JP2013096183A - スライドドアのケーブルテンション調整構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーブルに作用する衝撃力を衝撃吸収材などを用いずに吸収することができ、かつ、駆動ユニット全体を小型化することができるスライドドアのケーブルテンション調整構造を提供する。
【解決手段】スライドドア101に取り付けられたケーブル107を駆動するための駆動ユニット1に組み込まれ、スライドドア101の開閉動作によって生じるケーブル107の張力変動および余長を吸収するとともに、ケーブル107に張力として生じる衝撃力を吸収するためのばね11を備えたスライドドアのケーブルテンション調整構造であって、2つの支持点間を走行するケーブル107にばね11の付勢力を伝達して押圧し、ケーブル107の走行経路を変更させる伝達部材10を有し、ばね11は、引張ばねとして使用され、ケーブル107への衝撃力を吸収するときにばね11が伸びるようにセットされている。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両のスライドドアを自動開閉させるために使用されるケーブルの張力や余長を調整するためのケーブルテンション調整構造に関する。
図13に示すように、ワゴン車やワンボックス車などの車両100には、スライドドア101が取り付けられたものがある。このスライドドア101は、閉じた状態(図13において実線で示す)から車両後方へスライド移動することによって開かれ、逆に開いた状態(図13において二点鎖線で示す)から車両前方へ移動することによって閉じられるようになっている。
このスライドドア101には、図14に示すように、スライドドア本体部から後方に延びるアーム部101aが設けられている。また、このアーム部101aの後端部には、このアーム部101aに対して回動自在にローラアッシ101bが取り付けられている。一方、車両100の本体側には、図13および図14に示すように、車体前後方向に延在するガイドレール102が設けられている。このガイドレール102には、上述したローラアッシ101bがスライド可能に組み付けられ、ローラアッシ101bがガイドレール102に沿って前後方向へ移動することで、スライドドア101が車両前後方向にスライド移動するようになる。
また、ガイドレール102の前側部102aは、図14に示すように、車両斜め内側に向かって緩やかに湾曲している。この湾曲した形状によって、スライドドア101は、その閉まり際に車両内側に向かって移動して、スライドドア101が車両100に対して閉じられるようになる。逆に、スライドドア101が開く際には、閉じた状態から車両外側に向かって移動した後に車両後方へとスライド移動するようになる。
このようなスライドドア101の開閉動作は、パワースライドドアユニット103(以下、PSDユニット103という)と、スライドドア101(詳細には、アーム部101a)に取り付けられたケーブル107との協働によって実現される。
PSDユニット103は、図14に示すように、ガイドレール102の前端部側に設けられた前側反転プーリー104と、ガイドレール102の後端部側に設けられた後側反転プーリー105と、ガイドレール102よりも車室側に取り付けられた駆動ユニット106とで構成されている。
前側反転プーリー104および後側反転プーリ−105は、巻き掛けられたケーブル107の前後の向きを変える機能を有している。また、駆動ユニット106は、前側反転プーリー104および後側反転プーリ−105に巻き掛けられたケーブル107を電動で巻き取る機能を有している。
巻き掛けられるケーブル107は、2本のケーブル(1本は、駆動ユニット106から前側反転プーリー104を通ってスライドドア101に取り付けられ、もう1本は駆動ユニット106から後側反転プーリー105を通ってスライドドア101に取り付けられている)が駆動ユニット106の内部で連結されている。そのため、駆動ユニット106が動作すると、ケーブル107は駆動ユニット106内に引き込まれると同時に外へと送り出されるようになる。これにより、駆動ユニット106を用いてケーブル107を後側または前側に送り出すことで、スライドドア101が自動開閉するようになる。
なお、上述した前側反転プーリー104は、図14に示すように、ガイドレール102の前側部102aが車両内側に湾曲していることから、その回転軸が上下方向に向けられて略水平に回転するように取り付けられている。同様に、後側反転プーリー105も略水平に回転するように取り付けられている。
図15は、駆動ユニット106の内部に設けられたケーブルテンション調整構造108を簡略化して示したものである。ケーブル107は、図15に示すように、駆動モータ(図示せず)によって回転する駆動プーリー113の上側から巻き掛けられている。また、駆動プーリー113の左右の下側には、テンション調整用の可動プーリー109、109がそれぞれ設けられている。駆動プーリー113に巻き掛けられたケーブル107は、図15に示すように、可動プーリー109、109に下側からそれぞれ巻き掛けられる。そして、ケーブル107の両側は、左上および右上に向かってそれぞれ引き回されている。
この左右の可動プーリー109、109には、テンションばね110、110の一端部がそれぞれ取り付けられている。また、テンションばね110、110の他端部は、駆動ユニット106の固定部111、111にそれぞれ取り付けられている。これらのテンションばね110は、可動プーリー109、109をそれぞれ斜め下方向に付勢している。また、可動プーリー109、109は斜め上下方向112(ばねの伸縮方向)に移動可能に取り付けられている。この構成により、スライドドア101の移動中におけるケーブル107のテンションは、テンションばね110、110の付勢力によってほぼ一定になるように調整されている。
また、このテンションばね110は、ケーブル107の移動軌跡の変化に伴う余長を吸収する機能も果たしている。このケーブル107の移動軌跡の変化とは、図16に示すように、ガイドレール102の前側部102aの湾曲部分を通過するケーブル107の軌跡の変化をいう。より詳細に説明すると、スライドドア101のローラアッシ101bが通過するときには、ケーブル107はローラ101cによって持ち上げられて図16の点線のような軌跡になる。一方、ローラアッシ101bが通過しないときには、ケーブル107はガイドレール102の内側面に沿って摺動して図16の二点鎖線のような軌跡になる。この2つの軌跡の変化によって余長が生じることになり、この余長を上述した可動プーリー109、109の移動によって吸収している(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−184880号公報
スライドドア101の開閉始動時の開閉力は、手動操作性の観点から小さい方が好ましい。しかしながら、図15に示すような従来のケーブルテンション調整構造108では、スライドドア101がガイドレール102の前側部102a(湾曲部)を通過する際に、ケーブル107の余長が少なくなるため、テンションばね110が押し縮められるように動作する。テンションばね110が押し縮められると、ケーブル107に作用する張力も大きくなる。そのため、スライドドア101の開閉(前側部102aの通過時)に大きな力が必要になってしまい、手動操作が重くなってしまう。
また、スライドドア101の開閉始動時には、駆動モータ起動時の大きな張力が衝撃力としてケーブル107に作用する。その他にも、スライドドア101の開閉動作中には、スライドドア101に物が当たるなどの衝撃を受けた場合、始動時よりもさらに大きな衝撃力がケーブル107に作用することがある。しかしながら、従来のケーブルテンション調整構造108では、図15に示す右斜め上側に延びるケーブル107、或いは、図15に示す左斜め上側に延びるケーブル107のいずれか一方に大きな張力が作用した場合に、この大きな張力が作用した側の可動プーリー109は斜め上方向に大きく引き上げられ(逆側の可動プーリー109は、ケーブル107のたるみを取るために逆に下方へ移動するようになる)、テンションばね110が密着高さまで完全に押し潰されてしまうことがある。そのため、ケーブル107のテンションが完全に取り切れないばかりか、テンションばね110が密着する衝撃によって、駆動プーリー113を駆動するための駆動モータに大きな負荷が作用してしまうことがある。
従来では、この取り切れない負荷を吸収するために、衝撃吸収材を設けたり、駆動プーリーと駆動モータとの間に小型クラッチなどを設けて対処していた。しかしながら、この方法では、駆動ユニット106の部品点数が増えてしまい、コスト高となってしまう。また、小型のクラッチ等を設置するためのスペースも必要になり、駆動ユニット106全体の小型化・軽量化が困難であった。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、ケーブルに作用する衝撃力を衝撃吸収材などを用いずに吸収することができ、かつ、駆動ユニット全体を小型化することができるスライドドアのケーブルテンション調整構造を提供することにある。
上述課題を解決するため、本発明は、スライドドアに取り付けられたケーブルを駆動するための駆動ユニットに組み込まれ、前記スライドドアの開閉動作によって生じる前記ケーブルの張力変動および前記ケーブルの移動軌跡の変化によって生じる余長を吸収するとともに、前記ケーブルに張力として生じる衝撃力を吸収するためのばねを備えたスライドドアのケーブルテンション調整構造であって、2つの支持点間を走行する前記ケーブルに前記ばねの付勢力を伝達して押圧し、前記ケーブルの走行経路を変更させる伝達部材を有し、前記ばねは、引張ばねとして使用され、前記ケーブルへの衝撃力を吸収するときに前記ばねが伸びるようにセットされていることを特徴とする。
また、前記ケーブルの張力変動および余長を吸収するときの前記ケーブルの走行経路の移動長さよりも、前記ケーブルへの衝撃力を吸収するときの前記ケーブルの走行経路の移動長さの方が短くなるようにしている。
さらに、前記スライドドアの開閉始動時に前記ケーブルに作用する衝撃力を、前記2つの支持点を結んだ直線よりも前記ケーブルの走行経路を移動させた位置で吸収するようにしている。
一方、前記伝達部材は、その一端部に前記ばねが取付けられ、他端部が前記ばねの付勢力によって前記一端部を中心に回動しながら前記ケーブルを押圧するアーム部材としてもよい。
また、前記アーム部材は、その長手方向が前記ケーブルの走行経路に沿うように回動するようにしてもよい。
さらに、前記ばねの伸縮方向が、前記2つの支持点を結んだ直線に沿って配置されていてもよい。
他方、前記2つの支持点間の距離を変更可能に構成することもできる。
また、前記2つの支持点間の距離を短くしたときに、前記ばねの付勢力に抗して前記伝達部材からの前記ケーブルへの押圧力を遮断する押圧力遮断構造を備えるようにしてもよい。
本発明に係るスライドドアのケーブルテンション調整構造によれば、2つの支持点間を走行する前記ケーブルに前記ばねの付勢力を伝達して押圧し、前記ケーブルの走行経路を変更させる伝達部材を有し、前記ばねは、引張ばねとして使用され、前記ケーブルへの衝撃力を吸収するときに前記ばねが伸びるようにセットされているので、ケーブルに大きな衝撃力が作用したときに、従来技術の図15で記載した圧縮ばねのように密着高さまで押し潰されることがない。そのため、衝撃力が、例えば駆動プーリーを駆動する駆動モータに作用して大きな負荷を与えることがなくなる。その結果、衝撃を吸収するための衝撃吸収材や小型クラッチなどを設ける必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。また、これらの部材を取り付ける設置スペースも必要ないので、駆動ユニット全体の小型化・軽量化を実現することができる。
また、前記アーム部材は、その長手方向が前記ケーブルの走行経路に沿うように回動し、前記ばねの伸縮方向が、前記2つの支持点を結んだ直線に沿って配置されているので、ばね力をアーム部材の角度で打ち消して、ばね力が大きいときに、小さな力でケーブルを押圧することができる。一方、ばね力が小さいときには、大きな力でケーブルを押圧することができるようになる。
本発明の実施の形態に係るスライドドアのケーブルテンション調整構造を内包する駆動ユニットの正面図である。 図1の右側面図である。 図1の状態から、上側カバーを取り外した駆動ユニットの正面図であって、ケーブルテンションが通常の状態を示したものである。 図1の状態から、上側カバーを取り外した駆動ユニットの正面図であって、左側に位置するケーブルテンションが小さい状態を示し、右側に位置するケーブルテンションが高い状態を示したものである。 図3および図4の状態からプーリー支持部4を下側にスライド移動させた状態を示す駆動ユニット1の正面図である。 プーリー支持部を移動させるためのレバーの動作を示す概要図である。 ケーブルテンションと余長吸収量との関係を示した図である。 ガイドレールの前側湾曲部を車両上側から見た拡大平面図である。 図8を車両外側から見た拡大側面図である。 前側プーリーを単体で示した側面図である。 図10の状態から側面カバーを取り外し、ケーブルの軌跡を示した側面図である。 図10を上側から見た平面図である。 スライドドアが取り付けられた車両の側面図である。 従来のPSDユニットを車両上側から見た平面図である。 従来のケーブルテンション調整構造を簡略化して示す概観図である。 従来のガイドレールの湾曲した前側部の拡大図である。
以下、本発明の実施の形態に係るスライドドアのケーブルテンション調整構造について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るスライドドアのケーブルテンション調整構造を内包する駆動ユニット1の正面図、図2は図1の右側面図である。また、図3および図4は、図1の状態から上側カバーを取り外した駆動ユニット1の正面図であって、ケーブルのテンションおよび余長を吸収している状態を示したものである。さらに、図5は、図3および図4の状態からプーリー支持部4を下側にスライド移動させた状態を示す駆動ユニット1の正面図である。
なお、本実施の形態では、従来で説明した用品および構成と同じものについては同じ符号を付して説明する。また、以下の説明における前後の方向は、図1の紙面奥行き方向をいい、上下、左右の方向は、図1の上下および左右の方向をいうものとする。さらに、以下で説明する図面中では、ケーブル107の経路について太い2点鎖線を用いて示すと共に、同様に符号107を付して示している。
駆動ユニット1は、駆動ユニット1の後側の全体を覆う本体部2と、この本体部2の前側上部を覆う上側カバー3とを備えている。また、駆動ユニット1の上部には、本体部2および上側カバー3の上面から上方に向かって突出するプーリー支持部4が設けられている。なお、上述した本体部2は、本実施例では後側の全体を覆う一体構造にしているが、分割構造で構成することもできる。
上側カバー3は、本体部2に対して4本のねじ5によって着脱可能に取り付けられている。この上側カバー3を取り外すと、図3および図4に示すように、駆動ユニット1の内部に設けられたケーブルテンション調整構造6の全体が表出する。
なお、上側カバー3の下側には、外周面に幾重にも螺旋状の溝が切られ、ケーブル107がこの螺旋状の溝に巻き掛けられる駆動ドラム(図3〜図5において、駆動ドラムのピッチ円を符号7で示す)や、この駆動ドラムを回転駆動させて、ケーブル107を送り出すための駆動モータ14が取り付けられている。この駆動モータ14には、例えば、高効率なブラシレスモータなどが使用されている。
プーリー支持部4は、図3〜図5に示すように、平たい略直方体形状を成しており、上側の左右両端部には、ケーブル107を引き込むためのケーブル引込口4b、4bがそれぞれ設けられている。また、プーリー支持部4の内部中央には、図示しない回転軸を中心に回転可能であり、ケーブル支持部4に固定される固定プーリー(ピッチ円を符号8で示す)が取り付けられている。
この固定プーリーのピッチ円8で示される固定プーリーには、図3〜図5に示すように、プーリー支持部4のケーブル引込口4b、4bから引き込まれたケーブル107が巻き掛けられている。より詳細には、左斜め上側から引き込まれたケーブル107は、固定プーリー8の右側を通るように巻き掛けられ、右斜め上側から引き込まれるケーブル107は、固定プーリー8の左側を通るように巻き掛けられる。そして、ケーブル107は、固定プーリー8の下側に位置する駆動ドラム7に下側から巻き掛けられる。
巻き掛られたケーブル107は、図3および図4に示すように、2つのプーリー7、8によって支持されて、詳細は後述するケーブルテンション調整構造6のアーム部材10、10を機能させていない状態(ケーブル107のテンション調整等をしていない状態)で、2つの支持点T1および支持点T2を結んだ直線9(図3および図4において、太い点線で示す)のように張られるようになる。ただし、詳細は後述するが、アーム部材10、10を機能させている状態では、理論的な意味で実際にケーブル107が直線9上を走行することはない。
ケーブルテンション調整構造6は、図3および図4に示すように、プーリー支持部4を挟んで左右両側に、アーム部材(伝達部材)10、10と、テンションばね(ばね)11、11とがそれぞれ設けられている。アーム部材10、10は、ケーブル107を駆動ユニット1の内方に向けて押圧して、ケーブル107の走行経路をそれぞれ変更させる機能を有している。また、テンションばね11、11は、アーム部材10、10を付勢するためのものである。
これらのアーム部材10、10およびテンションばね11、11は、図3に示すように、左右対称に、かつそれぞれが一対で配置されており、アーム部材10は、左右で勝手違いに形成されている。しかしながら、左右のテンションばね11、11は、図4に示すように、それぞれ独立して伸縮可能であり、アーム部材10、10は、左右でそれぞれ異なる動きが可能である。
アーム部材10およびテンションばね11は、左右で同じ構成であるため、以下、左側のアーム部材10およびテンションばね11につてい説明する。
アーム部材10の下端部には、図3〜図5に示すように、回動軸10bが設けられており、この回動軸10bには、押圧ローラ10aが回動自在に取り付けられている。この押圧ローラ10aは、プーリー7,8の支持点T1、T2間に掛け渡されたケーブル107のほぼ中央部と常に接触しながら押圧するようになっている。
また、アーム部材10の上端部には、アーム部材10の外側方向に突出する態様で延出部10cが形成されている。この延出部10cには、支持軸10dが取り付けられおり、この支持軸10dには、テンションばね11の上端部が連結されている。この支持軸10dは、テンションばね11の伸縮方向へ自由にスライド移動するようになっている。
テンションばね11は、図3に示すように、コイルばねであり、全体として引張ばねとして使用されている。すなわち、テンションばね11は、ケーブル107の張力変動の調整、余長の吸収、および衝撃力吸収の際に(詳細は後述する)、テンションばね11が自然長よりも伸びるように使用されている。なお、詳細は後述する余長吸収時31(図7参照)には、ばね11はセット位置30(図7参照)よりも縮むようになるが、この場合であってもばね11は自然長よりも長くなるように使用される。これにより、テンションばね11は、支持軸10dに対して常時下側へと引き下げる付勢力を与えている。
テンションばね11の上端部は、上述したアーム部材10の支持軸10dに回動自在に取り付けられている。一方、テンションばね11の下端部は、本体部2に設けられたばね受け部12に固定されている。また、テンションばね11の配置は、図3〜図5に示すように、このテンションばね11の伸縮(変位)方向が、2つの支持点T1、T2を結んだ直線9に沿って、ほぼ平行になるように配置されている。
このアーム部材10は、図3に示すセット状態では、長手方向がほぼ上下に向くように設置されている。また、アーム部材10の取り付けは、本体部2と上側カバー3とを組み付ける際に、これらの本体部2と上側カバー3とに挟まれる態様で取り付けられており、ねじなどで固定されていない。そのため、アーム部材10は、テンションばね11の付勢力を上側の支持軸10dで受けると共に、この支持軸10dの移動した位置でこの支持軸10d(一端部)を中心にして回動しながら下側の押圧ローラ10aでケーブル107を押圧する。言い換えれば、アーム部材10は、テンションばね11の付勢力と、ケーブル107への押圧力との力のバランスに合わせて回動しながらその姿勢を変えることができるようになっている。
さらには、アーム部材10は、図3および図4に示すように、回動することによってその長手方向の向きが変化する。この長手方向の向きは、押圧力によって適宜変更されるケーブル107の走行経路9A、9B、9Cの方向に沿うように(走行経路9A、9B、9Cとアーム部材10とがほぼ平行になるように)、アーム部材10が回動するようになっている。
他方、プーリー支持部4は、図5および図6に示すように、本体部2および上側カバー3に対して、上下にスライド移動できるように構成されている。これにより、駆動ドラム7と固定プーリー8との中心点間距離を変更でき、支持点T1と支持点T2間の距離も変更できるようにしている。このプーリー支持部4の移動は、本体部2に取り付けられたレバー13によって行われる。
図6は、本体部2の裏側から見た状態であって、説明を容易にするために本体部2を中心から半分切り取った状態を示す断面斜視図である。この図6を用いて、レバー13の回動動作について説明する。
レバー13は、図6に示すように、回動軸13aと、作業者がこのレバー13を操作するための操作部13bと、この操作部13bに形成された仮止め用穴13cとを備えている。このレバー13を回動方向R1へ回動させると、プーリー支持部4は上方向R1Aへ突出する。一方、レバー13を回動方向R2へ回動させ、プーリー支持部4を手で下側へ押せば、プーリー支持部4は下方向R2Bへ移動するようになる。
回動軸13aは、本体部2に対して回動自在に取り付けられている。操作部13bは、図6の実線で示すように、駆動ユニット1の前後方向と水平になっている状態では、プーリー支持部4が引き込まれた状態になる。また、操作部13bの先端部は、図6に示すように、本体部2の裏面より後方に突出しており、この突出した部分を回動方向R1に向けて引き上げ易くしている。
また、操作部13bに形成された仮止め用穴13cは、プーリー支持部4が引っ込んだ状態で、本体部2のレバー仮止め用爪と係合するようになっている。この係合した状態では、プーリー支持部4が引き込まれた状態を維持するようになる。
この状態から、操作部13bを回動方向R1に向けて回動させると、操作部13bは、プーリー支持部4の操作部係合溝4cに嵌合する。そして、このプーリー支持部4が上方向R1Aへと押し上げるようになる。
テンション調整構造6は、プーリー支持部4が上方向へ押し上げられた状態(図3および図4参照)で使用される。一方、プーリー支持部4が下方向へ引き込まれた状態(図5参照)は、ケーブル107を2つのプーリー7、8に巻き掛ける作業をするときに用いられる。
また、プーリー支持部4の左右の下側角部には、図3〜図5に示すように、押圧ローラ10aを受けるための窪んだ形状のローラ受け部(押圧力遮断構造)4a、4aがそれぞれ設けられている。このローラ受け部4a、4aは、プーリー支持部4が上方向R1Aに移動している状態(図3および図4)では、押圧ローラ10a、10aと接触しないようになっており、押圧ローラ10a、10aは、ケーブル107を押圧するようになっている。
また、プーリー支持部4が下方向R2Bへ移動している状態(図5の状態)では、ローラ受け部4a、4aが押圧ローラ10a、10aまたはアーム部材10の本体と接触し、押圧ローラ10a、10aを駆動ユニット1の左右の外側方向へ移動させる。この状態では、図5に示すように、押圧ローラ10a、10aが支持点T1、T2の間に直線状に張られたケーブル107と接触しない位置まで移動しており、押圧ローラ10a、10aからの押圧力が遮断される。
次に、ケーブルテンション調整構造6の動作および作用について、図3〜図7を用いて詳細に説明する。図7は、ケーブルテンションと余長吸収量との関係を示した図である。
図7において、符号30は、余長吸収量のセット位置(アーム部材10が図3の左側および右側に示す状態)を示す。
このとき、ケーブル107の走行経路9Aは、直線9よりも内側に押し込まれた位置になる。ここで、走行経路9Aの移動長さとは、直線9から走行経路9Aまでの押し込み長さ(図3の距離L1で示す)をいうものとする。
一方、図7の符号31および符号32で示す位置は、余長max位置(図4の右側の状態)と、衝撃吸収時の位置(図4の左側の状態)を示している。この図4の状態は、スライドドア101の開閉始動時である。より詳細には、図示しない駆動モータを起動させたときには、図4において左側のケーブル107に大きな張力が作用して張られるようになり、右側のケーブル107に大きな余長が発生することになる。
余長max位置31でのケーブル107の走行経路9Bは、図3に示す走行経路9Aよりもさらに内側に押し込まれた位置になる。ここで、走行経路9Bの移動長さとは、直線9から走行経路9Bまでの押し込み長さ(図4の距離L2で示す)をいうものとする。
衝撃吸収時の位置32でのケーブル107の走行経路9Cは、走行経路9Aよりも外側であって直線9よりも内側に押し込まれた位置になる。ここで、走行経路9Cの移動長さとは、直線9から走行経路9Cまでの押し込み長さ(図4の距離L3で示す)をいうものとする。
すなわち、走行経路9Cの移動長さL3は、図4に示すように、張力変動および余長を吸収するときのケーブル107の走行経路9Bの移動長さL2よりも短くなるようにしている。
また、図7において、符号35で示す曲線は、余長吸収量に対するテンションばね11の変位量(伸び量)を示している。この曲線35から、テンションばね11の変位量は、余長吸収量が少ないほど大きく、余長吸収量が大きいほど小さくなることが分かる。
また、図7において、符号36で示す曲線は、余長吸収量に対するテンションばね11の付勢力(ばね力)の変化を示している。この曲線36から、テンションばね11の付勢力は、比例する関係にはなっていないが、余長吸収量が少ないほど大きく、設定によって変化するが余長吸収量が大きいほど大きくなる傾向があることが分かる。
すなわち、曲線35、36から、テンションばね11が衝撃力を吸収する際に、テンションばね11は伸びる方向に変位し、より大きな付勢力を生じさせることが分かる。このことから、衝撃を吸収する際に、従来の図15で記載したテンションばね11のように密着高さまで押し潰されることがなく、テンションばね11の弾性範囲内でその衝撃力を吸収することができることが分かる。
さらに、図7において、符号37で示す曲線は、余長吸収量に対するケーブル107の張力の変化を示している。この曲線37から、ケーブル107に作用する張力の変化は、余長吸収量の変化に対して少ないことが分かる。
また、ケーブル107に作用する張力は、曲線37で示すように、余長吸収量が図7に示す駆動max荷重時よりも大きい場合には、その値はほぼ変化しない。一方、ケーブル107に作用する張力は、余長吸収量が駆動max荷重時よりも小さい場合には、余長吸収量が0に近づくにつれて無限大に大きくなる。これは、ケーブル107の走行経路9Cが直線9に近づくときに急激に大きくなることになる。このとき、テンションばね11は、上述したように大きな付勢力で押圧ローラ10a、10aに大きな押圧力を作用させることになる。そのため、大きな衝撃力に対し大きな押圧力で対応することができるようになる。
なお、図7において、符号38で示す曲線は、アーム部材10の支持軸10dの移動量を示している。
一方、スライドドア101が開閉動作するとき(スライドドア101がガイドレール102の前側R部を移動するとき)では、上述したように、余長吸収時の位置31(図4の右側の状態。走行経路9Bの位置)と、衝撃力吸収時の位置32(図4の左側の状態。走行経路9Cの位置)で動作する。なお、スライドドア101を開くときと閉じるときでは、左右のケーブル107で張力発生側とたるみ側が逆になるので、図4に示す状態は、スライドドア101を開くときと閉じるときで左右が逆になる。
ケーブル107が走行経路9C(図4の左側)を通過するときには、ケーブル107には、スライドドア101の転がり負荷によって大きな張力が作用する。また、アーム部材10の長手方向は、図4に示すように、テンションばね11の伸縮方向とほぼ平行になる角度になる。このとき、テンションばね11は大きく伸びて、アーム部材10の支持軸10dを大きなばね力で下側へ引き下げようとする。しかしながら、アーム部材10の押圧ローラ10aは、テンションばね11の伸縮方向とほぼ垂直な角度でケーブル107を押すようになるので、ケーブル107への押圧力は小さく抑えられる。このように、本発明のケーブルテンション調整構造6は、ケーブル107に大きな張力が作用しているときに、テンションばね11からの押圧力を小さく抑えることができる構造になっている。
一方、従来技術で示した構造では、ケーブル107に大きな張力が作用した状態(図15において、可動プーリ−109が斜め上側に引き上げられ、ばね力が最大の状態)では、圧縮されたテンションばね110のばね力のほとんどは、引き上げられた可動プーリー109を斜め下側へ押し下げる力となり、ケーブル107にさらに大きな張力を付与することになる。そのため、スライドドア101の閉じ際(スライドドア101がガイドレール102の前側R部を移動するとき)に、開閉時の手動操作力として大きな力が必要となっていた。
これに対し、図4に示す構造では、テンションばね11のばね力はほぼ最大の状態ではあるが、アーム部材10の角度がほぼ90度になっているので、ケーブル107を押圧する力は分力となり、小さな力となる。そのため、ケーブル107の張力をさらに大きくすることがないので、上述した開閉力をより小さくすることができる。
また、ケーブル107が走行経路9B(図4の右側)を通過するときには、ケーブル107には走行経路9C(図4の左側)分のたるみが生じることになる。このとき、従来のテンショナ構造108(図15参照)では、テンションばね110のたわみ量に対して可動プーリー109の移動量が比例関係になるので、テンションばね110のたわみ量が大きい場合はケーブル107の弛み取りMAX時の張力と弛み取りMIN時の張力の差が大きくなってしまう。一方、ケーブル107の弛み取りMAX時の張力が0にならない程度に小さく抑えて設定すると、ガイドレール102のR部でのケーブル107の張力が大きくなり、スライドドア101の開閉に大きな手動操作力が必要になってしまう場合がある。
これに対し、本発明の構成では、走行経路9Bにおけるケーブル張力を、従来の図15で説明したケーブルテンション調整構造108を用いた場合よりも大きくし、ガイドレール102のR部でのケーブル107の張力を小さく抑え、小さな手動操作力ですむようにしている。より詳細には、アーム部材10の長手方向とテンションばね11の伸縮方向との角度は、図4に示すように、図3の状態よりも大きく開くようになる。このとき、テンションばね11の伸びは小さく、アーム部材10の支持軸10dを小さなばね力で下側へ引き下げようとする。しかしながら、アーム部材10の押圧ローラ10aは、テンションばね11の伸縮方向と大きく開いた角度でケーブル107を押すようになるので、ケーブル107への押圧力はその分力によって大きくなる。このように、本発明のケーブルテンション調整構造6は、テンションばね11からの押圧力を大きくすることができる構造になっているので、走行経路9Bにおけるケーブルテンションを大きくすることができるとともに、ケーブル107の弛み取りMAX時の張力と弛み取りMIN時の張力の差が大きくならないようにしている。
さらに、図3および図4では示していないが、ケーブル107に開閉始動時以上の衝撃力が生じた場合には、図7における領域41の範囲で動作する。このとき、ケーブル107に作用する張力37は急激に大きくなるが、ケーブル107の走行経路は、走行経路9Cよりも少し外側(図4の左側の走行経路9Cから少し直線9へ寄った位置)になることで、大きな衝撃力が吸収されるようになる。
以上、本発明の実施の形態に係るケーブルテンション調整構造6について説明したが、本発明におけるPSDユニットでは、ケーブルテンション調整構造6の他に種々の特徴を有している。以下、図8〜図12を用いてその種々の特徴について詳細に説明する。なお、以下の説明で、従来技術で示した構造と同じものは、同一の符号を付して説明する。
図8は、ガイドレール102の前側部102aを車両上側から見た拡大平面図である。また、図9は、図8を車両外側方向から見た拡大側面図である。なお、以下の説明では、前後方向とは、図8の紙面左右方向(車両の前後方向。左側が前側)を示す。また、車両外側とは、図8の紙面下方向をいい、車両内側とは、図8の紙面上方向をいうものとする。
ガイドレール102の前側部102aは、図8に示すように、従来技術で示したガイドレール102と同様に(図14参照)、車両斜め内側に向かって緩やかに湾曲しており、スライドドア101の閉まり際に、スライドドア101を車両内側に向かって案内するようになっている。また、このガイドレール102には、スライドドア101のアーム部101aに設けられたローラアッシ101bが、ガイドレール102の延在方向に沿って移動可能に取り付けられている。
このガイドレール102の前側部102aには、図9に示すように、ケーブル軌跡調整部材50が取り付けられている。このケーブル軌跡調整部材50は、前側部102a(より詳細には、前側部102aのうちの特に湾曲している部分)の内周面102bに、前側部102aの湾曲形状に合わせて設けられている。ケーブル軌跡調整部材50の長さは、少なくとも、前側部102aの湾曲部分のR形状の始端から終端まで連続して設けられている。
このケーブル軌跡調整部材50は、図9に示すように、摺動するケーブル107が当接する摺動面50aと、この摺動面50aを挟んだ両側に位置する側壁面50bとで構成されている。摺動面50aは、上述したローラアッシ101bがこの湾曲部を通過していないとき(スライドドア101が閉じられる状態ではないとき)に、ケーブル107が当接しながら摺動する面である。この摺動面50aは、ガイドレール102の湾曲部の内周面102bよりも半径外側方向に位置している。
また、側壁面50bは、ケーブル107の進行方向における左右両側に設けられ、摺動面50aよりも半径外側方向に向けて突出する態様でそれぞれ形成されている。この側壁面50bは、摺動するケーブル107が摺動面50aから外側に逸脱しないようにする機能を有している。
このケーブル軌跡調整部材50を取り付けることで、ケーブル107の軌跡は、図8および図9に太い二点鎖線で示すように、軌跡107Aを描くようになる。一方、ケーブル軌跡調整部材50を設けなかった場合(従来構造)には、ケーブル107の軌跡は、図8に細い二点鎖線で示す軌跡107Cを描く。また、ローラアッシ101bがこの湾曲部を通過する際(スライドドア101が閉じられる際の状態のとき)のケーブル107の軌跡は、軌跡107Bを描くようになる。
軌跡107A、107B、107Cの軌道長さをそれぞれ比較すると、軌跡107Bの軌道長が最も長く、次に軌跡107Aが長く、軌跡107Cが最も短くなる。これら軌跡の長さの違いによって、駆動ユニット1のケーブルテンション調整機構6で調整する余長が異なってくる。すなわち、従来のように、軌跡107Bと107Cの組み合わせでは、軌跡長の差分が最も大きく、大きな余長が発生することになる。これに対し、軌跡107Bと107Aの組み合わせでは、上述の組み合わせよりも軌跡長の差分が小さくなり、調整すべき余長を小さくすることができる。
すなわち、ガイドレール102の前側部102a湾曲部の内周面102bに、ケーブル107の軌跡を湾曲部の半径外側方向にずらし、軌跡107Aが軌跡107Bとできるだけ同じ軌跡になるように修正するためのケーブル軌跡調整部材50を設けているので、駆動ユニット1内のケーブルテンション調整構造6で調整すべき余長を小さくすることができる。これにより、余長の調整量を小さくすることができ、ケーブルテンション調整構造6内で余長を調整するためのプーリー支持部4のスライド移動量を小さく抑えることができる。その結果、ケーブルテンション調整構造6自体を小さくすることができ、駆動ユニット1をより小型化することができる。
次に、前側反転プーリー60(従来技術の図14で記載した前側反転プーリー104と構造が異なるが、ケーブル107の方向を変える機能は同じもの)の構造について、図10〜図12を用いて説明する。図10は、PSDユニットで使用される前側反転プーリー60を単体で示した側面図である。また、図11は、図10の状態から内側カバー62を取り外した状態であって、ケーブル107の軌跡を太い二点鎖線で示した側面図である。さらに、図12は、図10を上側から見た平面図である。
なお、図10〜11は、車両内側から見たときの図であり、図10の紙面右側が車両前側となり、図10の紙面左側が車両後側になる。そのため、以下で説明する方向は、図10の紙面右側を前方向、紙面左側を後方向という。
前側反転プーリー60は、ガイドレール102の前側部102aから直線状に引き回されるケーブル107の延長線上に配置され、ケーブル107の向きを前後方向で反転させる機能を果たしている。
この前側反転プーリー60は、図10に示すように、本体部61と、図10の紙面手前側に位置する内側カバー62と、本体部61よりも紙面奥側に位置する外側カバー68とを備えている。
本体部61には、図10に示すように、車両本体側に取り付けるための3つの取付穴61aが形成されている。また、本体部61の前側部は、内側カバー62で覆われている。この内側カバー62は、2本のねじ63、63によって本体部61に着脱自在に取り付けられている。また、本体部61の上部には、駆動ユニット1側へ引き出されるケーブル107の引出口69が設けられている。
内側カバー62を取り外した内部には、図11に示すように、縦回転型プーリー64が取り付けられている。この縦回転型プーリー64は、図11および図12に示すように、車両内側から外側に向けて略水平に延びるプーリー回転軸65に軸支され、縦方向に回転するように構成されている。
外側カバー68には、図11および図12に示すように、ケーブル引込口67が形成されている。このケーブル引込口67は、前側反転プーリー60が車両本体側に取り付けられた状態で、ガイドレール前側部102aに向かって開口している。より詳細には、ケーブル引込口67は、車両後方斜め外側に向けて開口しており、ガイドレール102の前側部102aから引き回されたケーブル107が直線状にケーブル引込口67に引き込まれるようになっている。
また、外側カバー68には、図11に示すように、ケーブル引込口67から引込まれたケーブル107を縦回転型プーリー64に向けて変向させる案内面66が形成されている。この案内面66は曲面状に形成されており、この曲面に沿って摺動するケーブル107に大きな屈曲負荷が作用しないようにしている。
これらの構造によって、ケーブル引込口67から引き込まれたケーブル107は、図11および図12に示すように、案内面66を通って縦回転型プーリー64に巻き掛けられ、そのままケーブル引出口69から引き出された後に、駆動ユニット1まで直線的に引き回される。
このように、前側反転プーリー60のプーリー回転軸65を車両幅方向と平行になるように配置して、縦回転する縦回転型反転プーリー64を用いてケーブル107を反転させることによって、従来構造のように水平方向に回転する反転プーリーを使用する場合と比較して、前側反転プーリー60の車両幅方向の厚みを薄くすることができる。この厚みを薄くすることで、車両に前側反転プーリー60を取り付けたときに、前側反転プーリー60が車室内側に出っ張ることがなくなり、従来構造に比べて、車室内を広く構成することができる。
本発明の実施の形態に係るスライドドアのケーブルテンション調整構造によれば、2つの支持点T1、T2間を走行するケーブル107にテンションばね11の付勢力を伝達し、ケーブル107の走行経路9(9A、9B、9C)を変更させるアーム部材10を有し、テンションばね11は、引張ばねとして使用され、ケーブル107への衝撃力を吸収するときにテンションばね11が伸びるようにセットされているので、スライドドア101に大きな衝撃力が作用してケーブル107に大きな張力が作用したとしても、従来技術の図15で示した構造で使用されるばね110のように密着高さまで押し潰されることがない。そのため、衝撃力が、例えば駆動ドラム7を駆動する駆動モータに作用して大きな負荷を与えることがなくなる。その結果、衝撃を吸収するための衝撃吸収材やクラッチなどを設ける必要がなくなり、コストダウンを図れるとともに、駆動ユニット1の全体の小型化・軽量化を実現することができる。
また、ケーブル107の張力変動および余長を吸収するときのケーブル107の走行経路9Bの移動長さL2よりも、駆動max時のケーブル107への力を吸収するときのケーブル107の走行経路9Cの移動長さL3の方が短くなるようにしているので、スライドドア101がガイドレール102の前側部102aを通過する際に、走行経路9A(図3の状態)から走行経路9C(経路が短い状態)へと移行する。そのため、スライドドア101の開閉始動時において、アーム部材10の長手方向がテンションばね11の伸縮方向とほぼ平行な状態になり、走行経路9Cでのケーブル107に付加される張力が抑えられ、閉じ際での手動操作が軽くなる。
また、ケーブル107が走行経路9Aから走行経路9Cへと変化するので、ケーブル107が大きく屈曲しないようになる。そのため、ケーブル107の走行抵抗を小さく抑えることができ、ケーブル107に作用する張力をより小さくすることができる。
さらに、スライドドア101の開閉始動時よりも大きな衝撃力を、2つの支持点T1、T2を結んだ直線9よりも内方側であって走行経路9Cの少し外側の位置で吸収するようにしているので、スライドドア101の開閉始動時よりも大きな衝撃を受けた場合でも、直線9と走行経路9Cとの間で、その大きな衝撃を吸収することができる。そのため、ケーブルテンション調整構造6の信頼性および安全性をさらに向上させることができる。
一方、アーム部材10は、その一端部である支持軸10d側にテンションばね11が取付けられ、他端部である押圧ローラ10a側がテンションばね11の付勢力によって前記一端部を中心に回動しながらケーブル107を押圧するので、テンションばね11の付勢力の方向をケーブル107の押圧力の方向へと効果的に変えることができる。そのため、駆動ユニット1内にテンションばね11およびアーム部材10を配置するときの設計自由度が高まる。その結果、ケーブルテンション調整構造6をコンパクトに構成することができ、さらには、駆動ユニット1の全体を小型化することができる。
また、テンションばね11のばね力をアーム部材10の角度で打ち消すことで、ばね力が大きいときに、小さな力でケーブル107を押圧することができる。一方、ばね力が小さいときには、大きな力でケーブル107を押圧することができるようになる。
また、アーム部材10は、その長手方向がケーブル107の走行経路9A(9B、9C、9D)に沿うように回動するので、アーム部材10が回動するスペースをコンパクトにすることができる。そのため、ケーブルテンション調整構造6をコンパクトに形成することができ、さらには、駆動ユニット1の全体を小型化することができる。
さらに、テンションばね11の伸縮方向(変位方向)が、2つの支持点T1、T2を結んだ直線9に沿って、ほぼ平行になるように配置されているので、テンションばね11の伸縮方向と直線9とが交差するように配置されている場合と比較して、これらの配置スペースをコンパクトにすることができる。そのため、ケーブルテンション調整構造6をコンパクトに形成することができ、さらには、駆動ユニット1の全体を小型化することができる。
他方、プーリー支持部4を移動可能に構成し、固定プーリー8と駆動ドラム7との距離を変更することで、2つの支持点T1、T2間の距離を変更可能な構造にしているので、ケーブル107を駆動ドラム7に巻き掛ける作業をする際に、支持点T1、T2間の距離をセット時よりも短くして、作業時の余長を確保しつつ、かつ、ケーブル107に張力が作用しないようにすることができる。そのため、本発明のようなケーブルテンション調整構造6を採用したとしても、ケーブル107を組み付ける作業を従来と同様に、かつ容易に行うことができる。
また、2つの支持点T1、T2間の距離を短くしたときに、テンションばね11の付勢力に抗してアーム部材10の押圧ローラ10aを受けて、この押圧ローラ10aからのケーブル107への押圧力を遮断するローラ受け部4aを備えているので、駆動ユニット1の各プーリー7、8にケーブル107を巻き掛ける作業をする際に、押圧ローラ10aからの押圧力がケーブル107に作用しないようにすることができる。そのため、ケーブル107の張力を受けずに容易に作業が行えるようになる。
さらに、プーリー支持部4を本体部2や上側カバー3と別体にし、このプーリー支持部4をスライド可能に構成しているので、本体部2や上側カバー3をテンション調整に必要な大きさ以上に大きくする必要がない。また、2つの支持点T1、T2間の距離を短くする構造であるため、ケーブル107の巻き掛け作業を行う際に、テンション調整を行うスペース(図3および図4に示すスペース)よりも大きなスペースを必要としない。そのため、駆動ユニット1の全体を小型化することができる。
以上、本発明の実施の形態に係るスライドドアのケーブルテンション調整構造について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、テンションばね11をコイルばねとしたが、他のばねで構成しても構わない。例えば、うず巻きばね、板ばねなど、弾性によってケーブル107に押圧力を与えるものであればよい。
1 駆動ユニット
2 本体部
2a レバー仮止め用爪
3 上側カバー
4 プーリー支持部
4a ローラ受け部(押圧力遮断構造)
4b ケーブル引込口
4c 操作部係合溝
5 ねじ
6 ケーブルテンション調整構造
7 駆動ドラムのピッチ円
8 固定プーリーのピッチ円
9 2つの支持点を結んだ直線
9A、9B、9C、9D 変更された走行経路
10 アーム部材(伝達部材)
10a 押圧ローラ
10b 回動軸
10c 延出部
10d 支持軸
11 テンションばね(ばね)
12 ばね受け部
13 レバー
13a 回動軸
13b 操作部
13c 仮止め用穴
14 駆動モータ
20 セット方向
20a 突出方向
30 セット解除方向
20b 引込方向
30 ケーブルテンション調整構造のセット位置
31 ケーブルテンション調整構造の余長吸収位置
32 ケーブルテンション調整構造の衝撃吸収位置
35 テンションばねの変位量
36 テンションばねの付勢力
37 ケーブルの張力
38 アーム部材の支持軸の移動量
50 ケーブル軌跡調整部材
50a 摺動面
50b 側壁面
60 前側反転プーリー
61 本体部
62 内側カバー
63 取付ねじ
64 縦回転型プーリー
65 プーリー回転軸
66 案内面
67 ケーブル引込口
68 外側カバー
69 ケーブル引出口
100 車両
101 スライドドア
101a アーム部
101b ローラアッシ
102 ガイドレール
102a ガイドレールの前側部
102b ガイドレールの内周面
103 パワースライドドアユニット(PSDユニット)
104 前側反転プーリー
105 後側反転プーリー
106 駆動ユニット
107 ケーブル
107A、107B、107C ケーブルの軌跡
108 ケーブルテンション調整構造
109 可動プーリー
110 テンションばね
111 固定部
112 斜め上下方向
113 駆動プーリー
T1、T2 支持点
R1、R2 回動方向
R1A 上方向
R2B 下方向

Claims (8)

  1. スライドドアに取り付けられたケーブルを駆動するための駆動ユニットに組み込まれ、前記スライドドアの開閉動作によって生じる前記ケーブルの張力変動および前記ケーブルの移動軌跡の変化によって生じる余長を吸収するとともに、前記ケーブルに張力として生じる衝撃力を吸収するためのばねを備えたスライドドアのケーブルテンション調整構造であって、
    2つの支持点間を走行する前記ケーブルに前記ばねの付勢力を伝達して押圧し、前記ケーブルの走行経路を変更させる伝達部材を有し、
    前記ばねは、引張ばねとして使用され、前記ケーブルへの衝撃力を吸収するときに前記ばねが伸びるようにセットされていることを特徴とするスライドドアのケーブルテンション調整構造。
  2. 前記ケーブルの張力変動および余長を吸収するときの前記ケーブルの走行経路の移動長さよりも、前記ケーブルへの衝撃力を吸収するときの前記ケーブルの走行経路の移動長さの方が短くなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のスライドドアのケーブルテンション調整構造。
  3. 前記スライドドアの開閉始動時に前記ケーブルに作用する衝撃力を、前記2つの支持点を結んだ直線よりも前記ケーブルの走行経路を移動させた位置で吸収するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスライドドアのケーブルテンション調整構造。
  4. 前記伝達部材は、その一端部に前記ばねが取付けられ、他端部が前記ばねの付勢力によって前記一端部を中心に回動しながら前記ケーブルを押圧するアーム部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のスライドドアのケーブルテンション調整構造。
  5. 前記アーム部材は、その長手方向が前記ケーブルの走行経路に沿うように回動することを特徴とする請求項4に記載のスライドドアのケーブルテンション調整構造。
  6. 前記ばねの伸縮方向が、前記2つの支持点を結んだ直線に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のスライドドアのケーブルテンション調整構造。
  7. 前記2つの支持点間の距離を変更可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のスライドドアのケーブルテンション調整構造。
  8. 前記2つの支持点間の距離を短くしたときに、前記ばねの付勢力に抗して前記伝達部材からの前記ケーブルへの押圧力を遮断する押圧力遮断構造を備えたことを特徴とする請求項7に記載のスライドドアのケーブルテンション調整構造。
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