以下、本発明の電力中継器を適用した実施の形態について説明する。
実施の形態の電力中継器について説明する前に、まず、図1乃至図3を用いて、比較例の電力中継器と問題点について説明する。
図1(A)は、磁気共鳴を利用した電力中継器の構成を示す図であり、図1(B)は、図1(A)に示す電力中継器の等価回路を示す図である。
図1(A)に示すように、電力中継器10は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4を含む。
1次側コイル1は、ループ状のコイルであり、両端間に交流電源5が接続されている。1次側コイル1は、自己の中心軸が1次側共振コイル2の中心軸と一致するように配設されている。1次側コイル1は、1次側共振コイル2と非接触で近接して配置されており、1次側共振コイル2と電磁界結合される。中心軸を一致させるのは、1次側コイル1と1次側共振コイル2との結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が1次側コイル1及び1次側共振コイル2の周囲に発生することを抑制するためである。
また、図1(B)の等価回路に示すように、1次側コイル1は、インダクタンスL1のコイルとして表すことができる。なお、1次側コイル1は、実際には抵抗成分とキャパシタ成分を含むが、図1(B)では省略する。
1次側コイル1は、交流電源5から供給される交流電力によって磁界を発生し、電磁誘導により電力を1次側共振コイル2に送電する。
図1(A)に示すように、1次側共振コイル2は、1次側コイル1と非接触で近接して配置されて1次側コイル1と電磁界結合されている。また、1次側共振コイル2は、所定の共振周波数を有し、非常に高いQ値を有するように設計されている。1次側共振コイル2の共振周波数は、2次側共振コイル3の共振周波数と等しくされている。なお、図1(A)では見やすさの観点から1次側共振コイル2の両端は開放されているが、実際には1次側共振コイル2の両端の間には、共振周波数を調整するためのキャパシタが直列に接続される。
1次側共振コイル2は、所定の間隔を隔てて、自己の中心軸が2次側共振コイル3の中心軸と一致するように配置されている。1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間隔は、例えば、数メートル程度であってもよい。1次側共振コイル2と2次側共振コイル3は、数メートル程度離れていても、磁気共鳴による電力の伝送が可能である。なお、中心軸を一致させるのは、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で生じる磁気共鳴を少しでも良好なものにするためである。
また、図1(B)の等価回路に示すように、1次側共振コイル2は、インダクタンスL2のコイルと、キャパシタンスC2のキャパシタを有するループ回路として表すことができる。1次側共振コイル2は、寄生容量を有するため、キャパシタンスC2は、1次側共振コイル2の寄生容量と、1次側共振コイル2の両端間に周波数調整用に接続されるキャパシタのキャパシタンスとの合成容量である。なお、1次側共振コイル2は、実際には抵抗成分を含むが、図1(B)では省略する。
1次側共振コイル2の共振周波数は、交流電源5が出力する交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。1次側共振コイル2の共振周波数は、1次側共振コイル2のインダクタンスL2とキャパシタンスC2によって決まる。このため、1次側共振コイル2のインダクタンスL2とキャパシタンスC2は、1次側共振コイル2の共振周波数が、交流電源5から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
1次側共振コイル2及び2次側共振コイル3の共振周波数は、例えば、2MHz、又は、10MHz等の値に設定され、交流電源5からは、1次側共振コイル2及び2次側共振コイル3の共振周波数と同一の周波数の交流電力が出力される。
なお、1次側共振コイル2は、寄生容量だけで共振周波数を設定できる場合は、両端が開放されていてもよい。
図1(A)に示すように、2次側共振コイル3は、数メートルの間隔を隔てて配設される。2次側共振コイル3は、自己の中心軸が1次側共振コイル2の中心軸と一致するように配置されている。
図1(A)では見やすさの観点から2次側共振コイル3の両端は開放されているが、実際には2次側共振コイル3の両端間には、共振周波数を調整するためのキャパシタが直列に接続される。
2次側共振コイル3は、1次側共振コイル2と同一の共振周波数を有し、非常に高いQ値を有するように設計されている。
2次側共振コイル3と1次側共振コイル2との間隔は、例えば、数メートル程度であってもよい。2次側共振コイル3と1次側共振コイル2は、数メートル程度離れていても、磁気共鳴による電力の伝送が可能である。
また、2次側共振コイル3は、2次側コイル4と非接触で近接して配置されており、2次側コイル4と電磁界結合されている。
また、図1(B)の等価回路に示すように、2次側共振コイル3は、インダクタンスL3のコイルと、キャパシタンスC3のキャパシタを有するように表すことができる。2次側共振コイル3は、寄生容量を有するため、キャパシタンスC3は、2次側共振コイル3の寄生容量と、2次側共振コイル3の両端間に周波数調整用に接続されるキャパシタのキャパシタンスとの合成容量である。なお、2次側共振コイル3は、実際には抵抗成分を含むが、図1(B)では省略する。
2次側共振コイル3の共振周波数は、2次側共振コイル3のインダクタンスL3とキャパシタンスC3によって決まる。このため、2次側共振コイル3のインダクタンスL3とキャパシタンスC3は、2次側共振コイル3の共振周波数が、1次側共振コイル2の共振周波数と、交流電源5から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
なお、2次側共振コイル3は、寄生容量だけで共振周波数を設定できる場合は、両端が開放されていてもよい。
図1(A)に示すように、2次側コイル4は、1次側コイル1と同様のループ状のコイルであり、2次側共振コイル3と電磁界結合されるとともに、両端間に負荷回路6が接続されている。
2次側コイル4は、自己の中心軸が2次側共振コイル3の中心軸と一致するように配設されている。2次側コイル4は、2次側共振コイル3と非接触で近接して配置されており、2次側共振コイル3と電磁界結合される。中心軸を一致させるのは、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が2次側共振コイル3及び2次側コイル4の周囲に発生することを抑制するためである。
また、図1(B)の等価回路に示すように、2次側コイル4は、インダクタンスL4のコイルとして表すことができる。なお、2次側コイル4は、実際には抵抗成分とキャパシタ成分を含むが、図1(B)では省略する。
2次側コイル4は、2次側共振コイル3から電磁誘導により電力を受電し、電力を負荷回路6に供給する。
なお、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4は、例えば、銅線を巻回することによって作製される。しかしながら、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の材質は、銅以外の金属(例えば、金又はアルミニウム等)であってもよい。また、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の材質は異なっていてもよい。
このような電力中継器10は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2が電力の送電側であり、2次側共振コイル3及び2次側コイル4が電力の受電側である。
電力中継器10は、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で生じる磁気共鳴を利用して送電側から受電側に電力を伝送する磁気共鳴方式である。このため、電力中継器10は、送電側から受電側に電磁誘導で電力を伝送する電磁誘導方式よりも長距離での電力の伝送が可能である。
また、図1では1次側共振コイル2の中心軸と2次側共振コイル3の中心軸とが一致する場合について説明したが、磁気共鳴方式は、送電側のコイルと受電側のコイルの位置ずれに対しても、電磁誘導方式よりも強いというメリットがある。
このように、磁気共鳴方式は、共振コイル同士の間の距離又は位置ずれについて、電磁誘導方式よりも自由度が高く、ポジションフリーというメリットがある。
このため、磁気共鳴方式による電力中継器10は、携帯電話端末機又はスマートフォン等の小型の電子装置、家電製品、又は電気自動車等における非接触充電への利用が期待されている。
次に、図2及び図3を用いて、比較例の電力中継器10の1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4の構成例と、受電効率について説明する。
図2は、比較例の電力中継器10の各コイルの構成例を示す図である。図2(A)は1次側コイル1及び1次側共振コイル2の平面図、図2(B)は2次側共振コイル3及び2次側コイル4の平面図、図2(C)は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4の中心軸を通る断面を示す図である。
ここで、図2(A)〜(C)に示すように、X軸、Y軸、Z軸を規定する。X軸、Y軸、Z軸は、互いに直交する軸であり、3次元座標系を構築する。このXYZ座標系の原点は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸上で、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の下側の表面上に位置する点とする。
図2(A)、(B)に示すように、X軸とY軸の交点は、平面視で1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4の中心と一致する。
図2(C)に示すように、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4は、すべての中心軸がZ軸に一致するように配設される。
このため、図2(C)に示す断面は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸を通る断面である図2(A)のA1−A1矢視断面と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸を通る断面である図2(B)のA2−A2矢視断面とを含む。
図2(A)に示すように、1次側コイル1は、巻数が1巻のループ状の平面コイルであり、端部1A、1Bは図1に示す交流電源5に接続される。1次側共振コイル2は、巻数が5巻の渦状の平面コイルであり、端部2A、2Bは図示しないキャパシタに接続されている。
1次側コイル1は、1次側共振コイル2の中央部に配設される。1次側コイル1と1次側共振コイル2は、中心軸が一致するように配設されている。
図2(B)に示すように、2次側コイル4は、巻数が1巻のループ状の平面コイルであり、端部4A、4Bは図1に示す負荷回路6に接続される。2次側共振コイル3は、巻数が5巻の渦状の平面コイルであり、端部3A、3Bは図示しないキャパシタに接続されている。
2次側コイル4は、2次側共振コイル3の中央部に配設される。2次側共振コイル3と2次側コイル4は、中心軸が一致するように配設されている。
図2(A)に示す1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、図2(B)に示す2次側共振コイル3及び2次側コイル4は、実際にはすべての中心軸が一致するように平面視で重なるように配設される。
このため、1次側コイル1及び1次側共振コイル2のA1−A1矢視断面と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4のA2−A2矢視断面は、図2(C)に示すようになる。
図2(C)に示す状態では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸とは一致しており、平面視における位置ずれは生じていない状態である。
次に、図3のシミュレーション結果を用いて、比較例の電力中継器10における送電側と受電側の位置ずれに対する受電効率について説明する。
図3は、比較例の電力中継器10における送電側と受電側の位置ずれに対する受電効率の特性を示す図である。
図3に示す受電効率は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2に対して2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸方向に移動させた際に、交流電源5から1次側コイル1に入力される電力に対する、2次側コイル4から出力される電力の割合を百分率で表したものである。
ここで、電磁界シミュレータを用いて受電効率を計算するにあたり、各コイルの寸法を次のように設定した。
1次側コイル1の半径は405mm、コイルの線径(φ)は3mm、巻数は1巻である。1次側共振コイル2の最外形の半径は450mm、コイルの線径(φ)は3mm、巻数は5巻、巻いたコイルの間隔(ピッチ)は6mmである。
2次側共振コイル3の最外形の半径は150mm、コイルの線径(φ)は3mm、巻数は5巻、巻いたコイルの間隔(ピッチ)は6mmである。2次側コイル4の半径は105mm、コイルの線径(φ)は3mm、巻数は1巻である。
なお、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間のZ軸方向の間隔Aは、200mmである。
図3には2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸プラス方向に移動させた場合の受電効率の特性を示す。しかしながら、一次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、及び2次側コイル4のXY面における対称性から、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸マイナス方向に移動させた場合の特性は、Y=0の位置に対して対象である。
また、図3には、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸のX軸方向における位置が1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸のX軸方向における位置に対してずれていない場合と、ずれている場合の特性を示す。X軸方向にずれていない場合をX=0と示し、X軸方向において100mmずれている場合をX=100と示す。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向及びY軸方向における位置ずれは、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸との位置ずれに相当する。
図3に実線で示すように、X=0の場合の受電効率は、Y軸プラス方向のずれが0mmから約400mmまでは、受電効率は89%であった。すなわち、Y軸方向における±400mmの範囲に2次側共振コイル3及び2次側コイル4が位置している間は、89%の受電効率が得られることが分かる。2次側共振コイル3及び2次側コイル4の位置が400mm以上になると、受電効率は低下し、Y=500mmの位置で約50%になった。
これに対して、X=500mmの場合の受電効率は、Y=0mmの位置で53%であり、Y軸方向に位置がずれるに従い低下し、Y=300mmの位置で受電効率は7.5%となり、この値が極小値となった。Y軸方向の位置のずれがさらに増大すると、受電効率は再び上昇し、Y=500mmで約35%程度であった。
以上より、1次側コイル1及び1次側共振コイル2に対して2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸方向に移動させた場合に、X軸方向の位置ずれにより、受電効率が大幅に低下することが分かった。
ここで、例えば、1次側コイル1及び1次側共振コイル2を道路に設置するとともに、電気自動車の下面に2次側共振コイル3及び2次側コイル4を配設し、負荷回路6としてのバッテリを充電する場合について考える。
上述の現象は、電気自動車をY軸方向に走行させた場合に、道路に設置された1次側コイル1及び1次側共振コイル2に対する2次側共振コイル3及び2次側コイル4のX軸方向の位置ずれが大きいと、電気自動車に搭載したバッテリを十分に充電できないことを意味する。
このように、比較例の電力中継器10は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4との中心軸のずれが大きいと、受電効率が低下するという問題がある。
このため、以下で説明する実施の形態では、上述の問題点を解決した電力中継器を提供することを目的とする。以下、実施の形態の電力中継器について説明する。
<実施の形態1>
図4は、実施の形態1の電力中継器100の断面構成を示す図である。実施の形態1の電力中継器100は、比較例の電力中継器10と同様に、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4を含み、1次側コイル1には交流電源5が接続されており、2次側コイル4には負荷回路6が接続されているものとして説明を行う。
また、図4では、左右方向にX軸、紙面を垂直に貫通する方向にY軸、上下方向にZ軸を取る。X軸では右方向を正、Y軸では紙面手前側から紙面を貫通する方向を正、Z軸では上方向を正とする。
実施の形態1の電力中継器100は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4に加えて、上下移動機構110及び傾斜機構120を含む。
上下移動機構110は、台座110Aと伸縮部110Bを有する。伸縮部110Bの頂部には、傾斜機構120を介して1次側コイル1及び1次側共振コイル2が取り付けられている。
伸縮部110Bは、円筒状の台座110Aに対して入れ子式に上下方向に伸縮可能な円筒状の部材である。伸縮部110Bは、台座110Aに対して1次側コイル1及び1次側共振コイル2を所望の高さに保持する。伸縮部110Bは、例えば、台座110Aとの間の摩擦によって所望の高さに保持される摩擦機構を有していてもよいし、台座110Aの側壁に設けたネジ穴に、ネジを通して伸縮部110Bを固定することによって所望の高さに固定されてもよい。その他、周知のあらゆる機構により、台座110Aに対して伸縮部110Bを所望の高さに固定することができる。
なお、ここでは、上下移動機構110の伸縮部110は、Z軸方向に伸縮するものとして説明を行う。
傾斜機構120は、基台120Aと傾斜部120Bを有する。基台120Aは、伸縮部110Bの頂部に固定されており、傾斜部120Bを傾斜自在に保持している。傾斜部120Bは、基台120Aに傾斜自在に保持されており、基台120Aに対して所望の角度で固定できるようになっている。すなわち、傾斜部120Bは、Z軸方向に対して、所望の角度に傾斜した状態で固定される。傾斜部120Bの頂部には1次側コイル1及び1次側共振コイル2が固定される。
基台120Aに対して傾斜部120Bを所望の角度に傾斜させて固定可能な機構としては、例えば、ベアリングを有する回動機構が挙げられる。その他、周知のあらゆる機構により、基台120Aに対して傾斜部120Bを所望の角度に傾斜させて固定することができる。
以上のような上下移動機構110及び傾斜機構120により、実施の形態1の電力中継器100は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1をZ軸に対して傾斜させることができる。
ここで、図4に示すXYZ座標系の原点は、伸縮部110Bによる伸縮量が0mmで、かつ、傾斜機構120による傾斜角が0°の場合における、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸上で、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の下側の表面上に位置する点とする。
また、実施の形態1の電力中継器100の2次側共振コイル3及び2次側コイル4は、中心軸l2がZ軸方向に一致するように(XY平面と平行になるように)配設されている。1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのZ軸方向における間隔Aは、一例として、200mmに設定される。
ここでは、2次側共振コイル3及び2次側コイル4が、XY平面と平行な状態を保持しながら、Y軸方向に移動する場合について説明する。これは、例えば、2次側共振コイル3及び2次側コイル4が電気自動車等の移動体の下面に取り付けられ、Y軸方向に移動する場合に相当する。
実施の形態1の電力中継器100では、傾斜機構120を調整することにより、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1の角度を調整する。1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1の角度は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2から見て、2次側共振コイル3及び2次側コイル4が存在する方向に傾斜される。また、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1の角度を調整する際に、上下移動機構110を用いて1次側コイル1及び1次側共振コイル2の高さ位置を調整する。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2は、平面状のコイルであり、傾斜機構120によって傾斜させる前の状態では、図4に破線で示す位置にあり、XY平面と平行である。また、このとき1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1はZ軸と平行である。
ここで、傾斜機構120で1次側コイル1及び1次側共振コイル2をY軸まわりに回転させる角度を図4に示すようにθy1とし、θy1を10°に設定する。実施の形態1では、1次側コイル及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4との間にX軸方向の位置ずれがある状態において、1次側コイル及び1次側共振コイル2の中心軸l1が2次側共振コイル3及び2次側コイル4の方を向くように、傾斜角度θy1を設定する。
なお、θy1は、図4に示すように、Y軸の負側から正側を見た状態で、1次側コイル1及び1次側共振コイル2をY軸のまわりに時計回りに回転させる方向を正とする。
また、傾斜機構120で1次側コイル1及び1次側共振コイル2をY軸回りに回転させると、1次側共振コイル2の全体のうちのX軸方向の正側又は負側に位置する部分がXY平面よりも高い位置に回転移動する。
ここで、例えば、1次側コイル1及び1次側共振コイル2を道路等に設置する場合には、道路の表面よりも1次側コイル1及び1次側共振コイル2が突出することは好ましくない。このため、実施の形態1では、上下移動機構110を用いて1次側コイル1及び1次側共振コイル2の位置を図4に示す位置まで下げる。
上下移動機構110による移動量をZ1とし、1次側共振コイル2の最外形の半径をr2とすると、(1)式の通りである。
Z1=r2×tanθy1 ・・・(1)
このように1次側コイル1及び1次側共振コイル2を高さZ1だけ下げることにより、傾斜機構120で傾斜させる前よりも1次側コイル1及び1次側共振コイル2がZ軸における上方向に突出することを避けることができる。
このような実施の形態1の電力中継器100において、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸方向に移動させたところ、図5に示す受電効率が得られた。
図5は、実施の形態1の電力中継器100の受電効率の位置ずれに対する特性を示す図である。
実施の形態1では、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2と、Z軸とのX軸方向における位置ずれXを500mmに設定した。また、傾斜機構120による1次側コイル1及び1次側共振コイル2の傾斜角が0°と10°の2種類の場合について、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸方向に移動させるシミュレーションを行った。
上下移動機構110による1次側コイル1及び1次側共振コイル2の移動分Z1は、(1)式で設定した。すなわち、傾斜角θy1が0°の場合は、Z1=0mmであり、傾斜角θy1が10°の場合は、図4に示すように1次側コイル1及び1次側共振コイル2は、r2×tan10°だけ下げられる。
なお、傾斜角θy1が0°の場合は、図3に示すX=500mmの場合に相当する。
図5に示すように、傾斜角θy1が10°の場合は、Y=0〜330mmの範囲において、傾斜角θy1が0°の場合に比べて受電効率が改善された。傾斜角θy1が10°の場合の受電効率は、Y=0mmで約60%、Y=200mmで約45%、Y=300mmで約25%、Y=330mmで約15%、Y=400mmで約5%、Y=500mmで約1%であった。Y=330mmで傾斜角θy1が0°の場合の受電効率(15%)と等しくなり、Y軸方向の位置ずれがY=330mmよりも大きくなると、傾斜角θy1が0°の場合よりも低下する特性を示した。
このように、1次側コイル1及び1次側共振コイル2をY軸まわりに回転させると、Y=−330mmからY=+330mmの範囲内で、受電効率が改善されることが分かった。
これは、X軸方向における位置ずれがある2次側共振コイル3及び2次側コイル4の方向に、1次側コイル1及び1次側共振コイル2を傾斜させることにより、Y=−330mmからY=+330mmの範囲内で、磁気共鳴が増幅されたためと考えられる。
以上、実施の形態1の電力中継器100によれば、X軸方向における位置ずれがある2次側共振コイル3及び2次側コイル4の方向に、1次側コイル1及び1次側共振コイル2を傾斜させることにより、受電効率を改善することができる。
なお、以上では、上下移動機構110によって1次側コイル1及び1次側共振コイル2をZ軸方向で下方向に移動させる形態について説明したが、例えば、傾斜させても1次側コイル1及び1次側共振コイル2が道路の表面から突出しないような場合には、上下移動機構110による上下移動は行わなくてもよい。また、このような場合には、電力中継器100は、上下移動機構110を含まなくてもよい。
また、以上では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の両方の中心軸l1の角度を調整する形態について説明したが、磁気共鳴を増幅させるために必要なのは、1次側共振コイル2の中心軸の角度を2次側共振コイル3が存在する方向に傾斜させるように調整することである。
従って、1次側コイル1と1次側共振コイル2との間で電磁誘導によって電力を伝送できるのであれば、1次側コイル1の中心軸と1次側共振コイル2の中心軸とは必ずしも一致していなくてもよい。また、1次側コイル1の中心軸の角度と高さを1次側共振コイル2とともに調整しなくてもよい。
<実施の形態2>
図6は、実施の形態2の電力中継器の断面構成を示す図である。
実施の形態2の電力中継器200は、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2を1次側コイル1及び1次側共振コイル2の存在する方向に傾斜させる点が実施の形態1の電力中継器100と異なる。その他の構成は実施の形態1の電力中継器100と同様であるため、同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態2では、2次側共振コイル3及び2次側コイル4は、中心軸l2がZ軸に対してθy2だけ傾斜した状態に保持されている。これは、例えば、2次側共振コイル3及び2次側コイル4が、電気自動車等の移動体の下面において、中心軸l2がZ軸に対してθy2だけ傾斜されて取り付けられている状態に相当する。
実施の形態2では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれが500mmであり、かつ、Z軸方向の位置ずれ(間隔A)が200mmである状態から、1次側コイル1及び1次側共振コイル3と2次側共振コイル3及び2次側コイル4の位置を調整する。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2は、実施の形態1と同様に、θy1を10°に設定することにより、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1をZ軸に対して10°傾斜させるとともに、Z軸方向にZ1だけ下降させる。上下移動機構110による移動量をZ1は、実施の形態1で説明したように1次側共振コイル2の最外形の半径をr2とすると、Z1=r2×tanθy1で求まる。
また、2次側共振コイル3及び2次側コイル4は、θy2を10°に設定することにより、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をZ軸に対して10°傾斜させると共に、Z軸方向にZ2だけ上昇させた。
ここで、2次側共振コイル3の最外形の半径をr3とすると、移動量Z2は(2)式で求まる。
Z2=r3×tanθy2 ・・・(2)
2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸回りに回転させると、2次側共振コイル3の全体のうちのX軸方向の正側又は負側に位置する部分が回転前よりも高い位置に移動する。
ここで、例えば、2次側共振コイル3を電気自動車等の下面に設置する場合には、Y軸まわりの回転により2次側共振コイル3及び2次側コイル4が回転前の位置よりも下側に突出することは好ましくない。このため、実施の形態2では、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の位置を図6に破線で示す回転前の位置からZ2だけ上昇させる。例えば、2次側共振コイル3及び2次側コイル4を電気自動車等の移動体の下面に取り付ける場合には、取り付け位置をZ2だけ高い位置にずらせばよい。
ここで、θy2は、θy1と同様に、Y軸の負側から正側を見た状態で、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸のまわりに時計回りに回転させる方向を正とする。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1をZ軸に対して10°傾斜させるとともに、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2を10°傾斜させた状態で、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸方向に移動させた場合のシミュレーションを行い、図7に示す受電効率の特性を得た。
図7は、実施の形態2の電力中継器200の受電効率の位置ずれに対する特性を示す図である。
図7には、比較用に、実施の形態1の電力中継器100の受電効率を示す。実施の形態2の電力中継器200の受電効率は、Y=0mm〜100mmで約70%、Y=200mmで約60%、Y=300mmで約45%、Y=400mmで約20%、Y=500mmで約5%であった。
図7から分かるように、実施の形態2の電力中継器200の受電効率は、実施の形態1の電力中継器100の受電効率に比べて、Y軸方向の位置によらず、約10%改善された。
これにより、X軸方向に位置ずれがある場合に、1次側コイル1及び1次側共振コイル2に加えて、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2を1次側コイル1及び1次側共振コイル2の存在する方向に傾斜させることにより、受電効率を改善できることが分かった。
これは、2次側共振コイル3及び2次側コイル4を1次側コイル1及び1次側共振コイル2が存在する方向に傾斜させることにより、実施の形態1の電力中継器100よりも、磁気共鳴が増幅されたためと考えられる。
以上、実施の形態2の電力中継器200によれば、実施の形態1と同様に1次側コイル1及び1次側共振コイル2を傾斜させるとともに、2次側共振コイル3及び2次側コイル4を1次側コイル1及び1次側共振コイル2が存在する方向に傾斜させることにより、受電効率を改善することができる。
なお、実施の形態2では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の両方の中心軸l1の角度を調整するとともに、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の両方の中心軸l2の角度を調整する形態について説明した。しかしながら、磁気共鳴を増幅させるために必要なのは、1次側共振コイル2の中心軸の角度を2次側共振コイル3が存在する方向に傾斜させるとともに、2次側共振コイル3の中心軸の角度を1次側共振コイル2が存在する方向に傾斜させるように調整することである。
従って、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の間で電磁誘導によって電力を伝送できるのであれば、1次側コイル1の中心軸と1次側共振コイル2の中心軸とは必ずしも一致していなくてもよい。また、1次側コイル1の中心軸の角度と高さを1次側共振コイル2とともに調整しなくてもよい。
また、2次側共振コイル3及び2次側コイル4との間で電磁誘導によって電力を伝送できるのであれば、2次側共振コイル3の中心軸と2次側コイル4の中心軸とは必ずしも一致していなくてもよい。また、2次側コイル4の中心軸の角度と高さを2次側共振コイル3とともに調整しなくてもよい。
<実施の形態3>
図8は、実施の形態3の電力中継器の断面構成を示す図である。
実施の形態3の電力中継器300は、1次側コイル1及び1次側共振コイル3の中心軸l1と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2とをX軸まわり及びY軸まわりに回転させて傾斜させる点が実施の形態1の電力中継器100と異なる。
その他の構成は実施の形態1、2の電力中継器100、200と同様であるため、同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、1次側コイル1及び1次側共振コイル2をX軸まわりに回転させる角度をθx1、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をX軸まわりに回転させる角度をθx2とする。
θx1、θx2は、X軸の負側から正側を見た状態で、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をX軸のまわりに時計回りに回転させる方向を正とする。
実施の形態3では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれが500mmであり、かつ、Z軸方向の位置ずれ(間隔A)が200mmである状態から、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と2次側共振コイル3及び2次側コイル4の位置を調整する。なお、図8には、θx1、θy1だけ回転させる前の1次側コイル1及び1次側共振コイル2の位置と、θx2、θy2だけ回転させる前の2次側共振コイル3及び2次側コイル4の位置を破線で示す。
実施の形態3では、θx1、θy1を10°に設定することにより、1次側コイル1及び1次側共振コイル2を2次側共振コイル3及び2次側コイル4の存在する方向に傾斜機構120で傾斜させる。また、これに伴い、上下移動機構110で1次側コイル1及び1次側共振コイル2の位置をZ11だけ低下させた。Z11は、(3)式で求まる。
Z11=r2×tan(θx12+θy12)1/2 ・・・(3)
また、θx2、θy2をすべて10°に設定することにより、2次側共振コイル3及び2次側コイル4を1次側コイル1及び1次側共振コイル2の存在する方向に傾斜させるとともに、位置をZ22だけ上昇させた。Z22は、(4)式で求まる。
Z22=r3×tan(θx22+θy22)1/2 ・・・(4)
実施の形態3では、2次側共振コイル3及び2次側コイル4は、中心軸l2がZ軸に対して(θx22+θy22)1/2だけ傾斜した状態に保持されている。これは、例えば、2次側共振コイル3及び2次側コイル4が、電気自動車等の移動体の下面において、中心軸l2がZ軸に対して(θx22+θy22)1/2だけ傾斜されて取り付けられている状態に相当する。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1と2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2との間の間隔を500mmに保持した状態で、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸l1をZ軸に対して(θx12+θy12)1/2=10√2°傾斜させた。また、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2を(θx22+θy22)1/2=10√2°傾斜させた。この状態で、2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸方向に移動させた場合のシミュレーションを行ったところ、図9に示す受電効率の特性が得られた。
図9は、実施の形態3の電力中継器300の受電効率の位置ずれに対する特性を示す図である。
図9には、比較用に、実施の形態2の電力中継器200の受電効率を示す。実施の形態3の電力中継器300の受電効率は、Y=0mm〜100mmで約72%、Y=200mmで約62%、Y=300mmで約55%、Y=400mmで約40%、Y=500mmで約23%であった。
図9から分かるように、実施の形態3の電力中継器300の受電効率は、実施の形態2の電力中継器200の受電効率に比べて、Y=200mmよりもY軸方向の位置ずれが大きい領域で改善された。
これにより、X軸方向に位置ずれがある場合に、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とを互いに向き合う方向にX軸及びY軸のまわりに回転させることにより、受電効率を改善できることが分かった。
これは、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸とをX軸及びY軸のまわりに回転させて互いに向き合う方向に傾斜させることにより、実施の形態2の電力中継器200よりも、磁気共鳴が増幅されたためと考えられる。
以上、実施の形態3の電力中継器300によれば、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とを互いに向き合う方向にX軸及びY軸のまわりに回転させることにより、受電効率を改善することができる。
なお、実施の形態3では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の両方の中心軸l1の角度を調整するとともに、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の両方の中心軸l2の角度を調整する形態について説明した。しかしながら、磁気共鳴を増幅させるために必要なのは、1次側共振コイル2の中心軸の角度を2次側共振コイル3が存在する方向に傾斜させるとともに、2次側共振コイル3の中心軸の角度を1次側共振コイル2が存在する方向に傾斜させるように調整することである。
従って、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の間で電磁誘導によって電力を伝送できるのであれば、1次側コイル1の中心軸と1次側共振コイル2の中心軸とは必ずしも一致していなくてもよい。また、1次側コイル1の中心軸の角度と高さを1次側共振コイル2とともに調整しなくてもよい。
また、2次側共振コイル3及び2次側コイル4との間で電磁誘導によって電力を伝送できるのであれば、2次側共振コイル3の中心軸と2次側コイル4の中心軸とは必ずしも一致していなくてもよい。また、2次側コイル4の中心軸の角度と高さを2次側共振コイル3とともに調整しなくてもよい。
<変形例1>
実施の形態3の変形例1は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2に対して2次側共振コイル3及び2次側コイル4をY軸方向に移動させる場合に、Y軸方向の位置に応じて、最大の受電効率が得られるように、θx1、θy1、θx2、θy2の角度を制御するものである。θx1、θy1、θx2、θy2の角度を制御することにより、1次側コイル1及び1次側共振コイル2、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の傾斜の制御(傾斜制御)を行う。
θx1、θy1、θx2、θy2がすべて0°である状態では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれが500mmであり、かつ、Z軸方向の位置ずれが200mmである。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2のZ軸方向の位置ずれ(Z=0の点からのZ軸方向の位置ずれ)Z11、Z22は、θx1、θy1、θx2、θy2に応じて、(3)式、(4)式によって設定される。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2のX軸まわりの角度θx1、Y軸まわりの角度θy1、2次側共振コイル3及び2次側コイル4のX軸まわりの角度θx2、Y軸まわりの角度θy2の最適値を求めた。
その結果、2次側共振コイル3及び2次側コイル4のY軸方向の位置がY=0mm、Y=100mmのときは、θx1とθx2を0°に設定し、θy1とθy2を10°〜12°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=200mmのときは、θx1とθx2を0°に設定し、θy1とθy2を14°〜16°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=300mm、Y=400mmのときは、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて17°〜19°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=500mm、Y=600mmのときは、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
従って、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれが500mmであり、かつ、Z軸方向の位置ずれが200mmである場合には、上述のようにY軸方向の位置に応じてθx1、θy1、θx2、θy2を制御すれば、図10に示すような受電効率が得られる。
図10は、実施の形態3の変形例1の電力中継器の受電効率の位置ずれに対する特性を示す図である。
図10には、比較用に、実施の形態3の電力中継器300の受電効率を示す。実施の形態3の変形例1の電力中継器300の受電効率は、Y=0mmで約73%、Y=100mmで約70%、Y=200mmで約62%、Y=300mmで約55%、Y=400mmで約45%、Y=500mmで約38%、Y=600mmで約35%であった。
図10から分かるように、実施の形態3の変形例1の電力中継器の受電効率は、実施の形態3の電力中継器300の受電効率に比べて、Y=300mmよりもY軸方向の位置ずれが大きい領域で特に改善された。
以上のように、Y軸方向の位置ずれに応じて1次側コイル1及び1次側共振コイル2の向きと、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の向きを最適化することにより、受電効率を改善できることが分かった。
<変形例2>
実施の形態3の変形例2は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれを変形例1における500mmから300mmに変えて、θx1、θy1、θx2、θy2の最適化を行ったものである。
実施の形態3の変形例2では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれを300mmに設定し、かつ、Y軸方向の位置ずれによらずにθx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定して得る受電効率と比較して評価を行った。
その結果、2次側共振コイル3及び2次側コイル4のY軸方向の位置がY=0mm〜300mmの範囲では、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=400mmのときは、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて7°〜9°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=500mmのときは、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて14°〜16°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=600mmのときは、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて19°〜21°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y=700mm〜900mmの範囲では、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
従って、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれが300mmであり、かつ、Z軸方向の位置ずれが200mmである場合には、上述のようにY軸方向の位置に応じてθx1、θy1、θx2、θy2を制御すれば、図11に示すような受電効率が得られる。
図11は、実施の形態3の変形例2の電力中継器の受電効率の位置ずれに対する特性を示す図である。
実施の形態3の変形例2の電力中継器の受電効率は、Y=0mm、100mm、200mmで約92%、Y=300mmで約88%、Y=400mmで約63%、Y=500mmで約55%、Y=600mmで約40%であった。また、Y=700mmで約35%、Y=800mmで約27%、Y=900mmで約18%であった。
これに対して、Y軸方向の位置ずれによらずにθx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定して得る比較用の受電効率では、Y=0mm〜300mmでは変形例2の受電効率と同一であるが、Y=400mmで約55%、Y=500mmで約7%、Y=600mmで約36%であった。また、Y=700mm以上の場合は変形例2の受電効率と同一であり、Y=700mmで約35%、Y=800mmで約27%、Y=900mmで約18%であった。
図11から分かるように、実施の形態3の変形例2の電力中継器の受電効率は、比較用にY軸方向の位置ずれによらずにθx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定して得る受電効率に比べて、Y=300mm〜700mmの間で改善された。
以上のように、Y軸方向の位置ずれに応じて1次側コイル1及び1次側共振コイル2の向きと、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の向きを最適化することにより、受電効率を改善できることが分かった。
<変形例3>
実施の形態3の変形例3は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれを変形例1における500mmから100mmに変えて、θx1、θy1、θx2、θy2の最適化を行ったものである。
実施の形態3の変形例3では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれを100mmに設定し、かつ、Y軸方向の位置ずれによらずにθx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定して得る受電効率と比較して評価を行った。
その結果、2次側共振コイル3及び2次側コイル4のY軸方向の位置がY=0mm〜400mmの範囲では、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=500mmのときは、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて8°〜10°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=600mmのときは、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて16°〜18°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y=700mm〜900mmの範囲では、θx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
従って、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれが100mmであり、かつ、Z軸方向の位置ずれが200mmである場合には、上述のようにY軸方向の位置に応じてθx1、θy1、θx2、θy2を制御すれば、図12に示すような受電効率が得られる。
図12は、実施の形態3の変形例3の電力中継器の受電効率の位置ずれに対する特性を示す図である。
実施の形態3の変形例3の電力中継器の受電効率は、Y=0mm、100mm、200mmで約93%、Y=300mmで約90%、Y=400mmで約86%、Y=500mmで約66%、Y=600mmで約46%であった。また、Y=700mmで約35%、Y=800mmで約30%、Y=900mmで約22%であった。
これに対して、Y軸方向の位置ずれによらずにθx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定して得る比較用の受電効率では、Y=0mm〜400mmでは変形例3の受電効率と同一であるが、Y=500mmで約40%、Y=600mmで約22%であった。また、Y=700mm以上の場合は変形例3の受電効率と同一であり、Y=700mmで約35%、Y=800mmで約30%、Y=900mmで約22%であった。
図12から分かるように、実施の形態3の変形例3の電力中継器の受電効率は、比較用にY軸方向の位置ずれによらずにθx1、θy1、θx2、θy2をすべて0°に設定して得る受電効率に比べて、Y=400mm〜700mmの間で改善された。
以上のように、Y軸方向の位置ずれに応じて1次側コイル1及び1次側共振コイル2の向きと、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の向きを最適化することにより、受電効率を改善できることが分かった。
<変形例4>
実施の形態3の変形例4は、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれを変形例1における500mmから0mmに変えて、θx1、θx2の最適化を行ったものである。
実施の形態3の変形例4では、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれを0mmに設定し、かつ、Y軸方向の位置ずれによらずにθx1、θx2をすべて0°に設定して得る受電効率と比較して評価を行った。なお、X軸方向の位置ずれが0mmであるため、θy1、θy2は0°に固定した。
その結果、2次側共振コイル3及び2次側コイル4のY軸方向の位置がY=0mm〜400mmの範囲では、θx1、θx2をともに0°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=500mmのときは、θx1、θx2をともに10°〜12°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=600mmのときは、θx1、θx2をともに20°〜22°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y軸方向の位置がY=700mmのときは、θx1、θx2をともに26°〜28°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
Y=800mm〜900mmの範囲では、θx1、θx2をともに0°に設定したときにベストの受電効率が得られた。
従って、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4とのX軸方向の位置ずれが0mmであり、かつ、Z軸方向の位置ずれが200mmである場合には、上述のようにY軸方向の位置に応じてθx1、θx2を制御すれば、図13に示すような受電効率が得られる。
図13は、実施の形態3の変形例4の電力中継器の受電効率の位置ずれに対する特性を示す図である。
実施の形態3の変形例4の電力中継器の受電効率は、Y=0mm、100mm、200mmで約93%、Y=300mmで約92%、Y=400mmで約88%、Y=500mmで約70%、Y=600mmで約52%であった。また、Y=700mmで約36%、Y=800mmで約32%、Y=900mmで約22%であった。
これに対して、Y軸方向の位置ずれによらずにθx1、θx2をともに0°に設定して得る比較用の受電効率では、Y=0mm〜400mmでは変形例4の受電効率と同一であるが、Y=500mmで約60%、Y=600mmで約18%であった。また、Y=700mm以上の場合は変形例4の受電効率と同一であり、Y=700mmで約36%、Y=800mmで約32%、Y=900mmで約22%であった。
図13から分かるように、実施の形態3の変形例4の電力中継器の受電効率は、比較用にY軸方向の位置ずれによらずにθx1、θx2をともに0°に設定して得る受電効率に比べて、Y=400mm〜700mmの間で改善された。
以上のように、Y軸方向の位置ずれに応じて1次側コイル1及び1次側共振コイル2の向きと、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の向きを最適化することにより、受電効率を改善できることが分かった。
<実施の形態4>
図14は、実施の形態4の電力中継器を適用した電気自動車の充電システムの構成を示す図である。図14に示す電気自動車の充電システムは、電力中継器400Aと400Bを含む。
図15は、実施の形態4の電力中継器の構成を示すブロック図である。図15(A)は電力中継器400Aを示し、図15(B)は電力中継器400Bを示す。電力中継器400Aは、道路500側に配設される送電用の電力中継器である。電力中継器400Bは、電気自動車510に搭載される受電用の電力中継器である。
図14及び図15(A)に示すように、電力中継器400Aは、1次側コイル1、1次側共振コイル2、上下移動機構110、傾斜機構120、制御部410A、センサ501、502を含む。なお、図14では上下移動機構110及び傾斜機構120の図示を省く。
1次側コイル1及び1次側共振コイル2は、道路500の表面から少し窪んだ位置に設置されている。
電力中継器400Aの制御部410Aは、交流電源5、上下移動機構110、傾斜機構120、センサ501、502に接続されている。制御部410Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及び内部メモリ等を含む。
センサ501、502は、道路500の電気自動車510の進行方向において、1次側コイル1及び1次側共振コイル2よりも所定距離だけ上流側の道路脇に設置されている。センサ501は、センサ502と所定の間隔を隔てて、センサ502よりも電気自動車510の進行方向における上流側に設置されている。
センサ501、502は、例えば、赤外線を道路500の幅方向に照射して、道路500を通過する電気自動車510によって反射される反射波を検出し、反射波を検出したことを表す信号を出力する。
制御部410Aは、センサ501、502の出力信号に基づき、電気自動車510の有無、道路500の幅方向におけるセンサ501から電気自動車510までの距離、及び電気自動車510の速度を演算する。センサ501、502と1次側共振コイル2の中心軸との距離は既知であるので、電気自動車510の速度を検出すれば、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との位置関係の時間変化を検出することができる。
センサ501から電気自動車510までの距離は、センサ501が赤外線の照射を開始してから反射波を受信するまでの時間に基づいて求めることができる。また、電気自動車510の速度は、センサ501で電気自動車510を検出した時刻と、センサ502で電気自動車510を検出した時刻との差と、センサ501、502の間の距離に基づいて求めることができる。
制御部410Aは、道路500の表面における1次側コイル1及び1次側共振コイル2の中心軸上の点をXY座標の原点としたセンサ501、502の位置座標、電気自動車510の外寸、電気自動車510内における2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2の位置を表すデータを内部メモリに格納している。また、制御部410Aは、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の中心軸l2との距離に応じた1次側コイル1及び1次側共振コイル2の最適な傾斜角度を表すデータを内部メモリに格納している。
制御部410Aは、電気自動車510の通行を検知すると交流電源5に所定の周波数の交流電力を出力させる。また、制御部410Aは、中心軸l1と中心軸l2の道路500の幅方向における位置ずれと、電気自動車510の速度を演算し、電気自動車510の通過に合わせて、上下移動機構110の伸縮部110Bの制御、及び、傾斜機構120の傾斜部120Bの制御を行う。
図14及び図15(B)に示すように、電力中継器400Bは、電気自動車510に搭載されており、2次側共振コイル3、2次側コイル4、負荷回路6、上下移動機構130、傾斜機構140、及び制御部410Bを含む。電力中継器400Bの負荷回路6は、AC−DCコンバータであり、バッテリ420が接続されている。AC−DCコンバータは、例えば、交流電力を全波整流及び平滑化して直流電力として出力する整流回路と、整流回路から出力される直流電力の電圧値を変換するDC−DCコンバータとを含む。
バッテリ420は、電気自動車510のバッテリであり、例えば、リチウムイオンバッテリである。2次側共振コイル3及び2次側コイル4は、一例として、電気自動車510の床下(下面)に設置されている。2次側共振コイル3は、道路500側に設置される1次側共振コイル2から磁気共鳴により電力を受電することができる。
上下移動機構130は、電気自動車510の車体の下面に設置されており、2次側共振コイル3と2次側コイル4を電気自動車510の車体に対して上下方向に移動自在に保持している。上下移動機構130の構成及び動作は、上下移動機構110と同様である。
傾斜機構140は、上下移動機構130の先端に取り付けられており、上下移動機構130に対して2次側共振コイル3と2次側コイル4を傾斜自在に保持している。傾斜機構140の構成及び動作は、傾斜機構120と同様である。
上下移動機構130、傾斜機構140は、制御部410Bによって制御され、それぞれ、2次側共振コイル3と2次側コイル4の上下方向の移動、傾斜方向の移動を行う。
制御部410Bは、例えば、CPU及び内部メモリ等を含む。制御部410Bは、1次側コイル1及び1次側共振コイル2と、2次側共振コイル3及び2次側コイル4との距離に応じた2次側共振コイル3及び2次側コイル4の最適な傾斜角度を表すデータを内部メモリに格納している。
制御部410Bは、電気自動車510に搭載された2次側共振コイル3及び2次側コイル4と、1次側コイル1及び1次側共振コイル2との位置関係に基づいて2次側共振コイル3及び2次側コイル4の上下位置及び傾斜角度を制御する。
2次側共振コイル3及び2次側コイル4と、1次側コイル1及び1次側共振コイル2との位置関係は、例えば、電気自動車510に搭載されたナビゲーションシステムを用いて検出すればよい。例えば、ナビゲーションシステムの地図データに1次側コイル1及び1次側共振コイル2の位置を登録しておけば、地図データに登録された1次側コイル1及び1次側共振コイル2の位置と、電気自動車510に搭載された2次側共振コイル3及び2次側コイル4との位置関係を算出することができる。
制御部410Aが道路500を走行中の電気自動車510を検知すると、交流電源5が交流電力を出力し、道路500側の1次側コイル1を経て1次側共振コイル2から、電気自動車510側の2次側共振コイル3に磁気共鳴によって電力が伝送される。このとき、1次側コイル1及び1次側共振コイル2の傾斜角度及び上下位置は、制御部410Aによって制御される。
また、このとき電気自動車510では、制御部410Bがナビゲーションシステムから入力される位置情報に基づき、2次側共振コイル3及び2次側コイル4の傾斜角度及び上下位置を制御する。
道路500側の1次側共振コイル2から電気自動車510側の2次側共振コイル3に伝送された電力は、電磁誘導によって2次側コイル4に伝送され、AC−DCコンバータである負荷回路6を経てバッテリ420に充電される。
上下移動機構110の伸縮部110Bの制御量、及び、傾斜機構120の傾斜部120Bの制御量としては、例えば、実施の形態1乃至3の電力中継器100、200、300のいずれかにおける制御量(θx1、θy1、Z1、Z11)を用いることができる。また、これらの制御量(θx1、θy1、Z1、Z11)を電気自動車510の寸法等に合わせてさらに最適化してもよい。
上下移動機構130の制御量、及び、傾斜機構140の制御量としては、例えば、実施の形態2、3の電力中継器200、300のいずれかにおける制御量(θx2、θy2、Z2、Z22)を用いることができる。また、これらの制御量(θx2、θy2、Z2、Z22)を電気自動車510の寸法等に合わせてさらに最適化してもよい。
このように、送電側の電力中継器400Aと、受電側の電力中継器400Bを含む電気自動車の充電システムによれば、道路500を走行する電気自動車510が停止することなく、走行しながら非接触で効率よくバッテリ420の充電を行うことができる。
なお、制御部410Aによる上下移動機構110及び傾斜機構120の制御は、実施の形態1乃至3の電力中継器100、200、300の1次側コイル1及び1次側共振コイル2に適用してもよい。同様に、制御部410Bによる上下移動機構130及び傾斜機構140の制御は、実施の形態1乃至3の電力中継器100、200、300の2次側共振コイル3及び2次側コイル4に適用してもよい。
また、以上では、センサ501、502が赤外線を利用して電気自動車510を検出する形態について説明したが、センサ501、502は、電気自動車510の道路500における位置と速度を検出できれば、赤外線を利用したものに限られず、他の形式のセンサを用いることができる。
以上、実施の形態1乃至4では、一例として、電力中継器を電気自動車の充電システムに適用する形態について説明したが、電力中継器の適用対象は電気自動車に限られず、様々なものに適用することができる。例えば、工場等で物資を搬送する搬送ロボット、あるいは、携帯電話端末機、スマートフォン、ノート型のPC(Personal Computer)等の小型の電子装置に適用することも可能である。
以上、本発明の例示的な実施の形態1乃至4の電力中継器について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。