JP2013095860A - 硬化性樹脂用応力緩和剤、硬化性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

硬化性樹脂用応力緩和剤、硬化性樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Sohei Ueki
創平 上木
Tsuneki Wakita
常希 脇田
Toshihiro Kasai
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Abstract

【課題】耐熱分解性に優れた硬化性樹脂用応力緩和剤を提供する。
【解決手段】ゴム状重合体(a)の存在下で、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト重合体を含有する硬化性樹脂用応力緩和剤であって、グラフト重合体が、一般式(I)で表される単量体単位(i)を0.01〜5質量%(ただし、(a)、(b)の合計は100質量%)含む、硬化性樹脂用応力緩和剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱分解性に優れた硬化性樹脂用応力緩和剤、該応力緩和剤を含有する硬化性樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形した成形体に関する。特に、本発明は、半導体等の電子材料に使用される樹脂組成物、例えば、半導体封止材用樹脂組成物や、接着剤用樹脂組成物に配合するのに有用な硬化性樹脂用応力緩和剤、該応力緩和剤を含有する硬化性樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形した成形体に関する。
電気電子製品、自動車部品、建材等、各種の用途に応じて樹脂成形体が製造されている。それらの成形体は目的に応じて要求される性能を発現させるために、1種又は数種の樹脂や添加剤が添加される。
例えば、トランジスタ、IC等の電気電子製品では、エポキシ樹脂組成物などの硬化性樹脂組成物を用いた樹脂封止が主流となっている。この硬化性樹脂組成物による封止は、量産性に優れ安価に作製することができるものの、半導体素子に比べて樹脂成形体が大きい線膨張係数を有するため、封止後の応力緩和が大きな課題である。また、硬化性樹脂組成物は電気絶縁用の積層板やプリント配線板の絶縁層としても多用されており、近年のプリント配線板実装技術の進歩や使用環境の変化に伴い、熱的・強度的により高い特性が求められる。こうした最終用途に要求される高い特性を付与するために、硬化性樹脂用応力緩和剤が添加される。従って、硬化性樹脂用応力緩和剤には、優れた低弾性率化特性の他、分散性、イオン純度、耐熱安定性が求められている。
特許文献1,2では、エポキシ樹脂組成物の低応力化、低弾性率化のために、樹脂用改質剤としてブタジエン系ゴム粒子等のコアシェル重合体を添加し分散させて靭性向上を図る方法が採られている。
しかしながら、特許文献1や2の方法では、このようなゴム成分の多くは、エポキシ樹脂をある程度低応力化、低弾性率化するものの、低せん断において加工される成形方法においてはその分散性が十分ではなく、例えば封止用エポキシ樹脂に添加した際に分散不良を起こし、熱応力などで樹脂自体にクラックが発生してしまっていた。またハンダの脱鉛や使用環境の温度上昇に伴い、樹脂用改質剤にもさらなる耐熱分解性の向上が求められていたが、これが十分ではなかった。
一般的に耐熱分解性を向上させる方法として、例えば特許文献3のような方法が知られている。特許文献3では、ラジカル捕捉能を有する単量体及び特定のアルキルメタクリレートを重合して得られる共重合体が、耐熱性に優れ、ポリオレフィン樹脂の成形加工時の溶融張力を向上させるとの記載がある。
しかし、特許文献3では、ポリオレフィン樹脂組成物の成形加工時の熱分解抑制効果が見出されているものの、硬化性樹脂組成物についての熱分解抑制効果を見出すには至っていない。また、エマルションの体積平均一次粒子径が小さいため、低弾性率化のためにガラス転移温度が低い重合成分を増やした場合に、樹脂中での一次粒子の分散性が低くなってしまう点や、粒子が有する総表面積が大きいために、硬化性樹脂組成物の粘度上昇が起こってしまう点で、好ましくない。
特開2000−7890号公報 特開昭62−22825号公報 特開2009−292886号公報
本発明は、耐熱分解性に優れた硬化性樹脂用応力緩和剤を提供することを目的としてなされたものである。
本発明は、ゴム状重合体(a)の存在下で、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト重合体を含有する硬化性樹脂用応力緩和剤であって、グラフト重合体が、下記一般式(I)で表される単量体単位(i)を0.01〜5質量%(ただし、(a)、(b)の合計は100質量%)含む、硬化性樹脂用応力緩和剤に関する。
Figure 2013095860
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、Xは酸素原子又はイミノ基、Y
は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基、Zは水
素原子又はシアノ基を示す。)
本発明の硬化性樹脂用応力緩和剤は耐熱分解性に優れる。本発明の成形体は耐熱安定性に優れ、高温下で長期保管した際でも機械特性の変化を抑制することができる。本発明の硬化性樹脂組成物及び成形体は、半導体封止用途や接着剤用途に有用である。
本発明においてグラフト重合体は、ゴム状重合体(a)の存在下で、ビニル系単量体(b)を重合して得られる。
ゴム状重合体(a)は、本発明に係る成形体の弾性率を低下させ、靭性を付与し得るゴムとしての性質を有するものである。
ゴム状重合体(a)は、架橋構造を有していることが好ましく、このような架橋ゴム重合体とした場合には、このゴム状重合体は、本発明のビニル系単量体(b)成分には溶解せず、また、その他良溶剤とされる溶媒に対しても膨潤することはあっても溶解はしない。
ゴム状重合体(a)のガラス転移温度(Tg)は10℃未満であることが好ましい。
ゴム状重合体(a)のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定、示差走査熱量測定、示差熱熱重量同時測定、熱機械特性分析等により測定することができる。
ゴム状重合体(a)は、公知のゴム状重合体を用いることができ、例えば、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、シリコーン系/アクリル系複合ゴムを用いることができる。
これらのゴム状重合体(a)の中でも、得られる成形体の耐候性の観点から、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、シリコーン系/アクリル系複合ゴムを用いることが好ましい。
ジエン系ゴムを得るための単量体としては、1,3−ブタジエン及びこれと共重合可能な1種以上のビニル系単量体が挙げられる。
1,3−ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;メタクリル酸変性シリコーン;フッ素含有ビニル系単量体が挙げられる。
また、1,3−ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体として、架橋性単量体を更に併用することもでき、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル系単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル;アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のジ又はトリアリル化合物;多官能(メタ)アクリル基変性シリコーンが挙げられる。
これらの1,3−ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを、(メタ)アクリロイルはアクリロイル又はメタクリロイルを、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを示す。
アクリル系ゴムを得るための単量体としては、1種以上のアルキル(メタ)アクリレート及びこれと共重合可能な1種以上のビニル系単量体が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートが挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;メタクリル酸変性シリコーン;フッ素含有ビニル系単量体が挙げられる。
また、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニル系単量体として、架橋性単量体を更に併用することもでき、例えば、前述の1,3−ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体として例示した架橋性単量体が挙げられる。
これらのアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系ゴムを得るための単量体としては、1種以上のオルガノシロキサンが挙げられるが、グラフト活性点を付与する観点から、ビニル基を含むオルガノシロキサンが好ましい。
オルガノシロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノシロキサン;β−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−(メタ)クリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニル基含有オルガノシロキサン;γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シロキサンが挙げられる。
また、オルガノシロキサンとして、架橋性単量体を更に併用することもでき、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等の3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤が挙げられる。
これらのオルガノシロキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系/アクリル系複合ゴムは、公知の方法で得ることができ、例えば、シリコーン系ゴムラテックス中でアルキル(メタ)アクリレートを重合する方法で得ることができる。
シリコーン系ゴムとしては、前述と同様の方法で得ることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、前述のアクリル系ゴムを得るための単量体として例示したアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ゴム状重合体(a)の重合方法としては、粒子状のゴム状重合体(a)を得ることができる重合方法であれば特に制限されないが、真球状粒子を得やすい重合方法であることが好ましい。このような方法としては、例えば、乳化重合、ソープフリー重合、分散重合、膨潤重合、ミニラテックス重合、微細懸濁重合が挙げられる。ゴム状重合体(a)が真球状であると、グラフト重合体を真球状で得ることができ、グラフト重合体の粉体を樹脂に配合する際に樹脂組成物の粘度が上昇せず流動性に優れる。
ゴム状重合体(a)を得る際の重合に用いる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、ゴム状重合体(a)の種類により適宜設定することができる。得られるグラフト重合体中の金属イオンの低減の観点から、金属イオンが含まれていない重合開始剤が好ましい。
ゴム状重合体(a)を得る際の重合に用いる乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができ、ゴム状重合体(a)の種類により適宜設定することができる。得られるグラフト重合体中の金属イオンの低減の観点から、金属イオンが含まれていない乳化剤が好ましい。
ゴム状重合体(a)を得る際の重合においては、必要に応じて、重合触媒、連鎖移動剤、各種添加剤を用いてもよい。
ゴム状重合体(a)は、単層であってもよく、多層構造であってもよい。また、本発明のゴム状重合体(a)は、構成成分、体積平均粒子径、ガラス転移温度(Tg)等の異なる2種以上のゴム状重合体(a)を併用してもよい。
ビニル系単量体(b)を重合して成る層は、本発明に係る硬化性樹脂組成物又はその成形体中において、前記グラフト重合体が一次粒子の状態で分散することを可能にする役割を担っている。
このようなビニル系単量体(b)を重合して成る層は、前記ゴム状重合体(a)存在下でビニル系単量体(b)をグラフト重合させることで形成され、ゴム状重合体(a)の一部又は全体を覆っている。
本発明においてビニル系単量体(b)としては、ラジカル重合可能なビニル基を有する単量体が挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のアクリル酸類;(メタ)アクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル等のビニル系単量体;モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノプロピルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジプロピルイタコネート、ジブチルイタコネート等のイタコン酸エステル;モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノプロピルフマレート、モノブチルフマレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジプロピルフマレート、ジブチルフマレート等のフマル酸エステル;及びモノメチルマレート、モノエチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジプロピルマレート、ジブチルマレート等のマレイン酸エステルが挙げられる。これらのビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塩化ビニルや塩化ビニリデンのようなハロゲン原子を含有する単量体は、半導体回路や金属回路の腐食につながる可能性があることから、本発明においては、ハロゲン原子を含有しない単量体を用いることが好ましい。ラジカル重合の容易さ、乳化重合や懸濁重合等のし易さから考えて、(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
ビニル系単量体(b)は、ビニル基を有する単量体以外にも、架橋性単量体や、共重合可能なその他の単量体を含んでもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の粘度が必要以上に上昇することを防ぐ観点から、ビニル系単量体(b)は架橋性単量体を含んでいることが好ましい。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル系単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル;アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のジ又はトリアリル化合物;多官能(メタ)アクリル基変性シリコーンが挙げられる。これらの架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;ヒドロキシ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリル酸変性シリコーン;ハロゲン含有ビニル系単量体が挙げられる。これらのその他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのその他の単量体の中でも、得られる樹脂組成物の貯蔵安定性に優れることから、芳香族ビニル系単量体、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、シアン化ビニル系単量体が好ましく、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。
本発明においてゴム状重合体(a)及び/又はビニル系単量体(b)は、下記一般式(I)で表される単量体単位(i)を0.01〜5質量部含む。
Figure 2013095860
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、Xは酸素原子又はイミノ基、Y
は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基、Zは水
素原子又はシアノ基を示す。)
一般式(I)で表される単量体は、ラジカル捕捉能を有している。
一般式(I)で表される単量体としては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。
これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においてグラフト重合体は、耐熱分解性を向上させる目的で、一般式(I)で表される単量体を共重合することが必要である。
単量体単位(i)の量が、ゴム状重合体(a)とビニル系単量体(b)の合計(100質量%)のうち0.01質量%以上であれば、硬化性樹脂用応力緩和剤の耐熱分解温度の向上効果を得ることができ、5質量%以下であれば、重合時のカレット量の増加を抑え、重合安定性を低下させることなく耐熱分解温度を向上させることができる。耐熱分解温度向上効果の点から、単量体単位(i)の量は0.05質量%以上が好ましく、重合安定性の点から、1質量%以下が好ましい。
なお本発明において、単量体単位(i)の量は、一般式(I)で表される単量体の仕込みの量と同じとする。
単量体単位(i)を導入する場所としては、特に制限は無く、ゴム状重合体(a)、ビニル系単量体(b)のいずれに導入して共重合しても構わない。ただし、体積平均一次粒子径が大きいと重合が不安定になりやすいため、重合安定性の点からはゴム状重合体(a)に導入した方が好ましい。
本発明の硬化性樹脂用応力緩和剤に用いるグラフト重合体においては、ゴム状重合体(a)とビニル系単量体(b)との組成比は、ゴム状重合体(a)とビニル系単量体(b)の合計100質量%に対して、ビニル系単量体(b)の全量が5〜50質量%であることが好ましい。ビニル系単量体(b)の全量が50質量%を以下であれば低弾性率化特性や耐衝撃性の点で好ましく、5質量%以上であれば分散性の点で好ましい。
グラフト重合体を得るための、ビニル系単量体(b)の重合方法としては、粒子状のグラフト重合体を得ることができる重合方法であれば特に限定はないが、樹脂組成物の粘度があまり上昇せず流動性に優れる点で、真球状粒子を得やすい重合方法が好ましい。このような方法としては、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重合、膨潤重合、ミニラテックス重合、微細懸濁重合が挙げられるが、好ましくはソープフリー乳化重合が用いられる。
ビニル系単量体(b)の重合に用いる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]等のアゾ系化合物;過硫酸アンモニウム塩等の過硫酸系化合物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;前記過硫酸系化合物又は前記有機過酸化物を一成分としたレドックス系開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの重合開始剤の中でも、得られるグラフト重合体中の金属イオンが低減されることから、金属イオンが含まれていない重合開始剤が好ましく、過硫酸アンモニウム塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]がより好ましい。
本発明においては、ビニル系単量体(b)の重合の際に、乳化剤、分散安定剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を使用することができる。
乳化剤としては、例えば、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、ベタイン系乳化剤、高分子乳化剤及び反応性乳化剤が挙げられる。これらの中で、アルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)をカウンターイオンとして含有しないものが電気特性の点で好ましい。また、スルホン酸系、硫酸系、リン酸系等の乳化剤をできるだけ含有しないことが金属腐食抑制等の点で好ましいことから、ノニオン系乳化剤の使用が好ましい。尚、重合安定性との両立の観点から目的に応じて2種以上の乳化剤を併用することができる。
分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体等のノニオン系高分子化合物;及びポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸又はその塩との共重合体等のアニオン系又はカチオン系高分子化合物が挙げられる。これらの中で、電気特性の点でノニオン系高分子化合物が好ましい。また、重合安定性との両立の観点から目的に応じて2種以上の分散安定剤を併用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]又はその塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]又はその塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]又はその塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}又はその塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)又はその塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)又はその塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]又はその塩等の水溶性アゾ化合物;及び過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中で、アルカリ金属イオン、塩化物イオン、硫酸イオン等を含有しない非イオン性の重合開始剤が好ましく、イオン性重合開始剤を用いる場合にはその使用量をできるだけ少量にとどめることが好ましい。また、乳化重合やソープフリー重合等の水系媒体中での重合安定性を考慮すると、水に対する溶解性を有する非イオン性の重合開始剤がより好ましい。
これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、乳化重合の場合、本発明の目的を逸脱しない範囲で重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤と過酸化物とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることができる。
本発明においては、グラフト重合体の分子量を調節する目的で連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等のメルカプタン化合物;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;及びα−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
本発明の硬化性樹脂用改質剤に用いるグラフト重合体は、重合により得られたラテックスを粉体化して使用するが、硬化性樹脂中での分散性を向上させるために、最終的に得られたラテックス中での体積平均一次粒子径が200nm以上であるグラフト重合体を使用することが好ましい。通常噴霧乾燥等によって得られる粉体は一次粒子が多数集合した凝集粒子であるが、体積平均一次粒子径が200nm以上の場合にはこの凝集粒子が一次粒子に再分配し易く、液状エポキシ樹脂等の硬化性樹脂に配合した際の粉体の分散性が良好となる。
一次粒子への再分散性が良好であれば、よりファインピッチ化や薄膜化が必要な電子材料への対応が可能となり好ましい。体積平均一次粒子径が大きくなるにつれて粒子が有する総表面積が少なくなるが、得られる該樹脂組成物の粘度上昇の抑制、該樹脂組成物の経時的な粘度上昇の抑制(貯蔵安定性)等の利点がある。
尚、本明細書において、グラフト重合体の体積平均一次粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いてレーザー回折散乱法により測定したものとする。
また同様に粉体分散性制御の点から、ラテックス粒子の体積平均一次粒子径分布はできるだけ狭いことが好ましい。
また、150nm以下の粒子は存在しても特に不都合は無いが、出来るだけ少ない方が好ましい。
グラフト重合体ラテックスには、必要に応じてあらかじめ適当な酸化防止剤や添加剤を加えることができる。耐熱分解温度を向上させるために添加する酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の使用が効果的であり好ましい。酸化防止剤の使用量は特に制限は無いが、樹脂用改質剤の耐熱分解温度の向上に効果が得られるため、0.05質量%以上であることが好ましい。また酸化防止剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
粉体は、乳化重合等の媒体を用いた重合により得られたものを、公知の粉体回収方法を用いて粉体として回収することが出来る。例えば、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、凝固法が挙げられる。これらの粉体化方法の中でも、樹脂中でのグラフト重合体の分散性に優れることから、噴霧乾燥法が好ましい。
噴霧乾燥法は、ラテックスを微小液滴状に噴霧し、これに熱風を当てて乾燥するものである。微小液滴を発生させる方法としては、例えば、回転ディスク式、加圧ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式が挙げられる。乾燥機容量は、特に制限はなく、実験室で用いるような小規模なスケールから、工業的に用いるような大規模なスケールまで、いずれも用いることができる。乾燥機における乾燥用加熱ガスの供給部である入口部、乾燥用加熱ガス及び乾燥粉末の排出口である出口部の位置も、特に制限はなく、通常用いる噴霧乾燥装置と同様でよい。装置内に導入する熱風の温度(入口温度)、即ちグラフト重合体に接触し得る熱風の最高温度は、得られる硬化性樹脂組成物中のグラフト重合体の粉体の分散性に優れることから、100〜200℃であることが好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。
噴霧乾燥の際のグラフト重合体のラテックスは、1種でもよく、複数のラテックスの混合物でもよい。また、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性を向上させるため、シリカ等の添加剤を添加して噴霧乾燥を行ってもよい。
本発明においては、粉体は硬化性樹脂用応力緩和剤として硬化性樹脂に添加して使用することができる。
応力緩和剤とは、硬化物中の内部応力を緩和させることができるもののことをいう。応力緩和剤を含む硬化性樹脂組成物とすることで、例えば封止用エポキシ樹脂に用いた場合には、チップの反りやハンダのクラック性を軽減することが出来る。
硬化性樹脂としては熱硬化性樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂は紫外線や電子線等の照射により硬化する樹脂が挙げられ、例えば、活性エネルギー線硬化性アクリル樹脂、活性エネルギー線硬化性エポキシ樹脂及び活性エネルギー線硬化性オキセタン樹脂が挙げられる。
また、本発明においては、硬化性樹脂として、目的に応じて熱硬化と活性エネルギー線硬化のハイブリッド硬化(デュアルキュア)タイプのものを使用することができる。
これらの中で硬化性樹脂としては、絶縁性が高く電気特性に優れ電子材料用途として好適である点で、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びポリイミド樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂のプレポリマーや、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂のような前記エポキシ樹脂と他の重合体との共重合体及びエポキシ樹脂の一部がエポキシ基を有する反応性希釈剤で置換されたものも挙げられる。
上記の反応性希釈剤としては、例えば、レゾルシングリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルシロキサン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン等のモノグリシジル化合物及び2−(3,4)−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のモノ脂環式エポキシ化合物が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、該樹脂組成物を液状封止材として使用する場合は、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノールD型エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明において、硬化性樹脂組成物は前述の硬化性樹脂用応力緩和剤及び硬化性樹脂を含有するものである。
樹脂組成物中の硬化性樹脂用応力緩和剤の配合量としては1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。配合量が1質量%以上で充分なゲル状態を実現することができ、用途・加工方法による染み出しやパターン乱れ等が生じる可能性を抑制することができる傾向にある。また、硬化性樹脂用応力緩和剤の配合量としては50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。配合率が50質量%以下で該樹脂組成物の粘度が上昇するのを抑制し、用途によって加工性・作業性が低下する可能性を抑制することができる傾向にある。
樹脂組成物は、ディスペンサー、スクリーン印刷、ディッピング、注型、ナイフコーターやドクターコーター等によるコーティング等の各種用途に使用することができる。
該樹脂組成物には、必要に応じて各種のフィラー及び添加剤を配合することができる。
フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、ニッケル粉、銅粉等の導電性フィラー;及び窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等の絶縁フィラーが挙げられる。
また、添加剤としては、例えば、チキソ付与剤、流動性向上剤、難燃剤及び応力緩和剤が挙げられる。
本発明においては、該樹脂組成物中の硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、例えば、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物等の硬化剤を使用して硬化させることができる。硬化剤を使用することによりエポキシ樹脂の成形性及び成形体特性を調整することができ、特に、硬化剤として酸無水物を使用する場合、該成形体の耐熱性や耐薬品性を向上させることができ、好ましい。
前記の酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物及びポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物が挙げられる。これらの中で、耐候性、耐光性、耐熱性等が求められる用途ではメチルヘキサヒドロ無水フタル酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
アミン化合物としては、例えば、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミンが挙げられる。耐候性、耐光性、耐熱性等が求められる用途では2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン及びイソホロンジアミンが好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
フェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD及びこれらビスフェノール類のジアリル化物の誘導体が挙げられる。これらの中で、該成形体の機械強度及び硬化性の点でビスフェノールAが好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
前記の硬化剤の使用量としては、該成形体の耐熱性及び硬化性の点からエポキシ樹脂100質量部に対して20〜120質量部が好ましく、60〜110質量部がより好ましい。
尚、硬化剤の使用量としては、当量比としては、エポキシ基1当量あたり、酸無水物の場合には、酸無水物基が好ましくは0.7〜1.3当量、より好ましくは0.8〜1.1当量程度であり、アミン系化合物の場合には、活性水素が好ましくは0.3〜1.4当量、より好ましくは0.4〜1.2当量程度、フェノール化合物の場合には、活性水素が好ましくは0.3〜0.7当量、より好ましくは0.4〜0.6当量程度である。
本発明においては、エポキシ樹脂を硬化させる際に、必要に応じて硬化促進剤、潜在性硬化剤等を使用することができる。
硬化促進剤としてはエポキシ樹脂の熱硬化触媒用として用いられている公知のものを使用することができ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物とエポキシ樹脂のアダクト類;トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物類;テトラフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のボレート類;及びジアザビシクロウンデセン(DBU)が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
硬化促進剤が使用される場合、硬化促進剤は、通常、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜8質量部、好ましくは0.5〜6質量部が添加される。
潜在性硬化剤は、常温では固体であり、エポキシ樹脂の加熱硬化時に液化して硬化剤として作用するものである。
潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、アミキュアVDH及びアミキュアUDH(いずれも商品名、味の素(株)製)、クエン酸トリヒドラジド等の有機酸ヒドラジド及び各種のアミンアダクト系化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
該樹脂組成物を調製する際には、公知の混練装置を用いることができる。
該樹脂組成物を得るための混練装置としては、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサ、ディゾルバー、三本ロール、ボールミル及びビーズミルが挙げられる。また、これらは2種以上を併用することができる。
該成形体は該樹脂組成物を成形して得られるものである。
硬化性樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合、硬化条件としては、例えば、80〜180℃で10分〜5時間程度である。
また、硬化性樹脂として活性エネルギー線硬化性樹脂を使用する場合、使用する活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、ガンマ線及び赤外線が挙げられる。また、活性エネルギー線の硬化条件としては、紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができ、紫外線照射量としては50〜1,000mJ/cm程度である。電子線で硬化させる場合、公知の電子線照射装置を使用することができ、電子線照射量としては10〜100kGy程度である。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお各記載中「部」は質量部を、「%」は質量%を表す。
また、以下の記載の方法により評価を行った。
(1)体積平均一次粒子径
以下の方法により、グラフト重合体(A)の体積平均一次粒子径を測定した。
グラフト重合体(A)ラテックスを蒸留水で希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布計(島津製 SALD−7100)を用い、体積平均におけるメジアン径を求めた。ラテックスの試料濃度は、装置に付属の散乱光強度モニターにおいて適正範囲となるよう適宜調整した。
標準粒子径物質としては、粒子径既知の単分散ポリスチレンを20〜800nmの範囲で合計12点用いた。
(2)重合安定性
グラフト重合体(A)の重合時カレットについて、100メッシュのナイロン紗で濾過捕集し、50℃の乾燥炉で24時間乾燥させてその重量を測定し、以下の基準で判定した。
◎:ドライ状態のカレット量が1%未満である。
○:ドライ状態のカレット量が1%以上5%未満である。
ドライ状態のカレット量が1%未満ならば、凝集物の発生がほとんど無く、重合安定性が良好であると判断できる。ドライ状態のカレット量が1%以上5%未満ならば、攪拌翼への凝集物の付着やナイロン紗への付着は見られるものの、生産安定性には大きな問題ないと判断できる。
(3)粉体の耐熱分解性評価(5%重量減少温度)
グラフト重合体(A)粉体を、示差熱熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)社製 TG/DTA6200)を用いて、空気を200ml/分でフローしながら、昇温速度10℃/minで100℃から550℃まで昇温させたときの熱重量測定(以下TG測定)を行い、5%重量減少温度を求めた。さらに、単量体単位(i)を含まない以外は同組成のグラフト重合体(A)(後述する、グラフト重合体(A’−1))粉体と比較して、以下の基準で判定した。評価は粉体の5%重量減少温度で行い、5%重量減少温度が高いほど、粉体の耐熱安定性が良好であることを示し、硬化性樹脂用応力緩和剤として硬化性樹脂に添加して使用した際にも、耐熱安定性に優れた硬化性樹脂を得られると判断出来る。
◎:5%重量減少温度が上記グラフト重合体(A’−1)粉体に対して30℃以上向上
○:5%重量減少温度が上記グラフト重合体(A’−1)粉体に対して10℃以上30℃未満向上
(4)分散性
エポキシ樹脂組成物中のグラフト重合体(A)粉体の分散状態を、粒ゲージを用いてJIS K−5600に準拠して測定し、下記の基準で分散性を評価した。
◎:5μm以下
×:5μmを超える
(5)曲げ弾性率
得られた成形体を、3mm×10mm×60mmに切断して試験片とし、引張圧縮試験機(機種名「ストログラフ T」、(株)東洋精機製作所製)を用い、JIS K 7171に準拠して測定を行った。測定される弾性率を曲げ弾性率とした。測定温度は23℃で実施した。
(6)熱処理後曲げ弾性率
得られた成形体試験片を200℃のオーブンで保管し、500時間の長期耐熱性試験を実施した。500時間熱処理後の曲げ弾性率を(5)と同様の方法で測定し、熱処理前後の弾性率の変化を長期熱処理後曲げ弾性率変化指数として下式2により算出し、以下の指標を用いることで長期耐熱性評価とした。
[長期熱処理後曲げ弾性率変化指数]=([200℃×500時間熱処理後の曲げ弾性率]−[熱処理前の曲げ弾性率])/[熱処理前の曲げ弾性率]) (式2)
○:0.15未満
×:0.15以上
長期熱処理後曲げ弾性率変化指数が小さい方が、長期熱処理前後で機械特性の変化が小さいといえ、成形体が長期耐熱性に優れていると判断出来る。上記指標は、グラフト重合体を添加していない成形体の弾性率が2637MPa、200℃で500時間熱処理後の曲げ弾性率が3067MPaであったため(長期熱処理後曲げ弾性率変化指数=0.16)、これを基準とし、基準の成形体の長期熱処理後曲げ弾性率変化指数と比べて同等以下の変化量であれば、本願のグラフト重合体の低弾性率化効果に変化が無い、長期耐熱性に優れた成形体であると判断した。
尚、製造例中に記載の試薬原料については下記の通りである。
ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸アンモニウム:商品名「リカサーフM−300」(新日本理化(株)製)をそのまま使用した。
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル:商品名「エマルゲンA−90」(花王(株)製)をそのまま使用した。
過硫酸アンモニウム:和光純薬工業(株)製のものをそのまま使用した。
2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]:商品名「VA−057」(和光純薬(株)製)をそのまま使用した。
n−ブチルアクリレート:三菱化学(株)製のものをそのまま使用した。
2−エチルヘキシルアクリレート:三菱化学(株)製のものをそのまま使用した。
アリルメタクリレート:商品名「アクリエステルA」(三菱レイヨン(株)製)をそのまま使用した。
メチルメタクリレート:商品名「アクリエステルM」(三菱レイヨン(株)製)をそのまま使用した。
[製造例1]グラフト重合体(A−1)の製造
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプ及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート4.90部、アリルメタクリレート0.12部、イオン交換水92.41部の混合液を調製し、窒素雰囲気中、120rpmで撹拌しながら90℃に昇温した。次いで、予め調製した過硫酸アンモニウム0.02部、純水8.33部の溶液を一括投入し、60分間保持しゴム状重合体(a)の1段目の重合を行った。
その後、80℃に温度を下げ、2−エチルヘキシルアクリレート83.24部、アリルメタクリレート1.46部、2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]0.13部、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸アンモニウム0.2部、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル0.78部、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート0.24部、イオン交換水39.17部をディスパーミキサー用いて混合し、得られた乳化混合物を270分かけて滴下し、60分間保持し、ゴム状重合体(a)の2段目の重合を行い、ゴム状重合体(a)のラテックスを得た。
次に、メチルメタクリレート9.60部、n−ブチルアクリレート0.20部、アリルメタクリレート0.24部、2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]0.05部、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸アンモニウム0.13部、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル0.06部、イオン交換水7.50部をディスパーミキサーを用いて混合し、得られた乳化混合物をゴム状重合体(a)のラテックスに60分かけて滴下し、60分保持し、グラフト重合体(A−1)のラテックスを得た。
得られたグラフト重合体(A−1)のラテックスを室温に冷却した後、スプレードライヤー(機種名「L−8」、大川原化工機(株)製)を用い、噴霧乾燥処理(噴霧方式:回転ディスク式、ディスク回転数:25000rpm、入口温度:150℃、出口温度:65℃)を行い粉体化し、グラフト重合体(A−1)の粉体を得た。
グラフト重合体(A−1)の組成、ラテックス体積平均粒子径、重合安定性、粉体の5%重量減少温度を表1に示した。
Figure 2013095860
表中の略号は以下の化合物を示す。
MMA :メチルメタクリレート
n−BA :n−ブチルアクリレート
AMA :アリルメタクリレート
EHA :2−エチルヘキシルアクリレート
PPMA :1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート
酸化防止剤1 : IRGANOX 1076(チバ・ジャパン(株)製)とIRGASTAB MBS11(チバ・ジャパン(株)製)の重量比1:1混合物
[製造例2,3,5]グラフト重合体(A−2,3,5)の製造
仕込み組成を表1に記載の割合に変更した以外は、製造例1と同様にして、グラフト重合体(A−2,3,5)を得た。
グラフト重合体(A−2,3,5)の組成、ラテックス体積平均粒子径、重合安定性、粉体の5%重量減少温度を表1に示した。
[製造例4]グラフト重合体(A−4)の製造
仕込み組成を表1に記載の割合に変更した以外は、製造例1と同様の手順でグラフト重合体のラテックスを得た後、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(IRGANOX1076(チバ・ジャパン(株)製)とIRGASTAB MBS11(チバ・ジャパン(株)製)の重量比1:1混合物)の水分散液を0.20部混合し、グラフト重合体(A−4)のラテックスとした。その後、製造例1と同様にして噴霧乾燥処理し、グラフト重合体(A−4)の粉体を得た。
グラフト重合体(A−4)の組成、ラテックス体積平均粒子径、重合安定性、粉体の5%重量減少温度を表1に示した。
[製造例6]グラフト重合体(A’−1)の製造
仕込み組成を表1に記載の割合に変更した以外は、製造例1と同様にして、グラフト重合体(A’−1)を得た。
グラフト重合体(A’−1)の組成、ラテックス体積平均粒子径、重合安定性、粉体の5%重量減少温度を表1に示した。
[実施例1〜5]、[比較例1]
エポキシ樹脂(商品名「JER828」、三菱化学(株)製)及び製造例1〜5で得たグラフト重合体(A−1)〜(A’−1)を表1に記載した量を配合し、自転・公転真空ミキサー(機種名「泡取り練太郎 ARV−200」、シンキー(株)製)で自転1000rpm、公転2000rpm、内圧5Torrの条件で、2分間混練・脱泡を行った。この混合物をさらに3本ロールミル(機種名「M−80E」、EXAKT社製)で200rpmで混練して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物の分散性を、表1に示した。
前記エポキシ樹脂組成物に硬化剤として酸無水物系硬化剤(商品名「リカシッドMH−700」、新日本理化(株)製)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製)を表1に記載した量を加え、自転・公転真空ミキサー(シンキー(株)製「泡取り練太郎」ARV−200)で自転1000rpm、公転2000rpm、内圧5Torrの条件で、2分間混練・脱泡を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。次いで、5mm×300mm×300mmの2枚の強化ガラス板の片側にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り、厚み3mmのテトラフルオロエチレン(テフロン)製のスペーサーを挟み、得られたエポキシ樹脂組成物を流し込んで、クランプで固定した後、80℃で2時間予備硬化を行った後、120℃で6時間硬化を行ってシート状成形体を得た。得られた成形体の曲げ弾性率を、表1に示す。更に、得られた成形体を200℃で500時間熱処理を行い、熱処理後の曲げ弾性率と長期熱処理後曲げ弾性率変化指数を、表1に示した。
表1から明らかなように、製造例1〜5のグラフト重合体(A−1〜5)は、単量体単位(i)を含有しない製造例6のグラフト重合体(A’−1)に比較して、5%質量減少温度の飛躍的な向上が認められた。5%重量減少温度の向上は、硬化性樹脂用応力緩和剤の耐熱安定性が良好であることを示し、硬化性樹脂に添加して使用した際にも、耐熱安定性に優れた硬化性樹脂を得ることが出来るといえる。
また、得られた成形体は、長期熱処理後の曲げ弾性率の変化が少ないことが認められた。よって、本発明の成形体を用いれば、耐熱安定性に優れ、長期熱処理後でも低弾性率効果の低下を抑制することができる。つまり高温下で長期保管した際でも機械特性の変化が小さい成形体を得ることが出来る。
一方で、比較例1の成形体は、単量体単位(i)を含有しないグラフト重合体(A’−1)を含有しているため、長期耐熱安定性に劣り、長期熱処理後の低弾性率効果の低下が大きかった。
本発明の硬化性樹脂用応力緩和剤は耐熱分解性に優れており、該応力緩和剤を含有する硬化性樹脂組成物、及び該樹脂組成物を成形した成形体は、電子材料用途をはじめとする各種用途に用いることができ、硬化性樹脂組成物は接着剤用途として、成形体は半導体封止材として、特に好適である。

Claims (3)

  1. ゴム状重合体(a)の存在下で、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト重合体を含有する硬化性樹脂用応力緩和剤であって、
    グラフト重合体が、下記一般式(I)で表される単量体単位(i)を0.01〜5質量%(ただし、(a)、(b)の合計は100質量%)含む、硬化性樹脂用応力緩和剤。
    Figure 2013095860
    (式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、Xは酸素原子又はイミノ基、Y
    は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基、Zは水
    素原子又はシアノ基を示す。)
  2. 請求項1に記載の硬化性樹脂用応力緩和剤及び硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項2に記載の硬化性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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