JP2013092287A - 冷凍サイクルの熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】現行の冷凍サイクルの熱交換器の銅製サクションパイプ及び銅製キャピラリーチューブに換えて、サクションパイプとキャピラリーチューブの素材をコストの安いアルミニウム材とし、しかも蛇行加工の容易な冷凍サイクルの熱交換器を提供。
【解決手段】キャピラリーチューブをJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブとし、サクションパイプをJIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプとし、且つ、キャピラリーチューブの外表面とサクションパイプの外表面が溶融状態で接合された冷凍サイクルの熱交換器
【選択図】 図7

Description

本発明は、例えば冷蔵庫などの冷凍サイクルの熱交換器に関する。
一般に、冷蔵庫は圧縮機から吐出された冷媒が、順次、凝縮器、キャピラリーチューブ、蒸発器、サクションパイプを通り、再び圧縮機に戻る冷凍サイクルを構成する。
圧縮機で圧縮された冷媒は、高温高圧ガスとなって凝縮器に送られ、ここで放熱して液化される。液化された冷媒は、キャピラリーチューブを通って蒸発器に送られる。キャピラリーチューブから蒸発器に送られる液化された冷媒は、蒸発器にて気化されることにより周囲の熱を奪い取り冷気を生み出す。気化された冷媒は、サクションパイプを通って圧縮機に戻り再び圧縮される。
このような冷凍サイクルにおいては、キャピラリーチューブを通る冷媒は比較的高温である。冷却性能を向上させるためには、キャピラリーチューブから蒸発器に流入する冷媒の温度を低くすることが有効である。このために、比較的低温の冷媒が流れるサクションパイプをキャピラリーチューブと接触させる方法が知られている。すなわち、サクションパイプの冷媒とキャピラリーチューブの冷媒の間で熱交換させることで、キャピラリーチューブを流れる冷媒の温度を低下させるのである。このような冷凍サイクルの熱交換器としてのキャピラリーチューブとサクションパイプの接合方法としてはキャピラリーチューブとサクションパイプを並列に添わせた状態でハンダ付けするという方法がよく採用されている。
現行のキャピラリーチューブは、概ね、内径がφ0.6mm〜φ0.8mm程度、外径がφ2.0mm〜φ3.0mm程度の細径管であり、一方、サクションパイプは、概ね、内径がφ4.5mm〜φ6.5mm程度、外径がφ6.0mm〜φ8.0mm程度の丸管で構成されている。また、キャピラリーチューブとサクションパイプの長さは、冷蔵庫の大きさによっても異なるが、概ね2,000〜5,000mm程度である。
我が国を始め世界中で市販されている冷蔵庫に搭載されている冷凍サイクルの熱交換器は、銅製のサクションパイプと銅製のキャピラリーチューブが、それぞれの外表面が熱的に接触されるようにハンダ付けにより一体的に接合されたものである。銅製のサクションパイプと銅製のキャピラリーチューブは、熱交換性がよい、耐食性に優れる、ハンダ付けにより容易に一体的に接合することができる、などの理由により現在に至るまで実用に供されている。
多数の特許文献、例えば、特許文献1、2、5においても、それぞれ熱交換器としての改良が提案されているが、基本的には銅製のサクションパイプと銅製のキャピラリーチューブとをハンダ付けにより熱的に接触させた熱交換器が開示されている。また、特許文献7は、銅製のサクションパイプと銅製のキャピラリーチューブとをシーム溶接により熱的に接触させた熱交換器が開示されている。
特許文献3においては、具体的にはサクションパイプとキャピラリーチューブの素材については言及していないが、「キャピラリーチューブはサクションパイプと対向流熱交換器をなす形でハンダ付けされている。」との記載から、サクションパイプとキャピラリーチューブの素材は銅であると思われる。特許文献5においては、キャピラリーチューブの素材については言及していないが、「サクションパイプとキャピラリーチューブはハンダ付けで所定の距離を熱接触させ熱交換させた構成とするが、サクションパイプのキャピラリーチューブと熱接触する部分は銅などの金属とし、」との記載から、キャピラリーチューブの素材についても銅であると思われる。特許文献3と特許文献5における熱交換器としてのサクションパイプとキャピラリーチューブの素材がともに銅であろうことは、特許文献6の段落〔0011〕〜〔0012〕の「サクションパイプと毛細管(キャピラリーチューブと同義)とを連結するために、・・・・・、通常、ハンダ付けはスズ(Sn)を使用して実施される。また、サクションパイプと毛細管との間の熱交換性及び耐食性が向上するように、サクションパイプと毛細管は銅製のものが一般的である。」との記載からも首肯できる。
特許文献1は、サクションパイプとキャピラリーチューブを熱交換する冷蔵庫に関するものであり、キャピラリーチューブとサクションパイプが共に銅管で形成され、それぞれを並列に添わせた状態でハンダ付けにより熱的に接触させることが記載されている。
特許文献2は、冷蔵庫などで使用される多重熱交換器の改良に関するものである。この多重熱交換器は流体流路管(外管)内に流体流路管(内管)を配して流体の熱交換を行うものである。流体流路管(外管)(サクションパイプに相当)及び流体流路管(内管)(キャピラリーチューブに相当)としては、銅管、銅合金管を使用することが、塑性加工性、熱伝導性、ろう付け性、ハンダ付け性、耐食性などに優れるので好ましいことが記載されている。
特許文献3は、サクションパイプとキャピラリーチューブを熱交換する冷蔵庫に関するものであるが、キャピラリーチューブとサクションパイプは、並列に添わせた状態で対向流熱交換器をなす形でハンダ付けされている。
特許文献4は、冷蔵庫などの冷凍回路に用いることのできる熱交換器に関するものである。銅合金製のキャピラリーチューブとアルミ合金製のサクションパイプを用いた熱交換器が開示されている。キャピラリーチューブとサクションパイプが異種金属であるので、熱交換器に水分が付着すると異種金属間に局部電池が形成され、熱交換器が腐食する可能性がある。このため、銅合金製のキャピラリーチューブとアルミ合金製のサクションパイプを並列に添わせた状態で保持し、溶融したアルミーシリコン系のろう材を流し込み、凝固させる。これにより、銅合金製のキャピラリーチューブとアルミ合金製のサクションパイプを熱的に接合するとともに、キャピラリーチューブとサクションパイプの外周囲を連続的にろう材で被覆させるというものである。
特許文献5は、冷凍サイクルによる結露防止を目的とする冷凍システム機器に関するものである。サクションパイプ自体が熱伝導性に優れる銅などの金属材料で構成されているので結露の問題が発生しやすい。サクションパイプの一部を銅などの金属よりも熱伝導率が低い樹脂とすることによりこの問題を解決しようというものである。サクションパイプとキャピラリーチューブはハンダ付けで所定の距離を熱接触させ熱交換させた構成とするが、サクションパイプのキャピラリーチューブと熱接触する部分は銅などの金属とし、それ以外の部分はガスバリア性の高い樹脂とすることが記載されている。
特許文献6は、熱伝導率を向上するサクションパイプアセンブリに関するものである。サクションパイプアセンブリは、内部にキャピラリーチューブを備え外部にサクションパイプとの接触面積を広げるための接触部を備えた熱伝達パイプの接触部が、サクションパイプの外周面に熱導電性接着剤を介して連結された構造となっている。熱伝達パイプとサクションパイプとの接触面積が増加するので、サクションパイプを移動する冷媒と熱伝達パイプの内部に挿入されたキャピラリーチューブを移動する冷媒との間の熱交換が効果的に行われるというものである。キャピラリーチューブは銅製であるが、アルミニウム、鋼で形成されてもよいこと、また、熱伝達パイプはアルミニウム製であってもよいが、様々な材料が使用できることが記載されている。サクションパイプは銅材料やアルミニウムでもよいが、加工性及び曲げ性がよいことや相対的に安価なことから鋼製が好ましいこと、サクションパイプが鋼製である場合、耐食性メッキを施すことにより腐食の心配がない商業利用できるサクションパイプが得られることが記載されている。実施例では、鋼製のサクションパイプ、銅製のキャピラリーチューブ、アルミニウム製の熱伝達パイプを使用している。
特許文献7は、サクションパイプとキャピラリーチューブを溶接することにより熱的に接触するように接合する方法を開示している。具体的には、サクションパイプをなす銅管の外周面に、サクションパイプの一部を径方向に突出するように塑性変形させることにより、管軸方向に延びる一対の突条部を周方向にキャピラリーチューブの外径とほぼ同等の間隔をおいて形成する。この後、各突条部の間にキャピラリーチューブをなす銅管を配置し、各突条部をシーム溶接によってキャピラリーチューブに接合するというものである。
特開2002−130912号公報 特開2006−292182号公報 特開2008−121980号公報 特開2008−267757号公報 特開2009−41810号公報 特表2010−525297号公報 特開2001−248979号公報
製造業の世界では製品のコストダウンは永遠の課題である。冷凍サイクルの熱交換器のコストダウンを実現することができれば、製品としての冷蔵庫のコストダウンが実現できる。製品としての冷蔵庫のコストダウンを実現するためには、熱交換器としての機能、品質は許容範囲内で現状のものと遜色のないことが求められる。また、熱交換器自体を改良することにより、冷凍サイクルシステムとしての構造を変更する、あるいは、冷蔵庫全体の構造の変更を余儀なくされるようなことは回避しなければならない。このためには、改良した熱交換器は、現行の熱交換器と実質的に同じ構造、すなわち、熱交換器を構成するサクションパイプとキャピラリーチューブの形状(パイプやチューブの内径、外径、長さ)が許容範囲内で同等であることが求められる。
本発明者等は、現行の冷凍サイクルの熱交換器の銅製サクションパイプ及び銅製キャピラリーチューブに換えて、サクションパイプ及びキャピラリーチューブの素材としてアルミニウム材を使用することができれば、現行の冷凍サイクルの熱交換器としての機能、品質が許容範囲内で遜色なく、また、現行の冷凍サイクルの熱交換器と実質的に同じ構造であり、且つ、コストダウンが可能な冷凍サイクルの熱交換器を提供することができるのではないかと考えた。
サクションパイプとキャピラリーチューブのように、径が極端に異なる母材同士をハンダ付けあるいはろう付けする場合には、母材とハンダあるいはろう材の融点の差が大きいことが望ましい。ハンダ付けの場合には、母材であるアルミニウム材とハンダの融点の差が大きいので、母材に影響を与えることなく、サクションパイプの外表面とキャピラリーチューブの外表面を接合することができる。しかしながら、アルミニウム材製のサクションパイプとアルミニウム材製のキャピラリーチューブをアルミハンダ(例えば、Sn−Zn合金)により接合した冷凍サイクルの熱交換器は、耐食性の点で問題があり、使用環境下での接合部の劣化が避けられず、これを防止するために防食処理が必要である。
アルミニウム材同士をAl−Si合金またはZn−Al合金から選ばれるろう材で接合したものは、耐食性には問題がないので接合部保護のための防食処理を必要としない。しかしながら、長さが2,000〜5,000mmもある径の細いアルミニウム材製キャピラリーチューブと、それと比べ極端に径の太いアルミニウム材製サクションパイプを並列に添わせた状態で加熱し、双方を同じ温度に上げることは双方の熱容量の違いから難しいと考えられ、ろう付け温度の適温に上げようとした場合、径の細いキャピラリーチューブが加熱オーバーとなり溶解損傷するおそれがある。
特許文献7では、銅製のサクションパイプと銅製キャピラリーチューブの接合をシーム溶接で行っている。銅製のサクションパイプと銅製キャピラリーチューブの接合にシーム溶接、アーク溶接などの溶接は可能であるが、銅製のサクションパイプと銅製キャピラリーチューブ換えて、アルミニウム材製のサクションパイプとアルミニウム材製のキャピラリーチューブとした場合には、シーム溶接、アーク溶接による接合は不可能であると考えられる。
その理由としては、次のようなことが考えられる。銅の比熱(0℃)が0.880J/g・K、アルミニウムの比熱(0℃)が0.379J/g・Kであること、銅の比重(20℃)が8.96、アルミニウムの比重が2.71であることから、銅製のサクションパイプはアルミニウム製のサクションパイプの熱容量の7.7倍であり、同じく銅製のキャピラリーチューブはアルミニウム製のキャピラリーチューブの熱容量の7.7倍である。従って、同じ熱量を与えても銅製の方がアルミニウム材製に比べて、より温度変化が小さいことになる。加えて、銅の融点が約1083℃、アルミニウムの融点が約660℃であることを考え合わせると、銅製のサクションパイプと銅製キャピラリーチューブの接合にシーム溶接、アーク溶接などの溶接が可能であっても、アルミニウム製のサクションパイプとアルミニウム製のキャピラリーチューブとした場合には、径の細いキャピラリーチューブが加熱オーバーとなり溶解損傷するおそれがある。
以上のような理由から、今日に至るまで、アルミニウム製キャピラリーチューブとアルミニウム製サクションパイプを使用した冷凍サイクルの熱交換器の提案がなかったものと思われる。
本発明者等は、特定の工夫を施すことにより、キャピラリーチューブとサクションパイプの素材がともにアルミニウム材であり、キャピラリーチューブの外表面とサクションパイプの外表面との接合箇所がAl−Si合金またはZn−Al合金から選ばれるろう材が溶融してフィレットが形成されている冷凍サイクルの熱交換器及びその製造方法について提案した(特願2010−268579)。
本発明者等は更なる検討を行い、アルミニウム材製のサクションパイプとアルミニウム材製のキャピラリーチューブのそれぞれの外表面を圧接させた状態とし、サクションパイプとキャピラリーチューブ全体に熱的影響を極力与えないように接合箇所を微小スポット熱源で短時間に加熱することにより、径の細いキャピラリーチューブが加熱オーバーとなり変形乃至は溶解損傷することがない、熱交換性のよい冷凍サイクルの熱交換器を製造できることを見出した。具体的には、熱源としてレーザービームを用い、サクションパイプとキャピラリーチューブのそれぞれの外表面を圧接させた状態でレーザー溶接し、それぞれの外表面を溶融状態で接合するというものである(特願2011−7757)。
冷凍サイクルにおいて、キャピラリーチューブとサクションパイプの外表面が互いに熱的に接触している部分、すなわち熱交換距離を長くすることができれば蒸発器の冷凍能力が増大し消費電力を低減できるというメリットがある。熱交換器を蛇行させてコンパクトにすることができれば、冷蔵庫のように限られたスペース内でも熱交換距離を長くすることができる。
従って、本発明の目的は、現行の冷凍サイクルの熱交換器の銅製サクションパイプ及び銅製キャピラリーチューブに換えて、サクションパイプとキャピラリーチューブの素材をコストの安いアルミニウム材とし、しかも蛇行加工の容易な冷凍サイクルの熱交換器を提供するものである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、サクションパイプの素材としては、アルミニウム材の中で熱伝導度が最も高く、加工性、耐食性、溶接性などの優れるJIS規格1000系アルミニウムを選択し、径のより小さいキャピラリーチューブの素材としては、JIS規格1000系アルミニウムの有する加工性、耐食性を低下させることなく、強度を増加させ、且つ、熱伝導性、溶接性が良好なアルミニウム合金を選択すれば良いのではないかと考え、本発明を想起するに至った。
すなわち、本発明に係る冷凍サイクルの熱交換器は、圧縮機から吐出された冷媒を凝縮器、キャピラリーチューブ、蒸発器、サクションパイプ及び前記圧縮機に順次循環するように構成され、前記キャピラリーチューブの外表面と前記サクションパイプの外表面とが互いに熱的に接触している冷凍サイクルの熱交換器であって、前記キャピラリーチューブはJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブであり、前記サクションパイプはJIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプであり、且つ、前記キャピラリーチューブの外表面と前記サクションパイプの外表面が溶融状態で接合されたものであることを特徴とするものである。
本発明によれば、現行の冷凍サイクルの熱交換器としての機能、品質が許容範囲内で遜色なく、また、現行の冷凍サイクルの熱交換器と実質的に同じ構造、すなわち、熱交換器を構成するサクションパイプとキャピラリーチューブの形状(パイプやチューブの内径、外径、長さ)が許容範囲内で同等であり、且つ、サクションパイプとキャピラリーチューブの素材をコストの安いアルミニウム材とし、しかも蛇行加工の容易な冷凍サイクルの熱交換器を提供することができた。
本発明に係る熱交換器を用いた冷凍サイクルの基本的な構成図 本発明に係る熱交換器を示す斜視図 ファイバーレーザー溶接機の概念図 押圧ローラーによりサクションパイプとキャピラリーチューブの外表面を圧接させていることを示す図 本発明に係る熱交換器の製造方法を説明するための模式図 蛇行加工された本発明に係る熱交換器を用いた冷凍サイクルを搭載した冷蔵庫の概略図 図6に示す蛇行加工された本発明に係る熱交換器を拡大した概略図
本明細書においては、JIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブ103を単にキャピラリーチューブ103と記載し、JIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプ105を単にサクションパイプ105と記載することもある。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る熱交換器を用いた冷凍サイクルの基本的は構成図である。図1に示す冷凍サイクルは、冷媒を吸入し吐出する圧縮機101と、一端が圧縮機101の冷媒吐出側に接続された凝縮器102と、一端が凝縮器102の他端に接続されたキャピラリーチューブ103と、一端がこのキャピラリーチューブ103の他端に接続された蒸発器104と、一端が蒸発器104の他端に接続され他端を圧縮機101の冷媒吸入側に接続したサクションパイプ105を備えている。この冷凍サイクルにおいて、JIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプ105とJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を熱的に接触させることにより本発明に係る冷凍サイクルの熱交換器106が形成される。JIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブ103の外表面とJIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプ105の外表面は溶融状態で接合されたものである。
本発明に係る冷凍サイクルは、蒸発器104とサクションパイプ105の間に蒸発した気体の冷媒と液体の冷媒とを分離し気体の冷媒を圧縮機101に向かわせる機能を備えるアキュムレータ、凝縮器102とキャピラリーチューブ103の間に水分除去のためのドライヤなどを備えることができる。
圧縮機101において圧縮された冷媒は、高温高圧ガスとなって凝縮器102に送られ、ここで放熱して液化される。液化された冷媒は、キャピラリーチューブ103を通って減圧され、蒸発器104に送られ、ここで液化された冷媒が蒸発することに伴い周囲の熱を奪い、この結果周囲の空気を冷却する。蒸発した低温冷媒はサクションパイプ105を通って圧縮機101に戻り、再び圧縮される。使用する冷媒としては、地球温暖化係数の小さいシクロペンタン、イソブタンなどの炭化水素系の冷媒が好ましい。
以上のように構成された冷凍サイクルにおいて、キャピラリーチューブ103とサクションパイプ105とが互いに熱的に接触しているので、キャピラリーチューブ103内を流通する液相冷媒はサクションパイプ105内を流通する低温冷媒によって冷却されるので、冷却効率の向上が図られる。
図2は、本発明に係る熱交換器を示す斜視図である。この熱交換器106におけるサクションパイプ105の外表面とキャピラリーチュー103の外表面との接合箇所は、それぞれの外表面が溶融した状態で接合しているので、キャピラリーチューブ103とサクションパイプ105とは互いに熱的に接触した状態になっている。具体的には、キャピラリーチューブ103の外表面とサクションパイプ105の外表面との接合箇所は、レーザービームの照射によりそれぞれの外表面が溶融した状態で接合している。
本発明に係る熱交換器106を構成するキャピラリーチューブ103の素材はJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金であり、サクションパイプ105の素材はJIS規格1000系アルミニウムから選ばれるものである。キャピラリーチューブに使用するJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金としては、A3003、A3004、A3103、A3104などである。また、サクションパイプに使用するJIS規格1000系アルミニウムとしては、A1050、A1070、A1100、A1200などである。
本発明に係る熱交換器106を構成するキャピラリーチューブ103の内径、外径、長さ、及びサクションパイプ105の内径、外径、長さは、特に制限されるものでなく、家庭用、業務用などの冷蔵庫に使用されるものと同程度のものでよい。キャピラリーチューブ103としては、概ね、内径がφ0.6mm〜φ0.8mm程度、外径がφ2.0mm〜φ3.0mm程度の細径管を使用することができる。また、サクションパイプ105としては、概ね、内径がφ4.5mm〜φ6.5mm程度、外径がφ6.0mm〜φ8.0mm程度の丸管を使用することができる。キャピラリーチューブ103とサクションパイプ105の長さは、本発明に係る熱交換器を適用する冷蔵庫の大きさによっても異なるが、概ね2,000〜5,000mm程度である。
図3は、本発明に係る熱交換器106を製造する際に用いるレーザー溶接機の概念図である。ここでは、レーザー溶接機としては、ファイバーレーザー溶接機を例示している。符号301はファイバーレーザー本体であり、符号302は光ファイバー(ファイバー径φ)、符号303はレーザービーム出射ユニットである。レーザービーム出射ユニット303に導かれたレーザービームLB(図中、破線で示す線)は、レンズL1(焦点距離f)により平行ビーム化され次いでレンズL2(焦点距離f)により集光され、レーザービームLBに対して一方向に移動する被加工物405(図4で説明する。)に所定のスポット径のレーザービームLBが照射されるように構成されている。
なお、被加工物405は押圧ローラ401、402で押圧されながらサクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面が圧接された状態にある(図4を参照。)が、ここでは簡略化して図示した。この図においては、被加工物405が矢印(→)で示す方向(図面に向かって左から右方向)に移動しているものとする。符号308は窒素ボンベであり、符号307は窒素ガス噴射ノズルである。レーザー溶接は被加工物405の酸化を防ぐためアルゴンガスなどの不活性ガスを使用することもできる。
図4は、押さえ治具である押圧ローラー401、402により被加工物405(サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103を並列に添わせた状態のものをいう。)を押圧しサクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を圧接させている状態を示す図である。図4(a)は側面から見た図であり、図4(b)は平面図である。
押圧ローラー401は、サクションパイプ105の側面をキャピラリーチューブ103に向けて押圧するように構成されている。押圧ローラー401は、サクションパイプ105の外径に合わせた円弧状の溝が形成された溝付きローラーとなっている。押圧ローラー402は、キャピラリーチューブ103の側面をサクションパイプ105に向けて押圧するように構成されている。押圧ローラー402は、キャピラリーチューブ103の外径に合わせた円弧状の溝が形成された溝付きローラーとなっている。符号403は押圧ローラー401のシャフトであり、符号404は押圧ローラー402のシャフトである。シャフト403、シャフト404の両方、あるいはいずれか一方は図示しない筐体に軸方向と垂直方向(サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの中心点を通る線の方向)に位置調整可能に固定されている。
図4では、適宜な間隔で設けた二対の押圧ローラー401、402により被加工物405を押圧してサクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を圧接させているが、これに限られない。一対の押圧ローラー401、402により被加工物405を押圧してサクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を圧接させてもよい。押圧ローラー401、402の素材としては、銅、真鍮、アルミニウムなどの熱導電性のよいもの、或いはウレタンなどポリマーを使用することができる。
本発明に係る熱交換器を製造するには、先ず、JIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプ105とJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブ103を並列に添わせた状態で押さえ治具により押圧し、サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を圧接させた状態とする。次いで、サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を圧接させた状態でレーザービームに対して相対的に移動させながら、サクションパイプ105の外表面とキャピラリーチューブ103の外表面との接合箇所にレーザービームを照射することにより接合箇所であるそれぞれの外表面を溶融し、サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103の外表面を接合すればよい。
ここで、「JIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプ105とJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブ103を並列に添わせた状態」とは、図4及び図5で示すように、サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面が接するように並べることを意味する。
図5は、本発明に係る熱交換器の製造方法を説明するための模式図であり、図5(a)は側面から見た図であり、図5(b)は平面図である。一対の押圧ローラー401、402により被加工物405を押圧しながらサクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を圧接し、窒素ガスを吹き付けながらレーザー溶接している様子を示している。この被化工物405は、レーザービームLBに対して矢印(←)の方向(図面に向かって右から左方向)に移動している。被化工物405の移動速度は、ファイバーレーザーの出力が大きいほど速くすることができるが、目安としてファイバーレーザーのピーク出力が1000W程度で概ね3m/分〜5m/分程度である。
被加工物405に対するレーザービームLBの照射の向きは、被加工物405からの戻り光を避けるために、被加工物405に対して斜めの方向から照射することが好ましい。レーザービーム出射ユニット303の傾きは、被加工物移動方向の上流側に傾いている(レーザービームLBが被加工物405の進行方向前方側に向けて照射されている。)、或いは、被加工物移動方向の下流側に傾いている(レーザービームLBが被加工物405の進行方向後方側に向けて照射されている。)のいずれでもよい。
被化工物405に対するレーザービームLBの照射位置は、一対の押圧ローラー401、402が被化工物405を押圧している位置から被化工物移動方向の下流側直後の範囲が好ましく、より好ましくは一対の押圧ローラー401、402が被化工物405を押圧している位置である。また、二対の押圧ローラー401、402で被加工物405を押圧しサクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面を圧接させる場合には、レーザービームLBの照射位置は、被化工物移動方向の下流側に位置する押圧ローラー401、402が被化工物405を押圧している位置から被化工物移動方向の下流側直後の範囲が好ましい。より好ましくは、被化工物移動方向の下流側に位置する押圧ローラー401、402が被化工物405を押圧している位置である。
なお、図5(b)では、レーザービームLBの照射位置は、一対の押圧ローラー401、402が被化工物405を押圧する位置の被化工物移動方向の下流側直後よりさらに下流側であるかのように描かれている。これは、レーザービーム出射ユニット303と窒素ガス噴射ノズル307を同一平面で描く上での便宜的なものである。
窒素ガス噴射ノズル307から噴射する窒素ガスの被化工物405に対する吹き付け位置は、レーザービームLBの照射位置とほぼ同じ位置が好ましい。また、窒素ガスの吹き付け方向は、被化工物405の移動方向と同じ方向が好ましい。このような方向に窒素ガスを吹き付けることにより、溶接直後の接合部も窒素ガス雰囲気で覆われることになり酸素からの遮断をより確実なものとすることができる。窒素ガスのガス流量は概ね10l/分(毎分10リットル)程度である。なお、図5(b)において、サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103の接触部における×××××の符号は、レーザービーム溶接によりサクションパイプ105とキャピラリーチューブ103のそれぞれの外表面が溶融して接合している状態を示している。
図6は、蛇行加工された本発明に係る熱交換器106を用いた冷凍サイクルを搭載した冷蔵庫の概略図である。符号601は冷蔵庫本体を表し、符号602は冷蔵庫本体の第一天面部を表し、符号603は第二天面部を表す。圧縮機101は第二天面部603の一部に配設され、凝縮器は第一天面部602の一部に配設されている。圧縮機101で圧縮された冷媒は、高温高圧ガスとなって冷媒吐出部(図示せず)より接続配管604を通って、圧縮機101より上方に配置された凝縮器102に送られる。高温高圧の冷媒は、凝縮器102にて冷蔵庫本体601の上方の空気と熱交換して放熱し凝縮液化される。凝縮液化された冷媒は、キャピラリーチューブ103に送られ、キャピラリーチューブ103とサクションパイプ105のそれぞれの外表面が溶融して接合している箇所(便宜上、図では106で示す)で熱交換しながら減圧されて、圧縮機101より下方に配置された蒸発器104に至る。蒸発器104は、蒸発器104内の冷媒の蒸発作用により冷却された空気は、図示しない冷却用ファンにより冷蔵室や冷凍室に流入し、それぞれの室を冷却する。蒸発器104内で周囲から蒸発潜熱を奪って蒸発した冷媒は、蒸発器104の冷媒出口部yに設けられたアキュムレータ(図示せず)を経てサクションパイプ105を通り、圧縮機101へと吸い込まれる。
図7は、図6に示すように冷蔵庫本体601に配設された蛇行加工された本発明に係る熱交換器106を拡大した概略図である。図中、aはキャピラリーチューブ103の冷媒入口部であり、bは冷媒出口部である。図中cはサクションパイプの冷媒入口部であり、dは冷媒出口部である。キャピラリーチューブ103の冷媒入口部aは、凝縮器102に接続しているドライヤ(図示せず)の冷媒出口部に接続している。キャピラリーチューブ103の冷媒出口部bは、蒸発器104の冷媒入口部(図6にてxで示す。)に接続している。サクションパイプ105の冷媒入口部cは、図6にても図示しないアキュムレータの冷媒出口部に接続している。サクションパイプ105の冷媒出口部dは、圧縮機101の冷媒吸入部(図示せず)に接続している。
本発明に係る熱交換器106は、キャピラリーチューブ103とサクションパイプ105の両端部を残してそれぞれの外表面が溶融して接合されている。キャピラリーチューブ103の外表面と熱交換させるサクションパイプ105の外表面とが接合している長さは、お互いの熱交換を効率よく行い冷凍サイクルの効率を向上させるためには、キャピラリーチューブ103の長さのほぼ80%以上とすることが好ましい。
本発明においては、熱交換器106を構成するキャピラリーチューブ103の素材としてJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金を採用し、サクションパイプ105の素材としてJIS規格1000系アルミニウムを採用しているので、図7に示すような蛇行加工された熱交換器を容易に得ることができる。任意形状の蛇行加工は、ベンダーを用いて通常の方法に従い容易に行うことができる。
本発明に係る熱交換器106は、図7に示すような蛇行加工された熱交換器とすることにより、冷蔵庫本体601の高さの数倍の長さの熱交換器とすることができるので、キャピラリーチューブ103を流通する液相冷媒はサクションパイプ105を流通する低温冷媒によって十分に冷却することができる。
キャピラリーチューブとサクションパイプが熱的に接触している長さが長ければ長い程、熱交換が効率よく行えるので、冷蔵庫に適用する熱交換器は長い程好ましい。また、凝縮器近傍の空気は凝縮器との熱交換により熱くなっているので、蒸発器はできる限り凝縮器から離れた位置に配設することが好ましい。そのためには、冷蔵庫としては、図6に示すように、圧縮機101を冷蔵庫本体601の天面の一部に配置し、凝縮器102は圧縮機101より上方に配置するとともに、蒸発器104を圧縮機101より下方(具体的には冷蔵庫本体601の下部)に配置する構造とすることが好ましい。
本発明は、サクションパイプとキャピラリーチューブの素材を従来の銅と比較して大幅にコストの安いアルミニウム材とし、しかも蛇行加工の容易な冷凍サイクルの熱交換器を提供することができる。従って、蛇行させてコンパクトに加工することのできる本発明に係る熱交換器106は、熱交換器の長さを冷蔵庫本体の高さの数倍、好ましくは2〜3倍とし、図6に示すような、圧縮機101を冷蔵庫本体601の天面の一部に配置し、凝縮器102は圧縮機101より上方に配置するとともに、蒸発器104を圧縮機101より下方(具体的には冷蔵庫本体601の下部)に配置する構造とする冷蔵庫に適用することが好ましい。
ファイバーレーザー溶接装置を用いて、サクションパイプとしてA1070、キャピラリーチューブとしてA3103を用いて本発明に係る熱交換器を作製した。
サクションパイプ;
外径:φ6.4mm、肉厚:0.7mm、内径:φ5mm、長さ:3540mm
キャピラリーチューブ;
外径:φ2mm、肉厚:0.65mm、内径:φ0.7mm、長さ:3660mm
ファイバーレーザー溶接機
発振波長:1070〜1100nm、光ファイバー302のファイバー径:φ0.1mm、レンズL1の焦点距離(f):100mm、レンズL2の焦点距離(f):200mm、レーザービームスポット径:φ0.2mm、ピーク出力:800W、
レーザービームスポット径:φ0.2mmで焦点位置を被化工物405の表面とし、レーザービームLBのスポット中心は、サクションパイプ105とキャピラリーチューブ103が接する線を基準として、0.05mmだけサクションパイプ側に寄った位置に調整し、被化工物405に対する被加工物移動方向におけるレーザービームLBの照射位置は、押圧ローラー401、402が被化工物405を押圧している位置に調整した。押圧ローラー401、402の素材は銅製とした。被加工物405の移動速度を50mm/秒とした。また、シールドガスとして流量が10l/分(毎分10リットル)の窒素ガスを用い被加工物405の移動方向と同じ方向に吹き付けた。
このようにして得られた熱交換器をベンダーを用いて通常の方法に従い、図7に示すような蛇行加工された熱交換器を作製した。
本発明に係る熱交換器は冷蔵庫等に利用することができる。
103 キャピラリーチューブ
105 サクションパイプ
106 熱交換器
303 レーザービーム出射ユニット
307 窒素ガス噴射ノズル
LB レーザービーム
401、402 押圧ローラー
405 被加工物
601 冷蔵庫本体










































Claims (1)

  1. 圧縮機から吐出された冷媒を凝縮器、キャピラリーチューブ、蒸発器、サクションパイプ及び前記圧縮機に順次循環するように構成され、前記キャピラリーチューブの外表面と前記サクションパイプの外表面とが互いに熱的に接触している冷凍サイクルの熱交換器であって、
    前記キャピラリーチューブはJIS規格3000系合金から選ばれるアルミニウム合金製キャピラリーチューブであり、前記サクションパイプはJIS規格1000系アルミニウムから選ばれるアルミニウム製サクションパイプであり、且つ、前記キャピラリーチューブの外表面と前記サクションパイプの外表面が溶融状態で接合されたものであることを特徴とする冷凍サイクルの熱交換器。


































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