JP2013100294A - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御できない燃焼とそれに関連する影響を回避する、プロピレンオキサイドの製造方法の提供。
【解決手段】プロピレンの接触気相酸化反応によって固定床反応器の中でプロピレンオキサイドを製造する方法であって、前記固定床反応器の中で、触媒が、反応熱を除去する流体で囲まれた多数の管の中に充填され、前記管は、流出ガスを急速に冷却するために、第一の総括伝熱係数を有する前記触媒の下流に不活性粒子が充填された隣接する冷却ゾーンを有し、前記冷却ゾーンの下流に、隣接する冷媒分配ゾーンが備えられ、前記冷媒分配ゾーンの中で、前記第一の総括伝熱係数よりも実質的に低い第二の総括伝熱係数を提供するように、低乱流で流出ガスが流され、それによって、前記冷媒分配ゾーンに入る冷媒の温度が、前記管にわたって流れる際に、前記冷却ゾーンに流入する前に、実質的に上昇することを阻止する、方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プロピレンの接触気相酸化反応によるプロピレンオキサイドの製造方法およびその反応に有用な反応器に関する。
プロピレンの接触気相酸化反応は、一般に、触媒が管の中に充填され、前記管の外側を循環する流体で反応熱を除去する多管反応器の中で実施される。触媒が充填された管に供給されるガスには、プロピレン、酸素、さらには窒素、二酸化炭素、アルゴン等の他のガスが含まれる。反応条件によって装置の詳細な設計が変わるが、これらの変化は本発明の有効性に大きな影響を与えない。
工業的な反応器では、シェル内の冷媒よりも高い温度で、ガスが反応管から流出される。各々の管から流出されるガスの温度は、酸化反応で放出される熱量と、冷媒によって除去される熱量に依存する。運転条件は、最高の結果が得られるように調整される。触媒は活性が低下するにつれて、ガスの出口温度は上昇する。
エチレンの接触気相酸化反応において、反応後に流出ガスを冷却する方法に関する従来技術が報告されている。触媒床の出口でのガス温度は、種々の要因に応じて約230〜300℃となる。これらの温度では、アセトアルデヒドへの異性化によるエチレンオキサイドの損失を最小限にするために、また特に温度が上昇している場合、エチレンが二酸化炭素と水に完全に燃焼することを避けるために、速やかにガスを冷却することが重要である。燃焼は急速かつ局所的に発生し、急激な圧力上昇及び温度上昇が引き起こされ、その対処が必要となり、それによってエチレンオキサイド製造の損失が生じ、極端な場合は設備が破壊される。従って、流出ガスの温度を速やかに低下させることができれば、最も効率的な条件での運転を、より安全で、より安定的に行えることになる。多数の管を均一に冷却することが困難なことは明らかである。加えて、最も効率的に運転しようとすれば、除去される熱を有効に利用する必要がある。
GB1449091及びGB1449092には、流出ガスと導入される供給ガスとを外部熱交換器内で熱交換するのが一般的であることが示されている。また、熱伝達を容易にするために、反応管の隣接する不活性充填物を含む部分で供給ガスが加熱される。流出ガスは、好ましくは固体充填物を含まない外部熱交換器に送られてよい。又は充填物で充填され、若しくはされていない管の第二の隣接する部分中で、流出ガスは、熱を渡して150℃以下に冷却されてもよい。実際には空の管での熱伝導は非効率であり、充填物を用いる方が好ましいことが示されている。
US4061659に指摘されているように、充填物によって高温での滞留時間が減少し、その結果、エチレンオキサイドの損失が減少するため、冷却ゾーンの中に充填物を用いることが望ましい。また、エチレンオキサイドの損失を減らすために不活性充填物の表面積を最小限にすることが重要であることが同特許に記載されている。これは、アルミナ、シリカ等の高表面積の固体をアルキレンオキサイドの異性化のために使用することを提案する、US2660609等の先の特許の記載と整合する。これらの管の中に不活性充填物を使用するもう1つの理由は、効果的な熱除去のために必要な高流速と乱流を維持することである。充填物で充填しなければ、流出ガスの流速が遅くなり、管側の熱伝達率が約80〜90%低下し、それによって反応ガスの冷却効率が劇的に低下する。そうであれば、冷却を必要量行うために、管の長さの延長、及び望ましくない滞留時間の延長が必要となる。
特開昭54−32408及び特開昭55−19206に、隣接する冷却部分で充填物が使用されていることが示されている。
特許文献1には、エチレンオキサイドの製造方法およびその反応に有用な反応器が記載されている。
US4921681
各々の管を実質的に同じ温度に冷却するのであれば、冷却流体の均一な分配が重要である。流出ガスの大部分の温度を十分に下げた際、他の管が高温のまま維持される一方、いくつかの管は前記の大部分の温度より低く冷却されることは望ましくない。理想的には、各々の管が同じ温度の冷却流体流で均等に冷却されるべきである。本発明の課題は、かかる問題を解決することにある。
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。
[1] プロピレンの接触気相酸化反応によって固定床反応器の中でプロピレンオキサイドを製造する方法であって、
前記固定床反応器の中で、触媒が、反応熱を除去する流体で囲まれた多数の管の中に充填され、
前記管は、流出ガスを急速に冷却するために、第一の総括伝熱係数を有する前記触媒の下流に不活性粒子が充填された隣接する冷却ゾーンを有し、
前記冷却ゾーンの下流に、隣接する冷媒分配ゾーンが備えられ、
前記冷媒分配ゾーンの中で、前記第一の総括伝熱係数よりも実質的に低い第二の総括伝熱係数を提供するように、低乱流で流出ガスが流され、それによって、前記冷媒分配ゾーンに入る冷媒の温度が、前記管にわたって流れる際に、前記冷却ゾーンに流入する前に、実質的に上昇することを阻止する、方法。
[2] 分配ゾーンの中の管の内側の伝熱係数が150Kcal/時・m・℃以下である、[1]記載の方法。
[3] 分配ゾーンの中の管の内側の伝熱係数が80Kcal/時・m・℃以下である、[1]記載の方法。
[4] 分配ゾーンの中の管の外側の伝熱係数が300〜450Kcal/時・m・℃の範囲である、[3]記載の方法。
[5] 前記冷媒が水である[1]記載の方法。
[6] 前記反応熱が沸騰水によって除去される[5]記載の方法。
[7] プロピレンの接触気相酸化反応によって固定床反応器の中でプロピレンオキサイドを製造する方法であって、
前記固定床反応器の中で、触媒が、反応熱を除去する流体で囲まれた多数の管の中に充填され、
前記管は、流出ガスを急速に冷却するために、第一の総括伝熱係数を有する前記触媒の下流に隣接する冷却ゾーンを有し、
前記冷却ゾーンの下流に、隣接する冷媒分配ゾーンが備えられ、
前記冷媒分配ゾーンの中で、前記第一の総括伝熱係数よりも実質的に低い第二の総括伝熱係数を提供するように、低乱流で流出ガスが流され、それによって、前記冷媒分配ゾーンに放射状に入る冷媒の温度が、前記管にわたって流れる際に、前記冷却ゾーンに軸状に流入する前に、実質的に上昇することを阻止する、方法。
[8] 前記第一の総括伝熱係数が185〜250Kcal/時・m・℃の範囲であり、前記第二の総括伝熱係数が40〜60Kcal/時・m・℃の範囲である、[7]記載の方法。
[9] 前記冷却ゾーンの管の内側の伝熱係数が485〜560Kcal/時・m・℃の範囲であり、前記冷却ゾーンの管の外側の伝熱係数が300〜450Kcal/時・m・℃の範囲である、[8]記載の方法。
[10] 前記冷媒分配ゾーンの管の内側の伝熱係数が50〜70Kcal/時・m・℃の範囲であり、前記冷媒分配ゾーンの管の外側の伝熱係数が300〜450Kcal/時・m・℃の範囲である、[8]記載の方法。
[11] 触媒が、金属酸化物を含有する、[1]〜[10]のいずれか記載の方法。
[12] 触媒が、(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する、[1]〜[10]のいずれか記載の方法。
触媒の下流に配置された不活性粒子で充填された管の部分で流出ガスの冷却を制御することで、プロピレンオキサイドの損失が減少し、また反応器出口での制御できない局所的な燃焼のリスクが低くなる。本発明に従って、離れた分配ゾーンの中にまで管が延長されて、前記分配ゾーンでガスが低乱流で、すなわちほぼ層流で流れて、冷却を最小限に抑え、冷媒を管の周りに最小限の温度上昇で均一に分布させることで、流出ガスを均一に冷却することができる。
本発明に従って構成され、運転される多管反応器を表す図である。 図1の反応器の一部を拡大した図である。
本発明が適用できるプロピレンの接触気相酸化方法としては、例えば、金属酸化物等を含有するような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法等が挙げられる。このような金属触媒存在下でプロピレン及び酸素を反応させる製法については、例えば、WO2011/075458、WO2011/075459、WO2012/005822、WO2012/005823、WO2012/005824、WO2012/005825、WO2012/005831、WO2012/005832、WO2012/005835、WO2012/005837、WO2012/009054、WO2012/009059、WO2012/009058、WO2012/009053、WO2012/009057、WO2012/009055、WO2012/009052、WO2012/009056等に記載されている。その製法において用いる触媒としては、下記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)及び(j)からなる群から選ばれる少なくとも2種を含む触媒が挙げられる。
(a)銅酸化物
(b)ルテニウム酸化物
(c)マンガン酸化物
(d)ニッケル酸化物
(e)オスミウム酸化物
(f)ゲルマニウム酸化物
(g)クロミウム酸化物
(h)タリウム酸化物
(i)スズ酸化物
(j)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分
好ましくは(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する触媒であり、より好ましくは(a)銅酸化物、(b)ルテニウム酸化物及び(j)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分を含有する触媒である。
プロピレンの接触気相酸化反応は、通常、反応熱を除去する循環流体と接触する、触媒を含有する多数の管を有する反応器の中で実施される。好ましくは、一般的に冷却ゾーンに使用される不活性充填物は省略される。あるいは、低乱流が維持されている限り、分配ゾーンは支持材料を含んでもよい。前記管の内側の伝熱係数は200Kcal/時・m・℃以下、好ましくは150Kcal/時・m・℃以下、最も好ましくは80Kcal/時・m・℃以下であるべきである。
好ましくは、流出ガスは、冷却ゾーンで20〜35℃に、分配ゾーンでは約6℃以下に冷却される。これによって、流出ガスの均一な冷却が可能となり、多くの管の間での温度変動を最小限に抑えることができる。充填された冷却ゾーンにおける流出ガスの伝熱係数は、好ましくは485〜560Kcal/時・m・℃であり、冷媒の伝熱係数は300〜450Kcal/時・m・℃であり、これによって総括伝熱係数は185〜250Kcal/時・m・℃となる。低乱流の分配ゾーンにおいては、管の中の伝熱係数は50〜70Kcal/時・m・℃であり、冷媒の伝熱係数は300〜450Kcal/時・m・℃であり、総括伝熱係数は40〜60Kcal/時・m・℃である。管の間の温度変動は約2℃と低く抑えることができる。
好ましい形態において、冷媒は水であり、水はガス出口の近くで導入され、分配ゾーンの中を、放射状に反応器の中心に向けて、及び管と平行の両方向に流れる。その後、水は、分配ゾーンと冷却ゾーンとを分離するバッフルの開口部を通って、冷却ゾーンで流出ガスを冷却する。加熱された水は、冷却ゾーンから流出して、反応ゾーンに入り、リサイクルボイラ水と混合され、反応熱を沸騰によって除去する。
別の形態において、本発明は、一式の触媒含有管が管板の間に配置され、シェルに囲まれて、従って反応熱を除去する熱交換器として作用する発熱性の気相反応のための管状反応器に関する。ガスの流れが低乱流であって最小限の冷却が行われる、管の隣接する部分である分配ゾーンの中を、反応後の流出ガスが流れる。排ガス温度の変動は最小限に抑えられる。伝熱流体は、わずかに加熱され、分配ゾーン中に均一に分配され、反応器の冷却ゾーンの中で流出ガスを均一に冷却する。
典型的には、US4921681におけるエチレンオキサイド製造プロセスにように、プロピレンがガス流の中に加えられ、前記ガス流は、プロピレンが部分的にプロピレンオキサイドに変換される反応器を通して、また冷却設備及びプロピレンオキサイドを水に吸収させて除去する吸収設備を通して、リサイクルされる。プロピレンオキサイドを除去した後、ガス流は圧縮され、反応器にリサイクルされる。二酸化炭素及び酸化反応の副産物は、排出又は吸収によって循環ガス流から除去される。供給プロピレンの約10〜20%は、約70〜90%の選択性でプロピレンオキサイドに変換され、残る約20〜30%は二酸化炭素と水にまで燃焼される。従って、リサイクルガス流は、プロピレンを大量に含んでおり、変換された量を交換するに十分な量が追加される。反応のためのバランスガスとして、当技術分野でよく知られている様々な不活性物質、例えば、窒素、メタン、プロピレンオキサイドへのプロピレンの酸化に悪影響を及ぼすことがないその他の物質を用いることができる。プロピレンオキサイドの選択性を向上させるために、WO2012/102918に記載されている有機塩素化合物等の添加剤を少量用いることもできる。
以下、本発明をさらに詳しく述べるために、図面に基づいて具体的な実施形態を説明する。しかし本発明はこの実施形態のみによって本発明の範囲を規制するものでない。
図1に、酸化反応器の構造の一例を示す。本構造は、本発明のために設計された反応器を図示しているが、同様に従来の反応器の構造として用いることもできる。新たな供給プロピレン24は、リサイクルガス流26と混合され、反応器10に導入される。混合されたガスは、管12で代表して記載されている触媒を含有する多くの管に流入する。管は、垂直方向に方向付けされ、シェルに囲まれるために、シェルアンドチューブ熱交換器に似ている。これらの管は、通常、内径が10〜100mmである。これらの管は、入口管板14a及び出口管板14bに封止される。反応器10のシェル側には反応熱を除去する循環流体が含まれる。水、モービルサーム(登録商標)、ダウサーム(登録商標)、灯油などの様々な流体が使用されているが、本発明においては、特に沸騰水を使用することが適している。シェル内で沸騰水から生成した水蒸気は、反応器の上部付近で連続的に除去され、その水蒸気はリサイクルガスを予熱するためなど様々な目的に使用される。図1において、水蒸気は、熱伝達を容易にするために不活性な固体が充填された各々の管12aの部分で、導入される供給ガスを予熱する。供給ガスは、反応温度近くまで、一般的には約200〜240の範囲にまで加熱される。予熱部分は本発明では必要とはされず、予熱は外部熱交換器によって行うことができる。触媒を含む各々の管12bの部分を、供給ガスは下方に流れる。触媒は、通常、プロピレンをプロピレンオキサイドに約70〜90%の選択性で、しかし10〜20%の低い変換率で変換する。所望の反応によって放出される熱、及び同時に発生する燃焼による多大な熱が、管壁を通して伝達され、シェルの水を沸騰させる。長さが6〜10mであってもよい触媒部分12bを通過した後、典型的には先行技術で知られたように不活性の固体で充填された各々の管の隣接した部分12cで、高温の流出ガスが冷却され、プロピレンオキサイドが回収される。
前記の通り、生成するプロピレンオキサイドの一部は、プロピオンアルデヒドへの異性化、及び/又はアクロレイン、二酸化炭素、水への酸化によって失われる。一旦、ガスが触媒から離れれば、ガスを速やかに冷却することが、プロピレンオキサイドの損失を避けるために非常に望ましい。加えて、大量の高温反応ガスが存在していると、制御できない燃焼が発生することがあり、それによって、反応器の運転を調整しなければならなくなり、その結果、プロピレンオキサイド生産の損失が発生し、また設備の損傷を引き起こす可能性がある。
図1において、ボイラー供給水20が管を冷却するために使用される。しかし、従来の熱交換器の設計では、流体全体の温度管理で十分であるが、プロピレンオキサイドの反応器では、管の間の温度変動を最小限に抑えることが重要である。大規模な工業的な反応器は20000本までの管を有し、直径が5mを超えることを理解すれば、実用的には困難であることが認識できる。本発明に従って、流体がバッフル16を通過するように、各々の管の周りに環状の開口部を設けることによって、均一な急速な冷却が得られる。水の流れが下の空間から上方に流れ、実質的に向流的に、また層流として各々の管と接触する。冷却した後、水の流れはバッフル18を通って反応領域に入り、前記の通り、反応領域で沸騰が発生する。水の各々の流れは、理想的には、各々の管の流出ガスの冷却量を他の管と同じにするために、バッフル16を通過する際に実質的に同じ温度である。各々の管ごとに都合よく水の入口を設置することはできない。従って、たとえ冷却ゾーンの周囲に沿って配置された多数の入口があっても、大部分の水は外側の管によって加熱され、高温になるために内側の管を必要量冷却するこができない。各々の管にほぼ同じ温度の冷水流を提供することが、本発明の特徴である。これは、最小限の冷却が行われる水分配ゾーンを形成することによってなされる。
これを達成するために、充填された冷却部分12cの各々の管の下流の隣接する部分12dを、好ましくは空のままにする。流出ガスを、充填されていない部分12dで大幅に遅くして、管側の熱伝達を充填された部分12cの値の約10%にまで低減させる。結果としての低乱流は、管側の伝熱係数を低減させる。「低乱流」の流れは、乱流の状態が低い部分、すなわち層流に近い状態での流体速度を表わすものとして、当業者に理解される。そこでは、伝熱係数が、良好な熱伝達が望まれる場合に通常用いられる高度の乱流で形成される伝熱係数と比較して、大幅に減少する。本発明において、管側の伝熱係数は、200Kcal/時・m・℃以下、好ましくは150Kcal/時・m・℃以下、最も好ましくは80Kcal/時・m・℃以下である。好ましい形態において、伝熱係数は50〜70Kcal/時・m・℃である。水は、シェル側で層流で分配され、これによって著しく熱伝達が制限される。冷却水の伝熱係数は、通常、300〜450Kcal/時・m・℃以下である。ボイラー供給水20は、シェルの外側当たりの多数の場所で分配ゾーンに入り、内側に放射状に反応器の中心に向かってガスを少ししか冷却せずに流れる。バッフル16の通路を通って各々の管の周りを流れる水の流れは、開口部の大きさによって制御してもよい。適切な大きさにすれば、従来の冷却ゾーンの管の間の温度変動は15〜20℃となるのに対して、分配ゾーンの管の間の温度変動は約2℃と小さく制限することができる。このような温度変動を最小限に抑えることによって、制御できない燃焼とそれに関連する影響を回避しながら、高温で反応器を運転できるという非常に有利な効果が生じる。
図2は、反応器の下部の拡大図を示す。管のいたる所で均一な流れを確保するために、反応器の周囲に沿って配置された複数の入口ノズルを通って、ボイラー供給水が導入される。水は管の束の中心に向かって流れる(図2では、分かりやすくするために3つの管のみ表示されている)。一部の水は、各々の管12とバッフル16との間の環状の開口部を通って上方に流れる。管のシェル側の伝熱係数を低下させるために、流速を低く保ち、また反応ガスから水への熱の移動を制限するために、管の内側の流速も協調して低下させる。この設計は、冷却部分の通常の設計とは反対である。水が冷却部分で管のいたる所を上方に流れ、管とバッフル18との間の環状空間を通して冷却部から出て、反応部分に入り、そこで発生した熱を除去するために沸騰が起こる。部分12bは触媒が充填され、部分12cは所望の冷却を促進するために固体粒子が充填される。部分12dは空のままにするか、大幅に熱伝達が改善されないように上記の固体粒子のみが含まれる。
本発明によって、プロピレンオキサイドの損失が減少し、また反応器出口での制御できない局所的な燃焼のリスクが低くなり、流出ガスを均一に冷却することができる。

Claims (12)

  1. プロピレンの接触気相酸化反応によって固定床反応器の中でプロピレンオキサイドを製造する方法であって、
    前記固定床反応器の中で、触媒が、反応熱を除去する流体で囲まれた多数の管の中に充填され、
    前記管は、流出ガスを急速に冷却するために、第一の総括伝熱係数を有する前記触媒の下流に不活性粒子が充填された隣接する冷却ゾーンを有し、
    前記冷却ゾーンの下流に、隣接する冷媒分配ゾーンが備えられ、
    前記冷媒分配ゾーンの中で、前記第一の総括伝熱係数よりも実質的に低い第二の総括伝熱係数を提供するように、低乱流で流出ガスが流され、それによって、前記冷媒分配ゾーンに入る冷媒の温度が、前記管にわたって流れる際に、前記冷却ゾーンに流入する前に、実質的に上昇することを阻止する、方法。
  2. 分配ゾーンの中の管の内側の伝熱係数が150Kcal/時・m・℃以下である、請求項1記載の方法。
  3. 分配ゾーンの中の管の内側の伝熱係数が80Kcal/時・m・℃以下である、請求項1記載の方法。
  4. 分配ゾーンの中の管の外側の伝熱係数が300〜450Kcal/時・m・℃の範囲である、請求項3記載の方法。
  5. 前記冷媒が水である請求項1記載の方法。
  6. 前記反応熱が沸騰水によって除去される請求項5記載の方法。
  7. プロピレンの接触気相酸化反応によって固定床反応器の中でプロピレンオキサイドを製造する方法であって、
    前記固定床反応器の中で、触媒が、反応熱を除去する流体で囲まれた多数の管の中に充填され、
    前記管は、流出ガスを急速に冷却するために、第一の総括伝熱係数を有する前記触媒の下流に隣接する冷却ゾーンを有し、
    前記冷却ゾーンの下流に、隣接する冷媒分配ゾーンが備えられ、
    前記冷媒分配ゾーンの中で、前記第一の総括伝熱係数よりも実質的に低い第二の総括伝熱係数を提供するように、低乱流で流出ガスが流され、それによって、前記冷媒分配ゾーンに放射状に入る冷媒の温度が、前記管にわたって流れる際に、前記冷却ゾーンに軸状に流れ始める前に、実質的に上昇することを阻止する、方法。
  8. 前記第一の総括伝熱係数が185〜250Kcal/時・m・℃の範囲であり、前記第二の総括伝熱係数が40〜60Kcal/時・m・℃の範囲である、請求項7記載の方法。
  9. 前記冷却ゾーンの管の内側の伝熱係数が485〜560Kcal/時・m・℃の範囲であり、前記冷却ゾーンの管の外側の伝熱係数が300〜450Kcal/時・m・℃の範囲である、請求項8記載の方法。
  10. 前記冷媒分配ゾーンの管の内側の伝熱係数が50〜70Kcal/時・m・℃の範囲であり、前記冷媒分配ゾーンの管の外側の伝熱係数が300〜450Kcal/時・m・℃の範囲である、請求項8記載の方法。
  11. 触媒が、金属酸化物を含有する、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
  12. 触媒が、(a)銅酸化物及び(b)ルテニウム酸化物を含有する、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
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