JP2013104237A - 地下構造物用蓋体および地下構造物用蓋体受枠 - Google Patents

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Abstract

【課題】錆の発生を抑える工夫がなされた地下構造物用蓋体およびその蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠を提供を提供する。
【解決手段】地下構造物用蓋体1は、金属製の鉄蓋本体11と、鉄蓋本体11の地下側になる下面に設けられた下面樹脂層12とを備え、下面樹脂層12は、厚みが400μm以上3000μm以下に形成されたものであり、表面粗さの最大高さ(Ry)が0μmより大きく10μm以下に形成されたものであり、受枠5は、環状に形成された金属製の受枠本体51と、受枠本体51の内周面に設けられた内周樹脂層52とを備え、内周樹脂層52は、厚みが400μm以上3000μm以下に形成されたものであり、表面粗さの最大高さ(Ry)が0μmより大きく10μm未満に形成されたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体およびその蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠に関する。
下水道や上水道、あるいは電力、ガス、通信等における地下埋設物や地下施設等の地下構造物につながる開口は地下構造物用蓋体によって塞がれている。この地下構造物用蓋体は、地下構造物用蓋体受枠によって支持されている。地下構造物用蓋体には、地下構造物用蓋体の骨格部分である蓋体本体が鉄等の金属で形成されたものがある。また、地下構造物用蓋体受枠にも、地下構造物用蓋体受枠の骨格部分である環状の受枠本体が鉄等の金属で形成されたものがある。金属製の蓋体本体および金属製の受枠本体は、長年使用されることで錆が発生して強度が低下し、強度不足に陥ることが懸念される。この錆の対策として、蓋体本体の下面および受枠本体の内周面に静電塗装を施すことで防錆塗膜を形成した地下構造物用蓋体および地下構造物用蓋体受枠(以下、地下構造物用蓋体等と称することがある)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、静電塗装によって得られる静電塗膜の厚みは、一般的に10μm〜300μmである。
ところが、近年の生活環境や社会環境の変化に起因してか、特に下水道における地下構造物用において蓋体本体の下面や受枠本体の内周面は、錆の発生が思った以上に早いことがわかってきた。これは、地下内で発生する硫化水素等が影響していると考えられる。
特開2005−120587号公報
本発明者が調査、研究を続けた結果、地下内と地下構造物用蓋体の温度差および地下内の湿度の影響により、地下構造物用蓋体の下面では、硫化水素等の腐食性溶液の結露を生じることがあり、地下構造物用蓋体の下面に腐食性溶液が付着しやすいことが判明した。また、地下構造物用蓋体受枠でも、地下構造物内の雰囲気に晒されている地下構造物用蓋体受枠の内周面に硫化水素等の腐食性溶液の結露を生じることがあり、地下構造物用蓋体受枠の内周面に腐食性溶液が付着しやすいことが判明した。
地下構造物用蓋体等に付着した腐食性溶液は、その表面張力によって垂れ落ちずに地下構造物用蓋体等に長時間残留し続けることがある。地下構造物用蓋体等に腐食性溶液が長時間残留すると、上記特許文献1記載の地下構造物用蓋体等では、腐食性溶液が防錆塗膜を浸食或いは防錆塗膜に浸透して蓋体本体或いは受枠本体に到達してしまう可能性がある。その到達した腐食性溶液によって蓋体本体或いは受枠本体に錆が発生してしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑み、錆の発生を抑える工夫がなされた地下構造物用蓋体およびその蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠を提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明の地下構造物用蓋体は、地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体において、
金属製の蓋体本体と、
前記蓋体本体の地下側になる下面に設けられた下面樹脂層とを備え、
前記下面樹脂層は、厚みが400μm以上3000μm以下に形成されたものであり、表面粗さの最大高さ(Ry)が0μmより大きく10μm以下に形成されたものであることを特徴とする。
本発明の地下構造物用蓋体によれば、表面粗さの最大高さ(Ry)を10μm以下にしているので、地下構造物用蓋体から腐食性溶液が垂れ落ちやすくなり地下構造物用蓋体に長時間残留することが無いので、その腐食性溶液が樹脂層に浸透或いは樹脂層を浸食する虞を低減できる。その上、垂れ落ちるまでの間に腐食性溶液が樹脂層に浸透或いは樹脂層を浸食したとしても、樹脂層の厚みが400μm以上あるので、その腐食性溶液が蓋体本体に到達することが殆どなくなる。また、樹脂層の厚みを3000μm以下にしているので、蓋体本体が周囲温度の変化によって膨張或いは収縮したり外部からの荷重によって変形しても、樹脂層も蓋体本体に追従して変形しやすく、樹脂層が蓋体本体から剥離する可能性及び樹脂層に割れを生じる虞を低減することができる。これらによって、蓋体本体に錆が発生する可能性を抑制することができる。
なお、表面粗さの最大高さ(Ry)は、JIS B 0601(1994)に基づいて測定した値である。
上記目的を解決する本発明の地下構造物用蓋体は、地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体において、
金属製の蓋体本体と、
前記蓋体本体の地上側になる上面に設けられた上面樹脂層と、
前記蓋体本体の地下側になる下面に設けられた下面樹脂層とを備え、
前記下面樹脂層は、前記上面樹脂層よりも厚く形成されたものであることを特徴とする。
本発明の地下構造物用蓋体によれば、下面樹脂層を厚く形成しているので、腐食性溶液が樹脂層に浸透或いは樹脂層を浸食したとしても、その腐食性溶液が蓋体本体に到達することが殆どなくなり、蓋体本体に錆が発生する可能性を抑制することができる。
ここで、下面樹脂層は、表面粗さの最大高さ(Ry)が、上面樹脂層における表面粗さの最大高さ(Ry)よりも低く形成されたものであってもよい。
本発明の地下構造物用蓋体において、前記下面樹脂層は、繊維と繊維の間に樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維によって少なくともその一部が形成されたものであることが好ましい。
樹脂層の少なくとも一部を樹脂含浸繊維で形成することで、樹脂を繊維と繊維の間で保持することが可能になり、蓋体本体の下面に設けられたリブの側面など、成形時に液状の樹脂が流れ落ちてしまうような、樹脂層を形成し難い部分であっても、所望の厚みの樹脂層を容易に得ることができる。
上記目的を解決する本発明の地下構造物用蓋体は、地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体において、
金属製の蓋体本体と、
前記蓋体本体の地下側になる下面に設けられた下面樹脂層とを備え、
前記下面樹脂層は、繊維と繊維の間に樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維によって少なくともその一部が形成されたものであることを特徴とする。
本発明の地下構造物用蓋体によれば、樹脂層の少なくとも一部を樹脂含浸繊維で形成することで、樹脂を繊維と繊維の間で保持することが可能になり、蓋体本体の下面に設けられたリブの側面など、成形時に液状の樹脂が流れ落ちてしまうような、樹脂層を形成し難い部分であっても、所望の厚みの樹脂層を容易に得ることができる。
本発明の地下構造物用蓋体において、前記下面樹脂層は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂のうちのいずれか1つを含んだものであることが好ましい。
硫化水素等の腐食性溶液に対して耐腐食性を有する、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂のうちのいづれか1つを含むことで、腐食性溶液が樹脂層を侵食或いは浸透することを抑制し、腐食性溶液によって蓋体本体が錆てしまう可能性を低減することができる。
本発明の地下構造物用蓋体において、前記下面樹脂層は、電着塗装により前記蓋体本体に付着した塗膜によって少なくともその一部が形成されたものであることが好ましい。
金属面との密着性が高い電着塗装により蓋体本体に塗膜を形成しているので、蓋体本体から剥離しにくい強固に蓋体本体に密着した塗膜が形成できる。
上記目的を解決する本発明の地下構造物用蓋体受枠は、地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠において、
筒状に形成された金属製の受枠本体と、
前記受枠本体の内周面に設けられた内周樹脂層とを備え、
前記内周樹脂層は、厚みが400μm以上3000μm以下に形成されたものであり、表面粗さの最大高さ(Ry)が0μmより大きく10μm以下に形成されたものであることが好ましい。
本発明の地下構造物用蓋体受枠によれば、腐食性溶液が垂れ落ちやすくなる上、垂れ落ちるまでの間に腐食性溶液が受枠本体に到達する可能性が極めて低くなる。また、受枠本体の変形、膨張或いは収縮に樹脂層が追従して変形することができるので、樹脂層と受枠本体とが剥離したり、樹脂層に割れが生じたりする可能性が極めて低くなる。これらによって、受枠本体に錆が発生する可能性を抑制することができる。
上記目的を解決する本発明の地下構造物用蓋体受枠は、地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠において、
筒状に形成された金属製の受枠本体と、
前記受枠本体の上端面に設けられ、地面に露出する上端面樹脂層と、
前記受枠本体の内周面に設けられた内周樹脂層とを備え、
前記内周樹脂層は、前記上端面樹脂層よりも厚く形成されたものであることが好ましい。
本発明の地下構造物用蓋体受枠によれば、内周樹脂層を厚く形成しているので、腐食性溶液が樹脂層に浸透或いは樹脂層を浸食したとしても、その腐食性溶液が蓋体本体に到達することが殆どなくなり、受枠本体に錆が発生する可能性を抑制することができる。
ここで、内周樹脂層は、表面粗さの最大高さ(Ry)が、上端面樹脂層における表面粗さの最大高さ(Ry)よりも低く形成されたものであってもよい。
本発明によれば、錆の発生を抑える工夫がなされた地下構造物用蓋体およびその蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠を提供することができる。
(a)は、本発明の地下構造物用蓋体の一実施形態に相当するマンホール鉄蓋と、本発明の地下構造物用蓋体受枠の一実施形態に相当する受枠の断面図であり、(b)は、同図(a)に示すマンホール鉄蓋および受枠の平面図である。 図1に示すマンホール鉄蓋が旋回され、マンホール鉄蓋1が開かれた様子を示す図である。 (a)は、図1(a)に示すマンホール鉄蓋の底面図であり、(b)は、(a)に示すマンホール鉄蓋のB−B断面図である。 図3(b)のC部を拡大して示す拡大図である。 下面樹脂層および上面樹脂層の作成方法を示すフローチャートである。 (a)は、マンホール鉄蓋のリブ表面部分における断面を拡大して示す拡大断面図であり、(b)は、マンホール鉄蓋の平坦部における断面を拡大して示す拡大断面図である。 (a)は、図2(a)のD部を拡大して示す拡大図であり、(b)は、受枠の内周面を拡大して示す拡大図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)は、本発明の地下構造物用蓋体の一実施形態に相当するマンホール鉄蓋と、本発明の地下構造物用蓋体受枠の一実施形態に相当する受枠の断面図であり、図1(b)は、同図(a)に示すマンホール鉄蓋および受枠の平面図である。なお、図1(a)に示す断面図は、同図(b)のA−A断面図である。
図1には、マンホール鉄蓋1と、そのマンホール鉄蓋1を支持する環状に形成された受枠5が示されている。地下埋設物である下水道用排水管は地表から所定の深さの位置に埋設されており、その下水道用排水管の途中に、地下施設として、マンホールが設けられている。下水道用排水管もマンホールも地下構造物に相当する。マンホールは、既製のコンクリート成型品を積み上げた躯体によって、下水道用排水管から地表へ向かう縦穴として形成されている。受枠5はその躯体の上に設けられたものであり、地下構造物であるマンホールにつながる開口H(図2参照)を画定している。
マンホール鉄蓋1は、地下構造物であるマンホールにつながる開口Hを開閉自在に塞ぐ上面視で円形のものであり、図1に示すマンホール鉄蓋1は、その開口Hを塞いでいる。図1(a)では、図の上方が地上側になり、図の下方が地下側(下水道用排水管側)になる。図1に示すマンホール鉄蓋1は、鋳造によって成形された鋳鉄製の鉄蓋本体11と下面樹脂層12と上面樹脂層13とを有する。なお、鉄蓋本体11は、鋳鉄以外の鉄製であってもよく、鉄以外の金属製であってもよい。この鉄蓋本体11は、本発明における蓋体本体の一例に相当する。
鉄蓋本体11は、円盤部111と、その円盤部111から下方に突出したリブ112とを備えている。リブ112は、マンホール鉄蓋1の強度を高める目的で、鉄蓋本体11の鋳造時に円盤部111と一体成形されたものである。鉄蓋本体11の下面30は、円盤部111表面の平坦部31とリブ112表面のリブ表面部32によって形成されている。各リブ112には、平坦部31につながるR部113が形成されている。また、円盤部111の上側部分には、下方にへこんだ凹部41(図1(a)では、2点鎖線によって示されている。)と、凹部41に対して相対的に突出した部分である凸部42とが設けられている。鉄蓋本体11の上面40は、凹部41の表面と凸部42の表面によって形成されている。図1(b)に示すように、凹部41と凸部42によって鉄蓋本体11の上面40には幾何学的模様が形成されている。
下面樹脂層12は、鉄蓋本体11の下面30全体に設けられている。図1(a)には、下面樹脂層12が太い実線で示されている。下面樹脂層12は、平坦部31に設けられた平坦部樹脂層12fと、リブ表面部32に設けられたリブ樹脂層12rとを有する。また、上面樹脂層13は、鉄蓋本体11の上面40全体に設けられている。下面樹脂層12および上面樹脂層13については、後に詳述する。
受枠5は、鋳造によって成形された鋳鉄製の受枠本体51と内周樹脂層52と上端面樹脂層53とを有する。なお、受枠本体51は、鋳鉄以外の鉄製であってもよく、鉄以外の金属製であってもよい。受枠本体51は、内周面61と上端面65と外周面66と下端面67を有する上面視で環状に形成された筒状のものである。その受枠本体51には、蝶番座62と係止片63とが形成されている。内周樹脂層52は、受枠本体51の内周面61全体に設けられている。図1(a)には、内周樹脂層52が太い実線で示されている。また、上端面樹脂層53は、受枠本体51の上端面65全体に設けられている。内周樹脂層52および上端面樹脂層53については、後に詳述する。
図1(a)に示すように、鉄蓋本体11の下面30における一端側周縁部には、蝶番部材33が回動自在に連結されている。また、受枠本体51に形成された蝶番座62には、蝶番部材33が上下方向に貫通する貫通孔621が設けられている。蝶番座62の貫通孔621を貫通した蝶番部材33の下端には、図1(a)において紙面に直交する方向に突出した抜け止め防止用の突起331が設けられている。一方、マンホール鉄蓋1の他端側周縁部には、鍵穴14が設けられている。また、下面30における他端側には、ロック部材34が回動軸340を中心に回動可能に設けられている。ロック部材34は、弁体341と係止爪342を有する。ロック部材34は、マンホール鉄蓋1が浮き上がると、受枠本体51に形成された係止片63に係止爪342が引っ掛かる姿勢にスプリング343によって付勢されている。図1(a)には、その姿勢のロック部材34が示されている。また、図1(a)に示すロック部材34の姿勢では、弁体341が鍵穴14内に入り込み、鍵穴14を塞いでいる。
図1に示す、開口を塞いだマンホール鉄蓋1を開くには、不図示の棒状の開閉工具を用いる。この棒状の開閉工具の先端部分はT字状になっている。まず、弁体341によって塞がれている鍵穴14にその開閉工具の先端部分を挿入する。開閉工具の先端部分によって弁体341が押され、スプリング343の付勢力に抗してロック部材34は、係止爪342が係止片63から離れる方向(図1(a)では反時計回りの方向)に回動軸340を中心に回動する。次いで、棒状の開閉工具を軸周りに回転させ、T字状の先端部分を、マンホール鉄蓋1の下面30における、鍵穴14の縁部分に係合させ、開閉工具を引き上げる。すると、係止爪342が係止片63に係止することなく、マンホール鉄蓋1の他端側は持ち上げられ、マンホール鉄蓋1は、蝶番部材33を支点にして蝶番部材33とともに回転可能になる。すなわち、マンホール鉄蓋1は蝶番部材33を支点にして略水平方向に旋回可能になる。
図2は、図1に示すマンホール鉄蓋が旋回され、マンホール鉄蓋1が開かれた様子を示す図である。図2(a)は、その様子を示す断面図であり、図2(b)は、同図(a)に示すマンホール鉄蓋の平面図である。
この図2では、蝶番部材33およびロック部材34は図示省略されている。また、図2(a)には、地面Gが示されている。図2に示すマンホール鉄蓋1は、地面Gの上に載置されている。マンホール鉄蓋1は、図1に示す旋回前の状態では、蝶番部材33の突起331(図1(a)参照)が、受枠本体51の蝶番座62に接触するまで持ち上げることが可能である。また、マンホール鉄蓋は、図2に示すように略90旋回した状態では、蝶番部材33の突起331が、蝶番座62の貫通孔621を通過可能になっており、上方に持ち上げることで、そのマンホール鉄蓋1を受枠5から取り外すことが可能である。
図3(a)は、図1(a)に示すマンホール鉄蓋の底面図である。
図3(a)に示すように、リブ112は、井桁状に配置されている。井桁状に配置されたリブ112の一部によって囲まれた矩形状の中央領域300Cには、このマンホール鉄蓋1の情報表示が鋳出しされている。すなわち、図3(a)に示すように「FCD700」と「T−25 600」が二段表記されている。なお、“FCD”は、このマンホール鉄蓋1の材質を表す情報であり、“700”は、このマンホール鉄蓋1の引っ張り強度(N/mm)を表す情報であり、“T−25”は、このマンホール鉄蓋1の耐荷重を表す情報であり、“600”は、このマンホール鉄蓋1の直径(呼び径)を表す情報である。これらの情報は、このマンホール鉄蓋1を識別する識別情報の一種といえる。なお、中央領域300Cに表示される情報はここで説明した情報に限られない。
図3(b)は、図3(a)に示すマンホール鉄蓋のB−B断面図である。この図3(b)では、図の上方が地上側になり、図の下方が地下側(下水道用排水管側)になる。
図1(a)及び図3(b)に示すように、各リブ112には、平坦部31につながる半径6.5mmのえぐれた曲面を有するR部113が形成されている。各R部113は、各リブ112と一体成形されたものである。マンホール内では、マンホール内の湿度により硫化水素等の腐食性溶液の結露が起こることがある。R部113が形成されていない場合、その腐食性溶液の表面張力によって、リブ112の付け根部分で腐食性溶液が垂れ落ちずに残留しやすい。半径6.5mmの曲面を有するR部113を形成することで、R部113を伝ってリブ112の下方側に腐食性溶液が垂れ落ちやすくなる。その結果、リブ112の付け根部分における腐食性溶液の残留を防止することができる。腐食性溶液が長時間残留することがないので、錆の発生を抑制でき、錆によってリブ112が肉薄になることが抑えられ、マンホール鉄蓋1の強度が非常に永く高いレベルに保たれる。本発明者の研究によると、腐食性溶液の水滴を短時間で垂れ落ちやすくするために、R部113の半径は、3.5mmより大きく11mm未満にするとよく、半径4mm以上8.5mm以下にすることがより好ましく、半径6.5mm程度にすることが最も好ましい。本発明者は、R部の半径が1.75mmから11mmまでの試験片を作成し、結露が生じる一定環境下に各試験片を入れて10回の試験を行い、結露した水滴が垂れ落ちる順位を評価した。その試験結果を表1に示す。
Figure 2013104237
表1の最上段には、Nに続く番号で試験番号が示されている。また、表の最も左の列に記載されたRに続く数値により半径が示されている。表中の1または2の数値が、水滴がリブ先端へ到達した順位である。なお、実験開始から3時間以内に水滴がリブ先端に到達しなかった場合には、表中に順位が記載されていない。
図4は、図3(b)のC部を拡大して示す拡大図である。図4では、下面樹脂層12の厚みおよび上面樹脂層13の厚みが誇張して示されている。図4では、C部のみを示しているが、下面樹脂層12は下面30全体に設けられている。また、上面樹脂層13は、上面40全体に設けられている。
図4に示すように、下面樹脂層12のうち、平坦部31に設けられた平坦部樹脂層12fは、2層構造に形成されている。この平坦部樹脂層12fは、電着塗装により鉄蓋本体11の鋳肌Mに密着した、エポキシ樹脂を主成分とした電着塗膜121と、その電着塗膜121に密着した、エポキシ樹脂を主成分とした樹脂塗膜122とから構成されている。この樹脂塗膜122は、電着塗膜121よりも厚く形成されている。本実施形態では、電着塗膜121と樹脂塗膜122に用いられる樹脂の主成分が同一であることで、電着塗膜121と樹脂塗膜122の間の密着性が高く剥離しにくい平坦部樹脂層12fが形成されている。電着塗膜121と樹脂塗膜122に用いられている樹脂は、いずれもエポキシ系樹脂ではあるが、樹脂成分に含まれる添加物が多少異なっている。ただし、同一の添加物を用いたエポキシ系樹脂を用いてもよい。また、電着塗膜121または樹脂塗膜122に用いられる樹脂として、エポキシ系樹脂の他に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂或いはこれらの樹脂のうちのいくつかを混合した混合樹脂を用いてもよい。
電着塗膜121は、膜厚が約20μmに形成されており、樹脂塗膜122は、膜厚が約1000μmに形成されている。なお、膜厚は、電磁膜厚計にて測定することができる。電着塗膜121と樹脂塗膜122の膜厚は、平坦部樹脂層12fの厚みが400μm以上3000μm以下になるような厚みであれば、それぞれ任意の厚みに形成してもよい。
図4に示すように、下面樹脂層12のうち、リブ表面部32に設けられたリブ樹脂層12rは、3層構造に形成されている。このリブ樹脂層12rは、上述した電着塗膜121と、強化繊維がランダムな方向に配列された不織布であるチョップドストランドマットにエポキシ系樹脂を含浸させたシート状の樹脂含浸繊維によって形成された繊維入樹脂塗膜123と、表面塗膜124とから構成されている。なお、繊維と繊維の間に液状の樹脂を含浸することが可能な繊維材料であれば、チョップドストランドマット以外の繊維材料を用いてもよい。また、本実施形態では、樹脂含浸繊維に用いられる強化繊維としてガラス繊維を用いているが、ガラス繊維以外の化学繊維や天然繊維など他の繊維を用いてもよい。
電着塗膜121は鋳肌Mに密着したものであり、繊維入樹脂塗膜123は電着塗膜121に密着したものであり、表面塗膜124は繊維入樹脂塗膜123に密着したものである。表面塗膜124に用いられている樹脂も、エポキシ樹脂を主成分としたエポキシ系樹脂である。電着塗膜121と繊維入樹脂塗膜123と繊維入樹脂塗膜123に用いられる樹脂の主成分が同一であることで、電着塗膜121、繊維入樹脂塗膜123、繊維入樹脂塗膜123それぞれの間で強固に密着した剥離しにくいリブ樹脂層12rが形成されている。電着塗膜121、繊維入樹脂塗膜123、表面塗膜124に用いられている樹脂は、樹脂成分に含まれる添加物が多少異なる。ただし、同一の添加物を用いたエポキシ系樹脂を用いてもよい。また、繊維入樹脂塗膜123に含浸する樹脂または表面塗膜124に用いられる樹脂として、エポキシ系樹脂の他に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、或いはこれらの樹脂のうちのいくつかを混合した混合樹脂を用いてもよい。
繊維入樹脂塗膜123は、膜厚が約1000μmに形成されており、表面塗膜124は、膜厚が約20μmに形成されている。なお、この繊維入樹脂塗膜123の膜厚は、樹脂含浸繊維の厚みを調整することで任意の厚みにすることができる。電着塗膜121の膜厚と繊維入樹脂塗膜123の膜厚と、表面塗膜124の膜厚は、リブ樹脂層12rの厚みが400μm以上3000μm以下になるような厚みであれば、それぞれ任意の厚みに形成してもよい。
本発明者の研究によると、下面樹脂層12の厚みが400μm未満であると、下面樹脂層12の表面に残留した腐食性溶液が、下面樹脂層12全てを浸食してしまう可能性や、下面樹脂層12に浸透して鉄蓋本体11まで到達してしまう可能性がある。また、下面樹脂層12に外部からの衝撃や荷重が加えられた場合に下面樹脂層12が破壊されてしまう可能性が高まる。逆に、下面樹脂層12の厚みが3000μmより厚いと、マンホール鉄蓋1が周囲温度の変化によって伸縮した場合に、鉄蓋本体11の伸縮率と下面樹脂層12の伸縮率の違いによって鉄蓋本体11と下面樹脂層12とが剥離する虞がある。また、周囲温度の変化や外部からの荷重によってマンホール鉄蓋1が変形した場合に下面樹脂層12が割れてしまう虞もある。下面樹脂層12の厚みを400μm以上にすることで、腐食性溶液が下面樹脂層12を浸食或いは下面樹脂層12に浸透し、その腐食性溶液が鉄蓋本体11に到達する虞が殆どなくなる。また、下面樹脂層12の厚みを3000μm以下にすることで、鉄蓋本体11が周囲温度の変化によって膨張或いは収縮したり外部からの荷重によって変形しても、下面樹脂層12が鉄蓋本体11に追従して変形しやすくなる。下面樹脂層12が鉄蓋本体11に追従して変形しやすいため、下面樹脂層12と鉄蓋本体11とが剥離する可能性及び下面樹脂層12に割れが生じる可能性を低減させることができる。この剥離や割れがあると、その剥離や割れによって生じた空間に腐食性溶液が入り込み、腐食性溶液が鉄蓋本体11に到達して鉄蓋本体11に錆が発生する虞がある。すなわち、下面樹脂層12の厚みを400μm以上3000μm以下にすることで、鉄蓋本体11に錆が発生する可能性を抑制することができる。
上面樹脂層13は、上述した電着塗膜121と同様に、電着塗装により鉄蓋本体11の鋳肌Mに密着した、エポキシ樹脂を主成分とした塗膜によって構成されたものである。上面樹脂層13に用いられる樹脂として、エポキシ系樹脂の他に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂或いはこれらの樹脂のうちのいくつかを混合した混合樹脂を用いてもよい。上面樹脂層13は、層の厚みが約20μmに形成されている。この上面樹脂層13は、マンホール鉄蓋1が設置された状態(図2に示す開口Hを塞いだ状態)では地面Gに露出する。上面樹脂層13は、設置される前の状態における鉄蓋本体11の上面40を保護するために設けられたものである。マンホール鉄蓋1が設置された状態では、そのマンホール鉄蓋1の上を自動車などが通過することで、上面樹脂層13に荷重が加わったり上面樹脂層13と自動車のタイヤ等との間で摩擦が生じることがある。上面樹脂層13を厚く形成すると、上面樹脂層13が荷重によって割れてしまい、割れた破片がゴミになってしまう虞がある。また、上面樹脂層13を構成する樹脂が摩擦によって少しずつ削られてしまう場合もある。その場合には、上面樹脂層13が厚く形成されている程、長期間に渡って樹脂が削られ、削られた樹脂によって生じる粉塵が多く発生してしまうという問題もある。また、上面樹脂層13を厚く形成すると、上面樹脂層13を形成するための作業費および材料費が高くなり、マンホール鉄蓋1が高価になってしまうという問題がある。このため、上面樹脂層13は、必要最小限の厚みに形成されることが好ましい。一方、下面樹脂層12は、錆の発生を抑制するために、3000μmを超えない範囲で厚く形成することが好ましい。本実施形態のマンホール鉄蓋1によれば、下面樹脂層12を上面樹脂層13よりも厚く形成することで、コストアップやゴミの発生等を低減しつつ、鉄蓋本体11の下面30においては錆の発生を抑制することができる。特に、上面樹脂層13のうち、鉄蓋本体11の最も上側に突出した部位に設けられた部分は、マンホール鉄蓋1の上を通過する自動車のタイヤ等と接触しやすいため、削られやすく割れも発生しやすい。下面樹脂層12は、その突出した部位に設けられた部分の厚みよりも厚く形成されたものであることが好ましい。また、下面樹脂層12は、上面樹脂層13のうちの最も厚みの薄い部分よりも厚く形成されたものであることが好ましい。
続いて、下面樹脂層12および上面樹脂層13の形成方法について説明する。
図5は、下面樹脂層および上面樹脂層の作成方法を示すフローチャートである。
先ず、鉄蓋本体11の下面30全体および上面40全体に電着塗装を施す(ステップS1)。この電着塗装によって電着塗膜121および上面樹脂層13が形成される。本実施形態では、電着塗装として一般的なカチオン電着塗装を採用しているが、アニオン電着塗装を採用してもよい。樹脂成分を含んだ塗料を鋳肌Mなどの金属面に刷毛塗りなどで塗装しても、金属面と樹脂成分を含んだ材料との密着性が得られ難い。電着塗装による塗装を施すことで、樹脂成分を含んだ材料を金属面に塗装する場合でも、密着性が高く剥離しにくい強固に鉄蓋本体11に密着した塗膜を形成できる。なお、本実施形態では、鉄蓋本体11の下面30と上面40に電着塗装を同時に施すことで、電着塗膜121と上面樹脂層13を形成しているが、下面30と上面40それぞれ別々に電着塗装を施してもよい。
次に、リブ112の先端面からリブ112の付け根に設けられた両側2箇所のR部113までを覆う大きさの樹脂含浸繊維をリブ表面部32に形成された電着塗膜121に貼り付ける(ステップS2)。この樹脂含浸繊維に含浸された樹脂は、熱を加えることで硬化するエポキシ系の樹脂であり、樹脂含浸繊維を貼り付ける段階では液状のものである。
続いて、樹脂含浸繊維に脱泡器を押し付けて電着塗膜121と樹脂含浸繊維の間にある気泡を押し出す脱泡を行う(ステップS3)。このとき、樹脂含浸繊維と電着塗膜121の表面との間に空間があったとしても、脱泡により、樹脂含浸繊維に含浸された樹脂が電着塗膜121側にしみ出し、その空間を樹脂含浸繊維からしみ出した樹脂で埋めることができる。
その後、樹脂含浸繊維に熱を加え、樹脂が硬化したら、樹脂含浸繊維の表面をヤスリで研磨する(ステップS4)。樹脂含浸繊維の表面には、含浸された樹脂から強化繊維の一部が飛び出ていることがある。樹脂含浸繊維の表面に強化繊維が飛び出ていると、その飛び出た強化繊維と含浸された樹脂との境界から腐食性溶液が浸入しやすくなる。本実施形態では、樹脂含浸繊維の表面をヤスリで研磨することで、樹脂含浸繊維の表面に飛び出た強化繊維を除去している。研磨が施された樹脂含浸繊維が繊維入樹脂塗膜123になる。液状の樹脂を厚く塗った場合、リブ112の側面では、繊維入樹脂塗膜123の成形時に樹脂が硬化する前にその液状の樹脂が重力で流れ落ちやすい。樹脂含浸繊維を用いることで、そのような樹脂が流れ落ちやすい部分であっても、樹脂含浸繊維に備えられた強化繊維と強化繊維の間で液状の樹脂が流れ落ちないように保持できるので、容易に厚みのある樹脂層が得られる。また、強化繊維が含まれる樹脂含浸繊維を用いることでリブ樹脂層12rの割れや摩耗に対する耐久性が高まる。
次に、繊維入樹脂塗膜123の表面に樹脂を刷毛塗りすることで表面塗装を施す(ステップS5)。表面塗膜124を構成する樹脂も、熱を加えることで硬化するエポキシ系の樹脂であり、刷毛塗りする段階では液状のものである。この表面塗装によって塗られた液状の樹脂に熱を加えて硬化させることで表面塗膜124が形成される。
図6(a)は、マンホール鉄蓋のリブ表面部分における断面を拡大して示す拡大断面図である。この図6(a)では、ハッチングを省略している。
図6(a)に示されるように、電着塗膜121は、塗装前の鋳肌Mにほぼ均一な厚みで形成されるため、鋳造したままの鋳肌Mに電着塗膜121を形成しただけでは、その電着塗膜121により形成される面は鋳肌Mと同様に粗い面になり、滑らかな表面は得られ難い。繊維入樹脂塗膜123は、樹脂含浸繊維に含まれる強化繊維と強化繊維の間で、樹脂含浸繊維に含浸された液状の樹脂の表面張力が作用した状態で形成されるので、繊維入樹脂塗膜123の表面は、大部分が滑らかな面を形成している。しかし、強化繊維の間に気泡が残っている部分が存在することもある。その気泡が残っている部分が表面部分に存在していると繊維入樹脂塗膜123の表面に微細な孔が形成されてしまうことがある。また、研磨をしても強化繊維が表面側に若干突出していることもある。更に、マンホール鉄蓋1に荷重が加えられたり経年変化することで、繊維入樹脂塗膜123の表面に強化繊維が飛び出してきてしまう虞もある。本実施形態では、鋳肌Mに電着塗膜121を形成し、その電着塗膜121の厚み方向外側に繊維入樹脂塗膜123を設け、更に、繊維入樹脂塗膜123の厚み方向外側に表面塗膜124を形成するので、滑らかな表面のリブ樹脂層12rを得ることができる。すなわち、繊維入樹脂塗膜123の表面に微細な孔や突出部分があっても、刷毛塗りによって形成された表面塗膜124により、その孔を埋め、突出部分を覆うことができる。また、刷毛塗りによって塗られた液状の樹脂は、その表面張力によって平坦な表面を形成するので、表面塗膜124によって形成されたリブ樹脂層12rの表面は滑らかな面になる。このようにして形成したリブ樹脂層12rの表面粗さ測定結果を表2に示す。
Figure 2013104237
この表2には、JIS B 0601(1994)に基づいて測定した算術平均粗さ(Ra)および表面粗さの最大高さ(Ry)の値が示されている。なお、本実施形態で示される算術平均粗さ(Ra)および表面粗さの最大高さ(Ry)の測定値は、全てJIS B 0601(1994)に基づいて測定した値である。この表2では、最上段に測定箇所の番号が示されている。また、表2の右側部分には、各測定箇所から得られた表面粗さの最大値(max)、最小値(min)および平均値が示されている。この表2から明らかなように、リブ樹脂層12rの表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で0.14〜0.76μmであり、最大高さ(Ry)で、0.39〜3.21μmである。
上述したように電着塗膜121は鋳肌Mと強固に密着している。その電着塗膜121には主成分が電着塗膜121と同様に樹脂で構成されていることで接着しやすい繊維入樹脂塗膜123が強固に付着し、樹脂で構成されている表面塗膜124が繊維入樹脂塗膜123に強固に付着するので、全体として密着性が高く剥離しにくい強固に鉄蓋本体11に密着した下面樹脂層12が形成できる。
リブ樹脂層12rが形成されたら、マンホール鉄蓋1の下面30を上側にした状態で、平坦部31に液状の樹脂を流した後、硬化させることで樹脂塗膜122を形成する(ステップS6)。これにより、平坦部樹脂層12fが形成される。この樹脂塗膜122を構成する樹脂は、熱を加えることで硬化するエポキシ系の透明な樹脂であり、平坦部31に流す段階では液状のものである。なお、樹脂流しを複数回行うことで、樹脂塗膜122を複数の塗膜で形成してもよい。樹脂塗膜122を構成する樹脂に透明な樹脂を用いるのは、上述した中央領域300C(図3(a)参照)に設けられた情報表示を視認できるようにするためである。ただし、情報表示が視認できれば、黒色など透明以外の樹脂を用いてもよい。
図6(b)は、マンホール鉄蓋の平坦部における断面を拡大して示す拡大断面図である。
電着塗膜121は、鋳肌Mと同様の粗い面である。電着塗膜121の厚み方向外側に、液状の樹脂を流し、樹脂の液面が水平になったら熱を加えるといった簡単な作業で、樹脂塗膜122を得ることができる。また、平坦部31に流された液状の樹脂は、時間の経過によって液面が水平になるので、図6(b)に示されるように滑らかな表面の樹脂塗膜122を得ることができる。つまり、この樹脂塗膜122によって形成された平坦部樹脂層12fの表面は滑らかな面になる。また、平坦部31に流し込む液状の樹脂の量を調整することで、任意の厚みの樹脂塗膜122が得られる。このようにして形成した平坦部樹脂層12fの表面粗さ測定結果を表3に示す。
Figure 2013104237
この表3には、JIS B 0601(1994)に基づいて測定した算術平均粗さ(Ra)および表面粗さの最大高さ(Ry)の値が示されている。この表3では、最上段に測定箇所の番号が示されている。また、表3の右側部分には、各測定箇所から得られた表面粗さの最大値(max)、最小値(min)および平均値が示されている。この表3から明らかなように、平坦部樹脂層12fの表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で0.08〜0.57μmであり、最大高さ(Ry)で、0.33〜2.97μmである。
上述したように電着塗膜121は鋳肌Mと強固に密着している。その電着塗膜121には主成分が電着塗膜121と同様に樹脂で構成されていることで接着しやすい樹脂塗膜122が強固に付着するので、全体として密着性が高く剥離しにくい強固な樹脂層が形成できる。また、リブ32では3層構造のリブ樹脂層12rが形成され、平坦部31では2層構造の平坦部樹脂層12fが形成されるので、高い防錆能力を備えた下面樹脂層12が得られる。
図7(a)は、図2(a)のD部を拡大して示す拡大図である。図7(a)では、内周樹脂層52の厚みおよび上端面樹脂層53の厚みが誇張して示されている。また、図7(a)では、D部のみを示しているが、内周樹脂層52は、受枠本体51の内周面61全体に設けられている。また、上端面樹脂層53は、受枠本体51の上端面65全体に設けられている。なお、この図7(a)では、受枠本体51の外周面66および下端面67に設けられた樹脂層も誇張して示されている。
図7(a)に示すように、内周面61には、2層構造の内周樹脂層52が設けられている。この内周樹脂層52は、電着塗装により受枠本体51の鋳肌Mに付着した、エポキシ樹脂を主成分とした電着塗膜521と、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を混合した混合樹脂によって形成された混合樹脂塗膜522とを備えている。この混合樹脂塗膜522は、電着塗膜521よりも厚く形成されている。混合樹脂塗膜522を構成する混合樹脂として、例えば、熱可塑性樹脂である塩化ビニル樹脂に熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂等を混合させた樹脂を用いることができる。なお、電着塗膜521を構成する樹脂を、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、或いはこれらの樹脂を混合した混合樹脂を用いてもよい。また、混合樹脂塗膜522を構成する、熱硬化性樹脂と混合する熱可塑性樹脂を、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、或いはこれらの樹脂のうちの複数の樹脂としてもよい。また、電着塗膜521と混合樹脂塗膜522とを構成する樹脂を同一成分の樹脂としてもよい。
電着塗膜521は、膜厚が約20μmに形成されており、混合樹脂塗膜522は、膜厚が約1000μmに形成されている。電着塗膜521と混合樹脂塗膜522の膜厚は、内周樹脂層52の厚みが400μm以上3000μm以下になるような厚みであれば、それぞれ任意の厚みに形成してもよい。
電着塗膜521は、受枠本体51の内周面61に電着塗装を施すことで形成されたものである。また、混合樹脂塗膜522は、電着塗膜521が施された受枠本体51に熱を加え、浸漬塗装(所謂、どぶ漬け塗装)することで形成された塗膜である。浸漬塗装は、塗料や塗装条件を工夫することによって厚い塗膜層を得ることができる。ただし、浸漬塗装は、上述した下面樹脂層12の塗装方法と比較すると、塗膜層の厚みが不均一になりやすく、表面粗さはやや粗くなる傾向がある。なお、混合樹脂塗膜522は、電着塗膜521が施された受枠本体51に加える熱量と、浸漬する時間を調整することで任意の厚みに形成できる。
本発明者の研究によると、内周樹脂層52の厚みが400μm未満であると、内周樹脂層52表面に残留した腐食性溶液が、内周樹脂層52全てを浸食してしまう可能性や、内周樹脂層52に浸透して鉄蓋本体11まで到達してまう可能性がある。また、内周樹脂層52に外部からの衝撃や荷重が加えられた場合に内周樹脂層52が破壊されてしまう可能性が高まる。逆に、内周樹脂層52の厚みが3000μmより厚いと、受枠5が周囲温度の変化によって伸縮した場合に、受枠本体51の伸縮率と内周樹脂層52の伸縮率の違いによって受枠本体51と内周樹脂層52とが剥離する虞がある。また、周囲温度の変化によって受枠5が変形した場合に内周樹脂層52が割れてしまう虞もある。内周樹脂層52の厚みを400μm以上にすることで、腐食性溶液が内周樹脂層52を浸食或いは内周樹脂層52に浸透し、その腐食性溶液が受枠本体51に到達する虞が殆どなくなる。また、内周樹脂層52の厚みを3000μm以下にすることで、受枠本体51が周囲温度の変化によって膨張或いは収縮しても、内周樹脂層52が受枠本体51に追従して変形しやすくなる。内周樹脂層52が受枠本体51に追従して変形しやすいため、内周樹脂層52と受枠本体51とが剥離する可能性及び内周樹脂層52に割れが生じる可能性を低減させることができる。この剥離や割れがあると、その剥離や割れによって生じた空間に腐食性溶液が入り込み、腐食性溶液が受枠本体51に到達して受枠本体51に錆が発生する虞がある。すなわち、内周樹脂層52の厚みを400μm以上3000μm以下にすることで、受枠本体51に錆が発生する可能性を抑制することができる。
上端面樹脂層53は、電着塗装により枠本体51の鋳肌Mに密着した、エポキシ樹脂を主成分とした塗膜によって構成されたものである。この上端面樹脂層53は、受枠本体51の内周面61に電着塗膜521を形成する際に、上端面65にも電着塗装を同時に施すことで形成されたものである。ただし、内周面61と上端面65それぞれ別々に電着塗装を施してもよい。また、上端面樹脂層53に用いられる樹脂として、エポキシ系樹脂の他に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂或いはこれらの樹脂のうちのいくつかを混合した混合樹脂を用いてもよい。上端面樹脂層53は、層厚が約20μmに形成されている。一般的に、受枠5は、設置された状態ではその殆どの部分が地中に埋設されるが、上端面樹脂層53は、その表面が地面Gに露出して設置される。上端面樹脂層53は、設置される前の状態において、受枠本体51の上端面65を保護するために設けられたものである。受枠5が設置された状態では、その受枠5の上を自動車などが通過することで、上端面樹脂層53に荷重が加わったり上端面樹脂層53と自動車のタイヤ等との間で摩擦が生じることがある。上端面樹脂層53を厚く形成すると、上端面樹脂層53が荷重によって割れてしまい、割れた破片がゴミになってしまう虞がある。また、上端面樹脂層53を構成する樹脂が摩擦によって少しづつ削られてしまう場合もある。その場合には、上端面樹脂層53が厚く形成されている程、上端面樹脂層53を構成する樹脂が長期間に渡って削られ、削られた樹脂によって生じる粉塵が多く発生してしまうという問題もある。また、上端面樹脂層53を厚く形成すると、上端面樹脂層53を形成するための作業費および材料費が高くなり、受枠5が高価になってしまうという問題がある。このため、上端面樹脂層53は、必要最小限の層厚に形成されることが好ましい。一方、内周樹脂層52は、錆の発生を抑制するために、3000μmを超えない範囲で厚く形成することが好ましい。本実施形態の受枠5によれば、上端面樹脂層53よりも内周樹脂層52を厚く形成することで、コストアップやゴミの発生等を低減しつつ、受枠本体51の内周面61においては錆の発生を抑制することができる。なお、受枠本体51の外周面66および下端面67にも、その外周面66および下端面67を保護するために、受枠本体51の鋳肌Mに密着した、エポキシ樹脂を主成分とした層厚20μmの樹脂層が、電着塗装により形成されている。
図7(b)は、受枠の内周面を拡大して示す拡大図である。
図7(b)に示されるように、電着塗膜521は、塗装前の鋳肌Mにほぼ均一な厚みで形成されるため、鋳造したままの鋳肌Mに電着塗膜521を形成しただけでは滑らかな表面は得られ難い。浸漬塗装では、溶融した樹脂の表面張力によって表面が形成されるため、混合樹脂塗膜522の表面は滑らかになる。浸漬塗装を施すことで、厚みのある滑らかな表面の内周樹脂層52を得ることができる。内周面61に形成された、浸漬塗装による内周樹脂層52の表面粗さ測定結果を表4に示す。
Figure 2013104237
この表4には、JIS B 0601(1994)に基づいて測定した算術平均粗さ(Ra)および表面粗さの最大高さ(Ry)の値が示されている。この表4では、最上段に測定箇所の番号が示されている。また、表4の右側部分には、各測定箇所から得られた表面粗さの最大値、最小値および平均値が示されている。この表4から明らかなように、内周面61に形成された内周樹脂層52の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で0.45〜0.61μmであり、最大高さ(Ry)で、2.61〜4.42μmである。
電着塗膜521は鋳肌Mと強固に密着している。その電着塗膜521には主成分が電着塗膜521と同様に樹脂で構成されていることで接着しやすい混合樹脂塗膜522が強固に付着するので、全体として密着性が高く剥離しにくい強固に鉄蓋本体11に密着した下面樹脂層12が形成できる。また、高い防錆能力を備えた2層構造の混合樹脂塗膜522が得られる。
本発明者が確認試験を行ったところ、樹脂層12、52の厚みが400μm未満の鉄蓋本体11および受枠本体51には錆が発生した。これは、樹脂層12、52の厚みが400μm未満である場合には、垂れ落ちるまでの間に腐食性溶液が樹脂層12、52を侵食或いは樹脂層12、52に浸透し、その腐食性溶液が鉄蓋本体11および受枠本体51に到達してしまうことが要因と考えられる。また、樹脂層12、52の厚みが3000μmを超えたものでは、繰り返し荷重をかけたところ樹脂層12、52にひび割れが発生するか、下面樹脂層12と鉄蓋本体11とが剥離或いは内周樹脂層52と受枠本体51とが剥離した。その結果、その割れや剥離した部分から腐食性溶液が鉄蓋本体11および受枠本体51に到達して錆が生じた。また、樹脂層12、52の厚みが400μm以上3000μm以下であっても、最大高さ(Ry)が10μmを超えると鉄蓋本体11および受枠本体51に錆が生じた。これは、最大高さ(Ry)が10μmを超えると、腐食性溶液が、その表面張力によって垂れ落ち難くなり、マンホール鉄蓋1や受枠5に長時間残留してしまい、樹脂層12、52を侵食或いは樹脂層12、52に浸透してしまうことが要因と考えられる。
以上説明したように本実施形態によれば、下面樹脂層12及び内周樹脂層52の表面を円滑に形成できる。具体的には、表面粗さの最大高さ(Ry)を5μm未満に形成することができる。さらに、本実施形態によれば、下面樹脂層12及び内周樹脂層52の厚みを、任意の厚みにすることができる。また、下面樹脂層12及び内周樹脂層52の表面粗さの最大高さ(Ry)を10μm以下とし、400μm以上に3000μm以下にすることで、鉄蓋本体11および受枠本体51に錆が発生する可能性を抑制することができる。また、鉄蓋本体11および受枠本体51を構成する金属が腐食性溶液によって溶かされてしまう可能性も低減できる。
また、本実施形態では、上面樹脂層13と上端面樹脂層53を、電着塗装により形成しているので、鋳肌面Mと同様の粗い表面が形成することができる。粗い表面を形成することで、そのマンホール鉄蓋1や受枠5の上を通過する自動車などの滑り止め効果が得られる。すなわち、本実施形態では、鉄蓋本体11の上面40に設けられた上面樹脂層13の表面粗さの最大高さ(Ry)を高くし、鉄蓋本体11の下面30に設けられた下面樹脂層12の表面粗さの最大高さ(Ry)を上面樹脂層13の表面粗さの最大高さ(Ry)よりも低く形成している。これにより、マンホール鉄蓋1の地上側の面では滑りにくく、地下側の面では腐食性溶液が垂れ落ちやすいマンホール鉄蓋1を得ることができる。また、本実施形態では、受枠本体51の上端面65に設けられた上端面樹脂層53の表面粗さの最大高さ(Ry)を高くし、受枠本体51の内周面61に設けられた内周樹脂層52の表面粗さの最大高さ(Ry)を上端面樹脂層53の表面粗さの最大高さ(Ry)よりも低く形成している。これにより、受枠5の地上側の面では滑りにくく、受枠5の内周面では腐食性溶液が垂れ落ちやすい受枠5を得ることができる。 本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことが出来る。例えば、マンホール鉄蓋1の下面樹脂層12を電着塗装と浸漬塗装により形成してもよい。また、受枠5の内周樹脂層52を、電着塗装と樹脂含浸繊維と刷毛塗りを用いた3層構造の樹脂層としてもよい。また、下面樹脂層12の一部或いは内周樹脂層52の一部を、射出成形で形成してもよく、刷毛塗り或いはスプレー塗装を複数行うことで形成してもよい。ただし、射出成形では、金型が必要になるのでコストが増加するというデメリットがあり、刷毛塗りやスプレー塗装では樹脂層の厚みを得るために複数回重ね塗りをする必要が生じてしまうというデメリットがある。また、樹脂に増粘剤を混合して粘度を向上させたものを刷毛塗りなどで塗装し、下面樹脂層12の一部或いは内周樹脂層53の一部を形成してもよい。このようにすれば、一度の塗装によってある程度の厚みの樹脂層を得ることができ、重ね塗りの回数を減らすことができる。また、電着塗膜121或いは電着塗膜521を省略してもよい。また、本実施形態では、マンホール鉄蓋1の下面30の全体に下面樹脂層12を形成したが、下面30の、特に錆が懸念される一部分に下面樹脂層12を形成してもよい。例えば、リブ112の先端面のみ或いはリブ112の側面のみに樹脂層を設けても良い。また、リブ樹脂層12rは、リブ112の側面では樹脂含浸繊維を含む樹脂層とし、リブ112の先端面は樹脂含浸繊維を含まない樹脂流しなどの他の形成方法で形成した樹脂層としてもよい。ただし、リブ112の先端面とリブ112の側面とを覆う1枚の樹脂含浸繊維によってリブ樹脂層12rを形成することで、マンホール鉄蓋1が変形した場合でも割れや剥離の生じにくい丈夫な樹脂層が形成できる。また、本実施形態では、マンホール鉄蓋1の上面40の全体に上面樹脂層13を形成したが、上面の一部分のみに上面樹脂層13を形成してもよい。例えば、凸部42のみに樹脂層を設けても良い。また、本実施形態では、受枠5の内周面61全体に内周樹脂層52を形成したが、内周面61の、特に錆が懸念される一部分のみに内周樹脂層52を形成してもよい。また、受枠5の上端面65の全体に上端面樹脂層53を形成したが、上端面65の一部分のみに上端面樹脂層53を形成してもよい。また、鉄蓋本体11或いは受枠本体51のうちの所定部分毎に種類の異なる塗装方法を用いて樹脂層を形成してもよい。
以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の変形例に適用してもよい。
なお、ここでの説明では、開閉時に支点を中心に略水平方向に旋回させるマンホール鉄蓋を例にあげて説明したが、本発明は、開閉時に支点を中心に表裏が逆になるように反転させるマンホール鉄蓋等にも適用することができる。また、地下構造物はマンホールに限られず、本発明は、マンンホール以外の地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体に広く適用することができ、蓋体の形状や大きさも何ら限定されることはない。また、受枠も、あらゆる地下構造物に広く適用することができ、その形状や大きさも何ら限定されることはない。
1 マンホール鉄蓋
5 受枠
11 鉄蓋本体
12 下面樹脂層
13 上面樹脂層
30 下面
40 上面
51 受枠本体
52 内周樹脂層
53 上端面樹脂層
61 内周面
65 上端面
121、521 電着塗膜
123 繊維入樹脂塗膜
H 開口
G 地面

Claims (8)

  1. 地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体において、
    金属製の蓋体本体と、
    前記蓋体本体の地下側になる下面に設けられた下面樹脂層とを備え、
    前記下面樹脂層は、厚みが400μm以上3000μm以下に形成されたものであり、表面粗さの最大高さ(Ry)が0μmより大きく10μm以下に形成されたものであることを特徴とする地下構造物用蓋体。
  2. 地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体において、
    金属製の蓋体本体と、
    前記蓋体本体の地上側になる上面に設けられた上面樹脂層と、
    前記蓋体本体の地下側になる下面に設けられた下面樹脂層とを備え、
    前記下面樹脂層は、前記上面樹脂層よりも厚く形成されたものであることを特徴とする地下構造物用蓋体。
  3. 前記下面樹脂層は、繊維と繊維の間に樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維によって少なくともその一部が形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の地下構造物用蓋体。
  4. 地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体において、
    金属製の蓋体本体と、
    前記蓋体本体の地下側になる下面に設けられた下面樹脂層とを備え、
    前記下面樹脂層は、繊維と繊維の間に樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維によって少なくともその一部が形成されたものであることを特徴とする地下構造物用蓋体。
  5. 前記下面樹脂層は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂のうちのいずれか1つを含んだものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の地下構造物用蓋体。
  6. 前記下面樹脂層は、電着塗装により前記蓋体本体に付着した塗膜によって少なくともその一部が形成されたものであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載の地下構造物用蓋体。
  7. 地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠において、
    筒状に形成された金属製の受枠本体と、
    前記受枠本体の内周面に設けられた内周樹脂層とを備え、
    前記内周樹脂層は、厚みが400μm以上3000μm以下に形成されたものであり、表面粗さの最大高さ(Ry)が0μmより大きく10μm以下に形成されたものであることを特徴とする地下構造物用蓋体受枠。
  8. 地下構造物につながる開口を塞ぐ地下構造物用蓋体を支持する地下構造物用蓋体受枠において、
    筒状に形成された金属製の受枠本体と、
    前記受枠本体の上端面に設けられ、地面に露出する上端面樹脂層と、
    前記受枠本体の内周面に設けられた内周樹脂層とを備え、
    前記内周樹脂層は、前記上端面樹脂層よりも厚く形成されたものであることを特徴とする地下構造物用蓋体受枠。
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