JP2013107348A - 可撓性複合シート - Google Patents

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Abstract

【課題】防音(音響減衰)シート、遮熱・放熱シート、高エネルギー電磁波遮蔽シートなどに用いる金属(化合物)粒子を多量に含有するフレキシブルシートにおいて、屈曲や折り曲げストレスにより、金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に微細空隙を生じても、バインダー剤が金属(化合物)粒子表面に再密着することで上記各種遮蔽効果の部分的性能低下を防止するシートの提供。
【解決手段】繊維織物を基布として、その1面以上に高密度遮蔽層を設けた高比重積層体として、高密度遮蔽層の構成を、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との特定質量比で含み、高密度遮蔽層の比重を3.5〜7.5g/cmとすること、さらに高分子ゲル物質として、ポリエチレンゲル、シリコーンゲル、及びデンドリマー水和ゲルのいずれか1種の粘弾性体をバインダー剤に選択する。
【選択図】図1

Description

本発明は、防音性(音響減衰性)、遮熱性、電磁波遮蔽性などの遮蔽特性を有するフレキシブルな産業資材シートに関するものである。更に詳しく述べるならば本発明は、建築現場や、解体工事などの張囲いに用いられる防音シート、及び工場内の間仕切り防音シート、機械用の騒音防止カバー、またテント膜構造物、車両カバー、機械カバーなどの遮熱・放熱シート、及び空間間仕切り、テント膜構造物、車両カバー、機械カバー、医療機器カバーなどに用いる電磁波遮蔽シート、放射線医療現場や、原子力発電所などで用いる高エネルギー電磁波(X線、γ線)を遮蔽、または減衰させる防護シートに関し、特定の金属化合物を多量に含有して含む高比重でフレキシブルな複合材料シートに関する。
防音シートには、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂100重量部、可塑剤10重量部以上、及び粒径5mm以下の無機質充填剤50〜1500重量部から成る防音材(特許文献1)また、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、粉末充填剤80〜500重量部を混合した遮音シート。(特許文献2)また樹脂成分又はゴム成分を主成分とするバインダー成分、高比重充填剤及び吸音性充填剤からなる制振遮音シート。(特許文献3)など、樹脂成分やゴム成分に多量の充填剤を含有させることによって防音・遮音・制振性能が得られることが開示されている。
一方、熱制御シートには、シリコーンゴムに窒化硼素粉末と球状シリカ粉末を含有させて、ガラスクロスで補強した電子部品用放熱シート。(特許文献4)縮合型ゲルと、シリコーンオイルと、熱伝導性フィラー(窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミ、酸化マグネシウム)とを含む熱伝導ゲルからなる電子機器用放熱シート。(特許文献5)など、シリコーン成分に多量のフィラーを含有させることによって放熱を促す熱制御性能が得られることが開示されている。
一方、放射線遮蔽シートには、エラストマー、や加硫ゴム中に、タングステン、W合金、WC、Mo、Mo合金からなる高比重粒子を最密充填してなる複合材料。(特許文献6)有機高分子材料にランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムなどの酸化物粉末を充填率40〜80体積%充填したシート。(特許文献7)熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーに対して、硫酸バリウムを75質量%以上で含むシート。(特許文献8)など、エラストマー、熱可塑性樹脂など有機高分子成分に多量のフィラーを含有させることによって放射線遮蔽性能が得られることが開示されている。
特許文献1〜8に開示されるシートは、エラストマーやゴムなどの柔軟成分をバインダー成分として含有することで、無機系フィラー類を多量に充填した場合にもシートの曲げに対する柔軟性付与や取り扱い性の向上に有効に作用するものである。しかし、これらのシートで屈曲使用を可能としても、シートの折り曲げ時には、無機系フィラー粒子の表面に密着するバインダー成分のみが大きく伸張変位することで、無機系フィラー粒子とバインダー成分との界面に剥離を生じて粒子径レベルの微細空隙を伴う。そして折り曲げのストレス状態から形状を復元しても、復元変位したバインダー成分は微細空隙を補修して無機系フィラー粒子表面に再密着することはなく、無機系フィラー粒子とバインダー成分の間には微細な微細空隙を多数含有したままとなることで外観的に白化現象を伴う。このような微細空隙群はシートの屈曲を繰り返す程に拡大し、微細空隙群の発生領域が防音性、遮熱性、電磁波遮蔽性、高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰性などの各種遮蔽特性に対する部分的欠損部となる問題、さらにはシートの屈曲疲労によるシート本体の亀裂、断裂破壊を生じる問題があった。従って無機系フィラー類を多量に充填してなる屈曲使用可能な防音性、遮熱性、電磁波遮蔽性、高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰性などの各種遮蔽特性を有するシートにおいて、折り曲げストレスによる無機系フィラー粒子とバインダー成分との界面剥離を極力生じず、また無機系フィラー粒子とバインダー成分との界面に微細空隙を生じてもバインダー成分が微細空隙を修復して無機系フィラー粒子表面に再密着するような自己復元性の高いシートが存在すれば取り扱い性に優れ、各種遮蔽効果に対しての長期安定性も一層増すものと考えられる。
特開平6−286080号公報 特開2002−46233号公報 特開平11−6234号公報 特開平9−199880号公報 特開平10−189838号公報 特許第4119840号公報 特許第4686538号公報 特開2007−212304号公報
本発明は、建築現場や、解体工事などの張囲いに用いられる防音(音響減衰)シート、及び工場内の間仕切り防音(音響減衰)シート、機械用の騒音防止(音響減衰)カバー、またテント膜構造物、車両カバー、機械カバーなどの遮熱・放熱シート、及び空間間仕切り、テント膜構造物、車両カバー、機械カバー、医療機器、医療検査用プロテクター、隠蔽隔離用の高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽シートなどに用いるフレキシブルシートであって、特定のバインダー剤との併用により金属(化合物)粒子を多量に含有して含んでなる高比重複合材料において、使用時の屈曲や折り曲げストレスによる金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に微細空隙を生じてもバインダー剤が金属(化合物)粒子表面に再密着することで上記各種遮蔽効果の部分的欠損を防止することでこれらの遮蔽効果を長期安定するようなシートの提供をしようとするものである。
本発明者は、高比重複合材料について上記の現状に鑑みて研究、検討を重ねた結果、本発明の可撓性複合シートは、繊維織物を基布として、その1面以上に高密度遮蔽層を設けた高比重積層体として、高密度遮蔽層の構成を、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との特定質量比で含み、高密度遮蔽層の比重を3.5〜7.5g/cmとすること、さらに高分子ゲル物質として、ポリエチレンゲル、シリコーンゲル、及びデンドリマー水和ゲルのいずれか1種の粘弾性体をバインダー剤として選択することにより、得られた可撓性複合シートは折り曲げなどの外力ストレスによっても、金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に微細空隙を生じた場合でもバインダー剤が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着安定化する復元性を有することによる耐屈曲疲労特性の向上を見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の可撓性複合シートは、繊維織物を基布として、その1面以上に高密度遮蔽層が設けられた高比重積層体であって、前記高密度遮蔽層が、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子とを質量比1:5〜1:40で含み、かつ3.5〜7.5g/cmの比重を有し、前記高分子ゲル物質が、ポリエチレンゲル、シリコーンゲル、及びデンドリマー水和ゲルから選ばれたいずれか1種の粘弾性体によるバインダー剤であることが好ましい。このような構成とすることで折り曲げストレスによっても、金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に微細空隙を生じた場合にもバインダー剤が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を付与することができる。
本発明の可撓性複合シートは、前記金属(化合物)粒子が、タングステン、三酸化タングステン、モリブデン、三酸化モリブデン、三酸化アンチモン、二酸化ジルコニウム、二酸化亜鉛、二酸化鉄、二酸化チタン及び硫酸バリウムから選ばれた1種以上であることが好ましい。このような構成とすることで防音(音響減衰)性、遮熱性、電磁波遮蔽、高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰性などの各種遮蔽特性を付与することを可能とする。
本発明の可撓性複合シートは、前記高分子ゲル物質において、前記ポリエチレンゲルが、エチレン系共重合体樹脂と可塑剤とからなり、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30の粘弾性体であることが好ましい。このような粘弾性体とすることで折り曲げストレスによっても、金属(化合物)粒子と粘弾性体バインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子と粘弾性体バインダー剤との界面に微細空隙を生じた場合にも粘弾性体バインダー剤が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を付与することができる。
本発明の可撓性複合シートは、前記高分子ゲル物質において、前記シリコーンゲルが、式RSi(OR´)で示される化合物と式RSi(OR´)で示される化合物とにより、式RSi(OR´)で示される化合物に対する式RSi(OR´)で示される化合物のモル比が0.01〜0.5の反応によって得られるポリシロキサンゲルと、シリコーンオイルとからなり、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30の粘弾性体であることが好ましい。(Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5個のアルキル基で、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基(アルキル基で置換されていてもよい)で、これらのアルキル基及びフェニル基はその水素原子がフッ素原子により置換されたものも包含する。またR´はそれぞれ独立して、炭素数1〜20個のアルキル基で、特にメチル基、エチル基、プロピル基、又は水素原子である。)このような粘弾性体とすることで折り曲げストレスによっても、金属(化合物)粒子と粘弾性体バインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子と粘弾性体バインダー剤との界面に微細空隙を生じた場合にも粘弾性体バインダー剤が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を付与することができる。
本発明の可撓性複合シートは、前記高分子ゲル物質において、前記デンドリマー水和ゲルが、カチオン性デンドリマー、層状粘土化合物、親水性ポリマーとの反応物からなる立体網目架橋体であり、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30の粘弾性体であることが好ましい。このような粘弾性体とすることで折り曲げストレスによっても、金属(化合物)粒子と粘弾性体バインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子と粘弾性体バインダー剤との界面に微細空隙を生じた場合にも粘弾性体バインダー剤が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を付与することができる。
本発明の可撓性複合シートは、前記高比重積層体の1面以上に滑剤、ワックス、及び界面活性剤から選ばれた1種以上を含有してなる保護層が設けられていることが好ましい。高密度遮蔽層上にこのような表面滑り性を付与した保護層を設けることによって高密度遮蔽層を摩耗や脱落の事故から保護することができ、同時にシート本体の機械的強度を補強することができる。
本発明の可撓性複合シートは、前記繊維織物が、タングステン線、ステンレス線または炭素繊維を芯材としてホウ素で表面被覆してなるボロン繊維を含む織物、またはホウ素で表面被覆された織物であることが好ましい。繊維織物にボロン繊維を含むこと、またはホウ素で表面被覆した織物であることによって電磁波や、高エネルギー電磁波(X線、γ線)などの遮蔽・減衰効果をより向上させることができる。
本発明の可撓性複合シートは音響減衰性を有し、防音材に使用することが好ましい。
本発明の可撓性複合シートは放熱性を有し、遮熱材に使用することが好ましい。
本発明の可撓性複合シートは高エネルギー電磁波遮蔽性を有し、防護材に使用することが好ましい。
本発明の可撓性複合シートによると、折り曲げストレスによっても、金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に微細空隙を生じた場合にもバインダー剤が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を有するので、防音(音響減衰)性、遮熱性、電磁波遮蔽性、X線やγ線などの高エネルギー電磁波などの遮蔽・減衰特性に対する部分的欠損を生じたり、屈曲疲労による破壊を生じたりする心配がないため、防音(音響減衰)シートとして建築現場や、解体工事などの張囲い、工場内の間仕切り、機械用の騒音防止カバーなどの用途、また遮熱・放熱シートとして、テント膜構造物、車両カバー、機械カバーなどの用途、また電磁波遮蔽シートとして空間間仕切り、テント膜構造物、車両カバー、機械カバー、医療機器カバーなどの用途、また高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰シートとして放射線医療現場や、原子力発電所などの用途で安定したそれぞれの遮蔽効果を保持することができる。
本発明の可撓性複合シートの一例を示す断面図 本発明の可撓性複合シートの一例を示す断面図 本発明の可撓性複合シートの一例を示す断面図
本発明の可撓性複合シートは、繊維織物を基布として、その1面以上に高密度遮蔽層が設けられた高比重積層体であって、特に基布の両面に高密度遮蔽層が設けられてなる高比重積層体が好ましく、この高密度遮蔽層は、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子とを質量比1:5〜1:40で含み、かつ3.5〜7.5g/cmの比重を有する被覆層であり、用いる高分子ゲル物質は、ポリエチレンゲル、シリコーンゲル、及びデンドリマー水和ゲルから選ばれたいずれか1種の粘弾性体であり、この高分子ゲル物質は日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30を有する粘弾性体であり、高密度遮蔽層において柔軟なバインダー剤として作用するものである。本発明の可撓性複合シートが繊維織物ならなる基布を有することで、シートの引張強度、引裂強度、屈曲強さ、寸法安定性を増すことで産業資材用途への利用展開を広げることを可能とする。
本発明の可撓性複合シートに用いる基布を構成する繊維糸条は、モノフィラメント、マルチフィラメント、短繊維紡績糸条の態様が挙げられ、これらはケナフ繊維、コットン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、芳香族ポリマー繊維、芳香族ヘテロ環ポリマー繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、バサルト繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ステンレス繊維など、及びこれらの混紡繊維が挙げられる。本発明に用いる繊維織物は、フィラメント数30〜300本、繊度138〜2223dtex(デシテックス)、好ましくは277〜1112dtexのマルチフィラメント糸条繊維(特にPET繊維、ガラス繊維)により、inch当たり特定の打ち込み本数で製織された織物が汎用的に使用できるが、特に放射線遮蔽や電磁波遮蔽用シートに用いる場合には、ボロン繊維、ステンレス繊維を使用することが遮蔽効果向上の観点で好ましい。ボロン繊維はタングステン線、ステンレス線、炭素繊維などを芯材としてホウ素で表面被覆した複合繊維が好ましい。またホウ素で表面被覆された織物であってもよい。これらホウ素による表面被覆は電磁波や、高エネルギー電磁波(X線、γ線)の遮蔽・減衰効果に優れ、これらは例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学的蒸着法など公知の蒸着法によって実施することができる。
本発明の可撓性複合シートに用いる基布としての繊維織物は、織布、編布、不織布の何れであってもよい。織布は、平織、綾織、繻子織、模紗織など公知の織布が挙げられるが、中でも平織織布が、得られる可撓性複合シートの経緯強度及び伸張バランスが同等となり好ましい。織布は経糸及び緯糸で織製され、糸条間隙を均等において平行に配置した経糸、及び緯糸を含んで構成された空隙率5〜50%の目空き織布(糸条打込本数5〜30本/inch)、または空隙率5%未満の非目空き織布(糸条打込本数30〜100本/inch)であり、厚さには特に制限はない。目空き織布は金属(化合物)粒子含有高分子ゲル物質シート(高密度遮蔽層)の熱ラミネート用、または接着用基布に適し、非目空き布は液状の、金属(化合物)粒子含有高分子ゲル物質による含浸加工、またはホットメルト塗布加工用基布に適している。またこれら繊維織物には屋外使用の際、シート断面からの雨水の浸入を防止するための公知の撥水処理、また、着炎時に自己消火性を付与するための公知の防炎処理、金属(化合物)粒子含有高分子ゲル物質シート(高密度遮蔽層)との密着性を付与するための接着処理を施すこともできる。特に放射線医療現場や、原子力発電所などで用いる場合には、ボロン繊維(特にタングステン線をホウ素で被覆したもの)、ステンレス繊維を使用した空隙率0%の非目空き織布(糸条打込本数30〜100本/inch)を用いることが高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰性を補助する効果が得られるので好ましい。
本発明の可撓性複合シートの高密度遮蔽層は上記繊維織物を基布として、その1面以上に積層して、繊維織物全面を被覆するようにして設けられた層であり、高密度遮蔽層は、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との質量比1:5〜1:40、好ましくは質量比1:10〜1:35のバランスで含むことにより、高密度遮蔽層の比重が3.5〜7.5g/cmとなるように調製されたものである。例えば高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との質量比1:10の場合、高密度遮蔽層に含有する金属(化合物)粒子含有率は91質量%、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との質量比1:40の場合、高密度遮蔽層に含有する金属(化合物)粒子含有率は97質量%となるが、高密度遮蔽層に含有する金属(化合物)粒子は比重が4以上に限定されるものに限るため、高密度遮蔽層に占める体積占有率としては高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との質量比1:10の場合、高密度遮蔽層に占める金属(化合物)粒子占有率は71.4体積%以下、同様に高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との質量比1:40の場合、高密度遮蔽層に占める金属(化合物)粒子占有率は90.9体積%以下である。金属(化合物)粒子の質量比が1(高分子ゲル物質):40(金属(化合物)粒子)を越えると、得られるシートの高密度遮蔽層の耐屈曲性や耐摩耗性などの耐久性を悪くすることがあり、金属(化合物)粒子の質量比が1(高分子ゲル物質):5(金属(化合物)粒子)未満だと得られるシートにおいて、防音性、熱制御性、電磁波遮蔽性、高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰性など各種遮蔽効果が十分に得られないことがある。
本発明において高密度遮蔽層に含有する金属(化合物)粒子としては、タングステン(比重19.25)、三酸化タングステン(比重7.16)、モリブデン(比重10.28)、三酸化モリブデン(比重4.69)、三酸化アンチモン(比重5.2)、二酸化ジルコニウム(比重5.69)、二酸化亜鉛(比重5.6)、二酸化鉄(比重5.2)、二酸化チタン(比重4.29)及び硫酸バリウム(比重4.45)から選ばれた1種以上で、これらの平均粒子径が0.01〜10μm、特に0.1〜3μmの範囲内にあることが、金属(化合物)粒子を高比重で充填する観点で好ましい。特にタングステン、三酸化タングステン、モリブデン、三酸化モリブデンは防音性(音響減衰)性、遮熱性(放熱性)、電磁波遮蔽性、高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰性の全ての効果に優れているが、高価で強い暗色着色を伴うため、必要に応じてカーボンブラックなどの黒色顔料を配合して黒に着色したもので使用することが好ましい。本発明の可撓性複合シートを白色に着色して用いる場合には、三酸化アンチモン、二酸化ジルコニウム、二酸化亜鉛、二酸化チタン、硫酸バリウムなどがそのままの使用で適しており、中でも硫酸バリウムはX線やγ線などの高エネルギー電磁波の遮蔽・減衰性に優れているので放射線医療現場での間仕切り、機械カバー、人体プロテターに適しており、赤色顔料を配合したパステルピンク色の高密度遮蔽層、緑顔料を配合したパステルグリーン色の高密度遮蔽層などが例示される。また二酸化ジルコニウム、二酸化亜鉛、二酸化チタンなどは熱線反射効果による遮熱性に優れている。
本発明において高密度遮蔽層に含有する高分子ゲル物質としては、ポリエチレンゲル、シリコーンゲル、及びデンドリマー水和ゲルから選ばれたいずれか1種の粘弾性体であることが好ましい。高分子ゲル物質は、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30、好ましくは、4〜22の粘弾性体である。アスカーC硬度が30を越えると、金属(化合物)粒子と粘弾性体との界面に微細空隙を生じた場合にも粘弾性体が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を悪くすることがある。また高分子ゲル物質は日本工業規格(JIS K2207)による針侵入度での硬度(1/10mm)が50〜300、好ましくは100〜200の粘弾性体である。針侵入度が50未満だと金属(化合物)粒子と粘弾性体との界面に微細空隙を生じた場合にも粘弾性体が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を悪くすることがある。これらの高分子ゲル物質の粘着力は、JIS Z0237において20〜50N/10mmを有する粘弾性体が好ましい。粘着力が20N/10mm未満だと、金属(化合物)粒子と粘弾性体との界面に微細空隙を生じた場合に、粘弾性体が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を悪くすることがある。
ポリエチレンゲル粘弾性体としては、エチレン系共重合体樹脂として、エチレンモノマーと炭素数3〜18のα−オレフィンモノマーとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂であり、好ましいα−オレフィンとして、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1,ヘキセン−1、ヘプテン−1,オクテン−1、ノネン−1,デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1,オクタデセン−1などが挙げられ、これらを複数種用いた共重合、あるいはアクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸、及びそれらのエステル化物や酸無水物などの反応性モノマーとの共重合体であってもよい。これらのエチレン系共重合体樹脂に対して5〜30質量%の可塑剤を含有して保持してなる日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30を有するものである。このときエチレン系共重合体樹脂は分子の絡み合いによる立体網目構造を形成し、この立体網目の間に可塑剤が担持されている。またエチレン系共重合体樹脂として、エチレンモノマーとスチレンモノマーとのランダム共重合体を主体とし、このようなエチレン−スチレン共重合体樹脂に対して、5〜30質量%の可塑剤を含有して保持してなる日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30を有するものであることが好ましい。このときエチレン−スチレン共重合体樹脂は分子の絡み合いによる立体網目構造を形成し、この立体網目の間に可塑剤が担持されている。エチレン系共重合体樹脂に併用する可塑剤としては、流動パラフィン、鉱物油、プロセスオイル、エキステンダオイル、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸系可塑剤、大豆油などの公知のゴム用可塑剤が挙げられるが、プロセスオイルが特に好ましい。プロセスオイルはパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、芳香族系鉱油のいずれか1種またはこれらのブレンド組成物である。ポリエチレンゲルは上記のエチレン系共重合体樹脂と可塑剤とを125〜200℃の加熱状態で剪断を掛けて混練することで可塑剤を担持する立体網目構造を調製することができる。本発明の高密度遮蔽層はポリエチレンゲルに比重4以上の金属(化合物)粒子を練り込むことによって、またはポリエチレンゲル調製段階で比重4以上の金属(化合物)粒子も同時に混ぜ込むことによって得ることができる。
本発明において高密度遮蔽層に含有する高分子ゲル物質としてのシリコーンゲル粘弾性体は具体的に、式RSi(OR´)で示される化合物と式RSi(OR´)で示される化合物とにより、式RSi(OR´)で示される化合物に対する式RSi(OR´)で示される化合物のモル比が0.01〜0.5の反応によって得られる日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度4〜30を有するポリシロキサンゲルで、シロキサンゲルゲルが立体網目構造を形成し、この立体網目構造の間にシリコーンオイルが担持されたもので、特にポリジメチルシロキサンゲル、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサンゲル、ポリフェニルメチルシロキサンゲルなどから選ばれた1種以上のシロキサンゲルとシリコーンオイルで構成された粘弾性体が特に好ましい。Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5個のアルキル基で、特にRはメチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基(アルキル基で置換されていてもよい)であり、これらのアルキル基及びフェニル基はその水素原子がフッ素原子により置換されたものでもよい。またR´はそれぞれ独立して、炭素数1〜20個のアルキル基で、特にメチル基、エチル基、プロピル基、又は水素原子であることが好ましい。式R Si(OR´)で示される化合物としては、好ましくはジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等であり、式RSi(OR´)で示される化合物としては、好ましくはモノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシランなどである。シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル及びエポキシ変性シリコーンオイルより成る群から選ばれた1種以上であり、シロキサンゲルに対して5〜30質量%のシリコーンオイルを含有して保持するものである。シリコーンゲルはシロキサンゲルとシリコーンオイルとを125〜200℃の加熱状態で剪断を掛けて混練することでシリコーンオイルを担持する立体網目構造を調製することができる。本発明の高密度遮蔽層はシリコーンゲルに比重4以上の金属(化合物)粒子を練り込むことによって、またはシリコーンゲル調製段階で比重4以上の金属(化合物)粒子も同時に混ぜ込むことによって得ることができる。
本発明において高密度遮蔽層に含有する高分子ゲル物質としてのデンドリマー水和ゲル粘弾性体は、カチオン性デンドリマー、層状粘土化合物、親水性ポリマーとの反応物からなる、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30を有する立体網目架橋体であり、この網目の間に水が担持されているものである。デンドリマー水和ゲルは具体的に、カチオン性デンドリマーとしてグアニジン基を両末端に多数有してなるデンドロン化高分子(0.1〜1質量%)、層状粘土化合物としてナノサイズの層状ケイ酸塩化合物(1〜5質量%)、親水性ポリマーとしてポリアクリル酸ナトリウム(1〜5質量%)、水(90質量%以上)の構成によるゲル状生成物であり、水中でポリアクリル酸ナトリウムの作用により単層に剥離して表面積を増したケイ酸塩化合物ナノ粒子を介在してグアニジン基両末端に多数有してなるデンドロン化高分子による水を担持する立体網目架橋体を形成するものである。本発明の高密度遮蔽層はデンドリマー水和ゲルに比重4以上の金属(化合物)粒子を練り込むことによって、またはデンドリマー水和ゲル調製段階で比重4以上の金属(化合物)粒子も同時に混ぜ込むことによって得ることができる。
本発明において高密度遮蔽層の厚さは、1層あたり0.1mm〜3.0mm、特に0.2mm〜1.0mmであることが好ましい。本発明においては特に基布の両面に高密度遮蔽層が設けられてなる高比重積層体が産業資材シートの耐久性の観点で好ましいため、本発明の可撓性複合シートに占める高密度遮蔽層の厚さは表裏合計として0.2mm〜6.0mm、特に0.4mm〜2.0mmであることが好ましい。高密度遮蔽層表裏合計の厚さが0.2mm未満だと得られるシートにおいて、防音(音響減衰)性、熱制御性、電磁波遮蔽性、高エネルギー電磁波遮蔽・減衰性など各種遮蔽効果が十分に得られないことがある。また、高密度遮蔽層表裏合計の厚さが6.0mmを越えれば防音(音響減衰)性、遮熱性、電磁波遮蔽性、高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰性はより良好となるが、それだとシートが重過ぎて取り扱い性が悪くコスト増にもなる。
高密度遮蔽層には必要に応じて高密度遮蔽層の上に滑剤、ワックス、及び界面活性剤から選ばれた1種以上を高密度遮蔽層の質量に対して0.01〜1質量%濃度で含有してなる保護層が設けられていてもよい。この処方により、高密度遮蔽層の表面滑り性が向上するのでスリ傷やチョークマークが付き難くなる。滑剤として、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイドなどの公知の脂肪酸アマイド系化合物、及びモンタン酸エステル、またステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸リチウムなどの金属石鹸化合物、ワックスとして、流動パラフィン、パラフィンワックス、酸化ポリエチレンワックスなどの公知の炭化水素系化合物及びシリコーンワックス、シリコーンレジンパウダー、界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩などの公知の陰イオン性化合物、及びアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などの公知の陽イオン性化合物、及びアルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインなどの公知の両イオン性化合物、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルモノグリセリルエーテルなどの公知の非イオン性化合物から選ばれた1種以上の化合物である。
本発明において保護層は、基本的に高密度遮蔽層を構成する高分子ゲル物質と同じ種類のゲルで形成されることが層間密着性に優れ好ましく、保護層を構成するゲルには金属(化合物)粒子や充填剤を含んでいないか、含んでいても高密度遮蔽層の比重が3g/cm未満、好ましくは1.5g/cm未満であり、厚さが0.05〜0.25mmを有することがシート表面の耐摩耗性の観点で好ましい。保護層の厚さが0.05mm未満だと、摩耗に対する耐久性が不十分となることがあり、また0.25mmを越えると摩耗に対する耐久性は十分となるものの、得られるシートの質量が必要以上に重くなり取り扱い性が不自由となる。すなわち高密度遮蔽層の構成要素がポリエチレンゲルの場合は保護層にポリエチレンゲル、高密度遮蔽層の構成要素がシリコーンゲルの場合は保護層にシリコーンゲル、高密度遮蔽層の構成要素がデンドリマー水和ゲルの場合は保護層にデンドリマー水和ゲルの組み合わせである。それ以外の保護層として、ポリエチレンゲル高密度遮蔽層の保護層に低比重ポリエチレン、エチレン−スチレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂及びポリエチレンゲルから選ばれた1種以上であり、またシリコーンゲル高密度遮蔽層の保護層にシリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、シリコーンゴムから選ばれた1種以上であることが好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)高密度遮蔽層の成型性(金属(化合物)粒子とバインダー剤との2本ロール混練性)
評価ランク「1」:金属(化合物)粒子を95質量%以上高充填したシートが得られる
評価ランク「2」:金属(化合物)粒子を95質量%まで高充填したシートを得るのは極
めて困難か、得られても外観が不均一で脆い。
評価ランク「3」:金属(化合物)粒子を95質量%まで高充填したシートは得られな
い。
(2)折り曲げ試験:金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面観察(空隙発生の有無)
シート試料(幅4cm×長さ2cm)を横方向に2ツ折りし、幅2cm×長さ2cmの折重体の全体に1kgの錘を乗せ25℃の環境で5分間静置した。重りを外した折重体試料を開き、幅4cm×長さ2cmの状態で試料全体に1kgの錘を乗せ25℃の環境で5分間静置し、折り曲げ部に赤インク(万年筆用を水で10倍希釈)を垂らし、シート表面をペーパーワイパーで拭き取った跡の顕微鏡観察(株式会社キーエンス:デジタルマイクロスコープVHX−1000、観察倍率200倍〜1000倍)を行った。
評価ランク「1」:金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に空隙(赤インクの存在)
の発生を認めない。(空隙が発生しても修復して界面が密着している。)
評価ランク「2」:金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に空隙(赤インクの存在)
の発生を認める。
評価ランク「3」:試料表面に目視可能なクラックの発生を認める。
(3)遮熱性の評価(主に実施例1、実施例4、比較例1、比較例4)
JIS K5602「塗膜の日射反射率の求め方」に準拠し、日射反射率(%)=[塗膜からの反射光の総量]×100/[塗膜表面に入射した太陽光の総量]を求め、数値が高いほど遮熱性に優れるものと判定した。
(4)防音性(音響減衰性)の評価(主に実施例2、実施例5、比較例2、比較例5)
JIS A1416「実験室における音響透過損失測定法」による、中心周波数500Hz,1000Hz,2000Hzの音響透過損失により評価し、その効果を従来の遮音シートと優劣比較した。基準のシート(特開2002−46233号公報実施例1に記載:面密度1800g/m)はポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対してガラス粉末を200重量部配合して含むものであり、そのJIS A1416による音響透過損失は、中心周波数音響透過損失500Hz 26dB、1000Hz 26dB、2000Hz 28dBである。
(5)高エネルギー電磁波(X線)遮蔽の評価(主に実施例3、実施例6〜10、比較例3、比較例6)
JIS Z4501「X線防護用品類の鉛当量試験方法」による鉛当量(鉛シート1mm厚当たりに換算した数値で評価:例0.1mmPb、0.2mmPb、0.3mmPbなど)し、数値が大きいほどX線遮蔽効果が高いものと判断した。X線遮蔽試験は試料5mm幅間隔で、タテ×ヨコ各々折り曲げの(上記2の折り曲げ試験)疲労ダメージを与えた後での評価も実施し、屈曲疲労ダメージ前後でのX線遮蔽性を比較した。X線遮蔽試験は地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターで実施した。
[実施例1]
ポリエステル(PET)製555dtexのマルチフィラメントを用いた平織物(密度:タテ(経糸)23本/インチ×ヨコ(緯糸)25本/インチ:質量105g/m:目抜度24%)を基布として、この平織物の表面と裏面それぞれに、下記のポリエチレンゲル組成物〈配合1〉からなる厚さ0.2mmの粘弾性体シートを熱圧着法でブリッジ積層し、厚さ0.5mm、質量1693g/mの白色の可撓性複合シートを得た。ブリッジ積層により平織物の表面側と裏面側に配置したポリエチレンゲルシート同士が、平織物の目抜部を介してポリエチレンゲルの融点以上の温度で熱融着一体化し、同時にポリエチレンゲルシートが平織物表面に密着し、さらに繊維と繊維の間に溶融ポリエチレンゲルシートの一部が含浸して固化することで強固な積層体を得ることができる。
〈配合1:二酸化チタン含有ポリエチレンゲル組成物〉
ポリエチレンゲルとして、商品名:コスモスーパーゲル(品番:HC04N:エチレン−スチレン共重合体樹脂100質量部と流動パラフィン10〜20質量部の混合物:日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)アスカーC硬度4〜5:反発弾性率21%:伸び率1300%〜:コスモ計器株式会社製)10質量部に対し、金属化合物粒子として二酸化チタン(比重4.29:平均粒子径1μm:商品名JR1000:テイカ株式会社製)100質量部を155℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのポリエチレンゲルシートを得た。この0.2mm厚のポリエチレンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(二酸化チタン)とを質量比1:10で含み、質量794g/m、3.97g/cmの比重を有していた。
[実施例2]
実施例1の可撓性複合シートにおいて、ポリエチレンゲルシートを、配合2の三酸化アンチモン含有ポリエチレンゲル組成物に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.5mm、質量2025g/mの白色の可撓性複合シートを得た。
〈配合2:三酸化アンチモン含有ポリエチレンゲル組成物〉
ポリエチレンゲルとして、商品名:コスモスーパーゲル(品番:HC04N:コスモ計器株式会社製)10質量部に対し、金属化合物粒子として三酸化アンチモン(比重5.2:平均粒子径0.8μm)100質量部を155℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのポリエチレンゲルシートを得た。この0.2mm厚のポリエチレンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(三酸化アンチモン)とを質量比1:10で含み、質量960g/m、4.8g/cmの比重を有していた。
[実施例3]
実施例1の可撓性複合シートにおいて、ポリエチレンゲルシートを、配合3の硫酸バリウム含有ポリエチレンゲル組成物に変更し、金属化合物粒子の配合量を2倍とした以外は実施例1と同様として厚さ0.5mm、質量1813g/mの白色の可撓性複合シートを得た。
〈配合3:硫酸バリウム含有ポリエチレンゲル組成物〉
ポリエチレンゲルとして、商品名:コスモスーパーゲル(品番:HC04N:コスモ計器株式会社製)10質量部に対し、金属(化合物)粒子として硫酸バリウム(比重4.45:平均粒子径0.8μm)200質量部を155℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのポリエチレンゲルシートを得た。この0.2mm厚のポリエチレンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(硫酸バリウム)とを質量比1:20で含み、質量854g/m、4.27g/cmの比重を有していた。
[実施例4]
実施例1の可撓性複合シートにおいて、ポリエチレンゲルシートを、配合4の二酸化チタン含有シリコーンゲル組成物に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.5mm、質量1705g/mの白色の可撓性複合シートを得た。
〈配合4:二酸化チタン含有シリコーンゲル組成物〉
シリコーンゲルとして、商品名:アルファゲル(ポリシロキサン樹脂100質量部とシリコーンオイル10〜20質量部の混合物:日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)アスカーC硬度10〜12:JIS K2207 針侵入硬度150/10mm:伸び率340%:株式会社タイカ製)10質量部に対し、金属化合物粒子として二酸化チタン(比重4.29:平均粒子径1μm:商品名JR1000:テイカ株式会社製)100質量部を180℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのシリコーンゲルシートを得た。この0.2mm厚のシリコーンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(二酸化チタン)とを質量比1:10で含み、質量800g/m、4.0g/cmの比重を有していた。
[実施例5]
実施例4の可撓性複合シートにおいて、シリコーンゲルシートを、配合5の三酸化アンチモン含有シリコーンゲル組成物に変更した以外は実施例4と同様として厚さ0.5mm、質量2029g/mの白色の可撓性複合シートを得た。
〈配合5:三酸化アンチモン含有シリコーンゲル組成物〉
シリコーンゲルとして、商品名:アルファゲル:株式会社タイカ製)10質量部に対し、金属化合物粒子として三酸化アンチモン(比重5.2:平均粒子径0.8μm)100質量部を180℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのシリコーンゲルシートを得た。この0.2mm厚のシリコーンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(三酸化アンチモン)とを質量比1:10で含み、質量962g/m、4.81g/cmの比重を有していた。
[実施例6]
実施例4の可撓性複合シートにおいて、シリコーンゲルシートを、配合6の硫酸バリウム含有シリコーンゲル組成物に変更し、金属化合物粒子の配合量を2倍とした以外は実施例4と同様として厚さ0.5mm、質量1817g/mの白色の可撓性複合シートを得た。
〈配合6:硫酸バリウム含有シリコーンゲル組成物〉
シリコーンゲルとして、商品名:アルファゲル:株式会社タイカ製)10質量部に対し、金属化合物粒子として硫酸バリウム(比重4.45:平均粒子径0.8μm)100質量部を180℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのシリコーンゲルシートを得た。この0.2mm厚のシリコーンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(硫酸バリウム)とを質量比1:20で含み、質量856g/m、4.28g/cmの比重を有していた。
[実施例7]
実施例3の可撓性複合シートにおいて、ポリエチレンゲルシートの表面に、配合7のポリエチレンゲル組成物による保護層を設けた以外は実施例3と同様として厚さ0.5mm、質量1829g/mの白色の可撓性複合シートを得た。
〈配合7:滑剤含有ポリエチレンゲル組成物〉
ポリエチレンゲルとして、商品名:コスモスーパーゲル(品番:HC15L:アスカーC硬度15:反発弾性率69%:コスモ計器株式会社製)20質量部に対し、滑剤としてモンタン酸リチウム(商品名:リコモントLiV103:クラリアントジャパン株式会社製)0.2質量部をキシレン100質量部に溶解させた滑剤含有ポリエチレンゲル組成物液を表裏のポリエチレンゲルシートの表面、各々に対して固形分付着量8g/mでコーティングした。
[実施例8]
実施例6の可撓性複合シートにおいて、シリコーンゲルシートの表面に、配合8のシリコーンゲル組成物による保護層を設けた以外は実施例3と同様として厚さ0.5mm、質量1829g/mの白色の可撓性複合シートを得た。
〈配合8:滑剤含有シリコーンゲル組成物〉
シリコーンゲルとして、商品名:アルファゲル(ポリシロキサン樹脂100質量部とシリコーンオイル10〜20質量部の混合物:日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)アスカーC硬度10〜12:JIS K2207 針侵入硬度150/10mm:伸び率340%:株式会社タイカ製)20質量部に対し、滑剤としてシリコーンレジンパウダー(商品名:トレフィルF204:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)0.5質量部をキシレン100質量部に溶解させた滑剤含有シリコーンゲル組成物液を表裏のシリコーンゲルシートの表面、各々に対して固形分付着量8g/mでコーティングした。
[実施例9]
実施例3の可撓性複合シートにおいて、ポリエステル(PET)製基布(実施例1に記載)をボロン繊維(タングステン線を芯材にホウ素による化学蒸着したモノフィラメント)を含む基布(タテ糸:ポリエステル繊維137dtex90本/1インチ、ヨコ糸:ボロン繊維200本/1インチ:質量340g/m:SPECIALTY MATERIALS,INC.製)に変更した以外は実施例3と同様にして厚さ0.5mm、質量2048g/mの白色の可撓性複合シートを得た。この基布に積層した厚さ0.2mmのポリエチレンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(硫酸バリウム)とを質量比1:20で含み、質量854g/m、4.27g/cmの比重を有している。
[実施例10]
実施例6の可撓性複合シートにおいて、ポリエステル(PET)製基布(実施例1に記載)を実施例9と同じボロン繊維を含む基布(SPECIALTY MATERIALS,INC.製)に変更した以外は実施例6と同様にして厚さ0.5mm、質量2052g/mの白色の可撓性複合シートを得た。この基布に積層した厚さ0.2mmのシリコーンゲルシートは、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(硫酸バリウム)とを質量比1:20で含み、質量856g/m、4.28g/cmの比重を有している。
実施例1〜10の可撓性複合シートは、高密度遮蔽層の構成に高分子ゲル物質を必須としてふくみ、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子との質量比を1:5〜1:40の範囲とすることで比重3.5〜7.5g/cmを有する高密度遮蔽層の成型を可能かつ良好とし、しかも得られたシートの耐屈曲性に格段に優れ、シートを折り曲げた場合に於いても、高密度遮蔽層にクラックを発生することがなく、また表面観察において金属(化合物)粒子とバインダー剤としての高分子ゲル物質との界面に空隙の発生も認識不能レベルであった。仮に折り曲げ時に金属(化合物)粒子と高分子ゲル物質との界面に微細空隙を発生しても、アスカーC硬度4〜30の範囲の高分子ゲル物質の存在によって、折り曲げ状態からの形態復元と同時に微細空隙が塞がり、高分子ゲル物質が金属(化合物)粒子表面に再密着安定したものと考えられる。従って本発明の可撓性複合シートは、高充填して用いる金属(化合物)粒子の特性により、遮熱性・放熱性・防音性(音響減衰性)・電磁波シールド性、高エネルギー電磁波(X線)遮蔽性などの様々な性能を付帯することを可能とする。実施例1、実施例4のシートは平均粒子径が1μm前後の二酸化チタン粒子を用いることで、得られるシートに遮熱効果(日射反射率98%)をもたらすことができる。また実施例1、実施例4のシートは質量1700g/m程度の面密度を有し、面密度1800g/mの基準シートの音響透過損失である、中心周波数 音響透過損失500Hz 26dB、1000Hz 26dB、2000Hz 28dBを上回る、中心周波数 音響透過損失500Hz 28dB、1000Hz 28dB、 2000Hz 30dBであり、従って実施例1、実施例4のシートは遮熱性のみならず防音性も兼備するものであった。また実施例2、実施例5のシートは比重5.2の三酸化アンチモン粒子を用いることの質量則により、得られるシートが、中心周波数 音響透過損失500Hz 30dB、1000Hz 30dB、2000Hz 35dBの優れた防音性を有するものであり、さらに日射反射率93%の遮熱性も兼備するものであった。また実施例3、実施例6〜8の硫酸バリウムを高充填して含むシートは鉛当量で0.2mmPb相当の高ネルギー電磁波遮蔽性を有し、屈曲疲労ダメージを与えて硫酸バリウム粒子と高分子ゲル物質との界面に微細空隙を発生させても、この微細空隙が自己回復して塞がることで、屈曲疲労ダメージ後の高ネルギー電磁波遮蔽性は屈曲疲労ダメージ前と遜色なく同等レベルを維持しており、しかも中心周波数 音響透過損失500Hz 28dB、1000Hz 29dB、2000Hz 31dBの防音性と、さらに日射反射率92%の遮熱性も兼備するものであった。特に繊維織物にボロン繊維を含む基布を用いた実施例9、実施例10のシートは鉛当量で0.22mmPb相当の高ネルギー電磁波遮蔽性を有し、しかも中心周波数 音響透過損失500Hz 28dB、1000Hz 30dB、2000Hz 33dBの防音性と、さらに日射反射率94%の遮熱性も兼備するもので、同じ硫酸バリウムを高充填して含む実施例3、実施例6〜8のシートよりも、鉛当量、防音性、遮熱性の全てにおいて上回るものであった。
[比較例1]
実施例1の可撓性複合シートにおいて、ポリエチレンゲルシートを、配合9の二酸化チタン含有ポリエチレン組成物に変更した以外は実施例1と同様として厚さ0.5mm、質量1813g/mの白色シートを得た。
〈配合9:二酸化チタン含有ポリエチレン組成物〉
ポリエチレンとして、商品名:エボリュー(品番:SP1450:C6−LLDPE:メルトフローレイト3.8g/10min:デュロメータD(ショアD)硬度54:日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)アスカーC硬度は100以上で計測不能:株式会社プライムポリマー製)10質量部に対し、金属化合物粒子として二酸化チタン(比重4.29:平均粒子径1μm:商品名JR1000:テイカ株式会社製)100質量部を155℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのポリエチレンシートを得た。この0.2mm厚のポリエチレンシートは、ポリエチレン樹脂と金属化合物粒子(二酸化チタン)とを質量比1:10で含み、質量796g/m、3.98g/cmの比重を有していた。
[比較例2]
実施例2の可撓性複合シートにおいて、ポリエチレンゲルシートを、配合10の三酸化アンチモン含有軟質塩化ビニル樹脂組成物に変更した以外は実施例2と同様として厚さ0.5mm、質量2037g/mの白色シートを得た。
〈配合10:三酸化アンチモン含有軟質塩化ビニル樹脂組成物〉
軟質塩化ビニル樹脂として、塩化ビニル樹脂(重合度p=1300)100質量部、可塑剤(DOP)50質量部、リン酸エステル(防炎剤)5質量部、エポキシ化大豆油(可塑剤兼安定剤)5質量部、バリウム−亜鉛複合塩(安定剤)2質量部からなる軟質塩化ビニル樹脂組成物(アスカーC硬度は100以上で計測不能、デュロメータD(ショアD)硬度58)10質量部に対し、金属化合物粒子として三酸化アンチモン(比重5.2:平均粒子径0.8μm)100質量部を170℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmの軟質塩化ビニル樹脂シートを得た。この0.2mm厚の軟質塩化ビニル樹脂シートは、軟質塩化ビニル樹脂と金属化合物粒子(三酸化アンチモン)とを質量比1:10で含み、質量966g/m、4.83g/cmの比重を有していた。
[比較例3]
実施例3の可撓性複合シートにおいて、ポリエチレンゲルシートを、配合11の硫酸バリウム含有ポリウレタン樹脂組成物に変更した以外は実施例3と同様として厚さ0.5mm、質量1761g/mの白色シートを得た。
〈配合11:硫酸バリウム含有ポリウレタン樹脂組成物〉
ポリウレタン樹脂(商品名:レザミンP−1098(アジペート型エステルタイプ):デュロメータD(ショアD)硬度55:大日精化工業株式会社製)100質量部、モンタン酸エステル(商品名:リコワックスE:クラリアントジャパン株式会社製)0.5質量部からなるポリウレタン樹脂組成物10質量部に対し、金属化合物粒子として硫酸バリウム(比重4.45:平均粒子径0.8μm比重)100質量部を170℃に設定した2本ロールで熱混練し、2本ロール間ギャップ0.2mmより厚さ0.2mmのポリウレタン樹脂シートを得た。この0.2mm厚のポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂と金属化合物粒子(硫酸バリウム)とを質量比1:10で含み、質量828g/m、4.14g/cmの比重を有していた。
[比較例4]
実施例3の可撓性複合シートにおいて、高密度遮蔽層の構成をポリエチレンゲルと硫酸バリウム粒子との質量比を1:2とした以外は実施例3と同様として厚さ0.5mm、質量1405g/mの白色シートを得た。高密度遮蔽層を形成するポリエチレンゲルシートは厚さ0.2mmで、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(硫酸バリウム)とを質量比1:2で含み、質量650g/m、3.25g/cmの比重を有していた。
[比較例5]
実施例6の可撓性複合シートにおいて、高密度遮蔽層の構成をシリコーンゲルと硫酸バリウム粒子との質量比を1:2とした以外は実施例6と同様として厚さ0.5mm、質量1425g/mの白色シートを得た。高密度遮蔽層を形成するシリコーンゲルシートは厚さ0.2mmで、高分子ゲル物質と金属化合物粒子(硫酸バリウム)とを質量比1:2で含み、質量660g/m、3.3g/cmの比重を有していた。
[比較例6]
実施例3の可撓性複合シートにおいて、高密度遮蔽層の構成をポリエチレンゲルと硫酸バリウム粒子との質量比を1:50とした以外は実施例6と同様とした。比較例6の高密度遮蔽層を構成する樹脂組成物を155℃に設定した2本ロールで熱混練したが、硫酸バリウム粒子の配合量が多いため、2本ロール上での樹脂組成物の熱混練が困難となり、高密度遮蔽層用ポリエチレンゲルシートを得ることができなかった。従って比較例6のシートでの評価試験は断念した。高密度遮蔽層の比重理論値は4.38g/cmかつ、質量は876g/mである。
比較例1〜3のシートは、本発明の範囲で金属(化合物)粒子を含有する高密度遮蔽層であるが、本発明の必須成分である高分子ゲル物質をバインダー剤として含まず、高分子ゲル物質の代わりに、ポリエチレン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂など、アスカーC硬度が100を越え、測定不能である樹脂群をバインダー剤として含むことによって、比較例1〜3を構成する高密度遮蔽層の成型性が悪く、特に比較例1のシートは折り曲げによって高密度遮蔽層にクラックを発生し、また比較例2、比較例3のシートでは表面観察において金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に空隙の発生を認めた。折り曲げ時に金属(化合物)粒子と高分子ゲル物質との界面に発生した微細空隙は、アスカーC硬度4〜30の範囲にないポリエチレン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂などの存在では折り曲げ状態からの形態を復元する効果に希薄で、拠って微細空隙は塞がらず、金属(化合物)粒子表面に再密着安定できないためと考えられる。また比較例3のシートは初期的に高ネルギー電磁波遮蔽性を有するが、しかし屈曲疲労ダメージを与えて硫酸バリウム粒子と高分子ゲル物質との界面に微細空隙を発生させた場合、この微細空隙が自己回復して塞がらないことで、屈曲疲労ダメージ後の高ネルギー電磁波遮蔽性は屈曲疲労ダメージ前よりも大幅に低下していた。また比較例4、比較例5のシートでは本発明の範囲よりも少ない量で硫酸バリウム粒子を含有するため、成型性と耐折り曲げ性は極めて良好であったが、硫酸バリウム粒子の含有量が少なすぎて鉛当量0.04mmPb程度の低い遮蔽性しか示さず、屈曲疲労ダメージ後にはさらに遮蔽性が低下していた。また防音性においても中心周波数 音響透過損失500Hz 25dB、1000Hz 25dB、 2000Hz 27dBと基準シートよりも防音レベルが低く、さらに日射反射率も83%の遮熱性でしかなく、従って同じ硫酸バリウムを含む実施例3、実施例6〜8のシートよりも、鉛当量、防音性、遮熱性の全てにおいて下回るもので利用価値の低いものであった。
本発明の可撓性複合シートは、折り曲げストレスによっても、金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面剥離を生じず、また金属(化合物)粒子とバインダー剤との界面に微細空隙を生じた場合にもバインダー剤が微細空隙を修復して金属(化合物)粒子表面に再密着する復元性を有するので、防音(音響減衰)性、遮熱・放熱性、電磁波遮蔽性、X線やγ線などの高エネルギー電磁波などの遮蔽・減衰特性に対する部分的欠損を生じたり、屈曲疲労による破壊を生じたりする心配がないため、防音(音響減衰)シートとして建築現場や、解体工事などの張囲い、工場内の間仕切り、機械用の騒音防止カバーなどの用途、また遮熱・放熱シートとして、テント膜構造物、車両カバー、機械カバーなどの用途、また電磁波遮蔽シートとして空間間仕切り、テント膜構造物、車両カバー、機械カバー、医療機器カバーなどの用途、また高エネルギー電磁波(X線、γ線)遮蔽・減衰シートとして放射線医療現場や、原子力発電所などの用途に用いることができる。
1:可撓性複合シート
2−1:繊維織物
2−2:ボロン繊維含有織物
3:高密度遮蔽層
3−1:高分子ゲル物質
3−2:金属(化合物)粒子
4:保護層

Claims (10)

  1. 繊維織物を基布として、その1面以上に高密度遮蔽層が設けられた高比重積層体であって、前記高密度遮蔽層が、高分子ゲル物質と金属(化合物)粒子とを質量比1:5〜1:40で含み、かつ3.5〜7.5g/cmの比重を有し、さらに前記高分子ゲル物質が、ポリエチレンゲル、シリコーンゲル、及びデンドリマー水和ゲルから選ばれたいずれか1種の粘弾性体であることを特徴とする可撓性複合シート。
  2. 前記金属(化合物)粒子が、タングステン、三酸化タングステン、モリブデン、三酸化モリブデン、三酸化アンチモン、二酸化ジルコニウム、二酸化亜鉛、二酸化鉄、二酸化チタン及び硫酸バリウムから選ばれた1種以上である、請求項1に記載の可撓性複合シート。
  3. 前記高分子ゲル物質において、前記ポリエチレンゲルが、エチレン系共重合体樹脂と可塑剤とからなり、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30の粘弾性体である、請求項1または2に記載の可撓性複合シート。
  4. 前記高分子ゲル物質において、前記シリコーンゲルが、式RSi(OR´)で示される化合物と式RSi(OR´)で示される化合物とにより、式RSi(OR´)で示される化合物に対する式RSi(OR´)で示される化合物のモル比が0.01〜0.5の反応によって得られるポリシロキサンゲルと、シリコーンオイルとからなり、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30の粘弾性体である、請求項1または2に記載の可撓性複合シート。(Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5個のアルキル基で、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基(アルキル基で置換されていてもよい)で、これらのアルキル基及びフェニル基はその水素原子がフッ素原子により置換されたものも包含する。またR´はそれぞれ独立して、炭素数1〜20個のアルキル基で、特にメチル基、エチル基、プロピル基、又は水素原子である。)
  5. 前記高分子ゲル物質において、前記デンドリマー水和ゲルが、カチオン性デンドリマー、層状粘土化合物、親水性ポリマーとの反応物からなる立体網目架橋体であり、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)によるアスカーC硬度が4〜30の粘弾性体である、請求項1または2に記載の可撓性複合シート。
  6. 前記高比重積層体の1面以上に滑剤、ワックス、及び界面活性剤から選ばれた1種以上を含有してなる保護層が設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の可撓性複合シート。
  7. 前記繊維織物が、タングステン線、ステンレス線、または炭素繊維を芯材としてホウ素で表面被覆してなるボロン繊維を含む織物、またはホウ素で表面被覆処理された織物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の可撓性複合シート。
  8. 前記高比重積層体が音響減衰性を有し、防音材に使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の可撓性複合シート。
  9. 前記高比重積層体が放熱性を有し、遮熱材に使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の高比重複合シート。
  10. 前記高比重積層体が高エネルギー電磁波遮蔽性を有し、防護材に使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の可撓性複合シート。
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