JP2013103660A - 電気自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部から充電することのできる電気自動車特有の構成を利用して、バッテリの入出力電流を計測する電流センサに異常が発生していないかチェックする技術を提供する。
【解決手段】電気自動車100は、バッテリ5と、バッテリ5の入出力電流を計測する第1電流センサ6と、充電器34の出力電流を計測する第2電流センサ35と、第1及び第2電流センサの状態をチェックするコントローラ4を備える。コントローラ4は、次の処理を実行する。まず第1電流センサの計測値と第2電流センサの計測値の差分を算出する。次に、既定の時間閾値よりも長い時間、差分が既定の差分閾値よりも大きい場合、第1電流センサと第2電流センサの間に接続されている他の電気デバイスを停止する。その後の計測値の差分が差分閾値よりも大きい場合、電流センサの異常を示すデータを表示装置とメモリの少なくとも一方へ出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、走行用のモータを備える電気自動車であって外部の電源から充電を受けることができる電気自動車に関する。本明細書における「電気自動車」には、走行用モータとエンジンを共に備えるハイブリッド車も含む。
近年、走行用のモータとエンジンを共に備えるハイブリッド車の普及が拡大している。近い将来、エンジンを備えずモータだけで走行する電気自動車(いわゆるピュア電気自動車)の普及も拡大すると予想されている。走行用モータに電力を供給するためのバッテリは高出力大容量である。即ち、ハイブリッド車を含む電気自動車は大電流を扱う。そのため、電気自動車に関して、電気系の不具合を検知する様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、走行用のモータに電力を供給するためのバッテリの充放電の異常を検知する技術が提案されている。特許文献1の技術では、バッテリの充放電電流を計測する2種類の電流センサを備え、その2種類の電流センサのそれぞれでバッテリ充放電電流の積算値を求め、2つの積算値のうち、いずれかの値が設定値よりも大きい場合にバッテリに異常が生じていると判断する。
特開2005−269752号公報
2個のセンサで同一の対象(上記の場合はバッテリ充放電電流)を計測してセンサの信頼性を高める手法は良く採用される手法である。その手法は、外部の電源から充電を受けることができる電気自動車に適用することができる。そのような電気自動車は、バッテリの入出力電流を計測する電流センサ(第1電流センサ)と、外部から供給される電力の電流を計測する電流センサ(第2電流センサ)を備えることが多い。第1電流センサは、走行中にバッテリの入出力電流をチェックするためにも用いられる。第2電流センサは、典型的には、外部の商用交流電力を直流電力に変換する充電器(ACDCコンバータ)の出力電流をチェックするのに用いられる。充電する際、外部電源とバッテリの間で第1電流センサと第2電流センサの2個の電流センサで電流を計測することができるので、それら2個の電流センサを使えば、電流計測の信頼性が向上する。
他方、電流センサそのものの異常を検知することができれば好ましい。特許文献1の技術の場合、異なる計測値を示す電流センサのいずれが故障しているのかを判断することはできない。本明細書は、外部から充電することのできる電気自動車特有の構成を利用して電流センサに異常が発生していないかチェックする技術を提供する。
外部から充電することのできる電気自動車の場合、充電中にもなんらかの電気デバイスが動作しており、電力を消費する。典型的には、充電を制御するコントローラが電力を消費する。第1電流センサは電流経路上でバッテリの近くに配置され、第2電流センサは電流経路上で充電器の近くに配置されるので、両者の間には電流を消費する他の電気デバイスが接続されている。そのため、第1電流センサと第2電流センサが共に正常に動作しているとしても、両者の計測値は一致しないことがある。さらには、両電流センサの計測値の差は、稼働している他の電気デバイスに依存する。本明細書は、充電時に2個の電流センサを使える電気自動車において、その2個の電流センサの計測値の不一致が他の電気デバイスの消費電力によるものであることを利用して、電流センサに異常が生じているか否かをチェックする。
本明細書が開示する技術を具現化した電気自動車の一態様は、走行用モータを駆動する電力を蓄えるためのバッテリと、第1及び第2の電流センサと、それらの電流センサの状態をチェックするコントローラを備える。第1電流センサは、バッテリの入出力電流を計測するために備えられている。従って第1電流センサはバッテリと他のデバイスを結ぶ電流経路上で他の電気デバイスよりもバッテリの近くに配置されている。第2電流センサは、外部から供給される電力の電流を計測する電流センサであり、典型的には充電器の出力電流を計測するために備えられている。外部電源からバッテリまでの電流経路において、第2電流センサは第1電流センサ及び他の少なくとも一つの電気デバイスよりも上流側に配置されている。コントローラは、電流センサチェック処理として、次の処理を実行する。コントローラは、充電中に、第1電流センサの計測値と第2電流センサの計測値の差分を算出する。コントローラは、予め定められた時間閾値よりも長い時間の間、算出された差分が予め定められた差分閾値よりも大きい場合、第1電流センサと第2電流センサの間に接続されている他の電気デバイスを停止する。即ち、電気自動車内での消費電力を削減する。そしてコントローラは、その後に算出した第1電流センサの計測値と第2電流センサの計測値の差分が差分閾値よりも大きい場合、電流センサの異常を示すデータを表示装置とメモリの少なくとも一方へ出力する。なお、第1電流センサの計測値と第2電流センサの計測値の差分が差分閾値よりも小さくなった場合は、電流センサに異常なしと判定する。電流センサに異常なしと判断した場合は、その旨を示すデータを出力してもよいし、しなくともよい。センサが正常であることを示すデータは、記憶しておけばセンサチェック結果の履歴として有用であるし、そのようなデータは無くとも支障はない。
上記の電気自動車は、第1電流センサの計測値と第2電流センサの計測値が不一致であるからといって単純にセンサ異常とは判断しない。前述したように、電気自動車には充電中にも他のデバイスが電力を消費している可能性があるからである。そこで、上記の電気自動車は、第1電流センサの計測値と第2電流センサの計測値の差分(以下、計測値差分と称する)が所定値以上でありその状態が所定時間以上継続した場合、他のデバイスを停止し、車両全体の消費電力を小さくする。それでも計測値差分が小さくならず所定値以上であれば、電流センサに異常が発生していると判断し、その旨を示すデータを表示装置あるいはメモリに出力する。なお、ここでいう「表示装置あるいはメモリ」とは、車載の表示装置あるいはメモリであってもよいし、車両外の表示装置あるいはメモリ、例えば、無線にて車両の状態をモニタするリモートサービスのサービスセンタに備えられたコンピュータであってもよい。車載のメモリあるいはサービスセンタのコンピュータに記録されるデータは、車両メンテナンス時にサービススタッフがチェックする診断データ(ダイアグノシスデータ)として用いられる。
計測値差分が大きい場合に停止するデバイスは、外部から供給される電力の電圧を降圧して小電力デバイスへ供給するDCDCコンバータであることが好ましい。一般に、電気自動車は、走行用モータのための電力を蓄えるバッテリ(メインバッテリと称する)のほか、通常のガソリン車が有するバッテリに相当するバッテリ(サブバッテリと称する)を備えている。サブバッテリは、カーステレオや車載のコントローラなど、12[V](あるいは24[V])程度で動作するデバイス(小電力デバイス)に電力を供給するために備えられている。ところでメインバッテリの充電中、外部から供給される電力をDCDCコンバータによって降圧してサブバッテリを充電するとともに小電力デバイスへ電力を供給することが良く行われる。DCDCコンバータを停止すると、その分、外部から供給される電力の消費は減る。ただし、小電力デバイスへはサブバッテリから電力が供給されるので、車両のシステムとしての動作に影響はない。計測値差分が所定値よりも大きい場合にDCDCコンバータを停止してその後の計測値差分をチェックすることは、車両のシステムとしての動作に影響を与えることなく、電流センサのチェックができる点でメリットがある。
本明細書が開示する技術の詳細およびさらなる改良は発明を実施するための形態の欄において詳細に説明する。
実施例の電気自動車の電気系統のブロック図である。 コントローラが実行する電流センサチェック処理のフローチャートである。
図1に、実施例の自動車の電気系統のブロック図を示す。本実施例の自動車は、走行用のモータとエンジンを備えるハイブリッド車100である。なお、図1は、ハイブリッド車100が本来備える全てのユニットを図示しているのではないことに留意されたい。図1は、実施例の技術の説明に関係するユニットを示している。
ハイブリッド車100が搭載しているバッテリ5は、例えば、最大出力電圧300[V]、最大出力電流200[A]、即ち、最大出力電力60[kW]の高出力高容量のバッテリである。バッテリ5は、例えばリチウムイオンタイプのバッテリである。バッテリ5に要求される最大出力電力は、搭載モータ12の最大出力によって決まる。本実施例の場合、モータ12の最大出力が60[kW]であり、これに対応して、最大出力電力が60[kW]のバッテリ5が採用されている。なお、ハイブリッド車100は、高出力高容量のバッテリ5のほか、通常のエンジン車が有するバッテリに相当する12[V]のバッテリ24も備える。両者を区別するため、以下、走行用モータ12を駆動する電力を蓄える高出力高容量のバッテリ5をメインバッテリ5と称し、相対的に低出力である12[V]出力のバッテリ24をサブバッテリ24と称する。
メインバッテリ5は、システムメインリレー7を介して第1コンバータ8に接続している。システムメインリレー7は、メインバッテリ5と車両の電気系統を接続したり切断したりするリレーであり、コントローラ4によって制御される。メインバッテリ5とシステムメインリレー7の間には、メインバッテリ5の入出力電流を計測する電流センサ(第1電流センサ6)が接続されている。第1コンバータ8は、DCDCコンバータであり、メインバッテリ5の直流出力電圧(300[V])を、モータ駆動に適した電圧(例えば600[V])に昇圧するデバイスである。第1コンバータ8によって昇圧された直流電力はインバータ9に入力される。インバータ9は、直流電力を、モータ12を駆動するための交流電力に変換し、モータ12へ出力する。第1コンバータ8もインバータ9も電力変換にスイッチング回路を備えている。スイッチング回路は、IGBTなどのいわゆるパワートランジスタとダイオード(還流ダイオード)の組み合わせである。コントローラ4が第1コンバータ8とインバータ9の各スイッチング回路へ指令を送る。指令は、PWM(Pulse Width Modulation)信号であり、そのデューティ比により、出力電圧(コンバータの場合)や、出力電流の周波数(インバータの場合)が制御される。コンバータとインバータの内部構造は良く知られているので詳しい説明は省略する。なお、インバータ9は、車両の減速エネルギによってモータ12が発電する電力(回生電力であり交流電力)を直流に変換する機能も有する。また、第1コンバータ8は、直流に変換された回生電力の電圧をメインバッテリ5に適した電圧に降圧する機能も有する。回生時は、モータ12が発電機として機能し、モータ12が生成する交流電力をインバータ9が直流に変換し、さらにコンバータ8が、その直流電圧を、メインバッテリ5の充電に適した電圧に変換する。
メインバッテリ5は、また、システムメインリレー7を介して、第2コンバータ22へも送られる。第2コンバータ22は、メインバッテリ5の出力電圧(例えば300[V])を、他の電子デバイスを駆動するのに適した電圧(例えば12[V])に降圧する降圧DCDCコンバータである。第2コンバータ22は、12[V]の低圧で駆動されるデバイス(小電力デバイス)へ電力を供給する。小電力デバイスには、例えば、ルームライト、カーオーディオ、カーナビゲーションなどがある。また、車載の様々なコントローラの回路も、「小電力デバイス」に含まれる。第1コンバータ8、第2コンバータ22、及び、インバータ9への指令であるPWM信号を生成するコントローラ4も、12[V]駆動のデバイスの一つである。以下では、12[V]駆動のデバイス群をまとめて「補機」と総称する。
第2コンバータ22の出力先には、12[V]のサブバッテリ24もある。即ち、高出力高容量のメインバッテリ5の電力を使って、サブバッテリ24の充電と、補機への電力供給が行われる。12[V]出力のサブバッテリ24は、メインバッテリ5からの電力供給を受けられないときに補機へ電力を供給する目的で備えられている。即ち、サブバッテリ24は、システムメインリレー7が開放されている間、補機へ電力を供給する。
また、モータ12が回生電力を発生する場合、インバータ9によって直流電力に変換された回生電力は、さらに第2コンバータ22によって降圧され、サブバッテリ24の充電に用いられる。
電気自動車100は、外部の電力(典型的には商用の100〜200[V])によってメインバッテリ5とサブバッテリ24を充電することもできる。そのため、電気自動車100は、外部の交流電力を直流に変換する充電器34(ACDCコンバータ)を備える。充電器34の出力は第1コンバータ8の低圧側に接続している。別言すれば、充電器34の出力は第1コンバータ8とメインバッテリ5の間に並列に接続している。充電器34の出力端には、充電器34の出力電流を計測する電流センサ(第2電流センサ35)が備えられている。また、充電器32の入力端はソケット33に繋がっている。ソケット33は、外部商用電源31(交流電力)を供給するプラグ32を繋ぐためのデバイスであり、車両のボディに設けられている。なお、図1では、ソケット33にプラグ32が接続している様子が描かれているが、プラグ32が接続されるのは車両が停止している間だけであり、走行する際にはプラグ32は外される。
ハイブリッド車100の駆動機構系を説明する。ハイブリッド車100は、モータ12とエンジン19を適宜に使い分ける。モータ12の出力軸とエンジン19の出力軸は、動力分配機構14で合成され、そのトルクは車軸15へ伝達される。車軸15はデファレンシャル機構16を介して駆動輪17と連動する。大きな駆動力が必要とされる場合にはエンジン19とともにモータ12を駆動する。それらの出力トルクは動力分配機構14にて合成され、車軸15を介して駆動輪17に伝達される。さほど大きなトルクが必要とされない場合、例えば一定速度で走行する場合には、エンジン19を停止し、モータ12のみで駆動輪17を駆動する。他方、メインバッテリ5の残容量が少なくなると、エンジン19を始動し、動力分配機構14によってエンジン19のトルクを車軸15とモータ12へ振り分ける。エンジン19の出力トルクによって駆動輪17を駆動しながら、モータ12を駆動し発電する。また、運転者がブレーキペダルを踏んだ場合、車軸15をモータ12と直結状態とし、車両の運動エネルギによってモータ12をその出力軸側から逆駆動し、発電する。即ち、ハイブリッド車100は、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換し、その電力(回生電力)によってメインバッテリ5を充電する。また、サブバッテリ24も回生電力によって充電され得る。
なお、動力分配機構14はプラネタリギアであり、そのサンギアがモータ12に連結しており、そのプラネタリキャリアがエンジン19に連結しており、そのリングギアが車軸15に連結している。モータ12とエンジン19は、コントローラ4によって制御される。
ハイブリッド車100は、実際には、機能ごとに備えられた多数のコントローラを備えており、それら多数のコントローラが協働することによって、一つの車両システムとして機能する。しかし本明細書では説明を簡略化するため、物理的に複数のコントローラに分かれていても、それらを「コントローラ4」で総称する。
コントローラ4には様々なセンサデータが入力され、コントローラ4はそれらのセンサデータに基づいて車両を制御する。コントローラ4に入力されるセンサデータには例えば、メインバッテリ5とサブバッテリ24の充電量(SOC)を計測するセンサのデータ、モータ12の回転数を計測する回転数センサ13のデータ、メインバッテリ5の入出力電流を計測する第1電流センサ6のデータ、充電器34の出力電流を計測する第2電流センサ35のデータなどがある。
次に、外部電源からメインバッテリ5を充電する際にコントローラ4が行う電流センサのチェック処理について説明する。メインバッテリ5の入出力電流や充電器34の出力電流は100[A]を超える大電流であるので、第1と第2の電流センサ6、35が正常に動作しているか否かをチェックすることは重要である。このチェック処理は、充電器34からメインバッテリ5までの電流経路に2個の電流センサ6、35が接続されているという構造、及び、その2個の電流センサ6、35の間に、他のデバイス(補機)が接続されているという構造を利用して電流センサの異常を検知するものである。なお、当然にコントローラ4は、チェック処理とともに充電処理も実行する。充電処理は、具体的には、メインバッテリ5の充電量(SOC:State Of Charge)が所定の割合(理想的には100%)となるように、充電器34を制御することである。コントローラ4は、初期には充電器34の出力を最大とし、SOCが高まったら(例えば80%を超えたら)、充電器34の出力を低下させる。過充電を避けるためである。
なお、コントローラ4は、充電開始に先立ち、車両のメインスイッチがOFFになっているか否かをチェックする。車両のメインスイッチとは、運転席に備えられているスイッチであり、いわゆるイグニッションスイッチである。このスイッチがOFFであると、少数の常時稼働のデバイス(セキュリティ関係のデバイス、リモコンキー電波の受信デバイスなど)を除き、電源の供給がカットされる。充電中は、他のデバイス、特に駆動に関係するデバイスが動作することは不適切であるので、コントローラ4は、充電開始前に車両のメインスイッチがOFFであることを確認する。なお、充電のための回路は、例外であり、車両のメインスイッチに関わらず稼働することができる。
また、モータ12が回転していると、回生電力によってインバータ9から第1コンバータ8、さらには第2コンバータ22へ電流が流れる。電流センサのチェック処理には、回生電流が流れることは不都合であるが、コントローラ4は、メインスイッチがOFFされていることを確認した後に充電を開始するから、電流チェック処理中にモータ12から回生電力が供給されることはない。なお、モータ12が回転していないことは、回転数センサ13のセンサデータで確認することもできる。
以下の説明では、第1電流センサ6の計測値を第1電流計測値IBと称し、第2電流センサ35の計測値を第2電流計測値ICHGと称し、メインバッテリ5の充電量を充電量SOCと称する。コントローラ4は、第1電流計測値IBと第2電流計測値ICHGに基づいて電流センサをチェックする。なお、第1電流計測値IBと第2電流計測値ICHGは、いずれも、電流が充電器34からメインバッテリ5へ向かう向きを計測値の正値とする。
図2に、電流センサのチェック処理のフローチャートを示す。充電を開始すると、コントローラ4は、第2電流計測値ICHGと第1電流計測値IBとの計測値差分dI(dIは差分の絶対値を表す)を算出し、計測値差分dIが予め定められた差分閾値dIthよりも大きいか否かをチェックする(S2)。計測値差分dIが差分閾値dIthよりも小さい場合は、電流センサの計測値に異常はないものとして、充電量SOCが所定の充電量閾値SOCthになるまで充電を継続する(S2:NO、S4)。
図1に示されているように、第1電流センサ6と第2電流センサ35は共に充電器34からメインバッテリ5までの電流経路上に設置されているので、本来は、第1電流計測値IBと第2電流計測値ICHGは同じであってよい。しかし、第2電流センサ35と第1電流センサ6の間には、第2コンバータ22を介して様々な補機が接続されている。補機の中にはコントローラ4も含まれ、充電中も電力を消費している。より具体的には、第2電流センサ35から第1電流センサ6へ向かう充電時の送電経路が第2電流センサ35と第1電流センサ6の間で分岐し、さらに第2コンバータ22を介して補機へと電力を分流させる。そのため、電流経路の下流側に位置する第1電流センサ6の計測値IBは、上流側に位置する第2電流センサ35の計測値ICHGよりも小さくなることがある。補機の電力消費による見込みの電流減少分が、差分閾値dIthに相当する。即ち、計測値差分dIが差分閾値dIthよりも小さい場合は、コントローラ4は、電流センサは正常であると判断する。
なお、ここで、「電流センサは正常であると判断する」とは、より厳密には、「図2のチェック処理では異常が検知されなかった」ことを意味するのであり、電流センサが正常であることを保証するものではないことに留意されたい。図2の処理の他にも様々な観点による電流センサのチェックが行われる。図2の処理はコントローラ4が実行する複数のチェック処理のうちの一つである。
計測値差分dIが差分閾値dIthよりも大きい場合(S2:YES)、電流センサに異常が発生している可能性がある。その場合、ステップS3以降へ処理が移る。コントローラ4は、まずタイマをスタートする(S3)。このタイマは、計測値差分dIが差分閾値dIthよりも大きかった時間(異常検知継続時間dT)を計測するためのものである。コントローラ4は、異常検知継続時間dTが予め定められた時間閾値dTthに達するまでに計測値差分dIが差分閾値dIthを下回るか否かをチェックする(S5、S6)。計測値差分dIが差分閾値dIthを下回った場合(S6:NO)、計測値差分dIが差分閾値dIthよりも大きかったことは、一時的なセンサ異常、あるいはノイズによる誤検知であるとして、ステップS3で開始したタイマをストップ/リセットし(S13)、処理の先頭(S2)へ戻る。
他方、異常検知継続時間dTが予め定められた時間閾値dTthに達した場合(S5:YES、S6:YES)、コントローラ4は、第2コンバータ22を停止し(S7)、それでも計測値差分dIが差分閾値dIthよりも大きいか否かをチェックする(S8)。第2コンバータ22を停止すると、充電器34の出力電流を消費するデバイスが減るので、電流センサが正常であれば、計測値差分dIは差分閾値dIthより小さくなるはずである。なお、このときは、第2コンバータ22を停止する前に計測値差分dIが差分閾値dIthより大きかったことは、何らかの電気デバイスが動作しておりその消費電力が大きかったことが原因であると特定できる。従って、ステップS8にて計測値差分dIが差分閾値dIthより小さくなったのであれば(S8:NO)、電流センサを含め、充電に関するシステムは正常であると判断し、ステップS3で開始したタイマをストップ/リセットし(S13)、処理の先頭(S2)へ戻る。
他方、第2コンバータ22を停止しても計測値差分dIが差分閾値dIthよりも大きい場合(S8:YES)、いずれかの電流センサに異常が発生していると判断できる。その場合、コントローラ4は、電流センサに異常が発生している旨を示すエラーメッセージを車載のモニタ25に表示するとともに、車両が備える不揮発性メモリ2に、電流センサの異常を示すエラーコードをセットする(S12)。なお、この場合、電流センサに異常が生じているために、そのようなセンサを用いて充電を継続するのは好ましくないので、その場合は充電を停止し(S14)、処理を終了する。また、不揮発性メモリ2に記憶されたエラーコードは、後の車両メンテナンス時に、サービススタッフが確認する診断データとなる。
以上説明したように、ハイブリッド車100(電気自動車)は、充電中にメインバッテリ5の入出力電流を計測する電流センサ(第1電流センサ6)が正常であるか否かをチェックする。このチェックは、第1電流センサの計測値と、充電器34の出力電流を計測する電流センサ(第2電流センサ35)の計測値の差分(計測値差分)に基づく。コントローラ4は、計測値差分が所定の差分閾値よりも大きい場合、システムに何らかの異常が生じると判断する。
実施例の技術に関する留意点を述べる。計測値差分dIが所定の差分閾値dIthよりも大きい場合に停止する電気デバイスは第2コンバータ22に限られない。ハイブリッド車100の全体で消費電力が削減できればよいから、他の補機(電気デバイス)を停止してもよい。ただし、消費電力の削減量は大きいほど良いので、第2コンバータ22を停止することが好ましい。
図2のフローチャートにおいて、ステップS5における差分閾値と、ステップS8における差分閾値は、異なる値であってもよい。即ち、第1電流センサ6と第2電流センサ35の間に接続された補機を停止する前の差分閾値と、補機を停止した後の差分閾値は異なる値であってもよい。なお、差分閾値や時間閾値などは、ハイブリッド車100の特性に基づいて予め定められ、コントローラ4に記憶される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:メモリ
4:コントローラ
5:メインバッテリ
6:第1電流センサ
7:システムメインリレー
8:第1コンバータ
9:インバータ
12:モータ
13:回転数センサ
19:エンジン
22:第2コンバータ(DCDCコンバータ)
24:サブバッテリ
25:モニタ
31:外部商用電源
32:充電器
32:プラグ
33:ソケット
34:充電器
35:電流センサ
100:ハイブリッド車(電気自動車)

Claims (2)

  1. 車両の外部の電源から充電を受けることができる電気自動車であり、
    走行用モータに供給する電力を蓄えるためのバッテリと、
    バッテリの入出力電流を計測する第1電流センサと、
    外部から供給される電力の電流を計測する電流センサであり、第1電流センサと他の少なくとも一つの電気デバイスよりも外部から供給される電力の電流経路の上流側に配置されている第2電流センサと、
    第1及び第2電流センサの状態をチェックするコントローラと、
    を備えており、
    コントローラは、
    第1電流センサの計測値と第2電流センサの計測値の差分を算出し、
    予め定められた時間閾値よりも長い時間、前記差分が予め定められた差分閾値よりも大きい場合、第1電流センサと第2電流センサの間に接続されている他の電気デバイスを停止し、
    その後の計測値の差分が前記差分閾値よりも大きい場合、電流センサの異常を示すデータを表示装置とメモリの少なくとも一方へ出力する、
    ことを特徴とする電気自動車。
  2. 前記電気デバイスは、外部から供給される電力の電圧を降圧して小電力デバイスへ供給するDCDCコンバータであることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車。
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