JP2013108134A - 高硬度・高靱性サーメット - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のTiC基サーメットやTiCN基サーメット等に比し、優れた硬度と高い破壊靱性を有し、切削工具部材、耐摩耗性工具部材等として極めて有用な新規なサーメットを提供する。
【解決手段】結合相として少なくとも鉄族金属を含み、硬質相として少なくとも周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物および/またはこれらの固溶体から選ばれた一種以上を含むサーメットであって、さらに、Cuおよび/またはZnが、鉄族金属に対して0.4〜20質量%の割合で含有されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、切削工具部材、耐摩耗性工具部材等に適する靱性と硬度をともに備えた新規なサーメットに関し、特に新規なTiC基サーメット、TiCN基サーメットに関するものである。
耐摩耗性工具や切削工具用合金として超硬合金(WC基焼結合金)が古くから知られているが、供給不安の高いタングステンWを使用するためその代替材料として、TiCを主成分とするTiC基サーメットが開発された。このTiC基サーメットは、生産性が高く硬度適性に優れたものであるが、超硬合金に比べ、同等の硬度において、靱性が低いといった難点があった。
このようなTiC基サーメットの靱性を改善するために、TiC基サーメットにTiNが添加されたTiCN基サーメットが提案されている。
また、特許文献1は、TiC基サーメット、TiCN基サーメットの靱性を向上させるために、その機械的特性に最も影響を与える硬質相を芯部と周辺部からなる2重もしくは多重の有芯構造としたサーメットを開示している。
さらに、特許文献2、3は、硬質相を、単相構造の粒子と芯部が周辺部に覆われた有芯構造の粒子との複合体で構成したサーメットを開示している。
しかしながら、上記従来の硬質相の改良によるTiC基サーメットやTiCN基サーメットでは限界があり、硬度を保ちつつ、破壊靱性の向上を達成するための別観点からの材料設計が強く望まれていた。
特開平02−190438号公報 特開2004−292842号公報 特開2006−131975号公報
本発明は、上記従来技術の実情に鑑みなされたものであって、その目的は従来のTiC基サーメットやTiCN基サーメット(以下前記両サーメットをサーメットと称す)等に比し、優れた硬度と高い破壊靱性を有し、切削工具部材、耐摩耗性工具部材等として極めて有用な新規なサーメットを提供することにある。
本発明者は上記課題に対する有効な解決手段について、従来のようなサーメットの硬質相の観点からではなく、結合相に着目して鋭意検討した結果、意外にも、結合相を鉄族元素(Fe、Ni、Co)とし、さらにCuおよび/またはZnを一部含有させ、その含有量を特定の範囲に設定した場合には、サーメットの硬度と破壊靭性が向上するとの知見を得た。
本発明はこのような新規な知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は以下のサーメットを提供するものである。
第1に、結合相として少なくとも鉄族金属を含み、硬質相として少なくとも周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物および/またはこれらの固溶体から選ばれた一種以上を含むサーメットであって、さらに、Cuおよび/またはZnが、鉄族金属に対して0.4〜20質量%の割合で含有されている。
第2に、上記第1の発明のサーメットにおいて、鉄族金属がFe、CoおよびNiから選ばれた少なくとも一種である。
第3に、上記第1または第2の発明のサーメットにおいて、
周期律表IVa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物これらの固溶体から選ばれた硬質相が、TiCおよび/またはTi(C、N)である。
第4に、上記第1から第3の発明のサーメットにおいて、
硬質相が、TiCおよび/またはTi(C、N)とともに、Ti以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの固溶体から選ばれた少なくとも一種を含む。
第5に、上記第1から第4の発明のサーメットにおいて、(1)Ti、(2)Ti以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属、および(3)鉄族金属とCuおよび/またはZnとの合計質量(1)+(2)+(3)を100質量%としたときに、(1)が40〜65質量%、(2)が18〜46質量%、(3)が4〜40質量%である。
第6に、上記第1から第5の発明のサーメットにおいて、硬質相が2相以上である。
第7に、上記第1から第6の発明のサーメットにおいて、硬質相と結合相の面積比が98:2〜60:40である。
第8に、上記第1から第7の発明のサーメットにおいて、下記式で示されるShettyの式により算出される破壊靱性値がKIC、ビッカース硬度がHVのとき、KIC≧35000HV(−1.135)を満たす。
Figure 2013108134
IC:靱性値
HV:ビッカース硬度
P:圧子加重
l:亀裂長さ
本発明のサーメットは、鉄族金属に対して、所定割合の、Cuおよび/またはZnを配合させたことから、従来のサーメットに比しその硬度と破壊靭性が向上したものとなる。
したがって、本発明のサーメットは、その高硬度・高靱性サーメット特性を利用することにより、切削工具部材、耐摩耗性工具部材等として極めて優れた効果を発揮する。
本発明のサーメットは、結合相として少なくとも鉄族金属を含み、硬質相として少なくとも周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの固溶体から選ばれた一種を含むサーメットであって、さらに、Cuおよび/またはZnが、鉄族金属に対して0.4〜20質量%の割合で含有されていることを特徴としている。
本発明においては、得られるサーメットの硬度と破壊靱性の特性を向上させるために、Cuおよび/またはZnが、鉄族金属に対して0.4〜20質量%好ましくは3〜20質量%の割合で含有されていることが必要である。
Cuおよび/またはZnの含有量が、鉄族元素の0.4質量%より少ないと、粒成長抑制と靱性向上の効果がなく、また、鉄族元素の20質量%を超えると、硬度の低下が著しくなり、本発明の所期の目的を達成できない。
本発明において、Cuおよび/またはZnの質量比を上記範囲に選定すると、得られるサーミットの硬度と破壊靱性の特性が向上する機構や理由は現時点では定かではないが、鉄族金属の所定割合(0.4〜20質量%)をCuおよび/またはZnに置換させると、硬質相を形成するTi(C、N)などの粒子の成長を抑制する効果があるとともに、結合相を延性化させ、そのことにより硬質相/結合相の界面の密着力を向上させ、結果として硬度と破壊靱性の両特性を改善させる作用機能が発現すると考えている。
なお、特開昭54−101704号公報には、表面から1mm内部までの組織が均質で結果として硬度特性が均一なサーメットを作製するための方法が開示されており、結合相の中に「0.2〜25wt%のAl、Cu、Ag、Si、Bの1〜2種類が含有されても均質な組織、硬度は維持される」とあるが、硬度と靱性の向上に関する発想や記述は一切ない。
また、特開2009−173976号公報において、サーメットはZn、および/またはSnを含有すると強度は減少してしまうが、靱性は高くなるので、Zn、および/またはSnを多く含むものを内部に、少ないものを表面にした複合材料が開示されているが、Znおよび/またはSnを含有量は数PPMオーダーであり、しかも、Znの添加量と硬度と靱性の同時向上の相関については何ら言及されていない。
つぎに、本発明の結合相および硬質相について説明する。
本発明の結合相は、鉄族金属を主体とする。鉄族金属としては、Fe、CoおよびNiから選ばれた少なくとも一種が用いられる。この中でもNiとCoが好ましく用いられる。
本発明の結合相の組成は、透過型電子顕微鏡に付属されるエネルギー分散形X線分光器を用い、かつベリリウム試料ホルダーを用いて、電子線の直径が100nm以下のスポットの条件での測定方法において確認される。
本発明の硬質相は、基本的には、周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの固溶体から選ばれた少なくとも一種から形成される。
周期律表IVa族の金属としては、Ti、Zr、Hfが、周期律表Va族の金属としては、V、Nb、Taが、周期律表VIa族金属としては、Cr、Mo、Wが挙げられる。
これらの金属の中でもTiが好ましく用いられる。Tiを含む硬質相の代表的な組成としては、その炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの固溶体が挙げられる。
これらの中でも、TiC相および/またはTi(C、N)相が好ましい。Ti(C、N)相はTiCとTiNの混合物でもあっても構わない。このTi(C、N)相は、一般に、Ti(C)相と表すことができる。ここで0.5<u/(u+v)<1である。
また、本発明の硬質相は、Ti(C)相とともに、さらにチタンとチタン以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属の少なくとも一種を含む相との二相以上の構成となっていてもよい。
チタンとチタン以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属の少なくとも一種を含む相は、通常、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相のように表記される。ここで、X、Yは、それぞれ相異なる、チタン以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属であり、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W等が例示される。さらにチタン以外の元素は上記表記のように2種だけでなく、3,4種以上である場合もある。
また、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相の金属成分において、Tiが最も多い必要はなく、XやYの比率が最も多い場合もあり、かつ結合相成分である鉄族金属を含有する場合があるため、m+n>0.95、m+n+q>0.95であればよい。さらに、上記硬質相は炭化物、窒化物、炭窒化物が主であるが、若干の酸素を含有している可能性は否めず、u+v<1であってよい。
このTi(C)相、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相のそれぞれの同定は、たとえば、走査型電子顕微鏡の反射電子にて観察した場合の、明暗で相の分別を行えばよい。すなわち、黒色、灰白色、および/または白にて表示される硬質相が観察される。
また、これらの硬質相は、有芯構造(コアリム構造)と呼ばれる形態を有していてもよい。また有芯構造が2重構造の場合、中心部(コア部)が黒色、周辺部(リム部)が灰白色、または/および白色の場合もあれば、その逆もある。さらに、有芯構造が芯部と周辺部の間に周辺部とは異なる構成からなる3重有芯構造をなすものであってもよい。
このような有芯構造としては、たとえば、TiCNが中心部であり、(Ti)(C)相、および/または(Ti)(C)相が周辺部で構成されているものや、中心部、周辺部ともに(Ti)(C)相、および/または(Ti)(C)相から構成されているもの等が挙げられる。
芯部が本質的にTiC、TiCNからなる有芯構造の場合、Ti以外の他の金属元素が10atom%以下、特に5atom%以下、さらに2atom%以下の割合で含有されていてもよい。さらに、芯部の金属成分におけるTi比が、周辺部のそれよりも小さいような組織構造をなすものが存在してもよい。
また、硬質相には、熱伝導性など、切削工具材料や耐摩耗材料としての特性を向上させるために、X相(Xは前記と同じであり、a、bは数字であり、X,Cの原子比である。)を含有させておくことが好ましい。
このような炭化物としては、例えば、MoC、ZrC、WC、NbC、TaC、Crなどが挙げられる。該炭化物はX線回折像にてTi(C)相、(Ti)(C)相、(Ti)(C)相との分離同定が可能であるので、本像で存在を確認することができる。
上記、Ti(C)相と、Tiと周期表IVa、Va、VIa族金属の1種類以上から構成された(Ti)(C)相、(Ti)(C)相、で表記される硬質相の内の1種類以上、および/またはXで表記される硬質相は、透過型電子顕微鏡に付属されるエネルギー分散形X線分光器を用い、かつベリリウム試料ホルダーを用いて、電子線の直径が100nm以下のスポットの条件での測定方法において、Ti、X、Yの存在を確認することができる。
また、本発明のサーメットの組成は、(1)Ti、(2)Ti以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属、および(3)鉄族金属とCuおよび/またはZnとの合計質量(1)+(2)+(3)を100質量%としたときに、(1)が40〜65質量%、(2)が18〜46質量%、(3)が4〜40質量%であることが好ましい。
次に、本発明のサーメットの硬質相と結合相との面積比について説明する。
これらの面積比は走査型電子顕微鏡(SEM)写真に対して市販の画像解析装置を用いることによって測定する。その際、サンプルはダイヤモンド研磨にて鏡面に仕上げた後、コロイド状のシリカ懸濁液により研磨を行った後に観察する、もしくは鏡面仕上げ後、イオンシャワー装置により表面のスパッタを行った後に観察することが望ましいが、ダイヤモンド研磨のみでの観察でも問題はない。
面積比は1視野においてセラミックス相が100個以上存在する領域にて画像処理ソフトにより決定する。
本発明のサーメットにおける、硬質相と結合相の面積比は、98:2〜60:40、好ましくは95:5〜65:35、さらに好ましくは95:5〜70:30である。
上記サーメットの結合相の面積比が98:2より少ないと、靱性の劣化が激しく、逆に、結合相の面積比が60:40を超えると、サーメットの耐摩耗性および耐塑性変形性が低下する。
本発明のサーメットは、所定割合の、Cuおよび/またはZnを配合させたことから、従来のサーメットに比しその硬度と破壊靭性の特性が向上されたものとなる。
本発明のサーメットの硬度と破壊靱性は、後記するように得られたサーメット焼結体表面をダイヤモンド砥石によって加工し、その後ダイヤモンド研磨、ラップ研磨で鏡面に仕上げた後、測定される。
また、本発明のサーメットは、上記したように、硬度と破壊靭性の特性が向上されたものとなるが、破壊靱性値:KIC(MPa・m1/2)が下記非特許文献1に記載のShettyの式により算出されるが(実測値)、その値はKIC≧35000HV(−1.135)を満たすものである。この式を満足することは従来サーメットよりも硬度と靱性がバランスよく向上したサーメットであることを意味する。
後記実施例に示されるように、本発明のサーメットの要件を具備しない比較例のサーメットは、上記式を満たさない。よって、本発明のサーメットのようなバランスのよい硬度と靱性の向上を奏し得ないものである。
なお、Shettyの式は以下で表わされる。
Figure 2013108134
IC:靱性値
HV:ビッカース硬度
P:圧子加重
l:亀裂長さ
ここで、ビッカース硬度の算出の際の圧痕対角線長さと亀裂長さは備え付けの光学顕微鏡にて測定する。
なお、ビッカース硬度は以下の式で算出される。
Figure 2013108134
F:荷重
S:表面積
d:痕の対角長さの平均
α:角面(=135°)
(D.K. Shetty, I.G. Wright, P.N. Mincer, A.H. Clauer: J Mater Sci 20 (1985) 1873-1882.)
本発明のサーメットを製造するには、Fe、CoおよびNiから選ばれた鉄族金属の少なくとも一種とCuおよび/またはZnを含み、焼成後の両者の質量比が80〜99.6:0.4〜20となるように調製した、結合相形成成分の粉末と硬質相形成成分の粉末を混合、プレス成形した後焼結することにより簡単に製造することができる。
たとえば、TiCN粉末およびX粉末を含む硬質相形成成分と、鉄族元素粉末、Cu粉末、Zn粉末もしくは真鍮粉末を含む結合相形成成分を混合、プレス成形、焼結することにより製造される。その際の雰囲気は真空焼結でも、不活性ガス雰囲気でも問題ない。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
平均粒径1.4μmのTi(C0.70.3)粉末、平均粒径1.3μmのTi(C0.50.5)粉末、平均粒径1.8μmのTiC粉末、平均粒径1.4μmのTiN粉末、平均粒径1.8μmのMoC粉末、平均粒径0.1μmのWC粉末、平均粒径1.4μmのNbC粉末、平均粒径5.5μmのNi粉末、平均粒径5μmのCo粉末、平均粒径5μmのCu粉末、平均粒径7μmのZn粉末、平均粒径20μmの真鍮粉末を用いて表1−1、表1−2に示すような成分組成に配合し、これをステンレス製ボールミルと超硬ボールを用いて、エタノールで湿式混合し、混合粉末を50MPaでプレス成形し、表1−1、表1−2に示す条件で焼結した。ここで表中のサンプルNo.での「*」は比較例である。
Figure 2013108134
Figure 2013108134
上記で得た焼結体の組成、硬質相の面積%、硬質相内で検出された元素、結合相内で検出された元素、炭素/(炭素+窒素)原子比、結合相で検出された元素、金属成分のみを100%としたときの焼結体の組成、(Cu+Zn)/{(Cu+Zn)+鉄族元素}×100、およびを表2−1〜表2−4に示す。ここでX線回折像において、Xが認められたサンプルについては、硬質相の面積%の欄に星印を付記してある。
焼結体の組成における炭素、窒素は、炭素硫黄同時分析装置、酸素・窒素分析装置で測定した。
焼結体の組成における炭素、窒素以外の元素は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定した。ここで、混合用のポットとボールはそれぞれ、ステンレス製、超硬合金製であり、鉄、タングステンを定量値として検出している。
得られたサーメット各試料について走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、低角度散乱反射電子検出器にて得られた10000倍の写真の任意5箇所について市販の画像解析ソフトを用いて画像解析を行い、硬質相面積%を導出した。
さらに、硬質相内、結合相内の元素は透過型電子顕微鏡(TEM)と付属されるエネルギー分散形X線分光器を用い、かつベリリウム試料ホルダーを用いて、電子線の直径が50nmのスポット条件での測定方法において、付属のEDS装置において元素同定、定量化を行った。加速電圧は200keVである。
Figure 2013108134
Figure 2013108134
Figure 2013108134
Figure 2013108134
得られた焼結体表面をダイヤモンド砥石によって加工し、その後ダイヤモンド研磨、ラップ研磨で鏡面に仕上げた後、ビッカース硬度、および破壊靱性値を測定した。表3−1、表3−2に結果を示す。
表3−1〜表3−2から、Cuおよび/またはZnが所定量配合された各試料サンプル(No.2,4,5,67,8,9,10,11,12,13,14,15,16,1719,20,22,23,2426,27,28,30,32,34,36)は、Cuおよび/またはZnが配合されていない対応する試料サンプル(No.1,3,18,21,25,29,31,33,35)に比し、その硬度と破壊靱性が共に向上し、高い靱性と高い硬度を兼ね備えたサーメット材料であることがわかる。
また、Cuおよび/またはZnが所定量配合された各試料サンプル(No.2,4,5,67,8,9,10,11,12,13,14,15,16,1719,20,22,23,2426,27,28,30,32,34,36)は、Shettyの式により算出される破壊靱性値がKIC≧35000HV(−1.135)を満たしているが、Cuおよび/またはZnが配合されていない対応する試料サンプル(No.1,3,18,21,25,29,31,33,35)はKIC≧35000HV(−1.135)を満たしていないことがわかる。
本発明の硬度と破壊靱性が向上したサーメットは従来サーメットと比し、よりよい工具として使用でき、また、今まで使用できなかった工具に使用することができる。例えば、切削工具においてより高速での加工において、チッピングなどを起すことなく、健全な加工を行うことができる。また従来使用されていなかった金型などの耐摩耗材料に使用することが可能となる。
Figure 2013108134
Figure 2013108134

Claims (8)

  1. 結合相として少なくとも鉄族金属を含み、硬質相として少なくとも周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物および/またはこれらの固溶体から選ばれた一種以上を含むサーメットであって、
    さらに、Cuおよび/またはZnが、鉄族金属に対して0.4〜20質量%の割合で含有されていることを特徴とするサーメット。
  2. 鉄族金属がFe、CoおよびNiから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のサーメット
  3. 周期律表IVa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物これらの固溶体から選ばれた硬質相が、TiCおよび/またはTi(C、N)であること特徴とする請求項1または2に記載のサーメット。
  4. 硬質相が、TiCおよび/またはTi(C、N)とともに、Ti以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの固溶体から選ばれた少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のサーメット。
  5. (1)Ti、(2)Ti以外の周期律表IVa、Va、VIa族金属、および(3)鉄族金属とCuおよび/またはZnとの合計質量(1)+(2)+(3)を100質量%としたときに、(1)が40〜65質量%、(2)が18〜46質量%、(3)が4〜40質量%であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のサーメット。
  6. 硬質相が2相以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のサーメット。
  7. 硬質相と結合相の面積比が98:2〜60:40であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のサーメット。
  8. 下記式で示されるShettyの式により算出される破壊靱性値がKIC、ビッカース硬度がHVのとき、KIC≧35000HV(−1.135)を満たすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のサーメット。
    Figure 2013108134
    IC:靱性値
    HV:ビッカース硬度
    P:圧子加重
    l:亀裂長さ
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