について説明した。
(支持基板の凹部の底壁の詳細な形状)
図15及び図16に示すように、上記実施形態では、各凹部12の底壁の表面には、支持基板10の長手方向(x軸方向)に延びる複数(本例では、5つ)の凹部と、前記長手方向に延びる複数(本例では、5つ)の凸部とが、凹部及び凸部が支持基板の幅方向(y軸方向)において交互に位置するように設けられている。加えて、支持基板10を主面に垂直な方向(z軸方向)からみたとき、各燃料ガス流路11の上に、対応する凹部がそれぞれ位置していて、燃料ガス流路11の本数(本例では、5本)と凹部の本数(本例では、5本)とが一致している。
より詳細には、図17に示すように、支持基板10の幅方向(y方向)及び厚さ方向(z方向)に沿う断面(y−z断面)において、各燃料ガス流路11の断面形状は直径Dが0.5〜3.0mmの円形であり、燃料ガス流路11、11間のピッチ(中心軸間の距離)Pは1.0〜6.0mmである。各凸部の頂部、及び、各凹部の底部はそれぞれ、円弧状を呈している。各凸部の頂部の円弧半径R1は1.0〜150mmであり、各凹部の底部の円弧半径R2は0.1〜10mmであり、R1>R2の関係が成立している。凹凸の高低差(支持基板10の厚さ方向における凸部の最頂部と凹部の最底部との距離)Hは10〜200μmである。各凹部の最底部と対応する燃料ガス流路11の内壁面との(最短)距離Tは0.1〜2mmである。
各凹部12の底壁には、燃料極20(より具体的には集電部21)の底面が密着している。従って、各燃料極20(集電部21)の底面に凹凸が形成されている、ということもできる。各凹部12の底壁の凹凸形状は、対応する凹凸形状が付与された成形型を使用して支持基板の成形体10g(図6を参照)を成形する等によって「積極的に形成」されてもよいし、支持基板の成形体10gの焼成の際における局所的な焼成収縮量の差を利用して「自然発生的に形成」されてもよい。
(作用・効果)
以上、説明したように、上記本発明の実施形態に係る「横縞型」のSOFCの構造体では、支持基板10の上下面に形成されている、燃料極20を埋設するための複数の凹部12のそれぞれが、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁を有している。換言すれば、支持基板10において各凹部12を囲む枠体がそれぞれ形成されている。従って、この構造体は、支持基板10が外力を受けた場合に変形し難い。
また、支持基板10の各凹部12内に燃料極20及びインターコネクタ30等の部材が隙間なく充填・埋設された状態で、支持基板10と前記埋設された部材とが共焼結される。従って、部材間の接合性が高く且つ信頼性の高い焼結体が得られる。
また、支持基板の各凹部12の底壁の表面に凹凸が形成されている。これにより、各凹部12の底壁の表面に凹凸が形成されない場合と比べて、支持基板10の剛性がより一層高くなる。この結果、支持基板10が外力を受けた場合により一層変形し難くなる。
また、上記凹凸に関し、各凹部12の底壁の表面には、長手方向(x軸方向)に延びる複数の凹部と複数の凸部とが、凹部及び凸部が幅方向において交互に位置するように設けられている。これにより、支持基板10の長手方向(x軸方向)についての曲げ剛性が特に高くなる。この結果、支持基板10の長手方向についての主面の反り(長手方向及び厚さ方向に沿うx−z断面において表れる支持基板10の反り)が特に発生し難くなる。
また、支持基板10の幅方向(y方向)及び厚さ方向(z方向)に沿う断面(y−z断面)において、各凸部の頂部の円弧半径R1が各凹部の底部の円弧半径R2よりも大きい(図17を参照)。これにより、図18に示すように、凸部の頂部の円弧半径と凹部の底部の円弧半径とが一致する比較例(典型的には、断面形状が正弦波状を有する比較例)と比べて、前記凹凸の高低差が同じ場合において、燃料ガス流路11、11間における支持基板10の厚さが大きくなる(図18の微細なドットで示した領域を参照)。この結果、支持基板10の剛性がより一層高くなる。
更には、支持基板10を主面に垂直な方向(z軸方向)からみたとき、各燃料ガス流路11の上に、対応する凹部がそれぞれ位置している。この結果、燃料ガス流路11の本数と凹部の本数とが一致している。これにより、各燃料ガス流路12の上に対応する凹部が位置しない態様(典型的には、図19に示すように、各燃料ガス流路11の上に、対応する凸部がそれぞれ位置している態様)と比べて、支持基板10の幅方向における各燃料ガス流路12に対応するそれぞれの位置における「凹部12の底壁と燃料ガス流路11の内壁面との距離」が短くなる。従って、燃料ガス流路11内のガスが、燃料ガス流路11の内壁面から支持基板10の内部の多数の気孔を介して凹部12の底壁(従って、凹部12に埋設された燃料極20)へと拡散していく際の抵抗(拡散抵抗)が小さくなる。このことは、SOFC全体の発電出力の向上に繋がる。
なお、底壁の表面に凹凸が形成された凹部12に埋設された燃料極20の外側面は、図20に示すように平坦であってもよいし、図21に示すように、凹部12の底壁の凹凸に対応する凹凸が存在する形状を有していてもよい。図20及び図21から理解できるように、燃料極20の外側面には固体電解質膜40の内側面が密着している。従って、図20に示す態様では、固体電解質膜40における燃料極20の上に積層された部分は平坦になる。図21に示す態様では、固体電解質膜40における燃料極20の上に積層された部分は、燃料極20の外側面に対応する凹凸が存在する形状となる。なお、図21に示す態様において、凹部12の底壁の凹凸、燃料極20の外側面の凹凸、並びに、固体電解質膜40の外側面の凹凸に関し、凸部の頂部の円弧半径R1同士(図17を参照)が略同一、並びに、凹部の底部の円弧半径R2同士(図17を参照)が略同一である。
また、インターコネクタ30が、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bに埋設され、この結果、直方体状のインターコネクタ30の幅方向(y軸方向)に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。従って、燃料極集電部21の外側平面上に直方体状のインターコネクタ30が積層される(接触する)構成が採用される場合に比べて、燃料極20(集電部21)とインターコネクタ30との界面の面積を大きくできる。従って、燃料極20とインターコネクタ30との間における電子伝導性を高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力を高めることができる。
また、上記実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに、複数の発電素子部Aが設けられている。これにより、支持基板の片側面のみに複数の発電素子部が設けられる場合に比して、構造体中における発電素子部の数を多くでき、燃料電池の発電出力を高めることができる。
また、上記実施形態では、固体電解質膜40が、燃料極20の外側面、インターコネクタ30の外側面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、燃料極20の外側面とインターコネクタ30の外側面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、図6等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。
また、上記実施形態においては、各凹部12にはインターコネクタ30の全体が埋設されているが、インターコネクタ30の一部のみが各凹部12に埋設され、インターコネクタ30の残りの部分が凹部12の外に突出(即ち、支持基板10の主面から突出)していてもよい。
また、上記実施形態において、凹部12における底壁と側壁とのなす角度θが90°になっているが、図22に示すように、角度θが90〜135°となっていてもよい。また、上記実施形態においては、図23に示すように、凹部12における底壁と側壁とが交差する部分が半径Rの円弧状になっていて、凹部12の深さに対する半径Rの割合が0.01〜1となっていてもよい。
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、図24に示すように、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。加えて、上記実施形態においては、「内側電極」及び「外側電極」がそれぞれ燃料極及び空気極となっているが、逆であってもよい。
加えて、上記実施形態においては、図3に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(支持基板10の材料からなる長手方向に沿う2つの側壁と、燃料極集電部21の材料からなる幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みとなっている。この結果、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
これに対し、図25に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みであってもよい。これによれば、凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の4つの側面の全てと底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触する。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との界面の面積をより一層大きくできる。従って、燃料極集電部21とインターコネクタ30との間における電子伝導性をより一層高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力をより一層高めることができる。
また、上記実施形態では、図15及び図16に示すように、各凹部12の底壁の表面にのみ、支持基板10の長手方向(x軸方向)に延びる複数(本例では、5つ)の凹部と、前記長手方向に延びる複数(本例では、5つ)の凸部とが、凹部及び凸部が支持基板の幅方向(y軸方向)において交互に位置するように設けられているが、図26〜図28に示すように、凹部12の底壁の表面に加えて、支持基板10の主面における凹部12が形成されていない部分においても、同様の複数(本例では、5つ)の凹部と複数(本例では、5つ)の凸部とが、支持基板の幅方向(y軸方向)において交互に位置するように設けられていてもよい。図26〜図28に示す構成では、支持基板10を主面に垂直な方向(z軸方向)からみたとき、各燃料ガス流路11の上に、凹部12の底壁及び支持基板10の主面のそれぞれの対応する凹部がそれぞれ位置していて、燃料ガス流路11の本数(本例では、5本)と凹部の本数(本例では、5本)とが一致している。
各凹部12の底壁の凹凸形状と同様、支持基板10の主面の凹凸も、対応する凹凸形状が付与された成形型を使用して支持基板の成形体10g(図6を参照)を成形する等によって「積極的に形成」されてもよいし、支持基板の成形体10gの焼成の際における局所的な焼成収縮量の差を利用して「自然発生的に形成」されてもよい。なお、図26〜図28に示す態様において、各凹部12の底壁には凹凸が設けられず、且つ、支持基板10の主面にのみ凹凸が設けられても良い。
なお、図27において、凹部12の底壁の凹凸、燃料極20の外側面の凹凸、並びに、固体電解質膜40の外側面の凹凸に関し、凸部の頂部の円弧半径R1、並びに、凹部の底部の円弧半径R2(図17を参照)は略同一である。同様に、図28において、支持基板10の主面の凹凸、並びに、固体電解質膜40の外側面の凹凸に関し、凸部の頂部の円弧半径R1、並びに、凹部の底部の円弧半径R2(図17を参照)は略同一である。
また、上記実施形態では、図1等に示すように、支持基板10に形成された燃料ガス流路11の断面形状は円形であったが、図29に示すように、燃料ガス流路11の断面形状が、扁平な(支持基板の幅方向に広がった)形状であってもよい。また、図27、図28に示す実施形態でも燃料ガス流路11の断面形状は円形であったが、図30、図31に示すように、燃料ガス流路11の断面形状が、扁平な(支持基板の幅方向に広がった)形状であってもよい。
また、上記実施形態においては、支持基板10内に形成された長手方向(x軸方向)に延びる各ガス流路11の断面積は、入口(x軸正方向側)から出口(x軸負方向側)に亘って一定であるが、図32に示すように、各ガス流路11について、入口(図において右側端)の断面積に対して出口(図において左側端)の断面積が小さくてもよい。
これによれば、以下の作用・効果が期待できる。
1.出口側の断面積が狭いことによって、ガス流路11内の圧力損失が大きくなり、ガス流路11内に燃料ガスが適度に滞留させられる。この結果、高い燃料利用率を維持した状態で、ガス流路11内の長手方向におけるガス濃度の分布がより均一化され得る。
2.出口側の断面積が狭いことによって、ガス流路11の出口でのガスの流速が大きくなり、ガス流路11の出口からガス流路11の内部への空気の流入(逆拡散)が抑制され得る。この結果、支持基板10の再酸化が抑制されて、燃料電池の耐久性が維持され得る。
以下、図32に示すように、各ガス流路11について、ガス流路11の入口から「ガス流路11の出口に最も近い位置にある発電素子部Aの出口側の端面」までの範囲を「実効部」と呼び、残りの範囲を「出口部」と呼ぶ。この場合、図32に示すように、各ガス流路11は、実効部では断面積が一定(長手方向において若干のばらつきが存在してもよい)となり、出口部では、出口に近づくにつれて断面積が徐々に小さくなる部分が含まれるように形成され得る。各ガス流路11は、出口部において、長手方向の全域に亘って断面積が徐々に小さくなるように形成されてもよいし、断面積が徐々に小さくなる部分が長手方向における一部のみに存在するように形成されてもよい。また、実効部も、出口部と同様、出口に近づくにつれて断面積が徐々に小さくなる部分が含まれるように形成され得る。この場合、実効部が、長手方向の全域に亘って断面積が徐々に小さくなるように形成されてもよいし、断面積が徐々に小さくなる部分が長手方向における一部のみに存在するように形成されてもよい。
この場合、実効部におけるガス流路11の断面積Seのばらつき範囲の最大値・最小値をそれぞれSemax、Seminとし、出口部における「ガス流路11の出口に最も近い位置にある発電素子部Aの出口側の端面」での断面積をSbとし、出口の断面積をSoとし、ΔS1=Semax−Semin、ΔS2=Sb−Soと定義するものとすると、「ΔS2≧ΔS1」という関係が成立するように、各ガス流路11が形成され得る。
また、本発明者は、Seminに対するSoの割合(So/Semin)が80%以下であると、そうでない場合と比べて、上述した「高い燃料利用率の維持」、並びに、「ガス流路11の内部への空気の逆拡散の抑制」がより一層確実に達成できることを見出した。以下、このことを確認した試験について説明する。
(試験)
この試験では、上記実施形態(図1等を参照)に係る燃料電池について、燃料ガス流路11に関し、Semin、及び、Soの組み合わせ(従って、割合(So/Semin))が異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、6種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。
Figure 2013110091
各サンプル(図1に示す燃料電池)にて使用された支持基板10としては、材料の気孔率が40%であり、厚さ、幅がそれぞれ、3.0mm、40mm(即ち、アスペクト比が13)であり、燃料ガス流路11の断面形状が円形であり、隣接する燃料ガス流路11、11間のピッチが3.0mmのものが使用された。
そして、各サンプルについて、運転条件を、温度:750℃、電流密度:0.3A/cm、空気利用率(Ua):30%で一定とした状態で、燃料利用率(Uf)の依存性を評価した。この結果は表1に示すとおりである。
表1から理解できるように、(So/Semin)が80%を超えると、高い燃料利用率の運転状態での電圧降下が大きい。一方、(So/Semin)が80%以下であると、高い燃料利用率の運転状態(Uf=75%)でも安定して運転が可能であった。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、12…凹部、20…燃料極、21…燃料極集電部、21a、21b…凹部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、A…発電素子部

Claims (5)

  1. ガス流路が内部に形成された平板状の多孔質の支持基板と、
    前記平板状の支持基板の主面における互いに離れた複数の箇所にそれぞれ設けられ、少なくとも内側電極、固体電解質、及び外側電極が積層されてなる複数の発電素子部と、
    1組又は複数組の隣り合う前記発電素子部の間にそれぞれ設けられ、隣り合う前記発電素子部の一方の内側電極と他方の外側電極とを電気的に接続する1つ又は複数の電気的接続部と、
    を備えた燃料電池の構造体において、
    前記ガス流路の出口の断面積が前記ガス流路の入口の断面積より小さい、燃料電池の構造体。
  2. 請求項1に記載の燃料電池の構造体において、
    前記ガス流路は、前記入口から、前記出口に最も近い位置にある前記発電素子部の出口側の端面までの範囲である実効部にて、断面積が一定、又は、前記出口に近づくにつれて断面積が徐々に小さくなる部分が含まれるように形成され、前記端面から前記出口までの範囲である出口部にて、前記出口に近づくにつれて断面積が徐々に小さくなる部分が含まれるように形成され、
    前記実効部におけるガス流路の断面積Seのばらつき範囲の最大値・最小値をそれぞれSemax、Seminとし、前記出口部における前記端面での断面積をSbとし、前記出口の断面積をSoとし、ΔS1=Semax−Semin、ΔS2=Sb−Soとしたとき、ΔS2≧ΔS1という関係が成立する、燃料電池の構造体。
  3. 請求項2に記載の燃料電池の構造体において、
    Seminに対するSoの割合(So/Semin)が、80%以下である、燃料電池の構造体。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の燃料電池の構造体において、
    前記平板状の支持基板の主面における前記複数の箇所に、前記支持基板の材料からなる底壁と全周に亘って前記支持基板の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第1凹部がそれぞれ形成され、
    前記各第1凹部に、対応する前記発電素子部の内側電極がそれぞれ埋設された、燃料電池の構造体。
  5. 請求項4に記載の燃料電池の構造体において、
    前記各電気的接続部は、緻密な材料で構成された第1部分と、前記第1部分と接続され且つ多孔質の材料で構成された第2部分とで構成され、
    前記埋設された各内側電極の外側面に、前記内側電極の材料からなる底壁と全周に亘って前記内側電極の材料からなる周方向に閉じた側壁とを有する第2凹部がそれぞれ形成され、
    前記各第2凹部に、対応する前記電気的接続部の前記第1部分がそれぞれ埋設された、燃料電池の構造体。
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