JP2013098777A - 水晶デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】耐衝撃性に優れ、製造誤差が小さく、低コストであり、かつ、製造が容易であって水晶片からの電極の引き出しも簡単に行うことができる水晶デバイスを得る。
【解決手段】外周部2bと外周部2bから「コ」の字状の切込溝15によって部分的に分離している振動領域2aとを有する水晶片2と、水晶片2の上下から水晶片2の外周部2bの全周に対して低融点ガラス層8a,8bを介して接合することにより水晶片2を挟む上側容器1a及び下側容器1bとを設け、上側容器1a、下側容器1b及び水晶片2の外周部2bによって形成された空間内に、水晶片2の中央部である振動領域2aが密閉封入されるようにする。水晶片2から下側容器1bへの電極引き出しには、導電性接着剤7を使用する。
【選択図】図1
【解決手段】外周部2bと外周部2bから「コ」の字状の切込溝15によって部分的に分離している振動領域2aとを有する水晶片2と、水晶片2の上下から水晶片2の外周部2bの全周に対して低融点ガラス層8a,8bを介して接合することにより水晶片2を挟む上側容器1a及び下側容器1bとを設け、上側容器1a、下側容器1b及び水晶片2の外周部2bによって形成された空間内に、水晶片2の中央部である振動領域2aが密閉封入されるようにする。水晶片2から下側容器1bへの電極引き出しには、導電性接着剤7を使用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、容器内に水晶片の振動領域を密閉封入した構成を有する、水晶振動子や水晶発振器などの水晶デバイスに関する。
容器内に水晶片を密閉封入した水晶振動子や、このような水晶振動子とその水晶振動子を用いる回路をIC(集積回路)チップとを一体化させた水晶発振器などは、水晶デバイスと総称され、各種の電子機器において使用されている。特に、表面実装用の容器内に水晶片を密閉封入した構成を有する表面実装型の水晶デバイスは、小型・軽量であることから、特に携帯型の電子機器、例えば携帯電話機において、周波数や時間の基準源として広く内蔵されている。
表面実装型の水晶デバイスは、例えば、表面実装用の容器本体内に水晶片を収容し、金属カバーを被せて水晶片を容器内に密閉封入したものである。この表面実装型の水晶デバイスでは、一般に、容器本体の凹部の内底面に一対の水晶保持端子が設けられており、その水晶保持端子に対して導電性接着剤を用いて水晶片は固着されている。これにより、水晶片は、凹部と金属カバーとによって形成された空間内に電気的かつ機械的に保持される。しかしながらこのような水晶デバイスでは、機械的な衝撃が加わった際に、水晶片に加わった衝撃がそのまま導電性接着剤に伝わることとなるので、導電性接着剤がちぎれて水晶保持端子から剥がれたり、あるいは、導電性接着剤にストレスが発生するおそれがある。導電性接着剤が剥がれた場合には水晶デバイスとして機能しなくなり、また、導電性接着剤にストレスが発生した場合には、水晶片を機械的に保持する系の特性が変化することととなるので、その影響が水晶片にも及んで、水晶片の振動特性や共振周波数の変化をもたらす可能性がある。また容器本体内での水晶片の傾きのばらつきにより水晶片の自由端が容器本体や金属カバーに接触すること可能性があり、このような接触を防ぐために、容器本体の凹部はある程度以上の大きさに形成する必要があり、水晶デバイスの特に高さを小さくすることが難しい。
そこで、中心部が振動領域となり外周部は振動領域での振動に寄与しないように加工された水晶板あるいは水晶片を使用し、この水晶板を1対のカバーによって上下から挟み込み、水晶板の外周部と両方のカバーとを接合させた構造の水晶デバイスが提案されている。この水晶デバイスでは、上下のカバーによって形成される空間内に、水晶板での振動領域が密閉封入されることになる。上下のカバーのことをそれぞれ上側容器、下側容器とも呼ぶ。この構成では、水晶片の機械的な支持のために導電性接着剤を使用することなく、振動板として機能する水晶板に対し、容器を構成するカバーが直に接合しているので、水晶振動子に機械的な衝撃が加わった際の上述したような不具合の発生は防がれる。
このような水晶デバイスとして、例えば、特許文献1には、外周部が厚肉部となり中心部が薄肉部となるように加工された水晶板を使用し、水晶板の外周部に対して上下から1対のカバーを接合させた水晶振動子が示されている。しかしながら特許文献1に記載のものでは、エッチングなどの技法を用いて水晶板に所定の厚さの薄肉部を形成するので、水晶板の加工に手間がかかり、また、表面実装用の端子部としてブロック状の金属片を水晶板の側面に隣接して設けるので、小型化に限界があるという問題点がある。
また、特許文献2には、水晶片の中心部の振動領域を矩形状とし、矩形状の振動領域の各頂点に対応してそれぞれL字型の貫通溝(すなわち切込溝)を水晶片に形成することにより、水晶片の外周部から振動領域を分離するようにした構成の水晶振動子が示されている。この水晶振動子では、水晶片を挟み込む1対のカバーの一方の外表面に、この水晶振動子を配線基板上に表面実装する際の実装端子が設けられており、水晶片の振動領域に設けられる励振電極と実装端子との電気的接続のために、水晶片として用いられる水晶板に電極貫通孔を設けている。特許文献2に記載のものは、水晶板に電極貫通孔を設ける必要があるなど、製造工程が複雑であって、水晶片の振動領域からの電極の引き出しも容易に行うことができない、という問題点がある。
そこで、特許文献3には、外周部とその外周部から切込溝によって部分的に機械的に分離している振動領域とを有する水晶片と、水晶片をその両側から挟み込む第1及び第2の容器と、を有する水晶デバイスであって、水晶片からの電極引き出しに導電性接着剤を用いることにより、水晶片の振動領域からの電極の引き出しを容易に行えるようにした水晶デバイスが示されている。
図5(a)は特許文献3に基づく水晶デバイスの一例としての水晶振動子の構成を示す断面図であり、図5(b)はこの水晶振動子における下側容器を示す上面図であり、図5(c)は下側容器の底面図であり、図6はこの水晶振動子で用いられる水晶片を示す平面図である。
図5に示す水晶振動子は、上側容器1aと下側容器1bとによって水晶片2を挟み込んだ構成のものである。上側容器1aと下側容器1bは、いずれも、平面外形形状が同寸法の略長方形のものであって、例えば積層セラミックによって形成されている。上側容器1aの図5(a)における図示下面には、浅い凹部3aが形成され、同様に下側容器1bの図示上面には、浅い凹部3bが形成されている。凹部3a,3bは、それぞれの容器1a,1bの外周部が枠状に残り外周部以外の部分が窪むように、略長方形の領域として形成されている。両方の凹部3a,3bによって画定される空間が、後述するように、水晶片2の振動領域2aが保持され密閉封入される空間となる。凹部3a,3bの深さは、振動領域2aが上側容器1aまたは下側容器1bに接触しない程度のものであればよい。下側容器1bの外底面の4隅部には、それぞれ、この水晶振動子を配線基板上に表面実装する際に用いられる実装電極5が設けられている。
水晶片2は、容器1a,1bよりも平面外形形状が若干小さい略長方形の水晶板によって構成されている。ここでは水晶片2は例えば、ATカットの水晶片である。水晶片2には、略矩形の水晶片2の3辺に沿うように、水晶片2の一方の主面と他方の主面とを貫通する切欠溝15が設けられており、この切欠溝15によって、水晶片2の外周部2bから中央部の振動領域2aが分離されている。すなわち切欠溝15は水晶片2において「コ」の字状に設けられている。水晶片2の4辺のうちの1辺に沿っては切欠溝15が形成されていないので、この領域を連結領域2cとすると、連結領域2cにおいて振動領域2aが外周部2bに対して一体のものとして機械的に連続している。このとき振動領域2aは、連結領域2c側を固定端とし、その反対側を自由端として、外周部2bによって保持されることになる。
水晶片2の振動領域2aにおいて、その両方の主面にはそれぞれ励振電極6aが形成されている。一対の励振電極6aからは、振動領域2aの接続領域2c側の端部の両側に向けて一対の引出電極6bが延出されている。これらの引出電極6bは、切欠溝15の両方の先端部に接するように、切欠溝15の先端部によって食い込まれるように設けられている。特に引出電極6bは、切欠溝15の両方の先端部の各々の位置において、水晶片2の両方の主面に形成されており、これら両方の主面にそれぞれ形成された引出電極6bは、後述するように切欠溝15の先端部によって食い込まれた位置において切欠溝15内に塗布された導電性接着剤7によって、相互に電気的に導通されるている。さらに水晶片2の両方の主面には、水晶片2の外周に沿って、枠状にすなわち「ロ」の字状に、電極層17が形成されている。電極層17は、励振電極6aや引出電極6bからは分離して設けられている。
下側容器1bの凹部3bは、下側容器1bの上面上に上述した水晶片2を重ねたときに、水晶片2の振動領域2a及び切欠溝15が存在することとなる位置に形成されている。したがって、下側容器1bにおいて凹部3bを囲む枠部の枠幅は、水晶片2の連結領域2c側で大きく、連結領域2cとは反対となる側で小さくなっている。そして、下側容器1bの外周に沿うように、下側容器1bの枠部の上面には、枠状にすなわち「ロ」の字状に、水晶片2側の電極層17に対応する電極層16が形成されている。そして、水晶片2の連結領域2c側に対応する、下側容器1bの枠部の上面には、水晶片2に形成されている引出電極6bに対応して、1対の水晶接続端子4が形成されている。水晶接続端子4は電極層16からは分離して設けられている。水晶接続端子4は、下側容器1bに形成されたスルーホール(ビア)及び導電路を介して、下側容器1bの外底面に形成されている実装電極5に対して電気的に接続する。
上側容器1aでは、凹部3aの開口端面すなわち凹部3を取り囲む枠部の表面において、上側容器1aの外周に沿うように、電極層16が形成されている。上側容器1aの電極層16も水晶片2の電極層17に対応するものであって、枠状にすなわち「ロ」の字状に形成されている。電極層16,17は、例えば、上述しような形状にパターニングされた金(Au)メッキ層として形成される。この金メッキ層の下に下地層としてタングステン(W)層及びニッケル(Ni)層が設けられていてもよい。
そしてこの水晶振動子では、下側容器1bの電極層16と水晶片2の図示下面の電極層17とがロウ材層18bによるロウ付けによって接合され、水晶片2の切込溝15の両方の先端部にそれぞれ導電性接着剤7を塗布することによって一対の水晶接続端子4と一対の引出電極6bとが電気的に接続され、さらに、上側容器1aの電極層16と水晶片2の図示上面の電極層17とがロウ材層18aによるロウ付けによって接合されている。ロウ材層18a,18bとしては、例えば、共晶合金、具体的な一例として金スズ(Au−Sn)共晶合金などを用いることができる。電極層16、17は、ロウ付けを行う際に、ロウ材層18a,18bに対する下地層として機能する。
枠状に形成されている電極層16,17の全周をロウ付けすることによって、上側容器1a、水晶片2及び下側容器1bが一体化するとともに、容器1a,1bの凹部3a,3bによって形成される空間が外部から気密に遮断された密閉空間となり、この空間内に水晶片2の振動領域2aが保持されることになる。また、水晶片2の振動領域2aに形成された励振電極6aは、引出電極6b、導電性接着剤7、水晶接続端子4、下側容器1bに形成された導電路を介して、下側容器1bの外底面に形成された実装電極5に電気的に接続することになる。この水晶振動子においては、水晶片2の振動領域2aは、連結領域2c及び外周部2bを介して両方の容器1a,1bに機械的に保持されることになるので、引出電極6bと水晶接続端子4とを電気的に接続するための導電性接着剤7は、水晶片2の機械的な保持には関与しない。したがって、水晶振動子に機械的な衝撃が加わったとしても、導電性接着剤7の剥離は起こらず、また、水晶片2の振動領域2aを機械的に保持する系の特性が変わることもない。
このような水晶振動子は、例えば、上側容器1aと下側容器1bと水晶片2とを別々に用意した上で、枠状に形成されたロウ材層18a,18bを用意し、下側容器1b上にロウ材層18bを介して水晶片2を載置し、水晶片2の切込溝15の両端部に導電性接着剤7を塗布して引出電極6bと水晶接続端子4とを電気的に接続し、その後、水晶片2上にロウ材層18aを介して上側容器1aを載置し、加熱してロウ付けを行うことよって完成する。
特許文献3に記載の水晶振動子では、上述したように、導電性接着剤7が水晶片2の機械的な保持に関与していないので、機械的振動が加わった場合に導電性接着剤に起因する障害が発生しない。またこの水晶振動子は、水晶片に対して電極貫通孔の形成などの工程を行うことなく、導電性接着剤7を用いることによって水晶片からの電極の引き出しも簡単に行うことができる。上側容器1a及び下側容器1bとしては、積層セラミックからなるものの他に、例えば、ガラスあるいは水晶からなるものも使用することができる。
特許文献3に記載された水晶デバイスでは、小型化が容易であり、水晶片を上側容器と下側容器とで挟み込んで保持するので耐衝撃性が向上し、しかも、導電性接着剤を用いているので水晶片から下側容器への電極引き出しを容易に行うことができる。しかしながら、典型的には金(Au)を含む共晶合金をロウ付け材として用いており、また、電極層として金メッキ層を設けているので、金の使用量が多くなり、製造コストが上昇するという問題点がある。さらに本発明者らは、特許文献3に記載の水晶デバイスでは、完成した水晶デバイスにおける水晶片の共振周波数が意図した周波数からずれてしまうことがある、という現象も見出した。この現象は、水晶デバイスの製造過程における共振周波数の製造誤差としてとらえることができる。
本発明の目的は、耐衝撃性に優れ、製造誤差が小さく、低コストであり、かつ、製造が容易であって水晶片からの電極の引き出しも簡単に行うことができる水晶デバイスを提供することにある。
本発明の水晶デバイスは、外周部とこの外周部から切込溝によって部分的に機械的に分離している振動領域とを有する水晶片と、水晶片の第1の主面において水晶片の外周部の全周に対して第1の低融点ガラス層を介して接合することにより第1の主面に接合した第1の容器と、水晶片の第2の主面において水晶片の外周部の全周に対して第2の低融点ガラス層を介して接合することにより第2の主面に接合した第2の容器と、を備え、水晶片において振動領域が外周部に対して一体のものとして機械的に連続する領域を連結領域として、水晶片は、振動領域の両方の主面にそれぞれ設けられた励振電極と、励振電極から連結領域の両側部に引き出された引出電極と、を有し、連結領域の両側部に対応して第2の容器に一対の水晶接続端子が設けられ、引出電極と水晶接続端子とが導電性接着剤によって電気的に接続し、第1の容器、第2の容器及び水晶片の外周部によって形成された空間内に、水晶片の振動領域が密閉封入されていることを特徴とする。
このような構成によれば、低融点ガラス層を介在させて第1の容器及び第2の容器に対して水晶片が機械的に一体化するので、水晶片の機械的な保持に接着剤を用いなくて済み、高価な金の使用量を削減することができ、またロウ付けの際の下地層となる電極層を形成するための工程も削減することができる。本発明の水晶デバイスでは、機械的衝撃が加わった際に接着剤の剥離の問題も生じないので振動特性が良好に維持され、しかも製造コストを削減することができる。
本発明者らの行った実験結果からは、金を含む共晶合金を用いて水晶片と各容器とをロウ付けにより接合した場合に比べ、低融点ガラスを用いて接合を行った場合の方が、水晶デバイスの共振周波数における製造誤差が小さくなった。接合に低融点ガラスを用いた方が共振周波数における製造誤差が小さくなる理由としては、以下のようなものが考えられる。
金を含む共晶合金を用いてロウ付けを行う場合、ロウ付け時に共晶合金の電極層に対する濡れ性をよくするために、真空中でロウ付けを行うのが一般的である。しかしながら真空中でロウ付けを行うと、ロウ付けの際の熱などに起因して、ロウ付け材の一部が水晶片の振動領域に付着し、その結果、水晶デバイスとしての共振周波数が変化する。これに対して低融点ガラスを用いる場合には、そのような付着が起こらないので、水晶デバイスとしての共振周波数の変化も起こらないものと考えられる。
本発明においては、例えば、水晶片として略長方形の平面外形形状を有するものを使用し、水晶片の外周の3辺に沿うように連続的に切込溝を設けることによって外周の1辺に沿って連結領域が形成されるようにすることが好ましい。また、第2の容器の外底面に実装電極を設け、水晶接続端子と実装電極とを電気的に接続することが好ましい。
本発明の水晶デバイスでは、第1の容器、第2の容器及び水晶片の外周部によって形成された空間内に、水晶片を用いる回路が集積化されたICチップを密閉封入するようにしてもよい。そのような水晶デバイスは、例えば、ICチップに集積化される回路が水晶片を用いる発振回路であって、表面実装用の水晶発振器として構成されたものである。
本発明によれば、小型化が容易であり、耐衝撃性に優れ、共振周波数における製造誤差が小さく、低コストであり、かつ、製造が容易であって水晶片からの電極の引き出しも簡単に行うことができる水晶デバイスが得られる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明の実施の一形態の水晶デバイスを示す図1(a),(b)において、図5(a)〜(c)におけるものと同一部分には同じ参照番号を付与して、それらのものについての説明は簡略化又は省略する。
本実施形態の水晶デバイスは、水晶振動子として構成されたものであり、図5(a)〜(c)に示すものと同様に、上側容器1aと下側容器1bとによって水晶片2を挟み込んだ構造を有する。しかしながら本実施形態に水晶デバイスは、水晶片2に対して上側容器1aと下側容器1bとを接合するために低融点ガラスを用いている点で、図5(a)〜(c)に示すものと異なっている。
上側容器1aと下側容器1bは、いずれも、平面外形形状が同寸法の略長方形のものであって、それぞれ凹部3a,3bを備え、積層セラミックによって形成されている。両方の凹部3a,3bによって画定される空間が水晶片2の振動領域2aが保持され密閉封入される空間となる。下側容器1bの外底面の4隅部には、表面実装に用いられる実装電極5が設けられている。
図2は、本実施形態で用いられる水晶片2を示している。水晶片2は、略長方形の水晶板によって構成されている。ここでは水晶片2は例えば、ATカットの水晶片である。水晶片2には、図6に示す場合と同様に、「コ」の字状の切欠溝15が設けられており、この切欠溝15によって、水晶片2の外周部2bから中央部の振動領域2aが分離され、連結領域2cにおいて振動領域2aが外周部2bに対して一体のものとして機械的に連続している。このとき振動領域2aは、外周部2bによって保持されることになる。
水晶片2の振動領域2aにおいて、その両方の主面にはそれぞれ励振電極6aが形成されている。一対の励振電極6aからは、振動領域2aの接続領域2c側の端部の両側に向けて一対の引出電極6bが延出されている。引出電極6bと切欠溝15との相互の配置関係は図6に示すものと同様である。
下側容器1bの凹部3bの凹部を囲む枠部の上面には、水晶片2に形成されている引出電極6bに対応して、1対の水晶接続端子4が形成され、水晶接続端子4は、下側容器1bの外底面に形成されている実装電極5に対して電気的に接続する。水晶片2の切込溝15の両方の先端部にそれぞれ導電性接着剤7を上述のように塗布することによって一対の水晶接続端子4と一対の引出電極6bとが電気的に接続されている。
本実施形態の水晶振動子では、上側容器1aと水晶片2の図示上面とが低融点ガラス層層8aを介して接合され、下側容器1bと水晶片2の図示下面とが低融点ガラス層8bを介して接合されている。低融点ガラス層8a,8bは、いずれも、平面形状としては、水晶片2の外周に沿うような枠状にすなわち「ロ」の字状に形成されている。すなわち、低融点ガラス層8aは、上側容器1a側では、凹部3aの開口端面すなわち凹部3を取り囲む枠部の表面において上側容器1aの外周の全周に沿うように形成されて上側容器1aと接合し、水晶片2側では、その外周の全周に沿うように形成されて水晶片2と接合している。同様に低融点ガラス層8bは、下側容器1bの枠部の上面において下側容器1bの外周の全周に沿うように形成されて下側容器1bと接合し、水晶片2側では、その外周の全周に沿うように形成されて水晶片2と接合している。
低融点ガラス層8aによって上側容器1aの枠部の外周の全周と水晶片2の外周の全周とを接合し、低融点ガラス層8bによって下側容器1bの枠部の外周の全周と水晶片2の外周の全周とを接合することによって、上側容器1a、水晶片2及び下側容器1bが一体化するとともに、容器1a,1bの凹部3a,3bによって形成される空間が外部から気密に遮断された密閉空間となり、この空間内に水晶片2の振動領域2aが保持されることになる。また、水晶片2の振動領域2aに形成された励振電極6aは、引出電極6b、導電性接着剤7、水晶接続端子4、下側容器1bに形成された導電路を介して、下側容器1bの外底面に形成された実装電極5に電気的に接続することになる。この水晶振動子においては、水晶片2の振動領域2aは、連結領域2c及び外周部2bを介して両方の容器1a,1bに機械的に保持されることになるので、引出電極6bと水晶接続端子4とを電気的に接続するための導電性接着剤7は、水晶片2の機械的な保持には関与しない。したがって、水晶振動子に機械的な衝撃が加わったとしても、導電性接着剤7の剥離は起こらず、また、水晶片2の振動領域2aを機械的に保持する系の特性が変わることもない。
このような水晶振動子は、例えば、上側容器1aと下側容器1bと水晶片2とを別々に用意した上で、枠状に形成された低融点ガラス層8a,8bを用意し、下側容器1b上に低融点ガラス層8bを介して水晶片2を載置し、水晶片2の切込溝15の両端部に導電性接着剤を塗布して引出電極6bと水晶接続端子4とを電気的に接続し、その後、水晶片2上に低融点ガラス層8aを介して上側容器1aを載置し、加熱して低融点ガラス層8a,8bを部分的に融解させて低融点ガラス8a,8bを容器1a,1b及び水晶片2に接合させることよって完成する。
本実施形態の水晶振動子では、図5(a)〜(c)に示したものと同様に、機械的振動が加わった場合に導電性接着剤に起因する障害が発生しない。またこの水晶振動子は、低融点ガラスを用いる封着といった簡単な工程を用いて製造でき、かつ、積層セラミックなどからなる容器を使用できるので、水晶片からの電極の引き出しも簡単に行うことができる。低融点ガラスは、積層セラミックに対しても水晶に対しても良好な接合性を有するので、本実施形態では、金メッキ層などの下地層を設けることなく容器1a,1bと水晶片2との接合を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、ロウ付け材として金含有共晶合金が不要となるほか、容器1a,1bの枠部や水晶片2の外周に金メッキ層からなる電極層を設ける必要もなくなり、金の使用量の大幅な削減を達成できる。本実施形態で使用される低融点ガラスとしては、ガラスや水晶からなる部材の封止に一般的に用いられているものを使用することができる。
以上の説明においては、上側容器1a及び下側容器1bは積層セラミックからなるものとしたが、気密性を有するとともに低融点ガラスとの接合性を有するものであれば、他の材料からなるものも使用することができる。例えば、ガラスあるいは水晶からなる上側容器及び下側容器を使用することができる。
ところで、上側容器1a及び下側容器1bを構成する材料の選択に応じてこの材料の熱膨張率と水晶の熱膨張率との差が大きい場合には、温度変化時に応力が水晶片2に加わり、水晶片2の振動特性の劣化につながるおそれがある。本実施形態の水晶振動子では、水晶片2のうち振動領域2aに応力が加わらなければ振動特性の劣化などは起こらないので、図3に示すように、切込溝15の先端部において切込溝15が分岐して連結領域2c側に食い込むようにして、連結領域2cにくびれ部19が設けられるようにしてもよい。このようにくびれ部19を設け、振動領域2aと外周部2bとが連結している部分の幅を小さくすることにより、水晶片2の外周部2bに加わった応力が振動領域2a側に伝わりにくくなって、温度変化があっても振動特性がさらに良好に維持されるようになる。
本発明の水晶デバイスは、上述した水晶振動子に限られるものではない。水晶片とその水晶片を用いる発振回路を備えたICチップとを一体化させた水晶発振器も、本発明の水晶デバイスの範疇に含まれる。ICチップは、例えば、水晶片の振動領域と同じ密閉空間内に収容される。
図4(a)はそのような水晶発振器の構成の一例を示している。図示される水晶発振器は、図1(a),(b)に示す水晶振動子において下側基板1bの凹部3bの深さを大きくして、この凹部3bの底部にICチップ21を固着させたものである。水晶片2は、ICチップ21からは離隔してICチップ21の上方に位置することになる。ICチップ21は、略長方形の形状を有し、水晶片2を用いる発振回路を少なくとも含む電子回路を半導体基板に集積化したものである。電子回路には、水晶片2の周波数温度特性を補償するための温度補償機構が含まれていてもよい。ICチップ21においては発振回路等の電子回路が半導体基板の一方の主面に通常の半導体装置製造プロセスによって形成されているので、半導体基板の一対の主面のうちこれらの電子回路が形成されている方の主面のことを、ICチップの回路機能面と呼ぶことにする。回路機能面には、ICチップ21を外部回路に接続するための複数のIC端子も形成されている。
下側容器1bの表面すなわち凹部3bの底面には、水晶接続端子4や実装電極5に電気的に接続する複数の回路端子22も設けられている。ICチップ21は、その回路機能面が下側容器1bの凹部3bの底面に向かい合うようにして、バンプ23を用いる超音波熱圧着によりIC端子を回路端子22に電気的・機械的に接続することによって、凹部3bの底面に固着されている。これにより、ICチップ21内の電子回路が水晶片2と電気的に接続するようになるとともに、実装電極5にも接続するようになり、水晶発振器として機能するようになる。
図4(b)に示すものは、図4(a)に示すものと同様のものであるが、ワイヤボンディングによってICチップ21への電気的な接続を確立するようにした点で、図4(a)のものと異なっている。ICチップ21は、回路機能面でない面が凹部3bの底面を向くようにして、例えば接着剤などにより凹部3bの底面に固着されている。回路端子22とIC端子とをボンディングワイヤ24によって接続することにより、ICチップ21内の電子回路は、水晶片2や実装電極5と電気的に接続している。この水晶発振器においても、水晶片2は、ICチップ21やボンディングワイヤ24からは離隔してICチップ21の上方に位置していることになる。
図4(c)に示すものは、図4に示したものにおいて、凹部3bの底面に、ICチップ21とともにチップコンデンサなどのチップ部品25を実装したものである。発振回路等に必要なコンデンサは、その容量値によってはICチップ21内に集積化できない場合もあるので、そのような場合には、チップコンデンサとしてICチップ21とは別個に凹部3b内に収容するようにする。この場合も、水晶片2は、ICチップ21及びチップ部品25から離隔して、これらICチップ21及びチップ部品25の上方に位置していることになる。
なお、図4(a)〜(c)に示した水晶発振器において、ICチップ21やチップ部品25は、上側容器1aの凹部3a内に搭載されるようにしてもよい。
上述した水晶発振器において、発振回路の他に、水晶片2の振動周波数の温度−周波数特性を保証する温度補償回路もICチップ21に組み込むことによって、温度補償型水晶発振器(TCXO)を構成することができる。TCXOでは、水晶片2の温度をICチップ21内の温度補償回路が正確に検出できるようにする必要があり、そのため、水晶片2とICチップ21との熱的結合を高める必要がある。共晶合金によるロウ付けによって水晶片2に上側容器1a及び下側容器1bを接合する場合には、ロウ付けを安定して行うために真空中でロウ付け作業を必要があり、完成した水晶発振器においても水晶片2とICチップ21との間は真空状態となっていてこれらの間の熱伝導がよくない。これに対して本実施形態のように低融点ガラスを用いて水晶片2に上側容器1a及び下側容器1bを接合する場合、接合作業を窒素などの不活性ガス雰囲気で行うことができるので、完成した水晶発振器においても水晶片2とICチップ21との間に不活性ガスが介在して熱の伝導が高められ、両者間の熱的結合が高められる。
1a…上側容器、1b…下側容器、2…水晶片、2a…振動領域、2b…外周部、2c…連結領域、3a,3b…凹部、4…水晶接続端子、5…実装電極、6a…励振電極、6b…引出電極、7…導電性接着剤、8a,8b…低融点ガラス層、15…切欠溝、16,17…電極層、18a,18b…ロウ材層、19…くびれ部、21…ICチップ、22…回路端子、23…バンプ、24…ボンディングワイヤ、25…チップ部品。
Claims (8)
- 外周部と該外周部から切込溝によって部分的に機械的に分離している振動領域とを有する水晶片と、
前記水晶片の第1の主面において前記水晶片の外周部の全周に対して第1の低融点ガラス層を介して接合することにより前記第1の主面に接合した第1の容器と、
前記水晶片の第2の主面において前記水晶片の外周部の全周に対して第2の低融点ガラス層を介して接合することにより前記第2の主面に接合した第2の容器と、
を備え、
前記水晶片において前記振動領域が前記外周部に対して一体のものとして機械的に連続する領域を連結領域として、前記水晶片は、前記振動領域の両方の主面にそれぞれ設けられた励振電極と、前記励振電極から前記連結領域の両側部に引き出された引出電極と、を有し、
前記連結領域の両側部に対応して前記第2の容器に一対の水晶接続端子が設けられ、前記引出電極と前記水晶接続端子とが導電性接着剤によって電気的に接続し、
前記第1の容器、前記第2の容器及び前記水晶片の外周部によって形成された空間内に、前記水晶片の振動領域が密閉封入されている水晶デバイス。 - 前記水晶片は略長方形の平面外形形状を有し、前記水晶片の外周の3辺に沿うように連続的に前記切込溝を設けることにより、前記外周の1辺に沿って前記連結領域が形成されている、請求項1に記載の水晶デバイス。
- 前記第2の容器の外底面に実装電極が設けられ、前記水晶接続端子と前記実装電極とが電気的に接続する、請求項1または2に記載の水晶デバイス。
- 前記水晶接続端子と電気的に接続し前記水晶片を用いる回路が集積化されたICチップが、前記振動領域とともに前記空間内に密閉封入されている、請求項1または2に記載の水晶デバイス。
- 前記回路は前記水晶片を用いる発振回路であり、表面実装用の水晶発振器として構成された請求項4に記載の水晶デバイス。
- 前記第2の容器の外底面に実装電極が設けられ、前記ICチップと前記実装電極とが電気的に接続する、請求項4または5に記載の水晶デバイス。
- 前記第1の容器及び前記第2の容器は積層セラミックからなる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水晶デバイス。
- 前記水晶片はATカットの水晶片である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水晶デバイス。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110463037A (zh) * | 2017-06-22 | 2019-11-15 | 株式会社大真空 | 晶体振动片及晶体振动器件 |
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2011
- 2011-11-01 JP JP2011240329A patent/JP2013098777A/ja active Pending
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