JP2013104880A - ミラーデバイス、ミラーデバイスの製造方法、光スキャナーおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ミラーデバイス1は、枠状部材14と、1対の第2の軸部材15a、15bと、光反射性を有する光反射部12を備える可動板11と、1対の第1の軸部材13a、13bと、枠状部材14に設けられ、長手形状をなす磁石20と、可動板11との接触を防止する空間23を形成するように枠状部材14と磁石20との間に介在して枠状部材14と磁石20とを接合し、半田で構成された第1の半田層21aおよび第2の半田層21bと、第1の下地層22aおよび第2の下地層22bとを備えている。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載の光スキャナーは、枠状の駆動部材と、駆動部材をX軸まわりに回動可能とするように、駆動部材を両持ち支持する1対の第1の軸部材とで構成された第1の振動系と、駆動部材の内側に設けられた可動板と、可動板をX軸に直交するY軸まわりに回動可能とするように、可動板を駆動部材に両持ち支持する1対の第2の軸部材とで構成された第2の振動系と、駆動部材に設けられた永久磁石と、永久磁石に対向するように設けられたコイルと、コイルに電圧を印加する電圧印加手段とを備える駆動手段と、可動板との干渉(接触)を防止する空間を形成するように駆動部材と永久磁石との間に介在するスペーサーとを有している。永久磁石は、可動板の平面視にて、両極を結ぶ線分がX軸およびY軸のそれぞれの軸に対して傾斜するように設けられている。そして、その永久磁石は、接着剤によりスペーサーに接合されている。
また、接着剤により永久磁石とスペーサーとを接合するので、高温多湿の環境下において、永久磁石がスペーサーから剥離してしまうという問題がある。
本発明のミラーデバイスは、光反射性を有する光反射部を備え、第1の軸周りに揺動可能な可動板と、
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、
前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成するように前記枠状部材と前記磁石との間に介在して前記枠状部材と前記磁石とを接合し、半田で構成された第1の半田層および第2の半田層と、
前記枠状部材と前記第1の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第1の下地層と、前記枠状部材と前記第2の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第2の下地層と、を備えることを特徴とする。
これにより、装置の小型化および低コスト化を図りつつ、可動板を第1の軸および第1の軸に直交する第2の軸の周りに回動(搖動)させることができる。
また、第1の半田層および第2の半田層により、枠状部材と磁石とが接合されているので、枠状部材と磁石とを強固に接合することができ、高温多湿の環境下においても磁石が枠状部材から剥離してしまうことを防止することができる。
前記第1の半田層により前記磁石の長手方向の一方の端部が接合され、前記第2の半田層により前記磁石の長手方向の他方の端部が接合されており、
前記第1の下地層と前記第2の下地層との面積が等しく、
前記第1の下地層における前記磁石の長手方向の前記第2の下地層と反対側の端部と、前記第2の下地層における前記磁石の長手方向の前記第1の下地層と反対側の端部との間の距離は、前記磁石の長手方向の長さよりも長いことが好ましい。
これにより、第1の半田層と第2の半田層との高さが等しくなり、磁石の一方の端部の枠状部材からの離間距離と、他方の端部の枠状部材からの離間距離とを等しくすることができ、可動板を円滑に第1の軸の周りおよび第2の軸の周りに回動させることができる。
前記第1の半田層により前記磁石の長手方向の一方の端部が接合され、前記第2の半田層により前記磁石の長手方向の他方の端部が接合されており、
前記第1の下地層と前記第2の下地層との面積が等しく、
前記第1の下地層は、前記磁石の前記一方の端部から該磁石の長手方向に突出し、前記第2の下地層は、前記磁石の前記他方の端部から該磁石の長手方向に突出していることが好ましい。
これにより、第1の半田層と第2の半田層との高さが等しくなり、磁石の一方の端部の枠状部材からの離間距離と、他方の端部の枠状部材からの離間距離とを等しくすることができ、可動板を円滑に第1の軸の周りおよび第2の軸の周りに回動させることができる。
これにより、第1の下地層および第2の下地層の半田の濡れ性を向上させることができる。
本発明のミラーデバイスでは、前記磁石と前記第1の半田層との間に介在し、前記磁石よりも前記半田の濡れ性が高い第3の下地層と、前記磁石と前記第2の半田層との間に介在し、前記磁石よりも前記半田の濡れ性が高い第4の下地層とを有することが好ましい。
これにより、枠状部材と磁石とをより強固に接合することができる。
本発明のミラーデバイスでは、前記第3の下地層および前記第4の下地層は、それぞれ、金属で構成されていることが好ましい。
これにより、第3の下地層および第4の下地層の半田の濡れ性を向上させることができる。
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、を備えるミラーデバイスの製造方法であって、
前記枠状部材に前記枠状部材よりも半田の濡れ性が高い第1の下地層および第2の下地層をそれぞれ形成する工程と、
前記第1の下地層および前記第2の下地層上にそれぞれ半田を配置し、前記半田を溶融し、第1の半田層を形成して該第1の半田層により前記磁石または着磁前の前記磁石を前記第1の下地層に接合するとともに、第2の半田層を形成して該第2の半田層により前記磁石または着磁前の前記磁石を前記第2の下地層に接合し、前記第1の半田層および前記第2の半田層により前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、本発明のミラーデバイスを容易かつ確実に製造することができる。
また、着磁後または着磁前の磁石を接合する際は、第1の下地層および第2の下地層上の溶融された半田により、磁石が適切な位置に自動的に移動し、その磁石の位置決めがなされるので、磁石を適切な位置に容易かつ確実に位置決めすることができる。
これにより、枠状部材を形成する際に、同時に、枠状部材における第1の下地層および第2の下地層の位置決めをそれぞれ行うことができ、これによって、製造工程を削減することができ、また、枠状部材における第1の下地層および第2の下地層の位置を正確に設定することができる。
前記第1の下地層上に配置する前記半田ボールの数で前記第1の半田層の高さを調整し、前記第2の下地層上に配置する前記半田ボールの数で前記第2の半田層の高さを調整することが好ましい。
これにより、第1の半田層および第2の半田層の高さをそれぞれ確実に調整することができる。
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、
前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成するように前記枠状部材と前記磁石との間に介在して前記枠状部材と前記磁石とを接合し、半田で構成された第1の半田層および第2の半田層と、
前記枠状部材と前記第1の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第1の下地層と、前記枠状部材と前記第2の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第2の下地層と、
前記枠状部材に対向して配置され、電圧の印加により前記磁石に作用する磁界を発生するコイルと、
前記コイルに電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、
前記電圧印加手段は、第1周波数の第1の電圧を発生させる第1電圧発生部と、前記第1周波数と周波数の異なる第2周波数の第2の電圧を発生させる第2電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1周波数で前記第2の軸周りに搖動させるとともに、前記第2周波数で前記第1の軸周りに搖動させるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、装置の小型化および低コスト化を図りつつ、可動板を第1の軸および第1の軸に直交する第2の軸の周りに回動(搖動)させることができる。
また、第1の半田層および第2の半田層により、枠状部材と磁石とが接合されているので、枠状部材と磁石とを強固に接合することができ、高温多湿の環境下においても磁石が枠状部材から剥離してしまうことを防止することができる。
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、
前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成するように前記枠状部材と前記磁石との間に介在して前記枠状部材と前記磁石とを接合し、半田で構成された第1の半田層および第2の半田層と、
前記枠状部材と前記第1の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第1の下地層と、前記枠状部材と前記第2の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第2の下地層と、
前記枠状部材に対向して配置され、電圧の印加により前記磁石に作用する磁界を発生するコイルと、
前記コイルに電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、
前記電圧印加手段は、第1周波数の第1の電圧を発生させる第1電圧発生部と、前記第1周波数と周波数の異なる第2周波数の第2の電圧を発生させる第2電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1周波数で前記第2の軸周りに搖動させるとともに、前記第2周波数で前記第1の軸周りに搖動させるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、装置の小型化および低コスト化を図りつつ、可動板を第1の軸および第1の軸に直交する第2の軸の周りに回動(搖動)させることができる。
また、第1の半田層および第2の半田層により、枠状部材と磁石とが接合されているので、枠状部材と磁石とを強固に接合することができ、高温多湿の環境下においても磁石が枠状部材から剥離してしまうことを防止することができる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の光スキャナーの第1実施形態を示す平面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図1に示す光スキャナーが備える駆動手段の電圧印加手段を示すブロック図、図4は、図3に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図2中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
可動板11の形状は、図示の構成では、平面視で円形をなしているが、これに限定されず、平面視で、例えば、楕円形、四角形等の多角形であってもよい。また、枠状部材14の形状は、図示の構成では、平面視でその外形形状が円形をなしているが、枠状であれば特に限定されず、平面視で外形形状が、例えば、円形、楕円形、四角形等の多角形であってもよい。
可動板11、軸部材13a、13b、枠状部材14、軸部材15a、15b、および支持枠16は、例えばシリコンを主材料として一体に形成されている。シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な処理(加工)が可能であり、光スキャナー10の小型化を図ることができる。なお、SOI基板等の積層構造を有する基板を用いてこれらを形成してもよく、この場合、可動板11、軸部材13a、13b、枠状部材14、軸部材15a、15b、および支持枠16が一体となるように、積層構造基板の1つの層で形成するのが好ましい。
永久磁石20は、長手形状、図示の構成では、板状でかつ真っ直ぐな棒状をなしており、その長手方向に磁化されている。すなわち、永久磁石20のS極とN極とを結ぶ線分の方向が、永久磁石20の長手方向と一致している。換言すれば、永久磁石20のS極とN極とを結ぶ線分が、永久磁石20の軸線と一致している。なお、永久磁石20の形状は、長手形状であれば、特に限定されるものではない。
なお、光スキャナー10を製造する際は、既に着磁がなされて永久磁石20となったもの枠状部材14に設置してもよいし、また、着磁前の硬磁性体を枠状部材14に設置してから、その硬磁性体を着磁することで永久磁石20としてもよい。
永久磁石20は、半田層21a、21bにより、下地層22a、22b、22c、22dを介して枠状部材14に接合されている。これにより、枠状部材14と永久磁石20とを強固に接合することができ、高温多湿の環境下においても永久磁石20が枠状部材14から剥離してしまうことを防止することができる。
下地層22a、22bは、それぞれ、枠状部材14の下面(ホルダー17と対向する面)に設けられるものであり、その表面の半田の濡れ性が枠状部材14よりも高くなるように構成されている。これにより半田層21a、21bにより永久磁石20を接合する際、下地層22a、22b上に半田が確実に、かつ均一に濡れ広がることができる。
また、本実施形態では、図1の平面視で、下地層22aと下地層22bとの面積は、等しく設定されている。そして、半田層21aと半田層21bとの体積は、等しく設定さている。半田層21a、21bにより永久磁石20を接合する際は、半田は、下地層22a、22bの表面全体に濡れ広がるので、これにより、半田層21aと半田層21bとの高さが等しくなり、永久磁石20の一方の端部の枠状部材14からの離間距離と、他方の端部の枠状部材14からの離間距離とを等しくすることができる。これによって、可動板11を円滑にX軸周りおよびY軸周りに回動させることができる。
なお、図1の平面視で、下地層22aと下地層22bとの面積は、異なっていてもよく、また、下地層22cと下地層22dとの面積は、異なっていてもよく、また、半田層21aと半田層21bとの体積は、異なっていてもよい。
下地層22a、22b、22c、22dを3層で構成する場合の具体例としては、それぞれ、例えば、Crで構成されたCr層(第1層)と、Niで構成されたNi層(第2層)と、Auで構成されたAu層(第3層)とをこの順序で積層したもの等が挙げられる。各下地層22a、22b、22c、22dは、それぞれ、Au層が半田層21a、21b側に位置するように形成される。
また、Ni層に代えて、例えば、Ni−Cr系合金、Cr、Ti、Ta等で構成された層を用いることができる。
また、Au層に代えて、例えば、Pd等で構成された層を用いることができる。
コイル30は、電圧印加手段40と電気的に接続されている。そして、電圧印加手段40によりコイル30に電圧が印加されることで、コイル30からX軸およびY軸に直交する磁束を有する磁界が発生する。なお、コイル30は磁心に巻き付けられていてもよい。
第1の電圧発生部41は、図4(a)に示すように、周期T1で周期的に変化する第1の電圧V1(垂直走査用電圧)を発生させるものである。
一方、第2の電圧発生部42は、図4(b)に示すように、周期T1と異なる周期T2で周期的に変化する第2の電圧V2(水平走査用電圧)を発生させるものである。
このような第2の電圧V2の周波数(第2周波数)は、第1の電圧V1の周波数(第1周波数)よりも大きいことが好ましい。すなわち、周期T2は、周期T1よりも短いことが好ましい。これにより、より確実かつより円滑に、可動板11をX軸周りに第1周波数で回動させつつ、Y軸周りに第2周波数で回動させることができる。
電圧重畳部43は、コイル30に電圧を印加するための加算器43aを備えている。加算器43aは、第1の電圧発生部41から第1の電圧V1を受けるとともに、第2の電圧発生部42から第2の電圧V2を受け、これらの電圧を重畳しコイル30に印加するようになっている。
すると、第1の電圧V1によって、枠状部材14と永久磁石20のN極との接合部付近をコイル30に引き付けようとするとともに、枠状部材14と永久磁石20のS極との接合部付近をコイル30から離間させようとする磁界(この磁界を「磁界A1」という)と、枠状部材14と永久磁石20のN極との接合部付近をコイル30から離間させようとするとともに、枠状部材14と永久磁石20のS極との接合部付近をコイル30に引き付けようとする磁界(この磁界を「磁界A2」という)とが交互に切り換わる。
なお、第2の電圧V2の周波数は、第1の振動系のねじり共振周波数と等しい。そのため、第2の電圧V2によって可動板11をY軸まわりに回動させることができる。つまり、第1の電圧V1によって、可動板11がY軸まわりに回動してしまうことを防止することができる。
<第1の製造方法>
図5は、図1に示す光スキャナーのミラーデバイスを示す平面図、図6〜図8は、図1に示す光スキャナーのミラーデバイスの第1の製造方法を説明するための断面図である。この場合、図6〜図8は、図5のB−B線断面図に対応するものである。なお、以下では、説明の便宜上、図5中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、図6〜図8では、図2に対して上下が逆になっているが、図6〜図8中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
次に、図6(a)に示すように、基板5を熱酸化し、その基板5の表面に酸化膜51を形成する。そして、基板5の下面側の酸化膜51の形状を、ミラーデバイス1の図2中の上面側の平面視形状に対応する形状にする。
次に、図6(b)に示すように、酸化膜51をマスクとして、基板5を下面側からエッチングする。
前記酸化膜51をマスクとして行う基板5のエッチングにおいては、例えば、エッチング液として水酸化テトラメチルアンモニウム等を用いて、ウェットエッチングを行う。
次に、図6(d)に示すように、基板5の上面側の酸化膜52をエッチングして除去する。このエッチングにおいては、例えば、反応性イオンエッチングを行う。
次に、図7(b)に示すように、基板5の上面および下地層22a、22bの上面に、可動板本体110(可動板11)と、軸部材13a、13bと、枠状部材14と、軸部材15a、15bと、支持枠16との平面視形状に対応する形状をなすレジスト膜63を形成する。
次に、図7(d)に示すように、酸化膜51を除去する。この場合、例えば、フッ酸等を用いることができる。
ここで、下地層22a上に配置する半田ボールの数でその下地層22a上形成される半田層21aの高さを調整し、下地層22b上に配置する半田ボールの数でその下地層22b上形成される半田層21bの高さを調整する。これにより、半田層21a、21bの高さをそれぞれ確実に調整することができる。
次に、図8(c)に示すように、枠状部材14の下地層22a上の半田64aと、永久磁石20側の下地層22c上のフラックス膜65aとが一致し、下地層22b上の半田64bと下地層22d上のフラックス膜65bとが一致するように、永久磁石20を枠状部材14上に載置する。
また、下地層22a、22b上にフラックス膜を設け、下地層22c、22d上にフラックス膜65a、65bを設けることにより、半田ボールを溶融して半田層21a、21bを形成する際、半田層21a、21bの表面の酸化膜を除去したり、酸化を防止することができる。
図9〜図11は、図1に示すミラーデバイスの第2の製造方法を説明するための断面図である。この場合、図9〜図11は、図5のB−B線断面図に対応するものである。なお、図9〜図11では、図2に対して上下が逆になっているが、以下では、説明の便宜上、図9〜図11中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、支持枠16の構造は、前述した第1の製造方法の場合と若干異なっている。
まず、SOI基板7を用意する。SOI基板7は、Si層(第1のSi層)7a、SiO2層7bおよびSi層(第2のSi層)7cが、図9(a)中上側から下側へ、この順にて積層してなる積層構造基板である。
次に、図9(b)に示すように、SOI基板7の上面側の酸化膜71をエッチングして除去する。このエッチングにおいては、例えば、反応性イオンエッチングを行う。
次に、図9(c)に示すように、SOI基板7のSi層7aの上面に、Si層7aの上面の下地層22a、22bを形成する部位以外を覆うように、レジスト膜81を形成する。下地層22a、22bを形成する部位の位置は、後述する溶融した半田64a、64bにより永久磁石20の位置決めがなされる際、永久磁石20が適切な位置に位置するように設定される。そして、Si層7aの上面に、下地層22a、22bとなる部位を含む層82を形成する。なお、層82の構成材料は、下地層22a、22bの構成材料と同一のものである。
次に、図9(e)に示すように、Si層7cの下面側の酸化膜71の形状を、ミラーデバイス1の図2中の上面側の平面視形状に対応する形状にする。なお、前述したように、この第2の製造方法で製造されるミラーデバイス1の図2中の上面側の形状は、その図2に示すミラーデバイス1とは若干異なっている。
次に、図10(b)に示すように、レジスト膜83をマスクとして、Si層7aを上面側からエッチングする。このエッチングにおいては、例えば、誘導結合型反応性イオンエッチングを行う。このとき、SiO2層7bは、エッチングのストップ層として機能する。
次に、図10(d)に示すように、Si層7cの下面側の酸化膜71と、露出しているSiO2層7bとをエッチングして除去する。このエッチングにおいては、例えば、反応性イオンエッチングを行う。
次に、図11(b)に示すように、永久磁石20の長手方向の両端部に、下地層22c、22dを形成する。この下地層22c、22dの形成は、例えば、所定のマスクを用いて行うことができる。そして、下地層22c、22d上に、それぞれ、フラックス機能を有する化合物を塗布して、フラックス膜65a、65bを形成する。
次に、図11(d)に示すように、半田64a、64bを溶融し、半田層21a、21bを形成し、半田層21aにより、下地層22a、22cを介して枠状部材14と永久磁石20の一方の端部とを接合するとともに、半田層21bにより、下地層22b、22dを介して枠状部材14と永久磁石20の他方の端部とを接合する。枠状部材14と永久磁石20との間には、半田層21a、21b、下地層22a、22b、22c、22dが介在することとなり、空間23が形成される。以上のようにして、ミラーデバイス1が製造される。
また、永久磁石20は、半田層21a、21bにより、下地層22a、22b、22c、22dを介して枠状部材14に接合されているので、枠状部材14と永久磁石20とを強固に接合することができ、高温多湿の環境下においても永久磁石20が枠状部材14から剥離してしまうことを防止することができる。
また、ミラーデバイス1の製造において着磁後または着磁前の永永久磁石20を接合する際は、下地層22a、22b上の溶融された半田により、永久磁石20が適切な位置に自動的に移動し、その永久磁石20の位置決めがなされるので、永久磁石20を適切な位置に容易かつ確実に位置決めすることができる。
また、光スキャナー10は、枠状部材14に永久磁石20を設け、永久磁石20に対向するようにホルダー17上にコイル30を設けている。つまり、第2の振動系および第1の振動系上には発熱体であるコイル30が設けられていない。そのため、通電によってコイル30から発生する熱による振動系の撓みや共振周波数の変化を防止または抑制することができる。その結果、光スキャナー10は、長時間の連続使用であっても所望の振動特性を発揮することができる。
図12は、本発明の光スキャナーの第2実施形態を示す平面図、図13は、図12のC−C線断面図である。
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
これにより、着磁後または着磁前の永久磁石20を枠状部材14に接合する際、溶融された半田による永久磁石20の位置決めを確実に行うことができ、また、永久磁石20と枠状部材14とを強固に接合することができる。
同様に、半田層21aは、永久磁石20一方の端部から永久磁石20の長手方向に対して直交する方向に突出し、半田層21bは、永久磁石20の他方の端部から永久磁石20の長手方向に対して直交する方向に突出している。
以上説明したような光スキャナー10は、光反射部12を備えているため、例えば、レーザープリンター、バーコードリーダー、走査型共焦点レーザー顕微鏡や、プロジェクター、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)のようなイメージング用ディスプレイ等の画像形成装置が備える光スキャナーに好適に適用することができる。
図14は、本発明の画像形成装置の実施形態を模式的に示す図である。
本実施形態では、画像形成装置の一例として、光スキャナー10をイメージング用ディスプレイの光スキャナーとして用いた場合を説明する。なお、スクリーンSの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。また、X軸、すなわち回動中心軸XがスクリーンSの横方向と平行であり、Y軸、すなわち回動中心軸YがスクリーンSの縦方向と平行である。
光源装置91は、赤色光を照出する赤色光源装置911と、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913とを備えている。
このようなプロジェクター9は、図示しないホストコンピューターからの画像情報に基づいて、光源装置91(赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913)から照出された光をダイクロイックミラー92で合成し、この合成された光が光スキャナー10によって2次元走査され、スクリーンS上でカラー画像を形成するように構成されている。
なお、図14中では、ダイクロイックミラー92で合成された光を光スキャナー10によって2次元的に走査した後、その光を固定ミラーKで反射させてからスクリーンSに画像を形成するように構成されているが、固定ミラーKを省略し、光スキャナー10によって2次元的に走査された光を直接スクリーンSに照射してもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、前記実施形態では、磁石として、永久磁石を用いているが、本発明では、磁石として、電磁石を用いてもよい。
また、本発明では、下地層22c、22dは、省略されていてもよい。
Claims (11)
- 光反射性を有する光反射部を備え、第1の軸周りに揺動可能な可動板と、
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、
前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成するように前記枠状部材と前記磁石との間に介在して前記枠状部材と前記磁石とを接合し、半田で構成された第1の半田層および第2の半田層と、
前記枠状部材と前記第1の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第1の下地層と、前記枠状部材と前記第2の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第2の下地層と、を備えることを特徴とするミラーデバイス。 - 前記第1の半田層と前記第2の半田層との体積が等しく、
前記第1の半田層により前記磁石の長手方向の一方の端部が接合され、前記第2の半田層により前記磁石の長手方向の他方の端部が接合されており、
前記第1の下地層と前記第2の下地層との面積が等しく、
前記第1の下地層における前記磁石の長手方向の前記第2の下地層と反対側の端部と、前記第2の下地層における前記磁石の長手方向の前記第1の下地層と反対側の端部との間の距離は、前記磁石の長手方向の長さよりも長い請求項1に記載のミラーデバイス。 - 前記第1の半田層と前記第2の半田層との体積が等しく、
前記第1の半田層により前記磁石の長手方向の一方の端部が接合され、前記第2の半田層により前記磁石の長手方向の他方の端部が接合されており、
前記第1の下地層と前記第2の下地層との面積が等しく、
前記第1の下地層は、前記磁石の前記一方の端部から該磁石の長手方向に突出し、前記第2の下地層は、前記磁石の前記他方の端部から該磁石の長手方向に突出している請求項1に記載のミラーデバイス。 - 前記第1の下地層および前記第2の下地層は、それぞれ、金属で構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のミラーデバイス。
- 前記磁石と前記第1の半田層との間に介在し、前記磁石よりも前記半田の濡れ性が高い第3の下地層と、前記磁石と前記第2の半田層との間に介在し、前記磁石よりも前記半田の濡れ性が高い第4の下地層とを有する請求項1ないし4のいずれかに記載のミラーデバイス。
- 前記第3の下地層および前記第4の下地層は、それぞれ、金属で構成されている請求項5に記載のミラーデバイス。
- 光反射性を有する光反射部を備え、第1の軸周りに揺動可能な可動板と、
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、を備えるミラーデバイスの製造方法であって、
前記枠状部材に前記枠状部材よりも半田の濡れ性が高い第1の下地層および第2の下地層をそれぞれ形成する工程と、
前記第1の下地層および前記第2の下地層上にそれぞれ半田を配置し、前記半田を溶融し、第1の半田層を形成して該第1の半田層により前記磁石または着磁前の前記磁石を前記第1の下地層に接合するとともに、第2の半田層を形成して該第2の半田層により前記磁石または着磁前の前記磁石を前記第2の下地層に接合し、前記第1の半田層および前記第2の半田層により前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成する工程とを有することを特徴とするミラーデバイスの製造方法。 - 基板の所定の位置に前記第1の下地層および前記第2の下地層をそれぞれ形成した後、前記基板を所定の形状に加工し、前記枠状部材と、前記第1の軸部材と、前記可動板と、前記第2の軸部材とをそれぞれ形成する請求項7に記載のミラーデバイスの製造方法。
- 前記第1の下地層および前記第2の下地層上に配置する前記半田は、それぞれ、半田ボールであり、
前記第1の下地層上に配置する前記半田ボールの数で前記第1の半田層の高さを調整し、前記第2の下地層上に配置する前記半田ボールの数で前記第2の半田層の高さを調整する請求項7または8に記載のミラーデバイスの製造方法。 - 光反射性を有する光反射部を備え、第1の軸周りに揺動可能な可動板と、
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、
前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成するように前記枠状部材と前記磁石との間に介在して前記枠状部材と前記磁石とを接合し、半田で構成された第1の半田層および第2の半田層と、
前記枠状部材と前記第1の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第1の下地層と、前記枠状部材と前記第2の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第2の下地層と、
前記枠状部材に対向して配置され、電圧の印加により前記磁石に作用する磁界を発生するコイルと、
前記コイルに電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、
前記電圧印加手段は、第1周波数の第1の電圧を発生させる第1電圧発生部と、前記第1周波数と周波数の異なる第2周波数の第2の電圧を発生させる第2電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1周波数で前記第2の軸周りに搖動させるとともに、前記第2周波数で前記第1の軸周りに搖動させるよう構成されていることを特徴とする光スキャナー。 - 光反射性を有する光反射部を備え、第1の軸周りに揺動可能な可動板と、
前記可動板の前記第1の軸に沿う方向の両端に接続された第1の軸部材と、
前記可動板を囲んでおり、前記第1の軸部材が接続され、前記第1の軸に直交する第2の軸周りに搖動可能な枠状部材と、
前記枠状部材の前記第2の軸に沿う方向の両端に接続された第2の軸部材と、
前記枠状部材に配置され、一方の磁極と他方の磁極とが前記第1の軸および前記第2の軸をそれぞれ挟んで配置された長手形状をなす磁石と、
前記可動板と前記磁石との接触を防止する空間を形成するように前記枠状部材と前記磁石との間に介在して前記枠状部材と前記磁石とを接合し、半田で構成された第1の半田層および第2の半田層と、
前記枠状部材と前記第1の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第1の下地層と、前記枠状部材と前記第2の半田層との間に介在し、前記枠状部材よりも前記半田の濡れ性が高い第2の下地層と、
前記枠状部材に対向して配置され、電圧の印加により前記磁石に作用する磁界を発生するコイルと、
前記コイルに電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、
前記電圧印加手段は、第1周波数の第1の電圧を発生させる第1電圧発生部と、前記第1周波数と周波数の異なる第2周波数の第2の電圧を発生させる第2電圧発生部と、前記第1の電圧と前記第2の電圧とを重畳する電圧重畳部とを備え、前記電圧重畳部で重畳された電圧を前記コイルに印加することにより、前記可動板を前記第1周波数で前記第2の軸周りに搖動させるとともに、前記第2周波数で前記第1の軸周りに搖動させるよう構成されていることを特徴とする画像形成装置。
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