JP2013104311A - シリンダヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】排気ポート6を備えるシリンダヘッド1において、排気ガスの冷却性能を向上可能とする。
【解決手段】排気ポート6において排気流れ方向の上流端から途中(6d)までの上流部6a,6bが複数に分岐されていて、排気ポート6において前記途中(6d)から下流端までの下流部6cが一つに集合されている。下流部6cの内周面において排気ガスが案内されやすい領域に、排気流れ方向に沿う短尺突条部7が設けられている。各上流部6a,6bから下流部6cまでの内周面において排気ガスが案内されやすい領域で短尺突条部7の周方向両側方に、排気流れ方向に沿う長尺突条部8,9が少なくとも上流部6a,6bと同数設けられている。短尺突条部7の突出寸法h1が、長尺突条部8,9の突出寸法h2と異なるように設定されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、排気ポートを備えるシリンダヘッドに関する。
多気筒型エンジンに用いるシリンダヘッドには、各気筒から排出される排気ガスを排気管に導くための排気ポートが設けられている。
近年の多気筒型エンジンは、一つの気筒から二つまたはそれ以上の排気バルブで排気を行うように構成されている。そのため、排気ポートは、その排気流れ方向の上流端から途中までの上流部が複数に分岐されていて、前記途中から下流端までの下流部が一つに集合されている。
このような排気ポートを備えるシリンダヘッドでは、排気ガスの冷却性能を高めるために、例えば特許文献1に示すように、排気ポートの内周面の上部と下部とに冷却用のフィンを櫛歯状に設けるようにしている。この場合、櫛歯状のフィンの表面積分について排気ポートの受熱面積が増大することになるので、排気ガスの熱の回収効率が向上するはずである。
特開平10−317995号公報
上記特許文献1に係る従来例では、排気ガスの熱の回収効率が期待するほどには向上しないと考えられる。というのは、特許文献1では、多数の小さいフィンを周方向に櫛歯状に並べて形成しているために、各フィンの周方向対向空間が極く狭くなっている。しかも、周方向に隣り合うフィンそれぞれの突出端の位置が周方向に揃っているために、当該周方向に隣り合う多数のフィンの周方向対向空間に排気ガスが入りにくくなってしまい、結果的に、排気ガスがフィンの突出端には触れるもののフィンの両側面に対して触れにくくなってしまうと考えられる。ここに改良の余地がある。
このような事情に鑑み、本発明は、排気ポートを備えるシリンダヘッドにおいて、排気ガスの冷却性能を向上可能とすることを目的としている。
本発明は、排気ポートを備えるシリンダヘッドであって、前記排気ポートにおいて排気流れ方向の上流端から途中までの上流部が複数に分岐されていて、前記排気ポートにおいて前記途中から下流端までの下流部が一つに集合されており、前記下流部の内周面において排気ガスが案内されやすい領域に、排気流れ方向に沿う短尺突条部が設けられており、前記各上流部から前記下流部までの内周面において排気ガスが案内されやすい領域で前記短尺突条部の周方向両側方に、排気流れ方向に沿う長尺突条部が少なくとも前記上流部と同数設けられており、前記短尺突条部の突出寸法が、前記長尺突条部の突出寸法と異なるように設定されている、ことを特徴としている。
好ましくは、前記短尺突条部の突出寸法が、前記長尺突条部の突出寸法よりも大きく設定される。
このように設定した場合、複数の上流部それぞれから下流部に排気ガスが流入する際には、突出寸法の大きい短尺突条部が周方向の中央に位置している関係より、複数の上流部それぞれから下流部に流入する排気ガスがほとんど合流(衝突)せずに短尺突条部の両側に独立して流れるようになる。
このように、複数の上流部それぞれを流れる排気ガスが集合起点でほとんど合流(衝突)しないので、圧力損失が発生せずに済む。しかも、それぞれ短尺突条部の両側に独立して流れる排気ガスは、中央に位置する短尺突条部の一側面に案内されて当該一側面と一方の長尺突条部の中央寄り側面との周方向対向空間に入り込みやすくなるとともに、中央に位置する短尺突条部の他側面に案内されて当該他側面と他方の長尺突条部の中央寄り側面との周方向対向空間に入り込みやすくなる。これら両側の対向空間に入り込んだ排気ガスは流速が速められて各突条部の外表面に触れながら下流側へ流れるようになる。
このようなことから、排気ガスが排気ポートの内周面に加えて、全ての突条部の外表面の広域に触れるようになるので、全ての突条部でもって排気ガスの熱を効率良く回収することが可能になる。したがって、本発明に係るシリンダヘッドによれば、排気ガスの冷却性能が向上することになる。
この他、前記短尺突条部の突出寸法を、前記長尺突条部の突出寸法より小さく設定することが可能である。
このように設定した場合、複数の上流部それぞれから下流部に排気ガスが流入する際には、排気ガスが合流(衝突)することによって乱れることになり、この乱れた排気ガスが一方の長尺突条部の中央寄り側面に案内されて当該中央寄り側面と中央の短尺突条部の一側面との周方向対向空間に入り込みやすくなるとともに、前記乱れた排気ガスが他方の長尺突条部の中央寄り側面に案内されて当該中央寄り側面と中央の短尺突条部の他側面との周方向対向空間に入り込みやすくなる。
これら両側の対向空間に入り込んだ排気ガスはそれぞれ流速が速められて全ての突条部の外表面に触れながら下流側へ流れるようになる。このようなことから、下流部の内周面だけでなく全ての突条部の外表面でもって排気ガスの熱を効率良く回収することが可能になる。
好ましくは、前記各上流部の中心軸線は、当該各上流部の連結対象となる気筒の中心軸線に対して傾斜されていて、前記下流部の中心軸線は、前記各上流部の中心軸線に対してさらに傾斜されており、前記気筒の中心軸線に対する前記下流部の中心軸線の傾斜角度が、前記気筒の中心軸線に対する前記各上流部の中心軸線の傾斜角度より小さくされており、前記全ての突条部が設置される領域は、前記排気ポートの内周面において鉛直方向の上半分領域とされている。
ここでは、排気ポートの上流部および下流部の形状を特定しているとともに、各突条部の設置領域を特定している。これにより、排気ガスが突条部に衝突する状況が分かりやすくなる。
本発明に係るシリンダヘッドでは、排気ガスの冷却性能を向上させることが可能になる。
本発明に係るシリンダヘッドにおいて排気ポートを主体に記載した平面の模式図である。 図1の(2)−(2)線断面の矢視図である。 図1の(3)−(3)線断面の矢視図である。 本発明に係るシリンダヘッドの他実施形態で、図2に対応する図である。 図4の実施形態で、図3に対応する図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図3に本発明の一実施形態を示している。図中、1はシリンダヘッドの全体を示している。この実施形態に例示するシリンダヘッド1については、一つの気筒2に、図示していないが、二つの吸気バルブと二つの排気バルブとを用いるタイプとされている。
シリンダヘッド1の下面において図示していないシリンダブロックの気筒2に対応する位置には、気筒2とピストン3と協力して燃焼室4を作るための凹部1aが設けられている。この凹部1aには、吸気ポート5と排気ポート6とが連通連結されている。
図1に示すように、排気ポート6は、その排気流れ方向の上流端から途中までの上流部6a,6bが複数(この実施形態では二つ)に分岐されていて、前記途中から下流端までの下流部6cが一つに集合されている。
前記途中が集合起点6d(または分岐起点)となる。排気ポート6の第1上流部6aおよび第2上流部6bの各上流端は、燃焼室4に連通連結されている。一方、排気ポート6の一つの下流部6cの下流端は、シリンダヘッド1の背面1bに開口されている。
図2に示すように、第1上流部6a(第2上流部6b)の中心軸線X1(X2)は、気筒2の中心軸線Yに対して傾斜されており、下流部6cの中心軸線Zは、第1上流部6a(第2上流部6b)の中心軸線X1(X2)に対して傾斜されている。
なお、第1上流部6a(第2上流部6b)の中心軸線X1(X2)は、排気ポート6の上流開口の中心と集合起点6dの中心とを結ぶ直線とされる。下流部6cの中心軸線Zは、集合起点6dの中心と下流開口の中心とを結ぶ直線とされる。
そして、気筒2の中心軸線Yに対する下流部6cの中心軸線Zの傾斜角度βは、気筒2の中心軸線Yに対する第1上流部6a(第2上流部6b)の中心軸線X1(X2)の傾斜角度αより小さく設定されている。
このような排気ポート6を備えるシリンダヘッド1では、排気ガスの冷却性能を向上させるために、排気ポート6の内周面に冷却用の突条部7,8,9が設けられている。この突条部7〜9について、以下で詳しく説明する。
具体的に、下流部6cの内周面において排気ガスが衝突して案内されやすい領域(例えば鉛直方向の上半分領域)において周方向の中央に、短尺突条部7が設けられている。この短尺突条部7は、下流部6cの中心軸線Z(または排気流れ方向)に沿って直線状に設けられている。
第1、第2上流部6a,6bから下流部6cまでの内周面において排気ガスが案内されやすい領域(例えば鉛直方向の上半分領域)において短尺突条部7の両側方に、長尺突条部8,9が第1、第2上流部6a,6bと同数設けられている。
これら第1、第2長尺突条部8,9は、第1、第2上流部6a,6bにおいてはそれらの中心軸線X1,X2(または排気流れ方向)に沿って設けられており、さらに下流部6cにおいては短尺突条部7の両側方に短尺突条部7とほぼ平行に設けられている。
詳しくは、短尺突条部7は、下流部6cにおいて集合起点6dから下流端までの全長に連続して延びるように設けられている。第1、第2長尺突条部8,9は、第1、第2上流部6a,6bにおいて上流端よりも集合起点6d寄りの位置(例えばバルブガイド11の貫通位置)から下流部6cの下流端にまで連続して延びるように設けられている。
なお、前記した排気ガスが案内されやすい領域とは、例えば鉛直方向の上半分領域のことであり、この領域に全ての突条部7〜9が設置されている。
この実施形態では、図3に示すように、第1、第2長尺突条部8,9が同じ突出寸法h2に設定されており、短尺突条部7の突出寸法h1が第1、第2長尺突条部8,9の突出寸法h2よりも大きく設定されている。これにより、短尺突条部7の突出端の位置と第1、第2長尺突条部8,9の突出端の位置とが周方向で不揃いになっている。
特に、この実施形態の場合には、短尺突条部7の突出寸法h1を可及的に大きくして下流部6cの内周面において下半分領域に近づけるように設定している。
次に、以上のように構成した排気ポート6における排気ガスの流れを説明する。
特にエンジンの高回転時に燃焼室4から流速の速い排気ガスが排出されるが、この排気ガスは排気ポート6の第1上流部6aと第2上流部6bとに流入する。この排気ガスが第1上流部6aと第2上流部6bとから集合起点6dに到達するまでの間、排気ガスは、第1上流部6aの内周面と第2上流部6bの内周面とに触れること加えて、第1長尺突条部8の全外表面と第2長尺突条部9の全外表面とに万遍なく触れることになるので、排気ガスの熱が効率良く回収されるようになる。
そして、第1、第2上流部6a,6bそれぞれから下流部6cに排気ガスが流入する際には、突出寸法h1の大きい短尺突条部7が周方向の中央に位置している関係より、第1、第2上流部6a,6bそれぞれから下流部6cに流入する排気ガスがほとんど合流(衝突)せずに短尺突条部7の両側に独立して流れるようになる。
このように、第1、第2上流部6a,6bそれぞれを流れる排気ガスが集合起点6dでほとんど合流(衝突)しないので、圧力損失が発生せずに済む。しかも、それぞれ短尺突条部7の両側に独立して流れる排気ガスは、中央に位置する短尺突条部7の一側面7aに案内されて当該一側面7aと第1長尺突条部8の中央寄り側面8aとの周方向対向空間に入り込みやすくなるとともに、中央に位置する短尺突条部7の他側面7bに案内されて当該他側面7bと第2長尺突条部9の中央寄り側面9aとの周方向対向空間に入り込みやすくなる。
これら両側の対向空間に入り込んだ排気ガスは流速が速められて各突条部7〜9の外表面に触れながら下流側へ流れるようになる。当然ながら下流部7cにおいて第1長尺突条部8の反中央寄り側面8bや第2長尺突条部9の反中央寄り側面9bにも排気ガスが触れるようにもなる。
このようなことから、排気ガスが排気ポート6の内周面に加えて、全ての突条部7〜9の外表面の広域に触れるようになるので、全ての突条部7〜9でもって排気ガスの熱を効率良く回収することが可能になる。
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、排気ポート6の内周面に周方向で隣り合うように設けられる短尺突条部7の突出寸法h1と第1、第2長尺突条部8,9の突出寸法h2とを異ならせるように設定しているから、特に排気ガスの流速が速い場合に、当該排気ガスを全ての突条部7〜9の外表面の広域に触れさせることが可能になって、全ての突条部7〜9でもって排気ガスの熱を効率良く回収させることが可能になる。したがって、この実施形態のシリンダヘッド1によれば、排気ガスの冷却性能を向上させることが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態では、多気筒型エンジンに用いるシリンダヘッド1を例に挙げているが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば単気筒型エンジンに用いるシリンダヘッドにも適用することが可能である。その場合でも、排気ポート6については上記実施形態と同様の構成とされる。
(2)上記実施形態では、短尺突条部7の突出寸法h1を第1、第2長尺突条部8,9の突出寸法h2よりも大きく設定した例を挙げているが、その反対、つまり例えば図4および図5に示すように、短尺突条部7の突出寸法h1を第1、第2長尺突条部8,9の突出寸法h2よりも小さく設定することも可能である。これにより、短尺突条部7の突出端の位置と第1、第2長尺突条部8,9の突出端の位置とが周方向で不揃いになっている。
この場合、特にエンジンの高回転時において燃焼室4から流速の速い排気ガスが排出されるが、この排気ガスは排気ポート6の第1上流部6aと第2上流部6bとに流入する。この排気ガスが第1上流部6aと第2上流部6bとから集合起点6dに到達するまでの間、排気ガスは、第1上流部6aの内周面と第2上流部6bの内周面とに触れることに加えて、第1長尺突条部8の全外表面と第2長尺突条部9の全外表面とに万遍なく触れることになるので、排気ガスの熱が効率良く回収されるようになる。
そして、第1、第2上流部6a,6bそれぞれから下流部6cに排気ガスが流入する際には、排気ガスが合流(衝突)することによって乱れることになるが、この乱れた排気ガスが第1長尺突条部8の中央寄り側面8aに案内されて当該中央寄り側面8aと中央の短尺突条部7の一側面7aとの周方向対向空間に入り込みやすくなるとともに、前記乱れた排気ガスが第2長尺突条部9の中央寄り側面9aに案内されて当該中央寄り側面9aと中央の短尺突条部7の他側面7bとの周方向対向空間に入り込みやすくなる。
これら両側の対向空間に入り込んだ排気ガスはそれぞれ流速が速められて全ての突条部7〜9の外表面に触れながら下流側へ流れるようになる。当然ながら下流部7cにおいて第1長尺突条部8の反中央寄り側面8bや第2長尺突条部9の反中央寄り側面9bにも排気ガスが触れるようにもなる。
このようなことから、下流部6cの内周面だけでなく全ての突条部7〜9の外表面でもって排気ガスの熱を効率良く回収することが可能になる。したがって、この実施形態のシリンダヘッド1によれば、排気ガスの冷却性能を向上させることが可能になる。
本発明は、排気ポートを備えるシリンダヘッドに好適に利用することが可能である。
1 シリンダヘッド
2 気筒
6 排気ポート
6a 排気ポートの第1上流部
6b 排気ポートの第2上流部
6c 排気ポートの下流部
6d 集合起点(または分岐起点)
7 短尺突条部
8 第1長尺突条部
9 第2長尺突条部

Claims (3)

  1. 排気ポートを備えるシリンダヘッドであって、
    前記排気ポートにおいて排気流れ方向の上流端から途中までの上流部が複数に分岐されていて、前記排気ポートにおいて前記途中から下流端までの下流部が一つに集合されており、
    前記下流部の内周面において排気ガスが案内されやすい領域に、排気流れ方向に沿う短尺突条部が設けられており、
    前記各上流部から前記下流部までの内周面において排気ガスが案内されやすい領域で前記短尺突条部の周方向両側方に、排気流れ方向に沿う長尺突条部が少なくとも前記上流部と同数設けられており、
    前記短尺突条部の突出寸法が、前記長尺突条部の突出寸法と異なるように設定されている、ことを特徴とするシリンダヘッド。
  2. 請求項1に記載のシリンダヘッドにおいて、
    前記短尺突条部の突出寸法が、前記長尺突条部の突出寸法より大きく設定されている、ことを特徴とするシリンダヘッド。
  3. 請求項1または2に記載のシリンダヘッドにおいて、
    前記各上流部の中心軸線は、当該各上流部の連結対象となる気筒の中心軸線に対して傾斜されていて、前記下流部の中心軸線は、前記各上流部の中心軸線に対してさらに傾斜されており、
    前記気筒の中心軸線に対する前記下流部の中心軸線の傾斜角度が、前記気筒の中心軸線に対する前記各上流部の中心軸線の傾斜角度より小さくされており、
    前記全ての突条部が設置される領域は、前記排気ポートの内周面において鉛直方向の上半分領域とされている、ことを特徴とするシリンダヘッド。
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