JP2013098687A - 振動デバイス、及び電子機器 - Google Patents

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敏章 佐藤
Kyo Horie
協 堀江
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Abstract

【課題】外部発振回路に接続され、周波数温度特性と周波数ドリフト特性の優れた、小型で低コストの振動デバイスを得る。
【解決手段】圧電振動素子10と、感温素子30と、容器20と、を備えた振動デバイスであって、容器20は、圧電振動素子用の電極パッド28a、28bと実装端子22a、22bを有する第1の絶縁基板20aと、シールリング42を有する第2の絶縁基板と、蓋部材38と、を備えている。容器20は、一方の長手方向両端部寄りに夫々側面電極40を有し、これに感温素子30は接合され、側面電極40の1つはシールリング42と接続され、実装端子と電極パッドとは、熱伝導部により電気的及び熱的に接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動素子と感温素子とを備えた振動デバイス、及びこの振動デバイスを用いた電子機器に関する。
特許文献1乃至4には、携帯電話等の無線通信機器に用いられる温度補償型圧電発振器が開示されている。特許文献4には、温度補償回路として温度に関する四次成分以上の回路を用いて電源投入後の周波数ドリフトを小さくした温度補償型圧電発振器が開示されている。これに使用されるIC部品は、温度を感知する温度センサーと、圧電振動素子の温度変化による周波数変動を補償するための温度補償回路と、可変容量素子と、増幅回路等を有しており、圧電振動素子を高精度に温度補償できると開示されている。また、実装端子、素子搭載パッド、IC搭載パッドは、容器(パッケージ)の絶縁基板内部に設けられたビア電極(貫通孔(ビアホール)にビア電極ペーストを充填した導体)、及び絶縁基板の層間に配置された配線パターン等により電気的接続されている。
特許文献5には、絶縁容器の隅部に設けたキャスタレーションに金属膜等を焼成し、この導電膜(キャスタレーション電極)を実装端子と素子搭載パッドとの電気的導通の手段とした例が開示されている。なお、絶縁容器の4つの角部に上下方向に伸長するキャスタレーションは、多数の容器がマトリクス状に形成された積層マザーウェーハから個別の容器に小割切断する際に用いられる。
容器の内部に形成したビア電極の一方の端部を蓋部材(リッド)に接続し、他方の端部を接地用実装端子に接続することにより、電磁気的なシールド効果が得られる。また、容器の層間に焼成した配線パターンとキャスタレーション電極とを接続することにより、実装端子と配線パターンとを電気的に導通することができる。キャスタレーション電極同志を層間に焼成した配線パターンにより導通した例も開示されている。配線パターン等の電極材料にはタングステン等が用いられる。
ところで、上記の温度補償型圧電発振器では、パッケージ内の圧電振動素子の温度と、絶縁容器の外部に設けたIC部品に内蔵する温度センサーが検出する温度との間に僅かに温度差が生じる。両者間に温度差があると、誤差のある温度に基づいて圧電振動子の周波数温度特性を補償することになり、高精度の温度補償ができず、周波数ドリフトが生じるという問題があった。そこで、このような不具合に対処するために、圧電振動素子が搭載されている絶縁基板の温度を精度よく測定する試みがなされてきた。
特許文献6〜特許文献8には、温度検出精度の向上と、小型化を図るために、容器の上部のキャビティー内に圧電振動素子を収容し、反対側の下部のキャビティー内に発振回路、温度補償回路等を収容した構造の表面実装型圧電発振器が開示されている。特許文献6には、圧電振動素子を接続するパッドの近傍に温度センサーを配置し、圧電振動素子の温度と温度センサーにより検出される温度との温度差を小さくすることにより、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。しかし、圧電振動素子搭載用のパッドに接続されたIC部品の端子は、発振回路の増幅器の近傍に配置されているので、増幅器の動作に伴い発熱する。その結果、IC部品に内蔵する温度センサーを圧電振動素子側に近接させてもIC部品の発熱温度を検出する虞があり、周波数ドリフト特性を劣化させるという課題がある。
次に、特許文献7には、容器の上部のキャビティーに圧電振動素子と、発振回路、温度センサーを備えた第1のIC部品とを収容すると共に、下部のキャビティーに温度補償回路を備えた第2のIC部品を収容することにより、圧電振動素子と温度センサーとを同じ温度環境下に配置でき、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。しかし、IC部品を二分して、温度センサー付きの第1のIC部品を圧電振動素子と同じキャビティーに収容する構造はコスト高となって実現性が低く、また発振器全体の小型化に逆行するという課題がある。
また、特許文献8には、容器の上部の凹部に圧電振動素子を片持ち支持状態で収容し、下部の凹部にIC部品を収容し、IC部品の温度センサー端子を上部凹部に設けた枕部材と接続することにより、圧電振動素子の温度と、温度センサーの検出温度との温度差を縮小して、周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。
しかし、特許文献6〜特許文献8に開示された何れの構造も、セラミック基板に圧電振動素子を搭載する構成であるため、導電性接着剤を介して圧電振動素子と接続されたセラミック基板の温度を測定すれば、圧電振動素子の温度を正確に検出できると推測されている。しかし、実際には周波数ドリフト特性を改善する効果は、十分ではなかった。このように、圧電振動素子と離れて温度センサーを内蔵するIC部品を配置した従来の表面実装型圧電発振器では、圧電振動素子の温度を正確に検出することはできず、安定した周波数温度特性が得られない。また起動時の周波数ドリフト特性の改善も不十分であるという問題があった。
特許文献9には、圧電振動子の容器の主面に、ICチップを接着した表面実装型圧電発振器が開示されている。ICチップは温度センサーを内蔵し、圧電振動素子は容器内に収容されている。圧電振動素子は温度変化によってその周波数が変動し、温度センサーは温度変化によって出力信号が変化する。ICチップに内蔵される発振回路と、圧電振動素子とによって圧電発振器が構成され、ICチップに内蔵される温度補償回路で圧電発振器の周波数が補償される。つまり、温度補償発振回路は、温度センサーからの出力信号に基づいて温度補償用の電圧信号を出力し、それを可変容量素子に印加することにより可変容量素子の容量を変化させて、周波数を補償する。温度の変化により圧電振動素子の振動周波数が変動するが、温度センサーの出力信号により温度補償発振回路が動作し、周波数の変化分を補償する。ICチップを圧電振動子の容器に固定することで、両者の位置を近接させ、温度差を縮小できると記述されている。温度センサーはICチップの表層部に形成されおり、発振器をこのような構成にすることにより周波数温度特性、周波数ドリフト特性を安定化できると開示されている。
最近、携帯電話の主回路基板に関し、集積化、チップセット化等の技術革新が進み、部品の小型・低背化、少数化の傾向は目覚ましい。即ち、前述の特許文献1乃至9に記載されているような温度補償型圧電発振器は必ずしも必要とされず、主回路基板(マザーボード)上に搭載されるIC部品に温度補償回路を付加する傾向がある。しかし、基準周波数源には、圧電振動子を用い、圧電振動子と前記のようなIC部品(チップセット)と組合せることにより、圧電振動子の温度補償を実現するという試みがなされている。
しかし、主回路基板に搭載された圧電振動子の温度と、圧電振動子の温度を検出する温度センサーの出力温度との間に温度差があることが問題になっている。これは回路基板上に圧電振動子、温度センサー、及び熱源を配置し、回路基板上の温度分布をシミュレーションによって求めることにより明らかとなった。圧電振動子と温度センサーとの僅かの温度差は、携帯電話に搭載されているGPSの位置測定精度に影響する。GPSは基準周波数のドリフト特性が極めて重要な要素となるからである。
特許文献10には、底板及び枠壁からなる凹部を有する矩形状の容器と、容器に収容された水晶振動素子と、容器の開口部に接合された金属カバーと、水晶振動素子の温度検出用で容器の長手方向の一端側に付着させたサーミスタと、を備えた表面実装型水晶振動子が開示されている。サーミスタの長手方向が、容器の高さ方向に直交して容器の外側面に固着した構成とした温度センサー付き水晶振動子である。
特許文献11には、底板層と枠壁層と有した凹状積層セラミックからなる容器と、容器内に収容され一端部両側が固着された水晶振動素子と、水晶振動素子と共に容器内に収容されたサーミスタと、を備えた表面実装型水晶振動子が開示されている。水晶振動素子の主面は底板層の最上位層と対面し、サーミスタは底板層に設けられた凹所内に配置された構成の温度センサー付き水晶振動子である。
特開2005−217782公報 特開2005−244925公報 特開2009−089437公報 特開2010−206443公報 特開2006−054314公報 特開2006−191517公報 特開2008−263564公報 特開2010−035078公報 特開2009−105199公報 特開2010−118979公報 特開2008−205938公報
しかしながら、上記の圧電デバイスでは、圧電振動素子を収容する第1の収納部は、その底部(セラミック製)を介して反対側の第2の収納部に感温素子(サーミスタ)を搭載する構造を有しており、容器が絶縁性のセラミックであるため、熱伝導性の点から第1の収納部内の圧電振動素子の温度と第2の収納部内の感温素子が検出する温度との間に温度差が生じるという問題があった。
また、特許文献11に開示の構造では、サーミスタが圧電振動子の容器の内部に搭載されており、圧電振動素子の温度を検出できることが期待できる。しかし、容器に収容された圧電振動素子に何らかの特性不良が発生したとき、同じ容器内に搭載されているサーミスタも廃棄させざるを得ず、その分コスト高となるという問題があった。
また、特許文献10に開示された圧電デバイスの構造は、圧電振動素子を収容する容器の構造はシンプルであり、コスト低減は図れるものの、容器の寸法が大きく、且つサーミスタが容器の短手方向の外側面に固着されているので、圧電デバイスが細長くなり、電子部品の底面積の小型化という要求を満たさないという問題があった。更に、外部回路と併用されて基準発振器を構成する際に、周波数ドリフト特性が、携帯電話のGPS機能に要求されるような性能を満たさない虞があった。つまり、サーミスタはセラミック製容器のセラミックからなる側壁を介して、前記圧電振動素子が曝されている容器内の温度を検出するので、電源が投入された後の短い時間では、圧電振動素子の実際の温度と、サーミスタ(感温素子)が検出する温度との間に温度差が生じ、基準発振器の周波数がドリフトし、GPS機能が要求するドリフト特性の規格を満たせないという虞があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、圧電デバイスの圧電振動素子の温度と、感温素子との温度差をできるだけ小さくし、且つ圧電デバイスの底面積を正方形に近づけて、小型化を図り、主回路基板(マザーボード)上に搭載された発振回路、及び補償回路と組合せることにより、周波数ドリフト特性の小さく、温度補償型発振器を可能とする、表面実装型の小型圧電デバイスを提供することを目的としている。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本発明に係る振動デバイスは、振動素子と、前記振動素子が固定されている電極パッド、外側の側面に側面電極、及び外側の底面に配置されている2つ以上の第1の実装端子と、を含む容器と、前記容器を気密に封止する金属性又は少なくとも何れかの主面が導電膜で覆われている蓋部材と、前記容器の側面に固定される一対の電極端子を備えている感温素子と、を備え、前記一対の電極端子のうち少なくとも一方の前記電極端子は、前記側面電極と、導電性の熱伝導材を介して、熱的及び電気的に接続され、前記側面電極は、前記蓋部材と電気的及び熱的に接続され、前記感温素子の前記一対の電極端子の前記容器の外側底面に平行な主面は第2の実装端子として機能していることを特徴とする振動デバイスである。
この構成によれば、上記の振動デバイスがマザーボードに実装されると、感温素子への熱の伝導は、マザーボード上のランドから直接感温素子の電極端子を経由して伝わる。圧電振動素子への熱の伝導は、ランドから実装端子を経て熱伝導部を経由して伝わる。更に振動デバイスは、圧電振動素子、感温素子の熱容量を考慮して、熱伝導部の径と、側面電極の幅と厚さとを適切に設定するにより、圧電振動素子の温度、感温素子の検出する温度との温度差を縮小することが可能となる。また、両者の温度差を縮小することにより、振動デバイスを外部回路に接続して動作させると、良好な周波数温度特性が得られ、また優れた周波数ドリフト特性を有する圧電発振器が実現できるという効果がある。また、周波数ドリフト特性が改善されることにより、携帯電話のGPS性能を改善できるという効果がある。更に、シールド効果もある。
[適用例2]また振動デバイスは、前記容器が、第1の主面上に前記電極パッドが配置され、前記第1の主面とは反対側の第2の主面上に前記実装端子が配置されている平板状の第1の絶縁性基板と、前記第1の絶縁基板の前記第1の主面上に底部が積層されている環状部材と、を備えていることを特徴とする適用例1に記載の振動デバイスである。
この構成によれば、容器は簡単な構造を有しているので、実装端子からの熱の伝導も良好となり、感温素子の温度と、圧電振動素子の温度とが短時間でほぼ同温度になるという効果がある。さらに、小型化、低背化が可能であり、且つコストも低減できるという効果がある。
[適用例3]また振動デバイスは、前記環状部材は絶縁性であり、前記環状部材の前記第1の絶縁性基板との積層側とは反対側の主表面上には金属製のシールリングが配置されていることを特徴とする適用例2に記載の振動デバイスである。
この構成によれば、直接感温素子の一方の電極端子から側面電極を経由してシールリング、蓋部材に伝導し、圧電振動素子へ熱が伝わるため、熱の伝導も良好となり、感温素子の温度と、圧電振動素子の温度とが短時間でほぼ同温度になるという効果がある。
[適用例4]また振動デバイスは、前記環状部材は金属性であることを特徴とする適用例2に記載の振動デバイスである。
この構成によれば、環状部材を金属製とすることにより、実装端子からの熱の伝導が速くなり、感温素子の温度と、圧電振動素子の温度とが短時間でほぼ同温度になるという効果がある。さらに、小型化、低背化が可能なるという効果がある。
[適用例5]また振動デバイスは、また振動デバイスは、少なくとも1つの前記実装端子と、少なくとも1つの前記電極パッドとは熱伝導部材により熱的に接続され、前記熱伝導部材は、少なくとも一部が前記第1の絶縁基板を貫通するように配置されていることを特徴とする適用例1乃至4の何れか一項に記載の振動デバイスである。
この構成によれば、感温素子への熱の伝導は、マザーボード上のランドから直接感温素子の電極端子を経由して伝わる。圧電振動素子への熱の伝導は、マザーボードのランドから実装端子を経て、第1の絶縁基板を貫通する熱伝導部材を経由して伝わる。振動デバイスは、圧電振動素子、感温素子の熱容量を考慮して、熱伝導部の径と側面電極の幅と厚さとを適切に設定するにより、圧電振動素子の温度と、感温素子の検出する温度との温度差を縮小することが可能となる。また、両者の温度差を縮小することにより、振動デバイスを外部回路に接続して動作させると、良好な周波数温度特性と、優れた周波数ドリフト特性とを有する圧電発振器が実現できるという効果がある。
[適用例6]また振動デバイスは、前記振動素子が、水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸と、機械軸としてのY軸と、光学軸としてのZ軸と、からなる直交座標系の前記X軸を中心として、前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ所定の角度だけ傾けた軸をZ’軸とし、前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ前記所定の角度だけ傾けた軸をY’軸とし、前記X軸と前記Z’軸に平行な面で構成され、前記Y’軸に平行な方向を厚みとする水晶基板であることを特徴とする適用例1乃至5の何れか一項に記載の振動デバイスである。
この構成によれば、上記のような切断角度を用いることにより、客先仕様が要求する温度特性を適切に実現できるという効果がある。
[適用例7]また振動デバイスは、前記振動素子が、音叉型水晶振動素子であることを特徴とする適用例1乃至5の何れか一項に記載の振動デバイスである。
この構成によれば、電子部品を用いて数MHzから数十MHzの高周波を分周することなく、数十kHzの周波の周波数が得られるという効果がある。
[適用例8]本発明に係る電子機器は、適用例1乃至7の何れか一項に記載の振動デバイスを備えることを特徴とする電子機器である。
この構成によれば、上記の振動デバイスを用いて電子機器を製作すると、高安定で周波数ドリフト特性の優れた基準周波数源が構成できるという効果がある。
本発明の実施形態に係る振動デバイス1の構成を示す概略図であり、(a)は蓋部材を除いた斜視図であり、(b)は蓋部材を除いた平面図であり、(c)は(b)のQ−Q断面図。 振動デバイス1の底面図。 第1の絶縁基板の、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は底面図。 第2の絶縁基板の、(a)は平面図であり、(b)は側面図。 振動デバイス1をマザーボードに搭載して構成した温度補償型圧電発振器のブロック図。 座標軸と切断角度を説明する図。 (a)は圧電振動素子の平面図であり、(b)はQ−Q断面図。 本発明に係る振動デバイス1の一例の実際の寸法を示した平面図。 (a)はマザーボード上に搭載した振動デバイス1の熱の伝導を説明する断面図であり、(b)は各部材の熱伝導率を説明する図。 振動デバイス2の構成を示す、(a)は断面図であり、(b)は第1の絶縁基板の平面図であり、(c)は側面図。 振動デバイス3の構成を示す、(a)は断面図であり、(b)は第1の絶縁基板の側面図であり、(c)は(a)の変形例3’の構成を示す断面図。 デジタル携帯電話の構成を示すブロック図。 振動デバイス4の構成を示す断面図。 音叉型圧電振動素子の構成を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のP−P断面図。 振動デバイス5の構成を示す概略図であり、(a)は蓋部材を除いた平面図であり、(b)は底面図。 振動デバイス6の構成を示す概略図であり、(a)は斜視図であり、(b)は蓋部材を除いた平面図であり、(c)は(b)のQ−Q断面図。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る振動デバイス1の構成を示す概略図である。図1(a)は蓋部材を省略した斜視図であり、同図(b)は蓋部材を省略した平面図であり、同図(c)は(b)のQ−Q断面図である。図2は振動デバイス1の底面図である。図2の底面図に示すように、振動デバイス1は、圧電振動子10Aの容器20の一方の側面と、感温素子30の一方の側面とが、導電材36により接続固定されており、圧電振動素子10用に2つの実装端子22a、22bと、感温素子30の2つの電極端子30a、30bとを有している。
振動デバイス1は、図1に示すように、外部の発振回路及び補償回路(主回路基板上に搭載された発振回路部品及び補償回路部品)と接続されて、所望の周波数を出力する圧電振動素子10と、圧電振動素子10の温度を検出する感温素子30と、第1の主面(図1(b)では上部)に圧電振動素子10を収容する収容部27を有する容器(パッケージ本体)20と、収容部27を封止する蓋部材38と、を備えている。感温素子30の長手方向の一方の側面は、容器20の長手方向の一方の外側面に導電材36、例えば導電性接着剤、半田等により固着されている。
容器20の一例は、矩形平板状の第1の絶縁基板20aと、平板環状の第2の絶縁基板(環状部材)20bと、を積層焼成して形成されている。第1の絶縁基板20aの第1の主面(表部)と、第1の絶縁基板20aの第1の主面(表部)に対して底部を積層固定された環状の第2の絶縁基板(環状部材)20bと、により圧電振動素子10を収容する収容部(キャビティー)27が形成される。図1の実施形態例では、第1の絶縁基板20aは単層の絶縁基板の例を示しているが、底板としての第1の絶縁基板20aは、複数層の絶縁基板(複数の平板状絶縁基板)から構成されていてもよい。
なお、図1の実施形態例では、第1の絶縁基板20a、第2の絶縁基板20bの角隅部の側壁面には、キャスタレーションC1、C2、C3、C4が形成されている。
図3(a)は、図1に示した容器20を構成する第1の絶縁基板20aの第1の主面(表面)の概略平面図であり、同図(b)は側面図であり、同図(c)は底面図である。第1の絶縁基板20aの第1の主面(表面)の長手方向(図中横方向)の一端部寄りには、圧電振動素子10を搭載する一対の電極パッド28a、28bが短手方向に併置されている。更に、第1の主面(表面)の長手方向であって、電極パッド28aと対向する位置に中継パッド29が設けられており、中継パッド29と電極パッド28bとは配線導体29aで導通接続されている。
図3(b)は第1の絶縁基板20aの一方の長辺方向の側面図である。一方の長手方向外側面の長手方向両端部のうち少なくとも何れかの端部寄りには側面電極40aが設けられている。図3(c)は、第1の絶縁基板20aの第2の主面(裏面)の構成を示す底面図である。第2の主面の一方の長手方向に沿って長手の端部よりに実装端子22a、22bが設けられている。
電極パッド28aは、第1の絶縁基板20aを貫通したビア電極(貫通電極)23aにより、実装端子22aと電気的に接続されている。電極パッド28bは、第1の絶縁基板20aの第1の主面上に設けられた配線導体29aの一方の端部と接続され、他方の端部は第1の主面上に設けられた中継パッド29と導通接続されている。中継パッド29は、第1の絶縁基板20aを貫通したビア電極(貫通電極)23bにより、実装端子22bと導通接続されている。
図4(a)は第2の絶縁基板20bの平面図であり、同図(b)は側面図である。図4に示すように、第2の絶縁基板20bは、中央部を中空とした環状体であり、環状体の第1の主面(表部)周縁にシールリング42が設けられた矩形平板状の絶縁基板である。第2の絶縁基板20bの第1の主面(表部)の一つの角隅部の近傍であって、長手方向端縁に沿ったシールリング42の外側上面には電極43が形成され、この電極43はシールリング42と導通接続している。更に、図4(b)の側面図に示すように、第2の絶縁基板20bの一方の長手方向外側面の長手方向両端部のうち少なくとも何れかの端部寄りには側面電極40cが設けられている。第1の絶縁基板20aの側面電極40aと、第2の絶縁基板20bの40cとは、電気的、熱的に導通している。そして、第2の絶縁基板20bの一方の側面電極40cは、電極43と導通接続されている。第2の絶縁基板20bの空間部と、第1の絶縁基板20aの第1の主面とにより形成される収容部27に圧電振動素子10が収容される。
図5は、振動デバイス1の使用法の一例を示す図である。図5は温度補償型圧電発振器のブロック図であり、振動デバイス1と、マザーボード上に搭載されA/D変換回路、温度補償回路、発振回路等を有する電子部品と、により構成される。感温素子(サーミスタ)30に直列接続する抵抗21は、上記電子部品に含まれた素子であり、その一方の端子37は電源に接続されている。容器の底面に配置されている実装端子22a、22b、及び感温素子(サーミスタ)30の両端の電極端子30a,30bは、マザーボード上に振動デバイス1を搭載する際の導通接続、及び固定するための端子である。つまり、電極端子30a,30bを第2の実装端子として用いているのが本発明の特徴である。
実装端子22a、22bは圧電振動素子10を駆動するための発振回路と電気的に接続され、感温素子(サーミスタ)30の電極端子30a,30bのうち、一方の電極端子30bは接地(アース接続)され、他方の電極端子30aは、A(アナログ)/D(デジタル)変換回路を介して前記温度補償回路に電気的に接続されている。この温度補償回路は発振回路に接続されて、温度補償型圧電発振器を構成する。
第1の絶縁基板20aの絶縁体内部には、ビア電極(ビアホール(貫通孔)にビア電極ペーストを充填し、焼成形成した導体)が形成されている。図1に示す実施形態例では、図3(a)、(c)に示すように、第1の絶縁基板20aの肉厚内部に、第2の主面(裏面)に形成された実装端子22a、22bと、第1の主面(表面)に形成された圧電振動素子10用の一対の電極パッド28a、28bと、を夫々導通接続するビア電極23a、23b(熱伝導部)が貫通形成されている。
つまり、第1の絶縁基板20aの第2の主面に形成した実装端子22a、22bは、夫々ビア電極23a、23bを経由して第1の主面(表部)に設けた圧電振動素子10搭載用の一対の電極パッド28a、28bと電気的及び熱的に導通している。蓋部材38がシールリング42に溶接されることのより、蓋部材38は、電極43を経由して側面電極40c、40aと電気的及び熱的に導通している。ここで、実装端子22a、22bと、一対の電極パッド28a、28bとを夫々接続するビア電極23a、23bを熱伝導部と称し、シールリング42、電極43、側面電極40a、40cも、熱伝導部と称する。なお、容器20の角隅部の側面に形成されたキャスタレーションC1〜C4に電極膜を焼成して、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4とし、容器20をマザーボード上へ搭載する際の固定の強化や、実装端子22の1つとシールリング42との導通接続に用いてもよい。
図1の実施形態例に用いられる圧電振動素子10には、例えばATカット水晶振動素子がある。水晶等の圧電材料は三方晶系に属し、図6に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。ATカット水晶基板12は、XZ面をX軸の回りに角度θだけ回転させた平面に沿って、水晶から切り出された平板である。ATカット水晶基板12の場合は、θは略35°15′である。なお、Y軸及びZ軸もX軸の周りにθ回転させて、夫々Y’軸、及びZ’軸とする。従って、ATカット水晶基板12は、直交する結晶軸X、Y’、Z’を有する。ATカット水晶基板12は、厚み方向がY’軸であって、Y’軸に直交するXZ’面(X軸及びZ’軸を含む面)が主面であり、厚みすべり振動が主振動として励振される。ATカット以外にカットアングルは異なるが、例えばBTカット等も用いることができる。
即ち、図1に示す圧電基板12の一例は、図6に示すようにX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)、Z軸(光学軸)からなる直交座標系のX軸を中心として、Z軸をY軸の−Y方向へ傾けた軸をZ’軸とし、Y軸をZ軸の+Z方向へ傾けた軸をY’軸とし、X軸とZ’軸に平行な面で構成され、Y’軸に平行な方向を厚みとするATカット水晶基板からなる。
ATカット水晶基板の外形形状は、一般的にX軸方向を長手方向とする矩形状であり、共振周波数はY’軸方向の厚さに依存する。周波数が高く、X辺比(X/t、XはX軸方向の長さ、tは厚さ)、又はZ辺比(Z/t、ZはZ’軸方向の長さ)が大きい場合には、図1に示すように、平板形状の水晶基板12が用いられる。また、周波数が低く、X辺比(X/t)、又はZ辺比(Z/t)が小さい場合には、メサ型水晶基板(周辺部に比べ中央部を厚くした水晶基板)12が用いられる。図7はメサ型水晶振動素子の一例であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)はQ−Q断面図である。
メサ型水晶基板12は、その中央に位置し主たる振動領域となる励振部13と、励振部13より薄肉で励振部13の周縁に沿って形成された従たる振動領域となる周辺部15と、を有している。つまり、振動領域は、励振部13と、周辺部15の一部に跨っている。図7に示す例では、圧電基板12の長手方向(図中横方向)には2段の段差があり、短手方向(図中縦方向)には図7(b)に示すように1段の段差が形成されたメサ型圧電基板を用いた圧電振動素子10の例である。
圧電振動素子10は、水晶基板12の励振部13の表裏に励振電極14a、14bが形成され、励振電極14a、14bの夫々から水晶基板12の端部に設けた端子電極18a、18bに向かって延びるリード電極16a、16bが形成されている。
励振電極14a、14bに交番電圧を印加すると、水晶振動素子10は固有の振動モード、例えばATカット水晶の場合は厚みすべりモードが励振される。
また、図1に示す振動デバイス1に用いる温度センサーとしての感温素子30の一例としては、温度変化に応じて物理量、例えば電気抵抗が変わるサーミスタ等を用いる。サーミスタ30の電気抵抗の変化を外部回路で検出し、サーミスタ30の温度が測定され、圧電振動素子10の温度を推測することができる。
振動デバイス1の構成手順としては、初めに表面実装型の圧電振動子10Aを構成する。圧電振動子10Aの構成は、容器20の一対の電極パッド28a、28bに導電性接着剤35を塗布し、その上に予め用意した、図7に示すような圧電振動素子10を載置し、軽く押さえる。これを乾燥炉に入れて所定の温度で所定の時間加熱して導電性接着剤35の乾燥とアニールを行った後、真空中、又は不活性ガスの雰囲気中で、容器20の上部周縁に形成したシールリング42に蓋部材38をシーム溶接し、気密封止して圧電振動子10Aを完成する。CI値(クリスタルインピーダンス値)の小さな圧電振動子10Aが要求される場合は、収容部27を真空にする方がよいし、圧電振動素子10への熱の伝導を考慮する場合は、窒素N2等の不活性ガスを用いるとよい。次に、圧電振動子10Aの容器20の長手方向の一方の外側面に形成された側面電極40(40a、40b、40c、40d)に導電材(導電性接着剤、半田等)36を塗布して、容器20の長手方向の側面と感温素子30の長手方向の側面とを固着する。感温素子30の一方の電極端子30bと容器20の側面電極40a、40cとが、導電材(導電性接着剤、半田等)36により導通接続される。つまり、感温素子30の一方の電極端子30bは、導電材36を介して側面電極40a、40cに導通接続し、更に電極43を経てシールリング42と接続し、蓋部材38と電気的、熱的に導通接続している。また、固着する際に、感温素子30の底面と圧電振動子10Aの底面とが同一平面上に併置されるようにする。
本発明の振動デバイス1は、表面実装型の圧電振動子10Aを構成し、その後、圧電振動子10Aの容器20の長手方向の一方の外側面に感温素子30を導電材(導電性接着剤、半田等)36により固着して、あたかも一体的な電子素子として構成されている。そのため、容器20の構成がシンプルであり、小型でコストが低減できること、容器20の収容部27には圧電振動素子10のみを収容するために、収容部27に感温素子30を共に収容する場合に比べ、脱ガスの影響を大幅に低減でき、周波数経年変化特性が優れていること、等の利点がある。また、感温素子30の形状寸法が多少変化しても、容器20の外側面に適切に固着すればよく、容器20の寸法を変更する必要がないという利点もある。容器20の長手方向の一方の側面に感温素子の長手方向を固着することにより、振動デバイス1の底面積の形状が、一般的な振動子の容器のサイズとしてみなすことができ、使い勝手が非常によくなっている。
図8は、振動デバイス1の一例の平面図であり、外形形状の寸法を、2520(2.5mm×2.0mm)とした場合である。容器20の寸法は2.0mm×1.35mmであり、感温素子(サーミスタ)30の寸法は2.0mm×1.1mmであり、導電材36の厚みを考慮すると、振動デバイス1の外形寸法は2.5mm×2.0mmとなる。
本発明に係る振動デバイス1の特徴は、図1に示すように、感温素子30を容器20の内部に、又は底面の凹部に収容するのではなく、容器20の長手方向の一方の外側面に、感温素子30の長手方向の一方の側面を導電材(導電性接着剤、半田等)36により固着している。感温素子30の一方の電極端子30bと、容器20の長手方向の一方の側面に形成した側面電極40a、40cとは、導電材36により導通接続されている。容器20の一方の長手方向の側面に形成した側面電極40b、40dは、必ずしも必要ではない。感温素子30の電極端子30aと、側面電極40b、40dとは、導電材36により接続されており、非電導性の接着剤を用いて固着してもよい。つまり、電極端子30aと側面電極40b、40dとの接続は、感温素子30と容器20との固定が目的であり、電気的導通は不要である。電極端子30bは接地される場合が多いが、電極端子30aは温度を検出する端子として、外部回路に接続されて用いられる。
また、感温素子30は、圧電振動素子10の長手方向と感温素子30の長手方向とが同じ方向となるように容器20に固定されている。
振動デバイス1がマザーボードMBに搭載されると、マザーボード上のランド(配線パターン)と、容器20の実装端子22a、22b、及び感温素子30の両電極端子30a、30bとが半田等により接続固定される。感温素子30の一方の電極端子30bと、容器20の長手方向の一方の側面に形成した側面電極40a、40cとは、導電材(導電性接着剤、半田等)により導通接続され、電極43により蓋部材38と導通接続される。一般的に感温素子30の一方の電極端子は接地して用いられるので、電極端子30bに接続するランドを接地することにより、蓋部材38も接地され、シールド効果を持たせることができるし、熱の伝導にも寄与する。感温素子30の他方の電極端子30aは非接地のランドに接続されて、温度検出に用いられる。
要するに、マザーボードMB上のランドと感温素子30の電極端子30a、30bとは、電気的導通と熱的伝導とが行われる。電極端子30bは導電材36を介し、側面電極40a、40c、電極43を経て蓋部材38に導通接続し、シールド効果と熱の伝導に寄与している。マザーボードMB上のランドと圧電振動素子10とは、実装端子22a、22b、ビア電極23a、23b(熱伝導部)、及び一対の電極パッド28a、28bを介して電気的導通と熱的伝導とが行われる。
容器20の実装端子22a、22b、熱伝導部(ビア電極23a、23b、側面電極40a、40c、電極43、シールリング42)に用いる金属材料としては、例えばタングステン材を例示することができる。また、キャスタレーション電極Ce1〜Ce4を必要とする場合には、金属膜としてもタングステン材が用いられる。
図1に示した振動デバイス1は、マザーボード上に実装されると、マザーボード上のランドと実装端子22a、22bとが接続され、実装端子22a、22bと圧電振動素子10とはビア電極(熱伝導部)23a、23bを経由して電気的導通と熱的伝導が行われる。一方、感温素子30は、マザーボード上に実装された際に、マザーボード上のランドと直接電気的導通と熱的伝導が行われる。
本発明に係る振動デバイス1の特徴は、短い時間で圧電振動素子10の温度と感温素子30の検出する温度とがほぼ等しくなるように、圧電振動素子10、感温素子30の熱容量を考慮し、熱伝導部(ビア電極23a、23b、側面電極41a、40c、電極43)の材質(熱伝導率)、ビア電極23a、23bの径、側面電極41a、40cの厚さと幅と、を設定することである。感温素子30は直接マザーボードのランドに接続しており、熱の伝導量も多く、その温度上昇は速い。圧電振動素子10と感温素子30とは一般的に熱容量が異なるので、熱伝導部に流れる熱量を両者の熱容量を考慮して適切に設定する必要がある。言い換えると、圧電振動素子10の温度と感温素子30の温度とが短い時間でほぼ等しくなるように、即ち両者の熱的平衡状態が達成されるように、上記部材の種類、寸法形状を適切に設定することである。
図9(a)は、マザーボードMBに搭載した振動デバイス1の熱の主伝導経路を示す断面図であり、同図(b)は振動デバイス1に使用される部材の熱伝導率を示す表である。振動デバイス1を包む雰囲気内の空気の熱伝導率は極めて小さい。また、容器20を主に構成するセラミック材(Al23)の熱伝導率は、例えば熱伝導部(ビア電極23a、23b、側面電極40)に用いるタングステン(W)の熱伝導率に比べて1/10程度である。従って、マザーボードMBに搭載された各種の増幅器等から生じる熱が、振動デバイス1の圧電振動素子10へ伝導する経路としては、ランド45から実装端子22a、22bに伝導し、実装端子22a、22bから熱伝導部23a、23bを経由して圧電振動素子10へ伝導して、圧電振動素子10の温度を上昇させる第1の経路がある。更に、ランド45から感温素子30の一方の電極端子30bへ伝導し、導電材36(導電性接着剤、半田等)を経て側面電極40a、40cへ伝わり、電極43を経て、蓋部材38へ伝導し、蓋部材38の温度を上昇させ、その輻射熱、又は収容部27内が不活性ガスで充満されていれば対流により、圧電振動素子10の温度を上昇させる第2の経路がある。
また、感温素子30への熱の伝導は、マザーボードMBのランド45から半田等を経て直接電極端子30a、30bへ伝わり、感温素子30の温度を上昇させる。
つまり、圧電振動素子10の温度上昇に関与する経路としては、マザーボードMBの増幅器等から発生した熱が、ランド45から実装端子22a、22bに伝達し、ビア電極23a、23bを経由して素子搭載用の一対の電極パッド28a、28b、導電性接着剤35を介して圧電振動素子10の端子電極18b、18a、リード電極16b、16aを経て励振電極14b、14aに伝わり、圧電基板12の温度を上昇させる第1の経路がある。更に、ランド45から感温素子30の一方の電極端子30b、導電材36を経て側面電極40a、40cへ伝わり、電極43を介して蓋部材38に伝導し、蓋部材38からの輻射熱により、又は収容部27内に不活性ガスが充満されている場合には、不活性ガスの対流により圧電振動素子10の温度を上昇させる第2の経路とがある。この主な2つの熱伝導経路により圧電振動素子10の温度が上昇する。
また、感温素子30の温度上昇に関与する経路としては、マザーボードMBの熱が半田層を介して感温素子30の電極端子30a、30bに伝導して、感温素子30の温度を上昇させる。
しかし、圧電振動素子10、感温素子30夫々に同じ熱量が伝導したとしても、両者の熱容量により温度上昇に差が生じるので、両者の熱容量を考慮して夫々に流れ込む熱量を設定するようにする。
容器20の形状寸法と、熱伝導部のメタライズ材を設定した後は、圧電振動素子10、感温素子30の夫々の熱容量に応じて、ランド45から実装端子22a、22bを経て圧電振動素子10へ、ランド45から半田層を介して感温素子30へ、夫々所要の熱が流れるように、第1の絶縁基板20aの熱伝導部(ビア電極)23a、23bの径と、熱伝導部(側面電極)40、電極43の厚さと幅とを、圧電振動素子10と感温素子30との温度が夫々ほぼ等しくなるように設定する。つまり、ビア電極23a、23bの径φ1、側面電極40(40a、40c)の幅、厚さを適切に設定し、短い時間で圧電振動素子10と、感温素子30との温度がほぼ等しくなるようにする。
図1に示すように、感温素子30の電極端子30bと導電材36を介して導通接続する、容器20の長手方向の一方の側面に形成した側面電極40(40a、40c)は、電極43を経由してシールリング42と接続され、シールリング42に溶接される蓋部材38と導通接続されている。感温素子30の一方の電極端子(ここでは30b)は一般に接地されて用いられるので、シールリング42に溶接される蓋部材38は、接地されることになる。蓋部材38が電極43、側面電極40により接地されることにより、振動デバイス1からの高周波雑音の放射が防止される。
振動デバイス1において、感温素子(サーミスタ)30の一方の電極端子と蓋部材38とを接地する利点は、次の通りである。蓋部材38と圧電振動素子10とは近接しているので、輻射熱、又は不活性ガスが充満されている場合は、対流等により温度分布的に近い温度となる。感温素子30の一方の電極端子30bと蓋部材38とを、熱伝導部(側面電極40a、40c、電極43、シールリング42)で導通接続することにより、圧電振動素子10の温度と、感温素子30との温度差が小さくなることが期待できる。
つまり、圧電振動素子10と感温素子30とは、短い時間で熱的平衡状態に近づくことが推測される。更に感温素子30の一方の電極端子を接地すると、マザーボードMBからの熱は接地の端子から多く伝導されるので、感温素子30と蓋部材38に熱が伝導し、感温素子30と圧電振動素子10との熱的平衡状態が早まる。また、蓋部材38を接地することにより不要輻射を防ぐシールド効果も同時に得られる。
図10(a)は、第2の実施形態例の振動デバイス2の構成を示す断面図(容器20の短手方向の断面図)であり、同図(b)は、容器20の第1の絶縁基板20a1の平面図であり、同図(c)は、(b)の長手方向の一方の側面図である。振動デバイス2の構成が図1に示す振動デバイス1の構成と異なる点は、図1に示す第2の絶縁基板20bの代わりに、図10に示すように、第1の絶縁基板20a1の第1の主面(表面)の周縁部に厚肉環状のシールリング42を焼成した点である。第1の絶縁基板20a1の第1の主面(表面)と、厚肉環状のシールリング42とで圧電振動素子10を収容する収容部27を構成している。図10(c)の側面図に示すように、第1の絶縁基板20a1の長手方向の一方の外側面には長手方向の両端部寄りに側面電極40a、40bが形成され、側面電極40aは第1の絶縁基板20a1の第1の主面(表面)の1つの角隅部に形成した電極43と導通接続し、電極43はシールリング42と導通接続している。
シールリング42の上部にコバール等の蓋部材38をシーム溶接して収容部27を気密封止する。容器20に圧電振動素子10を搭載し、気密封止して圧電振動子10Aを完成した後に、容器20の長手方向の一方の外側面に形成した側面電極40a、40bに導電材36を塗布し、感温素子30の長手方向の一方の側面を固着するのは、振動デバイス1の場合と同様である。振動デバイス2の方が振動デバイス1より低背化が可能であり、熱の伝導速度も速い。
図11(a)は、第3の実施形態に係る振動デバイス3の構成を示す断面図(容器20の短手方向の断面図)であり、同図(b)は第1の絶縁基板20a2の側面図であり、同図(c)振動デバイス3の変形例3’の構成を示す断面図(容器20の短手方向の断面図)である。振動デバイス3は、第1の絶縁基板20a2と、逆バスタブ状(逆椀状)の蓋部材38と、圧電振動素子10と、感温素子30と、を備えている。図11(a)、(b)に示すように、第1の絶縁基板20a2は、第1の主面(表面)の長手方向(図中横方向)の一端部寄りに、圧電振動素子10を搭載する一対の電極パッド28a、28bが短手方向に併置されている。更に、第1の絶縁基板20aの第1の主面(表面)の周縁部にシールリング42が形成されている。第1の絶縁基板20aの第2の主面(裏面)の長手方向の端部寄りには短手方向に沿って実装端子22a、22bが形成され、実装端子22a、22bと一対の電極パッド28a、28bとは、夫々ビア電極23a、23bにより導通接続されている。更に、第1の絶縁基板20aの長手方向の一方の外側面には、長手方向の両端部寄りに夫々側面電極40a、40bが形成され、一方の側面電極40aは、第1の絶縁基板20a1の第1の主面の角隅部の1つで、シールリング42の外側に形成された電極43と導通接続し、電極43はシールリング42と導通接続している。
第1の絶縁基板20a2の第1の主面(表部)に設けた第1の電極パッド28a、28bに導電性接着剤35を塗布し、この上に圧電振動素子10を載置し、軽く押さえた後、所定の温度の乾燥炉内で所定の時間保持し、導電性接着剤35を乾燥、硬化させる。また、必要に応じて真空炉内で高温アニールを行い、真空中、又は不活性ガスの雰囲気中で第1の主面の圧電振動素子10を含む空間部を逆椀状の蓋部材38で気密封止して、表面実装型の圧電振動子10Aを完成する。気密封止の方法は、第1の絶縁基板20aの第1の主面にシールリング42を設ける場合は、レーザー等を用いて金属製の蓋部材38とシールリング42とを溶接し、気密封止して圧電振動子10Aを完成する。
次に、表面実装型の圧電振動子10Aの長手方向の一方の外側面に形成した側面電極40a、40bに導電材36を塗布し、これに感温素子30の電極端子30a、30bを押し当て、加熱して硬化させ、両者を固着させて振動デバイス3を完成する。この際、感温素子30の一方の電極端子30bと、一方の側面電極40aとが、導電材36により導通接続し、更に側面電極40aに導通接続する電極43を介してシールリング42と導通接続されている。また、第1の絶縁基板20aの第2の主面と、感温素子30の底面とが同一面上に併置するようにする。
図11(c)は、同図(a)の振動デバイス3変形例であり、逆椀状の金属製蓋部材38に代わりに、セラミック、ガラス等の材質を用いて成形した非金属製の蓋部材38を用いて構成した振動デバイス3’の例である。蓋部材38の内側壁面は、シールド効果を考慮してメタライズ加工を施してもよい。蓋部材38の封止は、絶縁基板20aの第1の主面の周縁部に低融点ガラス材等を塗布し、蓋部材38を載置して溶着して気密封止する。
図1の実施形態のように構成し、振動デバイス1をマザーボードMBに実装すると、感温素子30への熱の伝導は、マザーボード上のランドから直接感温素子30の電極端子30a、30bを経由して伝わる。圧電振動素子10への熱の伝導は、ランドから実装端子22a、22bを経て、熱伝導部(ビア電極23a、23b)を経由して伝わる。更に、感温素子30の一方の電極端子30bから側面電極40a、40cを経由してシールリング42、蓋部材38に伝導し、圧電振動素子10へ熱が伝わる。振動デバイス1は、圧電振動素子10、感温素子30の熱容量を考慮して、ビア電極23a、23bの径と、側面電極40a、40cの幅と厚さと、を適切に設定するにより、圧電振動素子10の温度と、感温素子30の検出する温度との温度差を縮小することが可能となる。また、両者の温度差を縮小することにより、振動デバイス1を外部回路に接続して動作させると、良好な周波数温度特性と、優れた周波数ドリフト特性を有する圧電発振器が実現できるという効果がある。また、周波数ドリフト特性が改善されることにより、携帯電話のGPS性能を改善できるという効果がある。更に、シールド効果もある。
また、図10の実施形態例では、絶縁基板20bの代わりに肉厚のシールリング42を用いたので、熱の伝導もよく、低背化の利点もある。更に、シールド効果もある。
また、図11の実施形態例では、単板の絶縁基板20a2と逆椀状(逆バスタブ状)の蓋部材38とで容器を構成するので、コスト低減と低背化という利点がある。更に、シールド効果もある。
また、図6に示すような切断角度を用いることにより、客先仕様が要求する温度特性を適切に実現できるという効果がある。
図12は、第4の実施形態の振動デバイス4を用いるデジタル携帯電話100の構成を示す概略ブロック図である。振動デバイス4は、既に図1で説明した容器20を用い、収容部27に音叉型水晶振動素子10bを収容し、蓋部材38で収容部27を真空封止して圧電振動子10Aを完成した後、容器20の長手方向の一方の外側面に形成した側面電極40に導電材36を塗布して、容器20の一方の側面と感温素子30の一方の側面とを固着して振動デバイス4を構成する。
図12に示すデジタル携帯電話100で音声を送信する場合、使用者が自分の音声をマイクロフォンに入力すると、信号はパルス幅変調・符号化の回路と変調器/復調器の回路を経てトランスミッター、アンテナスイッチを介しアンテナから送信される。一方、他者から送信された信号は、アンテナで受信され、アンテナスイッチ、受信フィルター+アンプ回路等を経て、レシーバー回路に入り、このレシーバー回路から変調器/復調器回路に入力される。そして、復調器回路で復調された信号がパルス幅変調・符号化回路を経てスピーカーから音声として出力されるように構成されている。アンテナスイッチや変調器/復調器ブ回路等を制御するためにコントローラーが設けられている。
このコントローラーは、上述の機能の他に表示部であるLCDや、数字等の入力部であるキー、さらにRAMやROM等も制御するため、用いられる音叉型水晶振動子の周波数は、高精度、高安定度であることが求められる。この要求に応えるべく、音叉型水晶振動素子10bを容器20の収容部27に収容し、感温素子30を容器20の長手方向の一方の側面に固着して構成した振動デバイスが、図13に示す振動デバイス4である。
つまり、第4の実施形態例の振動デバイス4が、図1に示す振動デバイス1との異なる点は、振動デバイス1では、圧電振動素子10として厚みすべり振動素子を用いているが、振動デバイス4では屈曲振動をする音叉型水晶振動素子10bを用いている点が異なる。高周波の基準周波数が必要とされる場合は、振動デバイス1が適し、低周波の基準周波数が要求される場合は振動デバイス4が適している。
圧電振動素子10に音叉型水晶振動素子10bを用いることにより、高周波を分周することなく所望の低周波得られるという利点がある。また、振動デバイス1〜6を用いて電子機器を製作すると、高安定で短期安定度の優れた基準周波数源が容易に構成できるという効果がある。
音叉型圧電振動素子について簡単に説明する。図14(a)は、音叉型圧電振動素子10bの平面図であり、同図(b)は(a)のP−P断面図である。圧電基板52は、フォトリソグラフィ技術とエッチング手法を用いて形成される。図14(a)に示すように、音叉型圧電振動素子10bは、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の複数の振動腕55a、55bと、各振動腕55a、55bの一方の端部(基端部)間を連接する基部54と、各振動腕55a、55bの振動中心線に沿った表面及び裏面に夫々形成された溝部57a、57b、58a、58bと、を備えている。
図14(b)は、同図(a)のP−P断面図であり、各振動腕55a、55bに夫々形成された励振電極60、62、64、66の配置を示す断面図である。励振電極60、64は、各溝部57a(57b)、58a(58b)の表面、及び側面に形成され、励振電極62、66は各振動腕55a、55bの夫々両側面に形成されている。励振電極60、66と、励振電極62、64とは、互いに異符号の電圧が基部54の電極パッド(図示せず)を介して印加されるように構成されている。つまり、励振電極60、66に+電圧が印加されるとき、励振電極62、64には−電圧が印加され、図14(b)の矢印で示すような電界が生じ、圧電振動素子50の重心を通る中心線に対し対称な音叉振動(屈曲振動)が励振される。
なお、溝部57a(57b)、58a(58b)を形成することにより、電界強度が強まり、音叉振動をより効率的に励振することができる。即ち、圧電振動素子のCI(クリスタルインピーダンス)を小さくすることができる。
図15は、第5の実施形態例の振動デバイス5の構成を示す図である。図15(a)は蓋部材を省略した平面図であり、同図(b)は底面図である。振動デバイス5が、図1に示す振動デバイス1と異なる点は、容器20の収容部27に、厚みすべり振動の圧電振動素子10aと、屈曲振動の音叉型圧電振動素子10bと、を併置して収容した点である。2つの圧電振動素子10a、10bを併置したので、第1の電極パッド28a〜28dは4個必要となり、これに対応するビア電極も4つ必要となる。また、ビア電極の個数が増えるのに応じ、実装端子は22a、22b22c、22dの4端子が必要となる。容器20の長手方向の一方の外側面に形成した側面電極40に導電材36を介して感温素子30の一方の側面を固着することは既に説明した。
振動デバイス5は、低周波と高周波の2つの基準周波数を必要とする電子機器には有用であり、1つの感温素子30で2つの高精度の周波数を得ることができる。
図16は、第6の実施形態例の振動デバイス6の構成を示す図である。図16(a)は斜視図であり、同図(b)は蓋部材38を省略した平面図であり、同図(c)は(b)のQ−Q断面図である。振動デバイス6は、初めに厚みすべり振動の圧電振動子10Aと、音叉型圧電振動子10Bとを、既に説明したようにして完成する。次に、圧電振動子10A、10Bの長手方向の一方の側面に夫々形成した側面電極40に導電材(導電性接着剤、半田等)36を塗布し、感温素子30を圧電振動子10A、10Bの間に配置し、感温素子30の両側面に位置する電極端子30a、30bを押し当て、加熱硬化させて、三者を固着する。この際、感温素子30を間に挟んで三者の底面が夫々同一平面上に併置されるようにする。
従って、感温素子30の一方の電極端子30bに接続するランド45を接地することにより、圧電振動子10A、及び圧電振動子10Bの夫々の蓋部材38が接地されるのは、振動デバイス1〜5の場合と同様である。
振動デバイス5、又は振動デバイス6と、発振回路、及び補償回路を有する外部回路と併用することにより、高周波と低周波の2つの圧電発振器が構成され、温度補償された、高安定、且つ短期安定度の優れた2つの基準周波数が得られるという効果がある。
1、2、3、4、5、6…振動デバイス、10、10a、10b…圧電振動素子、10A、10B…圧電振動子、12…圧電基板、13…励振部、14a、14b…励振電極、15…周辺部、16a、16b…リード電極、18a、18b…端子電極、20…容器、20a、20a1、20a2、20a3…第1の絶縁基板、20b…第2の絶縁基板、22a、22b…実装端子、23a、23b…ビア電極(熱伝導部)、27…収容部、28a、28b…電極パッド、29…中継パッド、29a…配線導体、30…感温素子、30a、30b…電極端子、35…導電性接着剤、36…導電材、37…端子、38…蓋部材、40、40a、40b…側面電極(熱伝導部)、40b、40d…側面電極、42…シールリング、43…電極、45…ランド、C1、C2、C3、C4…キャスタレーション、MB…マザーボード

Claims (8)

  1. 振動素子と、
    前記振動素子が固定されている電極パッド、外側の側面に側面電極、及び外側の底面に配置されている2つ以上の第1の実装端子と、を含む容器と、
    前記容器を気密に封止する金属性又は少なくとも何れかの主面が導電膜で覆われている蓋部材と、
    前記容器の側面に固定される一対の電極端子を備えている感温素子と、
    を備え、
    前記一対の電極端子のうち少なくとも一方の前記電極端子は、前記側面電極と、導電性の熱伝導材を介して、熱的及び電気的に接続され、
    前記側面電極は、前記蓋部材と電気的及び熱的に接続され、
    前記感温素子の前記一対の電極端子の前記容器の外側底面に平行な主面は第2の実装端子として機能していることを特徴とする振動デバイス。
  2. 前記容器は、
    第1の主面上に前記電極パッドが配置され、前記第1の主面とは反対側の第2の主面上に前記実装端子が配置されている平板状の第1の絶縁性基板と、
    前記第1の絶縁基板の前記第1の主面上に底部が積層されている環状部材と、
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載の振動デバイス。
  3. 前記環状部材は絶縁性であり、
    前記環状部材の前記第1の絶縁性基板との積層側とは反対側の主表面上には金属製のシールリングが配置されていることを特徴とする請求項2に記載の振動デバイス。
  4. 前記環状部材は金属性であることを特徴とする請求項2に記載の振動デバイス。
  5. 少なくとも1つの前記実装端子と、少なくとも1つの前記電極パッドとは熱伝導部材により熱的に接続され、
    前記熱伝導部材は、少なくとも一部が前記第1の絶縁基板を貫通するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の振動デバイス。
  6. 前記振動素子は、水晶の結晶軸である電気軸としてのX軸と、機械軸としてのY軸と、光学軸としてのZ軸と、からなる直交座標系の前記X軸を中心として、
    前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ所定の角度だけ傾けた軸をZ’軸とし、
    前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ前記所定の角度だけ傾けた軸をY’軸とし、
    前記X軸と前記Z’軸に平行な面で構成され、
    前記Y’軸に平行な方向を厚みとする水晶基板であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動デバイス。
  7. 前記振動素子は、音叉型水晶振動素子であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の振動デバイス。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載の振動デバイスを備えることを特徴とする電子機器。
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