JP2013092454A - 内燃機関の圧力計測システムおよび圧力計測装置 - Google Patents

内燃機関の圧力計測システムおよび圧力計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、内燃機関の燃焼室の筒内圧を計測する圧力計測システムおよび圧力計測装置に関し、角度分解能が所望の角度分解能よりも低い同期パルスに同期させ、かつ高精度のタイミングでサンプリングされた圧力データを得る。
【解決手段】
内燃機関内の圧力を測定する圧力センサによる圧力測定値を、所望の角度分解能を時間間隔に換算したときのその時間間隔よりも短い時間間隔でオーバサンプリングするオーバサンプリング部と、内燃機関の回転角度に同期した、角度分解能が所望の角度分解能よりも低い同期パルスを生成する同期パルス生成器で生成された同期パルスに基づいて、オーバサンプリング部でのオーバサンプリングにより得られた圧力データを所望の角度分解能に対応する圧力データにリサンプリングするリサンプリング部とを備えた。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関の燃焼室の筒内圧を計測する圧力計測システムおよび圧力計測装置に関する。
従来より内燃機関、例えば自動車用エンジンの内圧を計測することが行なわれている。通常、自動車用エンジンの出力軸にはリングギアが直結されており(例えば特許文献1参照)、そのリングギアに磁気センサを近接させ出力軸の回転に伴って回転するリングギアの歯数を計数すると出力軸の回転角度を検出することができる。そこで、従来は例えばこのリングギアを利用し、またエンジンに内圧計測用の圧力センサを設置し、リングギアに近接させた磁気センサにより生成されるパルスに同期させて圧力センサによる測定値をサンプリングすることで、回転角度に応じた圧力データを得ることが行なわれている。この圧力データを分析すると、例えばエンジンのある回転条件下で着火ミスが多いことなど、エンジンの様々な振る舞いを知ることができる。
図1はベンチ上での実験装置の一例を示した図である。
この図1には、ガソリンを燃料とするエンジン10が示されており、このエンジン10は、出力軸20を介してモータ30に接続されている。このモータ30は、エンジン10側に動力を与えるだけでなく、エンジン10側からの動力で発電するダイナモの役割りも兼ねており、エンジン10の負荷としても作用する。
この出力軸20には、上述のリングギア11が直結されている。このリングギア11には、一周に193個の歯が形成されており、磁気センサ(図示せず)を近接させてこの歯の通過を検出すると、出力軸20が1回転するごとに193個のパルス信号(193[P/R])を得ることができる。
また、更に高い角度分解能を得るために、スリット円盤12を取り付けることもある。このスリット円盤12は、一回転につき720パルスの信号と回転角度の原点を知るための一回転につき1パルスの信号を出力するものである。このスリット円盤12からの信号(720[P/R]のパルス信号)に同期した圧力データを生成すると、リングギア11を用いたときよりも高い角度分解能の圧力データを得ることができ、それだけ高精度の分析が可能となる。
図1はベンチ上に設置した実験装置であるためリングギア11を利用したりスリット円盤を取り付けたりすることが可能であるが、エンジン10が実際の車に搭載された状態のまま圧力データを得ようとした場合に問題が生じる。すなわち、車のエンジンルームにはエンジンを含む様々なパーツがエンジンルーム内を埋めつくすように密に配置されており、また、出力軸が覆われていてボンネットを開いても出力軸に触れることができない車も多い。このため、実際の車に搭載された状態のエンジンから圧力データを得ようとするとき、リングギアを利用することやスリット円盤を取り付けることは多くの場合不可能である。
自動車用エンジンには、さらに欠け歯プレート(あるいはクランクシャフトタイミングローター)13と呼ばれる、出力軸に直結された部品が存在する。
図2は欠け歯プレートの一例を示した図である。
この欠け歯プレート13は、一周を36等分した各角度位置に1つずつの歯を持ち、ただし、2つだけ歯が欠けた形状をした円盤である。
図1に戻って説明を続ける。
この欠け歯プレート13の歯をピックアップした信号はECU(Engine Control Unit)14に入力される。
このECU14は、エンジンの運転を総合的に電子制御するマイクロコントローラであり、欠け歯プレート13からの信号は、例えば燃料噴射のタイミングや着火のタイミング等の制御に使われる。欠け歯プレート13が歯が欠けた形状をしているのは、回転角度の原点を知るためである。
実際の車に搭載された状態のエンジン10から圧力データを得ようとしたとき、リングギア11やスリット円盤12に代えて、この欠け歯プレート13を利用することが考えられる。すなわち、この欠け歯プレート13からECU14に向かう信号配線からそのパルス信号を分岐させることで、回転角度に同期したパルス信号を得ることができる。
しかしながら、この欠け歯プレート13は、ECU14で必要なパルス信号を生成するための部品であって、圧力データを得る目的としては角度分解能が低過ぎる。このためここでは、この欠け歯プレート13からのパルス信号に同期させるとともに、隣接するパルスどうしの時間間隔ΔTを分割(ここでは一例として10分割とする)した、ΔT/10間隔でサンプリングすることを考える。しかしながら、隣接するパルスどうしの時間間隔ΔTは、隣接する2つのパルスのうちの後の方のパルスが生成されたタイミングでしか分からず、これでは間に合わないため、例えば、ある2つのパルスどうしの時間間隔ΔT(t)よりも1つ前のパルスどうしの時間間隔ΔT(t−1)からΔT(t−1)/10がΔT(t)/10であると推定し、その推定されたΔT(t)/10=ΔT(t−1)/10の時間間隔ごとにサンプリングを行なうことにする。この場合、ΔT(t−1)=ΔT(t)であれば、すなわち定速運転であれば問題ないが、ΔT(t−1)>ΔT(t)、すなわち加速運転や、ΔT(t−1)<ΔT(t)、すなわち減速運転のときは、推定したΔT(t)/10(=ΔT(t−1)/10)と実際のΔT(t)/10とが異なることになり、サンプルエラーが生じることになる。
特開平9−317550号公報
本発明は、回転角度に同期した、角度分解能が所望の角度分解能よりも低い同期パルスに同期させ、かつ高精度のタイミングでサンプリングされた圧力データを得ることのできる内燃機関の圧力計測システムおよび圧力計測装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の内燃機関の圧力計測システムは、
内燃機関内の圧力を測定する圧力センサ、
内燃機関の回転角度に同期した、角度分解能が所望の角度分解能よりも低い同期パルスを生成する同期パルス生成部、および
圧力センサによる圧力測定値を上記の所望の角度分解能を時間間隔に換算したときのその時間間隔よりも短い時間間隔でオーバサンプリングするオーバサンプリング部と、同期パルス生成部で生成された同期パルスに基づいて、オーバサンプリング部でのオーバサンプリングにより得られた圧力データを上記の所望の角度分解能に対応する圧力データにリサンプリングするリサンプリング部とを備えた圧力計測装置を有することを特徴とする。
また、上記目的を達成する本発明の内燃機関の圧力計測装置は、
内燃機関内の圧力を測定する圧力センサによる圧力測定値を、所望の角度分解能を時間間隔に換算したときのその時間間隔よりも短い時間間隔でオーバサンプリングするオーバサンプリング部と、
内燃機関の回転角度に同期した、角度分解能が上記の所望の角度分解能よりも低い同期パルスを生成する同期パルス生成器で生成された同期パルスに基づいて、オーバサンプリング部でのオーバサンプリングにより得られた圧力データを上記の所望の角度分解能に対応する圧力データにリサンプリングするリサンプリング部とを備えたことを特徴とする。
内燃機関の圧力計測にあたっては、回転角度に同期した圧力データを得ることが必須である。回転角度に同期した圧力データを得るということは、低速回転ではゆっくりとサンプリングし、高速回転では高速にサンプリングし、加速や減速のときは、それに合わせてサンプリング間隔を徐々に変えていくことを意味している。このため従来は、内燃機関の圧力計測にあたっては、ベンチ上ではわざわざ円盤スリットを取り付けるなど、高分解能な角度データを得て、その角度データに同期した圧力データを得ることに目が向いている。
本発明は、一旦は回転角度との同期から離れて、時間軸上で等間隔となるようにオーバサンプリングして圧力データを得、その圧力データを、回転角度と同期した同期パルスに基づいて所望の角度分解能に対応する圧力データにリサンプリングするものであり、これにより、所望の角度分解能よりも低い角度分解能の同期パルスしか得られない場合であっても、所望の角度分解能であって、かつ回転角度に高精度に同期した圧力データを得ることができる。
ベンチ上での実験装置の一例を示した図である。 欠け歯プレートの一例を示した図である。 本発明の一実施形態としての圧力計測装置を含む、本発明の一実施形態としての圧力計測システムを示すブロック図である。 図3に示すオーバサンプリング部410およびリサンプリング部430の作用を、比較例とともに示した図である。
以下本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明の一実施形態としての圧力計測装置を含む、本発明の一実施形態としての圧力計測システムを示すブロック図である。
この図3に示す圧力計測システム100は、圧力センサ200と、同期パルス生成部300と、圧力計測装置400とから構成されている。圧力センサ200は、自動車用のエンジン10(図1参照)のシリンダ内の圧力を検出するセンサである。この種の圧力センサとして、エンジン10の点火プラグに組み込まれたタイプの圧力センサも存在する。また、エンジンに穴を開け、圧力センサを、その検出面がシリンダ内壁と同一面を成すように挿入して固定することも行なわれている。ここでは、この圧力センサ200は、その具体的な形状等を問うものではなく、シリンダ内の圧力を必要な応答速度で検出することができる圧力センサであればよい。
また、同期パルス生成部300は、本実施形態では、欠け歯プレート13とその欠け歯プレートの歯を検出するセンサ(例えば磁気センサや光電センサなど)15とから構成されている。このセンサ15からの出力パルスはエンジン10の回転角度に同期した同期パルスである。ただし前述の通り2歯分だけパルスが欠けている。このセンサ15で検出される同期パルスは本来はECU14で使うための信号であってECU14に伝達される。ここでは、そのECU14に伝達される同期パルスを分岐させてこの圧力計測システム100用の同期パルスとして使用している。
この欠け歯プレート13とセンサ15との組合せで構成される同期パルス生成部300では、エンジン10の回転角度には同期しているものの、角度分解能に関しては、所望の角度分解能(例えば1.0度など)よりも低い同期パルスが生成される。
また、この圧力計測システム100を構成する圧力計測装置400は、オーバサンプリング部410と、第1のメモリ部420と、リサンプリング部430と、第2のメモリ部440と、演算部450とを有する。
オーバサンプリング部410では、圧力センサ200による圧力測定値が、所望の角度分解能(例えば1.0度)を時間間隔に換算したときのその時間間隔よりも短い時間間隔、例えば、サンプリング周波数1MHに対応する1/10secの時間間隔でオーバサンプリングされる。
このオーバサンプリング部410でのサンプリングにより生成された圧力データは、一旦、第1のメモリ部420に格納される。
リサンプリング部430には、同期パルス生成部300で生成された同期パルスが入力される。このリサンプリング部では、その同期パルスに基づいて、オーバサンプリング部410でのオーバサンプリングにより得られて第1のメモリ部420に書き込まれている圧力データが、所望の角度分解能(例えば1.0度)に対応する圧力データにリサンプリングされる。このリサンンプリング部430よりリサンプリングされた圧力データは、一旦第2のメモリ部440に格納される。その後、演算部450では、第2のメモリ部440に格納されている圧力データに基づいて、例えば、着火ミスの解析やIMEP(平均有効圧)の解析など、エンジン10の振る舞いについての様々な解析が行なわれる。
図4は、図3に示すオーバサンプリング部410およびリサンプリング部430の作用を、比較例とともに示した図である。
図4(A)は、同期パルス生成部300で生成された同期パルスa1,a2,a3を示している。
ここでは、互いに隣接する、同期パルスa1と同期パルスa2との間の時間間隔をΔT(t−1)、同期パルスa2と同期パルスa3との間の時間間隔をΔT(t)とする。この図4は、加速中の状態を示しており、ΔT(t−1)>ΔT(t)である。
ここでは、同期パルスa2と同期パルスa3との間を10等分した各時刻にサンプリングしようとしている。
図4(B)は比較例としてのサンプリングタイムを示している。ここでは、同期パルスa2を起点とし、1つ前の同期パルスa1,a2の時間間隔ΔT(t−1)を10等分した各時刻b0,b1,b2,・・・,b10で圧力測定値をサンプリングしている。しかしながらこの場合、ΔT(t−1)>ΔT(t)であるため、時刻b10は、同期パルスa3と重なった時刻ではなく、それよりも遅れた時刻となっている。このように、図4(B)の比較例の場合、ΔT(t−1)とΔT(t)とが異なる場合、すなわち加速や減速の場面では、サンプルエラーが発生する。
図4(C)は本実施形態を示しており、オーバサンプリング部410では、短い時間間隔、すなわち高いサンプリング周波数(例えば1.0MH)での各時刻c0,c1,c2,c3,・・・の圧力計測値がサンプリングされる。リサンプリング部430では、同期パルスa2と同期パルスa3の各タイミングからそれらの同期パルスa2,a3の時間間隔ΔT(t)が計測され、ΔT(t)/10の各時刻が算出され、オーバサンプリング部410で各時刻c1,c2,c3,・・・ごとのサンプリングにより得られた圧力データの中からΔT(t)/10の各時刻に最も近い時刻d0=c0,d1=c3,・・・にサンプリングされた各圧力データが抽出される。
したがって、図4(C)に示す本実施形態の場合、サンプルエラーが生じることはなく、また、オーバサンプリング部410で十分高速なサンプリングを行なうことにより、必要な高精度を保った各時刻d0,d1,d2,・・・ごとの圧力データが得られる。
オーバサンプリングされた圧力データからΔT(t)/10の各時刻に最も近い時刻の圧力データを選ぶだけではリサンプリングの時刻のばらつきが大きいときは、オーバサンプリングされた圧力データに基づく補間演算処理により、ΔT(t)/10の各時刻のサンプリングデータを算出してもよい。
本実施形態では、以上のように、オーバサンプリングとリサンプリングとを行なう構成により、角度分解能が所望の角度分解能よりも低い同期パルスを用いて、所望の角度分解能で高精度にサンプリングされた圧力データを得ることができる。
10 エンジン
11 リングギア
12 スリット円盤
13 欠け歯プレート
14 ECU
15 センサ
20 出力軸
100 圧力計測システム
200 圧力センサ
300 同期パルス生成部
400 圧力計測装置
410 オーバサンプリング部
420 第1のメモリ部
430 リサンプリング部
440 第2のメモリ部
450 演算部

Claims (2)

  1. 内燃機関内の圧力を測定する圧力センサ、
    前記内燃機関の回転角度に同期した、角度分解能が所望の角度分解能よりも低い同期パルスを生成する同期パルス生成部、および
    前記圧力センサによる圧力測定値を前記所望の角度分解能を時間間隔に換算したときの該時間間隔よりも短い時間間隔でオーバサンプリングするオーバサンプリング部と、前記同期パルス生成部で生成された同期パルスに基づいて、前記オーバサンプリング部でのオーバサンプリングにより得られた圧力データを前記所望の角度分解能に対応する圧力データにリサンプリングするリサンプリング部とを備えた圧力計測装置を有することを特徴とする内燃機関の圧力計測システム。
  2. 内燃機関内の圧力を測定する圧力センサによる圧力測定値を、所望の角度分解能を時間間隔に換算したときの該時間間隔よりも短い時間間隔でオーバサンプリングするオーバサンプリング部と、
    前記内燃機関の回転角度に同期した、角度分解能が前記所望の角度分解能よりも低い同期パルスを生成する同期パルス生成器で生成された同期パルスに基づいて、前記オーバサンプリング部でのオーバサンプリングにより得られた圧力データを前記所望の角度分解能に対応する圧力データにリサンプリングするリサンプリング部とを備えたことを特徴とする内燃機関の圧力計測装置。
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