JP6503773B2 - グラフト共重合体、樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
特に、本発明は、半導体等の電子材料に使用される硬化性樹脂組成物、例えば、半導体封止材用樹脂組成物や、接着剤用樹脂組成物等に配合するのに有用なグラフト共重合体、該グラフト共重合体を含有する硬化性樹脂組成物及び成形体に関する。
また、本発明は、電気・電子機器筐体、家電製品等に使用される熱可塑性樹脂組成物に配合するのに有用なグラフト共重合体、該グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物及び成形体に関する。
[1] ポリオルガノシロキサン(A1)及びポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を含むゴム(A)に、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体であって、
ゴム(A)中のポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)が、アルキル基の炭素数が5〜13である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含むグラフト共重合体。
[2] 前記ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)が、前記アルキル基の炭素数が5〜13である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位として、アクリル酸2−エチルヘキシル単位を含む[1]に記載のグラフト共重合体。
[3] 前記ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)中の前記アルキル基の炭素数が5〜13である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の含有率が50〜99.99質量%である[1]又は[2]に記載のグラフト共重合体。
[4] ラテックス中の体積平均粒子径が10〜3000nmである[1]〜[3]のいずれか1に記載のグラフト共重合体。
[5] 前記グラフト用ビニル単量体(b)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体の少なくとも1種を含む[1]〜[4]のいずれか1に記載のグラフト共重合体。
[6] [1]〜[5]のいずれか1に記載のグラフト共重合体と樹脂とを含有する樹脂組成物。
[7] 前記樹脂が硬化性樹脂である[6]に記載の樹脂組成物。
[8] 前記グラフト共重合体のラテックス中の体積平均粒子径が10〜450nmである[7]に記載の樹脂組成物。
[9] 前記樹脂が熱可塑性樹脂である[6]に記載の樹脂組成物。
[10] 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂を含有する[9]に記載の樹脂組成物。
[11] 前記グラフト共重合体のラテックス中の体積平均粒子径が200〜3000nmである[9]又は[10]に記載の樹脂組成物。
[12] [6]〜[11]のいずれか1に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
[13] [6]〜[8]のいずれか1に記載の樹脂組成物を用いた半導体封止材料。
[14] [6]〜[8]のいずれか1に記載の樹脂組成物を用いた接着剤。
[15] [6]〜[8]のいずれか1に記載の樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板ならびにプリント配線板。
本発明のグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合すれば、得られる成形体の応力緩和能を向上させることで耐衝撃性を向上することができる。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の少なくとも一方を意味する。本発明において、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を、単に「グラフト共重合体」という場合がある。
本発明のグラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサン(A1)及びポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を含むゴム(A)に、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体であって、ゴム(A)のポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)が、アルキル基の炭素数が5〜13である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む。
ポリオルガノシロキサン(A1)は、オルガノシロキサン単位を構成単位として含有する重合体であり、環状オルガノシロキサンがグラフト交叉剤を介して連なった構造が好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A1)は、オルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン用グラフト交叉剤(以下、「シロキサン交叉剤」という。)、必要に応じてポリオルガノシロキサン用架橋剤(以下、「シロキサン架橋剤」という。)及び末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等を含むオルガノシロキサン混合物を乳化重合して得られる。
シロキサン交叉剤を用いることによって、前記ビニル単量体と重合可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。ポリオルガノシロキサンがビニル単量体と重合可能な官能基を有することにより、ポリオルガノシロキサンと、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)やグラフト用ビニル単量体(b)を化学的に結合させることができる。
RSiR1 n(OR2)(3−n) 式(I)
式(I)中、R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。R2は、アルコキシ基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を挙げることができる。nは、0、1又は2を示す。Rは、式(I−1)〜(I−4)で表されるいずれかの基を示す。
CH2=C(R4)−C6H4− 式(I−2)
CH2=CH− 式(I−3)
HS−(CH2)p− 式(I−4)
これらの式中、R3及びR4は、それぞれ、水素又はメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。
これらの中では、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラエトキシシランがさらに好ましい。
にアルキル基等を有し、ポリオルガノシロキサンの重合を停止させるシロキサンオリゴマーをいう。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)、
キャリア液:専用キャリア液(商品名;2XGR500)、
キャリア液の液性:ほぼ中性、
キャリア液の流速:1.4ml/分、
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)、
測定温度:35℃、
試料使用量:0.1ml。
また、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲内の12種類の粒子が用いられる。
ポリオルガノシロキサンの製造方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。
まず、前記オルガノシロキサン混合物を乳化剤と水によって乳化させてエマルションを調製した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和してポリオルガノシロキサンラテックスを得る。
これらの乳化剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)は、ゴム用ビニル単量体(a2)を重合することにより得られる。ゴム用ビニル単量体(a2)は、アルキル基の炭素数が5〜13である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2−1)を必須成分とし、必要に応じて、任意のビニル単量体(a2−2)、架橋性単量体(a2−3)及びグラフト交叉剤(a2−4)を併用することができる。
)としては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。乳化重合性及び得られる重合体が有するガラス転移温度を考慮すると、アクリル酸2−エチルヘキシルを含有することが好ましい。
ゴム用ビニル単量体(a2)(100質量%)中の任意のビニル単量体(a2−2)含有率は、0〜99質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることがさらに好ましい。
ゴム用ビニル単量体(a2)(100質量%)中の架橋性単量体(a2−3)の含有率は、0〜10質量%であることが好ましい。架橋性単量体の含有率が10質量%以下であれば、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)のゴム弾性を維持することができる。
グラフト交叉剤(a2−4)は、架橋性単量体と同様に重合性不飽和結合を2つ以上有するため、架橋剤としての機能も有する。
ゴム用ビニル単量体(a2)(100質量%)中のグラフト交叉剤(a2−4)の含有率は、0.01〜10質量%であることが好ましい。
グラフト交叉剤(a2−4)の含有率が0.01質量%以上であれば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(A2)が充分なグラフト重合起点を有するものとなり、10質量%以下であれば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(A2)のゴム弾性を維持することができる。
1/(273+Tg)=Σ(wi/(273+Tgi))
式中、Tgは共重合体のガラス転移温度(℃)、wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iを重合して得られる単独重合体のガラス転移温度(℃)である。
単独重合体のTgの数値は、POLYMER HANDBOOK Volume 1(WILEY−INTERSCIENCE)に記載の数値を用いる。
本発明においては、前記ポリオルガノシロキサン(A1)及び前記ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を含むゴム(A)(以下、「ゴム(A)」と略すこともある。)を用いる。ゴム(A)は前記ポリオルガノシロキサン(A1)とポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を複合化した複合ゴムであることが好ましい。
ゴム(A)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法により製造することができるが、乳化重合法を用いることが好ましい。例えば、ポリオルガノシロキサンラテックスの存在下で、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を乳化重合により合成し、複合ゴムのラテックスを製造してもよいし、ポリオルガノシロキサンラテックスとポリ(メタ)アクリル酸エステル(A2)のラテックスを混合してもよい。中でも、ポリオルガノシロキサンラテックスの存在下で、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を乳化重合により合成し、複合ゴムのラテックスを得る方法が特に好ましい。
これらの還元剤は1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
レドックス系開始剤の場合、過酸化物の使用量としては、グラフト共重合体100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。還元剤の使用量は、グラフト共重合体100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。
本発明において、グラフト共重合体は、ゴム(A)のラテックスの存在下に、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られる。
重合性や凝固性、嵩比重等の粉体特性、対象樹脂との相溶性の点から、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b1)がメタクリル酸メチルであることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(b1)(100質量%)中のメタクリル酸メチルの含有率は、0.1〜100質量%であることが好ましく、20〜99.5質量%であることがより好ましく、50〜99質量%であることがさらに好ましく、80〜99質量%であることが特に好ましい。
シアン化ビニル単量体(b3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋性単量体(b4)としては、例えば、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン、メタクリル酸アリルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
グラフト共重合体を硬化性樹脂へ用いる場合には、硬化性樹脂組成物の経時的な増粘が抑制できるため、架橋性単量体を用いることが好ましい。
グラフト用ビニル単量体(b)(100質量%)中の、架橋性単量体(b4)の含有率が0.5質量%以上であれば、グラフト共重合体を硬化性樹脂に配合した際の、経時的な増粘を抑制することができ、含有率が10.0質量%以下であれば、得られる成形体の低弾性率化の効果がより優れる。
レーザー回折式粒子径分布測定装置(SALD−7100、(株)島津製作所製)を用いて後述する方法を用いて粒子径を測定する。
グラフト共重合体の製造方法としては、前記ゴム(A)の製造方法と同様の方法により製造することができる。すなわち、ゴム(A)のラテックスの存在下で、グラフト用ビニル単量体(b)の全使用量を分割して、逐次添加し又は連続添加して、重合することによりグラフト共重合体のラテックスを得る。
グラフト重合に用いる重合開始剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)の重合に用いる重合開始剤と同様のものを用いることができる。
グラフト重合に用いる乳化剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)の重合に用いる乳化剤と同様のものを用いることができる。
グラフト重合に用いる連鎖移動剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)の重合に用いる連鎖移動剤と同様の連鎖移動剤を用いることができる。
尚、グラフト共重合体のラテックスには、必要に応じて、酸化防止剤や添加剤を配合することができる。
質量部に対して10質量部以上、500質量部以下であることが好ましい。
本発明のグラフト共重合体は、改質剤として、他の樹脂(以下、「対象樹脂」とも称する。)に配合して樹脂組成物として使用できる。対象樹脂としては種々の樹脂が適用され、例えば硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーから選ばれる1種以上である。これらの中で、電気・電子部品、自動車部品、建材等に広く用いられ、且つグラフト共重合体の応力緩和能が十分に発揮できる観点から、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂が好ましい。硬化性樹脂においては、絶縁性が高く電気的特性に優れ、電子材料分野に適していることから、特にエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂及びオキセタン樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂においては、耐衝撃性、耐熱性に優れ、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野に適していることから、ポリカーボネート(PC)樹脂が好ましい。
グラフト共重合体の添加量が0.5〜90質量%であれば、硬化性樹脂組成物の場合では、弾性率が低く、応力緩和能の高い樹脂組成物を得ることができ、熱可塑性樹脂組成物の場合では衝撃強度の高い樹脂組成物を得ることができる。
本発明のグラフト共重合体は、硬化性樹脂と混合して硬化性樹脂組成物として使用することができる。
光硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の照射により硬化する樹脂が挙げられ、例えば、光硬化性アクリル樹脂、光硬化性エポキシ樹脂及び光硬化性オキセタン樹脂が挙げられる。
また、本発明においては、硬化性樹脂として、目的に応じて熱硬化と光硬化のハイブリッド硬化(デュアルキュア)タイプのものを使用することができる。
また、エポキシ樹脂としては、上記エポキシ樹脂のプレポリマーや、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂のような前記エポキシ樹脂と他の重合体との共重合体、及びエポキシ樹脂の一部がエポキシ基を有する反応性希釈剤で置換されたものを挙げることもできる。
これらのエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
好ましい。硬化剤の使用量としては、エポキシ基1当量あたり、酸無水物の場合には、酸無水物基が好ましくは0.7〜1.3当量、より好ましくは0.8〜1.1当量程度であり、アミン系化合物の場合には、活性水素が好ましくは0.3〜1.4当量、より好ましくは0.4〜1.2当量程度、フェノール化合物の場合には、活性水素が好ましくは0.3〜0.7当量、より好ましくは0.4〜0.6当量程度である。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の熱硬化触媒として用いられている公知のものを使用することができ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物とエポキシ樹脂のアダクト類;トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物類;テトラフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のボレート類;及びジアザビシクロウンデセン(DBU)が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤が使用される場合、硬化促進剤は、通常、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜8質量部、好ましくは0.5〜6質量部が添加される。
潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、アミキュアVDH及びアミキュアUDH(いずれも商品名、味の素(登録商標)(株)製)、クエン酸トリヒドラジド等の有機酸ヒドラジドが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本樹脂組成物に添加剤等を配合する場合、配合する順番は特に問わないが、本発明の効果を充分に発揮するために、グラフト共重合体の粉体はできるだけ最後に混練することが好ましい。
本発明のグラフト共重合体は、熱可塑性樹脂と混合して熱可塑性樹脂組成物として使用することができる。
本発明のグラフト共重合体は、熱可塑性エラストマーと混合して熱可塑性エラストマー組成物として使用することができる。
これらの中でも、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが好ましい。
本発明の成形体は本樹脂組成物を成形して得られるものである。
また、硬化性樹脂として光硬化性樹脂を使用する場合、使用する光線としては、例えば、電子線、紫外線、ガンマ線及び赤外線が挙げられる。また、活性エネルギー線の硬化条件としては、紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。
紫外線照射量としては50〜1,000mJ/cm2程度である。電子線で硬化させる場合、公知の電子線照射装置を使用することができ、電子線照射量としては10〜100kGy程度である。
積層板は、このプリプレグを複数枚重ね合わせ、加熱加圧成形することにより得られる。この場合、所定厚みの金属箔(例えば銅箔)をプリプレグ層の片面又は両面に載置して加熱加圧成形することにより、金属箔張り積層板とすることができる。
さらに、上記の積層板の金属箔の表面にエッチング加工などして導体パターンを作製し、回路形成することによってプリント配線板を得ることができる。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
また、ポリオルガノシロキサンラテックスの固形分、ポリオルガノシロキサンラテックスの質量平均粒子径、グラフト共重合体の体積平均粒子径、数平均粒子径及び粒子径分布(Dw/Dn)は、以下に示す方法で測定したものである。
質量w1のポリオルガノシロキサンのラテックスを180℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、乾燥後の残渣の質量w2を測定し、下記式により固形分[%]を算出した。
固形分[%]=w2/w1×100
ポリオルガノシロキサンラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて粒子径を測定した。粒子径はメジアン径を平均粒子径として用いた。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)、
キャリア液:専用キャリア液(商品名;2XGR500)、
キャリア液の液性:ほぼ中性、
キャリア液の流速:1.4ml/分、
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)、
測定温度:35℃、
試料使用量:0.1ml。
また、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲内の12種類の粒子が用いられる。
グラフト共重合体ラテックスを脱イオン水で希釈し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製SALD−7100)を用いてゴム粒子及びグラフト共重合体粒子の体積平均粒子径Dv、数平均粒子径Dnを測定し、Dw/Dnを算出した。
オクタメチルシクロテトラシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製、製品名:TSF404)96.0部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)2.0部、及びテトラエトキシシラン(TEOS)2.0部を混合して、オルガノシロキサン混合物100部を得た。
脱イオン水にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)1.0部を溶解した水溶液150部を、前記のオルガノシロキサン混合物100部に添加した。これを、ホモミキサーで10,000rpmで5分間攪拌した後、20MPaの圧力でホモジナイザーに2回通し、オルガノシロキサンエマルションを得た。
次いで、内温80℃を6時間維持して反応を進行させた後、室温まで冷却した。
得られた反応液を室温で6時間保持した。その後、反応物を5%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に中和し、ポリオルガノシロキサン(A1−1)ラテックスを得た。
ポリオルガノシロキサン(A1−1)ラテックスの固形分は29.7%であった。また、このラテックスのキャピラリー粒度分布計による数平均粒子径(Dn)は384nm、質量平均粒子径(Dw)は403nmであり、Dw/Dnは1.05であった。
オクタメチルシクロテトラシロキサン98.0部、DSMA2.0部を混合して、オルガノシロキサン混合物100部を得た。
脱イオン水にDBSNa0.68部を溶解した水溶液300部を、前記のオルガノシロキサン混合物100部に添加した。これを、ホモミキサーで10,000rpmで5分間攪拌した後、20MPaの圧力でホモジナイザーに2回通し、オルガノシロキサンエマルションを得た。
ポリオルガノシロキサン(A1−2)ラテックスの固形分は19.0%であった。また、このラテックスのキャピラリー粒度分布計による数平均粒子径(Dn)は58nm、質量平均粒子径(Dw)は62nmであり、Dw/Dnは1.07であった。
環状オルガノシロキサン混合物(3量体、:5質量%、4量体:85質量%、5量体:3%、6量体:6質量%、7量体:1質量%の混合物。信越化学工業(株)製、製品名:DMC)97.5部、TEOS2部及びDSMA0.5部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。これにDBSNa0.68部、DBSH0.68部を脱イオン水200部に溶解した溶液を添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、オルガノシロキサンエマルションを得た。
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えた容量5リットルのセパラブルフラスコに、製造例1で得たポリオルガノシロキサン(A1−1)ラテックス及び脱イオン水を投入した。
ポリオルガノシロキサン(A1−1)ラテックス 185.2部
(固形分換算:55.0部)
脱イオン水 100部
ゴム用ビニル単量体(a2)混合物:
アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA) 14.85部
メタクリル酸アリル(AMA) 0.15部
t−ブチルハイドロパーオキサイド(tBH) 0.50部
DBSNa 0.19部
脱イオン水 7.5部
次いで、下記の触媒水溶液を添加した後、前記単量体(a2)及び開始剤混合物のプレエマルションの残りを1.5時間分かけて滴下し、滴下終了後1時間保持して、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2−1)の重合を終了し、ゴム(A−1)のラテックスを得た。
触媒水溶液:
硫酸第一鉄(Fe) 0.003部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.2部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA) 0.01部
脱イオン水 5.0部
グラフト用ビニル単量体(b)混合物:
メタクリル酸メチル(MMA) 28.75部
アクリル酸n−ブチル(nBA) 0.5部
AMA 0.75部
(グラフト用ビニル単量体(b)に対して2.5%)
tBH 0.04部
グラフト共重合体(G−1)のラテックスの体積平均粒子径は510nm、数平均粒子径は451nmであった。
ポリオルガノシロキサン(A1)、ゴム用ビニル単量体(a2)混合物、及びグラフト用ビニル単量体(b)混合物の種類及び量を表1に示す量としたこと以外は実施例1と同様にして製造し、グラフト共重合体(G−2〜12)のラテックスならびに粉体100部を得た。得られたグラフト共重合体(G−2〜12)ラテックスの体積平均粒子径と数平均粒子径を表1に示す。
EHA :アクリル酸2−エチルヘキシル
MMA :メタクリル酸メチル
nBA :アクリル酸n−ブチル
AMA :メタクリル酸アリル
表1中の、ゴム用ビニル単量体(a2)の欄の括弧内の数値は、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)100質量%に占めるEHA単位の組成比(質量%)を示す。
<実施例9〜10、比較例4〜6>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER828、三菱化学(株)製)、及びグラフト共重合体を、表2に記載した組成で配合し、3本ロール(EXAKT M−80E、永瀬スクリーン印刷研究所(株))を用いて混練し、樹脂組成物を得た。3本ロールによる混練は、ロール温度を80℃として、分散状態に応じて5〜8パス行った。ロール間のギャップは、初期のギャップを120μm、100μmとして、徐々に狭くしていき、最終的にギャップ5μm、5μmにて混練した。
得られた樹脂組成物について、前記エポキシ樹脂への分散性を評価した。
樹脂組成物をペーストセルに挟み、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SALD−7100、(株)島津製作所製)を用い、50%体積平均粒子径を測定し、以下の指標で評価した。測定結果を表2に示す。
◎:ラテックス粒子径と同程度
○:ラテックス粒子径の2〜5倍
×:ラテックス粒子径の5倍を超える
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER828、三菱化学(株)製)、及びグラフト共重合体を、表3に記載した組成で配合し、3本ロールを用いて混練し、樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物に酸無水物系硬化剤(リカシッドMH−700、新日本理化(株)製)及び硬化促進剤(N−ベンジル−2−メチルイミダゾール)を添加して撹拌混合し、得られた樹脂組成物を金型に充填し、80℃で2時間、さらに120℃で6時間加熱して硬化させた。さらに180℃にて6時間アニール処理を行い、厚さ3mmのシート状の成形体を得た。
この成形体について、以下の評価を行なった。
応力緩和能の評価として、ヒートサイクル性試験を実施した。
金属製のワッシャーを封止した樹脂組成物を硬化して得られる成形体を6個作成し、JISC−2105に準じた7種の温度条件の恒温槽に入れ、各温度条件にて3サイクル実施し、最も過酷な温度条件にてさらに9サイクル(計30サイクル)行った。試験終了後、成形体に生じたクラックの発生頻度を調査し、以下の指標で評価した。
◎:クラックが発生した成形体の個数が0個
○:クラックが発生した成形体の個数が1〜2個
△:クラックが発生した成形体の個数が3〜4個
×:クラックが発生した成形体の個数が5〜6個
表3において、ヒートサイクル性試験における括弧内の値は、クラックが発生した成形品の個数である。評価結果を表3に示す。
成形体を、長さ60mm、幅10mmに切断して試験片とし、JIS K7171に準じて曲げ弾性率を測定した。測定は、23℃で実施し、以下の指標で評価した。測定結果を表3に示す。
◎ :2500MPa以下
○ :2500MPaを超え、 2700MPa以下
× :2700MPaを超える
成形体を長さ50mm、幅10mmに切断して試験片とし、動的機械的特性解析装置(機種名「EXSTARDMS6100」、セイコーインスツル(株)製)により、両持ち曲げモード、昇温速度2℃ /分、周波数10Hzの条件でtanδ 曲線を測定し、30〜180℃におけるtanδ 曲線のピークトップの温度からガラス転移温度を求めた。測定結果を表3に示す。
成形体を、長さ6mm、幅6mmに切断して試験片とし、TMA/SS6100(セイコーインスツル(株)製)を用いて、昇温速度2℃/分、荷重5mNの条件で測定した線膨張曲線の屈曲点の温度以下での線膨張曲線の傾きから、平均線膨張係数(α1)を求めた。測定結果を表3に示す。
得られた成形体を、長さ30mm、幅30mmに切断して試験片とし、温度23℃、湿度50%下にて24時間以上調湿した後、誘電率測定装置(機種名「4291B RFインピーダンス/マテリアル・アナライザ」、アジレント・テクノロジー(株)製)、誘電率測定用装置(機種名「16453A」、アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて、周波数lGHzにおける比誘電率の値を測定した。測定結果を表3に示す。
より小粒子径のグラフト共重合体(G−2)を配合した場合、得られる成形体のヒートサイクル性がより向上し、応力緩和能がさらに優れていた。
<実施例13〜19、比較例10〜11>
グラフト共重合体(G−5〜12)の粉体、及びポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名;ユーピロンS−2000F)を、表4に記載の比率で配合し、さらに添加剤としてIrganox1076(BASF製)0.1部およびアデカスタブ2112(ADEKA製)0.1部を加え、混合した。該配合物を、30mmΦ二軸押出機(L/D=30)を用いてシリンダー温度280℃及びスクリュー回転数150rpmで溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を得た。次いで、この熱可塑性樹脂組成物をペレット状に賦形した。
この成形体について、以下の評価を行った。
JIS K 7111に準じてシャルピー衝撃強度を測定した。(試験片1:縦80.0mm×横10.0mm×厚み4mm、Vノッチ、23℃、−30℃にて測定。)評価結果を表4に示す。
ISO 14782に準拠して、日本電色工業(株)製HAZE Meter NDH4000を用いて、試験片2(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)について、D65光源における全光線透過率及びHazeを測定した。全光線透過率が高く、Hazeが低いほど顔料着色性が良好であることを示す。評価結果を表4に示す。
Claims (4)
- ポリオルガノシロキサン(A1)及びポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)を含むゴム(A)に、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体であって、
ゴム(A)中のポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)が、アルキル基の炭素数が5〜13である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位として、アクリル酸2−エチルヘキシル単位を含み、
前記ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)中の前記アルキル基の炭素数が5〜13である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位の含有率が80〜99.99質量%であるグラフト共重合体と硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物。 - 請求項1に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
- 請求項1に記載の樹脂組成物を用いた半導体封止材料。
- 請求項1に記載の樹脂組成物を用いた接着剤。
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