JP2013092201A - シートガスケット - Google Patents
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Abstract
【課題】さらなる材料工夫等により、非石綿系シートガスケットを、高温域でも安定して使えるように耐熱性(耐熱シール性)を有するものとして提供する。
【解決手段】向きが揃った第1の基材繊維19A(19)を有する第1のシート材5A(5)と、前記第1の基材繊維19Aの向きと交差する向きに揃った第2の基材繊維19B(19)を有する第2のシート材5B(5)とを積層一体化してシートガスケットGを得る。両シート材5,5間に金属板4A製の補強シート4、或いは金属板製で爪t付の補強シート4が介装されていれば好都合である。
【選択図】図5
【解決手段】向きが揃った第1の基材繊維19A(19)を有する第1のシート材5A(5)と、前記第1の基材繊維19Aの向きと交差する向きに揃った第2の基材繊維19B(19)を有する第2のシート材5B(5)とを積層一体化してシートガスケットGを得る。両シート材5,5間に金属板4A製の補強シート4、或いは金属板製で爪t付の補強シート4が介装されていれば好都合である。
【選択図】図5
Description
本発明は、産業用配管などのシール手段として、高温域においても十分に使用可能なシートガスケットに関するものである。
従来、この種のシートガスケットは、例えば、特許文献1にて開示されたものが知られている。特許文献1のシートガスケットは、石綿系シートガスケットに取って代わるものとして開発されたものであり、アラミド繊維、鉱物繊維、無機充填材(カオリン、セピオライト、炭酸カルシウム、黒鉛等)、ゴム質結合材を複合した材料で成る、言わば非石綿系のシートガスケットである。このようなものとしては、PTFE樹脂にシリカ鉱物・硫酸バリウムを配合したPTFE系シートガスケットもあった。
前記のシートガスケットが開発されてきた理由は次のとおりである。即ち、その昔は、白石綿とゴムラテックスバインダーを主成分とし、その他に加硫剤を配合してなるアスベストビータシートと、石綿を主成分とし、これに石綿の粘結剤としてのゴム及び加硫剤等のゴム薬品を配合して成る石綿シートガスケットが市場を席巻していた。ところが、石綿系シートガスケットは人体に対して有害であり、また環境汚染の問題もあることからその使用が制限され、石綿を使用しないシートガスケットの開発が急務とされたことに起因している。
しかしながら、前記特許文献1等に示される非石綿系シートガスケットは、高温域での使用状態が不安定であり、石綿系シートガスケット程の高温特性がなかなか出せない点で改善の余地が残されていた。
特許公報第2538509号
本発明の目的は、さらなる材料工夫等により、非石綿系シートガスケットを、高温域でも安定して使えるように耐熱性(耐熱シール性)を有するものとして提供する点にある。
請求項1に係る発明は、シートガスケットにおいて、向きが揃った第1の基材繊維19を有する第1のシート材5に、前記第1の基材繊維19の向きと交差する向きに揃った第2の基材繊維19を有する第2のシート材5が積層一体化されてなることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のシートガスケットにおいて、前記第1のシート材5と前記第2のシート材5との間に、金属板4A製の補強シート4が介装されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のシートガスケットにおいて、前記補強シート4は、前記第1のシート材5側の面4a及び前記第2のシート材5側の面4bのそれぞれに、前記金属板4Aの一部を隆起形成して成る爪tを複数有していることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のシートガスケットにおいて、前記爪tが、前記金属板4Aに開口する爪孔8の周縁から立ち上がる2箇所以上の部分爪6aの集合体で構成されていることを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のシートガスケットにおいて、隣合う前記部分爪6aどうしの間に前記基材繊維19が通る構造を有していることを特徴とするものである。
従来のシートガスケットでは、その製造方法に起因して基材繊維の向きが一定方向に揃ってしまい、強度、特に引張り強度が、前記一定方向(基材繊維の長手方向)には強いが、前記一定方向と交差する方向(例えば、直交する方向)には弱く、方向によって強度が明確に異なる問題があった。故に、従来においては、シートガスケットの強度は、引張り強度が最も弱くなる方向の強度に依存されるものとなっており、従って、高温域における強度も、引張り強度の最も弱い方向の強度(最低強度)に依存されていた。これが高温域での強度があまり芳しいものとならない理由であることが分ってきた。
請求項1の発明はこのような状況に鑑みて発案されたものであって、互いに基材繊維の向きが交差する状態に一対のシート材を積層一体化して構成されるシートガスケットである。このような構成であれば、基材繊維が一方向に揃うことが無くなり、互いに異なる二以上の方向に向くようになるから、方向によって引張り強度に差が出ることが軽減又は解消され、従来のシートガスケットに比べて安定した強度(引張り強度)を出せるようになる。故に、最低強度を引き上げることができ、それに伴って高温域における強度も向上するようになる。その結果、非石綿系シートガスケットを、高温域でも安定して使えるように耐熱性(耐熱シール性)を有するものとして提供することができる。
請求項2の発明によれば、内装されている金属板製の補強シートが耐力層(耐力部材)として機能し、これがない場合に比べて強度アップを図ることができる。即ち、シート材の強度や温度特性を、金属板製の補強シートの特性に近づけることが可能になる。従って、引張り強度を含む強度をより向上させることができるから、それに伴って高温域における強度も明確に向上可能となる利点が追加される。
請求項3の発明によれば、補強シートから隆起形成される爪がシート材に食い込んでいて引っ掛かるので、シート材の変形(伸び、圧縮)が強度のある補強シートに依存されるものとなって強固に一体化されている。つまり、双方のシート材に食い込む爪の存在により、シート材の強度や温度特性を、金属板製の補強シートの特性により一層近づけることが可能になり、請求項2の発明による前記効果をさらに強化することができる。
請求項4の発明によれば、金属板に開口する爪孔の周縁から立ち上がる2箇所以上の部分爪で爪が構成されるから、1箇所の爪が食い込む場合に比べて、シート材への引っ掛かりが確実化され、シート材と補強シートとの一体化強度の向上を図ることができる。従って、360度の方向に内圧が作用するガスケットにより好適となるシートガスケットを提供することができる。この場合、請求項5のように、隣合う部分爪どうしの間に基材繊維が通る構造を採れば、基材繊維の引掛りによる強度向上も加わるようになり、より強度に優れるものとなる利点が追加される。
以下に、本発明によるガスケット用シートの実施の形態及びそれを用いたシートガスケットの実施例を、図面を参照しながら説明する。
ガスケット用シートAを用いたシートガスケットGの使用例は、例えば、図1に示されるように、対向配置されるフランジ配管1,2それぞれのフランジ1A,2Aの間に配備されて締付固定されるシール手段としてのガスケットである。このシートガスケットGは、矩形状のガスケット用シートA(図4,5参照)からの切り出しにより円環状に形成されたものである。この例では、中空パイプ状の配管1Bに円環状のフランジ1Aを外嵌溶着して成る第1フランジ配管1と、同構造(配管2B、フランジ2A)の第2フランジ配管2との間へ同心状にシートガスケットGが挟まれ、複数のボルト・ナット3を用いて規定トルクで締付固定されている。
前記のシートガスケットGには、各配管1B,2Bの内部を流れる高温蒸気などの流体を漏れなく封止する性能が求められる。そこで、非石綿系シートガスケットの高温域における耐熱シール性を従来より改善する目標として、石綿製のガスケット用シート(石綿ジョイントシート)によるシートガスケット並みの高温特性を得ることが挙げられる。つまり、400℃の蒸気での使用に耐える性能であるが、非石綿系シートガスケットにおいてこの性能を満足させることは非常に困難である。
なぜなら、非石綿系シートガスケットは200℃前後以上の蒸気に対して脆くなる又は軟化する傾向が強いからである。そこで、耐熱温度を上げるための研究開発を行うにあたり、まず、図1に示すようなシートガスケットGに働く力の関係について考えてみた。
なぜなら、非石綿系シートガスケットは200℃前後以上の蒸気に対して脆くなる又は軟化する傾向が強いからである。そこで、耐熱温度を上げるための研究開発を行うにあたり、まず、図1に示すようなシートガスケットGに働く力の関係について考えてみた。
図1に示されるフランジ配管構造において、シートガスケットGに作用する力は、図2に示すように、フランジ配管1,2内を流れる流体により、ガスケット内周面20に作用する外向き力(ガスケットを破壊しようとする力)F、各フランジ1A,2Aとの圧接による片面側の摩擦力f1、シートガスケットG自体の強度による内向き力(ガスケットを破壊しようとする力に対抗する力)f2がある。力の釣合いから、
F=2×f1+f2
であり、
F≦2×f1+f2
であればシートガスケットGは耐えるが、
F>2×f1+f2
になるとシートガスケットGは破壊されることとなる。
F=2×f1+f2
であり、
F≦2×f1+f2
であればシートガスケットGは耐えるが、
F>2×f1+f2
になるとシートガスケットGは破壊されることとなる。
ここで、
シートガスケットGの外径D=104mm、
シートガスケットGの内径d=61mm、
シートガスケットGの厚みt=1.5mm
である例において、
200℃の飽和蒸気圧pi=1.555MPa(1.555N/mm2)
が負荷された場合は、外向き力Fは、
F=pi×d×t=1.555N/mm2×61mm×1.5mm=142N
となる。
フランジ1A,2A間での締付によるシートガスケットGに作用する残留締付面圧pl=10N/mm2のときに、各フランジ1A,2Aの接触面1a,2aとの摩擦係数μ=0.3とすると、残留締付面圧と摩擦係数との関係から得られる摩擦力f1は、
f1=pl×μ×ガスケット接触面積S(πGN)
=pl×μ×〔π×(D+d)/2×(D−d)/2〕
=10N/mm2×0.3×(π×82.5mm×21.5mm)
=16710Nとなる。
なお、ガスケット接触面積とは、各フランジ1A,2AとシートガスケットGの接触面積のことである。
シートガスケットGの外径D=104mm、
シートガスケットGの内径d=61mm、
シートガスケットGの厚みt=1.5mm
である例において、
200℃の飽和蒸気圧pi=1.555MPa(1.555N/mm2)
が負荷された場合は、外向き力Fは、
F=pi×d×t=1.555N/mm2×61mm×1.5mm=142N
となる。
フランジ1A,2A間での締付によるシートガスケットGに作用する残留締付面圧pl=10N/mm2のときに、各フランジ1A,2Aの接触面1a,2aとの摩擦係数μ=0.3とすると、残留締付面圧と摩擦係数との関係から得られる摩擦力f1は、
f1=pl×μ×ガスケット接触面積S(πGN)
=pl×μ×〔π×(D+d)/2×(D−d)/2〕
=10N/mm2×0.3×(π×82.5mm×21.5mm)
=16710Nとなる。
なお、ガスケット接触面積とは、各フランジ1A,2AとシートガスケットGの接触面積のことである。
一方、シートガスケットG自体の強度が10N/mm2であるとき、内向き力f2は、
f2=ガスケット自体の強度×ガスケット幅×ガスケット厚さ
=10N/mm2×43mm×1.5mm
=645Nとなる。
この場合(流体が200℃の飽和水蒸気である場合)、外向き力F=142Nであり、かつ、摩擦力+内向き力は2×f1+f2であるから、
2×f1+f2=2×16710N+645N=17355Nであって、
F(142N)<2×f1+f2(17355N)
となり、シートガスケットGは破壊することなく安定して封止作用を発揮する。
f2=ガスケット自体の強度×ガスケット幅×ガスケット厚さ
=10N/mm2×43mm×1.5mm
=645Nとなる。
この場合(流体が200℃の飽和水蒸気である場合)、外向き力F=142Nであり、かつ、摩擦力+内向き力は2×f1+f2であるから、
2×f1+f2=2×16710N+645N=17355Nであって、
F(142N)<2×f1+f2(17355N)
となり、シートガスケットGは破壊することなく安定して封止作用を発揮する。
次に、過酷な運転状況、即ち、流体が前述の場合よりも高温高圧である場合について考える。飽和蒸気圧piは、300℃で8.593MPa、400℃で30.056MPaに上昇するので、それに伴って、外向き力Fは、300℃で786N、400℃で2750Nに上昇する。
温度上昇により残留締付面圧が低下してfl=0と仮定した場合、外向き力Fに対向する力は内向き力f2のみになり、300℃ではF(786N)>f(645N)、400℃ではF(2750N)>f(645N)となって、シートガスケットGが破壊され易くなる。
このように、ガスケット自体の強度が弱いとか、蒸気温度が高くなることなどによって配管の内圧が高くなるといった場合には、内向き力f2に対する外向き力Fの割合がどんどん大きくなって行く。その傾向が大きくなると、遂には「F>f2」となって破断伸度を超え、シートガスケットGが破壊したり接触面1a,2aから外れる不具合に発展することが考えられる。
温度上昇により残留締付面圧が低下してfl=0と仮定した場合、外向き力Fに対向する力は内向き力f2のみになり、300℃ではF(786N)>f(645N)、400℃ではF(2750N)>f(645N)となって、シートガスケットGが破壊され易くなる。
このように、ガスケット自体の強度が弱いとか、蒸気温度が高くなることなどによって配管の内圧が高くなるといった場合には、内向き力f2に対する外向き力Fの割合がどんどん大きくなって行く。その傾向が大きくなると、遂には「F>f2」となって破断伸度を超え、シートガスケットGが破壊したり接触面1a,2aから外れる不具合に発展することが考えられる。
故に、高温域における耐熱シール性を有した非石綿系シートガスケットを実現させるためには、i.高い残留締付面圧を保つこと、ii.表面の摩擦係数が高いこと、iii.ガスケット自体の強度(引張強度)が高いこと、が求められる。本発明においては、ガスケット用シートAの材料工夫などにより、「iii.ガスケット自体の強度(引張強度)が高いこと」を改善させる点に特徴を有している。次に、そのための工夫などについて説明する。
ガスケット用シートは石綿系のものでも非石綿系のものでも同様の方法でもって作製される。その製造方法は、図3に示されるような方法である。即ち、溶剤を媒体としてミキサーで混合された繊維質のシート材料15を、スコップ16などを用いて熱ロール17と冷却ロール18との間の投入口に投入する。投入されたシート材料15は、熱ロール17外周面(表面)17aに付着しながら積み重ねられ、所定厚さになると熱ロール17から引き剥がされる。
熱ロール17から引き剥がされた扁平なシート材料、すなわちシート材5は、配合される基材繊維19が冷却ロール18でもって押付けられる熱ロール17の回転方向に配向するため、矢印イ方向である縦方向(熱ロール17の回転方向)の強度(引張り強度)が矢印ロ方向である横方向に比べて明確に高くなる。
従来の石綿ジョイントシートにおいては、例えば、縦方向の引張り強度が40N/mm2以上で、横方向の引張り強度が20N/mm2以上を示すが、非石綿系ジョイントシートでは、例えば、縦方向(矢印イ方向)の引張り強度が20N/mm2以上で、横方向(矢印ロ方向)の引張り強度が10N/mm2以上である。これは非石綿系のシート材料では、石綿と同等の引張り強度が得られないためであり、それによって非石綿系ジョイントシートは高温域での耐熱シール性が劣っていた。
そこで、本発明の特徴は、図3の製造方法によって作成されるシート材5の基材繊維19が縦方向(熱ロール17の回転方向)に揃うことを利用した構成のシートガスケットである。即ち、シート材5の少なくとも2枚を、互いに繊維方向(繊維長手方向)が交差する状態で積層一体化してシートガスケットGを構成したものである。つまり、向きが揃った第1の基材繊維19を有する第1のシート材5に、第1の基材繊維19の向きと交差する向きに揃った第2の基材繊維19を有する第2のシート材5が積層一体化されてなるシートガスケットGである(図4,5,6を参照)。
シート材5としては、例えば、非石綿系ジョイントシート、PTFE系シート、又は膨張黒鉛系シートなどを用いることができる。非石綿系ジョイントシートは、アラミド繊維、鉱物繊維、無機充填材(カオリン、セピオライト、炭酸カルシウム、黒鉛等)、及びゴム質結合材などを複合してなる材料を用いてシート状に成形されたものであり、所定の高温域(およそ200℃以上)で脆性を有することのあるシート材である。
PTFE系シートは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂に、シリカ鉱物及び硫酸バリウムなどを配合してなる材料を用いてシート状に成形されたものであり、所定の高温域(およそ250℃以上)で可塑性を有することのあるシート材である。膨張黒鉛系シートは、膨張黒鉛を主成分とする材料を用いてシート状に成形されたシート材である。シート材5の厚さは、完成品であるシートガスケットGのサイズに応じて適宜に調整される。次に、ガスケット用シートAの種々の実施形態について説明する。
PTFE系シートは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂に、シリカ鉱物及び硫酸バリウムなどを配合してなる材料を用いてシート状に成形されたものであり、所定の高温域(およそ250℃以上)で可塑性を有することのあるシート材である。膨張黒鉛系シートは、膨張黒鉛を主成分とする材料を用いてシート状に成形されたシート材である。シート材5の厚さは、完成品であるシートガスケットGのサイズに応じて適宜に調整される。次に、ガスケット用シートAの種々の実施形態について説明する。
〔実施形態1〕
実施形態1のガスケット用シートA1(A)は、図4(a)に示すように、第1の基材繊維19A(19)の向き(繊維長手方向)が縦向き(矢印イ方向)に揃えられた第1のシート材5A(5)に、第2の基材繊維19B(19)の向きが横向き(矢印ロ方向)に揃えられた第2のシート材5B(5)を、接着剤を用いて貼着により積層一体化して成る2層構造のものである。各シート材5A(5),5B(5)の厚さは、例えば、共に0.8mm厚のものが用いられているが、その他の厚みのものであっても良い。
実施形態1のガスケット用シートA1(A)は、図4(a)に示すように、第1の基材繊維19A(19)の向き(繊維長手方向)が縦向き(矢印イ方向)に揃えられた第1のシート材5A(5)に、第2の基材繊維19B(19)の向きが横向き(矢印ロ方向)に揃えられた第2のシート材5B(5)を、接着剤を用いて貼着により積層一体化して成る2層構造のものである。各シート材5A(5),5B(5)の厚さは、例えば、共に0.8mm厚のものが用いられているが、その他の厚みのものであっても良い。
つまり、向きが揃えられた第1の基材繊維19を有する第1のシート材5に、第1の基材繊維19の向きと交差する向きに揃えられた第2の基材繊維19を有する第2のシート材5が積層一体化されてなるガスケット用シートA1である。この実施形態1のガスケット用シートA1(A)においては、第1の基材繊維19Aと第2の基材繊維19Bとは直交する状態(90度向きが異なる状態)に設定されているが、例えば、75度や60度の角度で交差するなど、交差角度は90度以外の値でも良い。
〔実施形態2〕
実施形態2のガスケット用シートA2(A)は、図4(b)に示すように、向きが揃えられた第1の基材繊維19A(19)を有する第1のシート材5A(5)に、第1の基材繊維19Aの向きと交差する向きに揃えられた第2の基材繊維19B(19)を有する第2のシート材5B(5)が、これら第1のシート材5Aと第2のシート材5Bとの間に金属板4A製の補強シート4が介装された状態で、接着剤を用いる貼着によって積層一体化されてなるものである。
実施形態2のガスケット用シートA2(A)は、図4(b)に示すように、向きが揃えられた第1の基材繊維19A(19)を有する第1のシート材5A(5)に、第1の基材繊維19Aの向きと交差する向きに揃えられた第2の基材繊維19B(19)を有する第2のシート材5B(5)が、これら第1のシート材5Aと第2のシート材5Bとの間に金属板4A製の補強シート4が介装された状態で、接着剤を用いる貼着によって積層一体化されてなるものである。
つまり、図4(a)に示す実施形態1のガスケット用シートA1における一対のシート材5A(5),5B(5)の間に、金属板製の補強シート4が一体的に介装された構造のものである。補強シート4は、ステンレス(例えば、SUS304)鋼板が好適であるが、アルミ合金といったその他の金属板でも良い。金属板4Aの厚さは、完成品であるシートガスケットGのサイズに応じて適宜に調整されるが、機械的強度を考慮すると、0.1mm以上であることが好ましい。
〔実施形態3〕
実施形態3のガスケット用シートA3は、図5,6に示すように、実施形態2のガスケット用シートA2の補強シート4が異なったものである。即ち、金属板4Aにおける第1のシート材5A(5)側の面である一方の面4a、及び第2のシート材5B(5)側の面である他方の面4bのそれぞれに、金属板4Aの一部を隆起形成して成る爪tが複数形成される構造の補強シート(爪付補強シート)4を有するガスケット用シートA3である。
実施形態3のガスケット用シートA3は、図5,6に示すように、実施形態2のガスケット用シートA2の補強シート4が異なったものである。即ち、金属板4Aにおける第1のシート材5A(5)側の面である一方の面4a、及び第2のシート材5B(5)側の面である他方の面4bのそれぞれに、金属板4Aの一部を隆起形成して成る爪tが複数形成される構造の補強シート(爪付補強シート)4を有するガスケット用シートA3である。
このガスケット用シートA3に用いられる補強シート4は、図6,図7に示すように、一方の面4a及び他方の面4bのそれぞれに、材料である金属板4Aの一部を隆起形成して成る爪tが、縦横に規則正しく多数(複数の一例)形成された両面爪付の金属板である。つまり、補強シート4の面に直交する方向視、即ち、図7(a)に示す上下方向視において、一方の面4aの第1の爪6(t)と他方の面4bの第2の爪7(t)とが互いに隣り合う状態で、かつ、碁盤の目のように規則正しく交互に配置されている。なお、各爪6(t),7(t)がランダムに配置された構造の補強シート4も可能である。
例示される各爪6,7は、向きが反対である以外は互いに同じ爪tであって、金属板4Aに対する切り起し加工などによって形成されている。第1の爪6(t)で説明すると、図7(a),(b)に示すように、金属板4Aに開口する爪孔8の周縁における互いに異なる位置から立ち上がる4箇所(2箇所以上の一例)の部分爪6aの集合体により、第1の爪6が構成されている。
第1の爪6は、先が尖った三角形状を呈する4つの部分爪6aが形成されており、従ってそれら部分爪6aの内側には爪孔8が形成されている。爪孔8の中心を基準点とすれば、各部分爪6aは、表面4aに開口する爪孔8の周囲において互いに異なる4箇所の各位置にそれぞれ形成されている。なお、第2の爪7(t)を構成する4箇所の部分爪7aも同様にして形成されている。
詳しくは、図8(b)に示すように、四角錐状に尖った先端部9a、及びそれに続く円柱部9bとを備えるバーリングパンチ9を用いての下孔なしバーリング加工により、4箇所の部分爪6aが一挙に形成されている。つまり、バーリングパンチ9を金属板4Aを突き刺して貫通する1工程の作業により、図8(a)に示すように、4箇所の部分爪6aが、即ち、第1の爪6(t)が形成されるのである。このバーリングパンチ9が前後左右に多数配列された成形型を用いて金属板4Aにプレス成形すれば、多数の第1の爪6を一挙に形成することも可能である。
そして、その作業を金属板4Aの表面4aと裏面4bとの双方に行うことにより、図7に示す補強シート4を作成することができる。なお、これらの爪tは、切り起し加工によって形成される部分爪6a(7a)の2箇所や3箇所、或いは5箇所以上の集合体でなるものでも良い。
実施形態3のガスケット用シートA3に用いられる補強シート4は、機械的強度の高い金属材料からなり、耐食性をも考慮すると、SUS304などのステンレス鋼材が好ましい。金属板4Aの厚さは、完成品であるシートガスケットGのサイズに応じて適宜に調整されるが、機械的強度を考慮すると、0.2mm以上であることが好ましい。
金属板4Aに設けられる爪孔8の径は、1〜2mm程度に設定され、互いに隣合う爪孔8,8のピッチ(爪孔8,8の中心どうしの間隔)は、3〜4mm程度に設定される。その結果、金属板4A全体の面積に対して、爪孔8による孔が開いている部分の面積が占める割合は、およそ5〜25%程度である。
第1の爪6(t)及び第2の爪7(t)の高さは、両面に貼り合わされるシート材5の厚さと同一に設定されるのが理想的である。これにより、図1において、ガスケット用シートAをシートガスケットGとして用いてボルト・ナット3を締め付けたときに、第1の爪6(t)及び第2の爪7(t)それぞれの先端が、対向するフランジ1A,2Aの面に当接して、フランジ面とシートガスケットGとの間の摩擦係数を高くすることができる。
この点は、表面が比較的滑りやすいシート材5(例えば、PTFE系シートや膨張黒鉛系シート材)を用いてガスケット用シートAを構成した場合に、より効果的である。但し、第1の爪6(t)及び第2の爪7(t)の高さと、シート材5の厚さとは完全に一致していなくても良く、例えば、両者の間に±0.2mm程度の範囲内の差があっても、機能的に大きな問題は生じない。
このように、第1の爪6(t)の高さは、一方の面4aに圧着される第1のシート材5A(5)の厚さと同一又はほぼ同一で、第2の爪7(t)の高さは、他方の面4bに圧着される第2のシート材5B(5)の厚さと同一又はほぼ同一であるのが望ましい。各部分爪6aは、バーリングパンチ9の加工による板厚減少が先端に向かうほど大きくなっている。
また、各部分爪6aのそれぞれの基端側は、切れ目なく周方向に連続する部分を有しており、爪孔8は、金属板4Aを貫通する部分はもとより、一方の面4a側においても筒孔状の部分を有している。第2の爪7(t)の各部分爪7aについても同様である。
また、各部分爪6aのそれぞれの基端側は、切れ目なく周方向に連続する部分を有しており、爪孔8は、金属板4Aを貫通する部分はもとより、一方の面4a側においても筒孔状の部分を有している。第2の爪7(t)の各部分爪7aについても同様である。
実施形態3のガスケット用シートA3においては、その構成上、隣合う部分爪6aどうしの間に基材繊維19が通る構造(図示は省略)を有するように、第1の爪6(t)の各部分爪6a及び第2の爪7(t)の各部分爪7aが隆起形成されていることが好ましい。そうすることで、基材繊維19の引掛りによって各シート材5と補強シート4とがより強固に一体化されるものとなる。
実施形態3のガスケット用シートA3においては、シート材5の強度(引張り強度)における補強シート4の強度への依存度合いが高まり、ガスケット用シートA3全体としての強度向上が図られ、より強度に優れるガスケット用シートA3(A)を得ることが可能となる利点がある。
次に、実施形態1〜3のガスケット用シートA1〜A3を用いて成る実施例1〜3のシートガスケットG1〜G3、及び比較形態1,2のガスケット用シートAh1,Ah2(後述)それぞれを用いて成る比較例1,2のシートガスケットGh1,Gh2の構成及び試験結果について説明する。これらの構成及び試験結果は、図10の図表中に示されるとおりである。
〔実施例1〕
実施例1のシートガスケットG1(G)は、図4(a)に示す実施形態1の構造を採るガスケット用シートA1(A)から切り出すことで作製されたものであり、第1のシート材5A(5)と第2のシート材5B(5)とを、接着剤を用いての貼着により積層一体化して成る2層構造を有している。
実施例1のシートガスケットG1(G)は、図4(a)に示す実施形態1の構造を採るガスケット用シートA1(A)から切り出すことで作製されたものであり、第1のシート材5A(5)と第2のシート材5B(5)とを、接着剤を用いての貼着により積層一体化して成る2層構造を有している。
各シート材5は、基材繊維19である無機繊維にゴム系バインダと充填材とを混練してからシート状に成形されており、その厚さは0.8mmである。例えば、熱硬化性の接着材を用いての貼り合わせにより、厚さ1.6mmのガスケット用シートA1及びそれによる実施例1のシートガスケットG1が作製される。
〔実施例2〕
実施例2のシートガスケットG2(G)は、図4(b)に示す実施形態2の構造を採るガスケット用シートA2(A)から切り出すことで作製されたものである。つまり、共に厚さ0.8mmの第1及び第2の各シート材5A(5),5B(5)の間に、厚さ0.1mmのステンレス(SUS304)鋼板製の補強シート4を設けて、例えば熱硬化性の接着材を用いての貼り合わせにより、厚さ1.7mmのガスケット用シートA2及びそれによる実施例2のシートガスケットG2が作製される。
実施例2のシートガスケットG2(G)は、図4(b)に示す実施形態2の構造を採るガスケット用シートA2(A)から切り出すことで作製されたものである。つまり、共に厚さ0.8mmの第1及び第2の各シート材5A(5),5B(5)の間に、厚さ0.1mmのステンレス(SUS304)鋼板製の補強シート4を設けて、例えば熱硬化性の接着材を用いての貼り合わせにより、厚さ1.7mmのガスケット用シートA2及びそれによる実施例2のシートガスケットG2が作製される。
〔実施例3〕
実施例3のシートガスケットG3(G)は、図5,図6に示す実施形態3の構造を採るガスケット用シートA3(A)から切り出すことで作製されたものである。具体的には、厚さ0.8mmの各シート材5A(5),5B(5)の間に、厚さ0.2mmのステンレス(SUS304)鋼板製で、かつ、爪6(t),7(t)付の補強シート4を設けたものであり、トータル厚さ1.8mmのガスケット用シートA3及びそれによる実施例3のシートガスケットG3が作製される。この爪t付の補強シート4が介装される構造では、圧着のみで十分に各シート材5と一体化できるので接着剤は省略してある(接着剤を用いても良い)。
実施例3のシートガスケットG3(G)は、図5,図6に示す実施形態3の構造を採るガスケット用シートA3(A)から切り出すことで作製されたものである。具体的には、厚さ0.8mmの各シート材5A(5),5B(5)の間に、厚さ0.2mmのステンレス(SUS304)鋼板製で、かつ、爪6(t),7(t)付の補強シート4を設けたものであり、トータル厚さ1.8mmのガスケット用シートA3及びそれによる実施例3のシートガスケットG3が作製される。この爪t付の補強シート4が介装される構造では、圧着のみで十分に各シート材5と一体化できるので接着剤は省略してある(接着剤を用いても良い)。
〔比較例1〕
比較例1のシートガスケットGh1は、図10の図表中にて示すように、実施例1のガスケット用シートA1としても使用される非石綿系ジョイントシート(無機繊維にゴム系バインダと充填材とを混練してなる材料)単体で成る比較形態1のガスケット用シートAh1を用いて作製されている。即ち、厚さ1.5mmのガスケット用シートAh1からの切り出しにより、比較例1のシートガスケットGh1が作製されている。
比較例1のシートガスケットGh1は、図10の図表中にて示すように、実施例1のガスケット用シートA1としても使用される非石綿系ジョイントシート(無機繊維にゴム系バインダと充填材とを混練してなる材料)単体で成る比較形態1のガスケット用シートAh1を用いて作製されている。即ち、厚さ1.5mmのガスケット用シートAh1からの切り出しにより、比較例1のシートガスケットGh1が作製されている。
〔比較例2〕
比較例2のシートガスケットGh2は、図10の図表中にて示すように、石綿ジョイントシート単体で成る比較形態2のガスケット用シートAh2を用いて作製されている。即ち、厚さ1.5mmのガスケット用シートAh2からの切り出しにより、比較例2のシートガスケットGh2が作製されている。
比較例2のシートガスケットGh2は、図10の図表中にて示すように、石綿ジョイントシート単体で成る比較形態2のガスケット用シートAh2を用いて作製されている。即ち、厚さ1.5mmのガスケット用シートAh2からの切り出しにより、比較例2のシートガスケットGh2が作製されている。
さて、前述した実施例1〜3及び比較例1,2の円環状で試験用のシートガスケットG(G1〜G3,Gh1,Gh2)の試験に用いる試験装置Bを図9に、そして試験結果を図10にそれぞれ示す。試験装置Bは、図9に示すように、配管利用の容器部10を有する下部フランジ11と、上部フランジ12と、複数のボルト・ナット13とを備えて構成されている。容器部10は水を溜めておく箇所であり、試料となる試験用の各シートガスケットGは、上下のフランジ11、12の間に介装されるようになっている。
試験の手順は次のとおりである。まず、容器部10に水を満タンになるまで入れる(225グラム程度)。次に、所定形状、寸法(例:外径104mm、内径61mmの円環状)に作製されている試験用の各シートガスケットG1〜G3,Gh1,Gh2のうちのいずれかを選択し、上下のフランジ11、12間に装填する。それから、試験用のシートガスケットGの締付面圧が40N/mm2に相当させるべく、締付トルク120N・mで複数のボルト・ナット13を締付ける。
以上は試験準備であり、試験は次のように行う。即ち、図9に示すように、実施例1〜3、比較例1,2のうちのいずれか一つの試験用のシートガスケットGが装填された試験装置Bを丸ごと電気炉14に投入し、各所定温度(175℃、200℃、250℃、300℃)で36時間加熱する、というものである。試験後に、試験装置Bを開放して試料であるシートガスケット(試験用のガスケット)Gの破損の有無を目視により確認した。
図10の試験結果より、実施例1のシートガスケットG1においては、200℃の試験をクリアしており、175℃しかクリアできていない比較例1の(従来の)シートガスケットGh1に比べて、発明による改善の効果が見て取れる。厚さの薄い金属板製の補強シート4を中間に有する3層構造を採る実施例2のシートガスケットG2においては、250℃の試験をクリアしており、より耐熱性能が向上していることが分る。
爪t立て金属板4A製の補強シート(爪立補強シート)4を中間に有する3層構造を採る実施例3のシートガスケットG3においては、250℃のみならず300℃の試験もクリアするという優れた耐熱性を有していることが分る。これに対して比較例1のシートガスケットGh1は200℃試験はクリアできていない。なお、石綿材料で成る比較例2のものは優れた耐熱性を有しているが、前述したように、現状は使用が厳しく制限されているものである。
実施例3のシートガスケットG3では、隆起形成される爪tが各シート材5,5に食い込んでいて引っ掛かるので、シート材5の変形(伸び、圧縮)が強度のある補強シート4に依存されるようになる。故に、単に金属板を挟む場合に比べて、より一層強固に一体化されており、シート材5自体の強度も大きく向上する利点がある。
また、爪孔8の周りにて90度の均等角度ごとに形成される4つの部分爪6aの集合で爪tとされる構成により、補強シート4の面に沿うどの方向に対してもシート材5に対する十分な引っ掛かりによる強度向上が図られており、方向によって引張り強度に差ができ難い点も好ましい。
加えて、爪tは補強シート4の表裏の両面に形成されているので、前述した種々の利点がいずれのシート材5,5にも作用するので、高強度で耐久性にもより優れている。
加えて、爪tは補強シート4の表裏の両面に形成されているので、前述した種々の利点がいずれのシート材5,5にも作用するので、高強度で耐久性にもより優れている。
図12に、比較例2を除く各シートガスケットG1〜G3,Gh1に用いるガスケット用シートA1〜A3,Ah1における縦、横、斜めの引張り強度を、それぞれ2回ずつ行った結果を示している。引張り方向として、比較例1のシートガスケットGh1に用いるガスケット用シートAh1においては縦(基材繊維の向き、即ち繊維長手方向)と横とで試験を行った。
実施例1〜3のシートガスケットG1〜G3に用いるガスケット用シートA1〜A3においては、縦と横とは理論上は同じ条件になるので「縦・横」と表示し、斜め(例:45度方向)を追加した。各シートガスケットGに用いるガスケット用シートAの引張り試験片は、日本工業規格(JIS:R3453)に則り、破断予定箇所が幅10mmのもので行った。
図12より、一対のシート材5A(5),5B(5)が、各々の基材繊維19A(19),19B(19)の向きを90度交差させて一体化されている実施例1〜3のシートガスケットG1〜G3に用いるガスケット用シートA1〜A3では、引張り強さにおいて縦横及び斜めの各方向において強度差がほぼ無くなり、安定した強度を呈していることが分る。
加えて、補強シート4が設けられている実施例2,3のシートガスケットG2,G3に用いるガスケット用シートA2,A3では飛躍的に強度が向上し、爪t付の金属板4Aの補強シート4を有する実施例3のシートガスケットG3に用いるガスケット用シートA3はさらに強度アップしているのが分る。
基材繊維の向きが一方向に揃っている比較例1のガスケットGh1に用いるガスケット用シートAh1では、繊維方向が揃っている方向の引張り強度は高くなる(縦方向:26.0)が、繊維方向と交差する方向では引張り強度は低くなる(横方向:14.3)。これに対して、基材繊維19の方向を縦横に90度交差させた一対のシート材5,5、から成る実施例1のシートガスケットG1に用いるガスケット用シートA1では、引張り強度は最低でも15.9であって、比較例1のものの最低強度14.3を上回っている。
これが本発明による効果、即ち、「強度(最低強度)が向上し、かつ、安定する」ことの証明データである。これは、図10に示す試験結果(耐熱温度が、比較例1:175℃、実施例1:200℃)からも明らかである。
〔別実施形態〕
シート材5の製造方法としては、抄造法を採ることも可能であり、熱ロール17を用いる熱ロール方法に限られるものではない。抄造法によってシート材5を作製する場合においても、その基材繊維19がある程度一定方向に揃うので、向きが揃った基材繊維19を有するシート材5が作製される。
シート材5の製造方法としては、抄造法を採ることも可能であり、熱ロール17を用いる熱ロール方法に限られるものではない。抄造法によってシート材5を作製する場合においても、その基材繊維19がある程度一定方向に揃うので、向きが揃った基材繊維19を有するシート材5が作製される。
実施例1〜3のシートガスケットG1〜G3に用いるガスケット用シートA1〜A3は、いずれも基材繊維19の向きを異ならせて2層設ける構造であるが、3層以上の奇数層や4層以上の偶数層設ける構造としても良い。また、3層以上のものでは、基材繊維19の向きを互いに60度(120度)ずらした3層を基準として積層するとか、4層以上のものでは、基材繊維19の向きを互いに45度ずらした4層を基準として積層するといった構成とすることも可能である。
補強シート4は、図11に示すように、金属板4Aの切り起しにより、互いに背を向ける状態に一対の部分爪6a,6aで成る爪6(t)が形成されている構造のものでも良い。上面4aから爪孔8を伴って隆起形成される部分爪6aは、図示のように、上面4aに沿う特定方向に並んで配置される横爪であるが、その方向に交差(直交)する方向に配置される縦爪でも良い。また、補強シート4を形成する金属板4Aは、銅(銅合金)やアルミ合金でも良い。
4 補強シート
4A 金属板
4a 第1のシート材側の面
4b 第2のシート材側の面
5 シート材
6a 部分爪
8 爪孔
19 基材繊維
t 爪
4A 金属板
4a 第1のシート材側の面
4b 第2のシート材側の面
5 シート材
6a 部分爪
8 爪孔
19 基材繊維
t 爪
Claims (5)
- 向きが揃った第1の基材繊維を有する第1のシート材に、前記第1の基材繊維の向きと交差する向きに揃った第2の基材繊維を有する第2のシート材が積層一体化されてなるシートガスケット。
- 前記第1のシート材と前記第2のシート材との間に、金属板製の補強シートが介装されている請求項1に記載のシートガスケット。
- 前記補強シートは、前記第1のシート材側の面及び前記第2のシート材側の面のそれぞれに、前記金属板の一部を隆起形成して成る爪を複数有している請求項2に記載のシートガスケット。
- 前記爪が、前記金属板に開口する爪孔の周縁から立ち上がる2箇所以上の部分爪の集合体で構成されている請求項3に記載のシートガスケット。
- 隣合う前記部分爪どうしの間に前記基材繊維が通る構造を有している請求項4に記載のシートガスケット。
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