JP2014137026A - シリンダヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】排気ポート6の上流部6a,6bが複数に分かれていて、下流部6cが1つに集合されるシリンダヘッド1において、特に内燃機関の高回転時における排気ポート6での排気ガスの熱回収効率を可及的に高める。
【解決手段】複数の上流部6a,6bから下流部6cまでの内周面に、上流部6a,6bと同数の突条部11,12が径方向内向きに突出するようにかつ排気流れ方向に延在するように設けられている。少なくともいずれか1つの上流部6bが下流部6cに対して湾曲した形状とされている。複数の突条部11,12の各上流端11a,12aは、排気ポート6の各上流部6a,6bに設けられるバルブステムガイド9の近傍に配置され、かつ各上流端11a,12aがバルブステムガイド9の中心400よりも上流部6a,6bの並び方向の外側にオフセット配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】複数の上流部6a,6bから下流部6cまでの内周面に、上流部6a,6bと同数の突条部11,12が径方向内向きに突出するようにかつ排気流れ方向に延在するように設けられている。少なくともいずれか1つの上流部6bが下流部6cに対して湾曲した形状とされている。複数の突条部11,12の各上流端11a,12aは、排気ポート6の各上流部6a,6bに設けられるバルブステムガイド9の近傍に配置され、かつ各上流端11a,12aがバルブステムガイド9の中心400よりも上流部6a,6bの並び方向の外側にオフセット配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の気筒毎に排気ポートを備えるシリンダヘッドに関する。
近年の多気筒型内燃機関(エンジン)のシリンダヘッドには、排気ポートの排気流れ方向の上流部が2つに分かれていて、下流部が1つに集合されるようになったものがある。
このような排気ポートを有するシリンダヘッドは、例えば特許文献1に示されている。この特許文献1では、吸気ポートおよび排気ポートの各内壁面においてバルブステムより上流側に、それぞれリブを設けるようにしている。
なお、前記排気ポートのリブは、前記バルブステムより上流側のみに設けられている。また、この排気ポートのリブの下流端は、バルブステムの中心軸線の近傍に配置され、かつ当該リブの仮想延長線がバルブステムの中心軸線の位置を通過するような形態になっている。
上記特許文献1に示す排気ポートのリブは、段落0013,0015に記載されているように、バルブステムが排気の抵抗にならないようにして排気を滑らかに流すようにすることを目的として設けられたものである。
つまり、上記特許文献1に示す排気ポートのリブは、排気ガスの熱を回収するために設けられたものではない。それゆえ、この特許文献1からは、特に内燃機関の高回転時における排気ポートでの排気ガスの熱回収効率を高めるというような技術思想を窺い知ることは不可能である。
ところで、本願出願人は、排気ポートの上流部が2つに分かれていて、下流部が1つに集合されるシリンダヘッドにおいて、この排気ポートの上流側から下流側に至るまでの領域に2つの突条部を設けた構成を提案している(特願2011−285941号)。
前記2つの突条部の上流端から下流端までは、シリンダヘッドの上方から見たときに、排気ポートの2つの上流部から下流部に至る中心軸線に沿って湾曲されており、さらに、前記2つの突条部の各上流端は、前記排気ポートの上流部に設けられるバルブステムガイドの近傍に配置され、かつ当該各上流端の仮想延長線がバルブステムガイドの中心を通過するような形態にされている。本願発明者らは、前記した形状を前提として、特に内燃機関の高回転時のように排気ガスの流量が増大する場合に、前記2つの突条部の対向間に可及的に多くの排気ガスを流入させるようにして、排気ポートでの排気ガスの熱回収効率を可及的に高めることを鋭意研究している。
よって、本発明は、排気ポートの上流部が複数に分かれていて、下流部が1つに集合されるシリンダヘッドにおいて、特に内燃機関の高回転時に排気ポートでの排気ガスの熱回収効率を可及的に高めることを目的としている。
本発明は、排気ポートの上流部が複数に分かれていて、下流部が1つに集合されるシリンダヘッドにおいて、前記複数の上流部から前記下流部までの内周面に、前記上流部と同数の突条部が径方向内向きに突出するようにかつ排気流れ方向に延在するように設けられており、前記少なくともいずれか1つの上流部が前記下流部に対して湾曲した形状とされており、前記複数の突条部の各上流端は、前記排気ポートの各上流部に設けられるバルブステムガイドの近傍に配置され、かつ当該各上流端が前記バルブステムガイドの中心よりも前記上流部の並び方向の外側にオフセット配置されている、ことを特徴としている。
要するに、本発明では、前記複数の突条部の各上流端の位置と前記バルブステムガイドとの相対的な位置関係を特定することにより、オフセット配置していない場合に比べると、前記複数の突条部の各上流端間の対向間隔が大きくなる。
これにより、特に内燃機関の高回転時のように排気ガスの流量が増大する場合でも前記複数の突条部の対向間に排気ガスが流入しやすくなるので、排気ガスが排気ポートの上流から下流へ流れる過程で流速が低下しにくくなる。
言い換えると、排気ポートにおいて前記複数の突条部の対向間を流れる排気ガスの流速が上流から下流に至るまで速い流速のまま維持されてスムースに流れるようになるので、前記複数の突条部の対向間を流れる排気ガスが前記複数の突条部の表面から剥離しにくくなる。
そのため、排気ポートを流れる排気ガスの熱を複数の突条部に効率良く移動(伝達)させることが可能になる。したがって、特に内燃機関の高回転時において排気ポートでの排気ガスの熱回収が効率良く行われるようになり、その結果、排気ガスの冷却性能が向上するようになる。
好ましくは、前記排気ポートの上流部は、シリンダヘッドの側方から見たときに前記気筒から当該気筒の中心軸線に対して傾斜する方向に延在するように前記気筒毎に複数設けられる排気ガス流路であり、前記排気ポートの下流部は、シリンダヘッドの側方から見たときに前記複数の上流部が排気流れ方向の下流側で集合する排気ガス流路であり、前記複数の突条部は、前記上流部から前記下流部までの内壁面において前記気筒の中心軸線方向の上死点側の領域に、径方向内向きに突出するように設けられる。
ここでは、要するに、特に内燃機関の高回転時に排気ポートに排気ガスが流入したときに、当該排気ガスが排気ポートの内壁面において衝突しやすい領域に複数の突条部を配置するように特定している。これにより、排気ガスが前記複数の突条部に触れやすくなる。
本発明は、排気ポートの上流部が複数に分かれていて、下流部が1つに集合されるシリンダヘッドにおいて、特に内燃機関の高回転時に前記排気ポートの複数の上流部から複数の突条部の対向間に可及的に多くの排気ガスを流入させることが可能になる。これにより、前記排気ガスの流速が低下しにくくなるので、排気ポートでの排気ガスの熱回収効率を可及的に高めることが可能になるなど、排気ガスの冷却性能の向上に貢献できるようになる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図5に、本発明の一実施形態を示している。図中、1は内燃機関(エンジン)のシリンダヘッドの全体を示している。この実施形態に例示するシリンダヘッドを用いる内燃機関については、1つの気筒2毎に2つの吸気バルブと2つの排気バルブとを用いるタイプとされている。図2には1つの吸気バルブ7と1つの排気バルブ8とが記載されている。
シリンダヘッド1の下面において図示していないシリンダブロックの気筒2に対応する位置には、気筒2とピストン3と協力して燃焼室4を作るための凹部1aが設けられている。この凹部1aには、吸気ポート5と排気ポート6とが連通連結されている。
図1に示すように、排気ポート6は、複数(この実施形態では2つ)の上流部6a,6bと、1つの下流部6cとを備えている。
2つの上流部6a,6bは、気筒2から当該気筒2の中心軸線200に対して傾斜する方向に延在するように前記気筒2毎に複数設けられる排気ガス流路である。下流部6cは、複数の上流部6a,6bが集合する排気ガス流路である。前記集合起点(または分岐起点)に符号6dを付している。
排気ポート6の第1上流部6aおよび第2上流部6bの各上流端は、内燃機関の燃焼室4に連通連結されている。一方、排気ポート6の1つの下流部6cの下流端は、シリンダヘッド1の背面1bに開口されている。
一般に、排気ポート6の下流部6cの下流端には、図示していないが、排気管などの排気通路が取り付けられ、この排気通路には排気ガス浄化用の触媒が設置されている。この排気管と触媒とを含んで排気系と言う。
図1を参照して、排気ポート6をシリンダヘッド1の上方から見た形状を説明する。まず、排気ポート6の第1上流部6aと第2上流部6bとをそれらの中央から左右対称に配置していないものを例に挙げている。具体的には、第1上流部6aの上流端から下流部6cの下流端に至る領域はほぼ直線形状になっているが、第2上流部6bの上流端から集合起点6dに至る領域は第1上流部6aに近づくように湾曲した形状になっている。このような左右非対称形状の排気ポートとしては、例えば多数の気筒が直列に配列されるシリンダヘッドにおける気筒配列方向の端に位置しているものが挙げられる。
図2を参照して、排気ポート6をシリンダヘッドの側方から見た形状を説明する。第1上流部6a(第2上流部6b)において上流開口の中心と集合起点6dの中心とを結ぶ直線101(102)が、気筒2の中心軸線200に対して所定角度α傾斜されている。また、下流部6cにおいて集合起点6dの中心と下流開口の中心とを結ぶ直線300が、第1上流部6a(第2上流部6b)の前記直線101(102)に対して所定角度β傾斜されている。そして、傾斜角度βは、傾斜角度αより小さく設定されている。
この実施形態において、第1、第2上流部6a,6bから下流部6cまでの内壁面において気筒2の中心軸線200方向の上死点側の領域(以下、単に上側領域と言う)には、2つの突条部11,12が径方向内向き(この場合は気筒2の中心軸線200方向の下死点側に向く方向)に突出するように設けられている。
さらに、第1、第2上流部6a,6bから下流部6cまでの内壁面において気筒2の中心軸線200方向の下死点側の領域(以下、単に下側領域と言う)には、3つの突条部21,22,23が径方向内向き(この場合は気筒2の中心軸線200方向の上死点側に向く方向)に突出するように設けられている。
以下、前記上側領域の2つの突条部11,12は、「第1上側突条部11、第2上側突条部12」と言うことにし、前記下側領域の3つの突条部21,22,23は、「第1下側突条部21、第2下側突条部22、第3下側突条部23」と言うことにする。
まず、第1、第2上側突条部11,12の形状について説明する。
第1、第2上側突条部11,12は、バルブステムガイド9の近傍から下流部6cの下流端までの領域に連続して延びるように設けられており、それらの突出形状および突出寸法はほぼ同じに設定されている。
第1上側突条部11は、図1に示すようにシリンダヘッドの上方から見た状態で、排気ポート6の内壁面において第1上流部6aから下流部6cに至るまでの領域の中心軸線301(一点鎖線参照)に沿うような姿勢で設けられている。この中心軸線301は、第1上流部6aから下流部6cに至るまでの領域の外側輪郭線とほぼ平行とされている。この外側輪郭線がシリンダヘッド1の上方から見た状態においてほぼ直線になっているので、第1上側突条部11がほぼ直線形状になっている。
第2上側突条部12は、図1に示すようにシリンダヘッド1の上方から見た状態で、排気ポート6の内壁面において第2上流部6bから下流部6cに至るまでの領域の中心軸線302(一点鎖線参照)に沿うような姿勢で設けられている。この中心軸線302は、第2上流部6bから下流部6cに至るまでの領域の外側輪郭線とほぼ平行とされている。この外側輪郭線はシリンダヘッド1の上方から見た状態において湾曲した形状になっているので、第2上側突条部12がシリンダヘッド1の上方から見た状態において湾曲した形状になっている。
そして、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aは、共に、バルブステムガイド9の近傍に配置され、かつバルブステムガイド9の中心400よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側にオフセット配置されている。
このオフセット配置とは、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aの仮想延長線500が、バルブステムガイド9の中心400よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側を通過するようになっていることを意味している。
次に、第1〜第3下側突条部21〜23の形状について説明する。
第1、第2下側突条部21,22は、バルブステムガイド9の近傍から下流部6cの下流端までの領域に連続して延びるように設けられており、それらの突出形状および突出寸法はほぼ同じに設定されている。
具体的に、第1下側突条部21は、図4に示すように上側から見た状態で、排気ポート6の内壁面において第1上流部6aから下流部6cに至るまでの領域の中心軸線301に沿うような姿勢で設けられている。第1下側突条部21はシリンダヘッド1の上方から見た状態においてほぼ直線形状とされている。
第2下側突条部22は、図4に示すようにシリンダヘッド1の上方から見た状態で、排気ポート6の内壁面において第2上流部6bから下流部6cに至るまでの領域の中心軸線302に沿うような姿勢で設けられている。第2下側突条部22はシリンダヘッド1の上方から見た状態において湾曲した形状とされている。
第3下側突条部23は、下流部6cにおいて集合起点(または分岐起点)6dの位置から下流端までの領域に設けられている。第3下側突条部23はシリンダヘッド1の上方から見た状態において湾曲した形状とされている。これにより、第3下側突条部23は、第1、第2下側突条部21,22より短くなっている。なお、中央に位置する第3下側突条部23の突出寸法は、図3に示すように、両側に位置する第1、第2下側突条部21,22の突出寸法よりも大きく設定されている。
そして、第1、第2下側突条部21、22の各上流端21a,22aは、共に、バルブステムガイド9の近傍に配置され、かつバルブステムガイド9の中心400よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側にオフセット配置されている。
このオフセット配置とは、第1、第2下側突条部21、22の各上流端21a,22aの仮想延長線600が、バルブステムガイド9の中心400よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側を通過するようになっていることを意味している。
なお、第1、第2下側突条部21、22の各上流端21a,22aは、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aよりもさらに外側に配置されている。
そして、図3に示すように、第1、第2上側突条部11,12は、第1〜第3下側突条部21〜23の各間に位置させられることにより、それらが並び方向に齟齬状にずらされている。
このようにすれば、排気ポート6に流入した排気ガスが第1、第2上側突条部11,12の対向間(以下、上側対向間と言う)30に流入して、この上側領域から下向きに反射された排気ガスが第1〜第3下側突条部21〜23の各対向間(以下、第1、第2下側対向間と言う)40,50に流入しやすくなり、好ましい。
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
まず、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aおよび第1、第2下側突条部21、22の各上流端21a,22aをオフセット配置しているので、オフセット配置しない場合(比較例と言う)に比べると、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aの対向間隔ならびに第1、第2下側突条部21、22の各上流端21a,22aの対向間隔が大きくなる。そして、第1、第2上側突条部11,12の上側対向間30は、排気ポート6の上流側から下流側へ向けて徐々に狭くなっている。なお、前記オフセット配置しない場合とは、図10に示すように、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aの仮想延長線500がバルブステムガイド9の中心400の位置を通過し、さらに、図11に示すように、第1、第2下側突条部21,22の各上流端21a,22aの仮想延長線600がバルブステムガイド9の中心400の位置を通過するような形態になっているもののことである。
これにより、特に内燃機関の高回転時のように排気ガスの流量が増大する状況において、上側対向間30に排気ガスが流入しやすくなるので、排気ガスが上流から下流へ移動する過程で排気ガスの流速が低下しにくくなる。
言い換えると、排気ポート6の第1、第2上流部6a,6bから下流部6cの最下流に至る過程において排気ガスが速い流速のまま維持されてスムースに流れるようになるので、排気ガスが第1、第2上側突条部11,12の表面に沿うようになって剥離しにくくなる。
このようなことから、排気ガスの熱を排気ポート6に効率良く移動(伝達)させることが可能になる。したがって、特に内燃機関の高回転時において排気ガスの熱回収が効率良く行われるようになるなど、排気ガスの冷却性能が向上するようになる。
一般に、排気ガスから突条部(第1、第2上側突条部11,12、第1〜第3下側突条部21〜23)に伝わる移動熱量(Q)は、前記突条部の熱伝達率(α)と、前記突条部の表面積(S)と、前記突条部と排気ガスとの間の温度差(ΔT)との積により求められる(Q=α×S×ΔT)。
ここでは、排気ポート6全体での移動熱量として説明せずに、前記突条部のみの移動熱量(Q)として説明している。前記熱伝達率(α)は、排気ガスの流速に比例する。
つまり、前記したように、特に内燃機関の高回転時において第1、第2上側突条部11,12の上側対向間30への排気ガスの流入量が可及的に多くなって流速が低下しにくくなれば、前記熱伝達率(α)が小さくならずに済むのである。
参考までに、この実施形態と前記オフセット配置しない比較例(図10参照)とに関して排気ポート6の上側領域を流れる排気ガスの流速の変化を調べているので、図4と図10とを参照して説明する。
図4および図10においては、便宜上、合流前の排気ガス(排気ポート6の第1、第2上流部6a,6bを流れる排気ガス)の流速を「1」とし、合流後の排気ガス(下流部6cへの流入直後ならびに最下流を流れる排気ガス)の流速を「合流前の排気ガスの流速に対する比率」として示している。
結果としては、内燃機関の高回転時において第1上側突条部11と第2上側突条部12との上側対向間30を流れる排気ガスの流速は、図4に示す実施形態の場合、第1上流部6aから下流部6cへの流入直後で「0.98」、また第2上流部6bから下流部6cへの流入直後で「0.98」であるが、最下流部位の第1上側突条部11寄りで「0.97」、また最下流部位の第2上側突条部12寄りで「0.97」になっている。
一方、図10に示す比較例の場合、前記同様の排気ガスの流速は、第1上流部6aから下流部6cへの流入直後で「0.75」、また第2上流部6bから下流部6cへの流入直後で「0.70」であるが、最下流部位の第1上側突条部11寄りで「0.68」、また最下流部位の第2上側突条部12寄りで「0.64」になっている。
このように、下流部6cへの流入直後と最下流部位との流速差は、この実施形態の場合だと「0.01」であるのに対し、比較例の場合だと第1上側突条部11側で「0.07」、第2上側突条部12側で「0.06」である。このことから、この実施形態の場合の方が流速の低下度合が格段に少ないことが判る。
この他、参考までに、この実施形態と前記オフセット配置しない比較例(図11参照)とに関して排気ポート6の下側領域を流れる排気ガスの流速の変化を調べているので、図5および図11を参照して説明する。
図5および図11においては、便宜上、合流前の排気ガス(排気ポート6の第1、第2上流部6a,6bを流れる排気ガス)の流速を「1」とし、合流後の排気ガス(下流部6cへの流入直後ならびに最下流を流れる排気ガス)の流速を「合流前の排気ガスの流速に対する比率」として示している。
結果としては、内燃機関の高回転時において第1、第3下側突条部21,23の第1下側対向間40、ならびに第2、第3下側突条部22,23の第2下側対向間50を流れる排気ガスの流速は、図5に示す実施形態の場合、第1上流部6aから下流部6cへの流入直後で「0.98」、また第2上流部6bから下流部6cへの流入直後で「0.96」であるが、前記第1下側対向間40の最下流部位で「0.96」、また前記第2下側対向間50の最下流部位で「0.94」になっている。
一方、図11に示す比較例の場合、前記同様に第1下側対向間40ならびに第2下側対向間50を流れる排気ガスの流速は、第1上流部6aから下流部6cへの流入直後で「0.71」、また第2上流部6bから下流部6cへの流入直後で「0.67」であるが、前記第1下側対向間40の最下流部位で「0.67」、また前記第2下側対向間50の最下流部位で「0.62」になっている。
このように、下流部6cへの流入直後と最下流部位との流速差は、この実施形態の場合だと前記第1下側対向間40側および前記第2下側対向間50側がともに「0.02」であるのに対し、比較例の場合だと前記第1下側対向間40側で「0.04」、前記第2下側対向間50側で「0.05」である。このことから、この実施形態の場合の方が流速の低下度合が格段に少ないことが判る。
なお、排気ポート6の上側領域において第1上側突条部11の外側ならびに第2上側突条部12の外側を流れる排気ガスの流速の低下度合は、この実施形態と比較例とでほぼ同じになっている。また、排気ポート6の下側領域において第1下側突条部21の外側ならびに第2下側突条部22の外側を流れる排気ガスの流速の低下度合は、この実施形態と比較例の場合とでほぼ同じになっている。
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aの位置とバルブステムガイド9との相対的な位置関係を工夫することにより、特に内燃機関の高回転時に排気ポート6の上流から下流に排気ガスが流れる過程で排気ガスの熱を排気ポート6に効率良く回収することが可能になる。
したがって、特に内燃機関の高回転時において排気ガスの冷却性能が向上するようになるので、排気ポート6に接続される触媒(図示省略)の過剰昇温を抑制または防止することが可能になるなど、前記触媒の機能低下ならびに耐久性低下を長期にわたって抑制できるようになる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)上記実施形態では、多気筒型内燃機関に用いるシリンダヘッド1を例に挙げているが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば単気筒型内燃機関に用いるシリンダヘッドにも本発明を適用することが可能である。その場合も、排気ポート6については上記実施形態と同様の構成とされる。
(2)上記実施形態では、排気ポート6の上側領域に2つの突条部11,12を設置し、下側領域に3つの突条部21〜23を設置した例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば図6から図8に示すように、排気ポート6の上側領域のみに2つの突条部11,12を設置したものも本発明の実施形態として含まれる。その場合も、上記実施形態と同様の作用、効果が得られる。
(3)上記実施形態では、排気ポート6の第1上流部6aと第2上流部6bとをそれらの中央から左右対称に配置していない場合の例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば図9に示すように、排気ポート6の第1上流部6aと第2上流部6bとをそれらの中央から左右対称に配置している場合にも本発明を適用できる。このような排気ポート6としては、例えば多数の気筒が直列に配列されるシリンダヘッド1における気筒配列方向の中間に位置しているものが挙げられる。
図9には、排気ポート6の上側領域に第1、第2上側突条部11,12を、また下側領域に第1〜第3下側突条部21〜23を設けている場合を例示している。
そして、第1、第2上側突条部11,12は、上記実施形態と同様、シリンダヘッド1の上方から見たときに中心軸線301,302に沿うような湾曲形状とされ、かつ、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aがバルブステムガイド9の中心400の位置よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側にオフセット配置されている。
このオフセット配置とは、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aの仮想延長線500が、バルブステムガイド9の中心400よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側を通過するようになっていることを意味している。
また、両側に配置される第1、第2下側突条部21,22は、上記実施形態と同様、シリンダヘッド1の上方から見たときに、中心軸線301,302に沿うような湾曲形状とされ、かつ、第1、第2下側突条部21,22の各上流端21a,22aがバルブステムガイド9の中心400の位置よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側にオフセット配置されている。
このオフセット配置とは、第1、第2下側突条部21、22の各上流端21a,22aの仮想延長線600が、バルブステムガイド9の中心400よりも第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側を通過するようになっていることを意味している。
さらに、第1、第2下側突条部21、22の各上流端21a,22aは、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aよりもさらに第1、第2上流部6a,6bの並び方向外側に配置されている。
下流部6cの中央に配置される第3下側突条部23は、下流部6cの中心軸線に沿って直線形状とされている。
この他、図9において、下側領域に第1〜第3下側突条部21〜23を設けないようにしたものも本発明の実施形態として含まれる。
いずれの構成の場合にも、上記実施形態と同様の作用、効果が得られる。
(4)上記実施形態では、第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aと、第1、第2下側突条部21,22の各上流端21a,22aとを異なるオフセット量にした例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図示していないが、例えば第1、第2上側突条部11,12の各上流端11a,12aと、第1、第2下側突条部21,22の各上流端21a,22aとのオフセット量を同じにすることにより、当該各上流端11a,12aと各上流端21a,22aとを同じ位置に配置することが可能である。
本発明は、排気ポートの上流部が複数に分かれていて、下流部が1つに集合されるシリンダヘッドに好適に利用することが可能である。
1 シリンダヘッド
2 気筒
6 排気ポート
6a 排気ポートの第1上流部
6b 排気ポートの第2上流部
6c 排気ポートの下流部
6d 集合起点(または分岐起点)
9 バルブステムガイド
11 第1上側突条部
11a 第1上側突条部の上流端
12 第2上側突条部
12a 第2上側突条部の上流端
21 第1下側突条部
22 第2下側突条部
23 第3下側突条部
30 上側対向間
40 第1下側対向間
50 第2下側対向間
200 気筒の中心軸線
301 第1上流部から下流部までの領域の中心軸線
302 第2上流部から下流部までの領域の中心軸線
400 バルブステムガイドの中心
500 第1、第2上側突条部の各上流端の仮想延長線
600 第1、第2下側突条部の各上流端の仮想延長線
2 気筒
6 排気ポート
6a 排気ポートの第1上流部
6b 排気ポートの第2上流部
6c 排気ポートの下流部
6d 集合起点(または分岐起点)
9 バルブステムガイド
11 第1上側突条部
11a 第1上側突条部の上流端
12 第2上側突条部
12a 第2上側突条部の上流端
21 第1下側突条部
22 第2下側突条部
23 第3下側突条部
30 上側対向間
40 第1下側対向間
50 第2下側対向間
200 気筒の中心軸線
301 第1上流部から下流部までの領域の中心軸線
302 第2上流部から下流部までの領域の中心軸線
400 バルブステムガイドの中心
500 第1、第2上側突条部の各上流端の仮想延長線
600 第1、第2下側突条部の各上流端の仮想延長線
Claims (2)
- 排気ポートの上流部が複数に分かれていて、下流部が1つに集合されるシリンダヘッドにおいて、
前記複数の上流部から前記下流部までの内周面に、前記上流部と同数の突条部が径方向内向きに突出するようにかつ排気流れ方向に延在するように設けられており、
前記少なくともいずれか1つの上流部が前記下流部に対して湾曲した形状とされており、
前記複数の突条部の各上流端は、前記排気ポートの各上流部に設けられるバルブステムガイドの近傍に配置され、かつ当該各上流端が前記バルブステムガイドの中心よりも前記上流部の並び方向の外側にオフセット配置されている、ことを特徴とするシリンダヘッド。 - 請求項1に記載のシリンダヘッドにおいて、
前記排気ポートの上流部は、シリンダヘッドの側方から見たときに前記気筒から当該気筒の中心軸線に対して傾斜する方向に延在するように前記気筒毎に複数設けられる排気ガス流路であり、
前記排気ポートの下流部は、シリンダヘッドの側方から見たときに前記複数の上流部が排気流れ方向の下流側で集合する排気ガス流路であり、
前記複数の突条部は、前記上流部から前記下流部までの内壁面において前記気筒の中心軸線方向の上死点側の領域に、径方向内向きに突出するように設けられる、ことを特徴とするシリンダヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013006715A JP2014137026A (ja) | 2013-01-17 | 2013-01-17 | シリンダヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013006715A JP2014137026A (ja) | 2013-01-17 | 2013-01-17 | シリンダヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014137026A true JP2014137026A (ja) | 2014-07-28 |
Family
ID=51414677
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013006715A Pending JP2014137026A (ja) | 2013-01-17 | 2013-01-17 | シリンダヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014137026A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11111876B2 (en) | 2019-04-12 | 2021-09-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Cylinder head |
-
2013
- 2013-01-17 JP JP2013006715A patent/JP2014137026A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11111876B2 (en) | 2019-04-12 | 2021-09-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Cylinder head |
DE102020105430B4 (de) | 2019-04-12 | 2022-07-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Zylinderkopf |
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